JPH10331674A - 車両用複合駆動システムの制御装置 - Google Patents

車両用複合駆動システムの制御装置

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JPH10331674A
JPH10331674A JP14545697A JP14545697A JPH10331674A JP H10331674 A JPH10331674 A JP H10331674A JP 14545697 A JP14545697 A JP 14545697A JP 14545697 A JP14545697 A JP 14545697A JP H10331674 A JPH10331674 A JP H10331674A
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康彦 北島
Kazuma Okura
一真 大蔵
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欣高 出口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転電機で内燃機関を駆動する時の回転電機
のトルク脈動と内燃機関の回転変動を抑制する。 【解決手段】 内燃機関に回転電機を連結し、回転状態
検出値Neとその指令値Ne*に基づいて回転電機をフ
ィードバック制御を行い、駆動指令値Tr*を演算する
とともに、回転状態検出値から内燃機関の平均負荷トル
クを演算し、この平均負荷トルクに応じて駆動指令値T
*を補正し、駆動指令値Tr1*にしたがって回転電機
8を駆動する。これにより、内燃機関1の広範囲な回転
状態において、内燃機関1の負荷変動による回転変動を
フィードバック制御だけでは抑制困難なレベルまで低減
できる。また、制御系の調整も容易になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関と回転電
機の車両用複合駆動システムを制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】内燃機関およびモータの両
方を動力源として備える車両用複合駆動システムでは、
エンジンで発電機を駆動して発電し、その電力を利用し
てモータで車両を駆動するシリーズ型と、エンジンまた
はモータのいずれか一方、あるいは両方で車両を駆動す
るパラレル型がある。シリーズ型におけるエンジンはほ
ぼ一定の回転数で駆動されるように制御されているのに
対し、パラレル型におけるエンジンは状況に応じてその
回転数が大きく変動する構成となっているために、エン
ジンの出力トルクの変動によるトルク脈動の影響が大き
くでてしまうという問題点がある。このような問題点を
解決する方法として、特開昭61−155625号公報
に開示されたような装置が知られている。この装置によ
れば、作動中の内燃機関の発生トルクに対して、回転電
機から逆位相のトルクを出力させることによって、内燃
機関のトルク脈動が抑制され、回転変動が小さくなる。
【0003】しかしながら、上記従来の装置では、回転
電機の発電期間と電動期間だけを制御しているので、こ
の方法を燃料供給停止中の内燃機関を駆動する回転電機
に応用しても、トルク脈動を十分に抑制できない上に、
内燃機関の広範囲な回転速度においてトルク脈動を抑制
するための調整が難しいという問題がある。
【0004】本発明の目的は、回転電機で内燃機関を駆
動する時の回転電機のトルク脈動と内燃機関の回転変動
を抑制することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1) 請求項1の発明は、内燃機関に回転電機を連結
した車両用複合駆動システムの制御装置であって、駆動
指令値にしたがって回転電機を駆動する駆動手段と、内
燃機関の回転状態を検出する回転検出手段と、回転状態
検出値とその指令値に基づいてフィードバック制御を行
い、駆動指令値を演算する演算手段と、回転状態検出値
から内燃機関の平均負荷トルクを演算し、この平均負荷
トルクに応じて駆動指令値を補正する補正手段とを備え
る。内燃機関に回転電機を連結し、回転状態検出値とそ
の指令値に基づいて回転電機のフィードバック制御を行
い、駆動指令値を演算するとともに、回転状態検出値か
ら内燃機関の平均負荷トルクを演算し、この平均負荷ト
ルクに応じて駆動指令値を補正し、駆動指令値にしたが
って回転電機を駆動する。 (2) 請求項2の車両用複合駆動システムの制御装置
は、回転状態検出値に内燃機関の回転角検出値を含み、
補正手段によって、回転角検出値に基づいて内燃機関の
回転角に同期して変化する負荷分を補正するようにした
ものである。 (3) 請求項3の車両用複合駆動システムの制御装置
は、回転状態検出値に内燃機関の回転速度検出値を含
み、補正手段によって、回転速度検出値に基づいて内燃
機関の回転速度に応じて変化する負荷分を補正するよう
にしたものである。 (4) 請求項4の車両用複合駆動システムの制御装置
は、補正手段によって、内燃機関の回転速度に応じて変
化する負荷分を線形近似して補正するようにしたもので
ある。 (5) 請求項5の車両用複合駆動システムの制御装置
は、内燃機関のスロットル開度を検出する開度検出手段
を備え、補正手段によって、スロットル開度検出値に基
づいて駆動指令値を補正するようにしたものである。 (6) 請求項6の車両用複合駆動システムの制御装置
は、補正手段によって、内燃機関への燃料供給の有無に
応じて駆動指令値を補正するようにしたものである。 (7) 請求項7の車両用複合駆動システムの制御装置
は、補正手段によって、回転速度指令値または回転速度
検出値が0の場合には補正量を0としたものである。
【0006】
【発明の効果】
(1) 請求項1の発明によれば、内燃機関に回転電機
を連結し、回転状態検出値とその指令値に基づいて回転
電機のフィードバック制御を行い、駆動指令値を演算す
るとともに、回転状態検出値から内燃機関の平均負荷ト
ルクを演算し、この平均負荷トルクに応じて駆動指令値
を補正し、駆動指令値にしたがって回転電機を駆動する
ようにしたので、内燃機関の広範囲な回転状態におい
て、内燃機関の負荷変動による回転変動をフィードバッ
ク制御だけでは抑制困難なレベルまで低減できる。ま
た、制御系の調整も容易になる。 (2) 請求項2の発明によれば、回転角検出値に基づ
いて内燃機関の回転角に同期して変化する負荷分を補正
するようにしたので、回転電機のトルク脈動と内燃機関
の回転脈動を抑制できる。 (3) 請求項3の発明によれば、回転速度検出値に基
づいて内燃機関の回転速度に応じて変化する負荷分を補
正するようにしたので、内燃機関の広範囲な回転速度に
おいて内燃機関の回転変動を抑制できる。 (4) 請求項4の発明によれば、内燃機関の回転速度
に応じて変化する負荷分を線形近似して補正するように
したので、制御定数のチューニングが容易になる。 (5) 請求項5の発明によれば、スロットル開度検出
値に基づいて駆動指令値を補正するようにしたので、ス
ロットル開度に応じて内燃機関の負荷が変化しても、内
燃機関の回転変動と回転電機のトルク脈動を抑制でき
る。 (6) 請求項6の発明によれば、内燃機関への燃料供
給の有無に応じて駆動指令値を補正するようにしたの
で、燃料供給の有無に応じて内燃機関の負荷が変化して
も、内燃機関の回転変動と回転電機のトルク脈動を抑制
できる。 (7) 請求項7の発明によれば、回転速度指令値また
は回転速度検出値が0の場合には補正量を0としたの
で、回転電機の無駄な電力消費を防止できる。
【0007】
【発明の実施の形態】内燃機関と回転電機の車両用複合
駆動システムの制御装置の一実施の形態を説明する。 −動力伝達機構の概要− 図1は一実施の形態の動力伝達機構の概要を示す。内燃
機関1の動力は、トルクコンバーター3またはトルクコ
ンバーター3と並列に接続されるロックアップクラッチ
4に伝達され、さらにトランスアクスル自動変速装置5
およびトランスアクスル減速装置・差動装置6を介して
駆動輪7a、7bに伝達される。
【0008】トルクコンバーター3から駆動輪7a、7
bまでの間の動力伝達機構には回転電機A10が連結さ
れ、その連結点において内燃機関1の動力と回転電機A
10の動力とが合流して駆動輪7a、7bに伝達され
る。一方、内燃機関1はクラッチ9を介して回転電機B
8と補機2と連結され、クラッチ9が締結状態にある時
は内燃機関1と回転電機B8の回転速度比が一定とな
る。
【0009】−動力伝達機構の詳細− 図2は、図1に示す動力伝達機構の詳細を示す。なお、
図1と同様な機器に対しては同一の符号を付して相違点
を中心に説明する。内燃機関1のブロックはトランスア
クスル11のケースと結合され、回転電機A10、回転
電機B8、補機2を支持する。なお、トランスアクスル
11にはトルクコンバーター3、ロックアップクラッチ
4、自動変速装置5、減速装置・差動装置6が含まれ
る。また、補機2には、車両用空調装置(以下、エアコ
ンと呼ぶ)のコンプレッサ、オルターネーター、パワー
ステアリング用ポンプ、内燃機関冷却用ウオーターポン
プなどが含まれる。トランスアクスル11からは左右に
ドライブシャフト(車軸)11a、11bが出ており、
各ドライブシャフト11a、11bに駆動輪7a、7b
が取り付けられている。
【0010】回転電機A10はトランスアクスル11の
第3軸11cに連結され、内燃機関1の動力と回転電機
A10の動力が第3軸11cで合流して駆動輪7a、7
bに伝達される。
【0011】回転電機B8は、クラッチ9とベルトドラ
イブ9aを介して内燃機関1のクランクシャフトに接続
されるとともに、ベルトドライブ9bを介して補機2に
接続される。油圧回路12はオイルポンプとその駆動用
モーターを内蔵しており、自動変速装置5のライン圧を
生成する。
【0012】図3に油圧回路12の詳細を示す。油圧回
路12には、内燃機関1により駆動されるオイルポンプ
20と、専用のモーター25により駆動されるオイルポ
ンプ21とを備えており、オイルポンプ20は逆止弁2
2aを介して自動変速装置5のライン圧23に接続さ
れ、オイルポンプ21は逆止弁22bを介してライン圧
23に接続される。これにより、オイルポンプ20と2
1の内の油圧の高い方からライン圧23に送油され、内
燃機関1が停止しても自動変速装置5に油圧を供給し続
けることができ、自動変速装置5のクラッチを締結して
動力伝達を可能にしている。なお、24はオイルパンで
ある。
【0013】−一実施の形態の制御装置の構成− 図4は一実施の形態の制御装置の構成を示す。コントロ
ールユニット13は内燃機関1を制御する内燃機関コン
トロールユニットであり、コントロールユニット14は
自動変速装置5を制御する自動変速装置コントロールユ
ニットである。また、コントロールユニット15は回転
電機A10の駆動回路31、回転電機B8の駆動回路3
2、クラッチ9の駆動回路34およびオイルポンプモー
ター25の駆動回路35を制御するハイブリッドシステ
ムコントロールユニットである。
【0014】ハイブリッドシステムコントロールユニッ
ト15には、アイドルスイッチ37、ブレーキスイッチ
38、車速センサー39、回転センサー40,42、開
度センサー41,43が接続される。アイドルスイッチ
37はアクセルペダルを開放した時にオンするスイッチ
であり、ブレーキスイッチ38はブレーキペダルが踏み
込まれた時にオンするスイッチである。車速センサー3
9はドライブシャフト11a,11bに接続され、所定
の回転角度ごとにパルス信号を出力する。車速センサー
39の出力パルス信号に基づいて車両の走行速度Vを検
出することができる。また、回転センサー40は内燃機
関1のクランクシャフトに接続され、所定のクランク角
ごとにパルス信号を発生する。この回転センサー40の
出力パルス信号に基づいて、内燃機関1のクランク角と
回転速度Neを検出することができる。開度センサー4
1はアクセル開度を検出する。さらにまた、回転センサ
ー42は回転電機B8の出力軸に接続され、回転電機B
8の所定の回転角ごとにパルス信号を発生する。この回
転センサー42の出力パルス信号に基づいて、回転電機
B8の回転速度を検出することができる。開度センサー
43は不図示のスロットルアクチュエータに接続され、
スロットル開度を検出する。
【0015】コントロールユニット13、14、15は
それぞれマイクロコンピュータとその周辺部品を内蔵し
ており、互いにインタフェースを介して通信を行う。ハ
イブリッドシステムコントロールユニット15から内燃
機関コントロールユニット13および自動変速装置コン
トロールユニット14へは、アイドルスイッチ37およ
びブレーキスイッチ38のオン、オフ信号、機関回転速
度信号Neなどが送られ、自動変速装置コントロールユ
ニット14からハイブリッドシステムコントロールユニ
ット15へは変速比信号、ロックアップ(L/U)信号
などが送られる。なお、コントロールユニット13、1
4、15へは低圧バッテリー36から電力が供給され
る。
【0016】なお、回転電機A10、B8にはそれぞれ
交流電動機(誘導機、同期機など)や直流電動機を用い
ることができる。インバーターやDC−DCコンバータ
ーなどの駆動回路31、32へは、高圧バッテリー33
から高圧直流電力が供給される。回転電機A10、B8
に交流電動機を用いる場合は、駆動回路31、32にそ
れぞれベクトル制御インバーターを用いる。また、クラ
ッチ9には電磁クラッチなどを用いることができ、低圧
バッテリー36から駆動回路34を介して直流電力が供
給される。さらに、オイルポンプモーター25には直流
電動機を用いることができ、低圧バッテリー36から駆
動回路35を介して直流電力が供給される。
【0017】−一実施の形態の動作− 図5〜図7は車両各部の動作を示すタイムチャート、図
8〜図13は一実施の形態の動作を示すフローチャー
ト、図14〜図18は各種制御パラメータのマップであ
る。これらの図により、一実施の形態の動作を説明す
る。ここでは、車両の走行パターンを(1)燃料噴射モ
ード、(2)ロックアップ(L/U)減速モード、
(3)モータリング減速モード、(4)移行モード、
(5)アイドルストップモード、(6)発進モードに分
けて説明する。なお、移行モードが終了すると移行終了
フラグがセットされ、発進モードの動作開始時に発進モ
ードフラグがセットされる。
【0018】一実施の形態の内燃機関と回転電機の複合
駆動システムでは、ハイブリッドシステムコントロール
ユニット15が中心となってその動作を制御する。 −モード判別動作− 図8は車両がどのモードで走行しているかを判別する処
理を示す。ステップ1において、移行終了フラグと発進
モードフラグをリセットしてステップ2へ進み、通常走
行時の燃料噴射モード制御を適用する。この通常走行時
の燃料噴射モード制御についてはすでに公知であり、説
明を省略する。ステップ3において、アイドルスイッチ
37がオンしているかどうかを確認し、アイドルスイッ
チ37がオンしていればステップ4へ進み、そうでなけ
ればステップ11へ進む。
【0019】アイドルスイッチ37がオン、すなわちア
クセルペダルが開放されると、ステップ4で内燃機関コ
ントロールユニット13により燃料噴射を停止する。続
くステップ5で車速Vが0かどうかを確認し、車両が停
止したらステップ12へ進み、停止していなければステ
ップ6へ進む。車両が停止していない時は、ステップ6
でロックアップクラッチ4が締結されているかどうかを
確認し、締結されていればステップ7へ進み、締結され
ていなければステップ8へ進む。
【0020】燃料供給が停止され、車両が走行中であ
り、ロックアップクラッチ4が締結されている時は、ス
テップ7で高速からの減速モード、すなわちL/U減速
モードと判定し、ステップ21へ進む。
【0021】一方、ロックアップクラッチ4が締結され
ていない時は、ステップ8で非L/U減速モードと判定
し、ステップ9へ進んで機関回転速度Neが所定値1よ
り低いかどうかを確認する。機関回転速度Neが所定値
1より低い時はステップ10へ進み、そうでなければス
テップ6へ戻る。ステップ10ではモータリング減速モ
ードと判定し、ステップ31へ進む。
【0022】燃料供給停止状態で車両が停止した時は、
ステップ12で移行終了フラグがリセットされているか
どうかを確認する。リセットされていればステップ13
へ進み、移行モードと判定してステップ41へ進む。一
方、移行終了フラグがセットされている時はステップ1
4へ進み、アイドルストップモードと判定してステップ
41へ進む。
【0023】ステップ3でアイドルスイッチ37がオ
フ、すなわちアクセルペダルが踏み込まれている時はス
テップ11へ進み、発進モードフラグがセットされてい
るかどうかを確認する。発進モードフラグがセットされ
ていればステップ71へ進んで発進モード動作を行な
い、そうでなければステップ1へ戻る。
【0024】−L/U減速モードの動作− 図5に示すタイムチャートを参照しながら、図9に示す
L/U減速モードの動作を説明する。このL/U減速モ
ードではロックアップクラッチ4とクラッチ9が締結状
態にあり、駆動輪7a、7bにより燃料供給停止状態に
ある内燃機関1が駆動されて内燃機関1が回転を続け、
補機2が内燃機関1に連れ回る。したがって、補機機能
が確保されるとともに、内燃機関1により油圧回路12
が駆動されて自動変速装置5のライン圧23が確保され
る。また、内燃機関1が回転しているので再加速時のた
めのクランキングが不要となり、燃料供給を再開すれば
駆動トルクが遅れなく立ち上がる。このL/U減速モー
ドにおいて、回転電機A10を回生駆動して車両の減速
エネルギーを回収し、高圧バッテリー33を充電する。
【0025】ステップ21において、まず、図14に示
す目標車軸トルクマップから車速に対応する目標車軸ト
ルクを求める。次にステップ22で、図15に示す内燃
機関フリクショントルクマップから内燃機関1の回転速
度Neに対応する内燃機関フリクショントルクを求め、
変速比を考慮して車軸トルクに換算し、内燃機関フリク
ション車軸トルクを算出する。さらにステップ23で、
図16に示す変速機フリクショントルクマップから機関
回転速度Neに対応する変速機フリクショントルクを求
め、変速比を考慮して車軸トルクに換算し、変速機フリ
クション車軸トルクを算出する。
【0026】目標車軸トルクは、内燃機関フリクション
車軸トルクと、変速機フリクション車軸トルクと、回生
車軸トルクとの合計値で与えられる。ステップ24で、
目標車軸トルクから内燃機関フリクション車軸トルクと
変速機フリクション車軸トルクを減じて回生車軸トルク
を求める。さらに、回生車軸トルクを回転電機A10が
連結される第3軸11cのトルクに換算し、回転電機A
10の目標回生トルクを求める。ステップ25で、ブレ
ーキスイッチ39によりブレーキの作動が検出される
と、回転電機A10の回生トルクが目標回生トルクとな
るように回転電機A10をトルク制御する。
【0027】このように、ロックアップクラッチ4を締
結したままで減速するL/U減速モードでは、内燃機関
1への燃料供給を停止して回転電機A10により回生制
動をかけることによって、図5に示すように、車速Vが
徐々に低下し、それにともなって機関回転速度Neも低
下する。なおこの時、クラッチ9が締結されているので
回転電機B8と補機2が内燃機関1と連れ回り、補機機
能が確保される。
【0028】−モータリング減速モードの動作− 図5に示すタイムチャートを参照しながら、図10に示
すモータリング減速モードの動作を説明する。減速時に
回転電機A10による回生制動と内燃機関1および自動
変速装置5のフリクションとによって車速が低下する
と、自動変速装置コントロールユニット14により予め
設定された変速線図にしたがって変速制御が行なわれ
る。しかし、変速比は有限であり、最大変速比に達した
後はロックアップクラッチ4を解除しないと、車速の低
下にともなって内燃機関1がアイドル回転速度以下にな
り、停止してしまう。そこで、変速比が大きくなったら
ロックアップクラッチ4の締結を解除し、滑りを許容で
きるトルクコンバーター3により動力の伝達を行なう。
自動変速装置コントロールユニット14は、機関回転速
度Ne、車速Vなどに基づいてロックアップクラッチ4
の締結と解除を制御し、ハイブリッドシステムコントロ
ールユニット15へ制御結果のロックアップ信号を送
る。
【0029】ロックアップクラッチ4の締結解除にとも
なって、内燃機関1は自身のフリクションにより急速に
回転速度Neが低下する。燃料消費を節約するためにモ
ータリング減速モードでも燃料供給を再開しないことに
すると、駆動輪7a、7bがトルクコンバーター3を介
して内燃機関1を駆動するものの、特に低速では駆動力
が不足して内燃機関1が停止してしまう。
【0030】そこで、この実施の形態では、減速時にロ
ックアップクラッチ4が非締結状態になったら、クラッ
チ9を締結したまま回転電機B8により内燃機関1を駆
動し、内燃機関1の停止を防止する。この時の回転電機
B8の所要動力は、駆動輪7a、7bによりトルクコン
バーター3を介して内燃機関1が駆動されているので、
その不足分を補うだけのわずかな動力で十分である。
【0031】図10のステップ31で目標機関回転速度
に所定値2を設定する。なお、この所定値2は所定値1
よりも低い回転速度であり、車速に対するマップとして
予め設定される。続くステップ32〜34において、機
関回転速度Neが所定値2となるように回転電機B8を
制御する。すなわち、ステップ32で機関回転速度Ne
の検出値と目標値との差分を計算し、ステップ33で差
分にゲインをかけて回転電機B8の目標トルクを求め
る。そして、ステップ34で回転電機B8の出力トルク
が目標トルクとなるように回転電機B8をトルク制御す
る。
【0032】一方、このモータリング減速モードにおい
ても、L/U減速モードに引き続いて回転電機A10に
よる減速エネルギーの回収が行なわれる。モータリング
減速モードにおける回転電機A10の目標回生トルクは
次のようにして決定する。
【0033】ステップ35において、図14に示す目標
車軸トルクマップから車速に対応する目標車軸トルクを
求める。次にステップ36で、機関回転速度Ne、車速
Vおよび変速比に基づいてトルクコンバーター3の入力
軸と出力軸の回転速度を求め、その速度比を計算する。
そして、図17に示すトルクコンバーター3の入力容量
係数マップから、トルクコンバーター3が伝達している
トルク(=τ*Ne2、τ;入力トルク容量係数)を演
算し、変速比を考慮して車軸トルクに換算し、トルコン
伝達車軸トルクを求める。
【0034】ステップ37で、図15に示す変速機フリ
クショントルクマップから機関回転速度Neに対応する
変速機フリクショントルクを求め、変速比を考慮して車
軸トルクに換算し、変速機フリクション車軸トルクを演
算する。
【0035】目標車軸トルクは、トルコン伝達車軸トル
クと変速機フリクション車軸トルクと回生車軸トルクと
の合計値で与えられる。ステップ38で、目標車軸トル
クからトルコン伝達車軸トルクと変速機フリクション車
軸トルクを減じて回生車軸トルクを求める。さらに、回
生車軸トルクを回転電機A10が連結される第3軸11
cのトルクに換算し、回転電機A10の目標回生トルク
を求める。ステップ39で、回転電機A10の回生トル
クが目標回生トルクとなるように回転電機A10をトル
ク制御する。
【0036】このように、内燃機関1のクランクシャフ
トと補機2との間にクラッチ9を設けるとともに、補機
2と連れ回る回転電機B8を設け、さらにトルクコンバ
ーター3と駆動輪7a、7bとの間の動力伝達機構と連
れ回る回転電機A10を設ける。そして、減速時にロッ
クアップクラッチ4が締結されている時には、回生車軸
トルクが目標値になるように回転電機A10をトルク制
御する。さらに、減速中にロックアップクラッチ4の締
結が解除されると、内燃機関1が目標回転速度となるよ
うに回転電機Bを速度制御し、その状態において回生車
軸トルクがその目標値となるように回転電機Aをトルク
制御する。これにより、上述した減速時の第1の問題、
すなわち補機機能の喪失、自動変速装置の動力伝達機能
の喪失、再加速時の駆動力の立ち上がり遅れを解決で
き、その上、エネルギー回生を適切に行なうことができ
る。
【0037】−移行モードの動作− 図6に示すタイムチャートを参照しながら、図11に示
す移行モードの動作を説明する。上述したモータリング
減速モードから車両停止に至った場合には、回転電機B
8により内燃機関1が所定値2の回転速度になるように
駆動制御されているため、車両にクリープ力が発生す
る。この状態でも上述した車両停止時の第2の問題を解
決できているが、補機駆動とクリープ力発生のための動
力の他に、内燃機関1を駆動する動力が必要になる。減
速時は駆動輪7a、7bからの回生動力と回転電機B8
の動力とにより内燃機関1と補機2を駆動していたが、
停止時は回転電機B8だけで内燃機関1と補機2を駆動
し、さらにクリープ力を発生させなければならないの
で、回転電機B8の動力損失が大きくなる。
【0038】そこで、この実施の形態では、車両停止時
には内燃機関1を停止して動力損失を低減する方法を選
択する。つまり、クラッチ9を開放して内燃機関1を停
止させるとともに、車両停止時の補機機能を確保するた
めに回転電機B8により補機2を駆動するとともに、車
両停止時のクリープ力を確保するために回転電機A10
によりクリープ力を発生させる。
【0039】図11のステップ41において、図14に
示すマップから車速0における目標車軸トルクを求め、
目標クリープトルクとする。続くステップ42で、クラ
ッチ9の動力伝達容量を所定値まで下げる。これによ
り、図6に示すように、内燃機関1はフリクションによ
り回転速度Neが低下していく。ステップ43で回転電
機B8の回転速度を所定値2に保持する。
【0040】機関回転速度Neが低下するにつれてトル
クコンバーター3の伝達トルク(トルコン伝達トルク)
が減少する。ステップ44で、トルコン伝達トルクを求
める。トルコン伝達トルクは、入力トルク容量係数を
τ、トルクコンバーター3のトルク比をtとすると、
(τ*Ne2*t)で表わされる。ステップ45で目標
クリープトルクからトルコン伝達トルクによるクリープ
トルク分を差し引いて、回転電機A10によるクリープ
トルクを算出する。そして、ステップ47で回転電機A
10によるクリープトルクを第3軸11cのトルクに換
算し、回転電機A10の目標トルクを計算する。ステッ
プ48で回転電機A10の出力トルクが目標トルクとな
るように回転電機A10をトルク制御する。
【0041】ステップ49で、アイドルスイッチ37が
オンしているかどうかを確認し、オンしていればステッ
プ50へ進み、オンしていなければステップ71(発進
モード処理)へ進む。ステップ50では、車速Vが0か
どうかを確認し、0であればステップ51へ進み、0で
なければステップ71へ進む。ステップ51では内燃機
関回転速度Neが0かどうかを確認し、0であればステ
ップ52へ進み、0でなければステップ3へ戻る。
【0042】ステップ52において、クラッチ9を完全
に開放してトルコン伝達トルクを0にする。さらにステ
ップ53で移行終了フラグをセットしてステップ3へ戻
る。
【0043】−アイドルストップモードの動作− 次に、図6に示すタイムチャートを参照しながら、図1
2に示すアイドルストップモードの動作を説明する。ス
テップ61において、移行モードに引き続いて回転電機
B8の回転速度が所定値2になるように回転電機B8を
速度制御し、補機2を駆動する。続くステップ62で、
車軸トルクが目標クリープトルクとなるように回転電機
A10をトルク制御する。ステップ63でアイドルスイ
ッチ37がオンしているかどうかを確認し、オンしてい
ればステップ64へ進み、オンしていなければステップ
71(発進モード処理)へ進む。アイドルスイッチ37
がオンしている時は、ステップ64で車速Vが0かどう
かを確認し、0であればステップ61へ戻ってアイドル
ストップモードの動作を続ける。一方、車速が0でなけ
ればステップ71(発進モード処理)へ進む。
【0044】このように、内燃機関1のクランクシャフ
トと補機2との間にクラッチ9を設けるとともに、補機
2と連れ回る回転電機B8を設け、さらにトルクコンバ
ーター3と駆動輪7a、7bとの間の動力伝達機構と連
れ回る回転電機A10を設ける。そして、車両停止後は
クラッチ9の伝達トルクを下げて内燃機関1の回転速度
を低下させ、トルコン伝達トルクが低下した分だけ回転
電機A10の駆動トルクを増加してクリープトルクを確
保するとともに、回転電機B8を所定回転速度で駆動し
て補機2の駆動を継続する。また、内燃機関停止後はク
ラッチ9を完全に開放し、回転電機A10のみによりク
リープトルクを発生させるとともに、回転電機B8によ
り補機2を駆動し続ける。これにより、上述した車両停
止時の第2の問題、すなわち補機機能とクリープ力喪失
の問題を解決できる。
【0045】−発進モードの動作− 図7に示すタイムチャートを参照しながら、図13に示
す発進モードの動作を説明する。停車時にアクセルペダ
ルが踏込まれて発進加速する場合には、内燃機関1を始
動してから加速し始めるため、従来の駆動システムに比
べてクランキング時間が余分にかかり、トルクの立ち上
がりが遅くなる。この結果、運転性能が低下する。そこ
で、この実施の形態では、内燃機関1の始動遅れを補償
するために、回転電機A10により発進トルクを発生さ
せる。
【0046】ステップ71で発進モードフラグがセット
されているとステップ72へ進み、クラッチ9を締結す
る。これにより、停止状態にある内燃機関1が回転電機
B8により始動される。クラッチ締結直後には、内燃機
関1を停止状態から始動するために回転電機B8の負荷
が急激に増加し、回転電機B8の回転速度が低下する。
ステップ73で回転電機B8の回転速度を検出し、続く
ステップ74で回転電機B8の回転速度が上記所定値2
となるように回転電機B8を速度制御する。なお、発進
モードでは回転電機B8に所定値2と異なる目標回転速
度を設定してもよい。
【0047】ステップ75で、図18に示すマップを参
照して、開度センサー41により検出されたアクセル開
度に応じた目標車軸トルクを決定する。発進モード動作
を開始した直後は内燃機関1によるトルコン車軸トルク
が0であるから、この目標車軸トルクを回転電機A10
による目標車軸トルクとする。内燃機関1が始動して内
燃機関1によるトルコン車軸トルクが立上がると、アク
セル開度に応じた目標車軸トルクから内燃機関1による
トルコン車軸トルクを減じて回転電機A10による目標
車軸トルクを求める。ステップ76で、回転電機A10
による目標車軸トルクを回転電機A10が接続される第
3軸11cのトルクに換算し、回転電機A10の目標ト
ルクを計算する。ステップ77で、回転電機A10の出
力トルクが目標トルクとなるように回転電機A10をト
ルク制御する。
【0048】ステップ78で内燃機関1へ燃料供給を再
開して始動制御を行い、続くステップ79で内燃機関1
が燃焼を始めたかどうかを調べる。例えば内燃機関1の
回転速度変化が所定値を超えた時、あるいは、回転電機
B8の負荷トルクが正から負に反転した時に内燃機関1
が完爆したと判断する。内燃機関1が完爆したらステッ
プ80へ進み、そうでなければステップ71へ戻る。内
燃機関始動後は、ステップ80で回転電機B8の出力ト
ルクを0にする。以後、回転電機B8は内燃機関1から
クラッチ9を介して連れ回り、補機2も内燃機関1によ
り駆動される。
【0049】ステップ81で、回転電機A10の電流が
力行側かどうかを確認する。図7に示すように、内燃機
関1の始動が完了してトルコン車軸トルクが立上がる
と、相対的に回転電機A10の駆動トルクが減少する。
そして、遂には内燃機関1によるトルコン車軸トルクの
みにより車両が駆動されるようになり、その時から回転
電機A10の駆動トルク、すなわち力行側電流が0にな
る。回転電機A10に力行側電流が流れていればステッ
プ71へ戻って発進モード動作を続け、そうでなければ
発進完了と判断してステップ82へ進む。ステップ82
では発進モードフラグをリセットしてステップ3へ戻
る。
【0050】このように、内燃機関1のクランクシャフ
トと補機2との間にクラッチ9を設けるとともに、補機
2と連れ回る回転電機B8を設け、さらにトルクコンバ
ーター3と駆動輪7a、7bとの間の動力伝達機構と連
れ回る回転電機A10を設ける。そして、発進時にはク
ラッチ9を締結して回転電機B8により内燃機関1を始
動するとともに、回転電機A10によりアクセル開度に
応じた目標車軸トルクを発生させ、車両を発進させる。
内燃機関1の始動後は回転電機B8を空転させるととも
に、内燃機関1の出力トルクの立ち上がりに応じて回転
電機A10の出力トルクを減少させる。これにより、車
両発進時の第3の問題、すなわち内燃機関1のトルクの
立ち上がり遅れを解決できる。
【0051】次に、停止時における自動変速装置5の油
圧の確保について説明する。上述したように、発進時に
内燃機関1の始動遅れがあっても、回転電機A10のア
シストによって車両の駆動力の遅れを防止できる。しか
し、回転電機A10とバッテリーの能力を極力小さくす
るためには、できる限り内燃機関1の始動遅れを小さく
する必要がある。この実施の形態では、内燃機関停止時
にもモーター25を内蔵した油圧回路12から自動変速
装置5のライン圧23を維持しているので、内燃機関1
の停止時にも自動変速装置5のクラッチが締結可能であ
る。したがって、内燃機関1の動力のみによりオイルポ
ンプを駆動する従来のシステムに比べてクラッチの締結
遅れがなく、その分だけ回転電機A10とバッテリーの
能力を小さくできる上に、発進時のトルクの立ち上がり
遅れを小さくできる。
【0052】−動力伝達機構の変形例− 図19は変形例の内燃機関1と回転電機B8の構成を示
す。この変形例では、内燃機関1と補機2がベルトドラ
イブ51でつながれ、回転電機B8と補機2とがベルト
ドライブ52でつながれる。そして、クラッチ9がベル
トドライブ51の補機2側のプーリー51aとベルトド
ライブ52の補機2側のプーリー52aとの間に設置さ
れる。この変形例の動作は上述した実施の形態の動作と
同様である。
【0053】−動力伝達機構の他の変形例− 上述した実施の形態では、停車状態において内燃機関1
を完全に停止するとともに燃料供給を停止する例を示し
たが、停車時に内燃機関1を回転電機B8により回転駆
動し、燃料供給のみを停止するようにしてもよい。この
方法でも上述した第3の問題を解決することができる。
ただし、この方法によれば、減速時に加え停車時にも回
転電機B8をモータリングするため、回転電機B8の電
力消費が増加する。しかし、発進時には内燃機関1が回
転しているので燃料噴射を再開すればただちに駆動力が
立ち上がり、発進時の応答性が改善される。
【0054】−回転電機Bのトルク脈動および回転変動
の抑制制御− 図20は、クラッチ9を介して内燃機関1と連れ回る回
転電機B8の制御系を示すブロック図である。なお、上
述した図1〜図4に示す機器と同様な機器に対しては同
一の符号を付して相違点を中心に説明する。この制御は
ハイブリッドシステムコントロールユニット15のソフ
トウエア形態で実行される。回転電機B8の制御系は、
基本的には速度制御系とトルク制御系により構成され、
トルク制御系のトルク指令値を補正するための平均負荷
補正回路61と脈動負荷補正回路62を備えている。
【0055】回転センサー40は内燃機関1の所定のク
ランク角ごとにパルス信号を発生する。速度演算回路6
3は、回転センサー40の出力パルス列の周期および単
位時間当たりのパルス数を計測して機関回転速度Neを
検出する。速度制御系では、減算器64で機関回転速度
指令値Ne*と機関回転速度検出値Neが比較され、そ
の偏差(Ne*−Ne)が速度制御器65により演算増
幅されて第1のトルク指令値Tr*が出力される。加算
器66で第1のトルク指令値Tr*に脈動負荷補正トル
クTc1が加算され、次に加算器67で平均負荷補正ト
ルクTc2が加算されて第2のトルク指令値Tr1*
求められる。トルク制御系では、電流制御演算回路70
で第2のトルク指令値Tr1*から電流指令値I*が求め
られ、減算器68で電流指令値I*と駆動回路32から
の電流フィードバック値Iとが比較される。そして、偏
差(I*−I)が電流制御器69により演算増幅され、
電圧指令値V*が駆動回路32へ出力される。
【0056】なお、この実施の形態では回転電機B8に
誘導機や同期機などの交流電動機を用い、駆動回路32
にベクトル制御インバーターを用いた例を示すが、回転
電機B8に直流電動機を用い、駆動回路32にPWM電
圧回路を用いてもよい。
【0057】ここで、内燃機関1を回転電機B8で駆動
する場合の機関回転速度Neの応答は、内燃機関1を含
む回転部の合計の慣性をJ、回転電機B8の出力トルク
をTr、回転部の粘性係数をDとすれば、
【数1】Ne=(1/J)/(s+D/J)*Tr で表わすことができる。しかし、Dは一般に一定値とは
ならない。そこで、平均負荷トルクの補正を行なえば、
粘性係数を等価的に一定値Dcmpにすることができ
る。すなわち、図21に示すように、非線形な実際の内
燃機関1の平均負荷トルクが一次直線で表わされる平均
負荷トルクに近似され、この近似平均負荷トルクと負荷
トルクの差を上述した平均負荷補正トルクTc2とす
る。すなわち、
【数2】Tc2=(D−Dcmp)*Ne
【0058】また、内燃機関1の平均負荷トルクはスロ
ットル開度に逆比例し、図22に示すようにスロットル
開度が増加すると同一の機関回転速度Neに対して平均
負荷トルクが減少する。したがって、スロットル開度の
増加に応じて補正係数(D−Dcmp)を低減し、スロ
ットル開度に応じた平均負荷補正トルクTc2を計算す
る。
【0059】実際には、機関回転速度Neとスロットル
開度に対する内燃機関1の負荷トルクを計測し、計測負
荷トルクに基づいて近似負荷トルクを求め、平均負荷補
正トルクTc2を設定する。そして、スロットル開度ご
との補正係数(D−Dcmp)をメモリに記憶してお
き、回転電機B8の制御時に数式2によりスロットル開
度と機関回転速度Neに応じた平均負荷補正トルクTc
2を演算する。あるいはまた、平均負荷補正トルクTc
2をマップ化してメモリに記憶しておき、回転電機B8
の制御時に平均負荷補正トルクマップを参照して機関回
転速度Neとスロットル開度に応じた平均負荷補正トル
クTc2を表引き演算する。
【0060】このように、平均負荷補正回路61は、内
燃機関1を回転電機B8で駆動する場合の、機関回転速
度Neに対する平均負荷トルクを1次直線で近似し、機
関回転速度Neに応じた平均負荷補正トルクTc2を決
定するとともに、スロットル開度に応じて平均負荷補正
トルクTc2を補正する。これにより、機関回転速度と
スロットル開度に応じた正確な平均負荷補正トルクTc
2を求めることができ、広範囲な機関回転速度Neに対
して回転電機B8による内燃機関1の速度制御精度を向
上させることができる。
【0061】一方、内燃機関1を回転電機B8で駆動す
る場合には、図23に示すようにクランク角に応じた負
荷トルクの脈動が発生する。脈動負荷補正回路62は、
トルク脈動を抑制するために、回転センサー40により
検出したクランク角に応じて脈動負荷補正トルクTc1
を生成する。この脈動負荷補正トルクTc1は、内燃機
関1の実際の脈動負荷トルクと振幅が同じで逆位相のト
ルクである。
【0062】また、内燃機関1の脈動負荷トルクは、図
24に示すようにスロットル開度が増加するとその振幅
が増加する。そこで、スロットル開度に応じて脈動負荷
補正トルクTc1を補正する。
【0063】このように、脈動負荷補正回路62は、内
燃機関1を回転電機B8で駆動する場合の、内燃機関1
の脈動負荷トルクを打ち消すための脈動負荷補正トルク
Tc1を決定するとともに、スロットル開度に応じて脈
動負荷補正トルクTc1を補正する。これにより、機関
回転速度Neとスロットル開度に応じた正確な脈動負荷
補正トルクを求めることができ、トルク脈動を正確に抑
制することができる。
【0064】さらに、内燃機関1を回転電機B8で駆動
する場合には、図25に示すように内燃機関1への燃料
供給の有無によって脈動負荷トルクの振幅と位相が変化
する。すなわち、燃料を供給して内燃機関1を始動する
と、始動前に比べて脈動負荷トルクの振幅が増加し、脈
動位相が遅れる。そこで、内燃機関1への燃料供給の有
無に応じて脈動負荷補正トルクTc1を補正することに
より、正確な脈動負荷補正トルクを得ることができ、ト
ルク脈動をさらに正確に抑制することができる。
【0065】実際には、内燃機関1のクランク角、スロ
ットル開度および燃料供給の有無に対する脈動負荷トル
クを計測し、計測脈動負荷トルクに基づいて脈動負荷補
正トルクTc1を設定する。そして、脈動負荷補正トル
クTc1をマップ化してメモリに記憶しておき、回転電
機B8の制御時に脈動負荷補正トルクマップを参照して
クランク角、スロットル開度および燃料噴射の有無に応
じた脈動負荷補正トルクTc1を表引き演算する。
【0066】なお、機関回転速度指令値Ne*が0の時
は、回転電機B8に電流を流してトルクを発生させる必
要はない。したがって、機関回転速度指令値Ne*が0
の時は平均負荷補正トルクTc2を0にし、駆動回路3
2から回転電機B8に電流が流れないようにする。これ
により、回転電機B8に無用な電流が流れるのを防止で
きる。また、機関回転速度指令値Ne*の代りに、機関
回転速度検出値Neが0の時に平均負荷補正トルクTc
2を0にしても同様な効果が得られる。
【0067】図26は、回転電機B8の制御プログラム
を示すフローチャートである。ハイブリッドシステムコ
ントロールユニット15は、回転電機B8により内燃機
関1を駆動するモーターリング減速モードと発進モード
において、所定の時間間隔で図26の制御プログラムを
実行する。ステップ1において、機関回転速度指令値N
*を読み込む。この機関回転速度指令値Ne*は、モー
タリング減速モードと発進モードにおける所定値2であ
る。さらに、開度センサー43により検出されたスロッ
トル開度を読み込む。
【0068】ステップ92で回転センサー40から出力
されるクランク角パルス信号を計測し、続くステップ9
3で計測結果に基づいて機関回転速度Neを演算する
(速度演算回路63)。ステップ94では、機関回転速
度指令値Ne*と機関回転速度検出値Neに基づいてフ
ィードバック速度制御演算を行ない、第1のトルク指令
値Tr*を算出する(減算器64と速度制御器65)。
続くステップ95では、クランク角信号、スロットル開
度および燃料供給の有無に基づいて脈動負荷補正トルク
Tc1を表引き演算する(脈動負荷補正回路62)。そ
して、ステップ96で脈動負荷補正トルクTc1により
トルク指令値を補正する(加算器66)。
【0069】ステップ97において、機関回転速度検出
値Neおよびスロットル開度に基づいて平均負荷補正ト
ルクTc2を表引き演算する(平均負荷補正回路6
1)。なおこの時、機関回転速度指令値Ne*が0、ま
たは機関回転速度検出値Neが0の時は平均負荷補正ト
ルクTc2を0にする。続くステップ98で、平均負荷
補正トルクTc2によりトルク指令値を補正する(加算
器67)。ステップ99で、トルク指令値Tr1*より
電流指令値I*を演算する(電流指令値演算回路7
0)。ステップ100では、電流指令値I*と電流検出
値Iに基づいてフィードバック電流制御演算を行ない、
電圧指令値V*を算出する(減算器68と電流制御器6
9)。そして、ステップ101で、算出した電圧指令値
*により駆動回路32を制御し、回転電機B8を速度
制御する。
【0070】なお、上述した回転電機B8の制御では、
スロットル開度に応じて脈動負荷補正トルクTc1と平
均負荷補正トルクTc2を補正する例を示したが、この
ようなスロットル開度に応じた補正を省略してもよい。
また、上述した回転電機B8の制御では、内燃機関1へ
の燃料供給の有無に応じて脈動負荷補正トルクTc1を
補正する例を示したが、このような燃料供給の有無に応
じた補正を省略してもよい。さらに、上述した回転電機
B8の制御では、機関回転速度指令値Ne*が0または
機関回転速度検出値Neが0の時は平均負荷補正トルク
Tc2を0にする例を示したが、このような制御を省略
してもよい。
【0071】以上の一実施の形態の構成において、回転
電機B8が回転電機を、内燃機関1が内燃機関を、減算
器68、トルク制御器69および駆動回路32が駆動手
段を、回転センサー40および速度演算回路63が回転
検出手段を、減算器64および速度制御器65が演算手
段を、平均負荷補正回路61および脈動負荷補正回路6
2が補正手段を、開度センサー43が開度検出手段をそ
れぞれ構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施の形態の車両の動力伝達機構の概要を
示す図である。
【図2】 図1に示す動力伝達機構の詳細を示す図であ
る。
【図3】 一実施の形態の油圧回路を示す図である。
【図4】 一実施の形態の制御装置の構成を示す図であ
る。
【図5】 ロックアップ減速モード時およびモータリン
グ減速モード時の車両各部の動作を示すタイムチャート
である。
【図6】 移行モード減速時およびアイドルストップモ
ード時の車両各部の動作を示すタイムチャートである。
【図7】 発進モード時の車両各部の動作を示すタイム
チャートである。
【図8】 モード判別処理を示すフローチャートであ
る。
【図9】 ロックアップ減速モードの動作を示すフロー
チャートである。
【図10】 モータリング減速モードの動作を示すフロ
ーチャートである。
【図11】 移行モードの動作を示すフローチャートで
ある。
【図12】 アイドルストップモードの動作を示すフロ
ーチャートである。
【図13】 発進モードの動作を示すフローチャートで
ある。
【図14】 目標車軸トルクマップを示す図である。
【図15】 内燃機関フリクショントルクマップを示す
図である。
【図16】 自動変速装置フリクショントルクマップを
示す図である。
【図17】 トルクコンバーターの入力トルク容量係数
マップを示す図である。
【図18】 目標車軸トルクマップを示す図である。
【図19】 発明の一実施の形態の変形例の複合駆動シ
ステムを示す図である。
【図20】 回転電機Bの制御ブロック図である。
【図21】 内燃機関の回転速度に対する平均負荷トル
ク特性と平均近似負荷トルク特性を示す図である。
【図22】 内燃機関の回転速度とスロットル開度に対
する平均負荷トルク特性と平均近似負荷トルク特性を示
す図である。
【図23】 回転電機により内燃機関を駆動した時の、
脈動負荷トルクと脈動負荷補正トルクを示す図である。
【図24】 回転電機により内燃機関を駆動した時の、
スロットル開度に応じた脈動負荷トルクと脈動負荷補正
トルクを示す図である。
【図25】 回転電機により内燃機関を駆動した時の、
燃料供給の有無に応じた脈動負荷トルクと脈動負荷補正
トルクを示す図である。
【図26】 回転電機Bの制御プログラムを示すフロー
チャートである。
【符号の説明】
1 内燃機関 2 補機 3 トルクコンバーター 4 ロックアップクラッチ 5 トランスアクスル自動変速装置 6 トランスアクスル減速装置・差動装置 7a,7b 駆動輪 8 回転電機B 9 クラッチ 9a,9b ベルトドライブ 10 回転電機A 11 トランスアクスル 11a,11b ドライブシャフト(車軸) 12 油圧回路 13 内燃機関コントロールユニット 14 自動変速装置コントロールユニット 15 ハイブリッドシステムコントロールユニット 20,21 オイルポンプ 22a,22b 逆止弁 23 ライン圧 24 オイルパン 31,32 駆動回路 33 高圧バッテリー 34,35 駆動回路 36 低圧バッテリー 37 アイドルスイッチ 38 ブレーキスイッチ 39 車速センサー 40,42 回転センサー 41,43 開度センサー 51,52 ベルトドライブ 51a,52a プーリー

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関に回転電機を連結した車両用複
    合駆動システムの制御装置であって、 駆動指令値にしたがって回転電機を駆動する駆動手段
    と、 内燃機関の回転状態を検出する回転検出手段と、 前記回転状態検出値とその指令値に基づいてフィードバ
    ック制御を行い、前記駆動指令値を演算する演算手段
    と、 前記回転状態検出値から内燃機関の平均負荷トルクを演
    算し、この平均負荷トルクに応じて前記駆動指令値を補
    正する補正手段とを備えることを特徴とする車両用複合
    駆動システムの制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の車両用複合駆動システ
    ムの制御装置において、 前記回転状態検出値には内燃機関の回転角検出値が含ま
    れ、 前記補正手段は、前記回転角検出値に基づいて内燃機関
    の回転角に同期して変化する負荷分を補正することを特
    徴とする車両用複合駆動システムの制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の車両用
    複合駆動システムの制御装置において、 前記回転状態検出値には内燃機関の回転速度検出値が含
    まれ、 前記補正手段は、前記回転速度検出値に基づいて内燃機
    関の回転速度に応じて変化する負荷分を補正することを
    特徴とする車両用複合駆動システムの制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の車両用複合駆動システ
    ムの制御装置において、 前記補正手段は、内燃機関の回転速度に応じて変化する
    負荷分を線形近似して補正することを特徴とする車両用
    複合駆動システムの制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの項に記載の車
    両用複合駆動システムの制御装置において、 内燃機関のスロットル開度を検出する開度検出手段を備
    え、 前記補正手段は、前記スロットル開度検出値に基づいて
    前記駆動指令値を補正することを特徴とする車両用複合
    駆動システムの制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかの項に記載の車
    両用複合駆動システムの制御装置において、 前記補正手段は、内燃機関への燃料供給の有無に応じて
    前記駆動指令値を補正することを特徴とする車両用複合
    駆動システムの制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかの項に記載の車
    両用複合駆動システムの制御装置において、 前記補正手段は、回転速度指令値または前記回転速度検
    出値が0の場合には補正量を0とすることを特徴とする
    車両用複合駆動システムの制御装置。
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