JPH1040727A - 暗室用照明器具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】フイルタの寿命を保証すると共に感光材料に悪
影響を与えることなく暗室を照明できる暗室用照明器具
を提供する。 【解決手段】ケース本体１２と蓋１４とから暗室用照明
器具１０の外装ケースを構成し、外装ケース内に、発光
ダイオード１６の基板１８、乳白プレート２０、フイル
タ２２、及び透明プレート２４を取り付ける。発光ダイ
オード１６は、写真フイルムのカラーペーパーに悪影響
を与えないために、そのスペクトルのピークが５８５ｎ
ｍのものを使用する。また、フイルタは、発光ダイオー
ド１６のスペクトルのうち裾野部分のスペクトルを遮断
して、ピーク値及びピーク値近傍のスペクトルのみを通
過させるものを使用する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は暗室用照明器具に係
り、特に写真フイルム等の写真用感光材料を取り扱う暗
室に設置される暗室用照明器具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の暗室用照明器具としては、タング
ステンを使用する白熱電球やナトリウム電球が適用さ
れ、これらの電球のガラス球に特定波長域を吸収するフ
イルタをコーティングして、感光材料の感光領域に有害
な波長をカットするようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電球を
使用する従来の暗室用照明器具は、光のエネルギが大き
いので、フイルタが早期に熱退色してしまい、また、フ
イルタの寿命がばらついて管理上の点から実用性に欠け
るという欠点がある。このような不具合を解消するため
に、実開昭５９−１３８８５５号公報には、光源とし
て、光のエネルギが小さく且つ感光材料の低感度波長域
にスペクトルのピーク値を有する発光ダイオードを用い
ることにより、フイルタを不要とした暗室用照明器具が
開示されている。しかしながら、発光ダイオードのスペ
クトルは、裾野部分の領域が広いので、その部分のスペ
クトルが感光材料に悪影響を与えるという欠点がある。

【０００４】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、フイルタの寿命を保証すると共に感光材料に悪
影響を与えることなく暗室を照明することができる暗室
用照明器具を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために、感光材料の低感度波長域にスペクトルの
ピーク値を有する発光ダイオードと、該発光ダイオード
のスペクトルのうち裾野部分のスペクトルを遮断して、
ピーク値及びピーク値近傍のスペクトルのみを通過させ
るフイルタと、を有し、前記発光ダイオードからの照明
光を前記フイルタを介して照明するようにしたことを特
徴としている。

【０００６】本発明によれば、光源として発光ダイオー
ドを使用することにより、光のエネルギを電球よりも大
幅に小さくしてフイルタの寿命を保証した。そして、前
記発光ダイオードとして、感光材料の低感度波長域にス
ペクトルのピーク値を有する発光ダイオードを適用し、
フイルタとして、発光ダイオードのスペクトルのうち裾
野部分のスペクトルを遮断してピーク値及びピーク値近
傍のスペクトルのみを通過させるフイルタを適用したの
で、感光材料に悪影響を与えることなく暗室を照明する
ことができる。

【０００７】請求項２記載の発明は、暗室の天井や壁に
設置する暗室用照明器具を対象としたもので、暗室用照
明器具の外装ケースを構成するケース本体に、前記発光
ダイオードが複数配設された基板を取り付け、そして、
ケース本体と蓋部材との間で、前記フイルタを保持させ
て構成した。発光ダイオードを点灯すると、その光は前
記フイルタによって有害光が遮断されて、前記蓋部材の
照明用開口部から暗室を照明する。

【０００８】請求項３記載の発明は、発光ダイオードと
フイルタとの間に拡散板を介在させたものである。発光
ダイオードの光特性は指向性が強く、これをそのまま照
明用に適用すると、局部的には照明できるが暗室全体を
照明することができない。よって、拡散板を使用すれば
発光ダイオードの光を散光させることができるので、暗
室を広い範囲で照明することができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下添付図面に従って本発明に係
る暗室用照明器具の好ましい実施の形態を説明する。図
１は本実施の形態の暗室用照明器具１０の斜視図であ
り、図２はその分解斜視図である。図１、図２に示す暗
室用照明器具１０は、写真フイルムを取り扱う暗室に設
置される箱型タイプのものである。この暗室用照明器具
１０は、ケース本体１２と蓋１４とから外装ケースが構
成され、この外装ケース内に、発光ダイオード１６の基
板１８、拡散板である乳白プレート２０、フイルタ２
２、及び透明プレート２４が取り付けられている。

【００１０】図２に示すように、前記ケース本体１２は
その表面が矩形状に形成される。また、ケース本体１２
の四隅部には、木ねじ２６が挿通される貫通孔２８が夫
々形成されている。前記木ねじ２６は、暗室用照明器具
１０を暗室の天井又は壁に固定するもので、蓋１４をケ
ース本体１２に固定する前に、ケース本体１２をねじ固
定することにより、暗室用照明器具１０が前記天井又は
壁に固定される。

【００１１】前記蓋１４も同様にその表面が矩形状に形
成される。蓋１４の表面には、矩形状の照明用開口部１
５が形成されると共に、その四隅部にはねじ３０が挿通
される貫通孔３２が夫々形成されている。前記ねじ３０
は、蓋１４をケース本体１２に固定するものであり、貫
通孔３２を介してねじ込むと、ケース本体１２のねじ孔
３４に螺合する。これによって、蓋１４とケース本体１
２とが図１に示すように一体に組み付けられる。

【００１２】図２において、前記基板１８には、多数の
発光ダイオード１６、１６…が所定の間隔をもって取り
付けられると共に、これらの発光ダイオード１６に電力
を供給するコード３６が接続されている。前記コード３
６は、基板１８の組み付け時に、ケース本体１２の側面
開口部１３からケース本体１２の外部に配設され、その
先端のプラグ３８（図１参照）が暗室のコンセントに接
続される。前記基板１８は、ケース本体１２に形成され
た矩形状の凹部４０に挿入され、そして、その下部の四
隅に突設されたピン１９を凹部４０の孔部４２に嵌入す
ることにより、ケース本体１２に固定される。

【００１３】ところで、前記発光ダイオード１６は、暗
室内で写真フイルムのカラーペーパーに悪影響を与えな
いために、そのスペクトル（発光ダイオードの波長特性
（周波数特性））のピーク値が図３中点線で示すように
５８５ｎｍ（シャープ（株）製：形式ＧＬ５ＨＹ４７）
のものが使用されている。即ち、カラーペーパーの低感
度波長域にスペクトルのピーク値を有する発光ダイオー
ド１６が使用されている。

【００１４】ここで、図３について説明すれば、図３の
縦軸は相対感度を示し、横軸は波長（ｎｍ）を示してい
る。同図に示すようにカラーペーパーは、５２０ｎｍま
での青感光性光剤(yellow)、４３０〜５８０ｎｍまでの
緑感光性光剤（mazenta)、６００〜７５０ｎｍまでの赤
感光性光剤（cyan) で構成され、５８０〜６００ｎｍの
波長域に不感光領域又は低感度の波長域がある。この波
長域に、前記発光ダイオード１６のスペクトルのピーク
値がある。

【００１５】この状態で発光ダイオード１６を点灯する
と、発光ダイオード１６のスペクトルのうちピーク値及
びピーク値付近のスペクトルは、カラーペーパーに悪影
響を与えない。しかし、前記スペクトルのうち裾野部分
のスペクトルは、緑感光性光剤の領域、及び赤感光性光
剤の領域に一部重なってしまうので、カラーペーパーに
悪影響を与えてしまう。

【００１６】そこで、本実施の形態では、発光ダイオー
ド１６の前方に図２に示すフイルタ２２を設け、このフ
イルタ２２によって、発光ダイオード１６のスペクトル
のうち裾野部分のスペクトルを遮断して、ピーク値及び
ピーク値近傍のスペクトルのみを通過させるようにし
た。図３中点線が発光ダイオード（ＬＥＤ）１６のスペ
クトルであり、一点鎖線がフイルタ２２の特性である。
同図によれば、発光ダイオード１６のスペクトルのうち
裾野部分のスペクトルが、前記フイルタ２２で遮断され
ることが分かる。

【００１７】したがって、本実施の形態の暗室用照明器
具１０は、先ず、光源として発光ダイオード１６を使用
したので、光のエネルギが電球よりも大幅に低下する。
よって、電球を使用するよりもフイルタ２２の寿命を保
証することができるので、暗室用照明器具１０の管理が
容易になる。また、本実施の形態は、発光ダイオード１
６として、カラーペーパーの低感度波長域にスペクトル
のピーク値を有する発光ダイオード１６を適用し、フイ
ルタ２２として、発光ダイオード１６のスペクトルのう
ち裾野部分のスペクトルを遮断してピーク値及びピーク
値近傍のスペクトルのみを通過させるフイルタ２２を適
用したので、カラーペーパーに悪影響を与えることなく
暗室を照明することができる。

【００１８】尚、本実施の形態では、カラーペーパーに
適用させるため、スペクトルのピーク値が５８５ｎｍの
ものを使用したが、モノクロームペーパーの場合には、
３５０〜５００ｎｍまでが感光領域なので、５００ｎｍ
以上の波長域にピーク値がある発光ダイオードを使用す
れば良い。また、カラーペーパーに適用する場合におい
て、可視光領域外（例えば、赤外光の領域）でピーク値
がある発光ダイオードを使用しても良い。この場合に
は、発光ダイオードで暗室が照明されていることを直接
見ることができないので、赤外線眼鏡をかければ良い。

【００１９】また、本実施の形態では図２に示すよう
に、拡散板である乳白プレート２０を、発光ダイオード
１６の基板１８とフイルタ２２との間に設けている。発
光ダイオード１６の特性は指向性が強く、これをそのま
ま照明用に適用すると、局部的には照明できるが暗室全
体を照明することができない。よって、本実施の形態の
ように、乳白プレート２０を使用すれば発光ダイオード
１６の光を散光させることができるので、暗室を広い範
囲で照明することができる。

【００２０】一方、ケース本体１２には、無端状のパッ
キン４４が取り付けられている。このパッキン４４は、
ケース本体１２の凹部４０の周囲に形成された凸条部４
２の図示しない溝に嵌め込まれている。このパッキン４
４上に、前記乳白プレート２０の周縁部が載置され、こ
の乳白プレート２０上に前記フイルタ２２及び透明プレ
ート２４が順に重ねられて配置される。これらの乳白プ
レート２０、フイルタ２２、及び透明プレート２４は、
蓋１４をケース本体１２にねじ固定すると、蓋１４の下
面と前記パッキン４４とに挟持されて固定される。よっ
て、ケース本体１２と蓋１４との継目から発光ダイオー
ド１６の光が洩れるのがパッキン４４によって防止され
ている。

【００２１】このように構成された暗室用照明器具１０
によれば、発光ダイオード１６を点灯させると、その光
は乳白プレート２０によって散光されたのち、フイルタ
２２によって有害光が遮断され、そして、透明プレート
２４を介して蓋１４の開口部１５から暗室を照明する。
尚、本実施の形態では、箱型の暗室用照明器具１０につ
いて説明したが、これに限られるものではない。発光ダ
イオード１６の光をフイルタ２２を介して照明する照明
器具であれば、その形態は問わない。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係る暗室用
照明器具によれば、光源として発光ダイオードを使用し
たので、フイルタの寿命を保証でき、また、発光ダイオ
ードとして、感光材料の低感度波長域にスペクトルのピ
ーク値を有する発光ダイオードを適用し、フイルタとし
て、発光ダイオードのスペクトルのうち裾野部分のスペ
クトルを遮断してピーク値及びピーク値近傍のスペクト
ルのみを通過させるフイルタを適用したので、感光材料
に悪影響を与えることなく暗室を照明することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の暗室用照明器具を示す全
体斜視図

【図２】図１に示した暗室用照明器具の分解斜視図

【図３】可視光領域におけるＬＥＤスペクトルとフイル
タ特性との関係を示す説明図

【符号の説明】

１０…暗室用照明器具 １２…ケース本体 １４…蓋 １６…発光ダイオード １８…基板 ２０…乳白プレート ２２…フイルタ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】感光材料の低感度波長域にスペクトルのピ
   ーク値を有する発光ダイオードと、 該発光ダイオードのスペクトルのうち裾野部分のスペク
   トルを遮断して、ピーク値及びピーク値近傍のスペクト
   ルのみを通過させるフイルタと、 を有し、前記発光ダイオードからの照明光を前記フイル
   タを介して照明するようにしたことを特徴とする暗室用
   照明器具。
2. 【請求項２】ケース本体と、該ケース本体に開閉可能に
   取り付けられると共にその表面に照明用の開口部が形成
   された蓋部材とから暗室用照明器具の外装ケースを構成
   し、 該外装ケースに、感光材料の低感度波長域にスペクトル
   のピーク値を有する複数の発光ダイオードが配設された
   基板と、該発光ダイオードのスペクトルのうち裾野部分
   のスペクトルを遮断して、ピーク値及びピーク値近傍の
   スペクトルのみを通過させるフイルタとを収納したこと
   を特徴とする暗室用照明器具。
3. 【請求項３】前記発光ダイオードと前記フイルタとの間
   に、拡散板を介在させたことを特徴とする請求項１、又
   は２記載の暗室用照明器具。