JPH10509149A - 感覚および運動ニューロンにより誘導される因子(smdf) - Google Patents

感覚および運動ニューロンにより誘導される因子(smdf)

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JPH10509149A JP8516193A JP51619396A JPH10509149A JP H10509149 A JPH10509149 A JP H10509149A JP 8516193 A JP8516193 A JP 8516193A JP 51619396 A JP51619396 A JP 51619396A JP H10509149 A JPH10509149 A JP H10509149A
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Abstract

(57)【要約】 分離されたSMDF、SMDFをコードしている分離されたDNA、およびSMDFを製造する組換えまたは合成法が開示される。SMDFは、β型EGF様ドメインおよび現在までに報告されている全てのニューレグリンと異なるN末端配列を含む。SMDFは、組換え細胞培養中で発現される時、ヒト乳癌細胞のHER2/neuレセプターのチロシン燐酸化を活性化し、シュワン細胞に対し分裂促進活性を表す。ノーザンブロットおよびインシトゥハイブリダイゼーション分析は、SMDFが、神経組織特異的であるという点、および他のニューレグリンと比較してヒトおよびラットの脊髄運動ニューロンおよび感覚ニューロンにおいて極めて高度に発現されるという点で、他のニューレグリンと相違することを示す。

Description

【発明の詳細な説明】 感覚および運動ニューロンにより誘導される因子(SMDF) 発明の分野 この出願は、感覚および運動ニューロンにより誘導される因子(SMDF)、 SMDFを製造する方法、およびその診断的および治療的用途に関するものであ る。 発明の背景 (i)erbB癌原遺伝子 細胞の増殖および分化を調節するシグナルの変換は、部分的には種々の細胞蛋 白の燐酸化によって調節されている。蛋白チロシンキナーゼはこのプロセスを触 媒する酵素である。レセプター蛋白チロシンキナーゼは、リガンドにより刺激さ れる細胞内基質のチロシン燐酸化を介して細胞増殖を指令すると信じられている 。クラスIサブファミリーの成長因子レセプター蛋白チロシンキナーゼは、er bB遺伝子によりコードされている170kDaの表皮成長因子レセプター(E GFR)を包含する。erbBは人間の悪性腫瘍に因果関係がある。特に、乳房 、膀胱、肺および胃の悪性度の高い癌腫には、この遺伝子の発現の増大が観察さ れてきた。ニール等、Lancet、1巻366−368頁(1985);セインスバ リー等、Lancet、1巻1389−1402頁(1987);ヤスイ等、Int.J.Ca ncer、41巻211−217頁(1988);およびヴィール等、Cancer、55 巻513−516頁(1987)を参照されたい。 クラスIサブファミリーの第二の成員、p185neuは、化学処理されたラッ トの神経芽腫由来のトランスフォーミング遺伝子の産物として最初に同定された 。neu遺伝子(erbB2およびHER2とも呼ばれる)は、185kDaの レセプター蛋白チロシンキナーゼをコードしている。ヒトHER2遺伝子の増幅 および/または過剰発現は、乳房および卵巣癌の予後不良に関連している(スラ モン等、Science、235巻177−182頁[1987];およびスラモン等 、S cience、244巻707−712頁[1989])。HER2の過剰発現はさら に、胃、子宮内膜、唾液腺、肺、腎、結腸および膀胱の癌腫を包含するその他の 癌腫とも関連してきた。特に、キング等、Science、229巻974頁(198 5);ヨコタ等、Lancet、1巻765−767頁(1986);フクシギ等、Mo l.CellBiol.、6巻955−958頁(1986);スラモン等(1987)、 上記;ゲウリン等、Oncogene Res.、3巻21−31頁(1988);コーエン 等、Oncogene、4巻81−88頁(1989);ヨネムラ等、Cancer Res.、5 1巻1034頁(1991);ボースト等、Gynecol.Oncol.、38巻364頁( 1990);ワイナー等、Cancer Res.、50巻421−425頁(1990) ;カーン等、Cancer Res.、50巻5184頁(1990);パーク等、Cancer Res.、49巻6605頁(1989);ザウ等、Mol.Carcinog.、3巻354 −357頁(1990);およびマッカン等、Cancer、65巻88−92頁(1 990)を参照されたい。 従って、米国特許第4968603号中でスラモン等は、腫瘍細胞中でのHE R2遺伝子の増幅または発現を測定するための様々な診断検定を記載し特許請求 している。スラモン等は、腫瘍細胞におけるHER2癌遺伝子の複数コピーの遺 伝子の存在が、この疾患が原発腫瘍部位を越えて広がり易い事を示し、そして故 にこの疾患が他の診断因子の示すところよりは攻撃的な処置を必要とし得る事を 発見した。スラモン等は、リンパ節の状態の決定と共に、HER2遺伝子増幅試 験は、極めて改善された予後診断という有用性を提供すると結論付けている。 非癌組織でのHER2遺伝子の発現もまた研究されている。例えば、コーエン 等は、HER2遺伝子が、末梢神経発達およびワラー変性の最中にシュワン細胞 によって発現されることを発見した。そこで彼等はp185HER2がシュワン細胞 の増殖または分化の調節で役割を果たしていると結論付けた。コーエン等、J.Ne uroscience Res.、31巻622−634頁(1992)。 erbB3またはHER3と呼ばれるさらなる関連遺伝子もまた記載されてい る。米国特許第5183884号;クラウス等、PNAS、USA、86巻9193− 9197頁(1989);EP特許出願第444961A1号;およびクラウス 等、 PNAS、USA、90巻2900−2904頁(1993)。クラウス等(1989 )は、或るヒト乳癌セルラインに著しく上昇したレベルのerbB3 mRNA が存在し、これは、erbBおよびerbB2と同様erbB3が人間の幾つか の悪性腫瘍で役割を果たしていることを示していることを発見した。また、クラ ウス等(1993)は、キメラEGFR/erbB3レセプターのerbB3触 媒ドメインのEGF依存的活性化は、トランスフェクトされたNIH−3T3細 胞に増殖的反応をもたらすことを示した。さらに、これらの研究者は、幾つかの ヒト乳癌セルラインは、定常状態のerbB3チロシン燐酸化の有意な上昇を示 し、さらにこの事が、このレセプターが人間の悪性腫瘍で役割を果たしているか も知れないことを示している、と証明した。したがって、erbB3をコードし ている核酸を利用する診断的バイオアッセイが、米国特許第5183884号中 にクラウス等により記載されている。 最近、成長因子レセプター蛋白チロシンキナーゼのクラスIサブファミリーが 、HER4/p180erbB4レセプターを包含するよう拡大された。EP特許出 願第599274号;プローマン等、PNAS、USA、90巻1746−1750頁 (1993);およびプローマン等、Nature、366巻473−475頁(19 93)。プローマン等は、HER4発現の増大が、乳腺癌を包含する或る種の上 皮起源の癌腫と密接に関連していることを発見した。したがって、HER4発現 を評価する人間の新生物状態(特に乳癌)の検出のための診断法が、EP特許出 願第599274号に記載されている。 (ii)ニューレグリン HER2癌遺伝子のアクチベーターの探索は、「ニューレグリン」と総称され るポリペプチドのファミリーの発見につながった。これらの蛋白は、オア−アー トレガー等、PNAS、USA、1952巻1746−1750頁(1993)により ヒト染色体8の短腕にマッピングされた単一遺伝子の選択的スプライシングから 生成するらしく見える。 ホルメス等は、HER2レセプターのためのポリペプチドアクチベーターのフ ァミリーを分離およびクローニングし、これらを、ヒレグリン−α(HRG−α )、 ヒレグリン−β1(HRG−β1)、ヒレグリン−β2(HRG−β2)、ヒレ グリン−β2様(HRG−β2様)およびヒレグリン−β3(HRG−β3)と 命名した。ホルメス等、Science、256巻1205−1210頁(1992) ;およびWO92/20798ならびにホフマン等、Science、256巻112 9頁(1992)を参照されたい。45kDaポリペプチド、HRG−αは、M DA−MB−231ヒト乳癌セルラインの条件培地から精製された。これらの研 究者は、MCF−7乳癌細胞においてHER2レセプターのチロシン燐酸化を活 性化する精製ヒレグリンポリペプチドの能力を立証した。さらに、SK−BR− 3細胞(これは高レベルのHER2レセプターを発現する)上でのヒレグリンポ リペプチドの分裂促進活性が説明された。EGFファミリーに属する他の成長因 子と同様、可溶性HRGポリペプチドは膜結合前駆体(プロHRGと呼ばれる) から誘導され、これが蛋白分解的にプロセシングされて45kDa可溶性型を放 出するようである。これらのプロHRGはN末端シグナルペプチドを欠失する。 ヒレグリン類は最初の213アミノ酸残基が実質上同一であるが、これらは、 C末端部分が相違する二つの変異体EGF様ドメインに基づき、二つの主要な型 、αおよびβに分類される。にもかかわらず、これらのEGF様ドメインでは、 その中に含まれる6個のシステイン残基の間隔が等しい。ナガタ等は、EMBO.J. 、13(15)巻3517−3523頁(1994)で、HRG−αのEGF様 ドメインの溶液構造を記載している。アミノ酸配列の比較に基づき、ホルメス等 は、EGF様ドメイン中の1番目および6番目のシステインの間で、HRGはヘ パリン結合EGF様成長因子(HB−EGF)と45%似かよっており、アンフ ィレグリン(AR)とは35%、TGF−αとは32%、そしてEGFとは27 %一致することを発見した。 ヒトHRGのラット相当物である44kDneu分化因子(NDF)は、ペレ ス等、Cell、69巻205−216頁(1992);およびウェン等、Cell、6 9巻559−572頁(1992)により最初に記載された。HRGポリペプチ ドと同様NDFは、免疫グロブリン(Ig)相同ドメインとこれに続くEGF様 ドメインを持ち、N末端シグナルペプチドを欠失している。その後ウェン等、 Mol.Cell.Biol.、14(3)巻1909−1919頁(1994)は、NDFの ファミリーを拡大するため「完全(エグゾースティヴ)クローニング」を実施し た。この仕事により、6つの別個の線維芽細胞プロNDFが明らかとなった。ホ ルメス等の命名法を採用すると、NDFは、EGF様ドメインの配列に基づきα またはβポリペプチドのいずれかに分類される。イソ型1ないし4は、可変ジャ スタメンブレン部分(EGF様ドメインおよび貫膜ドメインの間)に基づいて特 徴付けられる。また、イソ型a、bおよびcは、長さの異なる細胞質ドメインを 有すると記載されている。これらの研究者は、相異なるNDFイソ型が選択的ス プライシングによって生成し、別個の組織特異的機能を遂行していると結論付け ている。NDFに関しては、EP505148;およびWO93/22424を も参照されたい。NDFの発現が研究されている。特に、部分的Ig様ドメイン を含むマウスNDFプローブを使用したオア−アートレガー、PNAS、USA、90 巻1867−1871頁(1993)は、マウス胚におけるNDFの発現は中枢 および末梢神経系[脳の側脳室に沿って並ぶ神経上皮、脊髄の後根神経節および 腹側角(微弱ではあるが)ならびに腸、胃および副腎皮質を包含する]で起こる ことを見いだした。 フォールズ等、Cell、72巻801−815頁(1993)は、彼等がアセチ ルコリンレセプター誘導活性(ARIA)ポリペプチドと呼ぶニューレグリンフ ァミリーのもう一つの成員を記載している。ニワトリ由来のARIAポリペプチ ドは筋肉のアセチルコリンレセプターの合成を刺激する。WO94/08007 をも参照されたい。ARIAはβ型ニューレグリンであり、HRGα、およびH RGβ1−β3のIg様ドメインとEGF様ドメインの間に存在する「グリコ」 スペーサー(グリコシル化部位に富む)の全体を欠失している。 マーチオーニ等、Nature、362巻312−318頁(1993)は、牛から 誘導される幾つかの蛋白を同定し、これらをグリア増殖因子(GGF)と呼んで いる。これらのGGFは、Ig様ドメインおよびEGF様ドメインを、上に記載 した他のニューレグリン蛋白と共有しているが、さらにアミノ末端クリングルド メインも持っている。GGFは一般にIg様ドメインおよびEGF様ドメインの 間の完全な「グリコ」スペーサーを持っていない。GGFの一つであるGGFII のみがN末端シグナルペプチドを有していた。GGFおよびその用途に言及して いるWO92/18627;WO94/00140;およびWO94/0456 0をも参照されたい。GGFと類似の分裂促進活性を有するその他のポリペプチ ドが記載されている。例えば、ベンヴェニスト等、PNAS、USA、82巻3930 −3934頁(1985)は、非還元SDS−PAGE上で30kDa、そして 還元SDS−PAGE上で18kDaの見掛け分子量を有するグリア成長促進因 子(GGPF)の、ヒトTリンパ球上清からの分離を記載している。さらに、デ イヴィスおよびストローバント、J.Cell Biol.、110巻1353−1360頁 (1990)は、GGF、TGF−β1およびTGF−β2を包含する、ラット 坐骨神経シュワン細胞のためのインビトロマイトジェンである様々な成長因子を 記載している。 (iii)ニューレグリンドメイン 様々なニューレグリンドメインがペレスおよびヤーデンによりBioEssays、1 5(12)巻815−824頁(1993)に総説されている。これらのドメイ ンを下に簡単に記載する。 免疫グロブリン(Ig)様ドメイン − アミノ酸配列データが得られている 同定された全てのニューレグリンはIg様ドメインを持っており、これは、この ドメインが本質的機能を有していることを示唆している。ペレスおよびヤーデン 、上記、を参照されたい。 しかし、近年クオ等は、ヒヨコの脳cDNAおよびヒト小脳cDNAライブラ リーをスクリーニングすることにより、他のニューレグリンポリペプチドのIg 様ドメインを欠く新規なARIAスプライス変異体(nARIAと呼ばれる)を 同定した。ノーザンブロット分析により、神経系でのnARIAの発現が位置決 定され、これは特に小脳で高レベルが検出された。クオ等、抄録番号452.1 8、Soc.Neuroscience Abst.、20巻1095頁(1994)。ヤング等、抄録 番号452.17、Soc.Neuroscience Abst.、20巻1095頁(1994)を も参照されたい。 グリコシル化スペーサードメイン − NおよびO結合グリコシル化部位に富 むこの「グリコ」ドメインは、Ig様ドメインをEGF様ドメインと連結してい る。グリコサミノグリカン結合のための1個の可能性ある部位がこのスペーサー ドメインのアミノ末端に存在する。ARIAおよびGGFはグリコスペーサーの 34アミノ酸残基を欠いており、これらの分子中のグリコシル化部位の数を減じ ている。 EGF様ドメイン − この領域は6個のシステイン残基を取り込んでおり、 3個のジスルフィド結合したループを有する構造に折り畳まれると予想されてい る。上に論じたように、ニューレグリンは、EGF様ドメインのC末端部分の配 列に基づき、αまたはβ型ニューレグリンのいずれかに分類される。EGF様ド メイン単独が高い親和性でレセプターに結合することが示されている。ホルメス 等、上記、およびペレス等、EMBO J.、12巻961−971頁(1993)を 参照されたい。αおよびβ型の間の配列の相違はレセプター特異性を変えるよう には見受けられない。しかしながら、β型はα型よりも、応答細胞に対して高い 親和性で結合するかも知れない。 幾つかのニューレグリンのEGF様ドメインのC末端部分は、8個のアミノ酸 のつながりが隣接している。このアミノ酸残基のつながりはレセプター結合に影 響するようには見えないが、可溶性ポリペプチドを放出する前駆体ニューレグリ ンの蛋白分解的プロセシングで役割を果たしていると考えられる。ペレスおよび ヤーデン、上記、を参照されたい。 細胞質尾 − ニューレグリンの貫膜型は4個の異なる親水性細胞質尾を有し ており、その最長のものは415アミノ酸残基長である。記載されたニューレグ リンの幾つかはこの細胞質尾を欠失している(例えばHRG−β3およびGGF II)。 (iv)その他の推定HER2アクチベーター HER2アクチベーターであると考えられるその他のポリペプチドが記載され ている。ルプ等、Science、249巻1552−1555頁(1990)および ルプ等、Biochemistry、31巻7330−7340頁(1992)は、TGF− α様性質を有する30kDaの糖蛋白(gp30と命名された)を記載している 。ルプ等は、この因子がEGFRおよびp185HER2の両者の燐酸化を刺激する ことを見いだした。ルプ等は、SK−BR−3細胞の条件培地からもう一つの成 長因子を分離し、これはp185HER2に結合するがEGFRには結合しないと記 載している。p75と呼ばれるこの因子は、p185HER2結合について抗HER 2レセプター抗体4D5と競合した。ルプ等、抄録番号297、Proc.Am.Assoc. Cancer Res.、32巻(1992)。WO91/18921;WO92/121 74;およびWO93/22339をも参照されたい。 EGFRおよびp185HER2の両者を活性化することのできる糖蛋白について のもう一つの報告がある。このポリペプチドは35kDaの分子量を持ち、熱安 定性であるが還元には感受性があった。ヤーデンおよびペレス、Biochemistry、 30巻3543−3550頁(1991)を参照されたい。 タラコフスキー等は、p185neuのリガンドであると考えられる、活性化マ ウス腹膜マクロファージにより分泌される25kDaポリペプチドを記載してい る。タラコフスキー等、Oncogene、6(12)巻2187−2196頁(199 1)。ファングおよびファングは、牛腎からの25kDaの蛋白の精製を報告し ており、彼等はこれらをneu/erbB2リガンド成長因子(NEL−GF) と名付けた。NEL−GFは、neuレセプターを発現する無傷のNIH−3T 3細胞においてneuレセプターを燐酸化した。 デイヴィス等、Biochem.Biophys.Res.Commun.、179(3)巻1536−1 542頁(1991)およびドバシ等、PNAS、USA、88巻8582−8586 頁(1991)は、彼等がneu蛋白特異性活性化因子(NAF)と呼ぶ蛋白を 特性決定し、これは約8ないし24kDaの間の分子量であった。NAFはp1 85neuを活性化するがEGFRを活性化しないと言われた。7−14kDaポ リペプチドについて述べているグリーン等のWO91/15230をも参照され たい。後の報告では、NAFは15−17kDaの分子量を有するとされている 。サマンタ等、PNAS、USA、91巻1711−1715頁(1994)。 デ・コルテ等は、近年、SK−BR−3細胞においてHER2レセプターを活 性化するように見える50kDa蛋白が、COLO−16ヒト癌細胞の条件培地 中に存在すると報告した。SK−BR−3細胞において、迅速に伝搬する早い原 形質膜ラッフリングの誘発、細胞の形態変化、実効的トランスロケーション、走 化性の刺激および成長停止を包含する様々な生物活性が、この因子に帰せられた 。デ・コルテ等、J.Cell Science、107巻405−416頁(1994)。 (v)ニューレグリンの生物活性 種々のニューレグリンポリペプチドに対する様々な生物活性が記載されてきた 。 ヒレグリンおよびNDFポリペプチドがp185HER2/neuを活性化するそれら の能力に基づいて最初に同定された(ホルメス等、上記、を参照されたい)が、 neuおよびneuトランスフェクトされた線維芽細胞を発現する或る卵巣細胞 は、NDFと結合または交差反応せず、NDFと反応してチロシン燐酸化を受け ることもないことが発見された[ペレス等、EMBO J.、12巻961−971頁 (1993)]。この事は、完全なニューレグリン応答性を付与するためには別 の細胞成分が必要であることを示している。キャラウェイ等はその後、125I− rHRGβ1177-244は牛erbB3で安定にトランスフェクトされたNIH− 3T3線維芽細胞には結合するが、トランスフェクトされていない親細胞には結 合しないことを証明した。そこで彼等は、erbB3はHRGのレセプターであ り、内在チロシン残基の燐酸化および両レセプターを発現する細胞でのp185erbB2/neu の燐酸化を仲介すると結論付けた。キャラウェイ等、J.Biol.Chem.、 269(19)巻14303−14306頁(1994)。スリウコフスキー等 、J.Biol.Chem.、269(20)巻14661−14665頁(1994)は、 HER3のみでトランスフェクトされた細胞ではヒレグリンに対し低い親和性を 示すが、一方HER2およびHER3の両者でトランスフェクトされた細胞は、 より高い親和性を示すことを見いだした。 この観察は、かつてコカイ等、Cell、58巻287−292頁(1989); スターン等、EMBO J.、7巻995−1001頁(1988);およびキング等 、4巻13−18頁(1989)により記載された「レセプタークロストーキン グ」 と相関している。これらの研究者は、EGFRに対するEGFの結合がEGFR キナーゼドメインの活性化とp185HER2の交差燐酸化をもたらすことを見いだ した。これは、リガンド誘発レセプターヘテロ二量体化および同時に起こるこの ヘテロ二量体内でのレセプターの交差燐酸化の結果であると信じられる[ワダ等 、Cell、61巻1339−1347頁(1990)]。 プローマンおよびその同僚は、同じようにp185HER4/p185HER2活性化 を研究した。彼等はヒトTリンパ球においてp185HER2のみ、p185HER4の み、または両レセプターを共に発現させ、ニューレグリンはp185HER4のチロ シン燐酸化を刺激できるが、両レセプターを発現する細胞においてはp185HE R2 燐酸化のみを刺激することを立証した。プローマン等、Nature、336巻47 3−475頁(1993)。このように、ニューレグリンは、幾つかのレセプタ ーと相互作用することのできるEGF成長因子ファミリーの成員の唯一の既知例 である。キャラウェイおよびキャントレイ、Cell、78巻5−8頁(1994)。 ニューレグリンの生物学的役割が幾つかのグループによって研究されてきた。 例えば、フォールズ等(前記)は、ARIAが、筋管の分化で役割を果たしてい る、即ち運動ニューロンのシナプス後筋細胞における神経伝達物質レセプターの 合成および濃度に影響を与えていることを見いだした。コーファスおよびフィッ シュバッハは、ARIAがさらにヒヨコの筋のナトリウムチャンネルの数を増加 させることを立証した。コーファスおよびフィッシュバッハ、J.Neuroscience、 13(5)巻2118−2125頁(1993)。さらに、GGFIIは、やや密 集した休止したヒト筋芽細胞に対して分裂促進性であること、そして、GGFI Iの常時存在下でのクローンヒト筋芽細胞の分化は、6日間の分化の後に非常に 多くの筋管を生成することが示された(スクラー等、J.Cell Biochem.、抄録W 462、18D、540[1994])。 ペレス等(1992)、上記、およびウェン等(1992)、上記、は、或る 種の乳房腫瘍細胞(例えばAU−565およびMDA−MB−453)をNDF に暴露する時、NDFが表現型分化(形態学的変化および乳汁成分の合成を包含 する)を誘発し、成長停止をもたらすことを見いだした。逆に、ホルメス等、上 記、は、HRGが乳房セルライン(たとえばSK−BR−3およびMCF−7) に対し分裂促進効果を現すことを見いだした。 シュワン細胞に対するGGFの分裂促進活性が報告されている。例えば、ブロ ックス等、J.Biol.Chem.、255(18)巻8374−8377頁(1980) ;レムケおよびブロックス、J.Neurosci.、4巻75−83頁(1984);ブ ロックス等、J.Neuroscience、4(1)巻75−83頁(1984);ブロック ス等、Ann.Neurol.、20(3)巻317−322頁(1986);ブロックス 、J.Methods in Enzym.、147巻217−225頁(1987)およびマーチ オーニ等、上記、を参照されたい。シャー等、は、GGFはラット神経堤幹細胞 のニューロンの分化を抑制するが、グリアの分化を促進または許容することを報 告している。シャー等、Cell、77巻349−360頁(1994)。 シュワン細胞は、ニューロンの軸索の周りを覆いそれにより個々の神経線維を 形成させるミエリンを提供する重要なグリア細胞を構成する。したがって、シュ ワン細胞が末梢神経の発達、機能および再生で重要な役割を果たしていることは 明白である。治療的立場からのこの事の関係が、レヴィ等、J.Neuroscience、1 4(3)巻、1309−1319頁(1994)により扱われている。レヴィ等 は、損傷した脊髄の領域に移植することのできるヒトシュワン細胞を含む細胞補 綴物の組み立ての可能性を論じている。したがってこれらの研究者は、エクスビ ボでこれらの細胞の完全な分化をさせるために使用できるシュワン細胞マイトジ ェンの必要性を概説している。WO94/00140は、グリア細胞(例えばシ ュワン細胞)の分裂誘発を刺激するための様々な因子の使用を記載している。ヒ レグリンがインビトロでヒトシュワン細胞に対する強力なマイトジェンであると 証明した者もいる。レヴィ等、J.Cell Biol.、印刷中。 ピンカス−クラマルスキー等は、NDFが、胚のおよび成体のラット脳のニュ ーロンおよびグリア細胞ならびにラット脳細胞の初代培養中で発現されるようで あることを見いだし、これがアストロサイトのための生存および成熟因子として 作用しているかも知れないと示唆した(ピンカス−クラマルスキー等、PNAS、US A、91巻9387−9391頁[1994])。メイヤーおよびバーチマイア ー、 PNAS、USA、91巻1064−1068頁(1994)は、インシトゥハイブリ ダイゼーションおよびRNアーゼ保護実験を使用して、マウス胚形成中のおよび 分娩時動物のニューレグリンの発現を分析した。これらの筆者は、この分子の発 現に基づくと、ニューレグリンはインビボで間充織のおよびニューロンの因子と しての役割を果たしていると結論付けている。また、これらの発見は、ニューレ グリンが上皮の発達において機能していることを意味するものである。同様に、 ダニレンコ等、抄録3101、FASEB、8(4−5)巻A535頁(1994) は、NDFおよびHER2レセプターの相互作用は、創傷修復の最中の表皮の遊 走および分化の指令において重要であることを見いだした。 上の論考から、ニューレグリンが他の成長因子(例えばインターロイキン6お よびアンフィレグリン)と同様に、濃度および細胞状況に応じて分化因子として またはマイトジェンとして働くことができるということが明らかである。 したがって、診断、エクスビボ、および治療用途のための、HER2レセプタ ーの新規なポリペプチドアクチベーターおよび/またはグリア細胞マイトジェン を同定することが、本発明の一つの目的である。 このようなポリペプチドをコードしている核酸を提供し、この核酸を用いて組 換え細胞培養中でこのポリペプチドを産生することが、もう一つの目的である。 アミノ酸配列変異体および共有結合誘導体を包含する、このようなポリペプチ ドの誘導体および修飾型を提供することが、さらに別の目的である。 係るポリペプチドに対する抗体を作製するための免疫原を製造すること、およ びそれらを結合することのできる抗体を取得することがさらなる目的である。 これらのおよびその他の本発明の目的は、本明細書を全体として考察する時、 当業者にとって明らかであろう。 発明の要約 本発明は、分離されたSMDFポリペプチドを提供するものである。このSM DFポリペプチドは、好ましくは実質上均質であり、天然配列ポリペプチド、変 異体ポリペプチド、およびキメラポリペプチドより成る群から選ばれ得る。さら に、SMDFポリペプチドは、哺乳動物(例えば人間)から分離されたポリペプ チド、組換え手段により作成されたポリペプチド、および合成手段により作成さ れたポリペプチドより成る群から選択することができる。したがって、該ポリペ プチドは天然のグリコシル化が付随しておらず、または完全に非グリコシル化さ れていて良い。さらに、このSMDFポリペプチドは、人間において非免疫原性 であるポリペプチドおよび図1Aに示されるヒトSMDFの翻訳されたアミノ酸 配列を有するSMDFより成る群から選ばれてよい。 別の態様において、分離されたSMDFポリペプチドは、図1Aに示される翻 訳化SMDF配列と少なくとも75%のアミノ酸配列一致を共有する。 さらなる態様において、本発明は、図1Aに供される核酸配列と、中等度緊縮 条件下でハイブリダイズする配列を有する核酸によりコードされている、分離さ れたポリペプチドを提供する。好ましくはこのポリペプチドは生物学的に活性で ある。 さらに別の態様において本発明は、生物活性なSMDFおよび薬学上許容し得 る担体を含む、または免疫原性ポリペプチドと融合させたSMDFを含む、組成 物を提供する。 本発明はさらに、患者由来の試料または細胞を上記SMDFに暴露させ、その 試料または細胞に結合するSMDFの程度を測定することを含む、癌腫(例えば 乳房または卵巣癌種)に罹患している患者の予後を決定する検定を提供する。普 通、この検定に使用されるSMDFは標識されるであろう。 別の態様において本発明は、インビトロまたはインビボでHER2レセプター を活性化することを含み、ここでHER2レセプターを発現する細胞はSMDF ポリペプチドに暴露させる。 さらに、細胞培養中または哺乳動物(特に人間)患者中に存在するグリア細胞を SMDFに暴露させることにより、その分裂誘発を刺激することが可能である。 さらに別の態様において、本発明は、SMDFに結合することのできる分離さ れた抗体、および、抗体をSMDFの含有が疑われる試料または細胞に接触させ 、例えばELISAにより、結合が起こっているか否かを検出することを含む、 インビトロまたはインビボでSMDFを検出する方法を提供する。 また別の態様において本発明は、SMDFの混合物を、抗体を結合させたカラ ムを通過させ、SMDFを含有する画分を回収することを含む、SMDFの精製 法を提供する。 別の態様において本発明は、SMDFをコードしている分離された核酸分子、 該核酸分子を含むベクター、好ましくは該ベクターにより形質転換された宿主細 胞により認識される調節配列と機能的に結合している核酸分子を含む発現ベクタ ー、哺乳動物および細菌宿主細胞を包含する、該核酸分子を含む宿主細胞、およ び、該核酸分子を含む宿主細胞を培養することを含む、SMDFの産生を行わせ るためにSMDFをコードしている核酸分子を使用する方法、を含む。好ましく は該宿主細胞はトランスフェクトされてSMDF核酸を発現し、そしてこのSM DFは宿主細胞培養から回収され、そしてもし分泌されるならば、培養基から回 収される。 分離された核酸分子は、 (a)図1Aに示されるSMDF遺伝子のコード化領域のヌクレオチド配列を含 むDNA; (b)遺伝子コードの縮重の範囲内で(a)の配列に対応するDNA;および、 (c)(a)または(b)のDNAに対し相補的な配列とハイブリダイズし、天然配列 SMDFポリペプチドの生物学的性質を有するポリペプチドをコードしている、 DNA、 より成る群から選択することができる。 一つの態様において本発明は、薬学上許容し得る担体中の治療的有効量のSM DFを哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物を処置する方法を提供する。例 えばこの哺乳動物は神経変性疾患に罹患していてよい。 図面の簡単な説明 図1Aおよび1Bは、SMDFのcDNA配列[配列番号1]およびアミノ酸 配列[配列番号2](図1A)ならびにSMDFのハイドロパシー分析(図1B )を示している。図1Aにおいて、EGF様ドメインならびに無極性および非荷 電ドメイン(即ち、約48−62の残基で構成される「無極性I」および約76 − 100の残基で構成される「無極性II」)に下線を付した。EGF様ドメイン中 、および特異なN末端ドメイン内の「システインノット」(「NTD−cysノ ット」)中のシステインに囲みを付した。終止コドンは文字「O」で示す。 図2Aおよび2Bはそれぞれ、SMDFとGGFII、HRG−β1およびAR IAとの模式的比較(図2A)ならびにSMDF[配列番号2]、GGFII[配 列番号3]、HRG−β1[配列番号4]およびARIA[配列番号5]のアミ ノ酸配列比較(図2B)を示している。図2Aにおいては、主要な構造上の特徴 のみを示す。SMDFのEGF様ドメインは、ヌクレオチドレベルで、GGFII およびHRG−βのそれと100%、そしてARIAのそれと83%が同一であ る。GGFIIおよびHRG−β3と同様、SMDF配列は、EGF様ドメインを 貫膜ドメイン(TM)と連結する8−10のアミノ酸のつながりの後で終わり、 そして、HRG−β1およびARIAには存在する後者および細胞質尾を欠く。 SMDFのEGF様ドメインのN末端の配列(即ち特異な「NTD」)は、既知 のいかなるニューレグリンとも一致が無い。それは、既知のニューレグリン全て に特徴的なIg様ドメインを欠失する。それはさらにGGFIIのN末端疎水性シ グナル配列を欠くが、一つながりの無極性且つ非荷電アミノ酸残基(無極性II) を持っている。図2Bにおいて、ホモローガスなIg様、EGF様、およびTM ドメインに囲みを付してある。SMDFのEGF様ドメインはGGFIIおよびH RG−β1のそれと同一であるが、ARIAのそれとは7アミノ酸だけ異なって いる(*で示す)。GGFIIおよびHRG−β1は同一のIg様ドメインを持ち 、ARIAとは、ヌクレオチドおよびアミノ酸(*で示す)レベルでそれぞれ3 0および35%だけ異なっている。SMDFはIg様ドメインを持たない。HR G−β1およびARIAのTMドメインは同一である。 好ましい態様の詳細な説明 I.定義 一般に、以下の語または句は、説明、実施例、および請求の範囲に使用される 場合、示された定義を有する。 「SMDF」(または「感覚および運動ニューロンにより誘導される因子」) とは、本明細書中、図1Aのポリペプチド配列を含む天然配列SMDFの少なく とも一つの生物学的性質(下記定義による)を有する任意のポリペプチド配列で あると定義される。この定義は、本明細書に記載される人間の脳のような天然の SMDF供給源または他の動物種のような別の供給源から分離されたポリペプチ ドのみならず、組換えまたは合成法により製造されたポリペプチドをも包含する 。それはさらに、その機能的誘導体、対立遺伝子、イソ型および類似体を包含す る変異体型を包含する。好ましくはSMDFはニワトリSMDFではない。時に SMDFは、哺乳動物から分離された内因性SMDFポリペプチドを指す「天然 SMDF」である。SMDFはさらに、それが天然SMDF(例えば図1Aに示 されるヒトSMDF)と同じアミノ酸配列を有する限り、「天然配列SMDF」 であってもよい。しかしながら、「天然配列SMDF」は、組換えまたは合成手 段により生産されたポリペプチドを包含する。 所望により、SMDFは天然グリコシル化を伴わない。「天然グリコシル化」 とは、その天然SMDFが誘導される哺乳動物細胞中で産生される時、天然SM DFに共有結合している炭水化物部分を指す。したがって、例えば、非ヒト細胞 で産生されたヒトSMDFは天然グリコシル化を伴わないと記載され得る。時に はSMDFはグリコシル化を全く伴わない(例えば原核生物中で組換えにより産 生された結果として)。 図1Aに示されるSMDFは、この蛋白をかつて記載されたニューレグリン蛋 白と識別する特異なアミノ末端ドメインを有する。これは本明細書中「N末端ド メイン」または「NTD」と称する(即ち、図1Aの大体残基1から大体残基2 22まで)。しかし、「NTD」という表現は図1Aに示されるNTDの機能的 等価物を包含する。このNTDは、大体図1Aのアミノ酸残基58から大体残基 91までである、「NTD−システインノット」または「NTD−cysノット 」を有する。主に無極性および非荷電アミノ酸残基で構成される二つのドメイン もまた存在する。これらのドメインは本明細書中、「無極性I」(即ち、図1A のアミノ酸残基の大体48−62)および「無極性II」(即ち、図1Aのアミノ 酸残基の大体76−100)と呼称される。 「SMDFフラグメント」とは、1またはそれ以上のアミノ酸残基または炭水 化物単位が除去されている、天然に存在する全長のSMDF配列の一部である。 この用語は特に、EGF様ドメインのみからなるフラグメントを除外する。除去 されるアミノ酸残基は、N末端またはC末端または内部を包含する該ポリペプチ ドのどこにあってもよい。一般に、N末端ドメインの残基が除去されるであろう 。該フラグメントは、SMDFに共通する少なくとも一つの生物学的性質を共有 するであろう。SMDFフラグメントは典型的には、SMDFのNTDの少なく とも20、30、または40のアミノ酸残基の連続配列を有するであろう。好ま しいフラグメントは、ヒトSMDFの配列と等しい約30−150残基を有する 。他の好ましいSMDFフラグメントは、精製されたSMDFの化学的もしくは 酵素的加水分解または消化の結果として産生されるものを包含する。フラグメン トの例には、無極性および非荷電ドメインの一つ(例えば無極性I)が除去され たSMDF;およびNTD−cysノットが除去されたSMDFが包含される。 本明細書中定義される「SMDF変異体」または「SMDF配列変異体」とは 、図1Aに示される推定アミノ酸配列を有する組換え細胞培養から分離されたS MDFと100%未満の配列一致を有する、下記定義による生物活性SMDFを 意味する。通常、生物活性SMDF変異体は、図1Aに示されるヒトSMDFと 、少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なく とも約80%、さらに好ましくは少なくとも約85%、さらに好ましくは少なく とも約90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%のアミノ酸配列一致を 有するアミノ酸配列を有するであろう。 「キメラSMDF」とは、第二の蛋白または1もしくはそれ以上のそのフラグ メントと融合または結合した、全長のSMDFまたは1もしくはそれ以上のその フラグメントを含むポリペプチドである。このキメラは、SMDFに共通する少 なくとも一つの生物活性を共有するであろう。キメラSMDFの例には、免疫ア ドヘシンおよびエピトープ標識されたSMDFが包含される。 「免疫アドヘシン」という語は、「SMDF−免疫グロブリンキメラ」という 表現と互換的に使用され、SMDFの生物活性部分を免疫グロブリン配列と合し たキメラ分子を指す。この免疫グロブリン配列は、好ましくは免疫グロブリン不 変ドメインであるが、必ずしもそうでなくともよい。本発明に係るキメラ中の免 疫グロブリン部分は、IgG−1、IgG−2、IgG−3またはIgG−4サ ブタイプ、IgA、IgE、IgDまたはIgMから取得することができるが、 好ましくはIgG−1またはIgG−3から取得する。 本明細書で使用される場合の「エピトープ標識された」という語は、「タグポ リペプチド」に融合したSMDF全体、またはその一部を含むキメラポリペプチ ドを指す。タグポリペプチドは、それに対する抗体が作製され得るエピトープを 提供するに充分な残基を有し、それでいてSMDFの活性を妨害しないよう、充 分短い。タグポリペプチドは好ましくはかなり特異であって、その結果それに対 する抗体が実質上他のエピトープと交差反応しない。好適なタグポリペプチドは 一般に、少なくとも6アミノ酸残基、そして通常約8−50の間のアミノ酸残基 を有する(好ましくは約9−30残基の間)。 「分離されたSMDF」、「高度に精製されたSMDF」および「実質上均質 なSMDF」は互換的に使用され、SMDF供給源から精製され、または組換え もしくは合成法により製造され、そして、(1)スピニングカップシークエネー ターまたは入手し得る最高の市販アミノ酸シークエネーターを使用することによ り、または本出願の出願日現在公刊されている方法により修飾して、少なくとも 15、好ましくは20のN末端または内部アミノ酸配列のアミノ酸残基を取得す るに充分な程、または、(2)クマシーブルーまたは好ましくは銀染色を用いる 非還元または還元条件下でのSDS−PAGEによる均質性が得られるに十分な 程、他のペプチドまたは蛋白を含んでいないSMDFを意味する。ここでの均質 性とは、他の供給源の蛋白による約5%未満の汚染を意味する。 「SMDF」または「分離されたSMDF」のいずれかに関連して用いられる 場合「生物学的性質」とは、SMDF(天然または変性したコンホメーションの 如何に拘わらず)により直接的または間接的に惹起または遂行される、インビボ エフェクターもしくは抗原機能または活性を有することを意味する。エフェクタ ー機能は、レセプター活性化(例えば、HER2、HER3および/またはHE R4レセプターの活性化);1またはそれ以上のこれらのレセプターを有する細 胞(例えばSK−BR−3細胞、シュワン細胞、肝細胞、グリオブラストーマ細 胞、表皮細胞、筋細胞、アストロサイトおよび/またはオリゴデンドロサイト) の分化および/または増殖の増強;レセプター結合(例えば、HER2、HER 3またはHER4レセプターへの);分裂促進活性;細胞膜におけるイオンチャ ンネル形成の誘導(例えばNa+チャンネル);神経筋接合部でのアセチルコリ ンレセプター合成の誘導;ニューロンと筋、神経または腺細胞の間のシナプス接 合部の形成の促進;エストロゲンレセプターのダウンレギュレーション;および 細胞のインターナリゼーション(恐らくは核の局在を伴う)を包含する。しかし 、エフェクター機能には、天然配列SMDFに対して作製された抗体と交差反応 することのできるエピトープまたは抗原部位の所有は包含されない。 「抗原機能」とは、天然配列SMDFに対して作製された抗体と交差反応する ことのできるエピトープまたは抗原部位の所有を意味する。SMDFポリペプチ ドの主たる抗原機能は、それが天然配列SMDFに対して作製された抗体と、少 なくとも約106L/moleの親和性で結合することである。通常このポリペプチ ドは少なくとも約107L/moleの親和性で結合する。「抗原機能」を定義する ために用いられる抗体は、完全フロイントアジュバント中に天然配列SMDFを 調合し、この調合物を皮下注射し、そして抗SMDF抗体の抗体価がプラトーに 達するまでこの調合物を腹腔内注射することにより免疫反応を追加免疫すること によって作製される、ウサギポリクローナル抗体である。 「SMDF」または「分離されたSMDF」のいずれかに関連して使用される 場合の「生物学的に活性」とは、天然供給源から分離されもしくは本明細書に記 載の組換え細胞培養で産生されたSMDFのエフェクター機能を示しまたは共有 し、そしてさらに抗原機能を有し得る(ただしそうである必要はない)、SMD Fポリペプチドを意味する。SMDFの二つの主要なエフェクター機能は、HE R2レセプターを活性化する能力および培養中のシュワン細胞に働く分裂促進活 性である。 「抗原的に活性な」SMDFとは、SMDFの抗原機能を有し、そしてさらに エフェクター機能を有し得る(ただしそうである必要はない)ポリペプチドとし て定義される。 SMDF配列に関する「パーセントアミノ酸配列一致」とは、本明細書中、同 類置換は配列一致の一部と考えずに、最大パーセントの配列一致を達成するよう に配列を並列させ、必要ならば間隙を導入した後に、図1Aに記載される推定ア ミノ酸配列を有するSMDF配列中の残基と一致する候補配列中のアミノ酸残基 のパーセンテージとして定義される。SMDF配列中へのN末端、C末端、また は内部伸長、除去または挿入は、いずれも配列一致または相同性に影響するとは みなされない。 「疾病の状態を決定」とは、新生物疾患、特に乳房、卵巣、胃、子宮内膜、唾 液腺、肺、腎、結腸、および膀胱の癌腫に対する患者の生存および再発時期の見 込みを決定する行為を指す。特に、SMDFは、癌腫に罹患している患者から採 取された癌組織におけるerbBレセプター(例えばerbB2、erbB3ま たはerbB4。しかし普通はerbB2レセプター。)の過剰発現を定量する のに使用することができる。これはまた、「癌に罹患している患者の適切な処置 過程を決定」と言うこともできる。例えば、erbB2過剰発現を特徴とする患 者は、他の診断因子によって指示されるよりは攻撃的な処置(例えば化学療法ま たは放射線療法の処置)を必要とするかも知れない。この句は、インシトゥの高 度な分泌管癌に罹患している患者の診断を包含する。例えば、ディシス等、Canc er Research、54巻16−20頁(1994)を参照されたい。 「試料」という語は患者由来の組織、体液、または細胞を指す。通常、組織ま たは細胞は患者から採取されるが、インビボ診断もまた意図される。充実性腫瘍 の場合、組織試料は外科的に採取された腫瘍から取得し、常套的技術により試験 用に調製することができる。リンパ腫および白血病の場合は、リンパ球、白血病 細胞、またはリンパ組織を得、適宜調製することになるであろう。尿、血清、喀 痰、細胞抽出物等を包含するその他の患者試料もまた、特定の腫瘍について有用 であろう。 本明細書で使用される場合の「標識された」という表現は、検出可能な化合物 または組成物を用いて直接的または間接的にコンジュゲートされた分子(例えば SMDFまたは抗SMDF抗体)を指す。標識はそれ自身検出可能である(例え ば、放射性同位元素標識または蛍光標識)か、または酵素標識の場合は、検出可 能な基質化合物または組成物の化学変化を触媒することができる。好ましい標識 は非放射性色素試薬の変色を触媒する酵素的標識である。 「HER2レセプターを活性化」という句は、HER2レセプターの細胞内キ ナーゼドメインがチロシン残基を燐酸化するようにさせる行為を指す。普通、チ ロシン残基は、活性化されるHER2レセプターの細胞内ドメインに存在する( 即ち自己燐酸化)が、該レセプターが基質の残基を燐酸化することもあり得る( 例えば隣接erbBレセプター)。erbBレセプターの自己燐酸化は本明細書 に記載のKIRA−ELISAを用いて定量することができる。 「グリア細胞の分裂促進を刺激」とは、グリア細胞の増殖をインビトロまたは インビボで亢進させることを意味する。細胞増殖の程度は、本明細書に記載のグ リア細胞増殖検定を用いて測定することができる。「グリア細胞」は中枢および 末梢神経系から誘導され、オリゴデンドログリア、アストロサイト、上衣細胞、 またはミクログリア細胞ならびに神経節の衛星細胞および末梢神経線維周囲の神 経線維鞘またはシュワン細胞から選択することができる。 「分離されたSMDF核酸」は、生物学的に活性なSMDFまたはそのフラグ メントをコードしている16以上、好ましくは20またはそれ以上の連続したヌ クレオチド塩基を含むRNAまたはDNAであるか、該RNAまたはDNAに対 し相補的であるか、または中等度ないし緊縮条件下で該RNAまたはDNAとハ イブリダイズし且つ安定に結合し続ける。このRNAまたはDNAは、天然供給 源に通常付随する少なくとも一つの汚染源の核酸を含まず、そして好ましくは他 のいかなる哺乳動物のRNAまたはDNAをも実質上含まない。「それが通常付 随する少なくとも一つの汚染源の核酸を含まない」という句は、その核酸が供給 源のまたは天然の細胞内に存在してはいるものの、異なった染色体位置にあるか 、またはその他の状態で、供給源の細胞に普通見いだされない核酸配列に隣接し ている場合を包含する。分離されたSMDF核酸の例は、図1Aに示されるヒト S MDFと、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、さらに好まし くは少なくとも85%、さらに好ましくは90%、そして最も好ましくは95% の配列一致を共有する生物学的に活性なSMDFをコードしているRNAまたは DNAである。 発現に言及する場合の「調節配列」とは、特定の宿主生物における機能的に結 合したコード化配列の発現に必要なDNA配列を意味する。原核生物に好適な調 節配列は、例えば、プロモーター、所望によりオペレーター配列、リボソーム結 合部位、そして恐らくはまだあまり理解されていない他の配列を包含する。真核 生物細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利 用することが知られている。 核酸に言及する場合の「機能的に結合した」とは、当該核酸が別の核酸配列と 機能的な関係に位置することを意味する。例えば、プレ配列または分泌リーダー のためのDNAは、それがポリペプチドの分泌に参加するプレ蛋白として発現さ れるならば、そのポリペプチドのためのDNAと機能的に結合しており;プロモ ーターまたはエンハンサーは、それがコード化配列の転写に影響するならば、そ の配列と機能的に結合しており;または、リボソーム結合部位は、それが翻訳を 促進するように位置しているならば、コード化配列と機能的に結合している。一 般に、「機能的に結合した」とは、結合しているDNA配列が隣接しており、そ して分泌リーダーの場合には、隣接し且つ読み取り相内にある。しかしながら、 エンハンサーは隣接している必要はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーシ ョンにより達成される。もしそのような部位が存在しない場合、常法に従って合 成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを使用する。 「緊縮条件」とは、(1)洗浄に低イオン強度および高温、例えば0.015 M NaCl/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%NaDodSO4( SDS)を50℃で使用し、または(2)ハイブリダイゼーション中にホルムア ミドのような変性剤、例えば、0.1%牛血清アルブミン/0.1%フィコール /0.1%ポリビニルピロリドン/750mM NaCl、75mMクエン酸ナ トリウムを伴う50mM燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)と共に50%(容 量 /容量)ホルムアミドを42℃で使用する条件である。別の例は、50%ホルム アミド、5xSSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム )、50mM燐酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロ燐酸ナトリウム、5 xデンハート溶液、超音波処理鮭精子DNA(50μg/mL)、0.1%SD S、および10%硫酸デキストランを42℃で使用し、0.2xSSCおよび0 .1%SDS中42℃で洗浄するものである。 「中等度の緊縮条件」は、サムブルック等、モレキュラー・クローニング:ア ・ラボラトリー・マニュアル(ニューヨーク、コールド・スプリング・ハーバー ・ラボラトリー・プレス、1989)に記載されており、上の記載より緊縮性の 低い洗浄溶液およびハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度、 および%SDS)の使用を含む。中等度の緊縮条件の例は、20%ホルムアミド 、5xSSC(150mM NaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50 mM燐酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハート溶液、10%硫酸デキスト ラン、および20mg/ml変性剪断鮭精子DNAを含む溶液中37℃で一夜イ ンキュベートし、その後フィルターを1xSSC中約37−50℃で洗浄するよ うな条件である。当業者は、プローブの長さ等のような因子に適合させるのに必 要な温度、イオン強度等をいかにして調節するかがわかるであろう。 「抗体」という語は最も広い意味で使用され、特に、単一の抗SMDFモノク ローナル抗体および多エピトープ特異性を有する抗SMDF抗体組成物を包含す る(中和および非中和抗体を包含する)。 本明細書中使用される「モノクローナル抗体」という語は、実質上均質な抗体 の集団から得られた抗体、即ち、その集団を構成する個々の抗体が、少量存在し 得る天然に存在する可能な突然変異を除いては同一である抗体を指す。モノクロ ーナル抗体は、極めて特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さら に、典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して作製される異なった抗体を 含む常套的(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体 は抗原上の一つの決定基に対して作製されたものである。 本明細書に記載のモノクローナル抗体は、抗SMDF抗体の可変(超可変を包 含する)ドメインを不変ドメインと(例えば「ヒト化」抗体)、または軽鎖を重 鎖と、または或る種由来の鎖を別の種由来の鎖とスプライシングすることにより 、または、起源となる種または免疫グロブリンクラスもしくはサブクラスの指定 に拘わらず、ヘテロローガスな蛋白との融合により、および、それらが所望の生 物活性を示す限り、抗体フラグメント[例えばFab、F(ab)2、およびFv ]との融合により、製造されたハイブリッドおよび組換え抗体を包含する[例え ば、米国特許第4816567号およびメイジおよびラモイ、モノクローナル・ アンティボディ・プロダクション・テクニークス・アンド・アプリケーションズ 、79−97頁(マーセル・デッカー、Inc.)、ニューヨーク(1987) を参照されたい]。 したがって修飾語句「モノクローナル」は、実質上均質な抗体の集団から得ら れるという抗体の性格を示すものであり、特定の方法によりその抗体を産生する ことを要求すると解してはならない。例えば、本発明に従って使用されるモノク ローナル抗体は、コーラーおよびミルシュタイン、Nature、256巻495頁( 1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法により作製することができ 、または、組換えDNA法(米国特許第4816567号)により作製すること ができる。 「モノクローナル抗体」はまた、例えばマクカファーティ等、Nature、348巻 552−554頁(1990)に記載の技術を用いて生成されるファージライブ ラリーから分離することもできる。 非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンから誘 導された最小の配列を含む、特異的キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖ま たはそのフラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab'、F(ab')2またはそ の他の抗体の抗原結合サブ配列)である。大抵は、ヒト化抗体は、レシピエント 抗体の相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性および能 力を有するマウス、ラットまたはウサギのようなヒト以外の種(ドナー抗体)の CDR由来の残基により置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエン ト抗体)である。幾つかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領 域(FR)の残基が、対応する非ヒトFR残基に置き換えられている。さらに、 ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも移入されたCDRまたはFR配列にも見い だされない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体の挙動をさらに洗練および最 適化するためになされる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1個、典型的には 2個の可変ドメインの実質上全てを含み、ここで、全てまたは実質上全てのCD R領域は非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てまたは実質上全てのFR領 域はヒト免疫グロブリン共通配列のものである。ヒト化抗体は、最適には、免疫 グロブリン不変領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリン のそれをも含むであろう。 本明細書中に定義される「中和抗体」とは、天然配列SMDFのエフェクター 機能を遮断または有意に低下させることのできる抗体分子を意味する。例えば、 中和抗体は、本明細書に記載のKIRA−ELISAにおいて、SMDFがHE R2レセプターを活性化する能力を阻害または低下させることができる。中和抗 体は、この出願に詳説されるグリア細胞増殖検定においてSMDFの分裂促進活 性を遮断することもできる。 「人間において非免疫原性」とは、薬学上許容し得る担体中の該ポリペプチド の治療的有効量を人間の適当な組織に接触させ、適当な潜伏期間(例えば8ない し14日間)後に該ポリペプチドの二度目の投与を行う時、このポリペプチドに 対する感受性または耐性の状態が現れないことを意味する。 「処置」とは、治療的処置および予防または防止的措置の両者を指す。処置を 必要とする者には、既にその疾患に罹患している者およびその疾患に罹患し易い 者またはその疾患を防止すべき者が包含される。 処置の目的のための「哺乳動物」とは、哺乳動物に分類される任意の動物を指 し、人間、家庭および農場の動物、および動物園、運動、または愛玩動物、例え ば羊、犬、馬、猫、牛等を包含する。好ましくは、本明細書における哺乳動物は 、人間である。 II .発明を実施するための方法 1.SMDFポリペプチド ヒト脳からクローニングされたSMDFは以下の特徴を有する: (a)それはHER2レセプターを活性化し;そして、 (b)それはインビトロでラットのシュワン細胞に分裂促進活性を示す。 ヒトSMDFのDNAおよびアミノ酸配列を図1Aに示す。本明細書に記載の 新規なSMDFは、それらのDNAが、中等度緊縮ないし緊縮条件下で図1Aの 特異なN末端ドメイン(NTD)(またはそのフラグメント)中のDNAとハイ ブリダイズできるという適当な配列一致を有する成長因子の一ファミリーの成員 であり得る。したがって、この発明のさらなる態様は、SMDFのNTDをコー ドしているDNAと中等度緊縮ないし緊縮条件下でハイブリダイズするDNAを 包含する。 2.天然配列SMDFおよび変異体の製造 A.SMDFをコードしているDNAの分離 SMDFをコードしているDNAは、SMDF mRNAを持ち、それを検出 し得るレベルで発現すると信じられる組織から調製される任意のcDNAライブ ラリーから取得することができる。このmRNAは、例えばヒト脳幹cDNAラ イブラリーから好適に調製される。SMDF遺伝子はさらに、完全なヌクレオチ ドもしくはアミノ酸配列がわかっているとすれば、インビトロオリゴヌクレオチ ド合成によって、またはゲノムライブラリーから取得することもできる。 ライブラリーを、目的とする遺伝子またはそれによりコードされている蛋白を 同定するよう設計されたプローブでスクリーニングする。cDNA発現ライブラ リーのためには、好適なプローブは、例えば、SMDFを認識し且つこれに特異 的に結合するモノクローナルまたはポリクローナル抗体;同じまたは異なる種由 来のSMDF cDNAの既知のまたはそれと推定される部分をコードしている 長さ約20−80塩基のオリゴヌクレオチド;および/または同じもしくは類似 遺伝子をコードしている相補的もしくはホモローガスなcDNAまたはそのフラ グメントを包含する。ゲノムDNAライブラリーをスクリーニングするための適 当なプローブは、同じもしくは類似遺伝子をコードしているオリゴヌクレオチド 、cDNA、またはそれらのフラグメント、および/またはホモローガスなゲノ ム DNAまたはそのフラグメントを包含するが、これらに限定される訳ではない。 選ばれたプローブによるcDNAまたはゲノムライブラリーのスクリーニングは 、サムブルック等、モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュア ル(ニューヨーク:コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、 1989)の10−12章に記載のような標準法を用いて実施することができる 。 SMDFをコードしている遺伝子を分離する代替手段は、サムブルック等、上 記、の14項に記載のPCR法を使用することである。この方法は、SMDFと ハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブの使用を必要とする。オリゴヌ クレオチドの選択のための方法を下に述べる。 本発明を実施する好ましい方法は、注意深く選択されたオリゴヌクレオチド配 列を使用して、様々な組織、好ましくは哺乳動物の神経組織からのcDNAライ ブラリーをスクリーニングすることである。より好ましくは、ヒト神経組織cD NAライブラリーをこのオリゴヌクレオチドプローブでスクリーニングする。 プローブとして選択されるオリゴヌクレオチド配列は、十分な長さがあり、且 つ偽陽性を最小とするに十分明確であるべきである。実際のヌクレオチド配列は 通常、保存されたまたは高度にホモローガスなヌクレオチド配列(例えばNTD またはその一部をコードしている)に基づいている。このオリゴヌクレオチドは 、1またはそれ以上の位置で縮重していてよい。縮重オリゴヌクレオチドの使用 は、或るライブラリーが、優先的コドンの使用が知られていない種からスクリー ニングされる場合、特に重要である。 このオリゴヌクレオチドは、スクリーニングされるライブラリー中のDNAと ハイブリダイズする時に検出できるよう、標識されていなければならない。好ま しい標識方法は、当分野で良く知られるように、ポリヌクレオチドキナーゼと共 に32P標識されたATPを用いてオリゴヌクレオチドを放射標識することである。し かしながら、ビオチニル化または酵素標識化を包含するその他の方法を用いてオ リゴヌクレオチドを標識することもできるが、これらに限定される訳ではない。 本明細書に初めて開示された推定アミノ酸配列を使用し、そしてもし必要なら ばサムブルック等、上記、の7.79項に記載の常套的プライマー伸長法を使用 して、選択されたcDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニングすること により、全ての天然SMDFコード化配列を有する核酸を取得し、cDNAに逆 転写されなかったかも知れないmRNAの前駆体およびプロセシング中間体を検 出する。 B.天然配列SMDFのアミノ酸配列変異体 天然配列SMDFのアミノ酸配列変異体は、天然配列SMDF DNA中に適 当なヌクレオチド変化を導入することにより、または、所望SMDFポリペプチ ドのインビトロ合成により、製造される。係る変異体は、例えば、図1Aにヒト SMDFとして示されるアミノ酸配列内の残基からの除去、または挿入もしくは 置換を包含する。最終組み立て物が所望の性質を有する限り、最終組み立て物に 到達するために除去、挿入、および置換の任意の組み合わせが施される。アミノ 酸変化はまた、O結合グリコシル化部位の数または位置の変更といったような、 天然配列SMDFの翻訳後処理を変化させ得る。 天然配列SMDFのアミノ酸配列変異体の設計のためには、突然変異部位の位 置および突然変異の性質は、修飾されるべきSMDFの性格に依存するであろう 。突然変異のための部位は、例えば(1)最初に同類アミノ酸選択肢で、次いで 、達成される結果に応じて、より過激な選択で置換することにより、(2)標的 残基を除去することにより、または、(3)確認された部位に隣接して、同じま たは異なるクラスの残基を挿入することにより、または選択肢1−3の組み合わ せにより、個別に、または連続して修飾することができる。 突然変異誘発にとって好ましい位置である天然SMDFポリペプチドの或る残 基または領域を特定する有用な方法は、カニングハムおよびウェルズ、Science 、244巻1081−1085頁(1989)に記載されるように、「アラニン スキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。ここでは、或る残基または標的残基群 を特定し(例えば、arg、asp、his、lys、およびgluのような荷 電残基)、中性または負に荷電したアミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポ リアラニン)によって置き換え、細胞内外を取り巻く水性環境と該アミノ酸との 相互作用に影響を及ぼさせる。次に、この置換に対する機能的感受性を示すドメ イ ンを、置換部位にまたは置換部位のためのさらなるまたはその他の変異体を導入 することによってさらに改良する。したがって、アミノ酸配列変異を導入する部 位は予め決められているが、突然変異自体の性質は予め決めておく必要がない。 例えば、与えられた部位での突然変異の挙動を最適化するため、標的コドンまた は領域でアラニンスキャニングまたはランダム突然変異誘発を実施し、産生され たSMDF変異体を、所望の活性の最適な組み合わせについてスクリーニングす る。 アミノ酸配列変異体の組み立てには二つの主要な変数:突然変異部位の位置お よび突然変異の性質がある。これらは図1Aの配列からの変異体であり、天然に 存在する対立遺伝子(これは天然SMDF DNAの操作を必要としないであろ う)、または、天然に見いだされない変異体または対立遺伝子に到達するために DNAを突然変異させることにより作成される前もって決定されている突然変異 体型を表し得る。一般に、選ばれた突然変異の位置および性質は、修飾されるべ きSMDFの性格に依存するであろう。 アミノ酸配列の除去は一般に約1から30残基まで、より好ましくは約1ない し10残基の範囲であり、典型的には隣接している。隣接する除去は、通常偶数 の残基に施されるが、1個のまたは奇数の除去もまた本発明の範囲内にある。様 々な哺乳動物のSMDF間で相同性の低い領域に除去を導入して、SMDFの活 性を修飾することができる。SMDFのEGF様ドメインでの除去は、SMDF の生物活性をより有意に修飾する傾向が高いであろう。連続した除去の数は、影 響を受けるドメインにおけるSMDFの三次構造、例えばβプリーツシートまた はαヘリックスを保存するように選択されるであろう。SMDF除去突然変異体 の例は、EGF様ドメイン残基286−296末端が除去されたSMDFである。 アミノ酸配列の挿入は、長さが1残基から100またはそれ以上の残基を含む ポリペプチドまでの範囲のアミノおよび/またはカルボキシ末端融合、ならびに 単一もしくは複数アミノ酸残基の配列内挿入を包含する。配列内挿入(即ち、成 熟SMDF配列内部への挿入)は一般に、約1ないし10残基、より好ましくは 1ないし5、最も好ましくは1ないし3残基の範囲であり得る。挿入は、好まし くは偶数の残基で行われるが、必ずしもそうでなくともよい。末端挿入の例には 、組換え細胞培養中でのSMDFの直接発現の所産である、N末端メチオニン残 基を有するSMDFが包含される。その他の挿入は、「キメラSMDF」と表題 のある、下記のJ項に記載されている。 変異体の第三の群はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、天然配列 SMDF分子中の少なくとも1個のアミノ酸残基が除去され、その場所に異なる 残基が挿入されている。置換突然変異誘発のための最も興味深い部位は、天然S MDFの活性部位として同定される部位、および、既知の類似体中に見いだされ るアミノ酸が側鎖のかさ、電荷、または疎水性の点で実質上異なっており、それ でいて種々の動物のSMDF種の中の選ばれた部位に高度の配列一致もまた存在 し、または既知のニューレグリンおよびSMDF中に見いだされるアミノ酸が側 鎖のかさ、電荷、または疎水性の点で実質上異なっており、それでいて係るニュ ーレグリンの様々な動物類似体の中の選ばれた部位に高度の配列一致もまた存在 する部位を包含する。 他の興味深い部位は、様々な種から得られるSMDFの特定の残基が全SMD F中で一致している部位であり、この一致の程度は、これらの蛋白に共通する生 物活性の達成における重要性を示唆している。これらの部位、特に、少なくとも あと3個、完全に保存されている部位を持つ配列の内部にある部位は、比較的保 守的なやり方で置換される。このような同類置換は、第1表で、好ましい置換と いう項の下に示されている。もしこのような置換が生物活性の変化をもたらすな らば、第1表中、例示的置換と称されている、またはアミノ酸クラスに関する下 のさらなる記載のような、より実質的な変化を導入し、生成物をスクリーニング する。 天然配列SMDFの機能または免疫学的同一性の実質的な修飾は、(a)置換 領域のポリペプチドバックボーンの構造、例えばシートまたはらせんコンホメー ションとしての構造、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、または 、(c)側鎖のかさ、の維持に及ぼすそれらの影響が有意に相違する置換を選択 することによって達成される。天然に存在する残基は、共通する側鎖の性質に基 づく群に分けられる: (1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、Val、leu、ile; (2)中性親水性:cys、ser、thr; (3)酸性:asp、glu; (4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg; (5)鎖の向きに影響する残基:gly、pro;および、 (6)芳香族:trp、tyr、phe。 非同類置換は、これらのクラスのうち或るものの成員を別のものに交換するこ とを必要とする。このような置換された残基もまた同類置換部位に導入すること ができ、または、より好ましくは、残っている(非保存的)部位に導入すること ができる。 本発明の一つの態様において、当該分子に存在する1またはそれ以上のプロテ アーゼ開裂部位を不活性化することが望ましい。これらの部位は、例えばトリプ シンの場合にはアルギニンまたはリジン残基について、コードされているアミノ 酸配列を調べることによって特定される。プロテアーゼ開裂部位が特定されたな らば、標的とされる残基を別の残基、好ましくはグルタミンのような塩基性残基 またはセリンのような疎水性残基で置換することにより;当該残基を除去するこ とにより;または当該残基の直後にプロリン残基を挿入することにより、それら を蛋白分解的開裂に対して不活性となるようにする。 別の態様においては、シグナル配列の開始メチオニン残基以外のメチオニン残 基、または係る各メチオニン残基に対するNまたはC末端の約3残基以内に位置 する残基を、別の残基(好ましくは第1表に従う)により置換、または除去する 。別法として、このような部位に隣接して約1−3の残基を挿入する。 天然SMDFの適正なコンホメーションの維持に関わっていないシステイン残 基もまた、一般にセリンで置換して、当該分子の酸化的安定性を改善し且つ異常 な架橋を防止することができる。 代表的な置換は、ヒト(即ちhSMDF)SMDF[A12→V]、hSMDF [R47→K]、hSMDF[D101→E]、hSMDF[S149→Y]、hSMD F[Y106→A]、hSMDF[V163→L]、hSMDF[N197→Q]、hS MDF[V200→L]、hSMDF[V235→T]、hSMDF[E241→Q]、 hSMDF[F252→Y]、hSMDF[K256→R]、hSMDF[E199→D ]、hSMDF[Q158→N]、hSMDF[T211→S]、hSMDF[E2→ D]、hSMDF[A171→V]、hSMDF[A188→V]、β型EGF様ドメ インをα型EGF様ドメインに置換したhSMDF、およびβ型EGF様ドメイ ンをラットNDFまたはARIAのβ型EGF様ドメインに置換したヒトSMD Fを包含する。 天然配列SMDFのアミノ酸配列変異体をコードしている核酸分子は、当分野 で知られる様々な方法によって製造される。これらの方法には、天然の供給源か らの分離(天然に存在するアミノ酸配列変異体の場合)またはオリゴヌクレオチ ド仲介(または位置指定)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、および、先に製 造された天然配列SMDFの変異体または非変異体のカセット突然変異誘発によ る製造が包含されるが、これらに限定される訳ではない。 オリゴヌクレオチド仲介突然変異誘発は、天然SMDF DNAの置換、除去 および挿入変異体の製造のための好ましい方法である。この技術は、アーデルマ ン等、DNA、2巻183頁(1983)に記載されるように、当分野で良く知 られている。簡潔に述べると、天然SMDF DNAを、所望の突然変異をコー ドしているオリゴヌクレオチドをDNA鋳型に対してハイブリダイズすることに よって変化させるのであるが、ここでこの鋳型は、SMDFの変化していないま たは天然DNA配列を含むプラスミドまたはバクテリオファージの一本鎖型であ る。ハイブリダイズの後、DNAポリメラーゼを用いて鋳型の第二相補鎖全体を 合成し、したがってこれは該オリゴヌクレオチドプライマーを取り込み、選択さ れた変化を天然SMDF DNAにコードするであろう。 一般に、少なくとも25ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドを使用する。最 適なオリゴヌクレオチドは、突然変異をコードしているヌクレオチドの両側に、 鋳型と完全に相補的な12ないし15のヌクレオチドを有するであろう。この事 により、オリゴヌクレオチドが一本鎖DNA鋳型分子と正しくハイブリダイズす ることが保証される。このオリゴヌクレオチドは、クレア等、Proc.Natl.Acad.S ci.USA、75巻5765頁(1978)に記載のような当分野で知られる技術を 用いて容易に合成される。 DNA鋳型は、バクテリオファージM13ベクター(入手し得る市販のM13 mp18およびM13mp19ベクターが適当である)から誘導されるベクター 、またはヴィエラ等、Meth.Enzymol.、153巻3頁(1987)に記載のよう な一本鎖ファージ複製起点を含むベクターによって作り出すことができる。即ち 、突然変異させようとするDNAをこれらのベクターの一つに挿入して一本鎖鋳 型を作成する。一本鎖鋳型の製造は、サムブルック等、上記、の4.21−4. 41項に記載されている。 別法として、一本鎖DNA鋳型は、標準技術を用いて二本鎖プラスミド(また はその他の)DNAを変性させることによって作成することもできる。 天然DNA配列を変化させるため(例えばアミノ酸配列変異体を作成するため に)、オリゴヌクレオチドを適当なハイブリダイゼーション条件の下で一本鎖鋳 型とハイブリダイズさせる。次に、DNA重合酵素、通常DNAポリメラーゼI のクレノウフラグメントを加えて、合成のためのプライマーとして該オリゴヌク レオチドを用いて鋳型の相補鎖を合成する。このようにして、DNAの一方の鎖 はSMDFの突然変異型をコードし、他の鎖(元の鋳型)は天然の変化していな いSMDFの配列をコードしているようなヘテロ二本鎖分子が形成される。次い でこのヘテロ二本鎖分子を適当な宿主細胞、通常E.coli JM101のよ うな原核生物中に導入する。細胞が増殖した後、これらをアガロース平板上で培 養し、32Pで放射標識したオリゴヌクレオチドプライマーを用いてスクリーニン グし、突然変異したDNAを含む細菌コロニーを同定する。次いで、突然変異し ている領域を取り、蛋白産生のための適当なベクター、一般に適当な宿主の形質 転換のために典型的に使用される型の発現ベクターに入れる。 直前に記載した方法は、プラスミドの両方の鎖が突然変異を含む、ホモ二本鎖 分子が作り出されるように改変することができる。この改変は以下の通りである :一本鎖オリゴヌクレオチドを上記のように一本鎖鋳型とアニーリングする。3 種のデオキシリボヌクレオチド、デオキシリボアデノシン(dATP)、デオキ シリボグアノシン(dGTP)、およびデオキシリボチミジン(dTTP)の混 合物を、dCTP−(aS)と呼ばれる修飾されたチオ−デオキシリボシトシン (これはアマーシャム・コーポレーションから入手することができる)と合する 。この混合物を鋳型−オリゴヌクレオチド複合体に加える。この混合物にDNA ポリメラーゼを添加すると、突然変異した塩基の外は鋳型と同一のDNA鎖が生 成する。加えて、この新たなDNAの鎖はdCTPの代わりにdCTP−(aS )を含み、これは制限エンドヌクレアーゼ消化から防護する役割を有する。 ヘテロ二本鎖の鋳型鎖に適当な制限酵素で切り目を入れた後、鋳型鎖をExo IIIヌクレアーゼまたは他の適当なヌクレアーゼを用いて、突然変異させようと する部位を含む領域を超えて消化することができる。次にこの反応を、分子が部 分的にしか一本鎖になっていないまま停止させる。次いで、4種全てのデオキシ リボヌクレオチド三燐酸、ATP、およびDNAリガーゼの存在下にDNAポリ メラーゼを用いて、完全な二本鎖のDNAホモ二本鎖を形成させる。次にこのホ モ二本鎖分子を、上記のように、E.coli JM101のような適当な宿主 細胞中に導入することができる。 1以上のアミノ酸が置換されている天然SMDF突然変異体をコードしている DNAは、幾つかの方法のうち一つで生成させることができる。アミノ酸がポリ ペプチド鎖中接近して位置している場合は、所望のアミノ酸置換の全てをコード している一つのオリゴヌクレオチドを用いてこれらを同時に突然変異させること ができる。しかしながら、もしそのアミノ酸が互いに幾らかの距離をおいて位置 している(約10アミノ酸以上離れている)と、所望の変化の全てをコードして いる1個のオリゴヌクレオチドを作成することは、より困難である。その代わり に、二つの別法のうち一つを利用することができる。 第一の方法では、置換しようとする各アミノ酸のための別々のオリゴヌクレオ チドを作成する。次いでそのオリゴヌクレオチドを一本鎖鋳型DNAに同時にア ニーリングすると、その鋳型から合成される第二のDNA鎖は所望のアミノ酸置 換の全てをコードしているであろう。 これに代わる方法は、所望の突然変異を産むための2回またはそれ以上の突然 変異誘発を含むものである。第一回目は単一突然変異体について記載された通り である:野生型DNAを鋳型に使用し、第一の所望アミノ酸置換をコードしてい るオリゴヌクレオチドをこの鋳型にアニーリングし、するとヘテロ二本鎖DNA 分子が生成される。第二回目の突然変異誘発は、第一回目の突然変異誘発で作成 された突然変異したDNAを鋳型として利用する。即ち、この鋳型は既に1また はそれ以上の突然変異を含んでいる。そこで、さらなる所望のアミノ酸置換をコ ードしているオリゴヌクレオチドをこの鋳型にアニーリングし、得られたDNA の鎖はその結果、第一および第二回目両方の突然変異誘発由来の突然変異をコー ドしていることになる。この得られたDNAは第三回目の突然変異誘発で鋳型と して使用することができ、以下同様である。 PCR突然変異誘発もまた天然配列SMDFのアミノ酸変異体の作成に好適で ある。以下の記述はDNAに関するものであるが、この技術はRNAにも適用さ れることが理解できる。PCR技術は一般に以下の方法を指す(アーリッヒ、上 記、R.ヒグチによる章、61−70頁を参照されたい):少量の鋳型DNAを PCRでの出発物質として使用する時、鋳型DNAの対応領域と僅かに異なる配 列のプライマーを用いて、そのプライマーが鋳型と相違している位置でのみ鋳型 配列と異なっている比較的大量の特異的DNAフラグメントを生成させることが できる。プラスミドDNA中に突然変異を導入するためには、一方のプライマー は突然変異の位置に一部重複し且つその突然変異を含むように設計し;他方のプ ライマーの配列は、プラスミドの反対の鎖の配列一つながりと一致させねばなら ないが、この配列は該プラスミドDNAのどこに位置してもよい。しかしながら 、第二のプライマーの配列は、プライマーにより境界を与えられるDNAの増幅 された領域全体が最終的に容易に配列決定されるよう、第一プライマーの配列の 200ヌクレオチド以内に位置させるのが好ましい。今記載したようなプライマ ー対を用いるPCR増幅は、プライマーにより特定される突然変異の位置で、そ して鋳型の複製は多少誤りが起こり易いのであるいはその他の位置で相違するD NAフラグメントの集団を生成する。 生成物に対する鋳型の比が極端に低い場合、生成物のDNAフラグメントの大 多数に所望の突然変異(群)が組み込まれる。この生成物は、標準的DNA技術 を用いて、PCR鋳型として働いたプラスミド中の対応領域を置き換えるのに使 用される。別々の位置にある突然変異は、突然変異体第二プライマーを使用する ことにより、または、異なる突然変異体プライマーによる第二のPCRを行い、 得られた二つのPCRフラグメントを三部(またはそれ以上の)ライゲーション でベクターフラグメントに同時にライゲーションすることによって同時に導入す ることができる。 PCR突然変異誘発の特別な例においては、プラスミドDNAの増幅される領 域の外部に特異な認識部位を有する制限エンドヌクレアーゼで消化することによ り、鋳型プラスミドDNA(1μg)を線状化する。この物質から100ngを 、4種のデオキシヌクレオチド三燐酸を含有しジーンアンプ(商標)キット(パ ーキン−エルマー・シータス、ノルウォーク、CTおよびエメリーヴィル、CA 、より入手)に含まれるPCR緩衝液、および各オリゴヌクレオチドプライマー 25pmoleを含有するPCR混合物に加え、最終容量50μlとする。この 反応混合物を鉱油35μLに積層する。反応混合物を100℃で5分間変性させ 、短時間氷上に置き、次いで鉱油層の下にサーマス・アクアティクス(Taq) DNAポリメラーゼ1μl(5単位/μL、パーキン−エルマー・シータスより 購入)を添加する。次いでこの反応混合物を、以下のようにプログラムしたDN Aサーマル・サイクラー(パーキン−エルマー・シータスより購入)中に入れる : 55℃2分間、 72℃30秒間、次いで以下を19サイクル: 94℃30秒間、 55℃30秒間、そして 72℃30秒間。 このプログラムの終了時に反応バイアルをサーマルサイクラーから取り出し、 水相を新しいバイアルに移し、フェノール/クロロホルム(50:50容量)で 抽出し、そしてエタノール沈澱させ、DNAを標準法により回収する。この物質 を、続いてベクターへの挿入のための適当な処理に付す。 変異体を製造するためのもう一つの方法、カセット突然変異誘発は、ウェルズ 等、Gene、34巻315頁(1985)に記載の技術に基づく。出発物質は、突 然変異させようとする天然SMDF DNAを含むプラスミド(またはその他の ベクター)である。突然変異させる天然SMDF DNA中のコドンを特定する 。特定された突然変異部位の両側には特異な制限エンドヌクレアーゼ部位がなけ ればならない。このような制限部位が存在しない場合は、それらを天然SMDF DNAの適当な位置に導入するための上記オリゴヌクレオチド仲介突然変異誘 発法を用いてそれらを作り出すことができる。制限部位がプラスミド中に導入さ れた後、このプラスミドをこれらの部位で切断して線状化する。制限部位間のD NAの配列をコードしており所望の突然変異を含んでいる二本鎖オリゴヌクレオ チドを標準法を用いて合成する。2本の鎖を別々に合成し、次いで標準技術を用 いてハイブリダイズする。この二本鎖オリゴヌクレオチドをカセットと称する。 このカセットは、プラスミドに直接ライゲーションできるよう、線状化されたプ ラスミドの末端と適合する3'および5'末端を有するよう設計される。その結果 このプラスミドは突然変異したSMDF DNA配列を含むことになる。 C.複製可能なベクターへの核酸の挿入 SMDFまたはSMDF変異体をコードしている核酸(例えばcDNAまたは ゲノムDNA)を、さらなるクローニング(DNAの増幅)または発現のために 、複製可能なベクター中に挿入する。多くのベクターが利用可能であり、適当な ベクターの選択は、1)それがDNA増幅に使用されるのかまたはDNA発現に 使用されるのか、2)ベクター中に挿入される核酸の大きさ、および、3)ベク ターにより形質転換される宿主細胞、に依存するであろう。各々のベクターは、 その機能(DNAの増幅またはDNAの発現)およびそれが適合する宿主細胞に 応じて様々な構成成分を含んでいる。ベクターの構成成分は一般に、1またはそ れ以上の以下のもの:所望によるN末端シグナル配列、複製起点、1またはそれ 以上のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、および転写終止配列 を含むが、これらに限定される訳ではない。 (i)シグナル配列成分 本発明に係るSMDFは、直接的のみならず、ヘテロローガスなポリペプチド (これは好ましくはシグナル配列、または成熟蛋白もしくはポリペプチドのN末 端に特異的開裂部位を有する他のポリペプチドである)との融合ポリペプチドと しても発現され得る。しかし、いかなる一つの理論にも限定はされないが、SM DFは内部疎水性シグナル配列を持っているらしいため、N末端シグナル配列の 装備は任意のものである。 一般に、シグナル配列はベクターの構成成分であってよく、またはこれは、ベ クター中に挿入されるSMDF DNAの一部であってよい。選ばれたヘテロロ ーガスなシグナル配列は、宿主細胞によって認識され且つプロセシングされる( 即ち、シグナルペプチダーゼにより開裂される)ものでなければならない。原核 生物宿主細胞のためには、原核生物シグナル配列は、例えばアルカリホスファタ ーゼ、ペニシリナーゼ、lpp、または熱安定性エンテロトキシンIIリーダーよ り成る群から選ばれる。酵母の分泌のためには、酵母インベルターゼリーダー、 酵母α因子リーダー(サッカロミセスおよびクルイヴェロミセスα因子リーダー 。後者は1991年4月23日登録の米国特許第5010182号に記載されて いる)、酵母酸ホスファターゼリーダー、マウス唾液アミラーゼリーダー、カル ボキシペプチダーゼリーダー、酵母BAR1リーダー、フミコラ・ラヌギノーサ リパーゼリーダー、C.アルビカンスグルコアミラーゼリーダー(1990年4 月4日公開のEP362179)、または1990年11月15日公開のWO9 0/13646に記載のシグナルが利用できる。哺乳動物細胞の発現においては 、所望ならばウイルス分泌リーダー(例えば単純ヘルペスgDシグナル)を使用 することができる。 このような前駆体領域のためのDNAは、SMDFをコードしているDNAの 読み取り枠にライゲーションする。 (ii)複製起点成分 発現およびクローニングベクターの両者は、そのベクターを1またはそれ以上 の選ばれた宿主細胞で複製できるようにする核酸配列を含んでいる。一般に、ク ローニングベクターにおいては、この配列は、そのベクターを宿主染色体DNA とは独立して複製できるようにする配列であって、複製起点または自立的複製配 列を含む。このような配列は様々な細菌、酵母、およびウイルスについて良く知 られている。プラスミドpBR322由来の複製起点は殆どのグラム陰性菌に適 しており、2μプラスミド起点は酵母に適しており、そして様々なウイルス起点 (SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)が哺乳動物細 胞におけるベクターのクローニングに有用である。一般に、複製起点成分は哺乳 動物の発現ベクターには必要ない(SV40起点は、それが初期プロモーターを 含むという理由でのみ典型的に使用され得る)。 殆どの発現ベクターは「シャトル」ベクターであり、即ちこれらは少なくとも 一つのクラスの生物で複製可能であるが、発現のため別の生物中にトランスフェ クトすることができる。例えば、或るベクターは大腸菌中でクローニングされ、 次いでその同じベクターが、たとえそれが宿主細胞染色体と独立して複製できな くても、発現のため酵母または哺乳動物細胞中にトランスフェクトされる。 DNAは宿主ゲノム中への挿入によって増幅することもできる。これは、バシ ルス種を宿主に用いて、例えば、バシルスゲノムDNA中に見いだされる配列に 相補的なDNA配列を該ベクターに含ませることによって容易に達成される。こ のベクターによるバシルスのトランスフェクションは、ゲノムによるホモローガ スな組換えおよびSMDF DNAの挿入をもたらす。しかしながら、SMDF をコードしているゲノムDNAの回収は、SMDF DNAの切除に制限酵素消 化を必要とするため、外因性複製ベクターの回収より複雑である。 (iii)選択遺伝子成分 発現およびクローニングベクターは、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を 含んでいなければならない。この遺伝子は、選択培養基中で生育する形質転換さ れた宿主細胞の生存または生育に必要な蛋白をコードしている。選択遺伝子を含 むベクターにより形質転換されなかった宿主細胞は、その培養基中で生き残らな いであろう。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質またはその他の毒素、例え ばアンピシリン、ネオマイシン、メソトレキサート、またはテトラサイクリンに 対する耐性を付与し、(b)栄養要求的欠失を補完し、または(c)複合培地か らは得られない重要な栄養素を供給する、蛋白をコードしている(例えばバシル スのためのD−アラニンラセマーゼをコードしている遺伝子)。 選択計画の一例は、宿主細胞の生育を停止させる薬物を利用する。ヘテロロー ガスな遺伝子によってうまく形質転換されている細胞は、薬物耐性を付与する蛋 白を産生し、よって選択処方中で生き残る。このような優性選択の例は、薬物ネ オマイシン(サザン等、J.Molec.Appl.Genet.、1巻327頁[1982])、 ミコフェノール酸(ミュリガン等、Science、209巻1422頁[1980] )またはハイグロマイシン(サグデン等、Mol.Cell.Biol.、5巻410−413 頁[1985])を使用する。上に挙げた3つの例は、細菌遺伝子を真核生物の 調節の下で使用して、それぞれ適当な薬物G418またはネオマイシン(ジェネ ティシン)、xgpt(ミコフェノール酸)、またはハイグロマイシンに対する 耐性を伝達する。 哺乳動物細胞のための好適な選択マーカーのもう一つの例は、SMDF核酸の 取り込みに対してコンピテントな細胞の同定を可能にするマーカー、例えばDH FRまたはチミジンキナーゼである。哺乳動物細胞形質転換体を、マーカーを取 り込んだために形質転換体のみが特異に適合して生き残るという選択圧の下に置 く。培地中の選択薬物の濃度を連続的に変化させる条件の下で形質転換体を培養 することによって選択圧を課し、それにより選択遺伝子およびSMDFをコード しているDNAの両者の増幅を導く。増幅は、それによって、生育に必須の蛋白 の産生にとって極めて重要な遺伝子が、連続する世代の組換え細胞の染色体内部 で縦に反復される工程である。増幅されたDNAから、増加した量のSMDFが 合成される。増幅可能な遺伝子の別の例は、メタロチオネインIおよびII、好ま しくは霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデ カルボキシラーゼ等を包含する。 例えば、DHFR選択遺伝子により形質転換された細胞を、DHFRの競合的 アンタゴニストであるメソトレキサート(Mtx)を含む培地中で全形質転換体 を培養することによってまず同定する。野生型DHFRを使用する場合の適当な 宿主細胞は、ウアラウプおよびチェイシン、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77巻4 216頁(1980)による記載のように製造され増殖される、DHFR活性を 欠失するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)セルラインである。次にこの形 質転換された細胞を、増強させたレベルのメソトレキサートに暴露する。これに より多数のDHFR遺伝子のコピーの合成が導かれ、そして同時に、該発現ベク ターを含む他のDNA、例えばSMDFをコードしているDNAのコピーが多数 合成される。この増幅技術は、例えばMtxに対し高度に耐性な突然変異体DH FR遺伝子が使用されるならば、内因性DHFRの存在にも拘わらず、他の点で 好適な任意の宿主、例えばATCC No.CCL61 CHO−K1と共に利用 することができる(EP117060)。 別法として、SMDF、野生型DHFR蛋白、およびアミノグリコシド3−ホ スホトランスフェラーゼ(APH)のような他の選択マーカーをコードしている DNA配列により形質転換または同時形質転換された宿主細胞(特に内因性DH FRを含む野生型宿主)を、その選択マーカーに対する選択薬剤、例えばアミノ グリコシド抗生物質、例えばカナマイシン、ネオマイシン、またはG418を含 有する培地中での細胞増殖によって選択することができる。米国特許第4965 199号を参照されたい。 酵母での使用に好適な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7中に存在するt rp1遺伝子である(スティンチコウム等、Nature、282巻39頁[1979 ];キングズマン等、Gene、7巻141頁[1979];またはチェンパー等、 Gene、10巻157頁[1980])。trp1遺伝子は、トリプトファン中で 生育する能力を欠く酵母の突然変異株、例えばATCC No.44076また はPEP4−1のための選択マーカーを提供する(ジョーンズ、Genetics、85 巻12頁[1977])。そうすると、酵母宿主細胞ゲノム中のtrp1損傷の 存在が、トリプトファンの不在下で生育させることによる形質転換の検出のため の有効な環境を提供する。同様に、Leu2−欠失酵母株(ATCC20622 または38626)は、Leu2遺伝子を有する既知のプラスミドによって補完 される。 さらに、1.6μm環状プラスミドpKD1から誘導されるベクターは、クル イヴェロミセス酵母の形質転換に使用することができる。ビアンチ等、Curr.Gen et.、12巻185頁(1987)。より近年になって、組換え子牛キモシンの 大規模生産のための発現系がK.ラクティスについて報告された。ヴァン・デン ・バーグ、Bio/Technology、8巻135頁(1990)。クルイヴェロミセスの 工業的菌株による成熟組換えヒト血清アルブミンの分泌のための安定な多コピー 発現ベクターもまた開示された。フリーア等、Bio/Technology、9巻968−9 75頁(1991)。 (iv)プロモーター成分 発現およびクローニングベクターは通常、宿主生物により認識され且つSMD F核酸と機能的に結合しているプロモーターを含んでいる。プロモーターは、構 造遺伝子の開始コドンの上流(5')に位置する(一般に約100ないし100 0bp以内)翻訳されない配列であって、それらが機能的に結合している特定の 核酸配列、例えばSMDF核酸配列の転写および翻訳を調節する。このようなプ ロモーターは、典型的には二つのクラス、誘導性および構成性に分類される。誘 導性プロモーターは、培養条件の何らかの変化、例えば或る栄養素の存在もしく は不在、または温度の変化に応答したそれらの調節の下で、DNAからの増強さ れたレベルの転写を開始するプロモーターである。現時点において、可能性ある 様々な宿主細胞により認識される多数のプロモーターが良く知られている。これ らのプロモーターは、制限酵素消化によりそのプロモーターを供給源のDNAか ら取り出し、この分離されたプロモーター配列をベクター中に挿入することによ り、SMDFコード化DNAと機能的に結合する。天然SMDFプロモーター配 列および多くのヘテロローガスなプロモーターはいずれもSMDF DNAの直 接的増幅および/または発現に使用することができる。しかしながら、ヘテロロ ーガスなプロモーターは一般に、天然SMDFプロモーターと比較して、組換え により産生されるSMDFのより大量の転写および高い収量を可能にするため、 これが好ましい。 原核生物宿主と共に使用するのに好適なプロモーターには、β−ラクタマーゼ およびラクトースプロモーター系(チャング等、Nature、275巻615頁[1 978];およびゲッデル等、Nature、281巻544頁[1979])、アル カリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系(ゲッデル、Nu cleic Acids Res.、8巻4057頁[1980]およびEP36776)および tacプロモーターのようなハイブリッドプロモーター(デボーア等、Proc.Nat l.Acad.Sci.USA、80巻21−25頁[1983])が包含される。しかしなが ら、他の既知の細菌プロモーターもまた好適である。これらのヌクレオチド配列 は公表されており、それによって当業者は、必要な制限部位を供給するリンカー またはアダプターを使用して、それらをSMDFをコードしているDNAに機能 的にライゲーションすることができる(ジーベンリスト等、Cell、20巻269 頁[1980])。細菌系に使用するためのプロモーターはさらに、SMDFを コードしているDNAに機能的に結合したシャイン−ダルガルノ(S.D.)配列を も含んでいるであろう。 真核生物のためのプロモーター配列が知られている。実際全ての真核生物遺伝 子は、転写が開始される部位からおよそ25ないし30塩基上流に位置するAT に富む領域を持っている。多くの遺伝子の転写開始位置から70ないし80塩基 上流に見いだされるもう一つの配列は、CXCAAT領域(ここでXは任意のヌ クレオチドであってよい)である。殆どの真核生物遺伝子の3'末端には、コー ディング配列の3'末端にポリA尾を付加するためのシグナルとなり得るAAT AAA配列がある。これらの配列は全て真核生物の発現ベクター中に適切に挿入 される。 酵母宿主と共に使用するための好適なプロモーター配列の例は、3−ホスホグ リセラートキナーゼ(ヒッツェマン等、J.Biol.Chem.、255巻2073頁[1 980])またはその他の解糖酵素(ヘス等、J.Adv.Enzyme Reg.、7巻149 頁[1968];およびホランド、Biochemistry、17巻4900頁[1978 ])、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−燐酸デヒドロゲナーゼ、ヘ キソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グル コース−6−燐酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセラートムターゼ、ピルビン酸 キナーゼ、トリオース燐酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およ び グルコキナーゼのためのプロモーターを包含する。 増殖条件により転写が調節されるというさらなる利点を有する誘導性プロモー ターである、その他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イ ソチトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する減成酵素、メタロチオ ネイン、グリセルアルデヒド−3−燐酸デヒドロゲナーゼ、ならびにマルトース およびガラクトース利用を司る酵素のプロモーター領域である。酵母の発現で用 いられる好適なベクターおよびプロモーターは、ヒッツェマン等、EP7365 7にさらに記載されている。酵母のエンハンサーもまた酵母プロモーターと共に 有利に使用される。 哺乳動物宿主細胞におけるベクターからのSMDF転写は、プロモーターが宿 主細胞系に適合し得る限り、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス(19 89年7月5日公開のUK2211504)、アデノウイルス(例えばアデノウ イルス2)、ウシ乳頭腫ウイルス、鳥の肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、 レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよび最も好ましくはシミアンウイルス40 (SV40)のようなウイルスのゲノムから得られるプロモーター、ヘテロロー ガスな哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーターまたは免疫グロブリ ンプロモーターから、熱衝撃プロモーターから、そしてSMDF配列に通常付随 するプロモーターから得られるプロモーターによって調節される。 SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起 点をも含むSV40制限フラグメントとして簡便に得られる。フィアス等、Natu re、273巻113頁(1978);ミュリガンおよびバーグ、Science、20 9巻1422−1427頁(1980);パヴラキス等、Proc.Natl.Acad.Sci.U SA、78巻7398−7402頁(1981)。ヒトサイトメガロウイルスの即 時初期プロモーターは、HindIII E制限フラグメントとして簡便に得られる 。グリーナウェイ等、Gene、18巻355−360頁(1982)。ベクターと してウシ乳頭腫ウイルスを用いて哺乳動物宿主でDNAを発現する系が米国特許 第4419446号に開示されている。この系の修飾は米国特許第460197 8号に記載されている。さらに、サルの細胞での免疫インターフェロンをコード し ているcDNAの発現に関するグレイ等、Nature、295巻503−508頁( 1982);単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの調節 下でのマウス細胞におけるヒトβインターフェロンcDNAの発現に関するレイ エス等、Nature、297巻598−601頁(1982);培養されたマウスお よびウサギの細胞におけるヒトインターフェロンβ1遺伝子の発現に関するキャ ナーニおよびバーグ、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、79巻5166−5170頁( 1982);ならびに、プロモーターとしてラウス肉腫ウイルスの長い末端反復 配列を用いた、CV−1サル腎臓細胞、鶏の胚線維芽細胞、チャイニーズハムス ター卵巣細胞、HeLa細胞、およびマウスNIH−3T3細胞における細菌C AT配列の発現に関するゴーマン等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、79巻6777 −6781頁(1982)を参照されたい。 (v)エンハンサー要素成分 本発明に係るSMDFをコードしているDNAの、高等真核生物による転写は 、しばしばベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増強される。 エンハンサーは、プロモーターに作用してその転写を増強する、通常約10ない し300bpの、cis作動要素のDNAである。エンハンサーは相対的に、方 向および位置に独立しており、転写ユニットの5'(ライミンズ等、Proc.Natl.A cad.Sci.USA、78巻993頁[1981])および3'(ラスキー等、Mol.Cell Bio.、3巻1108頁[1983])、イントロン内部(バネルジ等、Cell、 33巻729頁[1983])、ならびにコーディング配列自身の内部(オスボ ーン等、Mol.Cell Bio.、4巻1293頁[1984])に、見いだされている 。哺乳動物遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン 、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、およびインシュリン)。 しかしながら、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが使用される であろう。例には、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(bp100−2 70)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期 側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが包含される 。真核生物プロモーターの活性化のための増強要素についてのヤニヴ、Nature、 2 97巻17−18頁(1982)もまた参照されたい。エンハンサーはSMDF コード化配列の5'または3'位でベクター中にスプライスされ得るが、好ましく はプロモーターから5'部位に位置する。 (vi)転写終止成分 真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、人間、または他の多細胞生物 由来の有核細胞)に使用される発現ベクターはさらに、転写の終止およびmRN Aの安定化に必要な配列を含むであろう。このような配列は普通、真核生物のま たはウイルスのDNAまたはcDNAの5'および時には3'非翻訳領域から取得 することができる。これらの領域は、SMDFをコードしているmRNAの非翻 訳部分にポリアデニル化フラグメントとして転写されるヌクレオチドセグメント を含んでいる。 (vii)ベクターの組み立ておよび分析 上に列挙された構成成分の1またはそれ以上を含む適当なベクターの組み立て には、標準的ライゲーション技術を使用する。分離されたプラスミドまたはDN Aフラグメントを開裂させ、整え、そして必要なプラスミドの生成のために望ま れる型に再ライゲーションする。 組み立てられたプラスミドが正しい配列であることを確認する分析のために、 ライゲーション混合物を用いてE.coli K12菌株294(ATCC N o.31446)を形質転換し、成功した形質転換体を適宜アンピシリンまたは テトラサイクリン耐性によって選択する。形質転換体からプラスミドを調製し、 制限エンドヌクレアーゼ消化により分析し、そして/またはメシング等、Nuclei c Acids Res.、9巻309頁(1981)の方法によって、またはマクサム等、 Methods in Enzymology、65巻499頁(1980)の方法によって配列決定 する。 (viii)一過性発現ベクター 哺乳動物細胞においてSMDFをコードしているDNAの一過性発現を提供す る発現ベクターは、本発明の実施において特に有用である。一般に、一過性発現 は、宿主細胞が発現ベクターの多数のコピーを蓄積し、次にその発現ベクターに よりコードされている所望のポリペプチドを高レベルで合成するように、宿主細 胞中で効率的に複製できる発現ベクターを使用することを含む。サムブルック等 、上記、16.17−16.22頁。適当な発現ベクターおよび宿主細胞を含む 一過性発現系は、クローニングされたDNAによりコードされているポリペプチ ドの簡便な正の同定、および、所望の生物学的または生理学的性質についての係 るポリペプチドの迅速なスクリーニングを可能にする。よって、一過性発現系は 、生物学的に活性なSMDFである天然配列SMDFの類似体および変異体を同 定する目的のために本発明において特に有用である。 (ix)好適な例示的脊椎動物細胞ベクター 組換え脊椎動物細胞培養でのSMDFの合成に当てはめるのに好適なその他の 方法、ベクター、および宿主細胞は、ゲシング等、Nature、293巻620−6 25頁(1981);マンテイ等、Nature、281巻40−46頁(1979) ;EP117060;およびEP117058に記載されている。SMDFの哺 乳動物細胞培養産生にとって特に有用なプラスミドは、pRK5(EP3072 47)またはpSVI6B(1991年6月13日公開のWO91/08291 号)である。pRK5誘導体pRK5B(ホルメス等、Science、253巻12 78−1280頁[1991])は、本発明においてこのような発現にとって特 に好適である。 D.宿主細胞の選択および形質転換 本明細書に記載のベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞は、原 核生物、酵母、または上記の高等真核生物細胞である。この目的にとって適当な 原核生物は、真性細菌、例えばグラム陰性またはグラム陽性菌、例えばエシェリ チアのような腸内菌科、例えば大腸菌、エンテロバクター、エルウィニア、クレ ブシエラ、プロテウス、サルモネラ、例えばサルモネラ・ティフィムリウム、セ ラティア、例えばセラティア・マルセスキャンス、およびシゲラ、ならびにB. サブティリスおよびB.リチェニフォルミス(例えば1989年4月12日公開 のDD266710に開示されるB.リチェニフォルミス41P)のようなバシ リ、P.アエルギノーサのようなシュードモナス、およびストレブトミセスを包 含する。一つの好ましい大腸菌クローニング宿主はE.coli294(ATC C31446)であるが、E.coli B、E.coli X1776(ATC C31537)、E.coli DH5α、およびE.coli W3110(A TCC27325)のようなその他の菌株もまた適当である。これらの例は限定 的ではなく例示的なものである。菌株W3110は、組換えDNA産物発酵のた めの一般的な宿主菌株であるため、これが一つの特に好ましい宿主または親宿主 である。好ましくは、宿主細胞は最少量の蛋白分解酵素を分泌すべきである。例 えば、菌株W3110は、宿主にとって内因性の蛋白をコードしている遺伝子に 遺伝的突然変異が起こるように修飾することができ、そのような宿主の例には、 完全な遺伝子型tonA△を有するE.coli W3110菌株1A2;完全 な遺伝子型tonA △ptr3を有するE.coli W3110菌株9E4; 完全な遺伝子型tonA ptr3 phoA△E15 △(argF−lac) 169 △degP △ompT kanrを有するE.coli W3110菌株 27C7(ATCC55244);完全な遺伝子型tonA ptr3 phoA △E15 △(argF−lac)169 △degP △ompT △rbs7i lvG kanrを有するE.coli W3110菌株37D6;非カナマイシ ン耐性degP除去突然変異を有する菌株37D6である、E.coli W3 110菌株40B4;および1990年8月7日登録の米国特許第494678 3号に開示される、突然変異体ペリプラズムプロテアーゼを有する大腸菌株が包 含される。別法として、インビトロのクローニング法、例えばPCRまたはその 他の核酸ポリメラーゼ反応もまた好適である。 原核生物に加えて、糸状菌または酵母のような真核微生物は、SMDFをコー ドしているベクターのための好適なクローニングまたは発現宿主である。サッカ ロミセス・セレヴィシアエ、またはパン酵母は、下等真核宿主微生物の中で最も 一般的に用いられる。しかしながら、幾つかのその他の属、種、および菌株、例 えばシゾサッカロミセス・ポンベ(ビーチおよびナース、Nature、290巻14 0頁[1981];1985年5月2日公開のEP139383)、クルイヴェ ロミセス宿主(米国特許第4943529号;フリーア等、上記)、例えばK. ラクティス(MW98−8C、CBS683、CBS4574;ルーヴェンコー ト等、J.Bacteriol.、737頁[1983])、K.フラギリス(ATCC12 424)、K.ブルガリクス(ATCC16045)、K.ウィッケラミイ(A TCC24178)、K.ワルティイ(ATCC56500)、K.ドゥロソフ ィラルム(ATCC36906;ヴァン・デン・バーグ等、上記)、K.サーモ トレランス、およびK.マルクシアヌス;ヤロウィア(EP402226)、ピ チア・パストリス(EP183070;スリークリシュナ等、J.Basic Microbio l.、28巻265−278頁[1988]);カンディダ;トリコデルマ・リー シア(EP244234);ニューロスポラ・クラッサ(ケイス等、Proc.Natl. Acad.Sci.USA、76巻5259−5263頁[1979]);シュワニオミセス ・オクシデンタリスのようなシュワニオミセス(1990年10月31日公開の EP394538);および糸状菌、例えばニューロスポラ、ペニシリウム、ト リポクラディウム(1991年1月10日公開のWO91/00357)、およ びアスペルギルス宿主、例えばA.ニデュランス(バランス等、Biochem.Biophy s.Res.Commun.、112巻284−289頁[1983];ティルバーン等、Gen e、26巻205−221頁[1983];イェルトン等、Proc.Natl.Acad.Sci. USA、81巻1470−1474頁[1984])およびA.ニガー(ケリーお よびハインズ、EMBO J.、4巻475−479頁[1985])もまた一般的に 利用でき且つ本発明において有用である。 SMDFの産生のための好適な宿主細胞が、多細胞生物から誘導される。この ような宿主細胞は、複雑なプロセシングおよびグリコシル化活動が可能である。 原則として、脊椎動物または無脊椎動物培養由来の如何に拘わらず、任意の高等 真核生物細胞培養が使用可能である。無脊椎動物細胞の例には、植物および昆虫 細胞が包含される。多数のバキュロウイルス株および変異体ならびに、スポドプ テラ・フルギペルダ(毛虫)、アエデス・アエジプティ(蛾)、アエデス・アル ボピクトゥス(蛾)、ドゥロソフィラ・メラノガスター(ショウジョウバエ)、 およびボンビクス・モリのような宿主からの対応する受容可能な昆虫宿主細胞が 特定されている。例えば、ラッコウ等、Bio/Technology、6巻47−55頁(1 988);ミラー等、Genetic Engineering、J.K.セットロウ等編、8巻(プレナ ム・パブリッシング、1986)、277−279頁;およびマエダ等、Nature 、315巻592−594頁(1985)を参照されたい。トランスフェクション のための様々なウイルス株、例えばオートグラファ・カリフォルニカNPVのL −1変異体およびボンビクス・モリNPVのBm−5株が広く入手可能であり、 このようなウイルスは、本発明に従い本明細書に記載のウイルスとして、特にス ポドブテラ・フルギペルダ細胞のトランスフェクションに使用することができる 。 綿花、トウモロコシ、馬鈴薯、大豆、ペチュニア、トマト、およびタバコとい った植物細胞培養を宿主として利用できる。典型的には、SMDF DNAを含 むよう前もって操作しておいた細菌アグロバクテリウム・トゥメファシエンスの 或る菌株と共にインキュベートすることにより、植物細胞をトランスフェクトす る。A.トゥメファシエンスと共に植物細胞培養をインキュベートする間に、こ の植物細胞宿主がトランスフェクトされるようにSMDFをコードしているDN Aがその植物細胞宿主に移され、そして適当な条件の下でSMDF DNAを発 現する。加えて、ノパリンシンターゼプロモーターおよびポリアデニル化シグナ ル配列のような植物細胞と適合し得る調節およびシグナル配列が利用できる。デ ピッカー等、J.Mol.Appl.Gen.、1巻561頁(1982)。さらに、T−DN A780遺伝子の上流領域から分離されるDNAセグメントは、組換えDNA含 有植物組織中の植物発現遺伝子の転写レベルを活性化または増強することができ る。1989年6月21日公開のEP321196。 しかしながら、脊椎動物細胞への関心が最も高く、培養(組織培養)中での脊 椎動物細胞の増殖は、近年常套的手法となっている(ティシュー・カルチャー、 アカデミック・プレス、クルースおよびパターソン編[1973])。有用な哺 乳動物宿主セルラインの例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1セ ルライン(COS−7、ATCC CRL1651);ヒト胚腎臓ライン(29 3または懸濁培養での増殖のためにサブクローニングされた293細胞。グラハ ム等、J.Gen Virol.、36巻59頁[1977]。);ハムスター乳児腎細胞( BHK、ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHF R(CHO、ウアラウプおよびチェイシン、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77巻4 216頁[1980]);マウスセルトリ細胞(TM4、マザー、Biol.Reprod. 、23巻243−251頁[1980]);サル腎細胞(CV1 ATCC CC L70);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76、ATCC CRL−1 587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL2);イヌ腎細胞( MDCK、ATCC CCL34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A、 ATCC CRL1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL75); ヒト肝細胞(Hep G2、HB8065);マウス乳房腫瘍細胞(MMT 06 0562、ATCC CCL51);TRI細胞(マザー等、Annals.N.Y.Acad.S ci.、383巻44−68頁[1982]);MRC 5細胞;FS4細胞;およ びヒト肝癌ライン(Hep G2)である。 宿主細胞を本発明に係る上記の発現またはクローニングベクターでトランスフ ェクトし、そしてプロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望配列をコ ードしている遺伝子の増幅のために適宜修飾した常套的栄養培地で培養する。 多数のトランスフェクションの方法が当業者に知られている。例えば、サムブ ルック等、上記、の1.82項に記載される塩化カルシウムを使用するカルシウ ム処理、または電気穿孔は、原核生物または実質的な細胞壁障壁を含むその他の 細胞に対して一般的に使用される。シャウ等、Gene、23巻315頁(1983 )および1989年6月29日公開のWO89/05859に記載されるように 、アグロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染が、或る植物細胞の形質 転 換に使用される。さらに、1991年1月10日公開のWO91/00358に 記載のように、超音波処理を用いて植物をトランスフェクトすることができる。 このような細胞壁の無い哺乳動物細胞に対しては、グラハムおよびヴァン・デ ル・エプ、Virology、52巻456−457頁(1978)の燐酸カルシウム沈 澱法が好ましい。哺乳動物細胞宿主系の形質転換の一般的側面は、アクセルによ り1983年8月16日登録の米国特許第4399216号に記載されている。 酵母の形質転換は、典型的には、ヴァン・ゾーリンゲン等、J.Bact.、130巻 946頁(1977)およびシャオ等、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、76巻38 29頁(1979)の方法に従って実施する。しかしながら、DNAを細胞中に 導入するその他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、電気穿孔、無傷 の細胞、またはポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細 菌プロトプラスト融合もまた使用できる。哺乳動物細胞を形質転換するための様 々な技術については、ケオウン等、Methods in Enzymology、185巻527− 537頁(1990)およびマンサー等、Nature、336巻348−352頁( 1988)を参照されたい。 E.宿主細胞の培養 SMDFまたはSMDF変異体の産生に使用される原核細胞は、サムブルック 等、上記、に一般的に記載される適当な培地で培養される。 本発明に係るSMDFの産生に使用される哺乳動物宿主細胞は様々な培地で培 養することができる。ハムのF−10(シグマ)、F−12(シグマ)、最少必 須培地([MEM]、シグマ)、RPMI−1640(シグマ)、ダルベッコの 改良イーグル培地([D−MEM]、シグマ)、およびD−MEM/F−12( ジブコBRL)のような市販品が入手できる培地が、当該宿主細胞の培養に適し ている。さらに、例えばハムおよびワレス、Methods in Enzymology、58巻4 4頁(1979);バーンズおよびサトー、Anal.Biochem.、102巻255頁 (1980);米国特許第4767704号;4657866号;492776 2号;5122469号;もしくは4560655号;米国特許Re.第309 85号;WO90/03430;またはWO87/00195に記載される任意 の培 地を当該宿主細胞のための培養基として使用することができる。これらの培地は いずれも、ホルモンおよび/またはその他の成長因子(例えばインシュリン、ト ランスフェリン、アプロチニン、および/または表皮成長因子[EGF])、塩 類(例えば塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、および燐酸塩)、緩衝 剤(例えばHEPES)、ヌクレオシド(例えばアデノシンおよびチミジン)、 抗生物質(例えばゲンタマイシン(商標)薬)、微量元素(通常最終濃度がマイ クロモルの範囲で存在する無機化合物と定義される)、およびグルコースまたは 同等のエネルギー源を、必要に応じて添加することができる。他に必要な添加物 があればそれもまた、当業者により知られる適当な濃度で含有させることができ る。温度、pH等といった培養条件は、発現のために選択された宿主細胞につい てかつて用いられた条件であり、当業者には明らかであろう。 一般に、インビトロ哺乳動物細胞培養の生産性を最大化するための原則、プロ トコル、および実用技術は、ママリアン・セル・バイオテクノロジー:ア・プラ クティカル・アプローチ、M.バトラー編(IRLプレス、1991)に見いだす ことができる。 本明細書中で言及される宿主細胞は、インビトロ培養中の細胞および宿主動物 内にある細胞を包含する。 F.遺伝子の増幅/発現の検出 遺伝子の増幅および/または発現は、例えば、本明細書中に供される配列に基 づき、適当に標識されたプローブを用いて、常套的サザンブロッティング、mR NAの転写を定量するためのノーザンブロッティング(トマス、Proc.Natl.Acad .Sci.USA、77巻5201−5205頁[1980])、ドットブロッティング (DNA分析)、またはインシトゥハイブリダイゼーションによって直接試料中 で測定することができる。様々な標識、最も一般的には放射性同位元素、特に32 Pが使用できる。しかしながら、ポリヌクレオチド中への導入のためのビオチン 修飾されたヌクレオチドの使用といったようなその他の技術を利用することもで きる。次いでこのビオチンは、広範囲の標識、例えば放射性核種、蛍光剤、酵素 等で標識することのできるアビジンまたは抗体への結合部位として働く。別法と して、DNA二本鎖、RNA二本鎖、およびDNA−RNAハイブリッド二本鎖 またはDNA−蛋白二本鎖を包含する特異的二本鎖を認識できる抗体を使用する こともできる。次いで、抗体を標識し、検定を実施することができるが、ここで この二本鎖は表面に結合しており、その結果、表面での二本鎖の形成の時点でそ の二本鎖に結合した抗体の存在が検出できる。 別法として、遺伝子の発現を、組織切片の免疫組織化学的染色および細胞培養 または体液の検定といった免疫学的方法により測定して、遺伝子産物の発現を直 接定量することもできる。免疫組織化学的染色技術では、典型的には脱水および 固定により細胞試料を作成し、その後、結合した遺伝子産物に対し特異的な標識 化抗体と反応させるが、この標識は通常、酵素的標識、蛍光標識、ルミネセンス 標識等のような視覚的に検出できるものである。本発明における使用に好適な特 に鋭敏な染色技術は、シュー等、Am.J.Clin.Path.、75巻734−738頁( 1980)に記載されている。 試料液の免疫組織化学的染色および/または検定に有用な抗体は、モノクロー ナルまたはポリクローナルのいずれかであってよく、任意の哺乳動物で作製する ことができる。簡便には、この抗体は、下の第7項にさらに記載されるように、 天然配列SMDFポリペプチドに対して、または本明細書に供されるDNA配列 に基づく合成ペプチドに対して作製することができる。 G.SMDFポリペプチドの精製 SMDFは、好ましくは分泌されたポリペプチドとして培養基から回収される が、宿主細胞溶菌液から回収することもできる。 SMDFがヒト起源以外の組換え細胞で発現される場合、このSMDFは、ヒ ト起源の蛋白またはポリペプチドを全く含んでいない。しかしながら、SMDF に関して実質上均質な製品を得るためには、SMDFを細胞蛋白またはポリペプ チドから精製することが必要である。第一段階として、例えば遠心または限外濾 過によって粒状の細胞残屑、宿主細胞または溶菌されたフラグメントを除去する 。所望により、市販品を入手し得る蛋白濃縮フィルターで蛋白を濃縮し、その後 このSMDFを、ヘパリンセファロースクロマトグラフィー、免疫親和クロマト グ ラフィー、イオン交換カラム分画(例えばDEAEまたはカルボキシメチルもし くはスルホプロピル基を含むマトリックスによる)ブルーセファロース、CMブ ルーセファロース、MONO−Q、MONO−S、レンズマメレクチン−セファ ロース、WGAセファロース、ConA−セファロース、エーテルトヨパール、 ブチルトヨパール、フェニルトヨパール、もしくはプロテインAセファロース上 のクロマトグラフィー、SDS−PAGEクロマトグラフィー、シリカクロマト グラフィー、クロマトフォーカシング、逆相HPLC(例えば脂肪族基を付加さ せたシリカゲル)、例えばセファデックス分子篩またはサイズ排除クロマトグラ フィーを用いるゲル濾過、SMDFと選択的に結合するカラム上でのクロマトグ ラフィー、およびエタノールまたは硫酸アンモニウム沈澱、から選択される1ま たはそれ以上の工程により、他の不純物から分離する。蛋白分解を阻害するため に、プロテアーゼインヒビターを前記工程のいずれかに使用することができ、ま た、偶発的汚染物質の成長を防止するため、抗生物質を含有させることができる 。好適なプロテアーゼインヒビターの例には、フェニルメチルスルホニルフルオ リド(PMSF)、ロイペプチン、ペプスタチン、アプロチニン、4−(2−ア ミノエチル)−ベンゼンスルホニルフルオリドヒドロクロリド−ベスタチン、キ モスタチン、およびベンズアミジンが包含される。 残基が除去され、挿入され、または置換されたSMDF変異体は、その変異に より惹起された実質的な性質の変化を考慮に入れて、天然配列SMDFと同じ様 式で回収される。例えば、タグポリペプチド、例えば細菌またはウイルス抗原と のSMDF融合物の製造は、その融合ポリペプチドを吸着する抗原に対する抗体 を含む免疫親和カラムを使用する精製を促進する。ウサギポリクローナル抗SM DFカラムのような免疫親和カラムを使用して、少なくとも1個の残存している 免疫エピトープとSMDF変異体を結合させることにより、SMDF変異体を吸 収することができる。 当業者には、天然配列SMDFに好適な精製法は、組換え細胞培養中での産生 時のSMDFまたはその変異体の性質の変化を説明できる修飾が必要となり得る という事が理解できるであろう。 H.SMDFポリペプチドの共有結合的修飾 SMDFポリペプチドの共有結合的修飾は本発明の範囲内に包含される。天然 配列SMDFおよびそのアミノ酸配列変異体の両者は共有結合的に修飾すること ができる。本発明の範囲内に包含される共有結合的修飾の一つの型は、SMDF フラグメントの製造である。約40までのアミノ酸残基を有するSMDFフラグ メントは、化学合成または全長のもしくは変異体のSMDFポリペプチドの酵素 的または化学的開裂によって簡便に製造することができる。SMDFもしくはそ のフラグメントの共有結合的修飾の別の型は、SMDFもしくはそのフラグメン トの標的アミノ酸残基を、選ばれた側鎖またはNもしくはC末端残基と反応でき る有機誘導体形成試薬と反応させることによって、当該分子中に導入される。 システイン残基は、最も一般的にはα−ハロアセタート(および対応するアミ ン)、例えばクロロ酢酸またはクロロアセトアミドと反応させてカルボキシメチ ルまたはカルボキシアミドメチル誘導体を得る。システイン残基はまた、ブロモ トリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、 クロロアセチルホスファート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリ ジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロ水銀ベンゾア ート、2−クロロ水銀−4−ニトロフェノール、またはクロロ−7−ニトロベン ゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応により、誘導体化される。 ヒスチジン残基はpH5.5−7.0でジエチルピロカルボナートとの反応に より誘導体化されるが、これは、この試薬がヒスチジン側鎖に対し相対的に特異 的であるためである。p−ブロモフェナシルブロミドもまた有用であり、この反 応は好ましくは0.1Mカコジル酸ナトリウム中pH6.0で実施する。 リジンおよびアミノ末端残基は無水琥珀酸またはその他のカルボン酸無水物と 反応する。これらの試薬を用いた誘導体形成は、リジン残基の電荷を逆転させる 効果を有する。α−アミノ含有残基を誘導体化するためのその他の好適な試薬は 、イミドエステル類、例えばメチルピコリンイミダート、燐酸ピリドキサル、ピ リドキサル、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチル イソ尿素、2,4−ペンタンジオン、およびグリオキシラートを用いたトランス ア ミナーゼにより触媒される反応を包含する。 アルギニン残基は1または数種の常套的試薬との反応により修飾され、それら の中にはフェニルグリオキサル、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサン ジオン、およびニンヒドリンがある。アルギニン残基の誘導体化は、グアニジン 官能基の高いpKaのため、反応をアルカリ条件で行う必要がある。さらに、こ れらの試薬は、アルギニンのε−アミノ基と同時にリジンの基とも反応するかも 知れない。 チロシン残基の特異的修飾は、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロ メタンとの反応によるチロシン残基へのスペクトル標識の導入に特段の興味を伴 って行うことができる。最も一般的には、N−アセチルイミジゾールおよびテト ラニトロメタンを使用して、それぞれO−アセチルチロシル種および3−ニトロ 誘導体が形成される。チロシン残基は、ラジオイムノアッセイに使用するための 標識化蛋白を製造するために125Iまたは131Iを用いてヨウ素化され、上記のク ロラミンT法が適当である。 カルボキシ側鎖(アスパルチルまたはグルタミル)は、カルボジイミド(R− N=C=N−R')[式中、RおよびR'は異なるアルキル基である]、例えば1 −シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミドまた は1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミ ドとの反応により、選択的に修飾される。さらに、アスパラギン酸およびグルタ ミン酸残基はアンモニウムイオンとの反応により、アスパラギンおよびグルタミ ン残基に変換される。 二価の試薬による誘導体形成は、抗SMDF抗体の精製のための方法で使用す るための、水不溶性支持体マトリックスまたは表面へのSMDFの架橋にとって 有用であり、逆もまた同様である。一般的に用いられる架橋剤は、例えば1,1 −ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒ ドロキシスクシンイミドエステル類、例えば、4−アジドサリチル酸とのエステ ル、3,3'−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオナート)のようなジスクシ ンイミジルエステル類を包含するホモ二価イミドエステル類、およびビス−N− マレイミド−1,8−オクタンのような二価マレイミド類を包含する。メチル− 3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミダートのような誘導体形成 試薬は、光の存在下で架橋を形成することのできる光活性化中間体を生成する。 別法として、臭化シアン活性化炭水化物のような反応性水不溶性マトリックスお よび米国特許第3969287号;3691016号;4195128号;42 47642号;4229537号;および4330440号に記載の反応性基質 が、蛋白の固定化に使用される。 グルタミンおよびアスパラギン残基はしばしば、各々対応するグルタミン酸お よびアスパラギン酸残基に脱アミド化される。これらの残基は中性または塩基性 条件下で脱アミド化される。これらの残基の脱アミド化型は本発明の範囲内にあ る。 その他の修飾には、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリンまたはス レオニン残基のヒドロキシ基の燐酸化、リジン、アルギニン、およびヒスチジン 側鎖のαアミノ基のメチル化(T.E.クレイトン、プロテインズ:ストラクチャー ・アンド・モレキュラー・プロパティーズ、W.H.フリーマン・アンド・Co.、 サンフランシスコ、79−86頁[1983])、N末端アミンのアセチル化、 およびC末端カルボキシ基のアミド化が包含される。 本発明の範囲に包含されるSMDFポリペプチドの共有結合的修飾のもう一つ の型は、該ポリペプチドの天然グリコシル化パターンの変更を含む。変更とは、 天然配列SMDF中に見いだされる1またはそれ以上の炭水化物部分を除去し、 そして/または天然配列SMDFに存在しない1またはそれ以上のグリコシル化 部位を付加することを意味する。 ポリペプチドのグリコシル化は典型的にはN結合またはO結合のいずれかであ る。N結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を指す。トリ ペプチド配列アスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニン[ ここでXは、プロリン以外の任意のアミノ酸である]が、アスパラギン側鎖への 炭水化物部分の酵素的結合のための認識配列である。したがって、これらのトリ ペプチド配列のいずれかがポリペプチド中に存在すると、可能性あるグリコシル 化 部位が作り出される。O結合グリコシル化とは、糖N−アセチルガラクトサミン 、ガラクトース、またはキシロースのうちの一つが、ヒドロキシアミノ酸、最も 一般的にはセリンまたはスレオニンに結合することを指すが、5−ヒドロキシプ ロリンまたは5−ヒドロキシリジンが使われることもある。 SMDFポリペプチドへのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列が、上記 トリペプチド配列の1またはそれ以上を含むよう、該アミノ酸配列を変化させる ことにより、簡便に達成される(N結合グリコシル化部位の場合)。この変化は 、天然配列SMDF配列への1またはそれ以上のセリンまたはスレオニン残基の 付加、またはそれらによる置換によっても行うことができる(O結合グリコシル 化部位の場合)。容易にするためには、天然SMDFアミノ酸配列は、好ましく はDNAレベルでの変化によって、特に、天然配列SMDFポリペプチドをコー ドしているDNAを、所望アミノ酸に翻訳されるようなコドンが生成するように 、前もって選択された塩基の位置で突然変異させることによって変化させる。こ のDNA突然変異は、上の2B項に記載された方法を用いて行うことができる。 SMDFポリペプチド上の炭水化物部分の数を増す、もう一つの手段は、該ポ リペプチドへのグリコシドの化学的または酵素的結合によるものである。これら の方法は、NまたはO結合グリコシル化のためのグリコシル化能を有する宿主細 胞中で該ポリペプチドを産生させる必要が無いという点で有利である。使用され る結合様式に応じて、糖は、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)遊離カ ルボキシ基、(c)遊離スルフヒドリル基、例えばシステインの遊離スルフヒド リル基、(d)遊離ヒドロキシ基、例えばセリン、スレオニン、またはヒドロキ シプロリンの遊離ヒドロキシ基、(e)芳香族残基、例えばフェニルアラニン、 チロシン、またはトリプトファンの芳香族残基、または(f)グルタミンのアミ ド基、に結合することができる。これらの方法は、1987年9月11日公開の WO87/05330、およびアプリンおよびリストン、CRC Crit.Rev.Biochem .、259−306頁(1981)に記載されている。 SMDFポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的または酵素 的に達成できる。化学的脱グリコシル化は、該ポリペプチドを、化合物トリフル オロメタンスルホン酸、または同等の化合物に暴露させる必要がある。この処理 は、該ポリペプチドを無傷のまま残しつつ、結合糖(N−アセチルグルコサミン またはN−アセチルガラクトサミン)以外の殆どまたは全ての糖の開裂をもたら す。化学的脱グリコシル化は、ハキムディン等、Arch.Biochem.Biophys.、25 9巻52頁(1987)およびエッジ等、Anal.Biochem.、118巻131頁( 1981)に記載されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的開裂は、 ソタクラ等、Meth.Enzymol.,138巻350頁(1987)に記載のような様 々なエンドおよびエキソグリコシダーゼの使用によって達成することができる。 可能性あるグリコシル化部位でのグリコシル化は、ダスキン等、J.Biol.Chem. 、257巻3105頁(1982)に記載されるように化合物ツニカマイシンの 使用によって防止することができる。ツニカマイシンは、蛋白−N−グリコシド 結合の形成を遮断する。 SMDFの共有結合的修飾のもう一つの型は、米国特許第4640835号; 4496689号;4301144号;4670417号;4791192号ま たは4179337号に開示される方法で、SMDFポリペプチドを、様々な非 蛋白性ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、 またはポリオキシアルキレン類のうちの一つに結合させることを含む。 SMDFはさらに、例えばコアセルベーション技術または界面重合によって製 造されたマイクロカプセル(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースまた はゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ[メチルメタクリラート]マイクロカ プセル)に、コロイド薬物デリバリー系(例えばリポソーム、アルブミンミクロ スフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)に、またはマ クロエマルジョンに捕捉することができる。このような技術はレミントンズ・フ ァーマシューティカル・サイエンシズ、16版、A.オスロ編(1980)に開示 されている。 I.生物活性SMDF変異体のためのスクリーニング アミノ酸配列変異体および共有結合変異体が作成されたならば、生物学的にそ して/または抗原的に活性である分子についてスクリーニングするのが常法であ る。本明細書に開示される競合型イムノアッセイは、その変異体が天然配列SM DF(即ち抗原的に活性なSMDF)に対して作製された抗体と交差反応できる か否かを決定するために使用することができる。生物活性SMDF変異体につい てスクリーニングするための二つの常套的検定を下に記載する。酸化還元または 熱安定性、疎水性、蛋白分解的減成の受け易さ、または担体とのもしくは多量体 への凝集傾向といったような蛋白またはポリペプチドの性質のその他の可能性あ る修飾は、当分野で良く知られる方法によって検定される。 (i)erbBレセプターKIRA−ELISA この検定は、SMDF変異体がerbBレセプターを活性化する能力を定性的 および定量的に測定するために有用である。以下の記述はerbBレセプターに ついて言及しているが、KIRA−ELISAは、容易に改変して、選択された SMDF変異体によるerbB3またはerbB4レセプターの活性化を分析す ることができる。 ポリクローナル抗HER2抗体は、HER2分子の細胞外ドメインで免疫した ニュージーランドホワイト家兎由来のプールされた免疫血清から分離する(フェ ンドゥリー等、Journal of Biological Response Modifiers、9巻449−45 5頁[1990])。rHER2 ECD特異抗体を、アビドゲルFにコンジュ ゲートさせたrHER2ECDから作成した親和カラムで、FPLC(ファルマ シア・バイオテク、Inc.、ピスカタウェイ、NJ)を用いて親和精製する。 燐酸緩衝化塩類溶液(PBS)(pH7.4)中の得られた精製抗体保存液を− 20℃で保存する。モノクローナル抗ホスホチロシン、クローン4G10はアプ ステイト・バイオロジカルズ、Inc(UBI、レイクプラシッド、NY)より 購入し、長腕ビオチン−N−ヒドロキシスクシンアミド(ビオチン−X−NHS 、リサーチ・オーガニクス、クリーヴランド、OH)を用いてビオチニル化する ことができる。上記のようにSMDFを製造しそして均質となるまで精製し、例 えばトリス/HCl、H7.5中の保存溶液として4℃で保存する。 ヒト乳腺癌から分離される関連セルラインMCF−7(ATCC−HTB22 )は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC、ロックヴィ ル、 MD)から入手できる。MCF−7細胞は、測定可能レベルのp185HER2、p 185HER3およびp185HER4を産生することが示されている。この細胞を組織 培養フラスコ(コーニング・Inc.、コーニング、NY)中に維持し、60% ないし75%密集の細胞密度の時点で利用する。細胞はF12/DMEM50: 50(ジブコ/BRL、ライフ・テクノロジーズ、グランド・アイランド、NY )中で生育させることができる。培地中のMCF−7細胞を、平底96ウェル培 養プレートの各ウェルに加え、5%CO2中37℃で一夜培養する。翌朝ウェル の上清をデカンテーションし、プレートをペーパータオル上で軽く突き固める。 次に、培養基(対照)、天然配列SMDFまたは変異体SMDFのいずれかを含 有する培地を各ウェルに加える。この細胞を37℃で約30分間刺激し、ウェル の上清をデカンテーションし、そしてプレートを再度ペーパータオル上で軽く突 き固める。細胞を溶菌しレセプターを可溶化するため、溶菌緩衝液100μlを 各ウェルに加える。溶菌緩衝液は、50mM HEPES(ジブコ)、0.5% トリトン−X 100(ジブコ)、0.01%チメロサール、30KIU/ml アプロチニン(ICNバイオケミカルズ、オーロラ、OH)、1mM 4−(2 −アミノエチル)−ベンゼンスルホニルフルオリドヒドロクロリド(AEBSF ;ICNバイオケミカルズ)、50μMロイペプチン(ICNバイオケミカルズ )、および2mMオルトバナジン酸ナトリウム(Na3VO4、シグマ・ケミカル ・Co.、セントルイス、MO)、pH7.5、を含有する150mM NaC lで構成される。次にこのプレートを、室温で60分間プレート振盪機(ベルコ ・インストゥルメンツ、ヴァインランド、NJ)上で穏やかに振盪する。 細胞が可溶化される間に、親和精製されたポリクローナル抗HER2 ECD (炭酸緩衝液中pH9.6、100μl/ウェル)で4℃で一夜被覆されたEL ISA微量定量プレート(ナンク・マキシソープ、インター・メド、デンマーク )をデカンテーションし、ペーパータオル上で突き固め、ブロック・バッファー [0.5%BSA(インタージェン・カンパニー、パーチェス、NY)および0 .01%チメロサールを含有するPBS]150μl/ウェルで、穏やかに振盪 しながら室温で60分間ブロックする。60分後、抗HER2被覆されたプレー トを 自動プレート洗浄器(スキャンウォッシャー300、スキャトロン・インストゥ ルメンツ、Inc.、スターリング、VA)を使用し洗浄緩衝液(0.05%ト ゥイーン20および0.01%チメロサールを含有するPBS)で6回洗浄する 。 細胞培養の微量定量プレートからの可溶化p185HER2を含有する溶菌液を、 抗rHER2被覆されブロックされたELISAウェルに移し(85μl/ウェ ル)、穏やかに振盪しながら室温で2時間インキュベートする。洗浄緩衝液で洗 浄することにより非結合レセプターを除去し、そして、希釈緩衝液(0.5%B SA、0.05%トゥイーン20、5mM EDTA、および0.01%チメロ サールを含有するPBS)中のビオチニル化4G10(抗ホスホチロシン抗体) 100μlを各ウェルに加える。室温で2時間インキュベートした後、プレート を洗浄し、そして希釈緩衝液中のHRPOコンジュゲート化ストレプトアビジン (ザイムド・ラボラトリーズ、S.サンフランシスコ、CA)100μlを各ウ ェルに加える。プレートを穏やかに振盪しながら室温で30分間インキュベート する。遊離のアビジンコンジュゲートを洗浄除去し、新たに調製した基質溶液( テトラメチルベンジジン[TMB];2−成分基質キット;カークガード・アン ド・ペリー、ガイサーズバーグ、MD)100μlを各ウェルに加える。反応を 10分間進行させ、その後100μl/ウェルの1.0M H3PO4の添加によ り発色を停止させる。マッキントッシュ・セントリス650(アップル・コンピ ューターズ、クパティーノ、CA)およびデルタソフトのソフトウェア(バイオ メタリクス、Inc.、プリンストン、NJ)で制御されるvmaxプレート読 み取り機(モレキュラー・ディヴァイシズ、パロアルト、CA)を使用して、4 50nmの吸収を対照波長650nmで読み取る(ABS450/650)。 このように、変異体SMDFにより誘導されるerbBレセプターの自己燐酸 化の程度を、天然配列SMDFおよび対照(恐らくは活性化が無い)により誘導 されるそれと比較することができる。したがって、erbBレセプターを活性化 する生物学的性質を有する変異体を、常套的に同定することができる。 (ii)グリア細胞増殖検定 生物活性な変異体についてスクリーニングするため、以下の検定(所望により 上記のKIRA−ELISAと組み合わせる)が利用できる。 2日齢ラットの坐骨神経から分離されたラットシュワン細胞を、夾雑する線維 芽細胞およびその他の細胞を含まないよう精製し[ブロックス等、Brain Res.、 165巻105−118頁(1979)]、3nM rHRGβ1の存在下で増 殖させる(ホルメス等、上記)。この細胞を、シュワン細胞表面マーカーP75NGFR の抗体染色により、シュワン細胞と確認する[ブロックス等、Nature、26 6巻364−366頁(1977)]。密集培養をPBSで2回洗浄し、トリプ シン処理し、そしてインシュリン、トランスフェリン、および微量元素を添加し た無血清トランスフェクション培養基を入れた24ウェルプレートに3.7x1 04細胞/ウェルで蒔く。2個ずつのウェルをSMDF変異体、天然配列SMD Fまたは対照(例えば無血清培地のみ)で処理する。5日後、シュワン細胞の増 殖を、密集の程度を顕微鏡で調べることにより定量する。 したがって、上記KIRA−ELISA検定と同様にして、細胞培養中でグリ ア細胞の分裂促進を刺激する天然配列SMDFの生物活性を共有するSMDF変 異体を同定することが可能である。 J.キメラSMDF この出願は、別のポリペプチドと融合したSMDFを含むキメラポリペプチド を包含する。 キメラSMDFポリペプチドは、天然配列SMDFのNまたはC末端への、免 疫原性ポリペプチド、例えばβ−ラクタマーゼまたは大腸菌trp遺伝子座によ りコードされている酵素のような細菌ポリペプチド、または酵母蛋白の融合、お よび、1989年4月6日公開のWO89/02922に記載のようなアルブミ ン、またはフェリチンのような蛋白とのC末端融合を包含する。 好ましい態様において、キメラポリペプチドは、抗タグ抗体が選択的に結合で きるエピトープを提供するタグポリペプチドとSMDF(またはそのフラグメン ト)との融合を含む。エピトープタグは一般に、SMDFのアミノまたはカルボ キシ末端にあることが判明している。その存在は、タグポリペプチドに対する標 識化抗体を用いて検出できるため、このようなエピトープタグが付けられた形の SMDFが望ましい。また、エピトープタグの供給は、抗タグ抗体を使用する親 和精製によりSMDFが容易に精製されることを可能にする。抗体を含む親和精 製技術および診断検定は、本明細書中、後に記載されている。 タグポリペプチドおよびそれらのそれぞれの抗体は当分野で良く知られている 。例には、flu HAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5(フィール ド等、Mol.Cell.Biol.、8巻2159−2165頁[1988]);c−myc タグおよびそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10 抗体(エヴァン等、Molecular and Cellular Biology、5(12)巻3610− 3616頁[1985]);ならびに単純ヘルペスウイルス糖蛋白D(gD)タ グおよびその抗体(パボルスキー等、Protein Engineering、3(6)巻547 −553頁[1990])が包含される。その他のタグポリペプチドが開示され ている。例には、フラッグ−ペプチド(ホップ等、BioTechnology、6巻120 4−1210頁[1988]);KT3エピトープペプチド(マーティン等、Sc ience、255巻192−194頁[1992]);α−チューブリンエピトー プペプチド(スキナー等、J.Biol.Chem.、266巻15163−15166頁[ 1991]);およびT7遺伝子10蛋白ペプチドタグ(ルッツ−フレイヤーム ス等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87巻6393−6397頁[1990])が 包含される。タグポリペプチドが選択されたならば、それに対する抗体は本明細 書に開示される技術を用いて作製することができる。 キメラSMDFはまた、天然SMDFよりも長い半減期を有する免疫アドヘシ ンをも含み得る。ヘテロローガスな免疫グロブリン不変ドメイン配列に連結した ポリペプチドから組み立てられる免疫アドヘシンは、当分野で知られている。 最も単純且つ最も直接的な免疫アドヘシンの設計は、SMDFを免疫グロブリ ン重鎖のFc領域およびヒンジと結合させている。通常、本発明に係るSMDF −免疫グロブリンキメラを作成する場合、SMDFをコードしている核酸または そのフラグメントを、免疫グロブリン不変ドメイン配列のN末端をコードしてい る核酸にC末端的に融合させるが、N末端融合もまた可能である。典型的にはこ のような融合において、コードされているキメラポリペプチドは、少なくとも免 疫グロブリン重鎖の不変領域の機能的に活性なヒンジ、CH2およびCH3ドメ インを保持しているであろう。融合は、不変ドメインのFc部分のC末端に、ま たは重鎖のCH1のN末端に直接、もしくは軽鎖の対応領域にも施される。 キメラSMDFの組み立ておよび生成のために好適な一般法は、(天然配列ま たは変異体)SMDFに関して上に開示された方法と同じである。キメラSMD Fは、SMDF部分をフレーム内にコードしているcDNA配列を、例えばタグ ポリペプチドまたは免疫グロブリンDNA配列に融合させ、得られたDNA融合 組み立て物を適当な宿主細胞で発現させることにより、最も簡便に組み立てられ る。 エピトープタグを付けたSMDFは、抗タグ抗体を用いる親和クロマトグラフ ィーによって簡便に精製することができる。ヒト免疫アドヘシンのためには、ヒ トIgG1およびIgG3免疫グロブリン配列が好ましい。IgG1を使用する 主たる利点は、IgG1免疫アドヘシンは固定化されたプロテインA上で効率的 に精製され得ることである。対照的に、IgG3の精製は、有意に用途のより少 ない媒質であるプロテインGを必要とする。 本発明により包含されるキメラSMDFのもう一つの型は、次の項に記載され るような毒性ポリペプチドとコンジュゲートさせたSMDFである。 3.SMDFの治療用組成物および投与 SMDFポリペプチドは、神経系に関連する病理学的疾患、通常、神経変性疾 患(即ち、患者の神経組織の脱髄、損傷および/または喪失を特徴とする)およ び特に感覚および運動ニューロンを含む疾患のインビボ処置のための薬物として 用途が見いだせると信じられる。したがって、SMDFポリペプチドは、神経の 再生および/または修復の誘導のために使用することができる。これに代わり、 SMDFをコードしているcDNAは、このような状態の遺伝子治療に使用する ことができる。 SMDFを使用して処置または緩解され得る感覚ニューロンを含む疾患の例は 、感覚ニューロパチー、例えば糖尿病性ニューロパチーおよび薬物誘発感覚ニュ ーロパチー(例えば化学療法に起因する)を包含する。 SMDFはさらに、運動ニューロンを含む疾病状態、即ち、脊髄の前角細胞、 運動脳神経核および錐体路の変性を特徴とする疾病状態の処置にも使用すること ができる。このような疾病状態の例には、痙縮および反射亢進を伴う筋肉の脱力 および萎縮を含む症候群である、筋萎縮性側索硬化症(ALS)またはルー・ゲ ーリッヒ病が包含される。ALSは、脊髄、延髄、および皮質の運動ニューロン の変性により惹起される。延髄の運動脳神経核の細胞のみが含まれれるならば、 その状態は進行性球麻痺と呼ばれる。SMDFはさらに、遺伝的に連鎖した運動 ニューロン疾患(例えばパーキンソン病)、非対称性運動ニューロパチー、進行 性筋萎縮、およびグリア細胞の脱髄、損傷または喪失を含む状態(例えば多発性 硬化症)を包含する運動ニューロンのその他の疾患の処置にも使用できる。 SMDFはさらに、末梢神経の損傷(例えば、巨大軸索ニューロパチー、遺伝 性肥厚性感覚ニューロパチー、および感覚ニューロパチー)、らい性ニューロパ チー、ランドリー−ギラン・バレー症候群、および癌腫または毒物により惹起さ れるニューロパチーの処置に治療的用途が見いだせると信じられている。 幾つかの態様において、erbBレセプターの過剰発現を特徴とする癌腫を、 細胞毒性物質を癌組織に指向させるSMDFを用いて処置することが望ましいか も知れない。SMDFとコンジュゲートさせることのできる「細胞毒性物質」の 例には、細胞毒性薬物および放射性分子が包含される。例えば、細胞毒性物質は 、細菌または植物を起源とする酵素的に活性な毒素またはそのフラグメント(例 えば、ジフテリアA鎖、エキソトキシンA鎖、リシンA鎖、フィトラッカ・アメ リカーナ蛋白、クルシン、クロチン、ゲロニンおよびアブリンA鎖)から選択す ることができる。これに代わり、細胞毒性放射性薬物を、高い線エネルギー付与 (LET)で放射するアイソトープ(例えばY、Pr)をSMDFにコンジュゲ ートすることによって作成することもできる。 SMDFの治療用調合物は、所望の純度を有するSMDFを、所望による生理 学上許容し得る担体、賦形剤、または安定剤(レミントンズ・ファーマシューテ ィカル・サイエンシズ、16版、A.オソール編[1980])と混合して凍結乾 燥ケークまたは水溶液の形とすることにより、保存用に製造される。薬学上許容 し 得る担体、賦形剤、または安定剤は、使用される用量および濃度において受容者 にとって非毒性であり、燐酸、クエン酸、およびその他の有機酸のような緩衝剤 ;アスコルビン酸を包含する抗酸化剤;低分子量(10残基未満)ポリペプチド ;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンのような蛋白;ポリビニル ピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ア ルギニンまたはリジンのようなアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキ ストリンを包含する単糖類、二糖類、およびその他の炭水化物;EDTAのよう なキレート試薬;マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール;ナト リウムのような塩形成対イオン;および/またはトゥイーン、プルロニクス、ま たはポリエチレングリコール(PEG)のような非イオン性界面活性剤を包含す る。 インビボ投与に使用されるSMDFは無菌でなければならない。これは、凍結 乾燥および再構成の前または後に無菌濾過膜で濾過することにより、容易に達成 される。SMDFは通常凍結乾燥型または溶液で保存されるであろう。 治療用SMDF組成物は一般に、無菌取り出し口を有する容器、例えば静脈内 溶液バッグまたは皮下注射針が貫通し得る栓を有するバイアル中に入れる。 SMDFの投与経路は既知の方法、例えば静脈内、腹腔内、脳内、筋肉内、眼 内、動脈内、もしくは病変内経路による注射または注入、または下記のような持 続放出系による方法に従う。SMDFは、注入によって持続的にまたはボーラス 注射によって投与される。 持続放出製剤の好適な例には、蛋白を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性 マトリックスが包含され、このマトリックスは、成型された物品、例えばフィル ムまたはマイクロカプセルの形である。持続放出マトリックスの例には、ポリエ ステル類、ヒドロゲル類(例えば、ランガー等、J.Biomed.Mater.Res.、15巻 167−277頁[1981]およびランガー、Chem.Tech.、12巻98−10 5頁[1982]により記載されるポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリラー ト)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド類(米国特許第3773 919号、EP58481)、L−グルタミン酸およびγエチル−L−グルタマ ートのコポリマー(シドマン等、Biopolymers、22巻547−556頁[19 83])、非分解性エチレンビニルアセタート(ランガー等、上記)、分解性乳 酸−グリコール酸コポリマー、例えばルプロンデポ(商標)(乳酸−グリコール 酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドより成る注射可能なミクロスフェア)、お よびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133988)が包含される。 エチレン−ビニルアセタートおよび乳酸−グリコール酸のようなポリマーは分 子を100日間にわたり放出させることが可能であるが、或る種のヒドロゲル類 は蛋白をより短期間放出する。カプセル化された蛋白が体内に長時間とどまる時 、それらは37℃で水分にさらされる結果、変性または凝集して、生物活性の喪 失および免疫原性の変化の可能性を招き得る。関係する機構に応じた蛋白安定化 のための合理的な方法を考案することができる。例えば、凝集機構がチオ−ジス ルフィド交換を介する分子間S−S結合形成であることが発見されたならば、ス ルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、水分を調節し、適当な添 加剤を使用し、そして特異的ポリマーマトリックス組成物を開発することにより 、安定化を達成することができる。 持続放出SMDF組成物は、リポソームにより捕捉されたSMDFをも包含す る。SMDFを含有するリポソームは、自体既知の方法によって製造される:D E3218121;エプシュタイン等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82巻368 8−3692頁(1985);ファング等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77巻4 030−4034頁(1980);EP52322;EP36676;EP88 046;EP143949;EP142641;日本国特許出願83−1180 08;米国特許第4485045号および4544545号;ならびにEP10 2324。通常、リポソームは、脂質含有量が約30mol%コレステロール以 上である、小さな(約200−800オングストローム)単層型のものであり、 選択される比率は最適なSMDF療法のために調節される。 治療に使用されるSMDFの有効量は、例えば治療目的、投与経路、および患 者の状態に依存するであろう。したがって治療者は、最適の治療効果の獲得に必 要な用量を滴定し投与経路を修飾する必要があるであろう。典型的な日用量は、 1日当たり約1μg/kgから100mg/kg(患者の体重)までの範囲また はこれ以上、好ましくは約10μg/kg/日ないし10mg/kg/日となろ う。典型的には、臨床医は、上記疾患の処置のための所望の効果が達成される用 量に達するまでSMDFを投与するであろう。 4.SMDFのエクスビボ用途 SMDFポリペプチドは、エクスビボでグリア細胞を生育させるために使用す ることができる。細胞特異性因子、例えばシュワン細胞特異的マーカーであるP 75NGFRの分離のためには、細胞培養中のグリア細胞の集団を得ることが望まし い。このような因子は診断手段として有用であり、または、P75NGFRの場合、 診断用途のための抗体を作製させる抗原として使用することができる。さらに、 他のマイトジェンおよびこれらの細胞のための成長阻害物質の特性決定を容易に するためにも、細胞培養内でグリア細胞の安定な集団を得ることは望ましい。 また、断続した中枢軸索の再生に影響を及ぼさせるべく、損傷した脊髄の領域 に移植するための細胞補綴物質として、末梢神経損傷の修復を助けるために、そ して多数の自己移植片の代替物としての使用のために、哺乳動物のシュワン細胞 (好ましくはヒトシュワン細胞)の集団を得ることは有益である。レヴィ等(1 994)、上記、を参照されたい。小さな生検試料から自己移植片の供給源を大 量に取得するための細胞培養技術の使用は、広範な火傷を被覆するために人の表 皮細胞を提供する事で既に臨床的成功を収めている(ガリコ等、N.Eng.J.Med.、 311巻338−451頁[1984])。さらに、ヒト異種移植由来のシュワ ン細胞が、免疫抑制されたマウス由来の再生しつつある末梢神経軸索の髄鞘を形 成させることができることが示された(アグアヨ等、Nature、268巻753− 755頁[1977]、およびアグアヨ等、Soc.Neurosci.Symp.、4巻361− 383頁[1979])。したがって、上記のアプローチは、人間を包含する哺 乳動物で成功を収めることが予想される。 このようなグリア細胞の集団を作成するため、哺乳動物(例えば人間)の末梢 神経をドナーから取得する。この神経は大動脈のクランピングから30分以内に 収穫し、RPMI(ジブコラボラトリーズ、グランドアイランド、NY)中に4 ℃で24時間を超えないように保存する。各末梢神経を、モリッセイ等、J.Neur osci.、11巻2433−2442頁(1991)のプロトコルに従って培養の ために調製する。これは、神経をレボヴィッツL15(ジブコ)で3回洗浄し、 この神経の神経鞘を剥ぎ、そして残存する神経束内神経鞘から個々の神経束を除 去することを含む。神経束を2−4mm長の外植片に切り、35mm培養皿に入 れる。調製された神経を5%CO2の加湿雰囲気下に保持し、培地は10%牛胎 児血清(FCS)を添加したダルベッコの改良イーグル培地(DMEM;ジブコ )を用いて週に2回交換する。主に線維芽細胞(Fb)から成る密集性の単層が 、成長の結果として生成した後、個々の外植片を新しい皿に移植する。 1ないし3回の移植の後、この神経外植体を、プレジャー等、Ann.NY Acad.Sc i.、486巻227−240頁(1986)のプロトコルに従って解離させる。 簡潔に述べると、複数の外植体をプールし、DMEM中の1.25U/mlジス パーゼ(ベーリンガー・マンハイム・バイオケミカルズ、ドイツ)、0.05% コラゲナーゼ(ワーシントン・バイオケミカルズ・Corp.、フリーホールド 、NJ)および15%FCSより成る酵素混合物1−2mlに入れる。外植体を 一夜酵素中に放置し、翌朝、個々の外植体がもはや認識できなくなるまで、まっ すぐなホウケイ酸ガラスピペットで穏やかに磨砕する。次にこの細胞をL15お よび10%FCSで洗浄し、200μm/mlのポリ−L−リジン(PLL;シ グマ、セントルイス、MO)で被覆した100mm培養皿で培養する。 翌日、Ca2+およびMg2+を含まないハンクス均衡塩類溶液(HBSS;ジブ コ)で2回洗浄することにより、細胞をPLL被覆した培養皿から取得し、これ らを37℃で5−10分間HBSS中のトリプシン(0.05%)およびEDT A(0.02%)(シグマ)に暴露する。細胞を集め、L15および10%FC S中で2回洗浄し、血球計数器上で計数し、次いで計算された容量のDMEMお よび10%FCS(D10)中に希釈する。次に細胞を、アンモニア化コラーゲ ンで被覆したアクラー(アライド・ファイバー・アンド・プラスティクス、ポッ ッヴィル、PA)ミニ皿に蒔き、またはPLL被覆した培養皿を次いでPLL被 覆した皿に蒔き、そして、SMDF(10nM)コレラ毒素(CT)シグマ、セ ントルイス、MO(100ng/ml)、およびフォルスコリン(1μM)シグ マを伴うD10を含有する培地に暴露する。培地は週に3回交換し、細胞が密集 に達した時、これらを培養皿からトリプシン(0.05%)/EDTA(0.0 2%)溶液で溶解する。 このようにして細胞培養中で作成された細胞を、次に外科的に患者に入れる。 本発明の別の態様において、HER2レセプターを過剰発現する乳癌セルライ ン(例えばSK−BR−3細胞)の生長は、SMDFを使用してインビトロで刺 激することができる。このセルラインがHER2レセプターの供給源であり、こ のレセプターが分離でき、それに対する抗体が作製でき(本明細書に記載の抗体 を産生させる技術を用いて)、そしてこれらの抗体が米国特許4968603に 開示されるようにHER2過剰発現を診断する診断手段として使用できる限りに おいて、これは有用である。 5.SMDFの診断用途 SMDFは、erbBレセプター(例えばerbB2レセプター)の過剰発現 および/または増幅を特徴とする癌の診断に使用することができる。この診断検 定は、他の診断/予後評価、例えばリンパ節の状態、原発腫瘍の大きさ、組織学 的等級、エストロゲンまたはプロゲステロンの状態、腫瘍DNA含量(倍数性) 、または細胞増殖(Sフレーズ画分)の測定と組み合わせて使用することができ る。ムス等、New Eng.J.Med.、330(18)巻1260−1266頁(199 4)を参照されたい。HER2過剰発現は、その疾病が原発腫瘍部位を越えて広 がり易いことを示唆しており、HER2レセプター過剰発現に関して陽性の評価 を得た患者は、通常、腫瘍の外科的除去の後、より速やかに再発するであろう。 米国特許第4968603号を参照されたい。故に、HER2過剰発現が同定さ れたなら、より攻撃的な処置(例えば化学または照射療法)を選択することがで きる。また、HER2過剰発現を特徴とする癌は、シェパード等、J.Clin.Immun ol.、11(3)巻117−127頁(1991)に開示される抗HER2抗体 、4D5による処置の候補対象を構成し得る。 本明細書に定義される試料は、例えば患者の原発病巣から組織試料が得られる 。 ホルマリン固定されパラフィン包埋されたブロックが調製される。ムス等、上記 、およびプレス等、Cancer Research、54巻2771−2777頁(1994 )を参照されたい。組織切片(例えば4μM)は既知の技術に従って調製される 。次いでその組織切片に対するSMDFの結合の程度が定量される。 一般にSMDFは、検出可能な標識を用いて直接的または間接的に標識される 。多数の標識が利用でき、それらは一般に以下の範疇に分類できる(これらの標 識は、下に記載されるSMDF抗体の標識化にも有用である): (a)放射性同位元素、例えば35S、14C、125I、3H、および131I。SM DFまたは抗体は、例えばカレント・プロトコルズ・イン・イミュノロジー、コ リゲン等編、ウィレイ・パブリッシャーズ、1および2巻に記載の技術を用いて 放射性同位元素で標識することができ、放射能はシンチレーションカウンターを 用いて測定できる。 (b)希土類キレート(ユーロピウムキレート)またはフルオレセインおよび その誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、リサミン、フィコエリス リンおよびテキサスレッドのような蛍光標識が利用できる。蛍光標識は、例えば カレント・プロトコルズ・イン・イミュノロジー、上記、に開示される技術を用 いてSMDFまたは抗体にコンジュゲートさせることができる。蛍光は蛍光光度 計(ダイナテク)を用いて定量することができる。 (c)様々な酵素−基質標識が利用でき、米国特許第4275149号は、こ れらのうち幾つかの総説を提供している。酵素は一般に、様々な技術を用いて測 定し得る、色素生成基質の化学変化を触媒する。例えば、酵素は基質の色の変化 を触媒することができ、これを分光光度計で測定することができる。これに代わ り酵素は基質の蛍光または化学ルミネセンスを変化させるかも知れない。蛍光の 変化を定量する技術は上に記載がある。化学ルミネセンス基質は化学反応によっ て電子的に励起し、次いで測定し得る(例えばダイナテクML3000化学ルミ ネセンス測定器を使用)光を放射するか、または蛍光受容体にエネルギーを提供 することができる。酵素的標識の例には、ルシフェラーゼ(例えば蛍ルシフェラ ーゼおよび細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4737456号)、ルシフェリン 、 2,3−ジヒドロフタラジンジオン類、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ 、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)のようなペルオキシダーゼ、アルカ リホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サ ッカライドオキシダーゼ(例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシ ダーゼ、およびグルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ)、ヘテロ環オキシダー ゼ(例えばウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼ)、ラクトペルオキシダー ゼ、ミクロペルオキシダーゼ等が包含される。酵素を蛋白にコンジュゲートさせ る技術は、オサリヴァン等、Methods in Enzym.(J.ランゴンおよびH.ヴァン・ ヴナキス編)、アカデミック・プレス、ニューヨーク、73巻147−166頁 (1981)の、酵素イムノアッセイでの使用のための酵素−抗体コンジュゲー トの製造のための方法、およびCurrent Protocols in Immunology、上記、に記 載されている。 酵素−基質の組み合わせの例には、例えば、 (i)水素ペルオキシダーゼが色素前駆体(例えばオルトフェニレンジアミン[ OPD]または3,3',5,5'−テトラメチルベンジジンヒドロクロリド[TM B])を酸化する、基質として水素ペルオキシダーゼを伴う西洋ワサビペルオキ シダーゼ(HRPO)、 (ii)色素生成基質として燐酸p−ニトロフェニルを伴うアルカリホスファター ゼ(AP)、 (iii)色素生成基質(例えばp−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシダーゼ )または蛍光生成基質4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトシダーゼ を伴うβ−D−ガラクトシダーゼ(β−D−Gal)、 が包含される。 その他多くの酵素−基質組み合わせが当業者にとって利用可能である。これら の一般的総説については、米国特許第4275149号および4318980号 を参照されたい。 時には、標識はSMDFまたは抗体に間接的にコンジュゲートされる。当業者 はこれを達成するための様々な技術を知悉しているであろう。例えば、SMDF または抗体はビオチンとコンジュゲートさせることができ、上に述べた三つの大 きな範疇の標識のいずれかをアビジンとコンジュゲートさせることができ、また はその逆を行うことができる。ビオチンはアビジンと選択的に結合し、したがっ てこの標識は、SMDFまたは抗体と間接的にコンジュゲートできる。ビオチン −アビジンコンジュゲーションを含む技術の総説については、カレント・プロト コルズ・イン・イミュノロジー、上記、を参照されたい。別法として、標識とS MDFまたは抗体との間接的コンジュゲーションを達成するために、SMDFま たは抗体を小ハプテン(例えばジゴキシン)とコンジュゲートさせ、そして上に 述べた異なる型の標識の一つを抗ハプテン抗体(例えば抗ジゴキシン抗体)にコ ンジュゲートさせる。このように、標識とSMDFまたは抗体との間接的コンジ ュゲーションが達成できる。 本発明の別の態様において、SMDFは標識する必要が無く、その存在は、標 識された抗SMDF抗体(例えばHRPOにコンジュゲートさせた)を用いて検 出することができる。 好ましい態様において、SMDFまたは抗体は、基質の色の変化を触媒する酵 素的標識で標識する(例えばテトラメチルベンズイミジン[TMB]、またはオ ルタフェニレンジアミン[OPD])。したがって、放射性物質の使用は回避さ れる。試薬の色の変化は適当な波長で分光光度計により測定することができる( 例えば、対照波長650nmで、TMBについては450nm、そしてOPDに ついては490nm。 したがって、スライド上の組織切片を標識されたSMDFに暴露し、この組織 切片の染色強度を測定する。インビトロ分析が通常意図されるが、検出可能な原 子団にコンジュゲートさせたSMDFを用いるインビボ診断(例えば画像化のた め)もまた実施できる。例えば、米国特許第4938948号を参照されたい。 6.SMDFのためのその他の非治療的用途 SMDF調製物は、放射性沃素、酵素、発蛍光団、スピン標識等で標識される 時、SMDFのための検定(例えばラジオイムノアッセイ、酵素結合イムノアッ セイ、またはラジオレセプター検定での標準として使用するためにSMDFを標 識することによる)、親和精製技術(例えばerbB3またはerbB4レセプ ターのようなerbBレセプターのため)、および競合型レセプター結合検定に おける標準として有用である。SMDFポリペプチドは、診断用途のための抗S MDF抗体を作製するための免疫原としても有用である。 同様に、SMDFをコードしている核酸は、様々な組織中のSMDFの発現を 検出するためのプローブとして有用である。したがってSMDF特異的プローブ は、インビトロまたはインビボでの組織型決定(例えば、感覚および運動ニュー ロン組織を同定するため)に有用である。この点において、SMDFの特異なN TDまたはそのフラグメント(例えばNTD−cysノット、無極性Iまたは無 極性IIドメイン)をコードしている核酸は、特に有用な組織特異的マーカーであ る。DNA分析のための技術は良く知られている。例えば米国特許第49686 03号を参照されたい。普通、DNA分析は、試料が哺乳動物から誘導されるサ ザンブロッティングを含むであろう。別法として、SMDF特異的抗体を組織特 異的型決定に使用することもできる。 7.SMDF抗体の製造 A.ポリクローナル抗体 SMDFポリペプチドまたはSMDFフラグメントに対するポリクローナル抗 体は一般に、SMDFまたはSMDFフラグメントおよびアジュバントを複数回 皮下(sc)または腹腔内(ip)注射することにより、動物において作製され る。SMDFまたは標的アミノ酸配列を含むフラグメントを、二価または誘導体 形成試薬、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システ イン残基を介するコンジュゲーション)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジ ン残基を介する)、グルタルアルデヒド、無水琥珀酸、SOCl2、またはR1N =C=NR[式中、RおよびR1は異なるアルキル基である]を用いて、免疫さ れる種において免疫原性である蛋白、例えばスカシガイヘモシアニン、血清アル ブミン、牛チログロブリン、または大豆トリプシンインヒビターとコンジュゲー トさせることが有用であるかも知れない。 動物は、ペプチドまたはコンジュゲート1mgまたは1μg(それぞれウサギ またはマウスの場合)を完全フロイントアジュバント3容量と合し、この溶液を 複数部位に皮内注射することによって、SMDFポリペプチドもしくはSMDF フラグメント、免疫原性コンジュゲートまたは誘導体に対して免疫する。1ヶ月 後、この動物を、完全フロイントアジュバントに入れた初回量の1/5ないし1 /10のペプチドまたはコンジュゲートを用いて複数部位に皮下注射することに より、追加免疫する。7ないし14日後、動物を採血し、SMDFまたはSMD Fフラグメント抗体価について血清を検定する。動物は、力価がプラトーに達す るまで追加免疫する。好ましくは、動物は、同じSMDFまたはSMDFフラグ メントのコンジュゲートで、但し異なった蛋白にコンジュゲートさせた、そして /または異なった架橋剤を介してコンジュゲートさせたコンジュゲートで追加免 疫する。コンジュゲートはまた、蛋白融合として組換え細胞培養中で製造するこ とができる。さらに、ミョウバンのような凝集化剤が、免疫反応の増強のために 好適に使用される。 B.モノクローナル抗体 モノクローナル抗体は、実質上均質な抗体の集団、即ち、その集団を構成する 個々の抗体が、少量存在するかも知れない天然に起こる可能性のある突然変異を 除いて同一であるような集団から取得される。したがって、修飾語「モノクロー ナル」とは、別々の抗体の混合物ではないという、抗体の性格を示している。 例えば、本発明に係るSMDFモノクローナル抗体は、コーラーおよびミルシ ュタイン、Nature、256巻495頁(1975)により最初に記載されたハイ ブリドーマ法を用いて作製でき、または組換えDNA法(米国特許第48165 67号)によって作製することができる。 ハイブリドーマ法においては、マウスまたはその他の適当な宿主動物、例えば ハムスターを上記のように免疫し、免疫に用いられたSMDFまたはSMDFフ ラグメントと特異的に結合する抗体を産生する、または産生することのできるリ ンパ球を導き出す。別法として、リンパ球をインビトロで免疫することもできる 。次に、リンパ球を、ポリエチレングリコールのような適当な融合剤を用いて骨 髄 腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる(ゴディング、モノクロー ナル・アンティボディーズ:プリンシプルズ・アンド・プラクティス、59−1 03頁[アカデミック・プレス、1986])。 このようにして製造されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親の骨髄腫 細胞の生長または生存を阻害する1またはそれ以上の物質を好ましくは含有する 適当な培養基に蒔き、生長させる。例えば、親の骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチ ングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を 欠失するならば、ハイブリドーマのための培養基は、典型的には、ヒポキサンチ ン、アミノプテリン、およびチミジンを含有し(HAT培地)、これらの物質が HGPRT欠失細胞の生長を妨げるであろう。 好ましい骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体 の安定な高レベルの産生を支持し、そしてHAT培地のような培地に対して感受 性である細胞である。これらの中で好ましい骨髄腫セルラインは、マウス骨髄腫 ライン、例えば、ソーク・インスティテュート・セル・ディストリビューション ・センター、サンディエゴ、カリフォルニア、USAより入手し得るMOPC− 21およびMPC−11マウス腫瘍、ならびに、アメリカン・タイプ・カルチャ ー・コレクション、ロックヴィル、メリーランド、USAより入手し得るSP− 2細胞から誘導されるものである。 ハイブリドーマ細胞が生育している培養基を、SMDFに対するモノクローナ ル抗体の産生について検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生さ れるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降またはインビトロ結合検定、 例えばラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着検定(ELIS A)によって測定する。 モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、マンソンおよびポラード、Anal .Biochem.、107巻220頁(1980)のスキャッチャード分析により測定 することができる。 ハイブリドーマ細胞が所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を産 生すると同定された後、このクローンを限界希釈法によりサブクローニングし、 標準法により増殖させることができる(ゴディング、上記)。この目的にとって 好適な培養基は、例えば、DMEMまたはRPMI−1640培地を包含する。 加えて、このハイブリドーマ細胞は、動物において腹水症腫瘍としてインビボで 増殖させることができる。 サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA− セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析 、または親和クロマトグラフィーのような常套的免疫グロブリン精製法により、 培地、腹水、または血清から好適に分離される。 本発明に係るモノクローナル抗体をコードしているDNAは、常法を用いて( 例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合で きるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)容易に分離および配列決 定される。本発明に係るハイブリドーマ細胞は、係るDNAの好ましい供給源と して働く。分離されたならば、このDNAは発現ベクター中に入れ、次にこれを 、この状況以外では免疫グロブリン蛋白を産生しない大腸菌細胞、サルCOS細 胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞のような宿 主細胞中にトランスフェクトし、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の 合成を獲得することができる。抗体をコードしているDNAの細菌中での組換え 発現に関する総説は、スケラ等、Curr.Opinion in Immunol.、5巻256−26 2頁(1993)およびプリュックトン、Immunol.Revs.、130巻151−1 88頁(1992)を包含する。 このDNAはまた、例えば、ヒト重鎖および軽鎖不変ドメインのコード化配列 を、ホモローガスなマウス配列の代わりに置換することにより(モリソン等、Pr oc.Nat.Acad.Sci.、81巻6851頁[1984])、または、免疫グロブリン コード化配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード化配列の一部または全て を共有結合させることにより、修飾することができる。このようにして、本発明 に係る抗SMDFモノクローナル抗体の結合特異性を有する「キメラ」または「 ハイブリッド」抗体が製造される。 典型的には、このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明に係る抗体 の不変ドメインを置換し、または本発明に係る抗体の1個の抗原結合部位の可変 ドメインを置換して、SMDFに対する特異性を有する1個の抗原結合部位、お よび異なる抗原に対する特異性を有するもう一つの抗原結合部位を含むキメラ二 価抗体を作り出す。 キメラまたはハイブリッド抗体は、架橋剤を用いる方法を包含する、合成蛋白 化学において既知の方法を用いてインビトロで製造することもできる。例えば、 免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用いて、またはチオエステル結合を形成す ることにより、組み立てることができる。この目的のための好適な試薬の例は、 イミノチオラートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミダートを包含する。 C.ヒト化抗体 非ヒト抗体をヒト化する方法は当分野で良く知られている。一般に、ヒト化抗 体は、ヒト以外の供給源から導入された1またはそれ以上のアミノ酸残基を有す る。これらの非ヒトアミノ酸残基はしばしば「移入」残基と呼ばれ、これは典型 的には「移入」可変ドメインから取られている。ヒト化は、本質的にはウィンタ ーおよび共同研究者の方法(ジョーンズ等、Nature、321巻522−525頁 [1986];リーチマン等、Nature、332巻323−327頁[1988] ;およびベルホーエン等、Science、239巻1534−1536頁[1988 ])に従って、齧歯類CDRまたはCDR配列でヒト抗体の対応配列を置換する ことにより、実施することができる。したがって、このような「ヒト化」抗体は 、無傷のヒト可変ドメインより実質上小さい部分が非ヒト種由来の対応配列によ って置換されている、キメラ抗体である(米国特許第4816567号)。実際 、ヒト化抗体は、典型的には、幾つかのCDR残基およびことによると幾つかの FR残基が、齧歯類抗体の類似部位からの残基によって置換されているヒト抗体 である。ヒト化抗体の作製に使用される軽鎖および重鎖両方のヒト可変ドメイン の選択は、抗原性を低下させるために極めて重要である。いわゆる「ベストフィ ット」法によれば、齧歯類抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン 配列の全ライブラリーに対してスクリーニングする。次いで、その齧歯類の配列 に最も近いヒト配列を、ヒト化抗体のためのヒトフレームワーク(FR)として 受 け入れる(シムズ等、J.Immunol.、151巻2296頁[1993];ならびに チョシアおよびレスク、J.Mol.Biol.、196巻901頁[1987])。もう 一つの方法は、軽鎖および重鎖の特定のサブグループにある、全てのヒト抗体の 共通配列から誘導される特定のフレームワークを使用するものである。同じフレ ームワークを幾つかの異なるヒト化抗体に使用することができる(カーター等、 Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89巻4285頁[1992];およびプレスタ等、 J.Immunol.、151巻2623頁[1993])。 さらに、抗体は、抗原に対する高親和性およびその他の望ましい生物学的性質 を保持したままヒト化することが重要である。この目的を達成するため、好まし い態様によれば、親配列および様々な概念的ヒト化生成物を、親およびヒト化配 列の三次元モデルを用いて分析する工程によって、ヒト化抗体を製造する。三次 元免疫グロブリンモデルは一般に利用でき、当業者には良く知られている。選ば れた候補免疫グロブリン配列の可能な三次元コンホメーション構造を例示し表示 するコンピュータープログラムが利用できる。これらの表示を調べることにより 、候補免疫グロブリン配列の機能における当該残基の可能な役割の分析、即ち、 候補免疫グロブリンがその抗原を結合させる能力に影響を及ぼす残基の分析、が 可能となる。このようにして共通および移入配列からのFR残基を選択しそして 、結びつけることができ、その結果、所望の抗体の性格、例えば標的抗原に対す る親和性の増大が達成される。一般に、CDR残基は、直接且つ最も実質的に抗 原結合への影響に関与する。 D.ヒト抗体 ヒトモノクローナル抗体はハイブリドーマ法によって作製することができる。 ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロ骨 髄腫セルラインが、例えばコズボア、J.Immunol.、133巻3001頁(198 4);ブロデュア等、モノクローナル・アンティボディ・プロダクション・テク ニークス・アンド・アプリケーションズ、51−63頁(マーセル・デッカー、 Inc.、ニューヨーク、1987);およびバーナー等、J.Immunol.、147 巻86−95頁(1991)によって記載されている。 免疫時に内因性免疫グロブリンの産生無しにヒト抗体の全レパートリーを産生 することのできる、トランスジェニック動物(例えば、マウス)を作ることが現 在可能である。例えば、キメラおよび生殖系列突然変異体マウスにおける抗体重 鎖結合領域(JH)遺伝子の同型接合除去が内因性抗体産生の完全な阻害をもた らすということが記載されている。このような生殖系列突然変異体マウスでのヒ ト生殖系列免疫グロブリン遺伝子列の転移は、抗原チャレンジ時にヒト抗体の産 生をもたらすであろう。例えば、ジャコボヴィッツ等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 、90巻2551頁(1993);ジャコボヴィッツ等、Nature、362巻25 5−258頁(1993);およびブラガーマン等、Year in Immuno.、7巻3 3頁(1993)を参照されたい。 別法として、ファージディスプレー技術(マクカファーティ等、Nature、34 8巻552−553頁[1990])を使用して、免疫されていないドナー由来 の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからインビトロでヒト 抗体および抗体フラグメントを産生させることもできる。この技術によれば、抗 体Vドメイン遺伝子を、フレーム内で繊維状バクテリオファージ、例えばM13 またはfdのメジャーまたはマイナーコート蛋白のいずれかにクローニングし、 このファージ粒子の表面に機能的抗体フラグメントとしてディスプレーする。繊 維状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むため、抗体の機能的性質 に基づく選択は、それらの性質を表す抗体をコードしている遺伝子の選択をもも たらす。このように、このファージはB細胞の性質の幾つかに類似している。フ ァージディスプレーは様々な形式で実施することができ、それらの総説について は、例えばケヴィン・S.ジョンソンおよびデイヴィッド・J.チスウェル、Cu rrent Opinion in Structural Biology、3巻564−571頁(1993)を 参照されたい。V遺伝子セグメントの幾つかの供給源がファージディスプレーの ために使用できる。クラックソン等、Nature、352巻624−628頁(19 91)は、免疫されたマウスの脾臓から誘導されたV遺伝子の小さなランダム組 み合わせライブラリーから、抗オキサゾロン抗体の多様な列を分離した。免疫さ れていないヒトドナー由来のV遺伝子のレパートリーを組み立てることができ、 マーク ス等、J.Mol.Biol.、222巻581−597頁(1991)、またはグリフィ ス等、EMBO J.、12巻725−734頁(1993)により記載の技術に本質 上従って、抗原の多様な列(自己抗原を含む)に対する抗体を分離することがで きる。 自然の免疫反応において、抗体遺伝子は突然変異を高率で蓄積する(体細胞突 然変異)。導入された変化のうち幾らかはより高い親和性を与え、高親和性表面 免疫グロブリンをディスプレーするB細胞が、後の抗原チャレンジの間に優先的 に複製および分化する。この天然の工程は「チェーン・シャフリング」として知 られる技術を使用することにより模倣することができる(マークス等、Bio/Tech nol.、10巻779−783頁[1992])。この方法では、重鎖および軽鎖 V領域遺伝子を、免疫されていないドナーから得られたVドメイン遺伝子の天然 に存在する変異体(レパートリー)のレパートリーに連続的に置き換えることに より、ファージディスプレーにより得られた「一次」ヒト抗体の親和性を改善す ることができる。この技術は、nM範囲の親和性を有する抗体および抗体フラグ メントの産生を可能にする。非常に大きなファージ抗体レパートリーを作成する 方法は、ウォーターハウス等、Nucl.Acids Res.、21巻2265−2266頁 (1993)により記載されている。 遺伝子シャフリングもまた齧歯類抗体からヒト抗体を誘導するために使用でき 、ここでは、ヒト抗体は齧歯類の出発抗体と類似の親和性および特異性を持つ。 「エピトープ刷り込み」とも呼ばれるこの方法によれば、ファージディスプレー 技術によって得られた齧歯類抗体の重鎖および軽鎖Vドメイン遺伝子をヒトVド メイン遺伝子のレパートリーに置き換えて、齧歯類−ヒトキメラを作り出す。抗 原の選択は、機能的抗原結合部位を復元できるヒト可変部の分離をもたらし、即 ち、エピトープが相手の選択を支配(刷り込み)する。残りの齧歯類Vドメイン を置換するためにこの工程を反復すると、ヒト抗体が得られる(1993年4月 1日公開のPCT WO93/06213を参照されたい)。CDR移植による 常套的な齧歯類抗体のヒト化とは異なり、この技術は、齧歯類起源のフレームワ ークまたはCDR残基を持たない完全なヒト抗体を提供する。 E.二重特異性抗体 二重特異性抗体は、少なくとも二つの異なる抗原に対する結合特異性を有する 、モノクローナルの、好ましくはヒト抗体またはヒト化抗体である。本発明にお いては、一方の結合特異性はSMDFに対するものであり、他方は他の任意の抗 原、好ましくはerbBレセプターを活性化する他のポリペプチドに対するもの である。例えば、SMDFおよびニューレグリンに特異的に結合する二重特異性 抗体は本発明の範囲内にある。 二重特異性抗体を作製する方法は当分野において既知である。常套的には、二 重特異性抗体の組換え産生は二つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖の対の同時発現に 基づいており、ここでこの二つの重鎖は異なる特異性を持っている(ミルシュタ インおよびキュエロ、Nature、305巻537−539頁[1983])。免疫 グロブリン重鎖および軽鎖が無作為に取り揃えられているため、これらのハイブ リドーマ(四部雑種)は10個の異なる抗体分子の可能性ある混合物を産生し、 そのうちただ一つが正しい二重特異性構造を有する。親和クロマトグラフィー工 程により通常行われる正しい分子の精製は、かなり煩わしく、そして生成物の収 率は低い。同様の方法は、WO93/08829号およびトラウネッカー等、EM BO J.、10巻3655−3659頁(1991)に開示されている。 異なったそしてより好ましいアプローチによると、所望の結合特異性を有する 抗体可変ドメイン(抗原−抗体結合部位)を、免疫グロブリン不変ドメイン配列 と融合させる。この融合は好ましくは、少なくともヒンジの一部、CH2および CH3領域を含む免疫グロブリン重鎖不変ドメインとの融合である。軽鎖の結合 に必要な部位を含む第一の重鎖不変領域(CH1)を、融合の少なくとも一つに 存在させることが望ましい。免疫グロブリン重鎖の融合、および、所望ならば免 疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAを、別個の発現ベクター中に挿入し、 適当な宿主生物に同時トランスフェクトする。この事により、組み立てに使用さ れる三つのポリペプチド鎖の等しくない比率が最適の収率を提供する態様におい て、三つのポリペプチドフラグメントの相互の割合の調節に大きな融通性が与え られる。しかし、少なくとも二つのポリペプチド鎖の等しい比率での産生が高収 率をもたらす時、または、その比率が特に重要性を持たない時は、2または3個 全てのポリペプチド鎖のためのコード化配列を一つの発現ベクターに挿入するこ とが可能である。このアプローチの好ましい態様において、二重特異性抗体は、 第一の結合特異性を有する一方の腕のハイブリッド免疫グロブリン重鎖、そして 他方の腕のハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(第二の結合特異性を提供 する)で構成される。その二重特異性分子の半分しか免疫グロブリン軽鎖がない ことで容易な分離法が提供されるため、この非対称的構造は、所望の二重特異性 化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にすると わかった。 二重特異性抗体を作製するさらなる詳細については、例えばスレッシュ等、Me thods in Enzymology、121巻210頁(1986)を参照されたい。 F.ヘテロコンジュゲート抗体 ヘテロコンジュゲート抗体もまた本発明の範囲内にある。ヘテロコンジュゲー ト抗体は、共有結合により連結した二つの抗体で構成される。このような抗体は 、例えば、不要の細胞に対する免疫系細胞を標的とするため(米国特許第467 6980号)、そしてHIV感染の処置のため(WO91/00360;WO9 2/00373;およびEP03089)に提唱された。ヘテロコンジュゲート 抗体は、任意の簡便な架橋法を用いて作製することができる。好適な架橋剤は当 分野において良く知られており、幾つかの架橋技術と共に米国特許第46769 80号に開示されている。 G.中和抗体 中和抗体を製造するために、上に詳述した分子を生成する技術を用いて抗体を 作製する。好ましい中和抗体は人間において非免疫原性であり、且つ単一の抗原 決定基に対して作製される。抗体のパネルを製造した後、所望の基準(即ち、S MDFの生物活性をインビトロまたはインビボのいずれかで中和できる)に合致 する分子を同定するため、分子をスクリーニング工程に付す。通常、SMDFの 試料を抗SMDF抗体のパネルに暴露し、次いで本明細書に記載のerbBレセ プターKIRA−ELISAおよびグリア細胞増殖検定のいずれかまたは両者に 付す。HER2レセプターを活性化するSMDFの能力および/またはグリア細 胞に対するSMDFの分裂促進活性を遮断する抗体を、中和抗体として選択する ことができる。 8.SMDF抗体の用途 SMDF抗体は、SMDFのため、例えば特定の細胞、組織、または血清にお けるその産生のための診断検定に有用である。例えば、SMDF抗体は組織型決 定(例えば感覚および運動ニューロン同定のため)に使用することができる。抗 体は、上記のSMDFと同じやり方で標識し、そして/または不溶性マトリック ス上に固定化する。 SMDFおよびその抗体のための好適な診断検定は自体既知である。SMDF またはその抗体のための分析法は全て以下の試薬の1またはそれ以上を使用する :標識された被検体類似体、固定化された被検体類似体、標識された結合相手、 固定化された結合相手、および立体コンジュゲート。標識された試薬は「トレー サー」としても知られる。 使用される標識は、被検体およびその結合相手の結合を妨害しない任意の検出 可能な官能基である。イムノアッセイのための多数の標識が知られており、上の 第5項に記載されている。当業者は、本発明に従って使用できるその他の好適な 標識を知悉しているであろう。これらの標識は、当業者に広く知られる標準技術 を用いてSMDF抗体にコンジュゲートさせることができる。 或る種の検定法には試薬の固定化が必要である。固定化は、結合相手と溶液中 に遊離で残存する被検体とを分離することを必要とする。これは、例えば共有結 合(例えばグルタルアルデヒド架橋を用いて)による水不溶性マトリックスもし くは表面への吸着(ベニッヒ等、米国特許第3720760号)によって、検定 操作の前に結合相手または被検体類似体を不溶化するか、または例えば免疫沈降 により、後で相手または類似体を不溶化するか、いずれかにより簡便に達成され る。 競合的またはサンドイッチ検定として知られるその他の検定法は十分に確立さ れ、商業的診断産業で広く使用されている。 競合的検定は、トレーサー類似体が、共通の結合相手上の限られた数の結合部 位について、被験試料被検体と競合する能力に依っている。結合相手は一般に、 競合の前または後で不溶化し、次いで結合相手と結合したトレーサーおよび被検 体が、非結合のトレーサーおよび被検体と分離される。この分離は、デカンテー ション(結合相手が前に不溶化された場合)または遠心(結合相手が競合反応の 後で沈澱した場合)によって達成される。被験試料被検体の量は、マーカー物質 の量により測定される結合したトレーサーの量と逆比例する。既知量の被検体を 用いた用量反応曲線を作成し、試験結果と比較して、被験試料中に存在する被検 体の量を定量的に決定する。これらの検定は、酵素が検出可能なマーカーとして 使用される場合、ELISA系と呼ばれる。 「均質」検定と呼ばれる競合的検定のもう一つの種類は、相分離を必要としな い。ここでは、酵素と被検体とのコンジュゲートを作成し、抗被検体が被検体に 結合する時、抗被検体の存在が酵素活性を修飾するように使用する。この場合、 SMDFまたはその免疫学的に活性なフラグメントを、二重機能性有機架橋によ り、ペルオキシダーゼのような酵素とコンジュゲートさせる。抗SMDFと共に 使用するためのコンジュゲートは、抗SMDFの結合が標識の酵素活性を阻害ま たは強化するように選択する。この方法自体は、EMITという名称の下に広く 実施されている。 立体コンジュゲートは、均質検定のための立体障害法に使用される。このコン ジュゲートは、ハプテンに対する抗体が、同時に抗被検体としての該コンジュゲ ートと実質上結合できないように、低分子量ハプテンを小被検体と共有結合させ ることにより、合成される。この検定法の下では、被験試料中に存在する被検体 は抗被検体と結合し、それにより抗ハプテンはコンジュゲートと結合できるよう になり、その結果コンジュゲートハプテンの性質の変化、例えばハプテンが発蛍 光団である場合、蛍光の変化をもたらす。 サンドイッチ検定はSMDFまたはSMDF抗体の測定のために特に有用であ る。連続的サンドイッチ検定においては、固定化された結合相手を用いて被験試 料被検体を吸着し、例えば洗浄によって被験試料を除去し、結合した被検体を用 いて標識化結合相手を吸着し、そして次に、結合した物質を残留するトレーサー から分離する。結合したトレーサーの量は被験試料被検体と直接比例する。「同 時」サンドイッチ検定においては、標識した結合相手を加える前に被験試料を分 離しない。一方の抗体として抗SMDFモノクローナル抗体、そして他方の抗体 としてポリクローナル抗SMDF抗体を使用する連続サンドイッチ検定は、SM DF活性について試料を試験する際に有用である。 SMDF抗体はさらに、組換え細胞培養または天然供給源由来のSMDFの親 和精製にも有用である。 中和抗SMDF抗体は、SMDF生物活性をインビボで遮断するために使用す ることもできる。例えば、この抗体を使用して、レセプターのSMDF活性化が 関わっている或る種の癌において、erbBレセプター(例えばerbB2レセ プター)のSMDF活性化を遮断することができる。したがって、中和抗体は或 る種のグリア細胞腫瘍の処置または緩解に使用することができる。 9.キット 本発明は便宜上少なくとも二つの型の診断検定(即ち、SMDFを使用する疾 病状態の決定または抗体もしくはDNAマーカーを用いるSMDFの測定のため )を提供することから、これらの検定用の試薬はキット、即ち試験される試料と 組み合わせるための、包装された試薬の組み合わせ、で提供され得る。キットの 構成成分は通常、前もって定められた割合で提供される。したがって、或るキッ トは、適当な標識で直接的または間接的に標識された抗体またはSMDF(DN Aまたはポリペプチド)を含むかも知れない。検出可能な標識が酵素である場合 、このキットは該酵素の必要とする補助因子および基質を含むであろう(例えば 、検出可能な発色団または発蛍光団を提供する基質前駆体)。さらに、安定剤、 緩衝剤等のようなその他の添加物が含まれるかも知れない。様々な試薬の相対量 は、その検定の感度を実質上最適化する溶液中の試薬濃度を提供するよう、広汎 に変えることができる。特に、試薬は、溶解時に適当な濃度を有する試薬溶液を 提供する賦形剤を含む、通常凍結乾燥した乾燥粉末として提供することができる 。このキットはさらに、好適には、そのバイオアッセイを実施するための使用説 明書 を含んでいる。 以下の実施例は例示のために供するものであって、限定のためではない。本明 細書の全ての引用の内容は説明的に本明細書の一部とされるものである。 実施例1 SMDFcDNAクローンの単離 ニューレグリン遺伝子(Marchionniら、上掲)のA)コードセグメント1(n t 739−825)の一部とB)コードセグメント8および9(nt 1452− 1507)の一部に相当する2つの同義性オリゴヌクレオチドを、ランダムオリ ゴヌクレオチドプライミングによりラベルし、2つのヒト脳幹cDNAライブラ リー(LMG2、ATCC37432、λgt11中;およびスタラタジーン,λ ZAP中)およびヒト小脳(Clontech,5'−ストレッチ、λgt11中)cDN Aライブラリーからの5.5×106プラークをスクリーニングするのに同時に使 用した。陽性クローンを反復スクリーニングにより分離した。当初、13クロー ンを分離し、3個は両方のプローブにハイブリダイズし、4個はプローブAだけ にハイブリダイズし、6個はプローブBだけにハイブリダイズした。挿入物のサ イズは、純化ファージDNAをEcoRI消化して見積った。各クローンの挿入物 をプラスミドpBluescript SK(−)(スタラタジーン)のEcoRIサイトにサ ブクローンし、DNA配列分析した。当初分析の後、全配列分析のために7クロ ーンを選択した。 ヌクレオチド配列は、70770配列バージョン2.0DNA配列決定キット (US Biochemicals)を使って、ジデオキシチェインターミネーション法(S angerら、PNAS,USA,74:5463−5467,1977)により決 定した。挿入物の両鎖の配列を決定した。ヌクレオチド配列は配列分析プログラ ム(Geneutech Scientific Computing Group)を使って分析した。 両方のプローブに強くハイブリダイズしたクローンの1つは全長クローン(ク ローンBS4)であった。プローブBだけにハイブリダイズしたクローンの内3 つは全長クローン(クローンBS1、BS2、BS3)であった。プローブBだ けにハイブリダイズしたクローンの内2つ(BS5、BS6)と、両方のプロー ブにハイブリダイズした1つのクローン(CB2)は不完全クローンであった。 完全なクローンの内、BS4はMarchionniら(上掲)のヒトGGF(GGF HBS5)の配列と同じであった。BS1、BS2、およびBS3は3個の独立 したクローンであり、その内の2つ(BS1、2)は、同じコード配列を示す。 BS3のコード配列は、アミノ酸残基171および188においてBS1および BS2と異なっており、いずれもAlaからValへの置換である。5'ポリクロー ニング部位に隣接した18ntを除いて、BS1とBS2は、ほとんどホモローガ スな5'非翻訳配列を持っている。BS3の5'非翻訳配列は109nt短いが、そ れを除けば、BS1およびBS2の配列と12ntだけ違っているだけである。 図1AはBS1cDNAのヌクレオチド配列およびその推定アミノ酸配列を示 す。nt507(BS1)、264(BS2)、および522(BS3)に於ける ATGで始まり(いずれも長いオープンリーディングフレームを開始させる)、 BS1、BS2、およびBS3cDNAは、それぞれ296アミノ酸のポリペプ チドをコードしており、推定分子量(Mr)は31,686Daである。2−3の コンセンサスポリアデニル化シグナルAATAAAが先行する、BS1(短鎖) およびBS2(長鎖)のA−豊富領域で終わる478(BS1の場合)、382 (BS2の場合)、120nt(BS3の場合)の3'非翻訳配列の次にストップ コドンがある。BS3にはポリアデニル化シグナルまたはA−豊富領域がない。 SMDF、GGFII、HRGβ1、およびARIAの図解的比較を図2Aに示 す(主要な構造特性のみ示す)。この4つのタンパクのアミノ酸配列の比較を図 2Bに示す。SMDFタンパクは、GGFII(Marchionniら、上掲)、HRG −β1、β2、β3(Holmesら、上掲)、およびヒトNDF−β1a、−β2 、−β3(Wenら、1994、上掲)のそれらと100%の配列同一性を有し、 ある種のラットNDF(クローン22、40、41、42a)と92%、ARI Aと83%の同一性を有するEGF様ドメインを持っている。しかし、BLAS Tプログラムを使ってジーンバンクヌクレオチドデータベースおよびタンパクデ ータベースと比較すると、SMDF配列のEGF様ドメインのN−末端配列は新 規であり、報告されている他の全てのニューレグリン配列と異なっている。HR G、 NDF、およびARIAと同様に、SMDFも、膜および分泌タンパクに典型的 なN−末端シグナルペプチドを欠いている。ある種の変異体(HRG−β3やG GFIIを含む)の様に、SMDF配列は、EGF様ドメインと貫膜ドメインを連 結している8−10可変アミノ酸鎖の後で終わっており、従って、後者および細 胞質テイルを欠いている。SMDFとニューレグリンの主要な構造上の違いは、 他の全てのニューレグリン類に特徴的なIg様ドメインのSMDFを欠いている ことである。ニューレグリン類と異なるSMDFの別の特徴は、N−結合グリコ シル化部位に富む領域を明らかに欠いていることである(O−結合部位には富ん でいる様であるが)。SMDFの第3の顕著な特徴は、目だって疎水的性質の、 N末端近くの2つのアミノ酸鎖、残基T48−L62(即ち、非極性I)および 176−V100(即ち、非極性II)が存在することである(図1Bのヒドロパ シ−分析を参照)。なんらかの特定の理論に拘束される訳ではないが、これらの 配列、特に176−V100は、小胞体膜を通過させ得る内部の、非開裂シグナ ル配列として機能しているのかも知れない(Blobel,PNAS,USA,77 :1496−1500,1980:Sabatiniら、J.Cell.Biol.,92:1 −22,1982;WicknerおよびLodish,Science,230:400−40 7,1985;およびvon Heijne,Biochim.Biophys.Acta,947:30 7−333,1988)。SMDF中のこの疎水性鎖の上流に正または負に荷電 した残基が存在することは、内部の非開裂シグナルペプチドの典型的な特徴にふ さわしい。この様な非開裂、内部シグナルの例は、卵アルブミン(Meekら、J .Biol.Chem.,257:12245−12251,1982)およびシナプ トタグミン(Perinら、J.Biol.Chem.,266:623−629,199 1)のN末端近くの疎水性シグナル要素である。第4番目の顕著な特徴は、疎水 性鎖に散在する8個のシステイン残基の存在である(即ち、“NTD−cysノット ”)。 実施例2 哺乳動物細胞中でのSMDFの発現 クローニングを容易にするために加えられた5'−SalIおよび3'−HindIII 制御部位を持った、ヒトSMDFクローンBS1の全コード配列に相当するcD NAのフラグメントを、ポリメラーゼ連鎖反応(95°,7分;95°,1分、7 0°,1分、72°,2分で5サイクル;94°,1分、56°,1分、72°,2. 5分で15サイクル;72°,5分)で作成し、XhoIおよびHindIII部位を利 用してEpstein−Barrウイルスに基づく発現ベクターpEBonに挿入した。別の 構築では、3'末端に平滑末端を有する上記cDNAフラグメントを、まず、エピ トープで札をつけたgDを含んでいるサイトメガロウイルスを基礎とする発現ベ クターpRK5にサブクローンした。これには、pRK5中のgD−Rse構築物( Markら、J.Biol.Chem.,269:10720−10728,1994)か ら、SalIおよびEcoR V部位によりRse配列を削除し、SMDF配列を挿入 することにより行った。エピトープで札つけしたgD−Rseは単純性疱疹ウイル スタイプI糖タンパクD(Markら、上掲)のアミノ酸1−53のコード配列を 、ヒトRse(Paborskyら、Protein Eng.,:547−553,1990) のアミノ酸41−890をコードしている配列と融合させることにより構築した 。得られたgD−SMDF挿入物をHindIII部位によりpEBonにサブクローンし た。制限配向性は、酵素による消化によって決め、配列決定により確認した。プ ラスミドDNAをQiagenカラムで純化した。293細胞(アメリカン・タイプ ・カルチャー・コレクション,ATCC CRL1573)をSMDF/pEBon およびgD−SMDF/pEBon発現ベクター、およびベクターpEBon(対照)に より、改良CaPO4仲介トランスフェクションプロトコール(Gorman,In D NA Cloning:A Practical Approach,Vol.II,D.M.Glover,ed.ワシ ントンDC:IRLプレスpp143−190,1985)を使ってトランスフェ クトした。4日後、トランスフェクトした血清不含培養上清を、キナーゼレセプ ター活性化(KIRA)ELISA(後記実施例3参照)で、SMDF発現につ いて分析した。21日後、陽性G418−耐性クローンを増やし、コンフルエン トな培養上清を、KIRA−ELISAおよびウエスタンブロットにより、レセ プターチロシンリン酸化の刺激について分析した。 実施例3 erbBレセプターの活性化 pEBonベクター系を使って、293細胞で一時的に発現されるSMDFcDN Aの生物活性(実施例2で言及した)を調べた。SMDF中にEGF様ドメイン が存在することから、非濃縮(1×)および10倍濃縮(10×)培養上清を、 p185neu/HER2を過剰発現しているMCF−7ヒト乳癌セルラインのチロシン リン酸化を刺激する能力について、ウエスタンブロットにより分析した。 この分析のために、ダルベッコの最少必須培地(50%)/F−12(50% )/10%ウシ胎児血清(Hyclone)中、24−ウエルプレート上でコンフルエ ントになるまで増殖させたMCF−7乳癌細胞(ATCC HTB26)を、血 清不含培地(分析培地)に2時間で移した。記述した様に、0.1%BSA含有 分析培地で希釈した、SMDFをトランスフェクトした培養上清またはHRGβ177-244 (rHRGβ1、HRGβ1の純化EGF様ドメイン、残基177−24 4、E.Coli中で発明、Holmesら、上掲)により、細胞を37°で15分間刺 激した。上清を吸引し、β−メルカプトエタノールを含むSDSサンプル緩衝液 100μlを加えた。サンプル(15μl)を加熱し、4−20%ポリアクリルア ミドゲル(Novex)で電気泳動し、ニトロセルロース膜にエレクトロブロットし た。膜を、0.05% Tween−20を含んでいるトリス緩衝液中の5%牛血清ア ルブミンでブロックし、抗−ホスホチロシンモノクローナル抗体(4G10、U BI)と共に室温で1時間インキュベートした。結合した抗−ホスホチロシン抗 体を、アルカリホスファターゼとコンジュゲートした山羊抗−マウス免疫グロブ リンG抗体(Promega)と共に30分間、室温でプローブし、5−ブロモ−4− クロロ−3−インドイル−1−ホスフェートおよびニトロ−ブル−テトラゾリウ ム(Promega)により可視化した。 ウエスタンブロットにより、SMDFでトランスフェクトに培養上清とrHR Gβ1177-241(HolmeSら、上掲)で処理した細胞中の抗−ホスホチロシンモノ クローナル抗体により、刺激を受けたMCF−7細胞リゼイト中の185kDタ ンパクを検出した。異なった濃度のrHRGβ1177-241(100pM、500pM 、 および1nM)および非濃縮および10×濃縮の、SMDFでトランスフェクト した上清に対する応答は、いずれも濃度依存的であった。0.1%BSAを含有 する分析培地、血清不含トランスフェクション培地、または非濃縮および10倍 濃縮したベクタでトランスフェクトした培養上清で処理した細胞は、185kD タンパク(これは、最もerbB2/neu/HER2レセプターチロシンキナーゼら しい)を刺激しなかった。 上に述べたチロシンリン酸化ウエスタンブロット分析を、ラット骨格筋原細胞 系列(ATCC CRL1769)を使って行った。SMDFでトランスフェク トした培養上清は(非濃縮または10×濃縮)、その濃度に応じて、185kD バンドのチロシンリン酸化を促進(刺激)することができた。SMDFは、rH RG−β177-244よりもp185HER2のリン酸化を刺激する点に於いて、より活性 が強いと思われる。 KIRA−ELISAのために、MCF−7細胞をマイクロタイタープレート に2×105細胞/100μl/ウエルでまき、5%CO2中37°で培養した。 上清をデカントし、細胞をSMDFでトランスフェクトした培養上清(SMDF またはgD−SMDF)または種々の濃度の(0−3000pM)rHRG−β11 77-244 (rHRG−β1)で、37°、30分間刺激した。上清をデカントし、 100μlの溶菌緩衝液[50mM HEPES,pH7.5,150mM NaCl, 0.5%トリトンX−100,0.01%チメロゾール,30KIU/mlのアプ ロチニン(ICN),1mMの4−(2−アミノエチルノ−ベンゼンスルホニル フルオライドHCl(AEBSF,ICN),2mMのナトリウムオルトバナデー ト]を各ウエルに加えた。細胞を1時間、室温でゆっくり振りまぜながらインキ ュベートした。細胞溶解物をウエルに移し(85μl/ウエル)、100μl/ウ エルのアフィニティーで純化したポリクローナルウサギ抗−HER2細胞外ドメ イン抗体(1μg/ml、50mM炭酸ナトリウム中、pH9.6)により、4℃で一 夜被覆したELISAマイクロタイタープレート中、室温で2時間インキュベー トし、PBS中、150μlの0.5%BSA、0.01%チメロサールにより室 温で60分間ブロックし、洗浄用緩衝液(0.05%ツイーンおよび0.01%チ メロサー ルを含んでいるPBS)で6回洗浄した。プレートを洗い、希釈緩衝液(0.5 %BSA、0.05%ツイーン20、5mM EDTA、0.01%チメロサール含 有PBS)で1:2000に希釈した100μlのビオチニル化抗−ホスホチロ シン抗体(4G10,UB1)と共にインキュベートした。プレートを洗い、希 釈緩衝液に1:10000に希釈した、100μlのワサビ大根ペルオキシダー ゼとコンジュゲートしたストレプタビジン(Zymed Laboratories)中、室温で 30分間インキュベートした。洗浄後、調製したこの基質溶液(テトラメチルベ ンジジン、2成分基質キット、Kirkegaard and Perry)を加え、1.0MH3P O4100μlを添加する前に、10分間反応を進行させた。450nmに於ける吸 光度を、vmaxリーダー(Molecular Devices)を用い、650nm(ABS450/6 50 )の対照波長と共に測定した。再現性のある標準曲線を、既知濃度のrHRG β1による平行刺激により得、pMβ1対平均ABS450/650±SDで表した。分 析の結果は、定量的抗−ホスホチロシンウエスタンブロット分析とよく相関して いた。サンプル濃度はpMrHRGβ1活性で表した。 SMDFでトランスフェクトした細胞上清は、rHRGβ1の活性に対し、2 0−160pMの範囲のKIRA活性を示す。 HRGβ3およびGGFHFB1をコードしているそれぞれのcDNAでトラ ンスフェクトしたCOS−7細胞から放出されなかったそれらHRGβ3および GGFHFB1と違って、2つのSMDFでトランスフェクトした培養上清によ る185kDタンパクのチロシンリン酸化の刺激に於いて示唆された様に、SM DFは、SMDFまたはgD−SMDFcDNAで一時的にトランスフェクトされ た293細胞から放出された様である。 実施例4 ラットGGFクローンの生成 ラット脳ポリA+RNAから調製したcDNAフラグメントのPCR増幅により 、ラットGGFcDNA(543bp、ヒトGGFクローンBS4のnt964−1 508に相当する)の部分配列を生成した。増幅反応は、パーキンエルマーモデ ル480サーモサイクラー中、Taq DNAポリメラーゼを使い、95°1分、 8 0°2.5分を10サイクル行い、次いで95°1分、72°2.5分を25サイ クル行うことにより実施した。増幅したDNAフラグメントをpBluescriptSK (−)のSmaI部位にクローンした。組換え体を同定し、配列決定した。部分的ラ ットGGF配列は、ヒトGGF配列と90.2%が同じである。 実施例5 ノーザンブロット分析 SMDFは、他のニューレグリン類とβ−タイプEGF様ドメインを同じくす るので、EGF様配列の5'側のヒトSMDFcDNAに相当する32P標識化cD NAフラグメントをノーザンブロット分析に使用した。 ChomczynskiおよびSacchi(Anal.Biochem.,162:156−159, 1987)の方法により、組織または細胞から全RNAを抽出した。業者の指示 に従い、オリゴ(dT)−セルロースカラム(QIAGEN)で、全RNAからポ リA+RNAを分離した。エタノール沈澱させたポリA+RNAを1×MOPS緩 衝液、50%ホルムアミド、17.5%ホルムアルデヒドに溶解し、95°で5 分間変性し、1.1%ホルムアルデヒド含有1.2%アガロースゲルで電気泳動し た(KroczekおよびSiebert,Anal.Biochem.,184:90−95,199 0)。分画したポリA+RNAをキャピラリーによりナイロン膜(Hybond,Ame rsham)に移した。RNAブロットをUV固定し、80°で2時間焼き、5×S SC、5×デンハルト、0.1%SDS、100μg/mlサケ精子DNAと、65 °で4時間、予備的ハイブリダイズを行った。ヒト胎児組織およびヒト成人組織 からのポリA+RNAそれぞれ2μgを含んでいるブロットをClontechから購入 した。以下のcDNAフラグメントのPCR増幅により、ハイブリダイゼーショ ンプローブを作成した:ヒトSMDF、クローンBS1のnt507−1211( 705bp);ヒトGGF、クローンBS4のnt519−1059(541bp)。 DNAプローブは、ヘキサマー(Promega)の混合物を使ったランダムプライミ ングにより、α−32P−dATPと−dCTPで比活性7.5−11×108cpm/ μgにまで標識化した。RNAブロットを、同じハイブリダイゼーション溶液中 、2×106cpm/mlプローブと65°で20時間ハイブリダイズした。ブロット を、室温 で、0.1×SSC、0.1%SDSで数回洗浄し、最後に同じ溶液で、65°、 10分間洗浄した。このブロットを強化スクリーンを使い−80°で5〜7日間 KodakXAR−2フィルムに暴露した。 ヒト胎児脳からのポリA+RNAのノーザンブロットの際、2.5および8.5k bの2の転写体が検出された。ヒト胎児の肺、肝臓、および腎臓からのポリA+R NAの同じブロットにはハイブリダイゼーションシグナルは検出されなかった。 一方、ヒトGGFcDNAのIg様ドメイン(これも共通するEGF様配列の5' 側であった)の一部およびクリンクルに相当する32P−標識化プローブを同様の ブロットに使用したところ、1.3および4.4kbの2つの転写体が、既述した4 つの組織全てに検出された。 従って、これらの実験の結果は、SMDFとある種の他のニューレグリン変異 体との間には、それが神経組織に特異的であるという点で、組織分布の面ではっ きりと区別されるということを示している。このことは、他の変異体が種々の組 織や細胞に広く分布しているという報告と合致するものである(Holmesら、上 掲;Wenら、1992,上掲;Fallsら、上掲;Orr−Urtegerら、上掲;Mey er Birchmeier,上掲)。 実施例6 イン・サイチューハイブリダイゼーション ヒト、ラット、およびマウスの胎児、成長したマウス、およびラットの脳およ び脊髄について、イン・サイチューハイブリダイゼーションを行った。33P−標 識RNAプローブはヒトSMDFおよびヒトおよびラットのGGFのIg様ドメ インの特異なN−末端コード配列に相当する。 T7RNAポリメラーゼ(Promega)を用いたインビトロ転写の為の鋳型とし 加えられたT7プロモーター配列の3'側の以下のcDNAフラグメントのPCR 増幅によってハイブリダイゼーションプローブを生成させた:ヒトSMDF、B S1のnt507−1172(666bp);ヒトGGF、クローンBS4のnt78 2−1306(525bp);ラットGGF、ラットGGFクローン(実施例4) のnt964−1306(343bp)。インビトロで転写されたアンチセンスおよ びセンスRNAを、報告されている方法(Meltonら、Nucleic Acid Res.,12 :7035−7070、1984)で、γ−33P−UTP(5000Ci/m mol,Amersham)で標識化した。1UのRNAase不含DNAase(Promega)と 37°で15分間インキュベートすることにより、DNA鋳型を除去した。酵母 tRNA(Sigma)をキャリアーとして用いてRNAサンプルをフェノール−ク ロロホルムで2回抽出し、0.3M酢酸ナトリウムの存在下で100%エタノー ルで沈澱させ、70%エタノールで洗い、10mMトリス、1mM EDTA、pH 7.4で〜4×105cpm/μlの濃度にした。Phillipsら(Science,250: 290−294,1990)により改良されたWilcoxらの方法(J.Clin.I nvest.,82:1134−1143,1988)に従ってハイブリダイゼーショ ンを行った。封をしたスライド箱中の10μmの厚さの凍結した組織片を室温ま であたため、4%パラホルムアルデヒド、1%グルタルアルデヒドで4°で30 分間固定した。0.5×SSCで2回洗浄した後、組織片をハイブリダイゼーシ ョン緩衝液で覆い(20mMトリス−HCl、pH8、5mM EDTA、0.1M NaCl、1×デンハルト、10%硫酸デキストラン、10mM DTT、50%ホ ルムアミド、スライド当たり0.4ml)、42℃で3時間インキュベートした。 キャリアーとしてt−RNAを含んでいるハイブリダイゼーション緩衝液中の33 P−標識RNAプローブを、直接、スライド上のハイブリダイゼーション緩衝液 に、最終濃度が8×106cpm/mlとなる様に加え、ゆっくりピペッティグして混 合し、加湿した、しっかりカバーした箱の中で55°で一夜インキュベートした 。10mM β−メルカプトエタノール、1mM EDTAを含有する2×SSC溶 液で2回洗浄し、組織片をRNAaseA溶液(10mMトリス−HCl中、20μg /ml pH8、0.5M NaCl)により室温で30分間処理した。2×SSC−β −メルカプトエタノール−EDTA溶液で更に2回、室温で洗浄した後、組織片 を高ストリンジェント緩衝液(0.1×SSC、10mM β−メルカプトエタノ ール、1mM EDTA)を用い、55°で2時間洗った。次いで組織片を0.5 ×SSCにより、室温で2回洗い、0.3M酢酸アンモニウムを含んでいる50 %、70%、次いで90%エタノールで手短に脱水し、風乾し、HyperfilmβM AX(A mersham)およびNTB2エマルジョン(Kodak)に暴露(感光)させた。現像 後、エマルジョンに浸したスライドをクレジルバイオレットで対比染色した。 ヒトSMDFプローブを用い、主としてヒト及びE13.5マウスの胎児の脊 髄と脳について、SMDFmRNAの所在を求めた。脊髄に於いては、mRNAの 最高レベルは腹側角運動ニューロンにあり、非常に高いレベルはまた、背側根ガ ングリオン中の感覚ニューロン中に見られる。運動ニューロンの中では、発現は 大きい細胞(後に有髄化する)中に集中している。成熟したマウスの脊髄では、 高レベルのSMDFmRNAは、運動及び感覚ニューロンで維持されている。E 13.5マウスの脳では、側脳室および小脳に高レベルが観察される。SMDFm RNAが検出される脳のその他の領域は、エントリノ(entorhino)皮質、隣接 海馬、視床、および副嗅覚バルブである。舌下舌および顔の運動ニューロンおよ び鼻上皮中の感覚ニューロンもSMDFmRNAを発現している。 ヒトGGFプローブを使えば、またヒト及びE13.5マウス胎児の脳および 脊髄中にGGFmRNAが見い出される。しかし、E13.5マウス脳の側脳室中 に中程度の発現があるが、ヒト胎児及びマウス脊髄の腹側運動ニューロンおよび 背側根ガングリオン中に見られるハイブリダイゼーションシグナルは、SMDF mRNAシグナルに比べて非常に弱い。ヒト胎児の場合、GGFシグナルは異常 に高い非特異的バックグラウンドから見わけることができない。マウス胎児脳の 骨髄およびエントリノ皮質を含む、他の領域でのシグナルは、かろうじてバック グラウンドを上廻るだけである。SMDFmRNAについて、成熟マウスの骨髄 にも上に挙げた他の領域にも、検出可能なシグナルは存在しない。 ラットGGFプローブを使用する場合、中程度のハイブリダイゼーションがE 15.5ラット胎児の側脳室および脊髄の背側根ガングリオンに見られる。腹側 脊髄運動ニューロン中のシグナルはもっと弱い。これらのデータは、Orr−Urt regerら(上掲)がマウス胎児の脳及び背髄中のマウスNDFの分布を調べる為 に、マウスNDF Igプローブを使って得たものと似ている。GGFmRNAは また、他のラット胎児組織(例えば腎臓)中でも検出された。 ニューレグリン類についての既に報告されているノーザン分析またはイン・サ イチュー分析に於いて、使用されたハイブリダイゼーションプローブにはSMD Fと共通するEGF様配列が含まれていた(Holmesら、上掲;Wenら、199 2、上掲;Marchionniら、上掲;MeyerおよびBirchmeier、上掲)。従って、 SMDFmRNAは、これらの実験に於いて他のニューレグリン類と一緒に、位 置づけられたであろうし、ある組織や領域で観察されたハイブリダイゼーション シグナルは、実際はSMDFmRNAを示しており、問題にしている特定のニュ ーレグリンではないという可能性がある。 ノーザンブロット分析およびイン・サイチュー分析に於いて、SMDFはその 全特異的N−末端配列で表され、一方、他のニューレグリン類は組換えヒトGG FIIのIg様配列(これは、ヌクレオチドレベルで、HRGα,βおよびヒトN DFβ2b,β3のIg様ドメインと100%同一であり、ラットNDFと87% 、ARIAと70%一致している)で表される様にハイブリダイゼーションプロ ーブを設計すると、組織分布に主要な違いが現れる。他のニューレグリンは、こ の研究での脳、心臓、肺、肝臓、および腎臓を含むヒト組織、および背髄に広く 分布しているが、SMDFは脳と脊髄にのみ見られる。それ故、SMDFは神経 組織に特異的であると思われる。イン・サイチュー研究に於いて、胎児および成 熟動物の背髄の腹側背髄運動ニューロンおよび背側根ガングリオンにSMDFm RNAの高い発現がみられることは特に興味深い。ラットプローブを用いると、 中程度レベルのGGFmRNAがE15.5ラット背側根ガングリオン中に検出さ れるけれども、そのレベルはSMDFmRNAのレベルよりずっと低い。一方、 腹側背髄運動ニューロン中のGGFmRNAのマーカーはもっと弱い。ラット脳 及び脊髄中のラットGGFmRNAのイン・サイチューに於ける分布は、部分的 Ig様ドメインを含むマウスNDFプローブを使ってOrr−Urtregerら(上掲) が報告しているものに類似している。同様のIgプローブを使うと、ARIAmR NAはニワトリ胎児腹側角運動ニューロン中に検出されるが、背側根ガングリオ ン中には検出されない(Fallsら、上掲)。 SMDFmRNAは、その神経組織特異的発現により、その他のニューレグリ ン類と区別される。なんらかの理論に限定される訳ではないが、他のニューレグ リン類と比較して、成長しつつあるヒト、マウス、ラットの背髄中の運動ニュー ロン及び感覚ニューロン中で、SMDFmRNAが明らかに高い発現を示すこと は、成長しつつある神経筋肉ジャンクションでの活動、および運動及び感覚ニュ ーロンの成長に役割を果たしている可能性を示唆している。神経筋肉ジャンクシ ョンに於いて、3つのタイプの細胞の特異化によってシナプスが形成される。即 ち、運動ニューロン(神経末端)、筋肉繊維、シュワン細胞(HallおよびSane sの総説、Cell 72/Neuron 10(追補):99−121,1993)であ る。SMDFは、軸索が有髄化している大きい運動ニューロン中でもっぱら発現 され、これは、終末前シュワン細胞(ミエリンを形成する)の増殖に対するSM DFの作用と合致している。成長したマウス背髄運動ニューロンに於けるSMD Fの発現は、それが、神経損傷に続く、運動ニューロンによる筋肉繊維の再支配 を経て、成熟神経筋肉ジャンクションに於いても活動していることを示唆してい る。 実施例7 SMDFによるシュワン細胞増殖の刺激 2日令ラットの坐骨神経から分離したラットシュワン細胞を、夾雑フィブロブ ラストおよび他の細胞を含まない様に純化し(Brockesら、Brain Res.,16 :105−118、1979)、3nM rHRGβ1177-241の存在下で増殖さ せた。シュワン細胞表面マーカーP75NGFRの抗体染色により、この細胞をシュ ワン細胞と確認した。コンフルエントな培養をリン酸緩衝食塩水で2回洗浄し、 トリプシン処理し、インシュリン、トランスフェリン、および微量元素を追加し た血清不含のトランスフェクション培地中、24ウエルに3.7×104細胞/ウ エルでまいた。複製ウエルを血清不含トランスフェクション培地だけであるいは 血清不含培地に1:1で希釈したSMDFでトランスフェクトした293培養上 清(10倍濃度)処理した。5日後、SMDFでトランスフェクトした培養上清 で処理したシュワン細胞はコンフルエントな状態となったが、血清不含培地だけ で処理した細胞は生存しなかった。この様に、SMDFはシュワン細胞の増殖を 促進することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA C12P 21/02 C 21/08 5/00 E G01N 33/53 A61K 37/02 AAA //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.分離されたSMDF。 2.天然グリコシル化が付随していない請求項1に記載のSMDF。 3.グリコシル化されていない請求項2に記載のSMDF。 4.図1Aに示される翻訳されたSMDF配列と少なくとも75%の配列一致 を共有する、請求項1に記載のSMDF。 5.人間において非免疫原性である、請求項1に記載のSMDF。 6.天然配列SMDFである、請求項1に記載のSMDF。 7.図1Aに示される翻訳されたSMDF配列を有する、請求項1に記載のS MDF。 8.請求項1に記載のSMDFおよび薬学上許容し得る担体を含む組成物。 9.患者由来の試料を請求項1に記載のSMDFと接触させ、試料に結合する SMDFの程度を測定することを含む、癌腫に罹患している患者の疾病状態を決 定するための方法。 10.試料が、乳房、卵巣、胃、子宮内膜、唾液腺、肺、腎臓、結腸、膵臓、 または膀胱から誘導される癌腫細胞を含む、請求項9に記載の方法。 11.SMDFが標識されている、請求項9に記載の方法。 12.HER2レセプターを発現する細胞を請求項1に記載のSMDFと接触 させることを含む、HER2レセプターを活性化するための方法。 13.細胞が哺乳動物内に存在する、請求項12に記載の方法。 14.哺乳動物が人間である、請求項13に記載の方法。 15.グリア細胞を請求項1に記載のSMDFと接触させることを含む、グリ ア細胞の分裂促進を刺激する方法。 16.グリア細胞がシュワン細胞である、請求項15に記載の方法。 17.グリア細胞が細胞培養内に存在する、請求項15に記載の方法。 18.グリア細胞が哺乳動物内に存在する、請求項15に記載の方法。 19.請求項1に記載のSMDFと結合することのできる、分離された抗体。 20.抗体が中和抗体である、請求項19に記載の抗体。 21.請求項19に記載の抗体を、SMDFの含有が疑われる試料と接触させ 、結合が起こっているか否かを検出することを含む、SMDFを検出する方法。 22.SMDFを含有する混合物を、請求項19に記載の抗体が結合している カラムを通過させ、SMDFを含有する画分を回収することを含む、SMDFを 精製するための方法。 23.SMDFをコードしている、分離された核酸分子。 24.(a)図1Aに示されるSMDF遺伝子のコード化領域のヌクレオチド 配列を含むDNA; (b)遺伝子コードの縮重の範囲内で(a)の配列に対応するDNA;および 、 (c)(a)または(b)のDNAに対し相補的な配列とハイブリダイズし、 且つ、天然配列SMDFポリペプチドの生物学的性質を有するポリペプチドをコ ードしている、DNA、 より成る群から選ばれる、請求項23に記載の核酸分子。 25.該核酸分子と機能的に結合しているプロモーターをさらに含む、請求項 23に記載の核酸分子。 26.DNAであり、且つ図1Aに示される翻訳されたDNA配列を含む、請 求項23に記載の核酸分子。 27.請求項23に記載の核酸分子を含むベクター。 28.該ベクターにより形質転換された宿主細胞により認識される調節配列に 機能的に結合した、請求項23に記載の核酸分子を含む発現ベクター。 29.請求項23に記載の核酸分子を含む宿主細胞。 30.請求項29に記載の宿主細胞を培養し、この細胞培養からSMDFを回 収することを含む、SMDFの産生をさせるためにSMDFをコードしている核 酸分子を使用する方法。 31.SMDFが宿主細胞培養基から回収される、請求項30に記載の方法。
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