JPH1036787A - 光ディスク用スタンパの裏面研磨用粘着フィルム - Google Patents

光ディスク用スタンパの裏面研磨用粘着フィルム

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JPH1036787A
JPH1036787A JP19865896A JP19865896A JPH1036787A JP H1036787 A JPH1036787 A JP H1036787A JP 19865896 A JP19865896 A JP 19865896A JP 19865896 A JP19865896 A JP 19865896A JP H1036787 A JPH1036787 A JP H1036787A
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stamper
pressure
sensitive adhesive
polishing
back surface
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JP19865896A
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English (en)
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Kentaro Hirai
健太郎 平井
Yasuhisa Fujii
藤井  靖久
Makoto Kataoka
片岡  真
Yasuko Fujii
靖子 藤井
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スタンパ表面への汚染と環境汚染がなく、作
業時間の短縮が可能な光ディスク用スタンパ裏面研磨用
粘着フィルムを提供する。 【解決手段】 光ディスク用スタンパの裏面研磨を行う
際に、該スタンパのピット用凹凸及び/又はグルーブ用
凹凸形成面に直接貼付する光ディスク用スタンパの裏面
研磨用粘着フィルムであって、該粘着フィルムが、基材
フィルム及びその片表面に形成された粘着剤層からな
り、平均厚みが20〜300μm、厚みバラツキが平均
厚みの±5μm以内であり、且つ、該粘着剤層が、架橋
剤と反応し得る官能基を有する粘着剤ポリマー100重
量部に対し、1分子中に2個以上の架橋反応性官能基を
有する架橋剤0.1〜30重量部を含み、SUS304
−BA板に対する粘着力が10〜180g/25mmで
あることを特徴とする光ディスク用スタンパの裏面研磨
用粘着フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスク用スタ
ンパの裏面研磨用粘着フィルムに関する。詳しくは、光
を用いて情報の記録、再生等を行う光ディスク、光及び
磁気を用いて情報の記録、再生、消去等を行う光磁気デ
ィスク(以下、これらを総称して光ディスクという)を
製造する際に用いられるスタンパの裏面研磨を行う際に
用いられる光ディスク用スタンパの裏面研磨用粘着フィ
ルムに関する。さらに詳しくは、光ディスク用スタンパ
の製造工程、再生加工工程等において、該スタンパの裏
面研磨を行う際に、光ディスク用スタンパ(以下、これ
らをスタンパという)のピット用凹凸及び/又はグルー
ブ用凹凸形成面(以下、信号用凹凸形成面、または、ス
タンパ表面という)の保護を目的として、その信号用凹
凸形成面に直接貼付して用いられる光ディスク用スタン
パの裏面研磨用粘着フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】光、または、光及び磁気を用いて情報の
記録、再生、消去等を行う光ディスクは、スタンパを成
形用の金型として射出成形法、圧縮成形法、射出圧縮成
形法、感光性樹脂法(2P法)等の方法により、片面に
ピットやグルーブ等を形成した光ディスク基板を製造
し、この表面に、金属反射層、保護層等を形成したもの
である。追記型や書換え型の光(磁気)ディスク(CD
−R,MO,等)の場合には、基板と金属反射層、保護
層等との間に、有機色素や磁性体、合金、金属酸化物等
の無機材料からなる記憶膜が形成される。一般に、ピッ
トとは音声、映像、情報等を再生するための信号、並び
に、アドレス情報やディスクの特性を示すための情報を
記録する穴のことをいい、グルーブとは、追記型や書換
え型の光(磁気)ディスクの場合に用いられる信号を記
録する為の案内溝等のことをいう。
【0003】通常、スタンパの製造工程では、まず記録
原盤が準備される。この原盤としては高い表面精度が得
られるガラス材が用いられる。次に、研磨された原盤上
に感光材料であるフォトレジスト膜が形成される。この
感光膜をレーザービームによって露光し、必要な情報を
カッティングする。カッティングが終了すると、現像を
行いガラス原盤上に信号用凹凸が形成される。次に、前
記信号用凹凸形成面を導体化処理した後、電鋳によって
金属(通常Niが使用される)原盤とし、ガラス原盤か
ら情報が写し取られる。金属原盤をガラス原盤から剥が
し、その裏面を研磨した後、内外径を加工し、所定の寸
法にカットしたものがスタンパとなる。一般に、再生専
用型の場合、情報は、ピット用の凹凸として、追記型や
書換え型の場合にはピットおよびグルーブ用の凹凸とし
て写し取られる。
【0004】スタンパを金型として用いて、例えば、射
出成形法、圧縮成形法、射出圧縮成形法等により光ディ
スク基板を製造する場合、スタンパの裏面を滑らかにし
て裏面の表面粗さをできるだけ少なくし、且つ厚みが均
一となるように十分にその裏面を研磨しておかなければ
ならない。何故なら、例えば、射出(圧縮)成形時に
は、約400〜600kg/cm2の樹脂圧力が加わる
ので、スタンパ裏面の表面粗さやスタンパ厚みの不均一
性等の影響がそのままスタンパの表面状態に現れて転写
される樹脂基板の特性に大きな影響を与えるからであ
る。そのため、スタンパの製造工程において、スタンパ
の裏面を研磨等する際にはその信号用凹凸形成面を保護
する必要がある。
【0005】また、上述の様に十分に裏面が研磨された
スタンパを用いて、射出成形法、圧縮成形法、射出圧縮
成形法等により光ディスク基板を製造した場合、100
0枚から20000枚(製造条件によって異なる)製造
すれば、原料樹脂のスタンパ裏面への回り込みや、スタ
ンパ裏面への衝撃等により、スタンパ裏面の表面状態
(以下、裏面状態という)が悪化し、得られるディスク
基板の特性が悪化する。そのため、スタンパの裏面を再
研磨して、スタンパを再生する必要が生じてくる。この
様な裏面状態の悪化したスタンパの裏面を研磨して再生
加工する際においてもその信号用凹凸形成面を保護する
必要がある。また、製造後や使用後等にスタンパを保管
する際にもその信号用凹凸形成面を保護することが行わ
れている。
【0006】従来、スタンパの製造時、再生加工時、ま
たは、保管時に信号用凹凸形成面を保護する方法とし
て、特開昭60−216915号公報に開示されてい
る、被研磨物である金属スタンパの外径より大きい、膜
厚均一な剥離補助シートを円盤状金属プレートの中心部
に配置し、前記円盤状金属プレート面に前記剥離補助シ
ートを被覆するように両面粘着シートを貼付け、信号面
を保護コートした金属スタンパをその信号面側を両面粘
着シートに対応させて前記両面粘着シート上に固着した
後、ポリシング法又はラッピング法により前記金属スタ
ンパの裏面研磨を行う金属スタンパ裏面研磨方法や、特
開昭63−247932号公報に開示されている、電鋳
工程を経たスタンパの表面に保護膜を設け、この保護膜
を有する面を基板に向けてスタンパと基板とを接着する
工程を備えたスタンパの製造において、上記スタンパは
最終的に目的とする外径より直径にして10mm以上大
きく加工したものを用い、かつ上記スタンパの外径を大
きくした部分に上記保護膜の欠如した部分を設け、この
欠如部分を上記基板との接着に用いるようにしたことを
特徴とするスタンパの製造方法、等に準じて、スタンパ
の信号用凹凸形成面を何らかの保護層で保護する方法を
行っていた。
【0007】しかし、これらの保護層は、高分子の溶液
をスピンコート法等で塗布、乾燥することにより形成さ
れるものであるため、種々の問題が生じていた。例え
ば、(1)高分子溶液には有機溶剤が入っており、大掛
かりな局所排気設備を設けなくてはならない問題(通
常、スタンパの清浄度を保つために高分子保護層がクリ
ーンルーム内で形成されることを考慮すると、クリーン
ルーム内に大規模の局所排気設備を設けることは実用的
でない)。(2)上記高分子保護層は、有機溶剤で洗浄
しても完全に除去することが困難であり、微量残存する
ことが多いためスタンパを汚染する原因となる問題。
(3)前記保護層の要求特性(厚みの均一性、信号用凹
凸形成面に欠陥を残さない為のコンタミを含まないクリ
ーン度)を満足させるため該溶液を管理する問題(高分
子溶液をフィルターで濾過すること、高分子溶液の粘度
を所定の範囲に維持すること等)。(4)作業性の問題
(高分子保護層を形成する為に、溶液の塗布、乾燥、硬
化には長時間を要する)、等である。さらには、保護層
成形時に膜収縮がある場合には、スタンパ自身の反りが
問題となることもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題に鑑み、スタンパ表面への汚染がなく、作業時間の
短縮が可能で、しかも有機溶剤による環境汚染がない、
光ディスク用スタンパの表面保護を可能にするための、
スタンパ裏面研磨用粘着フィルムを提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、光ディスク用スタンパを製造、再生加工、また
は保管する際に、特定の構成の粘着剤層を有する、特定
の粘着力の粘着フィルムをその粘着剤層を介して該スタ
ンパの信号用凹凸形成面に直接貼付して保護することに
より、上記目的が達成し得ることを見出し、本発明に到
った。
【0010】すなわち、本発明は、光ディスク用スタン
パの裏面研磨を行う際に、該スタンパのピット用凹凸及
び/又はグルーブ用凹凸形成面に直接貼付する光ディス
ク用スタンパの裏面研磨用粘着フィルムであって、該粘
着フィルムが、基材フィルム及びその片表面に形成され
た粘着剤層からなり、平均厚みが20〜300μm、厚
みバラツキが平均厚みの±5μm以内であり、且つ、該
粘着剤層が、架橋剤と反応し得る官能基を有する粘着剤
ポリマー100重量部に対し、1分子中に2個以上の架
橋反応性官能基を有する架橋剤0.1〜30重量部を含
み、SUS304−BA板に対する粘着力が10〜18
0g/25mmであることを特徴とする光ディスク用ス
タンパの裏面研磨用粘着フィルムである。
【0011】本発明の光ディスク用スタンパの裏面研磨
用粘着フィルムの特徴は、その粘着剤層の構成および粘
着フィルムの粘着力を特定のものに限定することによ
り、光ディスク用スタンパの裏面研磨の際に、スタンパ
の信号用凹凸形成面にその粘着剤層を介して直接、貼付
し保護することを可能にしたことにある。本発明の光デ
ィスク用スタンパの裏面研磨用粘着フィルムは、その粘
着剤層が特定量の架橋剤を含むので、剥離した後に粘着
剤に起因する汚染が残存しない。また、粘着力が特定の
範囲に限定されているため、スタンパの裏面研磨の際に
は強固に粘着し、剥離する際には剥離応力によりスタン
パが変形することがない。また、粘着フィルムの厚みバ
ラツキが特定の範囲内に限定されているので、得られる
スタンパの厚みバラツキを使用可能な範囲に抑えるがで
きる。さらに、本発明の光ディスク用スタンパの裏面研
磨用粘着フィルムを用いることにより、スタンパの信号
用凹凸形成面に高分子の溶液をスピンコートする等して
保護層を形成する必要がない。そのため、保護層形成の
ための溶液塗布、乾燥作業等を省略することができ、作
業時間が大幅に短縮できる。塗布された高分子の溶液を
乾燥する際の有機溶剤ガスの発生がないので、環境を汚
染する恐れもない。従って、本発明によれば、光ディス
ク用スタンパの製造工程における作業性の向上、環境汚
染防止等を図ることが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明における光ディスク用スタンパとは、コン
パクトディスク(CD)、ビデオディスク(LD)等の
如き、光を用いて情報の再生を行うことができる再生専
用型光ディスクの製造に用いられるスタンパだけでな
く、光、または、光及び磁気を用いて情報の記録、再
生、消去等を行うことができる追記型や書換え型光ディ
スク、光磁気ディスク等の製造に用いられるスタンパを
も包含する。また、本発明における光ディスク用スタン
パの裏面研磨は、光ディスク用スタンパを新たに製造す
る際の裏面研磨だけでなく、再生加工する際の裏面研磨
をも包含する。
【0013】本発明の粘着フィルムは、光ディスク用ス
タンパの裏面研磨を行う際に、その信号用凹凸形成面を
保護するために用いられる、基材フィルムの片表面に粘
着剤層が形成され、さらに必要に応じて該粘着剤層の表
面に剥離フィルムが配設された(貼付する際には剥離フ
ィルムを剥離する)光ディスク用スタンパの裏面研磨用
粘着フィルムである。
【0014】先ず、本発明の光ディスク用スタンパの裏
面研磨用粘着フィルム(以下、粘着フィルムという)の
使用方法について説明する。一連の工程により表面に信
号用凹凸を有する加工前のスタンパを製造する。粘着フ
ィルムの粘着剤層表面から剥離フィルムを剥離し、粘着
剤層表面を露出させその粘着剤層を介して、裏面研磨加
工前のスタンパの凹凸形成面に貼着する。次いで、研磨
治具盤に真空装置等を用いて粘着フィルムの基材フィル
ム層を介してスタンパを固定し、スタンパの裏面を研磨
する。研磨終了後、粘着フィルムを剥離する。剥離後、
必要に応じて信号用凹凸形成面に対し、水洗、プラズマ
洗浄等の洗浄処理を行ってもよい。又、粘着フィルムを
剥離しないで一定期間保管する場合もある。
【0015】研磨終了後、粘着フィルムを貼着したまま
旋盤等により内外径の加工を施してもよい。内外径の加
工工程は裏面研磨前に行われることもあり、この場合、
内外径加工時から粘着フィルムを貼付しておき、該加工
終了後粘着フィルムを貼付したまま、引続き裏面研磨を
行ってもよい。本発明の粘着フィルムを用いる裏面研磨
方法には特に制限はなく公知の研磨方法で差支えない。
【0016】本発明の粘着フィルムは、上記の如きスタ
ンパの製造時の裏面研磨のみならず、光ディスク基板の
製造時に裏面状態が悪化し、使用不可能になったスタン
パの裏面を再研磨して再生加工する際や、単に、スタン
パを保管する際の信号用凹凸形成面の保護等にも使用で
きる。
【0017】次に、本発明の粘着フィルムについて説明
する。本発明の粘着フィルムは、基材フィルム又は剥離
フィルムの片表面に、粘着剤ポリマー、架橋剤、さらに
必要に応じて他の添加剤を含む溶液またはエマルジョン
液(以下、これらを総称して粘着剤塗布液という)を塗
布、乾燥して粘着剤層を形成することにより製造され
る。
【0018】基材フィルムに粘着剤層を形成する場合
は、環境に起因する汚染等から保護するために粘着剤層
の表面に剥離フィルムを貼着することが好ましい。ま
た、剥離フィルムの片表面に粘着剤層を形成する場合
は、粘着剤層を基材フィルムへ転写する方法がとられ
る。基材フィルム及び剥離フィルムのいずれの片表面に
粘着剤塗布液を塗布するかは、基材フィルム及び剥離フ
ィルムの耐熱性、光ディスク用スタンパの信号用凹凸形
成面への汚染性等を考慮して決める。例えば、剥離フィ
ルムの耐熱性が基材フィルムのそれより優れている場合
は、剥離フィルムの表面に粘着剤層を設けた後、基材フ
ィルムへ転写する。耐熱性が同等または基材フィルムが
優れている場合は、基材フィルムの表面に粘着剤層を設
け、該粘着剤層表面に剥離フィルムを貼着する。
【0019】本発明の粘着フィルムは、剥離フィルムを
剥離したときに露出する粘着剤層の表面を介してスタン
パの信号用凹凸形成面に貼着されることを考慮し、粘着
剤層による情報記録面の汚染防止を図るためには、耐熱
性の良好な剥離フィルムを使用し、その表面に粘着剤塗
布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形成し、それを基材フ
ィルムへ転写する方法が好ましい。
【0020】本発明の粘着フィルムの基材フィルムとし
て、合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム等から製造されたフ
ィルムが挙げられる。具体的に例示するならば、ポリエ
チレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエス
テル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタ
クリル酸共重合体、ポリブタジエン、軟質塩化ビニル樹
脂、ポリアミド、アイオノマー等の樹脂、およびそれら
の共重合体エラストマー、およびジエン系、ニトリル
系、シリコーン系、アクリル系等の合成ゴム等のフィル
ムが挙げられる。基材フィルムは単層体であっても、ま
た、積層体であってもよい。
【0021】基材フィルムの厚みは、後述する粘着剤層
の厚みとの合計、即ち粘着フィルムの厚みが20〜30
0μmとなる様に選択することが好ましい。より好まし
い粘着フィルムの厚みは25〜200μmである。粘着
フィルムの厚みは、スタンパ裏面研磨工程におけるスタ
ンパの破損防止、スタンパの信号用凹凸形成面への貼着
作業性及び剥離作業性、粘着フィルムの製造コスト、等
に影響する。厚みが薄くなると作業性、スタンパ信号面
を保護する能力が低下する傾向があり、厚くなると粘着
フィルムの製造コストが増大する傾向がある。
【0022】基材フィルムは、その厚みバラツキが後述
する粘着フィルムの厚みバラツキに影響を与えない程度
に管理して製造されたものが好ましい。基材フィルムと
粘着剤層との接着力を向上させるため、基材フィルムの
粘着剤層を設ける面にはコロナ放電処理または化学処理
等を施すことが好ましい。また、基材フィルムと粘着剤
層の間に下塗り剤を用いてもよい。
【0023】粘着フィルムから剥離フィルムを剥離する
際、スタンパから粘着フィルムを剥離する際等に生じる
静電気により、作業性が低下したり、スタンパの信号用
凹凸形成面に外部からの汚染物が付着し易くなることを
考慮すれば、基材フィルムの粘着剤層と反対側の面には
静電気防止処理を施すことが好ましい。静電気防止処理
方法としては、界面活性剤等の静電気防止剤を塗布する
方法、コロナ放電処理を施す方法等が挙げられる。
【0024】本発明の粘着フィルムは、裏面研磨方法や
研磨装置に応じて、基材フィルムの粘着剤層(スタンパ
信号用凹凸面保護用)の反対側の面に研磨装置の加工治
具盤等に固定するための、別の粘着剤層を設けてもよ
い。この場合、研磨装置に真空吸着装置等の固定装置を
設ける必要がない。但し、研磨装置に固定するための粘
着剤層を設ける場合、粘着フィルム全体の厚みバラツキ
が、後述の好ましい範囲内に入るように設けることが好
ましい。また、固定用粘着剤層と加工治具盤の接着力
は、研磨加工終了後にスタンパを変形させずに剥離でき
る様に調整することが好ましい。例えば、治具盤側に易
剥離処理を施す等である。
【0025】本発明の粘着フィルムの剥離フィルムとし
ては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等
の合成樹脂フィルムが挙げられる。必要に応じてその表
面にシリコーン処理等が施されたものが好ましい。剥離
フィルムの厚みは、通常10〜150μmである。好ま
しくは30〜100μmである。
【0026】本発明の粘着フィルムの粘着剤層は、基材
フィルムまたは剥離フィルムの片表面に、粘着剤塗布液
を塗布、乾燥することにより形成される。
【0027】粘着剤塗布液は、その基本成分である粘着
剤ポリマー、及び、凝集力を上げたり粘着力を調整する
ための、1分子中に2個以上の架橋反応性官能基を有す
る架橋剤を含む溶液またはエマルジョン液である。粘着
特性を調整するためにロジン系、テルペン樹脂系等のタ
ッキファイヤーを適宜添加してもよい。また、粘着剤ポ
リマーがエマルジョン液である場合はジエチレングリコ
ールモノアルキルエーテル等の造膜助剤を添加してもよ
い。
【0028】本発明の粘着フィルムの粘着剤層を構成す
る粘着剤ポリマーとしては、架橋剤と架橋反応し得る官
能基を有する各種合成ゴム系ポリマー等が挙げられる。
これらの内、粘着物性の制御、再現性等を考慮すると、
アクリル酸アルキルエステル系ポリマー、メタクリル酸
アルキルエステル系ポリマー、ブタジエン系ポリマー、
イソプレン系ポリマー、スチレン−ブタジエン系ポリマ
ー等が挙げられる。これらの内、アクリル酸アルキルエ
ステル系ポリマー、メタクリル酸アルキルエステル系ポ
リマーが好ましい。粘着剤ポリマーを含む液体(以下、
粘着剤主剤)は溶液、エマルジョン液等の何れでもよ
い。
【0029】粘着剤ポリマーがアクリル酸アルキルエス
テル系ポリマー、またはメタクリル酸アルキルエステル
系ポリマーである場合、粘着剤ポリマーを構成する主モ
ノマーとして、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等のア
クリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエス
テル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよい
し、また、2種以上を混合して使用してもよい。主モノ
マーの使用量は粘着剤ポリマーの原料となる全モノマー
の総量中に、通常、60〜99重量%の範囲で含まれて
いることが好ましい。
【0030】上記主モノマーと共重合させる、架橋剤と
反応し得る官能基を有するコモノマーとして、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコ
ン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノアルキル
エステル、メサコン酸モノアルキルエステル、シトラコ
ン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエス
テル、マレイン酸モノアルキルエステル、アクリル酸−
2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシ
エチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ターシャ
ル−ブチルアミノエチルアクリレート、ターシャル−ブ
チルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。これ
らの一種を上記主モノマーと共重合させてもよいし、ま
た2種以上を共重合させてもよい。上記の架橋剤と反応
し得る官能基を有するコモノマーの使用量は、粘着剤ポ
リマーの原料となる全モノマーの総量中に、通常、1〜
40重量%の範囲で含まれていることが好ましい。
【0031】本発明においては、上記粘着剤ポリマーを
構成する主モノマー及び架橋剤と反応し得る官能基を有
するコモノマーのほかに界面活性剤としての性質を有す
る特定のコモノマー(以下、重合性界面活性剤という)
を共重合してもよい。重合性界面活性剤は、主モノマー
及びコモノマーと共重合する性質を有すると共に乳化重
合する場合には乳化剤としての作用を有する。重合性界
面活性剤を用いて乳化重合した粘着剤ポリマーを用いた
場合には、通常、界面活性剤によるスタンパの信号用凹
凸形成面に対する汚染が生じない。また、粘着剤層に起
因する僅かな汚染が生じた場合においても、信号用凹凸
形成面を水洗することにより容易に除去することが可能
となる。この様な重合性界面活性剤の例としては、例え
ば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルのベン
ゼン環に重合性の1−プロペニル基を導入したもの〔第
一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンRN−10、
同RN−20、同RN−30、同RN−50等〕、ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテルの硫酸エステル
のアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1−プロペニ
ル基を導入したもの〔第一工業製薬(株)製;商品名:
アクアロンHS−10、同HS−20等〕、及び分子内
に重合性2結合を持つ、スルホコハク酸ジエステル系の
もの〔花王(株)製;商品名:ラテムルS−120A、
同S−180A等〕等が挙げられる。
【0032】主モノマー、架橋剤と反応し得る官能基を
有するコモノマー、重合性界面活性剤の他に、さらに必
要に応じてアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシ
ジル、イソシアネートエチルアクリレート、イソシアネ
ートエチルメタクリレート、2−(1−アジリジニル)
エチルアクリレート、2−(1−アジリジニル)エチル
メタクリレート等の自己架橋性の官能基を有するモノマ
ー、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の重合
性2重結合を有するモノマー、ジビニルベンゼン、アク
リル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、アクリル酸アリ
ル、メタクリル酸アリル等の多官能性のモノマー等を共
重合してもよい。
【0033】粘着剤ポリマーを重合する方法としては、
溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等既知の様々な方
法が採用できるが、得られる粘着剤ポリマーの分子量及
びそれに伴う粘着剤の凝集力への影響を考慮することが
好ましい。これらの重合方法の内、高分子量のポリマー
が得られること、塗布、乾燥工程における環境汚染、塗
布性等を勘案すると乳化重合法が好ましい。
【0034】粘着剤ポリマーの重合反応機構としては、
ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等が挙げら
れるが、粘着剤の製造コスト、モノマーの官能基の影響
等を考慮すればラジカル重合によって重合することが好
ましい。ラジカル重合反応によって重合する際、ラジカ
ル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、アセ
チルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オ
クタノイルパーオキサイド、ジ−ターシャル−ブチルパ
ーオキサイド、ジ−ターシャル−アミルパーオキサイド
等の有機過酸化物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、2,2’−ア
ゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−
メチルブチロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シア
ノバレリックアシッド等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0035】本発明に用いる架橋剤は、架橋反応性官能
基を1分子中に2個以上有する化合物であり、粘着剤ポ
リマーが有する官能基と架橋反応させて、粘着力および
凝集力を調整するために用いる。架橋剤としては、ソル
ビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポ
リグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリ
シジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテ
ル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチ
ルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリ
シジルエーテル等のエポキシ系化合物、テトラメチレン
ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、
トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3
付加物、ポリイソシアネート等のイソシアネート系化合
物、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニル
プロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−
アジリジニルプロピオネート、N,N’−ジフェニルメ
タン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミ
ド)、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−
アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−トルエン−
2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、ト
リメチロールプロパン−トリ−β−(2−メチルアジリ
ジン)プロピオネート等のアジリジン系化合物、及びヘ
キサメトキシメチロールメラミン等のメラミン系化合物
等が挙げられる。
【0036】これらは単独で使用してもよいし、2種以
上を併用してもよい。上記架橋剤の中で、エポキシ系架
橋剤は架橋反応の速度が遅く、反応が十分に進行しない
場合には粘着剤層の凝集力が低くなり、スタンパ表面の
状態、研磨方法等によっては粘着剤層に起因する汚染が
生じることがある。したがって、適宜、アミン等の触媒
を添加するか、もしくは触媒作用のあるアミン系官能基
をもつモノマーを粘着剤ポリマーに共重合するか、架橋
剤を使用する際にアミンとしての性質を有するアジリジ
ン系架橋剤を併用することが好ましい。
【0037】架橋剤の添加量は、通常、架橋剤中の官能
基数が粘着剤ポリマー中の官能基数よりも多くならない
程度の範囲で添加する。しかし、架橋反応で新たに官能
基が生じる場合や、架橋反応が遅い場合など、必要に応
じて過剰に添加してもよい。架橋剤の添加量は、粘着剤
ポリマー100重量部に対し0.1〜30重量部である
ことが好ましい。
【0038】粘着フィルムの粘着力は、スタンパの信号
用凹凸形成面に対する保護性、スタンパからの剥離作業
性、剥離応力によるスタンパの変形等に影響する。かか
る観点から、粘着フィルムの粘着力は、通常、SUS3
04−BA板に対する粘着力に換算すると10〜180
g/25mmが好ましい。より好ましくは10〜100
g/25mmであり、さらに好ましくは10〜50g/
25mmである。粘着力が高すぎると、変形なしに剥離
することが困難となり剥離作業時間が長くなり、また、
粘着フィルムの剥離時にスタンパが変形し、低すぎる
と、例えば裏面研磨に使用する際(スタンパの製造また
は再生加工時)に、研磨中に研磨剤等がスタンパと粘着
剤層の間に侵入し、信号用凹凸に影響を与えたり、保管
時に剥離したりする等、保護が不充分となる。
【0039】基材フィルム又は剥離フィルムの片表面に
粘着剤塗布液を塗布する方法としては、従来公知の塗布
方法、例えば、ロールコーター法、リバースロールコー
ター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコー
ター法、ダイコーター法等が採用できる。塗布された粘
着剤の乾燥条件には特に制限はないが、一般的には、8
0〜200℃の温度範囲において10秒〜10分間乾燥
することが好ましい。さらに好ましくは80〜170℃
において15秒〜5分間乾燥する。
【0040】粘着剤層の厚みは、スタンパの裏面研磨方
法や条件、スタンパの表面形状、スタンパから剥離する
際の粘着力等を考慮して適宣決められる。通常、2〜1
5μm程度が好ましい。より好ましくは2〜10μmで
ある。
【0041】本発明の粘着フィルムを製造する際、粘着
剤塗布液の乾燥が終了した後に、架橋剤と粘着剤ポリマ
ーとの架橋反応を十分に促進させるために、粘着フィル
ムを40〜80℃において5〜300時間程度加熱して
も良い。
【0042】粘着フィルムの厚みバラツキは、特に、裏
面研磨加工(製造時、または、再生加工時)に使用した
際の、該加工後のスタンパの厚みバラツキに影響を与え
る。従って、粘着フィルムの厚みバラツキは、厚みの平
均値に対して、±5μm以内であることが好ましい。さ
らに好ましくは±3μm以内である。
【0043】本発明の粘着フィルムの製造方法は、上記
の通りであるが、スタンパの信号用凹凸面の汚染防止の
観点から、基材フィルム、剥離フィルム、粘着剤主剤等
全ての原料資材の製造環境、粘着剤塗布液の調製、保
存、塗布及び乾燥環境は、米国連邦規格209bに規定
されるクラス1,000以下のクリーン度に維持されて
いることが好ましい。又、本発明の光ディスク用スタン
パの裏面研磨方法は、同様に信号用凹凸面の汚染の観点
からクラス1,000以下のクリーン度に維持た環境下
で行なわれることが好ましい。
【0044】
【実施例】以下、実施例を示して本発明についてさらに
詳細に説明する。実施例または比較例で得られた粘着フ
ィルムの粘着力および厚みバラツキ、得られたスタンパ
の厚みバラツキおよび、表面汚染は下記の方法で評価し
た。
【0045】(1)粘着力の測定(g/25mm) 下記に規定した条件以外は、全てJIS Z−0237
に準じて測定する。23℃の雰囲気下において、実施例
または比較例で得られた粘着フィルムをその粘着剤層を
介して、5×20cmのSUS304−BA板(JIS
G−4305規定)の表面に貼着し、1時間放置す
る。試料の一端を挟持し、剥離角度180度、剥離速度
300mm/min.でSUS304−BA板の表面か
ら試料を剥離する際の応力を測定し、g/25mmの粘
着力に換算する。
【0046】(2)粘着フィルムの厚みバラツキの測定
(μm) 実施例または比較例で得られた粘着フィルムから10c
m四方の大きさのサンプルを無作為に採取する。剥離フ
ィルムを剥がした状態で、粘着フィルムの厚み(基材フ
ィルムと粘着剤層の合計)を縦横1cm毎に計100点
測定し、平均値を求める。最大値または最小値と平均値
の差をとり、絶対値の大きい方の値(A)を厚みバラツ
キとし、±A(μm)で表す。
【0047】(3)裏面研磨後のスタンパの厚みバラツ
キの測定(μm) 実施例または比較例で得られた、裏面研磨終了後のスタ
ンパの信号用凹凸が形成された部分の厚みを等間隔で無
作為に50点測定し、平均値を求める。最大値または最
小値と平均値の差をとり、絶対値の大きい方の値(B)
を厚みバラツキとし、±B(μm)で表す。
【0048】(4)裏面研磨後のスタンパの信号用凹凸
形成面の汚染観察 実施例または比較例で得られた、裏面研磨終了後のスタ
ンパの信号用凹凸形成面を顕微鏡(800倍)で観察
し、汚染の状況を評価する。
【0049】実施例1 重合反応機において、脱イオン水150重量部、重合開
始剤として4,4’−アゾビス−4−シアノバレリック
アシッド〔大塚化学(株)製、商品名:ACVA〕を
0.5重量部、アクリル酸ブチル73.25重量部、メ
タクリル酸メチル14重量部、メタクリル酸−2−ヒド
ロキシエチル9重量部、メタクリル酸2重量部、アクリ
ルアミド1重量部、重合性界面活性剤としてポリオキシ
エチレンノニルフェニルエ−テル(エチレンオキサイド
の付加モル数の平均値:約20)の硫酸エステルのアン
モニウム塩のベンゼン環に重合性の1−プロペニル基を
導入したもの〔第一工業製薬(株)製:商品名:アクア
ロンHS−20〕0.75重量部を用い、攪拌下で70
℃において9時間乳化重合を実施し、アクリル樹脂系水
エマルジョンを得た。これを14重量%アンモニア水で
中和し、固形分約40重量%の粘着剤ポリマーエマルジ
ョン(粘着剤主剤)を得た。得られた粘着剤主剤エマル
ジョン100重量部(粘着剤ポリマー濃度約40重量
%)を採取し、さらに14重量%アンモニア水を加えて
pH9.3に調整した。次いで、アジリジン系架橋剤
〔日本触媒化学工業(株)製、商品名:ケミタイトPZ
−33〕4重量部、およびジエチレングリコールモノブ
チルエーテル5重量部を添加して粘着剤塗布液を得た。
【0050】この粘着剤塗布液をロールコーターを用い
てポリプロピレンフィルム(剥離フィルム、厚み:50
μm)に塗布し、120℃で1分間乾燥して厚さ3μm
の粘着剤層を設けた。次いで、コロナ放電処理を施した
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
(基材フィルム)の該処理面を貼り合わせ押圧して、粘
着剤層を転写させた。転写後、60℃において48時間
加熱した後、室温まで冷却することにより粘着フィルム
を製造した。得られた粘着フィルムのSUS−304B
A板に対する粘着力は30g/25mm、厚みバラツキ
は±2μmであった。
【0051】得られた粘着フィルムから剥離フィルムを
剥離して、その粘着剤層を介して、厚さ約0.3mmの
追記型のコンパクトディスク(CD−R)用スタンパ
(研磨加工前)の信号用凹凸形成面に貼着した後、スタ
ンパの裏面研磨を行った。裏面研磨終了後、該粘着フィ
ルムを剥離した。粘着フィルムの貼付け、及び剥離に要
した時間は合計で1分間程度の短時間であり、特別な大
型装置を必要とすることはなかった。得られたスタンパ
について、研磨状況を評価したところ、何れも局所的な
凹みはなく、スタンパの厚みバラツキは±2μm以内と
良好であった。又、スタンパの信号用凹凸形成面を顕微
鏡(800倍)で観察したところ、汚染物は発見されな
かった。結果を〔表1〕に示す。
【0052】実施例2 実施例1の粘着フィルムの製造において、粘着剤層の厚
みを2μmとした以外は実施例1と同様の方法で粘着フ
ィルムを製造した。得られた粘着フィルムのSUS−3
04BA板に対する粘着力は15g/25mm、厚みバ
ラツキは±2μmであった。得られた粘着フィルムを用
いて、実施例1と同様の方法で再生専用コンパクトディ
スク(CD)用スタンパ(研磨加工前)の裏面研磨を行
った。粘着フィルムの貼付け、及び剥離に要した時間は
合計で1分程度の短時間であり、特別な大型装置を必要
とすることはなかった。得られたスタンパについて、研
磨状況を評価したところ、何れも局所的な凹みはなく、
スタンパの厚みバラツキは±2μm以内と良好であっ
た。又、スタンパの信号用凹凸形成面を顕微鏡(800
倍)で観察したところ、汚染物は発見されなかった。得
られた結果を〔表1〕に示す。
【0053】実施例3 実施例1の粘着フィルムの製造において、アジリジン系
架橋剤〔日本触媒化学工業(株)製、商品名:ケミタイ
トPZ−33〕の添加量を3重量部とした以外は実施例
1と同様の方法で粘着フィルムを製造した。得られた粘
着フィルムのSUS−304BA板に対する粘着力は4
5g/25mm、厚みバラツキは±2μmであった。得
られた粘着フィルムを用いて、実施例1と同様の方法で
再生専用コンパクトディスク(CD)用スタンパ(研磨
加工前)の裏面研磨を行った。粘着フィルムの貼付け、
及び剥離に要した時間は合計で1分程度の短時間であ
り、特別な大型装置を必要とすることはなかった。得ら
れたスタンパについて、研磨状況を評価したところ、何
れも局所的な凹みはなく、スタンパの厚みバラツキは±
2μm以内と良好であった。また、スタンパの信号用凹
凸形成面を顕微鏡(800倍)で観察したところ、汚染
物は発見されなかった。得られた結果を〔表1〕に示
す。
【0054】実施例4 実施例1の粘着フィルムの製造において、アジリジン系
架橋剤〔日本触媒化学工業(株)製、商品名;ケミタイ
トPZ−33〕の添加量を3重量部、粘着剤層の厚みを
5μm、ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材フ
ィルム)の厚みを50μmとした以外は実施例1と同様
の方法で粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィル
ムのSUS−304BA板に対する粘着力は80g/2
5mm、厚みバラツキは±3μmであった。得られた粘
着フィルムを用いて、実施例1と同様の方法で再生専用
コンパクトディスク(CD)用スタンパ(研磨加工前)
の裏面研磨を行った。粘着フィルムの貼付けに要する時
間は実施例1と同程度であったが、スタンパを変形させ
ずに剥離するのにやや時間を要した。それでも、貼付
け、及び剥離に要した時間は合計で5分程度であった。
また、特別な大型装置を必要とすることはなかった。得
られたスタンパについて、研磨状況を評価したところ、
何れも局所的な凹みはなく、スタンパの厚みバラツキは
±2μm以内と良好であった。又、スタンパの信号用凹
凸形成面を顕微鏡(800倍)で観察したところ、汚染
物は発見されなかった。得られた結果を〔表1〕に示
す。
【0055】実施例5 実施例1の粘着フィルムの製造において、アジリジン系
架橋剤〔日本触媒化学工業(株)製、商品名;ケミタイ
トPZ−33〕の添加量を3重量部、粘着剤層の厚みを
10μm、ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材
フィルム)の厚みを50μmとした以外は実施例1と同
様の方法で粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィ
ルムのSUS−304BA板に対する粘着力は160g
/25mm、厚みバラツキは±3μmであった。得られ
た粘着フィルムを用いて、実施例1と同様の方法で再生
専用コンパクトディスク(CD)用スタンパ(研磨加工
前)の裏面研磨を行った。粘着フィルムの貼付けに要す
る時間は実施例1と同程度であったが、スタンパを変形
させずに剥離するのにやや時間を要した。それでも、貼
付け、及び剥離に要した時間は合計で12分程度であっ
た。また、特別な大型装置を必要とすることはなかっ
た。得られたスタンパについて、研磨状況を評価したと
ころ、何れも局所的な凹みはなく、スタンパの厚みバラ
ツキは±2μm以内と良好であった。スタンパの信号用
凹凸形成面を顕微鏡(800倍)で観察したところ、汚
染物は発見されなかった。得られた結果を〔表1〕に示
す。
【0056】比較例1 実施例1の粘着フィルムの製造において、アジリジン系
架橋剤〔日本触媒化学工業(株)製、商品名;ケミタイ
トPZ−33〕の添加量を2重量部、粘着剤層の厚みを
10μm、ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材
フィルム)の厚みを50μmとした以外は実施例1と同
様の方法で粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィ
ルムのSUS−304BA板に対する粘着力は200g
/25mm、厚みバラツキは±3μmであった。得られ
た粘着フィルムを用いて、実施例1と同様の方法で再生
専用コンパクトディスク(CD)用スタンパ(研磨加工
前)の裏面研磨を行った。粘着フィルムの貼付けに特に
問題はなったが、剥離時にスタンパが変形してしまっ
た。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0057】比較例2 実施例1の粘着フィルムの製造において、アクリル酸ブ
チルの使用量を66.25重量部、メタクリル酸メチル
の使用量を21重量部とし、アジリジン系架橋剤〔日本
触媒化学工業(株)製、商品名;ケミタイトPZ−3
3〕の添加量を5重量部、粘着剤層の厚みを2μm、ポ
リエチレンテレフタレートフィルム(基材フィルム)の
厚みを50μmとした以外は実施例1と同様の方法で粘
着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムのSUS
−304BA板に対する粘着力は8g/25mm、厚み
バラツキは±2μmであった。得られた粘着フィルムを
用いて、実施例1と同様の方法で再生専用コンパクトデ
ィスク(CD)用スタンパ(研磨加工前)の裏面研磨を
行った。粘着フィルムの貼付け、及び剥離に要した時間
は合計で1分程度と短時間でよく、特別な大型装置を必
要とすることはなかった。得られたスタンパについて、
研磨状況を評価したところ、何れも局所的な凹みはな
く、スタンパの厚みバラツキは±2μm以内と良好であ
った。しかし、スタンパの信号用凹凸形成面を顕微鏡
(800倍)で観察したところ、スタンパの周辺部に研
磨剤の浸入による汚染が若干観察された。結果を〔表
1〕に示す。
【0058】比較例3 実施例1の粘着フィルムの製造において、粘着剤層の厚
みを13μmとし、ポリエチレンテレフタレートフィル
ムの厚みを90μmとし、且つ、粘着剤層およびポリエ
チレンテレフタレ−トフィルム(基材フィルム)の厚み
バラツキを大きくした以外は実施例1と同様の方法で粘
着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムのSUS
−304BA板に対する粘着力は110g/25mm、
厚みバラツキは±7μmであった。得られた粘着フィル
ムを用いて、実施例1と同様の方法で再生専用コンパク
トディスク(CD)用スタンパ(研磨加工前)の裏面研
磨を行った。粘着フィルムの貼付けに要する時間は実施
例1と同程度であったが、スタンパを変形させずに剥離
するのにやや時間を要した。それでも、貼付け、及び剥
離に要した時間は合計で10分程度であった。また、特
別な大型装置を必要とすることはなかった。得られたス
タンパについて、研磨状況を評価したところ、何れも局
所的な凹みはなかったが、スタンパの厚みバラツキは±
6μmとなり、射出(圧縮)成形に使用する場合に支障
が生じるレベルであった。又、スタンパの信号用凹凸形
成面を顕微鏡(800倍)で観察したところ、汚染物は
発見されなかった。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0059】比較例4 市販の高分子保護膜用液〔ファインケミカルジャパン
(株)製、商品名:クリーンコート・S〕を厚さ約0.
3mmの追記型のコンパクトディスク(CD−R)用ス
タンパ(研磨加工前)の信号用凹凸形成面に、乾燥後の
厚みが約30μmとなるようにスピンコートして約1時
間乾燥した後、スタンパの裏面研磨を行った。この際、
溶剤排気のための局所排気設備、及びクリーン度管理が
厳重に行なわれた大掛かりなスピンコート装置が必要で
あった。
【0060】研磨終了後、保護膜を剥離除去したが、剥
離の際に、保護膜の一部が信号用凹凸形成面に残存した
ため、溶剤洗浄を行う必要があった。溶剤洗浄に1時間
程度要した。得られたスタンパについて研磨状況を評価
したところ、何れも局所的な凹みはなく、スタンパの厚
みバラツキは±2μm以内と良好であった。又、スタン
パの信号用凹凸形成面を顕微鏡(800倍)で観察した
ところ、3μm程度の異物が数個発見され、さらに洗浄
する必要が生じた。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【発明の効果】本発明の粘着フィルムは、その粘着力が
特定の範囲に限定されているため適度の粘着力を有し、
スタンパの裏面研磨加工を行う際には信号用凹凸形成面
を保護し得る程度に強固に粘着し、剥離する際には剥離
応力によりスタンパが変形することがない。また、特定
量の架橋剤を含むので、剥離した後、信号用凹凸形成面
に粘着剤に起因する汚染が残存しない。さらに、本発明
の粘着フィルムを使用すれば、スタンパの信号用凹凸形
成面に高分子の溶液をスピンコートする等して保護層を
形成する必要がない。そのため、保護層形成のための溶
液塗布、乾燥作業等を省略することができ、作業時間が
大幅に短縮できる。塗布された高分子の溶液を乾燥する
際の有機溶剤ガスの発生がないので、環境を汚染する恐
れもない。従って、本発明の粘着フィルムを用いること
により、光ディスク用スタンパの裏面研磨加工時の作業
性の向上、環境汚染防止等を図ることが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 靖子 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ディスク用スタンパの裏面研磨を行う
    際に、該スタンパのピット用凹凸及び/又はグルーブ用
    凹凸形成面に直接貼付する光ディスク用スタンパの裏面
    研磨用粘着フィルムであって、該粘着フィルムが、基材
    フィルム及びその片表面に形成された粘着剤層からな
    り、平均厚みが20〜300μm、厚みバラツキが平均
    厚みの±5μm以内であり、且つ、該粘着剤層が、架橋
    剤と反応し得る官能基を有する粘着剤ポリマー100重
    量部に対し、1分子中に2個以上の架橋反応性官能基を
    有する架橋剤0.1〜30重量部を含み、SUS304
    −BA板に対する粘着力が10〜180g/25mmで
    あることを特徴とする光ディスク用スタンパの裏面研磨
    用粘着フィルム。
  2. 【請求項2】 粘着力が10〜100g/25mmであ
    ることを特徴とする請求項1記載の光ディスク用スタン
    パの裏面研磨用粘着フィルム。
  3. 【請求項3】 粘着力が10〜50g/25mmである
    ことを特徴とする請求項1記載の光ディスク用スタンパ
    の裏面研磨用粘着フィルム。
  4. 【請求項4】 粘着剤層の厚みが2〜15μmであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の光ディスク用スタンパの
    裏面研磨用粘着フィルム。
  5. 【請求項5】 厚みバラツキが、平均厚みの±3μm以
    内であることを特徴とする請求項1記載の光ディスク用
    スタンパの裏面研磨用粘着フィルム。
  6. 【請求項6】 粘着剤ポリマーが、a)アクリル酸アル
    キルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルなる
    郡から選ばれた少なくとも1種の主モノマー60〜99
    重量%、b)水酸基、カルボキシル基及びアミノ基から
    選ばれた少なくとも一種の架橋剤と反応し得る官能基を
    有するコモノマー1〜40重量%を含むモノマー混合物
    を共重合して得られたものであることを特徴とする請求
    項1〜5記載の光ディスク用スタンパの裏面研磨用粘着
    フィルム。
  7. 【請求項7】 架橋剤が、エポキシ系架橋剤、アジリジ
    ン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤よりなる群から選
    ばれた少なくとも1種の架橋剤であることを特徴とする
    請求項1〜5記載の光ディスク用スタンパの裏面研磨用
    粘着フィルム。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6086701A (en) * 1997-03-06 2000-07-11 Nitto Denko Corporation Process for the production of stamper

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US6086701A (en) * 1997-03-06 2000-07-11 Nitto Denko Corporation Process for the production of stamper

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