JPH10339813A - 光学補償フィルム - Google Patents

光学補償フィルム

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JPH10339813A
JPH10339813A JP10098952A JP9895298A JPH10339813A JP H10339813 A JPH10339813 A JP H10339813A JP 10098952 A JP10098952 A JP 10098952A JP 9895298 A JP9895298 A JP 9895298A JP H10339813 A JPH10339813 A JP H10339813A
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liquid crystal
crystalline polymer
compensation film
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Takayuki Hirayama
隆之 平山
Masato Sone
正人 曽根
Akira Takagi
彰 高木
Yosuke Numao
洋介 沼尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高品質で製造が容易な光学補償フィルムを提
供する。 【解決手段】 一官能性の構造単位を有し、かつ光
学的に正の一軸性を示す末端修飾液晶性高分子、および
末端修飾液晶性高分子より、フェノール/1,
1,2,2−テトラクロロエタン(60/40(重量
比))混合溶媒中、濃度50g/dlおよび30℃で測
定した対数粘度(dl/g)が0.01以上高い対数粘
度を示すと共に、ガラス転移点が5℃以上高く、かつ光
学的に正の一軸性を示す液晶性高分子、から成る液晶性
高分子組成物から形成され、該液晶性高分子組成物が液
晶状態において形成したネマチックハイブリッド配向を
固定化せしめたものからなる光学補償フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ネマチックハイブ
リッド配向を固定化した光学補償フィルムおよび該フィ
ルムを備えたツイステッドネマチック型液晶表示装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】TFT素子あるいはMIM素子などを用
いたアクティブ駆動のツイステッドネマチック型液晶表
示装置(以下、TN−LCDと略称する)は、薄型、軽
量、低消費電力というLCD本来の特長に加えて、正面
から見た場合CRTに匹敵する画質を有するために、ノ
ートパソコン、携帯用テレビ、携帯用情報端末などの表
示装置として広く普及している。しかしながら、従来の
TN−LCDにおいては、液晶分子の持つ屈折率異方性
のため斜めから見たときに表示色が変化するあるいは表
示コントラストが低下するという視野角の問題が本質的
に避けられず、その改良が強く望まれており、改良のた
めの様々な試みがなされている。
【0003】一つの画素を分割してそれぞれの画素への
印可電圧を一定の比で変える方法(ハーフトーングレー
スケール法)、一つの画素を分割してそれぞれの画素で
の液晶分子の立ち上がり方向を変える方法(ドメイン分
割法)、液晶に横電界をかける方法(IPS法)、垂直
配向させた液晶を駆動する方法(VA液晶法)、あるい
はベンド配向セルと光学補償板を組み合わせる方法(O
CB法)などが提案され、開発・試作されている。
【0004】しかしながらこれらの方法は一定の効果は
あるものの、配向膜、電極、液晶配向などを変えなけれ
ばならず、そのための製造技術確立および製造設備の新
設が必要となり、結果として製造の困難さとコスト高を
招いている。
【0005】一方TN−LCDの構造は一切変えず、従
来のTN−LCDに光学補償フィルムを組み込むことで
視野角を拡大させる方法がある。この方法はTN−LC
D製造設備の改良・増設が不要でコスト的に優れてお
り、簡便に使用できる利点があるため注目されており多
くの提案がある。
【0006】ノーマリーホワイト(NW)モードのTN
−LCDに視野角問題が発生する原因は、電圧を印可し
た黒表示時のセル中の液晶の配向状態にある。この場合
液晶はほぼ垂直配向しており光学的に正の一軸性となっ
ている。したがって視野角を広げるための光学補償フィ
ルムとしては、液晶セルの黒表示時の正の一軸性を補償
するために、光学的に負の一軸性を示すフィルムを用い
る提案がなされている。またセル中の液晶が、黒表示時
においても配向膜界面付近ではセル界面と平行もしくは
傾いた配向をしていることに着目し、光学軸が傾いた負
の一軸性のフィルムを用いて補償することによって、さ
らに視野角拡大効果を高める方法も提案されている。
【0007】例えば特開平4−349424、6−25
0166号公報にはらせん軸が傾いたコレステリックフ
ィルムを用いた光学補償フィルムおよびそれを用いたL
CDが提案されている。しかしながららせん軸が傾いた
コレステリックフィルムを製造することは困難であり、
実際にも上記公報中にはらせん軸を傾けるための方法が
まったく記載されていない。
【0008】また特開平5−249547、6−331
979号公報には光軸が傾いた負の一軸性補償器を用い
たLCDが提案されており、具体的な実施態様としては
多層薄膜補償器を用いている。
【0009】さらに特開平7−146409、8−58
37号公報などにおいて光軸が傾いた負の一軸性補償フ
ィルムとしてディスコチック液晶を傾斜配向させた光学
補償フィルム及びそれを用いたLCDが提案されてい
る。しかしながらディスコチック液晶は光学構造が複雑
であり合成が煩雑である。また低分子液晶であるために
フィルム化する場合、光架橋などの複雑なプロセスを必
要とし、工業的製造に困難が伴い結果的にコスト高とな
る。
【0010】補償フィルムの他の形態としては正の一軸
性を有する液晶性高分子を用いた配向フィルムも提案さ
れている。例えば特開平7−140326号公報では、
ねじれチルト配向した液晶性高分子フィルムからなるL
CD用補償板が提案されており、LCDの視野角拡大に
用いられている。該液晶性高分子フィルムは、2官能性
のモノマー単位からなる液晶性高分子化合物(組成物)
を用いているが、工業的規模で製造されている2官能性
のモノマーの入手には制限があり、またチルト配向に加
えてねじれ配向を同時に導入することは工業的には容易
ではない。
【0011】また特開平7−198942、7−181
324号公報には、類似技術として、ネマチック液晶性
高分子を光軸が板面と交差するように配向させたフィル
ムからなる視角補償板及びそれを用いたLCDが提案さ
れている。しかしながら上記の場合も光軸を単純に傾斜
させた補償板を用いているため、視野角拡大効果が十分
とは言えないものであった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】これら上記各技術の課
題点に鑑み、本発明者らは次のような目標を設定した。 1.液晶化合物の原料の入手が容易であり、フィルムの
原料となる液晶化合物の製造およびフィルム自体の製造
が簡単な液晶性高分子を構成材料とする。 2.液晶性高分子からなる従来の光学補償フィルムの欠
点であった、性能をあげるためのねじれの導入などの煩
雑さを避け、かつ単純な傾斜配向フィルムでは得られな
い視野角拡大効果を実現する。 3.耐熱性、耐湿性など十分な商品化に値する信頼性を
持つ。 上記の中で特に達成困難であったのは3.の信頼性に関
わる課題であったが、本発明者らは鋭意検討を重ねた結
果遂に本発明を完成したものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の第1
は、実質的に 一官能性の構造単位を有し、かつ光
学的に正の一軸性を示す末端修飾液晶性高分子、および
末端修飾液晶性高分子より、フェノール/1,
1,2,2−テトラクロロエタン(60/40(重量
比))混合溶媒中、濃度0.5g/dlおよび30℃で
測定した対数粘度(dl/g)が0.01以上高い対数
粘度を示すと共に、ガラス転移点が5℃以上高く、かつ
光学的に正の一軸性を示す液晶性高分子、から成る液晶
性高分子組成物から形成され、該液晶組成物が液晶状態
において形成したネマチックハイブリッド配向を固定化
せしめたものであることを特徴とする光学補償フィルム
に関する。また本発明の第2は、の末端修飾液晶性高
分子が、ホメオトロピック配向性であることを特徴とす
る本発明第1記載の光学補償フィルムに関する。また本
発明の第3は、の液晶性高分子が、ホモジニアス配向
性またはホメオトロピック配向性であることを特徴とす
る本発明第1または第2記載の光学補償フィルムに関す
る。また本発明の第4は、末端修飾液晶性高分子を5〜
70重量%含有する液晶性組成物を用いることを特徴と
する本発明第1乃至第3記載の光学補償フィルムに関す
る。さらに本発明の第5は、電極を備えた一対の透明基
板とネマチック液晶とから構成される駆動用液晶セル
と、該基板の上下に配置された上側偏光板と下側偏光板
を少なくとも備えたツイステッドネマチック型液晶表示
装置であって、該基板と上側もしくは下側偏光板のうち
どちらか一方の間または該基板と上側および下側偏光板
のそれぞれの間に本発明第1乃至第4記載の光学補償フ
ィルムを少なくとも1枚備えたことを特徴とするツイス
テッドネマチック型液晶表示装置に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳し
く説明する。本発明の光学補償フィルムは、TN−LC
Dの視野角依存性を大幅に改良するものである。まず、
補償の対象となるTN−LCDについて説明する。TN
−LCDは駆動方式で分類すれば、単純マトリクス方
式、能動素子を電極として用いるTFT(Thin F
ilm Trasistor)電極、MIM(Meta
l Insulator Metal、あるいはTF
D;ThinFilm Diode)電極を用いるアク
ティブマトリクス方式等のように細分化できる。本発明
の補償フィルムはいずれの駆動方式に対しても効果を有
する。
【0015】尚、公知の技術であるハーフトーングレー
スケール方式(画素分割方式)、ドメイン分割方式は、
LCDの視野角拡大を液晶セル側から行おうという試み
である。このような視野角がある程度改善されたLCD
に対しても本発明の光学補償フィルムは、有効に作用し
更なる視野角拡大効果が可能となる。
【0016】本発明の光学補償フィルムは、ネマチック
ハイブリッド配向状態を固定化したものである。本発明
でいうネマチックハイブリッド配向とは、液晶性高分子
組成物がネマチック配向しており、このときの液晶性高
分子のダイレクターとフィルム平面のなす角がフィルム
上面と下面とで異なった配向形態を言う。したがって、
上面界面近傍と下面界面近傍とで該ダイレクターとフィ
ルム平面との成す角度が異なっていることから、該フィ
ルムの上面と下面との間では該角度が連続的に変化して
いるものといえる。
【0017】また本発明の光学補償フィルムは、ネマチ
ックハイブリッド配向状態を固定化したフィルムである
がため、液晶性高分子のダイレクターがフィルムの膜厚
方向のすべての場所において異なる角度を向いている。
したがって本発明の光学補償フィルムは、フィルムとい
う構造体として見た場合、もはや光軸は存在しない。
【0018】次いで本発明の液晶性高分子組成物につい
て説明する。本発明に用いる該組成物は、実質的に次の
二種類の光学的に正の一軸性を示す液晶性高分子から構
成される。 一官能性の構造単位を高分子鎖の片末端または両末端
に有し、かつ光学的に正の一軸性を示す末端修飾液晶性
高分子、好ましくは、該構造単位を有するホメオトロピ
ック配向性の末端修飾液晶性高分子 末端修飾液晶性高分子より、フェノール/1,1,
2,2−テトラクロロエタン(60/40(重量比))
混合溶媒中、濃度0.5g/dlおよび30℃で測定し
た対数粘度(dl/g)が0.01以上高い対数粘度を
示すと共に、ガラス転移点が5℃以上高く、かつ光学的
に正の一軸性を示す液晶性高分子 上記2種の高分子は、どちらも液晶相としてネマチック
相を持つことが望ましいが、混合し組成物とした上でネ
マチック相を持てば差し支えない。ただし該組成物は、
配向基板上において液晶転移点を越える温度では、ネマ
チックハイブリッド配向を形成し、該配向形態を損なう
ことなくガラス状態で固定化できるものであることが必
須である。
【0019】末端修飾液晶性高分子に用いられる一官能
性の構造単位について説明する。本発明でいう「一官能
性の構造単位」とは液晶性高分子である縮合重合体を形
成する際に用いる二官能性単量体がもつ官能基に相当す
る官能基を1個持つ単量体を該重合体の製造時(重合反
応中又は重合反応後)に共存させて該重合体分子中に組
み込まれた構造のことをいい、通常該重合体の両末端ま
たは片末端に組み込まれる。従って該重合体分子中に存
在する該一官能性の構造単位の数は通常1分子当たり1
〜2個である。
【0020】より具体的には1分子中に少なくとも1個
の炭素数3〜20の長鎖アルキル基または炭素数2〜2
0の長鎖フルオロアルキル基をもつモノアルコールもし
くはモノカルボン酸またはそれらのエステル形成性誘導
体を当該重合体の製造時に共存させて得られる構造をあ
げることができる。該構造単位の好ましい例を一般式で
表すと次のようになる。
【0021】
【化1】
【0022】上記一般式において、R1およびR2は同
一または異なっていても良い。R1およびR2は、炭素
数3〜20の長鎖アルキル基または炭素数2〜20の長
鎖フルオロアルキル基を表す。また上記式中においてX
は、水素、フッ素、塩素などのハロゲンなどである。ま
たiは、0または1である。またjは、0または1であ
る。さらにkは、0または1である。さらにaは0また
は1、bは0または1である。但し、a+b≠0であ
る。R1およびR2として具体的には、
【0023】
【化2】
【0024】などを好ましいものとして例示することが
できる。上記のモノアルコール、モノカルボン酸および
これらの機能性誘導体より形成される本発明の一官能性
の構造単位として、
【0025】
【化3】
【0026】などを好ましい該単位として例示すること
ができる。通常上記に例示した一官能性の構造単位から
選ばれる1種または2種によって高分子鎖の片末端また
は両末端を構成する。なお両末端に該構造単位を有する
際には、両末端の単位が同一である必要はない。
【0027】上記一官能性の構造単位は、本発明の光学
補償フィルムにとって重要である。補償フィルムにとっ
て、任意の光学パラメーターに設定することが重要とな
るが、本発明の補償フィルムでは該構造単位の種類、組
み合わせなどによってその光学パラメーターを所望の値
に設定することができる。この特性によって本補償フィ
ルムは、TN−LCDに対して従来にない優れた視野角
補償効果を発現するものである。
【0028】また本発明に用いられる末端修飾液晶性高
分子は、ホメオトロピック配向を示すことが重要であ
る。ホメオトロピック配向とは、ダイレクターが基板平
面に略垂直な配向状態をいう。このホメオトロピック配
向性の末端修飾液晶性高分子が、本発明のネマチックハ
イブリッド配向を実現するための必須成分である。
【0029】一般に液晶性高分子が、ホメオトロピック
配向性であるか否かの判定は、基板上に液晶性高分子層
を形成し、その配向状態を判定することで行う。この判
定に用いることのできる基板としては特に限定はない
が、例としてはガラス基板(具体的には、ソーダガラ
ス、カリガラス、ホウ珪酸ガラスあるいはクラウンガラ
ス、フリントガラスといった光学ガラスなど)、液晶性
高分子の液晶温度において耐熱性のあるプラスチックフ
ィルムまたはシート、例えばポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンオキサ
イド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイ
ミド、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテル
エーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテ
ルスルフォンなどから形成されるフィルムまたはシート
を挙げることができる。
【0030】上記に例示した基板は、酸、アルコール
類、洗剤などで表面を清浄にした後に用いる。さらに上
記の該配向性の判定は、シリコン処理、ラビング処理、
一軸延伸処理などの表面処理を施していない基板上にお
いて行わねばならない。
【0031】本発明に用いる末端修飾液晶性高分子は、
これら適当な表面処理を施していない基板上に10μm
〜1000μmの末端修飾液晶性高分子の膜を形成し、
該液晶性高分子が液晶状態を示す温度で熱処理したと
き、これら例示した基板の内少なくともどれか1種類の
基板上でホメオトロピック配向するものであることが望
ましい。ただし、液晶性高分子によっては液晶−等方相
転移点付近の温度で特異的にホメオトロピック配向する
ものがある。したがって通常、上記の如き熱処理操作
は、液晶−等方相転移点より15℃以下、好ましくは2
0℃以下の温度で行うことが望ましい。
【0032】末端修飾液晶性高分子についてさらに具体
的に説明する。本発明に用いることができる該末端修飾
液晶性高分子としては、上記の如き性質を有するもので
あれば特に制限されない。本発明に用いられる液晶性高
分子がホメオトロピック配向性を示すためには、上述に
て説明した一官能性の構造単位を有すること、および分
子量が適当なことが重要であり、詳細については以下に
説明する。
【0033】具体的な末端修飾液晶性高分子としては、
上述した一官能性の構造単位を有する例えばポリエステ
ル、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ
エステルイミド等の分子鎖の末端が修飾された主鎖型液
晶性高分子である。これらの中でも特に合成の容易さ、
フィルム化の容易さおよび得られたフィルムの物性の安
定性などから末端修飾液晶性ポリエステルが好ましい。
該液晶性ポリエステルの主鎖形成成分としては、ジカル
ボン酸単位、ジオール単位およびオキシカルボン酸単位
などの二官能性構造単位や該単位以外の多官能性の構造
単位など特に制限はない。しかしながら本発明の如く液
晶表示素子用光学補償フィルムとして用いる場合には、
該主鎖中にオルソ置換芳香族単位を構造単位として有す
る該液晶性ポリエステルがより好ましい。具体的には次
に示すようなカテコール単位、サリチル酸単位、フタル
酸単位、2,3−ナフタレンジオール単位、2,3−ナ
フタレンジカルボン酸単位およびこれらのベンゼン環に
置換基を有するものなどを挙げることができる。
【0034】
【化4】
【0035】(Yは水素、Cl、Brなどのハロゲン、
メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基またはフ
ェニル基を示す。またkは0〜2である。) 以下に本発明に用いられる末端修飾液晶性高分子の具体
的な構造例を示す。
【0036】
【化5】
【0037】m+n=k/2+1 k/l=80/60〜2/99、好ましくは 40/8
0〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0038】
【化6】
【0039】l=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは
40/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0040】
【化7】
【0041】o=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは
40/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは 15/1
0〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0042】
【化8】
【0043】o=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは
40/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは 15/1
0〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0044】
【化9】
【0045】o=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは
40/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは 15/1
0〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0046】
【化10】
【0047】n+o=k/2+m k/m=80/60〜2/99、好ましくは 40/8
0〜10/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/(n+o)=20/10〜0/10、好ましくは
15/10〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0048】
【化11】
【0049】m+n=k/2+l k/l=80/60〜2/99、好ましくは 40/8
0〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0050】
【化12】
【0051】m=k/2+n k/n=80/60〜2/99、好ましくは 40/8
0〜10/95 l/m=20/10〜0/10、好ましくは 15/1
0〜5/10 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0052】
【化13】
【0053】l=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは
40/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0054】
【化14】
【0055】l+m=k/2+n k/n=80/60〜2/99、好ましくは 40/8
0〜10/95 l/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0056】
【化15】
【0057】n+o=k/2+m k/m=80/60〜2/99、好ましくは 40/8
0〜10/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/(n+o)=20/10〜0/10、好ましくは
15/10〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0058】
【化16】
【0059】m+n=k/2+o k/o=80/60〜2/99、好ましくは 40/8
0〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/(m+n)=20/10〜0/10、好ましくは
15/10〜5/10 iは2〜12の整数を示す。k,l,m,n,oはそれ
ぞれモル組成比を示す。
【0060】
【化17】
【0061】o=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは
40/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは 15/1
0〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0062】
【化18】
【0063】m+n=k/2+o k/o=80/60〜2/99、好ましくは 40/8
0〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/(m+n)=20/10〜0/10、好ましくは
15/10〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0064】
【化19】
【0065】l+m=k/2+n+o k/(n+o)=80/60〜2/99、好ましくは
40/80〜10/95 l/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0066】
【化20】
【0067】n+o=k/2+m k/m=80/60〜2/99、好ましくは 40/8
0〜10/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/m=20/10〜0/10、好ましくは 15/1
0〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0068】
【化21】
【0069】l+m=k/2+o k/o=80/60〜2/99、好ましくは 40/8
0〜10/95 l/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0070】
【化22】
【0071】n+o=k/2+l+m k/(l+m)=80/60〜2/99、好ましくは
40/80〜10/95 l/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0072】
【化23】
【0073】m=k/2+n+o k/(n+o)=80/60〜2/99、好ましくは
40/80〜10/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/m=20/10〜0/10、好ましくは 15/1
0〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0074】
【化24】
【0075】o=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは
40/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/m=20/10〜0/10、好ましくは 15/1
0〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0076】
【化25】
【0077】n+o=k/2+l+m k/(l+m)=80/60〜2/99、好ましくは
40/80〜10/95 l/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0078】
【化26】
【0079】o=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは
40/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは 15/1
0〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0080】
【化27】
【0081】l+m=k/2+n+o k/(n+o)=80/60〜2/99、好ましくは
40/80〜10/95 l/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 iは2〜12の整数を示す。k,l,m,n,oはそれ
ぞれモル組成比を示す。
【0082】
【化28】
【0083】o=k/2+n k/n=80/60〜2/99、好ましくは 40/8
0〜10/95 l/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 (l+m)/o=20/10〜1/10、好ましくは
15/10〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0084】
【化29】
【0085】o=k/2+l/2+m+n (k+l)/(m+n)=80/60〜2/99、好ま
しくは 40/80〜10/95 k/l=100/0〜0/100、好ましくは 90/
10〜10/90 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0086】
【化30】
【0087】o+p=k/2+l/2+n (k+l)/n=80/60〜2/99、好ましくは
40/80〜10/95 k/l=100/0〜0/100、好ましくは 90/
10〜10/90 o/p=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 m/n=20/10〜0/10、好ましくは 15/1
0〜5/10 k,l,m,n,o,pはそれぞれモル組成比を示す。
【0088】以上例示した構造式において、一官能性の
構造単位が結合していない高分子鎖の末端は、フェノー
ル性水酸基、遊離カルボン酸基、アセチル基などを有す
る。上記の中でも特に、〔構造式1〕、〔構造式3〕、
〔構造式4〕、〔構造式9〕、〔構造式11〕、〔構造
式16〕、〔構造式20〕、〔構造式22〕、〔構造式
23〕および〔構造式25〕の末端修飾液晶性ポリエス
テルが好ましい。
【0089】以上説明した末端修飾液晶性高分子は、本
発明の液晶性組成物中に重量として通常5〜70重量
%、好ましくは10〜65重量%以上、特に好ましくは
15〜60重量%配合される。なお、この時該末端修飾
液晶性高分子は必ずしも一種類に限られるわけではなく
二種類以上を用いて合計の配合比が5重量%以上となれ
ばよい。上記配合量が、5重量%未満の場合には所望の
光学特性を得ることができない。すなわち末端修飾液晶
性高分子と後から説明する高分子量の液晶性高分子との
組成物とした際に、該組成物が液晶移転点を越える温度
においてネマチックハイブリッド配向を形成し難くなる
恐れがある。また配合量が70重量%を越えると、耐熱
性、耐湿性などの信頼性が悪くなる恐れがあり望ましく
ない。
【0090】末端修飾液晶性高分子が、良好なホメオト
ロピック配向性を示すためには、先に述べたように該末
端修飾液晶性高分子の分子量も重要である。該末端修飾
液晶性高分子の分子量は、各種溶媒中、たとえばフェノ
ール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(60/4
0(重量比))混合溶媒中、濃度0.5g/dlおよび
30℃で測定した対数粘度(dl/g)が通常0.01
〜1.5、好ましくは0.03〜1.0、さらに好まし
くは0.05〜0.5の範囲である。対数粘度が0.0
1より小さい場合、フィルムの機械的強度が弱くなり望
ましくない。また1.5より大きい場合、ホメオトロピ
ック配向性が失われる恐れがある。さらに液晶状態にお
いて粘性が高くなりすぎる恐れがあり、ホメオトロピッ
ク配向したとしても、配向に要する時間が長くなる可能
性がある。
【0091】上記の末端修飾液晶性高分子の合成法は、
特に制限されるものではなく、当該分野で公知の重合法
で合成することができる。例えば液晶性ポリエステル合
成を例に取れば、溶融重合法あるいは対応するジカルボ
ン酸の酸クロライドを用いる酸クロライド法で合成する
ことができる。
【0092】本発明における末端修飾液晶性高分子を合
成する際において、一官能性の構造単位は、先に説明し
たモノアルコール、モノカルボン酸化合物およびこれら
の機能性誘導体、具体的にはアセチル化物、ハロゲン化
物などとして重合反応に供される。該一官能性構造単位
の液晶性高分子、具体的には液晶性ポリエステルに占め
る含有率は、ヒドロキシカルボン酸構造単位を除いた残
りの構成成分量中、モル分率で2/201から80/2
40の範囲である。より好ましくは、10/205から
20/220の範囲である。一官能性構造単位の含有率
が、2/210(モル分率)より小さい場合には、液晶
性ポリエステルがホメオトロピック配向性を示さない恐
れがある。また、一官能性構造単位の含有率が80/2
40より大きい場合には、液晶性ポリエステルの分子量
が所望の値まで上がらない恐れがある。またフィルムを
作製した場合、該フィルムの機械的強度が弱くなり好ま
しくない。なお、一官能性の構造単位の含有率は、モノ
マー成分の仕込み量により調整され得る。
【0093】また本発明では、上述した末端修飾液晶性
高分子と、該高分子より高分子量の光学的に正の一軸性
を示す液晶性高分子(以後、高分子量成分と称する)を
配合する。該高分子量成分を用いることにより、 組成比の調節でネマチックハイブリッド配向の平均チ
ルト角を自在に制御することができる、 ネマチックハイブリッド配向の安定化を図ることがで
きる、 高温および高湿に対する信頼性を高めることができ
る、などの利点がある。
【0094】該高分子量成分として用いられる液晶性高
分子は、主鎖型の液晶性高分子、例えばポリエステル、
ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネ
ート、ポリエステルイミド等があげられる。また側鎖型
の液晶性高分子、例えばポリアクリレート、ポリメタク
リレート、ポリシロキサン、ポリマロネート等も例示で
きる。ホメオトロピック配向性液晶性高分子との相溶性
を有するものならば特に限定されないが、なかでも先に
例示したオルソ置換芳香族単位を主鎖に有する液晶性ポ
リエステルが最も好ましい。さらにこれら液晶性高分子
は、ホモジニアス、チルト配向またはそれ以外の配向性
など、いずれの配向性を示すものであっても特に構わ
ず、例えば前述のホメオトロピック配向性高分子を高分
子量化したものを用いることもできるし、ホモジニアス
配向性高分子をあてることもできる。なお該高分子鎖の
末端は前記した長鎖アルキル基または長鎖フルオロアル
キル基などであってもよいし、またフェノール性水酸
基、遊離カルボン酸基、アセチル基などであってもよ
い。
【0095】一般にホモジニアス配向性の判定は、ホメ
オトロピック配向性の判定と同様に、シリコン処理、ラ
ビング処理、一軸延伸処理などの表面処理を施していな
い該基板を用いて行う。すなわち該基板上に液晶性高分
子層を形成し、その配向状態によってホモジニアス配向
性を示すか否かの判定を行うことができる。以下にホモ
ジニアス配向性またはホメオトロピック配向性を示し、
本発明における高分子量成分となる液晶性高分子の具体
的な構造例を示す。
【0096】
【化31】
【0097】k=l+m l/m=80/20〜20/80、好ましくは 75/
25〜25/75 k,l,mはそれぞれモル組成比を示す。
【0098】
【化32】
【0099】o=m+n (k+l)/o=20/10〜0/10、好ましくは
15/10〜0/10 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 98/
2〜2/98 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0100】
【化33】
【0101】n=l+m k/m=20/10〜0/10、好ましくは 15/1
0〜0/10 k,l,m,n,はそれぞれモル組成比を示す。
【0102】
【化34】
【0103】k+l=m+n k/l=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 m/l=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0104】
【化35】
【0105】k+l=m+n k/l=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 m/l=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0106】
【化36】
【0107】l=m+n k/l=15/10〜0/10、好ましくは 10/1
0〜0/10 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0108】
【化37】
【0109】m+n=k/2+1 k/l=40/80〜0/100、好ましくは 20/
90〜0/100 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0110】
【化38】
【0111】o=k/2+m+n k/(m+n)=40/80〜0/100、好ましくは
20/90〜0/100 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは 15/1
0〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0112】
【化39】
【0113】o=k/2+m+n k/(m+n)=40/80〜0/100、好ましくは
20/90〜0/100 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは 15/1
0〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0114】
【化40】
【0115】l=k/2+m+n k/(m+n)=40/80〜0/100、好ましくは
20/90〜0/100 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0116】
【化41】
【0117】m=k/2+n+o k/(n+o)=40/80〜0/100、好ましくは
20/90〜0/100 n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/m=20/10〜0/10、好ましくは 15/1
0〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0118】
【化42】
【0119】o=k/2+m+n k/(m+n)=40/80〜0/100、好ましくは
20/90〜0/100 m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは 15/1
0〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0120】
【化43】
【0121】n+o=k/2+l+m k/(l+m)=40/80〜0/100、好ましくは
20/90〜0/100 l/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/
5〜5/95 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0122】これらの分子量は、フェノール/1,1,
2,2−テトラクロロエタン(60/40(重量比))
混合溶媒中、濃度0.5g/dlおよび30℃で測定し
た対数粘度(dl/g)が通常0.05〜3.0、好ま
しくは0.07〜2.0、さらに好ましくは0.1〜
1.0の範囲である。この時、高分子量成分の対数粘度
が0.05より小さい場合、フィルムの機械的強度が弱
くなる、あるいは高温および高湿に対する信頼性が損な
われる恐れがある。また、3.0より大きい場合、先に
説明した末端修飾液晶性高分子との組成物とした際にネ
マチックハイブリッドの配向を阻害する、あるいは液晶
形成時の粘性が高くなりすぎ、配向に要する時間が長く
なる、といった恐れがあるので望ましくない。
【0123】該高分子量成分は、末端修飾液晶性高分子
より高分子量であることが必須条件である。この時、分
子量の指標としては上記フェノール/1,1,2,2−
テトラクロロエタン(60/40(重量比))混合溶媒
中、濃度0.5g/dlおよび30℃で測定した対数粘
度(dl/g)が用いられ、該高分子量成分は、末端修
飾液晶性高分子より0.01以上、好ましくは0.03
以上高い対数粘度を示す。万一、高分子量成分が末端修
飾液晶性高分子より低分子量であると高温に対する信頼
性が損なわれる、または液晶状態においてネマチックハ
イブリッド配向を形成し難くなるなどの悪影響が起こり
うる可能性がある。
【0124】さらに該高分子量成分のガラス転移点が、
末端修飾液晶性高分子のそれよりも高いことも必須条件
である。高分子量成分のガラス転移点は、通常5℃以
上、好ましくは10℃以上、特に好ましくは20℃以上
高いものが用いられる。末端修飾液晶性高分子と高分子
量成分のガラス転移点の差が5℃未満であると、本発明
の補償フィルムの信頼性、より具体的には耐熱性が悪く
なる。
【0125】上記の高分子量成分の合成法は、特に制限
されるものではない。本発明に用いることができる高分
子量成分は、当該分野で公知の重合法で合成することが
できる。例えばポリエステル合成を例に取れば、溶融重
合法あるいは対応するジカルボン酸の酸クロライドを用
いる酸クロライド法で合成することができる。
【0126】本発明では、以上説明した末端修飾高分子
および高分子量成分を含有する組成物、すなわち液晶性
高分子組成物を用いて、配向基板上で均一にネマチック
ハイブリッド配向し、該配向形態を固定化せしめた本発
明の光学補償フィルムを得るには、以下に説明する配向
基板および各工程を踏むことが本発明において好まし
い。
【0127】先ず、配向基板について説明する。本発明
の如く、該液晶性高分子組成物を用いてネマチックハイ
ブリッド配向を得るためには、該液晶性高分子組成物層
の上下を異なる界面で挟むことが望ましく、上下を同じ
界面で挟んだ場合には、該液晶性高分子組成物層の上下
界面における配向が同一となってしまい、本発明のネマ
チックハイブリッド配向を得ることが困難となってしま
う。
【0128】具体的な態様としては、一枚の配向基板と
空気界面とを利用し、液晶性高分子組成物層の下界面を
配向基板に、また該液晶性高分子組成物層の上界面を空
気に接するようにする。上下に界面の異なる配向基板を
用いることもできるが、製造プロセス上、一枚の配向基
板と空気界面とを利用する方が望ましい。
【0129】本発明に用いることのできる配向基板は、
液晶分子の傾く向き(ダイレクターの配向基板への投
影)を規定できるように、異方性を有していることが望
ましい。配向基板が、全く液晶の傾く向きを規定できな
い場合には、無秩序な方位に傾いた配向形態しか得るこ
とができない(ダイレクターを該基板へ投影したベクト
ルが無秩序になる)。
【0130】本発明に用いることのできる配向基板とし
て、具体的には面内の異方性を有しているものが望まし
く、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリ
エーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエ
ーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテル
スルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポ
リアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、
ポリプロピレン、セルロース系プラスチックス、エポキ
シ樹脂、フェノール樹脂などのプラスチックフィルム基
板および一軸延伸プラスチックフィルム基板、表面にス
リット状の溝を付けたアルミ、鉄、銅などの金属基板、
表面をスリット状にエッチング加工したアルカリガラ
ス、ホウ珪酸ガラス、フリントガラスなどのガラス基
板、などである。
【0131】本発明においては上記プラスチックフィル
ム基板にラビング処理を施したラビングプラスチックフ
ィルム基板、またはラビング処理を施したプラスチック
薄膜、例えばラビングポリイミド膜、ラビングポリビニ
ルアルコール膜などを有する上記各種基板、さらに酸化
珪素の斜め蒸着膜などを有する上記各種基板なども用い
ることができる。
【0132】上記各種配向基板において、本発明の液晶
性高分子組成物をネマチックハイブリッド配向に形成せ
しめるのに好適な該基板としては、ラビングポリイミド
膜を有する各種基板、ラビングポリイミド基板、ラビン
グポリエーテルエーテルケトン基板、ラビングポリエー
テルケトン基板、ラビングポリエーテルスルフォン基
板、ラビングポリフェニレンサルファイド基板、ラビン
グポリエチレンテレフタレート基板、ラビングポリエチ
レンナフタレート基板、ラビングポリアリレート基板、
セルロース系プラスチック基板を挙げることができる。
【0133】本発明の光学素子用フィルムは、該フィル
ムの上面と下面とでは、液晶性高分子組成物のダイレク
ターとフィルム平面とのなす角度が異なる。該基板側の
フィルム面は、その配向処理の方法や液晶性高分子組成
物の種類によって0度以上5度以下または60度以上9
0度以下のどちらかの角度範囲に調節できる。通常、配
向基板に接したフィルムの界面近傍の該液晶性高分子組
成物のダイレクターとフィルム平面とのなす角度を0度
以上50度以下の角度範囲に調整する方が製造プロセス
上望ましい。
【0134】本発明の光学素子用フィルムは、上記の如
き配向基板上に均一に液晶性高分子組成物を塗布し、次
いで均一配向過程、配向形態の固定化過程を経て得られ
る。該液晶性高分子組成物の配向基板への塗布は、通常
液晶性高分子組成物を各種溶媒に溶解した溶液状態また
は該液晶性高分子組成物を溶融した溶融状態で行うこと
ができる。製造プロセス上、液晶性高分子組成物を溶媒
に溶解した該溶液を用いて塗布する、溶液塗布が望まし
い。
【0135】溶液塗布について説明する。本発明の液晶
性高分子組成物を溶媒に溶かし、所定濃度の溶液を調製
する。フィルムの膜厚(液晶性高分子組成物より形成さ
れる層の膜厚)は、該液晶性高分子組成物を基板に塗布
する段階で決まるため、精密に濃度、塗布膜の膜厚など
の制御をする必要がある。
【0136】上記溶媒としては、液晶性高分子組成物の
種類(組成比など)によって一概には言えないが、通常
はクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロ
ロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、
テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロ
ロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、フェノール、
パラクロロフェノールなどのフェノール類、ベンゼン、
トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメ
トキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、酢
酸エチル、tert−ブチルアルコール、グリセリン、
エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソ
ルブ、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、
ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチル
スルホキシド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫
化炭素など、およびこれらの混合溶媒、例えばハロゲン
化炭化水素類とフェノール類との混合溶媒などが用いら
れる。
【0137】溶液の濃度は、用いる液晶性高分子組成物
の溶解性や最終的に目的とする補償フィルムの膜厚に依
存するため一概には言えないが、通常3〜50重量%の
範囲で使用され、好ましくは7〜30重量%の範囲であ
る。
【0138】また、表面張力の高い溶媒を用いる場合な
どにおいては、塗布を安定に行うために必要であれば溶
液に界面活性剤を添加することも可能である。用いるこ
とができる界面活性剤は、溶液の表面張力を下げ塗布膜
を安定化できるものであればいずれのものでも使用でき
るが、フッ素系界面活性剤が特に好ましく使用される。
具体例を商品名として挙げるならばフロラード(3M社
製)、ペインタッド(ダウ・コーニング社製)、サーフ
ロン(旭硝子社製)、ユニダイン(ダイキン工業社
製)、メガファック(大日本インキ社製)、エフトップ
(新秋田化成社製)、フタージェント(ネオス社製)、
アロン−G(東亜合成社製)、モディパー(日本油脂社
製)などが好適に使用でき、これらと同等の化学構造を
もつ界面活性剤を使用することも差し支えない。該界面
活性剤を使用する場合の使用量は、通常溶液1Kgに対
し0.001g〜1gの範囲であるが、使用量が多すぎ
ると液晶性高分子組成物中の異物となり欠陥の原因とな
ったり、ネマチックハイブリッド配向を形成し難くなる
など、液晶の配向状態に悪影響を与えるため好ましくな
い。
【0139】上記の溶媒を用いて所望の濃度に調整した
液晶性高分子組成物溶液を、次に上述にて説明した配向
基板上に塗布する。塗布の方法としては、スピンコート
法、ロールコート法、ダイコート法、プリント法、浸漬
引き上げ法、カーテンコート法などを採用できる。
【0140】塗布後、溶媒を除去し、配向基板上に膜厚
の均一な液晶性高分子組成物の層を形成させる。溶媒除
去条件は、特に限定されず、溶媒がおおむね除去でき、
液晶性高分子組成物の層が流動したり、流れ落ちたりさ
えしなければ良い。通常、室温での乾燥、乾燥炉での乾
燥、温風や熱風の吹き付けなどを利用して溶媒を除去す
る。
【0141】この塗布・乾燥工程の段階は、先ず基板上
に均一に液晶性高分子組成物の層を形成させることが目
的であり、該液晶性高分子組成物は、まだネマチックハ
イブリッド配向を形成していない。次の熱処理工程によ
り、モノドメインなネマチックハイブリッド配向を完成
させる。
【0142】熱処理によってネマチックハイブリッド配
向を形成するにあたって、液晶性高分子組成物の粘性
は、界面効果による配向を助ける意味で低い方が良く、
従って熱処理温度は高い方が望ましい。また液晶性高分
子組成物によっては、得られる平均チルト角が熱処理温
度により異なることがある。その場合には、目的に応じ
た平均チルト角を得るために熱処理温度を設定する必要
がある。例えば、あるチルト角を有する配向を得るため
に比較的低い温度で熱処理を行う必要が生じた場合、低
い温度では液晶性高分子組成物の粘性が高く、配向に要
する時間が長くなる。そのような場合には、一旦高温で
熱処理し、モノドメインな配向を得た後に、段階的、も
しくは徐々に熱処理の温度を目的とする温度まで下げる
方法が有効となる。いずれにせよ、用いる液晶性高分子
組成物の特性に従い、ガラス転移点以上の温度で熱処理
する事が好ましく、より好ましくは高分子量成分のガラ
ス転移点より高温で熱処理する。
【0143】熱処理温度は、通常50℃から300℃の
範囲で、特に100℃から260℃の範囲が好適であ
る。また、複数の温度で連続して熱処理する、例えば一
旦ある温度で熱処理した後、該温度より低温あるいは高
温で熱処理するなど、とすることも可能である。
【0144】また配向基板上において、液晶性高分子組
成物が十分な配向をするために必要な熱処理時間は、用
いる該液晶性高分子組成物の種類(例えば組成比な
ど)、熱処理温度によって異なるため一概にはいえない
が、通常10秒から120分の範囲が好ましく、特に3
0秒から60分の範囲が好ましい。10秒より短い場合
は配向が不十分となる恐れがある。また120分より長
い場合は、生産性が低下する恐れがあり望ましくない。
このようにして、まず液晶状態で配向基板上全面にわた
って均一なネマチックハイブリッド配向を得ることがで
きる。
【0145】なお、本発明においては上記の熱処理工程
において、液晶性高分子組成物をネマチックハイブリッ
ド配向させるために磁場や電場を利用しても差し支えな
い。しかし、熱処理しつつ余りに強力な磁場や電場を印
加した場合、印加中は均一な場の力が液晶性高分子組成
物に働くために、該液晶のダイレクターは一定の方向を
向きやすくなる。すなわち、本発明の如くダイレクター
がフィルムの膜厚方向によって異なる角度を形成してい
るネマチックハイブリッド配向は得られ難くなる。
【0146】こうして液晶性高分子組成物の液晶状態に
おいて形成したネマチックハイブリッド配向を、次に該
液晶性高分子組成物の液晶転移点以下の温度に冷却する
ことにより、該配向の均一性を全く損なわずに固定化で
きる。一般的にネマチック相より低温部にスメクチック
相または結晶相を持っている液晶性高分子組成物を用い
た場合、液晶状態におけるネマチック配向は冷却するこ
とによって壊れてしまう恐れがある。本発明において
は、 ネマチック相を示す温度領域より下の温度において
スメクチック相または結晶相を全く有しない、 潜在的に結晶相またはスメクチック相を有していて
も冷却時にはスメクチック相または結晶相が現れない性
質を持ち、かつ 光学補償フィルムの使用温度範囲において流動性が
なく外場や外力を加えても配向形態が変化しない、とい
った性質を有する液晶性高分子組成物を用いるため、ス
メクチック相あるいは結晶相への相転移による配向形態
の破壊は起こらず、完全にモノドメインなネマチックハ
イブリッド配向を固定化できる。
【0147】上記冷却温度は、液晶転移点以下の温度で
あれば特に制限はない。たとえば液晶転移点より10℃
低い温度において冷却することにより、均一なネマチッ
クハイブリッド配向を固定化することができる。冷却の
手段は、特に制限はなく、熱処理工程における加熱雰囲
気中から液晶転移点以下の雰囲気中、例えば室温中に出
すだけで固定化される。また、生産の効率を高めるため
に、空冷、水冷などの強制冷却、除熱を行ってもよい。
ただし液晶性高分子組成物によっては、冷却速度によっ
て、得られる平均チルト角が若干異なることがある。こ
のような該液晶性高分子組成物を使用し、厳密にこの角
度を制御する必要が生じた際には、冷却操作も適宜冷却
条件を考慮して行うことが好ましい。
【0148】次いで、本発明においてネマチックハイブ
リッド配向のフィルム膜厚方向における角度制御につい
て説明する。本補償フィルムでは、フィルム界面近傍に
おける液晶性高分子組成物のダイレクターとフィルム平
面との成す角度の絶対値が、該フィルムの上面または下
面の一方においては、0度以上50度以下の範囲内、ま
た当該面の反対面では60度以上90度以下の範囲であ
る。使用する液晶性高分子組成物の種類(組成など)、
配向基板、熱処理条件、などを適宜選択することにより
所望の角度にそれぞれ制御することができる。また、ネ
マチックハイブリッド配向を固定化した後でも、例えば
フィルム表面を均一に削る、溶剤に浸してフィルム表面
を均一に溶かす、などといった方法を用いることにより
所望の角度に制御することができる。なおこの際に用い
られる溶剤は、液晶性高分子組成物の種類(組成な
ど)、配向基板の種類によって適宜選択する。
【0149】以上の工程によって得られる本発明の光学
補償フィルムは、ネマチックハイブリッド配向という配
向形態を均一に配向・固定化したものである。また、該
配向を形成しているので、該フィルムの上下は等価では
なく、また面内方向にも異方性がある。したがって該フ
ィルムを例えばTN−LCDに配置することによって様
々な特性を引き出すことが可能となる。また本補償フィ
ルムの用途としては、液晶セルに起因する視野角補償、
色補償に対して優れた補償効果を発揮する補償フィルム
として利用できるのは無論のこと、その他の光学用途に
も適宜応用して用いることができる。
【0150】以下に本発明の光学補償フィルムをツイス
テッドネマチック型液晶セルの視野角補償用のフィルム
として用いる方法について詳細に説明する。本発明の補
償フィルムを実際にツイステッドネマチック型液晶セル
に配置する場合、該フィルムの使用形態として 上述の配向基板を該フィルムから剥離して、補償フィ
ルム単体で用いる、 配向基板上に形成したそのままの状態で用いる、 配向基板とは異なる別の基板に補償フィルムを積層し
て用いる、ということが可能である。
【0151】フィルム単体として用いる場合には、配向
基板を補償フィルムとの界面で、ロールなどを用いて機
械的に剥離する方法、構造材料すべてに対する貧溶媒に
浸漬した後機械的に剥離する方法、貧溶媒中で超音波を
あてて剥離する方法、配向基板と該フィルムとの熱膨張
係数の差を利用して温度変化を与えて剥離する方法、配
向基板そのもの、または配向基板上の配向膜を溶解除去
する方法などによって、フィルム単体を得る。剥離性
は、用いる液晶性高分子組成物の種類(組成など)と配
向基板との密着性によって異なるため、その系に最も適
した方法を採用すべきである。なお補償フィルム単体で
用いる場合、膜厚によっては自己支持性のないことがあ
るが、その際には光学性質上好ましい基板、例えばポリ
メタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコ
ール、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリ
アリレート、ポリイミド、アモルファスポリオレフィ
ン、トリアセチルセルロースなどのプラスチック基板上
に接着剤または粘着剤を介して固定して用いるほうが、
補償フィルムの強度、信頼性などのために望ましい。
【0152】次に、配向基板上に形成した状態で補償フ
ィルムを用いる場合について説明する。配向基板が透明
で光学的に等方であるか、あるいは配向基板がTN−L
CDにとって必要な部材である場合には、そのまま目的
とする補償素子としてTN−LCDに組み込むことがで
きる。
【0153】さらに配向基板上で液晶性高分子組成物を
配向固定化して得られた本発明の補償フィルムを該基板
から剥離して、光学用途により適した別の基板上に積層
して用いることも可能である。すなわち、該フィルムと
配向基板とは異なる別の基板とから少なくとも構成され
る積層体を補償素子としてTN−LCDに組み込むこと
ができる。
【0154】例えば、使用する配向基板がネマチックハ
イブリッド配向を得るために必要なものではあるが、T
N−LCDに対して好ましくない影響を与えるような該
基板を用いた場合、その基板を配向固定化後の補償フィ
ルムから除去して用いることができる。具体的には次の
ような方法を採ることができる。
【0155】目的とするTN−LCDに組み込む液晶表
示素子に適した基板(以下、第2の基板という)と配向
基板上の補償フィルムとを、例えば接着剤または粘着剤
を用いて貼りつける。次いで、配向基板を本発明の補償
フィルムとの界面で剥離し、補償フィルムを液晶表示素
子に適した第2の基板側に転写して補償素子を得ること
ができる。
【0156】転写に用いられる第2の基板としては、適
度な平面性を有するものであれば特に限定されないが、
ガラス基板や透明で光学的等方性を有するプラスチック
フィルムが好ましく用いられる。かかるプラスチックフ
ィルムの例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリ
スチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォ
ン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ア
モルファスポリオレフィン、トリアセチルセルロースあ
るいはエポキシ樹脂などをあげることができる。なかで
もポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリ
アリレート、ポリエーテルスルフォン、トリアセチルセ
ルロースなどが好ましく用いられる。また光学的に異方
性であっても、TN−LCDにとって必要な部材である
場合には、光学的異方性フィルムも用いることができ
る。このような例としては、ポリカーボネートやポリス
チレンなどのプラスチックフィルムを延伸して得られる
位相差フィルム、偏光フィルムなどがある。
【0157】さらに、用いられる第2の基板の例として
液晶セルそのものを挙げることができる。液晶セルは、
上下2枚の電極付きガラスまたはプラスチック基板を用
いており、この上下いずれか、あるいは両面のガラスま
たはプラスチック基板上に本発明の補償フィルムを転写
すれば、本補償フィルムの組み込みがすでに達成された
ことになる。また液晶セルを形成するガラスまたはプラ
スチック基板そのものを配向基板として本補償フィルム
を製造することももちろん可能である。
【0158】以上説明した第2の基板は、液晶性高分子
組成物の配向制御能を実質的に持つ必要はない。また、
第2の基板と該フィルムとの間に配向膜などは必要とし
ない。転写に用いられる第2の基板と、本発明の補償フ
ィルムとを貼り付ける接着剤または粘着剤は、光学グレ
ードのものであれば特に制限はないが、アクリル系、エ
ポキシ系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ゴム系、
ウレタン系、およびこれらの混合系などを用いることが
できる。また接着剤としては、熱硬化型、光硬化型、電
子線硬化型などのいずれの接着剤でも光学的等方性を有
していれば問題なく使用することができる。
【0159】本発明の補償フィルムを液晶表示素子に適
した第2の基板への転写は、接着後配向基板を該フィル
ムとの界面で剥離することにより行える。剥離の方法
は、上述でも説明したが、ロールなどを用いて機械的に
剥離する方法、構造材料すべてに対する貧溶媒に浸漬し
たのち機械的に剥離する方法、貧溶媒中で超音波をあて
て剥離する方法、配向基板と該フィルムとの熱膨張係数
の差を利用して温度変化を与えて剥離する方法、配向基
板そのもの、または配向基板上の配向膜を溶解除去する
方法などを例示することができる。剥離性は、用いる液
晶性高分子組成物の種類(組成など)と配向基板との密
着性によって異なるため、その系に最も適した方法を採
用すべきである。また本発明の補償フィルムは、表面保
護、強度増加、環境信頼性向上などの目的のために透明
プラスチックフィルムなどの保護層を設けることもでき
る。
【0160】このようにして得られた補償フィルムは、
TN−LCDに対して特に優れた視野角補償効果をも
つ。本補償フィルムが、各種TN−LCDに対してより
好適な補償効果を発現するための該フィルムの膜厚は、
対象とするTN−LCDの方式や種々の光学パラメータ
ーに依存するので一概には言えないが、通常0.1μm
以上20μm以下の範囲であり、より好ましくは0.2
μm以上10μm以下の範囲、特に好ましくは0.3μ
以上5μm以下の範囲である。膜厚が0.1μm未満の
時は、十分な補償効果が得られない恐れがある。また膜
厚が20μmを越えるとディスプレーの表示が不必要に
色づく恐れがある。
【0161】ただし、本発明の補償フィルムの性能をよ
り高く引き出すためには、補償フィルムの光学パラメー
ターや軸配置をさらに詳細に考慮することが望ましい。
以下個々に説明する。先ず、フィルムの法線方向から見
た場合の面内の見かけのリターデーション値について説
明する。ネマチックハイブリッド配向したフィルムで
は、ダイレクターに平行な方向の屈折率(以下neと呼
ぶ)と垂直な方向の屈折率(以下noと呼ぶ)が異なっ
ている。neからnoを引いた値を見かけ上の複屈折率
とした場合、見かけ上のリターデーション値は見かけ上
の複屈折率と絶対膜厚との積で与えられる。この見かけ
上のリターデーション値は、エリプソメトリー等の偏光
光学測定により容易に求めることができる。本発明の補
償フィルムの見かけ上のリターデーション値は、550
nmの単色光に対して、通常5nmから500nmの範
囲、より好ましくは10nmから300nmの範囲、特
に好ましくは15nmから150nmの範囲である。見
かけのリターデーション値が5nm未満の時は、実質的
にホメオトロピック配向と何ら変わることはなく十分な
視野角拡大効果が得られない恐れがある。また、500
nmより大きい場合は、斜めから見たときに液晶ディス
プレーに不必要な色付きが生じる恐れがある。
【0162】次いでダイレクターの角度について説明す
る。ネマチックハイブリッド配向のフィルムの膜厚方向
におけるダイレクターの角度範囲は、フィルム界面での
液晶性高分子組成物のダイレクターと該ダイレクターの
フィルム界面への投影成分がなす鋭角側の角度が、フィ
ルムの上面または下面の一方においては、通常60度以
上90度以下の角度をなし、当該面の反対面において
は、通常0度以上50度以下である。より好ましくは一
方の角度の絶対値が80度以上90度以下、他方の角度
の絶対値が0度以上30度以下である。
【0163】次いで平均チルト角について説明する。本
発明においては、液晶性高分子組成物のダイレクターと
該ダイレクターの基板平面への投影成分とのなす角度の
膜厚方向での平均値を平均チルト角と定義する。平均チ
ルト角は、クリスタルローテーション法を応用して求め
ることができる。本発明の補償フィルムの平均チルト角
は、10度から60度範囲にあり、好ましくは20度か
ら50度の範囲にある。平均チルト角が10度より小さ
い場合、あるい60度より大きい場合には、一定の視野
角拡大効果は認められるが満足できる効果が得られない
恐れがある。
【0164】次に、本発明の補償フィルムをTN−LC
Dの視野角拡大のために用いるときの配置方法について
具体的に説明する。本補償フィルムの配置位置は偏光板
と液晶セルとの間であればよく、1枚または複数枚の補
償フィルムを配置することができる。本発明の補償フィ
ルムは、1枚または2枚の該フィルムを用いて視野角補
償を行うことが実用上好ましい。3枚以上の補償フィル
ムを用いても、視野角補償は可能であるが、コストアッ
プに繋がるためあまり好ましいとはいえない。具体的な
配置位置を例示すると以下のようになる。ただし、これ
らはあくまで代表的な配置位置であり本発明はこれらに
限定されるものではない。
【0165】まず本補償フィルムの上面と下面とを次の
ように定義する。光学的に正の一軸性を示す液晶性高分
子組成物のダイレクターとフィルム平面との成す角度が
鋭角側で60度以上90度以下の角度を成している面を
b面とする。該角度が鋭角側で0度以上50度以下の角
度を成している面をc面とする。
【0166】次いで本補償フィルムのチルト方向を以下
のように定義する。補償フィルムのb面から液晶層を通
してc面を見た場合、ダイレクターとダイレクターのc
面への投影成分がなす角度が鋭角となる方向でかつ投影
成分と平行な方向を本補償フィルムのチルト方向と定義
する。
【0167】次いで液晶セルのプレチルト方向を以下の
ように定義する。通常液晶セル界面では、駆動用の低分
子液晶はセル界面に対して平行ではなくある角度もって
傾いている。これをプレチルト角と言う。セル界面の液
晶のダイレクターとダイレクターの界面への投影成分と
がなす角度が鋭角である方向で、かつダイレクターの投
影成分と平行な方向を液晶セルのプレチルト方向と定義
する。
【0168】上記の定義に基づいて本補償フィルムを1
枚をTN−LCDに用いる場合について説明する。補償
フィルムは偏光板と液晶セルの間に配置し、セルの上面
側でも良いし下面側でも良い。なお、補償フィルムのチ
ルト方向と隣接しない液晶セル界面でのセルの液晶のプ
レチルト方向がおおむね一致することが好ましい。チル
ト方向とプレチルト方向のなす角度は0度から15度の
範囲が好ましく、より好ましくは0度から10度の範囲
であり、特に好ましくは0度から5度の範囲である。両
者のなす角度が15度以上の場合十分な視野角補償効果
が得られない恐れがある。
【0169】次に、本補償フィルム2枚をTN−LCD
に用いる場合について説明する。2枚の補償フィルム
は、上下一対の偏光板に挟まれた液晶セルの上面または
下面に配置する。配置する際は、2枚の補償フィルムが
同じ側にあっても良いし、上下に各1枚づつあっても良
い。また2枚の補償フィルムは、同一のパラメータであ
っても良いし、異なるものでも良い。
【0170】本発明において、2枚の補償フィルムを液
晶セルの上下に分けて配置する場合、それぞれの補償フ
ィルムを上述の1枚のみを使用する場合と同様の配置に
することが好ましい。すなわち、それぞれの補償フィル
ム中の液晶性高分子組成物のチルト方向と隣接しない液
晶セル界面でのセル液晶のプレチルト方向がおおむね一
致することが好ましい。チルト方向とプレチルト方向の
なす角度は0度から15度の範囲が好ましく、より好ま
しくは0度から10度の範囲であり、特に好ましくは0
度から5度の範囲である。
【0171】また2枚の補償フィルムを液晶セルの上面
あるいは下面のどちらか一方に配置する場合、液晶セル
に近い側の補償フィルムを1枚の補償フィルムを用いる
場合と同様の配置にする。すなわち、補償フィルムのチ
ルト方向と隣接しない液晶セル界面でのネマチック液晶
のプレチルト方向がおおむね一致するように配置するこ
とが好ましい。チルト方向とプレチルト方向のなす角度
は0度から15度の範囲が好ましく、より好ましくは0
度から10度の範囲であり、特に好ましくは0度から5
度の範囲である。2枚目の補償フィルムは1枚目の補償
フィルムと偏光板の間に配置することになるが、1枚目
の補償フィルムに隣接した液晶セル界面でのネマチック
液晶のプレチルト方向と2枚目の補償フィルムのチルト
方向がおおむね一致するように配置することが好まし
い。
【0172】さらに本発明の補償フィルムはネマチック
ハイブリッド配向をもつために、補償フィルムの上下は
等価ではない。したがって該補償フィルムを液晶セルに
装着する場合、どちらの面を液晶セルに近い方にするか
によって補償効果に多少の違いが見られる。本発明の補
償フィルムを実際にTN−LCDに組み込む際には、液
晶性高分子組成物のダイレクターがフィルム平面となす
角がより大きい面(該角が60度以上90度以下である
面)を液晶セルに近く、偏光板から遠くなるように配置
する方がより望ましい。
【0173】最後に偏光板の配置について説明する。通
常、TN−LCDでは上下偏光板の透過軸が互いに直交
するように配置する場合と平行になるように配置する場
合がある。さらに、上下偏光板の透過軸が互いに直交す
る場合は、偏光板の透過軸と偏光板に近側の液晶セルの
ラビング方向が平行な場合または垂直な場合または45
度の角度をなす場合がある。本発明の補償フィルム上に
偏光板を装着する場合、偏光板の配置は上記のどの配置
であっても視野角拡大効果は得られるが、上下偏光板の
透過軸が互いに直交する配置が最も好ましい。偏光板の
透過軸と該偏光板に近い側の液晶セルのラビング方向の
関係については補償効果に多少の違いはあるものの平行
あるいは垂直どちらの配置とも可能である。
【0174】本光学補償フィルムは、TFT素子あるい
はMIM素子を用いたTN−LCDの視野角改善に絶大
な効果が有り、他のモードのLCD、すなわちSTN
(Super Twisted Nematic)−L
CD、ECB(Electrically Contr
olled Birefringence)−LCD、
OMI(Optical Mode Interfer
ence)−LCD、OCB(Optically C
ompensated Birefringence)
−LCD、HAN(Hybrid Aligned N
ematic)−LCD、IPS(In Plane
Switching)−LCDなどの色補償あるいは視
野角特性改良にも有効である。また、液晶化合物の原料
の入手し易さ、フィルムの原料となる液晶化合物の製造
およびフィルム自体の製造が簡単であり、該フィルムの
信頼性、特に耐熱性に優れることから、その工業的利用
価値は非常に大きい。
【0175】
【実施例】以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに
制限されるものではない。なお実施例で用いた各分析法
は以下の通りである。 (1)液晶性高分子の組成の決定 ポリマーを重水素化クロロホルムまたは重水素化トリフ
ルオロ酢酸に溶解し、400MHzの 1H−NMR(日
本電子製JNM−GX400)で測定し決定した。 (2)対数粘度の測定 ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/1,1,2,
2−テトラクロロエタン(60/40重量比)混合溶媒
に試料高分子を0.5dl/gの濃度になるように溶解
し、30℃において測定した。対数粘度[ηinh ]は次
式で算出した。
【数1】 ただし上記式において、τ、τ0 はそれぞれ試料溶液、
溶媒が粘度計毛細管を流下するのに要する時間を表す。 (3)液晶相系列の決定 DSC(Perkin Elmer DSC−7)測定
および光学顕微鏡(オリンパス光学(株)製BH2偏光
顕微鏡)観察により決定した。 (4)屈折率の測定 アッベ屈折計(アタゴ(株)製Type−4)により屈
折率を測定した。 (5)偏光解析 (株)溝尻光学工業製エリプソメーターDVA−36V
WLDを用いて行った。 (6)膜厚測定 SLOAN製SURFACE TEXTURE ANA
LYSIS SY−STEM Dektak 3030
STを用いた。また、干渉波測定(日本分光(株)製
紫外・可視・近赤外分光光度計V−570)と屈折率の
データから膜厚を求める方法も併用した。
【0176】実施例1 4−n−ヘキシル安息香酸10mmol、テレフタル酸
95mmol、ヒドロキノンジアセテート50mmo
l、3−メチルカテコールジアセテート50mmol、
および酢酸ナトリウム100mgを用いて窒素雰囲気
下、270℃で4時間、続いて同温度で毎分30mlの
窒素気流下で2時間脱酢酸重合を行った。次に得られた
反応生成物をテトラクロロエタンに溶解したのち、メタ
ノールで再沈殿を行って精製し、末端修飾液晶性ポリエ
ステル(式(1))22.0gを得た。この液晶性ポリ
エステルの対数粘度は0.10、液晶相としてネマチッ
ク相をもち、等方相−液晶相転移温度は240℃、ガラ
ス転移点は75℃であった。
【0177】一方別にテレフタル酸40mmol、2,
6−ナフタレンジカルボン酸40mmol、カテコール
ジアセテート85mmol、アセトキシ安息香酸80m
molを用いて窒素雰囲気下260℃で4時間、290
℃で2時間、続いて毎分100mlの窒素気流下290
℃で4時間重合を行い、液晶性ポリエステル(式
(2))26gを得た。この液晶性ポリエステルの対数
粘度は0.16、液晶相としてネマチック相をもち、等
方相−液晶相転移温度は300℃以上、ガラス転移点は
120℃であった。
【0178】液晶性ポリエステル(1)を用い10wt
%のフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(6/4
重量比)溶液を調製した。この溶液を、ソーダガラス板
上に、バーコート法により塗布し、乾燥し、190℃で
30分熱処理したのち、室温下で冷却・固定化した。膜
厚15μmの均一に配向したフィルムを得た。コノスコ
ープ観察したところ高分子液晶は正の一軸性構造を持つ
ことがわかり、このポリマーがホメオトロピック配向性
を持つことがわかった。
【0179】次に、二種類の液晶性ポリエステル
(1)、(2)を重量として1:1の割合で用い8wt
%テトラクロロエタン溶液を調製した。該溶液をラビン
グポリイミド膜を有するガラス上にスピンコート法によ
り塗布し、乾燥し、190℃で20分間熱処理したの
ち、空冷し固定化した結果、光学補償フィルムを得た。
得られた基板上の光学補償フィルムは透明で配向欠陥は
なく均一で膜厚は1.55μmであった。
【0180】図1、図2に示した光学測定系を用いて、
該フィルムを基板のラビング方向に傾けていき、リター
デーション値を測定した。その結果、図3のような左右
非対称でかつリターデーション値が0になる角度がない
結果が得られた。この結果から、液晶性ポリエステルの
ダイレクターが基板に対して傾いており均一チルト方向
(ダイレクターと基板表面のなす角が膜厚方向で一定な
配向状態)ではないことが分かった。
【0181】次いで基板上の該フィルムを5枚に切り分
け、それぞれ一定時間クロロホルムを3wt%含むメタ
ノール溶液に浸漬し、液晶層上面より溶出させた。浸漬
時間を15秒、30秒、1分、2分、5分とした場合
に、溶出せずに残った液晶層の膜厚は、それぞれ1.3
5μm、1.10μm、0.88μm、0.56μm、
0.37μmであった。図1、図2の光学系を用いてθ
=0度の場合のリターデーション値(正面リターデーシ
ョン値)を測定し、図4の膜厚とリターデーション値の
関係を得た。図4から分かるように膜厚とリターデーシ
ョン値は直線関係にはなく、このことからも均一チルト
方向ではないことが分かった。図中の点線は均一チルト
方向したフィルムのおいて観測される直線である。
【0182】次に、式(1)の末端修飾液晶性ポリエス
テルをラビングポリイミド膜を有する高屈折率ガラス基
板(屈折率は1.84)上に、上記と同様な方法を用い
て配向・固定化し、光学補償フィルムを作製し、これを
用いて屈折率測定を行った。屈折計のプリズム面にガラ
ス基板が接するように置き、該補償フィルムの基板界面
側が空気界面側より下にくるように配置した場合、フィ
ルム面内の屈折率には異方性が有りラビング方向に垂直
な面内の屈折率は1.55、平行な面内の屈折率は1.
70であり、膜厚方向の屈折率は試料の方向によらず
1.55で一定であった。このことから、ガラス基板側
では液晶性ポリエステルを構成する棒状の液晶分子が基
板に対して平行に平面配向していることが分かった。次
に屈折率計のプリズム面に補償フィルムの空気界面側が
接するように配置した場合、面内の屈折率には異方性が
なく屈折率は1.55で一定で、膜厚方向の屈折率は試
料の方向によらず1.70で一定であった。このことか
ら、空気界面側では液晶性ポリエステルを構成する棒状
の液晶分子が基板平面に対して垂直に配向していること
が分かった。
【0183】以上のことより、正の一軸性の液晶性高分
子より形成された光学補償フィルムがネマチックハイブ
リッド配向を形成し、ラビングによる基板界面の規制力
および空気界面の規制力により、図5に示したように配
向していることが判明した。次に、基板界面でのダイレ
クターの方位の角度をより正確に求めるため、以下の操
作を行った。
【0184】上記のラビングポリイミド膜を有する高屈
折ガラス基板上に形成された光学補償フィルムの上に、
もう一枚ラビングポリイミド膜を有するガラス基板をか
ぶせ密着させた。すなわち補償フィルムを2枚のラビン
グポリイミド膜で挟んだ構成にした。この時、上下のラ
ビング膜のラビング方向が互いの180度になるように
配置した。この状態で190℃で30分間熱処理した。
こうして得られた試料について屈折率測定および偏光解
析を行った。屈折率測定の結果、試料フィルムの上下に
関して同じ値が得られ、該フィルム面内の屈折率はラビ
ング方向に垂直な面内では1.55で平行な面内では
1.70、該フィルムの膜厚方向では1.55であっ
た。このことから基板の界面付近では試料フィルムの上
下ともにダイレクターが基板平面に対して略平行である
ことが分かった。さらに偏光解析の結果、屈折率構造は
ほぼ正の一軸性であり、クリスタルローテーション法に
基づき詳細な解析を行った結果、基板界面付近では、わ
ずかにダイレクターの傾きがあり、基板平面とダイレク
ターのなす角度は約3度であった。また、ダイレクター
の傾く向きはラビング方向と一致していた(試料フィル
ムのチルト方向とラビング方向とは一致する)。以上の
ことより、基板界面におけるダイレクターの方位は、液
晶性高分子と配向基板界面の相互作用によってほぼ決ま
ると考えると、前述の一枚の配向基板上に形成された光
学補償フィルムのネマチックハイブリッド配向における
基板界面でのダイレクターの方位は3度であると推定さ
れる。また該補償フィルムを、80℃で2日間保存した
後、該フィルムを偏光板に挟み配向状態を観察したとこ
ろ、配向の乱れは存在しなかった。
【0185】
【化44】 ただし、カッコの数字はモル組成比を表す。
【0186】実施例2 実施例1、式(1)のポリマーの合成と同様の方法によ
り式(3)の末端修飾液晶性ポリエステルを合成した。
該液晶性ポリエステルの対数粘度は、0.090、液晶
相としてネマチック相をもち、等方相−液晶相転移温度
は225℃、ガラス転移点は78℃であった。実施例1
と同様の配向性試験を行った結果、この液晶性ポリエス
テルがホメオトロピック配向性を示し正の一軸性である
ことがわかった。次に実施例1、式(2)のポリマーの
合成と同様の方法により式(4)の液晶性ポリエステル
を合成した。該液晶性ポリエステルの対数粘度は、0.
17、液晶相としてネマチック相をもち、等方相−液晶
相転移温度は290℃以上、ガラス転移点は110℃で
あった。次に、二種類の液晶性ポリエステル(3)、
(4)を重量として4:6の割合で用い8wt%テトラ
クロロエタン溶液を調製した。該溶液をラビングポリイ
ミド膜を有するガラスにスピンコート法により塗布し、
乾燥し、250℃で30分間熱処理したのち、空冷し固
定化した。基板上の光学補償フィルムは透明で配向欠陥
はなく均一で膜厚は0.42μm、膜厚方向の平均チル
ト角は40度であった。各光学素子の軸配置を図6に示
した配置で、光学補償フィルムの空気界面側が液晶セル
に近い側になるように、液晶セルの上下に光学補償フィ
ルムを各1枚づつ配置した。使用した液晶セルは液晶材
料としてZLI−4792を用い、セルパラメータはセ
ルギャップ4.8μm、ねじれ角90度(左ねじれ)、
プレチルト角4度である。液晶セルに対して、300H
zの矩形波で電圧を印加した。白表示0V、黒表示6V
の透過率の比(白表示)/(黒表示)をコントラスト比
として、全方位からのコントラスト比測定を浜松ホトニ
クス(株)製FFP光学系DVS−3000を用いて行
い、等コントラスト曲線を描いた。その結果を図7に示
す。図6の配置において白表示と黒表示の透過率の差を
8等分するような電圧を液晶セルに印加し横方向(0度
−180度方向)での階調特性について(株)トプコン
社製色彩輝度計BM−5を用いて測定した。結果を図8
に示す。また該補償フィルムを、80℃で2日間保存し
た後、該フィルムを偏光板に挟み配向状態を観察したと
ころ配向の乱れは存在しなかった。
【0187】
【化45】 ただし、カッコの数字はモル組成比を表す。
【0188】比較例1 実施例2と同じTN型液晶セルを用いて、実施例2で得
られた光学補償フィルムを装着しない状態で偏光板の液
晶セルに対する配置は図6と同じにし、実施例2と同様
な方法により全方位でのコントラスト比測定、横方向
(0度−180度方向)での階調特性の測定を行った。
結果を図9、図10に示す。
【0189】比較例2 液晶性ポリエステル(2)の8wt%テトラクロロエタ
ン溶液を調製した。該溶液をラビングポリイミド膜を有
するガラス上にスピンコート法により塗布し、乾燥し、
190℃で20分間熱処理したのち、空冷し固定化した
結果、補償フィルムを得た。得られた基板上の補償フィ
ルムは透明で配向欠陥はなく均一であり、膜厚は0.6
0μm、平均チルト角は0度、すなわちホモジニアス配
向であった。実施例2で用いた液晶セルに実施例2と同
様にして該フィルムを装填し、全方位でのコントラスト
比を測定した。その結果を図11に示す。
【0190】実施例3 式(5)、式(6)の液晶性ポリエステルを合成した。
式(5)の末端修飾液晶性ポリエステルの対数粘度は
0.11、液晶相としてネマチック相をもち、等方相−
液晶相転移温度は205℃、ガラス転移点は92℃であ
った。実施例1と同様の配向性試験を行った結果、式
(5)の末端修飾液晶性ポリエステルがホメオトロピッ
ク配向性を示し、正の一軸性であることが分かった。式
(6)の液晶性ポリエステルの対数粘度は0.16、液
晶相としてネマチック相をもち、等方相−液晶相転移温
度は300℃以上であった。該液晶性ポリエステルの1
0wt%のフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒
(6/4重量比)溶液を調製し、各種配向性試験用基板
に、スクリーン印刷法により塗布したのち乾燥し、23
0℃で10分間熱処理を行った。基板として、ソーダガ
ラス、ホウ珪酸ガラス、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィ
ルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエー
テルスルフォンフィルムを用いたが、いずれの基板上で
も液晶相の顕微鏡観察によりシュリーレン組織がみら
れ、このポリマーがホモジニアス配向性であることがわ
かった。式(5)、式(6)の液晶性ポリエステルを2
0:80の重量比で含有する液晶性ポリエステルの5w
t%テトラクロロエタン溶液を調製した。実施例2と同
一の条件で塗布、乾燥、熱処理を行い光学補償フィルム
を得た。該補償フィルムの膜厚0.50μmであった。
このフィルムの膜厚方向の平均チルト角は30度であっ
た。実施例2と同様の方法により全方位からのコントラ
スト比測定を行った。その結果を図12に示す。また該
補償フィルムを、80℃で2日間保存した後、コントラ
スト比を測定した結果、図12と同様の結果を得ること
ができた。
【0191】
【化46】 ただし、カッコの数字はモル組成比を表す。
【0192】
【化47】 ただし、カッコの数字はモル組成比を表す。
【0193】実施例4 式(7)、式(8)の液晶性ポリエステルを合成した。
式(7)の末端修飾液晶性ポリエステルの対数粘度は
0.07、液晶相としてネマチック相をもち、等方相−
液晶相転移温度は220℃、ガラス転移点は100℃で
あった。実施例1と同様の配向性試験を行った結果、式
(7)の液晶性ポリエステルがホメオトロピック配向性
を示し、正の一軸性であることが分かった。式(8)の
液晶性ポリエステルの対数粘度は0.18、ガラス転移
点は115℃、液晶相としてネマチック相をもち、等方
相−液晶相転移温度は200℃であった。実施例3と同
様の配向性試験を行った結果、式(8)の液晶性ポリエ
ステルが、ホモジニアス配向性であることがわかった。
式(7)、式(8)の液晶性ポリエステルを25:75
の重量比で含有する液晶性ポリエステルの5wt%テト
ラクロロエタン溶液を調製した。実施例2と同一の条件
で塗布、乾燥、熱処理を行い光学補償フィルムを得た。
該補償フィルムの膜厚0.48μmであった。このフィ
ルムの膜厚方向の平均チルト角は28度であった。実施
例2と同様の方法により全方位からのコントラスト比測
定を行い、実施例3と同様の結果を得た。また該補償フ
ィルムを、80℃で2日間保存した後、該フィルムを偏
光板に挟み配向状態の乱れを観察したところ配向の乱れ
は存在しなかった。
【0194】
【化48】 ただし、カッコの数字はモル組成比を表す。
【0195】
【化49】 ただし、カッコの数字はモル組成比を表す。
【0196】実施例5 式(9)、式(10)の液晶性ポリエステルを合成し
た。式(9)の末端修飾液晶性ポリエステルの対数粘度
は0.12、ガラス転移点は83℃、液晶相としてネマ
チック相をもち等方相−液晶相転移温度は220℃であ
った。式(10)の液晶性ポリエステルの対数粘度は
0.18、ガラス転移点は123℃、液晶相としてネマ
チック相をもち等方相−液晶相転移温度は190℃であ
った。実施例1と同様の配向性試験を行った結果、式
(9)、式(10)の液晶性ポリエステルはともにホメ
オトロピック配向性を示し、光学的に正の一軸性である
ことが分かった。式(9)、式(10)のポリマーを9
0:10の重量比で含有するの4wt%のフェノール/
テトラクロロエタン混合溶媒(6/4重量比)溶液を調
製した。ラビング処理した幅40cmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム上にロールコート法により長さ1
0mにわたって塗布し、120℃の熱風で乾燥したの
ち、180℃で20分間熱処理を行い冷却、固定化し
た。得られた光学補償フィルムの表面に粘着剤を有する
トリアセチルセルロースフィルムを該粘着剤を介して貼
り合わせ、次いでポリエチレンテレフタレートフィルム
を剥離し、該補償フィルムをトリアセチルセルロースフ
ィルムに転写した。光学補償フィルムの膜厚は0.60
μm、膜厚方向の平均チルト角は21度であった。各光
学素子の軸配置を図6に示した配置で、トリアセチルセ
ルロースフィルムが液晶セルに近い側にくるように、液
晶セルの上下に光学補償フィルムを各一枚づつ配置し
た。実施例2と同様の方法により全方位でのコントラス
ト比測定を行った。結果を図13に示す。また該補償フ
ィルムを、80℃で2日間保存した後、再び図6の配置
にてコントラスト比を測定した結果、図13と同様の結
果を得ることができた。
【0197】
【化50】 ただし、カッコの数字はモル組成比を表す。
【0198】
【化51】 ただし、カッコの数字はモル組成比を表す。
【0199】実施例6 式(11)、式(12)の液晶性ポリエステルを合成し
た。式(11)の末端修飾液晶性ポリエステルの対数粘
度は0.10、ガラス転移点は78℃、液晶相としてネ
マチック相をもち等方相−液晶相転移温度は180℃で
あった。実施例1と同様の配向性試験を行った結果、式
(11)の液晶性ポリエステルが、ホメオトロピック配
向性を示し、光学的に正の一軸性であることが分かっ
た。式(12)の液晶性ポリエステルの対数粘度は0.
18、ガラス転移点は116℃、液晶相としてネマチッ
ク相をもち、等方相−液晶相転移温度は300℃以上で
あった。実施例3と同様の配向性試験を行った結果、式
(12)の液晶性ポリエステルが、ホモジニアス配向性
であることがわかった。式(11)、式(12)のポリ
マーを50:50の重量比で含有する8wt%のN−メ
チル−2−ピロリドン溶液を調製した。ラビング処理し
た幅40cmのポリエーテルエーテルケトン上にダイコ
ート法により長さ10mにわたって塗布し、120℃の
熱風で乾燥したのち、220℃で10分間熱処理を行い
冷却、固定化した。得られた光学補償フィルムの表面に
粘着剤を有するトリアセチルセルロースフィルムを該粘
着剤を介して貼り合わせ、次いでポリエーテルエーテル
ケトンフィルムを剥離し、該補償フィルムをトリアセチ
ルセルロースフィルムに転写した。光学補償フィルムの
膜厚は0.58μm、膜厚方向の平均チルト角は34度
であった。各光学素子の軸配置を図6に示した配置で、
トリアセチルセルロースフィルムが液晶セルに近い側に
くるように、液晶セルの上下に光学補償フィルムを各一
枚づつ配置した。実施例2と同様の方法により全方位で
のコントラスト比測定を行い、実施例5と同様の結果を
得た。また該補償フィルムを、80℃で2日間保存した
後、該フィルムを偏光板に挟み配向状態の乱れを観察し
たところ配向の乱れは存在しなかった。
【0200】
【化52】 ただし、カッコの数字はモル組成比を表す。
【0201】
【化53】 ただし、カッコの数字はモル組成比を表す。
【0202】実施例7 実施例6で用いた式(11)、式(12)のポリマーを
10:90の重量比で含有する20wt%のN−メチル
−2−ピロリドン溶液を調製した。ラビング処理した幅
40cmのポリエーテルエーテルケトン上にダイコート
法により長さ10mにわたって塗布し、120℃の熱風
で乾燥したのち、220℃で10分間熱処理を行い冷
却、固定化した。得られた光学補償フィルムの表面に粘
着剤を有するトリアセチルセルロースフィルムを該粘着
剤を介して貼り合わせ、次いでポリエーテルエーテルケ
トンフィルムを剥離し、該補償フィルムをトリアセチル
セルロースフィルムに転写した。光学補償フィルムの膜
厚は1.50μm、膜厚方向の平均チルト角は15度で
あった。該フィルムを実施例6と同様に液晶セルに装填
し、全方位でのコントラスト比測定を行った。結果を図
14に示す。また該補償フィルムを、80℃で2日間保
存した後、コントラスト比を測定した結果、図14と同
様の結果を得ることができた。
【0203】実施例8 式(13)の末端修飾液晶性ポリエステルを合成した。
該液晶性ポリエステルの対数粘度は0.11、ガラス転
移点は81℃、液晶相としてネマチック相をもち等方相
−液晶相転移温度は190℃であった。実施例1と同様
の配向性試験を行った結果、該液晶性ポリエステルがホ
メオトロピック配向性を示し、光学的に正の一軸性であ
ることが分かった。式(13)のポリマーと式(2)の
ポリマーを3:7の割合で混合し15wt%のクロロホ
ルム溶液を調製した。該溶液をダイコート法によりラビ
ングポリイミド膜を有する40cm幅のポリアリレート
フィルム上に長さ10mにわたって塗布し、100℃の
熱風乾燥を行い、200℃で5分間熱処理を行い光学補
償フィルムを得た。該補償フィルムの膜厚は0.63μ
m、膜厚方向の平均チルト角は33度であった。Son
y製液晶カラーテレビXTL−610の偏光板を剥が
し、光学補償フィルムの空気界面側が液晶セルに近い側
に来るように、液晶セルの上下に各1枚づつ貼り合わせ
た。その後、偏光板を上下1枚ずつポリアリレートフィ
ルムに貼り合わせた。各光学素子の軸配置を図6に示し
た配置と同じになるようにした。実施例2と同様な方法
により全方位でのコントラスト比を測定した。その結果
を図15に示す。また該補償フィルムを、80℃で2日
間保存した後、再び図6の配置にてコントラスト比を測
定した結果、図15と同様の結果を得ることができた。
【0204】
【化54】 ただし、カッコの数字はモル組成比を表す。
【0205】比較例3 実施例8のSony製液晶カラーテレビXTL−610
に実施例8で得られた光学補償フィルムを装着していな
い場合の全方位でのコントラスト比を測定した。結果を
図16に示す。
【0206】実施例9 式(14)の末端修飾液晶性ポリエステルを合成した。
該液晶性ポリエステルの対数粘度は0.06、ガラス転
移点は84℃、液晶相としてネマチック相をもち等方相
−液晶相転移温度は170℃であった。実施例1と同様
の配向性試験を行った結果、該液晶性ポリエステルがホ
メオトロピック配向性を示し、光学的に正の一軸性であ
ることが分かった。式(14)のポリマーと式(4)の
ポリマーを4:6の割合で混合し10wt%のフェノー
ル/テトラクロロエタン混合溶媒(6/4重量比)溶液
を調製した。ロールコート法によりラビング処理した幅
40cmのポリイミドフィルムに長さ10mにわたって
塗工し、120℃の熱風乾燥、190℃で5分間熱処理
を行い光学補償フィルムを得た。次いで、紫外線硬化型
接着剤を該補償フィルムの表面に塗り、接着剤を介して
ポリビニルアルコールフィルムを貼り合わせた。紫外線
を照射し接着剤を硬化させたのち、ポリイミドフィルム
を剥離しポリビニルアルコールフィルムに光学補償フィ
ルムを転写した。該補償フィルムの膜厚は0.58μ
m、膜厚方向の平均チルト角は38度であった。Cas
io製液晶カラーテレビVM−101偏光板を剥がし、
光学補償フィルムの空気界面側が液晶セルに近い側に来
るように、液晶セルの上下に各1枚づつ貼り合わせた。
その後、偏光板を上下1枚ずつポリエーテルスルフォン
に貼り合わせた。各光学素子の軸配置を図6に示した配
置と同じになるようにした。実施例2と同様な方法によ
り全方位でのコントラスト比を測定した。その結果を図
17に示す。また該補償フィルムを、80℃で2日間保
存した後、再び図6の配置にてコントラスト比を測定し
た結果、図17と同様の結果を得ることができた。
【0207】
【化55】 ただし、カッコの数字はモル組成比を表す。
【0208】比較例4 実施例9のCasio製液晶カラーテレビVM−101
に実施例9で得られた光学補償フィルムを装着していな
い場合の全方位でのコントラスト比を測定した。結果を
図18に示す。
【0209】実施例10〜17および比較例5〜15 表1に示す組成のポリマーの7wt%のクロロホルム溶
液をそれぞれ調製した。ラビング処理した幅40cmの
ポリエーテルエーテルケトン上にダイコート法により長
さ10mにわたって該溶液を塗布し、120℃の熱風で
乾燥したのち、220℃で10分間熱処理を行い冷却、
固定化した。得られた光学補償フィルムの表面にN−ビ
ニルピロリドンを含有する光架橋性接着剤を塗布し、ト
リアセチルセルロースフィルムをラミネーターにより貼
り合わせ、30秒間紫外光を照射することにより硬化さ
せた。次いでポリエーテルエーテルケトンフィルムを剥
離し、光学補償フィルムをトリアセチルセルロースフィ
ルムに転写した。ついでポリエーテルエーテルケトンフ
ィルムが剥離された面に、先に用いたと同じ光架橋性接
着剤を塗布したポリエチレンフィルムをラミネーターに
より貼り合わせ、30秒間紫外光を照射することにより
硬化させた。ポリエチレンフィルムを注意深く剥離した
後、その面と厚さ1mmのガラスを粘着剤を介して貼り
合わせた。この時、該貼合物を偏光板に挟み観察しても
むらは見られなかった。次にこれらの貼合物を80℃で
2日間保存した後、再び偏光板に挟みその配向状態を観
察した。その結果を表1に示す。表1から明らかなよう
に高分子量成分を添加することにより配向の乱れが抑制
できることがわかった。
【0210】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学補償フィルムのチルト角測定に用
いた光学測定系の配置図を示す。
【図2】本発明の光学補償フィルムのチルト角測定に用
いた光学測定系の試料および偏光板の軸方位の関係を示
す。
【図3】実施例1において、基板のラビング方向に沿っ
て傾けて測定した見かけのリターデーション値と試料の
傾き角の関係を示す。
【図4】実施例1において、光学補償フィルムの浸漬後
の膜厚と試料の正面での見かけのリターデーション値の
測定結果を示す。
【図5】本発明の光学補償フィルムの配向構造の概念図
である。
【図6】実施例2において、各光学素子の軸配置を示
す。
【図7】実施例2の等コントラスト曲線を示す。
【図8】実施例2の横方向での階調特性の測定結果を示
す。
【図9】比較例1の等コントラスト曲線を示す。
【図10】比較例1の横方向での階調特性を示す。
【図11】比較例2の等コントラスト曲線を示す。
【図12】実施例3の等コントラスト曲線を示す。
【図13】実施例5の等コントラスト曲線を示す。
【図14】実施例7の等コントラスト曲線を示す。
【図15】実施例8の等コントラスト曲線を示す。
【図16】比較例3の等コントラスト曲線を示す。
【図17】実施例9の等コントラスト曲線を示す。
【図18】比較例4の等コントラスト曲線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沼尾 洋介 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日本石 油株式会社中央技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に次のおよびの正の一軸性を
    示す液晶性高分子から成る液晶性高分子組成物から形成
    され、該液晶性高分子組成物が液晶状態において形成し
    たネマチックハイブリッド配向を固定化せしめたもので
    あることを特徴とする光学補償フィルム。 一官能性の構造単位を有し、かつ光学的に正の一軸
    性を示す末端修飾液晶性高分子 末端修飾液晶性高分子より、フェノール/1,1,
    2,2−テトラクロロエタン(60/40(重量比))
    混合溶媒中、濃度0.5g/dlおよび30℃で測定し
    た対数粘度(dl/g)が0.01以上高い対数粘度を
    示すと共に、ガラス転移点が5℃以上高く、かつ光学的
    に正の一軸性を示す液晶性高分子
  2. 【請求項2】 の末端修飾液晶性高分子が、ホメオト
    ロピック配向性であることを特徴とする請求項1記載の
    光学補償フィルム。
  3. 【請求項3】 の液晶性高分子が、ホモジニアス配向
    性またはホメオトロピック配向性であることを特徴とす
    る請求項1または2記載の光学補償フィルム。
  4. 【請求項4】 末端修飾液晶性高分子を5〜70重量%
    含有する液晶性高分子組成物を用いることを特徴とする
    請求項1乃至3のいづれか1項記載の光学補償フィル
    ム。
  5. 【請求項5】 電極を備えた一対の透明基板とネマチッ
    ク液晶とからなる駆動用液晶セルと、該基板の上下に配
    置された上側偏光板と下側偏光板を少なくとも備えたツ
    イステッドネマチック型液晶表示装置であって、該基板
    と上側もしくは下側偏光板のうちどちらか一方の間また
    は該基板と上側および下側偏光板のそれぞれの間に請求
    項1乃至4のいづれか1項記載の光学補償フィルムを少
    なくとも1枚備えたことを特徴とするツイステッドネマ
    チック型液晶表示装置。
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