JPH1044046A - 合成樹脂製研磨材 - Google Patents

合成樹脂製研磨材

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JPH1044046A
JPH1044046A JP21797596A JP21797596A JPH1044046A JP H1044046 A JPH1044046 A JP H1044046A JP 21797596 A JP21797596 A JP 21797596A JP 21797596 A JP21797596 A JP 21797596A JP H1044046 A JPH1044046 A JP H1044046A
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孝明 平井
Minoru Fujishima
稔 藤島
Hiroyuki Ueno
裕之 上野
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    • B24C11/005Selection of abrasive materials or additives for abrasive blasts of additives, e.g. anti-corrosive or disinfecting agents in solid, liquid or gaseous form

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 当たりが柔らかであって研磨力が大きく、ま
たその研磨力が必要に応じて或る程度調整することがで
きる研磨材であって、しかも使用によって発生した研磨
材の残渣が焼却によって簡単に処分できるような研磨材
を提供しようとする。 【解決手段】 分子量が5000以上の成分を92重量
%以上含んでいる熱可塑性ポリエステル樹脂の粒子を、
結晶化度が40%以下にして研磨材とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、合成樹脂製研磨
材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂製研磨材は、物品に付着してい
る余分なバリや塗装を取り除くのに使用される。例えば
樹脂成形品、ダイキャスト製品、半導体モールド、モー
ター部品において発生するバリを取り除いたり、自動
車、航空機等の塗装を剥離したりするために、これらの
物品に合成樹脂製研磨材を吹き付けることが行われる。
このように研磨材を物品に吹き付けて余分なものを取り
除く方法をブラスト方法と呼んでいる。
【0003】研磨材としては古くから色々なものが使用
されて来た。例えば炭化珪素、酸化アルミニウム、珪
石、セラミック、ダイヤモンド粉末などが使用されて来
た。ところが、これらのものは物品に対して当たりが強
過ぎて物品によっては物品の本体までも傷めるおそれが
ある。これに対し、合成樹脂製の研磨材は、物品に対す
る当たりが柔らかで、物品の本体自体を傷めることが少
ないために、上述のような分野で使用されている。
【0004】ブラスト方法には、乾式ブラスト方法と湿
式ブラスト方法とがある。乾式ブラスト方法は、研磨材
を空気の流れによって吹き付ける方法であり、湿式ブラ
スト方法は、研磨材を水などの液体に浮遊させて水と共
に吹き付ける方法である。このうち、どの方法に使用さ
れるかによって、研磨材は要求される性質を若干異にす
る。
【0005】乾式ブラスト用の研磨材として、古くはポ
リアミド樹脂が使用された。しかし、ポリアミド樹脂か
らなる研磨材は、吸湿性が大きいために、湿気の吸収に
より研磨性能にバラツキを生じるという欠点があった。
また、ポリアミド樹脂から成る研磨材は、研磨に使用し
たあとで生成する研磨材の残渣処理に問題があった。そ
れは、ポリアミド樹脂が窒素元素を含むために、その残
渣を焼却しようとすると窒素酸化物が発生し、大気を汚
染することになるため、簡単に焼却することが許されな
いからである。従って残渣を産業廃棄物として処理しな
ければならない、という問題を生じた。
【0006】そこで、上述の欠点を解消するために、ポ
リカーボネート樹脂から成る研磨材が開発された。とこ
ろが、ポリカーボネート樹脂は高価であるため研磨材と
して使用するには不向きであり、さらに高価である割り
には研磨性能が良好でないために、満足なものとはなり
得なかった。
【0007】特開昭61−152371号公報は、湿式
ブラスト方法に使用する研磨材を記載している。この公
報は、熱硬化性の樹脂粉末と熱可塑性の樹脂粉末とを特
定の割合に混合し、溶融したのち、これを粉砕して得ら
れた組成物を研磨材として用いることを推奨している。
また、この公報は、上記組成物を用いる理由として、熱
可塑性樹脂だけから成る研磨材を使用した場合を比較例
として掲げ、熱可塑性樹脂だけから成る研磨材は研磨力
が劣ると説明している。
【0008】実願昭61−156213号明細書(実開
昭63−70866号公報)は、極めて特殊な熱可塑性
ポリエステル樹脂の粒子を研磨材として使用することを
記載している。その特殊な熱可塑性ポリエステル樹脂と
は、分子中にP−ヒドロキシ安息香酸残基を持ったサー
モトロピック液晶ポリエステル樹脂である。しかし、こ
の特殊な樹脂は、本来自消性であるから焼却し難い上に
高価であり、使用済み後の廃棄物の処理が困難である。
また溶融状態で分子が配向する特性を持っているため、
固体状態では欠け易く、従って研磨材として繰り返し使
用ができないので、研磨材として実用するに適しないも
のである。
【0009】特開平5−163423号公報と、特開平
5−169371号公報とは、何れも湿式のブラスト方
法で使用するに適した研磨材を提案している。そのう
ち、特開平5−163423号公報は、ポリエチレンテ
レフタレート樹脂、すなわち一種の熱可塑性ポリエステ
ル樹脂に、アルミナ及び又はガラスビーズを加えた組成
物を研磨材にすることを提案している。また、特開平5
−169371号公報は、スルホイソフタール酸の金属
塩が特定量だけ含まれたポリエチレンテレフタレート
に、アルミナ粉末を加えて得られた組成物を研磨材にす
ることを提案している。しかし、これらは、アルミナや
ガラスビーズのような無機物を相当量含むので、研磨に
よって生じた研磨材の残渣の処理に問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上詳述したように、
これまで提案されて来た研磨材は、何れも欠点又は問題
を抱えていた。そこで、この発明は、このような欠点又
は問題のない研磨材を提供しようとするものである。す
なわち、この発明は、熱可塑性ポリエステル樹脂から成
るにも拘わらず研磨力が大きくて当たりが柔らかであ
り、しかも必要に応じて或る程度研磨力を調整できて、
窒素や無機物を含まないために発生した残渣を簡単に焼
却によって処分することができるような研磨材を提供し
ようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明者は、研磨材を
主として熱可塑性ポリエステル樹脂で作ろうと企図し
た。これまで、実開昭63−70866号公報のよう
に、特殊な熱可塑性ポリエステル樹脂を使用したり、特
開平5−163423号及び特開平5−169371号
公報のように、特定の熱可塑性ポリエステル樹脂と無機
物粉末とからなる組成物を研磨材として使用するという
提案があった。しかし、そこでは熱可塑性ポリエステル
樹脂の分子量と結晶化度とが全く考慮されていなかっ
た。この発明者はこの点に着目して、熱可塑性ポリエス
テル樹脂の分子量と結晶化度とを特定することによっ
て、とくにすぐれた研磨材を提供できることを見出し
た。
【0012】そもそも熱可塑性ポリエステル樹脂は結晶
性のものであって、熱処理の如何によっては結晶化度の
高いものも低いものも得られることが知られており、結
晶化度の高低によって或る程度性質の異なる樹脂の得ら
れるものとして知られている。ところがこのことはこれ
まで研磨材について全く利用されなかった。また、一般
に熱可塑性ポリエステル樹脂は重合度が高いと、耐衝撃
性が大きくなることは知られていたが、熱可塑性ポリエ
ステル樹脂で研磨材を作る場合に具体的にこのことが生
かされていなかった。
【0013】このような状態のもとで、この発明者は、
ポリエステル樹脂として重合度が5000以上の成分を
92重量%以上含んでいるものを選んで用い、且つ結晶
化度を40%以下とすると、熱可塑性ポリエステル樹脂
の脆性が改善されて、これを研磨材として使用したとき
衝撃によって微粉末となり難くなるとともに、生じた研
磨材の粉末が研磨された物品へ粘着し難くなることを見
出した。また、この発明者は、結晶化度を40%以下の
範囲内でさらに狭い範囲内で揃えることにより、物品に
応じて適当な研磨力を与えることができることを見出し
た。この発明は、このような知見に基づいて完成された
ものである。
【0014】この発明者は、さらに実験を重ねた結果、
上述のような熱可塑性ポリエステル樹脂を乾式ブラスト
方法に使用するには、空気によって吹き付ける関係で密
度を1.2〜1.4g/ccの範囲内にとどめるのが適
していることを見出した。それとともに、この発明者
は、粒度を、実質的に5メッシュの篩を通過し、170
メッシュの篩を通過しないという範囲内にあるようにす
るのが、熱可塑性ポリエステル樹脂を乾式ブラスト方法
に使用するのに適していることを見出した。この発明
は、これらの知見をも基礎とするものである。
【0015】この発明は、分子量が5000以上の成分
を92重量%以上含んでいる熱可塑性ポリエステル樹脂
の粒子から成り、その結晶化度が40%以下であること
を特徴とする、合成樹脂製研磨材を提供するものであ
る。
【0016】また、この発明は、分子量が5000以上
の成分を92重量%以上含んでいる熱可塑性ポリエステ
ル樹脂の粒子から成り、その結晶化度が40%以下であ
って、実質的に5メッシュの篩を通過し170メッシュ
の篩を通過しない粒度を持ち、密度が1.2〜1.4g
/ccの範囲内にあることを特徴とする、合成樹脂製研
磨材を提供するものである。
【0017】この発明では樹脂として熱可塑性ポリエス
テル樹脂(以下、これをPETと略称する)を用いる。
PETは、芳香族の多価カルボン酸に多価アルコールを
反応させて得られた高分子量の鎖状ポリエステルであ
る。多価カルボン酸としては、テレフタル酸が最も多く
用いられているが、イソフタル酸、2、6−ナフタレン
ジカルボン酸、トリメリット酸、及びピロメリット酸も
用いることができる。他方、アルコールとしてはエチレ
ングリコールが広く用いられているが、ブタンジオー
ル、シクロヘキサンジメタノール、トリメチレングリコ
ール、テトラメチレングリコール、ネオペンチレングリ
コール、ヘキサメチレングリコールをも使用することが
できる。このようなPETのうち或るものは市販されて
いる。この発明では市販されているPETを用いること
ができる。
【0018】上述のようなPETのうち、この発明で使
用するのに適したものは、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート
である。また、PETに他の樹脂を50重量%以下の割
合で混合したもの、又は共重合させたものを用いること
ができる。但し、他の樹脂は、その中に樹脂成分として
窒素元素を含まないものであることが望ましい。また、
PETは15重量%以下の無機物例えば酸化チタン、タ
ルク、炭酸カルシウム等の粉末を含んでいてもよい。1
5重量%以下とした理由は、これらの粉末が多くなる
と、研磨材として欠け易くなって好ましくないからであ
る。その中では10重量%以下、とりわけ5重量%以下
であることが好ましい。
【0019】PETとしては、分子量が5000以上の
成分を92重量%以上含んでいるものを用いる。それ
は、分子量5000以下の成分が8重量%以上含まれた
PETを研磨材として用いると、PET粒子が欠け易く
てすぐに粉末を生じることとなるからである。この場
合、分子量を測るにはゲルパーミェーションクロマトグ
ラフィ(GPC)を用いる。具体的には次のようにす
る。
【0020】まず、4〜6mgのPETを正確に秤量
し、これをヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホ
ルムの等容量から成る混合溶媒1.0mlに溶解し、更
にクロロホルムで全容量10mlに希釈する。この溶液
をゲルクロマトグラフィー法で測定する。
【0021】装置としては、例えばWaters社製H
PLCを用い、ポンプとしてモデル510、ディテクタ
ーとしてモデル484、オートサンプラー717を用
い、カラムとしてμスチラゲル103 +104 +105
+106 オングストローム(7.8mmD+300m
m)×4本を用い、検出器としてUV254nm、カラ
ム温度40℃、1.2ml/分の割合で15μlの注入
量とする。
【0022】こうして得たクロマトグラム曲線からポリ
スチレン換算した分子量5000以下の面積を全分子量
の面積で割った比率を5000以下の分子量の割合とす
る。こうして、分子量5000以上のPETが92重量
%以上含まれたものを選択して用いる。
【0023】分子量が5000以上の成分を92重量%
以上含んでいるPETは、ボトル等を成形するのに広く
用いられている。従って、この発明では、ペットボトル
として使用された回収品を原料として使用することがで
きる。
【0024】この発明では結晶化度を40%以下とす
る。この場合の結晶化度の測定方法は、示差走査熱量計
により冷結晶化熱量と結晶融解熱量とを測定し、その値
を次の式に代入することによって求める。 〔(モル当たりの結晶融解熱量)−(モル当たりの冷結
晶化熱量)〕÷(完全結晶PETのモル当たりの結晶融
解熱量)×100=結晶化度(%)
【0025】ここで、完全結晶PETのモル当たりの結
晶融解熱量は、PETの具体的組成によって異なるが、
ポリエチレンテレフタレート樹脂の場合は、培風館発行
の「高分子データハンドブック」によると、26.9K
Jとされているので、この値を用いる。示差走査熱量計
での測定は、例えば昇温速度5℃/分で行う。
【0026】こうして測定されたPETの結晶化度が4
0%より高いと、研磨時にPETが欠け易くなり、従っ
て粉末となり易い。従って結晶化度が40%以上のPE
Tは、研磨材として繰り返して使用できる回数が少なく
なる。そればかりでなく、生じた粉末が研磨された物品
の表面に付着して表面を汚すこととなる。従って、例え
ば得られた物品をメッキしたときメッキムラを生じる。
この事実はこの発明者が初めて確認した事実である。結
晶化度40%以下の中では、結晶化度35%以下である
ことが好ましい。
【0027】そのうちでも、とくに適した結晶化度は、
研磨される物品の性質、とりわけ物品の硬度に応じて適
当に選択した狭い範囲内で揃ったものにする。例えば硬
度の高い物品を研磨するときは、研磨力の大きいもの即
ち結晶化度の高いところで揃ったものを用い、硬度の低
い物品を研磨するときには、物品を傷つけないように結
晶化度の低いところで揃ったものを用いる。PETで
は、このように結晶化度を調整することによって、研磨
する物品に合った研磨材を調製できるので、大きな利点
となる。
【0028】PET製研磨材の硬度は直接測定すること
が困難である。それは、研磨材の粒子が小さいために、
一般に用いられているプラスチックの表面硬度測定法で
は、直接硬度を測定することができないからである。し
かし、この発明者が粒径3mmのポリエチレンテレフタ
レート樹脂製の粒子を作り、この粒子についてASTM
D2240−68に規定される方法に従って表面硬度
を測定した結果では、結晶化度が5%のとき表面硬度が
76であり、結晶化度が30%のとき表面硬度が86で
あった。このようにポリエチレンテレフタレート樹脂は
結晶化度を変えると、表面硬度が大きく変わる。同様
に、PET一般も、結晶化度が変わると表面硬度が変わ
る。従って、物品に合わせて硬度を自在に調整できる点
で、PET製研磨材は大きな利点となる。
【0029】この発明では、PETを研磨材として使用
する際に、適当な粒度を持つように調整する。その大き
さは絶対値で云えば、おおよそ0.088mmから4.
0mmの範囲である。これを篩の大きさで云えば、おお
よそ5メッシュの篩を通過し、170メッシュの篩で止
まる大きさである。この場合の篩は、JIS Z880
1の規定によるものである。
【0030】研磨材としてのPET粒子の大きさを上述
のような範囲に限定した理由は、実験の結果に基づいて
いる。すなわち、5メッシュの篩を通過しないものは、
これを研磨材として用いたとき研磨ムラを生じ、逆に1
70メッシュの篩を通過するものは、研磨力が不充分と
なるからである。このような粒度範囲のPETは、市販
のペレットでは作られていなかった。すなわち、成形加
工用の原料として市販されて来たPETは、粒径がおお
よそ2〜4mmのものであったから、上述の粒度範囲に
するためにはさらに粉砕するか又は溶融して造粒する必
要がある。このうちで好ましい篩の範囲は8〜115メ
ッシュであり、さらに好ましい範囲は12〜80メッシ
ュである。
【0031】この発明では、PETを研磨材として用い
るために、密度を1.2〜1.4g/ccとする。これ
は、研磨材を空気の流れに乗せて送り、研磨すべき物品
に衝突させたときの衝撃力を適度の値として、研磨力を
適当にするためである。つまり、密度が1.2g/cc
以下では研磨力が不足し、密度が1.4g/cc以上で
は研磨力が強過ぎるからである。密度1.2〜1.4g
/ccという値は、PETに気泡などを格別大量に含ま
せない限り、また逆にPETに密度の大きい充填材を格
別に大量混合しない限り、達成できる値である。
【0032】研磨材としての粒子の形は格別問題になら
ない。すなわち、粒子は針状、方形状、柱状、球状、円
柱状、円板状等の何れであってもよく、また無定形状で
あってもよい。
【0033】この発明に係る研磨材は色々な方法によっ
て製造することができる。そのうちで最も好ましい方法
は、押出機を用いてペレットを作る方法である。すなわ
ち、PETを押出機に入れて溶融し、溶融したPETを
ノズル金型から多数の紐状に押し出し、押し出した紐状
物を直ぐに水槽に入れて冷却し固化させたのち、切断し
てペレットとする。次いで、このペレットを熱風又はマ
イクロ波加熱ができる加熱装置に入れ、適当な温度に適
当な時間加熱することによってPETの結晶化を所望の
値まで高め、こうして所望の結晶化度を持ったこの発明
に係る研磨材を得ることができる。
【0034】上に述べた方法の代わりに、PETを押出
機に入れて溶融し、溶融したPETをTダイ、インフレ
ーションダイ又はサーキュラーダイからシート状に押し
出し、チルロール又は冷却用マンドレルで冷却し、得ら
れたシートを粉砕して粒子とする。この粒子を上述のペ
レットと同様に加熱装置に入れ、適当な温度に適当時間
加熱することによりPETの結晶化を所望の値まで高め
て、研磨材とすることもできる。
【0035】また、結晶化度が10%よりも低いもの
は、上に述べたように押出機から押し出した紐状物又は
シート状物を水槽、チルロール又は冷却マンドレルに入
れる際、水槽、チルロール又は冷却マンドレルの温度を
とくに低い温度とすることによって直ちに得ることがで
きる。従って、結晶化度が10%以下の研磨材は、押出
機によって直ちに得ることができ、上述のように加熱装
置に入れて結晶化度を上昇させる必要がない。
【0036】この発明では、PETに従来から用いられ
ている種々の添加剤を混入することができる。例えば、
帯電防止剤、紫外線吸収剤、充填材のような添加剤を加
えて、研磨材としての別の面での性質の向上をはかるこ
とができる。
【0037】
【発明の効果】この発明はPETを材料とし、しかもそ
のPETは分子量が5000以上の成分を92重量%以
上含んでいることを必要としているが、この要件はペッ
トボトルを構成しているPETがそのままで満たしてい
るから、この発明ではペットボトルの回収品をそのまま
材料として使用できる。ペットボトルは廃棄にあたって
公害問題を惹起し、回収しても利用の途がなくて困惑し
ていたところであるから、この発明はペットボトルの回
収品に工業的利用の道を開いたという点で、大きな意義
を持っている。
【0038】また、この発明は、PETの結晶化度を4
0%以下としたから、上述の分子量の要件と相俟って、
これを研磨材として使用したとき、PETが粉砕されに
くく、また研磨された物品表面に粉砕されたPET粉末
が付着しにくく、従って研磨材として繰り返し使用でき
る上に、部品の表面仕上がりが美麗となる。その上に、
PETの結晶化度を40%以下のうちのさらに狭い範囲
内に限定することにより、研磨力を研磨すべき物品に合
った適当な値にすることができる。
【0039】さらに、この発明は、研磨材の粒度を、実
質的に5メッシュの篩を通過し170メッシュの篩を通
過しない程度のものとしたから、研磨材として用いたと
き研磨ムラもなく、また研磨力も充分なものとなってい
る。またこの発明は、研磨材の密度を1.2〜1.4g
/ccの範囲内に限定したから、研磨材を空気の流れに
乗せて送るに適し、また研磨力を適度に保持して、研磨
材を物品に対しておだやかに研磨することのできるもの
にしている。この発明はこのような利点をもたらすもの
である。
【0040】以下に、実施例と比較例とを挙げて、この
発明に係る研磨材のすぐれている所以を明らかにする。
【0041】
【実施例1】ペットボトルの回収フレークをスクリュー
口径65mmの完全噛み合い型同方向二軸押出機に供給
し、押出機内で溶融した後、口径4mmのノズルを13
個持った金型から押し出した。この時の押出機及び金型
の温度は240〜280℃、スクリュー回転数は50r
pmであった。押し出された紐状の樹脂を水温40℃の
水槽へ直ぐに浸漬し、冷却固化した後、ペレッタイザー
によって短径1.08mm、長径1.38mm、長さ
1.15mmのペレットに加工した。得られたペレット
を150℃の熱風が循環している加熱装置で1.5時間
加熱することによって、結晶化度26%、5,000以
下の分子量の割合が5.8%の熱可塑性ポリエステル系
樹脂研磨材を得た。この研磨材の粒度は12メッシュの
篩を通過し16メッシュの篩を通過しないものであっ
た。
【0042】得られた熱可塑性ポリエステル系樹脂研磨
材を銅板のエポキシ樹脂のバリ取り材として使用した。
バリ取り作業はこの熱可塑性ポリエステル系樹脂研磨材
を空気とともに銅板に対し10秒間噴射することによっ
て行った。その後、銅板は水に溶かした湿式振動バレル
コンパウンドと5分間共摺りし、200℃で9時間アニ
ーリングした後、2.5〜5.0μmの錫メッキを行っ
た。得られた銅板はメッキが均一に乗り、メッキムラは
見られなかった。
【0043】
【実施例2】冷却水槽の温度を80℃とし、加熱装置で
の結晶化を行わないこととした以外は実施例1と同じ方
法で熱可塑性ポリエステル系樹脂研磨材をつくった。こ
の研磨材の結晶化度は8%、粒度は12メッシュの篩を
通過し16メッシュの篩を通過しないものであった。
【0044】実施例1と同じ銅板を、実施例1と同じ方
法でバリ取りをするのにこの研磨材を用い、その後メッ
キ処理を行った結果、銅板はメッキが均一に乗り、メッ
キムラは見られなかった。
【0045】
【実施例3】酸化チタンが10%含まれるポリエチレン
テレフタレート製磁気カードの粉砕品を使った以外は実
施例1と同じ方法で熱可塑性ポリエステル系樹脂研磨材
をつくった。この研磨材の結晶化度は28%、5,00
0以下の分子量の割合が6.5%で、粒度は12〜16
メッシュの範囲内にあった。
【0046】実施例1と同じ銅板を、実施例1と同じ方
法でバリ取りをするのにこの研磨材を用い、その後メッ
キ処理を行った結果、銅板はメッキが均一に乗り、メッ
キムラは見られなかった。
【0047】
【実施例4】ポリエチレンテレフタレート樹脂発泡シー
トを熱成形した際に発生したトリミングロスの粉砕品
を、スクリュー口径65mmの完全噛み合い型同方向二
軸押出機に供給し、押出機内で溶融した後、口径2mm
のノズルを40個持つ金型から押し出すこととした以外
は、実施例1と同じ押出機を用いて紐状に溶融樹脂を押
し出した。この時の押出機及び金型の温度は240〜2
80℃、スクリュー回転数は10rpmであった。押し
出された紐状の樹脂を水温40℃の水槽へ直ぐに浸漬
し、冷却固化した後、ペレッタイザーによって短径0.
40mm、長径0.46mm、長さ0.44mmのペレ
ットに加工した。得られたペレットを150℃の熱風が
循環している加熱装置で1.5時間加熱することによっ
て、研磨材の粒度が30〜40メッシュの範囲内にあ
り、結晶化度28%、5,000以下の分子量の割合が
5.2%の熱可塑性ポリエステル系樹脂研磨材を得た。
【0048】実施例1と同じ銅板を、実施例1と同じ方
法でバリ取りをするのにこの研磨材を用い、その後メッ
キ処理を行った結果、銅板にメッキムラは見られなかっ
た。
【0049】
【比較例1】実施例1で得られたペレットを200℃の
熱風が循環している加熱装置で1.5時間加熱すること
によって、結晶化度43%の熱可塑性ポリエステル系樹
脂研磨材を得た。
【0050】実施例1と同じ銅板を、実施例1と同じ方
法でバリ取りをするのにこの研磨材を用い、その後メッ
キ処理を行った結果、銅板に熱可塑性ポリエステル系樹
脂研磨材の破片がくっつきその部分に錫メッキがのら
ず、メッキムラのあるものしか得られなかった。
【0051】
【比較例2】レントゲンフィルムを使った以外は実施例
1と同じ方法で熱可塑性ポリエステル系樹脂研磨材をつ
くった。この研磨材の結晶化度は28%、5,000以
下の分子量の割合が8.5%で、粒度は12〜16メッ
シュの範囲内にあった。
【0052】実施例1と同じ銅板を、実施例1と同じ方
法でバリ取りをするのにこの研磨材を用い、その後メッ
キ処理を行った結果、銅板に熱可塑性ポリエステル系樹
脂研磨材の破片がくっつきその部分に錫メッキがのら
ず、メッキムラのあるものしか得られなかった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子量が5000以上の成分を92重量
    %以上含んでいる熱可塑性ポリエステル樹脂の粒子から
    成り、その結晶化度が40%以下であることを特徴とす
    る、合成樹脂製研磨材。
  2. 【請求項2】 密度が1.2〜1.4g/ccの範囲内
    にあることを特徴とする、請求項1に記載の合成樹脂製
    研磨材。
  3. 【請求項3】 粒子が、実質的に5メッシュの篩を通過
    し170メッシュの篩を通過しない粒度を持つことを特
    徴とする、請求項1に記載の合成樹脂製研磨材。
  4. 【請求項4】 分子量が5000以上の成分を92重量
    %以上含んでいる熱可塑性ポリエステル樹脂の粒子から
    成り、その結晶化度が40%以下であって、実質的に5
    メッシュの篩を通過し170メッシュの篩を通過しない
    粒度を持つことを特徴とする、請求項2に記載の合成樹
    脂製研磨材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005179604A (ja) * 2003-12-22 2005-07-07 Polyplastics Co 研磨材及び成形機金属部品の再生方法

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