【発明の詳細な説明】
抗ヘリコバクター性アゾロン類の複素環式誘導体
本発明は、強力な抗ヘリコバクター(Helicobacter)剤である置
換アゾロン誘導体類に関する。
米国特許第4,791,111号は、本化合物の構造と類似の構造をもち、そして[[
4−[4−(4−フェニル−1−ピペラジニル)フェノキシメチル]−1,3−
ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−イミダゾール類および−1H−1,
2,4−トリアゾール類の調製における中間体であるアゾロン類を開示している
。米国特許第4,931,444号では、5−リポキシゲナーゼ阻害活性をもつ置換アゾ
ロン誘導体類が開示されている。本化合物は、その抗ヘリコバクター活性によっ
て、それらとは区別される。
ヘリコバクターの根絶において、2種の抗生薬の別々の投与を含む二剤併用療
法は、1つ以上の次の理由、すなわち低い根絶率、種々の副作用およびヘリコバ
クターによる耐性の進展によって、満足できるものではなかった。2種の抗生物
質とビスマス化合物の投与を含む三剤併用療法は、有効であるように見えたが、
患者に対して非常に強要的であり、そしてまた、副作用によって痛みつけられる
。本化合物は、それらが、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori
)およびその関連する種の根絶における単剤療法に使用できると
いう優位性を示す。
本発明は、式
式中、Yは、CHもしくはNであり;
R1、R2およびR3は、各々独立して、水素もしくはC1-4アルキルであり;
R4およびR5は、各々独立して、水素、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルキル
オキシ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルオキシもしくは
ジフルオロメチルオキシであり;
R6は、場合によって、2個までのC1-4アルキル基により置換されたピリジニ
ル;ジ(C1-4アルキル)ヒドロキシピリジニル;ジ(C1-4アルキル)C1-4ア
ルキルオキシピリジニル;場合によって、C1-4アルキルオキシにより置換され
たピリダジニル;場合によって、ヒドロキシもしくはC1-4アルキルオキシによ
り置換されたピリミジニル;場合によって、C1-4アルキルにより置換されたチ
アゾリル;場合によって、C1-4アルキルにより置換されたチアジアゾリル;ベ
ンズオキサゾリルもしくはベンゾチアゾリルであるか;または
R6は、C1-4アルキルにより置換されたピラジニルもしくはピリダジニルであ
り;
Zは、C=OもしくはCHOHであり;そして
の基である、で示される化合物、それらの製薬学的に許容しうる付加塩類および
立体化学的異性形態に関する。
前記定義に使用されたごとき、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨー
ドを示し;C1-4アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、1−メチル
エチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピルおよび1,1−ジメ
チルエチルのような炭素原子1〜4個をもつ直鎖および分枝鎖飽和炭化水素基を
示す。C1-6アルキルは、先に定義されたC1-4アルキル基、および例えば、ペン
チルおよびヘキシルのような炭素原子5〜6個をもつそれらの高級同族体を意味
する。
先に用いられた用語、製薬学的に受容しうる付加塩は、式(I)の化合物が、
形成することができる無毒の治療学的に活性な付加塩の形態を意味する。塩基性
である式(I)の化合物は、常法にしたがって、遊離塩基型を適当な酸の適量を
用いて処理することによって、対応する治療学的に活性な無毒の酸付加塩型に転
化できる。適当な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩化水素酸もしくは
臭化水素酸;硫酸;硝酸;リン酸およびそれに類する酸のような無機酸;または
、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、
マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、
メ
タンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホ
ン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸およびそれに
類する酸のような有機酸を包含する。また、先に使用されたような用語、付加塩
は、式(I)の化合物ならびにそれらの塩が、形成できる溶媒和物を包含する。
そのような溶媒和物は、例えば、水和物、アルコラートおよびそれに類するもの
である。
先に用いられた用語、立体化学的異性形態は、式(I)の化合物が担持しても
よい種々の異性形態ならびに配座形態を意味する。改めて記すか指示しないかぎ
り、化合物の化学的名称は、全ての可能な立体化学的および配座的異性形態の混
合物を表していて、該混合物は、あらゆるジアステレオマー、エナンチオマーお
よび/または塩基性分子構造の配座異性体を含む。純粋形態でも互いの混合形態
でも両形態における式(I)の化合物の全ての立体化学的異性形態は、本発明の
範囲内に包含されるものと意図されている。
各キラル中心の絶対配置は、立体化学表示RおよびSによって示されてもよい
。2個のキラル中心をもつ化合物では、相対的立体表示R*およびS*が、Ch
emical Abstractsの規則(Chemical Substance Name Selectio
n Manual(CA),1982 Edition,Vol.III,Chapter 20)にしたがって使用される
。本発明の若干の化合物は、種々の互変異性型において存在することができ、そ
してそのような互変異性形態は、本発明の範囲内に包含されるよう意図される。
興味ある化合物の第1のグループは、R4がハロであり、そしてR5が水素である
式(I)の化合物である。
または(a−2)の基である式(I)の化合物である。
興味ある化合物の第3のグループは、YがNであり、そしてR1が水素である
式(I)の化合物である。
興味ある化合物の第4のグループは、R2がC1-4アルキルであり、そしてR3
が水素である式(I)の化合物である。
興味ある化合物の第5のグループは、R6がピリジニル、チアゾリルもしくは
ピリミジニルである式(I)の化合物である。
また、興味ある化合物の第6のグループは、R6がピラジニルである式(I)
の化合物である。
好適な化合物は、R1、R3およびR5が水素であり;R2がC1-4アルキルであ
り;R4がハロであり;そしてYがNである式(I)の化合物である。
より好適な化合物は、R1、R3およびR5が水素であり;R2がエチルであり;
R4がハロであり;YがNであり;R6がピリジニル、チアゾリ
−1)または(a−2)の基である式(I)の化合物である。
もっとも好適な化合物は、
2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ−4−[6
−[4−(2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−3H
−1,2,4−トリアゾール−3−オン;
2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ−4−[6
−[4−(2−ピリジニル)−1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−3H−
1,2,4−トリアゾール−3−オン;
2−[1−(4−クロロフェニル)ヒドロキシメチル]プロピル]−2,
4−ジヒドロ−4−[6−[4−(2−ピリジニル)−1−ピペラジニル]−3
−ピリジニル]−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン;および
2−[1−(4−クロロフェニル)ヒドロキシメチル]ブロピル]−2,4−ジ
ヒドロ−4−[6−[4−(2−チアゾリル)−1−ピペラジニル]−3−ピリ
ジニル]−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン;
それらの製薬学的に許容しうる付加塩類および立体化学的異性形態である。
式(I)の本化合物のような化合物の調製のための類似の方法は、米国特許第
4,791,111号および同第4,931,444号に記載されている。
特に、式(I)の化合物は、式(III)の試薬を用いて式(II)の中間体
をN−アルキル化することによって調製できる。
(III)による(II)のN−アルキル化反応は、適切な塩基の存在下、適
当な溶媒中で、試薬の混合液を撹拌し、加熱することによって都合よく実施でき
る。適当な溶媒は、例えば、極性非プロトン溶媒、例えばN,N−ジメチルホル
ムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリ
ジノン;芳香族溶媒、例えばベンゼ
ン、メチルベンゼン;エーテル、例えば1,1’−オキシビスエタン、テトラヒ
ドロフラン、1−メトキシ−2−プロパノール;ハロゲン化炭化水素、例えばジ
クロロメタン、トリクロロメタン;またはそのような溶媒の混合物である。
適切な塩基は、例えば、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、アルカ
リ金属およびアルカリ土類金属炭酸塩または炭酸水素塩、例えば炭酸ナトリウム
またはカリウム;あるいは有機塩基、例えばトリエチルアミンおよびそれに類す
る塩基である。
また、式(I)の化合物は、式(V)の試薬を用いて式(IV)の中間体をN
−アルキル化することによって調製されてもよい。
上記N−アルキル化は、中間体(II)のN−アルキル化について先に述べた
溶媒および塩基を用いて都合よく実施できる。
また、式(I)の化合物は、官能基変換の既知の操作により互いに転化できる
。
例えば、ZがC=Oを表す式(I)の化合物は、ZがCHOHを表す式(I)
の化合物に、既知の還元により転化できる。例えば、該還元は、水、1−メチル
−ピロリジノン、アセトニトリル、アルコール媒体、例
えばメタノール、エタノール、またはエーテル、例えばテトラヒドロフラン、1
,4−ジオキサン;あるいはそのような溶媒の混合液中で、水素化金属または複
合水素化金属、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム
およびそれに類するものとの反応によって、都合よく実施できる。
あるいはまた、該還元は、反応に不活性な溶媒、例えばテトラヒドロフランま
たはN,N−ジメチルホルムアミド中で、ヒドロホウ酸トリス(1−メチルエト
キシ)カリウム、ヒドロホウ酸トリス(1−メチルプロピル)ナトリウムまたは
ヒドロホウ酸トリス(1−メチルプロピル)カリウムとの反応によって実施でき
る。
さらに、R6がヒドロキシ置換基をもつ式(I)の化合物は、例えば、場合に
より氷酢酸中臭化水素酸の飽和溶液との混合液中で、トリフルオロ酢酸、濃ハロ
ゲン化水素酸、例えば臭化水素酸、ヨウ化水素酸のような鉱酸;反応不活性溶媒
、例えばジクロロメタンもしくはN,N−ジメチルアセトアミド中、ルイス酸、
例えば三臭化ホウ素を用いる適当な脱アルキル化反応によって、対応するC1-4
アルコキシ誘導体から調製できる。臭化水素酸が使用される場合には、該脱アル
キル化反応を、例えば、亜硫酸もしくは亜硫酸水素ナトリウムのような臭素捕捉
剤の存在下で実施するのが得策であろう。
最後に、式(I)の化合物の純粋な異性形態が、慣用の分別法によって混合物
から分けられる。特に、エナンチオマーは、適切に誘導されたセルロース、例え
ばトリ(ジメチルカルバモイル)セルロース(Chiralcel OD(商標)
)のようなキラル固定相および類似のキラル固定相を用いるカラムクロマトグラ
フィーによって分別されてもよい。
すべての前述および次の調製において、反応生成物は、反応混合液から単離さ
れ、そして必要に応じて、一般に技術的に既知の方法によりさらに精製されても
よい。
前述の調製における若干の中間体および出発材料は、該化合物または類似化合
物の調製についての技術的に既知の方法にしたがって、調製されてもよい既知化
合物である。他の中間体は、式(II)の中間体のように新規である。
式(II)の中間体は、式(VII)またはその誘導体の試薬を用いて、式
(VI)の中間体を環化することによって調製できる。
上記環化反応のための適当な反応不活性溶媒は、例えば、極性非プロトン溶媒
、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等、またはアル
コール、例えばエタノール、1−ブタノール等である。
あるいはまた、式(II)の中間体は、当該技術分野で既知の方法にしたがっ
て、中間体(IX)と式(V)の試薬とを反応させることによって調製できる。
また、式(II)の中間体は、技術的に既知のN−アルキル化法にし
たがって、式(X)の中間体を式(XI)の試薬によりN−アルキル化すること
によって調製できる。
式(IV)の中間体は、酸、例えば臭化水素酸等と、式(VIII)の化合物
の反応よって調製されてもよい。
式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性形
態は、ヘリコバクター種;例えば、ヘリコバクター・ピロリ、ヘリコバクター・
ムステラ(Helicobacter mustelae)、ヘリコバクター・
フェリス(Helicobacter felis)等、特に、ヘリコバクター
・ピロリに対する有用な薬理活性を示す。
本文脈上,特に重要なことは、主題の化合物が、ヘリコバクターの増殖に対す
る阻止活性と同様に該細菌に対する殺菌活性を示すという発見である。ヘリコバ
クターに及ぼす殺菌効果は、Antimicrob.Agents Chemother.,1991,vol.35,
pp.869-872に記載の方法による懸濁培養を
用いて測定される。
本化合物の興味ある特徴は、それらのヘリコバクターに対する高い特異的活性
に関している。式(I)の化合物は、次に示す種:キャンピロバクター・ジェジ
ュニ(Campylobacter jejuni)、キャンピロバクター・コ
リ(Campylobacter coli)、キャンピロバクター・フェタス
(Campylobacter fetus)、キャンピロバクター・スプトラ
ム(Campylobacter sputorum)、ビブリオ種(Vibr io spp.
)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococ cus aureus
)およびエシェリヒア・コリ(Escherichia coli
)のいかなるものに対しても、濃度10-5Mまでの試験では阻止活性を
示さないことが分かった。
本化合物の重要な有用性は、中性pH以下のpHにおけるH.ピロリに対する
持続活性である。イン・ビトロの低pHにおける活性は、化合物が、イン・ビボ
の胃の酸性環境によって悪影響を受けないことを示しているであろう。
その結果、主題の化合物は、ヘリコバクターに関連する疾病または不快症状に
罹っている温血動物、特にヒトを治療するための価値ある治療薬であると考えら
れる。該疾病または不快症状の例は、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍および胃ガン
である。
それらの有用な抗ヘリコバクター性に鑑みて、主題の化合物は、投与目的に応
じて種々の製薬剤形に製剤化されてもよい。本発明の製薬組成物を調製するため
に、塩基または付加塩形における有効成分としての特定の化合物の有効量が、薬
学的に許容しうるキャリアーとの緊密な混合
物に組み合わされるが、それは、投与に望ましい調製物の形に応じて、広範な種
々の形をとることができる。これらの製薬学的組成物は、好ましくは、経口的、
肛門内、または非経口的注射による投与に適した単位剤形であるのが望ましい。
例えば、経口剤形の組成物を調製するには、例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリ
キシル剤および液剤のような経口液体製剤の場合には、水、グリコール、オイル
、アルコール等:または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には、澱粉、
糖、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等のような固体キャリアー、のようない
かなる通常の医薬媒体が、使用されてもよい。非経口組成物では、例えば溶解性
を助けるために、他の成分が含まれてもよいが、キャリアーは、通常は、少なく
とも大部分、滅菌水を含むであろう。例えば、注射用液剤は、キャリアーが、塩
類溶液、グルコース溶液または塩類とグルコース溶液の混合液を含んで調製され
てもよい。また、注射用懸濁剤は、適当な液体キャリアー、懸濁剤等が使用され
て調製されてもよい。
製薬学的組成物が、水溶液の形状をとる場合には、低溶解性を示す式(I)の
それらの化合物は、塩の形として製剤化されてもよく、または親水性で生理学的
に許容しうる共溶媒、例えばジメチルスルホキシド等が添加されてもよく、ある
いは式(I)の化合物は、適切なキャリヤー、例えばシクロデキストリン(CD
)または特に米国特許第3,459,731号、欧州特許第149,197号公開(1985年7月24日
)、同第197,571号公開(1986年10月15日)、米国特許第4,535,152号またはWO90/
12035(1990年10月18日)記載のシクロデキストリン誘導体のようなシクロデキス
トリン誘導体を用いて可溶化されてもよい。適当なシクロデキストリン誘導体は
、α−、β−、γ−シクロデキストリンまたはそれらのエーテルおよび混合エー
テルで
あり、この場合、シクロデキストリンの無水グルコース単位の1個以上のヒドロ
キシ基が、C1-6アルキル、特にメチル、エチルもしくはイソプロピル;ヒドロ
キシC1-6アルキル、特にヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルもしくはヒド
ロキシブチル;カルボキシC1-6アルキル、特にカルボキシメチルもしくはカル
ボキシエチル;C1-6アルキル−カルボニル、特にアセチル;C1-6アルキルオキ
シカルボニルC1-6アルキルもしくはカルボキシC1-6アルキル−オキシC1-6ア
ルキル、特にカルボキシメトキシプロピルもしくはカルボキシエトキシプロピル
;C1-6アルキルカルボニルオキシC1-6アルキル、特に2−アセチルオキシプロ
ピルにより置換される。
複合体形成剤および/または可溶化剤として注目すべき特定のものは、β−C
D、2,6−ジメチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒド
ロキシエチル−γ−CD、2−ヒドロキシプロピル−γ−CDおよび(2−カル
ボキシメトキシ)プロピル−β−CD、そして特に、2−ヒドロキシプロピル−
β−CDである。
用語、混合エーテルは、少なくとも2つのシクロデキストリンヒドロキシ基が
、例えば、ヒドロキシプロピルおよびヒドロキシエチルのような異なる基によっ
てエステル化されているシクロデキストリン誘導体を示す。
平均モル置換(M.S.)は、無水グルコースの1モル当たりアルコキシ単位
の平均モル数の測定単位として使用される。M.S.値は、核磁気共鳴(NMR
)、質量分光測定(MS)および赤外分光測定(IR)のような種々の分析技術
によって決定できる。使用される技術に応じて、1つの与えられたシクロデキス
トリン誘導体について、やや異なる値が
得られる。本発明による組成物において使用されるシクロデキストリンヒドロキ
シアルキル誘導体では、質量分光測定によって決定されるM.S.は、範囲0.
125〜10、特に0.3〜3、または0.3〜1.5である。好ましくはM.
S.範囲約0.3〜約0.8、特に約0.35〜約0.5、そしてもっとも特別
には、約0.4である。好ましくは、NMRまたはIRによって測定されるM.
S.値は、0.3〜1、特に0.55〜0.75の範囲である。
平均置換度(D.S.)は、1無水グルコース単位当たり置換されたヒドロキ
シルの平均数を指す。D.S.値は、核磁気共鳴(NMR)、質量分光測定(M
S)および赤外分光測定(IR)のような種々の分析技術によって決定できる。
使用される技術に応じて、1つの与えられたシクロデキストリン誘導体について
、やや異なる値が得られる。本発明による組成物において使用されるシクロデキ
ストリン誘導体では、MSによって決定されるD.S.は、範囲0.125〜3
、特に0.2〜2、または0.2〜1.5である。好ましくはD.S.範囲約0
.2〜約0.7、特に約0.35〜約0.5であり、そしてもっとも特別には、
約0.4である。好ましくは、NMRまたはIRによって測定されるD.S.値
は、0.3〜1、特に0.55〜0.75の範囲である。
本発明による組成物において使用されるより特別なβ−およびγ−シクロデキ
ストリンヒドロキシアルキル誘導体は、無水グルコース単位の異なる位置のヒド
ロキシル基における平均アルキル化度が、3位では約0%〜20%、2位では2
%〜70%、そして6位では約5%〜90%である部分的に置換されたシクロデ
キストリン誘導体である。好ましくは、非置換β−またはγ−シクロデキストリ
ンは、総シクロデキストリ
ン含量の5%未満であり、特に、1.5%未満である。その他の特に興味あるシ
クロデキストリン誘導体は、ランダムにメチル化されたβ−シクロデキストリン
である。
本発明における使用のためにもっとも好適なシクロデキストリン誘導体は、ヒ
ドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、そして特に2−ヒドロキシプロピルおよ
び/または2−(1−ヒドロキシプロピル)置換基をもつ、それらの部分置換β
−シクロデキストリンエーテルもしくは混合エーテルである。
本発明の組成物における使用のためのもっとも好適なシクロデキストリン誘導
体は、M.S.範囲0.35〜0.50をもち、そして非置換β−シクロデキス
トリン1.5%未満を含む、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンであ
る。NMRまたはIRにより決定されたM.S.値は、好ましくは、0.55〜
0.75の範囲である。
前述の製薬学的組成物を、投与の簡易性および用量の均一性のために、用量単
位剤形に製剤化することは、特に得策である。本明細書および請求範囲に使用さ
れる用量単位剤形は、単回用量として適切な物理的に分割された単位を指し、各
単位は、必要な医薬キャリアーと一緒になって、望ましい治療効果を生むように
計算された有効成分の予め決定された量を含有している。そのような用量単位剤
形の例は、錠剤(刻み目を施されたり、コーティングされた錠剤を含む)、カプ
セル剤、丸剤、粉末分包剤、ウェーファー剤、注射用液剤もしくは懸濁剤等、お
よびそれらの分離された集合剤(multiples)である。
ヘリコバクター関連の疾病の治療における主題の化合物の有用性に鑑みて、本
発明は、ヘリコバクター関連の疾病に罹っている温血動物、特
にヒトを治療する方法を提供することは明白であり、該方法は、医薬キャリャー
との混合物における式(I)の化合物、それらの薬学的に許容しうる付加塩また
はそれらの立体化学的異性形態の製薬学的有効量の全身系投与を含む。本発明の
さらなる態様では、主題の化合物は、医薬品としての使用のために投与される。
一般には、有効な1日量は、0.05mg/kg〜50mg/kg体重、好ま
しくは、0.1mg/kg〜30mg/kg体重、そしてより好ましくは、0.
5mg/kg〜10mg/kg体重であろうと考えられる。
該有効な1日量が、治療される患者の反応に応じ、そして/または本発明の化
合物を指示している医者の評価に応じて増減されてもよいことは明らかである。
それ故、前記の有効範囲は、単なる指針であり、本発明の範囲または使用をいず
れの程度にも限定することを意図しない。
場合によっては、ヘリコバクターの根絶のために使用される他の活性化合物が
、本発明の化合物と組み合わせて投与できる。その投与は、別々に(すなわち、
同時に、一緒に、または連続的に)行われてもよいし、または異なる薬物が、1
つの剤形に一緒に合わされてもよい。併用療法に適切な化合物は、ビスマス化合
物、例えば次クエン酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス等、抗生物質、例えばア
ンピシリン、アモキシシリン、クラリトロマイシン等、H2受容体拮抗剤、例え
ばシメチジン、ラニチジン等、および特に、プロトンポンプ阻害剤、例えばオメ
プラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール等である。式(I)の化合物
との併用療法に有用であるとされる化合物では、有効1日量は、0.05mg/
kg〜50mg/kg体重であろう。
実験部分
以降において、「DMF」は、N,N−ジメチルホルムアミドを意味し、「D
MSO」は、ジメチルスルホキシドを意味し、そして「RT」は、室温を意味す
る。
(実施例1)
a)2−(1−ピペラジニル)ピリミジン(5.4g)、4−(6−クロロ−
3−ピリジニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−
オン(7g)および炭酸ナトリウム(4g)を、190℃で1時間撹拌した。混
合液を冷却し、水を添加した。沈殿物を濾別し、2−メトキシエタノールから再
結した。その沈殿物を濾別し、乾燥して、2,4−ジヒドロ−4−[6−[4−
(2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−109641
H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(中間体1)6.5g(61%)を得
た。
b)1−メトキシ−2−プロパノール(150ml)中、中間体1(5.9g
)、(±)−2−ブロモ−1−(4−クロロフェニル)−1−ブタノン(5.7
5g)および炭酸ナトリウム(4.3g)の混合液を、撹拌し、そして8時間還
流した。溶媒を蒸発させ、水を添加し、そして混合液を、CH2Cl2により抽出
した。その有機層を分離し、乾燥し、濾過し、そして溶媒を蒸発した。その残渣
を2−プロパノールから結晶化した。沈殿物を濾別し、C2H2OHから再結した
。その沈殿物を濾別し、乾燥して、(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル
)プロピル]−2,4−ジヒドロ−4−[6−[4−(2−ピリミジニル)−1
−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−3H−1,2,4−トリアゾール−3−
オン(化合物1)7.6g(84%)を得た。
同様の方法で、また次のものを調製した:
(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ
−4−[6−[4−(5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)−
1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−3H−1,2,4−トリアゾール−3
−オン;mp.200℃(化合物2);
(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ
−4−[6−[4−(2−チアゾリル)−1−ピペラジニル]−3−ピリジニル
]−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(化合物3);
(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ
−4−[6−[4−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−1−ピペラジニル]
−3−ピリジニル]−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン;mp.13
3℃(化合物4);
(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ
−4−[6−[4−(2−ピリジニル)−1−ピペラジニル]−3−ピリジニル
]−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン;mp.134.1℃(化合物
17);
2−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−2,4−ジヒドロ
−4−[6−[4−(5−メトキシ−4,6−ジメチル−2−ピリジニル)−1
−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−5−メチル−3H−1,2,4−トリア
ゾール−3−オン(化合物18);および
(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ
−4−[6−[4−(3−ピリジニル)−1−ピペラジニル]−3−ピリジニル
]−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(化
合物21)。
(実施例2)
a)DMSO(100ml)中5−メトキシ−2−(1−ピペラジニル)ピリ
ミジン(8.8g)、1−フルオロ−4−ニトロベンゼン(7g)および炭酸ナ
トリウム(7.5g)の混合液を、RTで4時間撹拌した。混合液を水中に注入
した。沈殿物を濾別し、CH2Cl2に溶解した。SiO2(5g)を添加し、混
合液を撹拌、濾過し、そして溶媒を蒸発した。その残渣を、1−プロパノール中
で沸騰させ、濾別し、75℃で真空乾燥して、5−メトキシ−2−[4−(4−
ニトロフェニル)−1−ピペラジニル]ピリミジン;mp.212.3℃(中間
体2)8.5g(60%)を得た。
b)4%チオフェン溶液(2ml)およびメタノール(600ml)中、中間
体2(68g)の混合液を、触媒としてパラジウム含量10%の活性炭素担持パ
ラジウム(4g)を用いて、50℃で水素化した。水素(3eq.)の取り込み
の後、触媒を濾別し、濾液を蒸発した。その残渣をCH3OH中で撹拌し、濾別
し、75℃で真空乾燥し、そして1−プロパノールから結晶化し、noritで
処理し、decalite上で濾液した。その濾液を結晶化した。沈殿物を濾別
し、75℃で真空乾燥して、4−[4−(5−メトキシ−2−ピリミジニル)−
1−ピペラジニル]ベンゼンアミン;mp.125.2℃(中間体3)36.7
g(59%)を得た。
c)N,N−ジメチルアセトアミド(500ml)中、中間体3(47.7g
)を、氷/水浴上で撹拌した。クロロギ酸フェニル(23ml)を滴下し、そし
て混合液を3時間撹拌した。その混合液を水中に注ぎ、
濾別した。その沈殿物を、CH2Cl2に溶解した。その水層を分離し、蒸発した
。その残渣をジイソプロピルエーテル中で撹拌し、濾別し、乾燥して、4−[4
−(5−メトキシ−2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]フェニル]カルバ
ミン酸フェニル(中間体4)55.2g(80%)を得た。
d)ヒドラジン一水和物(60ml)および1,4−ジオキサン(1000m
l)中、中間体4(55.2g)の混合液を、RTで一夜撹拌した。その混合液
を水中に注ぎ、濾別した。その沈殿物を、50℃で真空乾燥して、N−[4−[
4−(5−メトキシ−2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]フェニル]ヒド
ラジンカルボキサミド(中間体5)42g(87%)を得た。
e)1−ブタノール(750ml)中、中間体5(42g)、エタンイミデー
ト一塩酸塩(47g)および酢酸ナトリウム(49.2g)の混合液を撹拌し、
24時間還流した。その混合液を冷却し、水を添加し、撹拌した。沈殿物を濾別
し、70℃で真空乾燥し、DMFから結晶化した。その沈殿物を濾別し、75℃
で真空乾燥して、2,4−ジヒドロ−4−[4−[4−(5−メトキシ−2−ピ
リミジニル)−1−ピペラジニル]フェニル]−5−メチル−3H−1,2,4
−トリアゾール−3−オン;mp.>300℃(中間体6)19.6g(45%
)を得た。
f)中間体6(13g)およびDMF(400ml)をRTで撹拌した。テト
ラヒドロフラン(38ml)中1MのNaN[Si(CH3)3]2を滴下し、そ
の混合液をRTで1時間撹拌した。2−ブロモ−1−(4−クロロフェニル)エ
タノン(9.4g)を添加し、混合液をRTで5時間撹拌した。その混合液を水
中に注入し、濾別した。沈殿物をCH2
Cl2に溶解し、水で洗浄した。有機層を乾燥、濾過し、そして蒸発した。その
残渣を、シリカゲル(溶出液:CH2Cl2/CH3OH99/1)のカラムクロ
マトグラフィーで精製した。その適切な画分を集め、蒸発した。残渣を、1−プ
ロパノールから結晶化し、濾別し、そして70℃で真空乾燥して、2−[2−(
4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−2,4−ジヒドロ−4−[4−[
4−(5−メトキシ−2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]フェニル]−5
−メチル−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン;mp.220℃(化合
物5)8.4g(46%)を得た。
同様の方法で、また次のものを調製した:
(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ
−4−[6−[4−(5−メトキシ−2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]
−3−ピリジニル]−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン;mp.15
2℃(化合物6);
(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ
−4−[6−[4−(4−メトキシ−2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]
−3−ピリジニル]−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン;mp.16
2.5℃(化合物22);および
(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ
−4−[4−[4−(4−メトキシ−2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]
フェニル]−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン;mp.149.6℃
(化合物23)。
(実施例3)
a)水(150ml)中48%の臭化水素酸溶液中、(±)−エチル
4−[4−[2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,3−ジヒ
ドロ−3−オキソ−4H−1,2,4−トリアゾール−4−イル]フェニル]−
1−ピペラジンカルボン酸(15g)の混合液を、撹拌し、一夜還流した。溶媒
を蒸発し、残渣をCH2Cl2に溶解し、NaHCO3/H2Oで洗浄した。有機層
を乾燥、濾過し、そして蒸発した。その残渣を、2−プロパノールに溶解し、そ
して2−プロパノール中で塩酸塩(1:2)に結晶化した。その沈殿物を濾別し
、CH3CNから再結して、(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロ
ピル]−2,4−ジヒドロ−4−[4−(1−ピペラジニル)フェニル]−3H
−1,2,4−トリアゾール−3−オン二塩酸塩・一水和物;mp.175.9
℃(中間体7)7.9g(2.2%)を得た。
b)DMF(100ml)中2−クロロベンゾチアゾール(3.7g)、中間
体7の遊離塩基(7.5g)および炭酸ナトリウム(5g)の混合液を、一夜7
0℃で撹拌した。その混合液を冷却し、氷/水に注入し、そして1時間撹拌した
。その沈殿物を濾別し、CH2Cl2に溶解した。有機層を乾燥、濾過し、そして
蒸発した。その残渣を、C2H5OHから結晶化した。沈殿物を濾別し、乾燥して
、(±)−4−[4−[4−(2−ベンゾチアゾリル)−1−ピペラジニル]フ
ェニル]−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ
−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン;mp.162℃(化合物7)6
.5g(78%)を得た。
また、同様の方法で、次のものを調製した;
(±)−4−[4−[4−(2−ベンズオキサゾリル)−1−ピペラジニル]
フェニル]−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]
−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン;mp.15
0℃(化合物8);
(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ
−4−[6−[4−(4−ピリジニル)−1−ピペラジニル]−3−ピリジニル
]−3110553−1,2,4−トリアゾール−3−オン;mp.173.8
℃(化合物23);および
(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ
−4−[6−[4−(6−メチル−3−ピリダジニル)−1−ピペラジニル]−
3−ピリジニル]−3H−1,2,4−トリアゾール一3−オン;mp.212
.1℃(化合物24)。
(実施例4)
CH2Cl2(100ml)中トリブロモボラン(150ml)溶液をRTで撹
拌した。CH2Cl2(300ml)中化合物5(7.1)の溶液を添加し、得ら
れる反応混合液を、RTで3時間撹拌した。その混合液を、氷とアンモニア(2
00ml)の混合液に滴下した。分離された有機層を、MgSO2で乾燥し、濾
過し、そして溶媒を蒸発した。その残渣を、シリカゲル(溶出液:CH2Cl2/
CH3OH98/2)のカラムクロマトグラフィーで精製した。その純粋画分を
集め、溶媒を蒸発した。残渣を、1−プロパノールから結晶化した。その結晶を
濾別し、そして乾燥(真空;70℃)して、2−[2−(4−クロロフェニル)
−2−オキソエチル]−2,4−ジヒドロ−4−[4−[4−(5−ヒドロキシ
−2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]フェニル]−5−メチル−3H−1
,2,4−トリアゾール−3−オン;mp.225℃(化合物9)4.3g(6
5%)を得た。
同様の方法で、次のものを調製した:
(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ
−4−[6−[4−(5−ヒドロキシ−2−ピリミジニル)−1−ピ11033
3エラジニル]−3−ピリジニル]−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オ
ン 1−プロパノラート(2:1);mp.109℃(化合物10);および
2−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−2,4−ジヒドロ
−4−[6−[4−(5−ヒドロキシ−4,6−ジメチル−2−ピリジニル)−
1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−5−メチル−3H−1,2,4−トリ
アゾール−3−オン;mp.212.1℃(化合物19)。
(実施例5)
CH3CN(150ml)とCH3OH(36ml)中化合物9(4.3g)の
混合液を氷浴上0℃で撹拌した。水(12ml)中水素化ホウ素ナトリウム(1
.6g)を0〜10℃で滴下し、そして混合液をRTで3時間撹拌した。その混
合液を水に注入し、そしてCH3COOHで中性にした。沈殿物を、濾別し、1
−プロパノールから結晶化した。その混合液を冷却し、濾過し、そして75℃で
真空乾燥して、(±)−2−[2−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエ
チル]−2,4−ジヒドロ−4−[4−[4−(5−ヒドロキシ−2−ピリミジ
ニル)−1−ピペラジニル]フェニル]−5−メチル−3H−1,2,4−トリ
アゾール−3−オン;mp.249℃(化合物11)1.7g(40%)を得た
。同様の方法で、次のものを調製した:
(±)−(R*,R*)−2−[1−[(4−クロロフェニル)ヒド
ロキシメチル]プロピル]−2,4−ジヒドロ−4−[6−[4−(6−メトキ
シ−3−ピリダジニル)−1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−3H−1,
2,4−トリアゾール−3−オン;mp.244℃(化合物12);および
(±)−(R*,R*)−2−[1−[(4−クロロフェニル)ヒドロキシメ
チル]プロピル]−2,4−ジヒドロ−4−[6−[4−(5−メチル−1.3
,4−チアジアゾール−2−イル)−1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−
3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン;mp.237.4℃(化合物25
)。 (実施例6)
DMF(80ml)中化合物8(3.2g)の混合液を−20℃で撹拌した。
水素化トリ(イソブチル)ホウ素カリウム(20ml)を滴下し、そして混合液
をRTで一夜撹拌した。その混合液をHClを含む氷/水に注入し、RTで1時
間撹拌した。沈殿物を、濾別し、2−メトキシエタノールから結晶化した。その
沈殿物を濾別し、乾燥した。残渣をHPLCによって精製した。その純粋画分を
集め、蒸発した。残渣を、2−メトキシエタノールから結晶化した。その沈殿物
を濾別し、そして乾燥して、(±)−(R*,R*)−4−[4−[4−(2−
ベンズオキサゾリル)−1−ピペラジニル]フェニル]−2−[1−[(4−ク
ロロフェニル)−ヒドロキシメチル]プロピル]−2,4−ジヒドロ−3H−1
,2,4−トリアゾール−3−オン;mp.221℃(化合物13)0.79g
(26%)を得た。
同様の方法で、次のものを調製した:
(±)−(R*,R*)−2−[1−[(4−クロロフェニル)ヒドロキシメ
チル]プロピル]−2,4−ジヒドロ−4−[6−[4−(2
−チアゾリル)−1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−3H−1,2,4−
トリアゾール−3−オン;mp.215℃(化合物14);
(±)−(R*,R*)−2−[1−[(4−クロロフェニル)ヒドロキシメ
チル]プロピル]−2,4−ジヒドロ−4−[6−[4−(5−メトキシ−2−
ピリミジニル)−1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−3H−1,2,4−
トリアゾール−3−オン;mp.220℃(化合物15);
(±)−(R*,R*)−2−[1−[(4−クロロフェニル)ヒドロキシメ
チル]プロピル]−2,4−ジヒドロ−4−[6−[4−(2−ピリミジニル)
−1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−3H−1,2,4−トリアゾール−
3−オン;mp.231℃(化合物16);
(±)−(R*,R*)−2−[1−[(4−クロロフェニル)ヒドロキシメ
チル]プロピル]−2,4−ジヒドロ−4−[6−[4−(2−ピリジニル)−
1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−3H−1,2,4−トリアゾール−3
−オン;mp.219.7℃(化合物20)
(±)−(R*,R*)−2−[1−[(4−クロロフェニル)ヒドロキシメ
チル]プロピル]−4−[6−[4−(4,6−ジメチル−2−ピリジニル)−
1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4
−トリアゾール−3−オン;mp.171.4℃(化合物26);
(±)−(R*,R*)−2−[1−[(4−クロロフェニル)ヒドロキシメ
チル]プロピル]−2,4−ジヒドロ−4−[6−[6−(4−メトキシ−2−
ピリミジニル)−1−ピペラジニル]−3−ピリジニ
ル]−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン;mp.215.3℃(化合
物27);
(±)−(R*,R*)−2−[1−[(4−クロロフェニル)ヒドロキシメ
チル]プロピル]−2,4−ジヒドロ−4−[4−[4−(4−メトキシ−2−
ピリミジニル)−1−ピペラジニル]フェニル]−3H−1,2,4−トリアゾ
ール−3−オン;mp.161.2℃(化合物28);
(±)−(R*,R*)−2−[1−[(4−クロロフェニル)ヒドロキシメ
チル]プロピル]−2,4−ジヒドロ−4−[6−[4−(3−ピリジニル)−
1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]*−1,2,4−トリアゾール−3−オ
ン(化合物29);および
(±)−(R*,R*)−2−[1−[(4−クロロフェニル)ヒドロキシメ
チル]プロピル]−2,4−ジヒドロ−4−[6−[4−(2−ピラジニル)−
1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−3H−1,2,4−トリアゾール−3
−オン(化合物30)。
(実施例7)
a)臭化水素酸(水中48%溶液)(100ml)中、実施例2b)〜2e)
記載と同様の方法にしたがって調製されたエチル 4−[5−(2,3−ジヒド
ロ−3−オキソ−4H−1,2,4−トリアゾール−4−イル)−2−ピリジニ
ル]−1−ピペラジンカルボン酸(15.7g)の混合液を、撹拌し、2時間還
流した。混合液をRTまで冷却し、そして溶媒を蒸発して、2,4−ジヒドロ−
4−[6−(1−ピペラジニル)−3−ピリジニル]−3H−1,2,4−トリ
アゾール−3−オン二臭化水素酸塩;mp.>300℃(中間体8)17.2g
(85.
3%)を得た。
b)1−メチル−2−ピロリジノン(100ml)とトリエチルアミン(20
ml)中、中間体8(9.81g)および2−クロロピラジン(10.31g)
の混合液を、撹拌し、15時間還流した。その混合液を、水(20ml)で処理
し、濾別した。その沈殿物を、CH2Cl2に溶解し、そして層を分離した。有機
層をMgSO2で乾燥、濾過し、そして蒸発した。その残渣を、シリカゲル(溶
出液:CH2Cl2/CH3OH100/0〜97/3)のカラムクロマトグラフ
ィーで精製した。その純粋画分を集め、蒸発して、2,4−ジヒドロ−4−[6
−[4−(2−ピラジニル)−1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−3H−
1,2,4−トリアゾール−3−オン(中間体9)7.4g(95.1%)を得
た。 c)DMF(200ml)中、中間体9(7.1g)および(±)−2−
ブロモ−1(4−クロロフェニル)−1−ブタノン(6.3g)の混合液を、N2
下で5分間撹拌した。炭酸ナトリウム(2.76g)を添加し、そして混合液
を撹拌し、60℃で15時間加熱した。混合液を氷浴上で冷却し、水(350m
l)を徐々に添加し、そして濾別した。その残渣をCH3OHから再結して、(
±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ−4
−[6−[4−(2−ピラジニル)−1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−
3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン;mp.190.0℃(化合物31
)7.9g(71.4%)を得た。
(実施例8)
(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−2,4−ジヒドロ
−4−[6−(1−ピペラジニル)−3−ピリジニル]−3H
−1,2,4−トリアゾール−3−オン(6.02g)および2−ブロモ−4,
6−ジメチルピリジン(5.25g)を撹拌し、N2下で140℃2日間加熱し
た。その混合液をCH2Cl2に溶解し、シリカゲル(溶出液:CH2Cl2/CH3
OH100/0〜97/3)のガラスフィルター上で精製した。その純粋画分
を集め、蒸発して、(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)プロピル]−
4−[6−[4−(4,6−ジメチル−2−ピリジニル)−1−ピペラジニル]
−3−ピリジニル]−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3
−オン;mp.113.2℃(化合物32)3.6g(48%)を得た。
(実施例9)
a)1,1−二酸化テトラヒドロチオフェン(50ml)中、2−クロロ−4
−メトキシピリミジン(29g)と1−(5−ニトロ−2−ピリジニル)ピペラ
ジン(35g)の混合液を、130℃1時間撹拌した。その混合液を、炭酸ナト
リウムおよび水に注入し、30分間撹拌し、CH2Cl2で抽出した。有機層を、
MgSO4で乾燥し、濾過し、そして蒸発した。その残渣をジイソプロピルエー
テル中で粉砕して、4−メトキシ−2−[4−(5−ニトロ−2−ピリジニル)
−1−ピペラジニル]ピリミジン(中間体10)23g(43%)を得た。
b)中間体10から出発して、(±)−2−[1−(4−クロロベンゾイル)
プロピル]−2,4−ジヒドロ−4−[6−[4−(4−メトキシ−2−ピリミ
ジニル)−1−ピペラジニル]−3−ピリジニル]−3H−1,2,4−トリア
ゾール−3−オンを、実施例2b)〜2f)に記載された類似の方法にしたがっ
て調製した;mp.162.5℃(化合物33)。
薬理学的実施例
主題の化合物の抗ヘリコバクター活性を、次のイン・ビトロ試験法によって評
価した。
(実施例10)
ヘリコバクターに対する試験化合物の活性
ヘリコバクター・ピロリに対する試験化合物の活性を、臨床材料から得られた
H.ピロリ菌5株の標準セットに対して測定した。最小阻止濃度(MIC)を、
抗菌剤によりその菌の増殖培養を処理した後、H.ピロリのウレアーゼを測定す
ることによって決定した。
試験化合物を、10-3Mの濃度でDMSO中に溶解した。また、DMSO中1
0-4Mまでの希釈液を調製した。これらの溶液の10μl量を、
DMSOのみを含むウエルを、各Repli−Dishに対照として置いた。ア
ンピシリン((+)−6−[(2−アミノ−2−フェニルアセチル)アミノ]−
3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘ
プタン−2−カルボン酸・三水和物)およびメトロニダゾール(2−メチル−5
−ニトロ−1H−イミダゾール−1−エタノール)を、各試験毎に対照化合物と
して含めた。試験プレートを、使用するまで4℃に保存した。H.ピロリの5分
離株は、2〜3日毎に10%血液寒天への植継ぎによって維持された。細菌は、
5%酸素、10%CO2および85%窒素を含む雰囲気下、37℃で培養された
。種菌用のヘリコバクター・ピロリの懸濁液を、ブレイン・ハート・インフュー
ジョンブロスで調製し、そして530nMにおける吸光度1.5±0.3に調整
した。
45℃に保たれた新しく調製された10%血液寒天を、試験プレートのウエル
に1ml量で添加し、かくして、試験化合物を10-5〜10-6Mに希釈した。培地
を冷却し、次いで、菌懸濁液10μl量を寒天表面上にピペットで添加した。そ
のプレートを、前記微生物に好適な雰囲気下で37℃48時間培養した。プレー
トの解読を容易にし、培地上の何らかの増殖が、真に、H.ピロリであることを
確実にするために、この種にとって独特の強力なウレアーゼ活性を用いることは
得策であった。培養48時間後、ウレアーゼブロスの1ml量を、各Repli
−Dishウエルに静かに添加し、そしてプレートを37℃で2時間インキュベ
ートした。次に、各ウエルからの液のサンプル100μlを、96穴ミクロダイ
リューションプレートのウエル中にピペットで添加した。赤紫色は、H.ピロリ
の増殖と解釈され、黄〜橙色は無増殖と解釈された。この方法を用いて、阻止効
果を決定できる明瞭なエンドポイントを得た。試験された2種の濃度のいずれに
おいても、活性が示された化合物の全てが、MICを確定できるさらなる希釈と
、標的微生物としての幅広い細菌スペクトルを用いて再試験された。かくして、
化合物1〜4,8,10,12,14〜16,20,23および26〜29につ
いてのMIC値が、1μMと同じかそれ以下であることが分かった。
組成物実施例
これらの実施例を通して用いられた「有効成分」(A.I.)は、式(I)の
化合物、その製薬学的に許容しうる酸付加塩または立体化学的異性形態に関する
。
(実施例11)
経口滴剤
A.I.500gを、60〜80℃で、ヒドロキシプロパン酸0.5lとポリ
エチレングリコール1.5lに溶解した。30〜40℃に冷却後、ポリエチレン
グリコール35lを添加し、その混合液をよく撹拌した。次に、純水2.5l中
サッカリンナトリウム1750gの溶液を添加した。撹拌しながらココアフレー
バー2.5lと、そして容量50lまでポリエチレングリコールを添加して、A
.I.10mg/mlを含む経口滴剤溶液を調製した。得られる溶液を、適切な
容器に充填した。
(実施例12)
カプセル剤
A.I.20g、ラウリル硫酸ナトリウム6g、澱粉56g、乳糖56g、コ
ロイド状二酸化ケイ素0.8gおよびステアリン酸マグネシウム1.2gを、一
緒に激しく撹拌した。続いて、得られる混合液を、1000個の適切な硬質ゼラ
チンカプセル中に充填したが、それらは各々有効成分20mgを含んだ。
(実施例13)
フィルムコーティング錠
錠剤コアの調製
A.I.100g、乳糖570gおよび澱粉200gの混合物を、よく混合し
、その後、水200ml中ドデシル硫酸ナトリウム5gとポリビニルピロリドン
10gの溶液を用いて湿潤化した。その湿潤粉末混合物を、篩にかけ、乾燥し、
再び篩にかけた。微結晶セルロース100gと水素添加植物油15gを添加した
。全体をよく混合し、そして圧錠して、各々有効成分10mgを含む10,00
0個の錠剤を得た。
コーティング
変性エタノール75ml中メチルセルロース10g溶液に、ジクロロメタン1
50ml中エチルセルロース5g溶液を添加した。次いで、ジクロロメタン75
mlと1,2,3−プロパントリオール2.5mlを添加した。ポリエチレング
リコール10gを融解し、ジクロロメタン75mlに溶解した。後者の溶液を、
前者に添加し、次いで、オクタデカン酸マグネシウム2.5g、ポリビニルピロ
リドン5gおよび濃厚色素懸濁液30mlを添加し、そして全体を均質化した。
このようにして得られた混合液を用いて、錠剤コアをコーティング装置中でコー
ティングした。
(実施例14)
坐剤
A.I.3gを、ポリエチレングリコール400 25ml中2,3−ジヒド
ロキシブタン二酸3g溶液に溶解した。界面活性剤12g、および300gにな
るまでのトリグリセリドを一緒に融解した。後者の混合物を前者の溶液とよく混
合した。このように得られた混合液を、温度37〜38℃で鋳型に注入して、各
A.I.30mg/mlを含む100個の坐剤を成型した。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07D 401/14 249 9159−4C C07D 401/14 249
403/12 239 9159−4C 403/12 239
413/12 249 9053−4C 413/12 249
417/12 249 9053−4C 417/12 249
417/14 213 9053−4C 417/14 213
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,C
Z,EE,FI,GE,HU,IS,JP,KE,KG
,KP,KR,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,
MG,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,RO,R
U,SD,SG,SI,SK,TJ,TT,UA,UG
,US,UZ,VN
(72)発明者 ウイレム,マルク
ベルギー・ビー−2350フオセラール・メレ
ルラーン46
(72)発明者 ヘンドリクス,ロベール・ジョゼフ・マリ
ア
ベルギー・ビー−2340ビールセ・サン−コ
ルネリウスストラート 60
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