JPH10505139A - 熱で抑制されたデンプンを含有する紙 - Google Patents

熱で抑制されたデンプンを含有する紙

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JPH10505139A
JPH10505139A JP8523003A JP52300396A JPH10505139A JP H10505139 A JPH10505139 A JP H10505139A JP 8523003 A JP8523003 A JP 8523003A JP 52300396 A JP52300396 A JP 52300396A JP H10505139 A JPH10505139 A JP H10505139A
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ビー. ソラレック,ダニエル
ジェフコート,ロジャー
エー. コルタイ,キンバリー
チウ,チャン−ワイ
シェアメイヤー,エリーナー
ジェイ. トマス,デイビッド
ビー. シャー,マニッシュ
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    • D21H17/00Non-fibrous material added to the pulp, characterised by its constitution; Paper-impregnating material characterised by its constitution
    • D21H17/20Macromolecular organic compounds
    • D21H17/21Macromolecular organic compounds of natural origin; Derivatives thereof
    • D21H17/24Polysaccharides
    • D21H17/28Starch

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  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 任意に化学的に架橋されている、熱で抑制されたデンプンおよびフラワー、好ましくはカチオンデンプンまたは両性デンプンが最初にウェットエンド添加剤として紙料に添加される。デンプンまたはフラワーは、無水までまたは実質的に無水まで脱水され次にその脱水されたデンプンまたはフラワーを、デンプンまたはフラワーを抑制しかつそれを水に分散したときの粘度安定性を改善するのに十分な時間と温度で熱処理することによって抑制される。脱水は、熱による脱水または熱によらない脱水(例えばアルコール抽出または凍結乾燥によって)でもよい。好ましくは、デンプンまたはフラワーのpHは、脱水を行う前に中性以上まで調節する。

Description

【発明の詳細な説明】 熱で抑制されたデンプンを含有する紙 技術文野 本発明はデンプンまたはフラワー(flour)を用いる紙とその製造に関する。 背景の技術 デンプンおよびフラワーの熱処理 デンプンおよび/またはフラワーの熱/湿潤処理およびアニーリングは文献に 教示され、存在する水の量によって区別されている。“アニーリング”は、粒状 デンプンをデンプンまたはフラワーの糊化温度より低い温度で過剰の水とともに スラリー化することによって行われる。“熱/湿潤処理”は、水分を添加するこ となくデンプン粒中に通常存在している既存水分(一般に10%以上)だけで、デ ンプンまたはフラワーの糊化温度より低い温度で半乾燥処理をすることによって 行われる。 以下の考察で、デンプンおよび/またはフラワーの各種の熱/湿潤処理とアニ ーリング処理の歴史について説明する。 英国特許第263,897号(1926年12月24日付け承認)には、英国特許第228,829号 の熱処理法の改良法が開示されている。英国特許第228,829号の方法は、小麦粉 まは小麦を、実質的にすべてのグルテンが洗浄試験で保持できなくなる温度まで 乾熱し、次に、その処理された小麦粉または小麦を未処理の小麦粉または小麦と 混合して、優れたストレングス(strength)を有する混合物を提供することによ って行われる。英国特許第263,897号の改良法は、乾熱を続ける が、デンプンを糊化させることなく、全グルテンが保持できなくなるまで必要な 時間をかなり超える期間乾熱を続ける方法である。“乾熱”には、水蒸気雰囲気 内での加熱またはデンプンを糊化しがちなかなりな量の水蒸気を含有する雰囲気 内での加熱は含まれていない。小麦または小麦粉は通常量の水分を含有していて もよく、好ましくは15%以下である。熱処理は、77〜93℃(170〜200°F)で7時 間を超えてもよく、例えば82℃(180°F)で8〜14時間または100℃(212°F)で 6時間でもよい。 英国特許第530,226号(1940年12月6日付けで承認)には、約40−50%の水を 含有するデンプンケークを、デンプンを糊化させることなく、149℃(300°F)以 上の熱風または他のガスで乾燥する方法が開示されている。そのデンプンケーク は、乾燥される前に細かく粉砕された状態まで微粉砕される。 英国特許第595,552号(1947年12月9日付けで承認)には、デンプン、詳しく 述べるとトウモロコシデンプンの処理法が開示され、この処理は、デンプンを比 較的低い水分1〜2%まで3%を超えないように乾燥し、続いてその実質的に水 分のないデンプンを115〜120℃で1〜3時間乾熱して行われる。この処理は好熱 性細菌をデンプンから除くことを目的としている。そのデンプンは所望の滅菌を 行うのに必要な時間より長い時間加熱すべきではない。 米国特許第3,490,917号(C.A.F.Doeらに対し1970年1月20日付けで発行)には、 糖:小麦粉の比率が高いケーキ類およびスポンジ類に用いるのに適した塩素処理 されていないケーキ用小麦粉の製造法が開示されている。グルテンが実質的にま たは完全にデンプン粒から除去されているデンプンまたは小麦粉が100〜140℃の 温度まで加熱され次に冷却される。その条件はデキストリン化が起こらないよう に選択され、例えば110〜115℃で約15分間で行われ、比較的 高温下で保持して迅速に冷却することは行わない。熱処理は、水蒸気を発散させ る条件下で実施すべきである。熱処理による水分の減少は利用する温度で決まる 。100〜105℃の処理温度で、水分は10〜12重量%から8〜9重量%まで減少し、 一方、中間温度および高温度で、水分は一般に7%以下まで減少する。冷却中、 水分は、大気と水分平衡に到達させることが好ましい。熱処理されたデンプンま たは小麦粉の糊化温度は同等の塩素処理された小麦粉またはデンプンより約0.5 〜1℃高い。この加熱は多くの方法で実施することができ、熱風流動床で行う加 熱がある。 米国特許第3,578,497号(E.T.Hjermstadに対し1971年5月11日付けで発行)には 、ジャガイモデンプンのペーストおよびゲルの特性を非化学的に改良して、膨潤 温度を−7〜−1℃(20〜30°F)より高くする方法が開示されている。中性pH (5.5〜8.0、好ましくは6〜7.5)の濃厚懸濁液(20〜40%の乾燥固形分)を、比 較的低温で長時間または連続して高温で短時間加熱する。その懸濁液は、処理さ れる特定のバッチのデンプンの初期膨潤温度(incipient swelling temperature )より低い温度(好ましくは49℃〜120°F)でまず加熱される。次に元の膨潤 温度(original swelling temperature)を十分超えた温度に到達するまで温度を 徐々に上げる。糊化が起こらないように、各種の加熱期間中、膨潤を避けること が必須である。このスティーピング(steeping)処理の後、そのデンプンは、粒 子安定度が高い。そのデンプンは迅速な糊化に抵抗し、冷却時に増大する粘度曲 線またはかなり平坦な粘度曲線を示す。そのペーストは非常にさくさくしたテク スチャ(very short textured)で、非ゴム状で、ぬるぬるしておらず、濁ってお りかつ非粘着性である。そのペーストは冷却し熟成させると堅いゲルを生成する 。 米国特許第3,977,897号(Wurzburgらに1976年8月31日付けで発 行)には、非化学的に抑制された(non chemically inhibited)アミロース含有 デンプンを製造する方法が開示されている。穀物と根の両者のデンプンは抑制(i nhibit)することができるが、抑制効果は根のデンプンの方が顕著である。アミ ロースを含まないデンプン、例えばもち性(waxy)トウモロコシデンプンは抑制 (inhibition)を全く示さないかごくわずかしか示さない。処理されたデンプン 由来の蒸煮ペーストのブラベンダー粘度(Brabender viscosity)は抑制レベルを 求めるのに使用した。抑制は、処理されたトウモロコシデンプンの場合、ピーク 時間の遅れで示され、処理されたアキラデンプン(achira starch)の場合、ピ ークがなくて最終粘度が高いことで示され、そして処理されたタピオカデンプン の場合、粘着性の喪失で示された。粒状デンプンを塩の存在下で水に懸濁させる と、デンプンの糊化温度が上昇し、その結果、その懸濁液は、デンプン粒が膨潤 し破裂して糊化生成物を生成することなく、高温まで加熱することができる。好 ましい塩は硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウムもしくは硫酸 カリウム;塩化ナトリウム、塩化カリウムもしくは塩化アンモニウム;ならびに リン酸ナトリウム、リン酸カリウムもしくはリン酸アンモニウムである。デンプ ン100重量部当り約10〜60重量部の塩を使用している。デンプン100重量部当り約 110〜220重量部の水を使用することが好ましい。その懸濁液を50〜100℃で好ま しくは60〜90℃で約30分間〜30時間加熱する。懸濁液のpHは約3〜9に好ましく は4〜7に維持する。アルカリ性が高い系すなわちpHレベルが9を超える系は抑 制を阻害する。 米国特許第4,013,799号(Smalliganらに対し1977年3月22日付けで発行)には、 タピオカデンプンを、不十分な水分(全重量に対し15〜35重量%)とともにその 糊化温度を超えて加熱すると糊化が起 こると記載されている。そのデンプンは70〜130℃に1〜72時間加熱する。その デンプンは、pHが約4.5より低い、幼児用調理済練り食品(wet,pre-cooked baby food)の増粘剤として使用される。 米国特許第4,303,451号(Seidelらに対し、1981年12月1日付けで発行)には、 タピオカデンプンを連想させる改善された風味特性を有する前糊化された(preg elatinized)もち性トウモロコシデンプンの製造方法が開示されている。そのデ ンプンは120〜200℃で15〜20分間熱処理される。その前糊化されたデンプンは、 プディングミックス(pudding mix)に使うのに適したゲル強度と粘度特性をもっ ている。 米国特許第4,303,452号(Ohiraらに対し1981年12月1日付けで発行)には、もち 性トウモロコシデンプンを燻製にしてゲル強度を改善しかつ燻製の味を与えるこ とが開示されている。煙の酸性を中和してpHが4〜7の最終製品を得るため、燻 製を行う前にデンプンのpHは9〜11まで上げておく。燻製中のデンプンの好まし い水分は10〜20%である。 Cereal Chemistry、60巻、5号、381〜387頁、1983年に記載されているJ.W.Do novanらの論文“Differential Scanning Calorimetry of Heat-Moisture Treate d Wheat and Potato Starches”には、デンプン類の糊化温度が、熱/湿潤処理 またはアニーリングを行った結果、上昇したことを開示している(Journal of Fo od Science、52巻、3号、715〜718頁、1987年に記載されているB.R.Kruegerら の論文“A DSC Study Of The Effect Annealing On Gelatinization Behavior O f Corn Starch”も参照のこと)。 米国特許第4,391,836号(C.-W.Chiuに対し1983年7月5日付けで発行)には、非 粒子状で粘度が低く、瞬間的にゲル化するタピオカデンプンとジャガイモデンプ ンが開示されている。改質されていな いジャガイモデンプンとタピオカデンプンは通常ゲル化しない。この特許のデン プンは、原デンプンの水性スラリーを約5〜12のpHで作り、次にそのスラリーを ドラム乾燥することによって、非粒子状で冷水に分散性になる。これらのデンプ ンは、そのドラム乾燥されたデンプンを125〜180℃で約1.5〜24時間熱処理して 粘度をブラベンダー粘度の規定限度内に低下させることによってゲル化するよう なる。 米国特許第4,491,483号(W.E.Dudacekらに対し1985年1月1日付けで発行)には 、粒状デンプンおよび少なくとも0.25重量%の脂肪酸界面活性剤と十分な水(約 10〜40重量%)の半湿潤混合物を、約50〜120℃で熱−湿潤処理を行い、続いて 水分が約5〜15重量%になるまで、好ましくは10重量%になるまで乾燥すること が開示されている。その熱−湿潤処理がなされたデンプン−界面活性剤生成物は 、熱水分散性が約60〜100%でペースト化温度が原料の粒状デンプンより高いこ とが特徴である。この処理は、水分を一定レベルに保持できるように密閉容器内 で行うことが好ましい。好ましい条件は60〜90℃で3〜16時間である。分解反応 とデキストリン化反応は、そのデンプンの増粘性を破壊するので望ましくない。 これらの条件、例えば水分35%で90℃にて16時間を利用するとペーストの粘度が 低下する。処理中に界面活性剤が存在すると、部分的に膨潤したデンプンマトリ ックス内に、デンプン分子の直鎖部分で複合体が生成すると考えられる。湿潤環 境を限定すると糊化することなしに複合体を製造することができる。 日本国公告特許昭61−254602号(1987年12月11日付けで公告)には、もち性ト ウモロコシデンプンおよびその誘導体を加熱して乳化特性を付与する湿潤・乾燥 法が開示されている。その湿潤乾燥されたデンプンは、100〜200℃で好ましくは 130〜150℃にて30分間 〜6時間加熱される。その乾燥法では、水分は10%であり好ましくは5%以下で ある。その湿潤法では、水分は5〜50%であり、好ましくは20〜30%である。pH は3.5〜8であり、好ましくは4〜5である。 ているRolf-stuteの論文“Hydrothermal Modification of Starches:The Diffe rence between Annealing and Heat/Moisture-Treatment”には、粒子構造の変 化(alteration)が異なっていても、ジャガイモデンプンの特性がアニーリング と熱/湿潤処理でほとんど同一に改質されることが報告されている。熱/湿潤処 理を行いアニールを行ったジャガイモデンプンのブラベンダー曲線は、高い糊化 温度と低ピークの粘度もしくはピークなしの粘度を含めて同じ典型的な変化を示 している。DSC曲線も両処理について、高い糊化温度へのシフトを示している。 熱/湿潤処理を行ったジャガイモデンプンをアニールする複合処理を行うと、糊 化エンタルピーの検出可能な変化なしでかつ該熱処理で起こった粘度の変化を保 持しながら、糊化温度がさらに上昇する。熱/湿潤処理を行ったジャガイモデン プンをアニールする複合処理を行っても、ベースのデンプンと比べたとき、糊化 温度は下がらず、熱/湿潤処理のレベルを高くすると糊化温度が上昇する。 デンプンおよびフラワーの化学的架橋 デンプンおよびフラワーは、オキシ塩化リン、トリメタリン酸ナトリウム、無 水アジピン酸、無水酢酸およびエピクロロヒドリンのような二官能価試薬で化学 的に改質されて、熱、剪断および極端なpHのような処理変数に対して優れた耐性 を有する化学的に架橋されたデンプンが生成する。このような化学的に架橋され たデンプン〔“抑制されたデンプン(inhibited starch)”とも呼ばれる〕は、望 ましい滑らかな(smooth)テクスチャを提供し、かつ処理操作を通じて粘度が安 定しており、かつ通常の保存寿命をもっている。 対照的に、未改質の(すなわち架橋されていない)デンプン、特にもち性ベー スのデンプンは、糊化するとピーク粘度に達し、そのピーク粘度はまもなく崩壊 (breakdown)し始め、増粘性とテクスチャ品質を失い、そして処理中に受けた応 力が原因で貯蔵中に予想できない挙動を示す。熱、剪断、および/または極端な pH特に酸性のpHはデンプン粒子を完全に破壊してそのデンプンを分散させがちで ある。 製紙 従来知られているように、製紙は、パルプまたは木材繊維素繊維の水性スラリ ーを製造し、その繊維を、スクリーンまたはワイヤ上に誘導してからみあったマ ットを作り次にその水をスクリーンまたはワイヤを通じ排出させ、そのマットを ローラ間で絞り、乾燥し、次に加工して乾燥ロールまたはシートにする方法であ る。 大部分の紙はフォードリニエマシン(長網抄紙機)または円網抄紙機で製造さ れる。フォードリニエマシンや多重円網抄紙機を操作する場合および製紙すると きに一般的な他の抄紙機を操作する場合、パルプまたは木材繊維素の繊維の水性 スラリーは、ウェットエンド(wet end)と呼ばれる、抄紙機への供給口または入 口で製造される。そのウェットエンドにおいて、パルプまたは木材繊維素の繊維 は機械的叩解または化学的叩解を受けて、繊維間の結合が促進され最終的に最終 紙製品が強化される。しかし強化を増大するのに利用できる叩解の程度には実施 する際に限度がある。過剰に叩解すると、シートの他の望ましい特性、例えば多 孔性、たわみ性、白色度および不透明度が失われる。ウェットエンドにデンプン を添加すると、過剰の叩解を行う必要がなくなり紙料の強度が改善される。 歴史的にみて、デンプンは可溶化形で製紙工程に使用されており、そのデンプ ン分子は繊維素の繊維に浸透して結合する。繊維素繊維のデンプン保持量は、デ ンプンをカチオン性または両性にすることによって増大する。デンプンと繊維素 繊維はともにアニオン性である。カチオンまたは両性のデンプンは、負に帯電し ている繊維素繊維およびウェットエンド系に添加された共通して負に帯電してい る充填剤にも引きつけられて、繊維−繊維および繊維−充填剤の結合が増大し、 強度のみならず充填剤の高い保持率が促進される。 各種のカチオンデンプンは公知であり、紙の工業界に用いられており、第三級 アミノデンプンエーテルおよび第四級アンモニウムデンプンエーテルは最も重要 な商業用誘導体である。これらのおよび他のカチオンデンプンとその製造方法は 、D.B.Solarek著“Modified Starches :Properties and Uses”の8章113〜129 頁、1986年の“Cationic Starches”の項に記載されている。 未改質デンプンまたは化学的に架橋して改質されたデンプンは多数の用途に使 用されているとはいえ、製紙する場合、大量には使用されていない。以下の刊行 物には、化学的に架橋されたデンプンの製紙での使用が開示されている。米国特 許第3,417,078号 (C.Patelに対し1968年12月7日付けで発行)には、ジクロロブ テンのような架橋剤と反応するカチオンデンプンイミダゾリジン誘導体を使用す ることが開示されている。ヨーロッパ特許第097,371号(S.Freyに対して1984年 1月4日付けで発行)には、カチオン化されかつ部分的に架橋されている非糊化 デンプンの使用が開示されている。米国特許第5,122,231号(K.Andersonに対し て1992年6月16日付けで発行)には、デンプンの添加性能(loading capacity) を増大するための湿潤架橋末端の添加剤としてカチオンデンプンを使用すること が開示されている。日本国公告特許平2−133695号(K.Maedaに対し て1990年5月22日付けで発行)には、特定のしかし広範囲の架橋度を有するカチ オン架橋デンプンを使用することが開示される。米国特許第5,368,690号(D.Sola rekらに対し1994年11月29日付けで発行)には、炭酸カルシウムの保持性を改良す るため、粘度を約2〜85%崩解させた、ジェット蒸煮して(jet-cooked)化学的 に架橋させたカチオンまたは両性のデンプンの添加が開示されている。 発明の開示 本発明は、添加物として、熱で抑制された(thermally inhibited)デンプンま たはフラワーを含有する紙に関する。これらのデンプンとフラワーは、前糊化さ れていない粒状の(non-pregelatinizedgranular)デンプンとフラワー、または前 糊化された粒状もしくは非粒状のデンプンとフラワーである。これらデンプンま たはフラワーは、熱で抑制して、多価官能価架橋剤によって化学的に架橋するこ とによって従来与えられた官能性が付与される。熱で抑制されたデンプンとフラ ワーは、デンプンが、紙を製造する際、例えばウェットエンド添加剤、コーティ ング剤およびサイズ剤として通常、用いられる場合はどこでも使用できる。 デンプンは、カチオン性、アニオン性、非イオン性または両性の置換基で誘導 体化することが好ましい。アニオンまたは非イオンのデンプンは、ウェットエン ド添加剤として使用するとき、一般にカチオンまたは両性のデンプンと組合わせ て使用する。 デンプンとフラワーは、これらを抑制し抑制を保持する熱処理工程で、化学的 薬剤を添加することなく、熱によって抑制される。このようなデンプンとフラワ ーは“抑制された”または“熱で抑制された”(“T−I”と略記する)と呼ば れる。これらの熱で抑制されたデンプンとフラワーは、水中に分散されおよび/ または蒸煮さ れると、化学的に架橋されたデンプンに特徴的なテクスチャと粘度の特性を示す 。そのデンプン粒は粘度の崩壊(viscosity breakdown)に対して一層抵抗性が大 である。この粘度の崩壊に対する抵抗性によって、非粘着性のまたは“さくさく したもろくてくだけやすい(short)テクスチャのペーストと主観的に考えられ るものが生成し、これは糊化されたデンプンまたはフラワーが、流れやすいとか またはゴム状ではなくて粘度が軟膏様に高く(heavy)なる傾向があることを意味 する。 熱で抑制されたデンプンとフラワーが前糊化されていない粒状のデンプンまた はフラワーの場合、そのデンプンまたはフラワーの糊化温度は変化しないかまた は低下する。これとは対照的に、アニールされかつ熱/湿潤処理がなされた大部 分のデンプンは糊化温度が上昇する。化学的に架橋されたデンプンは糊化温度が 変化しない。熱で抑制されたデンプンとフラワーの粒子構造全体が変化したと考 えられる。 実質的に完全に熱で抑制されたデンプンとフラワーは糊化に抵抗する。高度に 抑制されたデンプンとフラワーは、限定された程度まで糊化し、粘度は上昇し続 けるが、ピーク粘度には到達しない。中程度に抑制されたデンプンとフラワーは 、抑制されていない同じデンプンに比べてピーク粘度が低くかつ粘度の崩壊百分 率が低い。軽く抑制されたデンプンとフラワーは、抑制されていない同じデンプ ンと比べて、ピーク粘度がわずかに増大しかつ粘度の崩壊百分率が低い。 デンプンとフラワーは、デンプンまたはフラワーを、無水になるかまたは実質 的に無水になるまで脱水し、次にその無水かまたは実質的に無水のデンプンまた はフラワーを、そのデンプンまたはフラワーを抑制するのに十分な温度と期間で 熱処理するステップからな る工程で抑制される。“実質的に無水の”という用語は本明細書で用いる場合、 1重量%未満の水分を含有していることを示す。脱水は、熱による脱水または熱 によらない脱水、例えばアルコール抽出または凍結乾燥であってもよい。任意で あるが好ましいステップは、脱水ステップの前に、デンプンまたはフラワーのpH を中性以上に高く調節するステップである。 必要な、熱による抑制の程度は、そのデンプンまたはフラワーを紙に含有させ る理由と紙を製造するのに利用される特定の処理条件によって決まる。熱で抑制 されたデンプンとフラワーを用いて調製された紙パルプは、粘度の安定性、およ び熱、酸および剪断に対する抵抗性のような工程許容性を有している。その上、 ジェット蒸煮して熱で抑制したデンプンの粘度は、ジェット蒸煮を行い化学的に 架橋させたデンプンの粘度より低い。この粘度が低いことは加工上の重要な利点 である。 熱処理の程度によって、各種レベルの抑制を達成することができる。本明細書 に記載の熱による抑制工程によって、例えばわずかに抑制して粘度崩壊がほとん どない低粘度の製品および高度に抑制して粘度崩壊がない低粘度の製品を製造す ることができる。 アルカリ性pHの紙を製造する場合、熱で抑制されたカチオン、アニオン、両性 または非イオンのデンプンまたはフラワーを、製紙システムのウェットエンドに 添加する。前糊化されていないデンプンまたはフラワーを使用する場合は、添加 する前に、ジェット蒸煮によって蒸煮することが好ましい。炭酸カルシウムの保 持率を改善するために使用する場合は、デンプンまたはフラワーを5%固形分で 95℃にて水中に分散させたとき、15〜65%好ましくは25〜45%のピーク粘度から の崩壊率を示すようなレベルまで、前糊化されていない粒状のデンプンまたはフ ラワーを熱で抑制する。 本発明を実施する態様 デンプンとフラワーはすべて本発明で使用するのに適している。熱で抑制され たデンプンとフラワーは、これら組成物に、その強度、保持性、増粘性/結合性 および表面改質特性を得るために用いられ、これら特性は、選択されるデンプン またはフラワーのベースおよびその改質によって決まる。 熱で抑制されたデンプンとフラワーは自生源から誘導することができる。“自 生の”デンプンまたはフラワーは、未改質型で天然に見出されるようなデンプン またはフラワーである。そのデンプンとフラワーの代表的起源は穀物、塊茎、根 、豆果および果実である。自生起源は、トウモロコシ、エンドウ豆、ジャガイモ 、サツマイモ、バナナ、大麦、小麦、米、サゴ(sago)、アマランス、タピオカ 、モロコシ、もち性トウモロコシ、もち性タピオカ、もち米、もち性小麦、もち 性ジャガイモ、もち性モロコシ、アミロース含量が40%以上のデンプンなどであ ってもよい。好ましいデンプンはもち性デンプンで、ジャガイモ、タピオカおよ びトウモロコシのデンプンである。 熱による抑制の工程は、デンプンまたはフラワーの他の反応をデンプンまたは フラワーを改質するのに利用する前または利用した後に実施する。これらのデン プンは、転化(すなわち酸−、酵素−および/または熱−転化)、酸化、リン酸 化、エーテル化(例えばプロリピレンオキシドとの反応による)、エステル化( 例えば無水酢酸または無水オクテニルコハク酸との反応による)および/または 化学的架橋(例えばオキシ塩化リンまたはトリメタリン酸ナトリウムとの反応に よる)によって改質できる。フラワーは漂白または酵素転化によって改質できる 。デンプンを改質する手順は、R.L.Davidson編集(米国ニューヨーク州ニューヨ ークMcGraw-Hill Inc.社、 1980年)“Handbook of Water Soluble Gums and Resins”中22〜26頁と22〜47 頁のM.W.Rutenbergの論文“Starch and Its Modification”に記載されている。 自生の粒状デンプンは約5.0〜6.5の自然pHである。かようなデンプンを水の存 在下、約125℃を超える温度まで加熱すると、そのデンプンの酸加水分解反応( すなわち分解反応)が起こる。この分解反応は抑制反応を妨害するしたがって、 分解反応を避けるため脱水条件を選択する必要がある。適切な条件は、低温およ びデンプンの自然pH下での脱水、またはデンプンのpHを中性以上に上げた後の高 温下での脱水である。“中性の”という用語は本明細書で使用する場合、約pH7 のpH値の範囲をカバーしpH約6.5〜7.5を含むことを意味する。少なくとも7のpH が好ましい。さらに好ましくはpHは7.5〜10.5である。最も好ましいpHの範囲は 8を超える10未満の範囲である。pHが12を超えると、糊化が一層容易に起こる。 したがって、pHを12より低く調節すると一層効果的である。熱による抑制法のテ クスチャと粘度の利点はpHが上昇するにつれて促進される傾向があることである が、pHが高いと、熱処理ステップ中にデンプンまたはフラワーの褐変反応が増大 する傾向があることに注意すべきである。 pHを調節するため、前糊化されていない粒状のデンプンまたはフラワーを、一 般に、水1.5〜2.0量部:デンプンまたはフラワー1.0量部の比率で水または他の 水性媒体でスラリー化し、次いで適切な塩基を添加することによってpHを上昇さ せる。必要な場合、pHを維持するため、リン酸ナトリウムのような緩衝剤を使用 してもよい。あるいは、デンプンまたはフラワーが所望のpHになるまで、粉末に したデンプンまたはフラワーに塩基の溶液を噴霧してもよく、またはアンモニア のようなアルカリ性ガスをデンプンまたはフラワー 中に吹き込んでもよい。pHを調節した後、スラリーを、脱水し乾燥するかまたは 直接乾燥して一般に水分を2〜15%にする。これらの乾燥工程は、デンプンまた はフラワーが脱水されて無水または実質的に無水になり次に熱処理される熱によ る抑制法のステップとは区別される。 これらのデンプンまたはフラワーは、熱による抑制工程の前または後に当該技 術分野で公知の方法を用いて前糊化を行ってもよい。前糊化の程度、したがって 、そのデンプンを水に分散させたとき、高い初期粘度または低い初期粘度を示す かどうかは、当該技術分野で公知のように使用される前糊化法によって調節する ことができる。得られた前糊化デンプンは、冷水に可溶性または冷水に分散可能 なデンプンが使用される用途に有用である。 前糊化された粒状のデンプンとフラワーは、その粒状構造を保持しているがそ の分極クロス(polarization cross)を失っている。デンプンは、デンプン粒子 の大部分が膨潤するが無傷のまゝであるような方式で前糊化される。前糊化され た粒状デンプンの代表的な製造方法は、米国特許第4,280,851号(Pitchonらに対 し1981年7月28日付けで発行)、米国特許第4,465,702号(J.E.Eastmanらに対し19 84年8月14日付けで発行)、米国特許第5,037,929号(S.Rajagopalanに対し1991年 8月6日付けで発行)および米国特許第5,149,799号(Roger W.Rubensに対し1992 年9月22日付けで発行)に開示されている。なおこれら特許の開示事項は本明細 書に援用するものである。 前糊化された非粒状のデンプンとフラワーもその分極クロスを失っており、非 常に膨潤するようになっているのでそのデンプンはその粒状構造を失い、切断さ れフラグメントになっている。これらデンプンとフラワーは、ドラム乾燥、押出 しまたはジェット蒸煮のよ うな、粒子を破壊する公知の物理的、化学的または熱による前糊化法のいずれか によって製造することができる〔米国特許第1,516,512号(R.W.G.Stutzkeに対し1 924年11月25日付けで発行);米国特許第1,901,109号(W.Maierに対し1933年3月1 4日付けで発行);米国特許第2,314,459号(A.A.Salzburgに対し1943年3月23日 付けで発行);米国特許第2,582,198号(O.R.Ethridgeに対し1957年1月8日付 けで発行);米国特許第2,805,966号(O.R.Ethridgeに対し1957年9月10日付け で発行);米国特許第2,919,214号(O.R.Ethridgeに対し1959年12月29付けで発 行);米国特許第2,940,876号(N.E.Elsasに対し1960年6月14日付けで発行); 国特許第3,086,890号 (A.Sarkoらに対し1963年4月23日付けで発行);米国特許第 3,133,836号 (U.L.Winfreyに対し1964年5月19日付けで発行);米国特許第3,137, 592号 (T.F.Pratzmanらに対し1964年6月16日付けで発行);米国特許第3,234,0 46号 (G.R.Etchisonに対し1966年2月8日付けで発行);米国特許第3,607,394 (F.J.Germinoに対し1971年9月21日付けで発行);米国特許第3,630,775号(A.A .Winkleyに対し1971年12月18日付けで発行);および米国第5,131,953号(J.J.Ka sicaらに対し1992年7月21日付けで発行)参照。なおこれらの特許明細書は本願 に援用するものである〕。 前糊化の工程を最初に実施し、その前糊化されたデンプンまたはフラワーが粒 状である場合、その前糊化された粒状のデンプンまたはフラワーを、水1.5〜2.0 量部:デンプン1.0量部の比率で、水でスラリー化することによってpHを調節し 、そしてpHは任意に中性以上に調節される。他の実施態様では、スラリーが同時 に前糊化され次いで乾燥され、次にその乾燥されたデンプンまたはフラワーが熱 で抑制される。熱による抑制を最初に実施する場合は、デンプンまたはフラワー を水でスラリー化し、デンプンまたはフラワーのpH を中性以上に調節し、次にそのデンプンまたはフラワーを約2〜15%の水分まで 乾燥する。その乾燥されたデンプンまたはフラワーを次に脱水し熱処理する。得 られた、抑制されたデンプンまたはフラワーを再び水でスラリー化し、任意にpH を調節しそして同時に前糊化を行い乾燥する。 ドラム乾燥によって製造された非粒状の前糊化されたデンプンまたはフラワー の場合、そのデンプンまたはフラワーを、30〜40%固形分で水によってスラリー 化し、次に所望のpHに達するまで十分な量の塩基溶液を添加することによってpH を上昇させる。 米国特許第5,131,953号の連続的連結ジェット蒸煮/噴射−乾燥法(continuou s coupled jet cooking/spray-drying process)または米国特許第4,280,851号 の二重噴霧化/噴霧−乾燥法(dual atomization/spray-drying process)によ って製造される非粒状の前糊化されたデンプンまたはフラワーの場合、そのデン プンまたはフラワーを6〜10%の固形分にて水でスラリーにし、次に所望のpHに 達するまで十分な量の塩基溶液を添加することによって、pHを所望のpHまで調節 する。 pH調節ステップで使用するのに適切な塩基としては、限定されないが、水酸化 ナトリウム、炭酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、オルトリン酸アンモニ ウム、オルトリン酸ニナトリウム、リン酸三ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸 化カルシウム、炭酸カリウムおよび水酸化カリウム、ならびに適切な法律に基づ いて使用が承認されている他の塩基類がある。好ましい塩基は炭酸ナトリウムで ある。承認されていない塩基でも、最終製品が、所望の最終用途向けの優れた製 造方法に適合するように、デンプンまたはフラワーから洗い出すことができるな らば使用することができる。 熱による脱水は、水分を1%未満好ましくは0%まで減らすのに 十分な時間および温度にて、デンプンまたはフラワーを加熱装置で加熱すること によって実施される。利用される温度は、好ましくは125℃以下であり、より好 ましくは100〜120℃である。脱水温度は100℃より低くてもよいが、少なくとも1 00℃の温度が水分を除くのにより効果的である。 熱によらない脱水を実施する代表的な方法としては、凍結乾燥法、または溶媒 、好ましくは親水性溶媒、より好ましくは水と共沸混合物を形成する親水性溶媒 (例えばエタノール)を用いてデンプンまたはフラワーから水を抽出する方法が ある。 実験室規模の脱水を溶媒を用いて行う場合、デンプンまたはフラワー(水分は 約4〜5%)をソックスレーの円筒濾紙中に入れ、これをソックスレー装置内に 入れる。適切な溶媒をソックスレー装置に入れ、溶媒の還流温度まで加熱し、次 いでデンプンまたはフラワーを脱水するのに十分な時間、還流させる。還流中、 溶媒はデンプンまたはフラワーの上で凝縮するので、デンプンまたはフラワーは 溶媒の沸点より低い温度にさらされる。例えばエタノールによって抽出している 間、エタノールの沸点がたとえ約78℃であっても、デンプンの温度は約40〜50℃ に過ぎない。エタノールを溶媒として用いる場合、還流は約17時間続ける。抽出 されたデンプンまたはフラワーを円筒濾紙から取り出し、トレイの上に広げて、 過剰の溶媒を蒸発させる。エタノールが蒸発するのに要する時間は約20〜30分間 である。脱水されたデンプンまたはフラワーは、熱処理を行うのに適した加熱装 置に直ちに入れる。商業規模の脱水の場合、連続抽出装置が適している。 凍結乾燥によって脱水を行う場合、デンプンまたはフラワー(水分4〜5%) をトレイ上に置いて凍結乾燥機中に入れる。適切なバルクトレイ凍結乾燥機は、 米国ニューヨーク州ストンリッジ所在の FTS Systems社から、商標名Dura-Trapで市販されている。この凍結乾燥機は、プ ログラムされたサイクルによって作動して水分を除去する。温度は約20℃に一定 に保持され、約50ミリトル(mT)まで減圧にする。デンプンまたはフラワーは凍 結乾燥機から取り出し、直ちに、熱処理用に適した加熱装置中に入れる。 デンプンまたはフラワーは、脱水を行った後、それを抑制するのに十分な時間 および温度で熱処理する。好ましい熱処理温度は約100℃より高い温度である。 実用上、熱処理温度の上限は約200℃である。代表的な温度は120〜180℃であり 、好ましくは140〜160℃であり、最も好ましくは160℃である。選択される温度 は所望の抑制の程度とその抑制が達成される速度によって決まる。 最終熱処理温度での時間は所望の抑制のレベルによって決まる。従来のオーブ ンを使用する場合、その時間は、1〜20時間の範囲内であり、一般に2〜5時間 で通常3.5〜4.5時間である。流動床を使う場合、その時間は、0分〜20時間の範 囲内であり、一般に30分〜3.0時間である。低温の場合、一層抑制されたデンプ ンを得るにはより長い時間が必要である。 大部分の用途の場合、熱による脱水と熱処理のステップは連続して行われ、デ ンプンまたはフラワーに対し、周囲温度から出発して熱を加えることによって達 成される。この加熱中に水分が放出され、デンプンは無水になるかまたは実質的 に無水になる。通常このような初期レベルの抑制で、ピーク粘度は、長期間加熱 されたデンプンのピーク粘度より高いが、粘度はそのピーク粘度から一層大きく 崩壊する。熱処理を続けるにつれて、ピーク粘度は低下するが、粘度崩壊は小さ くなる。 熱による抑制工程によって、抑制の程度が高範囲にわたる各種デンプンを得る ことができるが、製紙に使用するのに好ましいデンプ ンは、その抑制のレベルが、そのデンプンを水性媒体中に分散させたとき無傷の 粒子と可溶化されたデンプン分子の両者の釣合いがとれているレベルのデンプン である。 上記抑制工程は、デンプンを植物原料から抽出する連続工程の一部として実施 してもよい。 以下の実施例に見られるように、デンプンまたはフラワーの起源、初期pH、脱 水条件、加熱時間と加熱温度、および使用される装置はすべて、抑制の程度に影 響する、相互に関連がある変数である。 加熱ステップは、常圧下、減圧下または加圧下で実施することができ、そして 当該技術分野で公知の通常の手段で達成することができる。好ましい方法は、乾 燥空気中または不活性ガスの還境内で乾熱を行う方法である。 熱処理ステップは、熱によって脱水が起こる同じ装置で実施することができる 。その工程は、流動床反応器が使用される場合のように、連続して行われ、熱に よる脱水と熱処理が同じ装置内で起こることが最も便利である。 脱水・熱処理装置は、水分が蓄積してデンプン、またはフラワー上に落下しな いように大気に対する通気口を備えているならば、工業用オーブン、通常のオー ブン、マイクロ波オーブン、デキストリナイザー(dextrinizer)、乾燥機、加熱 装置および他の種類のヒーターを備えたミキサとブレンダでもよい。好ましい装 置は流動床である。その装置は好ましくは、流動床の上方の空間から空気または 流動中のガスを除く減圧装置またはブロワのような水蒸気を除く手段を備えてい る。適切な流動ガスは空気と窒素である。安全上の理由から、酸素含有量が12% より少ないガスを用いることが好ましい。 粘度の崩壊百分率が小さくて粘度が高い優れた抑制デンプンは、 流動床反応器によって、他の通常の加熱オーブンまたは乾燥機を使って達成可能 な時間より短い時間で得ることができる。 デンプンまたはフラワーは、個々に抑制することができ、または1種以上のデ ンプンまたはフラワーを同時に抑制することができる。デンプンまたはフラワー は、熱による抑制工程を妨害したりまたはデンプンまたはフラワーの製品の特性 を変えない他の材料または成分の存在下で抑制を行ってもよい。 産業上の利用性 熱で抑制されたデンプンとフラワーは、デンプンとフラワーが、例えばウェッ トエンド添加剤、サイズ剤またはコーティング剤として従来製紙に使用されてい るどこでも使用することができる。 熱で抑制されたデンプンとフラワーは、ウェットエンド添加剤として使用され ると、乾燥強さおよび充填剤または顔料の保持性が増大し、かつ充填剤の取込み が原因の強度の損失を最小にするかまたは克服する。これらデンプンとフラワー は、通常、熱で抑制された非前糊化粒状のデンプンもしくはフラワーを蒸煮する か、または熱で抑制された前糊化デンプンまたはフラワーを分散させることによ って製造される水性分散液として添加される。 デンプンエーテルとデンプンエステルのみならず転化デンプンは、水蒸気、グ リースおよび溶媒に対するバリヤーを提供する表面サイズ剤またはコーティング 剤として有用である。 非転化デンプンは、表面サイズ剤の増粘剤として有用である。 カチオンデンプンは、負の電荷を有する懸濁液または有機物もしくは無機物に 対して用いる凝集剤として有用である。このデンプンを表面サイズ剤として用い ると、インクなどを吸収して浸透させる。このデンプンをコーティング剤として 用いると、水蒸気、グリー スおよび溶媒のバリヤーとして作用する。 デンプンのカチオン化は、例えばSolarek著“Cationic Starches”に開示され ているような、エーテル結合またはエステル結合を通じて結合された第一級、第 二級、第三級および第四級のアミンを含有する試薬と公知の化学反応をさせるこ とによって行うことができる。 代表的なカチオン基とカチオン生成基(cationogenic group)としては、2− ジエチルアミノエチルクロリドヒドロクロリドとの反応によって導入されるジエ チルアミノエチルエーテル基、または3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリ メチルアンモニウムクロリドとの反応で導入される3−(トリメチルアンモニウ ムクロリド)−2−ヒドロキシプロピルエーテル基がある〔ジアルキルアミノア ルキルハライドと反応させて第三級アミノ基を導入し、次にこのアミノ基を四級 化してアンモニウム基にする方法に関する米国特許第2,813,093号(Caldwellら に対して1957年11月12日付けで発行);糊化可能なカチオンデンプンエーテルに 関する米国特許第2,876,217号(Paschallに対し1959年3月3日付けで発行); アルキルアミン基を含有する粒状デンプンに関する米国特許第2,970,140号(Hull engerらに対し1961年1月31日付けで発行);β−ハロゲノアルキルスルホニウ ム−、ビニルスルホニウム−またはエポキシアルキル−スルホニウム−塩との反 応に関する米国特許第2,989,520号(Rutenbergらに対し1961年6月20日付けで発 行);β−ハロゲノアルキルホスホニウム塩との反応に関する米国特許第3,077,4 69号 (A.Aszalosに対し1963年2月12日付けで発行);エピハロヒドリン−第三級 アミン塩または第三級アミン塩の反応生成物に関する米国特許第4,119,487号(Te sslerに対し1978年10月10日付けで発行);アルキル−もしくはアルケニル−スル ホスクシネート類に関する米国特許 第4,260,738号 (1981年4月7日付けで発行)、米国特許第4,278,573号(Tessler に対し1981年7月14日付けで発行)および米国特許第4,387,221号(Tesslerに対し 1983年6月7日付けで発行);ならびにアミノアルキル無水物、アミノエポキシ ド、アミノハライドまたはアリールアミンとの反応に関する米国特許第4,675,39 4号 (D.Solarekらに対し1987年1月23日付けで発行)参照〕。上記特許の開示内容 は本明細書に援用するものである。 カチオン基もしくはカチオン生成基およびスルホ−スクシネート基を含有する 転化デンプンは顔料保持剤として有用であるが、米国特許第4,029,544号(Jarowe nkoらに対し1977年6月14日付けで発行)に記載されている。 両性デンプンも本発明に有用である。ウェットエンド添加剤も含めて異なる用 途に使用する両性誘導体を製造するため、デンプンをカチオン改質剤およびアニ オン改質剤で二重処理する方法が用いられている。特に第三級アミノ基または第 四級アンモニウム基によるカチオン誘導体化を、さらに、リン酸基、ホスホン酸 基、硫酸基、スルホン酸基またはカルボキシ基のようなアニオン基による誘導体 化と組み合わせて行われている。得られる両性デンプンとその製造法は、前掲の Solarek著“Cationic Starches”120〜121頁に開示されている〔アニオンのリン 酸基とカチオン基を含有するデンプン誘導体の製造に関する米国特許第3,459,63 2号 (Caldwellらに対し1969年8月5日付けで発行);米国特許第3,562,103号(M oserらに対し1971年2月9日付けで発行);およびアニオンのリン酸基およびカ チオンの第三級アミノ基もしくは第四級アンモニウム基を含有するデンプン誘導 体の製造に関する米国特許第4,876,336号(Solarekらに対し1987年10月24日付け で発行)も参照。なお上記諸特許の開示事項は本明細書に援用するものである〕 。 アニオンデンプンは、両性デンプンの製造について先に開示した手順にしたが ってしかしカチオン試薬は使用せずに、先に考察したようなアニオン基で置換す ることによって製造する。 アニオンデンプンまたは非イオンデンプンは、製紙工程で使用する場合、カチ オンモノマーの残基を含有する合成重合体、またはカチオンデンプンもしくは両 性デンプンのようなカチオン添加剤とともに使用される。あるいは、アニオンデ ンプンまたは非イオンデンプンは、カチオンデンプンまたは両性デンプンと組み 合わせて、熱で抑制し、そしてこの熱で抑制されたデンプン混合物を、製紙工程 の添加剤として使用してもよい。 強度助剤デンプンとして有用なアルデヒド含有デンプンは、米国特許第4,675, 394号 (Jobeらに対し1987年6月23日付けで発行)に記載されている。なおこの 特許の開示事項は本明細書に援用するものである。 これらデンプン誘導体の回収は、デンプンベースの形態によって採用される特 定の方法で容易に達成することができる。つまり、粒状デンプンを、濾過し、任 意に、水で洗浄して残留塩を除去し、次に乾燥することによって回収される。ま たその粒状デンプン生成物はドラム乾燥し、ジェット蒸煮し次いで噴霧乾燥する か、または糊化しアルコールで沈澱させて分離するか、または凍結乾燥を行って 、非粒状生成物を製造してもよい。デンプン誘導体は、非粒状の場合、透析によ って精製して残留塩類を除き、次いでアルコール沈澱法、凍結乾燥法または噴霧 乾燥法で単離することができる。 デンプンの置換基の数は置換度(DS)として定義され、その置換度は、デンプ ン分子のアンヒドログルコース単位当りの置換基の平均数を意味する。この置換 度は変えることができるが、一般に約0.005〜0.2好ましくは約0.01〜0.05の置換 度(DS)を利用できる。 高い置換度は利用できるが、そのデンプンはコスト高になりかつ製造が困難なの で経済的に魅力がない。 デンプンを製紙のウェットエンドシステムで使用したい場合、デンプンは誘導 体化され、任意に前糊化を行い次に熱で抑制される。次にそのデンプンは再び制 御された糊化を行ってもよい。 ジェット蒸煮は、デンプンを糊化する連続工程である。この工程は当該技術分 野で公知である。温度、圧力、流量、デンプンスラリーの固形分含量、および設 備の配置形態〔例えばハフル(haffle)とミキサ〕を変えることによって、熱で 抑制されたデンプン粒の一部分を水和し、断片化することなく部分的に膨潤させ 次いでその粒子の一部分を分散させて可溶化する糊化の条件を提供することがで きる。このデンプンの糊化と分散は、数秒間〜数分間の非常に短い時間で起こる 。適切な条件は、約90〜165℃好ましくは約100〜160℃さらに好ましくは約105〜 122℃の温度、および少なくとも5psi好ましくは約5〜20psiの背圧付加である がこの背圧は100psiと高くすることができる。蒸煮室内のデンプンの濃度は、少 なくとも3%好ましくは3〜7%の固形分でなければならない。 誘導体化されて熱で抑制されたデンプンは、任意に前糊化されて、あらゆる種 類と組合わせの繊維素繊維および/または合成繊維で製造されるパルプに効果的 に添加することができる。繊維素の原料としては、漂白および未漂白のサルフェ ート木材(Kraft)、漂白および未漂白のサルファイト木材、漂白および未漂白の ソーダ木材、中性サルファイト木材、セミケミカル木材、ケミグランド木材およ びグランド木材がある。合成繊維としては、ポリアミド、ポリエステル、レーヨ ンおよびポリアクリル樹脂の繊維およびアスベストとガラスのような無機物製の 繊維がある。ビスコースレーヨンまたは再生繊維素の繊維もパルプの代わりに使 用できる。 不活性の無機質充填剤、例えばクレー、二酸化チタン、タルク、炭酸カルシウ ム、硫酸カルシウムおよび珪藻土、ロジン、ならびに紙に通常導入される他の添 加剤、例えば染料、顔料、サイジング添加剤、ミョウバン、およびアニオン保持 助剤は、パルプまたは完成紙料に添加してもよい。 ウェットエンドまたは紙パルプに添加される、熱で抑制されたデンプンの量は 、パルプの乾燥重量に対し、一般に約0.05〜5重量%、好ましくは約0.1〜2重 量%の有効量である。 好ましい一実施態様で、熱で抑制されたデンプンは、単純なアルカリ性製紙系 (すなわち主としてパルプ、ミョウバンおよびデンプンを含有する製紙系)また は微細粒子コロイドの製紙系に添加される。前記アルカリ性系に含有させるのに 適切な微細粒子としては、コロイドシリカ、ベントナイトおよびアニオンミョウ バンがあり、これらは、乾燥パルプの重量に対し、通常、少なくとも0.001重量 %、より一般的には約0.01〜1重量%含有されている。かような微細粒子の無機 物質のその外の説明は、米国特許第4,388,150号(Batelsonらに対し1983年6月1 4日付けで発行);米国第4,643,801号(Johnsonに対し1987年2月17日付けで発 行);米国特許第4,753,710号(Holroydらに対し1988年6月28日付けで発行);お よび米国特許第4,913,775号(Holroydらに対し1990年4月3日付けで発行)に見ら れる。 下記式によって計算された粘度の崩壊百分率が約2〜60%になるのに十分なレ ベルまで、デンプンが熱で抑制されると、製紙時の性能が有意に改善されること が確認されたのである。 式中、ピークはブラベンダー単位(Brabender Units)のピーク粘度 で、(95℃+30′における粘度)は95℃で30分間保持した後の粘度である。 試料の調製 特に断らない限り、使用されるデンプンとフラワーはすべて粒状のもので、米 国ニュージャージー州ブリッジウォーター所在のNational Starch and Chemical Company社が提供した。 試験試料の対照物は、試験試料と同じ自生起源由来のものであり、未改質であ るかまたは試験試料と同じ方式で改質し、そして特に断らない限り同じpHであっ た。 デンプンまたはフラワーはすべて、試験試料と対照試料はともに、別個に製造 し試験した。 試料のpHは、そのデンプンまたはフラワーを、水で30〜40%固形分にてスラリ ー化し、次に所望のpHに到達するまで炭酸ナトリウム5%溶液の十分な量を添化 して上昇させた。 pHの測定は、熱による抑制のステップの前後の試料について、1量部のデンプ ンまたはフラワー:4量部の水からなる試料に対して行った。 場合によってはpHを調節した後、非前糊化粒状試料すべてを、当該技術分野で 一般に行われている噴霧乾燥またはフラッシュ乾燥を行い(糊化させることなく )、水分を約2〜15%にした。 場合によってはpHを調節した後、前糊化して粒状前糊化デンプンにするデンプ ンのスラリーを、スプレーノズルType 1/2J(米国イリノイ州ホイートン所在の Spraying Systems Comany社から入手)を使用するパイロット噴霧乾燥機Type 1- KA#4F(米国マサチューセッツ州アトルボロー・フォールズ所在のAPV Crepaco, Inc.社のDryer Divisionから入手)中に導入した。このスプレーノズルは、次の の構成要素:fluid cap 251376,air cap 4691312をもっていた 。初期冷粘度が低い試料を蒸気:デンプン比3.5〜4.5:1で噴霧し、そして初期 冷粘度が高い試料を、蒸気:デンプン比5.5〜6.5:1で噴霧した。噴霧乾燥後、 および熱による抑制の工程の脱水ステップの前の前糊化試料はすべて水分が4〜 10%であった。 ドラム乾燥によって前糊化を行った試料の場合、デンプンまたはフラワーを30 〜40%固形分にて水でスラリー化し次に所望のpHに到達するまで十分な量の5% 炭酸ナトリウム溶液を添加することによってpHを上げた。ドラム乾燥には、約14 2〜145℃の単一の蒸気加熱スチールドラムを使用した。 米国特許第5,131,953号の連続式連結ジェット蒸煮/噴霧乾燥法または米国特 許第4,280,851号 の二重噴霧化/噴霧乾燥法で前糊化された試料の場合、デンプ ンまたはフラワーを6〜10%の固形分にて水でスラリー化し、次に所望のpHに到 達するまで十分な量の5%炭酸ナトリウム溶液を添加することによって所望のpH までpHを調節した。 従来のオーブンまたはデキストリナイザーが指定されている場合を除いて、試 験試料は、米国ニュージャージー州ニューブランズウイック所在のProcedyne Co rporation社製のモデル番号FDR-100の流動床反応器で脱水して熱処理を行った。 この流動床反応器の断面積は0.05m2であった。始動床(starting bed)の高さ は0.3〜0.8mであったが通常0.77mであった。流動ガスは特にことわらない限り 空気であった。粒状の非前糊化デンプンを熱処理したとき、流動ガスは5〜15m /minの速度で使用した。前糊化された粒状デンプンを熱処理したとき、流動ガ スは15〜21m/minの速度で使用した。その反応器の側壁は熱油で加熱し、そし て流動ガスは電気加熱器で加熱した。試料を反応器中に注入した後に流動ガスを 導入したか、または流動ガスを導入しながら試料を注入した。注入の順序に よって試料に差異は全くみとめられなかった。とくにことわらない限り、試料は 、無水になるまで周囲温度からせいぜい125℃まで温度を上げ、次いで、さらに 特定の熱処理温度まで加熱した。加熱温度が160℃であったとき、その温度に到 達するまでにかかった時間は3時間未満であった。 最終加熱温度での試料の水分レベルはとくにことわらない限り0%であった。 試料の一部分を取り出し、表に示した温度と時間における抑制の程度について試 験した。 とくにことわらない限り、試料は抑制の程度について下記のブラベンダー法を 用いて試験した。 ブラベンダー法− 非前糊化粒状デンプン とくにことわらない限り、以下のブラベンダー法を利用した。トウモロコシ、 タピオカおよびもち米のフラワーを除いた全試料は、十分な量の蒸留水でスラリ ー化して、無水固形分5%のデンプンスラリーを得た。トウモロコシ、タピオカ およびもち米のフラワーは無水固形分6.3%でスラリーにした。pHはクエン酸ナ トリウム、クエン酸緩衝液でpH 3.0に調節し、次にそのスラリーを350cm/gカ ートリッジを取り付けたブラベンダーVISCO/Amylo/GRAPH(米国ニュージャージ ー州ハッケンサック所在のC.W.Brabender Instruments,Inc.社製造)の試料カッ プ中に導入した。VISCO\Amylo\GRAPHは、デンプンスラリーがプログラムされ た加熱サイクルを受けるときに現れる粘度と釣り合わせるのに必要なトルクを記 録する。その記録は、加熱サイクルを通じて、粘度を、ブラベンダー単位(BU) と呼ばれる任意測定単位で追跡する曲線で構成されている。 そのデンプンスラリーを92℃まで迅速に加熱し10分間保持する。ピーク粘度と 、ピーク粘度に達してから10分後の粘度をブラベンダ ー単位(BU)で記録した。粘度の崩壊百分率(±2%)を下記式: から計算した。式中、“ピーク”はブラベンダー単位のピーク粘度であり、“( ピーク+10′)”はピーク粘度に達してから10分間のブラベンダー単位の粘度で ある。ピーク粘度に到達しなかった場合、すなわちデータが増大(ris.)曲線ま たは平坦な曲線を示す場合、92℃での粘度および92℃に達してから30分後の粘度 を記録した。 ブラベンダー曲線からのデータを用いて、92〜95℃およびpH3で水中に5%ま たは6.3%の固形分で分散させたときに、ブラベンダーの加熱サイクル中、ブラ ベンダーデータが、(i)粘度を全く示さないかまたは、ほとんど示さず、デン プンが著しく抑制されたため糊化しなかったかまたは糊化に強く抵抗したことを 示すか;(ii)ピーク粘度なしで粘度が連続的に増大して、デンプンが高度に抑 制されていて限定された程度まで糊化されたことを示すか;(iii)対照に比べ て、ピーク粘度が低くかつピーク粘度からの粘度の崩壊率が低くて、中レベルの 抑制を示すか;または(iv)対照に比べてピーク粘度がわずかに増大しかつ粘度 の崩壊百分率が低くて、低レベルの抑制を示すかどうかで抑制の存在を決定した 。 ブラベンダー曲線による、非前糊化粒状デンプン の抑制度の特性解析 熱で抑制されたデンプンを水に分散させ次に糊化させた後のブラベンダー粘度 の測定値を参照して、より結論的に特性解析を行った。 抑制されていないデンプンの場合、粘度のサイクルは次のとおりである。すな わち通常約60〜70℃で粘性が現れ、67〜95℃の範囲の温度でピーク粘度が出現し 、そしてデンプンを高温に通常92〜95℃ に保持すると粘度の崩壊が起こる。 抑制されたデンプンは、抑制されていない同じデンプン(以後、対照デンプン と呼ぶ)とは異なるブラベンベンダー曲線を示す。抑制されたデンプンは、抑制 のレベルが低いと、対照デンプンよりいくぶん高いピーク粘度に到達し、そして 対照デンプンと比べて粘度の崩壊百分率は低下しない。抑制の程度が増大すると 、ピーク粘度と粘度の崩壊が低下する。抑制が高レベルになると、デンプン粒の 糊化率と膨潤率が低下し、ピーク粘度が消失し、そして長時間、蒸煮すると、ブ ラベンダー曲線は増大曲線になり、程度がゆっくり連続して増大することを示す 。抑制が非常に高いレベルになると、デンプン粒はもはや糊化せず、ブラベンダ ー曲線はフラットのまゝである。 ブラベンダー法−前糊化させた 粒状デンプンと非粒状デンプン 試験を行う、前糊させて熱で抑制したデンプンを、以下のように、pH3で無水 固形分が4.6%のスラリーが得られる十分な量の蒸留水でスラリーにした。すな わちスクロース132.75g、デンプン26.55g、酢酸10.8gおよび水405.9gを、設 定#1の標準の家庭用Mixmasterで3分間混合した。そのスラリーを、350cm/グ ラムのカートリッジを取り付けられたブラベンダーVISCO/Amylo/GRAPHの試料 カップに移し、次いでそのスラリーを30℃まで加熱し次に10分間保持したときに 粘度を測定した。30℃になったときと、30℃で10分間保持した後の粘度を記録し た。これらの温度における粘度のデータは、前糊化の程度を示す測定値である。 30℃における粘度が高ければ高いほど、前糊化工程での粒子の膨潤と水和の程度 が大きい。 加熱を95℃まで続け、95℃で10分間保持した。 ピーク粘度と、95℃で10分間保持した後の粘度をブラベンダー単位(BU)で記 録した。粘度崩壊百分率は前掲の式を用いて計算した。 ピーク粘度に到達しなかった場合、すなわちデータが増大曲線または平坦な曲 線を示した場合は、95℃における粘度と95℃に到達してから10分後の粘度を記録 した。 前糊化された粒状デンプンの抑制の程度の ブラベンダー曲線による特性解析 先に考察したように、熱で抑制されたデンプンの特性解析を、上記装置を用い て水に分散させ糊化させた後の粘度の測定値を参照してより結論的に行った。 前糊化された粒状デンプンの場合、冷水に分散されたときの粘度のレベルは、 デンプンが前糊化工程で最初に蒸煮された程度によって決まる。デンプン粒が前 糊化中に十分に膨潤し水和されていなかった場合、そのデンプンを水に分散させ て加熱すると糊化が続く。抑制の程度は、デンプンを固形分4.6%でpH3にて水 に分散させて95℃まで加熱したときのデンプン粘度の測定値で確認した。 前糊化された粒状デンプンの初期冷粘度が高かった場合、そのデンプンが前糊 化工程で高度に蒸煮されたことを意味し、得られるブラベンダー曲線は以下のよ うになる。すなわち高度に抑制された場合、ブラベンダー曲線は平坦な曲線にな り、そのデンプンは、すでに非常に膨潤し著しく抑制されているのでこれ以上糊 化されるのに抵抗していることを示すか、または曲線は増大曲線になって、その 後、ゆっくりした速度でかつ限定された程度まで糊化が起こっていることを示す 。一方抑制の程度が小さいデンプンの場合、曲線は下降曲線になり、粒状デンプ ンのいくらかが断片化されているが、粘度全体の崩壊の程度は抑制されていない 対照デンプンより小さいこ とを示すか、または曲線は第二ピークを示すが、粘度の崩壊は抑制されていない 対照デンプンより低い。 前糊化されたデンプンの初期冷粘度が低い場合、そのデンプンは糊化工程で高 度には蒸煮されていなかったことを意味し、初期ピーク粘度に到達するにはさら に蒸煮することが必要である。得られるブラベンダー曲線は以下のとおりである 。すなわち高度に抑制されたデンプンの場合、ブラベンダー曲線は増大曲線にな り、さらに、糊化が低速で限定された程度で起こっていることを示し;一方抑制 の程度が低いデンプンの場合、ブラベンダー曲線は、糊化が起こっているのでピ ーク粘度を示し次いで粘度は下がるが、粘度の崩壊百分率は抑制されていない対 照より低い。 ピーク粘度に到達せずすなわちデータが増大曲線またはフラットな曲線を示し た場合、95℃での粘度および95℃に到達してから10分後の粘度を記録した。 前糊化された非粒状デンプンの抑制の程度 のブラベンダー曲線による特性解析 得られたブラベンダー曲線は次のとおりである。高度に抑制されたデンプンの 場合、曲線は平坦になり、そのデンプンは著しく抑制されているのでそれ以上糊 化されるのに抵抗していることを示すか、または曲線は増大曲線になり、さらに 糊化が低速でかつ限定された程度まで起こっていることを示している。一方、抑 制の程度が低いデンプンの場合、ブラベンダー曲線は下降曲線を示すが、粘度の ピーク粘度からの崩壊全体は抑制されていない対照デンプンより低い。 ブラベンダー法−架橋されたデンプン 架橋され熱で抑制された、試験されるカチオンデンプンと両性デンプン(23.0 g)を、クエン酸−水和物の水溶液(クエン酸−水和 物210.2gをメスフラスコで1000mlまで希釈して調製)30mlと混合し、次に十分 な量の水を添加して全注入重量を460.0gにした。そのスラリーを、700cm/gカ ートリッジを取り付けたブラベンダーVISCO amylo GRAPHの蒸煮室に添加し、速 やかに室温から95℃まで加熱した。そのピーク粘度(観察される最高粘度)と、 95℃に到達してから30分後の粘度を記録した。粘度の崩壊百分率(±2%)を下 記式で計算した。 蒸煮物による抑制の特性解析 デンプンまたはフラワー(無水ベース)7gと糖14gの乾燥混合物を、Waring ブレンダーのカップ中の水91ml中に低速で添加し、次に蒸煮ビーカー(cook-up beaker)に移し、10分間静置し、次に粘度、色、透明度およびテクスチャを評価 した。 粒状の前糊化されていないデンプン試料のいくつかについて、下記の方法を利 用してペースト化温度(pasting temperature)および/または糊化温度について 試験した。 迅速ビスコアナライダー(Rapid Visco Analyzer)(RVA) この試験法を用いて、糊化の開始すなわちペースト化の温度を測定した。糊化 の開始は、デンプン粒が膨潤し始めるので、デンプンスラリーの粘度の増大で示 される。 5gのデンプン試料(無水ベース)を、Model RVA-4アナライザーの分析カッ プに入れて固形分20%で水でスラリーにする。全添加量は25gである。カップを 上記アナライザー内に入れ、160rpmで回転させ、初期温度50℃から最終温度80℃ まで3℃/minの速度で加熱する。時間、温度および粘度(センチポワズ、cP) を示すプロットが得られる。ペースト化温度は、粘度が500cPに到達する温度で ある。ペースト化温度とペースト化時間の両者を記録する。 示差走査熱量測定法(DSC) この試験法は、デンプン粒が糊化している間に起こるエネルギー転換のエンタ ルピーの定量測定値(H)を提供する。糊化に必要なピーク温度と時間を記録す る。データステーションと大容積の高圧試料セルを備えたPerkin-Elmer DSC-4示 差走査熱量測定機を使用する。正確に10mgのデンプン(乾燥ベース)および水の 合計重量(デンプンの水分と蒸留水)がほゞ40mgに等しくなるように適当な量の 蒸留水を秤取してセルの準備を行った。次にセルを密閉して4℃にて一夜平衡さ せた後、25℃から150℃まで10℃/minの速度で走査させた。空のセルをブランク として利用した。 ブルックフィールド粘度計の方法 Model RVTのブルックフィールド粘度計と適当なスピンドル(このスピンドル は物質の予想粘度に基づいて選択される)を使用して試験試料の測定を行った。 試験試料は、通常、蒸煮されたデンプンのペーストであるが、正しい位置に配置 し、次にスピンドルを試料中の適当な高さまで下げる。粘度計のスイッチを入れ 、スピンドルを、少なくとも3回転の一定の回転速度(例えば10または20rpm)で 回転させた後、読取りを行う。適当な変換係数を用いて、試料の粘度(センチポ ワズ)を記録する。 炭酸カルシウムの保持性 0.75%の添加レベルにて、ブリット・ジャー(Britt Jar)を用いるアルカリDyn amic Retention Evaluation(変形TAPPI T26pm79法)で各種試料を試験した。そ の保持性を、ジエチルアミノエチルクロリドヒドロクロリドと反応させたカチオ ンもち性トウモロコシデンプン、またはジエチルアミノエチルクロリドヒドロク ロリドおよびトリポリリン酸ナトリウムと反応させた両性もち性トウモロコシ デンプンと比較した。この試験は、直径が76ミクロンの通孔を有すするスクリー ンを備えたブリットジャーを用いて混合・撹拌しながら行った。 簡単な製紙システムをシミュレートするため、0.5重量%のパルプ紙料500mlの 試料をジャーの中に入れ、約800rpmで撹拌した。乾燥繊維(dry fiber)の0.5重量 %のミョウバンを上記パルプ紙料中に添加し、400rpmで1分間撹拌し次に混合を 1000rpmまで高めた。乾燥繊維の0.75重量%のデンプンを添加し、混合をさらに 1分間続けた。 微粒子製紙システムをシミュレートするため、0.5重量%のパルプ紙料500mlの 試料をジャーの中に入れ約800rpmで撹拌した。乾燥繊維の0.25重量%の、ミョウ バンを、上記パルプ紙料中に添加し、400rpmで1分間撹拌し、次に混合を1000rp mまで高めた。乾燥繊維の0.75重量%のデンプンを添加し、混合をさらに1分間 続けた。コロイドシリカを乾燥繊維の0.15重量%で添加し、その試料をさらに1 分間撹拌した。 添加/混合を行った後、クランプを外して100mlの試料を集めた。その試料を 5N塩酸で酸性にして炭酸カルシウムを可溶化し、次にテアード濾紙(Tared fi lter paper)で濾過して微細固形分を回収した。指示薬のEriochrome Black“T ”を添加し、0.1Nのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の二ナトリウム塩で、校 正ビューレットを使って滴定して標準の水硬度滴定を行った(この二ナトリウム 塩標準溶液による終点は青色である)。同じ滴定を、出発パルプ試料の一部分を 酸性化した試料および使用した100ppm硬度の水の試料25mlについて実施し、この 情報によって、炭酸カルシウム(CaCO3)の保持百分率を下記式を用いて求めた。 式中、Pはパルプ試料に対するEDTAのml、Wは原水ブランクに対するEDTAのml、 およびSは試料に対するEDTAのmlである。 排水抵抗(drainage resistance) 排水抵抗試験を、タービュレントパルスシートフォーマー(turbulent pulse s heet former)(TPSF)を用いて、完成紙料について実施した。このTPSFは、工業用 製紙機の動力学をシミュレートするため、空気と減圧を組み入れた改変ブリット ジャーである。0.5%コンシステンシーの完成紙料(200ml)を水で1lまで希釈し 、TPSFに添加して80lb/3330ft2の上質紙(fine paper)グレードをシミュレー トとした。下記のものを記載した順序で完成紙料に添加し、各々添加後、1000rp mで30秒間混合した。すなわちミョウバン(パルプ紙料に使用した乾燥繊維の0.2 5重量%)、デンプン(乾燥繊維の0.75重量%)、コロイドシリカ(乾燥繊維の0 .15重量%)を順に添加した。製紙条件は、20in.Hgの空気圧または10in.Hgの真 空圧;空気と真空を引く全パルスカウント3である。完成紙料および添加剤から の水排出の抵抗性を各試料について測定し、対照としてカチオンデンプンを使っ て比較した。対照の測定値を100としてカチオンデンプンに対して測定した比較 値を後記の表に示す。 結合強さ(bond strength) 排水抵抗試験を行った後、TPSF上に形成されたシートをプレスし乾燥し、スコ ット結合強さ(Scott Bond Strength)について試験した。これらシートは、21.5 ℃および相対湿度50%で一夜コンディショニングを行った。TAPPI試験法T541om- 89を利用した。対照の測定値を100としてカチオンデンプンについて測定した比 較値を後記の表に示す。 実施例 以下実施例によって本発明の諸実施態様を一層十分に例示する。これら実施例 において、特にことわらない限り、量部はすべて重量で示し、そして温度は℃で ある。以下の実施例の熱で抑制されたデンプンと対照のデンプンは、上記のよう にして製造され、テクスチャの特性解析または上記方法を用いてブラベンダー曲 線から得たデータに関連して定義される。熱で抑制されたデンプンとフラワーは “T−I”デンプンおよび“T−I”フラワーと呼称され、そしてそれらを製造 するのに利用された条件すなわちデンプンが調節されたpHおよび熱処理温度とそ の温度での熱処理時間は括弧内に入れてある(pH;温度/その温度での保持時間 )。pHの調節はすべて、特にことわらない限り炭酸ナトリウムで行う。特にこと わらない限り、“粒状”デンプンと呼称される熱で抑制されたデンプンとフラワ ーは、前糊化されていない粒状のデンプンとフラワーである。 最初の三つの実施例で、示されている水分は、脱水および熱処理のステップの 前のデンプンの水分である。上記のように、これらのデンプンは、周囲温度から 加熱温度まで温度が上げられたとき、無水かまたは実質的に無水になった。 これらの表の中の略語“sl.”,“mod.”,“v.”,“ris.”および“N.D.” はわずかのまたはわずかに、中位のまたは中位に、非常に、増大しているおよび 測定されないを意味する。 実施例1 この実施例は、本発明の熱処理法による、商業用の粒状もち性トウモロコシベ ースのデンプンからの本発明のデンプンの製造を例示する。 もち性トウモロコシデンプンの加工条件とその加工条件の該トウモロコシデン プンの粘度とテクスチャに対する効果を以下の表に示 す。 熱に対し安定で非粘着性の増粘剤を得るため、粒状デンプンの試料を水1.5量 部でスラリーにし、そのスラリーのpHをNa2CO35%溶液を添加して調節し、次に そのスラリーを1時間撹拌し、濾過し、乾燥し次いで粉砕した。その乾燥デンプ ンの試料(150g)をアル IとIIに記載の条件下、通常のオーブンで加熱した。ブラベンダー粘度の測定値 は、最も熱に対し安定なデンプンは、160℃でpHが少なくとも8.0にて、約3.5〜6 .0時間加熱することによって得られたことを示した。 実施例2 この実施例は、各種の粒状デンプンを本発明の方法で処理して、化学的に架橋 させたデンプンに類似の特性を有する非粘着性増粘剤が提供されることを示す。 処理条件、ならびにもち性大麦、タピオカ、V.O.ハイブリッドおよびもち米の デンプンの粘度とテクスチャに対する加工条件の効果を以下の表に示す。 上記の粘度とテクスチャの評価結果は、本発明の方法によって、もち性大麦、 V.O.ハイブリッド、タピオカおよびもち米のデンプンから、非粘着性で熱に安定 なデンプン増粘剤を製造できることを示している。抑制の程度(蒸煮された水性 分散液の非粘着性の増粘特性)は熱処理時間が増すにつれて増大した。 実施例3 この実施例は、処理されたデンプンの粘度とテクスチャに対する温度、pHおよ びデンプンの水分の影響を示す。 パートA 水分が20.4%のもち性トウモロコシデンプン試料(100g)を、密閉したガラス 製ジャーに入れてオーブン内で100℃にて16時間加熱した。同じ条件下で、第二 試料を4時間加熱し次に第三試料を7時間加熱した。生成物の粘度とテキスチャ を、実施例1、表Iの蒸煮評価法を用いて、水分が12.1%の粒状もち性トウモロ コシデンプンの対照と比較した。結果を下記表Vに示す。 上記試験結果は、工程中に水分を添加すると、加熱されなかった対照のデンプ ンと同様に粘着性で望ましくない生成物が生成することを示している。 パートB 商業用粒状もち性トウモロコシデンプン(米国ニュージャージー州ブリッジウ ォーター所在のNational Starch and Chemical Company社から入手した)を10″ ×15″×0.75″のアルミニウム製トレーに入れ、180℃のオーブンで、15,30,4 5および60分間加熱した。デンプンのpHは、加熱工程中、調節せず約5.2のまゝに しておいた 。試料の粘度とテクスチャを実施例1の方法で評価した。 下記の表VIに示すように、pH5.2の試料は、加熱処理を行わなかったもち性ト ウモロコシデンプンの対照と類似の望ましくない粘着性のテクスチャが特徴であ った。 したがって、pH、水分および原デンプンの種類を含む選択された因子の組合わ せによって、望ましい非粘着性で熱に対して安定なデンプン増粘剤が本発明の工 程で製造されるかどうかが決まる。 実施例4 この実施例は、先に説明した流動床で熱による抑制を行うことを示す。pH9.5 のもち性トウモロコシ粒状デンプンの抑制のレベルに対する、温度および指示さ れた温度下での時間の影響を以下に示す。 上記データは、抑制された無水のまたは実質的に無水の試料は100〜200℃の熱 処理温度で得られ、さらに高い抑制度はさらに高い熱処理温度またはより低い温 度でより長期間の熱処理で得られることを示している。200℃で加熱されたデン プン試料は高度に抑制された(増大曲線)かまたは完全に抑制された(糊化せず )。 実施例5 その自然pHおよびpH9.5における高アミロースデンプン(Hylon V−50%アミロ ース)の試料を、高アミロース含量の抑制度に対する影響について評価した。こ れらのデンプンは、流動床内で、160℃にて指示された時間、熱で抑制した。ア ミロースの濃度が高いため、ブラベンダー曲線を得るため加圧Visco/amylo/Gr aph(米国ニュージャージー州ハッケンサック所在のC.W.Brabender社)を使用する ことが必要であった。試料は、デンプン固形分10%でスラリーにし、120℃まで 加熱し、30分間保持した。 結果を以下に示す。 上記データは、抑制がpHの高い試料にのみ達成されたことを示している。 実施例6 この実施例は、前糊化がなされた粒状の、熱で抑制されたもち性トウモロコシ デンプンの製造を示す。前糊化ステップは熱による抑制を行う前に行った。先に 説明した流動床を使用した。 pHを6.8および10に調節したデンプンスラリー(固形分30〜40%)を、米国イ リノイ州ホイートン所在のSpraying Systems Company社から入手したType 1/2J のスプレーノズルを使ってパイロットサイズスプレードライヤー(米国マサチュ ーセッツ州アトルボロ・フォールズ所在のAPV Crepaco,Inc.社Dryer Division から入手したType-1-KA#4F)で前糊化を行った。そのスプレーノズルは以下の構 成:流体キャップ、251376および空気キャップ4691312のものであった。 得られた高粘度および低粘度の前糊化された粒状デンプンは、脱水され次いで 指定の温度と時間で熱処理された。これら熱で抑制されたデンプンの抑制度を、 先に説明したブラベンダー法で評価した。 試験結果を以下に示す。 上記試験結果は、脱水し熱処理された前糊化粒状デンプンすべてになんらかの 熱による抑制が達成されたことおよび初期pHが高くな り、そして熱処理時間が長くなるにつれて抑制のレベルが高くなったことを示し ている。pHが6.0で0minおよび30minの試料について記録されたピークは、実際 は、初期の高い粘度が崩壊し始めた後にもたらされた第二ピークであった。pH10 の試料のうちいくつかは、ピーク粘度に到達しなかったが、これは高度に抑制さ れたデンプンを示している。 実施例7 この実施例では、もち性トウモロコシデンプンのみならず追加のデンプンベー ス由来の熱で抑制された前糊化粒状デンプンの製造について述べる。粒状デンプ ンを指定のpHに調節し、先に述べた方法を用いて前糊化を行い、次いで140℃の オーブンで指定の時間熱処理した。蒸煮物の評価とブラベンダー試験の結果を以 下に示す。 上記試験結果は、熱で抑制された前糊化粒状デンプンが他のデンプンベースを 使って製造できること、および脱水と熱処理に流動床ではなくてオーブンを使用 した場合、非粘着性デンプンを得るには、一層長い時間および/または一層高い pHが必要であることを示している。 実施例8 この実施例は、ドラム乾燥で前糊化され次に熱で抑制された前糊化非粒状デン プンの製造を示す。 pHが6.8および10のもち性トウモロコシ、タピオカおよびジャガイモのデンプ ンの試料をドラム乾燥で前糊化を行った。これらの試料を140℃のオーブンに入 れて脱水し無水にし、次いで140℃にて指定の時間、熱処理した。 熱で抑制されたデンプンの粘度とテクスチャ特性を以下に示す。 上記デンプンのうちいくつかについてブラベンダー試験を行った。試験結果を 以下に示す。 上記試験結果は、140℃で非粘着性のデンプンを製造するにはより長い加熱時 間および/またはより高いpHが必要であること示している。好ましくは流動床を 用いて160℃で加熱すれば非粘着性のデンプンが得られると考えられる。 実施例9 この実施例は、ジェット蒸煮を行い、噴霧乾燥を行い、次に熱で抑制した他の 前糊化非粒状デンプンの製造を示す。 粒状の高アミロースデンプン(アミロース50%)を、米国特許第5,131,953号 に記載されている連続式連結ジェット蒸煮/噴霧乾燥法を用いてジェット蒸煮し 次いで噴霧乾燥を行い、次に140℃で8時間、熱で抑制を行った。利用したジェ ット蒸煮/噴霧乾燥の条件は次のとおりである。スラリー−pH8.5〜9.0;蒸煮物 固形分−10%;moynoの設定−約1.5;蒸煮温度−約145℃;過剰蒸気−20%;ボ イラー圧−約85psi;背圧−65psi;噴霧乾燥機−Niro dryer;入口温度−245℃ ;出口温度−115℃;アトマイザー−遠心ホイール。前糊化された非粒状デンプ ンを、pH8.7に調節し、140℃の オーブンで8時間かけて脱水と熱処理を行った。得られた熱抑制デンプンの特性 を以下に示す。 上記試験結果は、高アミロースデンプンでさえも抑制できることを示している 。熱によって抑制されたデンプンは粘度の崩壊が少なく、全般的に粘度が高かっ た。 実施例10 この実施例は、熱で抑制されたもち性トウモロコシデンプンが、デンプンをド ラム乾燥した後に熱で抑制することによって製造できることを示している。得ら れた、非粒状の熱抑制されたドラム乾燥デンプンを、実施例8で利用した連続的 連結ジェット蒸煮/噴霧乾燥法で製造した非粒状の熱抑制されたもち性トウモロ コシデンプンおよび米国特許第4,280,251号に記載されている二重噴霧化/噴霧 乾燥法(実施例6で利用した)で製造した粒状の熱抑制デンプンと比較する。オ ーブンでの脱水と熱処理で利用した条件は140℃で8時間であった。 得られた熱で抑制された前糊化デンプンの特性解析結果を以下に示す。 上記試験結果は、前糊化を行い熱で抑制したデンプンはすべて、140℃で8時 間熱処理を行った後、粘度の崩壊が著しく少なかったことを示している。またこ の試験結果は、デンプン粒を、ドラム乾燥またはジェット蒸煮などによって完全 に破裂させると、より高い抑制度とともより高いピーク粘度がえられることを示 している。 実施例11 この実施例は、粒状デンプンがエタノール抽出法によって脱水することができ 、より優れたテイスティング(tasting)デンプンが得られることを示している。 粒状もち性トウモロコシデンプンを、デンプンの重量に対して1.5量部の水で スラリーにし、次に5%炭酸ナトリウムでpHを7と9.5に調節して30分間保持し 、濾過し、次にトレー上で水分が約5〜6%になるまで乾燥した。pHを調節しな かった原デンプンのpHは5.3であった。 脱水を行う場合、上記乾燥された、pHが5.3,7.0および9.5のデ ンプンを各々二つの試料に分けた。一方の試料は、強制通風オーブン内のトレー 上で一夜80℃で乾燥して、1%未満(0%)の水分まで熱で脱水した。もう一方 の試料は、ソックスレー抽出器に入れ、無水エタノール(沸点78.32℃)を一夜 (約17hr)還流させた。そのエタノールで抽出した試料は紙の上に置いて、過剰 のアルコールを約30分間で除くことができた。そのエタノールで抽出されたデン プンは自由に流動する粉末であり、乾燥して試験に供した。 熱処理を行う場合、オーブンで脱水したデンプンとエタノールで抽出したデン プンは、強制通風オーブン内のトレーの上に置いて、160℃にて3.5および7hr加 熱した。 熱で抑制された(T−I)デンプンと対照デンプンを、先に記載したブラベン ダー法を用いて評価した。得られた結果を以下に示す。 上記試験結果は、これらのデンプンがエタノール抽出によって脱水できること を示している。また上記試験結果は、脱水し、続いて 熱処理を行わなかった場合、デンプンを抑制しなかったことも示している。粘度 の崩壊は、原もち性トウモロコシデンプンと余り差はなかった。熱で抑制された pH7のデンプンは、pH5.3(そのまゝ)の熱で抑制されたデンプンより粘度が高 かった。pH9.5にて熱で抑制されたデンプンは、中位に高く抑制されていたかま たは高度に抑制されていた(増大曲線)。 実施例12 粒状のタピオカ、トウモロコシおよびもち米のデンプンならびにもち米の穀粉 を、pH9.5に調節し、オーブンで脱水し、エタノールで抽出し、次いで160℃にて 指定の時間、熱処理を行った。これらの試料を、先に記載した方法を用いてブラ ベンダー粘度について評価した。 ブラベンダーの試験結果は以下のとおりである。 上記試験結果は、pHを9.5に調節し、エタノールで抽出し、熱処理を行ったタ ピオカとトウモロコシのデンプンがオーブンで脱水して熱で抑制された同じデン プンとほゞ同じ粘度曲線を有していたことを示している。7時間熱処理した試料 の方が、5時間熱処理した試料より抑制されていた。 実施例13 この実施例では、エタノール抽出した粒状もち状トウモロコシデンプンとオー ブンで脱水した粒状もち状トウモロコシデンプンを、同じpHすなわち8.03にて、 160℃のオーブンで5hrおよび7hr熱処理して比較する。 ブラベンダーの試験結果を以下に示す。 熱で抑制したデンプンを固形分6.6%(無水ベース)でスラリーにし、pHを6.0 〜6.5に調節し、次いで沸水浴内で20分間蒸煮した。得られた蒸煮物を冷却させ 、次に粘度、テクスチャおよび色について評価した。 これらのブラベンダー試験の結果は、高度に抑制されたデンプンは、熱による 脱水と熱によない脱水の両方で得ることができることを示している。色を評価し た結果は、エタノールで脱水し熱で抑制したデンプンの場合、着色が少ないとい う利点があることを示している。以下に示すように、エタノールによって脱水す ると香りも改善される。 実施例14 粒状、もち性トウモロコシデンプンのpHを、既に述べたようにpH9.5となるよ うに調整した。このデンプンを凍結乾燥機にいれ、無水(水分0%)となるまで 3日間乾燥した。凍結乾燥(FD)したデンプンを、強制通風オーブン中で、160 ℃で、6時間及び8時間熱処理した。 ブラベンダー評価を行った。結果を以下に示す。 実施例15 この例は、熱抑制により粒状もち性トウモロコシデンプンの糊化温度が低下し たことを示す。未処理もち性トウモロコシ、熱抑制(T−I)もち性トウモロコ シ(pH調整及びpH調整せず)、及び化学的に交差結合している(X−結合)もち 性トウモロコシデンプン(0.02%、0.04%、及び0.06%オキシ塩化リン)につい て、その糊化温度を示差走査熱分析により測定した。これらデンプンは、示され た時間及び温度で、オーブン中で、脱水され熱処理された。 ピーク糊化温度及びエンタルピー(ΔH)を以下に示す。 結果は、熱抑制(T−I)デンプンのピーク糊化温度が著しく低下したことを 示す。熱処理によりエンタルピー(ΔH)は、未改質デンプンの4.3cal/gに対 し2.8〜2.9cal/gに低下した。化学的に交差結合(X−結合)しているデンプ ンは、未改質もち性トウモロコシデンプンとは、ピーク温度(72〜74℃対74℃)及 びエンタルピー(4.2〜4.4対4.3cal/g)がほぼ等しい。糊化温度の降下及びエン タルピーの低下は、全体的な粒子構造が脱水及び熱処理により変化したことを示 唆している。 実施例16 この例は、熱抑制が110℃(230°F)で既に開始しているかもしれないこと、そ して160℃(320°F)で実質的に認められること、を示す。粒状もち性トウモロコ シデンプンのpHを7.0及び9.5に調整し、示された温度及び時間、既に記載した流 体床で9.4℃(14°F)以下の露点を有する空気を用いて脱水し熱処理した。ブ ラベンダー及びDSC結果を以下に示す。 このDSCの結果は、抑制の始まりではピーク糊化温度に僅かの低下が見られる こと、抑制温度及び時間が大きくなるとピーク糊化温度が低下することを示す。 エンタルピーは変わらないか、僅かに高くなり、これは前の例における、より強 く抑制されたデンプンのエンタルピーと異なる。 実施例17 この例は、加熱、エタノール抽出、凍結乾燥など種々の方法で脱水された種々 の粒状デンプンベース及び粒状もち性トウモロコシデンプンについて、RVAペー スト化温度及び時間、DSCピーク糊化温度及び時間、ブラベンダー粘度の減少及 び崩壊の関連性を示す。ベースデンプンは改質されなかった。これらデンプンは すべて脱水前にpH9.5に調整された。エタノール抽出及び凍結乾燥対照例は、pH 調整及び脱水されたが、熱処理されなかった。脱水デンプンはすべて、示された 時間、オーブン中で160℃で熱処理されたが、ナトリウムトリメタフォスフェー ト(STMP)で化学的に交差結合されているデンプンについては、160℃で示され た時間、さきに述べた流体床で熱処理された。 結果を以下に示す。 結果は、熱脱水及び非熱脱水した粒状デンプンを熱処理することにより、ペー スト化温度及びピークペースト化温度が低下する一方、同時に粘度崩壊を抑制す ることを示す。ペースト化温度が脱水デンプンの温度処理により低下するため、 ペースト化温度及び粘化温度に達するための時間が減少する。より強く抑制され たデンプンは、ペースト化温度が低く粘度の崩壊が少なくなる。 実施例18 オキシ塩化リン0.04%で僅かに交叉結合している粒状もち性トウモロコシデン プンを熱抑制した。この粒状デンプンを連続的連結ジェット蒸煮/噴霧乾燥法に より、実施例8に示した条件でジェット蒸煮し、噴霧乾燥した。この噴霧乾燥デ ンプンをオーブンで8時間、140℃で脱水、熱処理した。 生じた熱抑制デンプンのブラベンダーの結果、粘度及びテクスチャ特性を以下 に示す。 結果は、脱水及び熱処理後は、交叉結合デンプンは極めて高く抑制されている こと、を示す。 実施例19 この例は、転化デンプンの熱抑制を示す。 もち性トウモロコシデンプン及びタピオカデンプンの試料を1.5部の水でスラ リー化した。これらスラリーを52℃水浴中にいれ、撹拌し、1時間平衡化した。 濃塩酸(HCL)を試料重量に対して0.8%添加した。試料を52℃で1時間放置して転 化するようにした。次に炭酸によりpHを5.5に調整し、次いで水酸化ナトリウム によりpH8.5とした。この試料をフィルター処理し空気乾燥(ほぼ11%水分)し て回収した。50g量のデンプンをアルミニウムトレイにとり、覆い、140℃の強 制通風オーブン中で5.5時間処理した。そのデンプンを、抑制について評価した 。 結果を以下の表に示す。 結果は、転化デンプンがこの方法によって熱抑制されることを示す。 実施例20 自然に生じるpH及びpH9.5について、酸化プロピレン(PO)7%及び3%で反 応させたもち性トウモロコシ試料を、抑制について評価した。 結果を以下の表に示す。 データは、誘導体デンプン、この例の場合にはエステル化デンプンは、この方 法により熱抑制されること、また高いpHにより高い抑制が達成されること、を示 している。 実施例21 転化ヒドロキシプロピル化もち性トウモロコシデンプン(2%酸化プロピレン で反応させた25WFデンプン)をpH9.5に調整し、先に述べた流体床を用いて熱抑 制した。試料を110℃、125℃、140℃(すべて0分)でとりあげた。 これら熱抑制デンプン試料を30〜60分、30〜93℃(190〜200°F )の浴温度としたタップ(水栓)水中で蒸煮して、ブルックフィールド粘度がほ ぼ300cpsである溶液を得た。室温で粘度安定性を評価した。対照例は、熱抑制さ れていないヒドロキシプロピル化もち性トウモロコシデンプンであった。 結果を以下の表に示す。 実施例22 自然に生じるpH及びpH8.5のもち性トウモロコシ試料を無水酢酸(AC2O)と反 応させ、熱抑制した。対照例は熱抑制されていないもち性トウモロコシデンプン 酢酸塩であった。 結果を以下に示す。 データは、誘導体デンプン、この例の場合エステル化デンプンは種々の程度に抑 制できること、及びより強い抑制はより高いpHにより得られること、を示してい る。 実施例23 この例は、単純な製紙系及び微粒子製紙系における熱抑制カチオン系デンプン の調製及び使用、を示す。 粒状、もち性トウモロコシデンプン(1000g)を1500cc水中でスラリー化し、 175gの4%水酸化ナトリウムを添加し、このスラリーを40℃に加熱した。3− クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの50%水溶液 を100g添加する一方、4%水酸化ナトリウムを添加することによりpHを11.5に 保持した。こ の混合物を一晩40℃に放置して反応させた。このスラリーを、塩酸でpH6.5に調 整し、フィルタ処理し、洗浄し、空気乾燥して水分約8−15%とした。置換度は 0.04であった。 上記カチオンデンプン誘導体の一部を、0.01重量%のエピクロロヒドリンで、 16時間、40℃で化学的に交又結合させ、pH6.0に中和し、フィルタ処理し、水で 洗浄し(デンプン1部につき2部の水)、空気乾燥に水分約8−15%とした。 上記の化学的交又結合したカチオンデンプンの一部を、炭酸ナトリウムの5% 溶液でpH9.5に調整することにより、熱抑制し、糊化させることなく噴霧−乾燥 して3−15%水分とした。そして熱脱水し、このカチオン性の、化学的交又結合 した粒状デンプンを、先に述べた流体床で熱処理した。 製紙組成に添加する前にこのデンプン試料を固型分4−6%でスラリー化し、 ミニジェット煮沸器(市販のジェット蒸煮器をシミュレートして小型化したジェ ット煮沸器)中で、制御された活性蒸気を用いて105−122℃の温度で、適用背圧 34.5乃至137.8kPa(5−20psi)で蒸煮した。このミニジェット蒸煮器は5.0mlの蒸 煮室容量をもっていた。デンプンは、約2−3秒の滞留時間で約130ml/分の流 量で蒸煮室を通過した。 標準的な製紙組成を、パルプ素材を用いて調製した。このパルプ素材は、漂白 ハードウッドクラフトパルプ(BHWK)と漂白ソフトウッドクラフトパルプ(BSWK )の水性スラリーからなるものであった。このパルプ素材(80重量%BHWK及び20 重量%BSWK)を水性溶液中で精製して約400CSF(Canadian Standard Freeness) 、pH7.8−8.2、とした。このパルプ素材は沈澱炭酸カルシウム充填材(繊維の30 重量%)、8−10重量%の繊維微細物及び37−42量%の全微細物、を含んでいた 。 単純製紙系及び微粒子製紙系について、炭酸カルシウム保持、乾燥強度、及び 排水抵抗、を評価した。熱抑制されないカチオンデンプンを比較例として使用し た。 結果を以下に示す。 この結果は、単純な製紙系では軽く抑制されたデンプン(0分で120℃及び15 分で125℃)が、炭酸カルシウム保持及び乾燥結合強度の双方で比較例よりも良 好であること、熱抑制された化学的交又結合したカチオンデンプと乾燥強度につ いて同じ位良好であるが、炭酸カルシウム保持についてはそうでないこと、を示 している。 微粒子系では、極めて軽く抑制されたデンプン(120℃で0分)は、非抑制対照 例よりも乾燥結合強度及び排水抵抗が良好であり、炭酸カルシウム保持について は対照例と同程度であった。軽く抑制されたデンプン(125℃で15分及び130℃で 0分)は、熱抑制されていない比較例よりも、炭酸カルシウム保持、乾燥結合強 度、排水抵抗が良好であった。強く抑制されたデンプン(160℃)は、炭酸カルシ ウム保持及び乾燥結合強度について不満足なものであった。 デンプン試料は3%固型分について、ブルックフィードル粘度を、5番スピン ドルを20rpmで試験した。 結果は、熱抑制されたデンプンの粘度(<60から1900cps)が、熱抑制され化学 的に交又結合されたデンプン(3650cps)よりもはるかに低いこと、を示している 。このことは製紙の場合、パルプスラリー機がポンプ作動しなければならないか ら、著しい利益である。 ブラベンダー分析を、160℃で120分熱抑制したデンプンについて行った。粘土 崩壊率は2%であった。 実施例24 カチオン性モチ性トウモロコシデンプンを、十分な3−クロロ−2−ヒドロキ シプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを用いて四級アンモニウム基として 約0.30−0.36%の結合窒素を生じるように使用して、調製した。このカチオンデ ンプンを、示された温度及び時間で、先に述べた流体床で熱抑制した。熱抑制し たカチオンデンプンを4%固型分として、104℃(220°F)の温度、137.8kPa(20p si)の圧力、ポンプ速度3.1で、先に述べたミニジェット蒸煮器で蒸煮した。 蒸煮したデンプンを、標準的な80/20ハードウッド:ソフトフッド漂白クラフ トパルプ(pH 7.8)及び30%炭酸カルシウムを用いた二種のアルカリ保持系で評 価した。微粒子系は0.25%(5ポンド/ トン)みょうばん、0.75%(15ポンド/トン)デンプン、及び0.15%(10ポンド /トン)シリカ、を含んでいた。ポリマー系は0.5%(10ポンド/トン)みょう ばん、0.75%(15ポンド/トン)デンプン、及び保持助剤として0.05%(1ポン ド/トン)のポリアクリルアミド(Nalco 625)の33%エマルジョンを含んでいた 。比較例として熱抑制されないカチオンデンプンが使用された。 結果を以下に示す。 結果は、より軽く抑制されたデンプン(130℃で0分及び15分、及び140℃で0 分)が、抑制されていないカチオンデンプンよりも炭酸カルシウム保持が良好で あること、を示している。より強く抑制されたデンプン(140℃で15分)は、抑制 されていないカチオンデンプンよりも低い炭酸カルシウム保持を示す。 実施例25 この例は、熱抑制カチオン性及び両性もち性トウモロコシデンプンのアルカリ ファイン紙における使用、を示す。 カチオン性もち性トウモロコシが上記のように調製された。 両性もち性トウモロコシは、約0.08〜0.12%結合燐酸塩(十分量のナトリウム トリポリフォスフェートと反応させて得られた)を含む粒状アニオン系もち性ト ウモロコシを、十分量の3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモ ニウムと反応させて0.25− 0.32%結合窒素を生じさせることにより、調製した。 このカチオン性及び両性デンプンをpH9.5に調整し、脱水し、記載された時間 及び温度で、先にのべた流体床で熱処理した。 熱抑制デンプンは、既に述べたようにジェット蒸煮し、0.25%(5ポンド/ト ン)みょうばん、0.75%(15ポンド/トン)デンプン、及び0.15%(3ポンド/ トン)のシリカを含む微粒子製紙系、及び0.5%(10ポンド/トン)みょうばん 、0.75%(15ポンド/トン)デンプン、及び保持助剤として0.05%(1ポンド/ トン)のアニオン性ポリアクリルアミド(Nalco625)を含むポリマー系、につい て評価した。 カチオン性デンプンの炭酸カルシウム保持データを以下に示す。熱抑制されな いカチオン性デンプンが対照例に使用された。 結果は、より軽く抑制されたカチオン性デンプン(130℃で15分、及び140℃で 0分)が、対照例よりも、微粒子系において良好であること、またポリマー系に おいて、すべての軽く抑制されたデンプンが対照例よりも良好であること、を示 している。 両性デンプンの炭酸カルシウム保持データを、以下にしめす。熱抑制されない 両性デンプンが対照例として使用された。 結果は、抑制されたデンプンは、対照例よりも良好であることを示している。微 粒子系及びポリマー系におけるTPSF排水データを以下に示す。 結果は、排水能力が満足のゆくものであることを示す。 以上に本発明の好ましい実施態様について詳細に記載したが、当業者には種々 の改変及び改善を考えつくことができよう。したがって、本発明の精神及び範囲 は、添付の請求の範囲及び先の明細のみに限定されるべきである。
【手続補正書】 【提出日】1997年9月11日 【補正内容】 (1)(イ) 明細書第1頁第3行において「技術文野」とあるを『技術分野』に補 正します。 (ロ) 明細書第3頁第17行において「好ましくは49℃〜120°F」とあるを『 好ましくは49℃(120°F)』に補正します。 (ハ) 明細書第6頁第6〜7行において「ゲル化するようなる。」とあるを『 ゲル化するようになる。』に補正します。 (ニ) 明細書第11頁第4行において「“さくさくした」とあるを『“さくさく した”』に補正します。 (ホ) 明細書第20頁第11行において「還境」とあるを『環境』に補正します。 (ヘ) 明細書第27頁第14行において「添化」とあるを『添加』に補正します。 (ト) 明細書第27頁第26〜27行において「次のの」とあるを『次の』に補正し ます。 (チ) 明細書第31頁第3行において「ブラベンベンダー」とあるを『ブラベン ダー』に補正します。 (リ) 明細書第1〜2行において「有すする」とあるを『有する』に補正しま す。 (ヌ) 明細書第37頁第12行において「80lb/3330ft2」とあるを『0.118kg/m2 (80lb/3330ft2)』に補正します。 cm×12.7cm×3.8cm(4in.×5in.×1.5in.)』に補正します。 (ヲ) 明細書第45頁第11〜12行の表V中の「1.試験」の部分を削除します。 (ワ) 明細書第45頁下から3行目において「10″×15″×0.75″」とあるを『 25cm×38cm×1.9cm(10in.×15in.×0.75in.)』に補正します。 (カ) 明細書第57頁下から15行目において「必要であること示して」とあるを 『必要であることを示して』に補正します。 (ヨ) 明細書第59頁下から11行目において「抑制度とともより高いピーク粘度 」とあるを『抑制度と共により高いピーク粘度』に補正します。 (タ) 明細書第70頁下から16行目及び下から9行目において「160°F」とあ るを『160℃』に補正します。 (レ) 明細書第78頁下から2行目において「カチオンデンプ」とあるを『カチ オンデンプン』に補正します。 (ソ) 明細書第79頁下から2行目において「ブルックフィードル」とあるを『 ブルックフィールド』に補正します。 (2) 請求の範囲を別紙の通り補正します。 請求の範囲 1.ウェットエンド添加剤として、紙の中に均質に分散された、熱により抑制 されたデンプンを有効量含む紙であって、前記熱により抑制されたデンプンが、 (a)デンプンを1%未満の水分含量まで脱水してこのデンプンを無水物にしも しくは実質的に無水物にし、そして(b)この無水物もしくは実質的無水物のデ ンプンを100℃以上の温度において20時間まで加熱処理することにより製造され る紙。 2.熱により抑制されたデンプンが、熱により抑制された前糊化されていない 粒状の穀物のデンプン、塊茎のデンプン、根のデンプン、豆果のデンプン、又は 果実のデンプンであり、デンプンが脱水工程の前に7〜10のpHにされ、脱水工程 が加熱脱水工程であり、加熱処理温度が110〜160℃であり、加熱時間が3時間以 下であり、そして脱水及び加熱処理工程が流動床において同時に行われる、請求 項1記載の紙。 3.熱により抑制されたデンプンが、トウモロコシ、エンドウ豆、エンバク、 ジャガイモ、サツマイモ、バナナ、大麦、小麦、米、サゴ、アマランス、タピオ カ、モロコシ、もち性トウモロコシ、もち性タピオカ、もち米、もち性大麦、も ち性ジャガイモ、もち性モロコシ、及びアミロース含量が40%以上のデンプンか らなる群より選ばれる、誘導体化されそして所望により化学的に架橋されたデン プンであり、この誘導体化されたデンプンが、カチオンデンプン、アニオンデン プン、非イオン性デンプン、又は両性デンプンである、請求項2記載の紙。 4.紙料をワイヤ上に送る前のいずれかの段階において、紙料に、熱により抑 制される前もしくは後に所望により化学的に架橋された、分散された、熱により 抑制されたカチオンもしくは両性のデンプンを添加することを含み、この熱によ り抑制されたデンプンが、(a)カチオンもしくは両性デンプンを1%未満の水 分含量まで脱水してこのカチオンもしくは両性デンプンを無水物にしもしくは実 質的に無水物にし、そして(b)この無水物もしくは実質的無水物のデンプンを 100℃以上の温度において20時間まで加熱処理することにより製造される、紙の 製造方法。 5.(a)水、(b)セルロース繊維、(c)無機物充填材、(d)内部に均 質に分散された、熱で抑制されたデンプン、(e)所望によりアルミニウム供与 体、(f)所望により微細粒子、(g)所望により、微細粒子としてベントナイ トが存在する場合に、保持助剤及び排水助剤としてのポリアクリルアミド、及び (h)所望によりサイズ剤を含有し、熱により抑制されたデンプンが、(a)デ ンプンを1%未満の水分含量まで脱水してこのデンプンを無水物にしもしくは実 質的に無水物にし、そして(b)この無水物もしくは実質的無水物のデンプンを 100℃以上の温度において20時間まで加熱処理することにより製造される、紙料 。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U G),UA(AZ,BY,KG,RU,TJ,TM),A L,AM,AT,AU,AZ,BB,BG,BR,BY ,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES, FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LK,LR,LS,LT,LU,LV ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN (72)発明者 ジェフコート,ロジャー アメリカ合衆国,ニュージャージー 08807,ブリッジウォーター,ダウ ロー ド 847 (72)発明者 コルタイ,キンバリー エー. アメリカ合衆国,ニュージャージー 08873,サマセット,バン ドレン アベ ニュ 60 (72)発明者 チウ,チャン−ワイ アメリカ合衆国,ニュージャージー 07090,ウエストフィールド,ウッズ エ ンド ロード 305 (72)発明者 シェアメイヤー,エリーナー アメリカ合衆国,ニュージャージー 08805,ボンド ブルック,トマス プレ イス 606 (72)発明者 トマス,デイビッド ジェイ. アメリカ合衆国,ミネソタ 55123,イー ガン,ウエストチェスター サークル 4299 (72)発明者 シャー,マニッシュ ビー. アメリカ合衆国,ニュージャージー 08823,フランクリン パーク,トパーズ ドライブ 22

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ウェットエンド添加剤として、紙の中に均質に分散された、熱により抑制 されたデンプンまたはフラワーの有効量を含む紙であって;上記熱により抑制さ れたデンプンまたはフラワーが、水に分散されると、熱で抑制されていないベー スのデンプンまたはフラワーと比べて粘度の安定性が改善されていることを特徴 としている紙。 2.デンプンまたはフラワーが、糊化温度を変化させないままかもしくは低下 させた、前糊化されていない粒状のデンプンもしくはフラワーであるか、または 前糊化された粒状もしくは非粒状のデンプンもしくはフラワーである請求項1記 載の紙。 3.前記熱によって抑制されたデンプンまたはフラワーが、デンプンまたはフ ラワーを熱でまたは熱以外で脱水して無水にまたは実質的に無水にし、次にその 無水または実質的に無水のデンプンまたはフラワーを抑制しかつその粘度安定性 を改善するのに十分な時間と温度で熱処理することよって製造される請求項1記 載の紙。 4.デンプンまたはフラワーが、pHを中性以上に調節してから脱水される請求 項3記載の紙。 5.デンプンまたはフラワーが、穀物のデンプンもしくはフラワー、塊茎のデ ンプンもしくはフラワー、根のデンプンもしくはフラワー、豆果のデンプンもし くはフラワー、または果実のデンプンもしくはフラワーである請求項1記載の紙 。 6.前記熱で抑制されるデンプンまたはフラワーが、トウモロコシ、エンドウ 豆、エンバク、ジャガイモ、サツマイモ、バナナ、大麦、小麦、米、サゴ、アマ ランス、タピオカ、モロコシ、もち性トウモロコシ、もち性タピオカ、もち米、 もち性大麦、もち性ジャガ イモ、もち性モロコシ、およびアミロース含量が40%以上のデンプンもしくはフ ラワーからならなる群から選択される請求項4記載の紙。 7.デンプンが、カチオンデンプン、アニオンデンプン、非イオンデンプンお よび両性デンプンからなる群から選択される誘導体化デンプンであって、その誘 導体化デンプンが任意に化学的に架橋されている請求項6記載の紙。 8.誘導体化されたデンプンまたは誘導体化され化学的に架架されたデンプン が、水に分散されたとき、ブラベンベンダー粘度の崩壊が約15〜65%にすぎない 請求項7記載の紙。 9.ブラベンダー粘度の崩壊が約25〜45%である請求項8記載の紙。 10.カチオンデンプンまたは両性デンプンが第三級アミノ基または第四級アン モニウム基を含有している請求項8記載の紙。 11.カチオンデンプンが少なくとも約0.15重量%の結合窒素を含有し、そして 両性デンプンが少なくとも約0.15重量%の結合窒素および少なくとも約0.04〜1 %の結合リン酸基を含有している請求項10記載の紙。 12.カチオンデンプンが、ジエチルアミノエチルクロリドヒドロクロリド基お よび/または2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド基を、約 0.2〜0.45重量%の結合窒素を与えるのに十分な量で含有するもち性トウモロコ シデンプン;またはジエチルアミノエチルクロリドヒドロクロリド基および/ま たは2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド基を、約0.2〜0.4 5重量%の結合窒素を与えるのに十分な量で含有し、かつリン酸基を、約0.1〜0. 3重量%の結合リン酸基を与えるのに十分な量で含有する両性もち性トウモロコ シデンプンである請求項11記載の紙。 13.デンプンが、約220〜250°Fの温度で少なくとも15psiの圧力下で蒸煮さ れる請求項7記載の紙。 14.ウェットエンド系がさらに、アルミニウム供与体;アルミニウム供与体と コロイドシリカもしくはケイ酸;またはアルミニウム供与体とベントナイトおよ び任意にポリアクリルアミドを含有するアルカリ性微粒子系を含有する請求項1 記載の紙。 15.紙料をワイヤ上に送る前の段階で、紙料に、分散された、熱で抑制された カチオンまたは両性のデンプンまたはフラワーを添加することを含む製紙方法で あって;上記デンプンまたはフラワーが、水に分散されたとき、熱で抑制されて いないカチオンまたは両性のベースデンプンに比べて粘度の安定性が改善されて いることを特徴とする方法。 16.熱による抑制を行う前または後に、カチオンまたは両性のデンプンが化学 的に架橋され、そして熱で抑制されおよび化学的に架橋されたデンプンを、220 〜250°Fの温度および少なくとも15psiの圧力下で蒸煮することによって分散さ せる請求項15の方法。 17.(a)水、(b)セルロース繊維、(c)無機物充填剤および(d)熱で 抑制されたデンプンまたはフラワーを内部に均質に分散されて含有する紙料であ って;熱で抑制されたデンプンまたはフラワーが、熱で抑制されていないベース のデンプンまたはフラワーと比べて粘度の安定性が改善されていることを特徴と する紙料。 18.さらに、(e)アルミニウム供与体、(f)コロイドシリカもしくはケイ 酸またはベントナイトおよび任意に保持助剤および排水助剤としてのポリアクリ ルアミド、ならびに(g)任意にサイズ剤を含有する請求項17記載の紙料。 19.アルミニウム供与体が硫酸アルミニウムおよび/またはポリアルミニウム クロリドであり、無機物充填剤が炭酸カルシウムであ り、そしてサイズ剤が無水アルケニルコハク酸および/またはアルキルケテン二 量体である請求項18記載の紙料。 20.請求項18記載の紙料から製造される紙。
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