【発明の詳細な説明】
ヒト組換えデコリンの精製方法および
グアニジウムイオンの検出方法
発明の背景
発明の分野
本発明は、一般的に、タンパク質を精製するための方法、およびタンパク質含
有溶液または他の溶液中の残留イオンを検出する方法に関する。
背景情報
PG-IIあるいはPG-40としても知られるデコリン(decorin)は、線維芽細胞によ
って産生される小さなプロテオグリカンである。そのコアタンパク質は、約40,0
00ダルトンの分子量を有する。このコアは配列決定され、そしてコンドロイチン
硫酸/デルマタン硫酸型の一本のグリコサミノグリカン鎖を有することが知られ
ている。デコリンのコアタンパク質のほとんどは、約24アミノ酸のロイシン-リ
ッチな反復(LRR)の存在によって特徴づけられる。
プロテオグリカンは、1つまたはそれ以上のグリコサミノグリカン鎖を有する
タンパク質である。既知のプロテオグリカンは様々な機能を遂行し、そして種々
の細胞位置に見出される。多くのプロテオグリカンは細胞外マトリックスの成分
であり、ここでプロテオグリカンはマトリックスのアセンブリに関与し、そして
細胞をマトリックスに付着させる。
デコリンは、TGFβ誘導細胞増殖および細胞外マトリックス産生を防ぐために
使用されてきた。従って、デコリンは、TFGβ調節活性によって引き起こされる
病状(例えば、ガン、糸球体腎炎、および過剰なマトリックスによって特徴づけ
られる病状)を減弱させるかまたは予防するために有用である。例えば、ガンに
おいて、デコリンは、ガン細胞に対するTGFβ-1の増殖刺激活性を破壊するため
に使用され得る。デコリンはまた、創傷萎縮(細胞外マトリックスのタンパク質
が関与する)を減弱させるかまたは阻害するために有用である。
ヒト組換えデコリンを発現させそして精製するための方法は、例えば、WO 90/
00194に記載されるように、当該分野において公知である。しかし、LRRに由来す
るデコリンの疎水的性質を仮定すると、宿主細胞の混入物からこのプロテオグリ
カンを精製するためのより便利で再現性のある方法は、とらえどころのない(elu
sive)ままである。
(例えば、デコリン発現チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から)ヒト組換
えデコリンを発現させた後、プロテオグリカンは、本発明の精製手順によって、
細胞培養培地から実質的に精製され得る。工程の組み合わせおよび特定の試薬(
特に、疎水性相互作用カラムからデコリンを溶出するための2.4〜3モルのGuHCl
溶液)を使用することによって、本発明の方法は、ヒト組換えデコリンを精製す
るためのより便利で再現性のある方法を提供する。現在までのところ、この方法
は、既知の最も純粋なヒト組換えデコリン産物を提供する。
本発明はまた、グアニジウムイオン(guanidium ion)を含有すると思われる溶
液中(例えば、デコリンの上記精製スキームの場合と同様に、GuHClがタンパク質
を精製するために使用されたタンパク質含有溶液中)のグアニジウムイオンの存
在を検出するための新規な方法を提供する。
グアニジンは、培養培地中の細胞環境からの組換えタンパク質の精製において
使用される緩衝塩である。残留グアニジウムイオンは、対イオンとして、精製タ
ンパク質と会合している。手順は、この対イオンを他のイオンで置換するよう設
計されている。しかし、残留グアニジウムイオンの低い百万分率範囲での正確な
測定は、分光測光のような現行の手順により実現し得ない。残留グアニジウムイ
オンは、医薬投与のために設計された生成物において、一般的には望ましくない
成分であると考えられる。
本発明は、溶液中に存在するグアニジウムイオンを検出および定量するために
伝導率検出器を使用する、イオンクロマトグラフィー法を提供する。この方法は
、感度が高く、再現性があり、そして高速である。百万分率範囲のグアニジウム
イオンに対する高い感受性は、圧倒的濃度のナトリウムの存在下において顕著で
ある。本発明の方法はまた、最小限の試料容量のみを必要とする利点を有し、非
常にわずかの試料調製物で実施され得る。
発明の要旨
本発明は、実質的に純粋なヒト組換えデコリンの生産方法に関する。このデコ
リン精製方法は、第1に、デコリン含有細胞培養培地を、第1の強アニオン交換
樹脂と、上記デコリン含有培地を約0.1〜約0.4モルの塩濃度を有する溶液中の上
記樹脂に充填することにより接触させる工程、上記樹脂を、約0.3〜約0.4モルの
溶出塩濃度を有する緩衝溶液で洗浄する工程、および結合したヒト組換えデコリ
ンを、約0.9〜約1.2モルの溶出塩濃度を有する緩衝溶液で溶出する工程を包含す
る。これに次いで、得られたデコリン含有溶出画分を、疎水性相互作用クロマト
グラフィー(HIC)樹脂と、上記デコリン含有画分を約1〜約2モルの塩酸グアニ
ジウム(GuHCl)含有溶液中のHIC樹脂に充填することにより接触させる工程、約1
〜約2モルのGuHClを含む緩衝溶液でこのHIC樹脂を洗浄する工程、および結合し
たヒト組換えデコリンを、約2.4〜約3モルのGuHClを含む緩衝溶液でHICカラム
から溶出する工程が続く。最後に、この方法は、HIC樹脂からのデコリン含有溶
出画分を約0.3モルより小さいGuHCl濃度に希釈する工程、この希釈された溶液を
第2の強アニオン交換樹脂に充填する工程、この第2のイオン交換樹脂を約0.3
〜約0.4モルの溶出塩濃度を有する緩衝溶液で洗浄する工程、および結合したヒ
ト組換えデコリンを、約0.9〜約1.2モルの溶出塩濃度を有する緩衝溶液で溶出し
、実質的に精製されたヒト組換えデコリンを得る工程を包含する。
本発明はまた、試料溶液中のグアニジウムイオンの存在を検出する方法を提供
する。この検出方法は、グアニジウムイオンを含むと考えられる試料溶液を、カ
チオン交換樹脂と接触させる工程、およびこの試料溶液中に存在するグアニジウ
ムイオンを、約1.5〜約2.0のpHを有する水性緩衝溶液で溶出する工程を包含する
。これに次いで、上記溶出液をカチオンサプレッサーカラムと接触させ、そして
同時に上記カラムの透過膜の反対側で反対方向にサプレッサー再生溶液を流す工
程、そして最後に、サプレッサーカラムと接触したイオン交換カラムからの溶出
液中のグアニジウムイオンの存在を、伝導率検出器の使用により検出する工程が
続く。
図面の簡単な説明
図1は、デコリンを発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いて
産生されたヒト組換えデコリンの核酸およびアミノ酸配列を示す。
図2は、3Mおよび4M GuHCl溶液を用いてoctyl-Sepharoseカラムからの、(1)
デコリンおよび(2)CHOタンパク質の溶出を比較する1対のウェスタンブロットを
示す。
発明の詳細な説明
PG-IIまたはPG-40としてまた知られるデコリンは、線維芽細胞により産生され
る小さなプロテオグリカンである。そのコアタンパク質は、約40,000ダルトンの
分子量を有する。このコアは配列決定されており(KrusiusおよびRuoslahti、Pro c .Natl.Acad.Sci.USA
、83:7683(1986));これは本明細書に参考として援用
される)、そしてコンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸型の単一のグリコサミノグ
リカン鎖を持つことが知られている(E.Ruoslahti、Ann .Rev.Cell Biol.、4
:229-255(1988)、これは本明細書に参考として援用される)。デコリンのコアタ
ンパク質の大部分は、約24アミノ酸のロイシン-リッチな反復(LRR)の存在により
特徴付けられる。
本明細書で用いられる用語「ヒト組換えデコリン」は、その最も広い意味で用
いられ、ネイティブなヒトデコリンの構造、ならびに、改変されたヒトデコリン
がネイティブなヒトデコリンの機能的等価物であれば、そしてさらに改変された
ヒトデコリンが本発明の方法により精製されるようにネイティブなヒトデコリン
に対して十分な構造的類似性を保持するのであれば、改変されたネイティブなヒ
トデコリンをも含む。ネイティブなヒトデコリンの機能的等価物は、例えば、構
造的にはネイティブなデコリンと異なるが、ネイティブなヒトデコリンに特徴的
な機能的活性に類似の機能的活性を保持するデコリンポリペプチドを含む。ネイ
ティブなヒトデコリンの活性フラグメントは、デコリンの機能的等価物の例であ
る。デコリンの機能的等価物はまた、改変がデコリンの機能を実質的に妨害しな
いのであれば、例えば、脂質または炭水化物鎖のような1つまたはそれ以上の側
鎖の付加により、または側鎖のリン酸化のような化学的修飾により改変されたデ
コリンポリペプチドであり得る。
用語「ヒト組換えデコリン」に含まれる機能的等価物の特定の例は、アミノ末
端シグナル配列の全部または一部を保持する、および/またはカルボキシ末端で
小さな先欠部を有するような組換えデコリン産物を含む。例えば、デコリンを発
現するCHO細胞を用いて産生されたデコリンは、N-末端シグナル配列の一部、グ
リシン-13〜グルタミン酸-1(KrusiusおよびRuoslahti、前出からの番号付け)を
保持し、そしてC-末端アミノ酸残基リジンを欠損し得る(KrusiusおよびRuoslaht
i、前出;図1もまた参照のこと)。
本明細書で用いられる用語「実質的に純粋なヒト組換えデコリン」は、実施例
Iで記載される実験手順により得られる純度とほぼ同じレベルをいい、これは、
他のタンパク質混入物および混入する核酸から少なくとも約95%純粋であり、そ
してより好ましくは約99%純粋である。純度は、ゲルイメージングによりまたは
デンシトメーターを用いるような、当該技術分野で公知の任意の方法により測定
され得る。
ヒト組換えデコリンを調製する方法は当該技術分野で公知である。例えば、WO
90/00194において、RuoslahtiおよびYamaguchiは、ヒトデコリンcDNAでCHO細胞
をトランスフェクトする方法を開示している(KrusiusおよびRuoslahti、前出)。
あるいは、デコリンの大規模生産は、実施例Iの方法により生成され得る。
ヒト組換えデコリンを発現した後、このプロテオグリカンは、CHO培地のよう
な細胞培養培地から、本発明の精製手順により実質的に精製され得る。この方法
は、一般的な意味で3つの別のステージの組み合わせを含み、これは、デコリン
含有細胞培養培地を、(1)第1の強アニオン交換樹脂と;次いで(2)疎水性相互作
用グロマトグラフィー樹脂と;そして最後に(3)第2の強アニオン交換樹脂と接
触させることにより特徴付けられる。
第1の強アニオン交換樹脂:
デコリン含有細胞培養培地を、最初に、第1の強アニオン交換樹脂と、(1)デ
コリン含有培地を約0.1〜約0.4モルの塩濃度を有する溶液中の上記樹脂に充填す
ること、(2)次いで、この樹脂を、約0.3〜約0.4モルの溶出塩濃度を有する緩衝
溶液で洗浄すること、および(3)結合したヒト組換えデコリンを、約0.9〜約1.2
モルの溶出塩濃度を有する緩衝溶液で溶出することにより接触させる。
本明細書で用いられる用語「塩」は、酸の水素イオンのすべてまたは一部を、
1つまたはそれ以上の塩基のカチオンで置き換えることにより形成される任意の
化学的化合物を意味し、そして好ましくは塩化ナトリウム(NaCl)、酢酸ナトリウ
ムまたは塩化カリウム(KCl)のような一価の塩である。上記で定義した塩である
ことに加えて「溶出塩」はまた、樹脂に結合した混入物またはデコリンのいずれ
かを溶出し得る。例えば、約0.3〜約0.4モルの塩濃度を有する緩衝溶液を用いた
洗浄は、混入物を溶出する「溶出塩」濃度である。約0.9〜約1.2モルの濃度を有
する緩衝溶液を用いた溶出は、結合したデコリンを溶出する「溶出塩」である。
一般に、塩は緩衝溶液中に含まれる。本明細書で用いられる用語「緩衝溶液」は
、少量の酸性または塩基性物質の添加に際し、pHの実質的変化に抵抗し得る弱酸
およびその共役弱塩基の混合物を含む溶液を意味する。緩衝化剤は、例えば、Na3
PO4、K3PO4、NaAc、およびTrisを含む。
本明細書で用いられる用語「強アニオン交換樹脂」は、第4級アミノ基のよう
な、広いpH範囲にわたって完全にイオン化されている正電荷を有する官能基を有
するイオン交換樹脂である。強アニオン交換樹脂の例は、Q-Sepharose(Pharmaci
a、Piscataway、NJ)、Poros Q Strong Anion(Perceptive Biosystems、Cambrid
ge、MA)、Toyopearl Super Q-650M(Tosohaas、Mongomery、PA)、およびMacropr
ep Q(BioRad、Hercules、CA)を含むがこれらに限定されない。好ましい第1の
強アニオン交換樹脂はQ-Sepharoseである。
ヒト組換えデコリン含有細胞培養培地を第1の樹脂に付与する前に、阻害され
るべき宿主細胞プロテアーゼに特異的なプロテアーゼインヒビターをデコリン含
有細胞培養培地に添加し得る。CHO、および他の宿主細胞に対するプロテアーゼ
インヒビターは、ベンズアミジン、エチレンジアミノ四酢酸四ナトリウム(Na4ED
TA)、フェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)およびアプロチニン(トリプ
シンインヒビター)である。宿主細胞がCHOである場合、プロテアーゼインヒビタ
ーは、好ましくはベンズアミジンおよびNa4EDTAであり、そして、通常、約1ミ
リモルのベンズアミジンおよび5ミリモルのNa4EDTAの濃度である。
この最初のイオン交換精製からのデコリン含有溶出画分中に残存する任意のDN
Aを断片化するために、この画分を、DNAaseもしくは0-4℃の低温で0.1モルの塩
酸、またはDNAを断片化し得る任意の試薬で処理され得る。
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)樹脂:
デコリン精製方法の第2ステージは、上記の手順により得られた結果のデコリ
リン含有溶出画分を、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)樹脂と、(1)デコ
リン含有画分を、約1〜約2モルGuHClを含有する溶液中のHIC樹脂に充填するこ
と、(2)このHIC樹脂を、約1〜約2モルのGuHClであって、このGuHCl濃度は先の
充填工程で用いられるGuHCl濃度より高い緩衝溶液洗浄すること、および(3)結合
したヒト組換えデコリンを、約2.4〜3モルのGuHClの緩衝溶液でHICカラムから
溶出することにより接触させる工程を包含する。
本発明で用いられるHIC樹脂は、好ましくは、中程度から強い疎水性であり、
このことは、この樹脂の疎水性リガンドが4炭素またはそれ以上の直鎖または分
枝炭素鎖長さを有することを意味する。中程度から強い疎水性のHIC樹脂の例は
、octyl-Sepharose(Pharmacia、Piscataway、NJ)を含むがこれに限定されない。
好ましいHIC樹脂はoctyl-Sepharoseである。オクチルリガンドに類似の疎水性お
よび鎖長さを有するリガンドを備えたさらなる樹脂が特に有用である。
上記のように、用語「緩衝溶液」は、少量の酸性または塩基性物質の添加に際
し、pHの実質的変化に抵抗し得る、弱酸およびその共役弱塩基の混合物を含有す
る溶液を意味する。緩衝化剤は、例えば、Na3PO4、K3PO4、NaAc、およびTrisを
含む。一般に、緩衝溶液のpHはpH6とpH7との間にあるべきである。
負に荷電した混入核酸を引きつけるため、および残存ヒストンDNA複合体から
デコリンを解離するために、GuHCl含有溶液をHIC樹脂に充填する前に、スペルミ
ジンのようなポリアミンが溶液に添加され得る。あるいは、またはそれに加えて
、ポリアミンはまた、デコリンが結合している間に、カラムを洗浄するために用
いられる1〜2モルのGuHCl緩衝溶液に添加され得る。第2の強アニオン交換樹脂:
精製の第三段階は、グアニジウムイオンをその他のカチオンと交換するために
、
デコリン含有溶液とさらなる別の強アニオン交換樹脂とを接触させる工程を包含
する。この段階は、以下の工程を包含する。(1)HIC樹脂からのデコリン含有溶出
物画分を希釈して、約0.3モル濃度未満のGuHClを得、そして希釈した溶液を第2
の強アニオン交換樹脂に充填する工程、(2)この樹脂を約0.3〜約0.4モル濃度の
溶出塩濃度を有する緩衝溶液で洗浄する工程、(3)結合したヒト組換えデコリン
を約0.9〜約.2モル濃度の溶出塩濃度を有する緩衝溶液で溶出して、実質的に精
製されたヒト組換えデコリンを得る工程。この最後の工程後、精製ヒト組換えデ
コリンを、任意にダイアフィルトレーションするか、または限外濾過により濃縮
し得る。限外濾過は、撹拌セル(stirred cell)またはらせん結合(spiral bou
nd)または平板メンブレン(flat plate membrane)のいずれかの接線流(tange
ntial flow)により得る。
本明細書中で用いられる用語「塩」は、酸の全部または一部の水素イオンを1
以上の塩基のカチオンで置換することにより形成される化合物であり、好ましく
は1価塩(例えば、塩化ナトリウム(NaCl)、酢酸ナトリウム、または塩化カリウ
ム(KCl))である。また、上記のように、上記のような塩であることに加えて
「溶出塩」はまた、樹脂に結合した混入物またはデコリンのいずれかを溶出し得
る。例えば、約0.3〜約0.4モル濃度の塩濃度を有する緩衝溶液での洗浄は、混入
物を溶出する「溶出塩」濃度である。約0.9〜約1.2モル濃度の濃度を有する緩衝
溶液での溶出は、結合デコリンを溶出する「溶出塩」濃度である。一般に、塩は
緩衝溶液に含有される。本明細書中で用いられ、先に示した用語「緩衝溶液」は
、少量の酸性物質または塩基性物質の添加に際して、pHにおける実質的な変化に
抵抗し得る、弱酸とその共役弱塩基との混合物を含有する溶液を意味する。いく
つかの緩衝剤は、Na3PO4、K3PO4、NaAc、Trisである。
また上記のように語句「強アニオン交換樹脂」は、4級アミノ基のような広い
pH範囲にわたって完全にイオン化された、正電荷を有する官能基を有するイオン
交換樹脂である。強アニオン交換樹脂の例は、Q-Sepharose(Pharmacia,Piscat
away,NJ)、Poros Q Strong Anion(Perceptive Biosystems,Cambridge,MA)
、Toyopearl Super Q-650M(Tosohaas,Mongomery,PA)、およびMacroprep Q
(BioRad,Hercules,CA)を包含するが、これらに限定されない。好ましい第2
のア
ニオン交換樹脂はQ-Sepharoseである。第1および第2の強アニオン樹脂は、同
一または異なり得る。
上記の3つの一般的な工程において、デコリンを含有する溶出画分を、U.V.分
光光度法を用いて検出し得る。例えば、確認実施例に記載のように、U.V.検出計
を280 nmおよび任意に260 nmに設定し得る。
さらに、上記の樹脂の使用条件(例えば、温度、流速、カラムローディング、
緩衝液pHなど)は、本明細書中で記さない限り製造者の指示に従う。
好ましい実施態様において、デコリン含有培地からの実質的に純粋なヒト組換
えデコリンの産生のための方法は、まず阻害されるべき宿主細胞プロテアーゼに
特異的なプロテアーゼインヒビターをデコリン含有培地に添加する工程、次いで
、第1工程から得られた培地に塩を添加してこの塩含有溶液の濃度を約0.1〜約0
.4モル濃度にする工程、第1の強アニオン交換樹脂に塩溶液を付与する工程、樹
脂を約0.3〜約0.4モル濃度の溶出塩濃度を有する緩衝溶液で洗浄する工程、およ
び約0.9〜約1.2モル濃度の溶出塩濃度を有する緩衝溶液で樹脂から結合ヒト組換
えデコリンを溶出する工程を包含する。好ましい方法は、第1の樹脂からのデコ
リン含有溶出画分に、十分量のGuHClを添加して生じる溶液の濃度を約1モル濃
度から約2モル濃度にする工程、この画分を中程度から強い疎水性のHIC樹脂に
添加する工程、約1〜約2モル濃度のGuHClの、そしてそのGuHCl濃度が先のロー
ディング工程において使用したGuHCl濃度より高い緩衝溶液でHIC樹脂を洗浄する
工程、および結合ヒト組換えデコリンをHIC樹脂から約2.4〜約3モル濃度のGuHC
lの緩衝溶液で溶出する工程をさらに包含する。最後に、好ましい方法は、HIC樹
脂からのデコリン含有溶出画分を希釈して約0.3モル濃度未満のGuHCl濃度を得る
工程、希釈したデコリン含有画分を第2の強アニオン交換樹脂に付与する工程、
樹脂を約0.3〜約0.4モル濃度の溶出塩濃度を有する緩衝溶液で洗浄する工程、お
よび結合ヒト組換えデコリン含有画分を樹脂から約0.9〜約1.2モル濃度の溶出塩
濃度を有する緩衝溶液で溶出して、実質的に精製されたデコリン(これを任意に
ダイアフィルトレーションするかまたは限外濾過により濃縮する)を回収する工
程を包含する。
さらに好ましい実施態様において、デコリン含有培地から実質的に純粋なヒト
組換えデコリンの産生のための方法は、先ずベンズアミジンおよびNa4EDTAをデ
コリン含有培地に添加してそれぞれ約1ミリモル濃度〜約5ミリモル濃度にする
工程、次いで第1工程から得た培地にNaClを添加してこのNaCl含有溶液の濃度を
約0.4モル濃度にする工程、NaCl含有溶液をQ-Sepharose樹脂に付与する工程、Q-
Sepharose樹脂を約0.4モル濃度の濃度を有するNaCl緩衝溶液で洗浄する工程、お
よび結合ヒト組換えデコリンをQ-Sepharose樹脂から約1.0モル濃度のNaCl濃度を
有する緩衝溶液で溶出する工程を包含する。さらに好ましい方法は、Q-Sepharos
e樹脂からのデコリン含有溶出画分に十分量のGuHClを添加して得られる画分の濃
度を約1モル濃度にする工程、デコリン含有画分をoctyl-Sepharose樹脂に付与
する工程、octyl-Sepharose樹脂を約2モル濃度のGuHClの緩衝溶液で洗浄する工
程、および結合ヒト組換えデコリンをoctyl-Sepharose樹脂から約3モル濃度のG
uHClの緩衝溶液で溶出する工程を、さらに包含する。最後に、さらに好ましい方
法は、octyl-Sepharoseカラムからのデコリン含有溶出画分を希釈して約3モル
濃度未満のGuHCl濃度を得る工程、希釈したデコリン含有画分を第2のQ-Sepharo
se樹脂に付与する工程、Q-Sepharose樹脂を約0.4モル濃度のNaCl濃度を有する緩
衝溶液で洗浄する工程、および結合ヒト組換えデコリン含有画分を樹脂から約1.
0モルのNaCl濃度を有する緩衝溶液で溶出して実質的に精製されたデコリン(こ
れをさらに限外濾過により濃縮する)を回収する工程を包含する。
O-結合オリゴ糖を有するタンパク質は、生物学的系においてかなり一般的であ
り、そして組換えタンパク質を発現する細胞の培養物中に混入タンパク質のサブ
セットを含有する。デコリンはO-結合オリゴ糖鎖を有さないので、精製方法にお
ける任意の工程は、デコリン含有培地とO-結合糖を優先的に結合するレクチンカ
ラムとを接触する工程である。この目的のために好ましいレクチンは、JACALIN
(これはVector Laboratories Inc.,Burlingame,CA 94010から得られ得る)で
ある。
Choiら、J .Biol.Chem.,264(5):2876-2884(1989)は、デコリンおよびその他
のプロテオグリカン、バイグリカンをウシおよび仔ウシ組織抽出物からの、疎水
性相互作用クロマトグラフィーを用いる、4モル濃度のGuHClで溶出することに
よる単離を開示する。Choiらはこれらの手順を用いてバイグリカンからのデコ
リンの分離を示すが、HICカラムへの4モル濃度のGuHClの使用は、ヒト組換えデ
コリンの精製には適用し得ない。驚くべき事にそして予想外に、2.4〜3モル濃
度のようなより低い濃度のGuHClが必要である。実施例Iにおける比較データに
おいて示すように、抗デコリン抗体は3モル濃度溶出物中のデコリンを検出する
が、4モル濃度溶出物中のデコリンは検出しない。さらに、抗CHO抗体は、4モ
ル濃度溶出物中の混入宿主細胞タンパク質を検出するが、3モル濃度溶出物中の
混入宿主細胞タンパク質を検出しない。
本発明はまた、グアニジウムイオンを含有すると考えられる溶液中(例えば、
上記のデコリン精製スキームにおけるように、GuHClを用いてタンパク質を精製
した場合のタンパク質含有溶液中)のグアニジウムイオンの存在を検出するため
の新規な方法を提供する。
本発明は、サンプル溶液中のグアニジウムイオンの存在を、グアニジウムイオ
ンを含有すると考えられるサンプル溶液とカチオン交換樹脂とを接触しさせ、そ
してサンプル溶液中存在するグアニジウムイオンを約1.5〜約2のpHを有する水
性緩衝溶液で溶出することにより、グアニジウムイオンを検出するための方法を
提供する。この後に、溶出物とカチオンサプレッサーカラム(cation suppresso
r column)とを接触させる工程、同時にカラムの透過膜の反対側に反対方向にサ
プレッサー再生溶液(suppressor regenerate solution)を流す工程、および最
後に伝導率検出計の使用により、サプレッサーカラムと接触させたイオン交換樹
脂からの溶出物中のグアニジウムイオンの存在を検出する工程を行う。
本明細書中で用いる用語「検出」は、グアニジウムイオンを含有すると考えら
れる溶液中のグアニジウムイオン(Gu+)の存在を定量的におよび定性的にの両
方で測定することを意味する。Gu+の量が、検出の最小レベル未満の場合、一般
に3ppmの検出が定性的である。3ppm以上では、検出は一般に定量的である。
本明細書中で用いる語句「グアニジウムイオンを含有すると考えられるサンプ
ル溶液」は、Gu+を含有し得る、タンパク質含有、またはその他の任意のタイプ
の溶液を意味する。Gu+は好ましくは、ヒト組換えデコリンを含有する溶液のよ
うなタンパク質含有溶液において検出されるが、本発明の方法においてタンパク
質を含有する溶液へのその適用性を限定するものはない。
本明細書中で用いられる用語「カチオン交換樹脂」は、固定された負電荷を有
する任意のイオン交換樹脂(例えば、カルボキシル基またはスルホン基を有する
樹脂)である。好ましい樹脂は、CS12(カルボキシル基)またはCS10(スルホン
基)のようなDionex Ionpac樹脂(Dionex,Sunnyvale,CA)であるが、その他の
カチオン交換体(PorosCM(カルボキシメチル)(MIT CambridgeのUniversity P
ark,MA)を包含するがこれに限定されない)を使用し得る。
グアニジウムイオンを、カチオン交換樹脂から、約1.5〜約2.0のpHを有する水
溶液で溶出する。好ましくは、水溶液は、約10ミリモル濃度の塩酸、約2ミリモ
ル濃度のジアミノプロピオン酸(diaminopropoinic acid)(DAP)を含有する水
性緩衝液であり、そして約1.5の最終pHを有する。
カチオン交換カラムからの溶出物を、カチオンサプレッサーカラムと接触させ
、これに同時にカラムの透過膜の反対側に反対方向にサプレッサー再生溶液を流
す。当該分野で公知の任意のカチオンサプレッサーカラム(これは、一般にH+イ
オンを吸着し、そしてGu+検出を可能にする500倍のイオン強度を有する透過膜を
有するサプレッサーベッドシステムを含む)を使用し得る。好ましいカラムは、
Dionex Cation MicroMembrane Suppressor(Dionex,Sunnyvale,CA)である。
サプレッサー再生溶液は、好ましくは、約100ミリモル濃度のテトラブチルアン
モニウムヒドロキシド水溶液である。サプレッサーカラムと接触させたカチオン
交換体からの溶出物中のグアニジウムイオンの存在を、伝導率検出計を用いて検
出する。
伝導率検出計において溶液はアノードとカソードとの間を流れる。存在する電
荷の量が伝導率を決定し、これはイオンの濃度に比例する。伝導率はイオン濃度
が上昇すると上昇する。伝導率検出計、例えば、Dionex Bio/LCイオンクロマト
グラフィー検出計のようなDionex(Sunnyvale,CA)により製造されるもの、お
よびAlltech Model 320伝導率検出計(Alltech,San Jose,CAまたはDeerfie1d,
IL)を包含する。一般に、条件は、バックグラウンドイオン強度が、バックグラ
ウンドノイズが、存在するイオンの量の読み(reading)を干渉しないように十
分低い条件であるべきである。
デコリンを用いてTGFβ誘導性細胞増殖および細胞外マトリックス産生を防止
した(例えば、YamaguchiおよびRuoslahti、Nature 336:224(1988);Borderら、Nature
360:361(1992)(両方は本明細書中に参考として援用される)を参照の
こと)。デコリンはTGFβに結合し得、そしてそれゆえTGFβの精製のために有用
である。TGFβを結合することに加えて、デコリンはTGFβ活性を阻害し得る。従
って、デコリンは、TGFβに調節される活性により引き起こされる病状を軽減ま
たは防止するために有用である。処置され得る病状の特定の例は、ガン、繊維症
疾患(皮膚瘢痕および内部瘢痕を含む)および糸球体腎炎を包含する。例えば、
ガンにおいて、デコリンを用いてガン細胞に対するTGFβ-1の増殖刺激活性をを
破壊し得る。デコリンはまたコラーゲンを結合してコラーゲン原繊維形成に影響
し得、そしてまた創傷収縮を軽減または阻害するために有用である(例えば、Jo
hn Harper,Wounds,6(2):70(1994)(これは本明細書中に参考として援用され
る)を参照のこと)。
本発明により精製されたデコリンを含有する薬学的組成物は、上記の目的のた
めに有用であり得る。薬学的に受容可能なキャリアは当該分野において周知であ
り、そして緩衝化生理食塩水のような水溶液またはその他の溶媒またはグリコー
ル、グリセロール、植物油(例えば、オリーブ油)または注射可能な有機エステ
ルを包含する。薬学的に受容可能なキャリアを用いて、デコリンポリペプチドを
細胞にインビトロでまたは被験体にインビボで投与し得る。
薬学的に受容可能なキャリアは、例えば、ポリペプチドを安定化するように、
あるいは薬剤の吸収を増加または減少するように作用する、生理学的に受容可能
な化合物を含み得る。生理学的に受容可能な化合物は、例えば、グルコース、ス
クロース、またはデキストランのような炭水化物、アスコルビン酸またはグルタ
チオンのような抗酸化剤、キレート剤、低分子量タンパク質またはその他の安定
化剤または賦形剤を包含し得る。その他の生理学的に受容可能な化合物は、加湿
剤、乳化剤、分散剤または保存剤(これは微生物の増殖または活動を作用するた
めに特に有用である)を包含する。種々の保存剤が周知であり、そして例えば、
フェノールおよびアスコルビン酸を包含する。当業者は、生理学的に受容可能な
化合物を含む薬学的に受容可能なキャリアの選択が、例えば、ポリペプチドの投
与経路および特定のポリペプチドの特定の物理化学的特性に依存することを知っ
ている。例えば、生理学的に受容可能な化合物(例えば、アルミニウムモノステ
レートまたはゼラチン)は、遅延剤(これは被検体に投与された薬学的組成物の
被験体への吸収速度を延長する)として特に有用である。
有効量のデコリンを含有する薬学的組成物を、種々の経路(例えば、局所、経
口、または非経口(例えば、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、あるいは例えば、
皮膚パッチまたは経皮イオン浸透療法をそれぞれ用いる皮膚を通した受動的また
は促進された吸収)を包含する)で被験体に投与し得る。局所投与は、例えば軟
膏またはパウダーの直接適用により受動的であり得、または例えば鼻内噴霧また
は吸入剤を用いて能動的であり得る。組成物を局所噴霧として投与する場合、組
成物の1つの成分は適切な噴射剤である。薬学的組成物はまた、所望であれば、
リポソーム、マイクロスフェアまたはその他のポリマーマトリックスに組み込ま
れ得る(Gregoriadis,Liposome Technology、第1巻(CRC Press,Boca Raton,
FL 1984)(これは本明細書中に参考として援用される))。例えば、リン脂質
またはその他の脂質からなるリポソームは、比較的作製および投与が簡単である
非毒性かつ生理学的に受容可能かつ代謝可能なキャリアである。
デコリンを含有する薬学的組成物の有効量は、一般に約0.01〜100 mg/kg体重
の範囲内である。有効量は、当業者に公知の方法を用いて決定され得る。総有効
量を、単回用量として、ボーラスとしてかまたは比較的短期間にわたる注入によ
るかのいずれかで被験体に投与され得るか、あるいは細分化した処置プロトコル
を用いて投与され得る(ここで、複数回の用量がより延長された期間にわたって
投与される)。当業者は、被験体における有効用量を得るために必要なデコリン
の量が、被験体の年齢および全般的な健康状態ならびに投与経路および投与され
るべき処置数を包含する多くの因子に依存することを知っている。
実施例I
実質的に純粋なデコリンの調製
本実施例は、実質的に純粋なヒト組換えデコリンの産生を示す。
発現系
デコリンを、デコリン発現CHO細胞を用いて以下のように産生した。本明細書
中に参考として援用されている、KrusiusおよびRuoslahti,Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 83:7683(1986)に記載の、1.8kbの完全長デコリンcDNAを、デコリン発
現ベクターの構築に使用した。デコリンコアタンパク質の発現のために、cDNAを
変異誘発して、セリンをコードする第4コドンTCTを、トレオニンをコードするA
CTあるいはアラニンをコードするGCTに変化させた。これは、本明細書に参考と
して援用されている、KunkelのProc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488(1985)の方
法に従った部位特異的変異誘発により操作した。適切な変異の存在は、DNA配列
決定により証明された。
哺乳類発現ベクターpSV2-デコリンおよびpSV2-デコリン/CP-thr4コアタンパ
ク質は、pSV2の3.4kbのHindIII-Bam HIフラグメントに、デコリンcDNAあるいは
変異誘発されたデコリンcDNAを連結して構築した(MulliganおよびBerg,Science
209:1423(1980);これは、本明細書中に参考として援用されている)。
ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)ネガティブCHO細胞(CHO-DG44)を、pSV2-デコ
リンあるいはpSV2-デコリン/CPおよびpSV2dhfrで、リン酸カルシウム共沈降法
により、同時トランスフェクトした。pSV2-デコリンでトランスフェクトされたC
HO-DG44細胞は、受託番号ATCC No.CRL 10332のもとにアメリカンタイプカルチ
ャーコレクションに寄託されている。トランスフェクトされた細胞を、9%透析
ウシ胎児血清、2mM グルタミン、100 ユニット/ml ペニシリン、および100μg
/ml ストレプトマイシンを補充した、ヌクレオシドを除いたα改変最少必須培地
(α-MEM)(GIBCO,Long Island)中で培養した。トランスフェクトされた細胞から
生じたコロニーを、クローニングシリンダーを用いて取り出して増殖し、35SO4-
標識培養上清から免疫沈降法によりデコリン発現について調べた。次いで、デコ
リンの相当量を発現するコロニーを、メトトレキセート(MTX)濃度を0.64μMまで
段階的に増加して、遺伝子増幅にかけた(KaufmanおよびSharp,J.Mol.Biol.1
59:601(1982);これは、本明細書中に参考として援用されている)。増幅された全
細胞株を、限界希釈あるいは単一MTX耐性コロニー選択のいずれかによりクロー
ン化した。これらの確立された細胞株の貯蔵培養物を、MTX含有培地中に保存し
た。タンパク質産生に使用する前に、貯蔵培養物から細胞を、MTXを除いた培
地に継代培養し、そして少なくとも1度、可能性のあるMTXの影響を除くために
この培地中に通した。
あるいは、より大規模なデコリン産生を、マイクロキャリアビーズに付着した
CHO細胞を用いて実施した。上記のデコリン発現CHO細胞を、マイクロキャリアビ
ーズに接着させ、次いで懸濁液中で培養した。デコリン発現細胞の種培養を一旦
確立したならば、発酵反応器に播種し、そして発酵の増殖期を、所望の細胞密度
が得られるまで連続させた。この時点で、新鮮な培地を反応器にゆっくりと灌流
し、そして馴化培地を1日あたり約80〜85%の反応容量の速度で回収した。デコ
リン産生細胞を失わないように留意して、灌水から細胞を含有するマイクロキャ
リアを分離した。回収した培地を、濾過前に4℃にて24時間インキュベートし、
細胞破片を沈降させた。
デコリンの精製
デコリンを、上記のように40リットルのCHO細胞培養培地から精製した。ベン
ズアミジンおよびNa4EDTAの溶液を、最終濃度の1×に培地中に添加した(100×
溶液は、100mMベンズアミジンおよび500mM Na4EDTA)。培地を、Whatman #1濾紙
を用いて濾過し、そしてNaCl濃度を0.4 NaClに調整した。
Q-Sepharoseカラムは、溶融ディスクガラス漏斗中の300mlの樹脂(Q-Sepharose
fast flow gel; Pharmacia,Piscataway NJ)を、10カラム容量の脱イオン水を
用いて洗浄しエタノールを除去することにより調製した。Q-Sepharoseを脱気し
、そしてフローアダプター(9.6mm IDチューブを有するWatson/Marlow Peristalt
ic Pump)を有する10cm×30cmカラムに配置した。気泡捕獲器およびポンプをカラ
ムに接続し、次いでこれを200ml/分の流速で10カラム容量の緩衝液A(25mM Tris
,pH7.8,0.4M NaCl)を用いて平衡化した。280nm 1.0 AUFS(吸光単位、フルスケ
ール)におけるUV吸光度を測定した;検出器を、緩衝液Aを用いて0にセットし
た。
細胞培養培地を、200ml/分の流速でカラムに充填し、そしてフロースルーを回
収した。カラムを緩衝液A(1リットル)を用いて洗浄した。カラムを緩衝液B((
1.5リットル)25mM Tris,pH7.8,1M NaCl)を用いて溶出し、そして1分間の画
分を収集した。溶出ピークをプールし、容量(通常1〜1.5リットル)を記録し、
そして280nmおよび260nmでの吸光度を測定した。後者の記録を用いてQ-Sepharos
eカラムでデコリンと同時に溶出した核酸を検出した。1容量(プール容量と等し
い)の2M グアニジウム-HCl(GuHCl)を添加し、そして試料をoctyl-Sepharoseカ
ラムに充填した。
Octyl-Sepharoseカラムは、焼結ガラス漏斗中の60ml octyl-Sepharoseゲル(Ph
armacia)を10カラム容量の脱イオン水を用いて洗浄してEtOHを除去することによ
り調製した。ゲルを脱気し、そして2つのフローアダプター(Pharmacia)を有す
る2.6cm×30cm水冷却筒カラム(water jacketed column)に配置した。これは、正
しい位置にゲルを詰めそして維持した。カラムを、冷却循環器を用いて25℃に維
持した。UVモニター(280nm)を接続し、そして緩衝液C((10カラム容量または600
ml)0.1 NaOAc,pH6.3,1M GuHCl; 0.2μM アセテートフィルターを用いて濾過
および脱気した)を用いて0にセットした。
Q-Sepharoseカラムから回収した画分を、3ml/分の流速でoctyl-Sepharoseカ
ラムに充填し、そして試料を2分/画分(6ml/チューブ)で回収した。カラムを
、ベースラインが確立されるまで緩衝液Cを用いて、次いで、同じベースライン
が確立されるまで緩衝液D(0.1M NaOAc,pH6.3,2M GuHCl; 0.2μM アセテート
フィルターを用いて濾過し、次いで脱気した)を用いて洗浄した。
デコリンを、緩衝液E((200ml)0.1M NaOAc,pH6.3,3M GuHCl)を用いて3ml/
分の流速で溶出した。少量のタンパク質混入物が、デコリンと共に溶出した。溶
出プロフィールを、280nmおよび260nmでの吸光度を測定することにより画分に対
して行い、ほとんどの280nmでの吸光がデコリンによるものであり、そして核酸
によるものではないことを示した。次いで、カラムを緩衝液F((150ml)0.1M NaO
Ac,pH6.3,4M GuHCl; 0.2μM アセテートフィルターを用いて濾過し、そして
脱気した)を用いて溶出し、同定されていない200kDaタンパク質およびいくつか
のヒストンタンパク質を除去した。カラムを、緩衝液G((150ml)0.1M NaOAc,pH
6.3,8M GuHCl; 0.2μM アセテートフィルターを用いて濾過し、そして脱気し
た)を用いてストリッピングし、さらに宿主細胞混入タンパク質を除去した。
デコリンを含有する3M GuHCl画分を、pH7.4で50mM NaPO4を含有する溶液を用
いて1:10希釈した。Q-Sepharoseカラム(Pharmacia)を、緩衝液(50mM NaPO4(pH
7.4)、0.4M NaCl)を用いて平衡化し、そして希釈したデコリン溶液をカラムに3
ml/分の速度で汲み上げた(1.52 ID PVCマニホルドチューブを有するMinipu1s 2
ペリスタルチックポンプ;Gilson;Middleton WI)。カラムを、5カラム容量の
同じ緩衝液を用いて洗浄し、次いでデコリンをさらなる緩衝液(50mM NaPO4(pH7.
4)/1.0M NaCl)を用いて溶出した。溶出液を、限外濾過(Amicon Inc.,Beverly,
MA)により濃縮/ダイアフィルトレーションした。
最終調製物における残留核酸およびGuHClのレベルを、それぞれDNAアッセイお
よびGuHClアッセイにより下記のように評価した。デコリンを、アミノ酸分析お
よび直接的ELISAにより下記のように定量した。
図2は、ヒト組換えデコリンを、3モルGuHClにおいてはHIC樹脂で精製し得る
が、4モルGuHClにおいては精製し得ないことを例示する比較データを提供する
。図2は、3Mおよび4M GuHClを用いるoctyl-Sepharoseカラムからの(1)デコ
リンおよび(2)チャイニーズハムスター卵巣(CHO)タンパク質の溶出を比較する1
対のウェスタンブロットを示す。
第1のウェスタン抗CHOブロットは、左から右にいくつかのCHO宿主細胞タンパ
ク質(HCP)混入物を有する4Mの溶出液、CHO HCP混入物がほとんどまたは全くな
い3M溶出液、最も混入物の多い出発物質(SM)、およびCHO HCPの大部分を運び
去る8Mストリップ(最終工程)を示す。
第2のウェスタン抗デコリンブロットは、左から右に、非常に少ないデコリン
を有する8Mストリップ、出発物質(SM)、溶出したデコリンの大部分を含有する
3M溶出液、および最後に、4M GuHClを用いて溶出したデコリンの痕跡を示す
。
DNA アッセイプロトコル
上記組換えおよび精製手順により産生されたデコリン試料を、以下のようにDN
A含量について試験した。デコリン試料を、第1にDNAアッセイプロトコルのため
に調製し、続いて変性し、ブロッティングし、ハイブリダイゼーションし、そし
てDNAの検出を行った。
試料調製:試料を、タンパク質をプロテアーゼを用いて消化すること、
消化したペプチドをEthachinmateを用いて沈澱させ、そして試料を希釈すること
によりアッセイのために調製した。標準曲線のためのCHOゲノムDNAの試料もまた
、以下のように調製した。
ブロッティング前の試料の希釈により、用いるDNAアッセイプロトコルは、少
ない試料容量に基づいていた。デコリン試料の容量は、一旦DNA濃度が有意に低
くなれば、(1.0mlまで必要に応じて)増大し得る。DNAスパイク(spike)試料(下記
)の濃度および容量を包含する全ての他の試薬容量は、それに応じて変える必要
がある。
デコリン試料(非スパイク)を、以下のように調製した:50μlのデコリン試料
;34μlの滅菌水;10μlの100mM Tris-Cl,100mM EDTA(pH7.5);5μlの10%SD
S;および1μlの20mg/mlプロテイナーゼK(Boehringer Mannheim,Chicago,IL
Cat.#161519,または同等物)を組み合わせて最終容量100μlにする。
プロテイナーゼK Ethachinmate処理後の試料におけるDNAの良好な回収を確認
するために、DNAをいくつかの試料中に処理前にスパイクする。例えば、後に1
:100および1:400希釈される試料を6.4ng DNAにスパイクし、希釈後のスパイ
クはそれぞれ64pgおよび16pgであった。スパイク試料に用いられる濃度(これは
後に、1:100および1:400希釈される)は、以下のようであった:50μlのデコ
リン試料;10μlのDNAスパイク(640ng/ml);24μlの滅菌水;10μlの100mM Tris
-Cl,100mM EDTA(pH7.5);5μlの10% SDS;および1μlの20mg/mlプロテイナ
ーゼKを組み合わせて最終容量100μlにした。デコリンを全く含まない64pg/ml
の50μlスパイクコントロール(128pg/mlの50μlが用いられ得る)もまた調製した
。
プロテイナーゼK(上記)を用いて処理したデコリン試料(+/−スパイク)を、
37℃にて2時間インキュベートしてタンパク質を除去した。タンパク質除去後、
Ethachinmateを用いて、消化されたタンパク質を以下のように沈澱させた。試料
を、100μlのタンパク質除去試料(+/−スパイク);300μl(3容量)の6M NaCl
;1μl(完全にボルテックスした)のEthachinmate(Nippon Gene,Cat.#9301F)
から調製し、400μl(等量)の100%エタノールを添加した。試料をボルテックス
し、そして15,000rpm(微小遠心)にて15分間スピンした。ペレットを、減圧下で
乾燥させ、次いで50μl(出発容量に等しい)のTE緩衝液(10mM Tris-Cl,1mM EDT
A,pH7.5)に再び溶解させた。
Ethachinmate沈澱後、試料をTE緩衝液中に希釈した。希釈は、評価されるDNA
混入レベルに依存した。試料あたり少なくとも2つの希釈物を試験した。
標準曲線のための試料(以下、「標準」)もまた、作製した。標準曲線は256pg
で始まり、そして4pgまで2倍希釈した。フィルム上の各スポットに何らかの問
題がある場合は、ブロットあたり2つの標準曲線が存在する。従って、2つのセ
ットについて十分な量を有するためには、以下の希釈法が用いられた:256pg DN
Aを含有する標準溶液は、2560pg/mlの濃度のために200μl 10ng/mlゲノムDNA+5
80μl TE緩衝液からなった;標準128pgは、1280pg/mlの濃度のために250μl 256
標準+250μl TE緩衝液からなった;標準64pgは、640pg/mlの濃度のために250μ
l 128pg標準+250μl TE緩衝液からなった;標準32pgは、320pg/mlの濃度のため
に250μl 64pg標準+250μl TE緩衝液からなった;標準16pgは、160pg/mlの濃度
のために250μl 32pg標準+250μl TE緩衝液からなった;標準8pgは、80pg/ml
の濃度のために250μl 16pg標準+250μl TE緩衝液からなった;そして標準4pg
は、40pg/mlの濃度のために250μl 8pg標準+250μl TE緩衝液からなった。
変性:試料(+/−スパイク)を変性するために、200μlの各試料希釈物
を、200μl 6M KSCN溶液(これは、使用前に0.22μフィルターを通過させた)に
添加し、そして96℃まで10分間加熱した。試料を直ちに氷中に置き、一旦冷蔵し
、微小遠心機において軽く(2〜3秒間)スピンし、次いで200μl/スロットに充
填した。
標準を変性するために、300μlの各標準希釈物を、300μl 6M KSCN(これもま
た、0.22μフィルターで濾過した)に添加し、そして96℃まで10分間加熱した。
試料を直ちに氷中に置き、一旦冷蔵し、微小遠心機において軽く(2〜3秒間)ス
ピンし、次いで200μl/スロットに充填した。この手順は、ブロットあたり2つ
の曲線のための各々の標準に十分であった。
ブロッティング:変性手順の後、試料(+/-スパイク)および標準を上
記のように、1X SSCで予め湿らした中性ナイロン膜(Biodyne A、VWR Brisbane
、
CA)備えたスロットブロット装置に移し換えた。DNAを、UV Stratalinker1800(
Stratagene San Diego、CA)上の自動セッティングを用いて膜に固定した。固定
後、膜に以下の一連の洗浄(50ml/1洗浄)を行った:最初に加圧滅菌された水
で(2回、各10分)、次に70%エタノールで(2回、各10分)、最後に0.25%酢
酸/0.1Mトリエタノールアミンで(2回、各10分)。膜は、ハイブリダイゼー
ションのためにさらに処理されるまで4°で貯蔵されるかまたはかまたは即座に
処理されるかのいずれかであった。
ハイブリダイゼーション:10mlハイブリダイゼーション緩衝液(5X SS
C、1% I-BlockTM(TROPIX、Bedford、MA Cat.#AB100)、0.1% N-ラウロイルサ
ルコシン(Lauroylsarcosine)、0.02% SDSを60℃で1時間かけて溶解し、そし
て-20℃で保存し、そしてそれを、解凍し、予熱し、使用前に60℃で予め平衡に
したもの)を用いて、60℃で1時間、シールされたバッグ内で膜を予備ハイブリ
ダイズした。
予備ハイブリダイゼーションの後、膜を新たなバッグに移し換えた。100μlの
500ng/mlのDIG標識されたDNAプローブ(標準と同じゲノムDNAを用い、Boehringe
r Mannheim ランダム−プライマーDNA標識キット(Cat.#1093657、Kit #1 India
napolis、Indiana)を販売者により指示されたように用いて調製し、次いでTE緩
衝液で500ng/mlに希釈し、100μlアリコート中に-20℃で保存した)を、96℃ラ
ンダムプライマーで10分間のインキュベーションにより変性させた。プローブ変
性の後、少量(約1ml)のハイブリダイゼーション緩衝液(60℃で予備平衡化す
る)をプローブと迅速に混合し、そして希釈されたプローブを、9.0mlの60℃に
保った余分の(extra)ハイブリダイゼーション緩衝液に素早く添加し、混合し、
そしてバッグに添加した。次いでシールされたバッグを、振盪しながら一晩(15
〜18時間)60℃でインキュベートした。
ハイブリダイゼーション後、最初に50mlの2X SSC/0.1% SDS(2回、各10分)
、次に50mlの0.2X SSC/0.1% SDS(2回、各10分)で膜を洗浄した。
化学発光による検出:膜を、50mlのブロッキング溶液(1X PBS、0.2%
I-BlockTM、0.1% Tween-20)中で30分間ブロックした。膜を新たなブロッキン
グ溶液に移し換え、そしてその溶液に、最終濃度が0.15単位/mlおよび全量が50
mlになるように、アルカリ性ホスファターゼ結合抗DIG Fabフラグメント(Boehri
nger Mannheim、Indianapolis、Indiana Cat.#1093-274)を添加した。膜を、抗
体溶液と30分間インキュベートし、次いで50mlの新たなブロッキング溶液中で10
分間洗浄した。次いで一連の洗浄を、洗浄緩衝液(1X PBS、0.3% Tween-20)を
用いて行った。各洗浄では、各5分間50mlの洗浄緩衝液を4回ずつ用いた。洗浄
後、膜を50mlのAMPPD溶媒(0.1M ジエタノールアミン、0.02%NaN3、1mM MgCl2
、pH10.0)で、5分間振盪しながら平衡化した。溶媒を、AMPPD基質溶液(0.24m
MのAMPPDTM(TROPIX、Bedford、MA Cat#PD250)またはAMPPD溶媒中のLumigen PPDT M
(Boehringer Mannheim、Cat.#1357-328)(AMPPDの最終濃度が100μg/ml))
で置き換え、そして反応物を最小限(より小さい皿に10〜15ml)に維持し、AMPP
D基質を保存した。過剰の基質溶液を膜からブロットした。膜を、プラスチック
バッグ内でシールし、そして即座にX線フィルム上に置いた。露出時間は4〜5
時間であった。
以下の表1に示すように、3ロットのデコリン試料を、上記の組換えおよび精
製手続により調製し、そして以下の量のDNAを含むDNAアッセイプロトコルにより
分析した:試料1(1:100)、800ng/mgタンパク質;試料2(1:100)、800ng/mg
タンパク質;および試料3(1:45)、126ng/mgタンパク質。
直接デコリンELISAについてのプロトコル
上記の組換えおよび精製手続により生成されたヒト組換えデコリンを、以下の
ように直接デコリンELISAを用いて検出し、定量した。Immulon-2平底プレートを
デコリン標準および未知試料の希釈物で覆った。希釈を、0.1M HCO3((500ml)
1.38g Na2CO3;3.11g NaHCO3;ddH2Oによる容量;9.6にチェックされたpH;濾過
され、滅菌され、4℃で保存された溶液)(pH9.6)によりボロシリケートガラス
チューブ内で行い、希釈後、即座に各セットをプレートに置いた。デコリン標準
セットの濃度は19ng/mlで始め、そして連続的に1:1.5に希釈し、1.7ng/mlにした
。未知のデコリン濃度の試料を希釈して、標準曲線に沿って低下させ、通常、精
製
デコリンについての希釈範囲は、2倍希釈として1×105〜16×105であった。用
いた容量は、100μl/ウエルであった。プレートを、4℃で一晩インキュベート
し、シールした。
コーティング溶液を少し振り(flick out)、200μl 1×PBS+1%BSA((100ml)90
ml ddH2O;10ml 10×PBS((1リットル)80g NaCl;2g KCl;6.1g Na2HPO4;
2g KH2PO4;ddH2Oによる容量);10ml 10×PBS; 1gウシ血清アルブミン;アッ
セイ当日に新たにされる溶液)をウエル毎に添加し、37℃で0.5-1.0時間インキ
ュベートした。次いでウエルを、1×PBS+0.1% Tween-20で3回洗浄した。
100μl/ウエルのアリコートのウサギ抗デコリン抗体(抗PG40(WO 91/10727に
記載され、La Jolla Cancer Research Foundationから入手される)1:1000にお
ける)を添加した。抗体を1×PBS+0.1% BSA+0.1% Tween-20((100ml)90ml ddH2
O;10ml 10×PBS;0.1gウシ血清アルブミン;0.1ml Tween-20;アッセイ当日に
新たにされる溶液)で希釈し、37℃で60分間インキュベートした。ウエルを、1
×PBS+0.1% Tween-20((1リットル)900ml ddH2O;100ml 10×PBS;1ml Twe
en-20;アッセイ当日に新たにされる溶液)で3回洗浄した。
1×PBS+0.1% BSA+0.1% Tween-20で1:3000に希釈された、100μl/ウエルのヤ
ギαRb−西洋ワサビペルオキシダーゼ(BioRad(Richmond、VA)またはPromega
Tustin、CA)を添加し、そして37℃で60分間インキュベートした。次いでウエル
を、1×PBS+0.1% Tween-20で5回洗浄した。次いで、1ウエルあたり200μlの
新たに作成されたo-フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD)溶液(25ml 0.1M シト
レートホスフェート緩衝液((500ml)5gクエン酸;7gNa2HPO4(無水);ddH2O
による容量;5.0にチェックされたpH;濾過され、滅菌され、そして4℃で保存
される);110mg OPD錠剤(Sigma);6μl 30% H2O2)を添加し、15分間暗所
において室温でインキュベートした。1ウエル当たり50マイクロリットルの7.8
H2SO4(55ml 36M H2SO4;200ml蒸留水)を添加し反応を停止した。データをOD 49
0で読み、データの直線状フィットを用いて分析した。曲線の最高点は、アッセ
イが「トップアウト」で始まっていれば消去した。
以下の表1に示すように、3ロットのデコリン試料を、0.82mg/ml、1.23mg/ml
、および1.43mg/mlのデコリンを含有する上記の実施例Iの組換えおよび精製手続
に
より調製した。
実施例II
グアニジウムイオンアッセイ
本実施例では、精製方法においてグアニジンを含有する緩衝液を用いて精製さ
れたタンパク質に関連した残留グアニジウムイオンの存在を検出および定量する
ことを例示する。
1つのカチオンだけ(ナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、グアニジウム(Gu+))
を含有する各標準溶液を調製および分析した。1mg/ml濃度のストックからの連
続希釈を用いて、各イオンの標準曲線を確立した。標準曲線におけるデータ点は
、3つの実行(run)の平均であった。さらに、これら3つのカチオン(Na+、K+、
およびGu+)の混合物を実行して、これらのイオンの間の溶解度を確認した。グ
アニジウム標準曲線の直線上範囲は、0.999を越えるr値で3.9〜125ppmであった
。3ppmの低いグアニジウムイオン濃度が、検出され得た。
Dionex CS 12カチオン交換2ミリメートル径樹脂(Dionex Ionpac樹脂;Dione
x Corporation、Sunnyvale、CA)をこのアッセイのために用いた。関連するガー
ドカラムCG12をまた、カラム性能を延長するために用いた。カチオンとしてグア
ニジンを維持するために、pH1.5で2ミリモーラーのジアミノプロピオン酸(DAP
)を含む水中に、10ミリモーラー塩酸(HCl)の緩衝液系を用いた。実施例Iの
手続きにより生成された精製デコリンを含有する溶液のアリコート(25μlまで
)を、濃度1〜4mg/mlで前処理なしにDionex Ionpac樹脂系に直接注入した。カラ
ムは、アイソクラティックに(isocratically)働く(run)ので、流速1分あたり
0.2mlで、各試料間での洗浄および平衡化なしに、試料を連続的に注入した。ナ
トリウムカチオンおよびグアニジウムカチオンは、互いに良く分離し、ナトリウ
ムのピークの5分後にグアニジウムイオンが溶出した。
次いで、カチオン交換樹脂からの溶出液をカチオンサプレッサーカラムと接触
させ、そしてグアニジウムイオンを、以下のように導電率検出器により検出し定
量した。3〜5ml/minの速度でサプレッサー再生流れとして、100ミリモルのテト
ラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAOH)を用いた、Dionex CMMIIカチオン
サプレッサーカラムを用いた。出力感度を導電率検出器(Dionex Bio/LC イオン
クロマトグラフィー検出器、Dionex、Sunnyvale、CA)に対して100uSにセットし
た。サプレッサーは、透過膜により分離された反対方向に流れるの2つの異なる
液流を有する。カラム溶出液は、サプレッサーを通って、そして検出器中へ流れ
る。再生流は、膜の反対側で反対方向にサプレッサーを通じて流れる。サプレッ
サーフィード内の高濃度のOHは、溶出緩衝液からH+を抽出し、検出されるべきナ
トリウムカチオン、カリウムカチオンおよびグアニジウムカチオンだけを残す。
以下の表1に示すように、3ロットのデコリン試料を、実施例Iの手順により
調製し、全て3百万分率(ppm)より少ないグアニジウムイオンを含有していた
。
本発明は、上記で提供された実施例を参照して記載されているが、種々の改変
が、本発明の思想から逸脱することなくなされ得ることを理解すべきである。従
って、本発明は、請求項によってのみ限定される。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
G01N 30/02 G01N 30/02 E
30/06 30/06 Z
30/26 30/26 A
30/46 30/46 A
30/88 30/88 E
30/96 30/96 D
// A61K 38/00 ADS A61K 37/02 ADU
ADU ADS
(72)発明者 ハーパー, ジョン アール.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 92009,
カールスバッド,ユニコーン ストリー
ト 2433
(72)発明者 ヘルナンデズ, サム ディー.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 92008,
カールスバッド,サンフォード レーン
2883
(72)発明者 コステル, ポール ジェイ.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 92122,
サン ディエゴ,ブライアンド アベニ
ュー 3022
(72)発明者 パーカー, ジョナサン アール.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 91935,
ジャムル,オリーブ ビスタ ドライブ
14092
(72)発明者 ベドビック, トーマス エス.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 92089,
カールスバッド,ジャカランダ アベニ
ュー 2708