JPH1046839A - タンク解体工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間に亘る高所作業や大掛かりな作業足場
の仮設を不要として、工期の短縮と工費の削減を図り得
るタンク解体工法を提供する。 【解決手段】 タンク側板２ａの下側部分に、側板２ａ
の外周面に沿い上下方向に所要長さ延びる複数のガイド
部材６を配置して、その下側部分のみを側板２ａに固着
し、側板２ａに固着されていないガイド部材６の上側部
分が占める高さ範囲内で側板２ａを内側から略水平に切
断し、その切断された側板２ａ下端に切れ込み部７を上
向きに形成し、各切れ込み部７間の舌状片８を内側に落
とし込んで側板２ａを下降し、これ以降は、各切れ込み
部７の上端より高い位置に新たなガイド部材６を固着し
て同じ作業手順を繰り返すことにより側板２ａを所要高
さ分ずつ切断して順次積み重ね、然る後に、積み重ねた
側板２ａを地上作業により解体する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、石油、ＬＰＧ、Ｌ
ＮＧ等を貯蔵するタンク解体工法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】石油、ＬＰＧ、ＬＮＧ等を貯蔵するよう
な大型のタンクの建て替え、或いは撤去等を行う場合に
は、タンクをトラック等に積んで搬送できる程度の大き
さに解体する必要がある。

【０００３】従来、このようなタンクの解体を行う場合
には、タンク周囲に大掛かりな作業足場を仮設し、該作
業足場を利用して作業員がタンクの上部構造から順次バ
ーナで適宜な大きさに切断し、大型のクレーンにより地
上に吊り降ろす作業を繰り返して行うようにしていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、斯かる
従来の解体工法では、作業性の悪い高所での作業が長時
間に亘って必要となり、また、作業足場を仮設するのに
も多大な時間を要する為、工期が長くなると共に工費も
嵩むという問題があった。

【０００５】本発明は上述の実情に鑑みてなしたもの
で、長時間に亘る高所作業や大掛かりな作業足場の仮設
を不要として、工期の短縮と工費の削減を図り得るタン
ク解体工法を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、タンク側板の
下側部分における適宜な高さ位置に、該タンク側板の外
周面に沿い上下方向に所要長さ延びる複数のガイド部材
を配置して該ガイド部材の下側部分のみをタンク側板に
固着し、次いで、該タンク側板に固着されていない前記
ガイド部材の上側部分が占める高さ範囲内で前記タンク
側板を内側から略水平に切断し、その切断されたタンク
側板下端の円周方向複数箇所から上向きに所要高さまで
立ち上がる切れ込み部を形成し、該各切れ込み部間の舌
状片を内側に撓ませて落とし込むことによりタンク側板
を下降し、これ以降は、各切れ込み部の上端より高い位
置に新たなガイド部材を固着して同じ作業手順を繰り返
すことによりタンク側板を所要高さ分ずつ切断して順次
積み重ね、然る後に、積み重ねたタンク側板を地上作業
により解体することを特徴とするタンク解体工法、に係
るものである。

【０００７】また、タンク側板の下側部分における適宜
な高さ位置に、該タンク側板の外周面に沿い上下方向に
所要長さ延びる複数のガイド部材を配置して該ガイド部
材の下側部分のみをタンク側板に固着し、次いで、該タ
ンク側板に固着されていない前記ガイド部材の上側部分
が占める高さ範囲内で前記タンク側板を内側から略水平
に切断し、その切断されたタンク側板下端の円周方向複
数箇所から上向きに所要高さまで立ち上がる切れ込み部
を形成し、該各切れ込み部間の舌状片を内側に撓ませて
落とし込むことによりタンク側板を下降し、これ以降
は、各切れ込み部を上向きに延長しつつ各舌状片の下側
部分を繰り返し切断撤去してタンク側板を下降しながら
解体するようにしても良い。

【０００８】而して、前述した何れのタンク解体工法に
よっても、解体作業の殆どを地上で行うことが可能とな
るので、従来の如き長時間に亘る高所作業や大掛かりな
作業足場の仮設が不要となる。

【０００９】更に、タンク側板の上端にタンク屋根が接
合されているタンクの解体作業を行う際には、前記タン
ク屋根をタンク側板の上端に接合したまま下降して地上
作業により解体すれば良く、このようにすれば、従来に
おいて作業性の悪い高所で行われていたタンク屋根の解
体作業を地上で行うことが可能となる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照しつつ説明する。

【００１１】図１〜図１１は本発明を実施する形態の一
例を示すもので、本形態例においては、内槽１ａと外槽
１ｂとから成る二重殻構造とした地上式のタンク１を解
体する場合を例示しており、説明の便宜上、外槽１ｂに
ついては概略的な断面で示している。

【００１２】前記内槽１ａ及び外槽１ｂの夫々の胴部分
はタンク側板２ａ，２ｂにより円筒状に形成されてお
り、内槽１ａのタンク側板２ａはタンク底部３ａ上に立
設され、外槽１ｂのタンク側板２ｂは基礎スラブ３ｂ上
に立設されており、各タンク側板２ａ，２ｂの上端には
ドーム状のタンク屋根４ａ，４ｂが接合されている。

【００１３】このような二重殻構造のタンク１の解体を
行う場合には、先ずタンク１内の貯蔵液と気化ガスとを
抜き出して空の状態とし、次いで、内槽１ａと外槽１ｂ
との間に充填されているパーライト等の保冷材を吸込み
真空法で吸引排出し、然る後に、タンク１内の雰囲気を
空気に置換した上で内部の附属品（液面計、温度計、ノ
ズル等）を撤去する。

【００１４】以上の如くして解体準備が整ったら、図１
に示す如く、内槽１ａ及び外槽１ｂの相互のタンク屋根
４ａ，４ｂ同士をサポート５により一体に連結し、更
に、図２に示す如く、外槽１ｂのタンク側板２ｂの下側
部分を切断して撤去し、これにより外槽１ｂの全ての荷
重が内槽１ａのタンク屋根４ａにかかるようにする。

【００１５】次いで、図３に示す如く、内槽１ａのタン
ク側板２ａの下側部分における適宜な高さ位置に、該タ
ンク側板２ａの外周面に沿い上下方向に所要長さ延びる
複数のガイド部材６を配置し、該ガイド部材６の下側部
分のみを溶接によりタンク側板２ａに固着する。

【００１６】更に、前記各ガイド部材６の下側部分をタ
ンク側板２ａに固着し終えたら、図４に示す如く、タン
ク側板２ａに固着されていない前記各ガイド部材６の上
側部分が占める高さ範囲内で前記タンク側板２ａを内側
から略水平に切断する。

【００１７】また、図５に示す如く、切断されたタンク
側板２ａ下端の円周方向複数箇所から上向きに所要高さ
まで立ち上がる逆Ｖ字状の切れ込み部７を形成し、タン
ク内側への撓み及びタンク側板２ａの落とし込みを容易
にするよう舌状片８を形成する。

【００１８】このようにして舌状片８を形成したら、図
６に示す如く、前記各舌状片８を内側に撓ませて落とし
込むことによりタンク側板２ａを下降する。

【００１９】このとき、各舌状片８を内側に撓ませて落
とし込むにあたっては、構造材相互の溶接位置のずれを
矯正する際に使用するような従来周知の適当な治具を用
いれば良く、各舌状片８を内側に撓ませることさえでき
れば、どのような手段を用いても良い。

【００２０】また、各舌状片８を内側に撓ませてタンク
荷重を作用させるだけではタンク側板２ａを十分に下降
させることが困難であるので、各舌状片８の上側位置と
タンク底部３ａとの間にチェーンブロック等を張り渡し
て積極的にタンク側板２ａの下降を助勢することが好ま
しい。

【００２１】尚、各ガイド部材６は、各舌状片８の外側
への張り出しを防止して各舌状片８が内側に落とし込ま
れるように案内するだけでなく、下降するタンク側板２
ａの姿勢が傾斜しないようタンク側板２ａ全体を鉛直方
向に案内する役割も果すことになる。

【００２２】これ以降は、同じ作業手順を繰り返すこと
によりタンク側板２ａを所要高さ分ずつ切断して順次積
み重ねていけば良く、具体的には、図６の状態で下降し
ている各切れ込み部７の上端より高い位置に、図７に示
す如く、新たなガイド部材６を固着し、次いで、図８に
示す如く、前記新たなガイド部材６のタンク側板２ａに
固着されていない上側部分が占める高さ範囲内でタンク
側板２ａを内側から略水平に切断し、更に、図９に示す
如く、切断されたタンク側板２ａ下端の円周方向複数箇
所から上向きに所要高さまで立ち上がる逆Ｖ字状の切れ
込み部７を形成し、図１０に示す如く、前記各切れ込み
部７間に新たに形成された各舌状片８を内側に撓ませて
落とし込むことによりタンク側板２ａを下降するという
作業手順を繰り返す。

【００２３】このとき、同様の作業手順を繰り返すに従
い、各舌状片８の形成位置が上方に移動してタンク底部
３ａまでの距離が大きくなっていくので、下から二段目
以降の舌状片８を形成するにあたっては、一段目の舌状
片８よりも長く形成することが可能であり、舌状片８を
長く形成すればするほど一回あたりの下降距離を大きく
とることが可能である。

【００２４】尚、内槽１ａのタンク側板２ａが下降する
ことにより外槽１ｂのタンク側板２ｂも下降するので、
該外槽１ｂのタンク側板２ｂの下側部分をタンク１の下
降状態に応じて切断撤去し、内槽１ａのタンク側板２ａ
の下側部分に対する作業に支障をきたさないようにする
ことは勿論である。

【００２５】このように作業手順を繰り返して進めてい
くと、図１１に示す如く、外槽１ｂのタンク側板２ｂの
大半が解体され、且つ内槽１ａのタンク側板２ａの大半
が所要高さ分ずつに切断されて積み重ねられた状態とな
り、各タンク屋根４ａ，４ｂがタンク底部３ａの近くま
で下降した状態となるので、該タンク底部３ａ近くまで
下降した各タンク屋根４ａ，４ｂと、積み重ねられた内
槽１ａのタンク側板２ａとを一緒に地上作業にて解体す
れば良く、これらの解体を以てタンク１の解体作業が完
了することになる。

【００２６】この際、積み重ねられた内槽１ａのタンク
側板２ａには、既に切れ込み部７が形成されているの
で、これらの解体作業は比較的容易である。

【００２７】従って上記形態例によれば、解体作業の殆
どを地上で行うことができるので、従来の如き長時間に
亘る高所作業や大掛かりな作業足場の仮設を不要とする
ことができ、これによって、工期の短縮と工費の削減を
図ることができる。

【００２８】また、従来において作業性の悪い高所で行
われていた各タンク屋根４ａ，４ｂの解体作業を地上で
行うことができるので、該各タンク屋根４ａ，４ｂを効
率良く且つ安全に解体することができる。

【００２９】更に、本発明を実施する形態の他の例とし
て、前述した形態例における図６の状態とした後に、各
切れ込み部７を上向きに延長しつつ各舌状片８の下側部
分を繰り返し切断撤去して内槽１ａのタンク側板２ａを
下降しながら解体するようにしても良く、このように作
業手順を繰り返して進めていくと、図１２に示す如く、
内槽１ａのタンク側板２ａの大半が解体されて各タンク
屋根４ａ，４ｂがタンク底部３ａまで下降した状態とな
るので、前記各タンク屋根４ａ，４ｂについては、地上
作業にて解体作業を進めれば良く、該各タンク屋根４
ａ，４ｂの解体を以てタンク１の解体作業が完了するこ
とになる。

【００３０】尚、本発明のタンク解体工法は、上述の形
態例にのみ限定されるものではなく、図示では二重殻構
造としたタンクの場合を例示したが、一重殻構造のタン
クにに対して適用しても良いこと、また、図示ではタン
ク側板の上端にタンク屋根が接合されている場合を例示
してあるが、例えばタンク屋根を貯蔵液の液面に浮かべ
る方式としたフローティングルーフタンクを解体する際
にも適用することができ、この場合には、貯蔵液を抜き
出すことによりタンク底部まで下降したタンク屋根をタ
ンク側板の解体状況と無関係に解体して良いこと、その
他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更
を加え得ることは勿論である。

【００３１】

【発明の効果】上記した本発明のタンク解体工法によれ
ば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。

【００３２】（Ｉ）解体作業の殆どを地上で行うことが
できるので、従来の如き長時間に亘る高所作業や大掛か
りな作業足場の仮設を不要とすることができ、これによ
って、工期の短縮と工費の削減を図ることができる。

【００３３】（ＩＩ）タンク屋根をタンク側板の上端に
接合したまま下降して地上作業により解体するようにす
れば、従来において作業性の悪い高所で行われていたタ
ンク屋根の解体作業を効率良く且つ安全に解体すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】内槽及び外槽のタンク屋根同士を一体に連結し
た状態を示す概略図である。

【図２】外槽のタンク側板の下側部分を内側から切断撤
去した状態を示す概略図である。

【図３】内槽のタンク側板の下側部分にガイド部材を取
り付けた状態を示す概略図である。

【図４】内槽のタンク側板を内側から略水平に切断した
状態を示す概略図である。

【図５】内槽のタンク側板に切れ込み部を形成した状態
を示す概略図である。

【図６】切れ込み部間の舌状片を内側に落とし込んだ状
態を示す概略図である。

【図７】図６の内槽のタンク側板に新たなガイド部材を
取り付けた状態を示す概略図である。

【図８】図７の内槽のタンク側板を再び切断した状態を
示す概略図である。

【図９】図８の内槽のタンク側板に新たな切れ込み部を
形成した状態を示す概略図である。

【図１０】図９の新たな切れ込み部間の舌状片を内側に
落とし込んだ状態を示す概略図である。

【図１１】内槽のタンク側板の大半が所要高さ分ずつに
切断されて積み重ねられた状態を示す概略図である。

【図１２】本発明を実施する形態の他の例を示す概略図
である。

【符号の説明】

１ タンク ２ａ タンク側板 ４ａ タンク屋根 ４ｂ タンク屋根 ６ ガイド部材 ７ 切れ込み部 ８ 舌状片

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タンク側板の下側部分における適宜な高
   さ位置に、該タンク側板の外周面に沿い上下方向に所要
   長さ延びる複数のガイド部材を配置して該ガイド部材の
   下側部分のみをタンク側板に固着し、次いで、該タンク
   側板に固着されていない前記ガイド部材の上側部分が占
   める高さ範囲内で前記タンク側板を内側から略水平に切
   断し、その切断されたタンク側板下端の円周方向複数箇
   所から上向きに所要高さまで立ち上がる切れ込み部を形
   成し、該各切れ込み部間の舌状片を内側に撓ませて落と
   し込むことによりタンク側板を下降し、これ以降は、各
   切れ込み部の上端より高い位置に新たなガイド部材を固
   着して同じ作業手順を繰り返すことによりタンク側板を
   所要高さ分ずつ切断して順次積み重ね、然る後に、積み
   重ねたタンク側板を地上作業により解体することを特徴
   とするタンク解体工法。
2. 【請求項２】 タンク側板の下側部分における適宜な高
   さ位置に、該タンク側板の外周面に沿い上下方向に所要
   長さ延びる複数のガイド部材を配置して該ガイド部材の
   下側部分のみをタンク側板に固着し、次いで、該タンク
   側板に固着されていない前記ガイド部材の上側部分が占
   める高さ範囲内で前記タンク側板を内側から略水平に切
   断し、その切断されたタンク側板下端の円周方向複数箇
   所から上向きに所要高さまで立ち上がる切れ込み部を形
   成し、該各切れ込み部間の舌状片を内側に撓ませて落と
   し込むことによりタンク側板を下降し、これ以降は、各
   切れ込み部を上向きに延長しつつ各舌状片の下側部分を
   繰り返し切断撤去してタンク側板を下降しながら解体す
   ることを特徴とするタンク解体工法。
3. 【請求項３】 タンク屋根をタンク側板の上端に接合し
   たまま下降して地上作業により解体することを特徴とす
   る請求項１又は２に記載のタンク解体工法。