JPH10501267A - 制限化ペプチド - Google Patents

制限化ペプチド

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JPH10501267A JP8502299A JP50229995A JPH10501267A JP H10501267 A JPH10501267 A JP H10501267A JP 8502299 A JP8502299 A JP 8502299A JP 50229995 A JP50229995 A JP 50229995A JP H10501267 A JPH10501267 A JP H10501267A
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Abstract

(57)【要約】 それぞれ少なくとも1つの芳香族アミノ酸残基からなる、2つの直鎖状の突出部に連結された、生物学的に活性な領域を持つ、環状化部分を有する、制限化ペプチドが、明らかにされている

Description

【発明の詳細な説明】 制限化ペプチド発明の分野 本発明は、他分子に対して高い親和性および/またはより高い生物学的な活性 を示す制限化(constrained)ペプチドに関する。発明の背景 タンパク質に関する分子間の相互作用は、受容体とリガンドの相互作用、受容 体と抗原の相互作用、抗体と抗原の相互作用を含む。いずれの場合も、このよう な相互作用に関わる各分子の特定の部位が関与している。分子間相互作用に関与 する、タンパク質の部位は、ループ構造をなしていることが多い。 抗体や受容体のような、免疫グロブリン・スーパーファミリー(superfamily )に属するタンパク質の場合、相補性決定部位(CDRs)に関係するループ構造が 規定(provided)されている。相補性決定部位の配列の違いは、相補性決定部位を コードする遺伝子領域において、タンパク質をコードする遺伝子のがオルタナテ ィブスプライシングによってもたらされる。このオルタナティブスプライシング は、種々の抗体にさまざまな相補性決定部位をもたらし、その結果、抗体が多様 な標的を持つことが可能となる。同様に、相補性決定部位の配列の多様性に基づ いて、種々のT細胞受容体は、それぞれ異なる抗原と結合するのである。 本願明細書において援用されるウィリアムズ(Wil1iams)ら(1988)Annual R eview of Immunol.,6:381-405の論文は、免疫グロブリン遺伝子スーパーファ ミリーに属する膨大な数の細胞表面受容体が、ある特有の構造的特徴を共有して いることを明らかにしている。このファミリーの典型(prototype)である抗体 は、それぞれ110アミノ酸残基から成る相同領域を含む複数のポリペプチド鎖か ら成る。これらの領域は、約65アミノ酸残基にわたるドメイン内ジスルフィド結 合を有するβバレル構造によって特徴づけられる、密な3次元構造に折りたたま れている。免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーに属する全ての タンパク質は、様々な度合いのアミノ酸配列相同性を共有する、一つもしくは複 数のドメインから構成されている。本願明細書において援用されるウィリアムズ (Williams)ら(1987)Immuno.Today,8:298-303の論文は、相同性ドメイン がしばしば一つのエクソン産物であることを明らかにしている。 本願明細書において援用されるカプラー(Kappler)ら(1987)Cell,49: 263-2 71の論文によると、免疫グロブリンは抗原そのものに結合するのに対し、T細胞 受容体は、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーの配列多型種であるクラス IタンパクもしくはクラスIIタンパクに取り込まれた抗原由来の断片と相互作用 する。本願明細書において援用されるビヨークマン(Bjorkman)ら(1987)Natu re,329:506-511は、ある種のクラスI主要組織適合性複合体(MHC)タンパ クの原子構造から推定されるペプチド結合溝(peptide binding cleft)を開示 している。溝の両側はαヘリックス、溝の下部表面はβシートで形成されている 。T細胞受容体の構造は決定されていないが、立体構造の点では、免疫グロブリ ンと近い構造を持つ可能性が高い。T細胞受容体のαおよびβポリペプチドにお ける3番目の超可変部は抗原と直接相互作用しているであろう(本願明細書にお いて援用される前掲のカプラー(Kappler)ら、ビヨークマン(Bjoorkman)ら、フ ィンク(Fink)ら(1986)Nature,321:219を参照)。 免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーの他の分子種としては、CD4分子、C D2分子およびCD8分子がある。本願明細書において援用されるリン(Ryn)ら(19 90)Nature,348:419-426とワン(Wang)ら(1990)Nature,348:411-418は、 タンパク質工学的に作成されたCD4とCD8のN末端ドメインの3次元構造を明らか にしている。CD4分子のN末端側の半分はジスルフィド結合によって安定化された 2つのドメインに折りたたまれており、このジスルフィド結合を還元すると、HI Vタンパクgp120のCD4に対する結合が弱まる。これらのCD4分子のドメインは、抗 体の相補性決定部位(CDRs)と類似している。CD4には、CDR2様およびCDR3様領域 、すなわちβターンによってつながれた逆平行βシートが存在する。CD4分子は クラスII分子と相互作用可能であり、一方、軽鎖の遺伝子断片と近縁関係にある CD8遺伝子産物は、クラスI分子と相互作用する。本願明細書において援用される リ ーハイ(Leahy)ら(1992)Cell,68:1145-1162は、CD8分子の構造を解析し、 その配列から、REI免疫グロブリン構造を用いて、分子モデリングをした結果予 想される構造と非常に近い構造を持つことを明らかにしている。適度の解像度( 2.6オングストローム)で解析されたCD8分子の一部は、CD4の構造ともまた非常 に似ているということが明らかになっている。また、CD8分子のどのCDRループが 、クラスI構造と結合するかのモデル化も可能になっている。モデル化の結果は 、中央部のCDR2ループが、クラスI分子に結合することを示唆している。同様に 、異なる方法に基づいて、本願明細書において援用されるフルーリー(Fleury) ら(1991)Cell,66:1037-1049は、CD4のCDR1およびCDR3ループが、クラスII結 合に関与していることを示唆している。 本願明細書において援用されるフルーリー(Fleury)ら(前掲)、クライトン (Clayton)ら(1988)Nature,335:363-366、およびコニッグ(Konig)ら(19 92)Nature,356:796-798によると、アラニンもしくは部位特異的突然変異誘発 (site-directed mutagenesis)によって、巨大タンパク質の表面の相互作用を研 究する際の問題の一因は、親水基もしくは疎水基をタンパク質の主鎖のある一定 の部分に導入することによって、構造を解析することになしには予期できない重 大なコンホメーション変化が生じるというものである。 ある研究(サルター(Salter)ら(1990)Nature,345:41-46、本願明細書に おいて援用される)は、クラスI分子のα-3ドメインの分離している(discrete )ループがCD8の結合部位であると示唆している。一方、本願明細書において援 用されるコニッグ(Konig)ら(前掲)、およびカマロタ(Cammarota)ら(1992 )Nature,356:799-800は、クラスII分子のβ-2ドメインにある類似の構造モチ ーフが、CD4の外部ドメインの結合の標的であると示唆している。したがって、C D4とCD8の双方が、それぞれの標的のループ状突起への結合に、CDR様ループを用 いている可能性が高い。T細胞受容体はCD4もしくはCD8構造なしでも機能するが 、これらの構造は、活性化やライゲーション(ligation)にある程度重要な働きを しているようである。さらに、これらの構造はT細胞の成熟になんらかの重要性 を持っているらしい。 本願明細書において援用されるアミット(Amit)ら(1986)Science,233:74 7-753は、免疫グロブリンの分子、結晶解析の結果、重要なリガンド結合表面は 、CDR突起であることを明らかにしている。さらに、Vカッパ軽鎖CDRと2つの重 鎖の相補性決定部位には、標準的なコンホメーションが存在することが明らかに なっている。重鎖の3番目の相補性決定部位は、その構造に影響を及ぼす複雑な 遺伝的機構の結果により、様々な相互作用形式を持つ中程度の、あるいは長いル ープを持つ。一般的には、重鎖のCDR3を除く標準的なCDRは、正常なターンの特 徴も持ちうる逆ターンコンフォーメーションをとる(本願明細書において援用さ れるサラゴビ(Saragovi)ら(1992)Biotechnologyを参照)。さらに、本願明 細書において援用されるウィリアムズら(1988)Annual Review or Immunol.,6 :381-405および、前掲のウィリアムズImmuno.Todayの開示によると、ジスルフ ィド結合によって連結した2つのβシートからなる類似の様式を持つC1およびC2 タイプのドメインは、他のβループタイプのモデルとなることが明らかになって いる。さらに、C1ドメインは、抗原との相互作用に関わっており、一方、C2ドメ インは、Fc受容体やLFA-3,MAG,CD2,NCAM,ICAMのような接着性の構造に有用 であることが明らかにされている。 ペプチドにおけるループや逆ターンといった固有なコンホメーションは、ポリ ペプチドの生物学活性の重要な仲介役であると考えられている。ターンは、小分 子の折り畳みコンホメーションを安定化することにより、生物学的な活性に必須 の結合基に、適切な方向性をもたらし、また、結合部位と認識部位の双方に関与 しているらしい。例としては、本願明細書において援用されるサラゴビ(Sarago vi)ら(1986)Science,233:747-753、チェンら(1992)Proc.Nat'l Acad.Sc i.U.S.A.,89:5872-5876、シバンダら(1989)J.Mol.Biol.,206:759-777を参 照。自然界に見られるソマトスタチン(somatostatin)やエンセファリン(ence phalins)のような小ペプチドの研究は、受容体の結合に際しての側鎖の最適な 配向におけるターンの役割と基本骨格(backbone)のコンホメーションの影響の 重要性を強調している。 ペプチド合成、とりわけ、生物学的な活性の高いタンパク質を模倣する有用ペ プチドの合成は、盛んな活動の一つである。分子間相互作用に直接関与するタン パク部位の同定、そして、その部位のアミノ酸配列に基づいて、小さなペプチド を作ることに、多くの努力が注がれてきている。合成ペプチド、タンパク質の活 性部位のモデルに基づいて、作成される。このような合成ペプチドは、分子間相 互作用に関与しているタンパク質の配列と同一の配列を持つか、あるいは、側面 に隣接するアミノ酸配列を付加している、あるいは、新たな配列を含んでいたり 、配列を欠損させていたり、配列内に置換があったり、あるいはそれらの組み合 わせから成り立っているであろう。 生物学的に活性な分子の活性部位、とりわけループ、中でも特にCDRに基づい て作成された直線状合成ペプチドは、あまり成功していない。生物学的に活性な 分子の活性部位と同一の、あるいは、非常に似た配列を有する直線状合成ペプチ ドの生物学的な活性は、もとの生物学的に活性なタンパク質の活性以下である場 合が多い。直線状ペプチドの活性が低い原因は、コンホメーション的に不安定で 、活性型コンホメーションから不活性型コンホメーションに移行してしまうため である。直線状ペプチドは、その構造が環境に強く影響されて、極めて柔軟に変 化するという性質を持っている。そして、直線状ペプチドが、溶液中でのランダ ムなコンホメーションをとることによって、結合および生物学的な活性の仲介者 としての実際の適用が妨げられているのだろう。直線状ペプチドは、分子内でた たみこまれた状態よりもむしろ、凝集状態をとる場合が多い。小さな直線状ペプ チドのコンホメーション上の高い柔軟性と、体積の割には表面積が大きい点が、 正しいおりたたみ(folding)には不向きであると示唆されており(本願明細書に おいて援用されるマーシャルら(1978)Ann.Rep.Med.Chem.,13:227-238) 、そして、この傾向のせいで、短いペプチドを生物学的あるいは治療用の薬剤と して使用することが、妨げられている。 この活性減少を克服するためには、コンホメーションの制限化されたペプチド を作ることが望ましい。コンホメーションが制限されたループ領域を有するペプ チドを提供するために、生物学的な活性のあるループを含有する、コンホメーシ ョンの制限化された、ペプチドがデザインされ合成されている。安定的かつ活性 の あるコンホメーションを維持するために、ペプチドは、環状化されているか、あ るいは、ペプチド結合や非ペプチド結合によって制限化されている。 本願明細書において援用されるウィリアムズら(1991)J.Biol.Chem.,266: 5182-5190およびウィリアムズら(1991)J.Biol.Chem.,266:9241-9250は、抗 体の軽鎖の相補性決定部位由来の、コンホメーションの制限化された、ペプチド の単離と合成について記載している。これらの制限化されたループは、個々のア ミノ酸残基が結合に関して及ぼす相互作用を原子レベルで決定するために解析が なされている。ループの端にある4つの重要な側鎖は、空間および細胞表面の標 的との水素結合に対して突出しているか、あるいは、結合の対象である抗原に対 して突出していることが見出された。さらに、免疫グロブリン由来のCDRを用い て、生物学的および抗原結合活性を持つ、制限化された、環状ループを作成する ことが可能であると示されている。抗受容体抗体は相補性決定部位のループ構造 の材料として用いられている。これは、抗体が、受容体に結合することが引き金 になって、細胞内で独自の生化学反応が引き起こされるためである。ある一連の 研究によれば、抗受容体抗体の軽鎖の2番目のCDR由来の制限化されたペプチド は、リンパ球のDNA合成を、免疫学的に活性のある他の免疫抑制物質と同程度に 抑制することが示されている。 また、抗体の主要な結合部位として機能する抗受容体抗体のCDRが、数例明ら かになっている。これらの抗受容体抗体の場合、他の外来抗原結合性の免疫グロ ブリンと比較して、抗体分子骨格のアミノ酸残基は、あまり重要ではないだろう 。これは、外来抗原に対する抗体とは対照的に、抗受容体抗体を選択する戦略の 結果であろう。抗受容体抗体を選択する基準は、これらの抗体の結合性とは独立 して、生物学的な機能を仲介できるという点である。したがって、抗受容体抗体 の選択は、親和性についてはあまり左右されない。これは、中程度の親和性を持 つ抗受容体抗体でさえも、研究には充分使用可能であるためである。対照的に、 可溶性の外来抗原に特異的な抗体は、たいてい、相互作用における親和力の高さ のために選択を受ける。 ある種の環状ペプチドは、これらと対応する直鎖状ペプチドと比較して、高い 結合力を持つことが明らかになっている。これらの観察は、免疫グロブリンおよ び関連タンパク質における重要なリガンド結合表面が、逆ターンコンホメーショ ンをとっているという事実と合致する。したがって、もし、ある直鎖状ペプチド が、元来のタンパク質の構造における既知のループ由来であるが故に、ターン配 置をとる方がより活性が高いと予想された場合は、環状化の対象となりうる。環 状化は、ペプチド合成時にシステイン残基を導入し、続いて、酸化処理すること によって、容易に達成することができる。このようにして、分子内ジスルフィド 共有結合が作成され、ペプチドの立体配置を制限化できる。環状化によって得ら れたループの大きさもしくは直径は、重要な考慮事項である。CDRループの直径 についての洞察を得るために、側鎖のループと配向を制限化する研究がなされた 。制限化されたループの系を得るために、16残基からなるペプチドに、システイ ン残基がランダムな部位に導入された。9番目と16番目の位置にシステインを 導入したものは、10番目と16番目の位置に導入したものよりはるかに低い環 状化効果しかもたらさなかった。これは、空間的位置の小さな誤差が、結合およ び生物学的活性の減少をもたらしうることを示している。さらに、適切なループ 構造の制限化により、直鎖状ペプチドより40倍高い親和性がもたらされる。 より改良された合成ペプチドが必要である。生物学的な活性を有するタンパク 質の活性部位に基づいてデザインされた合成ペプチドの生物学的な活性を上昇さ せる方法は、常に望まれている。より改良された生物学的な活性を示す、コンホ メーションの制限化された、ペプチドが必要である。相互作用の対象分子とより 高い親和性を持つ、コンホメーションの制限化された、ペプチドが必要である。発明の要旨 本発明は芳香族分子的に修飾された(aromatically modified)制限化ペプチ ドに関する。芳香族分子的に修飾された制限化ペプチドは、制限化ペプチドに連 結(link)した遊離芳香族アミノ酸残基を持つ制限化ペプチドである。 当該発明の芳香族分子的に修飾された制限化ペプチドは、30残基のアミノ酸 からなるアミノ酸配列を持ち、その化学式は: R1-R2-R3-R4-R5-R6-R7 であり、ここで: R1は1-6アミノ酸残基であり、少なくともそのうち一つはチロ シンもしくはフェニルアラニンである; R2は連結(linking)アミノ酸残基であり、システインが望まし い; R3は0-13アミノ酸残基である; R4は3-26アミノ酸残基からなる活性のある配列である; R5は0-13アミノ酸残基である; R6は連結(linking)アミノ酸残基であり、システインが望まし い; R7は1-6アミノ酸残基であり、少なくともそのうち一つはチロ シンもしくはフェニルアラニンである;そして、R2とR6は互いに結合し、したが って、R2、R3、R4、R5、R6を含み、R1とR7が環状構造部分を構成する、環状構造 を形成する。発明の詳細な説明 本願明細書で用いられる場合、「生物学的に活性なタンパク質」という用語は ,他の分子と相互作用するタンパク質を意味している。ここでいう相互作用とは 、シグナルおよび/もしくは作用をもたらす場合のありうる親和性として特徴づ けられる。 本願明細書で用いられる場合、「ループ」という用語は、a)2つのαヘリッ クス、b)2つのβシート、または、c)1つのαヘリックスと1つのβシートの 間に挿入された、タンパク質分子のアミノ酸配列を意味している。 本願明細書で用いられる場合、「生物学的に活性なループ」という用語は、ル ープである、生物学的に活性なタンパク質の、活性部位を意味しており、この活 性部位は、それ自身と他の分子間の親和性に特徴づけられる、相互作用によって 、他の分子と直接相互作用する。抗体のCDRと、受容体に見られるCDR様構造は、 生物学的に活性なループの例である。 本願明細書で用いられる場合、「活性配列」、「生物学的に活性なタンパク質 の活性部位」、および「活性領域」という用語は、互換的に使用されており、他 の分子と直接的に相互作用する、生物学的に活性な、タンパク質の活性部位のア ミノ酸配列を意味している。本願明細書でいう相互作用とは、活性部位と他の分 子の間の親和性として特徴づけられる。生物学的に活性なタンパク質の活性部位 と他の分子の間の相互作用は、シグナルもしくは作用をもたらす場合もある。活 性のある配列は、生物学的に活性なループである場合も多い。 本願明細書で用 いられる場合、「コンホメーションの制限化(restricted)されたペプチド」、 「制限化されたペプチド」、および「コンホメーションの制限化(constrained )されたペプチド」という用語は、互換的に使用されており、例えば分子間結合 により、コンホメーション的に安定化されており、ペプチドレベルでの機能およ びより正確には活性を維持するのに充分な一定のコンホメーションをとる、ペプ チドを意味している。活性部位について構造のモデル化のできているタンパク質 の、コンホメーションの制限化されたペプチドの多くは、タンパク質の生物学的 活性と同様な活性を持つことが示されている。 本願明細書で用いられる場合、互換的に使用されている「芳香族アミノ酸」お よび「芳香族アミノ酸残基」という用語は、フェニルアラニンとチロシンを意味 している。 本願明細書で用いられる場合、「環状構造外アミノ酸残基」という用語は、環 状化ペプチドと連結しているが、環状構造を形成するペプチドの一部ではない、 アミノ酸残基を意味している。 本願明細書で用いられる場合、「環状構造外部分」という用語は、環状化ペプ チドと連結しているが、環状構造を形成するペプチドの一部ではない、一つかそ れ以上のアミノ酸残基からなる、アミノ酸配列を意味している。 本願明細書で用いられる場合、「連結アミノ酸残基」という用語は、隣接して いないアミノ酸残基と連結したとき、少なくともペプチドの一部で環状化構造を 生ずるアミノ酸配列中のアミノ酸残基を意味している。 本発明は、より優れた制限化ペプチドに関する。本発明による制限化ペプチド は、他の分子と直接的に相互作用アミノ酸配列からなる環状化部分、および、環 状化部分に連結しているが、その外側にあり、芳香族残基群、具体的にはフェニ ルアラニンとチロシンを有する、アミノ酸配列から、構成されている。 制限化ペプチドは、通常、直鎖状ペプチドとして産生され、続いて、非ペプチ ド結合、通常は、離れた部位、時にはN末端とC末端のシステイン間のジスルフィ ド結合によって環状化される。本発明では、制限化ペプチドと共に、芳香族アミ ノ酸残基が、環状構造外アミノ酸残基として、制限化ペプチドの活性部位と他の 分子との間の相互作用を強めるために、供与される。本発明では、芳香族アミノ 酸は環状構造外にある;すなわち、これらは、制限化ペプチドに連結しているが 、分子の環状部分の内側にはない。 本発明におけるペプチドは、次の特徴を有する: 1)これらは、7から30アミノ酸からなる; 2)これらは、環状部分を構成するように、コンホメーション的に制限 化されている; 3)環状化部分は3-18アミノ酸残基からなる活性配列を含む; 4)環状部分は2つの環状構造外部分に連結している; 5)それぞれの環状構造外部分は1-6アミノ酸残基からなり、少なくと も1つの芳香族アミノ酸残基で構成されている。 本発明のペプチドは、7-30アミノ酸残基からなるアミノ酸配列から構成 されている。好ましい具体例(embodiments)では、このペプチドが、9-25アミ ノ酸残基からなるアミノ酸配列から構成されているものがある。好ましい具体例 (embodiments)では、このペプチドが、12-20アミノ酸残基からなるアミノ酸配列 から構成されているものがある。好ましい具体例(embodiments)では、このペプ チドが、14-18アミノ酸残基からなるアミノ酸配列から構成されているものがあ る。好ましい具体例(embodiments)では、このペプチドが、10-16アミノ酸残基か らなるアミノ酸配列から構成されているものがある。 ペプチドは、よく知られた方法のどれによって制限化されてもよい。好 ましい具体例では、隣接していない2つのシステイン間がジスルフィド結合によ っ て環状化し、これによって、ペプチドを制限化する。隣接していない2つのシス テイン間のジスルフィド結合を用いた環状化はよく知られている。同様に、他の 隣接していないアミノ酸残基の連結によって、ペプチド配列を環状化することも 可能であり、そのような方法も同様によく知られている。他の環状化の方法とし ては、それぞれ本願明細書において援用される、ディ・ブラシオ(Di Blasio) ら(1993)Biopolymers,33:1037-1049、ウッズ(Woods)ら(1992)J.Pep.P rot.Res.,39:533-539、サラゴビ(Saragovi)ら(1992)Immunomethods,1 :5-9、サラゴビ(Saragovi)ら(1992)Science,253:792-795、マニング(Ma nning)ら(1993)Reg.Peptides,45:279-283、フルバイ(Hruby)ら(1993) Biopolymers,33:1073-1082、バック(Bach)ら(1994)New Adv.Peptidomime tics Small Mol.Design,I:1-26、およびマツヤマ(Matsuyama)ら(1992)J .Bacteriol.,174:1769-1776、 による環状化の方法が含まれている。 環状化部分は、5-25アミノ酸残基からなることが、想定されている。好ましい 具体例では、環状化部分が9-20アミノ酸残基からなるものがある。好ましい具体 例では、環状化部分が8-12アミノ酸残基からなるものがある。好ましい具体例で は、環状化部分が10-20アミノ酸残基からなるものがある。好ましい具体例では 、環状化部分が12-16アミノ酸残基からなるものがある。 環状化部分の活性配列は、少なくとも3アミノ酸残基からなることが、想定さ れている。好ましい具体例では、環状化部分の活性配列が、少なくとも4-12アミ ノ酸残基からなるものがある。好ましい具体例では、環状化部分の活性配列が、 少なくとも6-10アミノ酸残基からなるものがある。好ましい具体例では、環状化 部分の活性配列が、少なくとも6-8アミノ酸残基からなるものがある。 制限化ペプチドの活性配列は、生物学的に活性なタンパク質に由来している。 生物学的に活性なタンパク質から同定された活性部位、および、活性部位を含む 制限化ペプチドには、莫大な数の例がある。 一般的に、活性部位は、相補性決定部位(CDR)と呼ばれる抗体のループ、も しくは、受容体や他の免疫グロブリン・スーパーファミリー分子のCDR様ループ 構造である、生物学的に活性な、ループである。 タンパク質のループは、当業者であれば、よく知られた分子モデル化技術を用 いて、同定することができるだろう。このような技術に基づき、X線結晶化解析 データおよび/もしくはSYBILのようなコンピュータソフトウェアを用いて、タ ンパク質の3次元構造が計算できる。詳細な総説は、本文章に参考文献として記 載の、トラモンタノ(Tramontano)ら(1989)Proteins: Structure,Functions ,and Genetics,6:382-394、また、免疫グロブリン・ファミリーについては、 デビーズ(Davies)ら(1990)Annu.Rev.Biochem.1990: 439-173に述べられ ている。当業者は、研究対象のタンパク質のアミノ酸配列を、相同な、もしくは 高く保存されたタンパク質の3次元構造に、挿入することもある。これにより、 研究対象のタンパク質の大まかな3次元構造を決定し、ループ領域の同定が可能 になることもある。タンパク質や免疫グロブリン遺伝子ファミリーの特定分子に おける活性ループは、抗体や、当業者の利用可能な他の方法を用いて、同定可能 である。このような方法には、本願明細書において援用される、トラモンタノ( Tramontano)ら(1989)Proteins:Structure,Functions,and Genetics,6:3 82-394で述べられている方法がある。 CDRは抗原認識と結合に関与する抗体由来のループである。CDRのアミノ酸配列 は、当業者が、標準的な方法を用いて、決定することができる。例えば、抗体を コードする塩基配列を決定可能であり、CDRをコードする配列を、通常の方法に よって、例えば、本願明細書において援用される、パドラン(Padlan)ら(1991 )Meth.Enzym.,203:3-45に解説されている、コンピュータを利用した超可変 領域の検索法を用いて、同定することができる。 同様に、受容体タンパク質由来のCDR様構造は、3次元分子モデル化技術や、C DR様構造をコードするDNA分子のDNA配列を決定し、既知配列を用いてCDR様構造 をコードする領域の配列を見つけることによって、同定可能である。(本願明細 書において援用される、チェン(Chen)ら(1992)Proc.Nat'l.Acad.Sci.U. S.A.,89:5872-5876を参照)。 本願明細書において援用される、1992年9月3日出願の米国特許出願第94 0,654、1991年5月20日出願の米国特許出願第702,833、1989年3月2 1日出願の米国特許出願第326,328、1987年7月16日出願の米国特許出願 第074,264、1990年1月9日出願の米国特許出願第462,542、1987年7月 16日出願の米国特許出願第074,264、1991年1月25日出願の米国特許出 願第648,303、1987年7月16日出願の米国特許出願第074,264、1987年 7月16日出願の米国特許出願第074,264、1991年4月15日出願の米国特 許出願第685,881、1990年8月27日出願の米国特許出願第574,391、198 8年5月13日出願の米国特許出願第194,026、1987年7月16日出願の米 国特許出願第074,264(重複?)、1990年9月14日出願の米国特許出願第5 83,626は、抗イディオタイプ抗体や抗受容体抗体を用いた、活性領域の同定法の 様々な側面について、述べている。本願明細書において援用される、トーブ(Ta ub)ら(1989)J.Biol.Chem.,264:259-265、トーブ(Taub)ら(1992)J.B iol.Chem.,267:5977-84、レビ(Levi)ら(1993)Proc.Nat'l.Acad.Sci. U.S.A.,90:437408、プライド(Pride)ら(1992)Proc.Nat'l.Acad.Sci.U .S.A.,89:11900-4、ウェリング(Welling)ら J.Chromatography,512:337- 343、および、ウェリング(Welling)ら J.Chromatography,548:235-242は、 活性領域を持つペプチドの同定法を明らかにしている。 制限化ペプチドは、本発明にしたがって、修飾することにより、改善されるだ ろう。本発明の範囲内での、修飾された制限化ペプチド合成の方法は、よく知ら れており、当業者の技術の範囲に完全におさまるものである。生物学的に活性な タンパク質を真似た制限化ペプチドはよく知られている。例えば、シクロスポリ ン(cyclosporin)はメルク・インデックス第10版(Merch Index,10th Editi on)396頁に記載されている。 本発明では、環状部分は、2つの環状構造外部分と連結している。本質的に、 それぞれの環状構造外部分は、1-6アミノ酸残基からなる、アミノ酸配列であり 、いずれも環状部分に連結しているが、環状化された、コンホメーションの制限 化された、ペプチドの内側にはない。それぞれの環状構造外部分は、環状部分の 外側に突出しており、少なくとも1残基以上の芳香族アミノ酸からなる。好まし い 具体例では、それぞれの環状構造外部分が1アミノ酸残基からなるものがある。 好ましい具体例では、一つの環状構造外部分が1アミノ酸残基からなり、もう一 方の環状構造外部分が1-6アミノ酸残基からなるものがある。好ましい具体例で は、一つの環状構造外部分が1-3アミノ酸残基からなり、もう一方の環状構造外 部分が1-6アミノ酸残基からなるものがある。好ましい具体例では、それぞれの 環状構造外部分が1芳香族アミノ酸残基を含むものがある。 環状構造外部分は、活性配列から最も遠い残基に連結していること場合が、好 ましい。好ましい具体例では、環状構造外部分は、N末端とC末端の位置を占め、 各末端のそれぞれ端から2番目の残基が結合することによって、残りのペプチド が環状化しており、これにより、N末端とC末端の残基が環状構造外残基となって いる。 好ましい具体例では、各末端のそれぞれ端から2番目の残基は、ジスルフィド 結合によって結合するシステインである。好ましい具体例では、N末端とC末端の 一方がフェニルアラニンであり、もう一方はチロシンである。 ペプチドの環状部分をもたらす結合は、ペプチドの第2、第3、第4、第5、 第6、もしくは、第7番目の残基のうち一つと、末端から、第2、第3、第4、 第5、第6、第7番目の残基のうち一つの間で形成される。非隣接残基間の結合 は、それぞれ1から6アミノ酸残基からなる、2つの環状構造外部分を有する制限 化ペプチドの環状部位を形成する。 ペプチドは、当業者が、よく知られた方法を用いて、合成可能であり、出発と なる原料として容易に入手可能である。本発明によれば、ペプチドの合成または 作成についての言及は、本発明の方法によって同定された該当領域と配列が似て いるペプチドの製造についてのものを意味すると解釈される。これらのペプチド は、当該分野で知られているどのような方法によって作成されてもよい。この方 法とは、イン・ビトロ(in vitro)またはイン・ビボ(in vivo)の原核細胞ま たは真核細胞発現系による生物学的合成と同様に、化学合成含むが、これらに限 定されるものではない。ある好ましい方法では、本発明のペプチドは、本願明細 書において援用される、メリーフィールド(Merryfield)ら(1963)J.Am.Cha m.Soc.,15:2149-2154、および、J.スチュアート(J.Stuart)とJ.D.ヤン グ(J.D.Young),固相ペプチド合成法(Solid Phase Peptide Synthelia), ピアス・ケミカル・カンパニー(Pierce Chemical Company),ロックフォード 、イリノイ(Rockford,IL)(1984)に示されている、固相法によって合成され ている。 本発明のいくつかの具体例によれば、制限化ペプチドは、次の配列を持ち、そ の化学式は: R1-R2-R3-R4-R5-R6-R7 であり、ここで: R1は1-6アミノ酸残基であり、少なくともそのうち一つはチロ シンもしくはフェニルアラニンである; R2は連結(linking)アミノ酸残基であり、システインが望ま しい; R3は0-13アミノ酸残基である; R4は3-26アミノ酸残基である; R5は0-13アミノ酸残基である; R6は連結(linking)アミノ酸残基であり、システインが望ま しい; R7は1-6アミノ酸残基であり、少なくともそのうち一つはチロ シンもしくはフェニルアラニンである; そして、R4は活性配列であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7を合わせた長 さは、30アミノ酸残基以下である。 本発明のいくつかの具体例によれば、制限化ペプチドは、次の配列を持 ち、その化学式は: R1-R2-R3-R4-R5-R6-R7 であり、ここで: R1は1-3アミノ酸残基であり、少なくともそのうち一つはチロ シンもしくはフェニルアラニンである; R2は連結(linking)アミノ酸残基であり、システインが望まし い; R3は0-13アミノ酸残基である; R4は6-26アミノ酸残基である; R5は0-13アミノ酸残基である; R6は連結(linking)アミノ酸残基であり、システインが望まし い; R7は1-3アミノ酸残基であり、少なくともそのうち一つはチロ シンもしくはフェニルアラニンである; そして、R4は活性配列であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7を合わせた長 さは、30アミノ酸残基以下である。 本発明のいくつかの具体例によれば、制限化ペプチドは、次の配列を持 ち、その化学式は: R1-R2-R3-R4-R5-R6-R7 であり、ここで: R1はチロシンもしくはフェニルアラニンである; R2は連結(linking)アミノ酸残基であり、システインが望まし い; R3は0-13アミノ酸残基である; R4は3-26アミノ酸残基である; R5は0-13アミノ酸残基である; R6は連結(linking)アミノ酸残基であり、システインが望まし い; R7はチロシンもしくはフェニルアラニンである; そして、R4は活性配列であり、R3、R4、およびR5、を合わせた長さは、26アミノ 酸残基以下である。 好ましい具体例には、R1とR7はそれぞれ異なるアミノ酸残基で、もしR1 がチロシンであればR7はフェニルアラニンであり、もしR1がフェニルアラニンで あればR7はチロシンであるものがある。 好ましい具体例には、R4が6-12アミノ酸残基からなるものがある。 好ましい具体例には、R3とR5が、それぞれ独立に、3-6アミノ酸残基か らなるものがある。 R1とR7はR2とR4にペプチド結合によって連結しているが、これらの残基 が非ペプチド結合によって連結している場合も考えられる。また、R1とR7を占め る芳香族アミノ酸残基の代わりに、他の芳香族環を含む分子構造を用いる場合も 考えられる。実施例 実施例1 制限化マクロサイクリック・フォーム(macrocyclic forms): 表1に記載されている全ての化合物は、様々な研究によって、作成され、試験 されている。これらの化合物は、上述のように、水分子ネットワークの秩序によ る熱的な寄与を高めるように、環状化と末端の芳香族アミノ酸残基修飾が施され ている。ヒト由来の化合物の幾つかが、HPLC精製によって、単離されている。全 てのペプチドは、固相法によって合成され、保護基除去を経て、無水フッ化水素 を用いて、樹脂から取り出された。ペプチドは、凍結乾燥されて、2つのデルタ パックC18カラム(Delta-pack C18 Column)を用いて、さらにHPLC精製され、再 び、凍結乾燥された。ペプチド(分子内システイン残基を含んでいる)は、実験 のために、0.1mg/mlの濃度になるように蒸留水に溶解し、3ないし5日間、5℃に て、空気にさらされるように撹拌することによって、酸化された(アプライド・ バイオシステム社(Applied Biosystem Inc.)1991.空気酸化法。分割技術入門 (Air oxidation protocol.An Introduction to cleavage techniwues)アプラ イド・バイオシステム社(Applied Biosystem Inc.)、フォスター・シティー( Faster City)、カリフォルニア(CA)。 酸化効率はエルマン測定法(Ellman Determination)によって試験された。ペ プチドにおける遊離のスルフヒドリルの測定法(Ellman Determination)-ペプ チドは、0.1mg/mlの濃度になるように純水に溶解され、そのうち30μlを、全量1 mlとなるように、NaPO40.008M、pH 8、EDTA 0.5mg/mlの溶液に加えた。この溶液 に、30mlの2,2’-ビスアジドチオ安息香酸(2,'2-bisazidothiobenzoic)(シグ マ・ケミカルズ(Sigma chemicals))の0.1M NaPO4、pH 8.0溶液を加えた。15 分間反応させた後、420nmの吸光度をハビーブ、A.F.S.A.(Hebeeb,A.F.S.A.) (1972)Methods in Enzymology、25:457-464に述べられている方法で、測定し た.様々なループ領域の配列が、表1に1文字表記法で記載されている。 実施例2 CDR2ループ: チェン(Chen)ら(1992)Proc.Nat'l.Acad.Sci.U.S.A.,89:5872-5876は 、CDR2領域は40-50残基を含み、CDR2由来の化合物が、gp120のsCD4に対する結合 を阻害することを明らかにしている。クライトン(Clayton)ら(1989)Nature ,339:548-551はCDR2の第48残基の突然変異が、MHCクラスIIとの相互作用をな くすことを見出した。しかし、フルーリー(Fleury)ら(1991)Cell,66:1037 -1049は、同じ方法を用いて、このような相互作用はないことを見出している。 クライトンとフルーリーの研究は、変異ホロ受容体(mutated holoreceptor)を 扱っているのに対して、チェンの研究はCD4の小さな表面に焦点を置いていた。 シバンダ(Sibanda)ら(1989)J.Mol.Biol.,206:759-777、マゼロリス(M azerolles)ら(1990)Eur J.Immunol.,20:637-644、マゼロリス(Mazerolle s)ら(1988)Cell,55:497、ドイル(Doyle)ら(1987)Nature,330:256-25 9も参照。 幾つかのループが設計、作成されて、CD4分子化合物の40-50表面の一部を組み 込んだタンパク質で、制限化された2次構造を持つものが得られている。これら には、配列番号1、配列番号2および配列番号3が含まれている。実施例3 CDR3制限化ペプチド: CD4のCDR3様領域は、CDR2領域とは空間的に離れている。フルーリー(Fleury )ら(1991)Cell,66:1037-1049は、この領域は、gp120との直接的な親和性の 高い結合には関与していないということを見出している。さらに、フルーリー( Fleury)ら(1991)Cell,66:1037-1049およびマゼロリス(Mazerolles)ら(1 988)Cell,55: 497は、CDR3様ドメインの端の残基(Val 86、Glu 87、Asp 88お よびGln89)がなんらかの相互作用に関与していることを明らかにしている。マ クドネル(MacDonnell)ら(1993)Immunomethodsは、CD4のL3T4 CDR3領域の類 似体(analog)を用いて、プロリン−グリシン−プロリン残基を利用して、こ の領域に強固なループを作成した。さらに、このペプチドは、モデル化とNMRを 用いて解析された。予測に反して、CD4分子の典型的な領域に見られる残基と比 較して、空間的に異常な配置をとる残基は4つしかなかった。これらの4残基、 R、K、E、Eはループの下向きの側面に位置しており、前述の弱い生物学的な活性 (<mM)を担っていると考えられている。 幾つかのループが設計、作成されて、CD4分子のCDR3様領域の一部を組み込ん だタンパク質で、制限化された2次構造を持つものが得られいる。これらには、 配列番号7および配列番号8が含まれている。実施例4 制限化されたマクロサイクリック分子(macrocyclics)が、可溶性CD4(sCD4 )とクラスII主要組織適合性複合体(class II)間の相互作用を阻害する能力に ついて、調べられている。我々は、これらの生化学的研究を、機能的クラスII− T細胞受容体相互作用およびgp120−CD4相互作用、T細胞活性化そしてHIVに仲介 された融合細胞形成の阻害について、拡張した。 1)CD4受容体−DRb2阻害: 本願明細書において援用されるカマロタ(Cammarota)ら(1992)Nature,356 :799-800が開発した簡便かつ優れた実験系の変法を用いて、マクロサイクリッ ク分子による阻害を試験した。カマロタによって記載された研究では、遺伝子組 み換えによって作られ、放射性ラベルされたsCD4が、DRb2の134-148残基(配列 番号11−NGQEEKAGVVSTLGI)からなるペプチド断片との結合に用いられた。こ のペプチド断片は、まず、活性化処理されたセファロース4B(Sepharose 4B)( 0.5mgのペプチド/mlのビーズ)に結合された。sCD4とペプチド結合ビーズの結 合力が、測定され、10mg/mlペプチドで競合阻害できることがわかった。 75μg の可溶性組み換えCD4が2mCiのボロトン・ハンター(Boloton Hunter)試薬(デ ュポン/ニューイングランド・ニュークレア)(Dupont/New Eng1andNuclear)に よって、100mMホウ化ナトリウム、pH8.5、容量150μl溶液中で、ラベルされた。 ラベル化CD4は、PBS/0.1%ゼラチンを含むG-50セファドックス・カラム (G-50 Sephadex column)で、非取り込み試薬と分離され、-70℃で保存された 。比活性は2 x 103 cpm/μgであった。 HPLC精製されたDRb2ペプチドが調製された。ペプチド(10mg/ウェル、0.1M炭 酸水素アンモニウム、pH 7.8に溶解)は、一晩静置によって、ファルコン・ミク ロタイター・プレート(Falcon microtiter platetes)に固定された。数回の洗 浄と、HBSS pH 7.6に溶解した2% BSAによるブロッキングを2時間おこなった後 、我々は、125IラベルされたsCD4を10 mg/ウェル加えた。室温で1時間静置した 後、ウェルは、5回洗浄され、放射活性が測定された。 表IIは、広い濃度範囲にわたる観察結果を表している。試験された化合物の幾つ かは、sCD4のヒトDRb2残基との結合を、非常に特異的に阻害している。 2)CD4のgp120に対する結合のイン・ビトロ阻害 どの化合物が、CD4のgp120との相互作用を阻止するかを調べるために,チェン (Chen)ら(1992)Proc.Nat'l Acad.Sci.U.S.A.,89:5872-5876に述べられ たアッセイと類似の方法が用いられた。このアッセイはフルオレセイン化された gp120を用い、CD4+との結合能力を測定する。結果は表IIIに示されている。 組み換えgp-120はスミス・クライン・ビーチャム(Smith Kline Beecham)の レイモンド・スイート(Raymond Sweet)から供与され、直接フルオレセイン化 された。フロー・マイクロフルオメトリー(flow microfluometry)が、FACScan を用いておこなわれた。チェン(Chen)ら(1992)Proc.Nat'l Acad.Sci.U.S. A.,89:5872-5876、ウェイナー(Weiner)ら(1990)Cancer Detection a nd P reservation,14:317-320、および、ウェイナー(Weiner)ら(1990)Vaccines ,339-345は、このアッセイは、CD4と関連した合成化合物もしくは、別個に、抗 CD4モノクローナル抗体を用いて、上述のようにおこなえることを示している。 3)各種CD4形(CD4 forms)はT細胞受容体を阻害できる 104細胞の単球は10mg/mlの破傷風毒素に4時間パルス処理(pulsed)された。 104細胞のCD4+T細胞は、200mlの培地に、化合物10mg/mlとともに加えられた。T 細胞は1mCi3HTdRでパルス処理(pulsed)され、48時間アッセイされた。 4)混合リンパ球反応の阻害 レスポンダー(responder)精製されたCD4+T細胞が、完全に同種免疫的 なヒト細胞に対する、混合リンパ球反応に用いられた。化合物は、10μg/mlの最 終濃度で加えられた。レスポンダー(responder)細胞の数は105であり、スティ ミュレーター(stimulator)細胞の数は4x105/ウェルであった。 5)rgp120のCD4+ジューカット(Jurkat)細胞間の結合に対する阻害 前述の研究で、チェン(Chen)ら(1992)Proc.Nat'l Acad.Sci.U.S.A.,8 9:5872-5876は、HIV gp120と、その接着と感染における役割を解析した。本発 明に基づいて、様々な形態のCD4マクロサイクリック分子(macrocyclics)が、 フルオレセイン化された組み換えgp120のCD4+ジューカット細胞への結合を阻害 するのに使用された。チェン(Chen)ら(1992)Proc.Nat'l Acad.Sci.U.S.A .,89:5872-5876は、フルオレセイン化された組み換えgp120(FL-gp120)が中 程度の親和性でCD4+ジューカット細胞、もしくは、Sup T1細胞に結合することを 示している。 6)HIV感染のイン・ビトロ(in vitro)阻害 チェン(Chen)ら(1992)Proc.Nat'l Acad.Sci.U.S.A.,89:5872-5876、ウ ェイナー(Weiner)ら(1990)Cancer Detection and Preservation,14:317-3 20、および、ウェイナー(Weiner)ら(1990)Vaccines,339-345は、幾つかのC DR2化合物が、HIVに引き起こされる融合細胞形成に対する効果に関して研究を記 載している。gp120のジューカート細胞への結合を阻害するどの化合物について も、その活性は融合細胞アッセイによって測定できる。 7)融合細胞アッセイ チェン(Chen)ら(1992)Proc.Nat'l Acad.Sci.U.S.A.,89:5872-5876、 vation,14:317-320は、Sup T1細胞が、HIV-1産生細胞株と共培養した際、迅速 かつ高い融合能力を示すため、標的細胞として使用できることを明らかにしてい る。未感染標的細胞が、HIV感染細胞(H9/IIIB)と共培養することにより、アッ セイされた。洗浄済みHIV感染細胞が、96ウェル・プレート(104細胞/ウェル、R PMI 1640 + 10% FCS中)に蒔かれ、37℃で30分間、保温された。次に、標的細 胞が、5 x 104細胞/ウェルの密度で加えられ、48時間培養後、融合細胞の数が定 量的に測定された。試験される各種CD4(CD4 forms)は、アッセイ開始後、0時 間、または、24時間後に加えられた。段階的な投与量が用いられ、ランダム直鎖 状ペプチドを含む対照区もそれぞれ独立に加えられた。CD4に対する抗体とSCD4 が、陽性対照として用いられた。 当該分野で用いられる、他の融合細胞アッセイは、次の通りである。10 0 TC ID50のHIV-1/IIIBまたはHIV-1/MN無細胞ウイルスが、あらかじめ、段階的な濃度 の化合物と共に1時間、37℃で保温された。保温に続き、前処理済みのウイルス が、5 x 104 MT-2標的細胞上に蒔かれ、1時間、37℃で保温された。MT-2細胞は 3度洗浄され、37℃、5% CO2で培養された。3日後、位相鎖顕微鏡下で、ウェル 毎の融合細胞数を、3度独立に数えることによって、細胞融合が定量的に測定さ れた。中和化指数(neutralization value)(化合物がHIV感染を阻害する能力0 Vn/Vo)が、特異的な抗血清処理後のウェルあたりの平均融合細胞数を、抗血清 なしのウェルあたりの平均融合細胞数で割ることにより、算出された。(モ ンテフィオリ(Montefiori)ら(1988)J.Clin.Microbiol.,26:231-235を参 照)。 実施例5 修飾されたCDRが細胞活性化とリンパ腫細胞の成長に及ぼす影響が、以下の方 法で示された。レオウイルス・タイプ3(Reo3R)に対する細胞受容体に特異的な モノクローナル抗体、MAb 87.92.6の軽鎖が、マウスR1.1胸腺腫細胞、ラットB10 4神経芽腫細胞、および、マウスL細胞で発現された。CDR2マクロサイクリック分 子型(macrocyclic forms)の抗受容体軽鎖による細胞表面上のReo3Rの凝集は、 DNA合成を阻害し、これは、5量体87.92.6(IgM)のようなリガンドや無傷のウ イルスにReo3Rが結合するときの直接の結果とよく似た反応である。コンカナバ リンA反応性腎細胞におけるDNA合成もまた、LC87相補性決定部位II(CDRII)由 来のペプチド、もしくは、Reo3Rリガンドに似せた、立体化学的に制限化された 、ペプチドによって阻害されることが見出されている。血清型1と3のレオウイ ルスは、異なった組織反応性を示し、異なった細胞受容体と相互作用する。タイ プ1レオウイルスは、脳の脳室に並ぶ上衣細胞に感染し、重大な神経傷害なしに 脳水腫を引き起こす。対照的に、タイプ3レオウイルスは、脳の脳室に並ぶ上衣 神経細胞に感染し、皮質神経細胞の激しい壊 死を伴う致死的な脳炎を引き起こす。ウイルスの反応性の決定要因は、レオウイ ルスの、細胞接着や血球凝集つかさどる、s-1タンパクにあると同定されている 。タイプ1レオウイルスではなく、タイプ3レオウイルスの結合が、いずれの反 応型も支持する細胞において、DNA合成を阻害する。タイプ3レオウイルス(Reo 3R)の受容体は、中枢および末梢神経系の髄鞘化とT細胞活性化に、重要な役割 を果たす。受容体の凝集は、Reo3Rを有する細胞におけるDNA合成阻害の一段階で ある。紫外線で不活性化されたウイルスや抗Reo3R多価抗体もまた細胞のDNA合成 を阻害するので、この作用は、ウイルスの複製とは無関係である。 Reo3Rに特 異的な抗受容体モノクローナル抗体(MAb 87.92.6)が作成された。この抗体で は、以前に、軽鎖のみがReo3R結合の決定要因を持つことが示されていた。MAb 8 7.92.6のk軽鎖の相補性決定部位(CDR II)は、タイプ3レオウイルスのs-1タン パクにおける317-332アミノ酸残基と、顕著なアミノ酸配列相同性を持つ。この ように、87.92.6の軽鎖はタイプ3レオウイルスのs-1細胞接着タンパク質の代理 として考えられる。 タイプ3レオウイルスのs-1細胞接着タンパク質によって認識される細胞表面 受容体は、当初、抗受容体MAb 87.92.6を用いて解析された。生化学的な解析の 結果、Reo3Rは、gp65とgp95の2つの部分からなる糖タンパク質であることが明 らかになった。65kDの部分は、pIが5.9(5.8-6.1)の糖タンパク質であり、哺乳 類のロドプシン−βアドレナリン受容体ファミリーのタンパク質である。幾つか の判断点によれば、カテコールアミンとレオウイルス結合部位は、異なるようで ある。カテコールアミンとレオウイルスのウイルス粒子は、免疫沈降させたReo3 Rあるいはアフィニティー精製されたb2ARとの結合に関して、競合しない。さら に、レオウイルスは、DDT1細胞で、イソプレテレノールに誘導されたcAMPの蓄積 を阻害しない。このように、もしb2ARがReo3Rとして振る舞えるならば、ウイル スは、カテコールアミン結合部位とは異なる、分子ドメインに結合していること になる。 Reo3Rリガンドの結合は、R1.1細胞、および、抗体あるいはコンカナバリンAで 活性化されたTリンパ球において、DNA合成を阻害する。CDR2マクロサイクリッ ク分子(macrocyclic)配列番号10(F,K,T,N,K,C,I,Y,S,G,S,T,C, Q,F)は、コンカナバリンA(ConA)マイトジェンで刺激された腎細胞を用いて アッセイされた。合成されたマクロサイクリック化合物は、コンカナバリンAで 刺激された腎細胞において、MAb 87.92.6処理と同様の反応を示した。LC87のCDR IIに似せた、コンホメーションの制限化されたペプチド、すなわち、LC87あるい はLC87.1類似ペプチドのCDRII由来のペプチドを用いた場合、同様ではあるがよ り低い効率が得られた。 マクロサイクリック分子も、R1.1胸腺腫細胞の増殖を阻害(50%)するが、コ ンカナバリンA刺激された腎細胞で観察される効率(75-80%)には及ばない。コ ンカナバリンA刺激された腎細胞における、CDR2マクロサイクリック分子による 増殖阻害は、次のように測定された。簡潔に述べると、BALB/c腎細胞は、96ウェ ル・マイクロタイター・プレートに、5 mg/ml ConAを含むRPMI1640完全培地中10 5細胞/ウェルの密度で蒔かれ、Reo3Rを発現させるため24時間培養された。マク ロサイクリック分子が10μg/mlの濃度になるように加えられた。配列番号10の化 合物(F,K,T,N,K,C,I,Y,S,G,S,T,C,Q,F)が10μg/mlの濃度にな るように加えられ、細胞は、1.0 mCi/ウェル[3H]チミジンで、18時間ラベルされ た。次に、プレートは、凍結するまで、-20℃で保存された。細胞は、室温で解 凍され、[3H]チミジンの取り込みが、低張液による溶菌とPHD細胞収集機(cell harvester)(ケンブリッジ・テクノロジー社)(Cambridge Technolory Inc.) を用いてグラス・ファイバー・フィルターで細胞内DNAを集めることによって、 測定された。4-5回の測定における平均値+/- 標準偏差が示されている。 L細胞細胞株とB104細胞は、96ウェル・マイクロタイター・プレートに、0.2 mlの培地中5x104細胞/ウェルの密度で蒔かれた。18時間後、抗マウスカッパ軽鎖 ポリクローナルウサギ抗血清(各イミュノグロブリンにつき10 mg)が加えられ 、1時間4℃で静置された。[3H]チミジンで(20 Ci/mmolニュー・イングランド ・ニュークリア(New England Nuclear))が、1mCi/ウェルとなるように加えら れ、6時間37℃で培養された。それぞれの細胞株について、3-5回の測定の結果 が、抗k抗血清処理後に取り込まれたcpmとマクロサイクリック化合物処理の後に 取り込まれたcpmのパーセンテージ(+/- 標準偏差)として、直鎖状化合物の場合 と比較して、表されている。 実施例5 可溶性環状巨大分子の効果が、炎症および過敏症の遅延のモデルで調べられた 。アゾベンゼンルソネイト(azobenzenearsonate)(ABA)・ハプテンをモデル 抗原として用いて、炎症が調べられた。ABAハプテンは、Tリンパ球の提示用の細 胞表面タンパク質に、直接、結合された。通常の抗原と同様、抗原特異的免疫反 応を引き起こすために、実験動物をあらかじめABA細胞で予備処理(priming)す る必要がある。ペリー(Perry)ら(1982)J.Exp.Med.,156:480-491、ペリ ー(Caroll)ら(1987)Immunology,62:471-475、および、ローウィー(Lowy )ら(1984)Nature,308:373-374は、Tリンパ球によるABAの認識は、MHCに制 限されていることを明らかにしている。ABAペプチドは、ヘルパーT細胞と同様に 細胞毒素による認識に関して、クラスIとクラスII分子によって提示可能である 。興味深いことに、抗クラス11および抗L3T4モノクローナル抗体の双方が、ABA ハプテンに対する予備処理(priming)を施した場合、ハプテン特異的非応答状 態を誘導する。 マクロサイクリック分子(macrocyclics)のイン・ビボでの炎症に対する効果 が次のように調べられた。表1に示されている環状化合物のイン・ビボでのアゾ ベンゼンルソネイト(azobenzenearsonate)に対する炎症反応への効果は、ABA 予備処理(priming)済みBa1b/cまたはVa3.1トランスジェニック・マウスにおい て、1)抗CD4モノクローナル抗体を静脈注射した群、2)抗クラスIIモノクロ ーナル抗体を静脈注射した群、3)可溶型の最も有効な制限化されたマクロサイ クリック分子を全身投与(systemic administration)した群、4)ABA結合単核 細胞を静脈注射した群、5)対照抗体および対照マクロサイクリック分子群、以 上の各処理群について調べられた。 第0日目と第1日目に投与された100 mgのGK1.5抗体は、ABAに対する予備処理 効果(priming)を、イン・ビボで完全に停止させる。マクロサイクリック分子 の活性と比較するために、100 mgの可溶性マクロサイクリック分子が投与された 。実験動物は、イン・ビボでABAのDTH反応とについてアッセイされ、それらの腎 細胞は、イン・ビトロで延命反応用に再刺激された。活性化T細胞のレオウイル ス受容体(CDR2R)との結合がモデル化されたマクロサイクリック化合物につい ての研究は、全投与量100 μgで、ABAに対する遅延型過敏症を低減する効果があ ることを示している。 赤血球を除いた腎細胞(erythrocyte depleted splenocytes)のABAへの結合 は、前述のペリー(Perry)ら(1982)J.Exp.Med.,156:480-491、ペリー(C aroll)ら(1987)Immunology,62:471-475、および、ローウィー(Lowy)ら( 1984)Nature,308:373-374にしたがって、おこなわれた。簡潔に述べると、40 mMのベンゼンルソネイト・ジアゾニウム(benzenearsonate diazonium)溶液が 、パラアルサニリン酸(para-arsanilic acid)(イーストマン・コダック、ロ チェスター、ニューヨーク)(Eastman Kodak Co.,Rochester,N.Y.)が調製さ れ、赤血球を除いた腎細胞(erythrocyte depleted splenocytes)と室温で5分 間反応させられた。結合反応は、リン酸緩衝化生理食塩水を加えることによって 、停止され、続いて、イーグル最小培地(MEM)で数回洗浄された。赤血球を除 いた腎細胞(erythrocyte depleted splenocytes)と2、4、6トリニトロベンゼ ンスルホン酸(TNBS)との結合反応は、標準的な方法によって、おこなわれた。 遅延型過敏症アッセイは次のようにおこなわれた。ハプテン結合細胞による予 備処理(priming)の5日後、右後ろ足のフットパッド(footpad)の大きさがノ ギス(フォウラー(Fowler))で計測された。マウスは、20 mlの活性化ABAジア ゾニウム塩溶液をフットパッド(footpad)に注射することによって、免疫試験 された。24時間後、フットパッド(footpad)の腫れの度合いが測定された。ペ リー(Perry)ら(1982)J.Exp.Med.,156:480-491、ペリー(Caroll)ら(1 987)Immunology,62:471-475、および、ローウィー(Lowy)ら(1984)Nature ,308:373-374は、免疫試験の対照区として、ABAジアゾニウムを注射された未 免疫処理マウスを使用している。 予備処理(priming)として、マウス(正常株またはABA認識T細胞受容体のト ランスジェニック株)は、0.1 mlのABAまたはTNP結合腎細胞(3x107)を、各々 の脇腹(大腿部外側)に23g注射針を用いて皮下注射された。5日後、耳の厚さと 、フットパッド(footpad)の厚さがノギスで計測された。マウスは、耳(また はフットパッド(footpad))について、1)0.7%塩化ピクリン酸(picryl chlor ide)(4:1アセトン:オリーブ油に溶解)を塗抹、2)30 mlのABAジアゾニウム塩 の安定化塩溶液を耳の外郭に注射、あるいは、3)イーグル最小培地(MEM)(30 ml)に溶かした5x106同種細胞を耳の外郭に注射することによって、免疫試験さ れた。1頭の実験動物を3つの反応について試験する場合は、注射の内1回はフ ットパッド(footpad)になされた。免疫試験の24時間後、耳とフットパッド(f ootpad)が測定され、実験動物は、頚椎切断により殺生された。表VIIIは実験結 果を表している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C07K 14/47 A61K 37/02 ABD

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 次式: R1-R2-R3-R4-R5-R6-R7 (ここで: R1は1-6アミノ酸残基であり、少なくともそのうち一つはチロ シンもしくはフェニルアラニンである; R2は連結アミノ酸残基である; R3は0-13アミノ酸残基である; R4は3-26アミノ酸残基からなる活性配列である; R5は0-13アミノ酸残基である; R6は連結アミノ酸残基である; R7は1-6アミノ酸残基であり、少なくともそのうち一つはチロ シンもしくはフェニルアラニンである;そして、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およ びR7を合わせた長さが30アミノ酸残基以下である) を有する制限化ペプチド。 2. R1が、1-3アミノ酸残基である請求項1記載の制限化ペプチド。 3. R7が、1-3アミノ酸残基である請求項1記載の制限化ペプチド。 4. R1が、1-3アミノ酸残基であり、かつR7が、1-3アミノ酸残基である請求 項1記載の制限化ペプチド。 5. R1が、チロシンもしくはフェニルアラニンである請求項1記載の制限化 ペプチド。 6. R7が、チロシンもしくはフェニルアラニンである請求項1記載の制限化 ペプチド。 7. R1が、チロシンもしくはフェニルアラニンであり、かつR7が、チロシン もしくはフェニルアラニンである請求項1記載の制限化ペプチド。 8. 1-15アミノ酸残基からなる、請求項1記載の制限化ペプチド。 9. R2が、システインであり、かつR6が、システインである請求項1記載の 制限化ペプチド。 10. R2が、システインであり、かつR6が、システインである請求項4記載の 制限化ペプチド。
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