JPH1045783A - ヒドロキシクロマン誘導体リン酸エステルの製造方法 - Google Patents
ヒドロキシクロマン誘導体リン酸エステルの製造方法Info
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- JPH1045783A JPH1045783A JP19883196A JP19883196A JPH1045783A JP H1045783 A JPH1045783 A JP H1045783A JP 19883196 A JP19883196 A JP 19883196A JP 19883196 A JP19883196 A JP 19883196A JP H1045783 A JPH1045783 A JP H1045783A
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Abstract
(57)【要約】
【解決課題】 腐食性化合物を発生せず、また、除去に
手間や経費を要する不純物を発生させない、トコフェロ
ール類化合物のリン酸エステルおよび/またはその塩の
効率的な製造方法の提供。 【解決手段】 トコフェロール類化合物と五酸化リンを
非水溶媒中で反応させた後加水分解し、所望によりさら
にアルカリで処理することによる、次式(II) 【化1】 (式中、R1 、R2 及びR3 は、各々独立してメチル基
または水素原子を表わし、RはC16H33またはC16Η27
を表わす。)で示されるトコフェロール類化合物のリン
酸エステルまたはその塩の製造方法。
手間や経費を要する不純物を発生させない、トコフェロ
ール類化合物のリン酸エステルおよび/またはその塩の
効率的な製造方法の提供。 【解決手段】 トコフェロール類化合物と五酸化リンを
非水溶媒中で反応させた後加水分解し、所望によりさら
にアルカリで処理することによる、次式(II) 【化1】 (式中、R1 、R2 及びR3 は、各々独立してメチル基
または水素原子を表わし、RはC16H33またはC16Η27
を表わす。)で示されるトコフェロール類化合物のリン
酸エステルまたはその塩の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒドロキシクロマ
ン誘導体のリン酸エステル誘導体および/またはその薬
理的に許容される塩の製造方法、特に、化粧品原料、飼
料添加剤等として有用な、トコフェロールもしくはトコ
トリエノールのリン酸エステルおよび/またはその薬理
的に許容される塩の製造方法に関する。
ン誘導体のリン酸エステル誘導体および/またはその薬
理的に許容される塩の製造方法、特に、化粧品原料、飼
料添加剤等として有用な、トコフェロールもしくはトコ
トリエノールのリン酸エステルおよび/またはその薬理
的に許容される塩の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】トコフェロールおよびトコトリエノール
【化4】 (式中、R1 、R2 及びR3 は、各々独立してメチル基
または水素原子を表わし、Rは、(i) トコフェロールで
は
または水素原子を表わし、Rは、(i) トコフェロールで
は
【化5】 (ii)トコトリエノールでは、
【化6】 を表わす。)は、ビタミンE活性を有する代表的な化合
物である。
物である。
【0003】これらの化合物(以下、トコフェロ−ル類
化合物という。)は、クロマン核上の水酸基が酸化され
やすいため、そのままでは活性が低下しやすいという問
題がある。また、トコフェロ−ル類化合物は脂溶性であ
るが、リン酸化することにより水に溶解することができ
る。そこで、水酸基をリン酸エステル化する方法が採ら
れている。
化合物という。)は、クロマン核上の水酸基が酸化され
やすいため、そのままでは活性が低下しやすいという問
題がある。また、トコフェロ−ル類化合物は脂溶性であ
るが、リン酸化することにより水に溶解することができ
る。そこで、水酸基をリン酸エステル化する方法が採ら
れている。
【0004】一般に、有機ヒドロキシ化合物のリン酸エ
ステル製造方法としてはオキシ塩化リンを用いる方法が
知られている(例えば、特開昭50-64226号)。トコフェ
ロール類化合物についても、オキシ塩化リンとトコフェ
ロール類化合物とを反応させ、次いでアルカリまたは酸
性条件下加水分解し、さらに必要に応じてアルカリ金属
水酸化物で中和することにより、リン酸エステルおよび
/またはそのアルカリ金属塩が製造されている。しか
し、この反応では化学量論量の塩化水素が不可避的に生
成する。また、そのトラップ剤としてピリジンあるいは
トリエチルアミン等の三級アミンを共存させることが必
要であった。そのため、(1) 塩化水素による製造装置の
腐食が生じる、(2) 反応生成物から未反応トラップ剤を
除去しなければならず製造工程が煩雑になる、(3) トラ
ップ剤と塩化水素との反応で化学量論量生成する塩類の
処理に手間とコストがかかる、という欠点を有してい
る。
ステル製造方法としてはオキシ塩化リンを用いる方法が
知られている(例えば、特開昭50-64226号)。トコフェ
ロール類化合物についても、オキシ塩化リンとトコフェ
ロール類化合物とを反応させ、次いでアルカリまたは酸
性条件下加水分解し、さらに必要に応じてアルカリ金属
水酸化物で中和することにより、リン酸エステルおよび
/またはそのアルカリ金属塩が製造されている。しか
し、この反応では化学量論量の塩化水素が不可避的に生
成する。また、そのトラップ剤としてピリジンあるいは
トリエチルアミン等の三級アミンを共存させることが必
要であった。そのため、(1) 塩化水素による製造装置の
腐食が生じる、(2) 反応生成物から未反応トラップ剤を
除去しなければならず製造工程が煩雑になる、(3) トラ
ップ剤と塩化水素との反応で化学量論量生成する塩類の
処理に手間とコストがかかる、という欠点を有してい
る。
【0005】高級アルコール類のリン酸エステル化につ
いては、他のリン酸化剤、例えば五酸化リンと水あるい
は(ポリ)リン酸との組み合わせを用いる方法も知られ
ている(例えば、特公昭41-14416号、特公昭 42-6730
号、特開昭62-33190号、特開平7-316170号、特開平 8-9
2263号等)。しかし、これらの方法ではジエステル(ジ
アルキルホスフェート)が相当程度副生する上、脂溶性
の高い原料を用いる場合には反応工程が複雑になるとい
う問題があった。以上のことから、トコフェロール類化
合物について、腐食性物質あるいは除去に手間を要する
不純物の発生を伴わなず、かつ効率的なリン酸エステル
製造方法が切望されていた。
いては、他のリン酸化剤、例えば五酸化リンと水あるい
は(ポリ)リン酸との組み合わせを用いる方法も知られ
ている(例えば、特公昭41-14416号、特公昭 42-6730
号、特開昭62-33190号、特開平7-316170号、特開平 8-9
2263号等)。しかし、これらの方法ではジエステル(ジ
アルキルホスフェート)が相当程度副生する上、脂溶性
の高い原料を用いる場合には反応工程が複雑になるとい
う問題があった。以上のことから、トコフェロール類化
合物について、腐食性物質あるいは除去に手間を要する
不純物の発生を伴わなず、かつ効率的なリン酸エステル
製造方法が切望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、トコフェロール類化合物のリン酸エステル化におい
て、腐食性化合物を発生させることなく、また、除去に
手間や経費を要する不純物を発生させずに、トコフェロ
ールリン酸エステルおよび/またはそのアルカリ金属塩
を効率的に製造する方法を提供することにある。
は、トコフェロール類化合物のリン酸エステル化におい
て、腐食性化合物を発生させることなく、また、除去に
手間や経費を要する不純物を発生させずに、トコフェロ
ールリン酸エステルおよび/またはそのアルカリ金属塩
を効率的に製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題解決の手段】発明者等は上記課題を解決するべく
鋭意研究を行った結果、トコフェロール類化合物は非水
溶媒中、五酸化リンのみと容易に反応し、その後の加水
分解、必要に応じてさらにアルカリ金属水酸化物等によ
る中和反応により、高純度のリン酸エステルおよび/ま
たはそのアルカリ金属塩等を製造できることを見出し、
本発明を完成するに至った。
鋭意研究を行った結果、トコフェロール類化合物は非水
溶媒中、五酸化リンのみと容易に反応し、その後の加水
分解、必要に応じてさらにアルカリ金属水酸化物等によ
る中和反応により、高純度のリン酸エステルおよび/ま
たはそのアルカリ金属塩等を製造できることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は以下のトコフェロール
類化合物のリン酸エステルとその薬理的に許容できる塩
の製造方法を提供するものである。 (1) 次式(I)
類化合物のリン酸エステルとその薬理的に許容できる塩
の製造方法を提供するものである。 (1) 次式(I)
【化7】 (式中、R1 、R2 及びR3 は、各々独立してメチル基
または水素原子を表わし、RはC16H33またはC16Η27
を表わす。)で示されるヒドロキシクロマン誘導体と五
酸化リンとを非水溶媒中で反応させた後、加水分解する
ことを特徴とする、次式(II)
または水素原子を表わし、RはC16H33またはC16Η27
を表わす。)で示されるヒドロキシクロマン誘導体と五
酸化リンとを非水溶媒中で反応させた後、加水分解する
ことを特徴とする、次式(II)
【化8】 (式中、符号は上記と同じ意味を表わす。)示されるヒ
ドロキシクロマン誘導体リン酸エステルの製造方法。
ドロキシクロマン誘導体リン酸エステルの製造方法。
【0009】(2) ヒドロキシクロマン誘導体1モル
に対して0.5 〜5モルの五酸化二リンを用いる前記1に
記載のリン酸エステル製造方法。 (3) 五酸化リンとヒドロキシクロマン誘導体との反
応を20〜110℃で行なう前記1または2に記載のリ
ン酸エステル製造方法。 (4) 前記1〜3のいずれかに記載の方法によりヒド
ロキシクロマン誘導体をリン酸エステルに転化した後、
さらに塩基と反応させて次式(III):
に対して0.5 〜5モルの五酸化二リンを用いる前記1に
記載のリン酸エステル製造方法。 (3) 五酸化リンとヒドロキシクロマン誘導体との反
応を20〜110℃で行なう前記1または2に記載のリ
ン酸エステル製造方法。 (4) 前記1〜3のいずれかに記載の方法によりヒド
ロキシクロマン誘導体をリン酸エステルに転化した後、
さらに塩基と反応させて次式(III):
【化9】 (式中、2個のMはともに1価の陽イオンを表わすか、
Mの一方が1価の陽イオンを他方が水素原子を表わす。
または、Mは(1/2) M′2+(M′2+は2価の陽イオン)
を表わす。)で示される薬理的に許容されるリン酸塩を
製造する方法。 (5) 塩基がアルカリ金属水酸化物である前記4に記
載のリン酸塩の製造方法。
Mの一方が1価の陽イオンを他方が水素原子を表わす。
または、Mは(1/2) M′2+(M′2+は2価の陽イオン)
を表わす。)で示される薬理的に許容されるリン酸塩を
製造する方法。 (5) 塩基がアルカリ金属水酸化物である前記4に記
載のリン酸塩の製造方法。
【0010】以下、本発明についてさらに詳しく説明す
る。本発明で原料に使用されるトコフェロール類化合物
は次式 (I)
る。本発明で原料に使用されるトコフェロール類化合物
は次式 (I)
【化10】 (式中の記号は前述の通り。)で示される化合物であ
り、上述の通り、トコフェロールおよびトコトリエノー
ルを含む。トコフェロールは、α−トコフェロール(R
1 =R2 =R3 =CH3 )、β−トコフェロール(R1
=R3 =CH3 かつR2 =H)、γ−トコフェロール
(R1 =R2 =CH3 ,R3 =H)等のいずれでもよ
い。トコトリエノールもα−トコトリエノール、β−ト
コトリエノール、γ−トコトリエノール等のいずれでも
よい。これらの中では、実用上α−トコフェロールが好
ましい。なお、トコフェロール類化合物は合成品のほ
か、天然品(光学活性品)も知られているが、本発明に
おいてはd体、l体、dl体のいずれを用いてもよい。
り、上述の通り、トコフェロールおよびトコトリエノー
ルを含む。トコフェロールは、α−トコフェロール(R
1 =R2 =R3 =CH3 )、β−トコフェロール(R1
=R3 =CH3 かつR2 =H)、γ−トコフェロール
(R1 =R2 =CH3 ,R3 =H)等のいずれでもよ
い。トコトリエノールもα−トコトリエノール、β−ト
コトリエノール、γ−トコトリエノール等のいずれでも
よい。これらの中では、実用上α−トコフェロールが好
ましい。なお、トコフェロール類化合物は合成品のほ
か、天然品(光学活性品)も知られているが、本発明に
おいてはd体、l体、dl体のいずれを用いてもよい。
【0011】式(I)で示されるトコフェロール類化合
物を非水溶媒中、五酸化リン(P2O5 )と反応させ、
次いで加水分解することにより、そのリン酸エステルを
製造できる。五酸化リンは、トコフェロール類化合物1
モルに対して好ましくは0.5 〜5モル用いる。0.5 モル
未満では当量に満たない。5モルを超えて用いても反応
収率に変化はない。1〜3モルの使用が、より好まし
い。反応は非水溶媒中で行なう。非水溶媒は水酸基やア
ミノ基等の活性水素基を有しない非反応性の有機溶媒で
あれば特に限定されない。例えば、n−へキサンのよう
なアルカン類、べンゼン、トルエン等の芳香族類、ジエ
チルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−
ブチルエーテル等のエーテル類、塩化メチレン、クロロ
ホルム、四塩化炭素等のハロアルカン類等の非反応性溶
媒を用いることができる。反応は20〜110℃の範囲
の温度で行われる。20℃以下では反応の進行が緩慢で
ある。110℃を超えると着色、分解等が起こる場合が
ある。反応時間は3〜8時間、好ましくは2〜6時間で
ある。
物を非水溶媒中、五酸化リン(P2O5 )と反応させ、
次いで加水分解することにより、そのリン酸エステルを
製造できる。五酸化リンは、トコフェロール類化合物1
モルに対して好ましくは0.5 〜5モル用いる。0.5 モル
未満では当量に満たない。5モルを超えて用いても反応
収率に変化はない。1〜3モルの使用が、より好まし
い。反応は非水溶媒中で行なう。非水溶媒は水酸基やア
ミノ基等の活性水素基を有しない非反応性の有機溶媒で
あれば特に限定されない。例えば、n−へキサンのよう
なアルカン類、べンゼン、トルエン等の芳香族類、ジエ
チルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−
ブチルエーテル等のエーテル類、塩化メチレン、クロロ
ホルム、四塩化炭素等のハロアルカン類等の非反応性溶
媒を用いることができる。反応は20〜110℃の範囲
の温度で行われる。20℃以下では反応の進行が緩慢で
ある。110℃を超えると着色、分解等が起こる場合が
ある。反応時間は3〜8時間、好ましくは2〜6時間で
ある。
【0012】以上の操作を行った後に、加水分解を行な
う。加える水の量は反応溶液と等容程度でよい。反応温
度は20℃〜反応液の加熱還流温度、好ましくは50〜
110℃の範囲であり、反応時間は30〜10時間、好
ましくは1〜6時間である。
う。加える水の量は反応溶液と等容程度でよい。反応温
度は20℃〜反応液の加熱還流温度、好ましくは50〜
110℃の範囲であり、反応時間は30〜10時間、好
ましくは1〜6時間である。
【0013】このようにして得られた式(II)で示され
るトコフェロールリン酸エステルは、毒性が低く、その
まま化粧品原料、飼料添加剤等に使用できるが、所望に
より有機溶媒または水−有機溶媒の混合溶媒中で、塩基
を混合することにより薬理的に許容される塩に変換する
ことができる。塩を構成する陽イオンの種類は特に限定
されないが、例えば、ナトリウム、カリウム等の金属塩
が挙げられる。塩を形成する場合、式(II)で示され
る、トコフェロールリン酸エステルを有機溶媒、好まし
くは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2
−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2
−メチル−1−プロパノール等のアルコールに溶解して
おく。溶媒量はトコフェロールリン酸エステル重量の4
分の1から5倍量が望ましい。調整した溶液中にトコフ
ェロールリン酸エステル1モルに対し、例えば0.5 〜2
モルの水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ
金属水酸化物を水または有機溶媒、好ましくは、メタノ
ール、エタノール等のアルコール溶解させたものを滴下
することで塩に変換できる。滴下する水酸化物の濃度は
トコフェロール類化合物の分解を防ぐためには希薄なほ
ど好ましいが、反応の進行を考慮して、通常は1〜5規
定とする。滴下時の温度は0〜50℃、好ましくは10
〜30℃である。
るトコフェロールリン酸エステルは、毒性が低く、その
まま化粧品原料、飼料添加剤等に使用できるが、所望に
より有機溶媒または水−有機溶媒の混合溶媒中で、塩基
を混合することにより薬理的に許容される塩に変換する
ことができる。塩を構成する陽イオンの種類は特に限定
されないが、例えば、ナトリウム、カリウム等の金属塩
が挙げられる。塩を形成する場合、式(II)で示され
る、トコフェロールリン酸エステルを有機溶媒、好まし
くは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2
−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2
−メチル−1−プロパノール等のアルコールに溶解して
おく。溶媒量はトコフェロールリン酸エステル重量の4
分の1から5倍量が望ましい。調整した溶液中にトコフ
ェロールリン酸エステル1モルに対し、例えば0.5 〜2
モルの水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ
金属水酸化物を水または有機溶媒、好ましくは、メタノ
ール、エタノール等のアルコール溶解させたものを滴下
することで塩に変換できる。滴下する水酸化物の濃度は
トコフェロール類化合物の分解を防ぐためには希薄なほ
ど好ましいが、反応の進行を考慮して、通常は1〜5規
定とする。滴下時の温度は0〜50℃、好ましくは10
〜30℃である。
【0014】
【実施例】以下に実施例を挙げて具体的に説明するが、
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例1 五酸化リン11.2g(0.079 モル)を、トルエン100m
lを予め加えておいたフラスコに投入し、そこへ400
mlのトルエンにα−トコフェロール34g(0.079 モ
ル)を溶解させた溶液を加えた。加え終った後に、加熱
還流下4時間反応させた。反応後、400mlの水を加
え4時間加熱還流し、加水分解を行なった。有機層と水
層を分離後、有機層を400mlの水で洗浄し、無水硫
酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥後、エバポレーターに
て濃縮乾固させ、褐色のオイル35gを得た。
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例1 五酸化リン11.2g(0.079 モル)を、トルエン100m
lを予め加えておいたフラスコに投入し、そこへ400
mlのトルエンにα−トコフェロール34g(0.079 モ
ル)を溶解させた溶液を加えた。加え終った後に、加熱
還流下4時間反応させた。反応後、400mlの水を加
え4時間加熱還流し、加水分解を行なった。有機層と水
層を分離後、有機層を400mlの水で洗浄し、無水硫
酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥後、エバポレーターに
て濃縮乾固させ、褐色のオイル35gを得た。
【0015】実施例1で得られたオイル全量を2−プロ
パノール120mlに完全に溶解させた。そこへ、Na
OH 3.5gを30m1のメタノールに溶解させた溶液を
加えた。室温で1時間撹拌を続けて反応させた後、生じ
た沈澱物を濾取し、750mlのメタノールに溶解さ
せ、しかる後200mlまで減圧濃縮した。この濃縮液
にアセトンを滴下し、白色沈澱を析出させ、アセトンで
洗浄後減圧乾燥させることにより白色粉末29.4gを得
た。 融点:160〜170℃(分解); IR:1250、1171、1112cm-1。
パノール120mlに完全に溶解させた。そこへ、Na
OH 3.5gを30m1のメタノールに溶解させた溶液を
加えた。室温で1時間撹拌を続けて反応させた後、生じ
た沈澱物を濾取し、750mlのメタノールに溶解さ
せ、しかる後200mlまで減圧濃縮した。この濃縮液
にアセトンを滴下し、白色沈澱を析出させ、アセトンで
洗浄後減圧乾燥させることにより白色粉末29.4gを得
た。 融点:160〜170℃(分解); IR:1250、1171、1112cm-1。
【0016】このようにして合成したトコフェロールリ
ン酸エステル・ナトリウム塩の赤外線吸収スペクトルの
吸収パターンおよび吸収波数は、オキシ塩化リンを用い
た製造方法により製造したトコフェロールリン酸エステ
ル・ナトリウム塩と誤差範囲内で一致したことから、本
発明の方法を用いた製造法でもトコフェロールリン酸エ
ステルナトリウム塩が得られることが確認された。
ン酸エステル・ナトリウム塩の赤外線吸収スペクトルの
吸収パターンおよび吸収波数は、オキシ塩化リンを用い
た製造方法により製造したトコフェロールリン酸エステ
ル・ナトリウム塩と誤差範囲内で一致したことから、本
発明の方法を用いた製造法でもトコフェロールリン酸エ
ステルナトリウム塩が得られることが確認された。
【0017】実施例2 五酸化リン17.0g(0.12モル)をトルエン100mlを
あらかじめ加えておいたフラスコに投入し、そこへ40
0mlのトルエンにα−トコトリエノール34g(0.07
9 モル)を溶解させた溶液を加えた。加え終わった後
に、加熱還流下5時間反応させた。反応後、400ml
の水を加え4時間加熱還流し、加水分解を行なった。実
施例1と同様に分離し、ナトリウム塩とし、乾燥してα
−トコトリエノールリン酸エステル・ナトリウム塩を3
4g得た。
あらかじめ加えておいたフラスコに投入し、そこへ40
0mlのトルエンにα−トコトリエノール34g(0.07
9 モル)を溶解させた溶液を加えた。加え終わった後
に、加熱還流下5時間反応させた。反応後、400ml
の水を加え4時間加熱還流し、加水分解を行なった。実
施例1と同様に分離し、ナトリウム塩とし、乾燥してα
−トコトリエノールリン酸エステル・ナトリウム塩を3
4g得た。
【0018】
【発明の効果】 本発明の製造法では、従来行なわれて
いるオキシハロゲン化リン法と異なり、ハロゲン化水素
が発生しないために製造装置の腐食が抑えられる。ま
た、ハロゲン化水素トラップ剤(三級アミン)を用いな
いため、未反応トラップ剤の除去工程やハロゲン化水素
とトラップ剤との反応により生じる三級アミンのハロゲ
ン化水素塩の処理工程が不要である。さらに、製造工程
も簡略で済み、低コストで高純度な目的物を効率的に得
ることができるという利点が有る。
いるオキシハロゲン化リン法と異なり、ハロゲン化水素
が発生しないために製造装置の腐食が抑えられる。ま
た、ハロゲン化水素トラップ剤(三級アミン)を用いな
いため、未反応トラップ剤の除去工程やハロゲン化水素
とトラップ剤との反応により生じる三級アミンのハロゲ
ン化水素塩の処理工程が不要である。さらに、製造工程
も簡略で済み、低コストで高純度な目的物を効率的に得
ることができるという利点が有る。
Claims (5)
- 【請求項1】 次式(I) 【化1】 (式中R1 、R2 及びR3 は、各々独立してメチル基ま
たは水素原子を表わし、RはC16H33またはC16Η27を
表わす。)で示されるヒドロキシクロマン誘導体と五酸
化リンとを非水溶媒中で反応させた後、加水分解するこ
とを特徴とする、次式(II) 【化2】 (式中の記号は上記と同じ意味を表わす。)で示される
ヒドロキシクロマン誘導体リン酸エステルの製造方法。 - 【請求項2】 ヒドロキシクロマン誘導体1モルに対し
て0.5 〜5モルの五酸化リンを用いる請求項1に記載の
リン酸エステル製造方法。 - 【請求項3】 五酸化リンとヒドロキシクロマン誘導体
との反応を20〜110℃で行なう請求項1または2に
記載のリン酸エステル製造方法。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の方法に
よりヒドロキシクロマン誘導体をリン酸エステルに転化
した後、さらに塩基と反応させて次式(III) 【化3】 (式中、2個のMはともに1価の陽イオンを表わすか、
Mの一方が1価の陽イオンを他方が水素原子を表わす。
または、Mは(1/2) M′2+(M′2+は2価の陽イオン)
を表わす。)で示される薬理的に許容されるリン酸塩を
製造する方法。 - 【請求項5】 塩基がアルカリ金属水酸化物である請求
項4に記載のリン酸塩の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19883196A JPH1045783A (ja) | 1996-07-29 | 1996-07-29 | ヒドロキシクロマン誘導体リン酸エステルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19883196A JPH1045783A (ja) | 1996-07-29 | 1996-07-29 | ヒドロキシクロマン誘導体リン酸エステルの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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1996
- 1996-07-29 JP JP19883196A patent/JPH1045783A/ja active Pending
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