JP2022022698A - Aav9を含む骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物およびその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物を利用すれば、優れた骨伝導性、骨誘導性、骨形成性に基づいて、これまで既存の骨疾患治療剤と比較して顕著な骨予防または治療効果を示す。また、本発明のAAV9は、他の遺伝子導入ベクターとは異なり、人体内での副作用をほとんど起こさず、本発明の骨代替材は局所的な適用が可能で、副作用が発生する可能性が顕著に低い。さらに、本発明の骨代替材は遺伝子導入ベクターであるAAV9の消耗量を大幅に減らすことができ、生産コストを顕著に下げることができる。【解決手段】miRNA-RANK、miRNA-ctsk、miRNA-shn3またはmiRNA-SOST(sclerostin)を担持するAAV9(Adeno-associated virus serotype 9)を含む骨疾患予防または治療用の薬学的組成物。【選択図】図3

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 1.論文(掲載日2019年7月4日):Nature Communications volume 10,Article number:2958(2019)(ウェブアドレス:https://www.nature.com/articles/s41467-019-10809-6) 2.論文(掲載日2020年4月17日):Molecular Therapy - Methods & Clinical Development,Volume 17,page 922(2020)(ウェブアドレス:https://www.cell.com/molecular-therapy-family/methods/fulltext/S2329-0501(20)30070-Xなど) 3.論文ウェブ(掲載日2020年4月17日):ELSEVIER(ウェブアドレス:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S232905012030070X) 4.学会及びその他発表 4-1.集会発表(開催日2019年9月4日 マサチューセッツ大学 米国) 4-2.集会発表(開催日2019年9月19日 マサチューセッツ大学 内分泌学科米国) 4-3.集会発表(開催日2019年11月8日 ハーバード歯科大学 米国) 4-4.セミナー発表(開催日2019年12月3日 延世大学 韓国) 4-5.学会発表(開催日2020年5月12日 オンライン)
本発明は、骨疾患を治療するための遺伝子伝達のために、AAV9を利用した骨疾患治療剤およびこれを含む骨代替材に関する。
骨が損傷した患者にとっては、その治癒が適切に行われない場合、治療が難しく、患者が受ける苦痛も大きい。このような患者群には外傷に因る重度の骨欠損が発生した場合、不癒合により骨形成に問題がある場合、または手術的な過程(関節癒合術、矯正的切骨術)で骨形成が十分でなかった場合などが含まれる。このような場合、骨形成の促進のための骨移植術(bone graft)が必要であり、米国で年間500,000件以上の骨移植術が施行されている。自家骨移植は骨伝導性、骨誘導性、骨形成性をすべて持っていると同時に、同種または他種に起因する免疫反応の危険性なしに骨形成を促進することができ、最も適している。ただし、この方法の欠点としては、患者の身体から骨を採取しなければならず、このために患者は全身麻酔が必要で、採取部位の合併症及び手術後の歩行時の痛みなどを甘受しなければならない。また、小児、骨の質が落ちる高齢の患者、または慢性疾患のような場合には、自家骨移植に困難が伴う。そして、高齢の患者は、全身麻酔が不可能である。このような自家骨移植の問題を補完するために、新しい骨代替材に対する開発が続けられてきた。他家骨の場合、骨伝導能力と構造的支持台の役割をすることはできるが、骨誘導や骨形成機能はないため、単独使用時の骨形成促進機能がない。その他にも、管理や保管に伴う高価格帯の形成、そして感染による潜在的リスクも考慮しなければならない。Demineralized bone material(DBM)は、非臨床的研究では、その有効性が報告されているが、まだDBM単独使用の効果については、根拠が不足しており効用性に対する疑問が提起されている。そこでDBMの優れた生体適合性と骨形成細胞の親和性に骨誘導性を追加するためにBone Morphogenetic Protein-2(BMP-2)のようなタンパク質を添加して使用された。しかし、これらの骨誘導物質が高効率を達成するためには、必要な時期に必要な程度の量が分泌されるべきであるが、これまでの製品には限界があった。そのほか、副甲状腺ホルモン(Parathyroid hormone、PTH)や超音波、血小板多血漿因子(Platelet-rich plasma、PRP)を利用した非手術的な骨形成促進方法も提示されているが、その効果はまだ微々たるものである。
これまでの既存の骨代替材の限界を克服するために遺伝子治療を導入しようとする試みがなされてきた。間葉幹細胞(mesenchymal stem cell)は、自己再生力(self-renewal)と多能性(pluripotent)を持っているため、この細胞に遺伝子形質を導入して、特定調節因子を長期間分泌するようにすることができる。ただし、最近韓国内で問題となった「インボサ(Invossa-K Inj)」でも見られるように、遺伝的変形を経た幹細胞の使用には、臨床的適用前に多くの安全に対する問題が優先的に解決されなければならない。その意味で、アデノ-付属ウイルス(AAV、Adeno-associated virus)を媒介とした遺伝子導入は、骨治癒を促進するための遺伝子治療の良い対案となり得る。この方法は、細胞を直接注入していないため、従来の細胞ベースの遺伝子治療方法で提起されていた安全問題が解決されており、その遺伝子導入効率と発現もまた優れている。また、AAVは、未だ人体に疾病と免疫反応を起こしていないことが知られており、独立したepisome形態で遺伝子発現をするため、患者の遺伝子変異(genotoxicity)のリスクも非常に低い。このようなAAV媒介遺伝子導入の強みをもとに、既に他の領域では、臨床的治療剤の開発に適用されており、現在Parkinson disease、Spinal muscular atrophy、Choroideraemia、Haemophilia Bなどの疾患で、I/II相またはIII相の臨床実験が実施されている。そして、最近になり先天的失明治療剤「ロクスタナ(Luxturna)」とリポタンパク質分解酵素欠乏の治療剤「グリベラ(Glybera)」、脊髄性筋萎縮症治療剤「ゾルゲンスマ(Zolgensma)」などがUS food and drug administration(FDA)からAAV媒介遺伝子治療薬として通過した。
本発明者らは骨疾患の治療のための遺伝子治療の方法を研究していたところ、AAVの血清型のうちAAV9が造骨細胞と破骨細胞に最も効率的に形質導入をすることを確認し、RANK、ctsk、Shn3またはSOST(Sclerostin)の発現を抑制することによって、骨疾患の治療が可能なことを確認し、RANK、ctsk、shn3またはSOST(Sclerostin)の発現抑制用miRNAを担持するAAV9を含む骨疾患の予防または治療剤を完成した。
また、骨標的ペプチドモチーフをAAV9に挿入して骨組織に対する伝達特異性を高めることができることを確認し、AAV9を含む骨疾患の予防または治療剤の骨標的特異性を高めることに成功した。
さらに、AAV9を含む骨疾患の予防または治療剤を代替剤に付着させ、局所的に適用可能で、効果的に骨疾患を予防または治療することができる骨代替材を完成した。
したがって、本発明の目的は、AAV9を含む骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物およびこれを含む骨代替材を提供するものである。
上記目的を達成するために、本発明は、miRNA-Shn3またはmiRNA-SOSTを担持するAAV9を含む骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物を提供する。
また、本発明は、AAV9のカプシドに骨標的タンパク質モチーフ(bone-targeting peptide motifs)が挿入されたAAV9を含む骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物を提供する。
さらに、本発明は、上記骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物を含む骨代替材を提供する。
本発明の骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物を利用すれば、優れた骨伝導性、骨誘導性、骨形成性に基づいて、既存の骨疾患治療剤と比較して顕著な骨予防または治療効果を示す。
また、本発明のAAV9は、他の遺伝子導入ベクターとは異なり、人体内での副作用をほとんど起こさず、本発明の骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物を含む骨代替材は局所的な適用が可能で、副作用が発生する可能性が著しく低い。
さらに、本発明の骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物を含む骨代替材は、全身的静脈投与により適用する方式と比較して、遺伝子導入ベクターであるAAV9の消耗量を10~20%まで減らすことができ、生産コストを顕著に下げることができる。
したがって、上記のような特性に基づき、本発明は、医薬業界で広く使用することができる。
図1aは、COB、BM-OCP、ATDC5細胞に対する14種のAAV血清型の形質導入能を、EGFP発現によって確認した図である。図1bは、COB、BM-OCP、ATDC5細胞に対する14種のAAV血清型の形質導入能を評価するために、Hsp90タンパク質に対するEGFPの相対的発現を比較した図である。 図2aは、投与2週間後、マウス後肢(hind limb)でのEGFP発現をIVIS-100光学画像により確認した図である。図2bは、冷凍切断(cryo-sectioned)された大腿骨のEGFP発現を蛍光顕微鏡で確認した図である(TB、trabecular bone;BM、bone marrow;GP、growth plate;CB、cortical bone. Scale bars:500μm)。図2cは、大腿骨でEGFPを発現する細胞を高倍率画像(High magnification image)で確認した図である(Scale bars:100μm)。図2dは、冷凍切断された大腿骨の造骨細胞、成熟破骨細胞および骨細胞を確認するために、Bglap、Runx2、CtskおよびSOSTに対する免疫染色後に観察した図である(Scale bars:25μm)。 図3aは、投与2週間後、それぞれの組織に対するEGFP発現を蛍光顕微鏡で観察した図である。図3bは、投与2週間後、冷凍切断された心臓と肝臓のEGFP発現を、蛍光顕微鏡を使用して確認した図である(Scale bars:50μm)。図3cは、投与2週間後、冷凍切断された大腿骨のEGFP発現を、蛍光顕微鏡を使用して確認した図である。(Scale bars:500μm(左)、75μm(右))図3dは、投与2週間後、それぞれの組織溶解物を抗-GFP抗体で免疫ブロットした結果を示した図である。 図4aは、タモキシフェン投与2ヶ月後、冷凍切断された大腿骨のEGFP発現造骨細胞を確認した図である(Scale bars:25μm)。図4bは、タモキシフェン投与2ヶ月後、大腿骨小柱骨を、microCTを利用して確認した図である(Scale bars:1mm)。図4cは、タモキシフェン投与2ヶ月後、大腿骨小柱骨を相対的に定量したものを示した図である(Trabecular bone volume/total volume(Tb.BV/TV)、trabecular thickness(Tb.Th)、trabecular number per cubic millimeter(Tb.N)および trabecular space(Tb.Sp)(n=6 per group))。 図5aは、投与2ヶ月後、脛骨RNAでのcreおよびshn3 mRNAの発現を測定し、hprt遺伝子に正規化して比較した図である。図5bは、注射2ヶ月後、冷凍切断された大腿骨を蛍光顕微鏡で観察してEGFP発現細胞を示した図である(Scale bars:250μm)。図5cは、投与2ヶ月後、大腿骨の小柱骨を、microCTを利用して確認した図である(Scale bars:1mm)。図5dは、投与2ヶ月後、大腿骨小柱骨を相対的に定量したものを示した図である(Trabecular bone volume/total volume(Tb.BV/TV)、trabecular thickness(Tb.Th)、trabecular number per cubic millimeter(Tb.N)、および connective density(Conn.Dn) (n=6 per group))。 shn3を目標とするamiRカセット(amiR-shn3)と対照群カセット(amiR-ctrl)を図式化して示した図である。 図7aは、投与2ヶ月後、EGFP発現を、IVIS-100光学画像を使用して確認した図である。図7bは、投与2ヶ月後、冷凍切断された大腿骨のEGFP発現を蛍光顕微鏡で確認した図である(Scale bars:250μm)。 大腿骨のFACSで分類されたEGFP発現細胞でEGFPタンパク質(上)とhprtで正規化されたshn3 mRNA(下)レベルを示した図である。 図9aは、投与2ヶ月後、大腿骨小柱骨を、microCTを利用して確認した図である(Scale bars:1mm)。図9bは、投与2ヶ月後、大腿骨小柱骨を相対的に定量したものを示した図である(n=6/群)。 図10aは、投与2ヶ月後、脛骨RNA内shn3 mRNAレベルをhprtに正規化して示した図である(n=8/群)。図10bは、投与2ヶ月後、大腿骨小柱骨を、microCTを利用して確認した図である(Scale bars:1mm)。図10cは、投与2ヶ月後、大腿骨小柱骨を相対的に定量したものを示した図である(n=8/群)。図10dは、カルセイン/アリザリンを赤く表示して示した図である(Scale bars:50μm)。図10eは、組織形態を数値化して示した図である。(BFR/BS、bone formation rate/bone surface ; MAR、mineral apposition rate ; Ob.S/BS、osteoblast surface/bone surface)。 図11aは、卵巣切除2ヶ月後、大腿骨小柱骨を、microCTを利用して確認した図である(Scale bars:1mm)。図11bは、卵巣切除2ヶ月後、大腿骨小柱骨のBV/TVを測定して示した図である。 図12aは、骨粗しょう症のrAAV9-amiR-shn3の治療効果を試験するためのプロセスを図式化して示した図である。図12bは、投与7週後、冷凍切断された大腿骨のEGFP発現細胞を確認した図である(Scale bars:250μm)。図12cは、投与7週後、脛骨で発現されたshn3 mRNAをhprtに正規化して示した図である(n=8~12)。図12dは、投与7週後、大腿骨小柱骨を、microCTを利用して確認した図である(Scale bars:1mm)。図12eは、投与7週後、大腿骨小柱骨を相対的に定量したものを示した図である(n=7~8/群)。図12fは、投与7週後、カルセイン/アリザリンを赤く表示して示した図である(Scale bars:50μm)(矢印はカルセインとアリザリンとの間の距離を意味する)。図12gは、投与7週後、組織形態を数値化して示した図である。図12hは、投与7週後、大腿骨の機械的特性を定量化して示した図である。 AAV9カプシドのDSS挿入位置を図式化して示した図である。 図14aは、ベクター処理2日後、EGFPの発現を示した図である。図14bは、ベクター処理2日後、EGFPの発現を蛍光顕微鏡で観察したものを示した図である。 ベクター処理2日後、fast blue染色を使用してALP活性を測定したものを示した図である。 図16aは、投与2週間後、各組織でのEGFP発現をIVIS-100光学画像で確認した図である。図16bは、投与2週間後、組織溶解質でEGFP発現を、免疫ブロットを用いて示した図である。図16cは、組織溶解質でのEGFP発現を、免疫ブロットを用いて測定したものを定量した図である(n=3/群)。図16dは、投与2週間後、冷凍切断された大腿骨のEGFP発現細胞を蛍光顕微鏡で確認したものを示した図である。図16eは、投与2週間後、骨の表面当たりの冷凍切断された大腿骨のEGFP発現細胞の数を定量して示した図である(n=5/群)。 図17aは、投与7週後、脛骨のshn3 mRNAレベルを示した図である(n=10/群)。図17bは、投与7週後、大腿骨の小柱骨を、microCTを利用して定量したものを示した図である(n=6~8/群)。図17cは、投与7週後、大腿骨の小柱骨を、microCTを利用して確認した図である。図17dは、投与7週後、腰椎の小柱骨を、microCTを利用して確認した図である。図17eは、投与7週後、腰椎の小柱骨を、microCTを利用して定量したものを示した図である(n=6~8/群)。 rAAV9.EGFP投与後、マウスの大腿骨からEGFP発現細胞を確認した結果を示した図である。 rAAV9.EGFP投与後、EGFPを発現する骨髄細胞のフローサイトメトリー分析の結果を示した図である。 rAAV9.EGFP投与後、EGFP発現を通じて形質導入に効果的な細胞群を確認した結果を示した図である。 破骨細胞を標的とするCre-欠失マウス(Rankf/fl; Ctsk)でRANK対立遺伝子を条件付き欠失させたとき、マウスの骨に示される変化を確認した図である。 Cre組換え酵素を発現するrAAV9ベクター(rAAV9.Cre)を生成して破骨細胞系統細胞でRANKの欠失を誘導し、Cre遺伝子とRANK遺伝子の発現を測定した図である。 rAAV9.Cre投与によるRANK欠失とこれによる大腿骨の分析結果を示した図である。 RANK(tnfrsf11a)とカテプシンK(ctsk)をサイレンシングせるためのベクターと、これによるノックダウン効率を示した図である。 図25aは、rAAV9.amiR-RANKまたはrAAV9.amiR-ctskベクター処理による骨再吸収活性の変化を確認した図である。図25bは、rAAV9.amiR-RANKまたはrAAV9.amiR-ctsk投与による大腿骨のEGFP発現を確認した図である。図25cは、rAAV9.amiR-Ctrl処理された大腿骨と比較して、rAAV9.amiR-RANKまたはrAAV9.amiR-ctsk処理された大腿骨のRANKまたはctsk mRNA発現を測定した図である。図25dは、rAAV9.amiR-Ctrl処理された大腿骨と比較して、rAAV9.amiR-RANKまたはrAAV9.amiR-ctsk処理された大腿骨を分析した図である。図25eは、rAAV9.amiR-Ctrl処理された大腿骨と比較して、rAAV9.amiR-RANKまたはrAAV9.amiR-ctsk処理された大腿骨を分析した図である。 rAAV9.amiR-RANKまたはrAAV9.amiR-ctskベクター処理された大腿骨の骨幹端で組織形態計測(histormophometry)の結果を示した図である。 rAAV9.DSSおよびrAAV9.D14の構造を示した図である。 図28aは、rAAV9.DSSおよびrAAV9.D14のHA-結合親和度を測定した図である。図28bは、rAAV9.DSSおよびrAAV9.D14の破骨細胞に対する形質導入能を測定した図である。 rAAV9.DSSおよびrAAV9.D14投与時の生体内分布を測定した図である。 閉経期以後の骨粗しょう症のモデルにAAV9.DSS-amiR-ctsk投与時のctsk mRNA発現の変化と大腿骨の変化を示した図である。 老人性骨粗しょう症のモデルにAAV9.DSS-amiR-ctsk投与時のctsk mRNAの発現の変化と大腿骨の変化を示した図である。 rAAV9媒介骨疾患治療剤と骨代替材が適用されることを図式化して示した図である。 骨代替材に対するrAAV9の付着/親和力を評価するための実験過程を図式化して示した図である。 他家骨に対するrAAV9の親和力試験の結果を示した図である(灰色:rAAV9、青:rAAV9.DSS、赤:rAAV9.D14)。 合成骨に対するrAAV9の親和力試験の結果を示した図である(Values represent mean±SD:**、P<0.01;***、P<0.001 by an unpaired two-tailed Student’s t-test)。 rAAV9が付着したHA-scaffoldに対する造骨細胞形質導入能を示した図である((A)Quantitative RT-PCR analysis. Egpf mRNAはHprt(house keeping gene)によって正規化。(B)項-EGFP抗体を用いた免疫ブロットの結果。(C)DSS.rAAV9が付着されたHA-scaffold表面のEGFP発現COBを蛍光顕微鏡で観察。Scale bar:1 mm. Values represent mean±SD:*、P<0.05;****、P<0.0001 by an unpaired two-tailed Student’s t-test)。 rAAV9が付着したHA-granuleに対する造骨細胞形質導入能を示した図である((A)Quantitative RT-PCR analysis. Egpf mRNAはHprt(house keeping gene)によって正規化。(B)DSS.rAAV9が付着されたHA-granule表面のEGFP発現COBを蛍光顕微鏡で観察。Scale bar:1 mm. Values represent mean±SD:****、P<0.0001 by an unpaired two-tailed Student’s t-test)。 マウスモデルに手術を通じて誘導した骨欠損部位を示した図である。 マウス大腿骨の骨折手術直後、2週間後、6週間後のX-ray写真を示す図である。 臨界サイズの骨欠損マウスモデル(mouse model of critical-sized bone defect)を示した図である(矢印の矢:23~25Gニードルで固定された移植骨)。
本発明は、miRNA-RANK、miRNA-ctsk、miRNA-shn3またはmiRNA-SOSTを担持するAAV9を含む骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物を提供する。
本発明は、AAV9のカプシドに骨標的タンパク質モチーフ(bone-targeting peptide motifs)が挿入されたAAV9を含む骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物を提供する。
本発明において、上記骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物は、骨疾患の予防または治療に効果を示すトランスジーン(transgene)を担持するAAV9を含むものとすることができ、好ましくは、上記トランスジーンは、shn3またはSOST遺伝子の発現を抑制する遺伝子とすることができ、さらに好ましくはmiRNA-shn3またはmiRNA-SOSTとすることができる。
本発明において、miRNA(microRNA)は19-25 ntの長さの一本鎖RNA分子として、内在的(endogenous)ヘアピン-構造転写体によって生成され、ターゲット配列を含むmRNAの3' 非翻訳領域(UTR)に相補的に結合して転写後、遺伝子抑制因子(post-transcriptional gene suppressor)として作用し、翻訳抑制とmRNA不安定化を誘導することにより、標的遺伝子を抑制するものであり得る。miRNAは発達、分化、増殖、アポトーシス、および物質代謝のような様々な過程で重要な役割をするものとすることができる。
本発明において、shn3(schnurri-3)は、亜鉛鉗子タンパク質(Zn finger proteins)のZASファミリーに属するタンパク質として、生後骨格を再構築するのに必須的な調節因子として機能するものであり得、shn3を暗号化する遺伝子の発現を抑制すれば骨増殖が促進され、骨疾患の治療に使用することができる。
本発明において、SOST(Sclerostin)は、SOST遺伝子によってコーディングされるタンパク質としてC-末端システインノット-類似(C-terminal cysteine knot-like、CTCK)ドメインと骨形態形成タンパク質(bone morphogenetic protein、BMP)拮抗薬のDAN(differential screening-selected gene aberrative in neuroblastoma)ファミリーと配列類似性を有する糖タンパク質とすることができ、SOSTの発現を抑制すれば骨形成を促進する効果が得られる。
本発明において、RANK(Recept or activator of nuclear factor k B)は、骨材の形成、免疫細胞の機能、リンパ節発達、体温調節や乳腺の発達と関連し、遺伝子として、骨粗しょう症モデルでRANKの発現を抑制すれば破骨細胞分化と再吸収活性が抑制され、骨粗しょう症に治療効果がある。
本発明において、ctsk(cathepsin K)は、骨の再形成と再吸収に関与するリソソームシステインプロテアーゼを暗号化する遺伝子として、ctskの発現を抑制すれば破骨細胞-媒介骨吸収を抑制し、造骨細胞-媒介骨形成を同時に促進し、骨粗しょう症の治療に効果がある。
本発明において、上記AAV9(Adeno-associated virus serotype 9)は、ターゲット細胞にDNAを伝達するように操作されたエンベロープのない(Non-enveloped)ウイルスであり得、上記のmiRNA-shn3またはmiRNA-SOSTを伝達するように操作されて、骨疾患の予防または治療に使用することができる。
本発明において、上記AAV9のカプシドは、骨組織の特異性を高めるために変形されたものとすることができ、好ましくは骨標的タンパク質モチーフ(bone-targeting peptide motifs)を挿入したものとすることができる。さらに好ましくは、上記骨標的タンパク質モチーフは、DSS((AspSerSer)6)またはD14(Asp14)とすることができ、上記のDSSはAAV9カプシドペプチドのVP2ペプチドのN末端に挿入されたり、AAV9カプシドペプチドのグルタミン587とアラニン588との間のループIVドメインに挿入されるものとすることができ、好ましくは、AAV9カプシドペプチドのVP2ペプチドのN末端に挿入されるものとすることができるが、これに限定されるものではない。また、上記D14は、AAV9カプシドタンパク質サブユニットVP2のN-末端に挿入されるものとすることができるが、これに限定されるものではない。
本発明の上記miRNA-shn3またはmiRNA-SOSTを担持するAAV9は、損傷した骨の部位に適用され、優れた骨伝導性、骨誘導、骨形成性を土台として骨疾患を予防または治療するものとなり得、AAV9のカプシド変形によって改善された骨組織に対する特異性を土台として、効果的に骨疾患を予防または治療することができるものとすることができる。
本発明において、上記骨疾患は、骨に関連する疾患を指しており、例えば、造骨細胞と破骨細胞の不均衡が原因とされる疾患とすることができ、好ましくは、骨粗しょう症、パージェット病、腎不全患者の腎性骨異栄養症、骨折、骨欠損、不癒合、リウマチ性骨疾患、良性または悪性腫瘍による骨欠損及び歯周病とすることができ、好ましくは、骨粗しょう症や骨折とすることができる。
本発明の上記骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物は、有効成分以外に、骨疾患の予防または治療効果の相乗・補強のために、すでに安全性が検証されて骨疾患の予防または治療効果を有するものであると公知の任意の化合物や、または天然抽出物を追加して含むことができる。
本発明の薬学的組成物は、それぞれ通常の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤形、外用剤、坐剤、および滅菌注射溶液の形で製剤化して使用することができる。上記薬学的組成物に含まれ得る担体、賦形剤および希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート、および鉱物油を挙げることができる。製剤化する場合には、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調製される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、これらの固形製剤は、本発明の薬学的組成物に、少なくとも一つまたは複数の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロースまたはラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調剤される。また、単純な賦形剤以外にマグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も使用される。経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外にもさまざまな種類の賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使用されることができる。坐剤の基剤は、上記のウイテプゾール(witepsol)、マクロ骨、トゥイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用できる。
本発明の薬学的組成物の投与量は、治療を受ける対象の年齢、性別、体重と、治療する特定疾患または病理状態、疾患または病理状態の深刻度、投与経路、および処方者の判断に基づいて異なるものである。これらの因子に基づいた投与量の決定は、当業者の水準内にあり、一般的に投与量は、0.01mg/kg/日ないし約2000mg/kg/日の範囲である。より好ましい投与量は、1mg/kg/日ないし500mg/kg/日である。投与は、一日に一回投与することもでき、数回に分けて投与することもできる。上記投与量は、どのような面であれ、本発明の範囲を限定するものではない。
本発明の薬学的組成物は、ラット、家畜、人間などの哺乳動物に多様な経路で投与することができる。投与のすべての方式は、予想され得るものであるが、例えば、経口、直腸または静脈、筋肉、皮下、経皮または脳血管内注射によって投与することができ、好ましくは、骨代替材と一緒に投与することができる。本発明の化合物は、毒性や副作用がほとんどないので、予防目的で長期間投与時にも安心して使用することができる薬剤である。
本発明は、上記骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物を含む骨代替材を提供する。
本発明において、上記骨代替材は自家骨、他家骨、同種骨、異種骨または合成骨とすることができ、好ましくは、他家骨または合成骨とすることができ。上記他家骨は、新鮮冷凍(Fresh frozen)方法または乾燥冷凍(Dried frozen)方法で製造することができる。上記の合成骨は、水酸化燐灰石で製造することができる。
本発明の上記骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物を含む骨代替材は、局所的な適用が可能で、副作用が発生する可能性が顕著に低く、遺伝子導入ベクターであるAAV9の消耗量を10~20%まで減らすことができ、生産コストを顕著に下げることができる可能性がある。
重複している内容は、本明細書が複雑になることを考慮して省略し、本明細書では特に定義されない用語は、本発明が属する技術分野で通常使用される意味を持つものである。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。ただし、下記実施例は、本発明を例示するものであって、本発明の内容が下記実施例によって限定されるものではない。
実験方法
rAAVベクターのデザインおよび生産
マウスターゲット遺伝子に対する人工miRNAは、miR-33スキャフォールド設計ルールを考慮して最適化amiRカセットを生成するカスタムエクセルマクロ(custom excel macro)を使用して設計した。プラスミドは、ギブソンアッセンブリー(Gibson assembly)と標準的な分子生物学的方法によって構築した。amiR-33-ctrl、amiR-33-RANK-1、amiR-33-RANK-2、amiR-33-ctsk-1、amiR-33-ctsk-2、amiR-33-sostとamiR-33-shn3に対するDNA配列をgBlocksで合成し、制限酵素部位(PstIおよびBglII)でpAAVsc-CB6-Egfpプラスミドのイントロン領域にクローニングして形質転換用プラスミドを製造した。pAAVsc-CB6-CreはEgfpリポーターをCre組換え酵素(Cre recombinase)に置き換えて製造し、製造物をシーケンシングして確認した。Shim, JH et al. Schnurri-3 regulates ERK downstream of WNT signaling in osteoblasts. J. Clin.Investig 123, 4010-4022 (2013)に記載された標的化配列と同じ標的化配列を使用して、amiR-33-shn3に対するカセットを製造した。pAAV-amiR-ctrlおよびpAAV-amiR-shn3をAAV9カプシドにパッケージした。また、pAAVsc-CB6-Egfpは、AAV1(1.8E+13GC/ml)、AAV2(1.5E+12GC/ml)、AAV3(6E+12GC/ml)、AAV4(6.5E+12GC/ml)、AAV5(2.4 E+13GC/ml)、AAV6(8E+12GC/ml)、AAV6.2(8E+12GC/ml)、AAV7(1.5E+13GC/ml)、AAV8(7E+12GC/ml)、AAV9(1.5E+13GC/ml)、AAVrh8(8E+12GC/ml)、AAVrh10(8E+12GC/ml)、AAVrh39(1.0E+13GC/ml)、およびAAVrh43(6E+12GC/ml)カプシドにパッケージングした。Egfp prime/probeセットを利用したQX200 ddPCRシステム(Bio-Rad)に滴定し、CsCl沈降で精製したHEK293細胞に形質感染してrAAVを生産した。本実施例で使用したamiR-ctrl配列を配列番号1と、amiRNA-33-shn3配列を配列番号2と、amiR-33-sost配列を配列番号3と、amiR-33-RANK-1配列を配列番号4と、amiR-33-RANK-2配列を配列番号5と、amiR-33-ctsk-1配列を配列番号6と、amiR-33-ctsk-2配列を配列番号7と、AAVカプシド配列を配列番号8~24と示し、これを表1と表2に示した。
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骨ターゲットrAAV9ベクターの製造
骨標的化ペプチドモチーフ(DSS AspSerSer)6またはD14(Asp)14を暗号化するDNA配列をコドン-最適化した。
Q588-DSS-A589カプシド(DSS-588)を生成するために、AAV2 rep遺伝子およびAAV9 cap遺伝子(pAAV2/9)を発現するプラスミドをQ588およびA589コドンとの間のAAV9 cap遺伝子のDSS配列を挿入する方法により変形してAAV2/9.Q588-DSS-A589を製造した。このプラスミドは、rAAVの生産に使用した。
DSS-Nterカプシドを生成するために一組のプラスミドを使用した。まず、pAAV2/9でVP2の開始コドンをACGからACCに変異させて、VP1およびVP3のみ発現されるようにしたpAAV2/9.noVP2プラスミドを製造した。次に、DSS配列をAAV9-VP2 ORFのN-末端に融合させて、Kozak配列およびATG開始コドンをDSV配列のすぐ上流に位置させてCMVプロモーターにより発現が最適化されたpcDNA.DSS-VP2(AAV9)プラスミドを製造した。
pAAV2/9.noVP2とpcDNA.DSS-VP2(AAV9)プラスミドをrAAVの生産に使用した。
D14ペプチドモチーフをAAV9カプシドタンパク質サブユニットVP2のN-末端に移植してAAV9.D14-Nter(rAAV9.D14)を製造した。
細胞
軟骨形成ATDC5細胞をシグマ(Sigma)から購入し、2%FBS、2mM 1-グルタミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンが添加されたDMEM/Ham's F12培地で培養した。また、collagenase type II(50 mg/ml、Worthington、LS004176)とDispaseII(100mg/ml、Roche、10165859001)」を使用して、5日齢野生型C57BL/6Jの頭蓋冠から造骨細胞(calvarial osteoblast、COB)を分離し、10%FBS(Gibco)、2mM L-グルタミン(Corning)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Corning)と1%非-必須アミノ酸(Corning)を含有するα-MEM培地(Gibco)で培養した。COBはアスコルビン酸(200μM、Sigma、A8960)とβ-グリセロリン酸(10μmM、Sigma、G9422)によって分化された。最後に、BM-OCPを得るために、骨髄細胞を2ヶ月齢マウス(C57BL/6J)の大腿骨と脛骨にてフラッシングし、10%FBSおよび20ng/mlのM-CSFを有するα-MEM培地で培養した。12時間後、非-付着性細胞を組織培養皿に再度プレーティングし、3日間、同じ培地で培養した。その後、BM-OCPをRAMKL(20ng/ml、R&Dシステム)とM-CSF(20ng/ml、R&Dシステム)によって6日間、破骨細胞(osteoclast)に分化させた。
マウス
成熟した造骨細胞(osteoblast)でタモキシフェン-誘導Cre組換え酵素(tamoxifen-induced Cre recombinase)発現を有するosteocalcin-ERT/CreマウスをShn3fl/flマウスと交配してShn3fl/fl; Ocn-ERT/Creマウス(C57BL/6J)を得た。
Cre-発現細胞を標識するために、Shn3fl/fl;Ocn-ERT/CreマウスをRosa mT/mG creレポーターマウス(C57BL/6J)と追加交配させた。ERT/Creの出生後活性化(postnatal activation)のため、corn oil(Sigma)中、100μg/kgタモキシフェン(Sigma)を2ヶ月齢の雌マウスに5回/日、連続して5日間腹腔内注射した。尾遺伝子DNA(tail genomic DNA)をPCRして、マウスの遺伝子型を確認した。動物プロトコルは、動物管理に関するマサチューセッツ医科大学(IACUC)によって検討および承認され、実験室動物の管理および使用のためのNIHガイドを遵守した。
MicroCT分析
小脳と大脳皮質骨微細構造の定性的および定量的評価のためMicroCTを使用し、これは分析対象の動物の遺伝子型を知らない調査者によって行われた。マウスから切除された大腿骨を10%中性緩衝ホルマリンで固定し、空間分解能(spatial resolution)7μmのmicroCT 35(Scanco Medical)を使用してスキャンした。遠位大腿骨の骨分析のため、成長板近位部280μmから上端2.1μm領域を測定した。大腿骨の大脳皮質骨分析のため、0.6mmの中間-軸領域(mid-shaft region of 0.6mm in length)を測定した。L4脊椎のMicroCTスキャンは12μmの等方性ボクセルサイズ(isotropic voxel size)を使用して行った。2値化された(binaized)画像の距離変換に基づいた方法により、2次元画像から3次元画像を具現した。またはInveon multimodality 3D視覚化プログラムを使用して、様々な静的または動的なボリュームのmicroCT様式(Siemens Medical Solutions USA、Inc)を生成した。提示されたすべての画像は、それぞれの遺伝子型を示す(n>5)。
組織学、組織形態測定および免疫蛍光法
組織学的分析のために、大腿骨と脊椎をrAAVsベクター処理されたマウスから採取し、2日間10%中性緩衝ホルマリンで固定し、2-4週間5%テトラナトリウムEDTAを使用して、カルシウムを除去した。エタノールを利用して、組織を脱水させ、キシレンで2回洗浄し、パラフィンで包埋した。その後、コロナルプレートに沿って6μmの厚さで前方から後方に切片化した。カルシウムが除去された大腿部の断面をヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)またはTRAPで染色した。
動的組織形態分析のため、2%重炭酸ナトリウム溶液に溶解された25mg/kgのカルセイン(Sigma、C0875)と50mg/kgアリザリン-3-メチルイミノジアセト酸(Sigma、A3882)を6日間隔でマウスに皮下注射した。2日間10%中性緩衝ホルマリンに固定させた後、カルシウムが除去されていない大腿骨のサンプルをメチルメタクリレートに包埋し近位部骨幹端(proximal metaphysis)を縦方向に5μm切断した。類骨(osteoid)評価のためMcNeal's trichromeで染色し、造骨細胞(osteoblast)評価のためトルイジンブルー染色し、破骨細胞の評価のためTRAPで染色した。関心領域は、骨幹端の小柱骨で定義し、BFR/bone surface(BS)、MAR、BS、Ob.S/BSおよび破骨細胞表面(osteoclast surface、Oc.S/BS)は、Nikon Optiphot2顕微鏡を使用して測定した。ASBMR標準に基づいて、単一測定/サンプルを得るために、2断面/サンプル(25μm以下で分離)で測定を行い、正規化(normalization)前に合算した。
免疫蛍光法は、次のような方法で行った。rAAV-処理されたマウスからの新鮮な大腿骨および脊椎を採取し、2日間アイス-コールド4%パラホルムアルデヒド溶液で直ちに固定した。4℃、0.5M EDTA pH7.4で5日間半脱カルシウム化(semidecalcification)を実行して一定に振った。そして、1日20%スクロースリン酸緩衝液で浸潤させ、25%スクロースリン酸緩衝液で1日浸潤させた。すべてのサンプルを25%スクロース溶液とOCT化合物(Sakura)の50/50混合物に埋め、クライオスタット(Leica)を使用して厚さ12μmで矢状面方向に切断した。免疫蛍光染色および分析は、10分間0.2%Triton X-100で処理した後、切片を室温にて30分間5%ロバ血清で遮断し、抗-BGLAP抗体(sc-365797、Santa Cruz、1:150)と共に4℃で一晩インキュベーションした。1次抗体をロバ抗-ラットIgG Alexa-594(1:500、Molecular probe)で視覚化した。
核を4-6,ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)で染色した。サンプルをイメージ化するために、Olympus IX81共焦点顕微鏡またはLeica TCS SP5 II Zeiss LSM-880焦点顕微鏡を使用した。
生体力学分析
骨格の研究映像と生体力学試験のコアセンターで電気機械試験機(Electroforce 3230、Bose Corporation、MN、Eden Prairie、MN)を使用して、3点曲げで大腿骨を機械的に試験した。曲げ固定具の底スパン長は8mmである。60Hzと0.05/sの速度で移動する変位制御の荷重点での力と変位のデータを収集した。試験中、すべての骨は、同じ方向に置かれた。曲げ剛性(EI、N-mm2)、見かけ弾性係数(Eapp、MPa)、究極モーメント(Mult、N-mm)、見かけ究極応力(σapp、MPa)、破断エネルギー(Work to fracture、Wfrac、mJ)および見かけ靭性(Uapp、mJ/mm3)は、測定した力および変位のデータとmicroCTで測定したミッド-シャフトジオメトリを基に計算した。破断エネルギーは、大腿骨が破裂するために必要なエネルギーであり、Riemann Sum方法を使用して力-変位曲線の下の面積を求め計算した。曲げ剛性は、力-変位曲線の線形部分を使用して計算した。見かけ弾性係数を計算するとき、最小慣性モーメントを使用した。
ELISA分析
CTX1 ELISA(Abclonal MC0850)分析は、ユーザーマニュアルに基づいて実施した。
破骨細胞と造骨細胞分化の分析
破骨細胞分化のため、骨髄細胞を2ヶ月齢マウス(C57BL/6J)の大腿骨と脛骨からフラッシングして得て、骨髄由来単核球(BMM)を得するために、10%FBSおよび20ng/mlのM-CSF(R&D system)を含むα-MEM培地で培養した。12時間後、非-付着性細胞を組織培養皿に再び塗抹し、同じ培地で2日間培養した。続いて得られたBMMをRANKL(20ng/ml; R&D system)とM-CSF(20ng/ml; R&D system)の存在下で6日間破骨細胞に分化させた。対案的に、細胞をOsteo Assay Surface plate(3987、Corning)に塗抹し、破骨細胞吸収活性を製造社マニュアルに基づいて測定することができる。
造骨細胞分化のため、0.5mg/mlのコラゲナーゼ-P(Roche)と0.05%トリプシンを含有するα-MEMで4日齢マウスの頭蓋冠の造骨細胞(COB)を分離して、骨形成培地(0.1mg/ml ascorbic acid、10mM β-glycerophosphate)で培養した。アルカリホスファターゼ(ALP)染色の場合、造骨細胞を10%中性ホルマリン緩衝液で固定し、Fast Blue(Sigma、FBS25)とNaphthol AS-MX(Sigma、855)を含む溶液で染色した。対案的に、細胞の増殖のため造骨細胞を10倍に希釈されたアラマルブルー溶液(Invitrogen社、DAL1100)とともに培養した。続いて、細胞を洗浄し、6.5mM Na2 CO3、18.5mM NaHCO3、2mmM MgCl2およびホスファターゼ基質(Sigma、S0942)を含有する溶液で培養しALP活性を発光計(Biorad)で測定した。
成熟した造骨細胞から細胞外マトリックスの鉱化(mineralization)を評価するために、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、70%EtOHで15分間室温にて固定した。固定された細胞を蒸留水で2回洗浄した後、2%アリザリンレッド溶液(Sigma、A5533)で5分間染色した。続いて、細胞を蒸留水で3回洗浄し、カルシウム沈着物の有無を検査した。酢酸抽出法によって鉱化を定量した。
Hydroxyapatite(HA)結合分析
HAビーズ(1mg/ml)を25mM Tris-HCl(PH7.4)に懸濁させた。rAAV9、rAAV9.D14-NterおよびrAAV9.DSS-Nterのゲノムコピー(108、109、1010)を別にしてHAと100μlに混合して、37℃と300rpmで1時間培養し、HAペレット内のベクターの力価および上澄み液の力価をドローフリートデジタルPCR(ddPCR)で測定した。
定量的RT-PCR分析
QIAzol(QIAGEN)を使用して、細胞から総RNAを精製して、Applied BiosystemsのHigh-Capacity cDNA Reverse Transcription Kitを使用してcDNAを合成した。定量的RT-PCRは、CFX connect RT-PCR検出システム(Bio-Rad)とSYBRRGreen PCR Master Mix(Bio-Rad)を使用して行った。骨組織でshn3 mRNAレベルを測定するために、骨髄を除去した後、脛骨を液体窒素で30秒の間、スナップ凍結させ、続いて1mlのQIAzolで1分間均質化させた。
対案的に、rAAV9-処理されたマウスから採取した大腿骨と脛骨を10mM HEPES(pH7.2)(CellGro)が含有されたハンクス平衡塩ソリューション(Life Technologies)で粉砕して、弱く攪拌しながら37℃で15分間、2.5μg/mLコラゲナーゼA(Roche)と1unit/mL DispaseII(Roche)によって酵素的に分解されるようにした。生成された細胞懸濁液を40μmで濾過し、0.5%BSA(Fraction V)と2mM EDTAを含有するPBS(pH7.2)で洗浄した。洗浄後、細胞を2mM EDTAと1μg/mL DAPI(生/死排除)が含有されたPBS(pH7.2)に再懸濁させ、EGFP-発現細胞をFACS AriaII SORP細胞ソーター(Becton Dickinson)を使用してして分類した。QIAzolを使用して、細胞から総RNAを精製した。
免疫ブロッティング分析
細胞をTNT溶解緩衝剤(50mM Tris-HCl(pH7.4)、150mMM NaCl、1% Triton X-100、1mm EDTA、1mm EGTA、50mm NaF、1mM Na3VO4、1mm PMSF、およびタンパク質分解酵素抑制剤カクテル(Sigma))で溶解させ、DCタンパク質の分析(Bio-Rad)を使用して、細胞溶解物のタンパク質の量を測定した。同等な量のタンパク質をSDS-PAGEに適用し、免疫抗-GFP抗体(JL-8、632381、Takara、1:1000)、抗-Cre組換え酵素抗体(ab24607、Abcam 1:1000)で免疫ブロットしたimmunobilon-P membrane(Millipore)に移し、ECL(Thermo fisher scientific)で行った。抗-HSP90抗体を使用した免疫ブロッティングをローディング対照群として使用した。対案的に、採取した大腿骨および軟組織をRIPA溶解緩衝液(89900、Thermo fisher scientific)で均質化し、組織溶解物を免疫ブロッティング分析した。
rAAV血清型のin vitro形質導入分析
ATDC5細胞または1次COBは、24ウェルプレートで1×104個の細胞/ウェルの密度でプレーティングされ、24時間後に、rAAV1、rAAV2、rAAV3、rAAV4、rAAV5、rAAV6、rAAV6.2、rAAV7、rAAV8と共に培養された。rAAV9、rAAVrh8、rAAVrh10、rAAVrh39、またはrAAVrh43ベクターを3つの異なる力価(109-1011/mLのゲノムコピー)でCB-Egfpレポータートランスジーン(transgene)をパッケージングした。48時間後、細胞をPBSで洗浄し、EGFP発現をEVOS FLイメージングシステム(Thermo fisher scientific)によって監視した。対案的に、細胞をTNT溶解緩衝剤に溶解させ抗-EGFP抗体で免疫ブロッティングしてEGFP発現を評価し、ImageJソフトウェア(http://rsbweb,nih,gov/ij/)を使用して、これを定量化した。最後に、1次骨髄単核球を24ウェルプレートで5×105個の細胞/ウェルの密度でプレーティングし、10ng/mlのRAMKLと20ng/mlのM-CSFの存在下で2日間培養して破骨細胞細胞前駆体(osteoclast precursor)に分化させた。rAAV-Egfpベクター処理3日後、EVOS FLイメージングシステムおよび抗-EGFP抗体で免疫ブロッティングしてEGFP発現を評価した。
生体内でのrAAVベクターをスクリーニングするために、10μlのrAAV-Egfpベクター(1×1011 GC;5×1012 GC/kg)を2ヶ月齢雄マウス(Jackson Laboratory、C57BL/6 JおよびBALB/cJ)の膝関節にia注射し、注射2週間後、大腿骨と膝関節を解剖してIVIS-100光学映像化をし、冷凍切片を製造した。
Cre組換え酵素またはamiR-shn3のrAAV9-媒介伝達
局所伝達の場合、amiR-ctrlまたはamiR-shn3(1×1011 GC;5×1012 GC/kg)を運搬する10μlのrAAV9を2ヶ月齢雄マウス(Jackson Laboratory、C57BL/6 J)の膝関節にia注射し、注射2ヶ月後、大腿骨はmicroCT分析のために解剖した。
全身性(systemic)伝達の場合、Egfp、Cre、amiR-ctrlまたはamiR-shn3(4 x 1011 GC;2 x 1013 GC/kg)を運搬する200μlのrAAV9をマウス(Jackson Laboratory、C57BL/6J)に注入し、2ヶ月後、マウスに6日間隔でカルセインおよびアリザリン-3-メチルイミノジアセト酸を皮下注射して、動的組織形態分析を実施した。IVIS-100光学映像化または冷凍切片を利用したEGFP発現モニタリングに非標識マウスを使用した。
骨粗しょう症でのrAAV9-媒介shn3サイロンシンの効果
更年期障害、骨粗しょう症のマウスモデルは、3ヶ月齢雌マウス(Jackson Laboratory、C57BL/6J)に麻酔と両側OVXを施して製造した。手術6週間後、シャム(sham)またはOVXマウスにamiR-ctrlまたはamiR-shn3を運搬する200μlのrAAV9またはrAAV9.DSS-Nter(4×1010 GC;2×1010 GC/kg)を注射した。マウスをrAAV9またはrAAV9.DSS-Nterを持つ次の6つのグループにランダムに分けた。sham+rAAV9-amiR-ctrl、OVX+rAAV9-amiR-ctrl、OVX+rAAV9-amiR-shn3、sham+rAAV9.DSS-Nter-amiR-ctrl、OVX+rAAV9.DSS-Nter-amiR-ctrl、OVX+rAAV9.DSS-Nter-amiR-shn3. 注射7週間後、動的組織形態の分析のため、6日間隔でマウスのカルセインおよびアリザリン-3-メチルイミノジアセト酸を皮下注射した。IVIS-100光学映像化または冷凍切片を用いたEGFP発現モニタリングに非標識マウスを使用した。
統計分析の方法
すべてのデータは、平均±平均の標準誤差(standard error of the mean、S.E.M)で表示した。標本サイズは、測定された母数の30%の差が予想平均の10-20%のシグマ推定値(estimate of sigma)と共に生物学的に重要なものと見なされるとの仮定下で計算した。アルファとベータは、それぞれ0.05と0.8の標準値に設定した。分析で除外された動物またはサンプルはなく、実験群および対照群の動物は、無作為に選択した。関連性のあるデータ分析のため、正規分布を確認するためのShapiro-Wilk正規性テストを行った。正規性テストを通過した場合、2つのグループ間の比較にtwo-tailed,unpaired Student's t-testを使用し、正規性テストに失敗した場合、2つのグループ間の比較にMann-Whitneyテストを使用した。3つまたは4つのグループを比較したとき、正規性のテストを通過した場合、一元分散分析(one-way ANOVA)を使用した後、すべてのグループのペアについてTukeyの多重比較テスト(Tukey's multiple comparison test)を行った。正規性テストに失敗した場合、Kruskal-Wallisテストを実行した後、Dunnの多重比較試験(Dunn's multiple comparison test)を行った。GraphPad PRISMソフトウェア(v6.0a、La Jolla、CA)を統計分析に使用した。P<0.05は、統計的に有意なものとみなされた。(*P<0.05; **P<0.01; ***P<0.001; および****P<0.0001)
実施例1 生体外で骨と軟骨系統の細胞形質導入に適したAAV血清型選別
1.1 in vitroでのAAV血清型別の形質導入能の検証
生体外で骨と軟骨系統の細胞に形質導入するのに最も優れたAAV血清型を確認するための実験を実施した。enhanced green fluorescent protein(Egfp)レポーター遺伝子を発現するscAAVベクターを14個のAAVカプシド(AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh.8、AAVrh10、AAVrh.39、およびAAVrh.43)内にパッケージング(packaging)した。マウスCalvarial造骨細胞(mouse calvarial osteoblasts、COB)、骨髄由来破骨細胞前駆体(bone marrow-derived osteoclast precursors、BM-OCP)および軟骨細胞前駆細胞(ATDC5)と一緒に培養した。形質導入された細胞でEGFPの発現は、抗-EGFP抗体を利用した免疫ブロッティングによって測定され、測定結果を図1に示した。
図1に示したように、8つのAAV血清型ベクター、rAAV1、rAAV4、rAAV5、rAAV6、rAAV7、rAAV9、rAAVrh10とrAAVrh39は、COBに形質導入することを確認した。これらの中で、rAAV1、rAAV4、rAAV5、rAAV6、rAAV7とrAAV9は、またBM-OCPに形質導入したのに対し、rAAV1、rAAV6、rAAVrh.10とrAAVrh.39は、ATDC5細胞に形質導入することを確認した。rAAV2とrAAV6.2は、ATDC5細胞に効率的に形質導入したが、COBには形質導入をほぼ示さないことを確認した。
1.2 in vivoでのAAV血清型別形質導入能の検証生体外でのrAAVの形質導入効率を通じて、生体内機能を予測することは難しい。これは投与経路、血清因子、循環中和抗体と細胞外の障壁を含むいくつかの生理学的障壁の存在に起因するものである。したがって、組織または細胞の類型に応じた形質導入能力をAAV血清型別に評価するために、in vivo実験を行った。関節軟骨と骨に対するAAVカプシドの性向を調査するために、in vitroスクリーンによって選択された8つのrAAV-Egfpベクター(rAAV1、rAAV4、rAAV5、rAAV6、rAAV7、rAAV9、rAAVrh.10およびrAAVrh.39)を2月齢マウスの膝関節に注射し、注射2週間後、EGFP発現をIVIS-100光学画像と蛍光顕微鏡で監視し、結果を図2に示した。
図2a、2b、2cに示したように、大部分のカプシドによっては成長板または関節軟骨にEGFPの発現がほとんど現れなかった。In vitro実験結果とのこのような不一致は、rAAVベクターが無血管微細環境に位置する軟骨細胞に対する接近性が低いためである可能性がある。特に、trabercularおよびcortical boneのEGFP発現はrAAV9で処理された後肢だけで検出された。具体的には、大腿骨のrAAV9-媒介EGFP発現は、骨の表面上の造骨細胞、破骨細胞および骨マトリックス内に位置する骨細胞で検出された。
図2dに示すように、特に、また、オステオカルシン(Osteocalcin)-陽性造骨細胞、Runx2-陽性造骨細胞、カテプシンK(cathepsin K)-陽性破骨細胞およびスクレロスティン(Sclerostin)-陽性破骨細胞のサブセットでEGFP発現を検出したところ、AAV9が生体内で造骨細胞、破骨細胞および骨細胞に形質導入する能力があることを確認した。
実施例2 AAV9の全身性(systemic)伝達による組織別発現の評価
全身性で伝達されると、生体内で骨組織を標的化するAAV9の能力を確認する試験を行った。rAAV9-Egfpを2ヶ月齢のマウスに注射し、注射2週間後、rAAV9の組織分布を、EGFP発現を通じて評価し、その結果を図3に示した。
図3aに示すように、rAAV9-Egfp処理されたマウスの全身および個別器官を映像化した結果、肝臓や後肢でEGFPの発現が最も高いことを確認した。心臓、大腿骨での発現は、中程度現れ、肺、腎臓、および脾臓では発現されなかった。
図3b、3c、3dに示すように、rAAV9-Egfp処理による心臓、肝臓、大腿骨および脊椎でのEGFPの発現は、蛍光顕微鏡と免疫ブロット分析時にも現れることを確認した。特に、後肢のEGFP発現の結果、EGFPタンパク質は、主に皮質骨と小柱骨の内骨(endosteal)造骨細胞および骨細胞で発現されたが、靭帯、関節軟骨、成長板、骨膜造骨細胞と膝蓋骨には発現されていないことを確認した。これらの結果は、全身的に伝達されたrAAV9ベクターが内骨に存在する造骨細胞系統の細胞を標的としていることを示している。
実施例3 rAAV9媒介Shn3欠失を利用した骨治療の可能性検証
3.1 Shn3欠失が骨に及ぼす影響の確認
骨形成に対するshn3の短期抑制効果を調べるために、本発明者らは、成熟造骨細胞でタモキシフェン-誘導Cre組換え酵素を発現するオステオカルシン-CreERTマウスおよびShn3fl/flマウスを交配させることで誘導性、造骨細胞-特異的shn3-knockoutマウス(Shn3Ocn-Ert)を製造した。上記マウスをCre-リポーターRosa mT/mGマウスと追加の交配をさせてShn3;Ocn-Ert;Rosa mT/mGマウスを製造した。上記製造したShn3;Ocn-Ert;RosamT/mGマウスにタモキシフェンを処理し、2ヶ月後、EGFP発現および骨の機械的変化を観察し、その結果を図4に示した。
図4aに示したように、タモキシフェン処理されたShn3;Ocn-Ert;RosamT/mGマウスは骨と皮質骨の表面の成熟した造骨細胞にてGFPが発現され、これはshn3の造骨細胞-特異的欠失を示している。
図4b、図4cに示すように、上記マウスは、タモキシフェン処理された対照群のマウスと比較して、小柱骨質量が有意に増加し、骨皮質の厚さがわずかに増加したことを確認した。
このような結果は、成熟した造骨細胞でShn3の欠失が成体マウスで骨質量を増加させることを示す。
3.2 rAAV9-媒介トランスジーン(transgene)伝達による骨疾患治療の可能性確認
全身的に伝達されたrAAV9が、造骨細胞系統の細胞にてsnh3の欠失を誘導して骨形成を促進することができるということを確認するために、本発明者らはShn3fl/flマウスでCre-組み換え促進剤として作用するCre-コーディングrAAV9ベクター(rAAV9-Cre)を製造した。本発明者らはShn3fl/flマウスから分離培養されたCOBにrAAV9-Creを処理した。その結果、Shn3fl/fl由来COBでrAAV9-媒介Creの発現は、shn3の欠失を誘導し、造骨細胞の分化を促進することを確認した。次に、rAAV9-Creを2ヶ月経ったShn3fl/fl;RosamT/mGマウスに静脈内注射し、注射2ヶ月後、Cre mRNAとshn3 mRNA発現をRT-PCRで測定し、EGFPタンパク質発現を蛍光顕微鏡で測定し、骨質量の変化を測定し、その結果を図5に示した。
図5aに示したように、大腿骨のCre mRNAの発現を確認した。また、rAAV9-Egfp処理された大腿骨と比較して、rAAV9-Cre処理された大腿骨のshn3 mRNAレベルが顕著に減少することを確認した。
図5bに示したように、骨の表面上に存在する造骨細胞系統の細胞にてCre-媒介EGFPタンパク質が発現されることを確認した。
図5cと5dに示すように、rAAV9-Egfp処理されたマウスと比較して、rAAV9-Cre処理されたマウスの大腿骨と腰椎の相対的な小柱骨質量の増加を確認した。しかし、大腿骨骨幹(diaphysis)での皮質骨の厚さは、大きな変化がないことを確認した。これらの結果は、Shn3fl/flマウスで全身的に伝達されたrAAV9-Creが骨細胞系統の細胞を標的化して骨質量を増加させるshn3欠失を媒介することを示す。つまり、これらの結果は、造骨細胞系統の細胞にrAAV9-媒介トランスジーン(transgene)伝達が骨生理を劇的に変化させることができることを示す。
実施例4 rAAV9媒介shn3標的amiRによる骨疾患治療の可能性確認
4.1 shn3標的amiRカセットの製造
AAV-伝達shRNAはRNAi機序を妨害することにより細胞毒性を誘発し、標的外(off-target)サイロンシンを現し得る。小型サイロンシンガイドRNAを、マウスmiR-33由来miRNAスキャフォールドに挿入して、shRNA関連毒性を制限し、遺伝子ノックダウン効率を高め、既存のshRNAと比較して10倍まで標的外サイロンシンを減少させることができる。したがってshn3を目標とするamiRカセット(amiR-shn3)と対照群カセット(amiR-ctrl)を製造し、これを図6に示した。
4.2 rAAV9-amiR-shn3の局所投与によるshn3サイロンシン検証
生体内での骨-同化(bone-anabolic)活性を向上させるrAAV9-amiR-shn3の能力を確認するための試験を実施した。rAAV9-amiR-shn3ベクターまたはrAAV9-amiR-Ctrlベクターを2ヵ月齢のマウスの膝関節に投与した。投与2ヶ月後、EGFP発現を、それぞれIVIS光学画像と蛍光顕微鏡で測定し、その結果を図7に示した。
図7a、図7bに示すように、EGFP発現が後肢と大腿骨の部位で発現されることを確認した。
また、大腿骨からEGFP発現細胞を分類して、shn3 mRNAを測定し、その結果を図8に示した。
図8に示すように、大腿骨から分離したEGFP発現細胞は、rAAV9-amiR-shn3を投与した群にてshn3 mRNA発現レベルは、対照群に比べ50%減少したことを確認した。
また、実験群と対照群のマウス大腿骨について、骨質量の変化を確認し、その結果を図9に示した。
図9に示したように、amiR-Ctrl処理された群の大腿骨と比較して、amiR-shn3処理された群の大腿骨は、比較的小柱骨質量が有意に増加したことを確認した。これらの結果から、rAAV9-amiR-shn3の局所的な伝達が造骨細胞系統の細胞でshn3発現をノックダウンさせるのに効果的であり、生体内での骨質量を増加させることを確認した。
4.3 rAAV9-amiR-shn3の全身性投与によるshn3サイロンシン検証
rAAV9-amiR-shn3の全身性伝達によって生体内の骨同化活性を促進することができるかどうかを確認する実験を行った。rAAV9-amiR-shn3ベクターまたはrAAV9-amiR-Ctrlベクターを3ヶ月齢のマウスに静脈注射して2ヶ月後、EGFP発現を測定し、大腿骨の骨質量変化を確認し、大腿骨metaphysis内小柱骨の骨形成率(BFR)、ミネラル付着率(MAR)および骨表面当たり造骨細胞表面の比率(Ob.S/BS)を測定し、その結果を図10に示した。
図10aに示すように、rAAV9-amiR-shn3を投与したマウスの大腿骨はshn3 mRNAレベルが対照群に比べ50%減少したことを確認した。
図10b、図10cに示すように、大腿骨と腰椎の骨質量が著しく増加したことを確認した。
図10d、図10eに示すように、骨形成率、ミネラル付着率と骨表面当たり造骨細胞表面の比率が増加したことを通じて、rAAV9-amiR-shn3処理されたマウスで生体内造骨細胞活性が増加したことを確認した。
これらの結果は、rAAV9-amiR-shn3の全身伝達が造骨細胞系統の細胞においてshn3発現を減少させ、造骨細胞活性を増加させ、破骨細胞数および生体内機能の変化なしに骨量を増加させたことを示すものである。したがって、rAAV9-amiR-shn3ベクターは、強力な骨同化作用剤として、骨粗しょう症の治療に有用に使用され得ることを確認した。
実施例5 rAAV9媒介shn3サイロンシンの骨粗しょう症モデルに対する効果
5.1 骨粗しょう症モデルでshn3欠損の効果
卵巣切除(OVX)マウスは、エストロゲン欠乏誘発骨粗しょう症に対するモデルとして機能する。shn3の抑制が骨粗しょう症の治療法として、骨の形成を促進させる効果的な標的となり得ることを追加で確認するために、shn3のない3ヶ月齢の雌マウス(Shn3-/-)の卵巣を切除し、切除2ヶ月後骨質量をmicroCTで測定し、結果を図11に示した。
図11に示したように、卵巣切除がWTマウスで小柱骨質量を大幅に減少させることを確認した。しかし、sham-Shn3-/-マウスとOVX-Shn3-/-マウスの小柱骨質量を比較した結果、卵巣切除-誘導性骨損失はshn3欠失にによって完全に予防されることを確認した。したがって、骨粗しょう症の骨の損失を防ぐことができる標的にshn3がなり得ることをもう一度確認した。
5.2骨粗しょう症モデルでrAAV9-amiR-shn3治療効果の確認
骨粗しょう症でrAAV9-amiR-shn3の治療効果を試験するために、3ヶ月経った野生型雌マウスに対してシャムまたはOVX手術を行い、ベクターは手術後6週に静脈注射した。実験方法を図式化して図12aに示し、ベクター注射7週間後、実験群および対照群の大腿骨の分析結果を図12b乃至図12hに示した。
図12bおよび図12cに示したように、ベクター注射7週間後、rAAV9-amiR-shn3処理された大腿骨は、効率的に形質導入されたことを確認し、shn3が対照群に比べ50%ノックダウンされたことを確認した。
図12dおよび図12eに示すように、amiR-Ctrl発現卵巣切除マウスは、シャムマウスに比べて大腿骨と腰椎の小柱骨質量が大幅に減少したことを確認した。
図12fおよび図12gに示すように、amiR-Ctrl発現OVXマウスに比べてrAAV9-amiR-shn3ベクター処理したマウスの大腿骨骨形成率(BFR)、ミネラル付着率(MAR)が増加したことを確認し、生体内で造骨細胞活性が改善されたことを確認した。
図12hに示したように、生体力学解析の結果、rAAV9-amiR-shn3ベクター処理したマウスは、卵巣切除誘導性骨損失から大腿骨の強度と剛性が大幅に保護されたことを確認した。これはshn3に対するrAAV9媒介サイロンシンが骨粗しょう症において臨床的に効果を示すことを意味する。
総合すると、上記の結果は、全身的に伝達されたrAAV9-amiR-shn3が骨形成を促進し、卵巣切除-誘導性骨粗しょう症発症後の骨の機械的特性を向上させることを確認したものである。
実施例6 骨標的ペプチドモチーフ((AspSerSer)6、DSS)によるAAV9の非標的(off target)減少効果確認
6.1 DSS挿入による骨標的化の改善検証のためのin vitro実験
上記で説明されたように、rAAV9の大部分は、骨以外の末梢組織を標的化するところ、全身的に伝達されるのであればrAAV9-amiR-shn3の特異性が制限される。
抗-スクレロスチン抗体(Romosozumab)とcathepsin K(Odanacatib)の小分子阻害剤のような骨粗しょう症に対する新たな薬剤が臨床試験で、心血管や脳血管のような非標的(off target)作用が確認されたところ、骨特異的な治療戦略が必要である。したがって、本発明者らはrAAV9-媒介遺伝子療法の潜在的な非骨格組織に対する副作用を避けるために、AAV9カプシドを変形して、形質導入対象から非関連組織を標的から除外しようとした。骨標的ペプチドモチーフ((AspSerSer)6、DSS)は骨形成系統の細胞が存在する骨形成表面に骨形成能があるsiRNAでカプセル化されたリポソームを誘導するのに有効である。したがって、造骨細胞系統の細胞を標的化するrAAV9の能力を向上させるためには、グルタミン588とアラニン589との間のループIVドメインにDSSを暗号化するDNA配列を挿入して、AAV9.DSS-588を製造し、VP2のN-末端にDSSを暗号化するDNA配列を挿入して、AAV9.DSS-Nterを製造し、DSS挿入位置を図式化して図13に示した。
上記製造したAAV9.DSS-NterまたはAAV9.DSS-NterベクターをCOBに処理して、免疫ブロッティングと蛍光顕微鏡によってEGFP発現を評価し、その結果を図14に示した。
図14に示すように、rAAV9と比較して、rAAV9.DSS-Nterは、低MOI(109 GC/mL)で形質導入が若干減少したことを確認し、rAAV9.DSS-588処理されたCOBはEGFP発現がほとんど確認されなかった。対照的に、rAAV9.DSS-588は、トランスジーンの発現がほとんどなかった。
上記製造したAAV9.DSS-NterまたはAAV9.DSS-NterベクターをCOBおよびBM-OCPに処理して、fast blue染色法でALPを測定し、測定結果を図15に示した。
図15に示したように、rAAV9とrAAV9.DSSベクターにCOBとBM-OCPを処理した結果、造骨細胞または破骨細胞分化マーカーがほとんど変わらないことを確認した。これらの結果は、rAAV9の処理がベクター関連副作用をもたらさないないことを意味する。
6.2 DSS挿入による骨標的化改善検証のためのin vivo実験
AAV9.DSS-Nterカプシドはin vitroで形質導入活性を維持するため、本発明者らはin vivoで骨-標的活性を確認する試験を行った。rAAV9-EgfpまたはrAAV9.DSS-Nter-Egfpベクターを2ヶ月齢のマウスに静脈注射し、ベクターの組織別分布を、注射2週間後EGFP発現を通じて評価し、評価結果を図16に示した。
図16aに示すように、rAAV9.DSS-Nter処理されたマウスは、rAAV9で処理されたマウスと比較して、EGFPが心臓ではほとんど発現されず、肝臓で55%少なく発現し、後肢では75%少なく発現されたことを確認し、骨以外の組織で少なく発現することを確認した。
図16b、16c、16dに示したように、rAAV9.DSS-Nter処理群は、心臓からEGFPが検出されておらず、肝臓や筋肉でEGFPが著しく減少したことを確認した。これはrAAV9.DSS-Nter処理されたマウスは、骨以外の組織でEGFPを少なく発現することを確認したことを裏付けるものである。
図16eに示すように、rAAV9-処理されたマウスの大腿骨に比べて、rAAV9.DSS-Nter処理されたマウスの大腿骨骨表面のEGFP-発現細胞の数が増加したことを確認した。これらの結果から、骨標的ペプチドモチーフ(DSS)と結合したVP2カプシドタンパク質には、非-骨格組織への伝達を減少させ、rAAV9の骨親和性を向上させたことを確認した。
6.3 DSS挿入によって骨標的能が改善されたrAAV9.DSS-Nter-amiR-shn3の骨粗しょう症モデルに対する効果確認
卵巣切除マウスにamiR-shn3トランスジーンを伝達するAAV9.DSS-Nter骨親和性カプシド(rAAV9.DSS-Nter-amiR-shn3)の能力を確認する試験を行った。3ヶ月経った雌マウスにシャムまたは卵巣切除手術を行い、rAAV9.DSS-Nter-amiR-shn3を手術6週間後静脈注射した。注射7週間後、shn3 mRNAを測定して図17aに示し、大腿骨を分析して図17bから17eに示した。
図17aに示すように、amiR-Ctrlを処理したシャムマウスまたはamiR-Ctrlを処理した卵巣切除マウスの大腿骨に比べてamiR-shn3を処理した卵巣切除マウスの大腿骨からshn3 mRNAの発現が顕著に減少したことを確認した。
図17b~17eに示すように、amiR-Ctrlを処理した卵巣切除マウスはamiR-Ctrlを処理したシャムマウスに比べて大腿骨と腰椎の小柱骨質量が有意に減少したことを確認したが、rAAV9.DSS-Nter-amiR-shn3処理した卵巣切除マウスで小柱骨質量が顕著に増加したことを確認した。
上記の結果から、AAV9.DSS-Nter骨-親和性カプシドによるamiR-shn3の伝達が骨粗しょう症において骨損失を防止することができることを確認した。
実施例7 rAAV9の破骨細胞に対する導入能確認
rAAV9の他のHSC系統の細胞に対する形質導入能を確認するための実験を実施した。具体的にはrAAV9.EGFPを2ヶ月齢のマウスに静脈内注射し、IVIS光学画像を利用したEGFP発現測定によりrAAV9の組織分布を評価した。マウスの個別臓器を映像化した結果、心臓、肝臓、および後肢のEGFP発現が分かった。また、大腿骨のEGFP発現細胞を確認した結果を図18に示し、EGFPを発現する骨髄細胞のフローサイトメトリー分析の結果を図19に示し、EGFP発現を通じて形質導入に効果的な細胞群を確認し、結果を図20に示した。
図18に示したように、大腿骨から造骨細胞とカテプシンK発現破骨細胞を含む大部分のEGFP発現細胞は、骨幹端の小柱骨に位置する反面、少数の円形骨髄細胞だけがEGFP発現を示すことを確認した。また、骨髄に存在する巨核細胞は、自動蛍光を示すことを確認した。
図19に示したように、骨髄細胞のフローサイトメトリー分析でCD11b+単核球、破骨細胞の前駆細胞(OCP;CD3ε-、B220-、TER119-、CD11b-/o、Ly6c+)およびB220+ Bリンパ球でEGFPが発現されることを確認した。
図20に示すように、骨髄由来単核球(BMM)のin vitro分化の分析は、rAAV9がRANKL処理された予備破骨細胞(pre-OC)および成熟破骨細胞(OC)に形質導入するのに非常に効果的だが、骨髄由来単核球(BMM)、マクロファージ(BMDM)と樹状細胞(BMDC)は、そうでないことを確認した。したがって、rAAV9が骨髄において他のHSC系統の細胞よりも予備および成熟破骨細胞を形質導入するのにより効果的なことを確認した。
実施例8 rAAV9媒介RANK遺伝子欠失の効果
8.1 RANK対立遺伝子に条件付き欠失によるマウス骨変化
破骨細胞を標的とするCre-欠失マウス(Rankfl/fl;ctsk)でRANK対立遺伝子を条件付き欠失させたとき、マウスの骨に現れる変化を確認し、これを図21に示した。
図21に示したように、破骨細胞を標的とするCre-欠失マウス(Rankfl/fl;ctsk)でRANK対立遺伝子の条件付き欠失は破骨細胞-媒介骨吸収が欠如し骨化石症(osteopestrosis)を起こすことを確認した。
8.2 rAAV9媒介RANK欠失の確認
全身的に伝達されたrAAV9が骨の再吸収を抑制するために、破骨細胞でRANKを目標とすることができるかを確認するために、Cre組換え酵素を発現するrAAV9ベクター(rAAV9.Cre)を生成して破骨細胞系統の細胞でRANKの欠失を誘導し、Cre遺伝子とRANK遺伝子の発現を測定して図22に示した。
図22に示したように、培養されたRankfl/flの予備破骨細胞のrAAV9-媒介Cre発現はRANKを欠失させ、破骨細胞の分化を抑制するのに効果的であった。
8.3 rAAV9媒介RANK欠失によるマウス骨変化
生体内破骨細胞でのrAAV9媒介Cre発現を確認するために、Cre-リポーターRosamT/mGマウスをRankfl/flマウスと交配させてRankfl/fl;RosamT/mGマウスを作製した。rAAV9.Creを2ヶ月齢Rankfl/fl;RosamT/mGマウスに静脈注射し、大腿骨でのCre媒介GFP発現を注射2週間後、蛍光顕微鏡で確認して図、23aに示し、注射2ヶ月後のマウスの大腿骨を分析して図23bに示した。
図23に示したように、注射2ヶ月後、rAAV9.Creを注射したマウスの大腿骨はrAAV9.EGFPを注射したマウスの大腿骨に比べて小柱骨質量および皮質の厚さが顕著に増加したことを確認した。したがって、全身的に伝達されたrAAV9.CreはRankfl/fl;RosamT/mGマウスで破骨細胞を標的とし、RANKの欠失を誘導して骨量を増加させることを確認した。
実施例9 破骨細胞に対するrAAV9媒介遺伝子サイロンシンの骨質量増大効果確認
9.1 rAAV9-媒介遺伝子伝達ベクター製作及びこの効果確認
破骨細胞-媒介骨吸収を抑制するために、rAAV9-媒介遺伝子伝達を使用して主要な破骨細胞調節遺伝子であるRANK(tnfrsf11a)およびカテプシンK(ctsk)をサイロンシンさせてこの効果を確認した。Small silencing RNAのガイド鎖をmiR-33-誘導miRNAスキャフォールド(amiR)に含ませてshRNA関連毒性を減少させ、遺伝子ノックダウン効率を高め、既存のshRNAに比べて標的外サイロンシン(off target silencing)を10倍以上減少させた。その後、RANKとctskをターゲットとするamiRカセット(amiR-RANK-1、amiR-RANK-2、amiR-ctsk-1とamiR-ctsk-2)を生成した後、AAV9カプシドにパッケージした。amiRカセットは、形質導入された細胞を追跡するためのトランスジーンカセットのEGFPイントロン領域内に挿入してベクターを製造した。培養された野生型の予備破骨細胞(pre-OC)にて、これらのベクターのノックダウン効率をRT-PCRを使用して調査した。上記ベクターのamiRカセット挿入位置を図式化して図24aに示し、上記ベクターによるノックダウン効率を図24bに示した。
図24bに示すように、amiR-RANK-1に比べamiR-RANK-2のRANKノックダウン効率が高く、amiR-ctsk-2に比べamiR-ctsk-1のctskノックダウン効率が高いことを確認した。よって、以下の実施例ではamiR-RANK-2とamiR-ctsk-1を本発明のamiR-RANKまたはamiR-ctskに使用した。
9.2 rAAV9.amiR-RANKまたはrAAV9.amiR-ctskベクター投与による骨変化確認
マウスにおいてRANK遺伝子欠失は破骨細胞の生存と分化を弱化させて破骨細胞自体の減少を誘発する。その反面で、カテプシンKの消失は、破骨細胞の生存と分化を維持しながら、破骨細胞の再吸収活性を抑制する。これと似たように、rAAV9媒介RANKサイロンシンは破骨細胞の分化と再吸収活性の両方を損傷させる一方、rAAV9.amiR-ctsk処理された細胞は、骨の再吸収活性のみが著しく減少していることを確認しており、これを図25aに示した。
生体内骨吸収を抑制するamiR-RANKまたはamiR-ctskの効果を確認するために、amiR-RANKまたはamiR-ctskを運搬するrAAV9ベクター(rAAV9.amiR-RANKまたはrAAV9.amiR-ctsk)を2ヶ月齢のマウスに静脈注射して2ヶ月後、大腿骨EGFP発現を蛍光顕微鏡でによって視覚化して、これを図25bに示した。
rAAV9.amiR-Ctrl処理された大腿骨と比較して、rAAV9.amiR-RANKまたはrAAV9.amiR-ctsk処理された大腿骨の60%以下のRANKまたはctsk mRNAの発現の減少と小柱骨質量の相対的な増加を確認し、これを図25c、図25dと図25eに示した。
特に、rAAV9.amiR-RANK処理された大腿骨に比べ、rAAV9.amiR-ctsk処理された大腿骨の小柱骨の嵩、数、および厚さがより大きいと確認されたところ、rAAV9.amiR-ctskはrAAV9.amiR-RANKより骨発生に対して、より優れた効果があることを確認した。
9.3 rAAV9.amiR-RANKまたはrAAV9.amiR-ctskベクター投与による骨変化誘発機序の確認
上記の効果に対する機序を確認するために、生体内破骨細胞と造骨細胞活性を評価し、上記ベクター処理された大腿骨の骨幹端で組織形態計測(histomorphometry)を実施した。
rAAV9.amiR-RANK処理された大腿骨にて、TRAP(Tartrate resistant acid phosphatase)-陽性破骨細胞の数と骨表面の浸食はrAAV9.amiR-Ctrl-処理された大腿骨に比べて著しく減少したことを確認しており、これを図26aおよび図26bに示した。
これに反して、rAAV9.amiR-ctskに処理した大腿骨の場合、骨表面の侵食が著しく減少している反面、破骨細胞数は有意に変化していないことを確認し、これを図26cおよび図26dに示した。
rAAV9.amiR-RANK処理された大腿骨とは異なり、rAAV9.amiR-ctsk処理された大腿骨の骨形成率(BFR)、ミネラル付着率(MAR)と骨表面当たり骨細胞表面の比率(Ob.S/BS)が顕著に増加したことを確認し、これを図26e、26fおよび26gに示した。
上記の結果は、rAAV9.amiR-RANK処理が造骨細胞活性の変化を誘発させることなく、破骨細胞分化と再吸収活性に著しい減少をもたらすことを確認したものである。
一方、rAAV9.amiR-ctsk処理は破骨細胞分化に影響を与えずに、破骨細胞-媒介骨吸収を悪化させ、造骨細胞-媒介骨形成を促進させる。代わりに、破骨細胞でctskの遺伝子欠失を持つマウスと同様に、rAAV9.amiR-ctsk処理された大腿骨のsphingosine kinase 1(sphk1)とRunt関連転写因子2(runx2)mRNAの発現増加が確認され、これを図26hに示した。
SPHK1がsphingosineをリン酸化してsphingosine 1 phospate(S1P)を生成することにより、骨形成を促進すると仮定すると、破骨細胞でctskのrAAV9-媒介サイロンシンはS1Pの生産増加を通じて造骨細胞-媒介骨形成を向上させることができる。
すなわち、これらの結果は、amiR-ctskは破骨細胞-媒介骨吸収を抑制し、造骨細胞-媒介骨形成を同時に促進することができるため、rAAV9-amiR-ctskベクターがrAAV9-amiR-RANKベクターよりも骨粗しょう症の治療に、より効果的なことを確認した結果である。
実施例10 骨組織を標的とするrAAV9カプシドの製造
10.1 骨組織を標的とするrAAV9.DSSおよびrAAV9.D14の製造
カテプシンKは、表皮、心血管および脳血管の部位を含む、多様な非骨格組織で発現される。したがって、カテプシンKを薬理学的に抑制する方法は、臨床適用時に、脳血管などの標的外(off target)リスクが存在する。これらの副作用を解消するために、非骨格組織に対する標的化を回避するためのカプシドを製造した。具体的には、(Asp-Ser-Ser)6または(Asp)14ペプチドモチーフをAAV9カプシドタンパク質サブユニットVP2のN-末端に移植してAAV9.DSS-Nter(rAAV9.DSS)およびAAV9.D14-Nter(rAAV9.D14)を製造し、AAV9.DSS-Nter(rAAV9.DSS)およびAAV9.D14-Nter(rAAV9.D14)の構造を図27に示した。
10.2 rAAV9.DSSおよびrAAV9.D14のハイドロキシアパタイトに対する親和度確認
ハイドロキシアパタイト(HA)は、骨組織で主要な無機成分であるため、in vitroでrAAV9.DSSおよびrAAV9.D14のHA-結合親和度を確認する実験を遂行し、その結果を図28aに示し、rAAV9.DSSおよびrAAV9.D14による形質導入効率を確認して図28bに示した。
図28aに示すように、HAペレットでrAAV9.DSSおよびrAAV9.D14のゲノムコピー(GC)は、野生型rAAV9に比べて大幅に増加したのに対し、上澄み液内のrAAV9.DSSおよびrAAV9.D14のゲノムコピー(GC)は、減少したことを確認した。これはAAV9.DSS-NterおよびAAV9.D14-NterカプシドはHAに対する結合親和性が優れていることを確認した。
ただし、図28bに示すように、(Asp-Ser-Ser)6または(Asp)14ペプチドモチーフのカプシドに対する移植がrAAV9の形質導入効率には影響を及ぼさなかった。
10.3 rAAV9.DSSおよびrAAV9.D14の生体内分布確認
カプシドの骨-標的化活性をin vivo段階で確認するために、実施例10.1で製造したrAAV9.DSSおよびrAAV9.D14を2ヶ月齢のマウスに静脈注射し、2週間後にIVIS光学画像を使用してEGFP発現によってベクター生体分布を評価し、これを図29aと図29bに示し、蛍光顕微鏡を用いてEGFP発現によってベクター生体分布を評価した結果を図29cに示す。
図29a、図29bおよび図29cに示したように、rAAV9.DSSを注射したマウスは、野生型rAAV9を注射したマウスに比べて、肝臓でEGFPを50%以下に少なく発現し、筋肉でも30%以下に少なく発現し、心臓でもほとんど発現していないことを確認した。しかし、rAAV9.D14を注射したマウスでのEGFPの生体分布は、rAAV9を注射したマウスの生体分布と似ていた。これはAAV9.D14カプシドは、生体内で骨に対する特異性が弱いということを意味する。上記結果は、rAAV9またはrAAV9.D14を注射したマウスと比較したとき、rAAV9.DSSを注射したマウスの心臓でEGFPがほとんど発現しておらず、肝臓および筋肉でEGFPの発現が著しく減少したものと測定された蛍光顕微鏡データと一致することを確認した。特に、大腿骨からの発現は、処理グループの間では比較的類似しており、AAV9.D14ではないAAV9.DSSは非骨格組織での形質導入を減少させることを確認した。総合すれば、AAV9.D14とは異なり、AAV9.DSSは骨組織以外の組織に対する標的化を回避することにより、rAAV9の骨特異性を改善させることを確認した。
実施例11 rAAV9媒介ctskサイロンシンの閉経期以後の骨粗しょう症モデルに対する効果
閉経期以後の骨粗しょう症(タイプ1)および老人性骨粗しょう症(タイプ2)は、深刻な骨損失および骨構造の悪化を招き、骨折のリスクを増加させる。閉経期以後の女性の骨消失はエストロゲン減少の結果として破骨細胞活性の増加によって発生する。一般的に、月経周期の一部として生成されるエストロゲンは、主に破骨細胞に対するネガティブ調節剤として作用して、破骨細胞媒介性骨吸収を抑制する。老人性骨粗しょう症は、一般的に、男性と女性の両方の70歳以降に発生し、骨老化とカルシウム欠乏によって発生する。骨粗しょう症の骨-標的化rAAV9媒介遺伝子サイロンシンの効果を試験するために、AAV9.DSSと一緒にamiR-ctskをパッケージングし、AAV9.DSS-amiR-ctskを製造した。
卵巣切除マウスは、エストロゲン欠乏にによって誘導される閉経期以後の骨粗しょう症のモデルとして使用される。シャムまたはOVX(卵巣切除)手術を3ヶ月の雌マウス(C57BL/6J)に行い、AAV9.DSS-amiR-ctsk 200 μl(8 X 1011 GC/マウス)を、手術6週間後静脈注射した。注射7週間後、マウスを犠牲にして分析し、分析結果を図30に示した。
図30bに示すように、amiR-ctskを発現するOVXマウス大腿骨からctsk mRNAの発現が減少したことを確認した。
図30cと図30dに示すように、amiR-Ctrl発現OVXマウスの大腿骨は、シャムマウスの大腿骨に比べて小柱骨質量の著しい減少を示したが、小柱骨のBV/TV、厚さ、数、および接続の密度を測定したところと同様に、amiR-ctskを発現するOVXマウスの大腿骨では骨消失が抑制されることを確認した。
図30eに示すように、amiR-ctsk発現OVXマウスの大腿骨から骨の表面侵食が減少されることを確認し、全体の骨領域内破骨細胞の数は、amiR-Ctrl発現OVXマウスと比較的似ていることを確認した。
図30f、図30g、図30h、および図30iに示したように、OVXマウスでrAAV9.DSS-amiR-ctskを注射すると、sphk1 mRNAの発現が増加し、骨形成率(BFR)、ミネラル付着速度(MAR)と骨表面当たり造骨細胞表面(Ob.S/BS)が増加することを確認した。
図30jに示したように、生体力学分析(biomechanical testing analysis)の結果、rAAV9.DSS-amiR-ctskを処理した場合、大腿骨の強度(strength)と剛性(stiffness)がOVXに誘発された骨損失から相当に保護されており、これは骨標的化rAAV9媒介ctskサイロンシンが臨床的に改善されたことを示す。このような結果は、骨標的カプシドによるamiR-ctskの全身的な伝達にによって骨損失を防止し、破骨細胞媒介骨吸収を抑制し、エストロゲン欠乏誘発骨粗しょう症発病時の骨の物理的な属性を向上させることができることを示す。
実施例12 rAAV9媒介ctskサイロンシンの老人骨粗鬆症モデルに対する効果
老人性骨粗しょう症のマウスモデルでrAAV9.DSS-amiR-ctskの効果を確認した。rAAV9.DSS-amiR-ctsk 200μl(8 X 1011 GC/マウス)を18ヶ月齢雄マウスに静脈注射して2ヶ月後、モデルマウスを犠牲にして分析した。
図31aに示すように、大腿骨と腰椎のEGFP発現を蛍光顕微鏡によって観察した結果、EGFP発現細胞は、主に大腿骨と背骨の小柱骨表面に位置することを確認した。
図31b、図31c、図31d、図31e、および図31fに示すように、amiR-ctrlを注射したマウスと比較して、amiR-ctskを注射したマウスは、ctsk mRNA発現が減少し、小柱骨のBV/TV、厚さ、数、および軟骨密度を測定したように、amiR-ctskを注射したマウスの大腿骨および腰椎では、小柱骨の骨質量が相対的に増加したことを確認した。脊椎に比べて大腿骨のEGFPが高く発現されることにより、rAA9.DSS.amiR-ctskを注射したマウスから脊髄でより大腿骨で骨蓄積がより高く表示されることを確認した。このような結果は、amiR-ctskの骨標的伝達が老人性骨粗しょう症の骨損失から骨を保護するのにも効果的であることを意味する。総合的に、rAAV9.DSS-amiR-ctskは閉経期以後の骨粗しょう症および老人性骨粗しょう症の両方に効果的な治療法であることを確認した。
実施例13 rAAV9の局所適用のための骨代替材開発
rAAV9媒介骨疾患治療剤を骨折や骨欠損部位に効果的に局所伝達するために共に適用する骨代替材を開発し、rAAV9媒介骨疾患治療剤と骨代替材が適用されることを図式化して図32に示した。
rAAV9.DSSまたはrAAV9.D14のようなrAAV9媒介骨疾患治療剤を局所的投与時に共に使用するようになる骨代替材として、他の個体から取得した他家骨(allogenous bone)と合成骨の一種類であるHydroxyapatite(HA、Ca10(PO 4)6(OH)2)-based scaffoldとgranuleを使用した。合成骨の場合、Inroad bone void filler(small and large particles)を、米国所在Osteogene Incから購入した。他家骨の場合、他のマウスから収穫した後、処理方式によりFresh frozenとDried frozenに区分される。本実施例では、境遇実験モデルがされるマウスを基本とした。
13.1 Fresh frozen方法で製造した人工骨(Murine allogenous bone、fresh frozen method、MAF)の製造方法
3ヶ月経ったWild typeの雄または雌マウスの大腿骨幹部(femoral shaft)から骨を採取した。大腿骨の第三大腿突起(third trochanter)遠位点から遠位方向に4mmの長さで採取した。採取した骨の骨膜(periosteum)をすべて除去した。70%エタノールに約30分程度滅菌(sterilization)し、遠心分離(centrifuge、12,000rpm、2min)と音波処理(sonication、30min)を通じて可能な限り採取した骨の内部の細胞を除去した。エタノールを除去した後、-70°Cの冷凍庫(freezer)に少なくとも7日間以上保管した。他家骨を使用するときにはQ-waterでエタノールを十分に洗い流した後に(wash out)使用した。
13.2 Dried frozen方法で製造した他家骨(Murine allogenous bone、dried frozen method、MAD)の製造方法
上記MAF製造方法と同じ滅菌と細胞除去過程を経た後、UVチャンバーで2時間脱水化(dry-up)した。脱水化過程が追加されることでMADはMAFと比較して骨の内部に保存空間は増加することになり、一方、機械的強度(mechanical strength)は低下する。以後-70°Cの冷凍庫(freezer)に少なくとも7日間以上保管した。
実施例14 骨代替材に対するrAAV9の付着/親和力評価 (AAV attachment / affinity test)
骨代替材に対するrAAV9の付着/親和力を評価するための実験を実施し、実験の過程を図式化して図33に示した。
14.1 他家骨のrAAV9の付着/親和力評価
冷凍庫(-70°C)保管状態である他家骨を解凍した後、PBSで3回洗浄した。30秒間遠心分離(centrifuge、12,000rpm)した後、他家骨を250uL-sized microcentrifugeチューブに入れた後、30uLのrAAV9(control)、rAAV9.DSSまたはrAAV9.D14溶液を入れた。室温で1時間ローテータ(rotator)上で培養(incubation)し、4°Cで保管した。使用直前に30秒間遠心分離(centrifuge、12,000rpm)して付着されていないrAAV9を除去した。AAV9の骨の親和力を評価するためにrAAV9.DSS-egfpとrAAV9.D14-egfpを、対照群にrAAV9-egfpを使用した。効果的なAAV9濃度を確認するために、3 x 1011 genome copy(GC)、3 x 1010 GC、3 x 109 GC、3つのtiterを使用した。また、他家骨代替材は、MAFとMADを用いた。AAV-付着した他家骨をAAV lysis buffer(DNase I+Protease K)で破砕(crushing)して、培養(incubation)してscDNA-egfpを分離した。SYBRRGreen PCR Master Mix(Bio-Rad)を使用してCFX connect RT-PCR detection system(Bio-Rad)上でegfp primersに対するQuantitative RT-PCR分析をメーカーのプロトコルに基づいて実施し、PBSをnegative Ct valueにして2^(-ddCt)の値を結果値として使用した。RT-PCRに使用したプライマー配列を表3に示した。その結果を図34に示した。
Figure 2022022698000010
図34に示したように、rAAV9.D14がMADに付着効果がないこととは異なり、rAAV9.DSSはMAF、MADの両方で効果的に付着し、特に3 x 1011 GC titerでMADに最も高い得点親和力を示した。
14.2 合成骨のrAAV9の付着/親和力の評価
Osteogene Inc.から購入したインロードボーンボイドフィラー(Inroad bone void filler)5mmx2.5mmシリンダー型HA-scaffoldまたは2mm球型HA-granuleを96ウェルプレートに入れた後、150uLまたは100ulのrAAV9(control)、rAAV9.DSSまたはrAAV9.D14溶液を入れた。室温で1時間ローテータ(rotator)上で培養(incubation)した後、4°Cで保管した。使用直前に30秒間遠心分離(centrifuge、12,000rpm)して付着されていないrAAV9を除去した。効果的なrAAV9濃度を確認するために、2 x 1011 GC、2 x 1010 GC、2種のtiterを使用した。他家骨と同じ方法でscDNA-egfpを分離した後、egfp primersに対するQuantitative RT-PCR分析を行った。PBSをnegative Ct valueにして、2^(-ddCt)の値を結果数値として使用して測定し、測定結果を図35に示した。
図35に示したように、他家骨とは違って、rAAV9.DSSとrAAV9.D14が共に2 x 10 11 GC titerでHA-scaffold、HA-granuleに高い付着効果を示すことを確認した。特に、HA-granuleの場合、rAAV9.DSSよりrAAV9.D14が高い付着効果を示すことを確認した。
実施例15 骨代替材に付着したrAAV9による形質導入確認
15.1 HA-scaffoldに接続されたrAAV9による形質導入確認
骨代替材に付着したrAAV9が造骨細胞に形質導入されるかを確認するために、マウスCOBをrAAV9が付着された合成骨に培養した。rAAV9に付着した合成骨を作るために、2 x 1011 GC titerのrAAV9(control)、rAAV9.DSSとrAAV9.D14をHA-scaffoldに1時間培養し、30秒間遠心分離(centrifuge、12,000rpm)した。造骨細胞は生後5日経った野生型マウス(C57BL/6J)の頭蓋冠からcollagenase type II(50mg/mlの、Worthington、LS004176)とdispaseII(100mg/ml、Roche、10165859001)を使用してCOBを分離した後、α-MEM medium(Gibco、10%FBS(Gibco)、2mM L-glutamine(Coring)、1%penicillin/streptomycin(Coring)、および 1%nonessential amino acids(Coring))に培養した後、液体窒素で凍結保管した。実験する2日前にCOBを溶かし10cm petri-dishで培養した後、実験日に培地を除去し、0.25%トリプシン2mLを入れて細胞培養インキュベーターで37℃、2分間培養してCOBを分離させた。培地(10mL)と一緒にCentrifugeチューブに入れ、5分間遠心分離(1500rpm、4℃)した。上澄み液を捨て、再び培地(10mL)を入れて、細胞数を確認した。HA-scaffoldを入れた48ウェルプレートに1 x 106 cell/mlと1uL of Xtreme gene 9 DNAトランスフェクタント試薬(transfectant reagent、Roche)を入れた後、37℃の細胞培養インキュベーターで2~3日間培養した。その後、HA-scaffoldを破砕(crushing)してQIAzol(QIAGEN)を利用してtotal RNAを抽出した。cDNAは、High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems)を使用して合成した。Quantitative RT-PCR分析を通じて造骨細胞に形質導入されたegfp RNAを測定した。次に、細胞溶解物からEGFPの発現を、免疫ブロッティングを利用して確認した。免疫ブロッティングはTNT溶解緩衝剤(50mM Tris-HCl(pH 7.4)、150mM NaCl、1%Triton X-100、1mM EDTA、1mM EGTA、50mM NaF、1mM Na3VO4、1mM PMSF、および protease inhibitor cocktail(Sigma))を使用してCOBを溶解し、細胞溶解物のタンパク質の量をDCタンパク質分析(Bio-Rad)で測定した。同じ量のタンパク質を4-12%SDS-PAGEゲルに電気泳動した後、Immunobilon-P membranes(Millipore)に移し、抗-GFP抗体(JL-8、632381、Takara、1:1000)を使用して、免疫ブロッティングを行った。ローディング対照群として抗-HSP90抗体(675402、Biolegend、1:1000)を使用して、免疫ブロッティングを実施した。最後に、培地を除去し、PBSに入れた後、Evos epifluorescence顕微鏡(ThermoScientific)を利用して、COBにDSS.rAAV9の形質導入の程度をEGFP発現によって確認した。Quantitative RT-PCR分析の結果を図36aに示し、免疫ブロッティング結果を図36bに示し、Evos epifluorescence顕微鏡観察の結果を図36cに示した。
図36に示したように、COBにてDSS.rAAV9がrAAV9とD14.rAAV9に比べて高いegfp mRNAとprotein発現を見せ、HA-scaffold表面についているCOBがDSS.rAAV9が形質導入されてEGFPタンパク質を発現したことを検証した。
15.2 HA-granuleに付着されたrAAV9による形質導入確認
rAAV9に付着したHA-granuleに対するCOBの形質導入を調べるために、48 well plateに入れた2 x 1011 GC of DSS.rAAV9が処理されたHA-granuleを1 x106 cellと1uL of Xtreme gene 9 DNA transfectant reagent(Roche)と混合した後、37℃Cell culture incubatorで2~3日間培養した。Quantitative RT-PCR分析を通じて造骨細胞に形質導入されたegfp mRNAを測定し、その結果を図37に示した。
図37に示したように、COBにてDSS.rAAV9がrAAV9に比べて高いEGFP mRNA発現を示した。また、mediumを除去し、PBSに入れた後、Evos epifluorescence microscopeを利用して、HA-granule表面についているCOBのEGFPタンパク質発現を確認して、DSS.rAAV9のCOB形質導入を確認した。
したがって、DSSを挿入していないrAAV9よりDSS.rAAV9が骨代替材付着および親和力が高く、造骨細胞の形質導入が優れていることを確認した。
実施例16 DSS.rAAV9.amiR-shn3とDSS.rAAV9.amiR-SOSTの骨欠損マウスモデルに対する骨形成能評価
マウスモデルの大腿骨骨欠損(mouse model of femoral bone defect)は、破損した骨でDSS.rAAV9.amiR-shn3とDSS.rAAV9.amiR-SOST AAV媒介遺伝子治療剤の骨形成能力を評価するために実施した。生後3ヶ月のマウスを対象に、4 x 1011 GC of DSS.rAAV9(control)、DSS.rAAV9.amiR-shn3またはDSS.rAAV9.amiR-SOSTを静脈注射で投与し、2週間後に全身呼吸麻酔(Isoflurane、1~4%)の下で手術を行った。痛みは、手術1時間前にBuprenorphine(0.03 mg/kg)を皮下注射して調節した。手術対象を側臥位(lateral decubitus)に位置させ消毒と手術布で部位の滅菌環境を維持した。左側大腿部の外側部に1.0cmの大きさの皮膚切開を加え、外側広筋(Vastus lateralis)の外側に接近して、大腿骨を露出させた。後方の大腿神経を保護し1mm-サイズの電動バー(motorized burr)を利用して、長さ4 mm、幅1 mm、深さ0.5 mmの骨欠損を作った。手術後3週間にマウスを安楽死させて大腿骨を分離した後、microCT35(Scanco Medical Inc)を用いて、11mm-spatial resolutionの条件で骨形成能力を分析した。骨欠損部位を基準としてInveon multimodality 3D visualization program(Siemens Medical Solutions USA、Inc.)を用いて、矢状面の画像を再構成した。骨皮質で関心領域(ROI)を手術時に生成された骨欠損サイズに設定して、新しく形成された骨皮質の大きさの比率を分析した。追加的に、欠損部位の骨密度(bone density)を、microCT35を利用して分析した。組織学的分析(histological analysis)のため、大腿骨を、筋肉を含んで採取した後、10%中性緩衝ホルマリンに2日間固定(fixation)して、5% tetrasodium EDTAに2~4週間脱石灰化(decalcification)した。エタノールで脱水化(dehydration)後、xyleneで2回洗浄(clearing)した後、パラフィンに包埋(embedding)した。冠状面で6 mmの厚さに切断(section)した。H&E(Hematoxylin and Eosin)染色を通じて骨生成部位の組織学的所見を確認した。組織計測学的分析(Histomorphometric analysis)のためトルイジンブルー(Toluidine blue)染色とTRAP(Tartrate-resistant acid phosphatase)染色を行い、それぞれ造骨細胞と破骨細胞の骨表面当たりの表面の比率を分析(Oblast surface/Bone surface、Osteoclast surface/bone surface)して比較した。マウスモデルに手術を通じて誘導した骨欠損部位を図38に示した。
実施例17 DSS.rAAV9.amiR-shn3とDSS.rAAV9.amiR-SOSTの造骨細胞骨形成向上を通じた骨癒合評価
DSS.rAAV9.amiR-shn3とDSS.rAAV9.amiR-SOSTによる骨形成向上が骨折治癒に及ぼす影響を確認するために、マウスに大腿骨骨折の手術を行った。生後3~4ヶ月のマウスを対象に、4 x 1011 GC of DSS.rAAV9(control)、DSS.rAAV9.amiR-shn3またはDSS.rAAV9.amiR-SOSTを静脈注射で投与し、2週間後に全身呼吸麻酔(Isoflurane、1~4%)の下で手術を行った。痛みは、手術1時間前にBuprenorphine(0.03mg/kg)を皮下注射して調節した。手術対象を側臥位(lateral decubitus)に位置させ、消毒と手術布で術部の滅菌環境を維持した。左側大腿部の外側部に1.5cmの大きさの皮膚切開を加え、外側広筋(Vastus lateralis)の外側に接近して、大腿骨を露出させた。後方部の大腿神経の損傷に注意し、大腿骨幹部の1/2地点をsurgical sawを用いて切除した。
23~25Gニードルを遠位大腿骨の膝蓋骨溝から始めて、大腿骨の大転子部(greater trochanter)尖部(greater trochanter tip)まで貫通して骨髄釘内固定(intramedullary fixation)した。ニードルの両方の端は折り曲げた後1mmを残してワイヤカッターで切除した。バイクリール4/0縫合糸を用いて筋膜を縫合して、ナイロン4/0縫合糸を用いて、皮膚を縫合した。
Faxitron MX-20 cabinet X-ray systemsを利用して、一般的な放射線写真(radiography)を手術直後と手術後2週間、4週間、6週間に側面撮影で行った。手術後6週間で、マウスを安楽死させて固定されたニードルを除去した後、大腿部を採取し、microCTと組織学的評価を行った。X-rayとmicroCT分析を通じ骨癒合しているかどうかを確認した。microCT追加分析を通じて仮骨(callus bone)の総量(total volume)と骨密度(bone density)を評価した。Histology分析のために大腿骨と筋肉を含んで採取した後、10%neutral buffered formalinに2日間固定(fixation)して、5% tetrasodium EDTAに2~4週間脱石灰化(decalcification)した。エタノールで脱水化(dehydration)し、その後、キシレンで2回洗浄(clearing)し、パラフィンに包埋(embedding)した。冠状面で6mmの厚さで切断(section)した。H&E染色を通じて骨癒合部位の組織学的所見を確認した。組織計測学的分析(Histomorphometric analysis)のためトルイジンブルー染色とTRAP染色を行って、それぞれ造骨細胞と破骨細胞の骨表面当たりの表面の比率を分析(Oblast surface/Bone surface、Osteoclast surface/bone surface)して比較した。マウス大腿骨骨折の手術直後、2週間後、6週間後、X-ray写真を図39に示した。
図39に示したように、手術の2週間後、骨折部位の周囲に仮骨(callus)が形成されたことを確認し、手術6週間後、骨折部位がすべて癒合されたことを確認した。
実施例18 DSS.rAAV9.amiR-shn3とDSS.rAAV9.amiR-SOSTが付着した骨代替材の造骨細胞骨形成向上を通じた骨癒合評価
臨界サイズの骨欠損マウスモデル(mouse model of critical-sized bone defect)は、臨床的に不癒合(nonunion)欠損に該当し、rAAV9.DSSを付着した骨代替材の局所投与による効果を確認するために、上記モデルを使用した。
生後3ヶ月経ったマウスを全身呼吸麻酔(Isoflurane、1~4%)の下で手術を行った。痛みは、手術1時間前にBuprenorphine(0.03 mg/kg)を皮下注射して調節した。手術対象を側臥位(lateral decubitus)位置させ消毒と手術布で部位の滅菌環境を維持した。左側大腿部の外側部に2 cmの大きさの皮膚切開を加え、外側広筋(Vastus lateralis)の外側に接近して、大腿骨を露出させた。大腿骨の第三大腿突起(Third trochanter)の遠位基準に近位1 mmと遠位3mm(全4 mm)の手術用ペンでマーキング(marking)した後、手術用電気のこぎり(surgical electrical saw)を用いて切断した。遠位側骨髄に23G(1 inch)ニードルを挿入して、大腿骨遠位に貫通させた。23G脊椎ニードル(3.5 inch)のガイドピンを23Gショートニードルに沿って挿入した。23G脊椎ニードルをガイドピンに沿って逆方向(retrograde)に23Gショートニードルと反対方向に挿入した。大腿骨遠位切断部を通過した後、DSS.rAAV9.amiR-shn3またはDSS.rAAV9.amiR-SOSTが付着した他家骨を続けて貫通して、最後に、大腿骨近位切断部を通過させた。ニードルの両端は折曲げた後、1mmを残してワイヤカッターで切除した。バイクリール4/0縫合糸を用いて筋膜を縫合して、ナイロン4/0縫合糸を用いて、皮膚を縫合した。
X-rayを使用して、生きているマウスで、手術直後と手術後4週間、8週間、12週間に側面撮影して進めた。手術後12週に、マウスを安楽死させて大腿部を採取し、固定されたニードルを除去し、microCTと組織学的分析をした。一般放射線写真とmicroCT分析を通じてDSS.rAAV9(control)、DSS.rAAV9.amiR-shn3またはDSS.rAAV9.amiR-SOSTが付着した両端の骨癒合の存否を確認した。microCT追加分析を通じて仮骨(callus bone)の総量(total volume)と骨密度(bone density)を評価した。組織学的分析のために大腿骨と筋肉を含んで採取した後、10%中性緩衝ホルマリンに2日間固定(fixation)して、5%tetrasodium EDTAに2~4週間脱石灰化(decalcification)した。エタノールで脱水化(dehydration)後、キシレンで2回洗浄(clearing)した後、パラフィンに包埋(embedding)した。矢状面に6 mmの厚さに切断(section)した。H&E染色を通じて骨癒合部位の組織学的所見を確認した。組織計測学的分析(Histomorphometric analysis)のためトルイジンブルー染色とTRAP染色を行って、それぞれ造骨細胞と破骨細胞の骨表面当たりの表面の比率を分析(Oblast surface/Bone surface、Osteoclast surface/bone surface)して比較した。臨界サイズ骨欠損マウスモデル(mouse model of critical sized bone defect)を図40に示した。
実施例19 羊(sheep)モデルを対象にしたDSS.rAAV9.amiR-shn3とDSS.rAAV9.amiR-SOSTが付着した骨代替材の造骨細胞骨形成向上を通じた骨癒合評価
前臨床段階のマウスモデルは、サイズが小さく骨折の固定時に安定した固定が不可能であるためニードルを用いた骨髄釘内固定を通じて相対的固定(relative fixation)を行った。これは、実際臨床で使用される手術的技術と大きな差があり、骨治癒に対するDSS.rAAV9.amiR-shn3とDSS.rAAV9.amiR-SOSTの正確な効果を確認するためには、安定的固定手術が可能な大型動物モデルが必要である。また、マウスにはneutralizing antibody against rAAV9がないため、rAAV9抗体が存在し、人間と似た大きさの羊(sheep)モデルが遺伝子治療剤前臨床段階モデルとして好適に選択される。羊の大腿骨幹部で得られた他家骨または同じサイズの合成骨にDSS.rAAV9(control)、DSS.rAAV9.amiR-shn3またはDSS.rAAV9.amiR-SOSTを付着した。臨界サイズ骨欠損を大腿骨に設けた後、準備された他家骨あるいは合成骨を骨欠損部位に充填した後、ロックネジ金属板(locking plate)を利用して、大腿骨と移植された代替骨を固定した。X-rayとperipheral quantitative computed tomography(pQCT)を利用して、生きている羊で手術直後と手術後4週間、8週間、12週間に骨癒合を分析した。手術後16週間後に安楽死させ、X-ray、microCT、histology分析を通じて骨代替材における造骨細胞による骨形成と骨癒合を分析した。
以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を持つ者において、このような具体的な記述は、単に望ましい実施態様であるだけで、これにより、本発明の範囲が制限されることがない点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項とそれらの等価物によって定義されると言える。

Claims (11)

  1. miRNA-RANK、miRNA-ctsk、miRNA-shn3またはmiRNA-SOST(sclerostin)を担持するAAV9(Adeno-associated virus serotype 9)を含む骨疾患予防または治療用の薬学的組成物。
  2. 前記AAV9のカプシドは、骨標的タンパク質モチーフ(bone-targeting peptide motifs)が挿入されたものである請求項1に記載の骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物。
  3. 前記骨標的タンパク質モチーフは、DSS((AspSerSer)6)またはD14(Asp14)であるものである請求項2に記載の骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物。
  4. 前記DSSは、AAV9カプシドペプチドのVP2ペプチドのN末端に挿入されるものである請求項3に記載の骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物。
  5. AAV9のカプシドに骨標的タンパク質モチーフ(bone-targeting peptide motifs)が挿入されたAAV9を含む骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物。
  6. 前記骨標的タンパク質モチーフは、DSS((AspSerSer)6)またはD14(Asp14)であるものである請求項5に記載の骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物。
  7. 前記DSSはAAV9カプシドペプチドのVP2ペプチドのN末端に挿入されるものである請求項6に記載の骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物。
  8. 前記骨疾患は、骨粗しょう症、パージェット病、腎不全患者の腎性骨異栄養症、骨折、骨欠損、不癒合、リウマチ性骨疾患、良性または悪性腫瘍による骨欠損と歯周病からなる群から選択されたいずれか一つ以上である請求項1~7のいずれか1つに記載の骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物。
  9. 請求項1~7のいずれか1つに記載の骨疾患の予防または治療用の薬学的組成物を含む骨代替材。
  10. 前記骨代替材は、他家骨または合成骨である請求項9に記載の骨代替材。
  11. 前記合成骨は、ヒドロキシアパタイトによって製造されたものである請求項10に記載の骨代替材。
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CN115804851B (zh) * 2022-08-29 2023-08-11 四川大学 一种兼具骨靶向功能的豇豆褪绿斑驳病毒-多肽复合物及其在骨质疏松治疗中的应用

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