JPH1047144A - 燃料噴射装置の異常診断装置 - Google Patents

燃料噴射装置の異常診断装置

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JPH1047144A
JPH1047144A JP20677696A JP20677696A JPH1047144A JP H1047144 A JPH1047144 A JP H1047144A JP 20677696 A JP20677696 A JP 20677696A JP 20677696 A JP20677696 A JP 20677696A JP H1047144 A JPH1047144 A JP H1047144A
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JP
Japan
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fuel
valve
pressure
solenoid valve
fuel injection
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Application number
JP20677696A
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English (en)
Inventor
Tatsumasa Sugiyama
辰優 杉山
Toshio Fujimura
俊夫 藤村
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁弁の挙動をより的確に把握することによ
って精確な異常診断を行うことが可能な燃料噴射装置の
異常診断装置を提供する。 【解決手段】 燃料噴射ポンプ20の電磁スピル弁67
は電子制御装置(ECU)に接続され、ECUからの駆
動信号により駆動される。電磁スピル弁67に対してO
FF信号が出力されると、電磁スピル弁67が開弁状態
となり燃料加圧室の加圧燃料が環状通路63、各スピル
孔94〜97、周溝93、連通空間87を通じて燃料ギ
ャラリ41に溢流する。これにより、燃料ギャラリ41
内における燃料圧力は増加する。噴射ポンプ20のハウ
ジング36に取り付けられた圧力センサ100は、この
電磁スピル弁67の開弁に伴う燃料ギャラリ41内の圧
力増加を検出する。ECUは圧力センサ100によって
検出された燃料ギャラリ41内の燃料圧力変化に基づい
て、開弁時における電磁スピル弁67の動作を把握す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は燃料噴射装置の異常
診断装置に係り、詳しくは、燃料噴射ポンプから内燃機
関に噴射供給される燃料の量を電磁弁の開閉動作によっ
て調節するようにした燃料噴射装置の異常を診断するた
めの装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子制御ディーゼルエンジンに用いられ
る燃料噴射ポンプにおいては、燃料室内の燃料が高圧室
内に吸入されるとともに、プランジャの往復動により高
圧に加圧される。そして、加圧された燃料は燃料ライン
を通じて燃料噴射ノズルに圧送され、同ノズルからエン
ジンの各気筒へ噴射供給される。燃料噴射ポンプには電
磁スピル弁が設けられている。電磁スピル弁が閉弁状態
にあって燃料噴射ノズルに燃料が圧送されている状態か
ら、同弁が開弁することにより高圧室内の燃料の一部が
燃料室に溢流(スピル)される。その結果、燃料噴射ノ
ズルに対する燃料の圧送が停止される。従って、燃料噴
射ノズルに圧送される燃料量、換言すればエンジンに供
給される燃料量は、電磁スピル弁の開閉弁時期を制御す
ることによって所定量に調節される。
【0003】ここで、エンジンに供給される燃料量を正
確に制御するためには、電磁スピル弁に出力された駆動
信号に基づいて同弁の開閉弁動作が正確に行われなけれ
ばならない。しかしながら、電磁スピル弁においては、
種々の作動不良、例えば、電磁スピル弁における応答性
が極端に低下したり、或いは、電磁スピル弁が閉弁状態
のまま固着してしまうといった作動不良の発生が考えら
れる。そして、上記のような作動不良が電磁スピル弁に
発生すると、エンジンに対して燃料噴射ポンプから所定
量の燃料が供給されなくなるという虞があった。
【0004】そこで、特開平6−264803号公報
は、電磁弁に発生する作動不良を的確に検出するととも
に、その作動不良に対応するための技術を開示してい
る。上記公報に記載された「燃料噴射装置の異常診断装
置」においては、燃料噴射ノズルに圧力センサが設けら
れている。そして、電磁スピル弁の開閉弁動作に応じて
変化する燃料圧力を圧力センサによって検出し、その燃
料圧力の変化から同弁の作動不良に起因した燃料噴射ポ
ンプの異常を診断するとともに、その異常に応じて適切
なフェイルセーフ処理が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記異常診断装置では
エンジンに供給される燃料の圧力変化を燃料噴射ノズル
に設けられた圧力センサにより求めるようにしている。
このため、電磁スピル弁の開閉弁動作に伴う圧力変化の
他、燃料噴射ノズルの開閉弁動作に伴う圧力変化(圧力
脈動)が同時に圧力センサによって検出されることにな
る。その結果、燃料圧力の変化から電磁スピル弁におけ
る実際の挙動を把握することが困難であった。例えば、
上記異常診断装置では、燃料圧力の波形変化に基づき実
際の電磁スピル弁の開弁時期を算出するようにしてい
る。しかしながら、その燃料圧力の波形変化には前記圧
力脈動の影響が存在し、更に、その影響の大きさが燃料
の温度や粘性、或いはエンジンの運転状態によって異な
ることから、算出された開弁時期の精度が低く、電磁ス
ピル弁の作動不良に起因した燃料噴射ポンプの異常を精
確に診断することが困難であるという問題があった。
【0006】本発明は上記事情を鑑みてなされたもので
あり、その目的は、電磁弁の挙動をより的確に把握する
ことによって精確な異常診断を行うことが可能な燃料噴
射装置の異常診断装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載した第1の発明は、燃料貯溜室の燃
料を燃料加圧室にて加圧し、当該加圧燃料を燃料噴射ノ
ズルから内燃機関に噴射供給するための燃料噴射ポンプ
と、燃料貯溜室と燃料加圧室とを連通する溢流通路に設
けられ、当該溢流通路を弁体にて開放閉鎖することによ
り燃料噴射ノズルから内燃機関に噴射供給される燃料量
を調節するための電磁弁と、燃料量を所定量に制御すべ
く電磁弁に対して駆動信号を出力するための駆動制御手
段とを備えた燃料噴射装置の異常診断装置であって、電
磁弁よりも燃料貯溜室側の位置における溢流通路内の燃
料圧力又は燃料貯溜室内における燃料圧力を検出するた
めの燃圧検出手段と、駆動制御手段から電磁弁に対して
開弁信号が出力された後における燃料圧力の変化に基づ
いて電磁弁の異常判定を行うための判定手段とを備えた
ことをその趣旨とするものである。
【0008】上記構成によれば、駆動制御手段から電磁
弁に対して開弁信号が出力され同弁が開弁状態となるこ
とにより、燃料加圧室にて加圧された燃料は溢流通路を
通じて燃料貯留室に溢流する。この際、燃料貯溜室側の
位置における溢流通路内の燃料圧力又は燃料貯溜室内に
おける燃料圧力は、加圧燃料が流れ込むことによって上
昇する。そして、このように上昇する燃料圧力が燃圧検
出手段により検出される。
【0009】ここで、燃料貯溜室側の位置における溢流
通路内の燃料圧力又は燃料貯溜室内における燃料圧力
は、燃料噴射ノズルの開閉弁動作に伴う圧力脈動の影響
を直接受けることがなく、その影響が少ない。前記圧力
脈動は、溢流通路又は燃料貯留室にまで伝播する際に十
分に減衰するからである。
【0010】従って、燃圧検出手段によって検出された
燃料圧力の変化は、電磁弁の開弁動作に則したものとな
る。判定手段は、この燃料圧力の変化に基づいて電磁弁
の異常判定を行う。
【0011】請求項2に記載した第2の発明は、第1の
発明において、判定手段は、電磁弁に対して開弁信号が
出力された後に燃料圧力が所定圧力値まで上昇しない場
合に電磁弁を異常と判定するものであることをその趣旨
とするものである。また、請求項3に記載した第3の発
明は、第1の発明において、判定手段は、電磁弁に対し
て開弁信号が出力されてから燃料圧力が所定圧力値にま
で上昇するまでの経過時間が所定時間より長い場合に電
磁弁を異常と判定するものであることをその趣旨とする
ものである。
【0012】上記第2の発明によれば、第1の発明にお
ける作用に加えて、電磁弁の開弁により燃料加圧室の加
圧燃料は溢流通路を通じて燃料貯留室に溢流し、溢流通
路及び燃料貯溜室内における燃料圧力は上昇する。ここ
で、燃料圧力が所定圧力値まで上昇しない場合には、電
磁弁が断線、弁体の固着等の故障が生じ正常に動作して
いないことになるため、判定手段はこの状態を電磁弁の
故障に起因した燃料噴射装置の異常として判定する。
【0013】また、上記第3の発明によれば、電磁弁に
対して開弁信号が出力されてから燃料圧力が所定圧力値
にまで上昇するまでの経過時間が所定時間より長い場合
には、電磁弁の応答性が低下していることになるため、
判定手段はこの状態を電磁弁の故障に起因した燃料噴射
装置の異常として判定する。
【0014】請求項4に記載した第4の発明は、燃料貯
溜室の燃料を燃料加圧室にて加圧し、当該加圧燃料を燃
料噴射ノズルから内燃機関に噴射供給するための燃料噴
射ポンプと、燃料貯溜室と燃料加圧室とを連通する溢流
通路に設けられ、当該溢流通路を弁体にて開放閉鎖する
ことにより燃料噴射ノズルから内燃機関に噴射供給され
る燃料量を調節するための電磁弁と、燃料量を所定量に
制御すべく電磁弁に対して駆動信号を出力するための駆
動制御手段とを備えた燃料噴射装置の異常診断装置であ
って、弁体に固定されたアーマチュアを収容するアーマ
チュア室における内圧を検出するための内圧検出手段
と、駆動制御手段から電磁弁に対して出力された駆動信
号の変化と内圧検出手段により検出された内圧の変化と
を比較することにより電磁弁の異常判定を行う判定手段
とを備えたことをその趣旨とするものである。
【0015】上記構成によれば、電磁弁のアーマチュア
室には燃料加圧室から燃料貯留室に溢流する燃料の一部
が流入しており、そのアーマチュア室の内圧、即ち燃料
圧力は、電磁弁の開閉動作時におけるアーマチュアの動
きに応じて変化する。燃圧検出手段はそのアーマチュア
室内の内圧を検出する。ここで、アーマチュア室の内圧
変化は、燃料噴射ノズルの開閉弁動作に伴う圧力脈動の
影響を受けないため、アーマチュアの動作、換言すれば
電磁弁の開閉弁動作に則したものとなる。判定手段は、
この内圧変化と駆動制御手段から電磁弁に対して出力さ
れた開閉弁信号の変化とを比較することにより電磁弁の
異常判定を行う。
【0016】請求項5に記載した第5の発明は、第4の
発明において、判定手段は、電磁弁に対して開弁信号又
は閉弁信号が出力された後に内圧が所定圧力値まで変化
しない場合に電磁弁を異常と判定するものであることを
その趣旨とするものである。また、請求項6に記載した
第6の発明は、第4の発明において、判定手段は、電磁
弁に対して開弁信号又は閉弁信号が出力されてから内圧
が所定圧力値にまで変化するまでの経過時間が所定時間
より長い場合に電磁弁を異常と判定するものであること
をその趣旨とするものである。
【0017】上記第5の発明によれば、駆動制御手段か
ら電磁弁に対して開弁信号又は閉弁信号が出力されるこ
とにより、アーマチュアが開弁状態或いは閉弁状態に対
応した位置に移動し、そのアーマチュアの移動に応じて
アーマチュア室の内圧が変化する。従って、電磁弁に対
して開閉弁信号が出力された後に内圧検出手段により検
出された内圧が所定圧力値まで変化しない場合には、電
磁弁が断線、弁体の固着等の故障が生じ正常に動作して
いないことになるため、判定手段はこの状態を電磁弁の
故障に起因した燃料噴射装置の異常として判定する。
【0018】また、上記第6の発明によれば、電磁弁に
対して開弁信号又は閉弁信号が出力されてから前記内圧
が所定圧力値にまで変化するまでの経過時間が所定時間
より長い場合には、電磁弁の応答性が低下してしている
ことになるため、判定手段はこの状態を電磁弁の故障に
起因した燃料噴射装置の異常として判定する。
【0019】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]以下、本発明に係る燃料噴射装置の
異常診断装置を車輌に搭載された電子制御式ディーゼル
エンジンに具体化した第1の実施形態について図面を参
照して詳細に説明する。
【0020】図1はこの実施形態の電子制御式ディーゼ
ルエンジン11のシステムを示す概略構成図である。内
燃機関としてのエンジン11は燃焼室12を含む複数の
気筒を有している。エンジン11の吸入行程において、
各気筒毎に設けられた吸気ポート13が吸気バルブ14
により開かれることにより、エアクリーナ15を通じて
吸気通路16に吸入される外気が各燃焼室12に流入す
る。各気筒毎に設けられた燃料噴射ノズル17は、燃料
ライン18を通じて分配型燃料噴射ポンプ(以下、「噴
射ポンプ」という)20に接続されている。
【0021】燃料噴射ノズル17は、ニードル弁(図示
略)と同ニードル弁の開弁圧を調整するスプリング(図
示略)とを内蔵しており、燃料噴射ポンプ20から燃料
ライン18を通じて所定圧以上の燃料が圧送されると開
弁状態となり燃料を各燃焼室12へ噴射供給する。
【0022】エンジン11の圧縮行程において、各燃焼
室12における燃料及び外気がピストン21の上動によ
り加圧されて爆発・燃焼することにより、ピストン21
が下動してクランクシャフト22が回転し、エンジン1
1に駆動力が得られる。エンジン11の排気行程におい
て、各気筒毎に設けられた排気ポート23が排気バルブ
24により開かれることにより、各燃焼室12で生じた
排気ガスが排気通路25へ導出され、更に外部へ排出さ
れる。
【0023】吸気通路16に設けられたスロットルバル
ブ27はアクセルペダル28の操作に連動して作動する
ことにより、吸気通路16を選択的に開閉する。このス
ロットルバルブ27の作動により、吸気通路16に吸入
される外気の量、即ち吸気量が調節される。
【0024】スロットルバルブ27の近傍に設けられた
スロットルセンサ29は、同バルブ27の開度をアクセ
ルペダル28の操作量であるアクセル開度ACCPとし
て検出し、その開度に応じた信号を出力する。吸気通路
16に設けられた吸気圧センサ30は、吸気通路16に
おける吸気圧力PMを検出し、その圧力に応じた信号を
出力する。エンジン11に設けられた水温センサ31
は、エンジン11の冷却水温THWを検出し、その温度
に応じた信号を出力する。また、車輌の運転席(図示し
ない)には、警告ランプ34が設けられている。この警
告ランプ34は、噴射ポンプ20の異常を運転者に知ら
せるため異常報知手段に相当する。また、前述したスロ
ットルセンサ29、吸気圧センサ30、水温センサ3
1、及び後述する回転速度センサ32により、エンジン
11の運転状態を検出するための運転状態検出手段が構
成されている。
【0025】噴射ポンプ20は、燃料タンク(図示しな
い)内の燃料を高圧に加圧し、所要の量と時期をもって
各燃料噴射ノズル17へ向けて吐出する。図2に示すよ
うに、噴射ポンプ20はドライブシャフト35を有して
おり、同シャフト35は噴射ポンプ20のハウジング3
6に固定されたベアリング37によって回転可能に支持
されている。ドライブシャフト35はエンジン11のク
ランクシャフト22に連結されている。従って、ドライ
ブシャフト35はクランクシャフト22の回転に同期し
て回転し、噴射ポンプ20はエンジン11の運転に連動
して駆動される。
【0026】ハウジング36内に設けられたベーン式ポ
ンプである燃料フィードポンプ38は、ドライブシャフ
ト35の回転によって駆動される。ハウジング36には
燃料タンクに接続された燃料インレット(図示略)が設
けられており、同インレットからフィードポンプ38の
吸入口39に対して燃料が供給される。更に、燃料は、
フィードポンプ38により所定圧力をもって同ポンプ3
8の吐出口40から燃料通路(図示略)を通じて燃料貯
溜室としての燃料ギャラリ41(後述する)内に供給さ
れる。
【0027】ドライブシャフト35の外周には円環状を
なすパルサ42が一体回転可能に固定されている。ハウ
ジング36にはパルサ42に対して対向する位置にピッ
クアップコイル43が配設されており、このピックアッ
プコイル43及びパルサ42によって回転速度センサ3
2が構成されている。パルサ42は、その外周面に等角
度間隔に設けられた複数の突起42aを有している。ピ
ックアップコイル43は、ドライブシャフト35の回転
に伴う各突起42aの通過をパルス信号として出力す
る。このパルス信号に含まれる時間当たりのパルス数を
計測することにより、ドライブシャフト35の回転速
度、即ち、エンジン11の回転速度NEが検出される。
【0028】ハウジング36の一端側(図2の右端側)
には、エンジン11の気筒数と等しいデリバリバルブ4
4(図2では一つのみ示す)が設けられたヘッド45が
固定されている。ヘッド45にはシリンダ46が固定さ
れており、同シリンダ46には分配シャフト47が回転
可能に支持されている。分配シャフト47は複数のノッ
クピン48によってドライブシャフト35に連結されて
おり、同シャフト35と一体に回転する。ハウジング3
6、ヘッド45、及びシリンダ46により区画された環
状空間により燃料ギャラリ41が形成されている。ヘッ
ド45にはキャップ49が挿通され固定されており、同
キャップ49は分配シャフト47の端部に当接されてい
る。
【0029】ヘッド45及びキャップ49等には、燃料
ギャラリ41と燃料タンクとを連通するリリーフ通路5
0が設けられるとともに、同通路50の途中にはチェッ
クバルブ51が設けられている。燃料ギャラリ41の燃
料圧力が所定圧以上に増加した場合、チェックバルブ5
1が開弁し同ギャラリ41内の燃料はリリーフ通路50
を通じて燃料タンクに戻される。
【0030】分配シャフト47の一端側には、同シャフ
ト47の径方向に延びる支持孔52が複数形成されてい
る。各支持孔52にはプランジャ53の内端部分が挿通
されるとともに摺動可能に支持されている。各プランジ
ャ53の内端面と支持孔52の内壁によって燃料加圧室
55が区画形成されている。
【0031】プランジャ53の外端側には半円筒状をな
す保持部56が形成されており、同保持部56内にはロ
ーラ57が回転自在に保持されている。ローラ57の外
周側に配設されたインナカムリング58は、ハウジング
36により回転可能に支持されている。分配シャフト4
7に対するインナカムリング58の回転角は、ハウジン
グ36に設けられたタイマ装置60によって調節される
ようになっている。タイマ装置60は電磁式のタイマ制
御弁(TCV)61を備えており、同TCV61を通電
制御することにより、インナカムリング58の回転角が
変更され、燃料加圧室55における燃料吸入時期及び燃
料加圧時期が制御される。
【0032】インナカムリング58の内周面、即ちカム
面には、エンジン11の気筒数に応じた複数のカム山が
形成されている。分配シャフト47の回転に伴いローラ
57がカム面に沿って移動することにより、プランジャ
53は分配シャフト47の径方向に往復動する。そし
て、このプランジャ53の往復動に応じて燃料加圧室5
5の容積が増減することにより、燃料加圧室55へ燃料
が吸入され、また、同室55において燃料が加圧され
る。
【0033】例えば、分配シャフト47の回転に伴って
ローラ57がカム山の頂部からカム山間へと移動するこ
とにより、各プランジャ53は分配シャフト47の径方
向外側に移動する。その結果、燃料加圧室55の容積が
増加して、同室55に燃料が吸入される。これに対し
て、分配シャフト47の回転に伴ってローラ57がカム
山間からカム山の頂部へと移動することにより、各プラ
ンジャ53は分配シャフト47の径方向内側に移動す
る。その結果、燃料加圧室55の容積が減少して、同室
55に吸入された燃料が加圧される。
【0034】シリンダ46の内周壁には周方向全体に延
びる周溝62が形成され、同溝62の内周壁と分配シャ
フト47の外周壁によって囲まれた空間により環状通路
63が形成されている。分配シャフト47内には、一端
側が燃料加圧室55に開口する燃料通路64が形成され
ており、この燃料通路64はその途中において環状通路
63に開口するとともに、その他端側が分配シャフト4
7の外周壁にて開口している。また、シリンダ46及び
ヘッド45にはエンジン11の気筒と同数の一対の連通
路66(図2では、一組の連通路66のみを示す)が形
成されており、この連通路66は前記デリバリバルブ4
4に通じている。分配シャフト47の回転に伴い燃料通
路64の開口が各連通路66の開口に選択的に一致する
ことによって、燃料加圧室55とデリバリバルブ44と
が両通路64,66により連通された状態となる。
【0035】図3は図2の3−3線に沿った断面を示し
ている。図3に示すように、ハウジング36には、噴射
ポンプ20から各回毎に吐出される燃料の量、即ち各燃
料噴射ノズル17からの燃料の噴射量を調整するための
電磁スピル弁67が設けられている。この電磁スピル弁
67は常開弁であって、弁体としてのニードル弁68、
同ニードル弁68に固定されたアーマチュア69、ニー
ドル弁68を摺動可能に支持するニードルボディ70等
を備えている。本実施形態における電磁スピル弁67
は、本発明の電磁弁に相当する。
【0036】ハウジング36にはネジ孔71が形成され
ており、このネジ孔71に電磁スピル弁67のケース7
2が螺着されている。ケース72内には内部に電磁コイ
ル73を有するステータ74が配設されている。電磁コ
イル73は通電されることによりステータ74を励磁す
るものであり、入力端子(図示略)を介して駆動信号が
入力されるようになっている。
【0037】ステータ74内には上下方向に延びる中心
孔75が形成されている。この中心孔75内に設けられ
たブッシュ76によって、ニードル弁68のロッド77
が摺動可能に支持されている。また、ステータ74の上
部にはカバー78が載置されており、同カバー78とス
テータ74とによってアーマチュア室80が形成されて
いる。カバー78の上方には円環状をなす支持部81
と、同支持部81の内部に配置された一対のリング8
2,83がそれぞれ配設され、これら各部材81〜83
によりカバー78はステータ74に押圧されている。
【0038】アーマチュア室80内にはロッド77に固
定された円板状をなすアーマチュア69が収容されてい
る。カバー78の内部には支持孔84aを有するストッ
パ84が配設されている。このストッパ84によりロッ
ド77の上端部分が摺動可能に支持されるとともに、ア
ーマチュア69が上動する際の移動量が調節されてい
る。また、アーマチュア室80の内部は、アーマチュア
69によって2つの圧力室に区画されており、アーマチ
ュア69よりも上方に位置する圧力室は第1圧力室8
5、下方に位置する圧力室は第2圧力室86となってい
る。
【0039】アーマチュア室80内は、後述する連通空
間87等からニードル弁68及びニードルボディ70間
等の微少な隙間を通じてリークした燃料によって満たさ
れている。カバー78、ケース72、及びハウジング3
6にはアーマチュア室80に通じるリリーフ通路(図示
略)が形成されており、同通路は絞り(図示略)を介し
て燃料タンクに接続されている。アーマチュア69がア
ーマチュア室80内において移動する際には、燃料が同
室80からリリーフ通路を通じて燃料タンクに戻され
る。従って、アーマチュア69の動きがアーマチュア室
80内の燃料によって大きく妨げられることはない。
【0040】ニードル弁68においてロッド77よりも
下部側の部分は、ケース72に形成された挿通孔91内
に挿通されている。略円筒状をなすニードルボディ70
は、シリンダ46に形成された支持孔92に挿通されて
いる。ニードルボディ70の内周壁には周溝93が形成
されている。この周溝93はニードルボディ70及びシ
リンダ46にそれぞれ形成されたスピル孔94,95に
より前記環状通路63に連通されている。
【0041】また、ニードルボディ70及びシリンダ4
6には別のスピル孔96,97が形成されている。ハウ
ジング36には、これらスピル孔96,97と対向する
位置において圧力孔98が形成されるとともに、同孔9
8に対応する位置に圧電素子を内蔵する圧力センサ10
0が取り付けられている。圧力センサ100は、圧力孔
98を通じて作用する燃料ギャラリ41内の燃料圧力
(燃圧)Pgを検出し、その燃圧Pgに応じた検出信号
を出力するためのものである。この圧力センサ100
は、本発明における燃圧検出手段に相当する。また、本
実施形態における環状通路63、燃料通路64、各スピ
ル孔94〜97、周溝93、及び連通空間87(後述す
る)は本発明の溢流通路を構成している。
【0042】ニードル弁68の下端部には縮径部68a
が形成されており、同縮径部68aの外周壁とニードル
ボディ70の内周壁とにより連通空間87が区画形成さ
れている。ニードル弁68が上下方向に移動することに
より、周溝93とニードルボディ70のスピル孔96が
連通空間87により連通される。
【0043】ニードルボディ70内の下部には圧縮スプ
リング101が配設されており、同スプリング101に
よってニードル弁68は上方に向けて付勢されている。
電磁スピル弁67(電磁コイル73)に入力される駆動
信号がOFF信号である場合、即ち、電磁コイル73が
通電されずステータ74が励磁されていない場合、ニー
ドル弁68はストッパ84がアーマチュア69に当接し
た状態となるまで圧縮スプリング101の付勢力により
上方に移動する。これにより、ニードルボディ70の周
溝93及びスピル孔96が連通され、電磁スピル弁67
が開弁状態となる。その結果、燃料加圧室55と燃料ギ
ャラリ41とが燃料通路64、環状通路63、各スピル
孔94〜97、及び連通空間87によって連通された状
態となる。
【0044】これに対して、電磁スピル弁67に入力さ
れる駆動信号がON信号である場合、即ち、電磁コイル
73が通電され、ステータ74が励磁されている場合、
アーマチュア69がステータ74に吸引されることによ
りニードル弁68は圧縮スプリング101の付勢力に抗
して下方に移動する。これにより、図3に示すように、
アーマチュア69はステータ74と接触した状態とな
り、周溝93と連通空間87とがニードル弁68によっ
て遮断され電磁スピル弁67が閉弁状態となる。その結
果、燃料加圧室55と燃料ギャラリ41とが遮断された
状態となる。
【0045】車輌に搭載された電子制御装置(ECU)
104は、前述した各種センサ29〜32から出力され
る信号を入力する。ECU104はこれらの入力信号に
基づき、噴射ポンプ20の電磁スピル弁67及びTCV
61、並びに警告ランプ34をそれぞれ制御する。電磁
スピル弁67を制御するECU104は、本発明の駆動
制御手段に相当する。
【0046】ECU104は、中央処理装置(CPU)
105、読み出し専用メモリ(ROM)106、ランダ
ムアクセスメモリ(RAM)107、バックアップRA
M108、外部入力回路109、及び外部出力回路11
0を備えている。ECU104はこれら各部105〜1
08と、外部入力回路109と、外部出力回路110等
とをバス111により接続してなる論理演算回路を構成
する。ここで、CPU105は演算制御の機能と、カウ
ンタの機能を兼ね備えている。ROM106は所定の制
御プログラム等を予め記憶し、RAM107はCPU1
05の演算結果等を一時記憶している。バックアップR
AM107は予め記憶したデータを保存している。外部
入力回路109はバッファ、波形整形回路及びA/D変
換器等(いずれも図示略)により構成され、外部出力回
路110は駆動回路(図示略)等により構成されてい
る。各種センサ29〜32等は外部入力回路109に接
続され、電磁スピル弁67、TCV61、及び警告ラン
プ34は外部出力回路110に接続されている。
【0047】ECU104は外部入力回路109を介し
て各種センサ29〜32等からの信号を入力値として読
み込む。ECU104はそれら入力値に基づき、燃料噴
射量制御、燃料噴射時期制御、及び噴射ポンプ20の異
常診断に係る制御等を実行するため各部材67,61,
34等を制御する。
【0048】ここで、燃料の噴射量制御とは、エンジン
11の運転状態に応じて噴射ポンプ20から吐出される
燃料量を制御するために電磁スピル弁67を制御するこ
とである。この噴射量制御において、ECU104は各
種センサ29〜32等により検出される前記各種パラメ
ータACCP,PM,NE,THWに基づき、電磁スピ
ル弁67を制御するために使用される最終噴射量QFI
Nを算出する。
【0049】燃料噴射時期制御とは、エンジン11の運
転状態に応じて噴射ポンプ20から吐出される燃料の吐
出開始時期を制御するためにTCV61(タイマ装置6
0)を制御することである。この噴射時期制御におい
て、CPU105は各種センサ29〜32等により検出
される各種パラメータACCP,NE等に基づき、TC
V61を制御するために使用される制御値を算出する。
【0050】噴射ポンプ20の異常診断に係る制御と
は、電磁スピル弁67に出力される駆動信号及び圧力セ
ンサ100によって検出される燃料ギャラリ41の燃圧
Pgの変化に基づいて、噴射ポンプ20の異常を診断す
ることである。
【0051】次に、噴射ポンプ20による燃料噴射動作
について説明する。エンジン11が始動されると、ドラ
イブシャフト35の回転に伴って分配シャフト47が回
転する。そして、分配シャフト47の回転に伴って、プ
ランジャ53が同シャフト47の径方向に往復動するこ
とにより、燃料加圧室55の容積が増減する。ここで、
燃料加圧室55の容積が増加する際に、電磁スピル弁6
7が開弁位置(OFF信号が同弁67に出力されてい
る)にあると、燃料ギャラリ41内の燃料は、各スピル
孔94〜97、連通空間87、周溝93を通じて環状通
路63に導入されるとともに、燃料通路64を通じて燃
料加圧室55内に吸入される。
【0052】燃料加圧室55に吸入された燃料は、その
後、電磁スピル弁67に対してON信号が出力されて同
弁67が閉弁状態となった後に、同室55の容積が減少
することにより加圧される。そして、燃圧が所定圧力以
上にまで加圧されることにより、デリバリバルブ44及
び燃料噴射ノズル17が開弁状態となる。その結果、燃
料加圧室55内の燃料は、燃料通路64、連通路66、
デリバリバルブ44、及び燃料ライン18を通じて燃料
噴射ノズル17に圧送され、同ノズル17から対応する
気筒内に噴射供給される。
【0053】このように、燃料加圧室55から燃料噴射
ノズル17に燃料が圧送されている状態から、所定のタ
イミングをもって電磁スピル弁67に対しOFF信号が
出力されることにより、同弁67が再び開弁状態となっ
て燃料加圧室55と燃料ギャラリ41とが連通される。
従って、燃料加圧室55にて加圧されている燃料の一部
は、同室55から燃料通路64、環状通路63、各スピ
ル孔94〜97等を通じて燃料ギャラリ41に溢流され
る。この際、燃料ギャラリ41内には加圧された高圧燃
料が流入するため、その燃圧Pgが一時的に増加する。
このように、燃料加圧室55内の燃料が燃料ギャラリ4
1へと溢流されることにより、同室55における燃圧は
急激に低下する。その結果、デリバリバルブ44が閉弁
状態となるため、燃料噴射ノズル17に対する燃料の圧
送は停止され、気筒に対する燃料供給が終了する。
【0054】以上のように、燃料の吸入、加圧、及び溢
流が分配シャフト47の回転と電磁スピル弁67の開閉
動作に伴って順次行われることにより、各気筒内には燃
料噴射ノズル17から所定量の燃料が供給される。この
際、ECU104は電磁スピル弁67及びTCV61を
制御することによって、燃料噴射量及び燃料噴射時期を
制御する。
【0055】次に、ECU104により実行される各種
制御のうち、噴射ポンプ20の異常診断に係る制御の処
理内容について説明する。ROM106には図4に示す
フローチャートに関する制御プログラムが予め記憶され
ている。ECU104は同図に示す「異常診断ルーチ
ン」における処理を、CPU105のタイマ機能により
計時された各時刻t(0) 、t(1) 、t(2) 、t(3) 、・
・・、t(i)(t(i) −t(i-1) =△t)に実行する。
【0056】ステップ101において、ECU104は
外部出力回路110から電磁スピル弁67に対して出力
された駆動信号がOFF信号であるか否かを判定する。
この判定条件が満たされていない場合、ECU104は
本ルーチンを一旦終了した後、所定の所定時間△t後に
再び本ルーチンにおける処理を開始する。これに対して
判定条件が満たされている場合、即ち、駆動信号がON
信号からOFF信号に切り替わった場合、ECU104
はステップ102に移行する。ステップ101の処理を
行うECU104は、電磁スピル弁67に対して出力さ
れる駆動信号を判別するための判別手段に相当する。
【0057】ステップ102において、ECU104は
現在の時刻t(i)を開始時刻tsとしてRAM107に
記憶する。この開始時刻は、駆動信号がON信号からO
FF信号に切り替わった時刻を示すものである。
【0058】ステップ103において、ECU104は
圧力センサ100の検出信号から燃料ギャラリ41内の
燃圧Pgを読み込む。ステップ104において、ECU
104は読み込まれた燃圧Pgが予めROM106に記
憶されている判定燃圧値Pg1以上であるか否かを判定
する。この判定燃圧値Pg1は、電磁スピル弁67が閉
弁状態から開弁状態に移行した場合に、所定の開度まで
開弁したか否かを判定する際に用いられるものである。
ステップ104における処理を行うECU104は、電
磁スピル弁67に対して開弁信号(OFF信号)された
後において同弁67が所定開度まで開弁したか否かを判
定するための開度判定手段に相当する。
【0059】ステップ104における判定条件が満たさ
れている場合、ECU104はステップ105に移行し
て、現在の時刻t(i)と開始時刻tsとの時間差(t(i)
−ts)を演算し、この時間差を時定数T1としてR
AM107に記憶する。この時定数T1は電磁スピル弁
67の応答性を評価するためのものである。
【0060】ステップ106において、ECU104は
エンジン回転数NE及び最終燃料噴射量QFINをRA
M107から読み込むとともに、これらの各パラメータ
NE,QFINに基づいて判定時間Taを算出する。こ
の判定時間Taは電磁スピル弁67の応答性を評価する
ためのものである。
【0061】ここで、最終燃料噴射量QFINは、燃料
噴射量制御を行うための処理ルーチンで別途算出され、
RAM107に記憶されているものであり、例えば、以
下のようにして算出されている。まず、ECU104は
各センサ29〜32からアクセル開度ACCP、吸気圧
PM、冷却水温THW、及びエンジン回転数NEをそれ
ぞれ読み込む。ROM106には、各パラメータNE,
ACCPと基本噴射量QBASEとの関係が関数マップ
として記憶されている。ECU104はこの関数マップ
を参照することにより、基本噴射量QBASEを算出す
る。次に、ECU104は基本噴射量BASEを冷却水
温THW及び吸気圧PMの値に基づいて補正することに
より最終噴射量QFINを算出する。ECU104は、
最終噴射量QFINの値をRAM107に記憶するとと
もに、この最終噴射量QFINの値に基づいて電磁スピ
ル弁67の開閉時期を制御する。
【0062】ROM106には、各パラメータNE,Q
FINと判定時間Taとの関係が関数マップとして記憶
されている。ステップ106において、ECU104は
この関数マップを参照することにより判定時間Taを算
出する。このように、判定時間Taを各パラメータN
E,QFINに応じて算出するようにしたのは、連通空
間87等を通過する燃料からニードル弁68に作用する
圧力(燃圧)がエンジン11の運転状態によって異な
り、これによりニードル弁68の移動速度、即ち電磁ス
ピル弁67の応答性が変化するからである。
【0063】ステップ107において、ECU104は
前記時定数T1が判定時間Taより長いか否かを判定す
る。この判定条件が満たされていない場合、ECU10
4は本ルーチンを終了する。即ち、この場合には、電磁
スピル弁67に対してOFF信号が出力された後、判定
時間Taが経過する前に燃圧Pgが所定燃圧値Pg1以
上に増加したことになる。従って、ECU104は電磁
スピル弁67が応答遅れ時間が所定時間以内にあり同弁
67が正常に動作しているため、噴射ポンプ20は正常
であると診断する。前述したステップ104及びステッ
プ107の各処理を実行するECU104は本発明の判
定手段に相当する。
【0064】これに対して、ステップ107における判
定条件が満たされている場合には、ECU104はステ
ップ108,109の各処理を順に実行する。この場合
には、前記時定数T1が判定時間Taより大きく、従っ
て、電磁スピル弁67の作動応答性が低下していると考
えられる。従って、ステップ108において、ECU1
04は警告ランプ34を点灯させることにより、噴射ポ
ンプ20に異常が発生した旨を運転者に対して知らせ
る。更に、ステップ109において、ECU104は、
第2の異常判定フラグFa2を「1」に設定し、これを
RAM107に記憶した後、本ルーチンを一旦終了す
る。
【0065】この第2の異常判定フラグFa2が「1」
に設定されている場合には、電磁スピル弁67の作動応
答性が低下していることを示す。従って、この場合、E
CU104は、電磁スピル弁67の応答遅れを見越した
燃料噴射制御、例えば、燃料噴射制御の際に前記時定数
T1の大きさを考慮することにより同弁67に対してよ
り早い時期に開弁信号を出力する等の制御を実行する。
【0066】これに対して、ステップ104における判
定条件が満たされていない場合、ECU104はステッ
プ110に移行する。ステップ110において、ECU
104は現在の時刻t(i)と開始時刻tsとの時間差
(t(i) −ts)を演算し、この時間差がRAM107
に予め記憶されている終了時間Tae未満であるか否か
を判定する。この終了時間Taeは、電磁スピル弁67
にOFF信号が出力された時から燃圧Pgの増加が終了
すると想定される時までの最大の時間であり、同弁67
の応答遅れを考慮して決定されている。
【0067】ステップ110における判定条件が満たさ
れている場合、即ち、駆動信号がOFF信号に切り替わ
ってからの経過時間(t(i) −ts)が終了時間Tae
未満である場合には、ECU104は本ルーチンを一旦
終了し、所定時間△t後に本ルーチンを再開する。
【0068】これに対して、ステップ110における判
定条件が満たされていない場合、ECU104はステッ
プ111、112の各処理を順に実行する。ステップ1
10の判定条件が満たされていない場合には、電磁スピ
ル弁67に対してOFF信号が出力されてから終了時間
Taeが経過したにも拘わらず、燃圧Pgが判定燃圧値
Pg1以上に増加しなかったことになる。従って、固着
等の原因によりニードル弁68の動きが阻害され、電磁
スピル弁67が所定の開度まで開弁しない状態、或い
は、断線等の原因によって電磁スピル弁67が常時開弁
位置にあり、燃料噴射ポンプ20における吸入・加圧が
正常に行われていない状態であると考えられる。また
は、圧力センサ100に異常が発生し、燃圧Pgが検出
不能となっていると考えられる。
【0069】従って、ステップ111において、ECU
104は警告ランプ34を点灯させることにより、噴射
ポンプ20に異常が発生した旨を運転者に対して知らせ
る。更に、ECU104はステップ112に移行して、
第1の異常判定フラグFa1を「1」に設定し、これを
RAM107に記憶した後、本ルーチンを一旦終了す
る。この第1の異常判定フラグFa1が「1」に設定さ
れている場合には、電磁スピル弁67において所定の動
作が確保されず、適切な燃料噴射制御ができないことを
示している。従って、この場合、ECU104は、例え
ば、燃料噴射量制御の際に燃料カット或いは燃料減量と
いったフェイルセーフ処理を実行する。
【0070】図5は、電磁スピル弁67に出力される駆
動信号及び燃圧Pgの時間的変化を示している。同図に
示すように、電磁スピル弁67への駆動信号及び燃圧P
gが変化した場合における異常診断の例について説明す
る。
【0071】電磁スピル弁67に対しON信号が出力さ
れている状態(時刻t0〜t1)から、時刻t1におい
て同弁67に対しOFF信号が出力されることにより、
電磁スピル弁67が閉弁状態から開弁状態に移行し始め
る。その結果、燃料加圧室55の燃料が燃料ギャラリ4
1に溢流されるため、同ギャラリ41内の燃圧Pgは初
期圧力Pg0から増加し始める。ここで、ECU104
は、電磁スピル弁67に対してOFF信号が出力された
時の時刻t1を開始時刻tsとして設定する。
【0072】電磁スピル弁67に対してOFF信号が出
力された場合、同弁67は応答遅れを伴いながら開弁状
態となる。即ち、アーマチュア69がステータ74に吸
引されなくなると、ニードル弁68は、圧縮スプリング
101の付勢力によってアーマチュア69がストッパ8
4に当接する位置(以下、「当接位置」という)まで上
方に移動する。この際、ニードル弁68が当接位置にま
で移動するには、同弁68の慣性や、同弁68及びニー
ドルボディ70間における摺動抵抗等に起因して所定の
時間を要することになる。従って、図5に示すように、
燃圧Pgはニードル弁68の移動量に応じて徐々に増加
する。
【0073】燃圧Pgは一旦増加した後、若干の脈動を
伴いながら再び初期圧力Pg0にまで減少する。これ
は、燃料ギャラリ41内の圧力が増加することにより前
記チェックバルブ51が開弁し、前記リリーフ通路50
を通じて燃料ギャラリ41内の燃料が燃料タンクに戻さ
れるからである。
【0074】燃圧Pgが所定燃圧値Pg1以上にまで増
加すると(時刻t2)、ECU104はステップ105
において現在の時刻t2と開始時間tsとの時間差(=
t2−ts=t2−t1)を時定数T1として設定す
る。そして、ECU104はステップ106において判
定時間Taを算出した後、ステップ107において、時
定数T1が判定時間Taより長いか否かを判定する。図
5に示すように、本例では時定数T1が判定時間Ta以
下であるため、ECU104は噴射ポンプ20に異常が
発生していないと診断する。
【0075】これに対して、図5の二点鎖線で示すよう
に燃圧Pgが所定燃圧値Pg1以上に増加した場合であ
っても、時定数T11が判定時間Taより長い場合に
は、ECU104は、電磁スピル弁67の応答性が低下
していると判断されることから、噴射ポンプ20が異常
であると診断する。そして、ECU104は、ステップ
108において警告ランプ34を点灯させることにより
噴射ポンプ20が異常である旨を運転者に知らせる。更
に、ステップ109において、ECU104は、応答遅
れを考慮した燃料噴射制御を行う必要性があることを示
す第2の異常判定フラグFa2を「1」に設定する。
【0076】また、図5の一点鎖線で示すように燃圧P
gが終了時間Tae内に所定燃圧値Pg1以上に増加し
ない場合には、ステップ104,110における判定条
件がいずれも満たされない。従って、ECU104は、
電磁スピル弁67に断線、或いは固着といった動作不良
が生じていると判断されることから、噴射ポンプ20が
異常であると診断する。そして、ECU104はステッ
プ111において警告ランプ34を点灯させることによ
り噴射ポンプ20が異常である旨を運転者に知らせる。
更に、ステップ112においてフェイルセーフ処理の必
要性を示す第1の異常判定フラグFa1を「1」に設定
する。
【0077】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、圧力センサ100により燃料ギャラリ41内の燃圧
Pgを検出し、電磁スピル弁67に対してOFF信号が
出力されてからの燃圧Pgの変化に基づいて電磁スピル
弁67の動作を判定し、噴射ポンプ20の異常を診断す
るようにしている。ここで、燃料ギャラリ41内におけ
る燃圧Pgの変化には、燃料噴射ノズル17の開閉弁動
作に起因した圧力脈動の影響が少ない。これは、燃料ギ
ャラリ41と燃料噴射ノズル17とが離間して配置され
ているため、燃料噴射ノズル17において圧力脈動が発
生した場合でも、その圧力脈動は燃料ライン18、デリ
バリバルブ44、連通路66、燃料通路64等を通過し
て燃料ギャラリ41にまで伝播する間に十分に減衰する
からである。また、電磁スピル弁67と燃料ギャラリ4
1とは極めて近接して配置されている。従って、燃料ギ
ャラリ41内における燃圧Pgは、電磁スピル弁67の
開弁に伴うニードル弁68の動きに応じて遅れることな
く変化するため、その燃圧Pgの変化は電磁スピル弁6
7の挙動に即したものとなる。従って、この燃圧Pgの
変化に基づいて電磁スピル弁67の異常を判定すること
により、噴射ポンプ20の異常を精確に診断することが
できる。
【0078】本実施形態によれば、燃料ギャラリ41内
の燃圧Pgに基づいて電磁スピル弁67の挙動を的確に
把握することができ、同弁67の動作不良による噴射ポ
ンプ20の異常を精確に診断することができる。更に、
本実施形態によれば、圧力センサ100を電磁スピル弁
67の開弁に伴って高圧燃料が吐出される各スピル孔9
6,97に対向して設けるようにしている。従って、燃
料ギャラリ41内における燃圧Pgの増加を感度良く検
出することができる。即ち、各スピル孔から高圧燃料が
吐出された直後であって、燃料ギャラリ41内の燃圧P
gが均一に増加していない過渡的な状態であっても、そ
の燃圧Pgの変化をより早いタイミングで検出すること
ができる。その結果、噴射ポンプ20の異常を更に精確
に診断することができる。
【0079】本実施形態によれば、OFF信号が電磁ス
ピル弁67に出力されてから、燃圧Pgが所定燃圧値P
g1以上にまで増加したか否かを検出し、所定燃圧値P
g1以上に増加しない場合には、電磁スピル弁67に断
線、固着等による動作不良が発生したと判断して、第1
の異常判定フラグFa1を「1」に設定するようにして
いる。そして、燃圧Pgが所定燃圧値Pg1以上にまで
増加した場合には、更に、前記時定数T1と判定時間T
aとを比較することにより電磁スピル弁67の応答性を
評価し、その応答性が低下している場合には第2の異常
判定フラグFa2を「1」に設定するようにしている。
従って、噴射ポンプ20の異常を各異常判定フラグFa
1,Fa2に基づいて、更に詳細に知ることができると
ともに、その異常の種類に応じた適切な処理が可能とな
る。更に、異常と診断された場合は、警告ランプ34を
点灯させることにより、運転者に対してその異常の発生
を直ちに知らせることができる。
【0080】加えて、本実施形態によれば、前記判定時
間Taをエンジン回転数NE,最終噴射量QFINに応
じて算出するようにしている。従って、エンジン11の
運転状態に応じて変化するニードル弁68の移動速度を
考慮することができ、電磁スピル弁67の応答性低下を
正確に判定することができる。
【0081】[第2の実施形態]次に、本発明を具体化
した第2の実施形態について上記第1の実施形態との相
違点を中心に説明する。尚、上記第1の実施形態と同様
の構成については、同一の符号を付すとともにその説明
を省略する。
【0082】本実施形態では、上記第1の実施形態にお
いてハウジング36に設けられていた圧力センサ100
が省略されている。そして、この圧力センサ100に換
えて本実施形態では、アーマチュア室80内の内圧を検
出する圧力センサ112が設けられている。即ち、図6
に示すように、前記リングの上端面にはECU104の
外部入力回路109に接続された圧力センサ112が取
り付けられている。カバー78、ケース72及びハウジ
ング36には前記第1圧力室85と外部とを連通する連
通孔113,114,115がそれぞれ形成されてお
り、これら連通孔113〜115を通じて圧力センサ1
12には第1圧力室85内における内圧としての燃料圧
力(以下「燃圧Pb」という)が作用している。圧力セ
ンサ112は、第1圧力室85内の燃圧Pbを検出し、
その燃圧Pbに応じた信号を外部入力回路109に出力
する。本実施形態の圧力センサ112は本発明の内圧検
出手段に相当する。
【0083】電磁スピル弁67を閉弁状態とするため
に、同弁67に対してECU104からON信号が出力
された場合、アーマチュア69はステータ74によって
吸引されアーマチュア室80内を下方に移動する。この
移動に伴って第1圧力室85の容積は増加するため、同
室80内の燃圧Pbは減少する。これに対して、電磁ス
ピル弁67を開弁状態とするために同弁67に対してE
CU104からOFF信号が出力された場合、ニードル
弁68は圧縮スプリング101の付勢力により付勢され
るため、アーマチュア69はアーマチュア室80内を上
方に移動する。この移動に伴って第1圧力室85の容積
は減少するため、同室85内の燃圧Pbは増加する。以
上のように、本実施形態では、電磁スピル弁67の開閉
弁動作に伴って第1圧力室85内の燃圧Pbが変化し、
この燃圧変化が圧力センサ112によって検出される。
【0084】次に、本実施形態における「開弁時異常診
断ルーチン」及び「閉弁時異常診断ルーチン」について
図7及び図8を参照して説明する。ROM106には図
7,8に示すフローチャートに関する制御プログラムが
予め記憶されている。本実施形態における「開弁時異常
診断ルーチン」、「閉弁時異常診断ルーチン」の処理内
容は上記第1の実施形態における「異常診断ルーチン」
の処理内容と略同様であり、ステップ201〜212、
ステップ301〜312の各処理は前述したステップ1
01〜ステップ112の各処理に順に対応している。
【0085】上記第1の実施形態ではステップ103に
おいて、燃料ギャラリ41内の燃圧Pgを圧力センサ1
00によって検出するようにしたが、本実施形態の各ル
ーチンにおけるステップ203、303では、圧力セン
サ112によって第1圧力室85内の燃圧Pbが検出さ
れる。そして、「開弁時異常診断ルーチン」のステップ
204では、燃圧Pbが所定燃圧値Pb1以上に増加し
たか否かが判定され、「閉弁時異常診断ルーチン」のス
テップ304では、燃圧Pbが所定燃圧値Pb2以下に
まで減少したか否かが判定される。
【0086】図9は、電磁スピル弁67に出力される駆
動信号及び燃圧Pbの時間的変化を示している。同図に
示すように、電磁スピル弁67への駆動信号及び燃圧P
bが変化した場合における異常診断の例について説明す
る。
【0087】まず、電磁スピル弁67が開弁する際にお
ける異常診断処理について図7に示す「開弁時異常診断
ルーチン」を参照して説明する。電磁スピル弁67に対
しON信号が出力されている状態(時刻t0〜t1)か
ら、時刻t1において同弁67に対しOFF信号が出力
されることにより、電磁スピル弁67が閉弁状態から開
弁状態に移行し始める。その結果、アーマチュア69の
上方への移動に伴って第1圧力室85の容積は減少し、
その燃圧Pbは増加し始める。ここで、ステップ202
において、ECU104は電磁スピル弁67に対してO
FF信号が出力された時の時刻t1を開始時刻ts1と
して設定する。
【0088】電磁スピル弁67に対してOFF信号が出
力された場合、燃圧Pbはアーマチュア69の移動量に
応じて初期圧力Pb0から徐々に増加する。この際、図
9に示すように、燃圧Pbは一旦増加した後、次第に初
期圧力Pb0にまで減少する。これは、第1圧力室85
と第2圧力室86間において若干量の燃料の移動が許容
されるためであり、燃圧Pbの増加した第1圧力室85
から第2圧力室86側に燃料が移動するからである。
【0089】燃圧Pbが所定燃圧値Pb1以上にまで増
加すると(時刻t2)、ECU104はステップ205
において現在の時刻t2と開始時間ts1との時間差
(=t2−ts1=t2−t1)を時定数T2として設
定する。そして、ECU104はステップ206におい
て判定時間Tbを算出した後、ステップ207におい
て、時定数T2が判定時間Tbより長いか否かを判定す
る。図9に示すように、本例では時定数T2が判定時間
Tb以下であるため、ECU104は噴射ポンプ20に
異常が発生していないと診断する。
【0090】これに対して、図9の二点鎖線で示すよう
に燃圧Pbが所定燃圧値Pb1以上に増加した場合であ
っても、時定数T21が判定時間Tbより長い場合に
は、第1の実施形態と同様に、電磁スピル弁67の応答
性低下により噴射ポンプ20に異常が発生していると診
断される。従って、ECU104は、ステップ208に
おいて警告ランプ34を点灯させた後、ステップ209
において第2の異常判定フラグFb2を「1」に設定す
る。
【0091】また、図9の一点鎖線で示すように燃圧P
bが終了時間Tbe内に所定燃圧値Pb1以上に増加し
ない場合には、電磁スピル弁67に断線、或いは固着と
いった動作不良が生じており、噴射ポンプ20に異常が
発生していると診断される。従って、ECU104は、
ステップ211において警告ランプ34を点灯させた
後、ステップ212において第1の異常判定フラグFb
1を「1」に設定する。
【0092】次に、電磁スピル弁67が閉弁する際にお
ける異常診断処理について図8に示す「閉弁時異常診断
ルーチン」を参照して説明する。図9で示すように、電
磁スピル弁67に対する駆動信号がOFF信号である状
態(時刻t1〜t4)から、時刻t4において同弁67
に対しON信号が出力されることにより、電磁スピル弁
67が開弁状態から閉弁状態に移行し始める。その結
果、アーマチュア69はステータ74に吸引され下方に
移動するため、第1圧力室85の容積は増大し、その燃
圧Pbは減少し始める。ここで、ステップ302におい
て、ECU104は、電磁スピル弁67に対してON信
号が出力された時の時刻t4を開始時刻ts2として設
定する。
【0093】電磁スピル弁67に対してON信号が出力
された場合、燃圧Pbはアーマチュア69の移動量に応
じて初期圧力Pb0から徐々に減少する。そして、図9
に示すように、燃圧Pbは一旦減少した後、次第に再び
初期圧力Pb0にまで増加する。これは、第1圧力室8
5と第2圧力室86間において若干量の燃料の移動が許
容されることにより、燃圧Pbが低圧となった第1圧力
室85へ第2圧力室86内の燃料が流入するからであ
る。
【0094】燃圧Pbが所定燃圧値Pb2以下にまで減
少すると(時刻t5)、ECU104はステップ305
において現在の時刻t5と開始時間ts2との時間差
(=t5−ts=t5−t4)を時定数T3として設定
する。そして、ステップ306において、ECU104
は判定時間Tcを算出し、ステップ307において、時
定数T3が判定時間Tcより長いか否かを判定する。図
9に示すように、本例では時定数T3が判定時間Tc以
下であるため、ECU104は噴射ポンプ20に異常が
発生していないと診断する。
【0095】これに対して、図9の二点鎖線で示すよう
に燃圧Pbが所定燃圧値Pb2以下にまで減少した場合
であっても、時定数T31が判定時間Tcより長い場合
には、第1の実施形態と同様に、電磁スピル弁67の応
答性低下により噴射ポンプ20に異常が発生していると
診断される。従って、ECU104は、ステップ308
において警告ランプ34を点灯させた後、ステップ30
9において第2の異常判定フラグFc2を「1」に設定
する。
【0096】また、図9の一点鎖線で示すように燃圧P
bが終了時間Tce内に所定燃圧値Pb2以下にまで減
少しない場合には、電磁スピル弁67に断線、或いは固
着といった動作不良が生じており、噴射ポンプ20に異
常が発生していると診断される。従って、ECU104
は、ステップ311において警告ランプ34を点灯させ
た後、ステップ312において第1の異常判定フラグF
c1を「1」に設定する。
【0097】以上、説明した本実施形態によれば、第1
の実施形態と同様の効果を奏することができ、噴射ポン
プ20の異常を精確に診断することができる。特に、第
1圧力室85における燃圧Pbは、燃料噴射ノズル17
の開閉弁動作に起因した圧力脈動の影響を受けることが
ない。更に、燃圧Pbは、アーマチュア69の動きに応
じて遅れることなく敏感に変化する。従って、本実施形
態によれば、電磁スピル弁67の挙動をより的確に把握
することができ、噴射ポンプ20の異常をより精確に診
断することができる。
【0098】更に、本実施形態では、アーマチュア室8
0の第1圧力室85における燃圧Pbを圧力センサ11
2によって検出するようにしている。この第1圧力室8
5の燃圧Pbは、電磁スピル弁67の開弁時及び閉弁時
のいずれの場合においても、アーマチュア69の動きに
応じて変化する。従って、本実施形態では、開弁時及び
閉弁時の双方における電磁スピル弁67の異常を検出す
ることができる。更に、開閉弁時における各時定数T
2,T3を算出するようにしているため、この各時定数
T2,T3に基づいて電磁スピル弁67の駆動時期補正
を行うことができ、より高精度な燃料噴射制御を実現す
ることができる。
【0099】本発明は、上記各実施形態の構成に限定さ
れることなく、以下に示す他の実施形態のように具体化
することもできる。 (1)上記第1の実施形態では、ハウジング36に圧力
センサ100を設け、同センサ100によって燃料ギャ
ラリ41内の燃圧Pgを検出するようにした。これに対
して、ニードルボディ70、シリンダ46に形成された
各スピル孔96,97内の燃圧を圧力センサ100によ
って検出するようにしてもよい。
【0100】(2)上記各実施形態では、燃料ギャラリ
41の燃圧Pg、或いはアーマチュア室80の燃圧Pb
を圧電素子を内蔵する圧力センサ100,112によっ
て検出するようにした。これに対して、燃圧Pg又は燃
圧Pbに応じてON・OFFする圧力スイッチによって
各圧力Pg,Pbの変化を検出することもできる。この
ような構成にすれば異常診断装置の低コスト化を図るこ
とができる。
【0101】(3)上記第2の実施形態では、アーマチ
ュア室80において、アーマチュア69の上方に位置す
る第1圧力室85内の燃圧Pbを検出するようにした。
これに対して、アーマチュア69の下方に位置する第2
圧力室86内の燃圧を検出するようにしてもよい。
【0102】(4)上記第2の実施形態では、「開弁時
異常診断ルーチン」及び「閉弁時異常診断ルーチン」を
行うことにより、電磁スピル弁67の開閉弁時における
異常を判定するようにした。これに対して、各ルーチン
の一方のみを行うことにより、電磁スピル弁67の開弁
時における異常、或いは閉弁時における異常のいずれか
一方のみを判定するようにしてもよい。
【0103】上記各実施形態から把握できる技術的思想
についてその効果とともに以下に記載する。 (イ)請求項3記載の燃料噴射装置の異常診断装置にお
いて、前記内燃機関の運転状態を検出するための運転状
態検出手段を更に備え、前記検出された運転状態に基づ
いて前記所定時間を設定するようにしたことを特徴とす
る。
【0104】上記構成によれば、内燃機関の運転状態に
応じて変化する弁体の移動速度を考慮して電磁弁におけ
る応答性の低下を判定することができ、正確な異常診断
を行うことができる。
【0105】
【発明の効果】請求項1に記載した第1の発明によれ
ば、電磁弁よりも燃料貯溜室側の位置における溢流通路
内の燃料圧力又は燃料貯溜室内における燃料圧力を検出
するとともに、電磁弁に対して開弁信号が出力された後
における燃料圧力の変化に基づいて電磁弁の異常を判定
するようにしている。燃料噴射ノズルの開閉弁動作に伴
う圧力脈動は、溢流通路又は燃料貯留室にまで伝播する
際に十分に減衰するため、検出された燃料圧力は圧力脈
動の影響が少なく、電磁弁の開閉弁動作に則したものと
なる。その結果、この燃料圧力の変化に基づいて電磁弁
の異常判定を行うことにより、電磁弁の挙動をより的確
に把握して精確な異常診断を行うことができる。
【0106】請求項2に記載した第2の発明によれば、
電磁弁に対して開弁信号が出力された後に燃料圧力が所
定圧力値まで上昇しない場合に電磁弁が異常であるとし
て判定するようにしている。従って、第1の発明におけ
る効果に加え、電磁弁に断線、弁体の固着等の故障が生
じ、同弁が所定の開度にまで開弁していないことを判定
することができ、更に詳細な異常診断を行うことができ
る。
【0107】請求項3に記載した第3の発明によれば、
電磁弁に対して開弁信号が出力されてから燃料圧力が所
定圧力値にまで上昇するまでの経過時間が所定時間より
長い場合に電磁弁が異常であるとして判定するようにし
ている。従って、第1の発明における効果に加え、電磁
弁における応答性の低下を同弁の異常として判定するこ
とができ、更に詳細な異常診断を行うことができる。
【0108】請求項4に記載した第4の発明によれば、
アーマチュアの動作に伴って内圧の変化するアーマチュ
ア室の内圧を検出し、この内圧の変化と電磁弁に対して
出力された駆動信号の変化とを比較することにより電磁
弁の異常判定を行うようにしている。アーマチュア室の
内圧は燃料噴射ノズルの開閉弁動作に伴う圧力脈動の影
響を受けないため、アーマチュアの動作、換言すれば電
磁弁の開閉弁動作に則したものとなる。その結果、この
内圧変化と駆動信号の変化とを比較することにより、電
磁弁の挙動をより的確に把握して精確な異常診断を行う
ことができる。
【0109】請求項5に記載した第5の発明によれば、
電磁弁に対して開弁信号又は閉弁信号が出力された後に
内圧が所定圧力値まで変化しない場合に電磁弁が異常で
あるとして判定するようにしている。従って、第4の発
明における効果に加え、電磁弁に断線、弁体の固着等の
故障が生じ、同弁が所定の開度とならないことを判定す
ることができ、更に詳細な異常診断を行うことができ
る。
【0110】請求項6に記載した第5の発明によれば、
電磁弁に対して開弁信号又は閉弁信号が出力されてから
内圧が所定圧力値にまで変化するまでの経過時間が所定
時間より長い場合に電磁弁が異常であるとして判定する
ようにしている。従って、第4の発明における効果に加
え、電磁弁における応答性の低下を同弁の異常として判
定することができ、更に詳細な異常診断を行うことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディーゼルエンジンのシステム全体を示す概略
構成図。
【図2】噴射ポンプを示す断面図。
【図3】図2の3−3線に沿った断面図。
【図4】第1の実施形態における「異常診断ルーチン」
を示すフローチャート。
【図5】電磁スピル弁への駆動信号及び燃料ギャラリ内
の燃圧の時間的変化を示す線図。
【図6】第2の実施形態における電磁スピル弁等を示す
断面図。
【図7】「開弁時異常診断ルーチン」を示すフローチャ
ート。
【図8】「閉弁時異常診断ルーチン」を示すフローチャ
ート。
【図9】電磁スピル弁への駆動信号及び燃料ギャラリ内
の燃圧の時間的変化を示す線図。
【符号の説明】
11…内燃機関としてのディーゼルエンジン、17…燃
料噴射ノズル、20…燃料噴射ポンプ、41…燃料貯溜
室としての燃料ギャラリ、55…燃料加圧室、63…環
状通路、64…燃料通路、87…連通空間、周溝93、
94〜97…スピル孔(63、64、87、93〜97
により溢流通路が構成されている)、67…電磁弁とし
ての電磁スピル弁、68…弁体としてのニードル弁、6
9…アーマチュア、80…アーマチュア室、100…燃
圧検出手段としての圧力センサ、104…駆動制御手
段、判定手段としてのECU、112…内圧検出手段と
しての圧力センサ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料貯溜室の燃料を燃料加圧室にて加圧
    し、当該加圧燃料を燃料噴射ノズルから内燃機関に噴射
    供給するための燃料噴射ポンプと、前記燃料貯溜室と前
    記燃料加圧室とを連通する溢流通路に設けられ、当該溢
    流通路を弁体にて開放閉鎖することにより前記燃料噴射
    ノズルから前記内燃機関に噴射供給される燃料量を調節
    するための電磁弁と、前記燃料量を所定量に制御すべく
    前記電磁弁に対して駆動信号を出力するための駆動制御
    手段とを備えた燃料噴射装置の異常診断装置であって、 前記電磁弁よりも前記燃料貯溜室側の位置における前記
    溢流通路内の燃料圧力又は前記燃料貯溜室内における燃
    料圧力を検出するための燃圧検出手段と、 前記駆動制御手段から前記電磁弁に対して開弁信号が出
    力された後における前記燃料圧力の変化に基づいて前記
    電磁弁の異常判定を行うための判定手段とを備えたこと
    を特徴とする燃料噴射装置の異常診断装置。
  2. 【請求項2】 前記判定手段は、前記電磁弁に対して開
    弁信号が出力された後に前記燃料圧力が所定圧力値まで
    上昇しない場合に前記電磁弁を異常と判定するものであ
    ることを特徴とする請求項1に記載した燃料噴射装置の
    異常診断装置。
  3. 【請求項3】 前記判定手段は、前記電磁弁に対して開
    弁信号が出力されてから前記燃料圧力が所定圧力値にま
    で上昇するまでの経過時間が所定時間より長い場合に前
    記電磁弁を異常と判定するものであることを特徴とする
    請求項1に記載した燃料噴射装置の異常診断装置。
  4. 【請求項4】 燃料貯溜室の燃料を燃料加圧室にて加圧
    し、当該加圧燃料を燃料噴射ノズルから内燃機関に噴射
    供給するための燃料噴射ポンプと、前記燃料貯溜室と前
    記燃料加圧室とを連通する溢流通路に設けられ、当該溢
    流通路を弁体にて開放閉鎖することにより前記燃料噴射
    ノズルから前記内燃機関に噴射供給される燃料量を調節
    するための電磁弁と、前記燃料量を所定量に制御すべく
    前記電磁弁に対して駆動信号を出力するための駆動制御
    手段とを備えた燃料噴射装置の異常診断装置であって、 前記弁体に固定されたアーマチュアを収容するアーマチ
    ュア室における内圧を検出するための内圧検出手段と、 前記駆動制御手段から前記電磁弁に対して出力された駆
    動信号の変化と前記内圧検出手段により検出された内圧
    の変化とを比較することにより前記電磁弁の異常判定を
    行う判定手段とを備えたことを特徴とする燃料噴射装置
    の異常診断装置。
  5. 【請求項5】 前記判定手段は、前記電磁弁に対して開
    弁信号又は閉弁信号が出力された後に前記内圧が所定圧
    力値まで変化しない場合に前記電磁弁を異常と判定する
    ものであることを特徴とする請求項4に記載した燃料噴
    射装置の異常診断装置。
  6. 【請求項6】 前記判定手段は、前記電磁弁に対して開
    弁信号又は閉弁信号が出力されてから前記内圧が所定圧
    力値にまで変化するまでの経過時間が所定時間より長い
    場合に前記電磁弁を異常と判定するものであることを特
    徴とする請求項4に記載した燃料噴射装置の異常診断装
    置。
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