JPH10502811A - 増殖分化因子−11 - Google Patents

増殖分化因子−11

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JPH10502811A
JPH10502811A JP8504413A JP50441396A JPH10502811A JP H10502811 A JPH10502811 A JP H10502811A JP 8504413 A JP8504413 A JP 8504413A JP 50441396 A JP50441396 A JP 50441396A JP H10502811 A JPH10502811 A JP H10502811A
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リー,セ−ジン
シー. マックファーロン,アレクサンドラ
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ザ ジョーンズ ホプキンス ユニバーシティー スクール オブ メディシン
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Abstract

(57)【要約】 増殖分化因子−11(GDF−11)を、そのポリヌクレオチド配列およびアミノ酸配列とともに記載する。また、GDF−11ポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列を用いる診断ならびに治療方法も記載する。

Description

【発明の詳細な説明】 増殖分化因子-11 発明の背景 1.発明の分野 本発明は増殖因子に関し、特に増殖分化因子-11(GDF-11)と称する、トラ ンスフォーミング増殖因子β(TGF−β)スーパーファミリーの新しいメンバ ーに関する。 2.関連技術の説明 トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)スーパーファミリーは、胚発 生期の広範な分化過程に影響を与える構造的に関連した1群のタンパク質を包含 する。このファミリーは、正常な雄性発達に必要なミュラー(Mullerian)抑制物 質(MIS)(Behringerら,Nature,345:167,1990)、背−腹軸形成および成虫 原基の形態形成に必要なショウジョウバエデカペンタプレジック(decapentapleg ic)(DPP)遺伝子産物(Padgettら,Nature,325:81-84,1987)、卵の植物極に 局在するアフリカツメガエルVg-1遺伝子産物(Weeksら,Cell,51:861-867,1987 )、アフリカツメガエル胚における中胚葉および前葉構造の形成を誘導すること ができる(Thomsenら,Cell,63:485,1990)アクチビン(activin)(Masonら,Bioc hem.Biophys.Res.Commun.,135:957-964,1986)、およびde novo で軟骨およ び骨形成を誘導することができる(Sampathら,J.Biol.Chem.,265:13198,199 0)骨形態形成タンパク質(BMP、オステオゲニン、OP−1)を含む。TGF −β類は、脂肪組織形成、筋形成、軟骨形成、造血および上皮細胞分化を含む種 々の分化過程に影響を及ぼすことができる(総論については、Massague,Cell 4 9:437,1987 参照)。 TGF−βファミリーのタンパク質は最初大きい前駆体タンパク質として合成 され、これは次にC末端から約110〜140アミノ酸はなれた塩基性残基の集団(ク ラスター)の箇所で加水分解開裂を受ける。このタンパク質のC末端領域、つま り成熟領域はすべて構造的に関連しており、また異なるファミリーメンバーは相 同性の程度に基づいて個別のサブグループに分類することができる。特定サブグ ループ内の相同性はアミノ酸配列同一性が70%から90%の範囲であるが、サブグル ープ間の相同性はこれより有意に低く、一般に20%から50%に過ぎない。各場合に おいて、活性種はC末端断片のジスルフィド結合二量体であるように思われる。 研究は、TGF−βファミリーのメンバーの前領域(pro-region)をTGF−βフ ァミリーの別のメンバーの成熟領域と共に同時発現させた場合、生物的に活性な ホモ二量体の細胞内二量体化および分泌が起こることを示した(Gray,A.およびM aston,A.,Science,247:1328,1990)。Hammondsら(Molec.Emdocrin,5:149, 1991)によるさらなる研究は、BMP-4成熟領域と組み合わせたBMP-2前領域の使用 が、成熟BMP-4の発現を劇的に向上させることを示した。研究されたファミリー メンバーの殆どについて、ホモ二量体種が生物的に活性であることが判明したが 、インヒビン類(Lingら,Nature,321:779,1986)およびTGF−β類(Cheifetz ら,Cell,48:409,1987)のような他のファミリーメンバーについては、ヘテロ 二量体もまた検出された。そして、これらは個々のホモ二量体とは異なる生物的 特性を有するように思われる。 発現パターンが組織特異的である新規な因子の同定は、その組織の発生および 機能の理解をより深めるであろう。 発明の概略 本発明は、細胞増殖および分化因子GDF-11、この因子をコードするポリヌ クレオチド配列、およびこの因子に結合する抗体を提供する。この因子は、種々 の細胞増殖疾患、特に筋肉、神経および子宮細胞に関与する細胞増殖疾患、なら びに免疫系の機能に関連する疾患に関連するように思われる。 したがって、本発明は1つの実施態様において、GDF-11に関連する、筋肉 、神経、子宮、脾臓または胸腺起源の細胞増殖疾患を検出する方法を提供する。 また別の実施態様において、本発明はGDF-11活性を抑制または増強すること による細胞増殖疾患または免疫疾患の治療法を提供する。 図面の簡単な説明 図1は、マウス(図1a)およびヒト(図1b)GDF-11のヌクレオチド配列お よび推定されるアミノ酸配列を示す。推定上のタンパク質分解プロセシング部位 が、陰をつけた四角で示されている。ヒト配列において、潜在的N-結合グリコシ ル化シグナルは白抜きの四角で示されており、共通ポリアデニル化シグナルには 下線がほどこしてある。ポリA尾部は図示されていない。 図2は、マウスGDF-11プローブを用いて釣り上げた、成体(図2a)または 胎児および新生児(図2b)組織より調製したRNAのノーザンブロットを示す。 図3は、TGF−βスーパーファミリーの異なるメンバーとのアミノ酸相同性 を示す。数字は、第1番目の保存されたシステインからC末端までの間で計算さ れた各対間のアミノ酸同一性パーセントを示す。四角は、特定サブグループ内の 高度に関連したメンバー間の相同性を示す。 図4は、ヒトGDF-11(上段)およびヒトGDF-8(下段)の推定されるア ミノ酸配列を並べて示す。縦の線は同一であることを示す。点は列を最大限にそ ろえるために導入された空隙(gap)を表す。数字はN末端からのアミノ酸の位置 を表す。推定上のタンパク質分解プロセシング部位を白抜き四角で示す。C末端 領域の保存されたシステイン残基を陰をつけた四角で示す。 図5は、哺乳動物細胞におけるGDF-11の発現を示す。MSXND 発現ベクター 中にアンチセンス(レーン1)またはセンス(レーン2)方向にクローン化した ハイブリッドGDF-8/ GDF-11 遺伝子(本文参照)を用いてトランスフェク トしたチャイニーズハムスター卵巣細胞から調製したならし培地を、透析し、凍 結乾燥し、そしてGDF-8タンパク質のC末端部分に対して作成された抗体を用 いるウエスタン分析にかけた。右側の矢印は、推定上のプロセシングされていな い(前GDF-8/ GDF-11)またはプロセシングされたGDF-11タンパク質を 示す。左側の数字は、分子量標準物質の移動度を示す。 図6は、ヒトGDF-11の染色体マッピングを示す。ヒト/齧歯類体細胞系よ り調製したDNAサンプルをPCRにかけ、アガロースゲル上で電気泳動し、ブ ロットし、プローブで釣り上げた。ハイブリッド細胞系の各々に含有されるヒト 染色体が、最初の24レーン(1〜22、XおよびY)のそれぞれの一番上に同定 される。CHO、MおよびHと記したレーンでは、最初のDNA鋳型がそれぞれハ ムスター、マウス、およびヒト由来の全ゲノムDNAであった。B1と記したレ ーンでは、鋳型DNAを全く用いなかった。左側の数字は、DNA標準物質の移 動度を示す。 図7は、GDF-11のFISH局在化を示す。末梢血リンパ細胞より誘導した 分裂中期染色体をジゴキシゲニン(digoxigenin)標識化ヒトGDF-11プローブ(a )、またはヒトGDF-11ゲノムプローブと染色体12特異的セントロメアプローブ との混合物(b)にハイブリダイズさせ、そして本文中に記述するように分析した 。GDF-11が位置12q13に存在することを示す図が、パネル(c)に掲げられてい る。 図8は、マウスGDF-8のヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列を 示す。 発明の詳細な説明 本発明は、増殖および分化因子GDF-11、およびGDF-11をコードするポリ ヌクレオチド配列を提供する。GDF-11は筋肉、脳、子宮、脾臓および胸腺に おいて最高レベルで発現され、他の組織においてはより低いレベルで発現される 。1つの実施態様において、本発明はGDF-11の発現または機能に関連する、 筋肉、神経、子宮、脾臓または胸腺起源の細胞増殖疾患又は免疫疾患の検出法を 提供する。また別の実施態様において、本発明はGDF-11活性を抑制または増 進する作用物質を用いることによる細胞増殖疾患または免疫疾患の治療法を提供 する。 TGF−βスーパーファミリーは、多数の細胞型において増殖、分化、および 他の機能を制御する多機能性ポリペプチドから成る。これらペプチドの多くは他 のペプチド増殖因子に対し正および負の両方の調節効果を有する。本発明のGD F-11タンパク質とTGF−βファミリーメンバーとの間の構造的相同性は、G DF-11がこの増殖および分化因子のファミリーの新規なメンバーであることを 示している。他の多数のメンバーの公知の活性に基づいて、GDF-11もまた診 断および治療用試薬として有用な生物活性を有することが予想できる。 このスーパーファミリーのあるメンバーは、神経系の機能に関連する発現パタ ーンまたは活性を有する。例えば、ファミリーの1メンバーであるGDNFは、 ドーパミン作動性ニューロンの生存を促進することができる強力な神経栄養性因 子であることが示されている(Linら,Science,260:1130)。別のファミリーメン バーであるドルサリン-1(dorsalin-1)は、神経堤細胞の分化を促進しうる(Basle rら,Cell,73:687,1993)。インヒビンおよびアクチビンは脳で発現されること が示されている(Meunierら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,85:247,1988; S awchenkoら,Nature,334:615,1988)。そして、アクチビンは神経細胞生存分子 として機能しうることが示されている(Schubertら,Nature,344:868,1990)。 別のファミリーメンバーであるGDF−1は、発現パターンにおいて神経系特異 的であり(Lee,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,88:4250,1991)、また、他の ファミリーメンバーのあるもの、例えばVgr−1(Lyonsら,Proc.Natl.Acad .Sci.U.S.A.,86:4554,1989; Jonesら,Development,111:581,1991)、OP −1(Ozkaynakら,J.Biol.Chem.,267:25220,1992)、およびBMP−4(Jone sら,Development,111:531,1991)もまた、神経系で発現されることが知られて いる。脳および筋肉におけるGDF-11の発現は、GDF-11もまた神経系の機能 に関連した活性を有する可能性があることを示唆する。特に、例えば、骨格筋は 運動ニューロンの生存を促進する1つまたは複数の因子を生ずることが知られて いる(Brown,Trends Neurosci.,7:10,1984)。このファミリーの他のメンバー の公知の神経栄養性活性および筋肉におけるGDF-11の発現は、GDF-11の活 性の1つは運動ニューロンに対する栄養因子としての活性でありうることを示唆 する。実際、GDF-11は、発現パターンにおいて殆ど筋肉特異的であるGDF- 8に高度に関連している。または、GDF-11は他のニューロン集団に対する神経 栄養性活性を有するのかもしれない。したがって、GDF-11は筋萎縮性側索硬 化等の神経変性疾患の治療において、または移植前培養中の細胞または組織の維 持において、in vitroおよびin vivoの用途を持ちうる。 GDF-11はまた、筋肉変性疾患または傷による組織修復、等の筋肉が関与す る疾患過程の治療においても用途をもちうる。この点に関して、TGF−βファ ミリーの他の多くのメンバーは組織補修の重要な媒介体でもある。TGF−βは コラーゲンの形成に対して顕著な効果を及ぼし、そして新生マウスにおいてめざ ましい血管形成応答を引き起こすことが示されている(Robertら,Proc.Natl.A cad.Sci.USA 83:4167,1986)。TGF−βはまた、培養中の筋芽細胞の分化を 抑制することが示されている(Massagueら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:820 6,1986)。さらに、筋芽細胞は遺伝子療法において遺伝子を筋肉に運ぶ伝達体と して用いることができるので、移植前の細胞を維持するため、または融合プロセ スの効率を高めるためにGDF-11の特性を利用することができるであろう。 GDF-11はまた、免疫疾患の治療においても用途をもちうる。特に、TGF −βは、BおよびT細胞の増殖および機能に対する強力な抑制効果を含む広範な 免疫調節活性を有することが示されている(総論については、Palladinoら,Ann .N.Y.Acad.Sci.,593:181,1990参照)。脾臓および胸腺におけるGDF-11 の発現は、GDF-11が類似の活性を有しうること、そしてそれゆえ抗炎症剤と して、またはリンパ細胞の異常な増殖若しくは機能に関連する疾患の治療に使用 しうることを示唆している。 本明細書で用いる「実質的に純粋な」という用語は、天然において関連してい る他のタンパク質、脂質、炭水化物、または他の物質を実質的に含まないGDF -11をさす。当業者はタンパク質精製のための標準的技法を用いてGDF-11を精 製することができる。実質的に純粋なポリペプチドは非還元性ポリアクリルアミ ドゲル上に単一の主要バンドを生じる。GDF-11ポリペプチドの純度は、アミ ノ末端アミノ酸配列分析によっても確認できる。GDF-11ポリペプチドには、 GDF-11の活性が残存するものであれば該ポリペプチドの機能性断片が含まれ る。GDF-11の生物活性を有するより小さいペプチドも本発明に包含される。 本発明はGDF-11タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。こ れらのポリヌクレオチドには、GDF-11をコードするDNA、cDNAおよび RNA配列が含まれる。GDF-11の全部または一部をコードする全てのポリヌ クレオチドもまた、GDF-11活性を有するポリペプチドをコードする限り、こ こに含まれることが理解される。そのようなポリヌクレオチドは、天然に存在す るポリヌクレオチド、合成ポリヌクレオチド、および意図的に操作されたポリヌ クレオチドを包含する。例えば、GDF-11ポリヌクレオチドを部位特異的突然 変異誘発にかけることが可能である。GDF-11のポリヌクレオチド配列は、ア ンチセンス配列をも含む。本発明のポリヌクレオチドは、遺伝暗号の縮重の結果 、縮重した配列をも包含する。20個の天然のアミノ酸が存在するが、それらの殆 どは2個以上のコドンによって特定される。したがって、ヌクレオチド配列によ ってコードされるGDF-11ポリペプチドのアミノ酸配列が機能的に変化してい ないかぎり、すべての縮重したヌクレオチド配列は本発明に包含される。 本明細書では、ヒトGDF-11遺伝子を含有するDNA配列を具体的に開示す る。この配列は、長さが407アミノ酸であるポリペプチドをコードするオープン リーディングフレームを含有する。この配列はアミノ酸295〜298に推定上のRXXR タンパク質分解開裂部位を有する。この部位における前駆体の開裂は、長さが10 9アミノ酸で、予想される分子量が約12,500 kDである活性なC末端断片を生じる であろう。本明細書はまた、部分的マウスゲノム配列を開示する。好ましくは、 ヒトGDF-11ヌクレオチド配列は配列番号:1であり、マウスヌクレオチド配 列は配列番号:3である。 GDF-11をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:1および3、ならび に配列番号:1および3に相補的な核酸配列を含む。相補配列はアンチセンスヌ クレオチドを含みうる。配列がRNAの場合、配列番号:1および3のデオキシ ヌクレオチドA、G、CおよびTは、それぞれリボヌクレオチドA、G、Cおよ びUに置き換えられる。長さが少なくとも15塩基の、上記の核酸配列の断片もま た本発明に含まれる。この長さは、断片が配列番号:2または4のタンパク質を コードするDNAに生理的条件下で選択的にハイブリダイズするのを可能とする に十分である。 推定上のタンパク質分解プロセシング部位に続くGDF-11のC末端領域は、 TGF−βスーパーファミリーの公知メンバーに有意な相同性を示す。GDF-1 1配列は、他のファミリーメンバーにおいて高度に保存されている残基の殆どを 含有している(図1参照)。TGF−βおよびインヒビンβと同様、GDF-11 は他のファミリーメンバーの殆どに見いだされる7個のシステインに加え、シス テイン残基の余分な対を有する。公知のファミリーメンバーのうち、GDF-11 はGDF-8に最も相同的である(92%配列同一性)(図3参照)。 組換えGDF-11一次アミノ酸配列のマイナーな改変は、本明細書に記載のG DF-11ポリペプチドに比較して実質的に同等の活性を有するタンパク質をもた らしうる。このような改変は、部位特異的突然変異誘発によるもののように意図 的なものも、また自然発生的なものもある。このような改変によってもたらされ たポリペプチドはすべて、GDF-11の生物活性が存在するかぎり、本発明に包 含される。さらに、1個または複数のアミノ酸の欠失もまた、生物活性を有意に 変更することなく、結果として生ずる分子の構造の改変をもたらしうる。これは 、より広い有用性をもつ、より小さい活性分子の開発をもたらしうる。例えば、 GDF-11生物活性に必要とされないアミノまたはカルボキシ末端アミノ酸を除 去することができる。 本発明のGDF-11ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、開示され た配列およびその同類変形を包含する。ここで使用する「同類変形(conservativ e variation)」という用語は、アミノ酸残基を別の、生物学的に類似の残基で置 換することをさす。同類変形の例は、イソロイシン、バリン、ロイシンまたはメ チオニン等の疎水性残基の別の疎水性残基との置換、またはある極性残基の別の 極性残基との置換(例えば、アルギニンをリシンに、グルタミン酸をアスパラギ ン酸に、またはグルタミンをアスパラギンに置換する)等を含む。「同類変形」 という用語は、置換したポリペプチドに対して作成された抗体が非置換ポリペプ チドとも免疫反応するならば、非置換親アミノ酸の代わりに置換したアミノ酸を 使用することをも含む。 本発明のDNA配列は、幾つかの方法によって取得できる。例えば、上記DN Aは当分野で周知のハイブリダイゼーション技法を用いて単離することができる 。これらの方法には以下のものが含まれるがそれだけに限定されない。すなわち 、1)相同的ヌクレオチド配列を検出するための、ゲノムDNAまたはcDNA ライブラリーのプローブとのハイブリダイゼーション、2)興味のあるDNA配 列とアニーリングが可能なプライマーを用いた、ゲノムDNAまたはcDNAの ポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)、および3)共通の構造的特徴を もつクローン化DNA断片を検出するための、発現ライブラリーの抗体スクリー ニングである。 好ましくは、本発明のGDF-11ポリヌクレオチドは哺乳動物、そして最も好 ましくはマウス、ラットまたはヒトから引き出される。核酸ハイブリダイゼーシ ョンに依存するスクリーニング手順は、適切なプローブがあれば、任意の生物か ら任意の遺伝子配列を単離することを可能とする。当該タンパク質をコードする 配列の一部に対応するオリゴヌクレオチドプローブは、化学的に合成することが できる。このためには、アミノ酸配列の中の短い、一続きのオリゴペプチドが分 かっていなければならない。タンパク質をコードするDNA配列は遺伝子暗号か ら推論することができるが、暗号の縮重を考慮しなければならない。配列が縮重 している場合、混合付加反応を実施することができる。これは、変性2本鎖DN Aの異種混合物を包含する。このようなスクリーニングのためには、1本鎖DN Aまたは変性2本鎖DNAを用いてハイブリダイゼーションを実施するのが好ま しい。興味のあるポリペプチドに関連するmRNA配列が極めて少量しか存在し ない供給源より引き出したcDNAクローンの検出には、ハイブリダイゼーショ ンが特に有用である。つまり、非特異的結合を避けるためのストリンジェントな ハイブリダイゼーション条件を用いることにより、例えば、標的DNAと混合物 中の単一プローブ(該DNAの完全な相補体である)とのハイブリダイゼーショ ンによって、特定cDNAクローンのオートラジオグラフィーによる視覚化を可 能とすることができる(Wallaceら,Nucl.Acid Res.,9:879,1981; Maniatisら ,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor,N.Y.,198 9)。 GDF-11をコードする特定DNA配列の展開もまた、1)ゲノムDNAから の2本鎖DNAの単離;2)興味のあるポリペプチドに必要なコドンを提供する DNA配列の化学的製造;および3)真核ドナー細胞から単離したmRNAの逆 転写による2本鎖DNA配列のin vitro合成、によって得ることができる。後者 の場合、一般にcDNAと呼ばれる、mRNAの2本鎖DNA相補体が最後に形 成される。 組換え手順に使用する特定DNA配列を展開するための上記の3つの方法のう ち、ゲノムDNA単離体の単離は最も一般的でない方法である。イントロンの存 在ゆえに、哺乳動物ポリペプチドの微生物による発現を得ることが望ましい場合 は、特にそうである。 所望のポリペプチド産物のアミノ酸残基の全配列が分かっている場合、DNA 配列の合成はしばしば最良の方法である。所望のポリペプチドのアミノ酸残基の 全配列が分かっていない場合、DNA配列の直接合成は不可能であり、最良の方 法はcDNA配列の合成である。興味のあるcDNA配列を単離するための標準 的手順の中に、高レベルで遺伝子を発現するドナー細胞中に豊富に存在するmR NAの逆転写によって引き出される、プラスミドまたはファージに担持されるc DNAライブラリーの形成がある。ポリメラーゼチェーンリアクション技術と組 み合わせて用いた場合、稀少な発現産物であってもクローン化が可能である。ポ リペプチドのアミノ酸配列の重要な部分が分かっている場合、標的cDNAに存 在すると推定される配列を写した、標識化1本または2本鎖DNAまたはRNA プローブ配列の作成を、DNA/DNAハイブリダイゼーション手順に採用しう る。この手順は、1本鎖形態に変性させたcDNAのクローン化コピーを用いて 実施される(Jayら,Nucl.Acid Res.,11:2325,1983)。 GDF-11に特異的な抗体を用いて、少なくとも1個のエピトープを有するG DF-11ペプチドについて、λ gt11 等のcDNA発現ライブラリーを間接的に スクリーニングすることができる。そのような抗体はポリクローナル的またはモ ノクローナル的に誘導して、GDF-11 cDNAの存在を示す発現産物の検出に 使用することができる。 GDF-11をコードするDNA配列は、適切な宿主細胞へのDNA導入によりi n vitroで発現させることができる。「宿主細胞」とは、その中でベクターが増 殖可能であって、そのDNAが発現される細胞をいう。この用語はまた、本宿主 細胞の任意の子孫をも包含する。全ての子孫が親細胞と同一ではないかもしれな い、ということが理解される。なぜなら、複製の際に起こる突然変異がありうる からである。しかし、「宿主細胞」という用語を用いるとき、そのような子孫も 包含される。安定した(外来DNAが宿主中に継続的に維持される、の意)DN A導入法は当分野で公知である。 本発明において、GDF-11ポリヌクレオチド配列を組換え発現ベクターに挿 入することができる。「組換え発現ベクター」という用語は、GDF-11遺伝子 配列の挿入または組み込みにより遺伝子的に操作された、プラスミド、ウイルス 、または当分野で公知の他の伝達体をいう。このような発現ベクターは、宿主の 挿 入遺伝子配列の効率的転写を促進するプロモーター配列を含有する。発現ベクタ ーは典型的には複製起点、プロモーター、および形質転換細胞の表現型選択を可 能とする特定の遺伝子を含有する。本発明に使用するのに適切なベクターは、以 下のものを含むがそれらだけに限定されない。すなわち、細菌における発現のた めのT7に基づく発現ベクター(Rosenbergら,Gene,56:125,1987)、哺乳動物 細胞における発現のためのpMSXND発現ベクター(LeeおよびNathans,J.Biol.Ch em.,263:3521,1988)および昆虫細胞における発現のためのバキュロウイルス由 来のベクターである。DNAセグメントは、調節エレメント、例えばプロモータ ー(例:T7、メタロチオネインI、またはポリヘドリンプロモーター)に機能 しうる形で連結されてベクター内に存在しうる。 GDF-11をコードするポリヌクレオチド配列は、原核生物または真核生物に おいて発現させることができる。宿主は、微生物、酵母、昆虫および哺乳動物を 含みうる。真核生物またはウイルスの配列を有するDNA配列を原核生物におい て発現させる方法は、当分野で周知である。宿主中で発現および複製が可能な、 生物的に機能性のウイルスおよびプラスミドDNAベクターが、当分野で公知で ある。そのようなベクターは、本発明のDNA配列を組み込むために使用される 。好ましくは、GDF-11の全コード配列を含有するcDNAクローンから、G DF-11の成熟C末端領域を発現させる。または、GDF-11のC末端部分を、T GF−βファミリーの他のメンバーの前領域を有する融合タンパク質として発現 させるか、あるいは他の前領域とともに同時発現させることができる(例えば、 Hammondsら,Molec.Endocrin.5:149,1991; Gray,A およびMason,A.,Scien ce,247:1328,1990参照)。 組換えDNAを用いた宿主細胞の形質転換は、当業者に周知の通常の技法によ り実施することができる。宿主が大腸菌等の原核生物の場合、DNA取り込みが 可能なコンピテント細胞は、周知の手順を用いて指数増殖期の後に集菌し、次い でCaCl2法で処理した菌体から調製することができる。あるいは、MgCl2またはRb Clを用いることができる。所望であれば、宿主細胞の原形質体を形成してから形 質転換を実施することもできる。 宿主が真核生物の場合、リン酸カルシウム共沈降法、マイクロインジェクショ ン、エレクトロポレーション等の通常の機械的手順、リポソームに封入したプラ スミドの挿入、またはウイルスベクター等のDNAトランスフェクション法が使 用できる。真核細胞はまた、本発明のGDF-11をコードするDNA配列および 選択可能な表現型をコードする第2の外来DNA分子(例えば、単純ヘルペスチ ミジンキナーゼ遺伝子等)を用いて、同時形質転換することができる。別な方法 は、サルウイルス40(SV40)またはウシパピローマウイルス等の真核細胞ウイ ルスベクターを用いて、真核細胞を一過性に感染させ、または形質転換し、タン パク質を発現させるものである(例えば、Eukaryotic Viral Vectors,Cold Spr ing Harbor Laboratory,Gluzman編,1982参照)。 微生物により発現された本発明のポリペプチド、またはその断片の単離および 精製は、分取クロマトグラフィー、およびモノクローナルまたはポリクローナル 抗体を使用する免疫学的分離を含む通常の手段により実施することができる。 本発明のGDF-11ポリペプチドは、GDF-11ポリペプチドのエピトープに免 疫反応する、または結合する抗体を作成するためにも使用できる。異なる抗原決 定基特異性を有するプールされたモノクローナル抗体より本質的に成る抗体、お よび個別のモノクローナル抗体調製物が提供される。モノクローナル抗体は、上 記タンパク質の断片を含有する抗原から当業者に周知の方法により作成される(K ohlerら,Nature,256:495,1975; Current Protocols in Molecular Biology,A usubelら編,1989)。 本発明に用いる「抗体」という用語は、抗原決定基と結合可能な完全な分子お よびその断片(Fab、F(ab')2およびFv、等)を包含する。これらの抗体断片は、そ の抗原または受容体に選択的に結合する多少の能力を保持しており、以下の用に 定義される: (1) Fab:抗体分子の一価の抗原結合断片を含有する断片で、全抗体を酵素パパイ ンで消化し、完全なL鎖および一本のH鎖の一部を生じさせることにより作成で きる; (2) Fab': 抗体分子の断片で、全抗体をペプシンで処理し、次いで還元し、完全 なL鎖およびH鎖の一部を生じさせることにより得られる;抗体分子1個につき 2個のFab'断片が得られる; (3) F(ab')2: 全抗体を酵素ペプシンで処理し、その後の還元をしないで得るこ とができる抗体断片: F(ab')2は、2つのジスルフィド結合によってつながれて いる2個のFab'断片からなる二量体である; (4) Fv: 2本の鎖として発現されるL鎖の可変部およびH鎖の可変部を有する、 遺伝子工学的に作成された断片と定義される;および (5) 1本鎖抗体("SCA"): 適切なポリペプチドリンカーによって連結されたL鎖 の可変部およびH鎖の可変部を遺伝子工学的に融合させた1本鎖分子として有す る、遺伝子工学的に作成された分子と定義される。 これらの断片の作成方法は当分野で公知である(例えば、参照としてここに組 み入れる Harlow およびLane,Antibodies: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1988参照)。 本発明に用いる「エピトープ」という用語は、抗体のパラトープが結合する、 抗原上の任意の抗原決定基を意味する。抗原決定基は通常、アミノ酸または糖側 鎖等の化学的に活性な分子の表面配置からなり、そして通常特異的三次構造特性 および特異的電荷特性を有する。 本発明のGDF-11ポリペプチドに結合する抗体は、免疫感作抗原として、完 全なポリペプチドまたは興味のある小さいペプチドを含有する断片を用いて調製 することができる。動物を免疫感作するのに使用するポリペプチドまたはペプチ ドは、所望であればキャリアータンパク質と結合させることができる翻訳された cDNAまたは化学合成物から誘導することが可能である。ペプチドに化学的に 結合させる、このような一般的に使用されるキャリアーは、スカシ貝ヘモシアニ ン(KLH)、チログロブリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、および破傷風菌トキソイ ドを含む。次に、結合ペプチドは動物(例えば、マウス、ラットまたはウサギ) を免疫感作するのに使用される。 所望であれば、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体をさらに精製するこ とができる。例えば、マトリックスに結合させ、そしてポリペプチドまたはペプ チド(これに対して上記抗体が作成された)が結合しているマトリックスから溶 出させる、などして実施できる。当業者はポリクローナルおよびモノクローナル 抗体の精製および/または濃縮のための、免疫学技術において一般的な種々の技 法を知っているであろう(例えば、参照としてここに組み入れるColiganら,Uni t 9,Current Protocols in Immunology,Wiley Interscience,1991参照)。 抗イディオタイプ技術を用いて、エピトープを模倣したモノクローナル抗体を 作成することもまた可能である。例えば、第1のモノクローナル抗体に対して作 成された抗イディオタイプモノクローナル抗体は、超可変部に第1のモノクロー ナル抗体によって結合されたエピトープの「イメージ」である結合ドメインをも つであろう。 「細胞増殖疾患」という用語は、しばしば形態学的にも遺伝子型的にも周囲の 組織と相違するように見える悪性および非悪性細胞集団をさす。悪性細胞(例: ガン)は、多段階過程の結果として発生する。アンチセンス分子であるGDF-1 1ポリヌクレオチドは種々の器官系、特に例えば筋肉、子宮、脾臓、胸腺または 神経組織の細胞の悪性疾患を治療するのに有用である。本質的に、GDF-11の 変更された発現と病因的に関連している任意の疾患は、GDF-11抑制試薬によ る治療が可能であると考えられる。そのような疾患の1つは、例えば悪性細胞増 殖疾患である。 本発明は、抗GDF-11抗体をGDF-11関連疾患を有する疑いのある細胞と接 触させ、そして上記抗体への結合を検出することを含んでなる、例えば筋肉、子 宮または神経組織の細胞増殖疾患を検出する方法を提供する。GDF-11に反応 性の抗体は、GDF-11への結合の検出を可能とする化合物を用いて標識される 。本発明の目的のため、GDF-11ポリペプチドに特異的な抗体を使用して、体 液および組織におけるGDF-11のレベルを検出することができる。検出可能な 量の抗原を含有する任意の標本が使用できる。本発明の好ましいサンプルは、筋 肉、子宮、脾臓、胸腺または神経組織である。疑わしい細胞におけるGDF-11 のレベルを正常細胞におけるレベルと比較して、被験者がGDF-11関連細胞増 殖疾患を有するかどうかを決定することができる。好ましくは、被験者はヒトで ある。 本発明の抗体は、in vitroまたは in vivo免疫診断または免疫療法を施すこと が望ましい任意の被験者に使用することができる。本発明の抗体は、例えば、イ ムノアッセイにおいて使用するのに適している。そこでは、上記抗体は液相で、 または固相キャリアーに結合させて使用できる。さらに、これらのイムノアッセ イにおける抗体は、種々の方法で検出可能に標識することができる。本発明の抗 体を使用できるイムノアッセイの種類の例は、直接または間接様式の競合および 非競合イムノアッセイである。そのようなイムノアッセイの例は、ラジオイムノ アッセイ(RIA)およびサンドイッチ(免疫計量)アッセイである。本発明の抗体 を用いた抗原の検出は、フォワード、逆向き、または同時モードで行なわれるイ ムノアッセイ(生理的サンプルを用いる免疫組織化学的アッセイを含む)を用い て実施することができる。当業者は他のイムノアッセイ様式を知っているであろ う。または、過度の実験をすることなく容易に突き止めることができる。 本発明の抗体は、多数の異なるキャリアーに結合させて、本発明のポリペプチ ドを含む抗原の存在を検出するために使用できる。周知のキャリアーの例は、ガ ラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン 、アミラーゼ、天然および変性セルロース、ポリアクリルアミド、アガロースお よび磁鉄鉱を含む。本発明の目的のためには、キャリアーの性質は可溶性であっ ても、不溶性であってもよい。当業者は、抗体を結合させるための他の適切なキ ャリアーを知っているか、または通常の実験を用いてそれらを突き止めることが できるであろう。 当業者に公知の多数の異なる標識および標識法が存在する。本発明に使用でき る標識の種類の例は、酵素、放射性同位体、蛍光化合物、コロイド金属、化学発 光化合物、リン光化合物、および生物発光化合物である。当業者は、抗体に結合 させるための他の適切な標識を知っているか、または通常の実験を用いてそれら を突き止めることができるであろう。 より大きい感受性をもたらしうる別の技法は、抗体を低分子量のハプテン類に 結合させることからなる。次に、第2反応という手段により、これらのハプテン 類を特異的に検出することが可能である。例えば、アビジンと反応するビオチン 、または、特異的抗ハプテン抗体と反応することができるジニトロフェニル、プ リドキサール(puridoxal)、およびフルオレセイン等のハプテン類を使用するの が一般的である。 本発明のモノクローナル抗体を抗原のin vivo 検出のために使用する場合は、 検出可能に標識した抗体を診断的に有効な投与量で投与する。「診断的に有効」 という表現は、検出可能に標識したモノクローナル抗体を、本発明のポリペプチ ト(上記抗体は、これに対して特異的である)を含む抗原を有する部位の検出を 可能とするのに十分な量で投与することを意味する。 投与される検出可能に標識したモノクローナル抗体の濃度は、上記ポリペプチ ドを有する細胞への結合がバックグラウンドに比較して検出可能であるほど、十 分でなければならない。さらに、最良の標的対バックグラウンドシグナル比をも たらすために、検出可能に標識したモノクローナル抗体は迅速に循環系から除去 されることが望ましい。 概して、in vivo 診断のための検出可能に標識したモノクローナル抗体の投与 量は、年齢、性別、および個人の疾患の程度、等の因子によって変わる。そのよ うな投与量は、例えば、多数の注射が行なわれるかどうか、抗原負荷、および当 業者に公知の他の因子によって変わりうる。 in vivo 診断イメージングのためには、利用可能な検出機器の種類が放射性同 位体を選択する上での主要な因子である。選択された放射性同位体は、与えられ た種類の機器で検出可能な種類の崩壊を有するものでなければならない。in viv o 診断のための放射性同位体の選択におけるさらに別の重要な因子は、宿主に対 して危険な放射を最小限にすることである。理想的には、in vivo イメージング に使われる放射性同位体は粒子放出を欠くものであるが、140〜250 keV の範囲 で多数の光子を生じる。これらの光子は通常のガンマカメラで容易に検出できる 。 in vivo 診断のためには、放射性同位体を直接、または中間の官能基を用いて 間接に、免疫グロブリンに結合させることができる。金属イオンとして存在する 放射性同位体を免疫グロブリンに結合させるためにしばしば用いられる中間官能 基は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およ び類似の分子等の二官能キレート化剤である。本発明のモノクローナル抗体に結 合させることのできる金属イオンの典型的例は、111In、97Ru、67Ga、68Ga、72A s、89Zrおよび201Tlである。 本発明のモノクローナル抗体もまた、磁気共鳴画像法(MRI)または電子スピン 共鳴(ESR)等におけるin vivo 診断のため、常磁性同位体を用いて標識すること ができる。一般に、診断画像を視覚化するための任意の常用の方法が使用できる 。 通常は、γおよび陽電子を放出する放射性同位体がカメライメージングに、また 常磁性同位体がMRI に使用される。そのような技法において特に有用な元素は、157 Gd、55Mn、162Dy、52Crおよび56Feである。 本発明のモノクローナル抗体は、被験者におけるGDF-11関連疾患の改善の 経過をin vitroおよびin vivoでモニターするのに使用できる。したがって、例 えば、本発明のポリペプチドを含む抗原を発現する細胞数の増加または減少、あ るいは種々の体液中に存在するそのような抗原の濃度変化を測定することにより 、GDF-11関連疾患の改善を目的とする特定の治療法が有効かどうかを決定す ることが可能であろう。「改善する」という用語は、治療を受けている被験者に おいて、GDF-11関連疾患の有害な影響が少なくなることをさす。 本発明は、正常細胞における発現と比較して、変わった様式で発現されている 可能性のあるヌクレオチド配列を同定する。それゆえ、この配列に向けられた適 切な治療または診断技法を設計することが可能である。したがって、細胞増殖疾 患がGDF-11の発現と関連している場合は、翻訳レベルでGDF-11発現を妨害 する核酸配列が使用できる。このアプローチは、例えば、アンチセンス核酸およ びリボザイムを使用して、mRNAをアンチセンス核酸でマスキングするか、ま たはそれをリボザイムで開裂することにより、特定のGDF-11 mRNAの翻訳 をブロックする。このような疾患は、例えば、神経変性疾患を含む。 アンチセンス核酸とは、特定のmRNA分子の少なくとも一部に相補的なDN AまたはRNA分子である(Weintraub,Scientific American,262:40,1990)。 細胞において、アンチセンス核酸は対応するmRNAとハイブリダイズし、2本 鎖分子を形成する。アンチセンス核酸は、mRNAの翻訳を妨害する。なぜなら 、細胞は2本鎖となったmRNAを翻訳しないからである。約15個のヌクレオチ ドよりなるアンチセンスオリゴマーが好ましい。なぜなら、それらは簡単に合成 され、そして標的のGDF-11産生細胞に導入された時、大きい分子よりも問題 を起こさないからである。遺伝子のin vitro翻訳を抑制するためのアンチセンス 法の使用は、当分野で周知である(Marcus-Sakura,Anal.Biochem.,172:289,1 988)。 リボザイムは、DNA制限酵素と類似の方法で他の一本鎖RNAを特異的に切 断することのできるRNA分子である。これらのRNAをコードするヌクレオチ ド配列を修飾することによって、RNA分子中の特異的ヌクレオチド配列を認識 し、これを切断する分子を作製することができる(Cech,J.Amer.Med.Assn. ,260:3030,1988)。このアプローチの主な利点は、これが配列特異的であるた めに特定の配列をもつmRNAのみが不活性化されることである。 リボザイムには、テトラヒメナ型(Hasselhoff,Nature,334:585,1988)と “ハンマーヘッド”型の2つの基本的型がある。テトラヒメナ型リボザイムは長 さ4塩基の配列を認識し、“ハンマーヘッド”型リボザイムは長さ11−18塩 基の塩基配列を認識する。認識配列が長いほど、配列が標的mRNAで示す排他 性が高くなる。従って、ハンマーヘッド型リボザイムがテトラヒメナ型リボザイ ムよりも特定mRNA種を不活性化するうえで好ましく、18塩基の認識配列が 短い認識配列よりも好ましい。 本発明はまた、GDF−11タンパク質によって媒介される細胞増殖性または 免疫性疾患の治療のための遺伝子治療を提供する。このような治療は増殖性疾患 を有する細胞中にGDF−11アンチセンスポリヌクレオチドを導入することに よって治療効果を達成する。アンチセンスGDF−11ポリヌクレオチドの送達 は、キメラウイルスやコロイド分散系などの組換え発現ベクターを用いて達成す ることができる。アンチセンス配列を治療用に送達するのに特に好ましいのはタ ーゲッティングされたリポソームを使用することである。 本明細書で教示する遺伝子治療に使用できる各種ウイルスベクターには、アデ ノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアまたは好ましくはレトロウイルスな どのRNAウイルスを含む。好ましくは、レトロウイルスベクターはネズミまた はトリレトロウイルスの誘導体である。1つの外来遺伝子を挿入することのでき るレトロウイルスベクターの例には、モロニーネズミ白血病ウイルス(MoMu LV)、ハーベイネズミ肉腫ウイルス(HaMuSV)、ネズミ乳癌ウイルス( MuMTV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)を含むがこれに限定されない 。さらに多数のレトロウイルスベクターが複数の遺伝子を導入することができる 。これらすべてのベクターは、形質導入された細胞が同定、生成できるように 選択可能なマーカー用の遺伝子を伝達または導入することができる。例えば、特 定標的細胞上の受容体のためのリガンドをコードする別の遺伝子とともに、関心 のあるGDF−11配列をウイルスベクターに挿入することによって、ベクター はターゲット特異性となる。レトロウイルスベクターは例えば糖、糖脂質、また はタンパク質を結合させることによってターゲット特異性とすることができる。 レトロウイルスベクターをターゲットとする抗体を用いることによって好ましい ターゲッティングを達成することができる。当業者であれば過度の実験を行うこ となく、GDF−11アンチセンスポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベク ターをターゲット特異的に送達できるようにレトロウイルスゲノム中に挿入した り、あるいはウイルスエンベロープに結合させることのできる特異的ポリヌクレ オチド配列を知ることができ、また容易に確認することができる。 組換えレトロウイルスは欠損性であるので、感染ベクター粒子を生成するには 補助を必要とする。この補助は例えば、LTR中の制御配列のコントロール下に レトロウイルスの構造遺伝子すべてをコードするプラスミドを含むヘルパーセル ラインを用いることによって提供することができる。これらのプラスミドは、封 入化のためのRNA転写物を認識するパッケージングメカニズムを可能にするヌ クレオチド配列をもたない。パッケージングシグナルを欠失するヘルパーセルラ インには、例えばψ2、PA317およびPA12を含むが、これに限定されな い。ゲノムは全くパッケージングされないので、これらのセルラインは空のビリ オンを作り出す。もしもパッケージングシグナルが完全であるが構造遺伝子が関 心のある別の遺伝子で置き換わった細胞中にレトロウイルスベクターを導入した 場合には、ベクターはパッケージングされベクタービリオンが作り出される。 あるいは、慣用のリン酸カルシウムトランスフェクションを用いてレトロウイ ルス構造遺伝子gag、polおよびenvをコードするプラスミドでNIH 3T3またはその他の組織培養細胞を直接トランスフェクトできる。これらの細 胞を次に関心のある遺伝子を含むベクタープラスミドでトランスフェクトする。 得られる細胞は培地中にレトロウイルスベクターを放出する。 GDF−11アンチセンスポリヌクレオチドのための別のターゲッティングさ れた送達系はコロイド分散系である。コロイド分散系には、巨大分子複合体、ナ ノカプセル、小球、ビーズ、ならびに水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセル およびリポソームを含む脂質系を含む。本発明の好ましいコロイド系はリポソー ムである。リポソームはin vitroおよびin vivoでの送達ベヒクルとして有用な 人工膜小胞である。0.2−4.0μmの大きさの単ラメラ小胞(LUV)は巨 大分子を含む水性バッファーの実質的部分を封入することができることが知られ ている。RNA、DNAおよび完全なビリオンを水性の内部に封入して生物学的 に活性な形で細胞に送達することができる(Fraley,et al.,Trends Biochem. Sci.,6:77,1981)。哺乳動物に加えて、リポソームは植物、酵母および細菌細 胞にポリヌクレオチドを送達するのにも使用できる。リポソームが有用な遺伝子 伝達ベヒクルとなるためには、以下の特徴が存在していなければならない:(1 )生物学的活性を損なうことなく高率で関心のある遺伝子を封入できること、( 2)非標的細胞に比較して標的細胞に優先的かつ実質的に結合すること、(3) 高率で標的細胞の細胞質に小胞の水性含有物を送達すること、および(4)遺伝 子情報が正確かつ有効に発現すること(Mannino,et al.,Biotechniques,6:68 2,1988)。 リポソームの組成は通常ステロイド、特にコレステロールと組み合わせたリン 脂質、特に高相転移温度(high-phase-transition-temperature)リン脂質の組 み合わせである。その他のリン脂質または脂質も使用できる。リポソームの物理 的性質はpH、イオン強度、および2価カチオンの存在に依存する。 リポソーム製造に使用できる脂質の例には、ホスファチジルグリセロール、ホ スファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン 、スフィンゴ脂質、セレブロシドおよびガングリオシドなどのホスファチジル化 合物を含む。特に有用なのは、脂質部分が14−18炭素原子、特に16−18 炭素原子を含み飽和であるジアシルホスファチジルグリセロールである。リン脂 質の例には卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよ びジステアロイルホスファチジルコリンを含む。 リポソームのターゲッティングは解剖学的および機械的要因に基づいて分類で きる。解剖学的分類は選択性のレベル、例えば器官特異性、細胞特異性およびオ ルガネラ特異性に基づく。機械的ターゲッティングはそれが受動か能動かに基づ いて区別できる。受動ターゲッティングは、類洞毛細管を含む器官内の細網内皮 系(RES)の細胞へのリポソームの自然な分布傾向を利用する。一方、能動タ ーゲッティングは、モノクローナル抗体、糖、糖脂質またはタンパク質などの特 異的リガンドへのリポソームの結合によるか、あるいは自然に起きる局在部位以 外の器官および細胞型へのターゲッティングを達成するためにリポソームの組成 や大きさを変更することによるリポソームの変更を含む。 ターゲッティング送達系の表面は各種の方法で修飾することができる。リポソ ームターゲッティング送達系の場合、標的リガンドをリポソーム二重層と安定な 関係に維持するために脂質基をリポソームの脂質二重層に挿入することができる 。脂質鎖をターゲッティングリガンドと結合するために各種の結合基を用いるこ とができる。 筋肉、脾臓、子宮、胸腺および神経組織でGDF−11は発現するので、これ らの組織と関連する本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび抗体を様々 に応用できる。このような応用にはこれらの組織およびその他の組織を含む細胞 増殖性および免疫性疾患の治療を含む。さらに、GDF−11は各種の遺伝子治 療法に使用できる。 以下の実施例は本発明を説明するものであってこれを限定するものではない。 これらの実施例は典型的使用例を示すものであるが、当業者に公知のその他の方 法もこれに代えて使用できる。実施例1 :新規なTGF−βファミリーメンバーの同定と単離 TGF−βスーパーファミリーの新規なメンバーを同定するために、GDF− 8前駆体タンパク質のC末端部分をコードする領域にまたがるネズミGDF−8 プローブ(図8:ヌクレオチド865−1234)を用いてゆるやかなストリン ジェンシーでネズミゲノムライブラリーをスクリーニングした。文献(Lee,Mol .Endocrinol.,4:1034,1990)記載の方法を用い65℃でハイブリダイゼーシ ョンを行い、最終洗浄は同じ温度で0.5M NaClを含むバッファー中で行 った。ハイブリダイズしたファージのうち、GDF−8プローブとのより弱いハ イブリダイゼーション強度によってGDF−8含有ファージから区別されるもの が あった。この弱くハイブリダイズするファージ中に存在するゲノムインサートの 部分ヌクレオチド配列を分析したところ、このクローンがネズミGDF−8と強 く関連するがこれとは異なる配列を含むことを示した。 このファージに存在するゲノムインサートの部分ヌクレオチド配列を図1aに 示す。この配列は、TGF−βスーパーファミリーの公知のメンバーと有意な相 同性を示すヌクレオチド198から575にわたるオープンリーディングフレー ムを含んでいた(下記参照)。この配列の前には、GDF−8遺伝子と全く同じ 位置に3’スプライスコンセンサス配列があった。この新規なTGF−βファミ リーメンバーをGDF−11(増殖/分化因子−11)と命名した。実施例2 :GDF−11の発現 GDF−11の発現パターンを調べるため、各種組織から調製したRNAサン プルをノーザン分析によってスクリーニングした。RNAの単離とノーザン分析 は文献(Lee,Mol.Endocrinol.,4:1034,1990)記載の方法で行い、ただしハ イブリダイゼーションは5xSSPE、10%硫酸デキストラン、50%ホルム アミド、1%SDS、200μg/mlサケDNAおよび各0.1%のウシ血清 アルブミン、フィコールおよびポリビニルピロリドン中で行った。各組織から調 製したポリAで2回選択したRNA5μg(ただし、2日齢の新生児脳では3. 3μgのRNAを用いた)をホルムアルデヒドゲルで電気泳動し、ブロットし、 GDF−11をプローブとした。図2に示すように、GDF−11プローブは、 成人胸腺、脳、脾臓、子宮および筋肉、ならびに12.5日または18.5日に 単離した全胚、および発生の各段階で取り出した脳サンプル中に、約4.2kb および3.2kbの長さの2つのRNA種を検出した。これらのブロットをより 長く暴露すると、低レベルのGDF−11RNAがその他の多くの組織に検出さ れた。実施例3 :GDF−11をコードするcDNAクローンの単離 GDF−11をコードするcDNAクローンを単離するために、ヒト成人脾臓 から調製したRNAを用いてλZAP IIベクター(Stratagene)中にcDN Aライブラリーを調製した。ヒト脾臓から調製したポリAで2回選択したRNA 5μgから、Stratageneの説明書に従って2100万個の組換えファージからな るcDNAライブラリーを構築した。このライブラリーを増幅せずにスクリーニ ングした。ライブラリースクリーニングとcDNAインサートの性状決定は文献 (Lee,Mol.Endocrinol.,4:1034,1990)記載の方法で行った。ライブラリー から23個のハイブリダイズするファージを得た。 遺伝子の5’末端から最も遠くまで伸びているクローンの全ヌクレオチド配列 を決定した。1258塩基対の配列は、クローンの5’末端から始まりTAAス トップコドンに至る1つの長いオープンリーディングフレームを含んでいた。こ のオープンリーディングフレームとクローンの5’最末端まで伸びるGDF−8 との相同性(下記参照)から、このクローンにはGDF−11前駆体タンパク質 のN末端部分に対応するコーディング配列が欠けていると思われた。GDF−1 1配列の残り部分を得るために、ヒトGDF−11cDNAプローブを用いてヒ トゲノムライブラリーをスクリーニングして幾つかのゲノムクローンを単離した 。これらのゲノムクローンの1つの部分配列を分析してこのクローンがGDF− 11遺伝子を含むことが明らかとなった。このクローンから残りのGDF−11 コーディング配列を得た。図1bはゲノムおよびcDNA配列から組み立てたG DF−11の予測配列を示す。ヌクレオチド136−1393はcDNAクロー ンから得た配列を表す。ヌクレオチド1−135はゲノムクローンから得た。配 列はゲノムクローン中に存在するSac II部位から始めて任意に番号付けを 行ったが、mRNAのスタート部位は分かっていない。配列にはヌクレオチド5 4に推定の開始メチオニンを含む。このメチオニンコドンの上流の配列がmRN A中に全て存在するか否かは分かっていない。メチオニンコドンから始めて、オ ープンリーディングフレームは407アミノ酸の長さである。配列にはアスパラ ギン94に推定のN−結合性グリコシル化部位を1つ含む。配列にはアミノ酸2 95−298にRXXRタンパク質分解性切断部位と予測される部位を含み、こ の部位での前駆体の切断により、長さ109アミノ酸で予測分子量約12,50 0kDの活性なC末端断片を生成する。この領域では、ネズミとヒトの予測GD F−11アミノ酸配列は100%同一である。種を越えて高度に配列が保存され て いることはGDF−11がin vivoで重要な役割を演じていることを示唆する。 予測される切断部位に続くC末端領域は、その他のTGF−βファミリーメン バーに存在する全ての特徴を含む。GDF−11は、7つのシステイン残基とそ の特徴的な空間配置を含む、その他のファミリーメンバーで高度に保存されてい る残基のほとんどを含む。TGF−β、インヒビンβおよびGDF−8と同様に 、GDF−11も2つのシステイン残基をさらに含む。TGF−β2の場合、こ れらの付加的システイン残基は分子内ジスルフィド結合を形成することが知られ ている(Daopin,et al.,Science,257:369,1992; Schlunegger and Grutter ,Nature,358:430,1992)。GDF−11とその他のTGF−βファミリーメ ンバーとの間のアミノ酸配列相同性を図3に表として示す。数字は、最初の保存 システインからC末端までを用いて計算した各対の間のアミノ酸の同一性を表す 。箱は、特定のサブグループ内の高度に関連するメンバー間の相同性を表す。こ の領域では、GDF−11はGDF−8と最もよく関連している(92%配列同 一性)。 GDF−8(配列番号5)とGDF−11(配列番号6)のアミノ酸を並べた ものを図4に示す。2つの配列には、類似の部位にN−結合性グリコシル化シグ ナル(NIS)の可能性と推定のタンパク質分解性プロセシング部位(RSR R)を含む。2つの配列は推定の切断部位に続くC末端領域(90%アミノ酸配 列の同一性)のみでなく、分子のプロ領域(45%アミノ酸配列の同一性)にお いても関連している。実施例4 :ハイブリッドGDF−8/GDF−11遺伝子の構築 GDF−11タンパク質を発現させるために、GDF−11のN末端領域をG DF−8の類似領域で置換した。このようなハイブリッド構築体が生物学的に活 性なBMP−4(Hammonds,et al.,Mol.Endocrinol.,5:149,1991)およびV g−1(Thomsen and Melton,Cell,74:433,1993)を生産するために使用され ている。ハイブリッド構築体から生産されるGDF−11タンパク質が真性のG DF−11であることを確認するために、2つの遺伝子断片の融合が予測される 切断部位で正確に起こるようにハイブリッド遺伝子を構築した。特に、予測さ れるタンパク質分解性切断部位に対応する位置において、両方の配列にAvaI I制限部位が存在する。このAvaII部位までのGDF−8のN末端プロ領域 をAvaIIをもつクローンを部分消化することによって得て、これをAvaI I部位で始まるGDF−11のC末端領域と融合した。得られるハイブリッド構 築体を次にpMSXND哺乳動物発現ベクター(Lee and Nathans,J.Biol.Ch em.,263:3521)中に挿入し、チャイニーズハムスター卵巣細胞を形質転換した 。図5に示すように,GDF−8のC末端部分に対する抗体を用いてG418耐 性細胞由来のならし培地をウエスタン分析したところ、これらの細胞がGDF− 11タンパク質を培地に分泌しており、ハイブリッドタンパク質のうちの少なく ともいくつかはプロセシングされてタンパク質分解されていることを示した。さ らにこの研究からGDF−8のC末端部分に対する抗体はGDF−11タンパク 質とも反応することが示された。実施例5 :GDF−11の染色体上の位置 GDF−11の染色体上の位置を決定するために、ヒト/齧歯類体細胞ハイブ リッドからのDNAサンプル(Drwings,et al.,Genomics,16:311-313,1993; Dubois and Naylor,Genomics,16:315-319,1993)をポリメラーゼチェインリ アクションとそれに続くサザンブロッティングによって分析した。ポリメラーゼ チェインリアクションはプライマー#101、5’−GAGTCCCGCTGC TGCCGATATCC−3’(配列番号7)およびプライマー#102、5’ −TAGAGCATGTTGATTGGGGACAT−3’(配列番号8)を用 いて94℃で2分、58℃で1分、72℃で1分、35サイクル行った。これら のプライマーはヒトGDF−11配列のヌクレオチド981−1003およびヌ クレオチド1182−1204の逆相補鎖にそれぞれ対応する。PCR産物をア ガロースゲルで電気泳動し、ブロットし、プライマー#101と#102に隣接 する領域の内部配列に対応するオリゴヌクレオチド#104、5’−AAATA TCCGCATACCCATTT−3’(配列番号9)をプローブとして用いた 。フィルターを6xSSC,1xDenhard’s溶液、100μg/ml酵 母トランスファーRNA、および0.05%ピロリン酸ナトリウム中、50℃で ハ イブリダイズした。 図6に示すように、ヒト特異的プローブは陽性対照サンプル(全ヒトゲノムD NA)中、およびヒト/齧歯類ハイブリッドパネルからの1つのDNAサンプル 中の予測されたサイズ(約224塩基対)のバンドを検出した。この陽性シグナ ルはヒト染色体12に対応する。ハイブリッドセルラインのそれぞれに含まれる ヒト染色体を最初の24レーン(1−22、X、およびY)のそれぞれの頂部で 同定した。CHO、M、およびHと命名するレーンでは、出発DNAの鋳型はそ れぞれハムスター、マウスおよびヒト由来の全ゲノムDNAであった。B1と印 をつけたレーンでは、鋳型DNAを用いなかった。左の数字はDNA標準品の移 動度を示す。これらのデータはヒトGDF−11遺伝子が染色体12に位置する ことを示す。 染色体12上でのGDF−11のより正確な位置を決定するために、蛍光イン サイチュハイブリダイゼーション(FISH)によってGDF−11遺伝子の位 置を決めた。FISH位置決定研究はBIOSラボラトリーズ(New Haven,Con necticut)との契約により行った。ヒトGDF−11ゲノムクローン由来の精製 DNAをニックトランスレーションによりジゴキシゲニンdUTPで標識した。 標識プローブを剪断ヒトDNAと合わせて、50%ホルムアミド、10%硫酸デ キストランおよび2xSSCを含む溶液中,PHAで刺激した末梢血白血球由来 の正常中期染色体とハイブリダイズした。ハイブリダイズしたスライドを蛍光結 合したヒツジ抗ジゴキシゲニン抗体中でインキュベートすることにより特異的ハ ブリダイゼーションシグナルを検出した。次にスライドをヨウ化プロピジウムで 対比染色して分析した。図7aに示すように、この実験の結果、グループC染色 体(その大きさと形態は染色体12と一致する)の近位長腕が特異的に標識され た。特異的に標識された染色体の同定を確認するために、染色体12特異的セン トロメアプローブをGDF−11と同時ハイブリダイズさせる第2の実験を行っ た。図7bに示すように、この実験では、GDF−11が染色体12の長いアー ムのセントロメアからテロメアへの距離の23%の位置にあることを明瞭に示し 、この領域はバンド12q13に対応する(図7c)。全部で85個の中期細胞 を分析し、このうち80個が特異的標識を示した。 本発明を現在好ましい態様と関連させて説明したが、本発明の精神を逸脱する ことなく各種の修飾が可能なことが理解されよう。従って本発明は以下の請求の 範囲によってのみ限定されるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI A61K 39/395 7433−4C A61K 47/48 Z 47/48 9051−4C 48/00 ADS 48/00 ADS 9356−4H C07K 14/495 C07K 14/495 9356−4H 16/22 16/22 9735−4B C12N 1/21 C12N 1/21 0276−2J G01N 33/53 D 5/10 9735−4B C12N 5/00 B G01N 33/53 9051−4C A61K 37/02 ABB (72)発明者 マックファーロン,アレクサンドラ シ ー. アメリカ合衆国 21211 メリーランド州 バルチモア,ケスウィック ロード 3905番地

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.実質的に純粋な増殖分化因子−11(GDF−11)。 2.請求項1のGDF−11ポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレ オチド配列。 3.GDF−11ヌクレオチド配列が次のa〜f: a.TがUであり得る配列番号1; b.TがUであり得る配列番号3; c.配列番号1に相補的な核酸配列; d.配列番号3に相補的な核酸配列; e.鎖長が少なくとも15塩基で、配列番号2のGDF−11タンパク質をコ ードするDNAに選択的にハイブリダイズするaまたはcの断片;および f.鎖長が少なくとも15塩基で、配列番号4のGDF−11タンパク質をコ ードするDNAに選択的にハイブリダイズするbまたはdの断片; よりなる群から選ばれる、請求項2に記載のポリヌクレオチド配列。 4.ポリヌクレオチドが哺乳動物の細胞から単離される、請求項2に記載のポリ ヌクレオチド配列。 5.哺乳動物の細胞がマウス、ラットおよびヒトの細胞よりなる群から選ばれる 、請求項4に記載のポリヌクレオチド配列。 6.請求項2のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。 7.ベクターがプラスミドである、請求項6に記載のベクター。 8.ベクターがウイルスである、請求項6に記載のベクター。 9.請求項6のベクターで安定に形質転換された宿主細胞。 10.細胞が原核細胞である、請求項9に記載の宿主細胞。 11.細胞が真核細胞である、請求項9に記載の宿主細胞。 12.請求項1のポリペプチドまたはその断片に結合する抗体。 13.抗体がポリクローナルである、請求項12に記載の抗体。 14.抗体がモノクローナルである、請求項12に記載の抗体。 15.請求項12の抗体を、GDF−11関連疾患の疑いがある被検者の検体と接触 させ、該抗体の結合を検出することを含んでなる、細胞増殖性疾患の検出方法。 16.細胞が筋細胞である、請求項15に記載の方法。 17.検出をin vivo で行う、請求項15に記載の方法。 18.抗体が検出可能に標識される、請求項17に記載の方法。 19.検出可能な標識が放射性同位元素、蛍光化合物、生物発光化合物および化学 発光化合物よりなる群から選ばれる、請求項18に記載の方法。 20.検出をin vitroで行う、請求項15に記載の方法。 21.抗体が検出可能に標識される、請求項20に記載の方法。 22.標識が放射性同位元素、蛍光化合物、生物発光化合物、化学発光化合物およ び酵素よりなる群から選ばれる、請求項18に記載の方法。 23.細胞を、GDF−11活性を抑制する試薬と接触させることを含んでなる、 GDF−11の発現と関連した細胞増殖性疾患の治療方法。 24.試薬が抗GDF−11抗体である、請求項23に記載の方法。 25.試薬がGDF−11アンチセンス配列である、請求項23に記載の方法。 26.細胞が筋細胞である、請求項23に記載の方法。 27.GDF−11活性を抑制する試薬がベクターを用いて細胞に導入される、請 求項23に記載の方法。 28.ベクターがコロイド分散系である、請求項27に記載の方法。 29.コロイド分散系がリポソームである、請求項28に記載の方法。 30.リポソームが本質的にターゲット特異性である、請求項29に記載の方法。 31.リポソームが解剖的にターゲッティングされる、請求項30に記載の方法。 32.リポソームが機械的にターゲッティングされる、請求項31に記載の方法。 33.機械的ターゲッティングが受動的である、請求項32に記載の方法。 34.機械的ターゲッティングが能動的である、請求項32に記載の方法。 35.リポソームが糖、糖脂質およびタンパク質よりなる群から選ばれる成分とカ ップリングすることにより能動的にターゲッティングされる、請求項34に記載の 方法。 36.タンパク質成分が抗体である、請求項35に記載の方法。 37.ベクターがウイルスである、請求項36に記載の方法。 38.ウイルスがRNAウイルスである、請求項37に記載の方法。 39.RNAウイルスがレトロウイルスである、請求項38に記載の方法。 40.レトロウイルスが本質的にターゲット特異性である、請求項39に記載の方法 。 41.ターゲット特異性の成分がレトロウイルスゲノムに挿入されたポリヌクレオ チドによりコードされる、請求項40に記載の方法。 42.ターゲット特異性の成分が糖、糖脂質およびタンパク質よりなる群から選ば れる、請求項40に記載の方法。 43.タンパク質が抗体である、請求項42に記載の方法。
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