【発明の詳細な説明】
CMP−N−アセチルノイラミン酸ヒドロキシラーゼをコードする核酸及び修飾
糖タンパク質の産生のためのその使用
序論
シアル酸は、そのすべてが構造的に最も一般的なシアル酸であるN−アセチル
−ノイラミン酸(Neu5Ac)に由来する約30の天然酸性糖類の一群である
(R.Schauer(1985)(1)及びA.Varki(1992a)(2))。ほとんどの場合、そ
れらはグリココンジュゲートのグリカン鎖の末端位置にある。この曝露位置のた
めに、それらは、例えば炎症反応、免疫細胞の成熟、分化工程、ホルモン−、病
原−及び毒素結合の場合、細胞認識に重要な役割を演じる(R.Schauer(1985)(
1)及びA.Varki(1992b)(3))。さらに、例えばエリスロポイエチンのよう
な糖タンパク質ホルモンの生物学的有効性はシアル酸に影響される(N.Imai et
al.,(1990)(4))。
N−グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)は、C5−N−アセチル残基の
付加的ヒドロキシル基によりNeu5Acと区別される。Neu5Gcはシアロ
グリココンジュゲートを有するほとんどの動物に存在し、その量は種類、組織及
び発現に関して特異的である(A.P.Corfield and R.Schauer(1982)(5);G
.Reuter et al.(1988)(6)及びD.Bouhours and J-F.Bouhours(1983)(7)
)。面白いことに、Neu5Gcは健常ヒト及びニワトリ組織には生じない。こ
こではNeu5Gc含有グリココンジュゲートは抗原として作用し、抗体の産生
を誘導し得る。歴史的には、それらはHanganutziu-Deicher 抗原及び抗体と呼ば
れている(H.Deicher(1926)(8))。Hanganutziu-Deicher 抗原は多数のヒ
ト腫瘍組織
で(結腸癌、網膜芽細胞腫、黒色腫及び乳房の癌)、並びにニワトリ腫瘍組織で
検出可能であった(H.Higashi et al.(1985)(9)及びH.Higashi et al.(199
0)(10))。これらの量は非常に少ない(通常シアル酸の総量の1%未満、し
ばしば0.01〜0.1 %の範囲)が、しかしHanganutziu-Deicher 抗体の産生を誘導
し得る(T. Higashihara(1991)(11))。
Neu5Gcの生合成はCMP−Neu5Acヒドロキシラーゼ(シチジンモ
ノホスホ−N−アセチルノイラミン酸ヒドロキシラーゼ)を介してCMPシアル
酸のレベルで起こる。この酵素は分子酸素及びNADHの存在下でCMP−Ne
u5AcのCMP−Neu5Gcへの転化を触媒する(L.Shaw and R.Schauer
(1988)(12))。酸素の還元的活性化のための電子は、シトクロムb5レダク
ターゼ及びシトクロムb5から成る電子伝達鎖を介してヒドロキシラーゼに渡さ
れる(Y.Kozutsumi et al.(1990)(13)及びL.Shaw et al.(1994)(14)
)。
CMP−Neu5Gcの生成は細胞質中で起こる。ゴルジ装置中のCMPシア
ル酸を取り上げて(A.Lepers et al.(1989)(15))、それらをその結果生じ
るグリココンジュゲートに移す(H.H.Higa and J.C.Paulson(1985)(16))
タンパク質は、基質として両CMPシアル酸を等しく受容する。それゆえ、細胞
が産生するグリココンジュゲート中のNeu5AcとNeu5Gcの比は、サイ
トゾル中のそれぞれのCMPシアル酸の比に対応する。後者はCMP−Neu5
Acヒドロキシラーゼの活性に依存する。
CMP−Neu5Acヒドロキシラーゼは今日まで、マウス肝臓及びブタ顎下
腺から単離されて均質にされ、特性化された(T.Kawano et al.(1994)(18)
、P.Schneckenburger et al.(1994)(19)及びW.Schlenzka et al.(1994)(
20))。ブタ顎下腺か
らの酵素の精製は、イオン交換クロマトグラフィー、固定化トリアジン染料を用
いたクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー及びゲル濾過を用
いて実施された(W.Schlenzka et al.(1994)(20))。マウス肝臓からのヒ
ドロキシラーゼは2つの異なる方法で単離された(P.Schneckenburger et al.
(1994)(19))。マウスからのヒドロキシラーゼのタンパク質及びDNA配列
は、日本国特許出願06 113838(T.Kawano )(84)に記載されている。組織
がより良好に入手し易いという事実のために、ブタ顎下腺から、多量の酵素を分
離し得る。組織500 g から約200 μg のヒドロキシラーゼタンパク質が得られる
。
ブタ顎下腺からの及びマウス肝臓からの両CMP−Neu5Acヒドロキシラ
ーゼは、分子量65 kDaの可溶性モノマーである。それらのCMP−Neu5Ac
及びシトクロムb5との触媒的相互作用は、互いに非常によく似ている。これら
の酵素の活性は、鉄含有補欠分子族に依存すると思われる。
ブタ顎下腺からのこの65 kDaタンパク質に対する抗体はCMP−Neu5Ac
ヒドロキシダーゼ活性を阻害し、ウエスターンブロッティングでは、マウス肝臓
からの精製酵素との強交差反応を示す。
組換え体糖タンパク質の産生のためには、哺乳類細胞においてのみタンパク質
の複合グリコシル化が起きるため、哺乳類細胞を必要とする。非ヒト細胞株、特
にハムスター細胞は組換え体グリココンジュゲートの調製に関してかなりの利点
を示す(十分特性化された高生産性)。したがって、治療的適用を意図されたヒ
ト糖タンパク質は、タンパク質のグリコシル化がヒト細胞でのグリコシル化と同
一方法で進行するCHO(チャイニーズハムスター卵巣)で調製される。しかし
ながら、シアリル化における差異は:Neu5Gcはこれらのハムスター細胞の
正常グリコシル化に対応して少量(総シ
アル酸の 3%まで)で挿入される(C.H.Hokke et al.(1990)(17))が、一
方ヒト糖タンパク質は少なくとも検出可能な量では、いかなるNeu5Gcも含
有しない。
治療的適用に用いられるタンパク質は、特に長期治療の場合には、それぞれ対
応する糖タンパク質及びグリココンジュゲート(プロテオグリカン、糖脂質)に
関して、ヒトに生じないエピトープは実質的には含有しない。本発明は、このよ
うな組換え体タンパク質及びそれらの産生方法を提供する。
T.Kawano et al.(1994)(18)は、CMP−Neu5Acヒドロキシラーゼ
がCMP−NeuGcの産生によりNeuGc−含有グリココンジュゲートの発
現を調節する速度制限因子であると記載している。NeuGc−含有グリココン
ジュゲートハヒトに対して抗原性であって、チャイニーズハムスター卵巣細胞に
より産生されるいくつかのヒト組換え体タンパク質はNeuGcを含有すると報
告されている(C.H.Hokke(17))。Kawanoはさらに、NeuGcが組換え体
タンパク質中でNeuAcに置換され得る場合には、そしてこれがCMP−Ne
u5Acヒドロキシル化系に関与する成分を、又はCHO細胞中の成分をコード
する遺伝子を操作することにより達成される場合には、それは理想的であると述
べている。しかしながらKawanoは、何故そしてCMP−NeuAcヒドロキシラ
ーゼ系のどの成分がNeuGcグリコシル化の有効な低減に有用であるのか、又
はこの結果を達成するためにどの遺伝子を操作すべきなのかを記載していない。
本発明の要約
したがって本発明の目的は、ヒドロキシラーゼ活性を欠いた哺乳類細胞の産生
方法、このような細胞、及び組換え体タンパク質の産
生のためのこのような細胞の使用である。ヒドロキシラーゼ欠損哺乳類細胞の有
効な産生のためには、上記の遺伝子のN末端におけるヒドロキシラーゼ遺伝子の
ノックアウトを実施することがひつようである、ということが意外にも判明した
。他の領域でのヒドロキシラーゼの遺伝子の操作、調節配列の操作又はヒドロキ
シラーゼ系のその他の成分(シトクロムb5 及びシトクロムb5 レダクターゼ)
の操作によってはNeuGcグリコシル化の有効な低減は生じなかった。
本発明の一目的は、CMP−Neu5Acヒドロキシラーゼ(本明細書中では
以後「ヒドロキシラーゼ」と呼ぶ)の分子的クローニング及び上記の酵素をコー
ドする核酸分子の単離である。特に好ましいのは、下記の緊縮条件下で配列番号
:1とハイブリダイズする、又は配列番号:1を完全に又は少なくともその98%
を包含する核酸分子である。酵素をコードする核酸分子はこの判定基準を満たす
。再構築実験では、組換え体ヒドロキシラーゼは、in vivo でそして単離細胞及
び細胞株中でのCMP−Neu5AcのCMP−Neu5Gcへの転化を触媒し
得ることが示された。
本発明のさらなる目的は、特にヒドロキシラーゼタンパク質をコードする核酸
分子の検出方法である。好ましくは、DNA及びm孔種が検出される。有用なプ
ローブは、特に適用される試験方法、例えばin situ ハイブリダイゼーション、
コロニーーハイブリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーション又は関連
技術の条件下で結合する核酸分子である。
さらに本発明の目的は、哺乳類細胞で生じるヒドロキシラーゼの核酸分子と相
補的なオリゴヌクレオチド分子である。特異的であるために概して約15〜50個の
塩基を有するこのようなオリゴヌクレオチド分子は、好ましくはDNA又はmR
NAレベルでのヒドロキシ
ラーゼの発現を阻害するのに有用である。このようなオリゴヌクレオチド分子は
、腫瘍治療における、特に転移の治療及び防止におけるアンチセンス剤として有
用である。
本発明のさらに別の目的は、ヒドロキシラーゼ遺伝子を変えることにより、特
に相同的組換えにより宿主細胞におけるヒドロキシラーゼの発現を、ヒドロキシ
ラーゼ活性を有するタンパク質が上記の宿主細胞で産生された組換え体タンパク
質の検出可能なNeu5Gcグリコシル化に十分な量で上記の宿主細胞中で発現
されないような方法で、阻害する核酸分子である。
さらに本発明の目的は、上記の所望の糖タンパク質の発現を保証し、細胞を培
養し、細胞又は細胞上清からタンパク質を回収する、核酸分子で哺乳類細胞がト
ランスフェクトされる哺乳類細胞中での組換え体糖タンパク質の産生方法であっ
て、好ましくはCMP−Neu5Acヒドロキシラーゼをコードする遺伝子が不
活性化される細胞中で検出可能なNeu5Gc糖タンパク質を含有しない哺乳類
細胞(ヒドロキシラーゼ欠損体)がそこで哺乳類細胞として用いられることを特
徴とする方法、並びにこのような細胞及びそのように産生される組換え体糖タン
パク質である。
本発明の詳細な説明
本発明は、ヒドロキシラーゼ活性を有する組換え体タンパク質を包含する。本
タンパク質はそのDNA配列により、及びそれに由来するアミノ酸配列により限
定される(例えば配列番号:2参照)。ヒドロキシラーゼタンパク質は、個体に
よって異なる天然対立変異体で生じ得る。アミノ酸のこのような変異は一般にア
ミノ酸置換である。しかしながら、それらは全体配列へのアミノ酸の欠失、挿入
又は付加であってもよい。本発明のヒドロキシラーゼタンパク質は
、程度及び種類に関して、それが発現される細胞及び細胞型によって、グリコシ
ル化又は非グリコシル化形態である。
「ハイブリダイズ」という用語は、下記のような標準緊縮ハイブリダイゼーシ
ョン条件下でのこのような配列と配列番号:1との結合を意味する。
ヒドロキシラーゼは現在、組換え法により製造し得る。非グリコシル化ヒドロ
キシラーゼは、原核細胞中で組換え的に産生される場合に得られる。本発明によ
り提供される核酸配列の助けを借りて、あらゆる哺乳類細胞及び組織のゲノムに
おける、好ましくはヒドロキシラーゼに対して陽性である細胞又は組織(例えば
肝細胞及び顎下腺)中のヒドロキシラーゼ遺伝子又はその変異体を探して、これ
らを同定し、ヒドロキシラーゼをコードする所望の遺伝子を単離し得る。このよ
うな工程及び適切な標準緊縮ハイブリダイゼーション条件は当業者には公知であ
って、例えばJ.Sambrook(1989)(22)及びB.D.Hames,S.G.Higgins(1985)
(23)により記載されている。この場合、これらの印刷物に記載された標準プ
ロトコールは通常、実験用に用いられる。特に参照されるものは、核酸分子のハ
イブリダイゼーションに関しては第IX節 "Hybridization of radiolabeled pr
obes to immobilized nucleic acid",pp947-962、オリゴヌクレオチドプローブ
のハイブリダイゼーションに関しては第XI節 pp1145-1161,"Condition for h
ybridization of oligonucleotide probes" で、両引用文献の記載内容は参照に
より本明細書中に含まれる。標準緊縮条件下は、例えばHoltke and Kessler(199
0)(24)も記載している。
さらに、本明細書中で用いられるような緊縮条件は、1mol/1 NaCl、1%
SDS及び10%硫酸デキストラン中でのハイブリダイゼーションを指す。この後
に2xSSC中で室温で濾紙を5分間2
回洗浄し、最後に30分間1回洗浄する。この最終洗浄は、0.5xSSC,0.
1 %SDSで、さらに好ましくは0.2SSC,0.1 %SDSで、最も好ましく
は0.1xSSC,0.1 %SDSで、65℃で実施する。他の条件も同程度の緊縮
性をもたらし、「緊縮条件下」という語句に包含され、本明細書に包含される、
と当業者は認識する。
ヒドロキシラーゼに対して陽性デアル細胞及び組織は、ヒドロキシラーゼに特
異的な抗体により同定される。このような特異的抗体は、Schlenzka 等(20)
(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)にしたがって容易に産生
し得る。
組換え体DNA技術の使用は、多数のヒドロキシラーゼ誘導体の産生を可能に
する。このような誘導体は、例えば置換、欠失又は付加により個々の又はいくつ
かのアミノ酸で修飾される。誘導は、例えば特定部位の突然変異誘発により実施
し得る。このような変異は、当業者には容易に実行可能である(J.Sambrook(
22),B.D. Hames(23))。ヒドロキシラーゼ活性の特徴的属性が保存され
ることが保証されねばならないだけである。
したがって、本発明は以下の:
a)外生的DNAの原核又は真核細胞発現の生成物であり;
b)CMP−Neu5AcのCMP−Neu5Gcへの転化を触媒し;
c)配列番号:1に示されるDNA配列によりコードされるか又は配列番号:
1を完全に又はその少なくとも98%を含み;
d)緊縮条件下で配列番号:1とハイブリダイズするDNA配列によりコード
され;あるいは
e)遺伝子暗号の縮重が認められない場合には緊縮条件下でc)〜d)に明示
された配列とハイブリダイズするDNA配列によりコ
ードされる
単離ヒドロキシラーゼを包含する。
配列番号:1のヌクレオチド42〜1307により、又は遺伝子暗号縮重によ
り同一アミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列によりコード
されるタンパク質が好ましい。
本発明はさらに、ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク質の原核又は真核宿
主細胞中での発現を保証し、以下の:
a)配列番号:1に示されるDNA配列、少なくとも98%が配列番号:1と相
同であるDNA配列、又は相補的配列;
b)緊縮条件下で配列番号:1とハイブリダイズする核酸配列;あるいは
c)遺伝子暗号の縮重が認められない場合には緊縮条件下でa)又はb)に記
載された配列の1つとハイブリダイズする核酸配列から成る群から選択される核
酸分子に関する。
好ましくは、核酸分子は、CMP−Neu5AcのCMP−Neu5Gcへの
転化を触媒するタンパク質をコードする。
これらの核酸分子の助けを借りて、再現可能な方法で且つ大量に、本発明のタ
ンパク質を生成し得る。このためには、原核又は真核生物細胞、例えば原核宿主
細胞又は真核宿主細胞中での発現に関して当業者に公知の方法により、核酸分子
は適切な発現ベクター、例えば外生的核酸分子中に一体化される。このような発
現ベクターは、好ましくはコード配列が操作可能的に連結される調節可能性/誘
導可能性プロモーターを含有する。次に、これらの組換え体ベクターを発現のた
めに適切な宿主細胞、例えば原核宿主細胞として大腸菌、あるいは真核宿主細胞
としてビール酵母菌、奇形癌細胞株PA−1 sc9117(Buttner et al.(1
991)(25))、昆虫細胞、例えばSf9、及びバキュロウイルスベクターでト
ランスフェク
トされた全昆虫細胞、CHO又はCOS細胞、並びに形質転換又はトランスフェ
クトされた宿主細胞を、異種遺伝子の発現を可能にする条件下で培養する。タン
パク質の単離は、公知の方法にしたがって、宿主細胞から、又は宿主細胞の培養
上清から実施し得る。このような方法は、例えばAusubel I.and Frederick M.(
1992)(26)により記載されている。さらに、例えば原核細胞中での発現後に
不溶性及び不活性タンパク質が生成された場合には、タンパク質のin vitro再活
性化を要することがある。
ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードし及び/又は配列番号:1
のヌクレオチド42〜1307から成る核酸分子は、好ましくは本発明のタンパ
ク質の組換え体産生に用いられる。
ヒドロキシラーゼを特異的にコードする核酸分子を検出するために用い得る、
本発明により提供されるヒドロキシラーゼの核酸配列を基礎にした試験を提供し
得る。このような試験は、例えば細胞又は細胞溶解物で実施し得る。このような
試験は、核酸診断によって実施し得る。この場合、試験される標本を、ヒドロキ
シラーゼに特異的な配列を有するヒドロキシラーゼをコードする核酸分子(配列
番号:1のヌクレオチド42〜1307)とハイブリダイズするプローブと接触
させる。プローブと標本からの核酸分子との間のハイブリダイゼーションは、発
現されたヒドロキシラーゼの存在を示す。このような方法は当業者には公知であ
って、例えばWO 89/06698(27)、欧州特許出願第0 200 362 号(28)、米
国特許第2,915,082 号(28)、欧州特許出願第0 063 879 号(30)、欧州特
許出願第0 173 251 号(31)、欧州特許出願第0 128 018 号(32)に記載さ
れている。本発明の好ましい実施態様では、ヒドロキシラーゼをコードする標本
の核酸分子を試験前に、例えば十分公知のPCR技法により増幅する。誘導化(
標識化)核酸プローブは、
一般に核酸診断の分野に用いられる。このプローブを標本からの担体結合変性D
NA又はRNAと接触させ、この工程で、核酸分子標本の長さ及びその結果生じ
る予測ハイブリッドの融解温度によって、標識化DNA又はRNAが相同DNA
又はRNAと結合し得る様な方法で、温度、イオン強度、pH値及びその他の緩衝
条件を選択する(ハイブリダイゼーション:J.Mol.Biol.98(1975),503(3
3);Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76(1979),3683(34)参照)。適切な担
体は、ニトロセルロースを基礎にした膜又は担体物質(例えばSchleicher and S
chull,BA 85,Amersham Hybond,C.)、粉末形態の強化又は結合ニトロセルロ
ース、あるいは種々の官能基(例えばニトロ基)で誘導されるナイロン膜(例え
ばSchleicher and Schull,Nytran; NEN,Gene Screen; Amersham Hybond M.; P
all Biodyne )である。
次に、非特異的結合を阻止するために徹底的洗浄及び飽和後、担体を抗体又は
抗体断片とともにインキュベートすることによりハイブリッド化DNA又はRN
Aを検出する。抗体又は抗体断片は、誘導化中に核酸プローブに取り込まれる物
質に向けられる。抗体は順次標識化される。しかしながら、直接標識化DNAを
用いることもできる。抗体とのインキュベーション後、特異的結合抗体抱合体を
検出するだけのために、それを再び洗浄する。次いで、十分公知の方法にしたが
って、抗体又は抗体断片の標識により確定を実行する。
ヒドロキシラーゼ発現の検出は、例えば以下のように実施し得る:
−固定組織スミア及び単離中期染色体を用いた固定全細胞とのin situ ハイブ
リダイゼーション;
−コロニーハイブリダイゼーション(細胞)及びプラークハイブ
リダイゼーション(ファージ及びウイルス);
−ノーザンハイブリダイゼーション(RNA検出);
−血清分析(例えばスロット−ブロット分析による血清中の細胞の細胞型分析
);
−増幅後(例えばPCR技法)。
ヒドロキシラーゼは好ましくはmRNAレベルで調節されるため、ヒドロキシ
ラーゼ発現を検出するためには、検査される細胞のmRNAとのハイブリダイゼ
ーションを実施するのが好ましい。
したがって、本発明は、ヒドロキシラーゼタンパク質をコードする核酸分子の
検出方法であって、検査される標本が配列番号:1のヌクレオチド42〜130
7とハイブリダイズする核酸分子又は特異的オリゴヌクレオチドから成る群から
選択される核酸プローブとインキュベートされ、核酸プローブが標本からの核酸
分子とインキュベートされ、そして標本中の核酸分子と核酸プローブとのハイブ
リダイゼーションが所望によりさらに別の結合相手を介して検出されることを特
徴とする方法を含む。
そうでなければ休眠状態のヒドロキシラーゼ遺伝子の異常活性化が哺乳類腫瘍
で見出されるので、このような検定は腫瘍診断において有益な試験である。
本発明の別の特徴は、哺乳類細胞中出のヒドロキシラーゼの発現を特異的に阻
害するオリゴヌクレオチド分子である。約15〜17ヌクレオチド以上の長さの
オリゴヌクレオチド分子は全ヒトゲノムと比較して独特の配列を有するに違いな
く、したがって特異的であるということが判明している。さらに、短アンチセン
スオリゴヌクレオチドは細胞中に持ち込まれ、阻害を示すことが示された(Zame
cnik et al.(1986)(58))。特に、15〜50塩基、好ましくは15〜25
塩基を有するオリゴヌクレオチド分子が使用に適して
いる。
本発明のさらに別の実施態様は、哺乳類ヒドロキシラーゼの核酸分子に特異的
であるように、配列番号:1の一部又は全部とハイブリダイズするオリゴヌクレ
オチド分子である。
したがって、哺乳類ヒドロキシラーゼ遺伝子の上記配列と相補的で且つそれを
基礎にして設計されるこのようなオリゴヌクレオチド分子が、in vivo での及び
単離哺乳類細胞中のヒドロキシラーゼの発現を阻害するのに有用である。
「哺乳類ヒドロキシラーゼの核酸分子に特異的であるようにハイブリダイズす
る」とは、哺乳類細胞、特にヒト細胞中のこのような核酸分子又はオリゴヌクレ
オチド分子が上記の細胞中のヒドロキシラーゼをコードする核酸分子と結合する
ことを意味する。特異的結合は、これらの核酸分子が注目すべきやり方で、そし
て細胞の他の代謝工程が損傷されないような方法で、ヒドロキシラーゼの発現を
阻害する(50%以上、好ましくは80%以上又は90%以上)場合に認められる。
ヒドロキシラーゼ核酸分子と特異的にハイブリダイズするためのオリゴヌクレ
オチド分子又は核酸分子は、少なくともその本質的部分で、配列番号:1のヌク
レオチド42〜1307のコード領域の配列と相補的である。標準ハイブリダイ
ゼーション条件は、前述のSambrook et al.(1989)(22)に記載されている。
好ましいオリゴヌクレオチド分子は、ヒドロキシラーゼmRNAとの結合によ
りヒドロキシラーゼmRNAのタンパク質への翻訳のような工程で、配列特異的
に、妨害される。使用に適したさらに別のオリゴヌクレオチド分子は、三重螺旋
構造を形成する場合に相互作用し得るゲノムDNAと相補的なオリゴヌクレオチ
ド分子である(M.Cooney et al.(1988)(35)及びDuvall-Valentine et al.(
1992)(36))。
アンチセンスオリゴヌクレオチド分子として、好ましくはオリゴヌクレオチド
誘導体、例えばホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホロチオエート
又は置換オリゴヌクレオチド、例えばアクリジン、挿入結合オリゴヌクレオチド
又はαアノマー(J.J.Toulme and C.Helene(1988)(37))が用いられる。
ホスホロチオエート及びメチルホスホネートが特に好ましい。このようなオリゴ
誘導体は、当業界の形成にしたがって、例えば自動化技術により合成し得る(S
.Beaucage and M.Caruthers(1981)(38);G.Zon and T.Geiser(1991)(3
9);C.A.Stein et al.(1991)(40);P.Miller(1991)(41))。特にホ
スホチオエート及びメチルホスホネートは、それらが血清及び細胞内ヌクレアー
ゼに対して耐性であるために、有用なオリゴヌクレオチドである。ヌクレアーゼ
耐性であるさらに有用なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、P.S.Miller et a
l.(1985)(42)に記載されている。
大体において、細胞に非特異的に取り込まれるために、本発明の裸のアンチセ
ンスオリゴヌクレオチドを用い得る。しかしながら、このようなオリゴヌクレオ
チドは低効率で細胞中で一体化される。したがって、概して、アンチセンスオリ
ゴヌクレオチド又はターゲッティングベクターに関する供給系は、特にin vivo
使用のために好ましい。
in vitroの哺乳類細胞、特にハムスター細胞のトランスフェクションは、当業
界で公知の方法により、例えば電気穿孔法又はマイクロインジェクションにより
達成される。トランスフェクション後、ヒドロキシラーゼ活性を欠いた細胞を、
例えば単一細胞分離により分離し、その後、例えばウエスターンブロティングに
よりこれらの細胞中のヒドロキシラーゼ活性を確定する。
この方法により、本発明は常態で(その初期未修飾状態で)ヒドロキシラーゼ
活性を有する哺乳類細胞の突然変異体を提供するが、上記の突然変異体はヒドロ
キシラーゼ活性を欠いている。常態でヒドロキシラーゼ活性を有する細胞は、ほ
とんどが非ヒト細胞、例えばハムスター、マウス、ラット、ブタ細胞、そしてそ
れから誘導されるハイブリドーマである。
「ヒドロキシラーゼ活性を欠く」という用語は、非突然変異化初期細胞と比較
して、ヒドロキシラーゼ活性が約80%、好ましくは90%以上低減されたことを意
味する。ヒドロキシラーゼ活性の確定は、L.Shaw et al.(1994)(14)に記載
されているような酵素検定により成し遂げるのが適している。このようなヒドロ
キシラーゼ欠損哺乳類細胞は、核酸分子に特異的であるように緊縮条件下で配列
番号:1又は関連RNA種とハイブリダイズする核酸分子で上記の細胞をトラン
スフェクトすることにより産生し、上記のヒドロキシラーゼ活性を欠いた少なく
とも1つの細胞を細胞混合物から単離することにより産生される。
このような細胞は、好ましくは非ヒト細胞株における糖タンパク質の組換え体
産生に用い得るし、それにより細胞産生性糖タンパク質はN−グリコリルノイラ
ミン酸を含有しない。本発明の方法は、糖タンパク質、例えばエリトロポイエチ
ン(EPO)、コロニー刺激因子(GCSF、GMCSF、MegCSF又はト
ロンボポイエチン)の産生に用い得る。本発明はさらに、N−グリコリルノイラ
ミン酸の付着を伴わない、他のヒトタンパク質を実質的に、好ましくは全く含ま
ない組換え体糖タンパク質を包含する。
ヒドロキシラーゼ活性を欠く細胞は、好ましくは相同組換えにより産生される
。このような方法は、例えば米国特許第5,272,071 号(75)、M.R.Capecchi(
1989)(76)、G.Y.Wu et al.(1991)
(77)及びWO 91/13151(78)に記載されている。相同的組換えに関しては
、高ターゲッティング頻度を有するために、できるだけ多くのヒドロキシラーゼ
相同を含有するターゲッティングベクターを用いるのが好ましい。ターゲッティ
ングベクターは、相同的組換え後、もはやイカナルタンパク質も、又は単に無視
できる量のタンパク質が標的化細胞がヒドロキシラーゼ活性を欠くように標的化
細胞中に生成されるように、ヒドロキシラーゼ遺伝子を修飾するものである。
このヒドロキシラーゼ配列又はその一部が選択可能な遺伝子、例えばNeoH
PRTにより中断されるベクターを用いるのが特に好ましい。細胞としては、特
に選択されるハムスター細胞、例えばCHO、特にジヒドロフォレートレダクタ
ーゼ遺伝子(DHFR遺伝子)を欠く細胞がある。このようなDHFR欠損細胞
は、例えば米国特許第4,399,216 号(79)及び第4,634,665 号(80)に記載
されている。
最も好ましくは、ヒドロキシラーゼ遺伝子の配列は、ヒドロキシラーゼ遺伝子
のN末端のノックアウトにより操作される。ヒドロキシラーゼ遺伝子のN末端は
、Rieske鉄−硫黄センター及び/又はCMP−N−アセチルノイラミン酸結合モ
チーフを含有するか、あるいはRieske鉄−硫黄センター及び/又はCMP−N−
アセチルノイラミン酸結合モチーフの上流に位置し得る上記のN末端領域並びに
上流領域を特徴とする(W.Schlenzka et al.(85))。N末端の最初の50
アミノ酸以内でノックアウト操作を実施するのが、特に好ましい。このような操
作は、配列中のヌクレオチドの修飾、欠失又は挿入により実行し得る。しかしな
がら、ヒドロキシラーゼ遺伝子の発現が90%以上、好ましくは98%又はそれ以上
低減されるような操作である必要がある。
したがって、本発明の細胞は、ヒドロキシラーゼ発現が上記のように低減され
るようなヒドロキシラーゼ遺伝子のN末端部分の修飾を含有する。
ターゲッティングベクターは、好ましくは約5〜10 kB のゲノムDNA配列を
含有する。この配列は、遺伝子のイントロン及びエキソンを有し、さらに5’−
又は3’−非コード配列を含有し得る。好ましくは、突然変異化される細胞(例
えばCHO)からのゲノムDNAを用いる。しかしながら、対応する相同性に関
しては、別の種の細胞からのゲノムDNAを用いる。ゲノムDNAのクローニン
グは、配列番号:1由来のDNA標本を用いたλ−DNAのスクリーニングによ
り成し遂げ得る。
さらに、ターゲッティングベクターは好ましくは選択可能な人工マーカーを含
有する。正の選択を行うには、例えばG−418選択を可能にするネオマイシン
ホスホトランスフェラーゼ(neo)が適用される。このマーカーの使用により
、ターゲッティングベクターDNAを含有する細胞を単離し得る。本マーカーは
、例えばコードエキソン中でクローニングされるか又はコードエキソンを取り換
える場合には、突然変異誘発物質としても適用し得る。
負の選択を行うには、例えばAcyclovir 又はGanciclovir を生じる単純ヘルペ
スチミジンキナーゼ(HSV−TK)を用い得る。この負のマーカーは、相同的
組換えの場合に標的細胞のDNAに一体化されないようにターゲッティングベク
ター中に取り込まれる。
2種類のターゲッティングベクターが適用される:即ち置換ベクター又は挿入
ベクターである。それらはその構造が独特で、相同的組換え後、異なる一体化生
成物を生じる(A.L.Joyner(1993)(81))。これら2つのベクターを、図1
に示す。
細胞のヒドロキシラーゼ遺伝子にターゲッティングする方法とし
ては、マイクロインジェクション又は電気穿孔法が好ましい。導入されたマーカ
ー遺伝子に関する選択によるか又はPCR検定によって、標的化クローンを検出
する。このPCR検定に関しては、2つのプライマーを用いる:即ちプライマー
1は標的遺伝子座に特異的で、好ましくは細胞のゲノム中のターゲッティング断
片の5’末端の約400bp上流であり、プライマー2は入ってくるDNAに特異
的である。特異的PCR増幅は、ターゲッティングがこれら2角プライマーを並
列する場合にのみ起こり得る。約200 の別々のクローンを含有し、マーカー活性
を示すPCR陽性プールから、標的化クローンを単離した。このプールからの細
胞を、各々の中に約10個の細胞を含む96の小プール中に希釈した。増殖後、
ターゲッティングの存在に関してPCRにより、これらの小プールを再スクリー
ニングした。ここで、陽性シグナルは、非標的化細胞10個毎に1個の標的化細
胞を有する混合物に対応した。次に濃縮プールの1つを微小滴定皿中で希釈して
、ウエルの10〜20%だけが1個の細胞を受容するようにした。十分な密度に増殖
後、標本を取り出して、PCR検定により再び分析した。この方法により、陽性
標的化細胞のクローンが単離された。
さらに分析するために、標的化クローンの1単離物を増殖させて、サザーンブ
ロット分析用のゲノムDNAの調製に用いた。
本発明のさらに別の目的は、ヒドロキシラーゼの核酸分子に特異的であるよう
にオリゴヌクレオチド分子結合剤と結合した配列番号:1の一部又は全部とハイ
ブリダイズし、細胞外条件下でオリゴヌクレオチド分子を結合し、ヒドロキシラ
ーゼ核酸分子と特異的に結合可能なオリゴヌクレオチド分子として細胞内条件下
で上記のオリゴヌクレオチド分子を放出する本発明のオリゴヌクレオチド分子を
ターゲッティングするための可溶性複合体である。
このような供給系は、当業界で十分公知である。例えば、オリゴヌクレオチド
はポリカチオン、例えばポリリシンと共有結合する(M.Lemaitre et al.(1987)
(43))。さらにポリカチオン抱合体(例えばトランスフェリン)を用いた供
給系が、WO 92/20316(44)、米国特許第5,166,320 号(45)、WO 92/19281
(46)、WO 92/13570(47)、欧州特許出願第0 388 758 号(48)、WO 93
/07283(49)、WO 92/17210(50)、WO 91/17773(51)、WO 93/04701(
52)に記載されており、並びにPCT/EP94/01147(53)に明示されている転移
ペプチドも使用に適している。
細胞中の本発明の核酸分子のインターナリゼーションの効能は、核酸分子を複
合体中のポリエチレングリコールのような両親媒性分子と結合させることにより
、改良し得る。さらに好ましいのは、トランスフェクション試薬、例えばDOT
MAの使用である(WO 91/06309(54)及びWO 91/17424(55))。リポソー
ム及びデンドロマーも有用である。
細胞特異性を獲得するために、DNA結合物質(例えばポリカチオン)からの
抱合体及び/又は細胞特異性配位子と本発明の核酸分子とを非共有的に結合させ
る(Wu and Wu(1987)(56);Wu et al.(1988)(57))。さらに、配位子と
してマンノース及びラクトースを含有する化学合成抱合体から成る可溶性DNA
担体系により、細胞中の核酸分子のインターナリゼーションを成し遂げる(P. M
idoux et al.(1993)(58))。欧州特許出願第0 388 758 号(48)は、ポリ
アニオン性核酸分子との複合体を構成する化学合成トランスフェリンポリカチオ
ン抱合体を開示する。トランスフェリン受容体との結合により、これらの複合体
は標的細胞中にインターナライズされる。
複合体中にポリリシンとアシアロ糖タンパク質の抱合体(Wu et
al.(1988)(57))を、又はガラクトース配位子(Plank et al.(1992)(59
))とともに用いることも公知である。配位子としては、不活性化アデノウイル
ス(Cotten et al.(1992)(60);Wagner et al.(1992)(61))又はヘマグ
ルチニン注入ペプチド(Wagner et al.(1992)(62))も用いられた。WO 93/0
7283(49)はさらに、非ウイルス性遺伝子転移に関して、DNA結合(ポリカ
チオン)部分(核酸分子に対する親和性を有する物質)及び細胞中のDNA取込
みのためのインターナリゼーション因子から成る「2配位子系」を記載する。エ
ンドソームから細胞質中に複合体を放出するために、WO 93/07283(49)に記
載されているように、例えばウイルス又はウイルス成分(例えばアデノウイルス
又はインフルエンザヘマグルチニン)に対応するいわゆるエンドソーム溶解剤を
これらの複合体に付加し得る。
アンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、好ましくは配列番号:1のヌクレ
オチド42〜1307の一部又は全部と適切にハイブリダイズするオリゴヌクレ
オチドが選択される。
オリゴヌクレオチドのための担体が細胞特異的配位子及びDNA結合物質から
の抱合体である場合、これらの物質は共有結合するのが好ましく、結合は典型的
にはペプチド結合である。これは、G.Jung et al.(1981)(63)に記載されて
いるように、例えば水溶性カルボジイミドを用いて生成される。代替的結合は、
ジスルフィド結合である。
細胞特異性作因は、天然又は合成配位子(例えば、タンパク質ポリペプチド、
糖タンパク質等)であるか、あるいは細胞表面構造と特異的に結合し、次いで結
合複合体のインターナリゼーションを媒介する抗体又はその類似体でもよい。こ
のような抗体は、例えば抗CD3又は抗CD4抗体である。結合後、これらの抗
体はインター
ナライズされる。
典型的には、細胞特異的結合剤は細胞表面受容体と結合する配位子である。好
ましくは、用いられる受容体は、治療すべき腫瘍を生じる組織細胞に特異的な受
容体である。
転移の可能性が高い腫瘍性疾患(小細胞肺癌、髄芽腫、ウィルムス腫瘍及びリ
ンパ様腫瘍)の治療には、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いるのが特に好
ましい(W.F.Kern et al.(1993)(65))。表面受容体として用いるのに適し
た腫瘍抗原は、例えば腫瘍抗原である。
さらに、用いられる細胞特異的配位子は、本発明のオリゴヌクレオチド分子の
インターナリゼーションを促す物質として作用するのが好ましい。このようなイ
ンターナリゼーション因子は、例えばトランスフェリン又は抗CD4抗体である
。
複合体中の細胞特異的結合剤対オリゴヌクレオチド分子及びオリゴヌクレオチ
ド結合剤の任意の比率は、経験的に確定し得る。ポリカチオンを用いる場合、成
分のモル比は、ポリカチオンのサイズ及びオリゴヌクレオチドのサイズによって
変化する。複合体を生成するには、オリゴヌクレオチド分子及び担体を混合し、
複合体化を実行可能な条件下でインキュベートする。例えば、オリゴヌクレオチ
ド分子及び担体を2 mol/l NaCl中で適切な比率で混合し、溶液を0.15 mol/l
に希釈して、濾過し、投与可能な組成物を提供する。
本発明のオリゴヌクレオチド分子又は分子複合体は、非経口的に投与し得る。
好ましくは、それは静脈内に注入される。複合体は、生理学的に許容可能なビヒ
クル中の溶液で投与される。
配列番号:1のヌクレオチド150〜1986を含有するベクターpWSPH
.01は、ブダペスト条約下で Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Z
ellkulturen GmbH(DSM),Mascherod
er Weg 1b,D-38124 Braunschweig に1995年 5月24日に寄託され、寄託番号DS
M10009 とされた。
配列番号:1のヌクレオチド1〜211を含有する第二のベクターpWSPH
.03は、ブダペスト条約下で Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Z
ellkulturen GmbH(DSM),Mascheroder Weg 1b,D-38124 Braunschweig に19
95年 5月24日に寄託され、寄託番号DSM10010 とされた。
DNA配列のシーケンシングにおける小エラーの発生を除外し得ないという事
実のため、ベクターpWSPH.01及びpWSPH.03に含まれる配列と配
列番号:1で提示される配列との間のあらゆる不一致の事象において、当業者に
許容可能な上記のベクターからの配列が頼みとされる。
本発明の理解を助けるために、以下の実施例、参考文献及び配列表、並びに図
面は、本発明の理解を提示するが、本発明の真の範囲は貼付の請求の範囲に記載
されている。本発明の精神を逸脱しない限り、前記の手順の修正が成され得ると
理解される。
図面の説明
図1:ヒドロキシラーゼ欠損宿主細胞の産生に有用なベクター。
太線は標的遺伝子座(ヒドロキシラーゼ遺伝子)と相同関係にあるベクターを
示す。細線は、細菌プラスミド配列(例えばpUC)を示す。水玉模様の長方形
はヒドロキシラーゼエキソンを表す。正の選択マーカーは「+」の記号で示す。
A)置換ベクター:正の選択マーカーは、ゼロ突然変異体を獲得するために、
好ましくは上流エキソンで、ヒドロキシラーゼ遺伝子の標的相同部分を中断する
。負の選択マーカーは「−」の記号で示す。置換ベクターは標的相同領域の外側
にトランスフェクション
前に線状化される。
B)挿入ベクター:正の選択性マーカーは、ヒドロキシラーゼ相同配列中で又
はベクターバックグラウンド中でクローン化される。相同ターゲッティング配列
内での二本鎖中断は、トランスフェクション前に挿入される。
電気穿孔法により、産生細胞株中にターゲッティングベクターが挿入される。
DNA(サザーンブロット、PCR)、RNA(ノーザンブロット)及びタン
パク質分析により、ヒドロキシラーゼ遺伝子が首尾よく突然変異したか否かを実
証し得る。無傷対立遺伝子が細胞中に残存するという事象では、代替的選択マー
カーを用いて、別のノックアウト調製を実施し得る。
配列表
配列番号:1は、ヒドロキシラーゼcDNAのヌクレオチド及び推定上のタン
パク質配列を示す。
配列番号:2は、cDNAから推定されるタンパク質配列を示す。
実施例1
CMP−Neu5Acヒドロキシラーゼの精製
4℃で全手順を実施した。ブタ顎下腺を新鮮な屠殺動物から取り出して、−20
℃で冷凍保存した。解氷組織を細かく刻み、Ultraturrax を用いて50 mM HEP
ES/NaOH(pH 7.4)(5 ml/ 湿潤質量の組織1g )中で均質化した。その
結果生じたホモジネートを10,000 gで30分間遠心分離し、ペレットを捨てた。50
mM HEPES/NaOH(pH 7.4)中に溶解した2%(質量)臭化N−セチル
−N,N,N−トリメチルアンモニウムを付加して(最終濃度0.2
%)、100,000 g で1時間遠心分離することにより、10,000 g上清中のムチン及
び残りの粒状物質を沈殿させた。CMP−Neu5Acヒドロキシラーゼをこの
高速上清から精製した。オルシノール試薬を用いたシアル酸の定量(R.Schauer
et al.(1978)(82))により、ムチン含量を概算した。
10 mM HEPES/NaOH(pH 7.4)で平衡させたQ-Sepharose スラリー 3
00 ml を用いて、バッチ法でムチン無含有高速上清(1.11)を分別した。各
工程に関しては、75 g で 5分間の遠心分離により、Q-Sepharose を沈殿させた
。10 mM HEPES/NaOH(pH 7.4)1.75 l でSepharose から非結合タン
パク質を除去し、ヒドロキシラーゼ活性を含む結合タンパク質を400mM NaCl
を含有する 10mM HEPES/NaOH(pH 7.4)500mlで溶離した。
50 mM HEPES/NaOH(pH7.4)で4倍希釈後、Q-Sepharose 溶離液を1
00 mMNaClを含有する50mM HEPES/NaOH(pH 7.4)で平衡させたCi
bacron Blue 3GA −アガロースカラム(5 x 11cm)に適用した。流速は約 2 ml
/分であった。非結合タンパク質を平衡緩衝液で除去し、カラムを50 mM HEP
ES/NaOH(pH 7.4)中の0.1 〜1.5 M NaCl線状勾配1.2 l で展開させ
た。最大ヒドロキシラーゼ活性を有する分画をプールし、濃縮して、脱塩後、流
速 0.1 ml/分で50 mM HEPES/NaOH(pH 7.4)で平衡させた Reactive
Brown 10 −アガロース(1.5 x 5.5 cm )に適用した。平衡緩衝液で洗浄後、
平衡緩衝液中の0 〜2 M NaCl線状勾配120 mlで溶離した。
最大活性分画をプールし、濃縮後、硫酸アンモニウムを付加して41%飽和液と
し、標本を41%飽和で硫酸アンモニウムを含有する50 mM HEPES/NaOH
(pH 7.4)中に平衡させたヘキシル−ア
ガロース(1.5 x6.0 cm)のカラムに適用した。平衡緩衝液でカラムを洗浄後、
50 mM HEPES/NaOH(pH 7.4)中の41〜0 %飽和の(NH4)2SO4の
線状勾配 140mlで、流速 1 ml/分で結合タンパク質を溶離した。
容積200 μl に濃縮後、脱塩ヘキシル−アガロースプールを用いて、Sepharos
e S.12上での最終精製を実施した。Sepharose S.12カラムを100 mM NaClを
含有する50 mM HEPES/NaOH(pH 7.4)中で平衡させ、シトクロムc(
12.5 kDa)、カルボニックアンヒドラーゼ(29 kDa)、オボアルブミン(45 kDa
)及びウシ血清アルブミン(66 kDa)で校正した。流速は0.2 ml/ 分であって、
分画 200μl を収集した。
Bio-Rad 試薬(Bio-Rad,Munich,FRG)を用いて、Bradford(1976)の方法によ
り、タンパク質濃度を測定した。10又は20 kDaのMrカットオフ(Sartorius,G
ottingen,FRG)を用いた膜上での限外濾過により、タンパク質標本を濃縮した
。
4%積重ねゲル及び13%分解ゲルから成るゲル上でのSDS−PAGEにより
、各精製工程の標本を分析した。
実施例2
CMP−Neu5Acヒドロキシラーゼのクローニング
3つのアミノ酸配列(ペプチド1、2及び5)を用いて、ブタにおけるコドン
使用を考慮して、両配向に関する変性オリゴヌクレオチドプライマーを調製した
。ブタ顎下腺からのmRNAを一本鎖cDNAに転写した。このcDNA及びプ
ライマーを用いて、種々の条件でPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を実施した。
その場合、考え得るプライマーの全組合せを第一反応シリーズで調べた。これら
の調製物から得られる生成物を、逆プライマーを交換する(入れ子プライマー)
PCR反応の第二シリーズに適用した。
その場合、2つのPCR生成物(96bp及び411bp)を得たが、これらは以
下のオーダーのペプチドを示唆する:ペプチド1、2及び5。
大腸菌XL1ブルー株細胞中の電気穿孔によるpUCベクター中への結紮後、
96bpのサイズのPCR生成物を形質転換した。陽性クローンのプラスミド挿入
物をシーケンシングした。それから得られるタンパク質配列は、プライマーを調
製するのに用いたペプチド片2及び5の領域、並びに隣接領域を含有する。した
がって、このPCR生成物はヒドロキシラーゼ遺伝子の一部である。
ブタ顎下腺のmRNAから、λ−ファージZAP II(Stratagene)中にオ
リゴ(dt)−プライムドcDNAライブラリーを調製した。96bpPCR生成
物を、ジゴキシゲニンで標識後、ブタ顎下腺からのこのcDNAライブラリー内
での探査のためのプローブとして用いた。その場合、いくつかの陽性クローンが
見出された:約1800bpの長さのこれらのクローンの内の最長のものを特性表示し
、シーケンシングした。ヌクレオチド配列では、5’末端で開放される約127
0bpの読取り枠が見出された。そこから得られるペプチド配列は、CMP−Ne
u5Acヒドロキシラーゼの公知の全ペプチド片を含有する。これは、見出され
たクローンがヒドロキシラーゼタンパク質の約80%をコードすることを確証する
。
実施例3
大腸菌中での無融合ヒドロキシラーゼの組換え発現
大腸菌中での有効な発現を可能にするように、ヒドロキシラーゼをコードする
DNA配列を修飾した。
発現のために、発現プラスミドを適切な大腸菌株中にトランスフェクトさせた
。このような菌株は、発現プラスミドp11379のような1acリプレッサー
の制御下での発現プラスミドの使用の場
合には、十分高い細胞内濃度の1acリプレッサーを保有する。これらの種類の
菌株は、pREP4(Diagen GmbH)、pUBS500又はpUBS520(Bri
nckmann et al.(1989)(67))のような二次プラスミドのトランスフェクショ
ンにより調製し得る。適用大腸菌株は、好ましくは、例えば大腸菌UT5600
(Earhart et al.(1979)(67))、大腸菌BL21(Grodberg and Dunn(1988
)(68))又は大腸菌Bを用いた場合と同様に、細胞固有の低プロテアーゼ活
性を有する。次に、当業界の形成にしたがって、発現培養を実施した。回収のた
めに、大腸菌からタンパク質集合体として得られたヒドロキシラーゼを、欧州特
許第0 241 022 号(69)、欧州特許第0 364 926 号(70)、欧州特許第0 21
9 874 号(71)及び独国出願第40 37 196 号(72)に記載された手順にした
がって、処理した。
詳細には、例えばこのために以下の手順を適用した:大腸菌発酵物からのヒド
ロキシラーゼ含有タンパク質集合体(いわゆる「封入体」)を6 M 塩酸グアニジ
ニウム、100 mM Tris-HCl,pH 8、1 mM EDTA中に溶解し、その後pH 3〜4
に調整し、pH 3.5で 4 M 塩酸グアニジニウムに対して透析した。次いで、1 M
アルギニン,pH 8、1 mM EDTA、5 mM GSH(グルタチオン、還元型)及
び0.5 mM GSSG(グルタチオン、酸化型)中で、可溶化タンパク質の再生を
実施した。再生調製物から、例えばFractogel TSK Butyl(E.Merck,Darmstadt
)のような疎水性ゲルマトリックスに吸着させることにより1.4 M 硫酸アンモ
ニウムを付加し、その後20mM Tris-HCl,pH 7中で溶離後、ヒドロキシラーゼを
得た。
実施例4
哺乳類細胞におけるヒドロキシラーゼの組換え発現
このために、強プロモーター−エンハンサー系を基礎にして、c
DNAをそれが哺乳類細胞中に転写されるベクター中に結紮した。このようなプ
ロモーター及びエンハンサーはほとんどが、SV40、hCMV、ポリオーマ又
はレトロウイルスのようなウイルスからのものであった。代替物として、例えば
WAP−、MMTV−又は免疫グロブリンプロモーターのようなある種の細胞又
は組織に特異的なプロモーター−エンハンサー系、あるいは例えばメタロチオネ
インプロモーターのような誘導可能な系を適用し得る。この種のベクターは、ヒ
ドロキシラーゼcDNA(後者を用いる場合)をRNAプロセッシングに関する
供与体及び受容体シグナル、並びにポリ−A付加に関するシグナルとともに補足
する。例えば、pCMX−pL1(Umisono et al.(1991)(73))はこのよう
な適切なベクターである。このベクターの1つのそして唯一のEcoRI切断部
位に、EcoRIリンカーにより提供されるヒドロキシラーゼcDNAを結紮す
るが、この場合、ヒドロキシラーゼcDNAがCMVプロモーターの読み取り方
向に配向されることが、このベクターのポリリンカーの他の切断部位の助けを借
りた制限分析により確証される。他のベクター中への、例えばpCDNA3(In
vitrogen,San Diego/USA )又はpSG5(Stratagene,LaJolla/USA )中への
クローニングの場合には、全く類似した手法を適用した。そのようにして得られ
た発現プラスミドのDNAを大腸菌から調製し、特定の場合における細胞型に特
異的な技法を適用して、哺乳類細胞中にトランスフェクトした(Methods of Enz
ymology 185(Gene Expression Technology),ed.David V.Goeddel,Acacemic
Press 1991,section(74))。トランスフェクション後、細胞をウシ胎仔血
清を付加しないMEM(Gibco)中で培養し、それにより48時間後に、細胞培養
上清中でヒドロキシラーゼを検出した。
実施例5
診断のためのジゴキシゲニン(DIG)標識化RNAプローブ
プローブを調製するために、ハイブリダイゼーションに用いられる断片を適切
な転写ベクター(T3、T7又はSP6プロモーターを有する)中でクローニン
グした。標識化のために、プラスミド1〜2 μg を線状化し、次いでフェノール
/クロロホルム抽出により精製し、エタノールで沈殿させた。
反応バッチ:
DNA(DEPC処理H2O中に溶解)1 〜2 μg 、10x転写緩衝液(Boehrin
ger Mannheim )2μl 、RNAポリメラーゼ(T3、T7又はSP6)40U 、N
TP/DIG−UTP混合物(10mM ATP、CTP、GTP、6.5 mM UTP
;3.5 mM DIG−UTP)2 μl 、及びRNアーゼ阻害剤(20U/ μl )1 μ
l にH2Oを加えて容量を20μl とした。
調製物を37℃で2時間インキュベートした。その後、RNアーゼ無含有DNア
ーゼ(10U/μl )2 μl を付加し、さらに37℃で15分インキュベートすることに
より、DNAを除去した。0.5 M EDTA(pH 8.0)1 μl を付加して反応を停
止させ、合成されたRNAを3 M 酢酸ナトリウム(pH 5.2)0.1 容量及びエタノ
ール 2.5 容量で沈殿させた。RNAを70%エタノールで1回洗浄し、乾燥し、
次いで100 μl のH2O(DEPC処理)中に溶解した。標識化標本及び標識化
対照RNAの希釈シリーズをナイロン膜上に固定し、その後、実施例8に記載さ
れているように、抗DIG−Fabアルカリホスファターゼ抱合体で展開させて
、標識化効率を測定した。
実施例6
ハイブリダイゼーション検定
ナイロン膜上に固定された標本からのRNA又はDNAをDIG−標識化RN
Aプローブとハイブリダイズした。RNA及びDNA
に関して、同一条件下でハイブリダイゼーションを実施したが、但し、DNA−
RNAハイブリダイゼーションの場合にはハイブリダイゼーション温度を低くし
た。
ハイブリダイズ緩衝液(50%ホルムアミド、50mM リン酸ナトリウム,pH 7.0
、7 %SDS、0.1 %N−ラウロイルサルコシン、5 xSSC、2 %遮断試薬(
Boehringer Mannheim ))中で1 〜2 時間(RNA−RNAの場合は65℃、DN
A−RNAの場合には50℃)で、最初に膜が予備ハイブリダイズされた。DIG
標識化プローブとのハイブリダイゼーションは、16〜90時間、それぞれ65℃及び
50℃で実施した。直前に、プローブを98℃で5分間加熱し、その後氷上で冷却し
た。ハイブリダイゼーション後、2 xSSC、0.1 %SDS(周囲温度で)中で
5 分間、2回、0.1 xSSC、0.1 %SDS(65℃)中で15分間、2回、洗浄し
た。
以下の手順を適用して、ハイブリダイズ化プローブの検出を実施した:
1.緩衝液1(150 mM NaCl、100 mM マレイン酸,pH 7.5)中で2 分間
洗浄し;
2.膜を緩衝液2(緩衝液1中の1 %遮断試薬)中に30〜60分間浸潤させ;
3.抗−DIG−Fabアルカリホスファターゼ抱合体(緩衝液2中で1 :10
,000希釈;75 mU/ml)とともに30分間インキュベートし;
4.0.3 % Tween-20 を含有する緩衝液1中で15分間、2回洗浄し;
5.緩衝液3(100 mM NaCl、100 mM Tris-HCl ,pH 9.5)中で2分間洗
浄した。
膜を、基質溶液(CSPD〔ジーナトリウム−3−(4−メトキ
シスピロ{1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)トリシクロ〔3
.3.1.13,7〕デカン}−4−イル)フェニルホスフェート〕 緩衝液3中
で1:100 の比で希釈)と一緒にプラスチック箔中で合一させて、37℃で30分間
インキュベートした。その後、基質溶液を箔から押し出して、箔を溶接で密封し
、X線フィルム上での提示によりシグナルが示された。最適提示時間は、30分〜
2 時間であった。
実施例7
アンチセンスDNA及びヒドロキシラーゼ欠損CHO細胞の調製
J.P.Leonetti et al.,Gene 72(1988)323-332にしたがって、オリゴヌクレオ
チド及びPLL抱合体を調製した。
ホスホラミジテ法を用いてBiosearch Cyclone DNA合成機で、配列番号:1
のヌクレオチドと相補的なβアノマーオリゴデソキシヌクレオチド分子(15〜20
mer )を合成した。対照として、同一長を有する無作為オリゴヌクレオチド分子
を同様に調製した。臭化エチジウムで染色した15%ポリアクリルアミドゲルを通
す電気泳動により、オリゴヌクレオチド分子の純度を測定した。
アデノシン誘導支持体の調製
塩化メチレン 12.3 mlに溶解したN6,2’−(3’)−o−ジベンゾイル−
5’−ジメトキシトリチル−アデノシン 2.15 g,2.76 mmol(Kempe et al.,Nu
cleic Acids Res.10(1982)6695-6714 )及びジメチルアミノ−4−ピリジン0.5
06g,4.15 mmol の溶液に、無水コハク酸 0.415 mmol 及びトリエチルアミン 0.
58 ml,4.15mmolを付加した。混合物を2.5 時間攪拌し、1M 水性炭酸水素トリ
エチルアンモニウム(120 ml)上に注ぎ入れて、生成物を塩化メチレン(3x15
0 ml)で抽出した。併合有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で脱水して
、蒸発、乾燥した。溶離液としてメタ
ノール−トリエチルアミン−塩化メチレン(0 :1 :99〜2 :1 :97, v/v/v)
を用いてシリカゲルクロマトグラフィーにより、残渣を分別した。純粋3’−o
−ヘミスクシネートを含有する分画を併合し、蒸発、乾燥させた。残渣を1,2
−ジメトキシエタンに溶解し、ペンタクロロフェノール 0.783 g,2.94 mmol及
びN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド 0.606 g ,2.94 mmol を付加し
た。溶液を24時間攪拌し、蒸発、乾燥した。その結果生じた残渣を、溶離液とし
てアセトン−塩化メチレン(5 :95〜8 :92, v/v)を用いてシリカゲルクロマ
トグラフィーにより精製した。純粋スクシネートジエステルを含有する分画を併
合し、蒸発、乾燥させた。石油エーテルから残渣を沈殿させて、無色粉末を収率
56%で得た。
長鎖アルキルアミン制御孔ガラス(5 g ,Sigma )をピリジン(10.5 ml )中
のトリエチルアミン(0.3 ml,1.5 mmol)で活性化した。溶媒を蒸発させた後、
残渣をドライピリジン(15ml)に溶解したスクシネートジエステル(1.69 g,1.
5 mmol)の溶液中に懸濁した。混合物を室温で3日間静かに攪拌後、固体物質を
吸引収集し、ピリジン及び塩化メチルで徹底的に洗浄して、乾燥した。無水テト
ラヒドロフラン(30 ml )中の無水酢酸(0.186 ml,1.98 mmol )、2,6−ル
チジン(0.198 ml,l.71 mmol )及び4−ジメチルアミノピリジン(1.8 g ,14
.7 mmol )から作ったキャッピング溶液(24 ml )中にガラスビーズを懸濁した
。混合物を10分間攪拌し、ガラスビーズを吸引収集し、テトラヒドロフラン(2
x20ml)及び塩化メチレン(4x20 ml )で洗浄し、乾燥した。官能化アデノシ
ン誘導ガラスビーズの一部をアセトニトリル中の0.1 M トルエン−スルホン酸で
処理することにより遊離されたジメトキシトリチルの量を分光測光した結果、24
μmol ・g の負荷が示された。
オリゴ体の合成
ホスホラミジテ法を用いてBiosearch Cyclone DNA合成機で、(β)アノマ
ーオリゴヌクレオチドを合成した。上記のように調製したアデノシン誘導化支持
体上で合成を開始させた。
オリゴ体のポリ(L−リシン)(PLL)との抱合
20 mM 酢酸ナトリウム(pH 4.4) 100 μm 中の(β)アノマーオリゴ体(80
nmol )を、暗中で0 ℃で30分間、4.6 μmol Naメタペリオデートで酸化させ
た。2 M NaCl、0.2 M ホウ酸ナトリウム緩衝液(pH 8.4)及び100 μmol ナ
トリウムシアノボロヒドライド中の等容量のPLL(平均14 kDa,Sigma )を付
加した。混合物を20℃で一夜インキュベートし、次いで0.5 M NaCl,20mM酢
酸ナトリウム緩衝液(pH 6.0)で平衡指せたSephadex G-50 カラムに入れた。各
分画を、260 nmの吸光度によるそのオリゴ−PLL含量に関して、BCAタンパ
ク質検定(Pierce)により検定した。抱合体は−80℃で保存した。
トランスフェクション
ヒドロキシラーゼ陽性CHO−wt細胞を0.9 μg のオリゴ−PLL抱合体と
一緒にインキュベートした。W.Schlenzka et al.(1994)(20)にしたがって
、ヒドロキシラーゼ活性を測定した。Triton X-100(質量で1.3 %)中に溶解し
た1 mM NADH、0.5 mM FeSO4、10μM CMP−〔4,5,6,7,8
,9−-14C〕Neu5Ac及びブタ肝臓ミクロソーム(本試験におけるタンパ
ク質〜20μg )の存在下で、37℃で50 mM HEPES/NaOH(pH 7.4)の混
合物に、細胞抽出物を37℃で付加し、検定の最終容量ヲ30μl とした。可溶化ミ
クロソームをシトクロムb5及びシトクロムb5レダクターゼの供給源として用い
た(L.Shaw et al.(1994)(14))。二重に実施した検定は、1M トリクロ
ロ酢酸5μl を付加して停止させた。遠心分離により沈殿物質を除去し、放出さ
れた〔14C〕シアル酸を放射性TLCを用いて分析した(L.Shaw and R.Schau
er(1989)(83))。
Q-Sepharose 、Cibacron Blue 3GA アガロース、Reactive Brown 10 アガロー
ス及びヘキシルアガロースクロマトグラフィーからの分画を、ヒドロキシラーゼ
活性を測定する前に、50 mM HEPES/NaOH(pH 7.4)で平衡させたNA
P−5カラム上で脱塩した。
実施例8
ヒドロキシラーゼ欠損CHO細胞におけるエリトロポイエチン(EPO)の産
生
図1の置換又は挿入ベクターを用いたCHO野性型細胞のトランスフェクショ
ンにより、ヒドロキシラーゼ欠損CHO細胞を調製した。
欧州特許B第 0 205 564号の実施例6に記載されたプラスミドpPTFL13
からのDNA(20μg )を制限エンドヌクレアーゼCla Iで消化してプラス
ミドを線状化し、アデノウイルス主後期プロモーターにより駆動される無傷ジヒ
ドロフォレートレダクターゼ(DHFR)遺伝子を含有するプラスミドpAdD
26SVp(A) 1(2 μg )からのCla I消化DNAに結紮した(Kauf
man and Sharp(1982)(21))。この結紮DNAを用いてDHFR陰性CHO
細胞をトランスフェクトし、次いで2 日間増殖させて、少なくとも1つのDHF
R遺伝子を取り込んだ細胞を、ヌクレオチドを欠き、10%透析ウシ胎仔血清を補
充したα培地中に選択した。選択培地中で2 週間増殖後、元のプレートからコロ
ニーを取り出し、10〜100 コロニー/プールの群にプールし、置換し、ヌクレオ
チドを欠くα培地中で合流するよう増殖させた。メトトレキセート選択前に増殖
させたプールからの上清培地を、RIAによりEPO
に関して検定した。陽性EPO産生を示したプールをメトトレキセート(0.02μ
M )の存在下で増殖させ、次いでサブクローニングし、再検定した。欧州特許B
第 0 205 564号(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)にしたが
って、サブクローンを漸増濃度のMTX中で段階的に選択した。このようなサブ
クローンは、EPOの産生に用い得る;EPOは、例えば欧州特許B第 0 205 5
64号(64)に記載されているような異なる標準クロマトグラフィー技法を適用
することにより、細胞上清から精製し得る。
実施例9
シアル酸の確定の実施
シアル酸を酵素でスプリットし、次いで「Dionex-HPEAC」によりシアル酸のク
ロマトグラフィー的確定を実施することにより、シアル酸の確定を実行した。
リン酸ナトリウム緩衝液,pH 7.2(約90〜180 μl )中のEPO標本溶液に、
リン酸緩衝液中のArthrobacter ureafaciens 1U/100μl(Boehringer Mannheim
,No:269 611 )からのノイラミダーゼ 5 μl を付加して、最終濃度を200 μl
中 2 nmolEPOタンパク質とした。混合を実施し、インキュベーションを37℃
で7時間実施した。標本容量100 μl を取り出して、水300 μl と混合した。こ
の希釈標本溶液を用いて、「Dionex-HPEAC」によるシアル酸のクロマトグラフィ
ー的確定を実施した。HPEACと一列に並んだアンペア測定検出器(PAD;
Dionex Corp.,Sunnyvale,USA)で検出を実施した。Neu5Ac及びNeu5
Gcの分離は、100 mM NaOH(溶離液A)及び500 mM酢酸ナトリウム(溶離
液B)ヲ用いた線状勾配により成し遂げられた。溶離液Bは40分間で0 %カラ10
0 %に増大された。Neu5AcはNeu5Gcがこれらの条件下で溶離するま
えに溶離し、基準としてNeu5Ac及びNeu5
Gcを用いて両シアル酸を定量した(濃度:Neu5Acに関しては1対10 nmo
l 、Neu5Gcに関しては0.05対0.5 nmol)。PADはNeu5Ac 8s30
00nA 及びNeu5Gc,100 nAの検出用に設置された。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年6月30日
【補正内容】
請求の範囲
1.核酸分子の一部に特異的であるように緊縮条件下で、CMP−N−アセチ
ルノイラミン酸ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク質のN末端の最初の50
アミノ酸をコードする配列番号:1又は関連RNA配列とハイブリダイズするオ
リゴヌクレオチド分子。
2.CMP−N−アセチルノイラミン酸ヒドロキシラーゼの発現を阻害する請
求項1記載のオリゴヌクレオチド分子。
3.CMP−N−アセチルノイラミン酸ヒドロキシラーゼmRNAと結合する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のオリゴヌクレオチド分子。
4.オリゴヌクレオチド分子として、オリゴヌクレオチド分子誘導体、例えば
ホスホトリエステル、メチルホスホネート又はホスホチオエート、あるいは置換
オリゴヌクレオチド、例えばアクリジン置換又は挿入結合オリゴヌクレオチド分
子又はαアノマーが用いられる請求項1〜3記載のオリゴヌクレオチド分子。
5.15〜50塩基を有する請求項1〜4記載のオリゴヌクレオチド分子。
6.CMP−N−アセチルノイラミン酸ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパ
ク質のN末端の最初の50アミノ酸をコードする核酸分子又はオリゴヌクレオチ
ド結合剤で結合される関連RNA配列に特異的であるようにハイブリダイズする
オリゴヌクレオチド分子を哺乳類細胞にターゲッティングするための可溶性複合
体であって、上記核酸分子と特異的に結合可能なオリゴヌクレオチド分子として
細胞外条件下でオリゴヌクレオチド分子を結合し、細胞内条件下で上記オリゴヌ
クレオチドを放出する複合体。
7.オリゴヌクレオチド分子結合剤がポリカチオン、例えばポリ
リシンである請求項6記載の可溶性複合体。
8.複合体がさらに細胞特異性結合剤を含有する請求項6又は7記載の可溶性
複合体。
9.ヒドロキシラーゼ活性を含有する一次非ヒト哺乳類細胞をヒドロキシラー
ゼ活性コード遺伝子の遺伝子領域に特異的であるように緊縮条件下で二次細胞の
ゲノムとハイブリダイズする核酸分子でランスフェクトし、それにより上記一次
細胞がさらにヒドロキシラーゼ活性を含有しないように一次細胞のゲノムを修飾
し、細胞混合物から上記ヒドロキシラーゼ活性を欠いた少なくとも1つの二次細
胞を単離することによるCMP−N−アセチルノイラミン酸ヒドロキシラーゼ活
性を欠いたin vitro二次非ヒト哺乳類細胞の産生方法。
10.その初期状態でCMP−N−アセチルノイラミン酸ヒドロキシラーゼ活
性を含有し、その後組換え体糖タンパク質の産生のために上記細胞がもはやヒド
ロキシラーゼ活性を含有しないように修飾され、上記細胞が上記組換え体タンパ
ク質の発現を保証する核酸分子でトランスフェクトされる非ヒト哺乳類細胞の使
用であって、上記細胞を培養し、上記組換え糖タンパク質を細胞又は上清から単
離する使用。
11.Neu5Gcの非存在を特徴とし、他のヒトタンパク質を実質的に含有
しないするグリココンジュゲート、特に請求項10記載の細胞から得られる糖タ
ンパク質。
12.Neu5Gcの非存在を特徴とし、他のヒトタンパク質を実質的に含有
しないする請求項10記載の細胞、特にCHO細胞から得られるエリトロポイエ
チン。
【手続補正書】
【提出日】1998年1月6日
【補正内容】
請求の範囲
1.核酸分子の一部に特異的であるようにストリンジェント条件下で、CMP
−N−アセチルノイラミン酸ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク質のN末端
の最初の50アミノ酸をコードする配列番号:1又は関連RNA配列とハイブリ
ダイズするオリゴヌクレオチド分子。
2.ヒドロキシラーゼ活性を含有する一次非ヒト哺乳類細胞をヒドロキシラー
ゼ活性コード遺伝子の遺伝子領域に特異的であるようにストリンジェント条件下
で二次細胞のゲノムとハイブリダイズする核酸分子でランスフェクトし、それに
より上記一次細胞がさらにヒドロキシラーゼ活性を含有しないように一次細胞の
ゲノムを修飾し、細胞混合物から上記ヒドロキシラーゼ活性を欠いた少なくとも
1つの二次細胞を単離することによるCMP−N−アセチルノイラミン酸ヒドロ
キシラーゼ活性を欠いたin vitro二次非ヒト哺乳類細胞の産生方法。
3.その初期状態でCMP−N−アセチルノイラミン酸ヒドロキシラーゼ活性
を含有し、その後組換え体糖タンパク質の産生のために上記細胞がもはやヒドロ
キシラーゼ活性を含有しないように修飾され、上記細胞が上記組換え体タンパク
質の発現を保証する核酸分子でトランスフェクトされる非ヒト哺乳類細胞の使用
方法であって、上記細胞を培養し、上記組換え糖タンパク質を細胞又は上清から
単離する使用方法。
4.Neu5Gcの非存在を特徴とし、他のヒトタンパク質を実質的に含有し
ないするグリココンジュゲート、特に請求項3記載の細胞から得られる糖タンパ
ク質。
5.Neu5Gcの非存在を特徴とし、他のヒトタンパク質を実質的に含有し
ないする請求項3記載の細胞、特にCHO細胞から得られるエリトロポイエチン
。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I
L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK
,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,
MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R
U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR
,TT,UA,UG,US,UZ,VN
(72)発明者 シュレンツカ,ビーブケ
ドイツ連邦共和国,デー−24118 キール,
ハンザシュトラーセ 58
(72)発明者 ショー,リー
ドイツ連邦共和国,デー−24103 キール,
ユングフェルンシュティーク 26
(72)発明者 ケルム,セルゲ
ドイツ連邦共和国,デー−24146,エルム
シェンハーゲン,ドルフシュトラーセ 14
(72)発明者 ハーゼルベック,アントン
ドイツ連邦共和国,デー−82362,ビルヘ
ルム,ベーレンミュールベーク 50
(72)発明者 ホノルト,コンラット
ドイツ連邦共和国,デー−82377 ペンツ
ベルク,マイヒェベックシュトラーセ 2