JPH10503138A - エレクトロニックブレーキ力分配制御を有するブレーキシステム回路構成 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 後輪（ＨＲ、ＨＬ）の減速度（ｂ3、ｂ4）及び車両の減速度（ｂFZ）又は対応する参照量（ｂREF）を判断する回路を含むエレクトロニックブレーキ力分配制御を有するブレーキシステムに用いられる回路構成。瀘波された後輪減速度（ｂ’3、ｂ’4）と前記車両減速度（ｂFZ）との差は、ブレーキ力分配制御用に評価される。この目的のため、各出力信号（ｘ（ｔ））即ちｘ1、ｘ2は、差動回路及び積分器（２０、２１）を用いて生成され、この回路（２０、２１）は前記後輪減速度及び前記車両減速度を比較し、その出力信号は後輪ブレーキのブレーキ圧（ｐHA）の制御に用いるために処理される。

Description

【発明の詳細な説明】 エレクトロニックブレーキ力分配制御を有するブレーキシステム回路構成 本発明は、前輪駆動軸及び後輪駆動軸に対してブレーキ力を分配するエレクト ロニック制御（ＥＢＶ）を有するブレーキシステムに用いる回路構成に関する。 このブレーキシステムは後輪ブレーキに導かれる圧力流体導管及び帰還導管内に 設けられる電子的に制御可能な油圧バルブ、車輪回転運動を判断する車輪センサ 、及びセンサ信号を評価し、前記油圧バルブを作動するための信号を発生する電 子回路を含む。 ドイツ特許第３３ ２３ ４０２号はこの種のブレーキシステムを開示してい る。このブレーキシステムはアンチロックブレーキシステムであって、電磁的に 動作する油圧バルプを含み、これらのバルブはブレーキ力分配を制御するために 用いられる。この目的のため、インレットバルブ(inlet valve)が後輪ブレーキ の各圧力流体導管内に設けられている。インレットバルブの動作により、後輪ブ レーキ内の圧力増加、並びにアンチロック制御の開始に先立ついわゆる部分的ブ レーキ動作等を制御可能である。ブレーキ力分配を制御または調節するため、後 輪ブレーキ内のブレーキ圧減少にアウトレットバルブ(outlet valve)を用いるこ とが出来る。後輪バルブの作動により、後輪の制動滑りを前輪の制動滑りに対し て限定された割合、好適に８５〜９７％に制限するのが望ましい。 エレクトロニックブレーキ力分配制御（ＥＢＶ）を有するこの種のブレーキシ ステムは、静的又は動的な車軸負荷変動による後輪の過制動を防止するために用 いれる従来の機械的又は油圧ブレーキ圧減少バルブ又はブレーキ圧制御バルブを 搭載する必要がない。これによりブレーキシステムの製造費用が削減できる。更 に、エレクトロニックアンチロックシステムに必要な構成部品、特に車輪センサ 及び油圧バルブをＥＢＶ機能を達成するのに用いることができる。 従来のＥＢＶ機能を有するブレーキシステムの欠点は、非常に高い精度で車輪 速度を測定し、実際の滑りを判断する必要があることである。限定された量の滑 りは、各車輪の転がり状況に避けられない差があるために、容易に見せかけの値 となる。又コーナリング中に各車輪速度に差が生じ、制御系は誤ってそれを滑り と判断する。前輪ブレーキの一方に誤りが起こると、前輪と後輪の滑りの差に基 づくＥＢＶが、後輪ブレーキが不十分なブレーキ圧に制限されるのを防ぐよう機 能しているとき、特殊な対策が必要となる。 本発明の目的は、前述したようなＥＢＶ機能を有する従来のブレーキシステム の欠点を克服することである。この目的は前述したタイプの回路構成により達成 できることが判った。この回路構成の特徴によれば、後輪の減速度を判断し及び 車両の減速度又は車両減速度を示す参照量の概略値を判断する回路が含まれ、後 輪減速度と車両減速度即ち前記参照量との差がブレーキ力分配の制御に関して評 価される。 従って、本発明はブレーキ力分配の電子制御を開示し、この制御は瞬時車輪滑 り、つまり前輪軸／後輪軸の滑りの差には影響されない。従来必要であった車輪 速度の測定及び計算に関する高い要求事項は従って少なくなる。前輪ブレーキが 誤動作した場合、車の減速度に関する測定量又は対応する参照量は少なくともほ ぼ正しい値に維持され、それによってＥＢＶ機能は保持される。 本発明の好適特徴によれば、後輪の速度を示す車輪センサ信号は、差動回路を 介してローパスフィルタに送られる。ローパスフィルタの出力信号は、差動回路 及び積分器により車両減速度又は参照量と比較される。差動回路及び積分器の出 力信号は次の関係に従って発生する。 この関係に於いて、ｂ’Rは右後輪又は左後輪の瀘波された減速度信号（ｂ’3 ）又は（ｂ’4）を意味し、ｂFZは車両減速度の概算を示す車両減速度又は参照 量を意味する。 関係する後輪ブレーキ内のブレーキ圧は差動回路及び積分器の出力信号の関数 として減少、又は一定値に保たれるか、又は再び増加する。その出力信号の大き さは複数の所定制限値と比較される。 請求の範囲に示す従属請求項は本発明の他の好適実施例を示す。 以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。 図面の簡単な説明 図１はアンチロック制御（ＡＢＳ）及びエレクトロニックブレーキ力分配制御 （ＥＢＶ）を有するブレーキシステムの一実施例の最も重要な構成要素を簡単に 示す。 図２は本発明の電子回路構成を簡単に示し、この電子回路は図１のブレーキシ ステムに適用されるブレーキ力分配を制御する。 図３Ａ、３Ｂ、３Ｃは図２の回路構成の動作を示す図である。 図１はＡＢＳ及びＥＢＶ機能を有するブレーキシステムの基本的構成を説明す るための図である。図示される実施例において、車輪ブレーキはペダル動作ブレ ーキ圧発生器１の２つの油圧回路Ｉ、ＩＩについて対角線状に接続されている。 図１において前輪はＶＬ、ＶＲ、後輪はＨＲ、ＨＬで示されている。非動作位置 で開いている電動インレットバルブ３〜６が、プレーキ圧発生器１のマスタシリ ンダ２から各個別ホイールブレーキに導かれている。非動作位置で閉じている電 動アウトレットバルブ８〜１１は帰還導管内に挿入され、この導管は各車輪のホ イールブレーキから油圧ポンプシステム７に導かれている。勿論、エレクトロニ ックブレーキ力分配制御は、異なる構成の油圧ブレーキ回路を有するブレーキシ ステムでも可能である。 後輪ブレーキに関係する油圧バルブ４、９；６、１１のみが、ブレーキ力分配 の電子制御に必要となる。全インレットバルブ３〜６及びアウトレットバルブ８ 〜１１は各々アンチロック制御に必要となる。 各車輪には車輪センサＳ１〜Ｓ４が設けられている。車輪センサの出力信号は 制御ユニット１２内で評価され、このユニット１２はブレーキ力分配制御及びア ンチロック制御用の電子回路を含む。又、制御ユニット１２の出力Ａに接続され た油圧バルブ３〜１１を制御する為の信号は、制御ユニット１２内で生成される 。参照符号”Ｅ”は制御ユニット１２のセンサインレットを示す。 センサ信号Ｓ１〜Ｓ４は調整された入力信号Ｓ１’〜Ｓ４’として、図２の回 路に送られ、この回路は図１の制御ユニット１２の一部である。信号Ｓ１’及び Ｓ２’は前輪の回転運動を示し、信号Ｓ３’、Ｓ４’は後輪の回転運動を示す。 車速を慨ね示す車両参照速度は、センサ信号Ｓ１’〜Ｓ４’を周知の方法で論理 的に処理することにより生成される。前輪ＶＲ、ＶＬの速度ｖ1，ｖ2も、ＥＢＶ モードでの参照量として評価することが可能である。車両参照速度は図２ではvR EFとして示されている。vREFは処理回路１３内で生成される。車両参照速度vREF は回路１４において微分され、参照量ｂFZ＝ｂREFを決定する。 後輪の減速度は、微分回路１５及び１６により同様に生成される。微分回路１ ４〜１６の動作サイクルは、本実施例ではクロックパルス発生器即ちタイマ（Ti mer）１７により提供される。 後輪の減速度を示す減速度信号ｂ3、ｂ4は、ローパスフィルタとして設けられ るフィルタ１８、１９を介して各々差動回路及び積分器２０、２１に送られる。 フィルタ１８、１９は干渉を防ぐために減衰要素として用いられている。車両減 速度ｂFZと各後輪の減速度ｂ3、ｂ4及びｂ’3、ｂ’4の差は、各々の状況で判断 される。差動回路及び積分器２０、２１の出力信号ｘ3、ｘ4は次の関係に従って 生成される 本実施例において、ｘ1は右後輪ＨＲを示し、ｘ2は左後輪ＨＬを示す。 差動回路及び積分器２０、２１は、瀘波された後輪減速度ｂ’3、ｂ’4と車両 減速度ｂREFとの差を常に判断し、それを前のサイクルで判断された測定値と加 算又はその測定値から減算し、その出力信号ｘ（ｔ）及びｘ1、ｘ2は、コンパレ ータ２２〜２７において所定制限値ｙ1、ｙ2、ｙ3と比較される。大きさとして ｙ1＞ｙ2＞ｙ3が適用される。差動回路及び積分器２０の出力信号比較は、例え ば右後輪の比較はコンパレータ２２〜２４で行われ、左後輪の比較はコンパレー タ２５〜２７で行われる。 バルブ作動回路２８、２９でのコンパレータ２２〜２７の出力信号の評価は、 回路３０がＥＢＶ機能を示した直後に開始する。ＥＢＶ機能に関する予備条件は 、車両減速度信号（−ｂFZ）及び制動滑り信号（）である。 ＥＢＶ機能が検出され、積分器２０、２１の内容即ちその出力信号ｘ（ｔ）、 つまりｘ1又はｘ2が前記制限値ｙ2より大きくなり、前輪ブレーキ内のブレーキ 圧が更に増加した場合、その結果後輪ブレーキ内のブレーキ圧は一定に保たれる 。出力信号ｘ1の大きさが制限値ｙ1を越え、ｙ1＞ｙ2の場合、各後輪ブレーキ内 のブレーキ圧が減少する。最後に、ブレーキ圧減少により安定化された車輪の出 力信号ｘ1が制限値ｙ3以下に落ちると、圧力増加パルスのコマンドに基づく各後 輪ブレーキのブレーキ圧の増加が許容される。 図３Ａ、３Ｂ及び３ＣはＥＢＶ機能を説明するための図である。ブレーキの適 用は、図３Ａ〜３Ｃが関係する状況において時刻ｔ0で開始されている。図３Ａ は車速を概ね示す車両参照速度vREF、及びこのＥＢＶ状況での後輪の速度変化Ｖ HRを示す。図３Ｂに示すように、時刻ｔ1でのマイナス信号ｘ1は所定制限値ｙ2 を越えている。時刻ｔ1で、車両は速度を落とし、制動滑りが始まり、回路３０ はＥＢＶ機能を認識する。図３Ｃによれば、制限値ｙ2が越えられた結果、後輪 軸ブレーキ圧ｐHRは一定に保持される。時刻ｔ2で、制限値ｙ1が超過されると、 ブレーキ圧減少がそれにより生じる（図３Ｃ参照）。時刻ｔ3で、制限値ｙ3に到 達し、右後輪ｐHRのブレーキに新たなパルス状圧力増加の開始が許容される。後 輪の圧力維持が時刻ｔ4で再び開始し、次に時刻ｔ5で圧力減少があり、最後に圧 力の再増加が時刻ｔ6で起こる。ブレーキの適用は時刻ｔ7で終結する。 図３Ｃは本実施例での前輪軸及び後輪軸のブレーキ圧変動ｐVA及びｐHA、及び 前輪軸及び後輪軸に対する理想ブレーキ圧分配が行われているときの圧力変動の 特性曲線を示し、又、ＥＢＶ機能による理想に近い十分な分配が行われた場合を 示す。 図３Ｃの実施例では、右後輪での圧力変動ｐHRは第２後輪の圧力変動と同一で ある。この条件は図２の低側選択回路(select-low circuit)３１により到達され 、これはブレーキ圧が低い方の後輪が常に後輪軸上の圧力変動ｐHAをリードする ことを保証する。しかし原則的に、ＥＢＶモードでの個別ブレーキ圧制御が、本 発明に従う回路により、後輪軸のホイールブレーキについても可能である。 図２の低側選択回路３１の出力信号は、最後に記号表示された後輪バルブ３２ 、３３に送られ、これらのバルブは後輪ブレーキでの実際のブレーキ圧変動を決 定 する。純粋な低側選択制御において、回路３１の１つの出力が両後輪のインレッ ト／アウトレットバルブ３２、３３を十分作動する。勿論、或状況では、各個別 車輪上の後輪ブレーキ圧を制御するのには、バルブ作動回路３１の分離アウトレ ットが図示されたように必要である。 車両の減速度及び後輪の減速度に基づく本発明による回路構成を用いたブレー キ力分配の制御は、周知の滑り応答制御と好適に組み合わせることができる。基 本的な効果は、制御精度及び安全性を各条件に応じて、即ち摩擦係数の大小、右 左で同じ又は異なる摩擦係数、コーナリング又は直線走行等の関数として高める ことである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 エーマー、 ノルベルト ドイツ連邦共和国、 65760 エシュボル ン、レーンベーク 10

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．前輪軸及び後輪軸に対するブレーキ力分配の電子的制御及び調整（ＥＢＶ） を有するブレーキシステムに用いる回路構成であって、 後輪ブレーキへ導かれる圧力流体導管及び帰還導管内に設けられる電子的に制 御可能な油圧バルブと、 車輪の回転運動を判断する車輪センサ、及び前記センサ信号を評価し、前記油 圧バルブを作動させるための信号を発生する電子回路とを具備し、 後輪（ＨＲ、ＨＬ）の減速度（ｂ3,4；ｂ’3,4）及び車両減速度の概算値とし ての車両減速度（ｂFZ）又は参照量（ｂREF）を判断するための回路が設けられ 、前記後輪減速度（ｂ3,b4）と前記参照量（ｂREF）との差がブレーキ力分配の 制御に用いられることを特徴とする回路構成。 ２．後輪（ＨＲ、ＨＬ）の速度（Ｖ3、V4）を示す前記車輪センサ信号は、微分 回路（１５、１６）を介してローパスフィルタ（１８、１９）として提供される フィルタに送られ、及び前記ローパスフィルタの出力信号（ｂ’3、ｂ’4）は差 動回路及び積分器（２０、２１）により前記車両減速度（ｂFZ）又は前記参照量 （ｂREF）と比較され、及び各後輪ブレーキ内のブレーキ圧は前記差動回路及び 積分器（２０、２１）の出力信号（ｘ1、ｘ2）の関数として減少、又は一定に保 たれるか、又は更に増加することを特徴とする請求項１記載の回路構成。 ３．前記差動回路及び積分器（２０、２１）の出力信号（ｘ1、ｘ2）は次の関係 により生成され、 ここで、ｂ’Rは前記右後輪又は左後輪の瀘波された減速度信号（ｂ’3）、（ｂ ’4）、ｂFZは前記車両減速度の概算値としての車両減速度即ち参照量（ｂREF） であることを特徴とする請求項１記載の回路構成。 ４．前記差動回路及び積分器（２０、２１）の出力信号（ｘ1、ｘ2）は所定制限 値（ｙ1、ｙ2、ｙ3）と比較され、各所定制限値を前記出力が越えると、それに 関係する後輪ブレーキのブレーキ圧は減少するか（ｙ1）、一定に保たれるか（ ｙ2）、又は増加する（ｙ3）ことを特徴とする請求項２又は３記載の回路構成。 ５．前記車両速度（ｖFZ）の概算値を示す車両参照速度（ｖREF）は、前記車輪 センサ信号（ｖ1〜ｖ4）を論理的に処理することにより生成され、微分回路（１ ４）に送られ、この回路（１４）の出力信号（ｂREF）は参照量として処理され ることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の回路構成。 ６．前記前輪（ＶＲ、ＶＬ）の減速度は前記参照量（ｂFZ）であることを特徴と する請求項１〜４のいずれかに記載の回路構成。 ７．前記後輪ブレーキのブレーキ圧は、各車輪について別々に制御されることを 特徴とする請求項１〜６のいずれかに記載の回路構成。 ８．前記後輪ブレーキの前記ブレーキ圧（ｐHA）は、低側選択原則（回路３１に よる）に従って制御され、前記２つの後輪ブレーキのブレーキ圧は低い方の車輪 ブレーキ圧を用いて行われることを特徴とする請求項１〜６のいずれかに記載の 回路構成。 ９．前記後輪の車輪滑りと前記前輪の車輪滑りとの間の差は、ブレーキ力分配に 関する他の制御量として処理されることを特徴とする請求項１〜８のいずれかに 記載の回路構成。