JPH1052223A - 粒状チーズ及びその製造方法 - Google Patents

粒状チーズ及びその製造方法

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JPH1052223A
JPH1052223A JP8224498A JP22449896A JPH1052223A JP H1052223 A JPH1052223 A JP H1052223A JP 8224498 A JP8224498 A JP 8224498A JP 22449896 A JP22449896 A JP 22449896A JP H1052223 A JPH1052223 A JP H1052223A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程中や、熟成、保存中にチーズ同士が
結着することがなく、しかも加熱溶融時に優れた糸引き
性を有する粒状チーズを得る。 【解決手段】乳に乳酸菌及び凝乳酵素を添加し、チーズ
カードを生成させた後、得られたチーズカードを加温
し、次いで、凍結、解凍した後、攪拌してチーズカード
粒を得、次いで、得られたチーズカード粒を熟成させる
ことを特徴とする粒状チーズの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粒状チーズ及びそ
の製造方法に関する。本発明は、特に、製造工程中や熟
成、保存中にチーズ同士が結着することなく、しかも加
熱溶融時に優れた糸引き性を有する粒状チーズ及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、食生活の欧風化に伴い、ナチュラ
ルチーズの需要が伸びている。ナチュラルチーズはその
まま食したり、グラタン、ドリア、ピザのトッピング材
として、またはスパゲッティーのソースやドレッシング
の材料として調理に用いたり、その利用範囲は幅広い。
このように、ナチュラルチーズをグラタンやピザ等に利
用する場合には、ブロック状のナチュラルチーズを適当
な形状、大きさに切断しなければならないが、そのよう
な手間を省くために、様々な形態のシュレッドチーズが
市販されており、使用目的に合ったものを入手すること
ができる。シュレッドチーズの形態は、その使用目的に
よって若干異なるものの、一般には薄く細長い切片状で
ある。シュレッドチーズは、ブロック状の熟成チーズを
大まかな直方体に切り分け、シュレッダーに投入、細断
することにより得られるが、チーズを細断する際、シュ
レッダーにチーズがくっついたり、自動計量の後、容器
に充填する際にチーズ片同士が結着したり、ブロッキン
グ(チーズ同士が結着し、ブロック状の塊になること)
するため、機械適性が悪い。また、熟成、保存中にチー
ズ同士が互いに結着するため、調理等において使用する
際に、手でほぐさなくてはならない等の問題があった。
このようなチーズ同士の結着を防止するために、チーズ
切片表面に乾いた食物繊維を散布するといったことも行
われている。
【0003】一方、シュレッドチーズは、グラタンやピ
ザ等のトッピング材として加熱調理食品に多く用いられ
ることから、加熱溶融時の「糸引き性」が重要な物理的
特性とされている。チーズの糸引き性を向上させる技術
としては、カードの加温温度を通常の加温温度よりも高
い温度とすることにより、糸引き性の良好なチーズを製
造し得ることが記載されている(特公平6−87736
号)。しかし、前記公報に記載された発明により得られ
るチーズは、糸引き性の点では優れているものの、チー
ズの結着性の点では好ましいものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような現状におい
て、シュレッドチーズには、第一に、製造工程中や熟成
・保存中にチーズ同士が結着しないこと、第二に、加熱
溶融時に良好な糸引き性を有することが重要な要素とし
て求められるが、そのようなシュレッドチーズは未だ開
発されていない。従って、本発明は、製造工程中や熟
成、保存中にチーズ同士が結着せず、しかも糸引き性に
優れた粒状チーズ及びその製造方法を提供することを課
題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
を重ねた結果、チーズカードの加温処理を、通常の加温
温度より高い温度で行い、さらに、得られたチーズカー
ドを一旦凍結させ、次いで解凍した後、穏やかに混練機
等で攪拌し、熟成させることにより、上記の課題を解決
した粒状チーズ及びその製造方法を提供することができ
ることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明の
粒状チーズの製造方法は、第一に、カードの加温処理温
度を通常よりも高く、40℃以上60℃未満とするこ
と、第二に、調製されたチーズカードを凍結及び解凍処
理することを特徴としており、この2つの工程により、
製造中や熟成、保存中にチーズ同士の結着がなく、優れ
た糸引き性を有する粒状チーズを得ることができる。
【0006】即ち、本発明は、乳に乳酸菌及び凝乳酵素
を添加し、チーズカードを生成させた後、得られたチー
ズカードを加温し、次いで、凍結、解凍した後、攪拌し
てチーズカード粒を得、次いで、得られたチーズカード
粒を熟成させることを特徴とする粒状チーズの製造方法
である。本発明はまた、チーズカードの加温温度が、4
0℃以上60℃未満である前記粒状チーズの製造方法で
ある。本発明はまた、乳に乳酸菌及び凝乳酵素を添加
し、チーズカードを生成させた後、得られたチーズカー
ドを40℃以上60℃未満に加温し、次いで、凍結、解
凍した後、攪拌してチーズカード粒を得、次いで、得ら
れたチーズカード粒を熟成させることにより得られる粒
状チーズである。
【0007】以下、本発明におけるチーズカードの加温
温度及び凍結解凍処理が、どのような作用によって、チ
ーズの結着を防止し、糸引き性を向上するかについて説
明する。即ち、本発明において、チーズカードの加温処
理温度を通常の加温処理温度より高く、40℃以上60
℃未満とすることによって、チーズカードのシネリシス
(凝縮)が促進され、チーズカード中のカルシウムを介
したカゼインタンパク質の網目状構造がより強固なもの
となる。さらに、添加した乳酸菌及び凝乳酵素のタンパ
ク質分解活性が低下するため、カゼインタンパク質の網
目状構造の主要構成体であるαs−カゼインの熟成中の
分解が遅延し、その結果、チーズカード中に、αs−カ
ゼインが多く残存し、チーズカードは強固な網目状構造
を有し、硬くガム状の物性を呈するようになる。さら
に、風味の点でも、チーズカードを40℃以上60℃未
満で加温することによって、チーズカード中のプラスミ
ノーゲンのプラスミンへの変換が促進され、β−カゼイ
ンの分解が促進されるため、チーズの熟成が進み、風味
も良好になる。
【0008】また、このように通常の加温処理温度より
も高い温度で加熱処理して得られたチーズカードは、凍
結及び解凍処理すると、チーズカード同士の結着が非常
に脆くなり、穏やかに攪拌するだけで粒状にほぐれるた
め、容易に粒状チーズを得ることができる。これに対し
て、通常の加温処理温度で調製したチーズカードは、熟
成のごく初期からαs−カゼインの分解が進み、タンパ
ク質の構造も密ではなく、均一な組織を形成するので、
凍結及び解凍処理を行っても、攪拌によりチーズカード
を粒状にほぐすことができない。このように、本発明は
これらの2つの工程を要件とすることにより、チーズ同
士の結着がなく、しかも糸引き性に優れた粒状チーズを
得ることができる。上記した特公平6−87736号に
記載の発明のように、一方の工程のみを採用するだけで
は、チーズ同士の結着がなく、しかも糸引き性にも優れ
た粒状チーズを得ることはできない。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。本発明において、「粒状チーズ」とは、チーズの
一片が0.01g〜10g程度の重量を有し、一片の一辺
が0.1cm〜5cm程度の大きさを有するものをいい、形
状は特に限定されず、不定形のものであってよいが、例
えば、偏平な円形、球形、円柱形、立方体状、直方体
状、棒状等を挙げることができる。本発明の粒状チーズ
は、チーズ片同士の結着が著しく少なく、しかも糸引き
性が優れていることを特徴とする。
【0010】本発明において原料となる「乳」として
は、チーズの製造に通常用いられる乳であればいずれの
乳を使用してもよく、例えば、全乳、脂肪調整乳、還元
乳、濃縮乳、バターミルク、クリームまたはこれらの混
合物を挙げることができる。また、本発明において「乳
酸菌」としては、チーズの製造に通常用いられる乳酸菌
であればいずれの乳酸菌を使用してもよく、例えば、ス
トレプトコッカス・ラクチス(Streptococcus lacti
s)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptoco
ccus thermophilus)、ストレプトコッカス・クレモリ
ス(Streptococcus cremoris)、ラクトバチルス・ブル
ガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチル
ス・カゼイ(Lactobacillus casei)等を挙げることが
できる。さらに、本発明において「凝乳酵素」として
は、チーズの製造に通常用いられる凝乳酵素であればい
ずれの凝乳酵素を使用してもよく、レンネットの他、動
物例えば豚、微生物または植物から得られた代用レンネ
ット、仔牛または微生物由来の遺伝子組換品等を使用す
ることができる。
【0011】以下、本発明の粒状チーズの製造方法を、
好適例により説明する。本発明の製造方法においては、
最初に、常法に従い、乳の脂肪率を1〜4重量%程度に
調整した後、63℃で30分程度から75℃で15秒間
程度の条件で加熱殺菌し、その後、約30℃に静置して
冷却する。次いで、乳に、乳酸菌を約0.01〜0.05
重量%と凝乳酵素を約0.001〜0.01重量%添加
し、29〜34℃の温度において、約30分間で凝固さ
せ、チーズカードを得る。
【0012】次いで、得られたチーズカードを、例え
ば、幅約10〜40mmの立方体になるようにカッティン
グし、穏やかな攪拌を加えて、チーズカードのシネリシ
ス(凝縮)を促進させる。チーズカードをカッティング
した際に生じたホエーの一部を排除し、さらに攪拌を続
けながら、チーズカードを40℃以上60℃未満まで加
温する。チーズカードの加温温度が40℃未満では、チ
ーズカード同士が結着し、凍結解凍後に混練しても粒状
とはならず、60℃以上では、チーズカード中にホエー
タンパク質が混入し、チーズカード中に水が取り込ま
れ、チーズカードの水分が高くなるため好ましくない。
チーズカード水分が約55%以下に達した時点で、全て
のホエーを排除する。このようにして得られたチーズカ
ードに対して加塩を行う。加塩は、チーズカード中の食
塩含有量が1〜2重量%となるように食塩を添加するこ
とにより行う。添加する食塩は、固体のものでも水溶液
のものでもよい。尚、食塩を添加した後に、チーズカー
ドからさらにホエーが滲出するので、加塩後はチーズカ
ードを、約10〜30分、35℃に保温したまま放置す
る。
【0013】その後、チーズカードを成形機に充填し
て、圧搾する。圧搾は、チーズの製造において通常用い
られる加圧型、自重型または真空型のプレス機を用いて
行うことができる。このようにして得られる未熟成のチ
ーズカードの水分含量は、36〜43重量%となるが、
この範囲であれば、チーズカードの表面は硬く、サラッ
としており、好ましい。また、このようにして得られる
未熟成のチーズカードのpHは、5.2〜6.2となる。次
いで、このチーズカードを5℃程度まで冷却し、冷却後
直ちに、または1カ月以内に凍結処理を行う。凍結温度
は、−5℃以下であればよいが、−5℃〜−50℃程度
であることが好ましく、特に、−5〜−30℃が好まし
い。凍結の方法は、緩慢凍結でも急速凍結でもよい。凍
結温度が、−5℃より高いと、チーズが完全に凍結しな
いので好ましくない。チーズカードが凍結温度に達した
ら、0〜20℃において緩慢に解凍処理を行う。解凍処
理を20℃以上で行うと、オイルオフが生じるので好ま
しくない。
【0014】次いで、得られたブロック状の未熟成ナチ
ュラルチーズカードを混練機を用いて穏やかに攪拌する
ことによりほぐれて、容易にチーズカード粒を得ること
ができる。混練は、2軸異方向回転型ニーダー等の一般
に使用されている混練機を用いることができる。尚、こ
こで、穏やかな攪拌とは、スクリューの回転数が10〜
100rpm程度で、得られたチーズ粒が破壊されない程
度の混練である。ここで得られるチーズカード粒の形状
や大きさは、特に限定されず、不定形のものであってよ
いが、例えば、偏平でほぼ円形の形状とすることがで
き、直径5〜30mm、厚さ3〜8mm程度の大きさとする
ことができる。これらの形状や大きさは、凝乳をカッテ
ィングする際のカードナイフの幅やカッティングの速度
により調節することができる。尚、こうして得られる未
熟成のチーズカード粒は、本発明の粒状チーズと同様、
互いに結着することがない。
【0015】次いで、このようにして得られたチーズカ
ード粒を、ガスバリアー性のあるフィルムに充填した
後、窒素や炭酸ガス等の不活性ガスでガス置換包装す
る。ガスバリアー性のあるフィルムとしては、特に限定
されないが、アルム箔、アルミ蒸着フィルム、ポリ塩化
ビニリデン(PVDC)、エチレンビニルアルコール共
重合体(EVOH)、また、これらと、ポリエチレン
(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)、ナイロン(NY)、ポリカーボ
ネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリス
チレン(PS)等とを積層した複合包装材を挙げること
ができる。これらの中でも、ポリ塩化ビニリデンコート
ナイロンフィルムは好ましい。
【0016】次いで、この未熟成のチーズカード粒を熟
成させて、本発明の粒状チーズを得ることができる。熟
成は、5〜15℃の温度で、1〜12カ月間、通常のナ
チュラルチーズと同様の方法で行うことができる。以
上、本発明の製造方法を好適例により説明したが、ここ
で特に説明しなかったその他の工程、条件等は、通常の
ナチュラルチーズの製造方法における工程、条件等を採
用することができる。
【0017】このようにして得られる本発明の粒状チー
ズは、チーズ同士が互いに結着することなく、エアーに
よる自動搬送や、自動計量、自動包装の際にも優れた機
械適性を有し、糸引き性にも優れている。また、熟成や
保存を6カ月間のように長期間行っても、チーズ同士が
結着することにほとんどなく、糸引き性が劣化すること
もなく、保存性にも優れている(下記「試験例1」及び
「試験例2」参照)。さらに、本発明の粒状チーズは、
風味や、熱溶融性等の物理的特性に関しても、通常のナ
チュラルチーズと同等またはそれ以上である。
【0018】
【実施例】以下、実施例及び試験例を示し、本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0019】実施例1 75℃で15秒間殺菌した脂肪調整乳(脂肪含有率3.
0重量%)1,500kgを30℃に加温し、乳酸菌スタ
ーター(CHR.HANSEN社製:BD-CH-Normal-01型)0.02
重量%及びレンネット(CHR.HANSEN社製:70,000units/
g)0.003重量%を添加して、穏やかに攪拌し、30
℃で30分間静置してチーズカードを得た。チーズカー
ドを刃幅15mmのカードナイフでカッティングし、20
分間穏やかに攪拌した後、生じたホエーの1/3を排除し
た。直ちに、チーズカードとホエーの混合物を均等に7
つの小バットに移した。チーズカードとホエーの各混合
物を、ホエー排除開始から10分後に、最終到達温度が
それぞれ、36℃、38℃、40℃、45℃、55℃、
59℃及び60℃となるように、2分毎に1℃の割合で
昇温するように調整しながら加温した。各温度水準を維
持しながら攪拌を続け、加温開始から90分経過した時
点で、ホエーを全量排除し、食塩をチーズカードに対し
て、1.7重量%添加、混合した。その後、チーズカー
ドを直方形のモールドに移し、約0.3kg/cm2の圧力下
で2時間、プレス機を用いて圧搾し、最終的に約15kg
のチーズカードを得た。各チーズカードをビニール製の
フィルムに入れ、真空包装し、10℃で2日間静置保存
した。次いで、この未熟成のブロック状チーズカードを
−30℃で凍結した後、10℃で解凍し、2軸異方向回
転型ニーダーを用い、20rpmで穏やかに混練し、ブロ
ックを破砕して、未熟成のチーズカード粒を得た。ここ
で、チーズカード粒のpH値及び水分値を測定し、その結
果を表1に示した。
【0020】さらに、この未熟成のチーズカード粒を、
ガスバリアー性のあるポリ塩化ビニリデンコートナイロ
ンフィルム製のフィルムに充填した後、窒素と炭酸ガス
を1:1の比でガス置換し、熟成させて粒状チーズを得
た。包装直後、熟成1カ月目、2カ月目、3カ月目及び
6カ月目の粒状チーズの形状を観察した。結果を表2に
示す。尚、この粒状チーズは、約1cm〜約3cmの大きさ
を有していた。
【0021】比較例1 凍結解凍処理をしないこと以外は、実施例1と同様の方
法によりチーズカードを得たが、ニーダーを用いて混練
しても、チーズ同士が結着し、粒状チーズを得ることが
できなかった。尚、実施例1と同様の観察を行なった。
結果を表2に示す。
【0022】
【表1】 加温温度とpH、水分(%)との関係 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 加温温度(℃) pH 水分(%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 36 5.4 43.4 38 5.4 41.7 40 5.4 39.1 45 5.5 38.8 55 5.8 42.5 59 6.0 42.7 60 6.2 44.0 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0023】
【表2】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1 比較例1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 加温温度(℃) 熟成期間(月) 熟成期間(月) 0 1 2 3 6 0 1 2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 36 × × × × × × × × 38 △ × × × × × × × 40 ◎ ◎ ◎ ○ ○ × × × 45 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ × × × 55 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ × × × 59 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ × × × 60 △ △ △ △ × × × × −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ◎:チーズ同士の結着がほとんど見られない ○:チーズ同士の結着がやや見られる △:チーズ同士の結着が多く見られる ×:粒状チーズが得られない、またはチーズ同士がほとんど結着した
【0024】表2から明らかなように、凍結解凍処理を
行わなかった比較例1においては、いずれの温度で加温
処理を行っても、チーズ同士の結着が著しく、粒状チー
ズを得ることができなかった。また、凍結解凍処理を行
った実施例1においては、チーズカードを40℃〜59
℃の範囲で加温処理したものは、粒状チーズを得ること
ができたが、38℃以下や60℃で加温処理したもの
は、ニーダー混練時にチーズカードを粒状に分散するこ
とができず、粒状チーズを得ることができなかった。さ
らに、表2から明らかなように、チーズカードを40〜
59℃の範囲で加温処理したものは、6カ月熟成、保存
した後においても、チーズ同士の結着がなく、粒状を維
持することができたが、38℃以下及び60℃の範囲で
加温処理したものは、経時的にチーズ同士の結着が進行
した。これらの結果より、チーズカードの加温処理の温
度は、40℃以上60℃未満とすることが望ましいこと
が判明した。
【0025】試験例1 実施例1及び比較例1で得られたチーズについて、糸引
き性の評価を行った。実施例1及び比較例1で得られた
それぞれのチーズ20gをシャーレに採取し、これを電
磁加熱器で1分間(約90℃)加熱溶解させた。その
後、シャーレを直ちに取り出し、1分30秒放置した
後、約80℃になった時点で糸引き試験機(富士精機
製)を用いて試験を行った。試験は、毎秒10cmの速度
でチーズを引き上げ、糸が切れるまでの長さを測定し、
得られた値をチーズの糸引き性とした。結果を表3に示
す。
【0026】
【表3】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1 比較例1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 加温温度(℃) 熟成期間(月) 熟成期間(月) 0 1 2 3 6 0 1 2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 36 60 64 43 38 33 50 44 33 38 65 65 40 28 33 55 45 30 40 86 88 80 80 79 56 48 30 45 89 93 90 85 80 59 43 30 55 92 83 88 86 80 52 43 38 59 92 82 87 86 80 52 42 37 60 70 58 36 20 20 53 40 34 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (単位:cm)
【0027】表3から明らかなように、凍結解凍処理を
行わなかった比較例1では、実施例1で得られたチーズ
に比べて、糸引き性が著しく劣っていた。また、実施例
1において、カードの加温処理温度が40℃〜59℃の
ものでは、熟成後も良好な糸引き性が維持された。これ
に対し、加温処理が38℃以下及び60℃のものでは、
熟成が進むにつれて糸引き性が低下し、3カ月経過後に
は、糸引き性が40cm以下となった。この結果からも、
カードの加温処理温度は、40℃以上60℃未満とする
ことが望ましいことが判明した。
【0028】試験例2 実施例1及び比較例1で得られたチーズの結着性につい
て評価を行った。実施例1で得られたそれぞれの粒状チ
ーズ5kgから、任意に選んだ100個のチーズのうち、
他のチーズと結着していないチーズの数を数え、その数
値を結着性の指標とした。尚、比較例1で得られたそれ
ぞれのチーズは、上記したように粒状とならなかったた
め、ブロック状チーズカードをシュレッドし、同様の方
法で結着性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0029】
【表4】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1 比較例1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 加温温度(℃) 熟成期間(月) 熟成期間(月) 0 1 2 3 6 0 1 2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 36 62 40 25 0 0 58 20 0 38 68 49 29 2 5 52 28 4 40 90 98 89 89 90 66 35 10 45 94 99 89 90 90 62 35 13 55 90 94 92 90 92 68 30 11 59 90 91 90 90 91 65 29 10 60 77 62 41 30 31 50 27 11 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (単位:個)
【0030】表4から明らかなように、凍結解凍処理を
しなかった比較例1では、熟成1カ月目には、チーズの
結着が目立ち、熟成2カ月目には、ほとんどのチーズが
結着した。その後は、結着が著しく、測定できなかっ
た。また、凍結解凍処理を行った実施例1では、チーズ
カードの加温処理温度が40℃〜59℃のものに関して
は、熟成が進行してもチーズ同士の結着は少なく、変化
がほとんどなかった。一方、チーズカードの加温処理温
度が38℃以下及び60℃のものでは、熟成が進むにつ
れてチーズ同士の結着が増加した。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、製造工程中や、熟成、
保存中にチーズ同士が結着することがなく、しかも加熱
溶融時に優れた糸引き性を有する粒状チーズを得ること
ができる。本発明の粒状チーズは、チーズ同士が結着し
ないので、製造工程中におけるエアーによる自動搬送、
自動計量、自動包装等の機械適性が優れている。また、
熟成中や保存中にチーズがブロッキングすることもない
ので、調理等において使用する際に、手でほぐす等の手
間も不要である。また、本発明の粒状チーズは、優れた
糸引き性を有するので、ピザやグラタン等のトッピング
材として、あるいはチーズの糸引き性を楽しむ調理等に
おいて、幅広く利用することができる。さらに、本発明
の製造方法によれば、シュレッダーを用いなくても、穏
やかに攪拌することだけで容易に粒状チーズを得ること
ができるので、製造コストの面でも好ましい。
フロントページの続き (72)発明者 近藤 浩 埼玉県川越市新宿町5−11−3 (72)発明者 柴内 好人 埼玉県狭山市狭山台1−13 5−505 (72)発明者 西谷 紹明 埼玉県狭山市北入曽699−3 メゾンブレ ミールB−102

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳に乳酸菌及び凝乳酵素を添加し、チー
    ズカードを生成させた後、得られたチーズカードを加温
    し、次いで、凍結、解凍した後、攪拌してチーズカード
    粒を得、次いで、得られたチーズカード粒を熟成させる
    ことを特徴とする粒状チーズの製造方法。
  2. 【請求項2】 チーズカードの加温温度が、40℃以上
    60℃未満である請求項1記載の粒状チーズの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 乳に乳酸菌及び凝乳酵素を添加し、チー
    ズカードを生成させた後、得られたチーズカードを40
    ℃以上60℃未満に加温し、次いで、凍結、解凍した
    後、攪拌してチーズカード粒を得、次いで、得られたチ
    ーズカード粒を熟成させることにより得られる粒状チー
    ズ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR980000075A (ko) * 1996-06-21 1998-03-30 데보라 엘. 갤빈 블록 형성없는 입상 천연 치즈의 제조 방법
WO2014157646A1 (ja) * 2013-03-29 2014-10-02 森永乳業株式会社 プロセスチーズの製造方法

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