JPH1038093A - メカニカルシール - Google Patents

メカニカルシール

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JPH1038093A
JPH1038093A JP19497696A JP19497696A JPH1038093A JP H1038093 A JPH1038093 A JP H1038093A JP 19497696 A JP19497696 A JP 19497696A JP 19497696 A JP19497696 A JP 19497696A JP H1038093 A JPH1038093 A JP H1038093A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧力条件に応じた最適のシール構造に自動的
に変化して、被密封流体圧力の大きさに拘らず、常に、
良好なシール機能を発揮するようにする。 【解決手段】 回転軸に固定された固定密封環2の密封
端面2aとシールケースにOリング5を介して軸線方向
摺動可能に保持された可動密封環4の密封端面4aと
は、軸線方向に直交する環状平面に構成されている。可
動密封環4の軸線方向における中間部分43は、軸線方
向に所定の長さを有し且つ径方向厚さをその両側部分4
1,42より小さくした薄肉円筒形状に構成されてい
る。被密封流体圧力Pが一定以上の高圧となると、当該
被密封流体圧力Pによって、可動密封環4が、その密封
端面2aが固定密封環2の密封端面4aとの間に非密封
流体領域A2 方向に漸次窄まる断面楔状の環状空間7を
形成しうる環状テーパ面となるべく、弾性変形せしめら
れ、テーパフェースシール構造となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シールケース及び
回転軸の一方に固定された固定密封環と他方に二次シー
ルされた状態で軸線方向摺動可能に保持された可動密封
環とを具備し、両密封環の対向端面たる密封端面間に
て、その内外周側領域である被密封流体領域と非密封流
体領域とをシールするように構成されたメカニカルシー
ルであって、主として、ポンプ等において高負荷条件下
で液体を軸封させる必要のある場合に使用されるメカニ
カルシールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のメカニカルシールとしては、一
般に、両密封環の対向端面である密封端面を軸線に直交
する平滑な環状平面として、両密封端面を相対回転摺接
させることにより、その内外周側領域である被密封流体
領域と非密封流体領域とをシールさせるように構成され
たもの(以下「通常シール」という)が周知であるが、
このような通常シールは、密封端面間の潤滑機能が低い
ため、許容PV値が低く、高負荷条件(高圧,高速,高
温条件)下では使用できないものであった。通常シール
では、密封端面間に被密封流体による潤滑膜が形成され
るが、かかる潤滑膜による潤滑機能は高負荷条件では充
分に発揮されず、密封端面が焼き付いたりする等の問題
が生じるからである。
【0003】このため、近時、図11に示す如く、回転
軸1に固定された固定密封環2と、固定密封環2に直対
向し且つOリング5を介して二次シールさせた状態で、
シールケース3に軸線方向摺動可能に保持された可動密
封環4と、可動密封環4を固定密封環2へと押圧附勢す
るスプリング6とを具備して、固定密封環2の密封端面
2aを軸線に直交する環状平面となすと共に可動密封環
4の密封端面4aを凸状の環状テーパ面(截頭円錐面)
となすことによって、密封端面2a,4a間を、被密封
流体(液体)の漏れを一定の微小範囲で許容する非接触
状態ないし高潤滑状態に保持させつつ、その外周側領域
である被密封流体領域A1 とその内周側領域である非密
封流体領域(大気領域)A2 とをシールさせるように構
成されたメカニカルシール(以下「テーパフェースシー
ル」という)が提案されている。なお、以下の説明にお
いて、被密封流体領域A1 の被密封流体圧力Pは、非密
封流体領域A2 の非密封流体圧力を基準とするものと
し、例えば、上記の如く非密封流体領域A2 が大気領域
である場合には、被密封流体圧力Pは大気圧を基準とす
るゲージ圧を意味することになる。
【0004】而して、かかるテーパフェースシールにあ
っては、密封端面2a,4a間に被密封流体の漏れ方向
(非密封流体領域A2 方向)に漸次狭まる断面楔状の環
状空間7が形成されることから、被密封流体圧力Pによ
り、軸線方向に移動可能な可動密封環4には図13に示
す如き圧力分布をなす閉力FC と開力FO とが作用し
て、密封端面2a,4a間に隙間Sが形成される。そし
て、この隙間Sは、閉力FC と開力FO とがバランスさ
れた状態で安定し、一定の微小隙間(以下「平衡隙間S
0 」という)に保持される。ここに、閉力FC は可動密
封環4に作用する被密封流体圧力Pによる背圧によって
(より正確には、背圧及びスプリング6による附勢力に
よって)生じるものであり、開力FO は環状空間7に侵
入した被密封流体の圧力(静圧)によって生じるもので
ある。ところで、閉力FC は背圧(及びスプリング6)
によるものであるから、図14に鎖線で示す如く、被密
封流体圧力Pが変動しない限り一定であるが、開力FO
は環状空間7に作用する静圧によるものであるから、同
図に破線で示す如く、隙間Sの変動によって反比例的に
変化する。つまり、開力FO は隙間Sが大きくなるに従
って減少し、小さくなるに従って増大することになる。
したがって、隙間Sが平衡隙間S0 より大きくなると、
開力FO が閉力FC より小さくなって密封端面2a,4
a間が閉じられ、逆に隙間Sが平衡隙間S0 より小さく
なると、開力FO が閉力FC より大きくなって密封端面
2a,4a間が開かれて、何れの場合にも、隙間Sは閉
力FC と開力FO とがバランスされた平衡隙間S0 に復
帰,保持されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、テーパフ
ェースシールは、閉力FC と開力FO とがバランスされ
て密封端面2a,4a間を平衡隙間S0 による一定の非
接触状態ないし高潤滑状態に保持するものであるから、
理論的には、両密封端面を軸線方向に直交する平面とし
て相対回転摺接させる通常シールの許容PVを超える条
件下においても、つまり通常シールの使用限界を超える
高負荷条件下においても、好適に使用できるものである
が、以下のような問題があるため、従来から実用性に乏
しいとの指摘がなされている。
【0006】すなわち、可動密封環4は、その外周部に
一定圧以上の被密封流体圧力Pが作用すると、内方へと
変形(縮径変形)する。しかし、Oリング5による二次
シール個所より背面側の可動密封環部分(以下「基端側
部分」という)4cについては、その内周部側にも被密
封流体が侵入するため、図12(A)に示す如く、内外
周部に被密封流体圧力Pが略同等に作用することにな
る。すなわち、基端側部分4cは、被密封流体圧力Pの
大きさに拘わらず、外周部に作用する被密封流体Pによ
って縮径変形されることが殆どない。したがって、可動
密封環4を内径に弾性変形(縮径変形)させる被密封流
体圧力Pは、図12(B)に示す如く、可動密封環4に
対して、実質的に、基端側部分4cを除く密封端面側の
可動密封環部分(以下「先端側部分」という)4bにの
み作用するとみなすことができる。このような被密封流
体圧力Pの可動密封環4への作用状態は、可動密封環4
に、これを片持形態(基端側部分4cを変形不能に支持
した片持形態)として、被密封流体圧力Pを作用させた
状態と同等であるとみなすことができる(可動密封環4
の一断面における被密封流体圧力Pの作用状態のみをみ
れば、あたかも片持梁に等分布荷重を作用させたかの如
くである)。
【0007】したがって、可動密封環4が被密封流体圧
力Pによって受ける影響(弾性変形)は、先端側部分4
bにおいて基端側部分4cから遠ざかるに従って(密封
端面4aに近づくに従って)大きくなる。このため、被
密封流体圧力Pが一定圧(以下「シール上限圧」とい
う)PH 以下の低圧である場合には、図12(A)に示
す如く、可動密封環4の外周部に作用する被密封流体圧
力Pによる影響を受けることなく、密封端面2a,4a
間には閉力FC とバランスしうる開力FO を確保しうる
断面楔状の環状空間7が形成,維持されるが、被密封流
体圧力Pがシール上限圧PH を超えるような高圧となる
と、同図(B)に示す如く、可動密封環4の外周部に作
用する被密封流体圧力Pにより、先端側部分4bが密封
端面2aに近づくに従ってより大きく縮径されるように
内方に弾性変形して、密封端面4aが、そのテーパ量
(以下、密封端面4aにおける内外周端間の軸線方向距
離Δ(図13参照)をいうものとする)を減じる方向に
傾くことになり、テーパ量Δが減少し、更に極端な場合
にはテーパ量Δしたがって断面楔状の環状空間7が消失
してしまうことになる。このような状態となると、閉力
C にバランスしうるに足る開力FO が確保されなくな
って、密封端面2a,4a間に所定の平衡隙間S 0 を確
保,維持することができなくなる。つまり、密封端面2
a,4aを非接触状態ないし高潤滑状態に保持すること
ができなくなる。
【0008】このように、テーパフェースシールは、上
記したように理論的には高圧条件下で使用できるもので
はあるが、実際には、シール上限圧PH を超える高圧条
件下では所期のシール機能を発揮することができず、実
用することができないものである。すなわち、テーパフ
ェースシールは、実際には、シール上限圧PH を超える
ような高圧条件下や圧力変動条件下では好適に使用する
ことができないものである。
【0009】また、被密封流体圧力Pが所定圧(以下
「シール下限圧」という)PL (<P H )に達しないよ
うな低圧条件下で使用される場合や圧力変動により被密
封流体圧力Pがシール下限圧PL より低圧となった場合
においては、背圧による閉力F C が小さくなるため、開
閉力FO ,FC のバランスが崩れて、つまり開力FO
閉力FC に比して過大となって、密封端面2a,4a間
の隙間Sが平衡隙間S0より大きくなり、大量漏れを生
じる虞れがある。すなわち、シール下限圧PL より低い
圧力条件下では、通常シールでは良好なシール機能が発
揮されるが、テーパフェースシールではシール機能が顕
著に低下することになる。
【0010】このように、テーパフェースシールは、極
く限られた圧力範囲(PL ≦P≦P H )でおいてのみ、
有効なシール機能を発揮させることができるものにすぎ
ず、さほど実用的なものではない。
【0011】また、可動密封環4の密封端面4aは当然
に平滑面でなければならないが、その適正なテーパ量Δ
は微小である(回転軸2ないし密封環2,4の径等の条
件にもよるが、一般にはΔ=3μm〜50μm程度であ
る)から、このような密封端面4aの加工は極めて困難
であり、加工費が徒に高騰する上、適正な加工精度を確
保することも容易ではない。このことも、テーパフェー
スシールが実用性に乏しいとされる一因である。
【0012】本発明は、このような問題を生じることな
く、通常シールの使用限界を超える高負荷条件下や被密
封流体領域が大きく圧力変動するような条件下において
も、被密封流体圧力に応じて可動密封環の密封端面形状
が自動調整されて、良好なシール機能を発揮しうる新規
なメカニカルシールを提供することを目的とするもので
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、シールケース
及び回転軸の一方に固定された固定密封環と他方に二次
シールされた状態で軸線方向摺動可能に保持された可動
密封環とを具備し、両密封環の対向端面たる密封端面間
にて、その内外周側領域である被密封流体領域と非密封
流体領域とをシールするように構成されたメカニカルシ
ールにおいて、上記の目的を達成すべく、特に、次のよ
うに構成しておくことを提案するものである。
【0014】すなわち、請求項1に記載された発明のメ
カニカルシール(以下「第1シール」という)にあって
は、両密封端面を軸線方向に直交する環状平面に構成す
ると共に、可動密封環の軸線方向における中間部分であ
って二次シール個所より密封端面寄りの部分を、軸線方
向に所定の長さを有し且つ径方向厚さをその両側部分よ
り小さくした薄肉円筒形状となして、被密封流体領域に
おける被密封流体圧力が一定以上の高圧となったときに
おいて、可動密封環が、その密封端面が固定密封環の密
封端面との間に非密封流体領域方向に漸次窄まる断面楔
状の環状空間を形成しうる環状テーパ面となるべく、弾
性変形せしめられるように構成してある。
【0015】また、請求項2に記載された発明のメカニ
カルシール(以下「第2シール」という)にあっては、
両密封端面を軸線方向に直交する環状平面に構成すると
共に、可動密封環の軸線方向における中間部であって二
次シール個所より密封端面寄りの部分を、軸線を通過す
る断面の形状上、狭窄状に括れた形状となして、被密封
流体領域における被密封流体圧力が一定以上の高圧とな
ったときにおいて、当該被密封流体圧力によって、可動
密封環が、その密封端面が固定密封環の密封端面との間
に非密封流体領域方向に漸次窄まる断面楔状の環状空間
を形成しうる環状テーパ面となるべく、弾性変形せしめ
られるように構成してある。
【0016】このように構成された第1及び第2シール
は、一定圧以上の高圧条件下では、被密封流体圧力によ
り可動密封環の密封端面が固定密封環の密封端面との間
に非密封流体領域方向に漸次窄まる断面楔状の環状空間
を形成しうる環状テーパ面に弾性変形されて、テーパフ
ェースシールと同一構造(以下「テーパフェースシール
構造」)となり、テーパフェースシールと同一のシール
機能(以下「テーパフェースシール機能」)を発揮す
る。そして、かかるテーパフェースシール構造は被密封
流体圧力による可動密封環の弾性変形によって得られる
ものであり、可動密封環の密封端面のテーパ量は被密封
流体圧力に応じて比例的に増減変化する。したがって、
テーパフェースシールの機能が被密封流体圧力の影響に
より低下,喪失されるような高圧条件下(例えば、上限
圧PH を超えるような高圧条件下)においても、テーパ
フェースシール構造は維持され、良好なテーパフェース
シール機能が発揮される。一方、上記した一定圧に達し
ない低圧条件下では、被密封流体圧力による可動密封環
の弾性変形は生じないか或いは消失して、可動密封環の
密封端面は軸線方向に直交する環状平面となり、通常シ
ールと同一構造(以下「通常シール構造」)となり、通
常シールと同一のシール機能(以下「通常シール機
能」)を発揮する。このように、第1及び第2シールは
圧力条件に応じた最適のシール構造に自動的に変化し
て、被密封流体圧力の大きさに拘らず、常に、良好なシ
ール機能を発揮することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、第1及び第2シールを、図
1〜図10に示す各実施の形態に基づいて、具体的に説
明する。なお、以下の説明において、便宜上、前後とは
図1又は図5における左右を意味するものとする。
【0018】すなわち、第1シールM1 は、図1〜図3
に示す如く、回転軸(例えば、インペラ軸)1に固定さ
れた固定密封環2とこれに直対向してシールケース(例
えば、ポンプケーシング)3に保持された可動密封環4
とを具備して、両密封環2,4の対向端面たる密封端面
2a,4a間において、その外周側領域であって被密封
流体(例えば、水等の液体)が封入される被密封流体領
域A1 とその内周側領域である非密封流体領域(例え
ば、シールケース3外に連通する大気領域)A2とを、
被密封流体圧力Pに応じた通常シール構造ないしテーパ
フェースシール構造をなしてシールしうるするように構
成されている。
【0019】固定密封環2は、図1に示す如く、WC,
SiC,カーボン,金属材料(例えば、ハステロイ,ス
テンレス鋼,チタン等やこれらに適宜の表面硬化処理
(窒化処理,Cr2 3 等のセラミックコーティング処
理等)を施したもの)等の超硬質材で一体成形されたも
ので、後端面を軸線に直交する平滑な環状平面とした密
封端面2aに構成してある。
【0020】シールケース3は内周面部を円形としたも
ので、図1に示す如く、内周面部に環状壁部3aを介し
て筒状保持部3bを同心状に設けている。回転軸1は、
筒状保持部3bを洞貫している。
【0021】可動密封環4は、図1に示す如く、前端面
を軸線方向に直交する平滑な環状平面とした密封端面4
aに構成すると共に、軸線方向における中間部分であっ
てOリング5による二次シール個所より密封端面4a寄
りの部分(以下「被変形部分」という)43を、軸線方
向に所定の長さL1 を有し且つ径方向厚さT1 をその両
側部分41,42より小さくした薄肉円筒形状となした
ものである。すなわち、可動密封環4は、被変形部分4
3の前側部分である先端側部分41を固定密封環2に直
対向させた状態で、被変形部分43の後側部分である基
端側部分42をOリング5を介して筒状保持部3bに嵌
挿保持させることにより、シールケース3に二次シール
された状態で軸線方向に摺動可能に保持されている。ま
た、基端側部分42と環状壁部3aとの間にはドライブ
ピン等の適宜の回り止め手段(図示せず)が介装されて
いて、可動密封環4をその軸線方向移動を許容しつつ回
転不能に保持させている。また、基端側部分42と環状
壁部3aとの間にはスプリング6が介装されていて、可
動密封環4を固定密封環2へと押圧附勢させている。な
お、可動密封環4は、カーボンや金属材料(例えば、ハ
ステロイ,ステンレス鋼,チタン等やこれらに適宜の表
面硬化処理(窒化処理,Cr2 3 等のセラミックコー
ティング処理等)を施したもの)等の硬質材で一体成形
されている。また、Oリング5は、基端側部分42の内
周面に圧接した状態で、筒状保持部3bの外周部に形成
した環状のOリング溝3cに保持されている。
【0022】而して、可動密封環4の先端側部分41
は、図1及び図3(A)に示す如く、その内外径d2
2 を固定密封環2の内外径に応じた寸法に設定した厚
肉円筒形状をなす。また、基端側部分42は、図1及び
図3(A)に示す如く、外径を先端側部分41の外径D
2 と同一にし且つ内径を先端側部分41の内径d2 より
やや大きくした厚肉円筒形状をなす。そして、被変形部
分43は、図1及び図3(A)に示す如く、二次シール
個所(Oリング5と基端側部分42の内周面との接触個
所)より密封端面4a寄りの部分であって、所定の軸線
方向長さL1 を有し、外径D1 を先端側部分41及び基
端側部分42の外径D2 より小さくし且つ内径d1 を基
端側部分42の内径と同一にした薄肉円筒形状をなす。
【0023】ところで、被変形部分43の径方向厚さT
1 及び軸線方向長さL1 は、 被密封流体領域A1 における被密封流体圧力Pが一
定圧(以下「変形臨界圧」という)PK 以上の高圧とな
ったときにおいて、可動密封環4の外周部に作用する被
密封流体圧力Pによって被変形部分43が先端側部分4
1及び基端側部分42より大きく径方向に弾性変形(縮
径変形)され、 その結果、可動密封環4が、その密封端面4aが固
定密封環2の密封端面2aとの間に非密封流体領域A2
方向に漸次窄まる断面楔状の環状空間7を形成しうる環
状テーパ面(凸状の截頭円錐面)となるべく、弾性変形
せしめられる、ように、先端側部分41及び基端側部分
42の形状(径方向厚さ及び軸線方向長さ)並びに変形
臨界圧PK 及び可動密封環4の材質等を考慮して適宜に
設定される。一般的には、の条件が満足されるため
には、被変形部分43の径方向厚さT1 (=(D1 −d
1 )/2)を、先端側部分42の径方向厚さ((D2
2 )/2)の40%程度以下に設定しておくことが好
ましく、被変形部分43の軸線方向長さL1 を、先端側
部分41の軸線方向長さL2 と同程度以上に設定してお
くことが好ましい。勿論、径方向厚さT1 又は軸線方向
長さL1 を決定するに当たっては、軸線方向に作用する
被密封流体圧力Pないしスプリング力のみによって可動
密封環6が弾性変形されるようなことがないように配慮
しておく。なお、変形臨界圧PK は、通常シール及びテ
ーパフェースシールの何れによっても良好なシール機能
を行なうことができる圧力範囲において適宜に設定され
るものである。例えば、冒頭で述べたシール下限圧PL
程度に設定しておく。但し、変形臨界圧PK は特定圧力
値そのものを指すものとしても、当該特定圧力値を含む
或る程度の圧力範囲を指すものとしても、何れでもよ
い。一般的には、変形臨界圧PK を一定値に特定するこ
とは困難であるから、後者のように設定しておくのがよ
い。
【0024】一方、第2シールM2 は、図5〜図7に示
す如く、シールケース(例えば、ポンプケーシング)3
に固定された固定密封環2とこれに直対向して回転軸
(例えば、インペラ軸)1に保持された可動密封環4と
を具備して、両密封環2,4の対向端面たる密封端面2
a,4a間において、その外周側領域であって被密封流
体(例えば、水等の液体)が封入される被密封流体領域
1 とその内周側領域である非密封流体領域(例えば、
シールケース3外に連通する大気領域)A2 とを、被密
封流体圧力Pに応じた形態でシールしうるするように構
成されている。
【0025】回転軸1は軸本体1aとこれに嵌挿固定し
た円筒状スリーブ1bとからなり、固定密封環2は、回
転軸1に遊嵌させた状態でシールケース3に内嵌固定さ
れている。この固定密封環2の密封端面2aは、軸線に
直交する平滑な環状平面に構成されている。なお、固定
密封環2は、第1シールM1 におけると同様に、WC,
SiC,カーボン,金属材料(例えば、ハステロイ,ス
テンレス鋼,チタン等やこれらに適宜の表面硬化処理
(窒化処理,Cr2 3 等のセラミックコーティング処
理等)を施したもの)等の超硬質材で一体成形されてい
る。
【0026】可動密封環4は、図5に示す如く、前端面
を軸線に直交する平滑な環状平面とした密封端面4aに
構成すると共に、軸線方向における中間部であってOリ
ング5による二次シール個所より密封端面4a寄りの部
分(以下「被変形部」という)45を、軸線を通過する
断面の形状(図5に示す形状)上、括れた狭窄形状とな
したものである。
【0027】すなわち、可動密封環4にあっては、図5
に示す如く、内周部に後方に開放する環状のOリング溝
46を形成すると共に、外周部に軸線方向中間部位に配
して環状の凹溝47を形成することによって、Oリング
溝46と凹溝47との間の部分を、その両側部分48,
49に比して小断面積となるように狭窄された被変形部
45となしている。なお、被変形部45は、図7(A)
又は図8(A)〜(C)に例示する如く、溝46,47
の位置関係等によって異なる形態をなすが、何れの形態
を選択するかは任意である。そして、可動密封環4は、
被変形部45より前側の先端側部分48を固定密封環2
に直対向させた状態で、Oリング溝46に係合させたO
リング5を介して、被変形部45より後側の基端側部分
49を回転軸1つまりスリーブ1bに嵌挿させることに
より、回転軸1に二次シールされた状態で軸線方向に摺
動可能に保持されている。また、可動密封環4の後端部
と回転軸1に取付けられた環状リテーナ50との間に
は、可動密封環4をその軸線方向移動を許容しつつ回転
不能に保持させるドライブピン等の適宜の回り止め手段
51及び可動密封環4を固定密封環2へと押圧附勢する
スプリング6が介装されている。なお、可動密封環4
は、第1シールM1 におけると同様に、カーボンや金属
材料(例えば、ハステロイ,ステンレス鋼,チタン等や
これらに適宜の表面硬化処理(窒化処理,Cr2 3
のセラミックコーティング処理等)を施したもの)等の
硬質材で一体成形されている。
【0028】ところで、軸線方向たる前後方向における
Oリング溝46と凹溝47との位置関係は、被変形部4
5が二次シール個所(基端側部分49の内周面へのOリ
ング5の圧接個所)より密封端面4a寄りに位置するよ
うに設定される。すなわち、密封端面4aからOリング
溝46の前端面までの軸線方向距離L4 と密封端面4a
から凹溝47の後端面までの軸線方向距離L5 とが、L
4 ≧L5 となるように設定される。また、Oリング溝4
6の溝底径つまりOリング溝48が形成された部分の内
径d3 は、Oリング5の径及びOリング5が圧接される
スリーブ1bの外径に応じて設定され、凹溝47の溝底
径つまり凹溝47が形成された部分の外径D4 は、固定
密封環2に対応して設定される先端側部分48の前端面
の内外径d5 ,D5 に応じて、凹溝47が形成された部
分の径方向厚さ((D4 −d4 )/2)が必要以上に薄
くならないように設定される。
【0029】而して、被変形部47の断面形状は、両溝
46,47の軸線方向間隔L3 (=L4 −L5 )及び半
径方向間隔T2 (=(D4 −d3 )/2(但し、D4
3のときは、T2 =(d3 −D4 )/2))の少なく
とも一方によって決定されるが、かかる間隔L3 ,T2
は、 被密封流体領域A1 における被密封流体圧力Pが一
定圧つまり変形臨界圧PK 以上の高圧となったときにお
いて、可動密封環4の外周部に作用する被密封流体圧力
Pによって被変形部43を変曲点とするような弾性変形
が生じ、 その結果、可動密封環4が、その密封端面4aが固
定密封環2の密封端面2aとの間に非密封流体領域A2
方向に漸次窄まる断面楔状の環状空間7を形成しうる環
状テーパ面(凸状の截頭円錐面)となるべく、弾性変形
せしめられる、ように、溝底径d3 ,D4 に応じて、変
形臨界圧PK 及び可動密封環4の材質等を考慮して適宜
に設定される。例えば、図7(A)に示す如く、D4
3 であってL4 >L5 であるときは、軸線方向間隔L
3 及び半径方向間隔T2 をの条件を満足するように
小さく設定する。また、図8(A)に示す如く、D4
3 であってL4 =L5 (L3 =0)であるときは、半
径方向間隔T2 を小さく設定する。また、同図(B)に
示す如く、D4 =d3 (T2 =0)であってL4 >L5
であるときは、軸線方向間隔L3 を小さく設定する。ま
た、同図(C)に示す如く、D4 <d3 であってL4
5 であるときは、軸線方向間隔L3 を小さく設定する
(半径方向間隔T2 は任意に設定できる)。勿論、溝4
6,47の間隔L3 ,T2 を設定するに当たっては、被
変形部45の存在により、軸線方向に作用する被密封流
体圧力Pないしスプリング力のみによって可動密封環6
が不測に変形されるようなことがないように配慮してお
く。なお、変形臨界圧PK については、前述した通りで
ある。
【0030】以上のように構成された各シールM1 ,M
2 によれば、被密封流体領域A1 の圧力条件に応じて可
動密封環4の密封端面4aしたがってシール構造が自動
的に変化され、被密封流体圧力Pの大きさに拘らず、常
に、良好なシール機能を発揮しうる。
【0031】すなわち、第1シールM1 にあっては、被
密封流体圧力Pが変形臨界圧PK 以上の高圧となると、
可動密封環4はその外周部に作用する被密封流体圧力P
によって内方に弾性変形つまり縮径変形されることにな
るが、この弾性変形は、当然に、厚肉の先端側部分41
及び基端側部分42において生じ難く、薄肉の被変形部
分43において生じ易い。なお、先端側部分41及び被
変形部分43については、Oリング5による二次シール
により、内周部に被密封流体圧力Pが作用することはな
いが、基端側部分42については、被密封流体が内周部
側に侵入して、内外周部に被密封流体圧力Pが略同等に
作用することになるため、径方向厚さに拘わらず、被密
封流体圧力Pによる影響をさほど受けず、外周部に作用
する被密封流体Pによっては殆ど縮径変形されることが
ない。
【0032】このように、被密封流体圧力Pによる弾性
変形の容易度が可動密封環4の軸線方向における全ての
部分で同等でなく、被変形部分43とその両側部分4
1,42とで異なる状態は、可動密封環4に、これを両
端支持した形態(先端側部分41及び基端側部分42を
支持した形態)として、被密封流体圧力Pを作用させた
状態と同等であるとみなすことができる。かかる被密封
流体圧力Pの作用状態を可動密封環4の一断面について
みると、あたかも両端支持梁に等分布荷重が作用するか
の如き状態ということができる。
【0033】すなわち、可動密封環4の外周部に作用す
る被密封流体圧力Pによって、被変形部分43は、先端
側部分42及び基端側部分43に比して、内方に大きく
弾性変形(縮径変形)することになり、被変形部分43
の外周部側には軸線方向への圧縮応力が生じると共に内
周部側には軸線方向への引張応力が生じることになる
(かかる変形状態ないし応力状態は、可動密封環4の一
断面についてみれば、両端支持梁に等分布荷重が作用し
た場合に酷似する)。
【0034】したがって、先端側部分41及び基端側部
分42は、図3(B)に示す如く、外周部に作用する被
密封流体圧力Pによっては直接的には殆ど弾性変形(縮
径変形)しないが、先端側部分41及び基端側部分42
に連なる被変形部分43の外周部側に生じる圧縮応力及
び外周部側に生じる引張応力によって、相対的に、対向
間隔が外周側において接近し且つ内周側において離間す
るように弾性変形せしめられることになる。その結果、
図2に示す如く、先端側部分41の端面である密封端面
4aは、外周側に向かう程、固定密封環2の密封端面2
aから離れるような形態に歪むことになる。つまり、密
封端面4aは凸状の環状テーパ面(截頭円錐面)に変形
されることになる。
【0035】一方、第2シールM2 にあっては、被密封
流体圧力Pが変形臨界圧PK 以上の高圧となると、可動
密封環4は被密封流体圧力Pの影響により弾性変形され
ることになるが、かかる弾性変形は、当然に、断面形状
が狭窄されている被変形部45において生じ易く、その
両側部分48,49では生じ難い。なお、基端側部分4
9については、第1シールM1 におけると同様に、被密
封流体が内周部側に侵入して、内外周部に被密封流体圧
力Pが略同等に作用することになるため、断面形状に拘
わらず、被密封流体圧力Pによる影響をさほど受けず、
弾性変形は殆ど生じない。
【0036】すなわち、被密封流体圧力Pによる弾性変
形は、専ら、先端側部分48と基端側部分49との境界
部分である被変形部45及びその近傍において生じるこ
とになるが、かかる状態は、可動密封環4の外周部にお
ける軸線方向全域に亘って被密封流体圧力Pつまり等分
布荷重が作用している状態ではなく、あたかも、軸線方
向の中間部である被変形部45に集中荷重が作用してい
るかの如くである。
【0037】したがって、先端側部分48及び基端側部
分49は、図7(B)に示す如く、可動密封環4の外周
部に作用する被密封流体圧力Pによっては直接的には殆
ど弾性変形しないが、被変形部45を変曲点として、相
対的に、軸線方向対向間隔が外周側において接近し且つ
内周側において離間するように、いわば外周側に折り畳
まれる如くに弾性変形せしめられることになる。その結
果、図6に示す如く、先端側部分48の前端面である密
封端面4aは、外周側に向かう程、固定密封環2の密封
端面2aから離れるような形態に歪むことになる。つま
り、密封端面4aは、第1シールM1 におけると同様
に、凸状の環状テーパ面(截頭円錐面)に変形されるこ
とになる。
【0038】而して、第1又は第2シールM1 ,M2
おいては、密封端面4aが上記した如く凸状の環状テー
パ面に変形されることから、図2又は図6に示す如く、
密封端面2a,4a間には、被密封流体の漏れ方向(非
密封流体領域A2 方向)に漸次狭まる断面楔状の環状空
間7が形成されることになり、冒頭で述べたテーパフェ
ースシールと同様の原理により、密封端面2a,4a間
が一定の微小隙間たる平衡隙間S0 に保持されることに
なる。
【0039】すなわち、シールM1 ,M2 がテーパフェ
ースシール構造に変化し、図13及び図14に示す如
く、可動密封環4の基端面(背面)に作用する被密封流
体圧力Pによる背圧によって(より正確には、背圧及び
スプリング6による附勢力によって)生じる閉力FC
環状空間7に侵入した被密封流体の圧力(静圧)によっ
て生じる開力FO とがバランスされることになり、密封
端面2a,4a間の隙間Sが一定の平衡隙間S0 に保持
されることになる。つまり、テーパフェースシール機能
が発揮されることになる。
【0040】ところで、被密封流体圧力Pによる密封端
面4aの変形程度つまり環状テーパ面に変形された密封
端面4aのテーパ量Δ(図13参照)は、被変形部分4
3の変形量つまり被密封流体圧力Pの大きさに比例して
変動する。つまり、テーパ量Δは、被密封流体圧力Pが
大きくなるに従い大きくなり、被密封流体圧力Pが小さ
くなるに従い小さくなる。そして、被密封流体圧力Pが
大きくなると、当然に可動密封環に作用する背圧したが
って閉力FC が大きくなるが、同時に、テーパ量Δが大
きくなるため、開力FO も大きくなる。逆に、被密封流
体圧力Pが小さくなると、当然に可動密封環に作用する
背圧したがって閉力FC が小さくなるが、同時に、テー
パ量Δが小さくなるため、開力FO も小さくなる。
【0041】したがって、被密封流体圧力Pの増減に応
じて、閉力FC 及び開力FO が増減されることから、被
密封流体圧力Pが変動したときにも、常に、閉力FC
開力FO とがバランスされて、被密封流体圧力Pに応じ
た適正な平衡隙間S0 が確保されることになる。すなわ
ち、被密封流体圧力Pが変動したときにも、当該圧力P
に応じてテーパ量Δが自動調整されて、密封端面2a,
4a間の隙間Sが、被密封流体圧力Pに応じた適正な漏
れを生じるために必要とされる平衡隙間S0 が確保され
ることになる。
【0042】その結果、第1又は第2シールM1 ,M2
では、被密封流体領域A1 に変形臨界圧PK 以上の範囲
において圧力変動が生じた場合にも、テーパフェースシ
ール機能が良好に発揮されて、密封端面2a,4a間か
ら大量漏れが生じたり、密封端面2a,4a間の非接触
形態ないし高潤滑状態が損なわれることがなく、良好な
シールを行なうことができる。
【0043】一方、何れのシールM1 ,M2 において
も、回転軸1の回転が開始された直後の初期運転段階等
にあって、被密封流体圧力Pが変形臨界圧PK に達して
いないとき又は変形臨界圧PK より降圧するような圧力
変動があったときには、密封端面4aは変形されず又は
元の状態に弾性復帰し、軸線方向に直交する環状平面と
なる。すなわち、両密封端面2a,4aが平行面形態を
なす通常シール構造をとることになる。
【0044】而して、両密封端面2a,4aがこのよう
な平行面形態をなす状態では、密封端面2a,4a間に
は、被密封流体により流体膜が形成されるが、密封端面
2a,4aを背圧たる閉力FC に抗して開くだけの開力
O は生じない。したがって、被密封流体圧力Pが変形
臨界圧PK より低い場合には、テーパフェースシール機
能は発揮されず、平行な密封端面2a,4aの流体膜を
介しての相対回転摺接作用によるシール機能、つまり通
常シールと同等の通常シール機能が発揮されることにな
る。このように、テーパフェースシール機能が発揮され
ない低圧条件下においては、テーパフェースシール構造
から通常シール構造へと自動的に変化することから、冒
頭で述べたテーパフェースシールのように密封端面2
a,4a間から大量漏れが生じるような事態の発生は、
これが確実に防止される。
【0045】このように、第1又は第2シールM1 ,M
2 によれば、自動的に、被密封流体圧力Pの大きさに応
じて可動密封環4の密封端面4aが調整されて、通常シ
ールによる良好なシール機能が期待される低圧条件下
(P<PK )では通常シール構造となり、またテーパフ
ェースシールによる良好なシール機能が期待される高圧
条件下(P≧PK )ではテーパフェースシール構造とな
るから、つまり被密封流体圧力Pに応じた最適のシール
構造に自動的に変化するから、被密封流体圧力Pに拘わ
らず、常に、良好なシール機能(通常シール機能又はテ
ーパフェースシール機能)を発揮することができる。し
かも、変形臨界圧PK 以上の高圧条件下においては、被
密封流体圧力Pが大きくなるに従って、つまり閉力FC
が大きくなるに従って、可動密封環4の密封端面4aの
テーパ量Δが大きくなり、冒頭で述べた如くテーパフェ
ースシールによる良好なシール機能が期待できない超高
圧条件下(P>PH )においても、閉力FC とバランス
するに十分な開力FO が確保される。したがって、テー
パフェースシールによっても良好なシール機能が発揮さ
れる圧力範囲(PL ≦P≦PH )においては勿論、これ
から逸脱する圧力範囲(P<PL ,P>PH )において
も、冒頭で述べた問題を生じることなく、被密封流体圧
力Pに応じた良好なシール機能を発揮させることができ
る。
【0046】なお、第1及び第2シールM1 ,M2 は、
上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明
の基本原理を逸脱しない範囲において、適宜に改良,変
更することができる。
【0047】例えば、上記した構成の第1又は第2シー
ルM1 ,M2 は、何れも、内周側領域A2 が被密封流体
領域となる場合にも使用することができ、低圧条件下
(P<PK )において上記したと同一の通常シール機能
を発揮することができることは勿論であるが、高圧条件
下(P≧PK )においても、図4又は図9に示す如く、
内周側領域A2 の被密封流体圧力Pによって可動密封環
4の密封端面4aが凹状の環状テーパ面に変形されて、
上記したと同一のテーパフェースシール機能を発揮する
ことができるものである。
【0048】すなわち、第1シールM1 にあっては、図
4(A)に示す如く、可動密封環4の内周部に変形臨界
圧PK 以上の被密封流体圧力Pが作用すると、被変形部
分43が外方に弾性変形(拡径変形)して、被変形部分
43の内周部側に軸線方向への圧縮応力が生じると共に
外周部側に軸線方向への引張応力が生じることになり、
先端側部分41及び基端側部分42が、相対的に、対向
間隔が内周側において接近し且つ外周側において離間す
るように弾性変形せしめられることになる。その結果、
図4(B)に示す如く、先端側部分41の端面である密
封端面4aは、内周端に向かう程、固定密封環2の密封
端面2aから離れるような形態に歪むことになる。一
方、第2シールM2 にあっては、図9(A)に示す如
く、可動密封環4の内周部に変形臨界圧PK 以上の被密
封流体圧力Pが作用すると、可動密封環4には外径方向
への弾性変形が生じるが、かかる被密封流体圧力Pの直
接的な影響による弾性変形は、断面積の大きな先端側部
分48及び被密封流体圧力Pが作用しない基端側部分4
9においては生じ難く、専ら、断面が狭窄された被変形
部45及びその周辺において生じることになる。したが
って、可動密封環4全体としては、図9(B)に示す如
く、先端側部分48と基端側部分49とが、その境界部
分である被変形部45を変曲点として、相対的に、軸線
方向の対向間隔が内周側において接近し且つ外周側にお
いて離間するような形態で、いわば内周側に折り畳まれ
る如き形態で、弾性変形することになる。
【0049】その結果、第1及び第2シールM1 ,M2
の何れにおいても、密封端面4aは凹状の環状テーパ面
(截頭円錐面)に変形されることになり、外周側領域で
ある非密封流体領域A1 方向に漸次窄まる断面楔状の環
状空間7´が形成されて、前述した同一のテーパフェー
スシール機能が発揮されるのである。かかる変形のメカ
ニズムは、可動密封環4の外周部に被密封流体圧力Pが
作用する場合と同一である。なお、この場合、背圧は、
二次シール面より内周側に突出する環状壁面(つまり、
第1シールM1 にあっては基端部分42の内周面より内
周側に突出する環状壁面41a(図4参照)であり、第
2シールM2 にあってはOリング溝46の内周面より内
周側に突出する環状壁面46a,48a(図9参照)で
ある)に作用する被密封流体圧力Pにより得られるが、
当該環状壁面41aの面積(=π((d1 2
(d2 2 )/4)又は48a,49aの合計面積(=
π((d 3 2 −(d5 2 )/4)は、スプリング圧
との関係において、環状空間7´に侵入した被密封流体
の圧力(静圧)によって生じる開力FO とバランスしう
る閉力FC が確保できるように、設定しておく必要があ
る。
【0050】また、各シールM1 ,M2 において、両密
封端面2a,4aの何れか一方には、いわゆる動圧発生
型メカニカルシールにおけると同様に、ヘリカル状等の
適当な形状の動圧発生溝を形成しておくことができる。
例えば、固定密封環2の密封端面2aに、図10に示す
如く、被密封流体領域たる外周側領域A1 (又は被密封
流体領域たる内周側領域A2 )に開放される適当数のL
字形の第1及び第2動圧発生溝81 …,82 …を形成し
て、可動密封環4の密封端面4aが軸線方向に直交する
環状平面に保持される低圧条件下(P<PK )におい
て、被密封流体圧力Pが一定以上に昇圧された場合に、
密封端面2a,4aが、その間に第1動圧発生溝81
又は第2動圧発生溝82 …により発生された動圧によ
り、非接触状態に保持されるように構成しておくことが
できる。このようにすれば、かかる低圧条件下における
シール機能を更に向上させることができる。なお、第1
動圧発生溝81 …はR1 方向に相対回転する場合におい
て動圧を発生させるべく機能するものであり、第2動圧
発生溝82 …はR2 方向に相対回転する場合において動
圧を発生させるべく機能するものであり、両者81 …,
2 …は直径線に対して対称形状をなすが、このような
動圧発生溝の形状等については特願平5−181059
号又は特願平6−50642号に開示されている。
【0051】また、何れのシールM1 ,M2 において
も、各密封環2,4を回転軸1又はシールケース3に何
れに設けるかは任意事項である。勿論、二次シール構造
も特に限定されるものではない。
【0052】
【発明の効果】以上の説明からも容易に理解されるよう
に、第1又は第2シールは、基本的に通常シール構造を
なすものであり、被密封流体圧力が一定以上の高圧とな
ったときにおいては、可動密封環の密封端面が被密封流
体圧力によってテーパフェースシールにおけると同様の
環状テーパ面に弾性変形して、テーパフェースシール構
造に自動変化するものであるから、常に、被密封流体領
域の圧力条件に最適するシール構造により良好なシール
機能を発揮することができる。したがって、テーパフェ
ースシール又は通常シールの何れかによって良好なシー
ル機能を発揮しうる圧力条件下では勿論、テーパフェー
スシール及び通常シールに何れによっても良好なシール
機能を発揮し得ない圧力条件下においても、通常シール
機能又はテーパフェースシール機能により適正且つ良好
なシールを行うことができ、圧力条件を限定されない極
めて広範な用途に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1シールの通常シール構造を示す半截の縦断
側面図である。
【図2】第1シールのテーパフェースシール構造を示す
半截の縦断側面図である。
【図3】第1シールにおける可動密封環の弾性変形作用
を示す縦断面形状図である。
【図4】第1シールにおける可動密封環の図3とは異な
る弾性変形作用を示す縦断面形状図である。
【図5】第2シールの通常シール構造を示す半截の縦断
側面図である。
【図6】第2シールのテーパフェースシール構造を示す
半截の縦断側面図である。
【図7】第2シールにおける可動密封環の弾性変形作用
を示す縦断面形状図である。
【図8】第2シールにおける可動密封環の異なる形状を
示す縦断面形状図である。
【図9】第2シールにおける可動密封環の図8とは異な
る弾性変形作用を示す縦断面形状図である。
【図10】第1又は第2シールにおける固定密封環の密
封端面を示す正面図である。
【図11】テーパフェースシールを示す半截の縦断側面
図である。
【図12】テーパフェースシールにおける可動密封環の
弾性変形作用を示す縦断面形状図である。
【図13】一方の密封端面が加工された又は弾性変形さ
れた環状テーパ面である場合において両密封端面間に作
用する圧力分布ないし開閉力を示す説明図である。
【図14】一方の密封端面が加工された又は弾性変形さ
れた環状テーパ面である場合における両密封端面間の隙
間と開閉力との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…回転軸、2…固定密封環、2a…固定密封環の密封
端面、3…シールケース、4…可動密封環、4a…可動
密封環の密封端面、5…Oリング、6…スプリング、
7,7´…環状空間、41,48…先端側部分、42,
49…基端側部分、43…被変形部分、45…被変形
部、A1 …外周側領域、A2 …内周側領域、M1 …第1
シール(メカニカルシール)、M2 …第2シール(メカ
ニカルシール)、P…被密封流体圧力。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シールケース及び回転軸の一方に固定さ
    れた固定密封環と他方に二次シールされた状態で軸線方
    向摺動可能に保持された可動密封環とを具備し、両密封
    環の対向端面たる密封端面間にて、その内外周側領域で
    ある被密封流体領域と非密封流体領域とをシールするよ
    うに構成されたメカニカルシールにおいて、 両密封端面を軸線方向に直交する環状平面に構成すると
    共に、 可動密封環の軸線方向における中間部分であって二次シ
    ール個所より密封端面寄りの部分を、軸線方向に所定の
    長さを有し且つ径方向厚さをその両側部分より小さくし
    た薄肉円筒形状となして、 被密封流体領域における被密封流体圧力が一定以上の高
    圧となったときにおいて、当該被密封流体圧力によっ
    て、可動密封環が、その密封端面が固定密封環の密封端
    面との間に非密封流体領域方向に漸次窄まる断面楔状の
    環状空間を形成しうる環状テーパ面となるべく、弾性変
    形せしめられるように構成したことを特徴とするメカニ
    カルシール。
  2. 【請求項2】 シールケース及び回転軸の一方に固定さ
    れた固定密封環と他方に二次シールされた状態で軸線方
    向摺動可能に保持された可動密封環とを具備し、両密封
    環の対向端面たる密封端面間にて、その内外周側領域で
    ある被密封流体領域と非密封流体領域との間をシールす
    るように構成されたメカニカルシールにおいて、 両密封端面を軸線方向に直交する環状平面に構成すると
    共に、 可動密封環の軸線方向における中間部であって二次シー
    ル個所より密封端面寄りの部分を、軸線を通過する断面
    の形状上、括れた狭窄形状となして、 被密封流体領域における被密封流体圧力が一定以上の高
    圧となったときにおいて、当該被密封流体圧力によっ
    て、可動密封環が、その密封端面が固定密封環の密封端
    面との間に非密封流体領域方向に漸次窄まる断面楔状の
    環状空間を形成しうる環状テーパ面となるべく、弾性変
    形せしめられるように構成したことを特徴とするメカニ
    カルシール。
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