JPH1036463A - 積層板用樹脂組成物及び金属箔張り積層板の製造方法 - Google Patents

積層板用樹脂組成物及び金属箔張り積層板の製造方法

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JPH1036463A
JPH1036463A JP8196738A JP19673896A JPH1036463A JP H1036463 A JPH1036463 A JP H1036463A JP 8196738 A JP8196738 A JP 8196738A JP 19673896 A JP19673896 A JP 19673896A JP H1036463 A JPH1036463 A JP H1036463A
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JP
Japan
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resin composition
laminate
resin
glass
vinyl ester
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Application number
JP8196738A
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English (en)
Inventor
Kenji Ogasawara
健二 小笠原
Yoshinobu Marumoto
佳伸 丸本
Kohei Kodera
孝兵 小寺
Keiko Kashiwabara
圭子 柏原
Masaya Tsujimoto
雅哉 辻本
Kenichi Shinoya
賢一 篠谷
Yoshihisa Sugawa
美久 須川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工時の反りを低減する効果を確保しつつド
リル摩耗性を向上させることができ、しかもコストが安
価な積層板用樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 長尺の樹脂含浸基材を複数枚重ねて連続
して送りながら加熱することによって積層板を連続的に
製造するために、基材に含浸して使用される積層板用樹
脂組成物に関する。ビニルエステル樹脂、ラジカル重合
性モノマー、架橋アクリル系樹脂粉末及びタルクを含有
し、常温で液体に積層板用樹脂組成物を調製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続工法での金属
箔張り積層板の製造に用いられる樹脂組成物及びこの樹
脂組成物を用いた積層板の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂あるいはその変性物とアク
リル酸やメタクリル酸に代表される不飽和脂肪酸とから
製造されるビニルエステル樹脂は、成形時の作業性や硬
化性、硬化物の特性のバランスの良さ等から、各種の分
野において利用されており、プリント配線板等に使用さ
れる積層板の製造にも利用されている。
【0003】例えば、ビニルエステル樹脂とラジカル重
合性モノマーを含む液状の熱硬化性樹脂組成物を基材に
含浸させ、これを硬化させることによって得られる積層
板が特公平5−29548号公報に開示されている。ビ
ニルエステル樹脂とラジカル重合性モノマーからなる液
状の熱硬化性樹脂組成物は、硬化反応時にガスとなる成
分が生成されないので、加圧を行なう必要なく積層板を
連続工法で製造することが可能になる。すなわち、ガラ
ス布等の長尺の基材に液状の樹脂組成物を含浸させ、こ
の樹脂組成物を含浸した複数枚の基材を連続して送りつ
つ重ね合わせると共にその外側に長尺の銅箔など金属箔
を重ね合わせ、そしてこれをさらに連続して送りつつ加
熱して樹脂組成物を硬化させることによって一体化させ
て、金属箔張り積層板を製造することができるものであ
り、この工法では基材への樹脂組成物の含浸から積層一
体化に至るまでの工程を連続的に行なうことができ、生
産性が非常に高くなるという利点を有するのであるが、
連続的に移送させるために加熱硬化の工程で長時間の加
圧を行なうことができず、ビニルエステル樹脂とラジカ
ル重合性モノマーからなる液状の熱硬化性樹脂組成物の
ように、硬化反応時にガスとなる成分が生成されないも
のが好都合なのである。
【0004】本発明者等は、このようなビニルエステル
樹脂とラジカル重合性モノマーを含有する熱硬化性樹脂
組成物を用いて連続工法で製造した積層板の性能改良に
ついて検討した結果、架橋アクリル系樹脂粉末を熱硬化
性樹脂組成物中に分散させることによって、積層板の面
方向の線膨張係数を小さくできることを見出し、これに
ついては特願平6−185579号(特開平8−480
01号公報参照)において提案している。そしてさらに
その後の検討で、このように架橋アクリル系樹脂粉末を
熱硬化性樹脂組成物中に分散させると、積層板加工時の
反りが低減されることが判明した。また、Eガラス粉等
の無機充填剤を液状の樹脂組成物中に分散させて使用す
ることによって、得られた積層板の厚み方向の線膨張係
数を低減できることも従来から知られている。従って、
架橋アクリル系樹脂粉末とEガラス粉等の無機充填剤を
併用すれば、積層板の加工時の反りの低減の効果が一層
高く得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ビニルエステ
ル樹脂とラジカル重合性モノマーにさらに架橋アクリル
系樹脂粉末と無機充填剤とを配合して得られた熱硬化性
樹脂組成物を用いて製造した積層板については、加工時
の反りを低減する効果を良好に得ることができるが、積
層板のスルーホール加工時のドリル磨耗性等が無機充填
剤の使用によって低下するおそれがある。このために無
機充填剤として実際には、製造コストが高い電気絶縁材
料用のEガラス粉を使用せざるを得ず、Eガラス粉の使
用量が多くなって価格が高くなるという問題があった。
【0006】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、加工時の反りを低減する効果を確保しつつドリル
摩耗性を向上させることができ、しかもコストが安価な
積層板用樹脂組成物及び金属箔張り積層板の製造方法を
提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る積層板用樹
脂組成物は、長尺の樹脂含浸基材を複数枚重ねて連続し
て送りながら加熱することによって積層板を連続的に製
造するために、基材に含浸して使用される積層板用樹脂
組成物であって、ビニルエステル樹脂、ラジカル重合性
モノマー、架橋アクリル系樹脂粉末及びタルクを含有
し、常温で液体であることを特徴とするものである。
【0008】また請求項2の発明は、ビニルエステル樹
脂はトリフェニルフォスフィンを触媒として合成された
ものであることを特徴とするものである。また請求項3
の発明は、ラジカル重合性モノマーとしてスチレンとア
クリル酸を併用することを特徴とするものである。また
請求項4の発明は、ラジカル重合性モノマーを、ビニル
エステル樹脂、ラジカル重合性モノマー、架橋アクリル
系樹脂粉末の合計100重量部に対して、25〜50重
量部含有することを特徴とするものである。
【0009】また請求項5の発明は、アクリル酸を、ビ
ニルエステル樹脂、ラジカル重合性モノマー、架橋アク
リル系樹脂粉末の合計100重量部に対して、2〜8重
量部含有することを特徴とするものである。また請求項
6の発明は、架橋アクリル系樹脂粉末は平均粒径が1.
0μm以下であることを特徴とするものである。
【0010】また請求項7の発明は、架橋アクリル系樹
脂粉末はビニルエステル樹脂やラジカル重合性モノマー
に溶解しない外殻層を有する多層構造の粒子であること
を特徴とするものである。また請求項8の発明は、架橋
アクリル系樹脂粉末を、ビニルエステル樹脂とラジカル
重合性モノマーの合計量100重量部に対し、3〜15
重量部含有することを特徴とするものである。
【0011】また請求項9の発明は、タルクを、ビニル
エステル樹脂とラジカル重合性モノマーの合計量100
重量部に対し、5〜100重量部含有することを特徴と
するものである。本発明に係る金属箔張り積層板の製造
方法は、上記の積層板用樹脂組成物を長尺のガラス織布
に含浸すると共に上記の積層板用樹脂組成物を長尺のガ
ラス不織布に含浸し、次にガラス織布とガラス不織布を
連続して送りながらガラス不織布の外側にガラス織布を
重ねると共にさらにその外側の片面あるいは両面に長尺
の金属箔を重ね、この重ねたガラス織布とガラス不織布
と金属箔を連続して送りながら加熱して積層板用樹脂組
成物を硬化させることを特徴とするものである。
【0012】また請求項11の発明は、内側のガラス不
織布に含浸する積層板用樹脂組成物として半減温度が低
いラジカル重合開始剤を配合したものを用いると共に、
外側のガラス織布に含浸する積層板用樹脂組成物として
半減温度が高いラジカル重合開始剤を配合したものを用
いることを特徴とするものである。また請求項12の発
明は、内側のガラス不織布に含浸する積層板用樹脂組成
物として半減温度が110〜140℃のジアルキルパー
オキサイドを配合したものを用いると共に、外側のガラ
ス織布に含浸する積層板用樹脂組成物として半減温度が
150〜170℃のハイドロパーオキサイドを配合した
ものを用いることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明においてビニルエステル樹脂としては、エ
ポキシ樹脂と不飽和脂肪酸の反応物を用いることができ
るものであり、具体的にはエポキシ樹脂と不飽和カルボ
ン酸の反応物を挙げることができる。ここで、エポキシ
樹脂としては市販のエポキシ樹脂、例えばビスフェノー
ルAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシ
ジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエ
ーテルに代表されるグリシジルエーテル類、脂環式エポ
キシ樹脂類、グリシジルエステル類、グリシジルアミン
類、ノボラック型エポキシ樹脂類、及び前記のエポキシ
樹脂とビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェ
ノールS、臭素化ビスフェノールA、臭素化ビスフェノ
ールF等に代表されるビスフェノール類との共重合物、
さらにこれらに積層板用樹脂として必要な可撓性を持た
せるためにエラストマー変性を施したものなどを使用す
ることができ、また不飽和カルボン酸としては、アクリ
ル酸、メタクリル酸などを使用することができる。
【0014】エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸を溶融反
応や溶液反応等の任意の反応形態で反応させることによ
って、ビニルエステル樹脂を調製することができるが、
エポキシ樹脂/不飽和カルボン酸の当量比が0.9〜
1.1になるようにエポキシ樹脂と不飽和カルボン酸の
反応比率を設定するのが好ましい。当量比が0.9未満
では反応後に過剰の不飽和カルボン酸が残ってポットラ
イフが短くなるおそれがあり、逆に当量比が1.1を超
えると目的とするエポキシ量末端のビニルエステル樹脂
を得ることができないおそれがある。
【0015】またこのようにエポキシ樹脂と不飽和カル
ボン酸を反応させるにあたって、反応触媒としてはアミ
ン類やイミダゾール類が一般に使用されるが、本発明で
は反応触媒としてトリフェニルフォスフィン(以下TP
Pと略称)を用いるのが好ましい。TPPは他の反応触
媒に比べて副反応の抑制効果が大きく、合成中にゲル化
が生じる危険性が少なくなるものである。TPPの使用
量は特に限定されないが、生成されるビニルエステルの
総量に対して0.03〜0.3重量%の範囲に設定する
のが好ましい。TPPの使用量が0.03重量%未満で
あると触媒効果が乏しく、反応不足になるおそれがあ
り、逆に0.3重量%を超えると最終硬化時の硬化阻害
を生じ、樹脂組成物の適正な硬化時間を得ることが困難
になるおそれがある。
【0016】上記のようにして調製されるビニルエステ
ル樹脂の樹脂組成物への配合量は、ビニルエステル樹脂
とラジカル重合性モノマーと架橋アクリル系樹脂粉末の
合計100重量部に対して、40〜60重量部の範囲に
設定するのが好ましい。この範囲以外では、樹脂組成物
の硬化物の可撓性が不足し、密着性や加工性が悪くなる
おそれがある。
【0017】本発明においてラジカル重合性モノマーと
しては、ラジカル重合性不飽和基を1分子中に少なくと
も1個以上有する分子量が400以下の化合物を用いる
ことができる。例えば、スチレン、メチルスチレン、ハ
ロゲン化スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、ジアリ
ルフタレート、トリアリルシアヌレート、メチルメタク
リレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート
等を挙げることができ、これらの2種以上を併用するこ
ともできる。
【0018】本発明はこれらのなかでも、ラジカル重合
性モノマーとして、スチレンとアクリル酸を併用する系
が好ましい。スチレンは安価な原料であり、しかも希釈
剤として作用し、樹脂組成物をガラス布の基材に含浸す
るに適した粘度に調整することが容易になる。またアク
リル酸は、製造された積層板の樹脂のガラス転移温度
(Tg)を高めて耐熱性を向上させると共に、積層板中
の樹脂と基材との密着性や樹脂と金属との密着性を向上
させる作用を有する。従って本発明ではラジカル重合性
モノマーとして、スチレンとアクリル酸を併用するのが
好ましいのである。
【0019】ラジカル重合性モノマーの樹脂組成物への
配合量は、ビニルエステル樹脂とラジカル重合性モノマ
ーと架橋アクリル系樹脂粉末の合計100重量部に対し
て、25〜50重量部に設定するのが好ましい。ラジカ
ル重合性モノマーの配合量が25重量部未満では樹脂組
成物の粘度が高くなり過ぎ、またラジカル重合性モノマ
ーの配合量が50重量部を超えると樹脂組成物の粘度が
低くなり過ぎ、いずれも基材への樹脂組成物の良好な含
浸状態を得ることができないおそれがある。
【0020】また、ラジカル重合性モノマーのなかで
も、アクリル酸の樹脂組成物への配合量が、ビニルエス
テル樹脂とラジカル重合性モノマーと架橋アクリル系樹
脂粉末の合計100重量部に対して、2〜8重量部にな
るように設定するのが好ましい。アクリル酸の配合量が
2重量部未満であると、上記のTgや密着性を向上させ
る効果が少なく、逆に8重量部を超えるとTgや密着性
を向上させる効果は高くなるが、積層板の耐薬品性、特
に耐アルカリ性が損なわれるおそれがある。
【0021】本発明では、架橋アクリル系樹脂粉末が積
層板用樹脂組成物中に分散されていることを必須の条件
とする。なぜなら、架橋アクリル系樹脂粉末の添加によ
り、加工時の反りが小さい積層板が得られるようになる
からである。本発明において架橋アクリル系樹脂粉末と
しては、メチルメタクリレートまたはスチレンをこれら
と共重合可能なモノマーと共重合させて得られる、ガラ
ス転移点が40℃以上(好ましくは60℃以上)のガラ
ス状ポリマーが好ましい。このようなガラス状ポリマー
は、ビニルエステル樹脂やラジカル重合性モノマーを含
む液状の樹脂組成物に不溶で且つ分散性が良好であり、
架橋アクリル系樹脂粉末の本来の効果を十分に発現させ
ることができるものである。
【0022】メチルメタクリレートと共重合可能なモノ
マーとしては、エチルアクリレート、ブチルアクリレー
ト等のアルキルアクリレート、エチルメタクリレート、
ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、ビ
ニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、
芳香族ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル等のシアン化ビニル、シアン化ビニリデン等のビニ
ル重合性モノマーを挙げることができる。またスチレン
と共重合可能なモノマーとしては、エチルアクリレー
ト、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート、エ
チルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキ
ルメタクリレートを挙げることができる。
【0023】また、上記のようなガラス状ポリマーを外
殻層(シェル)とし、ガラス転移点が室温以下(好まし
くは−10℃以下)のゴム状ポリマーをコアとする、い
わゆるコアシェル構造を有する微粒子を用いることもで
きる。このようにビニルエステル樹脂やラジカル重合性
モノマーに溶解しない外殻層を有するコアシェルの多層
構造の粒子の架橋アクリル系樹脂粉末は、樹脂組成物の
樹脂系に溶解することがないと共に樹脂系とのなじみが
良く高い分散性を有し、この点で好ましいものである。
【0024】ゴム状ポリマーを形成するモノマーの主要
成分としては、共役ジエンまたはアルキル基の炭素数が
2〜8であるアルキルアクリレート、あるいはこれらの
混合物が好ましい。共役ジエンとしては、ブタジエン、
イソプレン、クロロプレン等を挙げることができるが、
特にブタジエンを好ましく用いることができる。また、
アルキル基の炭素数が2〜8であるアルキルアクリレー
トとしては、エチルアクリレート、プロピルアクリレー
ト、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート等を挙げることが
できるが、特にブチルアクリレートを好ましく用いるこ
とができる。ゴム状ポリマーは乳化重合で生成される
が、この重合においては、上記共役ジエン又はアルキル
アクリレート又はこれらの混合物と共に、これらに共重
合可能なモノマー、例えばスチレン、ビニルトルエン、
α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、芳香族ビニリデ
ン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン
化ビニル、シアン化ビニリデン、エチルメタクリレー
ト、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレー
ト、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレ
ート、ベンジルメタクリレート等の芳香族(メタ)アク
リレート等を共重合させることもでき、さらに、エポキ
シ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基などの官能基
を持ったモノマーを共重合させることもできる。
【0025】架橋アクリル系樹脂粉末の樹脂組成物への
配合量は、ビニルエステル樹脂とラジカル重合性モノマ
ーの合計量100重量部に対し、3〜15重量部である
ことが好ましい。架橋アクリル系樹脂粉末の配合量が3
重量部未満であると、積層板の反りを小さくする効果を
十分に得ることができない場合があり、逆に15重量部
を超えると、積層板の吸湿後耐熱性や層間密着性が低下
する傾向を生じるおそれがあって好ましくない。
【0026】また架橋アクリル系樹脂粉末の粒径は、平
均粒径が1μm以下であることが好ましい。架橋アクリ
ル系樹脂粉末の粒径が大きくなると、ガラス布基材への
樹脂組成物の含浸性が悪くなり、樹脂硬化物と基材との
密着性をさほど高く得ることができなくなるからであ
る。架橋アクリル系樹脂粉末の粒径の下限は特に設定さ
れないが、平均粒径が50nm以下になると分散性が極
めて悪くなるので好ましくない。
【0027】本発明は無機充填剤としてタルクを配合す
ることを必須条件とするものであり、積層板用樹脂組成
物中にタルクの粉末を分散して存在させるようにしてあ
る。タルクは各種用途に広く使用されている汎用の無機
充填剤であるため、安価であり、コストダウンができる
という効果がある。またタルクは硬度が低いために、積
層板をドリル加工する際にドリルを摩耗させることが少
なくなり、ドリル摩耗性を向上させることができるもの
である。このようにタルクを配合することによって、無
機充填剤として配合するEガラス粉の量を低減すること
ができ、この点でもコストダウンが可能になるものであ
る。
【0028】タルクの樹脂組成物への配合量は、ビニル
エステル樹脂とラジカル重合性モノマーの合計量100
重量部に対し、5〜100重量部であることが好まし
い。タルクの配合量が5重量部未満であると、タルクを
用いることによるコストダウンの効果やドリル摩耗性の
向上の効果を十分に得ることができず、逆に100重量
部を超えると、積層板の吸湿後耐熱性や層間密着性が低
下する傾向を生じるおそれがあり、好ましくない。また
タルクの粒径は特に限定されるものではないが、平均粒
径が1〜10μmのものが好ましい。
【0029】本発明に係る樹脂組成物には上記の各成分
の他に、ラジカル重合開始剤が配合してある。ラジカル
重合開始剤は後で理由を詳しく説明するように、内側に
積層する基材に含浸する積層板用樹脂組成物に配合する
ものは半減温度の低いものを、外側に積層する基材に含
浸する積層板用樹脂組成物に配合するものは半減温度の
高いものをそれぞれ用いるのが好ましい。
【0030】すなわち、内側に積層する基材に含浸する
積層板用樹脂組成物に配合する半減温度の低いラジカル
重合開始剤としては、半減温度が110〜140℃のジ
アルキルパーオキサイド類を用いるのが好ましい。この
ジアルキルパーオキサイド類としては、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−
3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミル
パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイ
ド、α,α′ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロ
ピルベンゼンなどを挙げることができる。
【0031】また外側に積層する基材に含浸する積層板
用樹脂組成物に配合する半減温度の高いラジカル重合開
始剤としては、半減温度が150〜170℃のハイドロ
パーオキサイド類を用いるのが好ましい。このハイドロ
パーオキサイド類としては、クメンハイドロパーオキサ
イド、1,1,3,3−テトラブチルメチルハイドロパ
ーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオ
キサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどを例
示することができる。
【0032】ラジカル重合開始剤の樹脂組成物への配合
量は、特に制限されるものではないが、ビニルエステル
樹脂とラジカル重合性モノマーと架橋アクリル樹脂粉末
の合計量100重量部に対し、0.3〜2.0重量部程
度の範囲に設定するのが好ましい。また本発明に係る積
層板用樹脂組成物には、特に限定されるものではない
が、上記の各成分の他にシラン系カップリング剤を配合
するのが好ましい。シラン系カップリング剤を添加する
と、本発明の積層板用樹脂組成物の保存時の増粘を抑制
する効果、すなわち保存安定性を向上させる効果を得る
ことができる。シラン系カップリング剤の種類について
は、特に制限はないが、例えば、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメ
チルジエトキシシラン等のエポキシシランやビニルトリ
メトキシシラン等のビニルシランあるいはγ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルメチルジメトキシシラン等のメタクリロキシ
シラン等が使用できる。そして、シラン系カップリング
剤の含有量はビニルエステル樹脂とラジカル重合性モノ
マーの合計量100重量部に対し、0.1〜5重量部で
あることが好ましい。0.1重量部より少ないと積層板
用樹脂組成物の保存時の増粘を抑制する効果が顕著でな
く、5重量部を超えて使用しても効果の増大はなく無駄
である。また、シラン系カップリング剤を添加する方法
については特に限定はなく、タルクあるいはガラス粉な
どの無機充填剤をシラン系カップリング剤で処理して使
用する方法や、樹脂組成物中にシラン系カップリング剤
を添加して混合するいわゆるインテグラルブレンドの方
法等により行えばよい。また無機充填剤と樹脂の濡れ性
をより向上させるために酸基を持ったコポリマーに代表
されるいわゆる湿潤剤を添加することも必要に応じて行
なえばよい。
【0033】さらに、本発明では、必要に応じてラジカ
ル開始剤、難燃剤、顔料、染料、離型剤等を積層板用樹
脂組成物に添加することができる。上記の各成分からな
る本発明の積層板用樹脂組成物は室温(約25℃)付近
の温度で液状であり、ガラス布等の基材に含浸して積層
板の製造に使用することができる。勿論本発明の積層板
用樹脂組成物を加温あるいは冷却して使用することは差
し支えない。また本発明の積層板用樹脂組成物は室温で
液状であるために多量の溶剤を用いる必要なく基材に含
浸させることができるものであり、しかも硬化反応時に
ガス成分を発生させることがなく、従って、高圧の加圧
を長時間行なうことができない連続工法での積層板の製
造に好適である。
【0034】以下、基材としてガラス不織布とガラス織
布を用い、ガラス不織布に樹脂組成物を含浸したもので
内層(コア層)を、ガラス織布に樹脂組成物を含浸した
もので外層をそれぞれ形成するようにした、ガラス不織
布とガラス織布を基材とするコンポジット積層板を連続
工法で製造する方法について説明する。図1は連続工法
に用いる連続製造装置の一例を示すものであり、ガラス
不織布1やガラス織布4は長尺のものをロール1a,4
aから巻き外して連続的に送り出すようにしてある。図
1の例では複数枚のガラス不織布1を平行に送り出すと
共に、その上下にそれぞれ1枚ずつガラス織布4を送り
出すようにしてある。そしてこのように連続して送り出
したガラス不織布1やガラス織布4に積層板用樹脂組成
物2を含浸させる。積層板用樹脂組成物2をガラス不織
布1やガラス織布4に含浸するにあたっては、例えば図
2のように含浸槽10内の積層板用樹脂組成物2の液中
に含浸ロール11によってガラス不織布1やガラス織布
4を通して浸漬することによっておこなうことができる
(尚、図1には図2の装置の図示を省略している)。
【0035】このように積層板用樹脂組成物2を含浸し
たガラス不織布1やガラス織布4をガイドローラー15
によってさらに連続して送り、上下一対のスクイズロー
ル16,16間に通すことによって、余分な積層板用樹
脂組成物2を絞りながら樹脂含浸ガラス不織布1と樹脂
含浸ガラス織布4を重ねる。さらにこの上下の両面ある
いは上下のいずれか片面に長尺に形成される銅箔等の金
属箔7を連続して送りつつ重ね、上下一対のラミネート
ロール17,17間に通してラミネートする。そしてこ
の樹脂含浸ガラス不織布1と樹脂含浸ガラス織布4と金
属箔7の積層物を連続して送りつつ加熱炉18に通し、
加熱炉18内で加熱することによってガラス不織布1や
ガラス不織布4に含浸した積層板用樹脂組成物2を硬化
させる。このように積層板用樹脂組成物2を硬化させる
ことによって積層物を積層一体化することができ、この
硬化積層物を物を所定寸法に切断することによって、積
層板Aを製造することができるものである。
【0036】このようにして、図3に示すような、ガラ
ス不織布1を基材とし積層板用樹脂組成物2を含浸した
ものを内層(コア層)3とすると共に、ガラス織布4を
基材とし積層板用樹脂組成物2を含浸したものを外層6
を外層とし、さらに外面に金属箔7を積層した積層板A
を得ることができるものである。この積層板Aは、金属
箔7にエッチング加工等を施して回路形成することによ
って、プリント配線板として使用することができるもの
である。
【0037】ここで、上記のようにして積層板Aを連続
工法で製造するにあたって、積層物を加熱炉18内で加
熱する際に、外層の樹脂含浸ガラス織布4と、内層の樹
脂含浸ガラス不織布1の間には板厚に起因する加熱温度
に差が発生し、ガラス織布4に含浸した積層板用樹脂組
成物2の硬化速度がガラス不織布1に含浸した積層板用
樹脂組成物2の間に硬化速度よりも速くなるというよう
に両者の硬化速度に差が生じるおそれがある。このよう
に外層と内層で積層板用樹脂組成物2の硬化速度に差が
あるまま硬化させると、硬化物の表面にユズ肌状の凹凸
を生じてしまい、積層板Aの外観を著しく損なうおそれ
がある。そこで本発明では既述のように、内側のガラス
不織布1に含浸する積層板用樹脂組成物2に半減温度が
低いラジカル重合開始剤、すなわち半減温度が110〜
140℃のジアルキルパーオキサイドを配合すると共
に、外側のガラス織布4に含浸する積層板用樹脂組成物
2に半減温度が高いラジカル重合開始剤、すなわち半減
温度が150〜170℃のハイドロパーオキサイドを配
合するようにし、外層を構成するガラス織布4に含浸し
た積層板用樹脂組成物2の硬化速度と、内層を構成する
ガラス不織布1に含浸した積層板用樹脂組成物2の間に
硬化速度の差が生じないようにし、外観が良好な積層板
Aを成形することができるようにしているのである。
【0038】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 (ビニルエステル樹脂Aの調製)四つ口フラスコにエポ
キシ樹脂215g、メタクリル酸47g、ハイドロキノ
ン0.03gを投入し、加熱してエポキシ樹脂を溶融さ
せ、これに架橋アクリル系樹脂粉末を表1及び表2の配
合量で添加すると共に反応触媒としてTTPを0.3g
添加し、200℃で3時間反応させることによって、架
橋アクリル系樹脂粉末が分散されたエポキシメタクリレ
ート樹脂(ビニルエステル樹脂A)を合成した。
【0039】(ビニルエステル樹脂Bの調製)反応触媒
としてTTPに代えてトリエチルアミンを0.05g投
入するようにした他は、上記と同様にしてエポキシメタ
クリレート樹脂(ビニルエステル樹脂B)を合成した。
そして上記のようにして合成したビニルエステル樹脂
A,Bに120℃に加熱したスチレンを表1及び表2の
配合で投入して攪拌し、次いで室温まで冷却してビニル
エステル樹脂液を得た。上記のように架橋アクリル系樹
脂粉末をビニルエステル樹脂の合成段階で添加するのは
均一な分散を達成するためであり、またスチレンを加熱
状態で投入するのは、ビニルエステル樹脂を容易にスチ
レンに溶解させるためである。次いでこのようにして得
られたビニルエステル樹脂液に表1及び表2の配合でア
クリル酸、タルク粉、Eガラス粉、カップリング剤、ラ
ジカル重合開始剤を添加し、ディスパーで攪拌してタル
ク粉及びEガラス粉を分散させることによって、実施例
1乃至8の積層板用樹脂組成物を得た。
【0040】また、架橋アクリル系樹脂粉末を配合しな
い他は上記の「ビニルエステル樹脂Aの調製」と同様に
してエポキシメタクリレート樹脂(ビニルエステル樹脂
A)を合成し、後は上記と同様にして表2の配合の比較
例1の積層板用樹脂組成物を得た。さらに、タルクを添
加しない他は上記と同様にして表2の配合の比較例2の
積層板用樹脂組成物を得た。
【0041】ここで、表1及び表2の配合資材として
は、次のものを用いた。 ・エポキシ樹脂…東都化成社製「YDB−400」;エ
ポキシ当量400 ・架橋アクリル系樹脂粉末a…武田薬品工業社製「スタ
フィロイドAC3355」;コア・シェルの2層構造、
平均粒径0.5μm ・架橋アクリル系樹脂粉末b…住友化学社製「スミペッ
クスMH−G」;単層構造、平均粒径0.7μm ・カップリング剤…東レ・ダウコーニング・シリコーン
社製「SH6040」;γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン ・タルク…竹原化学工業社製「ハイトロンA」;平均粒
径3μm ・ガラス粉…日本硝子繊維社製「マイクログラスサフェ
ーストランドREV−1」 ・ラジカル重合開始剤CHP…日本油脂社製「パークミ
ルH80」;クメンハイドロパーオキサイド80重量%
と炭化水素20重量%の混合物、半減温度158℃ ・ラジカル重合開始剤パークミルD…日本油脂社製「パ
ークミルD」;ジ−t−ブチルパーオキサイド、半減温
度116℃ ・ラジカル重合開始剤パーブチルD…日本油脂社製「パ
ーブチルC」;t−ブチルクミルパーオキサイド、半減
温度120℃ 上記のようにして得た積層板用樹脂組成物について配合
直後の粘度をB型粘度計を用い、30℃、12rpmの
条件で測定し、また室温で放置してゲル化するまでの日
数を測定した。結果を表1及び表2に示す。
【0042】次に、ガラス不織布として、秤量250g
/m2 、厚み0.38mmの長尺のオリベスト社製「ク
ラベストSAS−053Q」を用い、またガラス織布と
して、秤量210g/m2 、厚み0.2mmの長尺の旭
シュエーベル社製「P7628」を用い、図1のように
3枚のガラス不織布1を連続して送り出しながら、図2
のようにして上記の積層板用樹脂組成物を樹脂含有率6
0重量%になるように含浸し、さらに図1のようにこれ
らの上側と下側においてそれぞれ1枚ずつのガラス織布
4を連続して送り出しながら、図2のようにして積層板
用樹脂組成物を樹脂含有率50重量%になるように含浸
した。そしてこれらをスクイズロール16の間に連続し
て通すことによって重ね合わせた後に、さらにラミネー
トロール17の間に通してこれらの上面と下面にそれぞ
れ厚み18μmの長尺の銅箔7を連続して送りつつ重ね
た。この後に連続して送りながら、170℃の加熱炉1
8に20分間通すことによって、厚み1.6mmの銅張
り積層板を得た。
【0043】尚ここで、外層を構成するガラス織布に含
浸する積層板用樹脂組成物や、内層を構成するガラス不
織布に含浸する積層板用樹脂組成物には、ラジカル重合
開始剤として表1及び表2に示すものを用いた。上記の
ようにして得た銅張り積層板について、オーブン耐熱
性、層間密着強度、加熱処理後の反り、ガラス転移温度
(Tg)、ドリル摩耗率、耐アルカリ性、外観をそれぞ
れ測定乃至検査した。結果を表1及び表2に示す。尚、
各測定及び検査は次のようにして行なった。
【0044】〔オーブン耐熱性〕銅張り積層板を50×
50mmに切断して試料を作製し、これを予め温度設定
のなされた乾燥機中に吊るし、1時間経過後の表面状態
を目視で観察し、フクレ等が発生する温度を測定した。 〔層間密着強度〕銅張り積層板を10mm×100mm
に切断し、端面を十分に滑らかに仕上げて試料を作製し
た。この試料のガラス布織布基材の層とガラス不織布基
材の層との間の層間密着強度を測定した。なお、測定は
JIS C−6481の方法に準拠して行なった。
【0045】〔加熱処理後の反り〕銅張り積層板を25
0mm×250mmに切断し、エッチングにより銅箔を
全面除去して試料を作製し、この試料を170℃の恒温
槽中に吊り下げた状態で入れて30分間熱処理し、次に
これを取り出して室温まで冷却した後、試料の反り量を
測定した。反り量は試料をガラス平板上に平置きし、最
大持ち上がり量を加熱処理後のそり量として測定した。
【0046】〔Tg〕銅張り積層板の表面の銅箔をエッ
チングによって除去し、これをダイヤモンドカッターに
て約5×20mmに切断して試料を作製し、粘弾性スペ
クトロメーター(セイコー電子製「SDM5600
H」)により、試料の樹脂のガラス転移温度を測定し
た。
【0047】〔ドリル磨耗率〕250mm×250mm
に切断した銅張り積層板を3枚重ね、ドリル径:0.9
mmφ、ドリル回転数:6000rpm、送り速度:5
0μm/revの条件で4500ヒットまでドリル孔明
けを行い、ドリル孔明け前後のドリル刃の先端部の幅を
測定し、ドリル磨耗率(ドリル磨耗率=磨耗した幅×1
00/初期の幅)を算出した。
【0048】〔耐アルカリ性〕銅張り積層板の表面の銅
箔をエッチングによって除去した後、50×50mmの
大きさに切断し、端面を研磨して試料を作製して。そし
てこれを80℃の水酸化ナトリウム10%溶液に1時間
浸漬し、処理前後の重量減少率を求めることによって、
耐アルカリ性の指標とした。
【0049】〔外観〕銅張り積層板の銅箔表面を目視に
より観察して評価し、非常に良好なものを「◎」、やや
劣るが実用上問題のないレベルのものを「○」と判定し
た。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】表1及び表2において、実施例1は積層板
用樹脂組成物の基本的な組成であり、実施例2は実施例
1に対してアクリル酸量を変動した組成、実施例3は実
施例1に対してタルク量を変動した組成、実施例4は実
施例1に対して架橋アクリル系樹脂粉末の量を変動した
組成、実施例5は実施例1に対して架橋アクリル系樹脂
粉末の種類を変動した組成、実施例6はラジカル重合性
モノマー(スチレン及びアクリル酸)の量を変動した組
成、実施例7は実施例1に対してビニルエステル樹脂の
種類を変動した組成、実施例8は実施例1に対してラジ
カル重合開始剤の種類を変動した組成を示す。また比較
例1の積層板用樹脂組成物は架橋アクリル系樹脂粉末を
配合しない組成であり、比較例2の積層板用樹脂組成物
はタルクを配合しない組成であってその代わりにEガラ
スの量を増量してある。
【0053】そして表1及び表2にみられるように、実
施例のものはいずれも反りが小さく、ドリル摩耗性が良
好であるが、比較例1のものは加熱後の反りが大きく発
生し、比較例2のものはドリル摩耗が大きく発生するも
のであった。
【0054】
【発明の効果】上記のように本発明に係る積層板用樹脂
組成物は、ビニルエステル樹脂、ラジカル重合性モノマ
ー、架橋アクリル系樹脂粉末及びタルクを含有し、常温
で液体であることを特徴とするものであり、架橋アクリ
ル系樹脂粉末の配合によって積層板の反りを低減するこ
とができ、またタルクの配合によって積層板のドリル摩
耗性を高めることができると共に安価なタルクによって
コストを低減することができるものである。
【0055】また請求項2の発明は、ビニルエステル樹
脂はトリフェニルフォスフィンを触媒として合成された
ものであることを特徴とするものであり、トリフェニル
フォスフィンを触媒として用いることによって、ゲル化
が生じる危険性少なくビニルエステル樹脂を合成するこ
とができるものである。また請求項3の発明は、ラジカ
ル重合性モノマーとしてスチレンとアクリル酸を併用す
ることを特徴とするものであり、スチレンの配合によっ
て樹脂組成物を適度な粘度に調整することが容易にな
り、またアクリル酸の配合によって積層板の耐熱性を向
上させることができると共に樹脂と基材や金属箔との密
着性を向上させることができるものである。
【0056】また請求項4の発明は、ラジカル重合性モ
ノマーを、ビニルエステル樹脂、ラジカル重合性モノマ
ー、架橋アクリル系樹脂粉末の合計100重量部に対し
て、25〜50重量部含有することを特徴とするもので
あり、ラジカル重合性モノマーの量をこの範囲に設定す
ることによって、樹脂組成物の粘度を適正な範囲に調整
することができるものである。
【0057】また請求項5の発明は、アクリル酸を、ビ
ニルエステル樹脂、ラジカル重合性モノマー、架橋アク
リル系樹脂粉末の合計100重量部に対して、2〜8重
量部含有することを特徴とするものであり、積層板の耐
薬品性を低下させることなく耐熱性や密着性を向上させ
る効果を得ることができるものである。また請求項6の
発明は、架橋アクリル系樹脂粉末は平均粒径が1.0μ
m以下であることを特徴とするものであり、ガラス布基
材への樹脂組成物の含浸性を良好にして樹脂と基材との
密着性を高くすることができるものである。
【0058】また請求項7の発明は、架橋アクリル系樹
脂粉末はビニルエステル樹脂やラジカル重合性モノマー
に溶解しない外殻層を有する多層構造の粒子であること
を特徴とするものであり、架橋アクリル系樹脂粉末が溶
解して架橋アクリル系樹脂粉末の本来の特性が損なわれ
ることを防ぐことができるものである。また請求項8の
発明は、架橋アクリル系樹脂粉末を、ビニルエステル樹
脂とラジカル重合性モノマーの合計量100重量部に対
し、3〜15重量部含有することを特徴とするものであ
り、積層板の吸湿後耐熱性や層間密着性を低下させるこ
となく積層板の反りを小さくする効果を十分に得ること
ができるものである。
【0059】また請求項9の発明は、タルクを、ビニル
エステル樹脂とラジカル重合性モノマーの合計量100
重量部に対し、5〜100重量部含有することを特徴と
するものであり、積層板に吸湿後耐熱性や層間密着性の
低下を招くことなく、タルクを用いることによるコスト
ダウンの効果やドリル摩耗性の向上の効果を十分に得る
ことができるものである。
【0060】本発明に係る金属箔張り積層板の製造方法
は、上記の積層板用樹脂組成物を長尺のガラス織布に含
浸すると共に上記の積層板用樹脂組成物を長尺のガラス
不織布に含浸し、次にガラス織布とガラス不織布を連続
して送りながらガラス不織布の外側にガラス織布を重ね
ると共にさらにその外側の片面あるいは両面に長尺の金
属箔を重ね、この重ねたガラス織布とガラス不織布と金
属箔を連続して送りながら加熱して積層板用樹脂組成物
を硬化させることを特徴とするものであり、連続工法で
積層板を生産効率高く製造することができるものであ
る。
【0061】また請求項11,12の発明は、内側のガ
ラス不織布に含浸する積層板用樹脂組成物として半減温
度が低いラジカル重合開始剤、すなわち半減温度が11
0〜140℃のジアルキルパーオキサイドを配合したも
のを用いると共に、外側のガラス織布に含浸する積層板
用樹脂組成物として半減温度が高いラジカル重合開始
剤、すなわち半減温度が150〜170℃のハイドロパ
ーオキサイドを配合したものを用いることを特徴とする
ものであり、積層板を連続工法で製造するにあたって積
層板用樹脂組成物を加熱硬化させるに際し、外層と内層
との間に加熱温度に差が発生しても、外層を構成するガ
ラス織布に含浸した積層板用樹脂組成物の硬化速度と、
内層を構成するガラス不織布に含浸した積層板用樹脂組
成物の硬化速度との間に差が生じないようにすることが
でき、外観が良好な積層板を製造することができるもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の実施の形態の一例を示す概
略図である。
【図2】同上の工程の一部を示す概略図である。
【図3】同上によって製造される金属箔張り積層板の一
例を示す拡大した断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス不織布 2 積層板用樹脂組成物 3 内層 4 ガラス織布 6 外層 7 金属箔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柏原 圭子 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 辻本 雅哉 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 篠谷 賢一 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 須川 美久 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺の樹脂含浸基材を複数枚重ねて連続
    して送りながら加熱することによって積層板を連続的に
    製造するために、基材に含浸して使用される積層板用樹
    脂組成物であって、ビニルエステル樹脂、ラジカル重合
    性モノマー、架橋アクリル系樹脂粉末及びタルクを含有
    し、常温で液体であることを特徴とする積層板用樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 ビニルエステル樹脂はトリフェニルフォ
    スフィンを触媒として合成されたものであることを特徴
    とする請求項1に記載の積層板用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ラジカル重合性モノマーとしてスチレン
    とアクリル酸を併用することを特徴とする請求項1又は
    2に記載の積層板用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ラジカル重合性モノマーを、ビニルエス
    テル樹脂、ラジカル重合性モノマー、架橋アクリル系樹
    脂粉末の合計100重量部に対して、25〜50重量部
    含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに
    記載の積層板用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 アクリル酸を、ビニルエステル樹脂、ラ
    ジカル重合性モノマー、架橋アクリル系樹脂粉末の合計
    100重量部に対して、2〜8重量部含有することを特
    徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の積層板用樹
    脂組成物。
  6. 【請求項6】 架橋アクリル系樹脂粉末は平均粒径が
    1.0μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5
    のいずれかに記載の積層板用樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 架橋アクリル系樹脂粉末はビニルエステ
    ル樹脂やラジカル重合性モノマーに溶解しない外殻層を
    有する多層構造の粒子であることを特徴とする請求項1
    乃至6のいずれかに記載の積層板用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 架橋アクリル系樹脂粉末を、ビニルエス
    テル樹脂とラジカル重合性モノマーの合計量100重量
    部に対し、3〜15重量部含有することを特徴とする請
    求項1乃至7のいずれかに記載の積層板用樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 タルクを、ビニルエステル樹脂とラジカ
    ル重合性モノマーの合計量100重量部に対し、5〜1
    00重量部含有することを特徴とする請求項1乃至8の
    いずれかに記載の積層板用樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9のいずれかに記載の積
    層板用樹脂組成物を長尺のガラス織布に含浸すると共に
    請求項1乃至9のいずれかに記載の積層板用樹脂組成物
    を長尺のガラス不織布に含浸し、次にガラス織布とガラ
    ス不織布を連続して送りながらガラス不織布の外側にガ
    ラス織布を重ねると共にさらにその外側の片面あるいは
    両面に長尺の金属箔を重ね、この重ねたガラス織布とガ
    ラス不織布と金属箔を連続して送りながら加熱して積層
    板用樹脂組成物を硬化させることを特徴とする金属箔張
    り積層板の製造方法。
  11. 【請求項11】 内側のガラス不織布に含浸する積層板
    用樹脂組成物として半減温度が低いラジカル重合開始剤
    を配合したものを用いると共に、外側のガラス織布に含
    浸する積層板用樹脂組成物として半減温度が高いラジカ
    ル重合開始剤を配合したものを用いることを特徴とする
    請求項10に記載の金属箔張り積層板の製造方法。
  12. 【請求項12】 内側のガラス不織布に含浸する積層板
    用樹脂組成物として半減温度が110〜140℃のジア
    ルキルパーオキサイドを配合したものを用いると共に、
    外側のガラス織布に含浸する積層板用樹脂組成物として
    半減温度が150〜170℃のハイドロパーオキサイド
    を配合したものを用いることを特徴とする請求項10に
    記載の金属箔張り積層板の製造方法。
JP8196738A 1996-07-25 1996-07-25 積層板用樹脂組成物及び金属箔張り積層板の製造方法 Withdrawn JPH1036463A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006066894A (ja) * 2004-07-28 2006-03-09 Hitachi Chem Co Ltd 印刷回路板
US9480148B2 (en) 2011-02-21 2016-10-25 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Metal-clad laminate and printed wiring board

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JP2006066894A (ja) * 2004-07-28 2006-03-09 Hitachi Chem Co Ltd 印刷回路板
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