JPH1044363A - 凹版製造方法及びこれに使用される凹版印刷装置 - Google Patents

凹版製造方法及びこれに使用される凹版印刷装置

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JPH1044363A
JPH1044363A JP8203580A JP20358096A JPH1044363A JP H1044363 A JPH1044363 A JP H1044363A JP 8203580 A JP8203580 A JP 8203580A JP 20358096 A JP20358096 A JP 20358096A JP H1044363 A JPH1044363 A JP H1044363A
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cell
laser
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JP8203580A
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Sei Yamauchi
聖 山内
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製版時にセル形状を任意に制御し得る凹版製
造方法及び凹版印刷装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 レーザビームを用い樹脂製版シートに対
して印画画像の各ドットに対応するセルを形成する凹版
製造方法であって、ドット深さ及びドット面積を夫々変
化させて、ドット深さ及びドット面積の組み合わせによ
る印刷結果を集めた印刷不良発生状況判別標本を作成
し、上記印刷不良発生状況判別標本に基づいて、各階調
に対して良好な印刷が可能なドット深さの値及びドット
面積の値を決定し、製版の際、画像データの各ドットに
対して、該ドットの階調に対応して上記印刷不良判別標
本により決定された良好な印刷が出来るドット深さの値
及びドット面積の値を用いて製版する諸工程を包含して
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラビア印刷に用
いて好適な凹版製造方法及びこれに使用される凹版印刷
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、印刷には多くの印刷方法が提
案され、版には凸版,平版,孔版等が用いれている。こ
の内、特に印刷部数の多い場合で、紙に写真の映像等を
高速印刷するために凹版が用いられている。
【0003】凹版の製造法としては、散粉グラビア法、
写真技術とエッチング技術によるコンベンショナルグラ
ビア法、アミグラビア法(直接法,間接法)、例えばダ
イヤモンド等の彫刻針で版を彫刻するような機械彫刻法
等のような種々の方法が提案されている。典型的な従来
技術として、コンベンショナルグラビア法による製版工
程に付いて、図6を用いて説明する。このコンベンショ
ナルグラビア法は、シリンダー製版、印刷工程における
ドクターブレードの採用及び輪転印刷方式等のグラビア
の特徴とされているプロセスを全て取り入れた方法であ
り、これを開発したカール・クリッチはグラビアの創始
者と呼ばれている。
【0004】コンベンショナルグラビア法の製版工程
は、先ず最初に、図6Aに示すように、カーボンティッ
シュ(carbon tissue )83への感光性付与工程を行
う。即ち、特別な厚い紙ベース81にゼラチン膜を付
け、重クロム酸塩で感光化して感光膜82を形成する。
【0005】次に、図6Bに示すように、露光工程にお
いて、グラビア用白線スクリーン84と連続階調ポジ8
5を重ねて、カーボンティシュ83へ二重露光する。露
光部分のゼラチンは光硬化する。この連続階調ポジ85
は、実際には、写真や絵をもとに陰画を作り、この陰画
をもとに作った透明陽画のフィルムである。
【0006】次に、図6Cに示すように、転写工程にお
いて、このカーボンティシュ83を銅シリンダ87上に
移す。即ち、円筒状の版胴86の表面に厚く銅鍍金(銅
メッキ)を施した銅膜(銅シリンダ)87の表面をアル
コールでぬらして、カーボンティッシュ83の感光膜8
2を密着させて、巻き付ける。
【0007】次に、図6Dに示すように、現像工程にお
いて、光硬化しなかったゼラチンを温湯中で溶出させ
る。銅シリンダ87上に連続状に光硬化ゼラチンのレリ
ーフが出来る。即ち、カーボンティッシュ83を温度4
0°C前後の湯に浸すと、感光していない未硬化のゼラ
チンは溶けて感光した網目と連続階調ポジ85による感
光の度合いとに応じたゼラチンを残す。
【0008】次に、図6Eに示すように、エッチング工
程において、レリーフに塩化第二鉄水溶液(FeCl3
)を作用させ、凹部の版面における面積が同じで深さ
が変わるようなエッチングを行う。溶液のゼラチンレリ
ーフ浸透拡散による間接エッチングである。
【0009】次に、図6Fに示すように、クロムメッキ
工程において、耐刷力を増すため、版面にクロムをメッ
キする。
【0010】次に、印刷工程に移る。図7Aに示すよう
に、こうして出来上がった銅シリンダ87の一部を溶剤
型インキ溜88に浸し、ドクターブレード89で余分な
インキを掻き落とす。ドクターブレード89は、鋭いナ
イフ状部材であり、銅シリンダ87の版面に圧着されて
いるので版面に形成された多数の凹部に充填されたイン
キ以外の余分なインキを掻き落とす。
【0011】なお、この凹部を、「セル(cell)」とも
称し、また印刷時には点状に現れるので「ドット」と称
し、また、マクロでみるとドットが網状に見えるので
「網点」とも称している。なお、1ドット当たりのセル
個数は必ずしも1個ではなく、複数個存在することもあ
るが、これに関しては後述する。
【0012】図7Bに示すように、版胴86を、印刷さ
れる紙90を版胴86の版面に圧着させ、紙90にイン
キ91を吸着させる。この吸着されたインキ91は、版
胴の版面に形成されたセルの深さによって濃度が異なる
ことになる。即ち、深いセルには比較的多量のインキが
充填されているので濃く、浅いセルには比較的少量のイ
ンキしか充填されていないので薄く印刷されることとな
る。
【0013】オフセット等の平版印刷は、ドットの面積
の単位面積内に占める比率(網点面積率)のみで階調を
表現している。これに対して、グラビア印刷等の凹版印
刷は、上述のように、ドットの面積のみならずその深さ
(セル深度)を変化させることで階調を表現している。
これにより、平版印刷に比較して、凹版印刷は豊かな階
調表現力を持ち、また元々、凹版印刷は印刷装置の構造
が簡単である等の特徴も有している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の凹版印
刷の製版技術は、そのセル生成手段が、写真技術とエッ
チング技術によって版に孔状の食刻部を形成するもので
あったり、ダイヤモンド等の彫刻針で版に彫刻するもの
であったりするため、個々のセルの形状は採用する製版
法のセル形成手段によって一義的に決定される。即ち、
セル面積及びセル深度で特定されるセル形状を任意に制
御することは困難である。
【0015】ダイヤモンド彫刻針を使用する方法は、セ
ル形状はダイヤモンド彫刻針の先端形状によって定ま
り、それ以外のセル形状を形成することは出来ない。同
様に、エッチングを利用する方法も、エッチングされる
形状を任意所望の形状に制御することは出来ない。
【0016】図8Aに示したように、製版後の凹版の印
刷工程では、版にインキを塗布し、版に塗布したインキ
の内の不要な分を刃形状のドクターブレード89で掻き
取ることにより、セル内に必要なインキを満たし、また
余分なインキを掻き落としている。その後、この版を紙
に押圧して、セルの集合によって形成された画像を紙に
転写している。
【0017】このような転写工程において、印刷された
画像の濃度はセルに満たされたインキの量で決まり、ま
た、セルに満たされたインキの量は、セル体積(空所体
積)に略等しくなるはずである。しかし、実際には、種
々の原因により、印刷された画像の濃度は必ずしもセル
体積だけでは決まらない。即ち、セル内に満たされたイ
ンキの液表面は平面でないことが多いこと、版のセル以
外の部分(通常、「土手の部分」と称している。)の表
面にも掻き取られなかったインキが残存していること、
紙に転写される前にインキの一部が乾燥硬化する場合が
あること、セル内に満たされたインキの全部が紙に転写
されずにその一部が版に残ってしまうこと、等の種々の
原因により、セル体積だけでは印刷物の濃度は決まらな
い。
【0018】更に、ドクターブレードの掻き取りが局所
的に不均一になることにより、印刷物に「キレスジ」現
象と呼ばれている欠陥(印刷不良の1種)が発生するこ
とがある。本発明者は、何回かの実験を通してキレスジ
現象の発生を検討した結果、キレスジ現象の発生は、版
胴セルの土手部分の上に残留した余分なインキが何らか
の形で関係していることを発見した。即ち、土手部分に
インキが乗っていない場合、撥水性のある紙に転写され
たインキからなるドットは、表面張力現象により個別的
に不連続に存在する。しかし、土手部分に残留インキが
乗っていると、紙に転写されたドットは、隣接するドッ
ト間が一瞬にして相互につながり連続してしまう。
【0019】微視的(ミクロ)に見た場合、1つの版に
おいて、連続したドット及び不連続のドットの両方が混
在することは、現状の製版技術では止むえないことであ
る。この場合、連続したドットの集合のみが存在する領
域でも、或いは不連続な個々に独立したドットの集合の
みが存在する領域でも、印刷不良は発生しないことが判
明した。同様に、連続したドットと不連続なドットと
が、無作為に(ランダムに)発生しても、人間の目にキ
レズジとして映らない。連続したドットの領域と不連続
なドットの領域とが、局所的に連続してちらつき状に又
はゆらいだ状態で(wobbling)繰り返し存在した場合
に、キレスジの発生につながり、印刷不良の発生となる
ことが判明した。
【0020】その後の確認実験により、キレスジの発生
した箇所のセル形状を詳細に分析してみると、キレスジ
の発生とセル形状(即ち、セル面積とセル深度の組み合
わせ)との間には、相関関係があることが確認された。
【0021】しかし、上述したように、現状の製版技術
では、予め定められた値のセル面積とセル深度とを持つ
版を製作することは困難であるため、セル形状を制御す
ることにより、キレズジの発生を低減することは出来な
い。
【0022】そこで、上述した問題点に鑑み、本発明
は、高画質の印刷物が得られる凹版製造方法及び凹版印
刷装置を提供することを目的とする。
【0023】更に、本発明は、製版時にセル形状を任意
に制御し得る凹版製造方法及び凹版印刷装置を提供する
ことを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明に係る凹版製造方
法は、レーザビームを用い樹脂製版シートに対して印画
画像の各ドットに対応するセルを形成する凹版製造方法
であって、ドット深さ及びドット面積を夫々変化させ
て、ドット深さ及びドット面積の組み合わせによる印刷
結果を集めた印刷不良発生状況判別標本を作成し、上記
印刷不良発生状況判別標本に基づいて、各階調に対して
良好な印刷が可能なドット深さの値及びドット面積の値
を決定し、製版の際、画像データの各ドットに対して、
該ドットの階調に対応して上記印刷不良判別標本により
決定された良好な印刷が出来るドット深さの値及びドッ
ト面積の値を用いて製版する諸工程を包含している。
【0025】更に本発明に係る凹版印刷装置は、少なく
とも印画データが蓄積された画像メモリ及び該印画デー
タに基づき版シートに対してレーザを照射してセルの集
合を形成するレーザビーム駆動手段を有する凹版印刷装
置であって、上記画像メモリから出力される印画データ
を、上記レーザビーム駆動手段を駆動するデータに変換
する非線形データ変換手段を備え、該非線形データ変換
手段によって該印画データの各々に対して印刷品質良好
なセルを形成するレーザビーム照射条件が設定される。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施例に関
し、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、
図面中、同一の要素には、同一の符号を付して、重複し
た説明を省略する。なお、以下の説明において、版胴の
回転方向を主走査方向(Y方向)といい、レーザビーム
の走査方向を副走査方向(X方向)という。
【0027】最初に本実施例の概要を述べると、本実施
例は、版として合成樹脂製シートを使用し、セル形成に
レーザビームを利用している。レーザビーム照射手段
に、レーザ照射時間及びレーザ強度(レーザパワー)を
制御する手段を設けることにより、個々のセル毎に、レ
ーザ照射時間によりセル面積を制御し、レーザ強度によ
りセル深度を制御している。このように、セル面積及び
セル深度が、それぞれ独立して制御され、製版時に、任
意所望のセル面積とセル深度の組み合わせを持つ版を製
造することが可能となる。
【0028】ここで、任意のセル面積とセル深度の組み
合わせは無数の組み合わせが成り立ち、換言すれば自由
度が高い。本発明の特徴の1つは、この高い自由度を利
用して、各階調に対して、多数ある組み合わせの内から
画像品質等の観点から判断して、最適なセル面積とセル
深度の組み合わせを選択して割り当てる点にある。更に
本発明の別の特徴の1つは、各階調に最適なセル面積と
セル深度の組み合わせを割り当てる手段が、数式や物理
特性を利用して行われるのではなく、実際に印刷した結
果に基づき、全ての階調に対して真に最適な組み合わせ
を任意所望に選択し、割り当てる点にある。
【0029】[本実施例で採用するセル形状]図1は、
本実施例で採用する、版(「版シート」ともいう。)2
に形成されたセル5の形状を説明するための夫々のセル
断面形状を模式的に示した図である。ここで、図1A乃
至Dは、本実施例で形成することが出来るセル形状を説
明する図であり、図1E及びFは比較のための従来技術
のセルの形状を示す図である。また、各々の図は、上下
方向に3種類のセル形状を示しているが、一番上のセル
形状は階調が低いとき、真ん中のセル形状は階調が中間
値のとき、一番下のセル形状は階調が高いときをそれぞ
れ示している。階調、即ち濃度は、セル深さ(セル深
度)に比例する。
【0030】図1Eに示すセル形状は、従来技術により
ダイヤモンド彫刻針で形成されるセル形状であり、断面
形状は比較的単純な形状を保ったまま、階調が高くなる
にしたがって、セル断面形状も相似形のまま拡大してい
る。セル5はダイヤモンド彫刻針を押圧しながら振動さ
せて形成するため、セル形状はダイヤモンド彫刻針の先
端形状によって決まる。図1Fは、従来技術によりエッ
チング工程で形成されるセル形状であり、同様に、階調
が高くなるにしたがって、セル形状は相似形で拡大して
いる。このように、従来技術においては、階調が相違し
ても、セル断面形状は相似形に留まり、異なる形状を実
現することは出来ない。
【0031】これに対して本実施例のセル形状は、例え
ば図1Aに示すように、階調が高くなるにしたがって、
セル断面形状が必ずしも低階調時のセル断面形状の相似
形を維持していない特徴を有する。典型的には、図1B
で分かるように、低階調時には単一の矩形凹部が形成さ
れているが、高階調時には一部分に突起を有する幅広い
凹部が形成されている。図1C及びDに関しても同様な
ことが言える。このように、本実施例のセル断面形状
は、階調が高くなるにしたがって、相似形を維持する必
要はなく、夫々の階調で最適と判断されるセル形状を任
意に選択することが出来る。
【0032】[セル形状の選択]本発明者は、最適なセ
ル形状(即ち、最適なセル面積及びセル深度)を決定す
るため、セル面積とセル深度を夫々変化させて、キレス
ジの発生状況を確認する印刷不良発生状況判別標本を作
成した。図2は、セル断面形状として箱型(横長矩形形
状)を採用した場合の印刷結果である。尚、印刷不良発
生に関係すると思われる他の要因、例えばインキの粘
度,版の撥水性,ドクターブレードの掻き速度,ドクタ
ーブレードによる掻き工程から紙への転写までの時間,
周囲温度・湿度等は、これまでの知見に基づき最良の値
に固定し、判別標本を作成した。
【0033】図2の判別標本において、横軸はドット深
度(セル深度)であり、図でみて左から右に向かって深
度は深くなる。このドット深度は、セル形成のためのレ
ーザの出力を0〜1.53〔W〕に亘って変化させるこ
とにより制御している。このレーザ出力の変化範囲で
は、実際のセルを測定してみると深さ0〜7〔μm〕程
度となっていた。縦軸はセル面積であり、図でみて下か
ら上に向かって面積は大きくなる。セル面積の単位は、
レーザ照射時間を変えて測定したセル開口率(セル面積
/全版面積)で表し、2〜65〔%〕に亘って変化させ
ている。レーザ照射時間とセル面積の関係は、セルの幅
寸法はレーザビームの形状によって定まる一定幅だが、
レーザビームは一定速度で走査されており、照射時間に
対応してセルの長さ寸法がその分だけ延び、セルの長さ
寸法を変化させることによりセル面積を変化させてい
る。
【0034】図2は、多数の正四角形状から出来ている
が、この正四角形状の各単位区画(「カラーパッチ」と
も呼ぶ。)の各々は、多数の同一セル形状(即ち、同一
セル面積及び同一セル深度)の集合から出来ている。ち
なみに、1つのセルは平均約60〔μm〕程度であり、
各単位区画(カラーパッチ)は約120×120個程度
の同一形状のセルの集合からなる。
【0035】各単位区画は、左下に位置する単位区画が
最小セル面積で且つ最小セル深度(セル開口率2
〔%〕,レーザ強度0〔W〕)を持つセルの集合によっ
て印刷された結果であり、最低濃度を実現している。こ
の最低濃度の単位区画から上に向かって移動するにした
がってセル深度は一定のままでセル面積のみが大きくな
る。また、この最低濃度の単位区画から右に向かって移
動するにしたがってセル面積は一定のままでセル深度の
みが深くなる。右上に位置する単位区画が、最大セル面
積で且つ最大セル深度(セル開口率65〔%〕,レーザ
強度1.53〔W〕)を持つセルの集合によって印刷さ
れた結果であり、最高濃度を実現している。
【0036】この判別標本により、図2の右側下半分あ
たりに位置する単位区画に亘ってドクター・キレスジと
呼ばれる印刷不良が集中して発生しているのが判明し
た。キレスジの発生しているカラーパッチの印刷条件
は、採用できない。しかし、この判別標本中には、同じ
濃度のカラーパッチが複数個存在する。同じ濃度であれ
ば、印刷物にした場合にはいずれの条件で印刷しても人
間の目には同じに見えるため、同じ濃度のカラーパッチ
の内からいずれの条件のカラーパッチを選択するかは自
由である。印刷した各カラーパッチから濃度を決定する
のは、濃度計を用いて人手で行う。図2において、全て
のカラーパッチの濃度を測定した結果を見ると、あたか
も地図の等高線のように、同じ濃度のカラーパッチが等
濃度線を描きながら分布している。
【0037】次に、或る特定の濃度に対して、印刷不要
の発生していないカラーパッチを選択することにより、
その特定濃度に対するキレスジ等の印刷不良が発生しな
い最適なドット面積の値及びドット深度の値を決定する
ことが出来る。このように、各階調毎に、順次、印刷不
良が発生するセル形状を避けて、印刷品質良好なセル形
状(セル面積及びセル深度)を選択して割り当てること
により、全ての階調に亘って良好な印刷条件を設定する
ことが出来る。
【0038】1つの方法として、この判別標本において
左下の単位区画の最低濃度のセルから右上の単位区画の
最高濃度のセルまでを、ドクターキレスジが発生してい
る領域を避けながら連続曲線で結び、この連続曲線に位
置する単位区画のセル形状(セル面積及びセル深度)を
特定することにより、最低濃度から最高濃度に至るまで
の各階調毎のセル形状が決定し得る。
【0039】尚、このカラーパッチと実際の印刷物の印
画画像との関係を検討してみると、印画画像においても
極めて小さい面積で濃度が急激に変化していることは比
較的少なく、大部分の場合には漸進的に濃度が変化して
いる。従って、実際の印刷物も多くはこのカラーパッチ
の組み合わせから出来ていると考えることが出来る。ま
た、今回の実験では、カラーパッチのサイズは1種類の
みで行ったが、濃度変化が激しい特殊な印画画像を専門
に印刷する場合には、必要に応じて、カラーパッチのサ
イズを変化させて、各階調に対して最良のセル形状を特
定してもよい。また、C,M,Y,BKの色の相違(即
ち、使用するインキの特性)によって、印刷不良の発生
するセル形状が異なる可能性もある。従って、必要に応
じて、色の相違によって、各階調に対して最良のセル形
状を特定してもよい。
【0040】本実施例の特徴を、従来の技術との比較に
おいて説明すると、従来技術ではセル面積とセル深度の
組み合わせは直線的に変化し、両者は一方が定まると、
他方は一義的に定まってしまう。例えば、セル面積が丁
度中間値であったとすると、この時のセル深度は一義的
に決定され、他の値をとることはない。同様に、セル深
度が定まると、その時のセル面積は一義的に決定してし
まう関係にある。以上のことは、図2の判別標本に当て
はめてみると、最低濃度の単位区画と最高濃度の単位区
画を結ぶ1本の線上に位置するセル形状しか実現出来な
いことを意味している。
【0041】従来技術に対して、本実施例のセル形状
は、例えば同一のセル面積に対してセル深度が最大値か
ら最小値まで任意に選択することが可能であり、同様に
同一のセル深度に対してセル面積が最大値から最小値ま
で任意に選択し得ることにある。このような状況下にお
いては、特定の階調に対して、セル形状選択の自由度が
非常に広い。従って、簡単に言えば、図に示した最低濃
度セルから最高濃度セルまでを、キレスジ発生領域を回
避しながら、任意の連続曲線で接続することが可能であ
れば、全ての階調において良好な印刷品質のなセル形状
を決定することが出来るのである。
【0042】尚、連続曲線と説明したが、最低濃度セル
から最高濃度セルに向かって任意の曲線を引き、何処か
でキレスジ発生単位区画(セル)にぶつかりそうになっ
た時、その直前の単位区画(セル)と同じ階調を有する
他の単位区画(セル)に飛んで、その単位区画(セル)
からまた最高濃度セルに向かって任意の曲線を引くこと
を繰り返し、最終的に最高濃度セルに到達すれば、全て
の階調に亘ってセル形状の決定は出来る。判別標本の中
には同一の階調のセルが相互に離れた位置に複数個存在
する場合もあるからである。
【0043】図2に示した判別標本は、上述したよう
に、セル断面形状として箱型(横長矩形形状)を採用し
た場合の印刷結果である。必要に応じて、これと同様な
判別標本を、典型的な他のセル断面形状(例えば、図1
A乃至Dのいずれかの形状等)に関しても作成し、夫々
のセル断面形状に対して最適な印刷が可能なセル形状を
決定することが出来る。階調が低から高に進むにつれ
て、セル形状は相似形である必要はなく、全ての階調の
各々に対して印刷良好なセル形状を特定できればよいか
らである。
【0044】また、同一版上に異なるセル形状のセルを
採用することにより、次に説明するような利益も挙げら
れる。濃度が高い領域はセル内に多量のインキを溜込ん
でおり印画したドットは連続し易く、反対に濃度が低い
領域はインキの量が少ないため印画したドットは不連続
になることが多い。上述したように、印刷不良は連続ド
ット領域と不連続ドット領域の境界部で発生し易い。従
って、後者の領域(不連続ドット領域)を強制的に前者
の領域(連続ドット領域)にすることにより、印刷不良
の発生を減少することが可能となる。
【0045】具体的には、濃度の低いドットのセルに対
して、例えば図1Bに示すような、1つのドット内で堰
を形成して2個以上のセルを形成した場合には、個々の
セル容積が比較的小さくなると共に隣接するセルの間隙
が狭くなることから、印刷された隣接するドットが容易
に連続し易い。この現象を利用して、印刷不良の発生を
回避するため、濃度が低い1つのドットを2個以上のセ
ルで形成することにより、強制的にドットが連続する領
域に変化させて、隣接する濃度が高い領域との間で、印
刷不良が発生しないようにすることもできる。
【0046】[製版装置の要部ブロック図]図3は製版
装置の要部ブロック図を示す図であり、上側に示す図3
Aのブロック図は本実施例に係る印刷装置の要部ブロッ
ク図であり、下側に示す図3Bのブロック図はこれと比
較するための従来技術による印刷装置のブロック図であ
る。
【0047】(本実施例に係るブロック図)先ず、本実
施例に係る図3Aのブロック図は、1画面分の画像情報
が蓄積された画像メモリであるデータRAM32と、こ
のデータRAMから1ライン分の画像データを1ドット
(1画素)毎に読み出し、画素毎に画像データの濃度を
対応する階調データに変換する階調修正手段63と、階
調修正された画像データに対して、その階調に対応した
最適セル面積を選択し決定するする面積テーブルを持つ
セル面積テーブル記憶手段64と、階調修正された画像
データに対して、その階調に対応した最適セル深度を選
択し決定するする深度テーブルを持つセル深度テーブル
記憶手段65と、これらセル面積テーブル記憶手段64
及びセル深度テーブル記憶手段65から出力されたディ
ジタル形式のセル面積及びセル深度のデータを、アナロ
グ形式に変換するディジタル−アナログ変換手段(DA
C)66と、これらアナログ形式に変換されたセル面積
値に従ってレーザ照射時間を制御し且つセル深度値に従
ってレーザ出力(レーザパワー)を制御し得るレーザ制
御手段36と、レーザ制御手段によって制御されるレー
ザ照射手段(「レーザブロック」ともいう。)21とを
備えている。この内、階調修正手段63,面積テーブル
記憶手段64及び深度テーブル記憶手段65を、ガンマ
テーブル34と総称する。
【0048】ここで、セル面積テーブル記憶手段64及
びセル深度テーブル記憶手段65は、適当な容量(例え
ば、512KB程度)の不揮発性RAM(随意読出可能
記憶装置)又はROM(読出専用記憶装置)を利用し
て、この中にセル面積テーブル及びセル深度テーブルを
蓄積している。実施例では、濃度は256階調(8ビッ
ト)で表現し、セル面積はレーザ走査時間の関数で10
24段階のデータで表現し、この1024段階で表現さ
れた面積に対して各段階毎にセル深度は256通りのレ
ーザ出力が割り当てられるようになっている。
【0049】即ち、セル面積はレーザ走査方向1024
の段階によって決定され、レーザビームは、例えばセル
面積が中間の面積512段階の場合には512の各タイ
ミングで、逐次的に256通りの内のどの深さであるか
を特定して間欠的に出力する。従って、例えば図1Bに
示すような、1つのドットをレーザ走査方向に関してセ
ル断面形状で見ると、セル深さがレーザ走査方向に異な
るセル形状も容易に形成できる。なお、ここで述べたよ
うなセル形状に関しては、電気的に或いは理論的に10
24通りのセル面積で、1つのセル内で例えばレーザ走
査方向の各段階毎に512通りの逐次的なセル深さを持
つセルが形成できることを意味しているが、実際問題と
してこれだけの種類のセル形状が実現できるか否かは別
である。しかし、少なくともこれに概略対応したセル形
状が得られることもまた事実である。
【0050】従って、セル面積テーブル記憶手段64及
びセル深度テーブル記憶手段65により、特定のセル形
状が決定できるので、両者を合わせてセル形状形成手段
として把握し得る。
【0051】尚、図3に示すセル面積テーブル,セル深
度テーブル及びDAC手段に入力される周波数数MHz
の発振クロック69は、ディジタル−アナログ変換手段
(DAC)66のタイミングのクロックである。また、
セル面積テーブル記憶手段64及びセル深度テーブル記
憶手段65に入力される形状設定信号70は、セル断面
形状を設定する信号である。形状設定信号70は、勿
論、全ての階調に亘ってセル断面形状を特定することも
可能であるが、実際問題としてそこまで細かく規定しな
くても本発明の効果は充分に得られるので、実際は次の
ようにセル断面形状を特定している。即ち、図3に示す
印刷不良発生状況判別標本をいくつかの区分(実施例で
は、20個程度)に分割し、各分割区分中から代表的カ
ラーパッチを選択して最適セル断面形状を特定し、特定
されたセル断面形状をその区分に属するカラーパッチの
セル断面形状としてもよい。
【0052】或いは、カラーパッチを階調順に並べたと
きに隣接する代表的カラーパッチ間の各カラーパッチの
セル断面形状は、隣接する代表的カラーパッチのセル断
面形状に基づく補間作業により計算して特定することも
出来る。この場合、印刷装置の電源をONにしたとき
に、これら代表的カラーパッチ以外のカラーパッチに関
しては、濃度が近い隣接する代表的カラーパッチの断面
形状に基づき補間により求めた断面形状を最適断面形状
として近似し、不揮発性RAMに全ての階調に亘って特
定したセル断面形状を蓄積してもよい。なお、印刷試行
の手間を惜しまなければ、全ての濃度に対して印刷試行
して、各階調に対応する最適セル断面形状を特定して不
揮発性RAMに蓄積することも、勿論可能である。いず
れにしても、これら形状設定信号70は、例えば、上述
した不揮発性RAM又はROMの中に全ての階調に対応
した形で格納されている。
【0053】(従来技術のダイヤモンド彫刻針を使用し
た製版装置のブロック図)比較のために示した従来技術
の製版装置の図3Bのブロック図は、データRAM32
からの画像データを階調修正する階調修正手段63と、
階調修正された画像データをアナログ形式の信号に変換
するディジタル−アナログ変換手段(DAC)66と、
このアナログ変換された画像データにしたがってダイヤ
モンド彫刻針を版胴に押圧・振動して画像の画素に対応
したセルを形成する彫刻針駆動手段67とを備えてい
る。
【0054】この従来技術では、階調表現は、1セル毎
に1回だけ画像データに対応して振動強度を変化させ
て、階調の差を表現している。このため、図1Eで説明
したように、特定の階調に対してセル形状は一義的に決
定してしまう。
【0055】これに対して、本実施例では、1画素毎に
画像データに対応する最適セル面積及び最適セル深度を
選択して、これらの値に基づきレーザを発光させて印刷
不良の生じないセル形状を形成している。なお、所望に
より、セル形状は単一のものでなく、図1A乃至Dに示
したような種々の形状のものから採択できる。また、必
要に応じて、1ドット内に複数のセルを設けることも出
来る。
【0056】[凹版製造動作] (タイミングチャート)図4及び図5は、この凹版印刷
装置による凹版製造動作を説明するためのタイミングチ
ャートである。予め注意しておきたいのは、ここでは図
を簡単にするために、製版時における版胴回転数は10
回転とし、セル深度は深度ゼロを含めて4通りと単純化
して説明する。
【0057】図4Aは、製版装置の動作状態を示してい
る。装置の電源をONにした後、版胴が加速されて定速
回転状態に達して、開始時点ts で印刷装置が動作可能
な状態になる。所定の製版状態を維持し、終了時点te
で製版を終了して、版胴を減速し停止状態に至る。この
時点ts からte 迄の製版期間で、版胴が10回転する
ものと仮定する。実際の製版には、膨大な回転数を必要
とするのであるが、ここでは図4を簡単にするため10
回転とし、10ラインの絵を形成するものとする。
【0058】図4Bは、製版開始Y位置信号を示す。製
版区間内に10ラインの製版を開始するタイミングを示
し、1つの版に対してパルス信号y1 からy10のタイミ
ングで副走査方向に1画素ずつ変位した10周のライン
が形成される。この製版開始Y位置信号は、例えば、版
胴回転速度5〔rpm〕の時、200〔msec〕のパ
ルスである。
【0059】図4Cは、図4Bの製版開始Y位置信号の
タイミングで立ち上がる製版ライン区間信号を示す。製
版ライン区間信号は、1周期で1ライン分のセルを形成
しており、論理ハイ(ON)の時は1ライン分(版胴1
周分)の製版ドット(セル)を形成し、論理ロー(OF
F)の時は休止期間であり、版シートを版胴に係止して
いるチャッキングプレートがレーザビーム照射領域を通
過する。
【0060】図4Dは、製版ドット区間信号を表してい
る。図4Cに示す製版区間信号ハイの時、1ラインに形
成すべきセルの個数の信号が発生され、これに対応して
セル加工用レーザビームが発せられる。
【0061】図4Eは、製版ライン区間信号であり、同
じ図4C製版ライン区間信号の1周期を拡大したもので
ある。1周期は1ライン分に相当し、論理ハイの部分は
版胴1回転で形成されるセルの形成期間であり、論理ロ
ーの部分はいわゆる版胴の版を係止するチャタリングプ
レートがレーザ照射領域を通過するためレーザ照射を休
止している期間に相当する。
【0062】図5Eは、図4Eの信号と同じである。
【0063】図5Fは、製版ドット区間信号であり、図
5Eの製版ライン区間信号の論理ハイの部分の区間内
に、1ラインで形成すべきセル個数だけ論理ハイとな
り、これに応じてセルが形成される。
【0064】図5Gは、製版ドット区間信号を示し、図
5Fの製版ドット区間信号の1周期を拡大したものであ
る。製版ドット区間信号は、セル毎のセル面積を制御す
る信号であり、論理ハイの部分は1セルを形成する期間
に相当し、例えばセル面積が最大の面積率65%ではこ
の期間は14〔μsec〕に相当する。論理ローの部分
は、いわゆる土手の部分に相当する。
【0065】図5Hと図5Iは、2ビットからなる製版
データを示し、図4Hは上位ビットであり図4Iは下位
ビットである。製版データはセル深度を制御する信号で
あり、(11),(10),(01),(00)の4種類で深か
ら浅のセル深度を特定している。なお、(00)はセル深
度ゼロである。尚、この製版データを2ビットとしたの
は図面を簡単にするためであり、上述した実施例では8
ビットで表され、セルは256通りのセル深度で特定さ
れる。
【0066】図5Jは、製版データ選択値であり、図H
及びIに対応してこれによりセル深度が特定される。製
版データ(11)は最高深度のセル選択値3,(10)は
2,(01)は1,(00)は0を夫々示している。
【0067】図5Kは、1つのセルのレーザ走査方向
(副走査方向)のセル断面形状を示したものである。図
5Jのセル選択値が電圧値に変換されて、変換された電
圧値によってレーザパワーが決定され、セル断面形状が
出来上がる。
【0068】[凹版印刷装置の全体ブロック]最後に、
以上説明したような凹版印刷装置の全体ブロックに付い
て説明する。図6の凹版印刷装置のブロックの内、上述
の本実施例(図3A参照)と直接関係があるのはCPU
30,ガンマテーブル34,データRAM32,レーザ
制御手段36の部分及びレーザブロック21であるた
め、その他の部分に関しては簡単に説明する。
【0069】(画像データ)この凹版印刷装置全体の動
作を制御するマイクロコンピュータ(CPU)30が備
えられている。CPU30には、製版すべき画像データ
が蓄積されたデータRAM32と、ガンマテーブル34
とが接続されている。ガンマテーブル34は、図に示し
ていないが、図3Aに示した階調修正手段と、セル面積
テーブルと、セル深度テーブルとを有する。更に、形状
設定信号を発するセル形状を蓄積したRAMをも有す
る。データRAM32に蓄積された画像データは、カラ
ー印刷の場合は、例えば、C(シアン),M(マゼン
タ),Y(イエロー),BK(ブラック)のディジタル
画像データである。凹版印刷装置は、C,M,Y,BK
の各色毎に、版シート2を作成する。CPU30は、デ
ータRAM32より画像データを読み取り、ガンマテー
ブル34に送る。ガンマテーブル34は、データRAM
32から読み出された画像データに基づいて、画素毎に
レーザ照射時間及びレーザ強度、そして必要に応じてセ
ル断面形状を決定し、これらのデータをDAC(図示せ
ず)を介してレーザ制御手段36に送る。
【0070】(主走査方向制御関係ブロック)主走査方
向制御関係のブロック要素として、CPU30に接続さ
れた版胴回転用モータドライバ38と、この版胴回転用
モータドライバに接続された版胴回転用モータ7と、版
胴1の軸に接続された主走査エンコーダ4と、チャッキ
ングプレート検出回路18と、主走査エンコーダに接続
されたDSP制御回路40等とを有する。
【0071】チャッキングプレート検出回路18は、版
胴1に版(版シート)2を係止するキャッチングプレー
ト3がレーザビーム照射領域(焦点位置)を通過する期
間を表すチャッキングプレート検出信号をDSP制御回
路40に送る。同時に、主走査エンコーダ4は、版胴1
の主走査方向の角度信号をレーザブロック移動用モータ
ドライバ42及びCPU30に送っている。
【0072】(副走査方向制御関係ブロック)副走査方
向制御関係のブロック要素として、レーザブロック移動
用モータドライバ42と、レーザブロック移動用モータ
24と、副走査エンコーダ23等とを有している。CP
U30からレーザブロック移動用モータドライバに対し
て、版胴1が1回転する毎にレーザブロック移動パルス
が送られ、レーザブロック移動用モータドライバ42は
レーザブロック移動用モータ24に副走査方向移動信号
を出力して、レーザブロック21を副走査方向に1画素
分だけ移動する。レーザブロック21の副走査位置は、
副走査エンコーダ23により検出され、レーザブロック
位置信号がCPU30に送り返される。
【0073】この凹版印刷装置では、版シート2加工用
の高出力レーザビームと、この高出力レーザビームの自
動焦点合わせのために採用された比較的低出力のオート
フォーカス用レーザビームとの2つのレーザビーム源が
用いられている。これら2つのレーザビームは、AF駆
動ブロック14内のPBS55において合成されてい
る。
【0074】(版加工用レーザ関係ブロック)版加工用
レーザ関係のブロック要素として、レーザ制御手段36
と、レーザブロック21の内の製版LD(レーザダイオ
ード)ブロック12と、同じくAF(オートフォーカ
ス)駆動ブロック14等とを有する。CPU30からの
版加工用レーザビーム発光パルスが高出力LDAPC回
路36に送られ、高出力LDAPC回路36からのレー
ザ発光信号が製版LDブロック12に送られ、製版LD
ブロック12から発せられる版加工用高出力レーザがA
F駆動ブロック14を通って版胴1に巻かれた版シート
2に向かって照射される。
【0075】版加工用高出力レーザビームの出力調整用
として、製版LDブロック12内に高出力LD(レーザ
ダイオード)用FM(フロントモニタ)のPD(フォト
ダイオード)54が設けられている。
【0076】(オートフォーカス関係ブロック)オート
フォーカス関係のブロック要素として、レーザブロック
21の内のAF(オートフォーカス)駆動ブロック14
と、同じくAF(オートフォーカス)検出ブロック16
と、非点収差マトリクス回路44と、DSP制御回路4
0と、検出用LDAPC(レーザダイオード自動出力制
御)回路46と、高周波変調回路48等とを有してい
る。AF検出ブロック14の検出用LD(レーザダイオ
ード)56から発せられたオートフォーカス用レーザビ
ームは、AF駆動ブロック14を通って、版胴1に巻か
れた版シート2に到達して、ここで反射して同じルート
を戻ってAF検出ブロック16のNPBS(非偏光ビー
ムスプリッタ)58に戻る。
【0077】オートフォーカス用ビームとして、レーザ
ビームの一部はNPBS58で反射して非点収差マトリ
クス回路44で、FE(フォーカスエラー)信号及びR
F(レファレンス)信号を算出し、これらの信号がDS
P制御回路40に送られる。DPP制御回路40は、こ
れらの信号に基づきフォーカスエラー量を算出し、これ
に基づきレンズ位置移動信号をレンズ駆動回路20に送
り、レンズ位置駆動回路20はレンズ位置移動信号に対
応してムービングコイル(MC)71を付勢して、OL
(対物レンズ)52のレンズ位置をジャストフォーカス
の位置に調整する。これが対物レンズのフォーカスサー
ボ系である。
【0078】また、オートフォーカス用レーザビームの
出力強度調整用として、AF検出ブロック16内の検出
LD用FM(フロントモニタ)のPD(フォトダイオー
ド)59が設けられている。
【0079】高周波変調回路48は、オートフォーカス
検出用ビーム戻り光雑音を抑えるためのものである。
【0080】(レーザブロック)次に、レーザブロック
21内部の各要素に関して簡単に説明する。レーザブロ
ック21は、大別して、製版LD(レーザダイオード)
ブロックと、AF(オートフォーカス)駆動ブロック1
4と、AF(オートフォーカス)検出ブロック16とを
有する。
【0081】(製版LDブロック)製版LDブロック2
1は、加工用高出力レーザを発する高出力LD(レーザ
ダイオード)10と、CL(コリメータレンズ)50
と、ANM(アナモルフィックプリズム)51と、高出
力LD用フロントモニタ用のPD54とを有している。
【0082】高出力LD10から発させられた版加工用
レーザビームは、CL50でコリメートされたレーザビ
ームは、ANM(アナモルフィックプリズム)51に入
射する。
【0083】PBS(偏光ビームスプリッタ)55は、
入射P偏光を透過し又は入射S偏光を角度90度方向に
反射するよう作用する。ANM51からのP偏光レーザ
ビームはPBS55を透過して、OL52に向かう。O
L(対物レンズ)52は、PBS55からのP偏光レー
ザビームの光線束をCG(カバーガラス)53を通っ
て、版胴1に取り巻かれた版シート2上に収束して、版
シート2に所定の凹部(セル)を形成する。
【0084】(AF駆動ブロック及びAF検出ブロッ
ク)AF(オートフォーカス)駆動ブロック14は、P
BS(偏光ビームスプリッタ)55と、OL(対物レン
ズ)52と、CG(カバーガラス)53と、OL(対物
レンズ)52と、CG(カバーガラス)53を版方向に
遠近方向に駆動するMC(移動用コイル)71とを有し
ている。
【0085】AF(オートフォーカス)検出ブロック1
6は、オートフォーカス用レーザビームを発する検出用
LD(レーザダイオード)56と、CL(カバーレン
ズ)57と、NPBS(非偏光ビームスプリッタ)58
と、オートフォーカス検出用ビームを処理する非点収差
光学系DL,ML及び4分割PD(フォトダイオード)
62と、検出LD(レーザダイオード)用FM(フロン
トモニタ)として機能するPD(フォトダイオード)5
9とを有している。
【0086】検出用LD56から比較的低出力のS偏光
のオートフォーカス用レーザビームが発せられる。この
レーザビームは、CL57を通ってコリメートされ、N
PBS58をそのまま通過し、AF駆動ブロック14内
のPBS55に入射する。S偏光であるビームは、角度
90度反射して、版加工用高出力レーザビームに並進し
て(合成されて)OL52とCG53を通って版シート
2に達する。オートフォーカス検出用ビームは版シート
2で反射した後、PBS55に戻り、角度90度反射し
て、AF検出ブロック16に向かい、NPBS58に達
する。NPBS58で角度90度反射して、DL60で
集光され、次いでML61でビーム整形されて、4分割
PD62に達する。
【0087】この4分割PD62は非点収差法を利用し
て、フォーカスエラー(FE)信号及びレファレンス
(RF)信号を算出し、ジャストフォーカス状態,、ア
ンダーフォーカス状態又はオーバフォーカス状態を判断
し得るフォトダイオードである。
【0088】4分割PD62の受光面A,B,C,Dか
らの各信号が、非収差マトリクス回路44に送られる。
非収差マトリクス回路44では、FE信号及びRF信号
が算出される。これらFE信号及びRF信号が、DSP
制御回路40に送られる。DSP制御回路40は、レン
ズ駆動回路20にレンズ移動パルスを送り、FE信号が
ゼロになり、RF信号が所定の基準値になるようにOL
52を移動してフォーカス調整する。レンズ駆動回路2
0は、レンズ移動パルスに対応してレンズ移動信号をM
C(ムービングコイル)71に送り、これを付勢してO
L52をジャストフォーカス位置に調整する。
【0089】(凹版印刷装置の製版動作)CPU30
は、版胴1の1回転に対してレーザブロック21が1画
素分だけ副走査方向に同期して移動するように、主走査
方向移動パルスを版胴回転用モータドライバ38に対し
出力し、また、副走査方向移動パルスをレーザブロック
移動用モータドライバ42に対し出力し、夫々版胴回転
用モータ7及びレーザブロック移動用モータ24を回転
駆動し、版胴1の1回転終了毎にレーザブロック21を
版胴1に対して副走査方向に同期移動させる。
【0090】また、CPU30は、データRAM32に
蓄積された画像データを逐次読み出して、ガンマテーブ
ル34と比較して、読み出された画像データに対応し
て、必要なレーザ強度及び発光時間の値並びに必要に応
じてセル断面形状を決定する。このレーザ強度データ及
び発光時間データを、高出力LDAPC回路36に送
り、この高出力LD10を発光させる。
【0091】[実施例の効果]上述の実施例によれば、
セル形状、即ち、セル面積とセル深度の組み合わせを任
意に変化させることが出来るので、凹版印刷装置に階調
毎に最適なセル形状を生成させる手段を備え、セル形状
を制御することによりドクターブレードのキレスジ等の
画質不良の発生を低減した高品質画像が得られる凹版印
刷装置を提供することが出来る。
【0092】即ち、ドクター・キレスジ,乾燥による印
刷かすれ(濃度低下),土手部分の耐刷性,紙への転写
等の、セル形状によって発生が影響される画質不良を、
予め判別標本に基づき回避することにより、画質不良が
発生しない条件で印刷することが出来る。この場合、全
ての階調に亘って、きめ細かく最適セル形状を特定する
ことが出来、この印刷不良が発生しない特定された最適
セル形状を用いて印刷することが出来る。
【0093】更に、本実施例に係る凹版印刷装置は、従
来の凹版印刷装置のハードウェア部分を大幅に変更する
こと無く、ソフトウェア上で、上述した印刷方法を達成
することが出来る。
【0094】更に、印画用紙の紙質が変更された場合に
も、上述した最適セル形状特定方法を用いて、その紙質
に対応した印画方法を容易に採用することが出来るの
で、紙質変更に対しての柔軟性を有する。
【0095】また、紙質だけでなく、例えば周囲温度・
湿度等の印刷環境が変化しても、同様に容易に最適な印
刷方法を採用できる。
【0096】このように、本実施例に記載した凹版印刷
装置は、従来の凹版印刷装置に比較して、高画質,低コ
スト,多機能及び耐環境性の面で、優れた装置となって
いる。
【0097】なお、図2の印刷不良発生状況判別標本に
付いて、添付図面は写しであり詳細が明瞭でないため、
本出願と同時に提出する物件提出書に実際の印刷不良発
生状況判別標本のカラーコピーを添付して提出する。
【0098】
【発明の効果】本発明よれば、高画質の印刷物が得られ
る凹版製造方法及び凹版印刷装置を提供することができ
る。
【0099】更に、本発明によれば、製版時にセル形状
を任意に制御し得る凹版製造方法及び凹版印刷装置を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セルの断面形状を説明する図である。ここで、
図1A乃至図1Dは、本実施例に係るセルのレーザ走査
方向断面形状を示し、図1E及び図1Fは比較のため従
来技術のセル断面形状を示す図である。
【図2】本実施例で作成された印刷不良発生状況判別標
本を示す図である。横軸はドットの深さをレーザパワー
で示し、縦軸はドット面積をレーザ照射時間で示してい
る。
【図3】凹版印刷装置の要部ブロックを説明する図であ
る。ここで、図3Aは本実施例に係る凹版印刷装置の要
部ブロック図を示し、図3Bは比較のために示した従来
技術(ダイヤモンド彫刻針)の凹版印刷装置の要部ブロ
ック図を示している。
【図4】図5と共に、製版動作中の各信号のタイミング
を説明する概念図である。
【図5】図4と共に、製版動作中の各信号のタイミング
を説明する図である。
【図6】本実施例に係る凹版印刷装置の一例としての凹
版印刷装置全体のブロック図である。
【図7】従来技術のコンベンショナルグラビア法による
製版過程を説明する図である。
【図8】グラビア印刷の印刷工程を説明する図である。
ここで、図8Aは印刷工程を示し、図7Bは印刷時の詳
細を示す図である。
【符号の説明】
1 版胴、2 版(版シート)、3 チャッキングプレ
ート、4 主走査エンコーダ、5 セル(凹部)、7
版胴回転用モータ、8 副走査方向駆動部、10 光出
力レーザダイオード(LD)、12 製版LD(レーザ
ダイオード)ブロック、14 AF(オートフォーカ
ス)駆動ブロック、16 AF(オートフォーカス)検
出ブロック、18 チャッキングプレート検出回路、2
0 レンズ駆動回路、21 レーザブロック、23 副
走査エンコーダ、24 レーザブロック移動用モータ、
30 マイクロコンピュータ(CPU)、32 データ
・ランダムアクセスメモリ(RAM)、34 ガンマテ
ーブル、36 高出力レーザダイオード自動出力制御
(LDAPC)回路、38 版胴回転用モータドライバ
(モータ駆動装置)、40 DSP(Digital Signal P
rocessor)制御回路、42 レーザブロック移動用モー
タドライバ(モータ駆動装置)、44 非点収差マトリ
クス回路、46 検出用LDAPC(レーザダイオード
・自動出力制御)回路、48 高周波変調回路(400
MHz)、49 同期検波回路、50 カバーレンズ
(CL)、51 アナモルフィックプリズム(ANM
anamorphic prizm)、52 対物レンズ(OL)、53
カバーレンズ(CG)、54 フォトダイオード(P
D)、55 偏光ビームスプリッタ(PBS Polariza
tion Beam Splitter)、56 検出用レーザダイオード
(LD)、57 カバーレンズ(CL)、58 非偏光
ビームスプリッタ(NPBS)、59 フォトダイオー
ド(PD)、60 DL(複合レンズ doublet )、6
1 マルチレンズ(ML)、62 4分割フォトダイオ
ード(PD)、63 階調修正手段、64 セル面 積
テーブル記憶手段、65 セル深度テーブル記憶手段、
66 ディジタル−ア ナログ変換手段(DAC)、6
7 彫刻針駆動手段、68 ダイヤモンド彫刻針 、6
9 発振クロック、70 形状設定信号、71 MC
(Moving Coil 移動用 コイル)、81 紙ベース、8
2 感光膜、83 カーボンティッシュ、84 グラ
ビア白線スクリーン、85 連続階調ポジ、86 版
胴、87銅シリンダ 、88 インキ溜、89 ドクタ
ーブレード、90 紙、91インキ、Y 走査方向、X
副走査方向

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザビームを用い樹脂製版シートに対
    して印画画像の各ドットに対応するセルを形成する凹版
    製造方法において、 ドット深さ及びドット面積を夫々変化させて、ドット深
    さ及びドット面積の種々の組み合わせによる印刷結果を
    集めた印刷不良発生状況判別標本を作成し、 上記印刷不良発生状況判別標本に基づいて、各階調に対
    して良好な印刷が可能なドット深さの値及びドット面積
    の値を決定し、 製版の際、画像データの各ドットに対して、該ドットの
    階調に対応して上記印刷不良判別標本により決定された
    良好な印刷が出来るドット深さの値及びドット面積の値
    を用いて製版する諸工程を包含した凹版製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の凹版製造方法におい
    て、 上記印刷不良発生状況判別標本を作成する工程は、レー
    ザパワーをパラメータとしてドット深さを変化させて、
    該判別標本を作成する凹版製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の凹版製造方法におい
    て、 上記印刷不良発生状況判別標本を作成する工程は、レー
    ザ照射時間をパラメータとして、レーザビームの幅で且
    つ走査時間に対応した長さのセルが形成され、こうして
    ドット面積を変化させて、該判別標本を作成する凹版製
    造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の凹版製造方法におい
    て、 上記セルの走査方向断面形状は、上記走査時間内の複数
    のタイミングで異なるレーザパワーを夫々設定すること
    により、走査方向に異なる深さを持っていることを特徴
    とする凹版製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の凹版製造方法におい
    て、 上記印刷不良発生状況判別標本を作成する工程は、レー
    ザ走査方向の種々のセル断面形状毎に、セル深度及びセ
    ル面積をパラメータとして変化させて、該判別標本を作
    成する凹版製造方法。
  6. 【請求項6】 樹脂製版シートに対して画像に対応する
    セルの集合を形成する凹版製造方法において、 上記画像のドットの各々に対応して、印刷不良が発生し
    ないセル形状を特定し、 上記セル形状により製版する諸工程を含む凹版製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の凹版製造方法におい
    て、 上記セル形状を特定する工程は、当該ドットの階調によ
    って予め定められたレーザ照射時間及びレーザパワーを
    パラメータにしてセル形状を特定する凹版製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の凹版製造方法におい
    て、 上記セル形状を特定する工程は、レーザ照射時間の各タ
    イミングにおいて、夫々レーザパワー特定することによ
    り、レーザ走査方向に相異なる深さのセル断面形状を特
    定する凹版製造方法。
  9. 【請求項9】 少なくとも印画データが蓄積された画像
    メモリ及び該印画データに基づき版シートに対してレー
    ザを照射してセルの集合を形成するレーザビーム駆動手
    段を有する凹版印刷装置において、 上記画像メモリから出力される印画データを、上記レー
    ザビーム駆動手段を駆動するデータに変換する非線形デ
    ータ変換手段を備え、該非線形データ変換手段によって
    該印画データの各々に対して印刷品質良好なセルを形成
    するレーザビーム照射条件が設定されることを特徴とす
    る凹版印刷装置。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の凹版印刷装置におい
    て、 上記非線形データ変換手段には、上記印画データの各階
    調に対応して、予め決定された印刷品質の良好なレーザ
    照射時間及びレーザパワーのデータが蓄積されており、 上記レーザ駆動手段は、各ドットの階調によって定まる
    レーザ照射時間及びレーザパワーのデータにしたがっ
    て、上記版シートに対してレーザを照射してセルを形成
    する凹版印刷装置。
  11. 【請求項11】 請求項9に記載の凹版印刷装置におい
    て、 上記非線形データ変換手段は、予め作成された各レーザ
    照射時間及び各レーザパワーをパラメータとした印刷結
    果の標本に基づき、各階調に対応して印刷品質良好なレ
    ーザ照射時間及びレーザパワーの組み合わせのデータを
    蓄積したセル面積及びセル深度のテーブルを有し、上記
    画像メモリから出力された各印画データの階調に対応し
    て印刷品質良好なレーザ照射時間及びレーザパワーの組
    み合わせを選択する凹版印刷装置。
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