JPH10340735A - 固体電解質型燃料電池 - Google Patents

固体電解質型燃料電池

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JPH10340735A
JPH10340735A JP9148168A JP14816897A JPH10340735A JP H10340735 A JPH10340735 A JP H10340735A JP 9148168 A JP9148168 A JP 9148168A JP 14816897 A JP14816897 A JP 14816897A JP H10340735 A JPH10340735 A JP H10340735A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部マニホールドを有するセルスタックを構
成する板状体にクラックや割れが発生してガスリークす
ることを防ぎ、発電特性及び耐久性に優れた固体電解質
型燃料電池を提供する。 【解決手段】 固体電解質膜と空気極と燃料極とからな
る三層膜と、ガス流路を備えた一方の面が前記空気極ま
たは前記燃料極に付設されたセパレータとで構成される
セルと、該セルを収納し、かつ該セルにガスを供給排出
する内部マニホールドを形成する第1及び第2の板状体
とを備え、前記セルと前記第1及び第2の板状体の熱膨
張係数差をなくすために、前記第1及び第2の板状体は
金属または合金からなり、さらに前記セルと前記第2の
板状体が当接する部分に前記第2の板状体よりも熱膨張
係数の大きな金属または合金からなる部材を介在させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解質型燃料
電池に関する。
【0002】
【従来の技術】固体電解質型燃料電池は、固体電解質膜
の一方の面に空気極を形成し、他方の面に燃料極を形成
した三層膜と、空気極に入る空気(酸素)と燃料極に入
る燃料ガス(水素)が混じるのを防ぎ、三層膜と三層膜
を直列につなぐ電子伝導体の役目を果たすセパレータと
で、燃料電池の発電の最小単位であるセルを構成し、さ
らに、このセルを複数積み重ねてセルスタックを構成し
ている。
【0003】そして、このような固体電解質型燃料電池
は、製作の容易化を図りながら熱歪みによるセルの損傷
を防止するために、さなざまな対策が施されてきた。
【0004】例えば、特開平4−274173号公報に
は、その一例が示されている。すなわち、図1の燃料電
池のセルスタックの分解斜視図に示すように、固体電解
質膜(図示せず)の一方の面に空気極(図示せず)を形
成し、他方の面に燃料極(図示せず)を形成した三層膜
1と、ガス流路を備える一方の面が前記空気極または燃
料極に接して付設されるセパレータ2とで構成されるセ
ル3が第1の板状体に収納され、このセル3とほぼ同じ
厚さの第1の板状体4と、この第1の板状体4に対して
所定の相対位相で重ね合わされる第2の板状体5とを交
互に積み重ねたものが開示されている。
【0005】第1の板状体4は、セル3を収納する部分
と、そこに収納されるセル3にガスを供給し排出するマ
ニホールド部分6a,6bと、第2の板状体5に形成さ
れてセル3とセル3を離間させているセル間ガス流路部
7にガスを供給し排出するマニホールド部分6c,6d
を備えている。
【0006】また、第2の板状体5は、第1の板状体4
に対して所定の相対位相で重ね合わされ、セル間ガス流
路部7にガスを供給し排出するマニホールド部分6e,
6fと、第1の板状体4に収納されたセル3にガスを供
給し排出するマニホールド部分6g,6hを備えてい
る。これらマニホールド部分6aないし6h、セル内、
及びセル間におけるガスの流れをG1ないしG4の矢印
で示す。
【0007】セル間ガス流路部7には、ガス通気性を有
するとともにセル3の板厚方向の熱歪みを吸収する部材
(例えば、ニッケルフェルト等)を充填して、交互に重
ね合わせることがある。また、セルスタックにおいて、
ガスシールが必要な箇所、すなわち、板状体と板状体の
間、板状体とセルの間等はガラス系シール材で接合さ
れ、燃料電池の運転中はメルトシールが行われる。
【0008】このような構造は、板状体の板厚方向に積
み重ねられるセル3が、セル間ガス流路部7により互い
に離間するセルスタック構造であるため、これら離間部
分をもってセル3とセル3の熱歪みを吸収することがで
きる。したがって、従来のセルスタック構造で発生して
いた熱歪みによるセル3の損傷や、そのセル損傷に伴う
ガス流路からのガスリークが発生するという問題を防止
し得るものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来、
セルスタック及びマニホールドを構成する板状体には、
Caを添加した安定化ジルコニア(以下、CSZとい
う。)やイットリア安定化ジルコニア(以下、YSZと
いう。)などのセラミックを用いていたため、熱衝撃や
セル本体との熱膨張差により、前記板状体にクラックや
割れが生じ、そこからガスリークが発生して燃料電池の
特性が大きく低下し、また耐久度も低くなるという問題
があった。
【0010】そこで本発明の目的は、内部マニホールド
を有するセルスタックを構成する板状体にクラックや割
れが発生してガスリークすることを防ぎ、発電特性及び
耐久性に優れた固体電解質型燃料電池を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、固体電解質型
燃料電池において、固体電解質膜の一方の面に空気極が
形成され、他方の面に燃料極が形成された三層膜と、ガ
ス流路を備える一方の面が前記空気極または前記燃料極
に接して付設されるセパレータとで構成されるセルと、
該セルにガスを供給し排出する流路の内部マニホールド
を形成する第1及び第2の板状体とを備え、前記第1の
板状体は、前記セルを収納する部分と、収納されたセル
にガスを供給し排出する流路のマニホールド部分とを有
し、前記第1の板状体に対して所定の相対位相で重ね合
わせられる前記第2の板状体は、前記第1の板状体に収
納された前記セルにガスを供給し排出する流路のマニホ
ールド部分を有し、前記第1及び第2の板状体が交互に
積み重ねられてセルスタック及びガスの内部マニホール
ドを構成しており、前記第1及び第2の板状体は金属ま
たは合金からなり、前記セルの主面縁部が前記第2の板
状体の主平面と当接している当接部分に前記第2の板状
体よりも熱膨張係数の大きな金属または合金からなる部
材を介在させたことを特徴とする。
【0012】このように、本発明によれば、セルを収納
し、また、ガス流路のマニホールドを形成する板状体に
金属または合金を使用するため、板状体にクラックや割
れが生じることがなく、これにより板状体のクラックや
割れに起因するガスリークの発生を防ぐことができる。
また、セルの主面縁部が第2の板状体の主平面と当接し
ている部分に、第2板状体よりも熱膨張係数が大きい金
属または合金からなる部材を介在させているため、燃料
電池の運転時に高温に昇温したとき、その金属または合
金の部材が膨張してセルと第2の板状体との間のガスシ
ール機能を果たし、第2の板状体とセルの熱膨張の不整
合から生ずるガスリークを防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を実施例にも
とづき説明する。
【0014】(実施例)始めに、YSZからなる固体電
解質膜の一方の面に空気極を形成し、他方の面に燃料極
を形成して三層膜を作製した。前記空気極の材料には
(La,Sr)MnO3 等のペロブスカイト型酸化物が
用いられ、前記燃料極の材料にはNiとYSZを主成分
とするサーメット等が用いられる。
【0015】そして、LaCrO3 (ランタンクロマイ
ト)系セラミックからなるセパレータを、そのガス流路
を備える一方の面を前記三層膜の空気極側に接合してセ
ルを構成した。
【0016】次に、耐還元性のある合金として、ニッケ
ルクロム合金のインコネル601(インコ社商品名)か
らなる第1及び第2の板状体を準備し、前記セルを前記
第1の板状体の所定の部分に収納し、これら第1及び第
2の板状体を交互に積み重ねてセルスタックを形成し
た。
【0017】さらに、前記第2の板状体がセルの燃料極
と当接する部分に、部材として、板状体に用いたインコ
ネル601(インコ社商品名)よりも熱膨張係数の大き
なSUS310のステンレス鋼を介在させた。
【0018】図2は、このようにして得られたセルスタ
ックを、セパレータに形成されたガス流路に平行な面に
沿ってカットした断面図である。すなわち、1は三層
膜、2はLaCrO3 (ランタンクロマイト)系セラミ
ックからなるセパレータであり、両者を接合したセル3
が第1の板状体4に収納されている。そして、第2の板
状体5がセル3の三層膜1の燃料極(図示せず)と当接
しており、第2の板状体5のインコネル601(インコ
社商品名)よりも熱膨張係数の大きな合金であるSUS
310のステンレス鋼の部材8を介在させている。な
お、本実施例では、図2に示すセル3とセル3の間に位
置し、第2の板状体に形成されるセル間ガス流路7に
は、セル内を流れる空気に対し直角方向に燃料ガスが流
れるが、このセル間ガス流路7にはニッケルのフェルト
を充填してつないでいるので、インコネル601(イン
コ社商品名)からなる第1の板状体4及び第2の板状体
5、SUS310のステンレス鋼からなる部材8は相互
の電気的導通はなくともよい。なお、図2の矢印G1,
G2は、マニホールド内とセル内を流れるガスの方向を
示したもので、図1で示したガスの流れと対応してい
る。また、以下に述べる図3ないし図5においても、ガ
スの流れをG1ないしG4の矢印で示している。
【0019】図3は、図2のセルスタックを第1の板状
体4と第2の板状体5とのスタックに限ってみたもの
で、ニッケルクロム合金のインコネル601(インコ社
商品名)からなる第1の板状体4及び第2の板状体5,
マニホールド6aないし6h、三層膜3、SUS310
のステンレス綱からなる部材8の各位置関係を示した斜
視図である。
【0020】そして、第1の板状体4及び第2の板状体
5に合金のインコネル601(インコ社商品名)を用い
てセルスタックと内部マニホールドを構成した燃料電池
を運転した場合と、さらに第2の板状体5とセル3が当
接する部分に、前記インコネル601(インコ社商品
名)よりも熱膨張係数の大きなSUS310のステンレ
ス鋼からなる部材8を介在させた燃料電池を運転した場
合の開回路電圧をそれぞれ測定した。その結果を表1に
示す。
【0021】
【表1】
【0022】第1及び第2の板状体に合金のインコネル
601(インコ社商品名)を用いて積み重ね、セルスタ
ックと内部マニホールドを構成した場合は、第1及び第
2の板状体にセラミックを用いたときのような割れやク
ラックは発生しなかった。しかしながら、この場合に図
4のセルスタックの断面図に示すように、セル3と第2
の板状体5との熱膨張係数差により両者の間に間隙9が
でき、矢印L1ないしL4で示すガスリークが発生し
た。これは、セル3の熱膨張係数(10.5×10-6
K)に対し、第2の板状体5のインコネル601(イン
コ社商品名)の熱膨張係数(17×10-6/K)が大き
いために起こったものである。
【0023】一方、ガスリークの原因となる、セル3と
第2板状体5の熱膨張係数差を埋めるために、第2の板
状体5とセル3が当接する部分に第2の板状体よりも熱
膨張係数の大きなSUS310の部材8を介在させた場
合は、燃料電池の運転温度まで温度を上げると、前記部
材8は熱膨張係数(20.7×10-6/K)がインコネ
ル601(インコ社商品名)からなる第2の板状体5の
熱膨張係数(17×10-6/K)より大きいために膨張
する。よって、部材8を用いない場合にできた図4の間
隙9を、図5のセルスッタックの断面図に示すように、
部材8の膨張で埋めることができ、ガラス系シール材と
ともにガスシールが強固に行われるため、表1に示すよ
うに開回路電圧が本来の理想起電力とほぼ等しくなっ
た。
【0024】これに対して、第2の板状体5とセル3が
当接する部分に前記SUS310の部材8を介在させな
かった場合は、ガラス系シール材を使用していてもガス
リ−クが発生し、表1に示すように開回路電圧が低下し
た。
【0025】なお、セルにおけるセパレータと第2の板
状体が当接する部分は、セルの自重により間隙が埋めら
れ、三層膜と第2の板状体との当接部分に比べて、セラ
ミックと板状体の熱膨張の不整合の影響を受けにくい。
したがって、セパレータと第2の板状体の当接部分はガ
ラス系シール材とともにガスシールが行われ、ガスリー
クの発生はなかった。
【0026】本実施例では、第1及び第2の板状体を構
成するものとして、ニッケルクロム合金のインコネル6
01(インコ社商品名)を用い、また、セルと第2の板
状体が当接する部分にステンレス鋼のSUS310を用
いた部材を介在させたが、この他に、板状体にニッケル
クロム合金のインコネル625(インコ社商品名)(熱
膨張係数:15.6×10-6/K)を用い、セルと第2
の板状体が当接する部分にニッケルクロム合金のインコ
ロイ825(インコ社商品名)(熱膨張係数:17.3
×10-6/K)を用いた部材を介在させても、同様の効
果を得ることができる。
【0027】また、本実施例では、第2の板状体と当接
する三層膜の電極を燃料極としたが、これを空気極とす
る一方、ガス流路を備えたセパレータを燃料極側に付設
したセルのスタック構造として、マニホールド部からそ
れぞれ空気と燃料ガスを供給するようにしても、同様の
効果が得られる。
【0028】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、第1及
び第2の板状体に金属または合金を用いることにより、
セルを構成するセラミックとの熱膨張差による前記板状
体の割れやクラックが発生しなくなってガスリークが抑
えられ、安全に固体電解質型燃料電池を運転することが
できる。
【0029】また、セルと第2の板状体との熱膨張係数
差を、セルと第2の板状体が当接する部分に第2板状体
よりも熱膨張係数の大きな金属または合金からなる部材
を介在させて調整することにより、セルスタックのガス
シール性がよくなり、固体電解質型燃料電池の特性が向
上する。
【0030】また、ガスリークを防止できることによ
り、セルスタックの局所的な温度上昇を抑えられるの
で、固体電解質型燃料電池の耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 固体電解質型燃料電池のセルスタック構造を
示す分解斜視図である。
【図2】 本発明の固体電解質型燃料電池の室温におけ
る第2板状体とセルの間に部材を介在させた場合のセル
スタックの断面図である。
【図3】 本発明の固体電解質型燃料電池の室温におけ
る第2板状体とセルの間に部材を介在させた場合のセル
スタックの斜視図である。
【図4】 第2板状体とセルの間に部材を介在させない
場合の固体電解質型燃料電池の運転時のセルスタックの
断面図である。
【図5】 本発明の固体電解質型燃料電池の運転時の第
2板状体とセルの間に部材を介在させた場合のセルスタ
ックの断面図である。
【符号の説明】
1 三層膜 2 セパレータ 3 セル 4 第1の板状体 5 第2の板状体 6a,6b、6c,6d,6e,6f,6g,6h マ
ニホールド部分 7 セル間ガス流路 8 部材 9 間隙

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体電解質膜の一方の面に空気極が形成
    され、他方の面に燃料極が形成された三層膜と、ガス流
    路を備える一方の面が前記空気極または前記燃料極に接
    して付設されるセパレータとで構成されるセルと、 該セルにガスを供給し排出する流路の内部マニホールド
    を形成する第1及び第2の板状体とを備え、 前記第1の板状体は、前記セルを収納する部分と、収納
    されたセルにガスを供給し排出する流路のマニホールド
    部分とを有し、 前記第1の板状体に対して所定の相対位相で重ね合わせ
    られる前記第2の板状体は、前記第1の板状体に収納さ
    れた前記セルにガスを供給し排出する流路のマニホール
    ド部分を有し、 前記第1及び第2の板状体が交互に積み重ねられてセル
    スタック及びガスの内部マニホールドを構成しており、 前記第1及び第2の板状体は金属または合金からなり、 前記セルの主面縁部が前記第2の板状体の主平面と当接
    している当接部分に前記第2の板状体よりも熱膨張係数
    の大きな金属または合金からなる部材を介在させたこと
    を特徴とする固体電解質型燃料電池。
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JP2006049195A (ja) * 2004-08-06 2006-02-16 Nissan Motor Co Ltd 絶縁シール構造および燃料電池
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