JPH1043265A - 洗面設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車椅子椅座者にとって手洗い動作し易い洗面
設備を提供することを目的とする。 【解決手段】 洗面器２のボール部４内の奥辺部分に沿
って棚状部５が設けられており、水栓３はこの棚状部５
上に設置されている。棚状部５の左側のボール部４の奥
側部分に排水口６が設けられている。洗面器２の下面の
奥側の部分に、この排水口６に連通する排水管７が設け
られている。洗面器２の前縁Ｆから水栓３の吐水口３ａ
までの水平距離は１８０〜２７０ｍｍとなっている。洗
面器２の下面Ｇは、該前縁Ｆから奥方向へ２５０ｍｍ以
上の範囲にわたって高さ６５０ｍｍ以上となっており、
車椅子８の椅座者の膝が十分に奥まで入り込めるように
なっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は洗面設備に係り、特
に車椅子に椅座した身体の不自由な人にとって使い易い
洗面設備に関する。

【０００２】

【従来の技術】車椅子椅座者にとって使い易い洗面設備
として、実公昭６１−３０６８３号公報に、洗面器底部
下面の下側の奥側にまで車椅子椅座者の膝が入り込みう
るように洗面器底部下面の高さを大きくしたものが記載
されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の洗面設備は、車
椅子に椅座した身体の不自由な人にとって水栓が過度に
奥に設けられている（洗面器の前縁部から水栓の吐水口
までの水平距離が長すぎる）ため、手洗いしにくいとい
う問題があった。

【０００４】即ち、車椅子の椅座者のうち両手を洗うべ
く上半身を前にかがめることが困難な椅座者は、上半身
をほぼ直立させ腕だけを前方に伸すようにして手洗いを
行うのであるが、このような姿勢は苦しく、とくに時間
をかけて良く手を洗う場合に疲労が大きい。

【０００５】また、腕を前方に伸した状態では車椅子を
操作することができず、手洗い動作中に車椅子が不安定
になり、椅座者の身体も不安定になる。さらに、手洗い
動作中に車椅子の位置を微調整することもできない。

【０００６】本発明は、このような問題点を解決し、車
椅子椅座者にとって手洗い動作し易い洗面設備を提供す
ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の洗面設備は、下
側に車椅子椅座者の膝が入り込みうる高さに設置された
洗面器と、該洗面器のボール部内に吐水する水栓とを有
する洗面設備において、該水栓の吐水口と洗面器の前縁
との水平距離が１８０〜２７０ｍｍであることを特徴と
するものである。

【０００８】また、本発明の洗面設備は、洗面器設置孔
を有するカウンターと、該カウンターの該洗面器設置孔
の部分に設置された洗面器と、該洗面器のボール部内に
吐水する水栓とを備えてなり、該洗面器は、その下側に
車椅子椅座者の膝が入り込みうる高さに設置されてお
り、該水栓の吐水口と該カウンターの前縁との水平距離
が１８０〜２７０ｍｍであることを特徴とするものであ
る。

【０００９】かかる洗面設備においては、車椅子の椅座
者がその膝を洗面器の下に深く入り込ませて腹部を洗面
器前縁部に近接させることができる。そして、この状態
で腕の肘付近を洗面器（請求項１の場合）又はカウンタ
ー（請求項４の場合）の前縁部上面に当て、掌部分を水
栓の吐水口下方に位置させて手洗いすることができる。

【００１０】このように、肘付近で腕及び上半身を支え
た状態で手洗いできるため、手洗い動作中に腕が疲れる
こともなく、また椅座者身体及び車椅子を安定化させる
ことができる。さらに、車椅子の位置を微調節すること
もできる。

【００１１】なお、水栓の吐水口と洗面器（請求項１の
場合）又はカウンター（請求項４の場合）の前縁との水
平距離を１８０〜２７０ｍｍとしたことにより、洗面器
（請求項１の場合）又はカウンター（請求項４の場合）
の前縁部上面に肘付近をのせた椅座者の掌がちょうど吐
水口の真下にくるようになり、手洗いを容易に行える。

【００１２】本発明では、車椅子椅座者の膝が洗面器下
面の奥まで容易に入り込みうるようにするために、洗面
器の底部外面に、高さ（床面からの高さ。以下、同様）
６５０ｍｍ以上の部分が洗面器（請求項１の場合）又は
カウンター（請求項４の場合）の前縁から奥方向に２５
０ｍｍ以上の範囲にわたって設けられており、洗面器底
部外面のうち洗面器（請求項１の場合）又はカウンター
（請求項４の場合）の前縁から３００ｍｍ以上奥の部分
に排水管が設けられていることが好ましい。

【００１３】また、肘をのせ易くするために、洗面器
（請求項１の場合）又はカウンター（請求項４の場合）
の前縁部の上面の高さを７５０〜８００ｍｍとすること
が好ましい。

【００１４】さらに、洗面器のボール部内の奥辺部に沿
って上面が略水平な棚状部を設け、この棚状部の上にコ
ップ、石鹸入れ等の小物を置けるようにするのが好まし
い。

【００１５】

【発明の実施の形態】図１は実施の形態に係る洗面設備
を示すものであり、（ａ）図は平面図、（ｂ）図は側面
図、図２はこの洗面設備を備えた衛生設備室の斜視図で
ある。

【００１６】建築物の壁面１に洗面器２が取り付けら
れ、この洗面器２に水栓（この実施の形態ではシングル
レバー湯水混合水栓）３が設けられている。

【００１７】この洗面器２のボール部４内の奥辺部分に
沿って棚状部５が設けられており、水栓３はこの棚状部
５上に設置されている。この棚状部５は、ボール部４の
中央から右側にかけて延設されている。棚状部５の左側
のボール部４の奥側部分に排水口６が設けられている。
洗面器２の下面の奥側の部分に、この排水口６に連通す
る排水管７が設けられている。

【００１８】この洗面器２の前縁Ｆから水栓３の吐水口
３ａまでの水平距離は１８０〜２７０ｍｍとなってい
る。

【００１９】洗面器２の前縁部の上面の高さは７５０〜
８００ｍｍとなっている。

【００２０】洗面器２の下面Ｇは、該前縁Ｆから奥方向
へ２５０ｍｍ以上の範囲（水平方向の範囲）にわたって
高さ６５０ｍｍ以上となっており、車椅子８の椅座者の
膝が十分に奥まで入り込めるようになっている。なお、
排水管７は、この前縁Ｆよりも３００ｍｍ以上奥の部分
に設けられており、椅座者の膝が排水管７に当ることも
ない。

【００２１】このように構成された洗面設備において
は、車椅子の椅座者がその膝を洗面器１の下に深く入り
込ませて腹部を洗面器前縁部に近接させることができ
る。そして、この状態で腕の肘Ｅを洗面器前縁部上面に
当て、掌部分を水栓３の吐水口３ａの下方に位置させて
手洗いすることができる。

【００２２】このように肘を腕及び上半身を支えた状態
で手洗いできるため、手洗い動作中に腕が疲れることも
なく、また椅座者身体及び車椅子を安定化させることが
できる。さらに、車椅子８の位置を微調節することもで
きる。

【００２３】なお、水栓３の吐水口と洗面器前縁Ｆとの
水平距離を１８０〜２７０ｍｍとしたことにより、洗面
器前縁部上面に肘をのせた椅座者の掌がちょうど吐水口
３ａの真下にくるようになり、手洗いを容易に行える。
この洗面器前縁Ｆと吐水口３ａまでの水平距離は２００
〜２７０ｍｍとくに２２０〜２５０ｍｍが好ましい。

【００２４】また、洗面器前縁部の上面の高さを７５０
〜８００ｍｍとしているため、肘Ｅをのせ易い。なお、
洗面器前縁部の上面の幅ｆは２０ｍｍ以上とくに２０〜
１００ｍｍであることが好ましい。

【００２５】この実施の形態では、棚状部５を設けてい
るので、その上にコップ、石鹸入れ等の小物を置くこと
ができ、きわめて便利である。この棚状部５は完全な水
平であっても良いが、若干の排水勾配をつけるのが好ま
しい。

【００２６】上記実施の形態ではシングルレバー式水栓
が用いられているが、自動水栓も好適である。

【００２７】上記実施の形態では排水口６を左奥に配置
しているが、右奥など他の位置に配置しても良い。

【００２８】なお、図２に示すように、この洗面器を備
えた衛生設備室には洋風便器１０の側方にカウンター１
１が設けられ、このカウンター１１に手洗器１２が設け
られている。この手洗器１２の前縁はえぐれている。カ
ウンター１１の前面上部に手すり１３が水平に延設され
ており、図３のようにこの手すり１３の上に肘をのせ、
洋風便器１０に座ったまま上半身を安定させながら手洗
いできる。１４は手洗器１２の水栓を示す。

【００２９】図４はカウンター１１’に洗面器２’を設
置した洗面設備の実施の形態を示すものであり、壁面１
に沿ってカウンター１１’が水平に設置されている。こ
のカウンター１１’は洗面器設置孔１１Ｈを備えてお
り、この洗面器設置孔１１Ｈの下側に洗面器２’が取り
付けられている。なお、洗面器２’は洗面器設置孔１１
Ｈに嵌合されるタイプのものであっても良い。

【００３０】このカウンター１１’の最も前方に突出し
た前縁Ｆから水栓３の吐水口３ａまでの水平距離は１８
０〜２７０ｍｍとなっている。

【００３１】カウンター１１’の前縁部の上面の高さは
７５０〜８００ｍｍとなっている。

【００３２】洗面器２の下面Ｇは、該カウンター１１’
の前縁Ｆから奥方向へ２５０ｍｍ以上の範囲（水平方向
の範囲）にわたって高さ６５０ｍｍ以上となっており、
車椅子８の椅座者の膝が十分に奥まで入り込めるように
なっている。排水管７は、このカウンター１１’の前縁
Ｆよりも３００ｍｍ以上奥の部分に設けられており、椅
座者の膝が排水管７に当ることもない。

【００３３】その他の構成は図１と同様であり、同一符
号は同一部分を示している。

【００３４】このように構成された洗面設備において
も、車椅子の椅座者がその膝を洗面器１の下に深く入り
込ませて腹部を洗面器前縁部に近接させることができ
る。そして、この状態で腕の肘Ｅをカウンター１１’の
前縁部上面に当て、掌部分を水栓３の吐水口３ａの下方
に位置させて手洗いすることができる。

【００３５】このように肘を腕及び上半身を支えた状態
で手洗いできるため、手洗い動作中に腕が疲れることも
なく、また椅座者身体及び車椅子を安定化させることが
できる。さらに、車椅子８の位置を微調節することもで
きる。

【００３６】なお、水栓３の吐水口とカウンター１１’
の前縁Ｆとの水平距離を１８０〜２７０ｍｍとしたこと
により、カウンター１１’の前縁部上面に肘をのせた椅
座者の掌がちょうど吐水口３ａの真下にくるようにな
り、手洗いを容易に行える。このカウンター１１’の前
縁Ｆと吐水口３ａまでの水平距離は２００〜２７０ｍｍ
とくに２２０〜２５０ｍｍが好ましい。

【００３７】また、カウンター１１’の前縁部の上面の
高さを７５０〜８００ｍｍとしているため、肘Ｅをのせ
易い。このカウンター１１’の前縁部の上面の幅も２０
ｍｍ以上とくに２０〜１００ｍｍが好ましい。

【００３８】

【発明の効果】以上の通り、本発明の洗面設備は、車椅
子椅座者にとってきわめて使い易く、手洗い動作中に腕
や上半身が疲れることも全くなく、時間をかけて十分に
手を洗うことも可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は実施の形態に係る洗面設備を示すもので
あり、（ａ）図は平面図、（ｂ）図は側面図である。

【図２】図１の洗面設備を備えた衛生設備室の斜視図で
ある。

【図３】手洗器の使用状態を示す斜視図である。

【図４】図４は別の実施の形態に係る洗面設備を示すも
のであり、（ａ）図は平面図、（ｂ）図は側面図であ
る。

【符号の説明】

１ 壁面 ２，２’ 洗面器 ３ 水栓 ４ ボール部 ５ 棚状部 ６ 排水口 ７ 排水管 ８ 車椅子 １０ 洋風便器 １１，１１’ カウンター １１Ｈ 洗面器設置孔 １２ 手洗器 １３ 手すり

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下側に車椅子椅座者の膝が入り込みうる
   高さに設置された洗面器と、 該洗面器のボール部内に吐水する水栓とを有する洗面設
   備において、 該水栓の吐水口と洗面器の前縁との水平距離が１８０〜
   ２７０ｍｍであることを特徴とする洗面設備。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記洗面器の底部外
   面に、高さ６５０ｍｍ以上の部分が洗面器前縁から奥方
   向に２５０ｍｍ以上の範囲にわたって設けられており、 洗面器底部外面のうち洗面器前縁から３００ｍｍ以上奥
   の部分に排水管が設けられていることを特徴とする洗面
   設備。
3. 【請求項３】 請求項１又は２において、洗面器の前縁
   部の上面の高さが７５０〜８００ｍｍであることを特徴
   とする洗面設備。
4. 【請求項４】 洗面器設置孔を有するカウンターと、 該カウンターの該洗面器設置孔の部分に設置された洗面
   器と、 該洗面器のボール部内に吐水する水栓とを備えてなり、 該洗面器は、その下側に車椅子椅座者の膝が入り込みう
   る高さに設置されており、 該水栓の吐水口と該カウンターの前縁との水平距離が１
   ８０〜２７０ｍｍであることを特徴とする洗面設備。
5. 【請求項５】 請求項４において、前記洗面器の底部外
   面に、高さ６５０ｍｍ以上の部分がカウンター前縁から
   奥方向に２５０ｍｍ以上の範囲にわたって設けられてお
   り、 洗面器底部外面のうちカウンター前縁から３００ｍｍ以
   上奥の部分に排水管が設けられていることを特徴とする
   洗面設備。
6. 【請求項６】 請求項４又は５において、カウンターの
   前縁部の上面の高さが７５０〜８００ｍｍであることを
   特徴とする洗面設備。
7. 【請求項７】 請求項１ないし６のいずれか１項におい
   て、前記ボール部内の奥辺部分に沿って上面が略水平な
   棚状部が設けられていることを特徴とする洗面設備。