【発明の詳細な説明】
撚り線製造装置およびその制御方法
発明の詳細な説明
本発明は、銅線等から形成される撚り線を製造するための装置、および撚り線
を製造するための装置を制御する方法に関するものである。
あらゆる産業分野で用いられているような柔軟性のあるケーブルを製造するた
めには、通常、比較的直径の小さな銅線から撚り線を形成し、この撚り線に対し
て絶縁体による被覆を行なう。このような撚り線の製造は、二重撚りの撚り線機
を用いて行なわれるのが一般的である。従って、本発明も同種の二重撚り撚り線
機に関して述べられている。しかし強調しておきたいのは、本発明の適用が二重
撚り撚り線機のみに限定されるものではなく、同じような働きをする他の撚り線
機にも適用可能な点である。さらに本発明を、銅以外の素材から撚り線あるいは
撚り線に類似したものを生成するために適用することも可能である。
請求項1に対する上位概念による撚り線の製造装置は、ドイツ特許DE 35 00 9
49 C2によって周知となっている。この周知の装置は、二重撚り撚り線機として
形成され、2つのロータストラップを備えたロータが設けられている。該ロータ
は水平方向の長手軸を中心として回転できるように、回転可能に軸受けされてい
る。前記ロータはモータを介して駆動される。前記ロータの内部にはスプール支
持装置が軸受けされ、該スプール支持装置にはスプールが回転可能に設けられて
いる。該スプールは、前記ロータの外部に設けられた第二のモータを介して回転
される。該モータの回転運動はその際、歯車機構を介して前記スプールに伝達さ
れる。そして、前記スプール上に、撚り線が巻き付けられる。この際、前記スプ
ール上により線を巻き付けるために、前記スプールの回転軸に平行に設けられた
ネジスピンドルを有する線送り装置が用いられる。通常は線送りローラーである
線送り部材が完成した撚り線を前記スプール上に導くが、その際、該線送り部材
は、前記スプールの回転軸に対して平行に往復移動されるので、その結果、撚り
線が前記スプール上に均質に巻き付けられる。前記線送り装置の駆動機構は前記
スプールの回転運動に緊密に連動しているので、前記スプールの一定の回転数に
は、前記
線送り部材の一定の並進移動が対応する。
欧州特許EP 0 563 905 A1からも、撚り線を製造するための別な装置が周知と
なっている。この装置では、ロータの内部に、回転軸がロータの回転軸に対して
斜めに向いている巻き付けスプールが用いられている。この装置においても、巻
き付けスプールの回転運動と機構的に連動されている線送り装置が備えられてい
る。
これら周知の装置は非常に満足のゆく働きをするが、よくみられる問題として
、スプールの上に撚り線を巻き付けた最終的な製品が、後続の加工工程で要求さ
れる仕様を満たすことができないことである。
さらに、一定の長さの撚り線をスプール上に巻き付けるのが困難であるという
問題も生じる。特に、撚り線は別の撚り線と共に再加工される場合が多く、そう
した場合、撚り線の長さが最も短いスプールを完全にほどく間、こうした加工プ
ロセスが中断せざるを得ないという短所がある。残りのスプールに巻かれている
残存する長さの撚り線も続いて解かれ、ゴミとして処分しなければならない。
従って、後続の加工工程を好適に実施できるような、撚り線を製造する装置お
よび方法を提供するのが、本発明の課題である。
本発明によれば、上述の課題は請求項1に記載された特徴によって解決される
。そして、本発明による制御方法が請求項15に記載されている。
また、本発明の好適な実施の形態が、下位請求項に記載されている。
本発明が提案するのは、従来のようにスプールの回転運動と線送り部材の並進
運動との間に機構的連動を与えないで、分離された駆動装置を線送り装置に備え
ることである。さらに本発明が提案するのは、スプールの回転運動を回転数セン
サを介して検出し、この信号を制御装置に出力することである。前記制御装置は
プログラム記憶装置を有し、該プログラム記憶装置内には単一あるいは複数のプ
ログラムが記憶され、該プログラムに従って前記線送り部材がスプールの回転運
動に従属して制御される。
本発明による解決方法を用いると、従来技術において周知となっていた装置に
比べて重要な利点が得られる。周知の装置においては、線送り部材が機構的に緊
密に連動されて、スプールの回転軸に平行に延びている。それによって、スプー
ル上に巻き付けられる撚り線の巻き付け形態があらかじめ固定的に設定されるの
で、シリンダの軸に平行に延びる方向に一定の割合でしか巻き付けられない。
本発明に記載された構成によって、使用者はスプール上に任意の巻き付け形態
を実現することができ、従って、巻かれたスプールが後続する加工工程にとって
最適となるように、スプールを巻くことができるのである。また、周知の撚り線
機の使用者は線を巻き付けるスプールコアが、円筒形に形成されているスプール
を使用せざるを得なかった。
しかし実際には、円筒形のスプールは後続する加工工程には不都合な場合が多
い。従って、この技術分野では、スプールコアが円錐形になったスプールや、該
スプールにおいて、少なくとも一つのフランジが円錐形に拡開する内面を備えて
いるようなスプールが頻繁に用いられている。このようなスプールを用いて加工
工程を実施するのは、従来の装置では不可能である。
本発明による装置においては、使用者は、寸法要件が機械に適合する限り、ス
プールの形を任意に選択することができる。線送り装置を制御するプログラムは
、簡単な方法で個々のスプール形状に適合させられるので、製造者は一つの装置
でスプールの形に関するあらゆる要求を満足させることができる。
線送り部材は、さらに様々なスプール上に、使用者のそれぞれの要求に合致し
た異なった巻き付け形態を実現できるように制御可能である。このことによって
、
使用者の個々の要求に対してより多くの考慮がなされることになる。そればかり
でなく、個々の巻き付け形態が使用できることによって、円筒形のスプールコア
あるいは円錐形のフランジを有さないスプールにおいても、完全な巻き付けを実
現させることができる。
本発明による解決はまた、一定の長さの撚り線をスプール上に巻き付ける正確
さに関しても有利である。従来の装置では、撚り線が一定の長さに達した後、さ
らに線送り部材が一定のスプールの交換に適した位置に到達するまで、スプール
を回転させなければならなかった。それによって、付加的な長さがスプール上に
巻き付けられ、それらの線は続けて加工を行なう場合、大抵はゴミとして処分し
なければならない。本発明による解決策を用いれば、撚り線が一定の長さに達し
た後、スプール自体をさらに回転させることなく、線送り部材を一定のスプール
の交換に適した位置に移動させるように線送り部材の制御を行なうことができる
。
本発明による装置は、スプールの回転数を検出するためのセンサ手段を有して
いる。該センサ手段によって伝送される信号は制御のための入力値となる。
好適なことに、線送り部材の瞬間的な位置も同様に検出され、さらなるデータ
として制御機構に伝えられる。それによって、制御機構は閉じた制御回路として
機能する。線送り部材の移動が、従来技術において周知なように、ネジスピンド
ルを介して行なわれると、線送り部材の瞬間的な位置は回転数センサを介して検
出され、該回転数センサは、ネジスピンドルの回転角度を、一定のゼロ位置を基
準点として計測する。この場合、線送り部材を駆動するためには、通常のモータ
が用いられるが、該モータの回転数は、入力値に従属して、プログラムによって
制御される。
本発明の好適な実施の形態では、線送り部材の移動はステッピングモータを介
して制御される。この場合も、ネジスピンドルが使用されるのが好適であり、該
ネジスピンドルを介して線送り部材が駆動される。その際、進行したモータのス
テップは制御機構に記憶され、制御機構がどの時点においても、線送り部材の実
際の位置を計算できるようになっている。
上述の実施の形態とは異なって、線送り部材の経路をガイドレール等に沿って
直接検知するセンサを使用することも可能である。
さらに別の実施の形態においては、線送り部材がリニア=ステッピングモータ
を介して駆動され、この場合も線送り部材の実際の位置はその際進行したステッ
プの数から生じる。
上述のようなセンサあるいは回転式または直線式のステッピングモータの他に
、さらにセンサを設けるのが好適である。このセンサは、スプールの第一または
第二のフランジにおける終端位置に線巻き部材があることを検知した際に、信号
を出力する。好適にも、これらの終端位置のうちの一つが同時に基準位置である
ため、この位置におけるセンサに到達した際には同時に、ステッピングモータ等
に対するゼロ位置が設定される。
第一の実施の形態の場合、制御機構は本来の線送り装置の外部に、例えば通常
のコントロールボックス内に設置されている。しかしながらその場合、この実施
の形態においては、機械の回転する部材から信号を取り出すための装置を設けな
ければならない。こうした装置としては、例えば通常用いられる集電環伝送装置
あるいは水銀回転式伝送装置などが上げられる。
しかし、特に好適な実施の形態によれば、制御機構は直接スプール支持装置に
設けられる。スプール支持装置自体は回転運動の影響を受けないので、このよう
にすれば全てのセンサを直接制御機構に結合することができる。そうすると、線
送り装置の制御機構および駆動装置等に対する電流供給のみが、前記集電環を介
して実施される。計測データを伝送する際の信号の伝送の質に関しては、比較的
高度なものが要求されるが、供給電圧を送る際には、わずかな障害があっても機
能には影響を及ぼさない。
制御および計測信号の伝送の問題は、機械の外部の送信/受信機構から、機械
の内部の送信/受信機構へ無線で伝送することによって解決できる。この場合、
計測データはデジタル化した形態で伝送するのが好適であるが、その際、従来技
術において周知の変調方法、例えば振幅変調あるいは周波数変調などが使用され
る。計測データの伝送を確実に行なうためには、計測および制御信号の個々の伝
送の前後に、コントロールコードも一緒に伝送されるように、前記受信/送信機
構を構成することが必要である。これにより、伝送されるコントロールコードが
所定のコントロールコードと同一である場合に、信号がそれぞれ異なった受信装
置によって継続処理される。信号の伝送は超音波、赤外線、または電磁波(放送
波)を用いて無線で行なわれる。電磁波を用いた伝送は特に好適である。
前述のように、本発明による装置を用いると、スプール上に一定の長さの撚り
線が巻き付けられると、該スプールを線送り部材により、損なうことなく交換す
ることができる。巻き付けられる撚り線の長さの正確性をさらに高めるために、
本発明では、線送り部材が、単一の線送りローラー、あるいは複数のローラーか
らなる構造体から構成され、撚り線の長さがこれらのローラーの回転角度あるい
は回転数から直接もとめられるようにする。この場合、制御機構と接続したセン
サが設置されており、該センサは線送り部材の少なくとも一つのローラーの回転
を検出し、対応する信号を制御機構に伝送する。
従来技術においては、撚り線の長さを検出するためにローラー機構が使用され
、該ローラー機構は対応する線の束が線送り装置に送り込まれる前部に設置され
る。しかし、完成した撚り線の長さは、送り込まれる線の束の長さと、数パーセ
ント、例えば2、3パーセントほど異なるので、この方法では完成した撚り線の
長さを完全に正確に確かめることは不可能である。線送り部材のローラーの回転
角度が検出されることによって、撚り線の長さを極めて正確に決定することがで
きるのであり、それによって誤差の発生も防げるのである。
続いて本発明の実施の形態を、図面に関連させて以下のように説明する。
図1は、本発明による装置の実施の形態を示す側面図である。
図2は、図1に示された実施の形態を示す平面図である。
図3は、図1に示された装置の線送り装置を示す側面図である。
図4は、図3に示された線送り装置を示す平面図である。
図5は、二つの線送りローラーを備えた、図1から図4に示された実施の形態
の線送り部材を示す部分平面図である。
図6は、図1から図5に示された装置を制御するための制御装置の構成を示す
図である。
図7は、図1から図5に示された装置を制御するための制御装置の別の構成を
示す図である。
次に、本発明を一つの実施の形態に基づいて個別に説明する。該実施の形態に
おいては、本発明による装置は二重撚りの撚り線機として実現されている。二重
撚り撚り線機の主要な構造および機能は従来技術において周知であるので、ここ
では本発明にとって重要な部分に限って詳述する。二重撚り撚り線機の構造およ
び機能に関しては、このほか既に挙げたドイツ特許DE 35 00 949 C2あるいは欧
州特許EP 0 563 905 A1を参照されたい。前記特許の内容は本明細書の前記の参
照指示によって、本出願に組み込まれるものである。
図に示された二重撚り撚り線機のフレーム1には、本実施の形態では二つのロ
ータストラップを有するロータ2が回転可能に設置されている。該ロータ2はモ
ータ3によって駆動される。ロータの駆動は、(図1には示されていない)フラ
ットベルト駆動装置を介して行なわれる。
前記ロータ2には、スプール支持装置4が回転可能に設置されている。このス
プール支持装置は、二つの支持ストラップ6,7を有し、該支持ストラップ内に
巻き付けスプール10が回転可能に軸受けされて設けられている。
図1および図2に示されているのは、円筒形のスプールコアを有する巻き付け
スプールであって、円筒形のスプールコアの軸は同時にスプールの回転軸であり
、スプールコアの両端部には円板形のフランジ12,13が設けられている。こ
こで、円板形という用語は、フランジが平坦であり、前記スプールコア11の回
転軸に対して垂直な平面を有することを意味する。これらの平坦な面は、完成し
た撚り線が巻き付けられる巻き付けスペースに面している。
ドイツ特許DE 35 00 949 C2による二重撚り撚り線機では、巻き付けスプール
の回転軸がロータの回転軸に平行になっているが、図1および図2に示された実
施の形態の場合には、巻き付けスプールの回転軸はロータの回転軸に対して垂直
となっている。同様に、平行な回転軸を備えた構成方法も実現可能である。
巻き付けスプールはモータによって駆動され、回転することで撚り線を巻き付
ける。
図2から明らかなように、二つの互いに平行に設けられたガイドバー21,2
2を有する線送り装置20(図4参照)が設けられており、前記ガイドバーによ
って線送り部材24が、巻き付けスプール10の回転軸に対して平行に移動され
る。
前記線送り装置はスプール支持装置の支持ストラップ6,7に固定され、空間
的な位置においては、比較的スプール支持装置および巻き付けスプールに近接し
て固定されている。
また、線送り部材24は、ベアリング26を介して長手方向に移動可能に円筒
形のガイドバー21に設置されている。
第二のガイドバー22はネジスピンドルとして形成され、ころ軸受け27,2
8によってスプール支持装置に連結され、スピンドルナット30を介して線送り
部
材24と結合されている。スピンドルナット30の働きは、ネジスピンドル22
が回転する際、線送り部材24を長手方向においてネジスピンドル22に対して
相対的に移動させることである。
ネジスピンドル22の駆動はステッピングモータ32により実施され、該ステ
ッピングモータの出力軸33上には歯車35が設置されている。前記歯車35の
回転運動は歯車ベルト36を介して歯車37に伝えられ、該歯車37はフェザー
キー39によってネジスピンドル22に回転しないように堅固に固定されている
。
図3および4には示されていないが、前記線送り部材には単一あるいは複数の
線送りローラーが設置され、該線送りローラーを介して撚り線が案内して送られ
る。このような線送りローラーの構成例が図5に示されており、撚り線Lが、そ
れぞれ回転可能に軸受けされている第一のローラー42および第二のローラー4
3を介して、巻き付けスプール(図5には示されていない)に巻き付けられる様
子が理解される。
ガイドバー21およびネジスピンドル22に対して平行に設けられているバー
50には、第一の限界スイッチ52および第二の限界スイッチ53が設置されて
いる。これら限界スイッチは、線送り部材24に固定された突出部55が前記限
界スイッチに接触すると、電気信号を出力する。
次に、本明細書で記載される二重撚り撚り線機を制御する制御装置の第一の実
施の形態を図6に基づいて説明する。
全体に60として示される制御装置は、第一の制御部61および第二の制御部
62とを有して構成されている。
第一の制御部61には第一の記憶装置63が、第二の制御部62には第二の記
憶装置64がそれぞれ接続されている。これら二つの記憶装置は、プログラムと
データを記憶するために設けられている。
第一の制御部61は、インターフェース部70を介して一連のセンサと接続し
ており、第一のセンサ71は、巻き付けスプールの回転数を示す信号をインター
フェース部70に伝え、第二のセンサ72は、前記線送り装置の限界スイッチ5
2から出力される信号を伝送し、第三のセンサ73は前記線送り装置の限界スイ
ッチ53から出力される信号を伝送し、第四のセンサ74は線送り部材の線送り
ローラーの回転数に対応する信号を伝送する。
本実施の形態においては、第一の制御部61はスプール支持装置に固定されて
いるため、実線で図示されたケーブルの接続を介して、インターフェース部70
および個々のセンサと接続されている。
制御部61から出力される制御信号は、インターフェース部80を介してステ
ッピングモータ32および(図示されない)スプール装着および交換装置に出力
される。
第二の制御部62は二重撚り撚り線機のフレーム1に固定され、異なるセンサ
から信号を入力する。図6に示されるように、例えば、ロータの回転数を示すセ
ンサ76の信号が入力される。
制御部62は、インターフェース部82を介して制御信号を出力し、該制御信
号は例えばロータの駆動モータおよび巻き付けスプールの駆動モータに出力され
る。巻き付けスプールの駆動モータがスプール支持装置内に直接に設けられてい
る場合には、該駆動モータへの制御信号は、インターフェース部80および制御
部61を介して出力される。
制御部61と制御部62との間の接続は、破線で図示されているように、集電
環を介して行なわれる。
図1から図5に関連する本実施の形態は、以下のように機能する。
線送り装置の線送り部材は、製造の開始時あるいは空のスプールをスプール支
持装置に装着した後、その並進的な運動における終端位置を取るが、それはスイ
ッチE1あるいはE2に接触することによって示される。また、線送りローラーのた
めの回転数カウンタ74はゼロに設定される。そして、モータM1およびM2が始動
し、撚り線の製造および巻き付けが開始される。制御ユニット61は、記憶装置
63内の選択されたプログラムに基づいて、ステッピングモータ32に信号を出
力し、それによって線送り部材はスプールの回転軸に対して平行に移動する。そ
の際、後続する加工工程の要求に応じて、特に巻き付けスプールの形状に応じて
選択されるあらかじめ設定された巻き付け形態が成立するように、スプールの回
転数と線送り部材の並進移動とが、互いに同期するよう調整される。巻き付け工
程中、制御ユニット61は、その時点で出力あるいは入力された信号に基づいて
、線送り部材がどの位置にあるかを計算する。そして、一定の巻き付け形態を生
成するために、巻き付け工程中において、線送り部材が運動方向を逆転する逆転
位置を、プログラムの命令に基づいて変更する。これにより、(スプールの回転
軸に平行な方向に沿っての)長さが異なる巻き層が形成される。そして、これに
従属してあるいは独立的に、巻き層の勾配、すなわち互いに隣接する巻き線間の
距離を変えることもできる。
撚り線の製造およびスプールへの巻き付けは、あらかじめ設定された量の撚り
線がスプール上に完全に巻き付けられるまで継続される。撚り線の量はプログラ
ムに基づいて、線送りローラーの回転から算出される。そして、あらかじめ設定
された量の撚り線が巻き付けられるとすぐに、線送り装置は停止し、線送り部材
はステッピングモータによって、スプールの交換に適した交換位置に移動される
。次いで、スプールは例えば欧州特許EP 536 950 A1に記載されているようなス
プール交換装置によって、スプール支持装置から外され、新しい空のスプールと
交換される。
図6に関連して説明された制御装置の利点は、制御部61がスプール支持装置
自体に固定されていることである。それによって、個々のセンサの信号およびス
テッピングモータおよびスプール交換装置の各機構に出力される信号を、固定し
たケーブルによる接続によって伝送することができる。集電環を介して必要とな
るのは、電流を供給することのみとなる。
制御部61と制御部62との間のデータ交換は、線送り装置の制御にとって不
可欠なわずかなデータのみに限定されている。これらのデータは簡単な方法で集
電環を介して伝送することが可能である。
図6による実施の形態とは別の方法として、ロータの回転数を、スプール支持
装置に設けられたセンサによって検出することもできる。この方法では、制御部
61は、線送り装置の制御にとって重要なあらゆるデータを、ケーブルを介して
制御部61に接続しているセンサから直接入力する。
上記の構成方法によると、非常に信頼性の高い駆動機構が実現でき、さらにこ
の構成方法を用いると、構造も非常に単純化できる。
次に図7に関連した、制御装置の別の構成を説明する。本制御装置を、図1か
ら図5に示した実施の形態で同様に使用することも可能である。同一あるいは実
質的に同一の部材に対しては、図6において用いられているものと同一の参照番
号および記号が付されている。
本実施の形態においては、記憶装置86を備えた中央制御装置85が用いられ
、該中央制御装置は機械のフレームに固定されている。
スプール支持装置に設けられたセンサ71,72,73および74との接続は、
インターフェース部88を介して行なわれ、本実施の形態の第一の方法では、集
電環あるいは水銀回転式伝送機を介して行なわれる。ステッピングモータ32お
よびスプール交換装置へ送られる信号も同様に、インターフェース部90を介し
て、集電環あるいは類似の回転式伝送機を用いて伝送される。
本実施の形態の有利な点は、制御部85の構造が全体として単純化されている
ことである。また、短所としては、データをセンサからインターフェース部88
に伝送するのに、比較的高い経費を必要とする点である。
すなわち、前記のような回転式伝送機を使用すると、安価な回転式伝送機を用
いた場合には伝送の質が必ずしも信頼できるものとはならなくなる一方、信頼性
の高い伝送機を用いるとコストが高くなりすぎるのである。そこで、図6による
実施の形態でも図7による実施の形態に対しても適用可能である別の方法を用い
る場合、本発明ではデータの伝送を無線で行なうことが提案される。このために
は、データがデジタル化されていないのであれば、デジタルコード化するのが望
ましく、それは伝送信号の周波数、振幅、位相を変調することで実現可能である
。伝送信号としては、超音波信号、赤外線信号、および電磁波等が上げられる。
無線による伝送は、図7による実施の形態において、個々のセンサのデータが
、望ましくは(図7には示されていない)別のインターフェース部の中間回路か
らインターフェース部88に無線で送信され、このインターフェース部88にお
いてデータが復調されるとともにデジタル信号として制御装置85に伝送される
ような方法で応用することができる。
しかしながら、無線による伝送が最も好適に用いられるのは、図6に示される
ような実施の形態においてである。この場合、センサ71,72,73,および7
4の信号がインターフェース部70に伝送され、その後制御部61に伝送される
。そして、制御部61において信号はデジタル化され、(図に示されていない)
送信/受信装置を介して、制御部62に接続された送信/受信装置に伝送される
。この送信/受信装置において、信号はその都度変調あるいは復調される。
前述のような無線によるデータ伝送方法を用いると、本装置の装置としての構
造が全体として簡略化されるという利点がある。この際、無線によるデータ伝送
の不確実性が不利な点として上げられることもあるが、それは適切な対策を講じ
ることによって除去できるものである。従って、例えば(図6による実施の形態
の場合)制御部61と制御部62との間でデータが伝送されるたびに、長さnビ
ットのコード信号をこれらのデータ信号に付することが可能である。このコード
信号は、一つのデータブロックを伝送する前後にその都度挿入される。この際、
受信を行なう制御部は、前記データブロックが伝送される前後に、前記コード信
号が完全な形で受信され、同一であることが確認された場合にのみ、受信された
データの処理を継続する。
本実施の形態の場合、制御装置の装置およびプログラム技術に関する経費が全
体として高くなる代わりに、線送り装置の構造が全般的に簡略化される。その理
由は、この場合、静止部と運動部との間でエネルギー供給のための電流の伝送の
みを行なえばよいからである。
新しい線送り装置を形成することにより、従来の撚り線機に対しては用いるこ
とのできなかったスプールを使用できるようになった。このようなスプールの例
としては、欧州PCT特許出願PCT/EP 93/03404およびPCT/EP 92/02804に記載さ
れたスプールが上げられる。これらの出願には、プラスチックから成る分解可能
なスプールが記載されているが、該スプールは特に簡単で確実な方法で一つの巻
き付けスプールに組み立てられる。このようなスプール、特に円錐形のスプール
コアを備えたスプールを撚り線機に使用することは、従来不可能であった。