JPH1045960A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH1045960A
JPH1045960A JP21783396A JP21783396A JPH1045960A JP H1045960 A JPH1045960 A JP H1045960A JP 21783396 A JP21783396 A JP 21783396A JP 21783396 A JP21783396 A JP 21783396A JP H1045960 A JPH1045960 A JP H1045960A
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JP
Japan
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weight
resin
rubber
meth
aromatic vinyl
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JP21783396A
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English (en)
Inventor
Fusamitsu Kitada
房充 北田
Masaaki Motai
政明 馬渡
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐薬疲労性、耐衝撃性、および成形品表面外
観に優れた広範囲の用途に使用し得る熱可塑性樹脂組成
物を提供する。 【解決手段】 水添ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニ
ル化合物を必須成分とするビニル系単量体をグラフト重
合して得られるゴム変性スチレン系樹脂、ポリオレフィ
ン系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、上記以
外のゴム変性スチレン系樹脂を必須成分とする熱可塑性
樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐薬疲労性、耐衝撃
性に優れ、かつ成形品表面外観(着色性)に優れた熱可
塑性樹脂組成物に関する。
【従来の技術】ABS、AES、ASA、MBS、HI
PS、GP−PSなどのスチレン系熱可塑性樹脂は、耐
衝撃性、剛性、寸法精度、成形品表面外観に優れること
から幅広い分野に使用されている。しかし、他のエンジ
ニアリングプラスチックに比べると、耐薬疲労性に劣る
面があり、使用する用途が制限されている。一方、ポリ
オレフィンは、一般に耐薬疲労性、耐熱性に優れてお
り、かつ低比重という特徴を有している。しかし、剛
性、寸法安定性、成形品表面外観に劣るという欠点があ
る。そこで、両者を混合し、両者の優れた特性を維持し
ながら、両者の欠点を解消する試みがなされてきたが、
両者の相溶性が悪く実用に耐え得るものは数少ない。ま
た、たとえ相溶させることができても、着色性が悪く、
オレフィン系樹脂単独あるいはスチレン系樹脂単独より
も成形品表面外観に劣ることが多い。
【0002】
【発明が解決しようとしている課題】本発明は、前期従
来技術の課題を背景になされたもので、耐薬疲労性、耐
衝撃性に優れ、かつ成形品表面外観(着色性)に優れた
広範囲の用途に使用し得る熱可塑性樹脂を提供すること
を目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)水添ジ
エン系ゴム質重合体(イ)5〜50重量%の存在下に、
芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物および
芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を
共重合してなるゴム変性スチレン系樹脂5〜55重量
%、(B)ポリオレフィン系樹脂2〜50重量%、
(C)(メタ)アクリル酸エステル単量体20〜100
重量%およびこれと共重合可能な他の単量体を共重合し
てなる(メタ)アクリル酸エステル系樹脂1〜70重量
%、(D)(A)〜(C)以外の熱可塑性樹脂0〜50
重量%を含有してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組
成物を提供するものである。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、本発明の組成物を構成する
各成分について説明する。本発明の(A)成分は、
(A)水添ジエン系ゴム質重合体(イ)5〜50重量%
の存在下に、芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル
化合物および芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビ
ニル単量体を共重合してなるゴム変性スチレン系樹脂で
ある。本発明の(A)ゴム変性スチレン系樹脂に用いら
れる水添ジエン系ゴム質重合体(イ)とは、共役ジエン
の単独重合体の水素化物、共役ジエンと芳香族ビニル化
合物の共重合体の水素化物などが挙げられる。
【0005】上記水添ジエン系ゴム質重合体(イ)に用
いられる共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イ
ソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、
1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジ
エン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,
3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエ
ン、クロロプレンなどがあげられる。これらの中では工
業的に製造しやすく、また物性の優れた水添ジエン系ゴ
ム質重合体(イ)が得られる点から1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、1,3−ペンタジエンが好ましく、よ
り好ましくは1,3−ブタジエンである。また、水添ジ
エン系ゴム質重合体(イ)に用いられる芳香族ビニル化
合物としては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、
モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムス
チレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p−t
−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレ
ン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、
N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、N,N
−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジ
ンなどが挙げられる。これらの中ではスチレン、α−メ
チルスチレンが好ましく、特に好ましくはスチレンであ
る。
【0006】本発明の水添ジエン系ゴム質重合体(イ)
に用いられる共役ジエン系(共)重合体としては、少な
くとも1個の下記ブロックAまたは下記ブロックCと、
少なくとも1個の下記ブロックBまたはブロックA/B
とを含んでなる共重合体、あるいはブロックBもしくは
A/Bによる(共)重合体が挙げられる。その具体的構
成は、 A;芳香族ビニル化合物ブロック B;共役ジエン系重合体ブロック A/B;芳香族ビニル化合物/共役ジエンのランダム共
重合体ブロック、 C;共役ジエンと芳香族ビニル化合物の共重合体からな
り、かつ芳香族ビニル化合物が漸減するテーパーブロッ
ク、とそれぞれ定義すると、次のような構造のものが挙
げられる。 a) A−B b) A−B−A c) A−B−C d) A−B1−B2 (ここでB1のビニル結合量は
好ましくは20%以上、B2のビニル結合量は20%未
満) e) B f) A/B g) A−A/B h) A−A/B−C i) A−A/B−A j) B2−B1−B2 (ここでB1,B2 は上記に同
じ) k) C−B l) C−B−C m) C−A/B−C n) C−A−B また、これらの基本骨格を繰り返し有する(共)重合体
を挙げることができ、さらにそれらをカップリングして
得られる共役ジエン系(共)重合体であってもよい。本
発明に用いることができる水添ゴム質重合体(イ)は上
記構造以外にもエチレン等のオレフィンブロックを有す
るものであってもよい。
【0007】上記d)A−B1−B2 の構造のものにつ
いては、特開平2−133406号公報、上記e)のB
及びf)のA/Bの構造のものについては、特開昭63
−127400号公報に示されている。また、上記g)
のA−A/B及びh)のA−A/B−Cの構造のものに
ついては、特開平2−305814号公報、特開平3−
72512号公報に示されている。
【0008】共役ジエン系(共)重合体中の芳香族ビニ
ル化合物/共役ジエンの割合は、重量比で通常0〜60
/100〜40であり、好ましくは0〜50/100〜
50であり、芳香族ビニル化合物を必須とする場合、好
ましくは10〜50/90〜50である。ここで、芳香
族ビニル化合物の含有量が60重量%を越えると樹脂状
となり得られる組成物の耐衝撃性が低下する。さらに、
共役ジエン系(共)重合体中の共役ジエン部分のビニル
結合量は、好ましくは10重量%以上、さらに好ましく
は20〜80重量%、特に好ましくは30〜60重量%
である。10重量%未満では、水添後の構造がポリエチ
レンに近くなり、一方60重量%を越えると水添後はゴ
ム的性質がていかする。
【0009】また、本発明で使用される水添ジエン系ゴ
ム質重合体(イ)は、好ましくは共役ジエン部分の二重
結合の少なくとも70%、さらに好ましくは90%以
上、特に好ましくは95%以上が水添されて飽和されて
いることが必要であり、70%以上とすることにより耐
熱性、耐候性が向上する。さらに、本発明で使用される
水添ジエン系ゴム質重合体(イ)は、数平均分子量が好
ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ま
しくは30,000〜300,000である。5、00
0未満では重合体がゴム状とならず液状となり、一方、
1,000,000を越えると加工性が低下する傾向が
ある。さらに、水添ジエン系ゴム質重合体(イ)の数平
均分子量との比(Mw/Mn)は好ましくは10以下で
あり、より好ましくは1.1〜7、さらに好ましく1.
2〜5である。
【0010】ゴム質重合体(イ)にグラフトさせる芳香
族ビニル化合物としては、前記したものを用いることが
でき、これらの芳香族ビニル化合物は、1種単独である
いは2種以上混合して用いられる。また、芳香族ビニル
化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、シア
ン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、マレ
イミド系化合物などがあげられ、これらは1種または2
種以上で使用される。シアン化ビニル化合物としてはア
クリロニトリル、メタクリロニトリル等があげられ、1
種または2種以上混合して用いられる。マレイミド系化
合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N
−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレ
イミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシル
マレイミドなどのα−またはβ−不飽和ジカルボン酸の
マレイミド系化合物が挙げられ、1種または2種以上で
使用される。
【0011】(メタ)アクリル酸エステルとしては、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアク
リレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、
ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレー
ト、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等の
アクリル酸エステル、メチルメタクリレート、エチルメ
タクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタク
リレート、アミノメタクリレート、ヘキシルメタクリレ
ート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメ
タクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシ
ルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェ
ニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどがあ
げられ、これらは1種または2種以上で使用される。好
ましい単量体成分の使用例としては、芳香族ビニル化
合物単独、芳香族ビニル化合物/(メタ)アクリル酸
エステル、芳香族ビニル化合物/ビニルシアン化合
物、芳香族ビニル化合物/(メタ)アクリル酸エステ
ル/ビニルシアン化合物、芳香族ビニル化合物/マレ
イミド化合物、芳香族ビニル化合物/ビニルシアン化
合物/マレイミド化合物等である。特にこの中でも、
の組み合わせが、着色性が向上し、特に好ましい。
【0012】各成分の使用割合は、ゴム質重合体5〜5
0重量%/上記単量体95〜50重量%、さらに好まし
くは、ゴム質重合体10〜45重量%/単量体90〜5
5重量%、特にこのましくはゴム質重合体15〜40重
量%/単量体85〜60重量%である。ゴム質重合体の
量が5重量%未満であると、耐衝撃性、成形品表面外観
が劣る。また、ゴム質重合体の量が50重量%を越える
と、耐薬疲労性が劣る。
【0013】ゴム質重合体へのグラフト率は通常7〜8
0%程度であり、好ましくは10〜70%、さらに好ま
しくは15〜60%であり、特に好ましくは20〜50
%である。ここでグラフト率とは、グラフト重合体(ゴ
ム変性スチレン系樹脂)のゴム量に対し、ゴムに直接グ
ラフト結合している重合体成分の割合をいう。このグラ
フト率は、重合開始剤、連鎖移動剤重合溶媒などの種類
や使用量、重合温度、乳化重合の場合は水や乳化剤の量
などを適宜選択することにより、調節することができ
る。グラフト率が上記範囲内であると、耐衝撃性、耐薬
疲労性、表面外観が優れる。グラフト率は、次の方法に
よって求められる。すなわち、ゴム変性スチレン系樹脂
1g(a)を25mlのメチルエチルケトン(MEK)
に溶解させ、この溶液から不溶解分(b)を遠心分離機
にて分離、乾燥し、不溶分を得る。グラフト率は次式に
より算出する。 グラフト率(%)={〔b−(a×ゴム変性スチレン系
樹脂中のゴム分率)〕/〔a×ゴム変性スチレン系樹脂
中のゴム分率〕}×100 また、(A)ゴム変性スチレン系樹脂のメチルエチルケ
トン可溶分の固有粘度[η](30℃メチルエチルケト
ン中)は0.2〜1dl/gが好ましく、より好ましく
は0.25〜0.8dl/g、さらに好ましくは0.3
〜0.7dl/gである。
【0014】本発明に使用される(A)ゴム変性スチレ
ン系樹脂は、乳化重合、溶液重合、懸濁重合などによっ
て製造される。また、この際、重合に用いれる重合開始
剤、分子量調節剤、乳化剤、分散剤、溶媒などとして
は、通常、これらの重合法で用いられるものをそのまま
用いることが可能である。 (A)ゴム変性スチレン系樹脂の製造方法の好ましい方
法としては、ゴム質重合体(イ)の存在下に、単量体成
分及び追加の乳化剤、重合開始剤を用い、一般に重合温
度30〜150℃、重合時間1〜15時間、重合圧力1
〜5kg/cm2の条件下でグラフト重合してグラフト
重合体(ただし、末グラフトの重合体を含む)を得る
か、該グラフト重合体と乳化重合もしくは溶液重合によ
り得られる単量体成分の(共)重合体とを混合すること
によって製造することができる。
【0015】本発明の(B)成分のポリオレフィン系樹
脂としてはエチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メ
チルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチル
ペンテン−1等のα−オレフィン単独重合体やこれらの
共重合体が挙げられる。(B)成分の代表例としては、
高密度、中密度、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポ
リエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等
のポリエチレン類、プロピレン単独重合体、プロピレン
−エチレンブロック共重合体あるいはランダム重合体、
プロピレン−エチレン−ジエン化合物共重合体等のポリ
プロピレン類、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテ
ン−1等を挙げることができる。これらの中で結晶性の
ポリエチレン及び結晶性ポリプロピレンが好ましく、特
に結晶性ポリプロピレンが好ましい。
【0016】結晶性のポリプロピレンとしては、例えば
結晶性を有するアイソタクチックプロピレン単独重合体
や、エチレン単位の含有量が少ないエチレン−プロピレ
ン共重合体からなる共重合部とから構成された、いわゆ
るプロピレンブロック共重合体として市販されている実
質上結晶性のプロピレンとエチレンとのブロック共重合
体、あるいはこのブロック共重合体における各ホモ重合
部または共重合部に、さらにブテン−1などのα−オレ
フィンを共重合したものからなる実質上結晶性のプロピ
レン−エチレン−α−オレフィン共重合体などが好まし
く挙げられる。これらのポリオレフィン樹脂は、メルト
インデックス(MI)が0.01〜60g/10min
にあるものが好ましく、0.01〜20g/10min
にあるものが特に好ましい。
【0017】本発明の(B)成分は前記のようなポリオ
レフィン樹脂を2種以上混合したものであっても良い。
また、得られる組成物の引張靱性及び耐衝撃性と、耐薬
品性バランスを考慮して、オレフィン系樹脂と前記ゴム
質重合体の混合物であっても良い。中でも結晶性ポリプ
ロピレンとエチレンプロピレンゴムの組み合わせが好ま
しい。これらを配合する場合の重量配合比(オレフィン
系樹脂/ゴム質重合体)は、機械的物性と耐薬品性との
バランスを考慮に入れて、100/0〜60/40が好
ましく、90/10〜70/30が特に好ましい。
【0018】(C)成分は、(メタ)アクリル酸エステ
ル単量体20〜100重量%およびこれと共重合可能な
他の単量体を共重合してなる(メタ)アクリル酸エステ
ル系樹脂である。本発明の(C)成分に用いられる(メ
タ)アクリル酸エステル、または共重合可能な単量体と
しては前記したものが使用できる。(C)成分における
(メタ)アクリル酸エステル/その他の共重合可能な単
量体の使用割合は20〜100重量%であり、好ましく
は30〜100重量%、さらに好ましくは40〜100
重量%である。本発明の(C)成分の(メタ)アクリル
酸エステルの使用割合が多いほど得られる成形品の着色
性、耐薬疲労性ともに向上する。(メタ)アクリル酸エ
ステルの使用割合が20重量%未満になると本発明の目
的である着色性の改良効果が小さい。
【0019】また、本発明の(C)成分は公知の重合法
である乳化重合、溶液重合、塊状重合、乳化−塊状重
合、乳化−溶液重合、懸濁重合などによって製造するこ
とができる。 (C)(メタ)アクリル酸系エステル系樹脂の固有粘度
〔η〕(30℃、メチルエチルケトン中)は好ましくは
0.2〜1dl/g、より好ましくは0.3〜0.9d
l/g、さらに好ましくは0.3〜0.8dl/gであ
る。固有粘度がこの範囲内であると得られる組成物の耐
衝撃性、成形品表面外観が優れる。
【0020】本発明の(D)成分は上記(A)〜(C)
以外の熱可塑性樹脂であり、種々のものが使用できる。
(D)成分の具体例としては、アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリ
ル−エチレン・プロピレン−スチレン樹脂(AES樹
脂)、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン樹脂
(MBS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−メタ
クリン酸メチル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−n
−ブチルアクリレート−スチレン樹脂(AAS樹脂)、
ゴム変性ポリスチレン(ハイインパクトポリスチレン;
HIPS)などのゴム変性スチレン系樹脂、アクリロニ
トリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、メチルメタクリレ
ート−スチレン樹脂(MS樹脂)、メチルメタクリレー
ト−スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−フェ
ニルマレイミド共重合体、スチレン−アクリロニトリル
−フェニルマレイミド共重合体、スチレン−メタクリル
酸共重合体などのスチレン系共重合体、塩化ビニル樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネ
ート、ポリフェニレンエーテル、ポリグルタルイミド、
ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマーな
どの熱可塑性樹脂が挙げられ、これらは1種または2種
以上で使用される。これらの中ではスチレン系樹脂が好
ましく、特にゴム変性スチレン系樹脂が好ましい。
【0021】ゴム変性スチレン系樹脂としては、(イ)
以外のゴム質重合体(ロ)の存在下に、芳香族ビニル化
合物、または芳香族ビニル化合物および芳香族ビニル化
合物と共重合可能な他のビニル単量体を共重合したもの
があげられる。上記ゴム変性スチレン系樹脂に用いられ
るゴム質重合体(ロ)としては、上記ゴム質重合体
(イ)以外のゴム質重合体であり、例えば、ポリブタジ
エン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体
(スチレン含有量5〜60重量%が好ましい)、スチレ
ン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエ
ン共重合体、アクリルゴム、ブタジエン−(メタ)アク
リル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、
エチレン系アイオノマー、エチレンープロピレン共重合
体、エチレンープロピレンージエン共重合体、エチレン
ープロピレンーブテン共重合体、エチレンーブテン共重
合体、エチレンーブテンージエン共重合体などが挙げら
れる。なお、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、
スチレン−イソプレンブロック共重合体には、AB型、
ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロック型の構造
を有するものが含まれる。
【0022】ゴム変性スチレン系樹脂に用いられる芳香
族ビニル化合物、及び共重合可能なビニ単量体として
は、前記したものが使用できる。それら単量体の中から
一つあるいは2つ以上を選んで使用することができる。
中でも(メタ)アクリル酸エステル単量体を共重合する
と、得られる組成物の着色性が向上するため好ましい。
ゴム変性スチレン系樹脂における各成分の好ましい使用
割合は、ゴム質重合体5〜70重量%/上記単量体30
〜95量%であり、さらに好ましくは、ゴム質重合体1
0〜60重量%/単量体40〜90重量%、特に好まし
くはゴム質重合体15〜55重量%/単量体45〜85
重量%である。ゴム質重合体の量がこの範囲内である
と、得られる組成物の耐衝撃性、耐薬疲労性、成形品表
面外観が優れる。
【0023】ゴム変性スチレン系樹脂のゴム質重合体へ
のグラフト率は好ましくは20〜120%程度であり、
さらに好ましくは30〜100%であり、特に好ましく
は35〜90%である。グラフト率がこの範囲内である
と得られる組成物の耐薬疲労性、耐衝撃性、成形品の表
面外観が優れる。また、ゴム変性スチレン系樹脂のメチ
ルエチルケトン可溶分の固有粘度[η](30℃メチル
エチルケトン中)は好ましくは0.2〜1dl/gであ
り、さらに好ましくは0.3〜0.9g/dl、特に好
ましくは0.35〜0.7dl/gである。固有粘度が
この範囲内であると、得られる組成物の耐衝撃性、耐薬
疲労性、成形品の表面外観が優れる。本発明に使用され
るゴム変性スチレン系樹脂は、乳化重合、溶液重合、懸
濁重合などによって製造される。また、この際、重合に
用いれる重合開始剤、分子量調節剤、乳化剤、分散剤、
溶媒などとしては、通常、これらの重合法で用いられる
ものをそのまま用いることが可能である。
【0024】本発明の熱可塑性樹脂における(A)成分
の使用量は5〜55重量%、好ましくは10〜50重量
%、特に好ましくは15〜45重量%である。その使用
量が5%未満では耐薬疲労性が劣り、55重量%を越え
ても耐薬疲労性が低下する。(B)成分の使用量は2〜
50重量%であり、好ましくは3〜40重量%、さらに
好ましくは5〜35重量%である。その使用量が2%未
満であると耐薬疲労性が劣り、50重量%を越えると着
色性が劣る。(C)成分の使用量は1〜70重量%であ
り、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは10
〜55重量%である。その使用量が1%未満であると着
色性、耐薬疲労性が劣り、70重量%を越えると耐衝撃
性が劣る。(D)成分の使用量は0〜50重量%であ
り、好ましくは2〜40重量%、さらに好ましくは5〜
30重量%である。その使用量が50重量%を越えると
着色性が劣る。
【0025】なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物にはガ
ラス繊維、炭素繊維、金属繊維、金属フレーク、ガラス
ビーズ、ワラストナイト、ロックフィラー、炭化カルシ
ウム、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ミルドファイ
バー、カオリン、硫酸バリウム、黒鉛、二硫化モリブデ
ン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸
カリウムウィスカー等の充填剤を、1種単独あるいは併
用して使用することができる。これらの充填剤のうち、
ガラス繊維、炭素繊維の形状としては、6〜60μmの
繊維径と30μm以上の繊維長を有するものが好まし
い。これらの充填剤は、本発明の組成物に対して、通
常、1〜200重量%、好ましくは、2〜150重量
%、さらに好ましくは5〜100重量%の範囲で用いら
れる。また、本発明の組成物には、公知の難燃剤、カッ
プリング剤、耐候剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤、帯
電防止剤、シリコンオイル、発泡剤などの添加剤を配合
することができる。また、本発明の組成物には、銀もし
くは銀化合物などの抗菌剤、また市販の防かび剤を配合
することにより、優れた抗菌、防かび性能を付与するこ
とができる。この抗菌剤、防かび剤の配合量は、本発明
の組成物に対し、0.01〜30重量%、好ましくは
0.05〜20重量%である。さらに本発明の組成物に
は、要求される性能に応じて他の重合体、例えばポリア
ミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、フッ
素樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネ
ート、ポリフェニレンエーテルなどを適宜ブレンドする
ことができる。
【0026】本発明の組成物は、各種押し出し機、バン
バリーミキサー、ニーダー、ロールなどを用い、各成分
を混練りすることによって得られる。好ましい製造方法
は、二軸押し出し機を用いる方法である。また、各成分
を混練りするに際しての添加方法としては、一括して添
加する方法でも、多段で添加する方法でもよい。多段添
加の方法としては(A)、(B)成分を最初に一括添加
し、(C)、(D)成分を後添加する方法、(A)、
(C)、(D)成分を一括添加し、(B)成分を後添加
する方法などが挙げられる。このようにして得られる本
発明の組成物は、射出成形、シート押し出し、真空成
形、異形押し出し成形、ブロー成形、発泡成形、射出プ
レス成形、ガス注入成形などによって、各種成形品に成
形することができる。上記成形法によって得られる本発
明の組成物は、その優れた性質を利用して、OA・家電
分野、電気・電子分野、雑貨分野、サニタリー分野、自
動車分野などの各種パーツ、ハウジング、シャーシーな
どに使用することができる。特に本発明の組成物は、そ
の優れた性質を利用して便座、便器、洗面器具などのサ
ニタリー用途に有用である。
【0027】
【実施例】以下に、本発明の実施例を挙げて説明する。
なお、実施例中、部および%は、特に断らない限りは重
量基準である。また、実施例中の各種評価は、以下のよ
うにして行った。耐衝撃性 島津製作所製高速落錘衝撃試験機サーボパルサEHF−
2H−20Lを用い50×80×2.4mm厚みの試験
片の破壊エネルギーを下記条件で測定した。試験片受け
台30φ、打撃棒先端12.7R、打撃速度2.4m/
s。成形品表面外観 着色性は各々の組成物にアントラキノン系の黒色染料
0.3部を添加し、得られた成形品の漆黒性を下記基準
で黙視判定した。 ◎:漆黒感が充分ある。 ×:やや白っぽくくすんでいる。耐薬疲労性 JIS K7119のII号形試験片に準じた試験片を
用いた。ただし、平行部の長さは30mm,巾は13m
m、厚さは3.2mmのものを用いた。この試験片の平
行部に薬品を塗布し、下記条件で疲労試験を行い、破綻
にいたるまでの繰り返し回数を測定した。 ●疲労試験機:二連サーボ式疲労試験機(東京試験機製
作所製、引張り疲労試験) ●周波数:15HZ ●荷重:70kg ●薬品:エステー化学製パワーズ
【0028】ポリマーの調整 水添ゴム質重合体(イ) 本発明の(A)成分に用いら
れる重合体としては表1に示すものを使用した。ゴム変性スチレン系樹脂(A)−1〜3 前記ゴム質重合体(イ)−1〜3の存在下に、各単量体
をグラフト重合して得た。これらの重合体組成を表2に
示す。なお、いずれのグラフト重合体も溶液重合により
得た。ポリオレフィン系樹脂(B) 以下の4種を用いた。 (B)−1 三菱化学製ポリプロピレン BC6C (B)−2 徳山曹達製ポリプロピレン SH−152 (B)−3 三菱化学製ポリエチレン HJ−390 (B)−4 エチレン−プロピレン共重合体(プロピレ
ン含量22%)
【0029】(メタ)アクリル酸エステル系樹脂(C)
−1 乳化重合により表2に示す組成のものを得た。ゴム質重合体(ロ)−1 表1に示すゴム質重合体を使用した。ゴム変性スチレン系樹脂(D)−1〜4 前記ゴム質重合体(ロ)ー1〜2の存在下に、各単量体
をグラフト重合して(D)−1〜2を得た。これらの重
合体組成を表2に示す。なお、いずれのグラフト重合体
も乳化重合により得た。また、溶液重合により表2に示
す組成の(D)−3〜4を得た。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】実施例、比較例 上記各種重合体を表3〜4に示した配合割合で混合し、
二軸押出機でバレル設定温度220〜250℃で溶融混
練し、ペレット化した。ペレットを充分に乾燥した後、
射出成形機を用い、シリンダー設定温度220℃、金型
温度50℃で試験片を作製し、前記評価方法で評価し
た。評価結果を表3、4に示す。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】表3から明らかなように本発明によって得
られた実施例1〜7の組成物は、耐衝撃性、着色性、耐
薬疲労性に優れている。これに対し、表4からは次のよ
うなことが分かる。比較例1は(A)成分が本発明の範
囲外で少ない例であり、耐薬疲労性に劣る。比較例2は
(A)成分が本発明の範囲外で多い例であり、耐薬疲労
性が劣る。比較例3は(B)成分が本発明の範囲外で多
い例であり、着色性に劣る。比較例4は(B)成分が本
発明の範囲外で少ない例であり、耐薬疲労性に劣る。比
較例5は(C)成分が本発明の範囲外で少なく、着色
性、耐薬疲労性に劣る。比較例6は(C)成分が本発明
の範囲外で多く、耐衝撃性が劣る。
【0036】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂は、耐薬疲労性、
耐衝撃性に優れ、かつ成形品表面外観(着色性)に優れ
ており、広範囲な用途、例えば、自動車の内装・外装の
各種部品、OA・家電分野、電気・電子分野、雑貨分
野、サニタリー分野などの各種パーツ、ハウジング、シ
ャーシなどに使用し得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 33/06 LJD C08L 33/06 LJD 51/04 LKY 51/04 LKY 55/02 LME 55/02 LME LMF LMF 101/00 LSY 101/00 LSY

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)水添ジエン系ゴム質重合体(イ)5
    〜50重量%の存在下に、芳香族ビニル化合物、または
    芳香族ビニル化合物および芳香族ビニル化合物と共重合
    可能な他のビニル単量体を共重合してなるゴム変性スチ
    レン系樹脂5〜55重量%、 (B)ポリオレフィン系樹脂2〜50重量%、 (C)(メタ)アクリル酸エステル単量体20〜100
    重量%およびこれと共重合可能な他の単量体を共重合し
    てなる(メタ)アクリル酸エステル系樹脂1〜70重量
    %、 (D)(A)〜(C)以外の熱可塑性樹脂0〜50重量
    %を含有してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成
    物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009035691A (ja) * 2007-08-03 2009-02-19 Mitsubishi Chemicals Corp 黒色樹脂組成物および樹脂成形体

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JP2009035691A (ja) * 2007-08-03 2009-02-19 Mitsubishi Chemicals Corp 黒色樹脂組成物および樹脂成形体

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