JPH1043224A

JPH1043224A - 外反母趾装具

Info

Publication number: JPH1043224A
Application number: JP22433396A
Authority: JP
Inventors: Toshiro Nakamura; 俊郎中村; Yasushi Hara; 靖原
Original assignee: NAKAMURA BUREISU KK; Nakamura Brace Co Ltd
Current assignee: NAKAMURA BUREISU KK; Nakamura Brace Co Ltd
Priority date: 1996-08-06
Filing date: 1996-08-06
Publication date: 1998-02-17

Abstract

(57)【要約】【課題】長期装用を阻害せず、又矯正効果の高い外反
母趾装具を提供する。【解決手段】第一中足骨骨頭内側の突出部分を保護除
痛しつつ、母趾先端を第II趾と離反する方向に、第一中
足骨骨頭を第二中足骨骨頭側に、それぞれ付勢すること
によって外反母趾の矯正を図る装具であって、伸縮生地
より成り全中足骨の骨頭部分を締めつけながら周回する
円筒状の中足骨バンドと、該中足骨バンドと一体の母趾
バンドを主体とし、第一中足骨骨頭内側位置にはリング
状の除圧パッドが、該中足骨バンドの足底側裏面にメタ
タルザルサポートパッドが、更に第一中足骨から母趾に
かけて補強筋材が設けられている。この補強筋材として
は、コイルステーが特に好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、外反母趾の除痛を
図ると共に長期装用することによってこれを保存的に矯
正するための外反母趾用具の構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近時外反母趾がしばしば問題となってい
るが、この「外反母趾」とは母趾が第II趾側に屈曲して
いる状態とそうした病症を指すものである。原因とし
て、第１中足頭の増大、第１中足足根関節の異常、母趾
外転筋・内転筋の異常、第１中足骨の長大、靱帯の弛緩
などが挙げられている。なお、かつては不適当な形状の
靴のためとされていたが、現在では不適当な靴は変形や
症状を増大させる因子ではあるが第一義的な原因ではな
いとされている。

【０００３】いずれにせよ第１中足骨は過度に内反し、
中足指節関節で外反し、母趾は外反のほか他の４趾に対
して強い捻転位をとり、時として対向位に見えるまで捻
転している。変形が著明なものは、第１中足骨骨頭内側
が肥大し、しばしばその部位の滑液包や仮骨の形成をみ
るため突出部は更に大きくなる。この骨突出部と滑液包
とを併せて俗に「バニオン（bunion）」という。

【０００４】外反母趾の治療は、止むを得ないという形
での外科手術による以外は、保存的に行なうべきである
とされており、重症者が少ないとされている我が国にお
いては実際に外科手術をする例は極めて少ない。この保
存的療法のための装具が「外反母趾装具」である。通常
は、扁平足に対するのと同様に「ふまず支え」を処方し
たり、「夜間装具」「整形外科靴」等を使用することが
多い。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、欧米と異な
り日常生活において頻繁に履物を換える習慣のある我が
国では、靴型の装具、靴を履いている時だけ機能する装
具、或いは靴が履けない装具といったものは、理想的な
装具とは言いがたい。更に、歩行用装具は靴の中に装填
するものであるか靴そのものという場合が多いが、足の
形状や大きさ、症状やその進行度によって個々異なるの
が普通であるため、一品生産するのが常識となってい
る。従って装具を得るまでに時間がかかり、また非常に
高価なものであった。

【０００６】また、靴を履いていても裸足でも装用でき
る外反母趾装具もいくつかあり、実際に製品として出回
っている。これらはいずれも金属その他の硬い部材を使
用しないいわゆる軟性装具であり、良好な装用感が得ら
れること、既製品化しやすいので即座且つ安価に提供で
きること、等々の効果があるが、矯正能力という最も重
要な点については充分な効果の期待できないものであっ
た。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
記諸点に鑑み鋭意研究の結果遂に本発明を成したもので
あってその特徴とするところは、第一中足骨骨頭内側の
突出部分を保護除痛しつつ、母趾先端を第II趾と離反す
る方向に、第一中足骨骨頭を第二中足骨骨頭側に、それ
ぞれ付勢することによって外反母趾の矯正を図る装具で
あって、伸縮生地より成り全中足骨の骨頭部分を締めつ
けながら周回する円筒状の中足骨バンドと、該中足骨バ
ンドと一体であり母趾に嵌め込まれる母趾バンドとによ
りなる装具において、第一中足骨骨頭内側位置にはリン
グ状の除圧パッドが、該中足骨バンドの足底側裏面にメ
タタルザルサポートパッドが設けられており、更に第一
中足骨から母趾にかけて保形性の高い材料より成る補強
筋材が設けられている点にある。なお、第一中足骨骨頭
の突出箇所を示すための「内側」という語句に代表され
るように本明細書中では、位置を示すために用いる
「内」「外」「上」「下」等の語句は、体躯を基本にす
るものとし、体躯中心軸側を「内側」と、直立した時の
足底側を「下」といった具合に使用するものとする。

【０００８】ここで、第一中足骨骨頭内側の突出部分と
は、母趾付け根の太くなった部分の内側を指す語句であ
る。この部分は正常な関節の場合であっても突出してい
る部分であるが、外反母趾の場合には突出がより顕著
で、靴の装用に痛みを伴うことが多い。本発明装具で
は、その除痛を目的として該部分にリング状の除圧パッ
ドが設けられている。リング状とは、中央付近が切欠さ
れたある程度以上の厚みのある板状体を意味する語句で
あり、精確な同心円として外径内径が形成されているも
ののみを指す語句ではない。外形は真円でなく長円や楕
円その他であっても良いし、切欠孔も除痛に貢献するも
のである限りどのような構造形状であっても良い。特に
切欠孔については、透孔ではなく、窪みであっても除圧
の効果があれば「リング状」の概念に含まれるものとす
る。除圧パッドの材質については特に限定しないが、や
や硬めのスポンジ状のもの（ラバースポンジ等）が装用
感、除痛効果において好適である。これを直接取設して
も良いが、皮膚との接触感をより快適にするためにその
表面を肌当たりの良い生地で覆うようにすることも自由
である。

【０００９】メタタルザルサポートパッドは、外反母趾
においては前足部のアーチ（主として横アーチ）の低下
を伴うことが多いのに対処するため、中足支えとして機
能するものであるが、母趾の変形が進むとその先端側は
下方外側に移動してゆくのでそういう状況においては除
痛にも役立つ。またその材質については限定はしない
が、基本的には除圧パッドと同様のもので良い。

【００１０】補強筋材は、矯正力を得るために第一中足
骨から母趾にかけて設けられる部材であり、保形性の高
い材料より成る。この補強筋材は、自身の復元力によっ
て母趾或いは中足骨を正規の位置方向に付勢させること
によって矯正を図るものであるため、それに適したコシ
の強さをもつ材質構造が必要である。さらに、第一中足
骨から母趾にかけてのラインは湾曲しているので、補強
筋材は直線状ではなく矯正位に湾曲加工されたものであ
るのが望ましい。材質は何ら限定はしないが、弾性力
（復元力）の大きいプラスチック製の棒状体或いは板状
体、金属板、または金属製コイルステー等は好適であ
る。

【００１１】除圧パッド、メタタルザルサポートパッ
ド、及び補強筋材を有することで、本発明装具は、第１
中足骨骨頭突出部が靴内面に接触して生じる痛みを和ら
げ、前足部のアーチの低下を補い、変形した母趾関節の
矯正も行なうことになる。またこれら３種の部材は全て
中足骨バンド又は母趾バンドに既に固定されたものであ
るので、装着は靴下を履くのと変わらぬ感覚で行なえ極
めて簡単である。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下図面に基づいて本発明を更に
詳細に説明する。図１は、本発明に係る外反母趾装具１
（以下本発明装具１という）の一例として左足用の装具
を示すものであり、図より明らかなように本発明装具１
は、断面積の異なる二つの筒を合わせたような形状をし
ており、大きい方の筒を中足骨バンド２、小さい方の筒
を母趾バンド３と呼ぶが、これらは伸縮性のある１枚の
布を裁断縫製して成した一体物である。なお本例の場
合、右足用と左足用とは対称位にあるが兼用はできな
い。また、１枚の布から成したものであるので当然縫合
線は存在するが、描出を省略している。

【００１３】中足骨バンド２及び母趾バンド３の内面に
は、除圧パッド４、メタタルザルサポートパッド５がそ
れぞれ縫着されている。除圧パッド４は楕円板状のスポ
ンジラバーの中央を丸く抜き取ったドーナツリング状の
部材であり、母趾バンド３の内側（第一中足骨骨頭部の
突出部分に相当する箇所）に取設されている。メタタル
ザルサポートパッド５は、除圧パッド４と同じ材質の楕
円板状のものであり、中足骨バンド２内面底側の第三中
足骨骨頭やや後方付近を中心とする位置に取設されてい
るいわゆる中足支えとして機能するものである。

【００１４】また、本発明装具１には非常に特徴的な部
材として、補強筋材６が取設されている。これは、第一
中足骨から母趾先端にかけてその下側を這う棒状薄板で
あり本発明装具内面に設けられた袋部６１内に格納され
る形で取設されている。この補強筋材６は、直線状のも
のではなく、第一中足骨と母趾との正常な位置（矯正
位）に矯正するように湾曲しているものである。従って
足部変形を来している患者が本発明装具１を装用した場
合には、その変形に追随して該補強筋材６も変形するこ
とになるが、補強筋材６の復元力によって、患部には矯
正位方向に常時押される力が発生することになり、効果
的な保存療法が行なわれることになる。

【００１５】なお本例で使用した補強筋材６は、互いに
逆巻きの関係にある２本の金属コイルを軸を揃えるよう
にして重ね合わせた上で扁平に押しつぶして細板状とし
た、一般にコイルステーと呼ばれる金属線加工物であ
る。これを図２に示す。単なる板材（例えば金属板バ
ネ）と違いコイルステーは、その厚み方向ばかりでなく
幅方向についても十分な弾性力（変形と復元）を示すの
で、補強筋材６の材料としては好適である。何故なら補
強筋材６は、足底に存在する部材であるから、装用感と
いう点で薄い方が好ましいが、補強筋材６に求められる
弾性力は、母趾先端を第II趾と離反する方向に、第一中
足骨骨頭を第二中足骨骨頭側になければならない、つま
り、薄物でその幅方向に弾性力を有している必要がある
からである。このような弾性材料は、実際にはあまりな
くそのような意味でコイルステーは好適なのである。な
お図示はしないが、補強筋材６を本発明装具１に取り付
けるための袋部６１の構造を改良し、補強筋材６の出し
入れができるようにすれば、金属線の太さや、補強筋材
６自体の本数を変更することで矯正力を自由に調整でき
るようになる。

【００１６】

【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明に係る
外反母趾装具は、第一中足骨骨頭内側の突出部分を保護
除痛しつつ、母趾先端を第II趾と離反する方向に、第一
中足骨骨頭を第二中足骨骨頭側に、それぞれ付勢するこ
とによって外反母趾の矯正を図る装具であって、伸縮生
地より成り全中足骨の骨頭部分を締めつけながら周回す
る円筒状の中足骨バンドと、該中足骨バンドと一体であ
り母趾に嵌め込まれる母趾バンドとによりなる装具にお
いて、第一中足骨骨頭内側位置にはリング状の除圧パッ
ドが、該中足骨バンドの足底側裏面にメタタルザルサポ
ートパッドが設けられており、更に第一中足骨から母趾
にかけて補強筋材が設けられているものであることを特
徴とするものであり、以下述べる如き種々の効果を有す
る非常に高度な発明である。

【００１７】軟性装具の一種であるため、軽量であ
る。靴下を履くような感覚で装着できる。既製品化しやすいので、安価かつ迅速に購入でき
る。補強筋材を有しているので、軟性装具でありながら
矯正能力は高い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る外反母趾装具の一例を示す一部を
省略した概略斜視図である。

【図２】補強筋材の一例を示す平面図である。

【符号の説明】

１本発明に係る外反母趾装具２中足骨バンド３母趾バンド４除圧パッド５メタタルザルサポートパッド６補強筋材６１袋部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】第一中足骨骨頭内側の突出部分を保護除
痛しつつ、母趾先端を第II趾と離反する方向に、第一中
足骨骨頭を第二中足骨骨頭側に、それぞれ付勢すること
によって外反母趾の矯正を図る装具であって、伸縮生地
より成り全中足骨の骨頭部分を締めつけながら周回する
円筒状の中足骨バンドと、該中足骨バンドと一体であり
母趾に嵌め込まれる母趾バンドとによりなる装具におい
て、第一中足骨骨頭内側位置にはリング状の除圧パッド
が、該中足骨バンドの足底側裏面にメタタルザルサポー
トパッドが設けられており、更に第一中足骨から母趾に
かけて補強筋材が設けられているものであることを特徴
とする外反母趾装具。
【請求項２】補強筋材は、湾曲加工したコイルステー
である請求項１記載の外反母趾装具。