JPH1040586A - 光ディスク用スタンパの再生方法 - Google Patents

光ディスク用スタンパの再生方法

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JPH1040586A
JPH1040586A JP19644396A JP19644396A JPH1040586A JP H1040586 A JPH1040586 A JP H1040586A JP 19644396 A JP19644396 A JP 19644396A JP 19644396 A JP19644396 A JP 19644396A JP H1040586 A JPH1040586 A JP H1040586A
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stamper
pressure
sensitive adhesive
film
optical disk
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JP19644396A
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English (en)
Inventor
Kentaro Hirai
健太郎 平井
Yasuhisa Fujii
藤井  靖久
Makoto Kataoka
片岡  真
Yasuko Fujii
靖子 藤井
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ディスク用スタンパ表面への汚染がなく、
作業時間の短縮が可能で、環境汚染がないスタンパの再
生方法を提供する。 【解決手段】 射出成形、射出圧縮成形または圧縮成形
により光ディスク基板を製造する際の使用により、裏面
状態が悪化し使用不可能となった光ディスク用スタンパ
のピット用凹凸及び/又はグルーブ用凹凸形成面に粘着
フィルムを直接貼付して該スタンパの裏面を研磨して再
使用を可能にする方法であって、該粘着フィルムが、基
材フィルム及びその片表面に形成された粘着剤層からな
り、該粘着剤層が、架橋剤と反応し得る官能基を有する
粘着剤ポリマー100重量部に対し、1分子中に2個以
上の架橋反応性官能基を有する架橋剤0.1〜30重量
部を含み、SUS304−BA板に対する粘着力が10
〜180g/25mmであり、且つ、該粘着フィルムの
平均厚みが20〜300μm、厚みバラツキが平均厚み
の±5μm以内であることを特徴とする光ディスク用ス
タンパの再生方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスク用スタ
ンパの再生方法に関する。詳しくは、光を用いて情報の
記録、再生等を行う光ディスク、光及び磁気を用いて情
報の記録、再生、消去等を行う光磁気ディスク(以下、
これらを総称して光ディスクという)を製造する際に用
いられるスタンパの再生方法に関する。さらに詳しく
は、光ディスク用スタンパ(以下、これらをスタンパと
いう)を用いて、射出成形、射出圧縮成形または圧縮成
形等を行う該光ディスクの製造工程において、原料樹脂
のスタンパ裏面への回り込みや裏面への衝撃等により、
裏面の表面状態(以下、裏面状態という)が悪化し、そ
の使用が不可能になったスタンパの裏面(ピット用及び
/又はグルーブ用凹凸を形成した反対側の面)を研磨し
て再生する際(以下、スタンパの再生工程という)に、
該スタンパのピット用凹凸及び/又はグルーブ用凹凸形
成面(以下、信号用凹凸形成面、または、スタンパ表面
という)に粘着フィルムを直接貼付してその反対面(以
下、裏面という)を研磨して再生する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光、または、光及び磁気を用いて情報の
記録、再生、消去等を行う光ディスクは、スタンパを成
形用の金型として片面にピットやグルーブ等を形成した
光ディスク基板を製造し、この表面に、金属反射層、保
護層等を形成したものである。追記型や書換え型の光
(磁気)ディスク(CD−R,MO,等)の場合には、
基板と金属反射層、保護層等との間に、有機色素や磁性
体、合金、金属酸化物等の無機材料からなる記憶膜が形
成される。一般に、ピットとは音声、映像、情報等を再
生するための信号、並びに、アドレス情報やディスクの
特性を示すための情報を記録する穴のことをいい、グル
ーブとは、追記型や書換え型の光(磁気)ディスクの場
合に用いられる信号記録の為の案内溝等のことをいう。
【0003】これらの光ディスクを製造する工程の中
で、光ディスク基板の製造工程では、スタンパを成形用
の金型として射出成形法、射出圧縮成形法、圧縮成形
法、感光性樹脂法(2P法)等の方法により該光ディス
ク基板が製造されている。最近では、得られる光ディス
ク基板の精度、量産性等を考慮して、射出成形法、圧縮
成形法、射出圧縮成形法が採用され、特に、射出成形法
と射出圧縮成形法が主流になりつつある。
【0004】射出成形法、射出圧縮成形法または圧縮成
形法により、光ディスク基板を製造する場合、前述のス
タンパ製造工程において、裏面を十分に研磨されたスタ
ンパが金型に取り付けられる。成形時には、約400〜
600kg/cm2の樹脂圧力が加わるのでスタンパ裏
面の表面粗さやスタンパ厚みの不均一性等がスタンパ表
面に現れ、転写されるディスク基板の特性に大きな影響
を与えるからである。
【0005】しかし、上述の様に十分に裏面の研磨され
たスタンパを用いて光ディスク基板を製造しても、10
00枚から20000枚(製造条件によって異なる)製
造すれば、原料樹脂の該スタンパ裏面への回り込みや、
該スタンパ裏面への衝撃等により、該スタンパの裏面状
態が悪化し、得られるディスク基板の特性が悪化する。
そのため該スタンパの裏面を再研磨して、該スタンパを
再生する必要が生じてくる。この様な裏面状態の悪化し
たスタンパを、裏面研磨により再生する際には、信号用
凹凸形成面を保護する必要がある。
【0006】信号用凹凸形成面を保護しながらスタンパ
の裏面を研磨して再生する方法として、従来、特開昭6
0−216915号公報に開示されている、被研磨物で
ある金属スタンパの外径より大きい、膜厚均一な剥離補
助シートを円盤状金属プレートの中心部に配置し、前記
円盤状金属プレート面に前記剥離補助シートを被覆する
ように両面粘着シートを貼付け、信号面を保護コートし
た金属スタンパをその信号面側を両面粘着シートに対応
させて前記両面粘着シート上に固着した後、ポリシング
法又はラッピング法により前記金属スタンパの裏面研磨
を行う金属スタンパ裏面研磨方法や、特開昭63−24
7932号公報に開示されている、電鋳工程を経たスタ
ンパの表面に保護膜を設け、この保護膜を有する面を基
板に向けてスタンパと基板とを接着する工程を備えたス
タンパの製造において、上記スタンパは最終的に目的と
する外径より直径にして10mm以上大きく加工したも
のを用い、かつ上記スタンパの外径を大きくした部分に
上記保護膜の欠如した部分を設け、この欠如部分を上記
基板との接着に用いるようにしたことを特徴とするスタ
ンパの製造方法、等に準じて、スタンパの信号用凹凸形
成面を何らかの保護層で保護してから裏面を研磨する方
法を行っていた。
【0007】しかし、これらの保護層は、高分子の溶液
をスピンコート法等で塗布乾燥することにより形成され
るものであるため、種々の問題が生じていた。
【0008】例えば、(1)高分子溶液には有機溶剤が
入っており、大掛かりな局所排気設備を設けなくてはな
らない問題(通常、スタンパの清浄度を保つために高分
子保護層がクリーンルーム内で形成されることを考慮す
ると、クリーンルーム内に大規模な局所排気設備を設け
ることは実用的でない)。(2)上記高分子保護層は、
有機溶剤で洗浄しても完全に除去することが困難であ
り、微量残存することが多いためスタンパを汚染する原
因となる問題。(3)前記保護層の要求特性(厚みの均
一性、信号用凹凸形成面に欠陥を残さない為のコンタミ
を含まないクリーン度)を満足させるため該溶液を管理
する問題(高分子溶液をフィルターで濾過すること、高
分子溶液の粘度を所定の範囲に維持すること等)。
(4)作業性の問題(高分子保護層を形成する為に、溶
液の塗布、乾燥、硬化には長時間を要する)、等であ
る。さらには、保護層成形時に膜収縮がある場合には、
スタンパ自身の反りが問題となることもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題に鑑み、スタンパ表面への汚染がなく、作業時間の
短縮が可能で、しかも有機溶剤による環境汚染がない、
より合理的なスタンパの再生方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、光ディスク用スタンパの再生工程において、該
スタンパの信号用凹凸形成面に特定の粘着フィルムをそ
の粘着剤層を介して直接貼付して保護することにより、
上記目的が達成し得ることを見出し、本発明に到った。
【0011】すなわち、本発明は、射出成形、射出圧縮
成形または圧縮成形により光ディスク基板を製造する際
の使用により、裏面状態が悪化し使用不可能となった光
ディスク用スタンパのピット用凹凸及び/又はグルーブ
用凹凸形成面に粘着フィルムを直接貼付して該スタンパ
の裏面を研磨して再使用を可能にする方法であって、該
粘着フィルムが、基材フィルム及びその片表面に形成さ
れた粘着剤層からなり、該粘着剤層が、架橋剤と反応し
得る官能基を有する粘着剤ポリマー100重量部に対
し、1分子中に2個以上の架橋反応性官能基を有する架
橋剤0.1〜30重量部を含み、SUS304−BA板
に対する粘着力が10〜180g/25mmであり、且
つ、該粘着フィルムの平均厚みが20〜300μm、厚
みバラツキが平均厚みの±5μm以内であることを特徴
とする光ディスク用スタンパの再生方法である。
【0012】本発明の特徴は、光ディスク用スタンパの
再生工程において、その裏面を研磨する際に、スタンパ
の信号用凹凸形成面に直接、特定の粘着フィルムを貼付
することにある。本発明に用いる粘着フィルムは、その
粘着剤層が特定量の架橋剤を含むので、剥離した後に粘
着剤に起因する汚染が残存しない。また、粘着力が特定
の範囲に限定されているため、スタンパの裏面研磨中に
は強固に粘着し、剥離する際には剥離応力によりスタン
パが変形することがない。さらに、本発明によれば、ス
タンパの信号用凹凸形成面に高分子の溶液をスピンコー
トする等して保護層を形成する必要がない。そのため、
保護層形成のための溶液塗布、乾燥作業等を省略するこ
とができ、作業時間が大幅に短縮できる。塗布された高
分子の溶液を乾燥する際の有機溶剤ガスの発生がないの
で、環境を汚染する恐れもない。従って、本発明によれ
ば、光ディスク用スタンパの再生工程の作業性の向上、
環境汚染防止等を図ることが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明における光ディスク用スタンパとは、コン
パクトディスク(CD)、ビデオディスク(LD)等の
如き、光を用いて情報の再生を行うことができる再生専
用型光ディスクの製造に用いられるスタンパだけでな
く、光、または、光及び磁気を用いて情報の記録、再
生、消去等を行うことができる追記型や書換え型光ディ
スク、光磁気ディスク等の製造に用いられるスタンパを
も包含する。
【0014】本発明は、スタンパの再生工程において、
該スタンパの裏面を研磨する際において、基材フィルム
の片表面に粘着剤層が形成され、さらに必要に応じて該
粘着剤層の表面に剥離フィルムが配設された(貼付する
際には剥離フィルムを剥離する)特定の粘着フィルム
を、その粘着剤層表面を介してスタンパの信号用凹凸形
成面に貼付けて裏面研磨を行うスタンパの再生方法であ
る。
【0015】先ず、光ディスク用スタンパの再生方法つ
いて説明する。射出成形、射出圧縮成形、または、圧縮
成形により光ディスク基板を製造する際の使用により、
裏面状態が悪化し使用不可能になったスタンパの信号用
凹凸形成面に、粘着フィルムを、その粘着剤層表面から
剥離フィルムを剥離して粘着剤層表面を露出させ、その
粘着剤層を介して貼着する。次いで、研磨治具盤に真空
装置等を用いて粘着フィルムの基材フィルム層を介して
スタンパを固定し、スタンパの裏面を研磨する。研磨終
了後、粘着フィルムを剥離する。剥離後、必要に応じて
信号用凹凸形成面に対し、水洗、プラズマ洗浄等の洗浄
処理を行ってもよい。又、粘着フィルムを剥離しないで
一定期間保管する場合もある。本発明においては、裏面
研磨方法には特に制限はなく公知の研磨方法で差支えな
い。
【0016】次いで、本発明に使用する粘着フィルムに
ついて説明する。本発明で用いる粘着フィルムは、基材
フィルム又は剥離フィルムの片表面に、粘着剤ポリマ
ー、架橋剤、さらに必要に応じて他の添加剤を含む溶液
またはエマルジョン液(以下、これらを総称して粘着剤
塗布液という)を塗布、乾燥して粘着剤層を形成するこ
とにより製造される。
【0017】基材フィルムに粘着剤層を形成する場合
は、環境に起因する汚染等から保護するために粘着剤層
の表面に剥離フィルムを貼着することが好ましい。ま
た、剥離フィルムの片表面に粘着剤層を形成する場合
は、粘着剤層を基材フィルムへ転写する方法がとられ
る。基材フィルム及び剥離フィルムのいずれの片表面に
粘着剤塗布液を塗布するかは、基材フィルム及び剥離フ
ィルムの耐熱性、光ディスク用スタンパの信号用凹凸形
成面への汚染性等を考慮して決める。例えば、剥離フィ
ルムの耐熱性が基材フィルムのそれより優れている場合
は、剥離フィルムの表面に粘着剤層を設けた後、基材フ
ィルムへ転写する。耐熱性が同等または基材フィルムが
優れている場合は、基材フィルムの表面に粘着剤層を設
け、該粘着剤層表面に剥離フィルムを貼着する。
【0018】本発明に用いる粘着フィルムは、剥離フィ
ルムを剥離したときに露出する粘着剤層の表面を介して
スタンパの信号用凹凸形成面に貼着されることを考慮
し、粘着剤層による情報記録面の汚染防止を図るために
は、耐熱性の良好な剥離フィルムを使用し、その表面に
粘着剤塗布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形成する方法
が好ましい。
【0019】本発明で用いる粘着フィルムの基材フィル
ムとして、合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム等から製造さ
れたフィルムが挙げられる。具体的に例示するならば、
ポリオレフィン、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリブタ
ジエン、軟質塩化ビニル樹脂、ポリアミド、アイオノマ
ー等の樹脂、およびそれらの共重合体エラストマー、お
よびジエン系、ニトリル系、シリコーン系、アクリル系
等の合成ゴム等のフィルムが挙げられる。基材フィルム
は単層体であっても、また、積層体であってもよい。
【0020】基材フィルムの厚みは、後述する粘着剤層
の厚みとの合計、即ち粘着フィルムの厚みが20〜30
0μmとなる様に選択することが好ましい。より好まし
い粘着フィルムの厚みは25〜200μmである。粘着
フィルムの厚みは、スタンパ再生工程におけるスタンパ
の破損防止、スタンパの信号用凹凸形成面への貼着作業
性及び剥離作業性、粘着フィルムの製造コスト、等に影
響する。厚みが薄くなると作業性、スタンパ信号面を保
護する能力が低下する傾向があり、厚くなると粘着フィ
ルムの製造コストが増大する傾向がある。
【0021】基材フィルムは、厚みバラツキが後述する
粘着フィルムの厚みバラツキに影響を与えない程度に管
理して製造されたものが好ましい。基材フィルムと粘着
剤層との接着力を向上させるため、基材フィルムの粘着
剤層を設ける面にはコロナ放電処理または化学処理等を
施すことが好ましい。また、基材フィルムと粘着剤層の
間に下塗り剤を用いてもよい。
【0022】粘着フィルムから剥離フィルムを剥離する
際、スタンパから粘着フィルムを剥離する際等に生じる
静電気により、作業性が低下したり、スタンパの信号用
凹凸形成面に外部からの汚染物が付着し易くなることを
考慮すれば、基材フィルムの粘着剤層と反対側の面には
静電気防止処理を施すことが好ましい。静電気防止処理
方法としては、界面活性剤等の静電気防止剤を塗布する
方法、コロナ放電処理を施す方法等が挙げられる。
【0023】スタンパ再生工程中の裏面研磨方法や研磨
装置に応じて、基材フィルムの粘着剤層(スタンパ信号
用凹凸面保護用)の反対側の面に研磨治具盤等に固定す
るための、粘着剤層を設けてもよい。この場合、裏面研
磨加工装置に真空吸着装置等の固定装置を設ける必要が
ない。但し、該固定用粘着剤層を設ける場合、粘着フィ
ルム全体の厚みバラツキが、後述する、好ましい範囲内
に入るように設けることが好ましい。また、該固定用粘
着剤層と研磨治具盤の接着力は、研磨加工終了後にスタ
ンパを変形させずに剥離できる様に調整することが好ま
しい。例えば、治具盤側に易剥離処理を施す等である。
【0024】本発明に用いる粘着フィルムの剥離フィル
ムとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレ
ート等の合成樹脂フィルムが挙げられる。必要に応じて
その表面にシリコーン処理等が施されたものが好まし
い。剥離フィルムの厚みは、通常10〜150μmであ
る。好ましくは30〜100μmである。
【0025】本発明に用いる粘着フィルムの粘着剤層
は、基材フィルムまたは剥離フィルムの片表面に、粘着
剤塗布液を塗布、乾燥することにより形成される。
【0026】粘着剤塗布液は、その基本成分である粘着
剤ポリマー、及び、凝集力を上げたり粘着力を調整する
ための1分子中に2個以上の架橋反応性官能基を有する
架橋剤を含む溶液またはエマルジョン液である。粘着特
性を調整するためにロジン系、テルペン樹脂系等のタッ
キファイヤーを適宜添加してもよい。また、粘着剤ポリ
マーがエマルジョン液である場合はジエチレングリコー
ルモノアルキルエーテル等の造膜助剤を添加してもよ
い。
【0027】本発明に用いる粘着フィルムの粘着剤層を
構成する粘着剤ポリマーとしては、架橋剤と架橋反応し
得る官能基を有する各種合成ゴム系ポリマー等が挙げら
れる。これらの内、粘着物性の制御、再現性等を考慮す
ると、アクリル酸アルキルエステル系ポリマー、メタク
リル酸アルキルエステル系ポリマー、ブタジエン系ポリ
マー、イソプレン系ポリマー、スチレン−ブタジエン系
ポリマー等が挙げられる。これらの内、アクリル酸アル
キルエステル系ポリマー、メタクリル酸アルキルエステ
ル系ポリマーが好ましい。粘着剤ポリマーを含む液体
(以下、粘着剤主剤)は溶液、エマルジョン液等の何れ
でもよい。
【0028】粘着剤ポリマーがアクリル酸アルキルエス
テル系ポリマー、またはメタクリル酸アルキルエステル
系ポリマーである場合、粘着剤ポリマーを構成する主モ
ノマーとして、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等のア
クリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエス
テル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよい
し、また、2種以上を混合して使用してもよい。主モノ
マーの使用量は粘着剤ポリマーの原料となる全モノマー
の総量中に、通常、60〜99重量%の範囲で含まれて
いることが好ましい。
【0029】上記主モノマーと共重合させる、架橋剤と
反応し得る官能基を有するコモノマーとして、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコ
ン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノアルキル
エステル、メサコン酸モノアルキルエステル、シトラコ
ン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエス
テル、マレイン酸モノアルキルエステル、アクリル酸−
2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシ
エチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ターシャ
ル−ブチルアミノエチルアクリレート、ターシャル−ブ
チルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。これ
らの一種を上記主モノマーと共重合させてもよいし、ま
た2種以上を共重合させてもよい。上記の架橋剤と反応
しうる官能基を有するコモノマーの使用量は、粘着剤ポ
リマーの原料となる全モノマーの総量中に、通常、1〜
40重量%の範囲で含まれていることが好ましい。
【0030】本発明においては、上記粘着剤ポリマーを
構成する主モノマー及び架橋剤と反応し得る官能基を有
するコモノマーのほかに界面活性剤としての性質を有す
る特定のコモノマー(以下、重合性界面活性剤という)
を共重合してもよい。重合性界面活性剤は、主モノマー
及びコモノマーと共重合する性質を有すると共に乳化重
合する場合には乳化剤としての作用を有する。重合性界
面活性剤を用いて乳化重合した粘着剤ポリマーを用いた
場合には、通常、界面活性剤によるスタンパの信号用凹
凸形成面に対する汚染が生じない。また、粘着剤層に起
因する僅かな汚染が生じた場合においても、信号用凹凸
形成面を水洗することにより容易に除去することが可能
となる。この様な重合性界面活性剤の例としては、例え
ば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルのベン
ゼン環に重合性の1−プロペニル基を導入したもの〔第
一工業製薬(株)製;アクアロンRN−10、同RN−
20、同RN−30、同RN−50等〕、ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテルの硫酸エステルのアンモ
ニウム塩のベンゼン環に重合性の1−プロペニル基を導
入したもの〔第一工業製薬(株)製;アクアロンHS−
10、同HS−20等〕、及び分子内に重合性2結合を
持つ、スルホコハク酸ジエステル系のもの〔花王(株)
製;ラテムルS−120A、同S−180A等〕等が挙
げられる。
【0031】主モノマー、架橋剤と反応し得る官能基を
有するコモノマー、重合性界面活性剤の他に、さらに必
要に応じてアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシ
ジル、イソシアネートエチルアクリレート、イソシアネ
ートエチルメタクリレート、2−(1−アジリジニル)
エチルアクリレート、2−(1−アジリジニル)エチル
メタクリレート等の自己架橋性の官能基を有するモノマ
ー、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の重合
性2重結合を有するモノマー、ジビニルベンゼン、アク
リル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、アクリル酸アリ
ル、メタクリル酸アリル等の多官能性のモノマー等を共
重合してもよい。
【0032】粘着剤ポリマーを重合する方法としては、
溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等既知の様々な方
法が採用できるが、得られる粘着剤ポリマーの分子量及
びそれに伴う粘着剤の凝集力への影響を考慮することが
好ましい。これらの重合方法の内、高分子量のポリマー
が得られること、塗布、乾燥工程における環境汚染、塗
布性等を勘案すると乳化重合法が好ましい。
【0033】粘着剤ポリマーの重合反応機構としては、
ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等が挙げら
れるが、粘着剤の製造コスト、モノマーの官能基の影響
等を考慮すればラジカル重合によって重合することが好
ましい。ラジカル重合反応によって重合する際、ラジカ
ル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、アセ
チルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オ
クタノイルパーオキサイド、ジ−ターシャル−ブチルパ
ーオキサイド、ジ−ターシャル−アミルパーオキサイド
等の有機過酸化物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、2,2’−ア
ゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−
メチルブチロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シア
ノバレリックアシッド等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0034】本発明に用いる架橋剤は、架橋反応性官能
基を1分子中に2個以上有する化合物であり、粘着剤ポ
リマーが有する官能基と架橋反応させて、粘着力および
凝集力を調整するために用いる。架橋剤としては、ソル
ビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポ
リグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリ
シジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテ
ル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチ
ルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリ
シジルエーテル等のエポキシ系化合物、テトラメチレン
ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、
トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3
付加物、ポリイソシアネート等のイソシアネート系化合
物、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニル
プロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−
アジリジニルプロピオネート、N,N’−ジフェニルメ
タン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミ
ド)、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−
アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−トルエン−
2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、ト
リメチロールプロパン−トリ−β−(2−メチルアジリ
ジン)プロピオネート等のアジリジン系化合物、及びヘ
キサメトキシメチロールメラミン等のメラミン系化合物
等が挙げられる。
【0035】これらは単独で使用してもよいし、2種以
上を併用してもよい。上記架橋剤の中で、エポキシ系架
橋剤は架橋反応の速度が遅く、反応が十分に進行しない
場合には粘着剤層の凝集力が低くなり、スタンパ表面の
状態、研磨方法等によっては粘着剤層に起因する汚染が
生じることがある。したがって、適宜、アミン等の触媒
を添加するか、もしくは触媒作用のあるアミン系官能基
をもつモノマーを粘着剤ポリマーに共重合するか、架橋
剤を使用する際にアミンとしての性質を有するアジリジ
ン系架橋剤を併用することが好ましい。
【0036】架橋剤の添加量は、通常、架橋剤中の官能
基数が粘着剤ポリマー中の官能基数よりも多くならない
程度の範囲で添加する。しかし、架橋反応で新たに官能
基が生じる場合や、架橋反応が遅い場合など、必要に応
じて過剰に添加してもよい。架橋剤の添加量は、粘着剤
ポリマー100重量部に対し0.1〜30重量部である
ことが好ましい。
【0037】粘着フィルムの粘着力は、スタンパの裏面
研磨中の信号用凹凸形成面に対する保護性、スタンパか
らの剥離作業性、剥離応力によるスタンパの変形等に影
響する。かかる観点から、粘着フィルムの粘着力は、通
常、SUS304−BA板に対する粘着力に換算すると
10〜180g/25mmが好ましい。より好ましくは
10〜100g/25mmであり、さらに好ましくは1
0〜50g/25mmである。粘着力が高すぎると、変
形なしに剥離することが困難となり剥離作業時間が長く
なり、また、粘着フィルムの剥離時にスタンパが変形
し、低すぎると、研磨中に研磨剤等がスタンパと粘着剤
層の間に侵入し、信号用凹凸に影響を与える等、保護が
不充分となる。
【0038】基材フィルム又は剥離フィルムの片表面に
粘着剤塗布液を塗布する方法としては、従来公知の塗布
方法、例えば、ロールコーター法、リバースロールコー
ター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコー
ター法、ダイコーター法等が採用できる。塗布された粘
着剤の乾燥条件には特に制限はないが、一般的には、8
0〜200℃の温度範囲において10秒〜10分間乾燥
することが好ましい。さらに好ましくは80〜170℃
において15秒〜5分間乾燥する。
【0039】粘着剤層の厚みは、スタンパの表面形状、
裏面研磨時の保護性、スタンパから剥離する際の粘着力
等を考慮して適宣決められる。通常、2〜15μm程度
が好ましい。より好ましくは2〜10μmである。
【0040】本発明で使用する粘着フィルムを製造する
際、粘着剤塗布液の乾燥が終了した後に、架橋剤と粘着
剤ポリマーとの架橋反応を十分に促進させるために、粘
着フィルムを40〜80℃において5〜300時間程度
加熱しても良い。
【0041】粘着フィルムの厚みバラツキは、裏面研磨
後のスタンパの厚みバラツキに影響を与える。従って、
粘着フィルムの厚みバラツキは、厚みの平均値に対し
て、±5μm以内であることが好ましい。さらに好まし
くは±3μm以内である。
【0042】本発明で使用する粘着フィルムの製造方法
は、上記の通りであるが、スタンパの信号用凹凸面の汚
染防止の観点から、基材フィルム、剥離フィルム、粘着
剤主剤等全ての原料資材の製造環境、粘着剤塗布液の調
製、保存、塗布及び乾燥環境は、米国連邦規格209b
に規定されるクラス1,000以下のクリーン度に維持
されていることが好ましい。又、本発明の光ディスク用
スタンパの再生方法は、同様に信号用凹凸面の汚染の観
点からクラス1,000以下のクリーン度に維持された
環境下で行なわれることが好ましい。
【0043】
【実施例】以下、実施例を示して本発明についてさらに
詳細に説明する。本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。尚、実施例または比較例で得られた粘着フ
ィルムの粘着力および厚みバラツキ、得られたスタンパ
の厚みバラツキおよび,表面汚染は下記の方法で評価し
た。
【0044】(1)粘着力の測定(g/25mm) 下記に規定した条件以外は、全てJIS Z−0237
に準じて測定する。23℃の雰囲気下において、実施例
または比較例で得られた粘着フィルムをその粘着剤層を
介して、5×20cmのSUS304−BA板(JIS
G−4305規定)の表面に貼着し、1時間放置す
る。試料の一端を挟持し、剥離角度180度、剥離速度
300mm/min.でSUS304−BA板の表面か
ら試料を剥離する際の応力を測定し、g/25mmの粘
着力に換算する。
【0045】(2)粘着フィルムの厚みバラツキの測定
(μm) 実施例または比較例で得られた粘着フィルムから10c
m四方の大きさのサンプルを無作為に採取する。剥離フ
ィルムを剥がした状態で、粘着フィルムの厚み(基材フ
ィルムと粘着剤層の合計)を縦横1cm毎に計100点
測定し、平均値を求める。最大値または最小値と平均値
の差をとり、絶対値の大きい方の値(A)を厚みバラツ
キとし、±A(μm)で表す。
【0046】(3)裏面研磨後のスタンパの厚みバラツ
キの測定(μm) 実施例または比較例で得られた、裏面研磨終了後のスタ
ンパの信号用凹凸が形成された部分の厚みを等間隔で無
作為に50点測定し、平均値を求める。最大値または最
小値と平均値の差をとり、絶対値の大きい方の値(B)
を厚みバラツキとし、±B(μm)で表す。
【0047】(4)裏面研磨後のスタンパの信号用凹凸
形成面の汚染観察 実施例または比較例で得られた、裏面研磨終了後のスタ
ンパの信号用凹凸形成面を顕微鏡(800倍)で観察
し、汚染の状況を評価する。
【0048】実施例1 重合反応機において、脱イオン水150重量部、重合開
始剤として4,4’−アゾビス−4−シアノバレリック
アシッド〔大塚化学(株)製、商品名:ACVA〕を
0.5重量部、アクリル酸ブチル73.25重量部、メ
タクリル酸メチル14重量部、メタクリル酸−2−ヒド
ロキシエチル9重量部、メタクリル酸2重量部、アクリ
ルアミド1重量部、重合性界面活性剤としてポリオキシ
エチレンノニルフェニルエ−テル(エチレンオキサイド
の付加モル数の平均値:約20)の硫酸エステルのアン
モニウム塩のベンゼン環に重合性の1−プロペニル基を
導入したもの〔第一工業製薬(株)製:アクアロンHS
−20〕0.75重量部を用い、攪拌下で70℃におい
て9時間乳化重合を実施し、アクリル樹脂系水エマルジ
ョンを得た。これを14重量%アンモニア水で中和し、
固形分約40重量%の粘着剤ポリマーエマルジョン(粘
着剤主剤)を得た。得られた粘着剤主剤エマルジョン1
00重量部(粘着剤ポリマー濃度約40重量%)を採取
し、さらに14重量%アンモニア水を加えてpH9.3
に調整した。次いで、アジリジン系架橋剤〔日本触媒化
学工業(株)製、ケミタイトPZ−33〕4重量部、お
よびジエチレングリコールモノブチルエーテル5重量部
を添加して粘着剤塗布液を得た。
【0049】この粘着剤塗布液をロールコーターを用い
てポリプロピレンフィルム(剥離フィルム、厚み:50
μm)に塗布し、120℃で1分間乾燥し厚さ3μmの
粘着剤層を設けた。次いで、コロナ放電処理を施した厚
さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(基
材フィルム)の該処理面を貼り合わせ押圧して、粘着剤
層を転写させた。転写後、60℃において48時間加熱
した後、室温まで冷却することにより粘着フィルムを製
造した。得られた粘着フィルムのSUS−304BA板
に対する粘着力は30g/25mm、厚みバラツキは±
2μmであった。
【0050】得られた粘着フィルムから剥離フィルムを
剥離して、その粘着剤層を介して、、射出圧縮成形での
使用により裏面状態が悪化し、使用不可能となった厚さ
約0.3mmの追記型のコンパクトディスク(CD−
R)用スタンパの信号用凹凸形成面に貼着した後、スタ
ンパの裏面研磨を行った。裏面研磨終了後、該粘着フィ
ルムを剥離した。粘着フィルムの貼付け、及び剥離に要
した時間は合計で1分間程度の短時間であり、特別な大
型装置を必要とすることはなかった。得られたスタンパ
について、研磨状況を評価したところ、何れも局所的な
凹みはなく、スタンパの厚みバラツキは±2μm以内と
良好であった。又、スタンパの信号用凹凸形成面を顕微
鏡(800倍)で観察したところ、汚染物は発見され
ず、再使用が可能になった。結果を〔表1〕に示す。
【0051】実施例2 実施例1の粘着フィルムの製造において、粘着剤層の厚
みを2μmとした以外は実施例1と同様の方法で粘着フ
ィルムを製造した。得られた粘着フィルムのSUS−3
04BA板に対する粘着力は15g/25mm、厚みバ
ラツキは±2μmであった。得られた粘着フィルムを用
いて、実施例1と同様の方法で、射出成形での使用によ
り裏面状態が悪化し、使用不可能となった厚さ約0.3
mmの再生専用コンパクトディスク(CD)用スタンパ
の裏面研磨を行った。粘着フィルムの貼付け、及び剥離
に要した時間は合計で1分程度の短時間であり、特別な
大型装置を必要とすることはなかった。得られたスタン
パについて、研磨状況を評価したところ、何れも局所的
な凹みはなく、スタンパの厚みバラツキは±2μm以内
と良好であった。又、スタンパの信号用凹凸形成面を顕
微鏡(800倍)で観察したところ、汚染物は発見され
ず、再使用が可能になった。結果を〔表1〕に示す。
【0052】実施例3 実施例1の粘着フィルムの製造において、アジリジン系
架橋剤〔日本触媒化学工業(株)製、ケミタイトPZ−
33〕の添加量を3重量部とした以外は実施例1と同様
の方法で粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィル
ムのSUS−304BA板に対する粘着力は45g/2
5mm、厚みバラツキは±2μmであった。得られた粘
着フィルムを用いて、実施例1と同様の方法で、圧縮成
形での使用により裏面状態が悪化し、使用不可能となっ
た厚さ約0.3mmの再生専用コンパクトディスク(C
D)用スタンパの裏面研磨を行った。粘着フィルムの貼
付け、及び剥離に要した時間は合計で1分程度の短時間
であり、特別な大型装置を必要とすることはなかった。
得られたスタンパについて、研磨状況を評価したとこ
ろ、何れも局所的な凹みはなく、スタンパの厚みバラツ
キは±2μm以内と良好であった。又、スタンパの信号
用凹凸形成面を顕微鏡(800倍)で観察したところ、
汚染物は発見されず、再使用が可能になった。結果を
〔表1〕に示す。
【0053】実施例4 実施例1の粘着フィルムの製造において、アジリジン系
架橋剤〔日本触媒化学工業(株)製、ケミタイトPZ−
33〕の添加量を3重量部、粘着剤層の厚みを5μm、
ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材フィルム)
の厚みを50μmとした以外は実施例1と同様の方法で
粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムのSU
S−304BA板に対する粘着力は80g/25mm、
厚みバラツキは±3μmであった。得られた粘着フィル
ムを用いて、実施例1と同様の方法で、射出成形での使
用により裏面状態が悪化し、使用不可能となった厚さ約
0.3mmの再生専用コンパクトディスク(CD)用ス
タンパの裏面研磨を行った。粘着フィルムの貼付けに要
する時間は実施例1と同程度であったが、スタンパを変
形させずに剥離するのにやや時間を要した。それでも、
貼付け、及び剥離に要した時間は合計で5分程度であっ
た。また、特別な大型装置を必要とすることはなかっ
た。得られたスタンパについて、研磨状況を評価したと
ころ、何れも局所的な凹みはなく、スタンパの厚みバラ
ツキは±2μm以内と良好であった。又、スタンパの信
号用凹凸形成面を顕微鏡(800倍)で観察したとこ
ろ、汚染物は発見されず、再使用が可能になった。結果
を〔表1〕に示す。
【0054】実施例5 実施例1の粘着フィルムの製造において、アジリジン系
架橋剤〔日本触媒化学工業(株)製、ケミタイトPZ−
33〕の添加量を3重量部、粘着剤層の厚みを10μ
m、ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材フィル
ム)の厚みを50μmとした以外は実施例1と同様の方
法で粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの
SUS−304BA板に対する粘着力は160g/25
mm、厚みバラツキは±3μmであった。得られた粘着
フィルムを用いて、実施例1と同様の方法で、射出成形
での使用により裏面状態が悪化し、使用不可能となった
厚さ約0.3mmの再生専用コンパクトディスク(C
D)用スタンパの裏面研磨を行った。粘着フィルムの貼
付けに要する時間は実施例1と同程度であったが、スタ
ンパを変形させずに剥離するのにやや時間を要した。そ
れでも、貼付け、及び剥離に要した時間は合計で12分
程度であった。また、特別な大型装置を必要とすること
はなかった。得られたスタンパについて、研磨状況を評
価したところ、何れも局所的な凹みはなく、スタンパの
厚みバラツキは±2μm以内と良好であった。又、スタ
ンパの信号用凹凸形成面を顕微鏡(800倍)で観察し
たところ、汚染物は発見されず、再使用が可能になっ
た。結果を〔表1〕に示す。
【0055】比較例1 実施例1の粘着フィルムの製造において、アジリジン系
架橋剤〔日本触媒化学工業(株)製、ケミタイトPZ−
33〕の添加量を2重量部、粘着剤層の厚みを10μ
m、ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材フィル
ム)の厚みを50μmとした以外は実施例1と同様の方
法で粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの
SUS−304BA板に対する粘着力は200g/25
mm、厚みバラツキは±3μmであった。得られた粘着
フィルムを用いて、実施例1と同様の方法で、射出成形
での使用により裏面状態が悪化し、使用不可能となった
厚さ約0.3mmの再生専用コンパクトディスク(C
D)用スタンパの裏面研磨を行った。粘着フィルムの貼
付けに特に問題はなったが、剥離時にスタンパが変形し
てしまった。結果を〔表1〕に示す。
【0056】比較例2 実施例1の粘着フィルム製造において、アクリル酸ブチ
ルの使用量を66.25重量部、メタクリル酸メチルの
使用量を21重量部とし、アジリジン系架橋剤〔日本触
媒化学工業(株)製、ケミタイトPZ−33〕の添加量
を5重量部、粘着層の厚みを2μm、ポリエチレンテレ
フタレートフィルム(基材フィルム)の厚みを50μm
とした以外は実施例1と同様の方法で粘着フィルムを製
造した。得られた粘着フィルムのSUS−304BA板
に対する粘着力は8g/25mm、厚みバラツキは±2
μmであった。得られた粘着フィルムを用いて、実施例
1と同様の方法で、射出成形での使用により裏面状態が
悪化し、使用不可能となった厚さ約0.3mmの再生専
用コンパクトディスク(CD)用スタンパの裏面研磨を
行った。粘着フィルムの貼付け、及び剥離に要した時間
は合計で1分程度と短時間でよく、特別な大型装置を必
要とすることはなかった。得られたスタンパについて、
研磨状況を評価したところ、何れも局所的な凹みはな
く、スタンパの厚みバラツキは±2μm以内と良好であ
った。しかし、スタンパの信号用凹凸形成面を顕微鏡
(800倍)で観察したところ、スタンパの周辺部に研
磨剤の浸入による汚染が若干観察された。結果を〔表
1〕に示す。
【0057】比較例3 実施例1の粘着フィルム製造において、粘着剤層の厚み
を13μmとし、ポリエチレンテレフタレートフィルム
の厚みを90μmとし、且つ、粘着剤層およびポリエチ
レンテレフタレ−トフィルム(基材フィルム)の厚みバ
ラツキを大きくした以外は実施例1と同様の方法で粘着
フィルムを製造した。得られた粘着フィルムのSUS−
304BA板に対する粘着力は110g/25mm、厚
みバラツキは±7μmであった。得られた粘着フィルム
を用いて、実施例1と同様の方法で、射出成形での使用
により裏面状態が悪化し、使用不可能となった厚さ約
0.3mmの再生専用コンパクトディスク(CD)用ス
タンパの裏面研磨を行った。粘着フィルムの貼付けに要
する時間は実施例1と同程度であったが、スタンパを変
形させずに剥離するのにやや時間を要した。それでも、
貼付け、及び剥離に要した時間は合計で10分程度であ
った。また、特別な大型装置を必要とすることはなかっ
た。得られたスタンパについて、研磨状況を評価したと
ころ、何れも局所的な凹みはなかったが、スタンパの厚
みバラツキは±6μmとなり、射出成形に再使用するに
は支障が生じるレベルであった。又、スタンパの信号用
凹凸形成面を顕微鏡(800倍)で観察したところ、汚
染物は発見されなかった。結果を〔表1〕に示す。
【0058】比較例4 市販の高分子保護膜用液〔商品名、ファインケミカルジ
ャパン(株)製、商品名:クリーンコート・S〕を、射
出圧縮成形での使用により裏面状態が悪化し、使用不可
能となった厚さ約0.3mmの追記型のコンパクトディ
スク(CD−R)用スタンパの信号用凹凸形成面に、乾
燥後の厚みが約30μmとなるようにスピンコートして
約1時間乾燥した後、スタンパの裏面研磨を行った。こ
の際、溶剤排気のための局所排気設備、及びクリーン度
管理が厳重に行なわれた大掛かりなスピンコート装置が
必要であった。研磨終了後、保護膜を剥離除去したが、
剥離の際に、保護膜の一部が信号用凹凸形成面に残存し
たため、溶剤洗浄を行う必要があった。溶剤洗浄に1時
間程度要した。得られたスタンパについて研磨状況を評
価したところ、何れも局所的な凹みはなく、スタンパの
厚みバラツキは±2μm以内と良好であった。又、スタ
ンパの信号用凹凸形成面を顕微鏡(800倍)で観察し
たところ、3μm程度の異物が数個発見され、再使用す
るには、さらなる洗浄が必要であった。結果を〔表1〕
に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明に使用する粘着フィルムは、その
粘着力が特定の範囲に限定されているため適度の粘着力
を有し、スタンパの再生工程(裏面研磨)中には信号用
凹凸形成面を保護し得る程度に強固に粘着し、剥離する
際には剥離応力によりスタンパが変形することがない。
また、特定量の架橋剤を含むので、剥離した後、信号用
凹凸形成面に粘着剤に起因する汚染が残存しない。さら
に、本発明によれば、スタンパの信号用凹凸形成面に高
分子の溶液をスピンコートする等して保護層を形成する
必要がない。そのため、保護層形成のための溶液塗布、
乾燥作業等を省略することができ、作業時間が大幅に短
縮できる。塗布された高分子の溶液を乾燥する際に有機
溶剤ガスの発生がないので、環境を汚染する恐れもな
い。従って、本発明によれば、光ディスク用スタンパの
再生工程の作業性の向上、環境汚染防止等を図ることが
可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 靖子 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 射出成形、射出圧縮成形または圧縮成形
    により光ディスク基板を製造する際の使用により裏面状
    態が悪化し、使用不可能となった光ディスク用スタンパ
    のピット用凹凸及び/又はグルーブ用凹凸形成面に粘着
    フィルムを直接貼付して該スタンパの裏面を研磨して再
    使用を可能にする方法であって、該粘着フィルムが、基
    材フィルム及びその片表面に形成された粘着剤層からな
    り、該粘着剤層が、架橋剤と反応し得る官能基を有する
    粘着剤ポリマー100重量部に対し、1分子中に2個以
    上の架橋反応性官能基を有する架橋剤0.1〜30重量
    部を含み、SUS304−BA板に対する粘着力が10
    〜180g/25mmであり、且つ、該粘着フィルムの
    平均厚みが20〜300μm、厚みバラツキが平均厚み
    の±5μm以内であることを特徴とする光ディスク用ス
    タンパの再生方法。
  2. 【請求項2】 粘着力が10〜100g/25mmであ
    ることを特徴とする請求項1記載の光ディスク用スタン
    パの再生方法。
  3. 【請求項3】 粘着力が10〜50g/25mmである
    ことを特徴とする請求項1記載の光ディスク用スタンパ
    の再生方法。
  4. 【請求項4】 粘着剤層の厚みが2〜15μmであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の光ディスク用スタンパの
    再生方法。
  5. 【請求項5】 粘着フィルムの厚みバラツキが、平均厚
    みの±3μm以内であることを特徴とする請求項1記載
    の光ディスク用スタンパの再生方法。
  6. 【請求項6】 粘着剤ポリマーが、a)アクリル酸アル
    キルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルなる
    郡から選ばれた少なくとも1種の主モノマー60〜99
    重量%、b)水酸基、カルボキシル基及びアミノ基から
    選ばれた少なくとも一種の架橋剤と反応し得る官能基を
    有するコモノマー1〜40重量%を含むモノマー混合物
    を共重合して得られたものであることを特徴とする請求
    項1〜5記載の光ディスク用スタンパの再生方法。
  7. 【請求項7】 架橋剤が、エポキシ系架橋剤、アジリジ
    ン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤なる群から選ばれ
    た少なくとも1種の架橋剤であることを特徴とする請求
    項1〜5記載の光ディスク用スタンパの再生方法。
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