JPH1036466A - 高剛性エチレン−プロピレンブロック共重合体およびその製造方法 - Google Patents

高剛性エチレン−プロピレンブロック共重合体およびその製造方法

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JPH1036466A
JPH1036466A JP8010397A JP8010397A JPH1036466A JP H1036466 A JPH1036466 A JP H1036466A JP 8010397 A JP8010397 A JP 8010397A JP 8010397 A JP8010397 A JP 8010397A JP H1036466 A JPH1036466 A JP H1036466A
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JP
Japan
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ethylene
propylene
weight
block copolymer
random copolymer
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Application number
JP8010397A
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English (en)
Inventor
Manabu Hirakawa
学 平川
Kenichi Okawa
健一 大川
Teruhiko Doi
照彦 土居
Tetsuya Kuyama
徹也 久山
Yuichi Miyake
裕一 三宅
Takesumi Nishio
武純 西尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】剛性と衝撃強度に優れ、かつ溶融流動性の良好
なエチレン−プロピレンブロック共重合体およびその製
造方法。 【解決手段】結晶性ポリプロピレン部分(I)が、ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によ
る重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))比
であるQ値が5以下、13C−NMRより計算されるアイ
ソタクチックペンタッド分率が0.98以上および13
5℃テトラリン溶液の極限粘度が0.6〜0.88dl
/gであり、エチレン−プロピレンランダム共重合体部
分(II)の135℃テトラリン溶液の極限粘度が4.0
〜6.0dl/g、エチレン/プロピレンの割合が、2
5/75〜35/65重量比%であり、上記ポリマー全
体((I)+(II))を100重量%とした時、エチレ
ン−プロピレンランダム共重合体部分(II)の比率が8
〜22重量%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、剛性、耐衝撃性、
流動性に優れた高剛性エチレン−プロピレンブロック共
重合体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン(エチレン−プロピレン
ブロック共重合体を含む)は、その優れた特性と、比較
的安価である事から、自動車外板材料や、内装材料に広
く使用されているが、成形品の大型化、軽量化に伴う薄
肉化が進行している。このため剛性、耐衝撃性に優れた
高流動性のポリプロピレンが要望されている。従来、重
合によって溶融流動性の高いポリプロピレンをつくろう
とすると、極めて脆いものしか得られず、実際の使用に
耐えるものは得られていないのが現状である。一方、溶
融流動性を改良する方法として、溶融流動性の低いポリ
プロピレン、又はその組成物に少量の有機過酸化物を添
加して熱処理する方法が知られている。しかしこの様な
方法で得られたポリプロピレンは剛性の低下が著しいこ
とに加え、熱処理に起因する臭気の問題、さらには、射
出成形体の表面にフローマークが生じる等の問題があ
る。従って、このような熱処理を必要とせずに剛性、耐
衝撃性、溶融流動性等に優れたポリプロピレンの開発が
強く望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来技術の状況
に鑑み本発明は、剛性と衝撃強度に優れ、かつ溶融流動
性の良好なエチレン−プロピレンブロック共重合体およ
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、結晶性ポリプ
ロピレン部分(I)とエチレン−プロピレンランダム共
重合体部分(II)とからなり、結晶性ポリプロピレン部
分(I)が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)法による重量平均分子量(Mw)/数平均分
子量(Mn))比であるQ値が5以下、13C−NMRよ
り計算されるアイソタクチックペンタッド分率が0.9
8以上および135℃テトラリン溶液の極限粘度が0.
6〜0.88dl/gであり、エチレン−プロピレンラ
ンダム共重合体部分(II)の135℃テトラリン溶液の
極限粘度が4.0〜6.0dl/g、エチレン/プロピ
レンの割合が、25/75〜35/65重量比%であ
り、上記ポリマー全体((I)+(II))を100重量
%とした時、エチレン−プロピレンランダム共重合体部
分(II)の比率が8〜22重量%である、高剛性エチレ
ン−プロピレンブロック共重合体;ならびにマグネシウ
ム、チタン、ハロゲンおよびアルミニウム化合物を必須
成分として含有する固体触媒系を用いて、溶剤存在下
で、結晶性ポリプロピレン部分(I)を製造する反応を
行い、続いて同一反応槽叉は第2の反応槽でエチレン−
プロピレンランダム共重合体部分(II)を製造する反応
行う、エチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方
法において、前記特性を備える結晶性ポリプロピレン部
分(I)およびエチレン−プロピレンランダム共重合体
部分(II)となるように反応条件をコントロールするこ
とを特徴とする、高剛性エチレン−プロピレンブロック
共重合体の製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明におけるエチレン−プロピ
レンブロック共重合体は、プロピレン単独重合体又はプ
ロピレンとエチレン若しくは炭素数4以上のα−オレフ
ィン(例えばブテン−1、ヘキセン−1など)が1モル
%以下共重合されたポリプロピレン部分と、エチレンと
プロピレンの組成が重量比でエチレン/プロピレン=2
5/75〜35/65であるエチレン−プロピレンラン
ダム共重合体部分(II)を有し、エチレン−プロピレン
ランダム共重合体部分(II)を全重合体の8〜22重量
%含有するものである。
【0006】本発明においてエチレン−プロピレンブロ
ック共重合体は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよ
びアルミニウム化合物を必須成分として含有する固体触
媒系の存在下にモノマ−を二段階で反応させて得られる
が、触媒系は(A)三価のチタン化合物含有固体触媒成
分(三塩化チタンとマグネシウムとの複合体)、(B)
有機アルミニウム化合物、(C)電子供与性化合物から
なる触媒系が好ましい。
【0007】この触媒系の製造方法は、例えば、特開昭
61−218606号公報、特開平1−319508等
に詳しく記載されている。即ち、(A)Si−O結合を
有するケイ素化合物およびエステル化合物の共存下に一
般式Ti(OR1 n 4-n (R1 は炭素数1〜20の
炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦4の正
数)で表わされるチタン化合物を、有機マグネシウム化
合物で還元して得られる固体生成物を、エステル化合物
とエーテル化合物と四塩化チタンとで処理して得られる
三価のチタン化合物含有固体触媒成分、(B)有機アル
ミニウム化合物、および(C)電子供与性化合物よりな
る触媒系である。
【0008】上記固体触媒成分(A)の合成に用いられ
る、チタン化合物は、上記一般式で表わされるものであ
るが、R1 は炭素数2〜18のアルキル基および炭素数
6〜18のアリ−ル基が好ましい。Xで表されるハロゲ
ン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素が例示でき、この
中で、特に塩素が好ましい。上記一般式で表されるチタ
ン化合物のnの値としては、0<n≦4、好ましくは、
2≦n≦4、特に好ましくは、n=4である。
【0009】上記固体触媒成分(A)の合成に用いられ
る、Si−O結合を有する有機ケイ素化合物としては、
一般式Si(OR2 m 3 4-m、R4 (R5 SiO)p
SiR6 3または(R7 2SiO)q (R2 は炭素数1〜2
0の炭化水素基、R3 、R4、R5 、R6 、およびR7
は炭素数が1〜20の炭化水素基又は水素原子、mは0
<m≦4の正数、pは1〜1000の整数、qは2〜1
000の整数である。)で表されるものである。有機ケ
イ素化合物の具体例として、テトラメトキシシラン、ジ
メチルジメトキシシラン、ジエトキシジエチルシラン、
ジエトキシジフェニルシラン、トリエトキシフェニルシ
ラン、シクロヘキシル・エチルジメトキシシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン等が例示され、これらの有機ケ
イ素化合物のうち好ましいものは、一般式Si(O
2 m 3 4-mで表されるアルコキシラン化合物であ
り、好ましくはこの式中、1≦m≦4であり、特にm=
4のテトラアルコキシラン化合物が好ましい。
【0010】上記固体触媒成分(A)の合成に用いられ
る、有機マグネシウム化合物としては、マグネシウム−
炭素結合を含有する任意の型の有機マグネシウム化合物
が使用できる。特に一般式R8 MgX(R8 は炭素数1
〜20の炭化水素基、Xはハロゲン)で表わされるグリ
ニヤール化合物及び一般式R9 10Mg(R9 、R10
は炭素数1〜20の炭化水素基)で表わされるジアルキ
ルマグネシウム化合物またはジアリールマグネシウム化
合物が好適に使用される。ここでR9 、R1 0は同一で
も異なっていてもよい。
【0011】上記固体触媒成分(A)の合成に用いられ
る、エステル化合物としては、脂肪族カルボン酸エステ
ル、オレフィンカルボン酸エステル、脂環式カルボン酸
エステル、芳香族カルボン酸エステル等のモノ及び多価
のカルボン酸エステルが挙げられる。これらのエステル
化合物のうち、メタクリル酸エステル、マレイン酸エス
テル等のオレフィンカルボン酸エステル及びフタル酸エ
ステルが好ましく特にフタル酸のジエステルが好まし
い。
【0012】また、エーテル化合物としては、ジエチル
エーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピル
エーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、メチ
ル−n−ブチルエーテル等のジアルキルエーテルが好ま
しく、特にジ−n−ブチルエーテル、ジイソアミルエー
テルが好ましい。
【0013】上記固体触媒成分(A)は、有機ケイ素化
合物およびエステル化合物の存在下、チタン化合物を有
機マグネシウム化合物で還元して得られる固体生成物
を、エステル化合物で処理したのち、エ−テル化合物と
四塩化チタンの混合物で処理する、またはエ−テル化合
物と四塩化チタンとエステル化合物の混合物で処理して
合成される。これらの合成反応は、全て窒素、アルゴン
等の不活性気体雰囲気下で行われる。還元反応温度は、
−50℃〜70℃、好ましくは−30〜50℃、特に好
ましくは、−25℃〜35℃の温度範囲である。
【0014】上記(B)成分の有機アルミ二ウム化合物
は、少なくとも分子内に一個のアルミ−炭素結合を有
し、一般式R11r AlY3-r 、R1213Al−O−Al
14 15(R11〜R15は炭素数が1〜20個の炭化水素
基、Yハロゲン、水素またはアルコキシ基を表し、rは
2≦r≦3で表される正数である)で表されるものであ
る。有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリエ
チルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ
ヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムハライド、、ジイソブチルアルミ
ニウムハライド等のジアルキルアルミニウムハライド、
トリエチルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハラ
イドの混合物、テトラエチルジアルモキサン、テトラブ
チルジアルモキサン等のアルキルアルモキサンが例示さ
れる。
【0015】これらの有機アルミニウム化合物のうち、
トリアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム
とジエチルアルミニウムクロライドの混合物およびテト
ラエチルジアルモキサンが好ましい。
【0016】有機アルミニウム化合物の使用量は、固体
触媒成分(A)中のチタン原子1モル当たり0.5〜1
000モルのごとく広範囲に選ぶことができるが、特に
1〜600モルの範囲が好ましい。
【0017】上記(C)成分の電子供与性化合物として
は、アルコ−ル類、フェノ−ル類、ケトン類、アルデヒ
ド類、カルボン酸類、有機酸または無機酸のエステル
類、エ−テル類、酸アミド類、酸無水物類等の含酸素電
子供与体、アンモニア類、ニトリル類、イソシアネ−ト
類等の含窒素電子供与体等を挙げることができる。これ
らの電子供与体のうち好ましくは無機酸のエステル類お
よびエ−テル類が用いられる。
【0018】(B)成分のアルミニウム化合物と、
(A)成分のチタン化合物とマグネシウム化合物の複合
体との比率は3/1〜20/1の範囲で選ぶことができ
る。またSi−O結合を有するシラン化合物と、チタン
化合物とマグネシウム化合物の複合体との比率は1/1
0〜1/2(モル/モル)の範囲で選ぶことができる。
【0019】本発明のエチレン−プロピレンブロック共
重合体は下記(I)、(II)の成分で構成される。 (I)結晶性ポリプロピレン部分は、(1)135℃テ
トラリン中での極限粘度〔η〕P は0.6〜0.88d
l/gであり、(2)GPCで測定したQ値(重量平均
分子量Mw /数平均分子量MN )が5以下好ましくは3
〜5であり、(3)13C−NMRより計算されるアイソ
タクチックペンタッド分率が0.98以上であり、か
つ、(4)全共重合体量の92〜78重量%を占める。 (II)エチレン−プロピレンランダム共重合体部分は、
(1)135℃テトラリン中での極限粘度〔η〕EP
4.0〜6.0dl/g、(2)エチレンとプロピレン
組成が重量比で25/75〜35/65(重量比)であ
り、かつ、(3)全共重合体量の8〜22重量%を占め
るものである。
【0020】本発明のエチレン−プロピレンブロック共
重合体は、230℃、2.16Kg荷重下で測定したと
きのメルトフローインデックス(MI)が50以上、好
ましくは60以上のものが好ましい。MIが50未満で
あると、本発明の目的とする高流動性ポリマーとならな
い。また、本発明のエチレン−プロピレンブロック共重
合体は、その成形体の曲げ弾性率が13000Kg/c
2 以上で、かつ23℃で測ったときのアイゾット衝撃
強度が4.0Kg・cm/cm以上のものがさらに好ま
しい。本発明のエチレン−プロピレンブロック共重合体
を製造するための重合条件は任意に選択して実施するこ
とができる。すなわち、重合はブタン、ペンタン、ヘキ
サン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、
メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素あるいは、それ
らの混合物のような不活性炭化水素の存在下でも実施で
きるし、重合単量体そのものを重合溶媒として実施する
こともできる。さらに、重合単量体の気体状態の媒体中
でも実施することができる。反応系には、分子量調整剤
として水素を存在させて反応を行わせるのが好ましい。
水素の供給量はエチレン−プロピレンブロック共重合体
である製品が使用される用途によって決められる。第一
段階と第二段階の重合における水素供給バランスについ
て重合条件や所望する共重合体の分子量等によって異な
るため、これらに応じて適宜その供給バランスを調整す
る事が必要である。重合反応は第一段階と第二段階のそ
れぞれにおいて同一の条件でも異なる条件でも良いが、
通常、重合温度は0〜200℃好ましくは20〜80℃
である。重合圧力は任意の圧力、例えば常圧〜100k
g/cm2 Gであり、重合方法により任意に選択するこ
とができる。重合形式は、1槽または2槽以上の重合槽
を用いて重合の各段階を回分式にて行うこともできる
し、連続的に行うことも可能である。本発明のエチレン
−プロピレンブロック共重合体は上記(I)、(II)の
成分を順次二段階にスラリー重合法または気相重合法に
よって製造されるが、スラリー重合法が好適である。
(I)の成分の極限粘度〔η〕p が0.6dl/gより
も小さければ機械的強度が低下し、0.88dl/gを
越えるとエチレン−プロピレンブロック共重合体の溶融
流動性が低下し、本発明の目的とする高流動性ポリプロ
ピレンが得られない。またQ値が5を越えるとエチレン
−プロピレンブロック共重合体の伸び特性が低下する。
(II)の成分の極限粘度〔η〕EPが4.0dl/g未満
であれば、耐衝撃性能が低く、6.0dl/gを越える
と溶融流動性の低下、組成物構成成分の分散不良による
耐衝撃性能の低下を生じる。またエチレン−プロピレン
ランダム共重合体中のエチレン含有量が25重量%未
満、あるいは35重量%を越えると成形品の耐衝撃性能
が低下するため好ましくない。
【0021】(I)の成分の13C−NMRより計算され
るアイソタクチックペンタッド分率が0.98未満であ
ると、それを含むエチレン−プロピレンブロック共重合
体は耐熱性、剛性、耐傷付き性が十分でないので好まし
くない。
【0022】本発明のエチレン−プロピレンブロック共
重合体は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止
剤、銅害防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤、発泡剤、可
塑剤、顔料、染料等の添加剤をその目的に合わせて配合
することができる。これらの添加剤の中でも耐熱性、耐
候性、耐酸化安定性を向上せしめるために酸化防止剤や
紫外線吸収剤を添加することが望ましい。
【0023】次に、上記諸物性の測定方法について説明
する。アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.Z
ambelliらによってMacromolecule
s,6,925(1973)に発表されている方法、す
なわち、13C−NMRを使用して測定される結晶性ポリ
プロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチ
ック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連
続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマ
ー単位の分率である。ただし、NMR吸収ピークの帰属
に関しては、その後発刊されたMacromolecu
les,8,687(1975)に基づいて行うもので
ある。具体的には13C−NMRスペクトルのメチル炭素
領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率とし
てアイソタクチック・ペンタッド分率を測定する。この
方法により英国NATIONAL PHYSICAL
LABORATORYのNPL標準物質CRMNo.M
19−14 Polypropylene PP/MW
D/2のアイソタクチック・ペンタッド分率を測定した
ところ、0.944であった。
【0024】また、ブロック共重合体全体に対するエチ
レン−プロピレンランダム共重合体部分(II)の重量
比率Xは、結晶性ポリプロピレン部分(I)とブロック
共重合体全体の各々の結晶融解熱量を測定することによ
り次式から計算で求めることができる。 X=1−(ΔHf)T /(ΔHf)P (ΔHf)T :ブロック共重合体全体の融解熱量(ca
l/g) (ΔHf)P :結晶性ポリプロピレン部分の融解熱量
(cal/g) エチレン−プロピレンランダム共重合体部分のエチレン
含量は、赤外線吸収スペクトル法によりブロック共重合
体全体の中のエチレン含量を重量%で測定し次式から計
算で求めることができる。 (C2 ’)EP=(C2 ’)T /X (C2 ’)T :ブロック共重合体全体のエチレン含量
(重量%) (C2 ’)EP:エチレン−プロピレンランダム共重合体
部分のエチレン含量(重量%) さらに、エチレン−プロピレンランダム共重合体部分の
135℃テトラリン溶液中での極限粘度[η]EPは、結
晶性ポリプロピレン部分とブロック共重合体全体の各々
の極限粘度を測定することにより次式から計算で求める
ことができる。 [η]EP=[η]T /X−(1/X−1)[η]P [η]P :結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度(dl
/g) [η]T :ブロック共重合体全体の極限粘度(dl/
g)
【0025】
【発明の効果】本発明のエチレン−プロピレンブロツク
共重合体は、剛性、衝撃強度および流動性に優れる。こ
のため良好な成形加工性、短い成形サイクルが要求さ
れ、製品にフローマークやウエルドラインの発生や面歪
みがない等良好な面品質が要求される射出成形体の用途
に適している。
【0026】
【実施例】以下実施例により本発明を説明するが、これ
らは単なる例示であり、本発明は要旨を逸脱しない限り
これら実施例に限定されるものではない。
【0027】次に実施例における物性値の測定法を以下
に示す。 (1)GPC測定条件 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に
より、下記の条件で測定した。また、検量線は標準ポリ
スチレンを用いて作成した。 機種 :ミリポアウォーターズ社製 150CV型 カラム:Shodex M/S 80 測定温度:145℃、溶媒オルトジクロルベンゼン サンプル濃度:5mg/8ml なお、本条件でNBS(National Bureau of Standard
s)の Standard Reference Material706(Mw/M
n=2.1のポリスチレン)を測定したところ、分子量
分布(Q値) Mw/Mn=2.1が得られた。
【0028】(2)メルトフローインデックス(MI) JIS K 6758に規定された方法による。測定温
度は230℃であり荷重は2.16kgで測定する。 (3)曲げ試験 JIS K 7203に規定された方法による。230
℃プレス成形により成形された試験片を用いる。試験片
の厚みは4.0mmであり、スパン長さ64mm、荷重
速度2.0mm/分の条件で曲げ弾性率および曲げ強度
を評価する。測定温度は23℃である。 (4)アイゾット衝撃強度 JIS K 7110に規定された方法による。230
℃プレス成形により成形された試験片を用いる。試験片
の厚みは5.0mmであり、成形の後にノッチ加工され
たノッチ付きの衝撃強度を評価する。測定温度は23℃
である。
【0029】実施例1 A.固体触媒成分の合成 (1) 固体生成物の合成 撹拌機、滴下ロ−トを備えた200リットルの反応容器
をN2 で置換した後、ヘキサン80リットル、テトラブ
トキシチタン2.23リットル(2.23kg、6.5
5モル)、フタル酸ジイソブチル0.75リットル
(0.78kg、2.8モル)およびテトラエトキシシ
ラン22.1リットル、(20.6kg、98.9モ
ル)を投入し、均一溶液とした。次に、濃度2.1モル
/リットルの有機マグネシウム化合物51リットルを反
応容器内の温度を5℃に保ちながら、5時間かけてたじ
ょじょに滴下した。滴下終了後、室温でさらに1時間撹
拌した後室温で固液分離し、トルエン70リットルで3
回洗浄を繰り返した後、スラリ−濃度を0.2kg/リ
ットルになるようにトルエンを加えた。
【0030】固体生成物スラリ−の一部をサンプリング
し、組成分析を行ったところ固体生成物中にはチタン原
子が1.7重量%、フタル酸エステルが0.1重量%、
エトキシ基が32.7重量%、ブトキシ基が3.5重量
%含有されていた。
【0031】(2)エステル処理固体の合成 200リットルの反応容器をN2 で置換した後、上記
(1)で得られた固体生成物を含むスラリ−にフタル酸
ジイソブチル13.26kg(47.6モル)を加え、
95℃で30分反応を行った。反応後、固液分離し、ト
ルエン70リットルで2回洗浄を行った。 (3) 固体触媒成分の合成(活性化処理) 上記(2)での洗浄終了後、反応容器にトルエン、フタ
ル酸ジイソブチル0.87kg(3.13モル)、ブチ
ルエ−テル1.16kg(8.9モル)、および四塩化
チタン30リットル(274モル)を加え、105℃で
3時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し
た後、同温度でトルエン90リットルで2回洗浄を行っ
た。次いで、トルエン、ブチルエ−テル1.16kg
(8.9モル)、および四塩化チタン15リットル(1
37モル)を加え、105℃で1時間反応を行った。反
応終了後、同温度で固液分離した後、同温度でトルエン
90リットルで3回洗浄を行ったのち、ヘキサン70リ
ットルで3回洗浄し、さらに減圧乾燥して固体触媒成分
11.4kgを得た。
【0032】B.エチレンープロピレンブロック共重合
体の合成 内容積5.5m3 の攪拌機及びジャケット付きのSUS
製反応器をプロピレンで十分置換したのち、n−ヘプタ
ン2.5m3 、トリエチルアルミニウム10モル及びシ
クロヘキシルエチルジメトキシシラン1.5モルを供給
し、さらに内温を20〜40℃、圧力をプロピレンで
0.5kg/cm2 Gに調整し、上記の固体触媒成分
0.12kgを供給する。次いで、ジャケットに温水を
通水し該反応器の内温を75℃に昇温したのちプロピレ
ン及び水素で反応圧力を8kg/cm 2 Gに昇圧し重合
を開始した。反応温度75℃で反応圧力8kg/cm2
Gを保つようにプロピレンを連続的に供給し、気相部の
水素濃度を4.0%に保つように供給しながら結晶性ポ
リプロピレン部分(以下P部と省略する)の重合を継続
した。プロピレン供給量の積算量が1180kgに達し
た時点でプロピレン及び水素の供給を停止し、反応器内
の未反応モノマーを脱ガスし、反応器内圧力を0.5k
g/cm2 Gまで降圧すると共に、反応器内温度を60
℃に調整した。P部のポリマーを約100gサンプリン
グし分析した結果、固有粘度〔η〕Pは0.0.83d
l/gであり、GPCにより求めた分子量の比Mw /M
n は4.4であった。P部でのポリマーの生成量はプロ
ピレンの供給積算量と重合終了時点での未反応プロピレ
ンの重量より計算し798kgであった。
【0033】引き続いて、プロピレン及びエチレンによ
り反応圧力を3kg/cm2 Gに昇圧しエチレン−プロ
ピレンランダム共重合体部(以下EP部と省略する)の
重合を開始し、反応温度60℃で反応圧力を3kg/c
2 Gに保つようにプロピレン/エチレン=3/1(重
量比)の混合ガスを連続的に供給し、気相部の水素濃度
が0.01%に保たれるように調整しながらEP部の重
合を継続した。プロピレン/エチレン混合ガスの供給積
算量が188kgに達した時点でモノマーの供給を停止
し、反応器内のポリマースラリーの全量を失活槽へ導き
ブチルアルコールで失活処理を行った後、該ポリマース
ラリーを遠心分離することにより固体ポリマーを回収
し、ドライヤーにて乾燥して粉末状白色パウダー960
kgを得た。得られたポリマー全体の極限粘度〔η〕T
は、1.44dl/gであり、エチレン含量は5.8重
量%であった。又、P部とEP部の重合比は、P部と最
終的に得られたポリマーの結晶融解熱量より計算し重量
比で83/17であった。したがってEP部におけるポ
リマー中のエチレン含量は34重量%であり、EP部の
極限粘度〔η〕EPは5.8dl/gであった。
【0034】得られたエチレン−プロピレンブロック共
重合体100重量部に、安定剤としてステアリン酸カル
シウム0.15重量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシトルエン(商品名スミライザーBHT、住友
化学工業(株)製)0.1重量部、テトラキス〔メチレ
ン−3(3’,5’−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタン(商品名イルガノックス
1010、チバ・ガイギー社製)0.05重量部を添加
して、連続二軸混練機を用いてペレット化したのち射出
成形によって試験片を作成して物性を測定した。評価結
果を表3に示した。剛性、衝撃強度、及び流動性が良好
であった。
【0035】実施例2、3及び比較例1、2、3、4 P部の重合時の気相部の水素濃度、ならびにEP部の重
合時のプロピレン/エチレンの比率およびその時の気相
部の水素濃度を表1、表2に示すように変えた以外は、
実施例1と同様に実施した。実施例1と同様に作成した
試験片の物性の評価結果を表3に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】本発明の実施例は比較例に比べ剛性、衝撃
強度、及び流動性においてバランス良く優れている。
フロントページの続き (72)発明者 土居 照彦 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学工 業株式会社内 (72)発明者 久山 徹也 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学工 業株式会社内 (72)発明者 三宅 裕一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 西尾 武純 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性ポリプロピレン部分(I)とエチレ
    ン−プロピレンランダム共重合体部分(II)とからな
    り、結晶性ポリプロピレン部分(I)が、ゲルパーミエ
    ーションクロマトグラフィー(GPC)法による重量平
    均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))比であるQ
    値が5以下、13C−NMRより計算されるアイソタクチ
    ックペンタッド分率が0.98以上および135℃テト
    ラリン溶液の極限粘度が0.6〜0.88dl/gであ
    り、エチレン−プロピレンランダム共重合体部分(II)
    の135℃テトラリン溶液の極限粘度が4.0〜6.0
    dl/g、エチレン/プロピレンの割合が、25/75
    〜35/65重量比%であり、上記ポリマー全体
    ((I)+(II))を100重量%とした時、エチレン
    −プロピレンランダム共重合体部分(II)の比率が8〜
    22重量%である、高剛性エチレン−プロピレンブロッ
    ク共重合体。
  2. 【請求項2】230℃、2.16Kg荷重下で測定した
    ときのメルトフローインデックス(MI)が50以上で
    あり、JIS K 7203に規定された方法によるそ
    の成形体の曲げ弾性率が13000Kg/cm2 以上で
    あり、かつ23℃で測ったときのアイゾット衝撃強度が
    4.0Kg・cm/cm以上である、請求項1記載の高
    剛性エチレン−プロピレンブロック共重合体。
  3. 【請求項3】マグネシウム、チタン、ハロゲンおよびア
    ルミニウム化合物を必須成分として含有する固体触媒系
    を用いて、結晶性ポリプロピレン部分(I)を製造する
    反応を行い、続いて同一反応槽叉は第2の反応槽でエチ
    レン−プロピレンランダム共重合体部分(II)を製造す
    る反応を行う、エチレン−プロピレンブロック共重合体
    の製造方法において、結晶性ポリプロピレン部分(I)
    が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
    C)法による重量平均分子量(Mw)/数平均分子量
    (Mn))比であるQ値が5以下、13C−NMRより計
    算されるアイソタクチックペンタッド分率が0.98以
    上および135℃テトラリン溶液の極限粘度が0.6〜
    0.88dl/gであり、エチレン−プロピレンランダ
    ム共重合体部分(II)の135℃テトラリン溶液の極限
    粘度が4.0〜6.0dl/g、エチレン/プロピレン
    の割合が、25/75〜35/65重量比%であり、上
    記ポリマー全体((I)+(II))を100重量%とし
    た時、エチレン−プロピレンランダム共重合体部分(I
    I)の比率が8〜22重量%となるようにコントロール
    することを特徴とする、高剛性エチレン−プロピレンブ
    ロック共重合体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002037824A (ja) * 2000-07-26 2002-02-06 Japan Polychem Corp プロピレンブロック共重合体の製造方法
JP2009221323A (ja) * 2008-03-14 2009-10-01 Sumitomo Chemical Co Ltd プロピレン系ブロック共重合体粒子群

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