JP3522560B2 - 計測器用保護管の製造方法 - Google Patents
計測器用保護管の製造方法Info
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Description
製造方法に関し、とくに石油炭化水素を分解炉にて熱分
解し分離精製, 精留して、エチレンやプロピレン (以
下、「オレフィン」と総称する) などを製造するプラン
トに配設される温度計保護管の表面処理の方法について
の新しい提案である。本発明において、採用する表面処
理技術は、石炭のガス化、液化プラント、石炭燃焼ボイ
ラプラントなどで発生するフライアッシュなどによるエ
ロージョン損傷が発生する部位や水スラリーによって発
生するエロージョン損傷部位の表面処理技術としても利
用できる。
においては、石油炭化水素を熱分解するための分解炉が
用いられる。この分解炉には反応系の温度制御を行うた
めに、保護管つきの温度計が配設されている。図1は、
上記分解炉の概略を示すものであり、主として原料を加
熱し分解するための輻射部1と、燃焼ガスからの熱を回
収するための対流部2からなり、その他、付属設備とし
てボイラーシステムを付帯している。例えば、この分解
炉に供給されたナフサ等の原料3は、前記対流部2にお
いて希釈スチーム4が混合され、そして燃焼ガスとの対
流伝熱により約 600℃程度まで加熱される。その後、輻
射部1の反応管に供給され、バーナー5により約 800℃
以上の高温に加熱して熱分解反応を導いてオレフィンを
生成させる。一方、生成した分解ガスは、過剰分解を防
ぐために反応を停止させるべく反応管出口に設置した冷
熱器6にて冷却し、下流の分離塔7に送る。かかる分解
炉の反応において、オレフィン等の収率に影響を与える
因子としては、圧力、温度、反応時間などがある。その
因子の一つである温度を管理するために、この分解炉中
の前記反応管の出口コイルには、保護管を介して温度計
8が設置されている。
速:150 〜200 m/秒程度の微細なカーボン粒子を含む
分解ガスが流れており、しかも、該反応管内部に付着し
たカーボンを定期的に除去するデコーキング操作による
摩耗減肉が著しいのが特徴である。この現象は、図2に
示すような、反応管出口コイル内に挿入されている温度
計保護管21に対しても同じように作用することから、こ
の保護管も激しく摩耗減肉する。そのために従来、分解
炉の操業を停止して該温度計保護管21を取り替えるか、
または流体の流れと反対側の減肉されていない側を流れ
に対向させるようにリセットするという工夫を行ってい
た。というのは、もし温度計保護管21の減肉が進行して
破損するようなことがあると、反応管内部の分解ガスが
漏洩し、事故につながるからである。なお、図におい
て、22は反応管、23は温度計取付け金物、24は炭化水素
の分解ガスの流れを示すものである。
て、下記のような方法が採用されてきた。 (1) 反応管出口コイル表面に表面式温度計を溶接して温
度管理を行う。 (2) 反応管出口コイル内に挿入する保護管の長さを短く
し、減肉する部分を少なくする。 (3) 保護管の材質を強化する。 しかし、上記(1) の方法は、反応管出口コイル表面で測
定した温度と管内流体の温度とに差があり、温度管理が
困難であった。しかも、熱電対の劣化が激しく、かつ温
度計が溶接で固定されているため交換が難しいという問
題もあった。また、上記(2) の方法は、保護管が反応管
の軸中心まで挿入されていないため正確な温度が測定で
きず、また温度のバラツキが大きいという問題があっ
た。一方、上記(3) の方法は、温度条件が厳しいため保
護管の材質を変更するだけでは減肉抑制効果が十分では
なかった。
て、保護管の外周面に、硬質クロムめっき、硬質合金や
炭化物サーメットの溶射皮膜、PVD法、CVD法によ
るTiN, CrN, TiCN皮膜のような硬質表面処理皮膜を
施工する方法があった。しかし、これらの方法の適用に
よって形成した皮膜は、カーボン粒子によるエロージョ
ンによって早期に破壊されやすく、期待するような成果
が得られていないのが実状である。
オレフィン製造用熱分解炉に使用される従来の温度計保
護管は、高温の炭化水素分解ガスに曝されるとともに、
高速度で飛来する固いカーボン粒子の衝突によってエロ
ージョン損傷を受け易く、寿命が短いという問題があっ
た。とくに、温度計保護管というのは、温度計を機械的
な外圧から守ることの他に、雰囲気温度を正確かつ速や
かに伝達する役割を担うものでもある。そのため、保護
管は熱伝導率の良い金属製部材によって製作されるのが
普通である。しかし、金属 (合金) 製部材は、高温環境
下では軟質化するため、高温, 高速で飛翔するカーボン
粒子に接すると容易にエロージョンによる損傷を受けや
すくなる。一方において、この金属製保護管を表面処理
して耐エロージョン製を向上させる方法も考えられる
が、熱伝導性を阻害して計測性を劣化させる場合も少な
くない。本発明は、こうした問題点を克服しようとする
ものである。
にも優れる一方で、耐熱性と耐エロージョン性にも優れ
る温度計保護管を製造するための表面処理技術を提案す
ることにある。本発明の他の目的は、正確な温度計測が
できる他、寿命の永い金属製保護管を有利に製造する技
術を確立し、もって、オレフィンの如き石油化学製品原
料の生産性の向上と設備メインテナンスの削減を図るこ
とにある。
抱えている上述した問題点を解決するため、以下に説明
するような方法によって、耐熱性と耐エロージョン性に
優れると共に、良好な熱伝導性を示す温度計保護管を製
造する。本発明は、 耐熱金属製保護管の表面に、実質
的に酸素を含まない雰囲気中で、Cr 合金である金属バイ
ンダーを5〜30 wt%含み残りがCr3C2 である炭化物サ
ーメット粉末を減圧プラズマ溶射することにより、前記
金属バインダー中の金属Crの一部または全部を、 Cr
23C 6, Cr 7C 3 あるいは Cr 3C 2 などの硬質の反応クロム炭
化物へと変化させて Cr 3C 2 マトリックス中に分散させて
なる硬質炭化クロムサーメット溶射皮膜を形成すること
を特徴とする計測器用保護管の製造方法である。
属部材の少なくとも表面を、実質的に酸素を含まない雰
囲気中、望ましくは減圧雰囲気中で 500〜900 ℃の温度
で予熱することが好ましい。 (3) 本発明においては、溶射の後に、実質的に酸素を含
まない雰囲気中、望ましくは減圧雰囲気中で 500〜900
℃の温度で後加熱を施すことにより、溶射皮膜中金属Cr
の反応クロム炭化物への変化を促進することが好まし
い。 (4) 即ち、本発明は、金属部材の表面に、実質的に酸素
を含まない不活性ガス雰囲気中でCr3C2 サーメットの粉
末をプラズマ溶射するに際し、金属部材を 500〜900 ℃
に予熱するかまたは成膜後に後加熱するかのいずれか/
または両方の熱処理を施すことによって、皮膜中の金属
Crの一部またはそのすべてをクロム炭化物に変化させた
溶射皮膜を50〜800 μm厚に形成し、かつその皮膜のマ
イクロビッカース硬さが平均で1000 Hv以上であるよう
に改質することにより、皮膜全体の硬質化、緻密化、耐
エロージョン性、良好な熱伝導性を発揮するように改質
する方法である。
の製造方法について、温度計の保護管を製造する例で説
明する。 (1) 金属製保護管の表面に溶射皮膜を被覆する方法につ
いて 本発明にかかる保護管が使用される環境は、上述したよ
うに高温であるうえ、固いカーボン粒子が高流速で衝突
する条件下であり、それ故に保護管の表面 (溶射皮膜)
は化学的に安定であると同時に耐ブラストエロージョン
性にも優れていることが必要である。こうした要請に応
えられる表面被覆処理, 即ち溶射皮膜を形成するために
発明者らは、溶射する材料として、酸化物系セラミック
ス、炭化物サーメットおよび硬質の金属 (合金鋼) につ
いて検討した。また、溶射法としては、電気アークを熱
源とする方法、プラズマなどを熱源とする方法および水
素あるいは炭化水素と酸素の燃焼エネルギーを熱源とす
る方法について実験検討した。殊にこの溶射法について
は、たとえ同一の溶射材料を用いても、熱源温度とその
流速が大きく異なることから、形成される皮膜の性質に
大きな差が生じるので、その選択は重要である。
な実験研究によって、好適な溶射方法の開発を目指し、
一応の成果を得て、本発明に想到した。以下に、その実
験研究の成果について説明する。
極めるために、SS400 鋼材からなる基板上に、各種の溶
射法を用いて各種の硬質溶射材料を平均 300μm厚に成
膜し、その後、得られたその溶射皮膜に対してAl2O3 粒
子を5kgf/cm2 の圧縮空気を使って吹き付け (吹き付け
距離 500mm) 、該溶射皮膜の耐エロージョン性を定性的
に調べた。表1は、この実験の結果を要約したものであ
る。表1に示すように、Al2O3 ,TiO2のような酸化物セ
ラミックス溶射皮膜は固いが脆弱であるため、簡単に局
部剥離を起こした。しかし、WC, Cr3C2 サーメット溶射
皮膜は比較的良好な耐エロージョン性を示し、本発明の
目的に最も適した材料であることが判明した。なお、自
溶合金皮膜は、摩耗のみで剥離現象は認められなかった
が、これらの皮膜は800℃前後の高温環境下では硬度が
甚だしく低下する特徴があるので、適当ではないことも
判明した。
に適合する溶射材料として、炭化物サーメット材料に着
目した。また、上記各溶射材料の高温安定性についても
検討した。その結果、WCサーメット皮膜は、550 ℃以上
の環境では酸化したり分解するなど耐熱性に乏しいこと
が判明した。すなわち、本発明方法によく適合する材料
としては、WCサーメットに比較すると、硬さや耐エロー
ジョン性には劣るものの、耐熱性に優れたCr3C2 サーメ
ットの粉末材料が好適であるとの結論に達した。
覆するための溶射材料としてはCr3C2 を用いることにし
た。そこで、このCr3C2 サーメットの粉末を溶射して良
好な皮膜を形成するための溶射法について明らかにする
ために、約 150μm厚の溶射皮膜を形成し、各皮膜の気
孔率、密着力、硬さなどを調査した。
る。表2に示す結果から判るように、比較例として試験
した大気プラズマ溶射法では、予熱の有無に関係なく、
密着力、硬さとも悪い結果となった。これに対し、高速
フレーム溶射法で得られた溶射皮膜は、予熱が無い場合
でも気孔率は小さく、硬さ:750 〜850 Hv、密着力:80
MPa以上と非常に高い測定値が得られた。しかし、この
方法で被成したCr3C2溶射皮膜を被覆した温度計保護管
を図1のオレフィン製造装置 (ガス温度 650〜800 ℃)
に取付けて、実機試験を行ったところ、約4ヵ月の運転
で皮膜がカーボン粒子によるエロージョンによって大部
分消失していた。
結果、次のようなことが判明した。即ち、Cr3C2 粒子自
体は硬くかつ耐エロージョン性を有するものの、共存し
ているバインダーとしての金属が高温環境下で軟化する
ため、金属成分のみが選択的にエロージョンを受け、そ
の結果Cr3C2 粒子が相互結合力を消失して損耗すること
がわかったのである。
れている金属成分を溶射皮膜の形成環境中で硬質化する
方法があるかどうかについて研究を続けた。その結果、
バインダー金属として、CrもしくはCr合金を用いたCr3C
2 サーメット材料を、実質的に酸素を含まない非酸化性
の雰囲気中でプラズマ溶射し、これを高温下 (500 〜90
0 ℃) で10分間以上保持してみた。そうすると、Cr3C2
自体あるいはCr3C2 中に含まれている遊離炭素が、バイ
ンダーとして添加されているCrの一部またはそのすべて
と反応して、Cr23C6, Cr7C3 あるいは Cr3C2などの硬質
の炭化物へと変化した反応クロム炭化物となることによ
って、一段と高い硬度を有するCr3C2 サーメット溶射皮
膜となることがわかった。なお、このような結果は、発
明者らの研究によれば、従来の一般的な溶射法では不可
能であり、実質的に酸素を含まない非酸化性雰囲気下
の、望ましくは減圧プラズマ溶射法などの適用によって
初めて可能であり、こうした方法によって形成したCr3C
2 サーメット溶射皮膜の硬さはWCサーメットにほとんど
匹敵するような1100〜1250Hvにまで硬質化することがわ
かった。 (例えば、表2の試験片2)
中に酸素が含まれていると、形成された溶射皮膜中のCr
3C2 粒子やバインダー金属成分の表面が酸化され、これ
が金属成分としてのCrの炭化物化反応を妨害するので好
ましくない。
進させるため、被溶射体 (金属製基材) そのものも、溶
射施工に先立って加熱(500〜900 ℃) することにより、
溶射皮膜の密着性を向上させるとともに、該溶射皮膜の
残留応力を軽減させると厚膜形成が可能になる。また、
Crの炭化物化反応を一層促進させるために、溶射成膜後
も 500〜900 ℃の高温に後加熱することが好ましい。こ
うした前処理、後処理の操作によって、溶射皮膜は緻密
化し、熱伝導率も著しく向上し、温度計に対する熱伝達
に支障をきたさないこともわかった。
い) に添加する金属成分としては、CrもしくはCrを含む
合金 (Cr−Ni, Cr−Co, Cr−Feなど) などが適してお
り、炭化物の生成が困難なNi, Co, Cuなどの単独金属は
不適当である。また、この金属成分の添加量は、5〜30
wt% (Cr3C2 95〜60 wt%) 、金属成分中に含まれるCr
量は5 〜100 wt%の範囲のものが適当である。金属成分
が5wt%より少ない場合には、溶射皮膜の密着性や粒子
相互の結合力が弱く、また、30 wt%より多くなると、
皮膜の延性は向上するものの硬度が低くなり、耐エロー
ジョン性に劣るので好ましくない。
を含まない非酸化性の雰囲気であればよい。この意味で
は、不活性ガスによって空気の混入を防ぐ処置をした減
圧プラズマ溶射方法だと、被処理体の予熱、後熱処理、
溶射後の高温保持などの操作もし易く好適である。な
お、溶射雰囲気の条件は、酸素がない、例えば不活性ガ
ス (例えば、He, Arなど) の50〜1100hPa の範囲内であ
れば、望ましい溶射皮膜を形成することができる。
ット皮膜の厚さは50〜800 μmの範囲がよく、特に 200
〜500 μmが好適である。50μmより薄いと耐エロージ
ョン性に乏しく、800 μm以上に厚くても格別の効果が
認められないので、経済的に得策でない。
3C2 サーメット溶射皮膜は、硬質かつ緻密質の皮膜であ
って、基材との密着性に優れる他、該皮膜中に熱伝導の
障害となる気孔や酸化物を含まないため、極めて良好な
熱伝導性を発揮することから、温度計保護管用表面被覆
技術として極めて優れていることがわかった。
料中のクロム炭化物は、化学式:Cr 3C2 で示されるが、
市販の炭化物サーメット材料を調査すると、微量ながら
Cr23C2, Cr7C3 などの炭化物も含まれており、これらの
炭化物を含有するものについても本発明を適用すること
が可能であり、厳密なCr3C2 化合物のみに制約されるも
のではない。
の温度をそれぞれ 500〜900 ℃としたのは、この温度が
500℃以上であれば、溶射中にプラズマ炎の影響を受け
て基材温度が低下することがないという利点があるう
え、金属Crの炭化反応も 500〜900 ℃の温度範囲が最も
効果的に行われるため皮膜の密着性、硬さが向上するか
らである。一方、900 ℃以上の加熱は困難であり、ま
た、余りに温度が高くなると炭化クロムの分解が促進さ
れるので得策でないからである。
i, Cr−Coなどの金属成分をそれぞれ25wt%含むサーメ
ット材料を、SUS410基材上に、Ar分圧 100hPa の雰囲気
中で300 μmの厚さにプラズマ溶射した。その後、得ら
れた溶射皮膜のビッカース硬さを測定した。なお、溶射
条件として、SUS410基材の予熱(550℃) の有無、皮膜形
成後の熱処理の有無 (700 ℃, 15分間保持) の場合につ
いてそれぞれ行った。表3は、このときの結果を示した
もので、金属成分としてNi−Cu, Niを添加した溶射皮膜
(No.1〜8)の硬さは、予熱、後熱処理を施してもすべて
ビッカース硬さ1000Hv未満であった。これに対し、Crを
含む金属バインダーを添加した溶射皮膜 (No.10 〜12,
14〜16) は、予熱、後熱処理のいずれかの工程を経てい
れば、皮膜硬さは1000以上を示し、硬質化していること
が判明した。また、同一の溶射材料を溶射した場合で
も、前記熱処理を行わなければ (No.13) 、溶射皮膜は
硬化されず、また密着力も低い傾向が見られた。
1気圧に設定してエチレン製造装置用の分解炉を稼動さ
せた。温度計保護管は、ステンレス鋼製 (インコロイ8
00H)を使用し、その外表面に次のような溶射皮膜を
形成し、連続6ヵ月間使用に供した後、その表面を調査
した。 1.供試溶射皮膜 (1) 本発明の溶射皮膜 Cr3C2 −25wt%Ni−Crサーメットを減圧プラズマ溶
射法によって溶射して膜厚 350〜400 μmに施工した溶
射皮膜、 Cr3C2 −30wt%Ni−Crサーメットを減圧プラズマ溶
射法によって溶射して膜厚 350〜400 μmの溶射皮膜を
形成した後、真空中で 700℃×10h の熱処理を施した溶
射皮膜、 (2) 比較例の溶射皮膜 JIS H8303規定 SFNi4自溶合金を溶射し、膜厚1200〜
1500μmの溶射皮膜とした後、この溶射皮膜を大気中で
フュージング処理した溶射皮膜、 上記の自溶合金溶射皮膜を真空中でフュージング
処理した溶射皮膜、 25 wt%Cr−70wt%Fe−2wt%B−3wt%Si合金を、
アーク溶射法によって800 μmの厚さに施工した溶射皮
膜、 Cr3C2 −25wt%Ni−Crサーメットを、高速フレーム
溶射法によって膜厚350〜400 μmの厚さに施工した溶
射皮膜、 Cr3C2 −30wt%Ni−Crサーメットを大気プラズマ溶
射法によって膜厚 350〜400 μmの厚さに施工した溶射
皮膜、
果からわかるように、比較例の溶射皮膜(No.3 〜7)はい
ずれも、プラントの運転6ヵ月後にすべての皮膜がカー
ボン粒子によるエロージョン作用を受けて消失し、とく
にNo. 3〜5の皮膜を施工したものでは基材も30〜70μ
m程度損傷を受けていた。これに対し、本発明に適合す
る溶射皮膜 (No. 1 〜2 ) は、外観上全く変化が認めら
れず、マイクロメーターの計測によって3〜15μm程度
の減少が見られたに過ぎなかった。
射皮膜の熱伝導率を測定した。測定用の皮膜は、SS400
基材上に膜厚 500μmの溶射皮膜を形成した後、基材と
一緒に直径10mm、1mm厚の円板状試料を切り出して測定
に供した。また、比較用の溶射皮膜として、大気中およ
び基材の予熱のないArガス中のCr3C2 サーメット皮膜、
50wt%Cr−50wt%Ni合金のプラズマ溶射皮膜を用いた。
ので、熱伝導性に優れる金属でも、これを大気中でプラ
ズマ溶射 (No. 5, 6) すると、皮膜を構成する粒子が
酸化物を生成したり、気孔が存在するため熱伝導率が著
しく低い結果となった。この値は、500 ℃になっても殆
ど変化しないことも確かめられた。また、これらの傾向
は、大気中でプラズマ溶射したCr3C2 サーメット皮膜に
対して認められるものであるが、不活性ガス (Arガス)
中で溶射した皮膜 (No. 4) については、酸化物の生成
が抑制されるためか、熱伝導率が多少向上しているのが
認められる。これに対し、不活性ガス中で予熱、後熱処
理のいずれか、また、両処理を行った本発明のCr3C2 サ
ーメット皮膜 (No. 1〜3) は、室温でも最も良好な熱
伝導率を示すとともに、500 ℃ではさらに熱伝導率が向
上する傾向が明瞭に認められ、皮膜中に酸化物を含ま
ず、かつ予熱、後熱処理による焼結反応によって皮膜が
緻密化されるとともに、基材との密着性の向上、さらに
は金属Crの炭化物化反応などが熱伝導率の向上に貢献し
ていることが窺える。
によれば、エチレンやプロピレンなどのオレフィン類を
製造する装置に取付けられている温度計保護管を、平均
マイクロビッカース硬さ1000Hv以上の高硬度を有しかつ
緻密で耐エロージョン性に優れるほか、良好な熱伝導性
を発揮するように本発明に適合するように表面処理する
ことができる。
ンを示したものである。
付け状況を示したものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 耐熱金属製保護管の表面に、実質的に酸
素を含まない雰囲気中で、Cr 合金である金属バインダー
を5〜30 wt%含み残りがCr3C2 である炭化物サーメッ
ト粉末を減圧プラズマ溶射することにより、前記金属バ
インダー中の金属Crの一部または全部を、 Cr 23C 6, Cr 7C
3 あるいは Cr 3C 2 などの硬質の反応クロム炭化物へと変
化させて Cr 3C 2 マトリックス中に分散させてなる硬質炭
化クロムサーメット溶射皮膜を形成することを特徴とす
る計測器用保護管の製造方法。 - 【請求項2】 プラズマ溶射に先立ち、金属部材の少な
くとも表面を、実質的に酸素を含まない雰囲気中で 500
〜900 ℃の温度で予熱することを特徴とする請求項1に
記載の製造方法。 - 【請求項3】 プラズマ溶射の後に、実質的に酸素を含
まない減圧雰囲気中で 500〜900 ℃の温度で後加熱を施
すことにより、溶射皮膜中金属Crの反応クロム炭化物へ
の変化を促進することを特徴とする請求項1または2に
記載の製造方法。
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JP37322498A JP3522560B2 (ja) | 1998-12-28 | 1998-12-28 | 計測器用保護管の製造方法 |
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JP2000192220A JP2000192220A (ja) | 2000-07-11 |
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- 1998-12-28 JP JP37322498A patent/JP3522560B2/ja not_active Expired - Fee Related
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