【発明の詳細な説明】
表面親水性を有するアニオン性ラテックス組成物
分野
本発明は表面親水性(surface hydrophilicity)を有するラテックス組成物に関
する。特に本発明は表面親水性を有するアニオン性ラテックス組成物に関する。
背景
親水性表面を有する材料は、水及び他の極性液体で容易に濡れる。これはこれ
らの極性液体の存在下で材料が「膨潤」するバルク親水性とは対照的である。表
面親水性のみを有しバルク親水性ではない材料は膨潤せず、「湿潤強度(wet str
ength)」が求められる場合に極めて望ましい。バルク親水性である材料は水で膨
潤した場合に湿潤強度が低下することが多い。
多くの製品用途には親水性表面がある程度の永続性を有することが必要である
。基本的には、これは空気に曝されると共に水又は他の極性液体に繰り返し曝さ
れた後に湿潤性を維持する表面の能力を意味する。親水性表面の永続性は、ポリ
エチレン又はポリプロピレンフィルムの場合のような下敷きバルク材料が疎水性
である場合には特に困難になる。これらの場合には、親水性表面層は下敷きバル
ク材料に親和性で付着性であることが必要である。そうでないと、親水性表面は
水又は他の極性液体に相対的に僅か曝した後に剥がれることがある。更に、下敷
きバルク材料が軟質で弾性体状である場合には、表面層が「飲みこまれ」て表面
親水性を失うことになる。
表面親水性は、屈曲性、弾性及び強度のような他の特性と組合されるのが好ま
しい。このような組合せた特性を有する望ましい材料のカテゴリーには布状の不
織布及び紙製品の製造に用いられるバインダー系がある。各種のラテックス組成
物が従来からバインダーとして用いられており、アクリル(メタクリル)ラテッ
クス及びスチレン−ブタジエンラテックスが含まれる。これらのラテックスは典
型的にはそれぞれの単量体の乳化重合で形成され、ラテックス粒子を安定化させ
、また不織製品に一定量の親水性を付与するために界面活性剤を含む場合がある
。これらの従来のラテックスバインダー系は非湿潤性(疎水性)であるか又は水
に繰り返し曝した後湿潤性を失う傾向がある。更に、これらのバインダーの機械
的
強度はpHの変化に応じて大きく変化する。
布状紙製品には3つの重要な物理的特性がある。これらは、柔軟性、吸収性、
特に水性流体の吸収性、強度、特に湿潤時の強度である。柔軟性は、消費者が製
品を保持し、皮膚に沿って擦り、又は手でもみくしゃにするときに感知する触感
である。この柔軟性は紙製品の硬さに関連し得る。吸収性は、多量の液体特に水
性流体又は分散体を吸収する製品の能力の尺度である。強度は、物理的一体性を
保持し、かつ使用条件下、特に湿潤時の引き裂き、破断、及び寸断に抵抗する製
品の能力である。研究及び開発の努力はこれらの特性のそれぞれを他の特性に悪
影響を与えずに改良すること、及びこれらの2又は3の特性を同時に改良するこ
とに向けられてきた。
水溶性カチオン樹脂は、製紙における湿潤強度添加剤として用いられることが
多い。このような湿潤強度添加剤には、KYMENETMの商品名で販売されるポリアミ
ド−エピクロルヒドリン樹脂がある。例えば1972年10月24日発行のケイムの米国
特許第3,700,623号及び1973年11月13日発行のケイムの米国特許第3,772,076号参
照。他の群の水溶性カチオン性湿潤強度樹脂にはPAREZTMの商品名で販売される
ポリアクリルアミドがある。例えば1971年1月19日発行のコスシア等の米国特許
第3,556,932号及び1971年1月19日発行のウイリアムスの米国特許第3,556,933号
参照。
製紙に用いられるセルロース繊維は負に荷電している。水溶性湿潤強度樹脂は
カチオン性(正に荷電)なので、水性パルプスラリーに直接添加されると沈殿し
良く保持される。このような「湿潤目的(wet-end)添加」は製紙に極めて望まし
い。その後の製紙において、これらの樹脂は交叉結合し場合によって水に不溶性
となる。これが起こると湿潤強度樹脂は「のり(glue)」として作用し紙の繊維を
一緒に保持する。これは望ましい湿潤強度特性をもたらす。
残念ながら、これらの樹脂で作った紙製品は一般に硬く紙状の感触を有する。
紙製品に大きな柔軟性を付与するには、バインダー系として弾性体状ラテックス
を用いることができる。然し、これらの弾性体状ラテックスは特性が非イオン性
であるか、その他はアニオン性共単量体又は界面活性剤を含むために単に部分的
にアニオン性である。この非イオン性弾性体状ラテックスは通常の製紙工程で
「湿潤目的添加剤」として用いることができない。その代わり、これらの非イオ
ン性ラテックスは、1981年8月19日発行のグラベス等の欧州特許出願第33,988号
に記載の方法によるような、後におかれた紙仕上げに含浸又はパターン印刷され
る。更に、これらの樹脂で提供される以上の付加的湿潤強度が望まれることが多
い。
これらのことに基づいて、湿潤強度特性を提供し及び/又は基体に一層の柔軟
性を付与するカチオン性に荷電した基体に結合できる材料の必要性がある。
表面親水性を有するアニオン性ラテックス組成物を提供することが本発明の目
的である。
また、このような表面親水性アニオン性ラテックスを包含する紙シートを提供
することも本発明の目的である。
また、このような表面親水性アニオン性ラテックスを包含する吸収体構造(例
えばおむつ、生理用パッド等)を提供することも本発明の目的である。
また、表面親水性を有するアニオン性ラテックスを製造する方法を提供するこ
とも本発明の目的である。
本発明のこれらの目的及び他の目的は、本明細書及び請求の範囲の記載を読む
ことによって当業者には明白になるであろう。
概要
本発明は、水、水混和性溶媒、又はその混合物から選ばれる水性相、及び水性
相に分散した約5〜約50重量%のラテックス粒子を包含するラテックス組成物
を指向する。ラテックス粒子は、弾性体状疎水性コア及びコアに付着した外側親
水性シェルを包含する。コアは、1種以上の弾性体形成単量体単位及び1種以上
のカルボキシレート含有単量体単位を包含する。シェルは、L−X部分を包含し
、ここでLは1以上の不飽和結合を含有する疎水性ハイドロカルビル基を包含し
、Xは親水性基である。
本発明は、このラテックス組成物の製造方法をも指向する。
本発明は、このラテックス組成物を包含する紙シートをも指向する。
本発明は、このラテックス組成物を包含する吸収体構造をも指向する。
この組成物は、湿潤強度特性を提供し及び/又は基体に一層の柔軟性を付与す
るカチオン性に荷電した基体に結合できる材料の必要性を満足させる。
具体的な説明
次に示すのは、ここで用いる用語の定義のリストである。
「アクリレート」は、CH2=CHC(O)O−R1を意味し、ここでR1はア
ルキルであり、好ましくはR1はC1−C12アルキルであり、特に好ましくはR1
はメチル、エチル、t-ブチル又はn-ブチルである。
「アルケニル」は、炭素含有鎖を意味し、好ましくは約C1〜約C28、更に好
ましくは約C12〜約C20、更に一層好ましくは約C15〜約C18で、これは直鎖、
分岐又は環状であることができ、好ましくは直鎖又は分岐、更に好ましくは直鎖
であり、置換(モノ−又はポリ−)又は非置換、好ましくは非置換であり、かつ
モノ不飽和(即ち鎖中に1個の二重又は三重結合)、又はポリ不飽和(即ち鎖中
に2個以上の二重結合、鎖中に2個以上の三重結合又は鎖中に1個以上の二重結
合及び1個以上の三重結合)である。
「アルコキシ」はR2−O−を意味し、ここでR2はアルキル又はアルケニルで
ある。
「アルキル」は、約C1〜約C28の炭素含有鎖を意味し、更に好ましくは約C1 2
〜約C20、更に一層好ましくは約C15〜約C18であり、これは直鎖、分岐又は
環状であることができ、好ましくは直鎖又は分岐、更に好ましくは直鎖であり、
置換(モノ−又はポリ−)又は非置換、好ましくは非置換であり、かつ飽和であ
る。
「カルボキシレート含有単量体単位」は、式−COOH又は−COO-Mを有
するカルボキシレート部分を含有する単量体単位を意味し、ここでMは正の電荷
を有するカウンターイオンである。好ましくは、MはNa+、K+、又はCa++で
ある。Mが多価である(例えばCa++)ときには、化学量論的調整が必要である
。
「包含する」は、目的の結果(end result)に影響しない他の工程及び他の成分
を加えることができることを意味する。この用語は、用語「から本質的になる」
及び「からなる」を包括する。
「弾性体状(elastmeric)」は伸展性及び弾性回復に関してゴム状の特性を有す
る材料に関する。「弾性体(elastmer)」を定義したCONDENSED CHEMICAL DICTION
ARY(11版、1987)453〜454頁参照。
「親水性」は実質的に水で濡れる材料に関する。
「疎水性」は実質的に水で濡れない材料に関する。
「濡れた/湿潤性(wetted/wettability)」は液体(典型的には水)を接触させ
ると濡らした液体が表面からもう弾かれないように拡がる固体表面の能力に関す
る。
「不飽和脂肪酸」は、R3−COOHを意味し、ここでR3はアルケニルである
。
全てのパーセントは、特に断らない限り、全組成物の重量基準である。
全ての割合は、特に断らない限り、重量割合である。
本発明を、その製品及び方法の観点から以下で詳細に説明する。
アニオン性ラテックス組成物
本発明のアニオン性ラテックス組成物は、水、水混和性溶媒、又はその混合物
から選ばれる水性相、及び水性相に分散した約5〜約50重量%のラテックス粒
子を包含する。ラテックス粒子は、コロイド状に安定の懸濁体が形成されるよう
に水性相に分散している。
水に加えて、水性相は少量の水混和性溶媒を含むことができる。適当な水混和
性溶媒には、特に限定するものではないが、メチルアルコール、エチルアルコー
ル及びイソプロピルアルコールのようなC1−C8アルコール、アセトン及びメチ
ルエチルケトンのようなケトン、及び酢酸エチルのような他の水混和性溶媒があ
る。
ラテックス粒子の有効量が水性相に分散する。「ラテックス粒子の有効量」は
ラテックス組成物の特定の用途、形成される態様及びその他の因子による。ラテ
ックス粒子の高い固体含量を有するラテックス組成物が好ましい。ラテックス組
成物は固体基準で約50重量%までのラテックス粒子を包含することが好ましく
、約10%〜約25%が特に好ましい。
ラテックス粒子は弾性体状疎水性コア及びコアと一体となった外側親水性シェ
ルを包含する。シェルは物理的付着又は化学的付着によってコアと一体となり得
る。永続性の理由で、シェルはコアに化学的に付着することが好ましい。化学的
付着はシェルとコアの共有結合を介してもたらされる。
弾性体状疎水性コアは重量基準でラテックス粒子の優位成分である。弾性体状
コアは、1種以上の弾性体形成単量体(即ち、極めて屈曲性の重合体を形成する
ことができる単量体、典型的には他の共単量体と組合せる)から形成され堅さ、
強度、上昇温度での耐流動性等のような特性を付与する重合体に基づくものであ
る。弾性体状コアを形成する重合体は通常約35℃以下のガラス転移温度(Tg
)値を有する。弾性体状コアの好ましい重合体は約−10℃以下のTg値を有す
ることが好ましい。弾性体形成単量体単位は、アクリル酸エチル、メタクリル酸
ラウリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n-ブチル、アク
リル酸t-ブチル、1,3-ブタジエン、エチレン、イソプレン、プロピレン、スチレ
ン、t-ブチルスチレン、酢酸ビニル、又はこれらの混合物から誘導されることが
好ましい。
重合体は、更に1種以上のカルボキシレート含有単量体単位を包含する。カル
ボキシレート含有単量体単位は、アクリル酸、メタクリル酸グリシジル、イタコ
ン酸、メタクリル酸、不飽和脂肪酸、ビニル安息香酸、又はこれらの混合物から
誘導されることが好ましい。
カルボキシレート部分の役割は充分な負の電荷密度を提供して正に荷電した表
面、例えばカチオン性ポリ電解質で処理したセルロースにラテックス粒子を沈着
させ保持することである。例えば、製紙工程において、紙繊維で保持されないラ
テックス粒子は処理水に集積して製紙機械を汚染することがある。従って、繊維
に沈着し保持されるラテックスの量を最大にすることが望ましい。本発明のラテ
ックス組成物のアニオン電荷密度は充分に大きいので繊維上にラテックス粒子の
約80%〜約90%の程度に沈着させ保持する。
重合体は約100部の弾性体形成単量体単位及び約1〜約30部のカルボキシ
レート含有単量体単位、更に好ましくは約2〜約10部のカルボキシレート含有
単量体単位を包含することが好ましい。
好ましい態様においては、コアはスチレン(又はスチレン及びジビニルベンゼ
ンの混合物)、ブタジエン(又はイソプレン)及びアクリル酸(又はメタクリル
酸)を、好ましくはそれぞれ40:60:2の割合で包含する。
親水性表面、即ちシェルは、ラテックス粒子の主要機能成分である。ラテック
ス粒子の親水性シェルは充分の親水性を提供して水性相においてラテックス粒子
をコロイド的に安定化し、それによって凝集を防ぐ。更に、ラテックスの親水性
特性は、そうでなければ疎水性の表面に水湿潤性を付与するために用いることが
できる。
ラテックス粒子は約100部の弾性体形成単量体単位及び約1〜約50部のシ
ェル、更に好ましくは約2〜約10部のシェル、更に一層好ましくは約4〜約5
0部のシェルを包含することが好ましい。
シェルはL−X部分を包含し、ここでXは非イオン性親水性基であり、疎水性
結合基であるLと一体化する。L−Xは表面活性かつ乳化特性を有し「ジブロッ
ク(diblock)」と呼ばれる。
例示すると、限定するものではないが、尾基(L)は1以上の二重結合を有す
る不飽和ハイドロカルビル基であり得る。典型的には、この不飽和ハイドロカル
ビル基は約10〜約20炭素原子を有し、例えばエレオステアリン酸、リノール
酸、リノレン酸、オレイン酸、パリナリン酸等のような物質から誘導できるハイ
ドロカルビル基が含まれる。他の不飽和L基には、ポリブタジエン混合物、ポリ
イソプレン混合物等を含む、残留二重結合を有するオリゴマー及び重合体物質が
含まれる。オレイル基は、ここで用いるジブロック物質の好ましいL基である。
親水性頭基(X)は、コロイド性安定性、又はラテックス粒子の沈着及び保持
特性を実質的に妨害しない任意の適合性化学的部分であり得る。例えば、X基は
、アルコキシ、アミデイト、アミド、カルボキシレート、エトキシレート、ヒド
ロキシ、フォスフェイト、サルフェイト等を含み得る。更に好ましくは、X基は
ヒドロキシ又はエトキシレート、一層好ましくはエトキシレートであり、更に好
ましくはポリオキシアルキレン親水性基、更に一層好ましくは、式(OCH2−
CH2)n−OHのポリオキシエチレン基であり、ここでnは約5〜約50、好ま
しくは約10〜約20の整数である。
アニオン性ラテックス組成物の製造方法
本発明のアニオン性ラテックス組成物は、乳化重合で形成し得る。乳化重合で
は、上述のL−Xタイプの非イオン性ジブロック乳化剤を水に分散させる。次に
、水溶性フリーラジカル開始剤を添加する。場合によって、水溶性連鎖移動剤も
添加して乳化重合中に形成されるラテックス粒子の分子量を制御できる。弾性体
単量体及びカルボキシレート単量体、プラス任意の共単量体を含む重合性成分を
添加した後、混合物を乳化重合に適した温度に加熱する。
重合中に、ジブロック乳化剤は水性相に分散した重合性成分の単量体滴を安定
化し、分散した滴から単量体で膨潤するミセルを形成する。理論に拘束されるこ
とを意図するものではないが、フリーラジカル開始剤は単量体膨潤ミセル中に拡
散し単量体の重合を開始してラテックス粒子を形成するように思われる。ミセル
表面のジブロック乳化剤は付加的単量体を溶媒和し形成するラテックス粒子を安
定化する。最後には、ジブロック乳化剤は粒子の弾性体状コアにグラフト又は埋
め込まれて非イオン性親水性シェルを形成する。
従って、本発明の一の態様は、(A)(a)水、(b)約5%〜約50%の重
合性成分の分散体、(c)有効量の水溶性フリーラジカル重合開始剤、及び(d
)有効量の両親媒性ジブロック乳化剤L−Xを含む混合物を準備する工程、及び
(B)この混合物を重合性成分の乳化重合を引き起こすに充分の温度に加熱する
工程を包含する、ラテックス組成物製造方法に関する。場合によって、混合物は
更に有効量の水溶性連鎖移動剤を包含することができる。
重合性成分は1種以上の弾性体形成単量体及び1種以上のカルボキシレート含
有単量体を包含する。
弾性体形成単量体は水不溶性であり少なくとも1個の二重結合を包含する弾性
体単量体であることが好ましい。好ましい弾性体形成単量体は、アクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル
酸n-ブチル、アクリル酸t-ブチル、1,3-ブタジエン、エチレン、イソプレン、プ
ロピレン、スチレン、t-ブチルスチレン、酢酸ビニル、又はそれらの混合物から
選ばれる。
カルボキシレート含有単量体は、アクリル酸、メタクリル酸グリシジル、イタ
コン酸、メタクリル酸、不飽和脂肪酸、ビニル安息香酸、又はそれらの混合物か
ら選ばれることが好ましい。
混合物は約5%〜約50%の重合性成分を包含することが好ましく、約10%
〜約25%であることが更に好ましい。
重合性成分は、約100部の弾性体形成単量体及び約1〜約30部のカルボキ
シレート含有単量体を包含することが好ましく、約2〜約10部のカルボキシレ
ート含有単量体が更に好ましい。
好ましい態様では、重合性成分は、スチレン(又はスチレン及びジビニルベン
ゼンの混合物)、ブタジエン(又はイソプレン)及びアクリル酸(又はメタクリ
ル酸)を、好ましくはそれぞれ40:60:2の割合で包含する。
「有効量の水溶性フリーラジカル重合開始剤」は、使用する重合性成分のタイ
プを含む各種の因子に左右される。混合物は、約100部の弾性体形成単量体及
び約0.5〜約10部のフリーラジカル重合開始剤を包含することが好ましく、
約1〜約2部のフリーラジカル重合開始剤が更に好ましい。好ましい開始剤には
、限定されるものではないが、過硫酸カリウムが含まれる。
「有効量の水溶性連鎖移動剤」は、生成重合体の分子量の制御の所望の水準に
左右される。混合物は、約100部の弾性体形成単量体及び約0.5〜約10部
の水溶性連鎖移動剤を包含することが好ましく、約1〜約2部の水溶性連鎖移動
剤が更に好ましい。好ましい連鎖移動剤には、限定されるものではないが、ドデ
シルメルカプタンが含まれる。
「有効量の非イオン性ジブロック乳化剤」は、使用する特定の乳化剤、所望の
ラテックス組成物のタイプ及びその他の因子に左右される。混合物は、約100
部の弾性体形成単量体及び約1〜約50部の両親媒性ジブロック乳化剤を包含す
ることが好ましく、約2〜約10部の両親媒性ジブロック乳化剤が更に好ましく
、約4〜約5部の両親媒性ジブロック乳化剤が更に一層好ましい。
どのような両親媒性ジブロック乳化剤を用いるかを定める2つの重要な因子は
、(1)水性相における重合性成分の単量体滴を安定化する乳化剤の能力及び(2)形
成ラテックス粒子に付加、グラフト又はその他の強固な付着する乳化剤の能力で
ある。これらの2つの主要基準が満たされる限り、ジブロック乳化剤の選択は本
質的にはラテックス組成物にどのような特性が望まれるかの問題である。ジブロ
ック乳化剤は、基本的には構造:L−X(ここでLは疎水性ブロックであり、X
は疎水性ブロックと一体化した親水性ブロックである)を有する。
例示すると、限定するためのものではないが、尾基(L)は1個以上の二重結
合を有する不飽和ハイドロカルビル基である。典型的には、この不飽和ハイドロ
カルビル基は約10〜約22炭素原子を有し、例えば、エレオステアリン酸、リ
ノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パリナリン酸等のような物質から誘導でき
るハイドロカルビル基が含まれる。他の不飽和L基には、ポリブタジエン混合物
、ポリイソプレン混合物等を含む、残留二重結合を有するオリゴマー及び重合体
物質が含まれる。オレイル基は、ここで用いるジブロック物質の好ましいL基で
ある。
ジブロック物質の親水性頭基(X)は、アルコキシ、アミデイト、アミド、カ
ルボキシレート、ヒドロキシ、フォスフェイト、サルフェイト等のような基を含
む任意の所望の親水性基であり得る。更に好ましくは、X基はヒドロキシ又はエ
トキシレート、一層好ましくはエトキシレートであり、更に好ましくはポリオキ
シアルキレン親水性基、更に一層好ましくは、式(OCH2−CH2)n−OHの
ポリオキシアルキレン基であり、ここでnは約5〜約50、好ましくは約10〜
約20の整数である。
乳化剤分野の当業者には、ここに用いる好ましいジブロック物質は良く知られ
たハイドロカルビル尾基及びエトキシル化頭基を有する既知のエトキシル化アル
コール非イオン表面活性剤(例えばVOLPO-20TM、Croda Inc.,Mill Hall,PA)の
部類に属することが容易に分かるであろう。但し、尾基はこの基が重合方法に関
与することを可能にして物質をラテックス粒子に結合させる1以上の不飽和の点
を有することを条件とする。
紙シート
本発明は更に紙タイプのシートに関する。各種の製紙方法が、特許その他の文
献に詳細に記載されている。本発明はこのような紙シートの特定のタイプ、形状
又は様式に関するものと理解すべきではなく、むしろ本発明は各種のタイプの紙
製品に用いられる湿潤強度向上剤の特定の選択に関するものである。
特に、本発明は、複数のセルロース繊維及びここに記載した表面親水性アニオ
ン性ラテックスを包含する紙シートに関する。紙シートは約1%〜約30%のラ
テックスを包含することが好ましい。
好ましい態様では、紙シートは追加的に吸収性ゲル化物質を包含する。
吸収性構造体
本発明は、更に幼児おむつ、成人失禁不リーフ及びパッド、生理用ナプキン、
パンティライナー等のような吸収性構造体に関する。このような構造体は、特許
その他の文献に詳細に記載されている。広範囲のこのような製品が市場で入手で
きる。本発明は特定のタイプ、形状又は様式のこのような製品の製造に関するも
のと理解すべきではなく、むしろ本発明はこのような吸収性構造物の製造に用い
られる湿潤強度向上剤の特定の選択に関するものである。
特に、本発明は、トップシート、バックシート、及びトップシートとバックシ
ートとの間に挿入された吸収性コアを包含し、このバックシートが複数のセルロ
ース繊維及びここに記載した表面親水性アニオン性ラテックスを包含する紙シー
ト等である吸収性構造物に関する。
好ましい態様では吸収性コアは吸収性ゲル化物資を包含する。
他の好ましい態様では吸収性コアは酸化セルロースを包含する。
例
次に例を挙げて、本発明の範囲内の好ましい態様を更に説明し示す。例は単に
説明のために挙げるものであって、その範囲及び精神を逸脱することなく多くの
変形が可能であるから、本発明を限定するためのものと解するべきではない。
例1
この例は、スチレン、ブタジエン及びアクリル酸をベースとする表面親水性ア
ニオン性ラテックスの製造を示す。
試薬 量
VOLPO-20TM 0.322g
過硫酸カリウム 0.072g
アクリル酸 0.14g
スチレン 2.86g
1,3-ブタジエン 4.29g
懸濁媒体として蒸留水 50mL
水反応媒体を使用前に30分間アルゴンでスパージする。磁気撹拌棒を備えた
250mLガラス反応瓶を窒素で5分間フラッシュする。VOLPO-20TM(両親媒性ジ
ブロック乳化剤)、過硫酸カリウム(フリーラジカル重合開始剤)及び蒸留水を
、ゴムガスケット及び2孔瓶キャップでシールした反応瓶にいれる。混合物を3
0分間アルゴンでスパージする。アクリル酸(カルボキシレート含有単量体)を
注入器を用いて添加し、スチレン(弾性体形成単量体)を注入器を用いて添加す
る。反応瓶を氷浴に入れる。1,3-ブタジエン(弾性体形成単量体)をドライアイ
スで凝縮させる。両端注入器及びアルゴン圧力を用いて、1,3-ブタジエンを反応
容器に添加する。ゴム隔膜を瓶キャップに適切に縛り付け、緩やかに動かしなが
ら、反応瓶を油浴中に60℃で40時間おく。この時間の終りに、反応生成物を
取り出し、微細ワイヤふるいを通して漉して固体含量が13.5%の標記ラテッ
クスの懸濁体を得る。
例2
この例は、スチレン、ブタジエン及びアクリル酸をベースとする表面親水性ア
ニオン性ラテックスの製造を示す。この場合には、アクリル酸を0.358g用
いる他は例1の反応を同一の条件で繰り返す。反応性生物は12.8%アニオン
性ラテックス懸濁体である。
例3
この例は、スチレン、ブタジエン及びメタクリル酸をベースとする表面親水性
アニオン性ラテックスの製造を示す。例1の反応を同一の条件で繰り返すが、ア
クリル酸の代りにメタクリル酸(0.14g)を用い、0.072gのドデシル
メルカプタン(水溶性連鎖移動剤)を加えて最終製品の分子量の上限を制御する
。反応は60℃で26時間進行させる。反応性生物は11%アニオン性ラテック
ス懸濁体である。
例4
この例は、スチレン、ブタジエン及びメタクリル酸グリシジルをベースとする
表面親水性アニオン性ラテックスの製造を示す。例1の反応を同一の条件で繰り
返すが、アクリル酸の代りにメタクリル酸グリシジル(0.14g)を用いる。
反応性生物は12%アニオン性ラテックス懸濁体である。
例5
この例は、スチレン、イソプレン、エチレン及びアクリル酸をベースとする表
面親水性アニオン性ラテックスの製造を示す。例1の反応を同一の条件で繰り返
すが、ブタジエンの代りに弾性体形成単量体としてスチレンに加えてイソプレン
及びエチレンを用いる。反応性生物は11%アニオン性ラテックス懸濁体である
。
例6
この例は、スチレン、アクリル酸及び1,3-ブタジエンをベースとする表面親水
性アニオン性ラテックスの製造を示す。ガラスライニングした3ガロンステンレ
ススチール反応器に8Lの蒸留水及び40gのVOLPO-20TMを入れて溶液を形成す
る。この溶液を一夜アルゴンでスパージする。VOLPO-20TM溶液を含む反応器に次
の成分を反応器の注入点から添加する。571gのスチレン、22.9gの過硫
酸カリウム、22.9gのアクリル酸、及び571gの1,3-ブタジエン。次いで
反応器をシールし、反応器を囲むインラインスチームコイル及び水冷ジャケット
によって反応器温度を60℃に調節する。反応混合物を341回転/分の速度で
回転する混合羽根で23時間撹拌して重合反応を完了する。この時間の終りに、
反応生成物を取り出し、微細ワイヤふるいを通して漉して固体含量が11.4%
の標記ラテックスの懸濁体を得る。
例7
この例は、表面親水性アニオン性ラテックスを包含するハンドシートの製造方
法を示す。未精製ノーザンソフトウッドクラフト(NSK)パルプ(2.65g(乾
燥重量2.50g)、P&Gセルロース、メンフィス、テネシイ)を500mLの
水道水に周囲pH(約7.5)で分散する。次いでKYMENETM(KYMENE557、ハ
ーキュレス社、ウイルミントン、デラウエア)の13%水溶液の0.2gmでパル
プを処理する。例1のアニオン性ラテックス固体の5.0%をパルプスラリーに
添加し30分間撹拌する。標準 Deckle Box を用いて、周囲pH(約7.5)の
水道水を使用して生成パルプスラリーからハンドシートを形成し、110℃〜1
15℃でドラムドライヤー上で乾燥する。生成するハンドシートは優れた湿潤強
度特性及び快適な柔軟感触を有する。
例8
この例は、連続製紙法における添加剤としての表面親水性アニオン性ラテック
スの使用を示す。約220kg(乾燥重量)の精製NSKパルプを約2.5%の濃
度(consistency)で水に分散させ、撹拌保持タンクに保存する。約17kgのKYMEN
ETM溶液(13%)をパルプスラリーに加える。約400リットルの例1に従っ
て調製したアニオン性ラテックスをKYMENETM処理パルプに加えてバインダーの湿
潤目的を達成する。次にパイロット規模の(ヘッドボックス、形成ワイヤ及び連
続乾燥機のような通常の製紙法器具を備えた)製紙機に約800L/分の速度で
供給する。製紙機は200m/分の生産速度で操業する。最終紙製品のラテック
ス含量はX線蛍光強度で測定できる。この方法で測定される試料の推測ラテック
ス付加の水準は11〜12%のオーダーである。連続パイロット製紙機で製造さ
れる最終紙製品の湿潤強度は、試料を水に浸漬した後に紙製品の1インチ幅片を
裂くのに必要な引張り強度を測定して定めることができる。
例9
この例は、下記の一定の吸収性構造及び製紙例に用いるための超吸収性繊維の
製造を示す。
原料
アクリル酸(Polysciences Inc.,Warrington,Pa.)をビグリュウ(Vigreux)カ
ラムを通して真空蒸留し、次の作業に好ましくは新鮮なままで、例えば蒸留の1
日以内に用いる。イタコン酸(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,Wis.)を99
%+純度で入手し、受領したままで用いる。フリーラジカル開始剤、2,2'-アゾ
ビス(2-アミジノプロパン)ジハイドロクロライド(WAKO V-50,Wako Pure Chem
ical Industries,Osaka,Japan)も受領したままで用いる。特記しない限り、水
は三度蒸留する。重合体を透析する場合、透析膜はスペクトラムメディカルイン
ダストリー社(Spectrum Medical Industries,Inc.,Los Angeles,California)
から入手する。
例に用いられるポリエチレングリコール(これらの好ましいポリオールは一般
に「PEG」として知られ、種々の供給者が適している)は、200、1000
、1500、3350及び6800の名目(nominal)分子量を有する。PEG2
00はポリサイエンス社(Polysciences Inc.,Warrington,Pennsylvania)から
入手する。PEG1000、PEG1500及びPEG6800はサイエンティ
フックポリマープロダクツ社(Scientific polymer Products Inc.,Ontario,Ne
w York)から入手する。PEG3350はシグマケミカル社(Sigma Chemical Co
., St.Louis,Missouri)から入手する。サウザンソフトウッドクラフト(SS
K)パルプ及びNSKパルプはP&Gセルロース(P&G Cellulose,Menphis,Ten
nessee)から入手する。ケミサーモメカニカルパルプはケスネルペーパー社(Ques
nel Paper Co.,Quesnel,B.C.Canada)から入手する。
超吸収性繊維(90モル%アクリレート、10モル%イタコネート)製造に用
いるに適したポリ(アクリレート−コ−イタコネート)の調製
アクリル酸(20.000g、0.27755モル)、イタコン酸(4.01
21g、0.038386モル)、WAKO V-50(0.0837g、0.308
ミリモル)及び塩酸でpH2.0に酸性化した150mLの水を250mLの三つ首
丸底フラスコに加える。首には温度計、ストッパー及びフラスコ内の液体を通し
て気体を泡出し排出することができる気体入口/出口アダプターを備付ける。溶
液を窒素ガスを通して脱気した後、アルゴン雰囲気下におく。溶液を55℃に加
熱し、この温度に15時間保持する。共重合体の粘稠溶液を周囲温度に冷却し、
水に対して一夜透析して(分子量カットオフ3500でスペクトラポール[spect
rapor]3チュービング)未反応単量体を除く。透析溶液を凍結乾燥して、無色固
体として酸形態のポリ(アクリレート−コ−イタコネート)の23.00gを生
じる。
超吸収性繊維の調製
ポリ(アクリレート−コ−イタコネート)共重合体(2.00g)を、撹拌し
65℃〜70℃に加熱しながら20mLの水に滴下して加えて溶解する。この溶液
に、予め5mLの水に溶解したポリエチレングリコール(0.334g、名目分子
量3350)を加える。溶解が完了するまで撹拌を続ける。生成水性媒体を周囲
温度に冷却し、モル水酸化ナトリウムでpHを3.00(ここでは「水性媒体の
pH」と各所で言及する)に調節する。SSKパルプのばらの繊維(2.00g
絶乾重量基準)を加える。生成スラリーを充分に混合し、厚み約3mmで6インチ
直径の時計ガラス上に拡げて薄い層とする。スラリー層を、交叉結合反応を最小
にし又は避けるために選んだ温度である65〜70℃でオーブンで乾燥した後、
130℃の硬化温度に予熱したオーブンに時計ガラスをおいて硬化する。硬化時
間は11.5分である。厚みが約1mmとなった層を周囲温度に冷却する。これは
酸形態の、特に吸収性ではない繊維を生じる。この繊維を次いで再パルプ化する
。実際には、これを蒸留水に浸漬し、小片に裂き、400mLの蒸留水に加えるの
が便利である。更に撹拌(例えば一夜)後、混合物のpHを塩酸で2.0に調節
し、ワリングブレンダーで2工程で混合する。即ち、(1)ブレンダー50%出力
で5.0分間低速で運転し、(2)ブレンダー全出力で1.0分間低速で運転する
。繊維は、依然として酸形態であり、ハンドシート形成ワイヤを備えたブッフナ
ー漏斗内で吸引濾過して回収し、40mLの水で洗浄し、500mLの水に再懸濁す
る。スラリーpHを水中1モル水酸化ナトリウムを用いて8.5に調節する。(
この段階で水酸化ナトリウムの代りに水酸化カルシウム又は水酸化リチウムを用
いると、カルシウム又はリチウム形態の繊維が生じる。)2日間にわたってpH
を定期的に点検し、水酸化ナトリウムで8.5に再調節する。この期間の間に、
繊維はナトリウム塩形態に交換し、これは極めて吸収性である。従って繊維は膨
潤する。充分に膨潤した繊維を吸引濾過で回収し、蒸留水で洗浄する。
例10
この例は、下記の一定の吸収性構造及び製紙例に用いるための超吸収性繊維の
製造を示す。
原料
ポリ(メチル ビニルエーテル−コ−マレエート)共重合体をGAFケミカル
社(GAF Chemicals Corp.,Wayne,N.J.)から取得する。この共重合体の適当な無
水物形態は、それぞれGAFで特定され、数平均分子量、Mnが50,000、
67,000及び80,000を有するGANTREZ AN-149、GANTREZ AN-169及びGA
NTREZ AN-179である。対応する酸形態は水性加水分解で得ることができる。同一
の供給者から市場で直接入手できる適当な酸形態共重合体は、GANTREZ S-97であ
る。これは固体として又は水溶液として購入できる。
例に用いられるポリエチレングリコール(これらの好ましいポリオールは一般
に「PEG」として知られ、種々の供給者が適している)は、200、1000
、1500、3350及び6800の名目分子量を有する。PEG200はポリ
サイエンス社(Polysciences Inc.,Warrington,Pennsylvania)から入手する。
PEG1000、PEG1500及びPEG6800はサイエンティフックポリ
マープロダクツ社(Scientific polymer Products Inc.,Ontario,New York)か
ら入手する。PEG3350はシグマケミカル社(Sigma Chemical Co.,St.Lou
is, Missouri)から入手する。SSKパルプ、NSKパルプ、漂白ハードウッド
アスペンパルプ、漂白ハードウッドサルファイトパルプ、コットンリンター、漂
白ハードウッドユーカリパルプ、溶解SSK(V−60)及びマーセル化溶解S
SK(V−5)は、P&Gセルロース(P&G Cellulose,Memphis,Tennessee)か
ら入手する。ケミサーモメカニカルパルプはケスネルペーパー社(Quesnel Paper
Co.,Quesnel,B.C.Canada)から入手する。
特に断らない限り、アセトンは試薬グレードであり、水は3度蒸留したもので
ある。
超吸収性繊維の調製
GANTREZ S-97(3.35g)を、1モル塩酸でpH2.00に酸性化した水の
30mLに撹拌し65〜70℃に加熱しながら滴下して加えて溶解する。この溶液
にポリエチレングリコール(0.500g、名目分子量3350)を加える。溶
解が完了するまで撹拌を続ける。生成水性媒体を周囲温度に冷却する。この媒体
のpHが1.60(ここでは「水性媒体のpH」と各所で言及する)であること
を測定する。ケミサーモメカニカルパルプのばらの繊維(3.00g)を加える
。生成スラリーを充分に混合し、アルミニウム箔片に拡げて薄い層とする。スラ
リー層を、交叉結合反応を最小にし又は避けるために選んだ温度である65〜7
0℃でオーブンで乾燥する。この層は厚みが約1mmで、箔からはずし、130℃
の硬化温度に予熱したオーブンにおいて硬化する。硬化時間は6.5分である。
この層を周囲温度に冷却する。これは酸形態の、特に吸収性ではない粗繊維を生
じる。この繊維を次いで再パルプ化する。実際には、これを小片に裂き、500
mLの蒸留水に加えるのが便利である。更に撹拌(例えば一時間)後、混合物のp
Hを塩酸で2.0に調節し、低速で1分間ワリングブレンダーで混合する。繊維
は、依然として酸形態であり、ハンドシート形成ワイヤを備えたブッフナー漏斗
内で吸引濾過して回収し、500mLの水で洗浄し、500mLの水に再懸濁する。
スラリーpHを水中1モル水酸化ナトリウムを用いて8.5に調節する。(この
段階で水酸化ナトリウムの代りに水酸化カルシウム又は水酸化リチウムを用いる
と、カルシウム又はリチウム形態の繊維が生じる。)1日にわたってpHを定期
的に点検し、水酸化ナトリウムで8.5に再調節する。この期間の間に、繊維は
ナトリウム塩形態に交換し、これは極めて吸収性である。従って繊維は膨潤する
。充分に膨潤した繊維を吸引濾過で回収し、蒸留水で洗浄する。
例11
この例は、表面親水性アニオン性ラテックスの超吸収性層ハンドシート紙への
混入を示す。250mLの水中に1.06g(1.0g乾燥重量)40重量%未精
製NSKパルプを包含し、pH8.5(0.1N水酸化ナトリウム)に調整した
、2つの別個のスラリーを調製する。各パルプスラリーを0.077gのKYMENETM
溶液(13%)で処理する。例1に従って調製したラテックス(0.652g
)を2つのKYMENETM処理NSK/水スラリーのそれぞれに加え、30分間撹拌す
る。例9の超吸収性繊維(0.5g乾燥重量)をpH8.5(1.0N水酸化ナ
トリウム)で150mL蒸留水にスラリー化する。それぞれ別個のスラリーをpH
8.5で蒸留水中で標準デックルボックス(Deckle Box)に形成し、次の順序で移
送織
物上におく。即ち、トップ層、40%、シート;中間層、超吸収性層;ボトム層
、40%シートである。各積層化シートを真空スリットを通して移送シートに移
送して仕上げ紙ハンドシートを形成する。仕上げハンドシートを高真空に2回通
し、第2の移送シートを仕上げシートの上部におく。生成シートを、乾燥するま
でドラムドライヤー(155℃)に10〜12回通す。
例12
この例は、表面親水性アニオン性ラテックスの混合した仕上げ超吸収性供給ハ
ンドシート紙への混入を示す。2.0g乾燥重量の未精製NSKパルプをpH8
.5(0.1N水酸化ナトリウム)で35.0mL蒸留水に分散させる。ほぼ0.
154gのKYMENETM溶液(13%)をパルプ分散液に加える。例2に従って調製
した3.0%(1.304g)のラテックスをKYMENETM処理NSKパルプ分散液
に加え、30分間撹拌する。別個に、例10に従った20%の吸収性繊維及びp
H8.5(1.0N水酸化ナトリウム)の蒸留水150mLを包含する分散液を調
製する。この上述の方法で調製した2つのスラリーを次いで一緒にし、15分間
撹拌する。pH8.5(1.0N水酸化ナトリウム)の蒸留水で標準デックルボ
ックスにハンドシートを形成する。このハンドシートを、ドラムドライヤー(1
15℃)で10〜12回通過を用いて2つの移送織物の間で乾燥して乾燥状態を
達成する。
例13
この例は表面親水性アニオン性ラテックスを包含する使い捨て赤ん坊おむつの
調製方法を示す。リストした寸法は6〜10キログラムサイズの範囲の子供に用
いることを意図するおむつのためのものである。これらの寸法は、異なるサイズ
の子供のため又は成人失禁ブリーフのために標準プラクティスに従って比例的に
変更できる。
1.バックシート:例8に従って調製した紙シート、トップ及びボトムの幅は
33cm、両側に内側切込みで中心の幅が28.5cm、長さ50.2cm。
2.トップシート:ラクテート/グリコレートコポリエステル繊維を包含する
不織布スクリム、トップ及びボトムの幅は33cm、両側に内側切込みで中心の幅
が28.5cm、長さ50.2cm。
3.吸収性コア:酸化セルロース(16〜24%カルボキシル)、8.4mm厚
み、カレンダー仕上げ、トップ及びボトムの幅は28.6cm、両側に内側切込み
で中心の幅が10.2cm、長さ44.5cm、総計3.5gポリアクリレート吸収
性ゲル材料粒子がセルロースコア材料全体に分散。
4.弾性脚バンド:4個の個別ゴム片(サイド当り2)、幅4.77mm、長さ
370mm、厚み0.178mm(上記寸法は全て弛緩状態である)。
おむつは、バックシート上にトップシートで覆ったコア材料をおき、接着する
ことによる標準方法で調製する。弾性バンド(コアに近いか、及び遠いかにそれ
ぞれ対応して「内部」及び「外部」と称する。)は、約50.2cmに伸長し、コ
アの各長さ側(サイド当り2個)に沿ってトップシート/バックシートの間にお
く。各側に沿った内部バンドは、(弾性バンドの内側端から測定して)コアの最
も狭い幅から約55mmに配置する。これはコアの屈曲端と内部弾性との間の屈曲
性トップシート/バックシート材料を包含するおむつの各側部に沿ったスペース
要素を提供する。内部バンドは、伸長状態で長さに沿って接着する。外部バンド
は内部バンドから約13mmに配置し、伸長状態で長さに沿って接着する。トップ
シート/バックシート集合体は屈曲性であり、接着したバンドは収縮しておむつ
の側部を弾性化する。
例14
この例は表面親水性アニオン性ラテックスを包含する極薄の使い捨ておむつを
示す。おむつは例3のラテックス組成物のシートの15%〜25%で内部表面を
処理することによって実質的に尿不浸透性である紙バックシートを包含する。
例15
この例は、月経期の間に用いるのに適した、表面親水性アニオン性ラテックス
を包含する軽量パンティライナーを示す。パンティライナーは、1.0gの吸収
性ゲル化材料粒子(市販のポリアクリレート、nippon Shokubai)を含むパッド
(表面積117cm2、SSKエアフェルト3.0g)を包含し、パッドは米国特
許第4,463,045号による多孔性形成フィルムトップシートと例8に従って調製さ
れた紙シートとの間に挿入されている。
例16
この例は表面親水性アニオン性ラテックスを包含するパンティライナーを示す
。パンティライナーは、例4の表面親水性アニオン性ラテックス22重量%、例
12に従った吸収性シート、及び不織ポリプロピレン繊維のスクリムを包含する
流体浸透性トップシートを包含する吸収性コアを包含する紙バックシートを包含
する。
例17
この例は、表面親水性アニオン性ラテックスを包含し、吸収性コアから外側に
延びた2個のフラップを有する生理用ナプキンの形態の月経用製品を示す。生理
用ナプキンは、米国特許第4,687,478号(Van Tillburg、1987年8月18日発行)の
設計による吸収性パッド(表面積117cm2、8.5g SSKエアフェルト)を
用いて調製する。バックシートは例6の表面親水性アニオン性ラテックス約20
重量%を包含する紙シート及びポリアセテート繊維の不織スクリムを包含するト
ップシートを包含する。
例18
この例は表面親水性アニオン性ラテックスを包含する生理用ナプキンを示す。
例17の生理用ナプキンを、米国特許第4,687,478号による多孔性非光沢性形成
フィルムでトップシートを置換え、例1の表面親水性アニオン性ラテックスを2
5重量%包含する紙シートを包含するバックシートを用いて変更する。
例19
この例は表面親水性アニオン性ラテックスを包含する極薄の生理用ナプキンを
示す。極薄の生理用ナプキンは、例16の製品に従って調製したが、例11に従
った3重シートを用いて吸収性コアを包含させ、米国特許第4,463,045号に従っ
た形成フィルムを用いてスクリムトップシートを置換える。
上記した全ての文献及び特許出願は、ここに引用してその全体を挿入する。
ここに記載した例及び態様は説明のためのみのものであり、種々の変更及び修
正は当業者に示唆され、本出願の精神及び範囲及び請求の範囲に示す範囲に含ま
れることが理解される。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
D21H 19/20 A61F 13/18 A
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),AL,AM,AT,AU,BB,BG,BR,B
Y,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES
,FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG,
KP,KR,KZ,LK,LR,LT,LU,LV,M
D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL
,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,
TJ,TM,TT,UA,UG,UZ,VN