JPH1036911A - 表面特性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents
表面特性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法Info
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- JPH1036911A JPH1036911A JP19375996A JP19375996A JPH1036911A JP H1036911 A JPH1036911 A JP H1036911A JP 19375996 A JP19375996 A JP 19375996A JP 19375996 A JP19375996 A JP 19375996A JP H1036911 A JPH1036911 A JP H1036911A
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Abstract
が小さく表面特性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄
板。 【解決手段】 重量%で、C:0.025〜0.05
5、N:0.001〜0.015、Cr:15.0〜1
8.0、Ti:0.005〜0.10、Mn:0.01
〜1.0、Si:0.01〜1.0、Al:0.015
〜0.025を含有し、以下、いずれも、S:0.01
0、P:0.04、Ni:0.5、Cu:0.5、M
o:0.2、O:0.010以下で、残部がFe及び不
可避的不純物からなり、γp =420×C+470×N
+23×Ni+12×Cu+7×Mn−11.5×Cr
−11.5×Si−11×Mo−52×Al−49×T
i+189のγp が20〜35%のフェライト系ステン
レス鋼を1150〜1300℃で熱間圧延し、粗圧延で
1100℃以上での累積圧下率を40%以上とし、引き
続き仕上げ圧延を実施して捲取温度を450〜600℃
とし、以後熱延板焼鈍を実施せず酸洗し冷延、最終焼鈍
を実施する。
Description
ンレス鋼の製造プロセスにおいて、冷延時に発生する微
小うねり(ロ−ピング)が小さく表面特性に優れたフェ
ライト系ステンレス鋼薄板の製造方法に関する。
イト系ステンレス鋼に比べてNi含有量が少なく低価格
であるため、厨房器具等をはじめ広く使用されている。
この場合、表面の美麗さが必要となるため、表面特性を
向上させることがフェライト系ステンレス鋼に要求され
る。
品として成形加工時にリジングと言われる表面凹凸が発
生しやすいことが知られている。このリジングは加工時
に発生する5〜50μm高さの凹凸である。フェライト
系ステンレス鋼のリジングを改善する方法は従来より種
々検討されており、例えば、鉄と鋼76(1990)
P.1520に述べられているように発生メカニズムに
ついても検討されている。
グが問題視されてきた。しかしながら、最近では製品の
成形加工時ではなく、フェライト系ステンレス鋼熱延板
を冷延したときに冷延板の表面に発生する微小なうねり
が最終製品まで消えずに残り、近年厳しく求められてい
る表面品位を満足することができず、製品としての価値
を損なうことが問題となっている。この微小なうねりは
冷延板の表面に高さ0.2μm〜0.5μm程度で圧延
方向に伸びたうねりであり、このうねりは製品の成形加
工時に発生するリジングと区別してロ−ピングと呼ばれ
ている。
鋼種であるSUS430鋼は、熱延後に数十時間を必要
とする箱焼鈍を必要とするなど製造性の点でオ−ステナ
イト系ステンレス鋼の代表鋼種であるSUS304より
劣っているのが実状である。このような観点からSUS
430の製造プロセスを簡略化するために熱延板焼鈍の
連続焼鈍化技術や熱延板焼鈍省略プロセスについても多
く検討されているが、どちらの場合も通常のSUS43
0鋼の成分系よりは低C、低N化、高Ti化の高純フラ
イト系や高Alを特徴とするような成分系であって、通
常の低Ti、低Alを基本とする成分系では確立されて
いない。
はリジングと同一現象として考えられていたが、成形加
工時のリジング発生と冷間圧延時のロ−ピングの発生に
は必ずしも良い対応があるとも言えず、特にリジングは
加工率が高くなるとその高さは大きくなるのに対し、ロ
−ピング高さは冷延圧下率が高くなるほど小さくなり、
リジングと発生挙動が異なるなどロ−ピングの発生メカ
ニズムも明らかになっていないため、ロ−ピングを低減
できる製造方法を確立することが必要となった。
を付加することは、安価なフェライト系ステンレス鋼の
メリットを失う可能性が大きく、最も省工程が進んだ熱
延板焼鈍省略プロセスでロ−ピング発生を低減できれ
ば、表面特性が優れたフェライト系ステンレス鋼をさら
に安価に提供できることとなる。従って本願発明の目的
は工程を増加させることなく、ロ−ピングの発生が少な
い表面特性に優れたフェライト系ステンレス鋼を製造す
る方法を提供することにある。
ト系ステンレス鋼の熱延板焼鈍を省略した製造プロセス
においてロ−ピングを低減する方法を種々検討した。そ
の結果、成分、加熱条件、熱延条件、捲取条件の一連の
プロセス条件を一貫して制御することで、熱延板焼鈍を
省略したプロセスでもロ−ピングを低減できることを知
見した。
によるものではなく、以下の一連のプロセス条件を制御
する構成を必要とする。
05%以下の1種以上を含有し、残部がFe及び不可避
的不純物からなり、下式で示されるγp が20〜35%
であるフェライト系ステンレス鋼を、熱間圧延に際し加
熱温度を1150℃以上1300℃以下にし、粗圧延に
おいて1100℃以上での累積圧下率を40%以上と
し、引き続き仕上げ圧延を実施して捲取温度を450〜
600℃とし、以後熱延板焼鈍を実施することなく酸洗
し冷延、最終焼鈍を実施することを特徴とする表面特性
に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法である。 γp =420×C+470×N+23×Ni+12×C
u+7×Mn−11.5×Cr−11.5×Si−11
×Mo−52×Al−49×Ti+189
する。本発明者等はフェライト系ステンレス鋼の冷延時
に発生するロ−ピングの低減を目的とした実験を行い、
実験結果を詳細に検討した。その結果、熱延板焼鈍を省
略してかつロ−ピングを改善するには、熱延途中のγ相
の分散を促進させることが重要であることが判明した。
この際のγ相は加熱時に析出させるよりも、熱延途中で
析出させることで、より分散化が図れ、またγ相量を1
5%以上とすることでロ−ピングが改善されることが判
明した。
または増加するような成分系がよく、粗熱延中にγ相の
体積分率が減少するような成分系ではロ−ピングが改善
できないことが明かとなった。粗熱延中のγ量としては
15%以上で1100℃以上での累積圧下率が40%を
超えるとロ−ピングが改善できる。また粗熱延中にγ相
が15%以下に減少するような成分系では、熱延中に再
結晶が生じやすくなるが、再結晶が生じることによって
ロ−ピング高さが著しく減少することは認められないこ
とも判明した。
延中に15%以上となるように調整することが必要であ
り、このγ量としては下式で示されるγp が20%以上
あれば、粗圧延中に必要なγ量が確保できることも明か
となった。 γp =420×C+470×N+23×Ni+12×C
u+7×Mn−11.5×Cr−11.5×Si−11
×Mo−52×Al−49×Ti+189
ピングは改善されるがγp が35を超えるように成分を
規定すると本願発明の熱延板焼鈍省略プロセスでは、冷
延時の耳割れや、また冷延性が悪化するとともに冷延後
の焼鈍のみではγ相が消えずに焼鈍時の粒成長を阻害
し、また強度が高くなり加工性が低下するなど表面特性
以外の製造性、材質で悪影響がでるためにγp は35%
以下とした。
となるように加熱温度を設定するとγ相活用の点で不利
であり、粗圧延中にγ相が析出または増加するように加
熱温度を設定することが重要である。γp が20%以上
でもγ相が熱延途中で減少しないようにするには、加熱
時にはむしろある程度γ相が減少する温度にすることが
必要であり、1100℃以上で40%以上の累積圧下を
取ることを考慮すると加熱温度として1150℃以上が
必要である。しかし、1300℃を超えて加熱すると表
層部が脱炭により異常粒成長をおこし疵の原因となるた
め、加熱温度の上限は1300℃とした。
γ相と熱延条件の関係は1100℃以上での累積圧下率
を40%以上とすることで、冷延時のロ−ピングは低減
できることが判明した。1100℃以上での圧下率を4
0%以上としたのは、γ相を加工後微細に分散させるた
めに必要であるためであり、これ以下では粒界へのγ析
出が主体となるためである。また累積圧下率が40%を
確保できても、γp が20%未満ではγ相の分散が均一
でなくなり粗大粒が熱延板に残存し、ロ−ピングを不良
とする1100℃以上の圧延に関しては、1パスあたり
の圧下率が高いほど好ましいが、数パスに分けて実施し
ても効果があり、また仕上圧延に関しては高速圧延−高
温仕上げが望ましい。
℃より高温とする。600℃より高温ではγ相がフェラ
イトと炭化物に分解してしまい、ロ−ピングの改善傾向
が減少する。また450℃以下の低温ではマルテンサイ
トに変態してしまい、本願発明のようにγ相を微細に分
散させ、かつ熱延板焼鈍を省略したプロセスを前提とし
た場合、冷延後の熱処理時にマルテンサイトが逆変態す
るまでにフェライト粒の成長を阻害し降伏点が高くなる
ため、著しい低温捲取はロ−ピング特性は改善するが材
質を硬質にするため捲取温度の下限は450℃を超える
温度とした。
上記のロ−ピング低減方法は、重量%で、 C :0.025〜0.055%、N :0.001〜0.015%、 Cr:15.0〜18.0%、 S :0.010%以下、 P :0.04%以下、 Ti:0.005〜0.10%、 Mn:0.01〜1.0%、 Si:0.01〜1.0%、 Ni:0.5%以下、 Cu:0.5%以下、 Mo:0.2%以下、 Al:0.015〜0.025%、 O :0.010%以下、 さらに必要に応じて、B:0.005%以下、V:0.
05%以下の1種以上を含有し、残部がFe及び不可避
的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼において成
り立つことが判明した。。
に悪影響を与えるが、強度およびγ相量を適正に確保す
るためにはある程度は必要である。γ相の観点からは
0.025%未満ではγ量が不足しフェライト粒が粗大
化する、また0.055%を超えて添加すると加工性、
延性が劣化するためにCは0.025〜0.055%と
した。
食性、加工性が好ましいが0.001%未満にることは
工業的には困難であり、また0.015%を超えて添加
すると高強度となり加工性が劣化するためにNは0.0
01〜0.015%の範囲で添加する。
ンレス鋼の主要元素であり、耐食性を確保するためには
15%以上添加する必要がある。しかし、18%を超え
て添加しても食性は向上するが、γ量を確保するための
C、N、Mn量が増加し加工性や靭性が化するのでCr
の上限は18%とした。
食性の観点からも有害であるため、0.010%以下と
する。 P:Pは加工性や靭性また耐食性の点でも有害でありそ
の含有量は少ないほど望ましく0.040%以下とす
る。
らNを固定するために必要な元素であり、0.005%
以上添加する。しかし、過剰に添加するとNの固定効果
は向上するもの価格が高くなることや、Ti自身が強力
なフェライト形成元素であるためγ安定化元素を多量に
添加する必要性が生じるなど上限は0.1%以下であ
る。ロ−ピングの観点からは0.05%以下、とするこ
とが望ましい。
0.01%未満では効果が十分ではなく、1%を超えて
添加してもその効果が飽和するため0.01〜1.0%
で添加する。
0.01%未満では十分な効果がなく、また1%を超え
て添加すると脆化を著しく促進させ延性、靭性を劣化さ
せるので0.01〜1.0%で添加する。
きる。但し多量に添加するとγ相が著しく安定化するた
め、γ相がその後の熱処理中に分解できず加工性が劣化
するため0.5%以下で添加する。 Cu:Cuはγ相安定化元素として使用できる。但し多
量に添加するとCuによって強度が著しく上昇するため
0.5%以下で添加する。 Mo:Moはフェライト相安定化元素として使用でき
る。但し、多量に添加すると強度が上昇し、加工性が劣
化するため0.2%以下で使用する。
たNの固定にも使用できる0.015%以上とすること
が必要である。またAlは強力なフェライト安定化元素
であり、多量に含有させるとγ量を減少させるため0.
025%以下とした。 O:Oは熱延板の靭性を劣化させたり鋳造時のノズル詰
まりやキズ発生また熱延板の靭性劣化の原因となるた
め、本願発明においては0.01%以下、とした。
を含有させることができる。 B:BはNを固定するため、加工性を改善することがで
きる。しかし過剰に添加してもその効果は飽和するた
め、0.005%以下とした。 V:VはCやNを固定し、加工性を改善できるため選択
元素として0.05%以下で添加できる。
をラボの真空溶解で溶製し、厚み100mmの50kg鋼塊
を製造した。この後、表2に示す条件で加熱後、粗圧延
を5パスで20mmまで実施し、仕上熱延を20mmから5
〜3mmまで6パスで実施し、そのま熱延板を750〜3
50℃の炉に挿入し1時間保定後炉冷して捲取をシミュ
レ−トした。表中の捲取温度はこのシミュレ−トの保定
温度である。この後、硫酸で酸洗後、厚み2.0〜0.
4mmまで冷間圧延率を変えて冷延し、ロ−ピング高さを
評価した。
4mmまで冷延を行い、冷延方向に対して直角方向に10
mm長さについて粗度計で測定し、うねり高さの最大値を
持ってロ−ピング高さとした。この測定を3箇所実施
し、その平均値でロ−ピングを評価した。評価は、3箇
所のロ−ピング最大高さの平均が0.15μm未満をA
ランク、0.15μm以上0.25μm未満をBラン
ク、0.25μm以上〜0.35μm未満をCランク、
0.35μm以上をDランクとして評価した。表面品位
の点からはA,Bランクであれば問題となることはな
い。表2に示すように、本願発明材はいずれもロ−ピン
グ高さが0.25μm未満と小さく、優れた表面特性を
示した。
テンレス鋼の表面特性の問題点である冷延時のロ−ピン
グを熱延板焼鈍省略プロセスにて低減でき、低コストで
表面特性の改善に寄与する。
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で、 C :0.025〜0.055%、 N :0.001〜0.015%、 Cr:15.0〜18.0%、 S :0.010%以下、 P :0.04%以下、 Ti:0.005〜0.10%、 Mn:0.01〜1.0%、 Si:0.01〜1.0%、 Ni:0.5%以下、 Cu:0.5%以下、 Mo:0.2%以下、 Al:0.015〜0.025%、 O :0.010%以下 を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、下
式で示されるγp が20〜35%であるフェライト系ス
テンレス鋼を、熱間圧延に際し加熱温度を1150℃以
上1300℃以下にし、粗圧延において1100℃以上
での累積圧下率を40%以上とし、引き続き仕上げ圧延
を実施して捲取温度を450〜600℃とし、以後熱延
板焼鈍を実施することなく酸洗し冷延、最終焼鈍を実施
することを特徴とする表面特性に優れたフェライト系ス
テンレス鋼の製造方法。 γp =420×C+470×N+23×Ni+12×C
u+7×Mn−11.5×Cr−11.5×Si−11
×Mo−52×Al−49×Ti+189 - 【請求項2】重量%で、 C :0.025〜0.055%、 N :0.001〜0.015%、 Cr:15.0〜18.0%、 S :0.010%以下、 P :0.04%以下、 Ti:0.005〜0.10%、 Mn:0.01〜1.0%、 Si:0.01〜1.0%、 Ni:0.5%以下、 Cu:0.5%以下、 Mo:0.2%以下、 Al:0.015〜0.025%、 O :0.010%以下を含有し、 さらに、 B :0.005%以下、 V :0.05%以下の1種以上 を含有することを特徴とする請求項1記載の表面特性に
優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法。
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JP19375996A JP3806186B2 (ja) | 1996-07-23 | 1996-07-23 | 耐ローピング特性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法 |
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