JPH10505756A - 筋肉障害の治療用繊維芽細胞 - Google Patents

筋肉障害の治療用繊維芽細胞

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JPH10505756A JP8510668A JP51066895A JPH10505756A JP H10505756 A JPH10505756 A JP H10505756A JP 8510668 A JP8510668 A JP 8510668A JP 51066895 A JP51066895 A JP 51066895A JP H10505756 A JPH10505756 A JP H10505756A
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ワツト,ダイアナ・ジヨアン
ベテンコート・デ・メデイロス・レルバス,ジヨアオ・カルロス
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Abstract

(57)【要約】 デュシェンヌ型筋ジストロフィーのごとき筋肉障害を、(患者自身のものであってもよい)皮膚繊維芽細胞を筋肉に投与することによって緩和する。ドナー細胞の相互のイン・ビボ融合は、それらを筋肉細胞に変換し、これは、ジストロフィンおよび他の筋肉蛋白質のごとき筋肉特異的遺伝子の産物を産生する。ドナー繊維芽細胞は筋肉特異的DNAを含有していてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】 筋肉障害の治療用繊維芽細胞 発明の背景 1.発明の分野 本発明は、筋肉障害の治療、特に、筋ジストロフィーのごとき筋肉の退行に由 来する、または例えば外傷の結果としての筋肉変性に由来する筋肉障害の治療に 関する。2.関連技術の説明 骨格筋細胞は、原形質膜に囲まれた、多核で直径10−100μmおよび長さ ミリメートルもしくはセンチメートルオーダーの円筒構造からなる。この細胞は 収縮可能であり、未成熟筋細胞である筋芽細胞の融合によって生じる。 筋肉病の最も普通の形態の1つは、デュシェンヌ型(Duchenne)筋ジ ストロフィー(DMD)である。それは、ジストロフィン蛋白質の産生の欠如に 導くX−染色体連鎖遺伝的欠陥によって引き起こされる。この欠陥は女性の両X −染色体に連鎖して起こるのではなく、また、その特性が劣性なので、欠陥X− 連鎖を通じて男性にのみ伝達される。ベッカー型(Becker)筋ジストロフ ィー(BMD)もX−連鎖遺伝 的欠陥に由来する。 DMD遺伝子のクローニングの後、DMD筋における筋病理疾患を緩和するた めに、筋芽細胞移植療法(myoblast transfer therap y)と呼ばれる療法の一形態を用いることに興味が高まった。かくして、J.E .Morganら、J.Cell Biology 111,2437−244 9(1990年12月)は、放射線照射した筋ジストロフィー(mdx)マウス で調べた。ヒトとは異なり、mdxマウスは冒された筋肉を自然に再生する。骨 格筋の1領域に放射線照射すると、その領域における骨格筋の再生を不可能とす る。これらの著者らは、mdxマウスの骨格筋におけるジストロフィン欠乏によ って変性された筋肉が、野生型(すなわち、非病気)マウスからの新生児筋肉前 駆細胞(筋芽細胞)を移植することによって再生できることを示した。これらの 著者らは、培養新生児細胞の注入3日前にマウスの脚に高用量のX−線を限局的 に照射することによって、mdxマウスにおける筋肉の自然再生を阻害した。提 案されている療法は、筋芽細胞を正常ドナーから取り出し、それらをDMD少年 の筋肉に挿入することである。ドナー筋芽細胞源は、免疫拒絶の問題が減少し、 ジス トロフィン遺伝子およびその蛋白質産物の正常なカウンターパートの存在がDM D筋肉におけるその喪失を置き換えるであろう、組織適合性の一致したドナー( しばしば父親)からのものであろう。その目的は、それ自体ジストロフィン−陰 性であるDMD少年の筋肉繊維とこれらの細胞との融合を行うことにある。ジス トロフィン陽性ドナー筋芽細胞とジストロフィン陰性DMD筋肉繊維との融合は 、かくして、少なくとも部分的に繊維に対してジストロフィン機能を回復させる 。かくして、E,Gussoniら、Nature 356,435−438( 1992)は、父親または冒されていない兄弟姉妹からの正常筋芽細胞を8人の 少年の筋肉に移植することによって彼らを治療した。ジストロフィン遺伝子中に 欠失がある3人の患者は、筋芽細胞注入後に採取した筋肉バイオプシー検体にお いて正常ジストロフィン転写体を発現した。ポリメラーゼ連鎖反応を用い、これ らの著者は、ジストロフィン遺伝子はこれらのバイオプシー検体において正常ジ ストロフィンを発現することを確立した。この研究においては、DMD筋肉で産 生されたジストロフィン−陽性繊維の数は少なかったが、該方法はいくらか展望 を持っている。D.J.Wattら、Nature 368,406−407(1994年3月)は、β−ガラシトシダーゼ(β−g al)をコードするlacZ遺伝子を保有する筋芽細胞を最初の宿主mdxマウ スの筋肉に注入し、引き続いて、この筋肉を第2の宿主mdxマウスに移植し、 移植した筋肉を「Spongostan」支持培地で囲んだ。第2宿主マウスに おいて隣接する筋肉を損傷させた場合、lacZ遺伝子を含有する筋芽細胞はS pongostanを通って移動して、損傷を受けた筋肉の隣でβ−gal−陽 性およびジストロフィン−陽性の筋管を生じた。対照的に、この効果は筋肉が損 傷を受けていない場合には通常起こらかなった。しかしながら、損傷を受けてい ない筋肉の場合には、mdxマウスに典型的な、筋肉の自然再生が起こり、ここ にβ−gal/ジストロフィン−陽性繊維が周囲の筋肉で観察された。これらの 結果は、移植された筋芽細胞が筋肉損傷および筋肉再生の領域に向けて移動する ことを示す。この運動は、損傷を受けた筋肉繊維によって付与されるある種の走 化作用の結果であろう。 このタイプの療法についてのさらなる進歩は、DMD少年自身のジストロフィ ン−陰性の筋原性細胞を使用し、彼らに失われた遺伝子を挿入することであり、 これは容易に達成できる。 最近、G.A.Coxら、Nature 364,725−728(1993) は、マウスジストロフィンをコードする全長cDNAを含有するトランスジェニ ックmdxマウスにおけるジストロフィンの過発現がジストロフィー徴候を防止 し、有害な副作用を有しないらしいことを示した。しかしながら、この療法は「 非自己」細胞の免疫拒絶の問題を取り除くものの、非自己源のドナー細胞の使用 では遭遇しなかった問題を生じる。DMD少年の筋原性細胞は、「正常」非−D MD筋芽細胞よりも老化経路をさらに降っており、それらは数回の変性/再生お よび従って有糸分裂をすでに経過している。細胞が死滅前に特定回数(50回) 分裂するというHayflick現象を仮定すると、これらの「年齢のいった( older)」細胞を使用する戦略は理想的ではない。 従って、近年、最も有望なものとしてこれらの2つのアプローチに興味が集中 している。本発明の知識なくしてその意味が明瞭ではないさらなる先行技術を「 発明の概要」で言及する。 今回、免疫拒絶を防止するのに十分適合しないであろう細胞の使用を回避でき 、また、「年齢のいった」細胞の使用を回避するので、別のアプローチが利点を 供することが判明した。発明の概要 本発明は、ドナー細胞として皮膚起源の繊維芽細胞を使用するかなり異なるア イデアに基づく。驚くべきことに、皮膚繊維芽細胞を筋肉障害を有する動物の筋 肉に移植すると、これらのドナー繊維芽細胞は一緒に融合して筋肉細胞のように 挙動する多核細胞を生じることが判明した。これらの新しく形成された細胞は、 正常動物における天然筋肉細胞に特異的である(従って、とりわけドナー繊維芽 細胞では見い出されない)のと同一の産物(例えば、ジストロフィン、デスミン 、カルボニックアンヒドラーゼIII)を発現するので、それらは筋原性細胞系 統に変換されたと考えられる。 ドナー細胞としての筋肉および肺繊維芽細胞はいくらかの有益な利点を有する ようであるが、それは少なく、他方、皮膚繊維芽細胞は大きな効果を生じる。従 って、本発明の重要な態様は、皮膚繊維芽細胞を筋肉特異的遺伝子によって発現 される産物を生産できる筋原性細胞に変換するのに効果的な条件下で患者の筋肉 細胞またはその隣に免疫学的に適合する皮膚繊維芽細胞を投与することよりなる 、患者において筋肉障害を治療する方法として定義される。治療的処置方法が保 護されない国にお いては、前記定義方法に代えて、法的に適合するかまたは慣用的なように、上述 した目的のためのドナー細胞の使用または上述した目的のための細胞調製物の製 造における該ドナー細胞の使用で置き換えられるべきである。さらなる先行技術 J.E.Morganら(1990)(前掲)の研究において、移植されたド ナー筋肉細胞は筋原性および非筋原性細胞の混合物であり、非筋原性細胞を分離 する工程は採用されておらず、これは包括的繊維芽細胞を有していたに違いない 。しかしながら、著者らは、「遺伝した筋障害の治療用の筋原性細胞の使用に関 して最適の原因」に言及しており、とりわけ、異なる発生段階の筋肉から得られ た筋原性細胞が、正常な筋肉組織学および機能を回復または維持できる効率の点 で異なるかどうかの研究を示唆している。 10年前、H.M.Blauら、Science 230,758−766( 1985)は、「分化した状態の柔軟性(Plasticity of the Differentiated State」なる表題の論文において、筋肉 細胞を用いて、どの程度まで高度に特殊化した細胞が依然他の細胞 型の核の遺伝子を発現できるかを判断した。マウス筋肉細胞はイン・ビトロで他 の表現型の細胞と融合した。これらの融合した細胞またはヘテロカリオンにおい て、筋肉遺伝子発現は融合細胞の非筋肉核で活性化された。非筋肉細胞は4種の 繊維芽細胞を含み、そのうち1つは皮膚繊維芽細胞であった。著者らは、この活 性化は細胞質を通じて核に移植された分子によって媒介されているに違いないと 結論した。 6年前、S.Chaudhariら、Nature 341,445−447 (1989)は、遺伝子的に欠陥のある(種属に悪影響のある)マウス繊維芽細 胞と、とりわけラット皮膚繊維芽細胞を含めた繊維芽細胞系とのイン・ビトロ融 合を記載した。種属に悪影響のある(dysgenic)筋芽細胞は収縮させることがで きない筋管を形成できる。筋管は筋芽細胞からさらなる分化経路を辿っている。 実験は、繊維芽細胞を、培養から平板培養した筋芽細胞に添加することを含むも のであった。著者らは、繊維芽細胞は、それらが筋管が十分形成された後に添加 されたならば、融合するのは非常に稀のようであると注記している。彼らは、B lauらの論文を引用して、筋肉細胞質は繊維芽細胞核を誘導して筋肉特異的遺 伝子を発現させると推定して いる。著者らは、 「我々は、同様な融合過程がイン・ビボで起こるか否か、あるいは逆に、かか る融合を妨げる機序が存在するか否かをまだ知らない。もし繊維芽細胞がイン・ ビボで発生する筋肉と融合できれば、それらはヒトの筋肉の遺伝的病気の治療で 有用なドナー細胞型として使用されるだろう。」 と付け加えている。 著者らは、筋肉が発生中ではなく退行中である場合、どのようにかかる治療が 有力であるか説明しておらず、また、繊維芽細胞の全部の間の融合が起こるであ ろうことを示していない。彼らの研究は繊維芽細胞の筋肉細胞へのイン・ビトロ 融合に関係しているに過ぎない。 Chaudhariらの研究は、恐らくは、前記理由のため、皮膚から筋原性 細胞系統への変換がイン・ビボで起こるであろうことを推定する理由がなく、ま た、筋肉細胞に関与する他の治療がより有望と思われたので、当該分野では無視 されてきた。 本願の優先年の間に、本発明はJournal of Cell Scien ce 108,207−214(1995)においてGibsonら(発明者含 む)によって論文で公表さ れたが、発行者は論文の再印刷につき予期せぬ重大な要望であると報告している 。好適実施態様の説明 治療は、ドナー繊維芽細胞の相互の融合の少なくともいくらかが筋肉特異的遺 伝子を発現し、従って、筋原性細胞系統、注目すべきは筋肉細胞またはそのサテ ライト細胞になるという知見に基づく。該効果は照射されたmdxマウスで最も 容易に見られる。ヒト患者に投与できるのと同一であるが恐らくはマーカーを担 持するヒト繊維芽細胞を照射mdxマウスに投与すると、該効果が観察でき、マ ウスにおけるかかるテストは、ヒトの治療で効果的である皮膚細胞の能力のテス ト(もし必要であれば)としてみなすことができる。通常、治療は、例えば、筋 肉バイオプシーによって治療した患者の筋肉中に見い出されるジストロフィン− 陽性細胞の数を増加させることを狙っており、筋肉特異的蛋白質ジストロフィン の産生は正常筋肉への変換における成功の指標とみなされる。 本発明は、実施例8によって特によく立証されており、そこでは、ヒトジスト ロフィン遺伝子−陽性トランスジェニックマウスからの皮膚繊維芽細胞を、ジス トロフィン−陽性筋肉繊維 を欠くmdxマウスに移植した。mdxマウス筋肉繊維はジストロフィン陽性と なり、この遺伝子はドナー細胞によってのみ供することができた。かくして、該 遺伝子は皮膚繊維芽細胞の染色体に組み込まれ、異なる細胞型、すなわち、マウ ス細胞で発現された。 本発明は、主として、骨格筋に関するが、心筋または平滑筋にも適用できる。 それは、主として筋ジストロフィー、特にDMDまたはBMDに関して興味をひ くところであるが、負傷または損傷した筋肉を含めた筋肉のいずれの退行する障 害または変性障害にも適用できる。これは外傷を含むが、勿論、筋肉「構造」が 完全に破壊された程重症の負傷は含まない。患者がジストロフィン産生またはも う1つの筋肉特異的遺伝子を欠くまたは実質的に欠く場合、あるいは正常下濃度 において遺伝子を保有する場合、投与される皮膚繊維芽細胞は関連する必要なD NAを含有する。皮膚細胞は、好ましくはそれが細胞核内に組み込まれるように 、いずれかの常法にてこのDNAでトランスフェクトできる。1つのかかる方法 は、アデノウイルスまたはアデノウイルス関連ベクターのごときウイルスベクタ ーに関連DNAを組込み、該ベクターで繊維芽細胞をトランスフェクト することである。安全要件に従い、別法としてレトロウイルスベクターを使用す ることもできる。皮膚繊維芽細胞は遺伝子治療用にレトロウイルスベクターで感 染されている。例えば、J.H.Axelrodら、Proc.Natl.Ac ad.Sci.USA,87,5173−5177(1990),D.St.L ouiseおよびI.M.Verma,同上,85,3159−3154(19 88),T.D.Palmerら,Blood 73,438−445(198 9)およびR.I.Garver Jr.ら,Science 237,762 −764(1987)参照。かかる方法を使用し、これらの文献の第IX因子およ びアルファ−1アンチトリプシン遺伝子に代えてジストロフィンまたは他の筋肉 特異的DNAで置き換えることができよう。もう1つの方法は、筋肉特異的DN Aの繊維芽細胞への直接注入である。関連DNAの繊維芽細胞への取り込み方法 は重要でなく、他の方法は当業者に明らかであろう。関連DNAは全長遺伝子ま たはその一部だけでもよい。いわゆるジストロフィンミニ遺伝子のごとき部分的 遺伝子(M.Dunckleyら、FEBS 296,128−134(199 2)参照)は、特にレトロウイルスベクターが使用さ れるべき場合に、BMDおよびDMD双方で有用である。N.Wellsら、H uman Mol.Gen.1,35−40(1992)によって記載されてい る全長ジストロフィン遺伝子は、ベクターがかかる長いDNAを存在させること ができないか、またはパッケージできない方法で有用である。当該分野でよく知 られているように、使用される技術によって必要とされるときは、適当な調節配 列を含ませる。 好ましくは、本発明の治療を適用する場合、患者は筋肉細胞を全く欠くもので はない。筋肉に存在する走化性因子は繊維芽細胞を筋肉細胞に変換するのを助け ることができる。 本発明は、特に細胞核内に筋肉特異的DNA、特にジストロフィン蛋白質の一 部または全部をコードするDNAを含有する皮膚繊維芽細胞を含む。該DNAは 前記したごとく全長または部分的遺伝子であってよい。かかる細胞を含有する細 胞懸濁液および生物学的に純粋な、特に無血清の培養培地が本発明内に含まれる 。本明細書中の何も、ヒト身体から単離された場合を除き、ヒト身体の一部に権 利を請求しないと解釈されるべきである。 筋肉障害が負傷に由来し、かつ患者が正常な筋肉特異的遺伝 子を有する場合、ドナー繊維芽細胞はいずれの外来DNAも含有する必要がない 。 ドナー細胞は、それらが外来のものとして拒絶されるのを防ぐために、治療す べき患者に免疫学的に適合しなければならない。かくして、身体組織の寄付を含 めた他の種類の治療におけるごとく、HLA型を適合させるべきいくらかの試み が通常なされるであろう。好ましくは、ドナー細胞は治療されるべき患者からの ものである。これらの細胞は、例えば、皮膚から組織を取り出すバイオプシーに よって容易に収穫される。 ドナー細胞の投与経路は、それらが患者の筋肉細胞に密着してまたはその近く に接触される限り、重要でない。(筋肉への)筋肉内注射は好ましい経路であり ;(筋肉間の)筋肉間注射も可能である。他の方法は、皮膚を開き、筋肉を露出 させる移植、および例えば大腿動脈への動脈内注射である。 実験により、1つの筋肉へ移植された皮膚繊維芽細胞は他の近くの筋肉まで移 動し、これは新しい筋肉繊維の形成に寄与し、これらの繊維内で筋肉特異的遺伝 子を発現する。 細胞は投与用に以下のごとくに調製できる。皮膚バイオプシーを皮膚層を含め るようにDMD患者から採取する。皮膚繊維 芽細胞を培養にて増殖させ、皮膚細胞を患者に再導入するときに、動物血清蛋白 質の要素がいずれかの免疫応答または汚染問題を引き起こす場合には、無血清培 地で増殖させる。かくして、無血清補充を用いる培地が通常必要である。培養で の皮膚細胞の増殖に続き、欠陥遺伝子の正常カウンターパートを(必要な場合) 細胞に送達する。該細胞は無血清培地中の懸濁液としてまたは細胞ペレットとし て処方する。ウイルス学的および細菌学的テストは再移植前に強制的に行なわれ る。 ドナー細胞は通常一回、冒された筋肉の1以上の部位に投与されるであろう。 一般に、それらは、通常は注射によって、30以上、特に30−100の部位に 投与されるであろう。投与する皮膚細胞の合計量は通常ヒトにつき106〜101 0 の範囲であろう。 本発明はヒト患者を治療するのに主として興味深いが、ペット、家畜および食 料生産で使用する動物のごとき非ヒト動物の治療も含む。細胞の投与量は動物の サイズに応じた調整を要するが、これは当業者の技量の範囲内のものである。 以下の実施例により本発明を説明する。 「POLYBRENE」、「SPONGOSTAN」、 「FUNGIZONE」および「TRITON」なる語は登録商標である。 実施例1 1.皮膚繊維芽細胞の調製 前方腹部璧の長さに沿って腹側を切開し、下部組織から皮膚を取り出すことに よって、株C57B1/10ScSnの新生児正常マウスからの皮膚を収穫した 。該皮膚を、70%アルコールを含有するペトリ皿中に2分間入れて、組織培養 で細胞の感染を引き起こす汚染物を除去した。次いで、該皮膚を取り出して、抗 生物質80IU/mlペニシリンおよび80mg/mlストレプトマイシンおよ び1%「Fungizone」(250μg/mlアンフォテリシン)を含有す るリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を含むペトリ皿に入れた。皮膚の皮下表面 からいずれの脂肪も掻き取った。 次いで、該皮膚を、ペニシリンおよびストレプトマイシン(前記)を含有する Basal Salt Solution(BSS)を含むペトリ皿に入れ、メ スの刃(crossed scalpel blade)を用いて1mm3片に 切った。該小片を取り出して、最小量の増殖培地を含有する25cm2 領域を供する組織培養フラスコに単独で入れた。最小量の培地(25cm2増殖 領域TCフラスコにつき1ml)により、皮膚片が基層に付着した。増殖培地は 、2mM L−グルタミン、88IU/mlペニシリン/88mg/mlストレ プトマイシン(全てLife Technologies Ltdによって供給 された)および10%ウシ胎仔血清(Labtech Internation al)を補充した「DMEM」(ダルベッコの最小イーグル培地)であった。培 養容器を5%CO2中の37℃インキュベーターに入れた。皮膚片移植3時間後 に、増殖培地をさらに1−2ml添加して、皮膚が確実に乾燥しないようにした 。 繊維芽細胞が外植皮膚から増殖しだすまで、皮膚を培養中に放置した。この間 、3日毎に培地を交換した。十分な過剰増殖が起こると、皮膚片を取り出して、 培養が密集下(subconfluency)となるようにした。 密集下に到達すると、細胞を1×リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で洗浄 し、0.25%トリプシン(Life Technologies)を用いて基 層から脱着させた。10%ウシ胎仔血清を含有する増殖培地の添加によって、細 胞 の脱着後に、トリプシンの作用を停止させた。10分間の350gでの遠心によ って細胞をペレット化し、増殖培地(前記)に再懸濁して2×105細胞/ml の濃度とした。次いで、この懸濁液を培養容器に入れ、密集下まで前記と同一の 増殖培地中で増殖させた。この操作サイクルは単一継代を構成するものであった 。 かくして、マウス筋肉への移植前に、細胞を少なくとも6回継代した。いくら かの細胞は、以下のごとく、19回継代後にリング−クローン化された。 細胞を前記したごとくにトリプシン処理し、増殖培地10ml中100細胞ま で増殖培地中に希釈した。これらを100mmのペトリ皿に入れて、基層への単 層細胞付着を誘導した。単細胞が検出されたら、クローニングシリンダー(「P erspex」チューブから切断した2mm内径)をかかる単細胞上に置いて、 かかる単細胞が確実にクローンとして増殖するようにした。クローンをトリプシ ン処理によって一度に収穫し、各々は、単離された元の1つの細胞から12−1 5細胞のコロニーを産生した。 2.筋肉繊維芽細胞の調製 正確にD.J.Wattら,J.Neurological Science 57,319−331(1982)によって詳細に記載されているごとくに、 トリプシンおよびパンゲスチンでの解離によって、筋肉細胞を新生児マウスの筋 肉組織から調製した。該細胞を平板培養し、40分間インキュベーターに放置し 、その間に繊維芽細胞はプレートに付着したが、筋原性細胞は浮遊したままであ った。筋原性細胞を含有する増殖培地を取り出し、新鮮な増殖培地を、繊維芽細 胞が付着した元のフラスコに添加した。繊維芽細胞以外に汚染細胞が依然これら の培養に存在したが、少なくとも6回の継代の後、繊維芽細胞は培養で支配的細 胞となり、かかる繊維芽細胞を注射に使用した。それらは、標準的な微細構造法 および免疫細胞化学を用いると100%繊維芽細胞であると判断された。免疫細 胞化学は、筋原性細胞の中間フィラメント蛋白質を認識する商業的に入手可能な (Sigma Chemical Co.からの)抗−デスミン抗体を用いて行 った。全てのクローン化細胞はデスミン−陰性であり、これは、それらが筋原性 細胞を含有しないことを示す。これは、微細構造レベルでの外観によって確認さ れ、 また、これはそれらが事実繊維芽細胞であることを示した。 3.皮膚繊維芽細胞の移植用のマウスの調製 すべての実験において、mdxマウスを受容体(すなわちレシピエント)とし て使用した。無胸腺ヌードマウスは免疫学的に寛容されており、胸腺を保有せず 、従って、移植された外来性組織の拒絶の恐れなくして、いずれの他の株のマウ スからの組織もおよび事実異種移植された物質を許容するであろう。 各宿主X−連鎖筋ジストロフィー(mdx)マウスの右後方脚を1800ラド のX−線照射に付した。この処理は、内因性筋肉前駆細胞を破壊し、mdx筋肉 を再生不可能とし、従って、DMD筋肉に対して組織病理学的により同種とした 。かかる照射の方法は、Wakefordら、Muscle & Nerve, 14,42−50(1991)に示されている。 宿主マウスの左下方後部脚は未照射のままとし、従って、移植した外来性組織 の拒絶の恐れなくして、マウスのいずれの他の株からの組織も、および事実異種 移植された物質を許容するであろう。 4.繊維芽細胞のmdx受容体への注射 マウスの正常C57B1/10ScSn株、それからmdx マウスが自然発生的に生起する正常株に由来する皮膚および筋肉繊維芽細胞双方 (別々の実験)を、宿主無胸腺ヌードマウスの脛側前方(TA)筋肉に注射した (右に照射し左は照射しなかった)。マイクロリットルのマーキングがあり、火 炎処理し、非常に微細なポイントまで引いた細いピペットを用いて3×105細 胞を注射した。D.Wattら、Journal of Muscle Res earch and Cell Motility 14,121−132(1 993)で開発されたプロトコルに従い、ほぼ10μlの細胞懸濁液がTA筋肉 の非常に表層の繊維に注射されるように、注射すべき細胞を回転させてペレット とした。 5.筋肉の分析 移植3および6週間後、TA筋肉を取り出し、液体窒素によって−165℃ま で冷却した融解イソペンタン中で凍結した。注射部位に到達するまで低温切片( cryostatsections)に切断し、その時点で、8μm厚低温切片に切断した。最初 の切片を組織学的実験のために採取し、第2の切片はジストロフィン免疫染色の ために、および第3の切片はグルコース−6−リン酸イソメラーゼ(GPI)特 徴付けのために採取した。 (a)組織学的実験 組織学的実験のための切片を蒸留水中で2分間洗浄し、ヘマトキシリン中で2 分間染色し、流水中で1分間洗浄した。1%v/v塩酸を含有する70%アルコ ール中で5秒間分別(細胞質から核を分別)した後、それらを流れる水道水中で 5分間「青色化」した(「青色化」は酸性ヘマトキシリンを中性ヘマトキシリン に変換し、これは染色にその特徴的な青色を与える)。次いで、切片をエオシン 中で1−2分間逆染色し、しかる後、水中で軽くすすぎ、70%アルコールに軽 く浸漬した。次いで、それらを100%アルコールを2回交換して少なくとも2 分間(各交換)脱水し、2回交換(各々2分)のキシレンに浸漬して、キシレン をベースとするマウンタント(mountant)に固定する前にそれらを清澄 とした。 この実験は、該切片が、新しく形成された再生筋肉繊維に特徴的な核が周辺で はない所に位置した小さな変動する直径の繊維を含有することを示した。 (b)ジストロフィン免疫染色 さらに切片を採取し、いくつかは最初のものよりも100μmおよび200μ m深く(8μm切片)採取し、ウサギ抗− ジストロフィン一次抗体と共に1時間インキュベートし、続いて第二抗体として 抗−ウサギビオチン化IgGと共に1時間インキュベートし、標識としてアビジ ン−蛍光コンジュゲートを用いて可視化することによって、これらの異なるレベ ルからの3つの切片を免疫組織学的に染色した。切片を0.5μg/mlヨウ化 プロピジウムで20分間逆染色した。ジストロフィン−陽性繊維の大部分は中心 に核があった。 いくつかの抗−ジストロフィン抗体は商業的に入手可能であるが、このテスト では、本発明者らは、P.N.Strong博士、Dept.of Paedi atrics and Neonatal Medicine,Royal P ostgraduate Medical School,Hammersmi th Hospital,ロンドンW12ONN,英国からのP6抗体を使用し た(T.G.Sherrattら、Biochem.J.287,755−75 9(1992)参照)。P6はジストロフィンの−COOH末端を認識する。 免疫蛍光像は、オリンパスBH2蛍光顕微鏡に取り付けたPhotonics Science Labstar増感 CCDカメラを用いて得た。この後、蛍光像を光学ディスク上に保存した。免疫 蛍光標識された切片の面積の定量を行い、蛍光筋肉繊維によって占められた領域 を容積分率(標識フレームのパーセント)として表した。結果を表1に示す。m dxマウスはジストロフィン−陰性であり、照射された筋肉ではそのままである 。照射mdx筋肉に移植した皮膚繊維芽細胞は、21日後に調べると、非照射筋 肉と比較して、驚くほど高い割合のジストロフィン−陽性繊維を生じていた。照 射筋肉における42日後のジストロフィン陽性の低パーセンテージは、組織学的 に観察して、陽性繊維の組織化および集密性を反映する。クローン化皮膚繊維芽 細胞を移植した後に観察されたジストロフィン−陽性繊維の低い割合は、いくら かの多能性を喪失したかも知れない19継代のクローン化細胞を用いた結果であ ろう。筋肉繊維芽細胞(非クローン化)を移植した後、復帰突然変異繊維から予 測されるよりも高レベルのジストロフィン−陽性繊維が観察され、これは、移植 細胞が筋肉繊維形成に何らかの関与をしたことを示す。 (c)GPI特徴付け GPIのイソ酵素を用いて、再生用に移植されたTA筋肉に存在する筋肉繊維 に対する宿主およびドナー細胞の相対的寄与を以下のごとくに評価した。 GPIイソ酵素を吸収させるために、低温切片を濾紙の小片と重ねた。GPI イソ酵素が吸収された濾紙をアガロースゲルの表面に載置し、等電点電気泳動に 付した。ゲル上のGPI活性の部位は、フルクトース−6−リン酸、NADP、 グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、フェナジンメトスルフェートおよび ニトロブルーテトラゾリウムの反応混合物を含有する寒天重層を用いて明らかと した。 等電点電気泳動は、マウスにおけるGPIの3つのイソ酵素タイプを分離する 。最もアノード極側に位置するイソ酵素は、GPI−1b遺伝子によってコード された2つのサブユニットからなり、ドナーマウスの129/ReJ株のごとき 、ホモ接合性GPI−1b/GPI−1bマウスに由来する組織を特徴付けた。 最もカソード極側に位置するイソ酵素はGPI−1a遺伝子によってコードされ た2つのサブユニットよりなり、宿主(受容体)マウスのC57B1/10Sc Sn株のごとき、 ホモ接合性GPI−1a/GPI−1aマウスを特徴付ける。しかしながら、筋 肉移植片において、「ヘテロダイマー」イソ酵素形態が、シンシチウム骨格筋繊 維の細胞質内で、GPI−1a遺伝子によってコードされた1のサブユニット、 およびGPI−1b遺伝子によってコードされた1のサブユニットの会合によっ て生起する。かくして、もしモザイク筋肉繊維が宿主およびドナー単核前駆体細 胞の融合によって形成されたならば、ヘテロダイマーが生じ、その結果、共通の 細胞質を持つ宿主およびドナーGPI遺伝子双方が発現される。該方法のさらに 詳細については、D.J.Wattら、Neuromuscular Diso rder 1,345−355(1991)参照のこと。 実施例2 マウス皮膚繊維芽細胞を移植したmdxマウスの筋肉内における筋肉特異的遺伝 子の発現 マウス皮膚繊維芽細胞を移植したmdx筋肉内における筋肉特異的蛋白質の発 現を示すために本実施例で選択した遺伝子産物は、初期分化筋肉で発現されるカ ルボニックアンヒドラーゼIIIであった。4匹のmdxヌードマウスに、実施 例1パー ト1におけるごとくに調製した3×105クローン化マウス皮膚繊維芽細胞を、 照射したおよび非照射のmdx脛側前方筋肉内に注射した。カルボニックアンヒ ドラーゼIIIの発現を調べるために、筋肉から切断した低温切片の標準的な免 疫細胞化学的染色を行った。第一抗体はウサギ抗−カルボニックアンヒドラーゼ III(CAIII)[Gray Coulton博士、Dept.of Bi ochemistry,Charing Cross and Westmin ster Medical School,ロンドン W6 8RFから入手] であり、第二次抗体はマウス抗−ウサギビオチン化IgGであった。可視化は、 アジビン−蛍光コンジュゲートの第3層を要した。すべての場合、二重免疫細胞 化学的染色、すなわち、ジストロフィンおよびCAIII双方について行った。 結果は、ジストロフィンおよびCAIIIの共存在があることを示した。すなわ ち、ジストロフィン−陽性である新しく形成された筋肉細胞もCAIIIを発現 した、すなわち、同繊維はこれらの筋肉特異的遺伝子産物の双方を発現した。 実施例3 負傷後における筋肉再生での皮膚繊維芽細胞の筋原性細胞系統への変換 本実験は、病気ではなく負傷の後に再生する筋肉、すなわち正常C57B1/ 10マウスの(例えばmdx)筋肉に皮膚繊維芽細胞を移植する効果を調べるた めに設定した。Sigma Chemical Co.からの蛍光マーカーPH K−26を使用した。この物質は、細胞膜内に突き刺り、そこに止まるリン脂質 である。イン・ビボでの細胞の移植100日までの間標識された細胞の膜に止ま ると言われている。クローン化皮膚繊維芽細胞をPHK−26と共にイン・ビト ロでインキュベートし、その間に、細胞膜をこの化合物で安定に標識した。次い で、かかる細胞を前記したごとくに正常C57B1/10マウスのTAに注射し 、3〜6週間放置した。筋肉をとりだし、凍結させた。再生した筋肉から切片を 切り出した。ジストロフィンについてのアッセイは、宿主マウスがジストロフィ ン−陽性であったので、行わなかった。24日後、蛍光マーカーが筋肉細胞膜と 会合しているのが観察され、これは、これらの細胞は皮膚繊維芽細胞から生起し たことを示した。 PHK−26マーカーを使用することに加え、β−ガラクトシダーゼをコード するlacZ遺伝子を保有する皮膚繊維芽細胞を、正常(C57B1/10)マ ウスの再生する脛側前方筋肉への移植に使用した。 2つの源のlacZ標識細胞を移植した: (a)新生児マウスの皮膚から収穫したC57B1/10皮膚繊維芽細胞をl acZ遺伝子を保有するマウス・モロニー白血病ウイルスレトロウイルス(Mo MLV)ベクターで感染させた。 (b)皮膚繊維芽細胞をC57B1「Rosa」マウス、すなわちlacZト ランスジェニックマウスから収穫した。この動物からのすべての細胞はβ−ガラ クトシダーゼを構成的に発現した。「Rosa」トランスジェニックマウスから の皮膚繊維芽細胞はM.Skynner博士,Babraham Instit ute,ケンブリッジ、英国から受け取った。 これらの実験からの結果は、移植21日後における再生移植片におけるβ−ガ ラクトシダーゼ陽性繊維の存在を示す。これらの結果は、皮膚繊維芽細胞が新し く形成された筋肉繊維の形成で役割を演じていることを示す。 実施例4 筋肉のさらなる分析 GPI分析の代わりに、第3の8μm切片をさらなるジストロフィン免疫染色 用に採取した以外は、実施例1パート5を23匹のmdxヌードマウスで反復し た。該8μm切片および100μmおよび200μmのより深いレベルから採取 したさらなる切片を、記載したごとくに、同一源から入手可能な、P6抗体で、 およびもう1つのウサギ抗−ジストロフィン抗体H12で、別々に染色した。P 6はカルボキシ末端を認識するが、H12は蛋白質のロッドドメトンを認識する 。実施例1のアビジン−蛍光コンジュゲートを、P6についてはストレプトアビ ジン−「Texas Red」コンジュゲート、およびH12についてはストレ プトアビジン−蛍光コンジュゲートによって置き換えた。 P6およびH12で染色した場合、80%までの個々の筋肉切片が陽性であっ た。P6につき陽性のすべての切片はH12についても陽性であり、その結果、 ジストロフィン分子の少なくとも大部分が発現されたことを示す。 実施例5 mdxマウス筋肉におけるヒト皮膚繊維芽細胞の新しく形成された筋肉繊維への 変換 療法の経路としての皮膚繊維芽細胞の使用における重要な工程は、ヒト皮膚繊 維芽細胞もまたmdx筋肉でジストロフィン−陽性繊維を形成するか否かを調べ ることである。この目的で、実施例1と同様のプロトコルを用いて、ヒト皮膚繊 維芽細胞をmdxマウスTA筋肉に注射した。 ヒト皮膚繊維芽細胞は3つの源:(a)46歳の婦人の顔の皮膚;(b)9歳 の少年の前腕;および(c)新生児包皮の商業的に入手可能な皮膚から得た。 バイオプシー(局所麻酔下)において、46歳のドナーからの皮膚試料を、オ ーストラリアウシ胎仔血清(Sigma Chemical Co.)を使用し た以外は、実施例1におけるごとくに補充したDMEM10mlに入れた。皮膚 を滅菌ペトリ皿に移し、次いで、メスの刃を用いて1mm3片に切断した。小片 を単独で取り出して、各々が25cm2増殖面積を供し、各々が前記増殖培地1 mlを含有する組織培養フラスコに入れた。それらを転倒して逆にし、フラスコ の基層への皮膚 片の接着を促進する以外は実施例1におけるごとくにフラスコをインキュベート した(従って、皮膚片は、インキュベーター中で上を下にして置かれたフラスコ のベースに張り付くようにされた)。さらなる増殖培地を実施例1におけるごと くに添加して、皮膚が確実に乾燥しないようにした。 次いで、該手法を正確に実施例1パート1におけるごとくに継続した。 9歳の少年からの皮膚細胞を、それらが皮膚から既に増殖した条件にて受け取 った。 マウスの調製および繊維芽細胞のマウスへの注射は実施例1パート3および4 に記載されている通りである。 次いで、切片のいくつかを抗−ヒトスローミオシン重鎖(HuSMyHC)抗 体で染色した。該スローミオシン重鎖はヒト筋肉特異的遺伝子産物である。筋肉 全体で3、4または5の異なる工程レベルで8μm切片に切断した(実験間で変 動した)。切断した切片を以下のごとくに処理した: 1.切片を15分間風乾した。 2.切片を10%ウシ胎仔血清、10%ウマ血清、10%ヤギ血清中で30分 間ブロックした。この工程を用いて、筋肉細 胞表面上のいずれの空の部位への抗体の非特異的結合をも防止する。 3.切片をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で5分間、続いて0.05%「 Triton X−100」を含有するPBS中でさらに15分間洗浄した。 4.商業的に入手可能な抗体1:2を0.05%「Triton X−100 」中に1:2で希釈することによって、切片を抗−HuSMyHC抗体中、室温 にて1時間インキュベートした。 5.切片をすべてPBS中で5分間ずつ3回染色液中で洗浄し、続いて、最後 に20分間洗浄した。 6.切片当たり50μlを用い、PBS中のヤギ抗−マウスビオチン化IgG を1:100に希釈した液中で、切片を室温でインキュベートした。 7.洗浄工程5を反復した。 8.PBS中の1:100希釈を用い、切片をストレプトアビジン/フルオレ セイン中、暗所にて、30分間インキュベートした。 9.PBS中で、切片を10分間2回、次いでさらに20分 間洗浄した。 10.それらを「Entellan」固定用培地中に固定し、蛍光顕微鏡下で 観察する前に4℃で保存した。 他の切片は、実施例4に記載したごとくに、P6およびH12で免疫染色した 。3種の源の細胞すべてを用い、mdxマウスの照射筋肉への移植の結果、小さ な管腔直径の新しく形成されたジストロフィン−陽性繊維が存在した。マウス細 胞をマウス組織に移植した場合には観察されたのは少なかったが、マウス復帰突 然変異繊維のため予測されたものよりも数は依然かなり多かった。最良の結果は 、移植用にドナー細胞として新生児包皮細胞を使用して得られた。筋肉の丁度中 心および注射部位の近くの筋肉切片において、68もの多くのジストロフィン− 陽性繊維が見い出され、これは2つのグループ(一方のグループには33繊維お よび他方のグループには注射部位に隣接する35繊維)に配置される。ヌードマ ウス筋肉へのヒト筋原性細胞の注射後に、他の研究者によって報告されているも のよりもかなり多数のジストロフィン−陽性繊維が見い出された。現在までのと ころ、最良の結果は、3×105細胞をマウス筋肉に移植した後における5%の ジストロフィン−陽性繊維の存在 である。他の研究者は、かなり多い数の筋原性細胞をヌードマウスのTA筋肉に 移植している。これらの宿主はmdxでなく、彼らは、新しく形成されたジスト ロフィン−陽性繊維が宿主筋原性細胞とマウス筋肉との融合によって形成された ことを示すために、ヒトジストロフィンに特異的なジストロフィン抗体を使用し た。宿主ヌードマウスを使用して、彼らの最良の結果は、3.6%のジストロフ ィン−陽性繊維であり、これは107細胞の移植後には、注射されたものの33 倍細胞となった。 実施例6 マウス皮膚繊維芽細胞への遺伝子の導入、繊維芽細胞のmdxマウスへの移植、 および宿主マウスの筋肉繊維における遺伝子の発現 mdxマウス筋肉への移植用のマウス皮膚繊維芽細胞を、lacZ遺伝子を担 持するモウスモロニー白血病ウイルスレスロウイルスベクターで感染させた。こ の遺伝子はβ−ガラクトシダーゼをコードし、これは細胞株で発現されると、β −ガラクトシダーゼの通常の基質を染色手法で使用すると、青色に染色する。 レスロウイルスベクターを含有する産生細胞は、J.Pri ce博士、National Institute for Medical Research,Mill Hill,ロンドンから入手したが、このベクタ ーは広く入手可能である。lacZ遺伝子を担持するレスロウイルスに加え、そ れは、ネオマイシン耐性遺伝子も含有する。かくして、標的細胞をレスロウイル スベクターで感染させた場合、感染したいずれの細胞もネオマイシン−耐性遺伝 子を保有する[Priceら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84,156−160(1987)]。これにより、レスロウイルスによって 感染され、従って、lacZおよびネオマイシン耐性について2つの挿入された 遺伝子を保有する細胞の選択が可能となる。前記したごとくにペニシリンおよび ストレプトマイシンを補充せず、400μg/mlのネオマイシン類似体である Geneticin(Sigma Chemical Co.)を補充した増殖 培地中で細胞を増殖することによって選択を行う。レスロウイルスベクターに感 染した細胞のみがこの選択培地で生き残るであろう。 実施例1パート1に記載したごとくに、マウス皮膚繊維芽細胞を密集下まで調 製した。培養培地を取り出し、レスロウイル スベクターをパッケージする産生細胞系の増殖を維持するために使用されてきた 培地3mlで置き換えた。培養培地には、8mg/mlの「Polybrene 」(レスロウイルスが標的細胞、すなわちこの場合には皮膚繊維芽細胞に付着す るのを助ける薬剤)を添加した。産生細胞培地を3時間後に取り出し、正常な増 殖培地で置き換えた。24時間後、増殖培地を取り出し、400μg/mlネオ マイシンGeneticinを含有する培地で置き換えた。レスロウイルスベク ターでの培養の感染の24時間内に、レスロウイルスで感染されなかった細胞は 分裂を停止し、1週間までには、それらは死滅した。従って、残存する細胞をG eneticinを含有する培地中に維持し、増殖させたそれらの数を増加させ た。生き残ったすべてのこれらの細胞はlacZ遺伝子を含有していた。 β−ガラクトシダーゼ遺伝子を保有するレスロウイルスで感染させた皮膚繊維 芽細胞をmdxヌードマウスの筋肉に移植した。この移植の3週間後、筋肉を取 り出し、実施例1切片5に記載したごとくに、切片化のために調製したが、この 場合、切片を組織学的に調べ、β−ガラクトシダーゼ活性についても分析した。 これは、(実施例1で報告した組織学的およびジスト ロフィン分析用の8μmとは対照的に)12μmの低温切片に切断することを含 むものであった。切片を以下のごとくに処理した。 1.氷上でPBS中の0.5%グルタルアルデヒドで15分間固定した。 2.氷上、PBS+2mM塩化マグネシウム中で軽く洗浄し、次いで、新鮮な 洗液(PBS+2mM MgCl2)で10分間洗浄した。 3.氷上、界面活性剤溶液中に(すなわち、PBS+2mM MgCl2、0 .01%デオキシコール酸ナトリウム、0.02%「Nonidet P40」 )10分。 4.X−gal溶液、β−ガラクトシダーゼ用の基質、すなわち、20mMフ ェリシアン化カリウム;20mMフェロシアン化カリウム;2mM MgCl2 、0.01%デオキシコール酸ナトリウム、0.02%「Nonidet P4 0」、1mg/ml X−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル β−D−ガラクトシド)中、37℃にて、暗所で一晩インキュベートした。 5.室温にてPBS中で2×5分洗浄した。 6.蒸留水で1回軽く洗浄した。 7.アルコールによって脱水した。すなわち、50%で5分間;70%で5分 間;100%で5分間。 8.「Histoclear」(洗浄剤)で2×5分処理した。 9.DPXに固定した。 X−galプレート上で得られた青色の斑点は、lacZ遺伝子が首尾よくマ ウス筋肉で発現されたことを示す。 また、これらの同一筋肉繊維は、免疫染色によるとジストロフィン−陽性であ ることが判明し;再度、P6およびH12抗体を共に用い(実施例4参照)、ジ ストロフィン染色でβ−ガラクトシダーゼ産生の局在化があった。従って、これ らの結果は、エクス・ビボ(exvivo)で皮膚繊維芽細胞に導入された遺伝子は、 マウスに移植された場合に照射mdxマウスの筋肉繊維内で発現され、また、こ れらの繊維もジストロフィン−陽性であることを示す。これはもう1つの重要な 結果である。というのは、これらの繊維は、挿入されたlacZ遺伝子およびm dxマウスで通常は存在しないジストロフィン遺伝子産物を発現するので明らか に復帰突然変異体ではないことを示すからで ある。 実施例7 マウス皮膚繊維芽細胞への遺伝子の導入、負傷した筋肉組織のインプラントを有 する正常マウスへの該繊維芽細胞の移植、および再生する筋肉繊維における該遺 伝子の発現 lacZ遺伝子が外傷後に再生する筋肉で発現されるか否かを判定するために 実験を行った。C57B1/10株のマウスを使用した以外は手法は前記と同様 であった。これらのマウスはジストロフィン遺伝子を発現するが、lacZ遺伝 子を皮膚繊維芽細胞に導入すると、新しく形成された筋肉繊維の繊維芽細胞起源 であることを確認可能とする。 最初の実験を行い、そこでは、宿主マウスの照射したTA筋肉を細かく切り( minced)、細切状態で宿主の脚に再挿入した。3×105個のlacZ含有マウ ス皮膚繊維芽細胞をこれらのマウスにおいて細切した筋肉に移植すると、筋肉の 再生は観察されず、筋肉部位は繊維脂肪結合組織によって置き換えられた。また 、青色の着色も観察されなかった。 筋肉の正常構造は細切によって完全に破壊されたので、前記実験は非現実的に 働くと感じた。従って、全筋肉移植片を用い て、この実験を反復した。これは、宿主の伸筋デイジトラム・ロンギス(ext ensor digitorum longis)(EDL)筋肉の末端腫を切 断し、それを所定の位置で元に縫合することを含む。これは、筋肉が全体として 変性し再生することを引き起こす。何故ならば、それは末端鍵切断の間に神経お よび血液供給から切り離されたからである。次いで、それを再生させ、その神経 および血液供給は再生段階の間に筋肉に再侵入する。wattら、Nature 368,406−407(1994)に記載されているごとく、EDLの縫合 は、隣接する腓骨筋肉の末端鍵の回りに結んで、EDL筋肉が張力下に保持され ることを確実とした[より包括的には、D.J.Wattら、J.Mus.Re s.Cell.Motil.14,121−132(1993)]。[もし筋肉 が張力下に保持されないならば、筋肉は萎縮し、実験は失敗する]。脱を縫合し た3日後、実施例1パート4におけるごとく、細いピペットを用いる注入によっ て、皮膚繊維芽細胞を筋腹に導入した。3×105個のlacZ−含有マウス皮 膚繊維芽細胞を、このように再生しているEDL筋肉に移植すると、実質数のβ −ガラクトシダーゼ陽性繊維が、非照射EDL(および照射EDl、 それで?)で行うと、見い出された。 実施例8 ヒトジストロフィン遺伝子を保有する、トランスジェニックマウスに由来する皮 膚繊維芽細胞のmdxマウス筋肉への導入 本実験は、ジストロフィン−陰性マウスを、ヒトジストロフィン遺伝子を移植 によって導入した場合に該遺伝子を発現するようにできるか否かを示すために行 った。 皮膚繊維芽細胞は、全長ヒトジストロフィン遺伝子につきトランスジェニック であるmdxマウスの皮膚に由来する。すなわち、それらはmdxバックグラウ ンドを有するが、トランスジーンのためにジストロフィン−陰性である(N.W ellsら、Human Mol.Gen.1,35−40(1992))。実 施例1パート1におけるごとくに、mdxトランスジェニックマウスからの皮膚 繊維芽細胞を増殖させ、実施例1パート4に記載したごとくに照射mdx筋肉に 注射した。移植3週間後、注射した筋肉を取り出し、低温切片を筋肉から切り出 し、組織学およびジストロフィン−陽性繊維の存在について分析した。組織学的 検査において、切片は、未成熟の新しく形成された筋肉繊維の多数の存在によっ て特徴付けられた。P6抗体で染色 すると、40%までの個々の筋肉切片の領域はジストロフィン−陽性繊維を含有 していた。かくして、ジストロフィン遺伝子がトランスジェニック経路によって 導入されている皮膚繊維芽細胞を移植したmdxマウスにおいて、多数のジスト ロフィン−陽性繊維が観察された。これらの実験におけるジストロフィンの唯一 の源は、ヒトジストロフィン遺伝子を保有する移植されたトランスジェニック皮 膚繊維芽細胞からであった。P6抗−ジストロフィン抗体はヒトもしくはマウス ジストロフィンと反応する。従って、切片はヒトジストロフィンに特異的な抗体 で染色されるであろう。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1996年11月29日 【補正内容】 変性障害にも適用できる。これは外傷を含むが、勿論、筋肉「構造」が完全に破 壊された程重症の負傷は含まない。患者がジストロフィン産生またはもう1つの 筋肉特異的遺伝子を欠くまたは実質的に欠く場合、あるいは正常下濃度において 遺伝子を保有する場合、投与される皮膚繊維芽細胞は関連する必要なDNAを含 有する。皮膚細胞は、好ましくはそれが細胞核内に組み込まれるように、いずれ かの常法にてこのDNAでトランスフェクトできる。1つのかかる方法は、アデ ノウイルスまたはアデノウイルス関連ベクターのごときウイルスベクターに関連 DNAを組込み、該ベクターで繊維芽細胞をトランスフェクトすることである。 安全要件に従い、別法としてレトロウイルスベクターを使用することもできる。 皮膚繊維芽細胞は遺伝子治療用にレトロウイルスベクターで感染されている。例 えば、J.H.Axelrodら、Proc.Natl.Acad.Sci.U SA,87,5173−5177(1990),D.St.Louiseおよび I.M.Verma,同上,85,3159−3154(1988),T.D. Palmerら,Blood 73,438−445(1989)およびR.I .Garver Jr.ら,Science 237,762− 764(1987)参照。かかる方法を使用し、これらの文献の第IX因子およ びアルファ−1アンチトリプシン遺伝子に代えてジストロフィンまたは他の筋肉 −特異的DNAで置き換えることができよう。もう1つの方法は、筋肉特異的D NAの繊維芽細胞への直接注入である。関連DNAの繊維芽細胞への取り込み方 法は重要でなく、他の方法は当業者に明らかであろう。関連DNAは全長遺伝子 またはその有効な一部だけでもよい。いわゆるジストロフィンミニ遺伝子のごと き部分的遺伝子(M.Dunckleyら、FEBS 296,128−134 (1992)参照)は、特にレトロウイルスベクターが使用されるべき場合に、 BMDおよびDMD双方で有用である。N.Wellsら、Human Mol .Gen.1,35−40(1992)によって記載されている全長ジストロフ ィン遺伝子は、ベクターがかかる長いDNAを存在させることができないか、ま たはパッケージできない方法で有用である。当該分野でよく知られているように 、使用される技術によって必要とされるときは、適当な調節配列を含ませる。 好ましくは、本発明の治療を適用する場合、患者は筋肉細胞を全く欠くもので はない。筋肉に存在する走化性因子は繊維芽 細胞を筋肉細胞に変換するのを助けることができる。本発明は、特に細胞核内に ジストロフィン蛋白質の有効な一部または全部をコードするDNAが組み込まれ た皮膚繊維芽細胞を特に含む。該DNAは前記したごとく全長または部分的遺伝 子であってよい。かかる細胞を含有する細胞懸濁液および生物学的に純粋な、特 に無血清の培養培地が本発明内に含まれる。 【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1996年12月18日 【補正内容】 請求の範囲 1. ヒトまたは動物の身体から単離され、かつ、筋ジストロフィーを治療する のに必要な関連DNAがヒト介在によって取り込まれた皮膚繊維芽細胞。 2. ヒトまたは動物の身体から単離され、かつ、筋ジストロフィーを患う患者 において欠くか正常下濃度で存在する種類の、筋肉特異的遺伝子の有効な一部ま たは全部のDNAがヒト介在によって繊維芽細胞に取り込まれた皮膚繊維芽細胞 。 3. 筋ジストロフィーを治療するのに必要な関連DNAがヒト介在によって取 り込まれた皮膚繊維芽細胞であって、該細胞は筋ジストロフィーを患う、免疫学 的に適合する患者の治療に使用されるものである前記皮膚繊維芽細胞。 4. 筋ジストロフィーを患う患者において欠くかあるいは正常下濃度で存在す る種類の、筋肉特異的遺伝子の有効な一部または全部のDNAがヒト介在によっ て繊維芽細胞に取り込まれた皮膚繊維芽細胞であって、該細胞は筋ジストロフィ ーを患う免疫学的に適合する患者の治療に使用されるものである前記皮膚繊維芽 細胞。 5. ドナー皮膚繊維芽細胞が該治療において治療すべき患者から採取されたも のであり、該DNAが、該治療の前に、ヒト介在によって該ドナー細胞に取り込 まれる請求項3または4に記載の皮膚繊維芽細胞。 6. 患者への投与が、患者の筋肉内またはその近くに皮膚繊維芽細胞を移植す るか、あるいは患者の筋肉またはその近くにそれを注射することによる、治療用 の請求項3、4または5に記載の皮膚繊維芽細胞。 7. 該DNAがジストロフィン遺伝子からのものである請求項1、2、3、4 、5または6記載の皮膚繊維芽細胞。 8. デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療用である請求項7記載の皮膚繊維 芽細胞。 9. 筋ジストロフィーを治療するのに必要な関連DNAがヒト介在によって取 り込まれた細胞調製物の製造における皮膚繊維芽細胞の使用。 10. 筋ジストロフィーを患う患者において欠くまたは正常下濃度で存在する 種類の、筋肉特異的遺伝子の有効な一部または全部のDNAがヒト介在によって 取り込まれる、筋ジストロフィーを患う免疫学的に適合する患者の治療用の細胞 調製物の 製造における皮膚繊維芽細胞の使用。 11. 出発皮膚繊維芽細胞が該治療で処置すべき患者から採取される請求項9 または10に記載の使用。 12. 該DNAかジストロフィン遺伝子に由来する請求項9、10または11 に記載の使用。 13. デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療用である請求項12記載の使用 。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ベテンコート・デ・メデイロス・レルバ ス,ジヨアオ・カルロス ポルトガル国、ペー−3000・コインブラ、 エリ・セー・エ・エシ・ケー・ア・22、ル ア・マチヤド・デ・カストロ

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 皮膚繊維芽細胞を、筋肉特異的遺伝子によって発現される産物を産生でき る筋原性細胞に変換するのに効果的な条件下で、患者の筋肉細胞にまたはその近 くに免疫学的に適合する皮膚繊維芽細胞を投与することを含む、患者において筋 肉障害を治療する方法。 2. 皮膚繊維芽細胞を非マウス患者におけるのとできる限りほぼ同じ条件下で マウスに投与すると、これらのドナー皮膚繊維芽細胞の少なくとも一部が、該ド ナー細胞間の融合によって筋原性細胞に変換される請求項1記載の方法。 3. ドナー皮膚繊維芽細胞がそれを投与する患者から採取される請求項1また は2記載の方法。 4. 患者への投与が、患者の筋肉内またはその近くに皮膚繊維芽細胞を移植す るか、あるいは患者の筋肉内またはその近くにそれを注射することによる請求項 1、2または3記載の方法。 5. 該変換が、処置した患者の筋肉のバイオプシーで見い出されるジストロフ ィン−陽性細胞の数を増加させるのに効果的である請求項1、2、3または4記 載の方法。 6. 投与する該皮膚繊維芽細胞が、患者の筋肉細胞において正常濃度で存在し ない筋肉特異的DNAを含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 7. 該患者が筋ジストロフィーを患い、投与する皮膚細胞がジストロフィン遺 伝子またはその一部を含有する請求項6記載の方法。 8. 筋ジストロフィーがデュシェンヌ型である請求項7記載の方法。 9. 該患者が筋肉変性を結果として生じさせる負傷をしている請求項1〜5の いずれか1項に記載の方法。 10. 筋肉特異的遺伝子によって発現される産物を産生できる筋原性細胞へ繊 維芽細胞を変換するのに効果的な条件下で免疫学的に適合する患者に投与するた めの細胞調製物を製造するための、皮膚繊維芽細胞の使用。 11. さらに、請求項2〜9のいずれか1項に記載の特徴の1以上を含む請求 項10記載の使用。 12. 請求項6または7記載の筋肉特異的DNAを含有する皮膚繊維芽細胞。
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