JPH1034278A - 揮発性有機化合物の放出を低減するための鋳物砂用添加剤及び金属の鋳造方法 - Google Patents

揮発性有機化合物の放出を低減するための鋳物砂用添加剤及び金属の鋳造方法

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JPH1034278A
JPH1034278A JP9105635A JP10563597A JPH1034278A JP H1034278 A JPH1034278 A JP H1034278A JP 9105635 A JP9105635 A JP 9105635A JP 10563597 A JP10563597 A JP 10563597A JP H1034278 A JPH1034278 A JP H1034278A
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Charles R Landis
アール. ランディス チャールズ
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳造工程の際に、揮発性有機化合物を吸収及
び/または吸着(収着)することができる鋳物砂用添加
剤を提供する。 【解決手段】 活性化カーボン及び/もしくは活性化グ
ラファイト、ならびに/または、カーボン及び/もしく
はグラファイトとフミン含有鉱石を含む、鋳物砂用添加
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳物砂用添加剤に
関する。さらに詳細には、金属の成形または鋳造のプロ
セスの際に揮発される揮発性有機化合物(VOC)を吸収
及び/または吸着することができる鋳物砂を供給するた
めの、活性化カーボン及び/もしくは活性化グラファイ
ト、ならびに/または、カーボン及び/もしくはグラフ
ァイトとフミン酸、フミン酸を含有する種々の鉱石、特
に褐炭(lignite)、レオナルダイト、及びRankによる
石炭の分類である、ASTM Designation D388-38で、
クラスIV、Ligniticとして分類されるクラスに対する規
定を満足させるあらゆる石炭よりなる群から選択される
物質を含む鋳物砂用添加剤、さらには、かかる添加剤を
配合した鋳物砂、ならびにこの鋳物砂を用いる鋳造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】通例の鋳物砂には、ケイ砂、オリビン
砂、ジルコン砂及び/またはクロマイト砂が含まれてい
る。ケイ砂は、鋳物産業において使用される砂のおよそ
90%に相当する。その他の3つの砂は、温度に対してよ
り安定ではあるものの高価であり、ジルコンが最も温度
に対して安定で且つ最も高価である。
【0003】砂型は、鋳物の外側を形成するものであ
る。コアは鋳物の内側を形成するために型の内側に配置
される砂の型物である。コアが使用されない場合、鋳物
は中実の金属となるはずであり、そして多くの鋳物は中
実でなく、内側に溝(channel)または形態(configura
tion)などを有する。
【0004】型は、以下の2種のうちの1つである: (1)「生」型は、所望の外形(頂部の半分すなわちコ
ープ(上型)と底部の半分すなわち下型とは、てれんこ
型に連結され、完全な型の空洞を形成する)を形成すべ
くパターンに対して打ち固められた、ベントナイト(粘
土)/水が結着された砂の混合物である。この砂は、成
形された形状を保つような、強靱で柔軟な混合物であ
る。溶融された金属は、型の空洞に流し込まれ、ここで
固化してその結果得られる鋳物が形成される。
【0005】(2)「剛性(rigid)」型は、パターン
に対して成形し、次いで硬質状態にまで固化することが
できる砂の混合物である。固化の方法は、使用されるバ
インダーの種類に依存する。ベントナイト粘土が結着さ
れた型は、風乾または焼成によって固化することができ
るが、剛性型は通常、有機性樹脂に結着されて、より強
くそしてより硬質の状態にまで固化される。バインダー
は、様々な方法によって固化されるように設計される。
あるものは焼成され、あるものは試薬との化学反応によ
り硬化または固化され、そしてあるものは活性ガスを流
すことによって固化される。
【0006】コアは通常、剛性型について前記したと同
じ種類のバインダー及び方法を用いた、剛性型物であ
る。
【0007】暑い日に舗道にバックルが形成されると同
様に、砂型またはコアは、鋳造作業に際しての膨張に起
因してバックルを形成する可能性がある。型の壁に高温
での膨張に伴いバックルが形成されることによって、
「バックル」または「肌傷」として知られる鋳物表面の
欠陥が生じる。コアが膨張しすぎると、コアに亀裂やひ
びが入り、そして金属がその亀裂に入って、コアで型取
りした鋳物表面に、除去する必要のある不整な金属の鋳
ばりが形成される。明らかに、鋳造における砂の熱膨張
が小さいほど有益である。米国特許第2,830,342号及び
2,830,913号は、本明細書中に開示される添加剤と共に
有用に用いられる、優れた温度安定性を有するカーボン
砂に関するものである。
【0008】好適なバインダーと結着された比較的安価
なケイ砂グレインは、金属部品の鋳造において溶融金属
を受けるための型及びコア材料として広く使用されてい
る。オリビン砂は、ケイ砂よりも高価であるがケイ砂よ
りも良好な熱安定性を有しており、これによってより質
の高い鋳物金属部品が提供される。これら高品質のもの
とは、特に、消費者によって容認されうる表面仕上げを
行うために、鋳造後に必要な人力がより少ない、より欠
陥のない表面仕上げ性を有するものである。従って、オ
リビン砂は、特に非鉄の部品の鋳造において型及びコア
の表面に広く使用されており、米国の非鉄鋳造業の多く
でケイ砂に取って換わってきている。オリビン砂、ケイ
砂及びこれらの組合せもまた、本明細書中に開示された
添加剤と共に有用に用いられるものである。
【0009】アルミニウム、銅、青銅、真鍮、鉄及び他
の金属及び合金などの金属を鋳造するために、ケイ砂及
びオリビン砂が全面的に満足できる物理的性質を有して
いない場合に、球状または卵型のグレインの、カーボン
またはコークス粒子(石油流体コークスとして業者に知
られている)も鋳物砂として使用されている。現在のと
ころ、かかる流体コークスカーボン砂は、Arlington He
ights、イリノイ州に在するAMCOL International Corpo
rationにより、商標名CAST-RITE(登録商標)で販売さ
れており、そして鋳造業での使用にはケイ砂及びオリビ
ン砂よりも優れていることが立証されている。これらの
球状または卵型のグレインの流体コークスカーボン砂も
また、単独または他の型の鋳物砂と組み合わせて、本明
細書に開示された鋳物砂用添加剤と共に有用に用いられ
る。
【0010】米国特許第5,094,289号(引用することに
よりその内容を本明細書に組み入れる)に開示されたご
とき、焙焼されたカーボン砂は、アルミニウム及びマグ
ネシウムなどの低溶融温度金属のために主に設計され
た、低価格のカーボン砂である。704.4〜760℃(1300〜
1400華氏温度)にて焙焼することで、760℃(1400華氏
温度)にて注入されたアルミニウムに未処理の流体コー
クスが曝されると他の場合には放出されると考えられる
揮発物質のすべてが除去されるであろう。多孔性が排除
された、他の焙焼されたカーボン砂が、本発明の出願人
の米国特許第5,215,143号(引用することによりその内
容を本明細書に組み入れる)に記載されている。これら
の焙焼されたカーボン砂もまた、単独または他の型の鋳
物砂と組み合わせて、本明細書に開示された添加剤と共
に有用に使用されるものである。
【0011】以上記載した鋳物砂のすべて、及びこれら
の混合物が、本発明の添加剤と混和する材料として好適
である。
【0012】フミン酸は、褐炭、レオナルダイト、泥炭
及び堆肥などの様々な供給源に由来するものであるが、
フミン酸の好ましい供給源は、レオナルダイトである。
褐炭石炭堆積物に積層している鉱石堆積物中に通常見出
されるレオナルダイトは、褐炭よりも高い酸素含量を含
有している、高酸化型の褐炭である。レオナルダイト堆
積物の露頭表面に沿って、最も褐炭が酸化された領域が
位置している。鋳物砂型における褐炭またはレオナルダ
イトの使用を開示している先行技術特許は、米国特許第
3,832,191号である。
【0013】ノースダコタレオナルダイトは、「フミン
酸の本質的なる塩」としてU.S. Bureau of Minesにより
規定されている。このノースダコタレオナルダイトに由
来するフミン酸は、残存負電荷による陽イオン吸収のた
めの部位を残して酸化されている。この酸化構造は、概
して負に荷電しており、米国特許第5,034,045号の図2
に示され、この図中、酸化部位は星印により表されてい
る。
【0014】レオナルダイトの組成の化学的研究によっ
て、レオナルダイトは主として、フミン質及び非フミン
質の双方を含む有機物質の崩壊による産物である、腐植
土壌中に見出される酸ラジカルの混合塩で構成されてい
ることが明らかになっている。かかる酸ラジカルは、一
括して「フミン酸」と命名され、その個々の画分は、フ
ミン、フミン酸、ウルミン酸、フルボ酸と命名されてい
る。フミン酸の正確な構造は未だ知られていない。しか
しながら、フミン酸は低pHでは繊維の伸長した束の凝集
体を形成している分子の会合体であると考えられ、そし
て高pHでは、隙間によって貫通された開放性の可撓構造
であると考えられている。様々な大きさを有するこれら
の隙間は、適切な電荷の有機粒子または無機粒子をトラ
ップする。
【0015】レオナルダイトはその本来の状態において
は、主として不溶性のフミン酸カルシウム、鉄及びアル
ミニウム塩から構成されている。レオナルダイトのカル
シウム含量は高く、従って、カルシウムを除いて無機性
の不溶性カルシウム塩を形成する物質を用いた処理によ
ってフミン酸塩の水溶性が増大される。
【0016】すべてのフミン酸保有鉱石は、粘土、頁
岩、石膏、シリカ及び化石化した有機物質などの不活性
成分を含有している。しかしながら、鉱石中に存在する
不活性物質の量は最小にすることが望ましい。不活性成
分の百分率は、ノースダコタレオナルダイト堆積物露頭
から採掘された鉱石で最低であることが見出されてい
る。これらのフミン酸保有鉱石について、汚染物質はフ
ミン酸保有鉱石のおよそ15重量%にあたるのみであ
る。しかしながら、鉱石の残りの85重量%がすべてフ
ミン酸であるわけではない。フミン酸成分のいくらか
は、不可逆的に結晶化無機物と結合しており、そしてま
たフミン酸のいくらかは重合して、ウルミン酸及びフミ
ンのごときフミン酸の高分子量類似体などの不溶性分子
になっている。鉱石中に見出される汚染物質からのフミ
ン酸の遊離を促進するために、フミン酸保有鉱石に水酸
化アルカリに加えて過酸化水素の水溶液などの酸化剤を
添加することによって、不溶性及び/または無機構成成
分を含むフミン酸保有鉱石の不活性部分の分離が許容さ
れ、そしてそれらは活性な水溶性アルカリ金属フミン酸
塩から濾取することができる。
【0017】前記の通り、フミン酸は複合物質であっ
て、広範な分子量を有する様々な成分を含んでなる。フ
ミン質は一般に、それらの溶解性に従って定義され、フ
ルボ酸、フミン酸、ヒマトメラン酸、ウルミン酸及びフ
ミンを包含するものである。例えば、フルボ酸は、土壌
有機物質の画分であり、フミン酸のように希アルカリ中
で可溶であるが、フミン酸とは相違して鉱酸に可溶であ
る。フルボ酸はフミン酸よりも簡単な化学構造を有して
おり、フミン酸の前駆物質であると考えられている。本
発明の好ましい態様によれば、約3%から約5%のフルボ
酸を含有するフミン酸含有鉱石をアルカリ金属水酸化物
及び酸化剤を用いて処理して得られる水溶性のフミン酸
アルカリ金属塩が、本発明においてカーボン及び/また
はグラファイトと共に使用するために好ましい。中程度
の鎖長のフミン酸成分は、短鎖フミン酸及びフルボ酸成
分よりも緩徐にカーボン及びグラファイトによって吸収
される。米国特許第5,026,416号及び第5,034,045号に従
って得られた水溶性フミン酸は、イン・サイチュのカー
ボンまたはグラファイト活性化のために好ましい、これ
らの高分子量で不溶性のフミン酸性分を本質的に全く含
有していない。
【0018】粘土が結着した鋳物砂に、フミン酸の水溶
性塩を添加することは知られているところである。例え
ば、米国特許第3,445,251号を参照されたい。粘土が結
着した鋳物砂にフミン酸と高融点のアスファルト樹脂分
の水性エマルショとの混合液を添加することも知られて
いる。例えば、米国特許第3,023,113号を参照された
い。カナダ特許第843,443号には、顆粒または微粉物質
用の仮のバインダー、すなわち、その後の加熱操作によ
って全体的または部分的に破壊されうるバインダーとし
ての、フミン酸のアルカリ金属塩の使用が開示されてい
る。
【0019】鋳物砂型において使用する場合の経済性を
斟酌して、フミン酸は一般にその供給源の物質から抽出
されることはないであろう。フミン酸の最も豊富で一般
的な供給源は、褐炭またはレオナルダイトであり、これ
らは、米国、特にノースダコタ、テキサス、ニューメキ
シコ及びカリフォルニアの州を含めて世界中にわたって
分布している莫大な堆積物に存在している。しかして、
褐炭またはレオナルダイト、特に酸化褐炭または酸化レ
オナルダイトは、フミン酸の好ましい供給源である。
【0020】活性化カーボンは、空気などの気体から揮
発性の有機性汚染物質を収着するために広く使用されて
いる。活性化カーボンフィルターは、米国特許第3,941,
868号及び第4,035,157号に開示されるごとく、鋳物成形
プロセスを囲む封入物からのガスを濾取するために使用
されている。活性化カーボン及び活性化グラファイトは
しかしながら、活性化されていないカーボン及びグラフ
ァイトの価格に比較して相対的に高価であり、従って、
それらは鋳物成形砂の添加剤として使用されていない。
【0021】活性化カーボンは、石炭、レオナルダイト
などの炭素質の物質から酸化雰囲気中で熱活性化による
プロセスで形成される。この熱活性化のプロセスで、揮
発性熱分解産物の除去により及び炭素質の焼灼から、孔
の容量及び炭素粒子の表面積が大幅に増大される。
【0022】驚くべきことに、鋳物砂型用添加剤として
活性化カーボン及び/もしくは活性化グラファイトを鋳
物砂に配合することにより、ならびに/または、成形プ
ロセスの際にイン・サイチュで活性化カーボン及び/ま
たは活性化グラファイトを形成することができる(カー
ボンまたはグラファイトの酸化が溶融金属の鋳造の間に
イン・サイチュで起こる)添加剤として、活性化されて
いないかまたは不完全に活性化されたカーボン及び/も
しくはグラファイトとフミン酸含有鉱石を鋳物砂に配合
することにより、その活性化カーボン及び/または活性
化グラファイト(最初から添加されたものかまたはイン
・サイチュで形成されたもの)が、溶融金属によって鋳
物砂組成物から揮発される揮発性有機化合物(VOC)を
予期せざる程多量に吸着し、それによって、金属の鋳造
プロセスの際に形成される気体のVOC除去処理の必要性
がなくなるか、または低減される。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】このように、溶融金属
によって鋳物砂組成物から揮発される揮発性有機化合物
(VOC)を多量に吸着し、それによって金属の鋳造プロ
セスの際に形成される気体のVOC除去処理の必要性が除
去または低減されうる鋳物砂はこれまでに提案されてい
ない。本発明はかかる現状に鑑みてなされたものであ
り、以下の鋳物砂用添加剤、かかる添加剤を配合した鋳
物砂、かような鋳物砂を使用した鋳造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0024】好ましいフミン酸含有鉱石は、褐炭または
レオナルダイト、特に、引用することによって本明細書
にその内容を組み入れるものである本発明の出願人によ
る米国特許第5,034,045号及び5,026,045号に記載される
ごとき、酸化型褐炭及び/または酸化型レオナルダイト
である。活性化カーボン及び/または活性化グラファイ
トは、成形または鋳造のプロセスの際に揮発される揮発
性有機化合物(VOC)を吸収及び/または吸着する。か
かる活性化カーボン及び/または活性化グラファイト
は、鋳物砂にそのもの自体を添加することができる。別
の実施態様においては、活性化カーボン及び/もしくは
活性化グラファイト、ならびに/または、カーボン及び
/もしくはグラファイトとフミン酸含有鉱石とが配合さ
れ、ここで、カーボン及び/またはグラファイトとフミ
ン酸含有鉱石との組合せにより、232.2℃(450華氏温
度)を上回る温度、特に315.6℃(600華氏温度)から10
93.3℃((2000華氏温度)の範囲内の温度にて、イン・
サイチュで反応が起こってカーボン及び/またはグラフ
ァイトが活性化され、しかして成形プロセスの際に揮発
される揮発性有機化合物(VOC)が、イン・サイチュで
活性化されたその活性化カーボン/活性化グラファイト
によって、高価なガス処理のプロセスを必要とすること
なくより完全に収着(吸収または収着)され、しかして
鋳造におけるVOC放出に関する要求が満たされる。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる鋳物砂
及び鋳造方法における、前記の目的を達成するために鋭
意研究を重ねた結果成し遂げられたものであって、下記
の(1)〜(6)を特徴とする。
【0026】(1)鋳物砂用添加剤であって、活性化カ
ーボン、活性化グラファイト及びこれらの混合物よりな
る群から選択されるカーボン供給源を含む鋳物砂用添加
剤。
【0027】(2)鋳物砂用添加剤であって、フミン
酸、フミン酸の金属塩及びこれらの混合物よりなる群か
ら選択される化合物を含有する粉砕された鉱石;ならび
にカーボン、グラファイト及びこれらの混合物よりなる
群から選択されるカーボン供給源を、粉砕された鉱石/
カーボン供給源の重量比として5/95から95/5の量で含
む鋳物砂用添加剤。
【0028】(3)鋳物砂であって、その総乾燥重量に
基づき0.1〜20重量%の量の、前記(1)の鋳物砂用添
加剤、総乾燥重量に基づき70〜95重量%の量の、ケイ
砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂、カーボン
砂、流体コークス砂及びこれらの混合物よりなる群から
選択される砂、ならびに総乾燥重量に基づき1〜15重量
%の量の、鋳物砂用バインダーを含んでなる鋳物砂。
【0029】(4)鋳物砂であって、その総乾燥重量に
基づき0.1〜20重量%の量の、前記(2)の鋳物砂用添
加剤、総乾燥重量に基づき70〜95重量%の量の、ケイ
砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂、カーボン
砂、流体コークス砂及びこれらの混合物よりなる群から
選択される砂、ならびに総乾燥重量に基づき1〜15重量
%の量の、鋳物砂用バインダーを含んでなる鋳物砂。
【0030】(5)鋳物砂による有機ガスの吸収能を高
める方法であって、カーボン供給源と鉱石の割合が5/9
5から95/5である前記(3)または(4)の鋳物砂を23
2.2℃より高温にまで加熱する工程を含む方法。
【0031】(6)溶融金属を鋳造する方法において、
鋳造型から漏出する揮発性有機化合物の量が低減される
鋳造方法であって、所望の形状の鋳物砂型に前記(3)
または(4)の鋳物砂を形成し、そして前記鋳物砂型に
対して232.2℃から1260℃の温度にて溶融金属を鋳造す
る工程を含む方法。
【0032】すなわち、本発明は、1つの実施態様にお
いて、活性化カーボン及びまたは活性化グラファイトの
鋳物砂用添加剤、ならびにかかる活性化カーボン及び/
または活性化グラファイトを含有する鋳物砂に対する溶
融金属の鋳造方法に関する。別の実施態様において、鋳
物砂に活性化カーボン及び/もしくは活性化グラファイ
トを添加する代わりに、あるいは添加することに加え
て、活性化カーボン及び/もしくは活性化グラファイト
を形成するイン・サイチュ反応を可能とする反応性成分
が添加される。好ましくは、反応性成分はカーボン及び
/またはグラファイトとフミン酸含有鉱石であり、これ
らは金属成形または金属鋳造のプロセスに際してイン・
サイチュにて活性化カーボン及び/または活性化グラフ
ァイトを形成することができる。
【0033】本発明の第一の実施態様において、鋳物砂
用添加剤は、活性化カーボン及び/または活性化グラフ
ァイトを含んでなる。
【0034】本発明の第二の実施態様において、鋳物砂
用添加剤は、活性化されていないかまたは不完全に活性
化されたカーボン及び/もしくはグラファイトとフミン
鉱石(フミン酸含有及び/またはフミン酸塩含有鉱石、
以下、本明細書において別々にあるいはまとめて「フミ
ン含有鉱石」と称する)、ならびに/または、活性化カ
ーボン及び/もしくは活性化グラファイトを含んでな
る。232.2℃(450華氏温度)から1260℃(2300華氏温
度)までの温度、特に315.6℃(600華氏温度)から109
3.3℃(2000華氏温度)の範囲内の温度にて溶融金属と
接触させることにより鋳物砂が加熱されると、カーボン
及び/またはグラファイトとフミン含有鉱石との組み合
わせでイン・サイチュの反応が生じ、カーボン及び/も
しくはグラファイトが活性化されるか、または不完全に
活性化されたカーボン及び/もしくはグラファイトがさ
らに活性化される。活性化カーボン及び/または活性化
グラファイト添加剤は、単独あるいは、鋳造プロセスの
際のカーボン及び/またはグラファイトのイン・サイチ
ュの活性化のためのカーボン及び/またはグラファイト
とフミン酸含有鉱石またはフミン酸塩含有鉱石と共に、
型の中においてガス状の揮発性有機化合物(VOC)を吸
収及び/または吸着(収着)するので、VOCガスは活性
化カーボン及び/または活性化グラファイトに捕獲さ
れ、しかしてVOC放出が低減される。
【0035】従って、本発明の一つの特徴は、鋳物砂に
添加される前に所望のレベルにまで活性化された、活性
化カーボン;活性化グラファイト;及びこれらの混合物
よりなる群から選択されるカーボン供給源を含む鋳物砂
用添加剤を提供することにある。かかる活性化カーボン
及び/または活性化グラファイトは、鋳物砂組成物の総
乾燥重量に基づき、合わせて0.1から20重量%の量で鋳
物砂に添加される。
【0036】本発明の別の特徴は、成形プロセスの際に
活性化カーボン及び/もしくは活性化グラファイトをイ
ン・サイチュで形成することができる成分、ならびに/
または、活性化カーボン及び/または活性化グラファイ
トを含んでなる鋳物砂用添加剤を提供することにある。
前記活性化カーボン及び/もしくは活性化グラファイト
をイン・サイチュで形成することができる成分とは、フ
ミン酸、フミン酸の金属塩、及びこれらの混合物よりな
る群から選択される化合物(すなわち、フミン鉱石)を
含有する粉砕された鉱石;ならびに活性化されていない
かまたは不完全に活性化されたカーボン、グラファイ
ト、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるカー
ボン供給源である。ここでフミン鉱石の量は、好ましく
は、その酸化の程度に応じて、鋳物砂に添加されたカー
ボンまたはグラファイトを完全に活性化することができ
るような割合で添加される。
【0037】本発明の他の特徴は、鋳物砂用添加剤組成
物、及び溶融金属鋳造方法を提供することにあり、鋳物
砂から放出されたガス状の有機化合物(金属鋳造プロセ
スの際に揮発するベンゼンなど)を吸収するために、活
性化カーボン及び/もしくは活性化グラファイト、なら
びに/または、イン・サイチュで活性化したカーボン及
び/もしくはグラファイトが提供される。
【0038】本発明の他の特徴は、鋳物砂組成物を提供
することにあり、かかる鋳物砂組成物は、その総乾燥重
量に基づき、1重量%から15重量%の量の、ナトリウム
ベントナイト粘土などの鋳物砂用バインダー;鋳物砂組
成物の総乾燥重量に基づき、0.1重量%から20重量%の
量の、活性化カーボン及び/または活性化グラファイト
を含むものである。
【0039】さらに、本発明によって、鋳物砂組成物の
総乾燥重量に基づき0.1重量%から10重量%、好ましく
は0.1重量%から2重量%の量の、酸化褐炭(例えば、本
出願人が販売するところのFlocarb(登録商標))など
の粉砕されたフミン酸含有鉱石と共に、鉱石/カーボン
供給源が5/95から95/5の重量比にて、0.1重量%から1
0重量%、好ましくは0.1重量%から2重量%の量で、カ
ーボン供給源、すなわち、カーボン、グラファイトもし
くはこれらの組合せ、ならびに/または、活性化カーボ
ン及び/もしくは活性化グラファイトを含む鋳物砂組成
物が提供される。本発明の前記及び他の特徴及び利点
は、以下の本発明の実施態様の詳細な説明及び添付の図
面からさらに明らかになるであろう。
【0040】
【発明の実施の形態】本発明は、活性化カーボン及び/
または活性化グラファイトを含む鋳物砂用添加剤に関す
る。
【0041】1つの実施態様において、添加剤(または
その一部分)は、ナトリウムベントナイト粘土バインダ
ーなどの一般に使用される他の種々の鋳物砂用添加剤と
も併用される、フミン酸含有鉱石とカーボン供給源の組
合せである。かかるカーボン供給源として、活性化カー
ボン、活性化グラファイト及びこれらの混合物よりなる
群から選択される。ここで、フミン酸含有鉱石は、鋳物
砂に添加されるに好適なサイズを有するよう粉砕された
ものである。
【0042】この鋳物砂用添加剤として、10〜90重量%
の前記粉砕された鉱石及び10〜90重量%の前記カーボン
供給源を含むことが好ましく、さらに好ましくは、35〜
85重量%の前記粉砕された鉱石及び15〜65重量%の前記
カーボン供給源、最も好ましくは、50〜80重量%の前記
粉砕された鉱石及び20〜50重量%の前記カーボン供給源
を含むものである。
【0043】前記鉱石は、酸化鉱石であることが好まし
く、特に酸化褐炭、酸化レオナルダイト及びこれらの混
合物よりなる群から選択される鉱石が好ましい。
【0044】鋼の鋳造のために使用される生型は、ケイ
砂、粘土バインダー、及び/または軟化カーボン(調
質)水と共に混練される有機結合剤より構成される。他
の有用な鋳物砂には、クロマイト砂、ジルコン砂及びオ
リビン砂が包含される。
【0045】鋳物砂と混合される1以上のバインダー
は、所定の型の形状に砂を維持するために必須である。
最も一般的に使用される生砂用バインダーの一つは、水
に膨潤可能なナトリウムベントナイト粘土または低膨潤
性のカルシウムベントナイト粘土などの粘土である。
【0046】砂と共に使用される粘土バインダーの量
は、通常混合物中に用いられる砂の特定の型、及び焼成
の温度に依存して変動する。
【0047】ケイ砂の粒子は、加熱に伴って膨張する。
粒子が近接しすぎている場合、型砂が動いて膨張し、
「バックル」(過剰な砂の膨張に起因する、鋳造時に生
ずる奇形)、「ラットテイル」(鋳物の表面に出現す
る、凸凹の不規則な窪みまたは軽いバックル)、ならび
に「肌きず」(熱い金属が型に入る際の鋳物砂の一部の
分離)などといった、欠陥を示す鋳物を生じせしめる。
このような損傷を惹き起こす膨張を克服するために、さ
らに砂の混合物に粘土が追加される。これは、粘土が焼
成に伴って収縮し、これによりケイ砂粒子の膨張を補う
ためである。
【0048】ケイ砂、オリビン砂、クロマイト砂、カー
ボン、及び/またはジルコン鋳物砂を結合すべく通常使
用されるいかようなバインダーも、型またはコア材料と
して所定のまたは所望の形状に砂を維持させることを可
能とするため、本明細書に開示される鋳物砂及び添加剤
と共に用いることができる。このようなバインダーは、
通常、鋳物砂組成物の総乾燥重量に基づき1重量%から1
5重量%の量にて配合されるが、この量を調整して、所
望の強度、硬度または他の望ましい物理的性質をもたら
してもよい。本発明の鋳物砂に使用することができるバ
インダーのいくつかには、ベントナイト、他の粘土、デ
ンプン、糖、穀物、コアオイル、ケイ酸ナトリウム、熱
可塑性及び熱硬化性樹脂、蒸気硬化性バインダー、化学
的硬化バインダー、熱硬化性バインダー、松ヤニ、樹
脂、セメント及び当該技術分野において公知の様々な物
質が包含される。
【0049】生型において、鋳造時に得られる寸法の再
現性は、収縮、型の中空部の寸法、型の硬度、鋳物砂の
安定性、鋳ワクの機械的アラインメント及び設定温度の
維持などの因子に起因するものである。ナトリウムベン
トナイトによって結着された鋳物砂は、調質水が添加さ
れ、そして砂の混合物中に混練された場合に、サザン
(カルシウム)ベントナイトによって結着された砂混合
物よりもガム状の感触を有するものである。ナトリウム
ベントナイト砂混合物は、同様に調製したカルシウムベ
ントナイトによって結着された鋳物砂またはフラー土に
よって結着された鋳物砂よりも「強靱」で「脆性が小さ
い」と言われている。また、カルシウムベントナイトを
膨潤性ナトリウムベントナイトに変換するために、炭酸
ナトリウムを用いてカルシウムベントナイトを処理する
こと(ペプタイジングとして知られている工程)も知ら
れている。
【0050】一般に、粘土または粘土混合物は、ケイ砂
中、鋳物砂の総乾燥重量に基づき、約2重量%から約15
重量%(乾燥重量)を上限とする量、通例は、砂の総量
の乾燥重量に基づき約3重量%から約10重量%が使用さ
れる。鋳物業界において、鋳物砂混合物に粘土バインダ
ーを添加するほどに、より多くの水も必要であることが
知られている。従って、時により鋳物砂混合物中の粘土
バインダーの使用量を少なくして、添加される調質水の
量を低減することによって、鋳物砂混合物が粘土バイン
ダー及び水を高い配合率で用いた場合と同等の強度にな
る場合がある。
【0051】鋳物砂用の他の一般的な添加剤には、砂の
膨張に起因する損傷、特に平らな鋳物表面に生じる損傷
を克服することを目的として、鋳物砂の乾燥重量に基づ
き、約0.5重量%から約5重量%の量で用いられる、セル
ロース、穀物または、他の繊維質の添加剤が包含され
る。典型的なセルロース添加剤には、木粉や、ライ麦
粉、小麦粉、トウモロコシ粉、オート麦外皮、米外皮、
アルファルファ微細繊維、穀粒のもみがら、亜麻仁の圧
縮物、トウモロコシ穂軸の粉、微粉状堅果外皮、油抽出
後の粉砕した綿実パルプなどの穀物が包含される。
【0052】セメント、例えば、ポルトランドセメン
ト;加熱して粉砕した石灰岩などの天然セメント;樹脂
等を、鋳物砂の乾燥重量に基づき、約3重量%から6重量
%の量で、本発明に従って鋳物砂バインダーに加えるこ
ともできる。
【0053】金属の侵入または焼灼を防ぐためにカーボ
ンまたはグラファイトと共に、またはこれらの一部代替
物として使用することができる、ピッチ;木炭;瀝青
炭;もしくは微紛状瀝青炭などの軟炭;硬炭;及びコー
クスなどの、様々な黒色塗料または他の炭素質材料;樹
脂バインダーなどの化学剤;陶磁器用粘土;亜麻仁油な
どの油等の、他の様々な添加剤を鋳物砂に包含させても
よい。これらの付加的な添加剤は、鋳物砂の乾燥重量に
基づき約10重量%未満の量で通常配合され、概して乾燥
重量で0%から約10重量%の量にて用いられる。
【0054】本発明の一実施態様による鋳物砂型及び/
もしくは鋳物砂コアに使用される、フミン酸含有鉱石ま
たはフミン酸塩含有鉱石とカーボンまたはグラファイト
とを含む鋳物砂用添加剤は、金属の鋳造時に生じる表面
の損傷を回避すべく、好ましくは約1000μm(16メッシ
ュ)未満、より好ましくは約105μm(150メッシュ)未
満、そして最も好ましくは約74μm(200メッシュ)未満
の粒子サイズを有する粉体または顆粒とすることができ
る。
【0055】本発明の一実施態様による鋳物砂に添加さ
れるフミン酸含有鉱石の量は、添加剤を含む鋳物砂の乾
燥重量に基づき、0.1重量%から10重量%、好ましくは
0.1重量%から2重量%、より好ましくは0.25重量%から
0.5重量%である。カーボン及び/またはグラファイト
(カーボン供給源)の量に対してのフミン酸含有鉱石ま
たはフミン酸塩含有鉱石の割合は、鉱石の酸化能に依存
して変化してもよいが、前記鋳物砂用添加剤中のカーボ
ン供給源は、好ましくは鋳物砂の総乾燥重量に基づき0.
1〜10重量%の量である。
【0056】フミン鉱石ならびにカーボン及び/または
グラファイトが、イン・サイチュのカーボン及び/また
はグラファイトの活性化のために鋳物砂に添加される場
合、鉱石の量はその酸化能に依存して変化する。本出願
人による米国特許第5,034,045号及び5,026,416号に記載
される高度に酸化されたレオナルダイトは、フミン酸含
有鉱石とカーボン及び/またはグラファイトを合わせた
総重量に基づき、約5重量%から約20重量%の量を含有
させられるが、鉱石とカーボン及び/またはグラファイ
トを合わせた総重量に基づき約95重量%の上限値まで含
有させてもよい。
【0057】褐炭及び石炭などの、酸化の程度がさらに
低いフミン酸含有鉱石またはフミン酸塩含有鉱石は、一
般に鉱石とカーボン及び/またはグラファイトを合わせ
た総重量に基づき、約10重量%から約90重量%、好まし
くは約35重量%から約85重量%、より好ましくは約50重
量%から約80重量%の量が必要である。ここで、カーボ
ン及び/またはグラファイトの酸化可能なカーボン供給
源の量は、鉱石とカーボン及び/またはグラファイトを
合わせた総重量に基づき、10〜90重量%、好ましくは15
〜65重量%、より好ましくは20〜50重量%である。
【0058】カーボン及び/またはグラファイトの表面
積を増大させるため、そして非活性化カーボン及び/ま
たは非活性化グラファイトに比較して、カーボン及び/
またはグラファイトが、鋳物砂から放出された有機ガス
を少なくとも約10容量%増加、好ましくは少なくとも約
20容量%増加した量でイン・サイチュにて吸着するよう
にカーボン及び/またはグラファイトの能力を高めるた
めに、カーボン及び/またはグラファイトを活性化すべ
く、添加されたカーボン及び/またはグラファイトのイ
ン・サイチュの酸化を成し遂げることを目的として、フ
ミン酸含有またはフミン酸塩含有鉱石は、少なくとも約
5重量%の水(標準の湿度環境に保存されることによっ
て鉱石に含まれる含水量)を含有すべきである。あるい
は、鋳物砂に充分な水を別途添加して、鉱石の重量に基
づき少なくとも5重量%の水を供給すべきである。
【0059】かかる鋳物砂において、前記酸化可能なカ
ーボン供給源は、溶融金属の鋳造によって前記鋳物砂に
対して232.2℃(450華氏温度)から1260℃(2300華氏温
度)、好ましくは315.6℃(600華氏温度)から1093.3℃
(2000度華氏温度)の温度に加熱されることによって活
性化されるとよい。
【0060】カーボン及び/またはグラファイトと粉砕
されたフミン鉱石とを含むかまたは含まない、活性化カ
ーボン及び/または活性化グラファイトを添加すること
で、図1に示すごとくに、一般的に使用される微紛状瀝
青炭混合物に比較して約20重量%から約90重量%まで、
鋳物砂型から放出される揮発性有機化合物(例えば、ベ
ンゼン)の量が低減されるであろう。
【0061】さらに、本発明の、鋳物砂による有機ガス
の吸収能を高める方法において、有機ガスは好ましくは
ベンゼンを含むものである。
【0062】また、かかる方法において、鋳物砂の混合
物が、232.2℃(450華氏温度)から1260℃(2300華氏温
度)、好ましくは260℃(500華氏温度)から1093.3℃
(2000度華氏温度)、より好ましくは315.6℃(600華氏
温度)から1093.3℃(2000度華氏温度)の温度の溶融金
属と鋳物砂とを接触させることにより加熱される。
【0063】
【実施例】以下、本発明をさらに詳細に説明するために
行った実施例を記載するが、本発明はもとよりこれら実
施例に限定されるものではない。
【0064】図1〜9のグラフにおいて、(Flocarb
(登録商標、酸化褐炭及び/またはレオナルダイト)10
0%)を、通常の鋳物砂用添加剤である微粉状瀝青炭(S
eacoal、100%)について揮発性有機化合物(VOC)の放
出を比較するため、様々な温度で調べた以下の熱分解実
験を行った。
【0065】図1は、それぞれの測定日において、各添
加剤(微粉状瀝青炭、FlocarbまたはFlocarb/Sonopero
x(登録商標、炭化水素の酸化工程で蓄積する産物))
を含む鋳物砂中の揮発性有機化合物の量を、982.2℃(1
800華氏温度)の溶融金属と接触した場合において測定
した結果を示す。Flocarbを含む鋳物砂は、揮発性有機
化合物の放出量が低いことが明らかである。
【0066】図2に示すように、Flocarbは、260℃(50
0華氏温度)から1093.3℃(2000華氏温度)の一般的な
溶融金属鋳造温度にわたって、微粉状瀝青炭よりも約25
〜50%少ない量のベンゼンを漸増的に産生している。加
熱中に産生されるベンゼンのほとんどは、約510℃(950
華氏温度)を越える温度で産生されている。
【0067】図3において、Flocarbのベンゼンと一酸
化炭素(CO)含量の相関が示される。また、様々な金属
鋳造温度におけるFlocarb及び微粉状瀝青炭から産生さ
れるメタン(CH4)を示す図4から、Flocarbから遊離さ
れるメタン量が、およそ260℃(500華氏温度)から109
3.3℃(2000華氏温度)の一般的な溶融金属鋳造温度に
わたって微粉状瀝青炭よりも少ないことが示される。
【0068】また、Flocarbは、260℃(500華氏温度)
近傍にて大量の水を産生する。活性化カーボンの形成
は、カーボン表面を活性化する至当な型のガス(H2O
(水蒸気)、CO2)を必要とするのみならず、ガスが特
定の順序で産生されなければならない。活性化ガスの産
生は、機能を有する活性化カーボン物質をつくるため
に、被吸収揮発物質(ベンゼン等)の産生に先立って起
こらなければならない。Flocarb(酸化褐炭)におい
て、カーボン物質のための活性化ガスである、蒸気とな
ったH2O及びCO2の双方は、約260℃(500度華氏温度)に
て褐炭から放出され、そして約510℃(950華氏温度)を
越える温度にて生じる褐炭でのベンゼン産生、及び約62
1.1℃(1150華氏温度)を越える温度で生じる微粉状瀝
青炭におけるベンゼン産生の主たる段階に先駆けて、混
合されたグラファイト及び他の候補となるカーボンを変
化させる役割を演じる。このような順序でガス放出がな
されることは、燃焼プロセスの間にイン・サイチュで活
性化されるカーボンを発生させるための、酸化褐炭/レ
オナルダイトとグラファイト/カーボンからなる混合カ
ーボン産物の利点を示す、中心的な現象である。本発明
のカーボンまたはグラファイトのイン・サイチュの活性
化(酸化)をさらに迅速に行うための、約482.2℃(900
華氏温度)から約1093.3℃(2000華氏温度)の範囲の温
度内でFlocarbが二酸化炭素を遊離する実質的な能力
が、微粉状瀝青炭に比較して図5に示される。この結果
から、微粉状瀝青炭がフミンの供給源として使用される
場合には、微粉状瀝青炭とフミン供給源とを合わせた総
重量に基づき、例えば50%〜90%といった、より高い含
量の微粉状瀝青炭が必要となるであろうことが示唆され
る。
【0069】図6は、約676.7℃(1250華氏温度)から
約1093.3℃(2000華氏温度)の鋳物鋳造温度にて、Floc
arb(酸化褐炭)が一酸化炭素を遊離する能力が実質的
に増大することを、微粉状瀝青炭に比較して示す。
【0070】図7は、約260℃(500華氏温度)より、約
982.2℃(1800華氏温度)から1093.3℃(2000華氏温
度)の温度範囲にわたる、微粉状瀝青炭についてのガス
産生(CO、CO2及びCH4)のそれぞれの全容を示す。微粉
状瀝青炭における二酸化炭素の産生は、Flocarb(酸化
褐炭)におけるよりも有意性が低く、微粉状瀝青炭での
ベンゼン産生に先駆けて、その傾向が顕著であることに
留意されたい。
【0071】図9及び図10は、横軸にFlocarbの配合
率(残余がグラファイト、合計100%)を示し、グラフ
ァイトとFlocarb(酸化褐炭またはレオナルダイト、フ
ミン酸含有鉱石)を組み合わせた場合の、982.2℃(180
0華氏温度)におけるベンゼンの放出に関するデータを
示すグラフである。これらのデータは、この混合カーボ
ン系から放出されるガス及び分子の前記のごとき役割に
符合している。この場合、成分間になんらの相互作用も
ないことが推定される。実測値のデータから、ベンゼン
の放出量が低いことが明らかである(少なくとも50%の
Flocarbを含有する混合物については、少なくとも、予
測値より30%低い(表1))。これは、Flocarbが、イ
ン・サイチュでグラファイトを活性化し、しかして活性
化されたグラファイトがFlocarbから驚くべきほど大量
のベンゼンを吸着したことに起因する。
【0072】
【表1】
【0073】
【発明の効果】鋳造工程の際に、活性化カーボン及び/
もしくはグラファイトならびに/または、イン・サイチ
ュで活性化されたカーボン及び/もしくはグラファイト
は、型の中でガス状の揮発性有機化合物(VOC)を吸収
及び/または吸着(収着)するため、揮発性有機化合物
のガスはかような活性化カーボン及び/またはグラファ
イトに捕獲されるので、本発明によって揮発性有機化合
物の放出についての当該技術分野における要求を満たす
ことができるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般の微粉状瀝青炭添加剤またはFlocarb(登
録商標)を含む鋳物砂における、揮発性有機化合物の放
出を比較したグラフである。
【図2】Flocarbと微粉状瀝青炭について、温度を高め
た場合のベンゼンの産生を対数正規目盛りで示したグラ
フである。
【図3】Flocarbのベンゼンと一酸化炭素(CO)含量の
相関を示すグラフである。
【図4】様々な金属鋳造温度で、Flocarb及び微粉状瀝
青炭から産生されるメタン(CH4)を示すグラフであ
る。
【図5】様々な金属鋳造温度で、Flocarb及び微紛状瀝
青炭から産生される二酸化炭素(CO2)を示すグラフで
ある。
【図6】様々な金属鋳造温度で、Flocarb及び微紛状瀝
青炭から産生される一酸化炭素(CO)を示すグラフであ
る。
【図7】様々な金属鋳造温度で、Flocarbから産生され
る総 CO、CO2及びCH4を示すグラフである。
【図8】様々な金属鋳造温度で、微紛状瀝青炭から産生
される総 CO、CO2及びCH4を示すグラフである。
【図9】様々な酸化褐炭の配合率で、Flocarbとグラフ
ァイト(Flocarb(登録商標)II)鋳物砂用添加剤の組
合せについての予測されるベンゼン含量とその実測値と
を比較したグラフである。
【図10】様々な配合率のFlocarb(残余はグラファイ
ト)にて、Flocarbとグラファイト(Flocarb(登録商
標)の第二生成物(second generation))との組合せ
によって吸収されるベンゼンの割合を示すグラフであ
る。

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳物砂用添加剤であって、活性化カーボ
    ン、活性化グラファイト及びこれらの混合物よりなる群
    から選択されるカーボン供給源を含む鋳物砂用添加剤。
  2. 【請求項2】 鋳物砂用添加剤であって、フミン酸、フ
    ミン酸の金属塩及びこれらの混合物よりなる群から選択
    される化合物を含有する粉砕された鉱石;ならびにカー
    ボン、グラファイト及びこれらの混合物よりなる群から
    選択されるカーボン供給源を、粉砕された鉱石/カーボ
    ン供給源の重量比として5/95から95/5の量で含む鋳物
    砂用添加剤。
  3. 【請求項3】 前記カーボン供給源として、活性化カー
    ボン、活性化グラファイト及びこれらの混合物よりなる
    群から選択されるカーボン供給源をさらに含む請求項2
    記載の鋳物砂用添加剤。
  4. 【請求項4】 前記粉砕された鉱石を10〜90重量%、及
    び前記カーボン供給源を10〜90重量%含む請求項2また
    は3記載の鋳物砂用添加剤。
  5. 【請求項5】 前記粉砕された鉱石を35〜85重量%、及
    び前記カーボン供給源を15〜65重量%含む請求項4記載
    の鋳物砂用添加剤。
  6. 【請求項6】 前記粉砕された鉱石を50〜80重量%、及
    び前記カーボン供給源を20〜50重量%含む請求項5記載
    の鋳物砂用添加剤。
  7. 【請求項7】 前記鉱石が酸化鉱石である請求項2乃至
    6のいずれかに記載の鋳物砂用添加剤。
  8. 【請求項8】 前記酸化鉱石が、酸化褐炭、酸化レオナ
    ルダイト及びこれらの混合物よりなる群から選択される
    請求項7記載の鋳物砂用添加剤。
  9. 【請求項9】 鋳物砂であって、 該鋳物砂の総乾燥重量に基づき0.1〜20重量%の量の、
    請求項1記載の鋳物砂用添加剤、 該鋳物砂の総乾燥重量に基づき70〜95重量%の量の、ケ
    イ砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂、カーボ
    ン砂、流体コークス砂及びこれらの混合物よりなる群か
    ら選択される砂、ならびに該鋳物砂の総乾燥重量に基づ
    き1〜15重量%の量の、鋳物砂用バインダーを含んでな
    る鋳物砂。
  10. 【請求項10】 鋳物砂であって、 該鋳物砂の総乾燥重量に基づき0.1〜20重量%の量の、
    請求項2乃至8のいずれかに記載の鋳物砂用添加剤、 該鋳物砂の総乾燥重量に基づき70〜95重量%の量の、ケ
    イ砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂、カーボ
    ン砂、流体コークス砂及びこれらの混合物よりなる群か
    ら選択される砂、ならびに該鋳物砂の総乾燥重量に基づ
    き1〜15重量%の量の、鋳物砂用バインダーを含んでな
    る鋳物砂。
  11. 【請求項11】 前記鋳物砂の総乾燥重量に基づき0.1
    〜10重量%の量の粉砕された鉱石を該鋳物砂中に包み、
    且つ前記鋳物砂用添加剤中のカーボン供給源が、鋳物砂
    の総乾燥重量に基づき0.1〜10重量%の量の、カーボ
    ン、グラファイト及びこれらの混合物よりなる群から選
    択される酸化可能なカーボン供給源である請求項10記
    載の鋳物砂。
  12. 【請求項12】 前記酸化可能なカーボン供給源が、溶
    融金属の鋳造によって前記鋳物砂に対して232.2℃から1
    260℃の温度に加熱されるまで活性化されない請求項1
    1記載の鋳物砂。
  13. 【請求項13】 前記鋳物砂用添加剤が、10〜90重量%
    の粉砕された鉱石、及び10〜90重量%の酸化可能なカー
    ボン供給源を含む請求項11または12記載の鋳物砂。
  14. 【請求項14】 前記鋳物砂用添加剤が、35〜85重量%
    の粉砕された鉱石、及び15〜65重量%の酸化可能なカー
    ボン供給源を含む請求項13記載の鋳物砂。
  15. 【請求項15】 前記鋳物砂用添加剤が、50〜80重量%
    の粉砕された鉱石、及び20〜50重量%の酸化可能なカー
    ボン供給源を含む請求項14記載の鋳物砂。
  16. 【請求項16】 鋳物砂による有機ガスの吸収能を高め
    る方法であって、カーボン供給源と粉砕された鉱石の割
    合が5/95から95/5である請求項10または11記載の
    鋳物砂を、232.2℃より高温にまで加熱する工程を含む
    方法。
  17. 【請求項17】 有機ガスがベンゼンを含む請求項16
    記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記鋳物砂用添加剤が、10〜90重量%
    の粉砕された鉱石、及び10〜90重量%のカーボン供給源
    を含む請求項16または17記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記鋳物砂用添加剤が、35〜85重量%
    の粉砕された鉱石、及び15〜65重量%のカーボン供給源
    を含む請求項18記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記鋳物砂用添加剤が、50〜80重量%
    の粉砕された鉱石、及び20〜50重量%のカーボン供給源
    を含む請求項19記載の方法。
  21. 【請求項21】 232.2℃から1260℃の温度の溶融金属
    と鋳物砂とを接触させることにより、鋳物砂の混合物が
    加熱される請求項16乃至20のいずれかに記載の方
    法。
  22. 【請求項22】 260℃から1093.3℃の温度の溶融金属
    と鋳物砂とを接触させることにより、鋳物砂の混合物が
    加熱される請求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】 315.6℃から1093.3℃の温度の溶融金
    属と鋳物砂とを接触させることにより、鋳物砂の混合物
    が加熱される請求項22記載の方法。
  24. 【請求項24】 溶融金属を鋳造する方法において、鋳
    造型から漏出する揮発性有機化合物の量が低減される鋳
    造方法であって、 所望の形状の鋳物砂型に請求項9乃至15のいずれかに
    記載の鋳物砂を形成し、そして前記鋳物砂型に対して23
    2.2℃から1260℃の温度にて溶融金属を鋳造する工程を
    含む方法。
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