JPH10330865A - 複合体の製造方法及び複合体 - Google Patents

複合体の製造方法及び複合体

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JPH10330865A
JPH10330865A JP13737397A JP13737397A JPH10330865A JP H10330865 A JPH10330865 A JP H10330865A JP 13737397 A JP13737397 A JP 13737397A JP 13737397 A JP13737397 A JP 13737397A JP H10330865 A JPH10330865 A JP H10330865A
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JP
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metal
inorganic fiber
composite
fiber
inorganic
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JP13737397A
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Hisanobu Okamura
久宣 岡村
Masahiko Sakamoto
征彦 坂本
Sumitaka Goto
純孝 後藤
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】複合材料のマトリクス金属と強化材との界面の
接着結合性を強化する。 【解決手段】素材である無機繊維の表面から約0.1〜
1μm程度の深さ迄の領域2だけを、クロムまたはチタ
ンの内の何れか一方の金属元素と反応させたものを強化
材1として使用する。そして、銅、チタン及びニッケル
の内の何れかのマトリクス金属のめっき層で、この強化
材1の表面を被覆する。更に、この強化材1を製織して
から、ホットプレス法を用いて、強化材とマトリクス金
属とを複合化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機繊維と金属と
を組み合わせた複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、セラミックスと金属との接合に際
しては、その界面に応力緩衝材を介在させることによっ
て、両者の熱膨張率の差に起因するセラミックス側の亀
裂の防止を図っている。さて、従来、こうした応力緩衝
材の素材の一つとして、特開昭59−162185号公
報に開示されている複合材料が知られている。この複合
材料は、銅その他のめっき層で直に被覆された炭素繊維
を束ね、これを加熱しながら加圧することによって複合
化させたものである。
【0003】また、これ以外にも、炭素繊維と金属とを
組み合わせた同種の複合材料として、特公昭60−39
737号公報に開示されている複合材料が知られてい
る。この複合材料は、高電導性金属膜で直に被覆された
無機繊維を束ねてから、炭素と反応する元素の粉末と高
電導性金属粉末と炭素粉末とを含むスラリーに含浸さ
せ、これを熱間成形(又は溶解冷却成形)したものであ
る。尚、炭素と反応する元素としては、チタン、ジルコ
ニム、ニオブ等が挙げられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
複合材料は、何れも、マトリクス(金属)と強化材(炭素
繊維)との界面の接着結合性が弱く、引張り強度、曲げ
強度、耐衝撃性その他の力学的特性に劣るという欠点を
有していた。従って、例えば、高温雰囲気中において長
期間に渡って使用されると、マトリクスと強化材との界
面に剥離が生じ、最悪の場合には破断に至るようなこと
があった。そのため、高温雰囲気中における実用化を制
限せざるを得ないこともあった。
【0005】そこで、本発明は、複合材料の基本成分で
あるマトリクスと強化材との界面の接着結合性を強化す
ることによって、特に高温下における複合材料の力学的
特性の向上を図ることを目的とする。また、こうした複
合材料を工業的に容易な手法によって製造することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、金属に無機繊維を分散させた複合体であ
って、前記無機繊維の表面に、クロム及びチタンの内の
少なくとも一方の金属元素と当該無機繊維の成分元素と
の化合物層を有することを特徴とする複合体を提供す
る。
【0007】本複合体は、金属との接着結合性に優れた
化合物層を有する無機繊維が分散しているため、より優
れた力学的特性、特に、高温雰囲気中において優れた力
学的特性を発揮する。但し、無機繊維の表面に形成する
化合物層の厚さが薄過ぎると、無機繊維と金属相との界
面の接着結合性がさほど向上せず、その反対に厚過ぎる
と、今度は無機繊維の強化材としての性能が損なわれる
ため、無機繊維の表面に形成する化合物層の厚さは、せ
いぜい0.1〜10μm程度に抑制すること望ましい。
【0008】また、こうした複合体を製造する方法とし
て、金属と無機繊維とを接触させた状態で加熱して、前
記金属と前記無機繊維との反応層を有する前記無機繊維
を含有させた複合体を製造する複合体の製造方法であっ
て、前記金属と前記無機繊維との接触に先立ち、クロム
及びチタンの内の少なくとも一方の金属粉末を前記無機
繊維の表面に付着させる第一ステップと、前記金属粉末
と共に前記無機繊維を加熱して、前記無機繊維の表面に
当該無機繊維の成分元素と前記金属粉末の金属成分との
化合物層を形成する第二ステップと、前記無機繊維の表
面から未反応の前記金属粉末を除去する第三ステップと
を有することを特徴とする複合体の製造方法を提供す
る。
【0009】無機繊維の表面に付着させる金属粉末とし
てクロム粉末またはチタン粉末の内の何れかを採用した
本製造方法によれば、工業的な困難を全く伴うことな
く、無機繊維と金属との界面の接着結合性に優れた複合
体を製造することができる。それは、以下に示した理由
による。
【0010】第一に、無機繊維の表面に金属粉末を無造
作に付着させても、金属粉末の金属成分を無機繊維の表
面に拡散浸透させる際の加熱条件さえ管理していれば、
無機繊維の表面に任意の厚さの化合物層を形成すること
ができるからである。例えば、鉄、マンガン、ニッケル
その他の金属元素は、無機繊維との反応性に富んでいる
ため、これらの金属粉末を使用した場合には、無機繊維
の表面に付着させた金属粉末の量が僅かに多いだけで
も、適度な厚さの化合物層を形成することができなくな
る。従って、極めて細く、且つ、大量な無機繊維の表面
に付着させる金属粉末の量を制御する必要がある。これ
は工業的に容易なことではない。
【0011】第二に、加熱後の金属粉末の残存物が非常
に脆いため、ブラッシング等の簡易な手段によって機械
的な衝撃を与えるだけで除去することができるからであ
る。例えば、鉄、マンガン、ニッケル、タングステン、
モリブデン、二オブその他の金属粉末を使用した場合に
は、加熱中に自己焼結が進み、金属粉末の残存物を除去
するのが極めて困難になる。
【0012】第三に、金属粉末の金属成分を無機繊維の
表面に拡散浸透させる際の加熱温度が比較的低温(80
0〜1200℃)で済み、更に加熱時間も比較的短くて
済むため、工業的に管理しやすいからである。例えば、
タングステン、モリブデン、二オブその他の金属元素
は、無機繊維との反応速度が遅いため、これらの金属粉
末を使用した場合、加熱温度を上げる必要がある。そし
て、加熱時間も延長する必要もある。このことはコスト
面においても好ましいこととは言えない。
【0013】これ以外にも、化学めっきまたは電気めっ
きの別を問わず、無機繊維の表面をめっき層で被覆する
ことができることも、その理由の内に含まれる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照しなが
ら、本発明に係る実施の一形態について説明する。
【0015】最初に、図1により、本実施の形態に係る
複合材料用強化材の構造について説明する。
【0016】本複合材料用強化材1は、マトリクス金属
との接着結合性の向上を狙って、素材である無機繊維の
表面から約0.1〜10μm程度の深さ迄の領域2(以
下、この領域2を表層と呼ぶ)だけを、クロムまたはチ
タンの内の何れか一方の金属元素と反応させたものであ
る。即ち、無機繊維の表層2だけを、その成分元素とク
ロムまたはチタンの内の何れか一方の金属元素との化合
物層に変化させたものである。例えば、この無機繊維と
して炭素繊維を用いた場合、その表層2には、クロムま
たはチタンと炭素との化合物層(炭化クロムまたは炭化
チタン)が形成される。また、この無機繊維として、炭
素繊維以外の無機繊維、例えば、炭化珪素セラミックス
繊維を用いた場合、その表層2には、クロムまたはチタ
ンと炭化珪素との化合物層(炭化クロム及び珪化クロム
または炭化チタン及び珪化チタン)が形成される。但
し、何れの無機繊維を用いた場合であっても、実際の化
合物層は、無機繊維の成分元素とクロムまたはチタンと
の化合物だけによって一様に形成されているわけではな
く、その外周に近づくにつれてクロムまたはチタンの含
有量が増加してゆく混合層になっている。そして、実際
の化合物層の表面は、ほぼ金属クロム層または金属チタ
ン層になっている。従って、この複合材料用強化材1
は、全体として導電性を有している。
【0017】尚、当然のことではあるが、この複合材料
用強化材1は、長期に渡るストックが可能なものであ
る。
【0018】次に、図2により、この複合材料用強化材
1の製造方法、続けて、この複合材料用強化材1を金属
に分散させた複合材料の製造方法について説明する。但
し、ここでは、無機繊維の表層と反応させる金属元素と
してクロムを用いた場合を一例に挙げて説明する。尚、
クロムの代わりにチタンを使用する場合には、後述の本
加熱温度に多少の修正が必要となることもあるが、それ
以外の特別な変更を要しないことは言うまでもない。
【0019】通常、炭素繊維、炭化珪素セラミックス繊
維等の無機繊維は、数千本の単繊維(直径30μm程度)
を束ねた繊維束の状態で市販されている。そこで、ま
ず、S100において、風力と振動等とによる衝撃力を
繊維束に与えることによって、この繊維束を個々の単繊
維に解しておく必要がある。このとき併せて、後に使用
するスラリーを調整しておく必要がある。具体的には、
比較的純度の高いクロム(好ましくは、純度99.99
%程度のクロム)を適当な粒径(通常、20μm程度)に
粉砕し、この粉末を適量の有機溶剤(通常、エチルセル
ロ−ズとジェチレングリコ−ルの混合液)と混練するこ
とによって、無機繊維の表面に膜厚0.1mm以上で付
着させておくことができる程度の粘度を有するスラリー
を作成しておく。
【0020】その後、S101において、予め解してお
いた無機繊維をスラリー中に適当な速度で通してから引
き上げることにより、無機繊維の表面に膜厚1mm以上
のスラリーを付着させる(以下、これをスラリー膜と呼
ぶ)。あるいは、刷毛等の塗布具やスプレーを使用し
て、無機繊維の表面にスラリーを塗布し、同様なスラリ
ー膜を形成するようにしても構わない。ここで、スラリ
ー膜の膜厚に1mm以上という条件を課しているのは、
この程度の量のスラリーを無機繊維の表面に付着させて
おけば、その膜厚に多少のバラツキがあったとしても、
後に支障を生じることがないからである。従って、この
とき、スラリーから引き上げた無機繊維の表面に膜厚
0.1mm以上のスラリー膜が形成されていない場合に
は、再度、スラリーを調整しなおすことが望ましい。
【0021】その後、S102において、大気中で無機
繊維を予備加熱して、その表面のスラリー膜に含有され
ている有機溶剤を揮発させる。このときの予備加熱温度
及び予備加熱時間の目安は、約100℃〜300℃程度
及び約5分〜10分程度である。この予備加熱によっ
て、無機繊維の表面にはクロム粉末が残存する(以下、
これをクロム粉末層と呼ぶ)。尚、この予備加熱を省略
することは可能であるが、続くS103における本加熱
の加熱効率を考慮するとそれが望ましいとは一概にはい
えない。
【0022】その後、S103において、電気炉等を用
いて、不活性雰囲気中若しくは還元性雰囲気中(例え
ば、真空中)で無機繊維を本加熱する。このときの本加
熱時間と本加熱温度の目安は、約10〜60分程度(好
ましくは30分程度)、約800℃〜1500℃程度(炭
素繊維を使用する場合には、好ましくは1000℃付
近、炭化珪素セラミックス繊維を使用する場合には、好
ましくは1200℃付近)である。この条件さえ満たし
ていれば、図3に示すように、クロム粉末層3の厚さと
は無関係に、無機繊維の表面から約0.1〜10μm程
度の深さ迄の領域にだけクロムが拡散浸透して化学反応
を起こし、前述の化合物層を形成することができる。
【0023】本加熱が終了したら、S104において、
予め定めた冷却時間が経過するまで、そのまま炉冷して
おく。そして、その後、S105において、炉内から無
機繊維を取り出して、振動による無機繊維相互間の衝
突、ブラッシングその他の機械的な衝撃を与えることに
よって、その表面に残存している不要なクロム粉末層3
を粉砕し、化合物層2を露出させる。このクロム粉末層
3は、同様な加熱処理を経た他の金属粉末層とは異なっ
て機械的に非常に脆いものであるため、これを粉砕する
ためには、この程度の機械的な衝撃を与えるだけで充分
である。
【0024】以上のような工業的に容易な処理によっ
て、マトリクス金属との接着結合性の優れた化合物層を
有する複合材料用強化材1(図1参照)を完成させること
ができる。このような複合材料用強化材1を使用すれ
ば、マトリクス金属と複合材料用強化材1との界面の接
着結合性の優れた複合材料を作成することができるのは
明らかである。
【0025】そこで、本実施の形態では、更にS105
に続く処理を実行して、この複合材料用強化材1を含有
する複合材料、即ち、マトリクス金属と複合材料用強化
材1との界面の接着結合性の優れた複合材料を形成する
こととする。尚、ここでは、工業的な困難を伴うことの
ない4種類の方法を挙げることとする。
【0026】第一の方法では、まず、S106aにおい
て、図4に示すように、複合材料用強化材1の表面を、
銅、チタン及びニッケルの内の何れかのマトリクス金属
のめっき層4で被覆する。前述したように、この複合材
料用強化材1は全体として導電性を有しているため、こ
こで使用するめっき法は、電気めっき法、化学めっき法
の別を問わない。その後、S107aにおいて、複合材
料用強化材1を数本単位で束ね、これらの束を縦糸と横
糸として、複合材料の目標寸法に応じた大きさの織物を
製織する。そして、複合材料の目標厚さに応じた枚数の
織物を積層させておく。その後、S108において、ホ
ットプレス法によって、これら織物を形成している複合
材料用強化材1とマトリクス金属とを複合化させる。具
体的には、予め積層させておいた織物を、不活性雰囲気
中若しくは還元性雰囲気中(例えば、真空中)で、マトリ
クス金属の融点以下の温度に加熱しながら一軸加圧す
る。このときの加圧時間と加圧力は、約60分程度、1
kg/mm2程度を目安に決定すればよい。例えば、マ
トリクス金属として銅を使用する場合には、ホットプレ
スを使用して、60分間、銅の融点(1083℃)以下の
温度(好ましくは、980℃)で加熱しながら約1kg/
mm2程度の圧力で一軸加圧すればよい。
【0027】第二の方法では、まず、S106bにおい
て、複合材料用強化材1を長さ数mm程度の細片に切断
する。そして、S107bにおいて、マトリクス金属を
粉砕した金属粉末と、それら細片とを混合する。その
後、S108において、ホットプレス法によって、この
混合物を所望の形状に成形加工する。
【0028】第三の方法では、まず、前述のS106a
の処理を経ることによって、複合材料用強化材1の表面
を、マトリクス金属のめっき層4で被覆しておく。その
後、S106bにおいて、この複合材料用強化材1を長
さ数mm程度の細片に切断する。そして、S107bに
おいて、マトリクス金属を粉砕した金属粉末と、それら
細片とを混合する。その後、S108において、ホット
プレス法によって、この混合物を所望の形状に成形加工
する。
【0029】第四の方法では、S107aにおいて、複
合材料用強化材1を数千本単位で束ね、これらの束を縦
糸と横糸として、複合材料の目標寸法に応じた大きさの
織物を製織する。そして、この織物と、マトリクス金属
を粉砕した金属粉末を混合させておく。その後、S10
8において、ホットプレス法によって、織物を形成して
いる複合材料用強化材1とマトリクス金属とを複合化さ
せる。
【0030】尚、本実施の形態では、銅、チタン及びニ
ッケルの内の何れかの金属をマトリクス金属として使用
しているが、これらの金属を含有している合金、例え
ば、Fe−Cr−Niを主成分とするステンレス鋼をマ
トリクス金属として使用しても構わない。例えば、その
ようにする場合、第三の方法では、必ずしも、マトリク
ス金属である合金のめっき層4で複合材料用強化材1の
表面を被覆する必要はない。マトリクス金属である合金
の成分元素である上記3種の金属の内の何れかの金属の
めっき層で被覆しておけば充分である。例えば、S10
7bにおいてステンレス鋼粉末を使用することとした場
合には、S106aにおいては、複合材料用強化材1の
表面をニッケルめっきで被覆しておけば良い。
【0031】以上のような工業的に容易な処理によっ
て、複合材料用強化材1とマトリクス金属との界面の接
着結合性の優れた複合材料を完成させることができる。
このような特性を有する複合材料を素材として使用すれ
ば、より力学的特性の優れた部品等、特に、高温雰囲気
中において優れた力学的特性を発揮する部品等を得るこ
とができると推測される。
【0032】そこで、それを実際に確認しておく。但
し、ここでは、前述の製造方法によって作成した複合材
料の板材をセラミックス用応力緩衝材として使用した2
種類の半導体装置をサンプルにすることとする。
【0033】そのために、まず、前述の製造方法によっ
て作成した複合材料の材料特性を検査した。その結果、
この複合材料の熱膨張率と熱伝導率は、含有されている
複合材料用強化材1の形態が細片であるか否かの別を問
わず、複合材料中の複合材料用強化材1の含有容積率に
よって決定されることが確認された。従って、複合材料
用強化材1を被覆するめっき層の厚さ、複合材料用強化
材1の細片と混合する金属粉末の量等を調整することに
よって、セラミックス用応力緩衝材として使用するのに
適した熱膨張率(通常、3×10-6/℃〜12×10-6
℃)を有する複合材料を作成することができることが判
った。参考として、このような複合材料を確実に作成す
ることができる含有容積率データを示しておく。
【0034】(1)炭素繊維を素材とする複合材料用強化
材1と銅とを組み合わせた複合材料の場合には、複合材
料中の複合材料用強化材1の含有容積率を30vol%
にすると、常温における熱伝導率及び熱伝導率は、11
×10-6℃及び350W/mKとなるが、複合材料中の
複合材料用強化材1の含有容積率を更に増加させて60
vol%にすると、常温における熱伝導率及び熱伝導率
は、5×10-6/℃及び300W/mKまで減少するこ
とが実験により確認されている。従って、この組合せで
は、複合材料中の複合材料用強化材1の含有容積率を3
0vol%〜60vol%程度にすることが望ましい。
【0035】(2)炭化珪素セラミックス繊維を素材とす
る複合材料用強化材1と銅とを組み合わせた複合材料の
場合には、複合材料中の複合材料用強化材1の含有容積
率を30vol%にすると、常温における熱伝導率及び
熱膨張率は、11×10-6/℃及び340mK/Wとな
るが、複合材料中の複合材料用強化材1の含有容積率を
更に増加させて50vol%にすると、常温における熱
伝導率及び熱膨張率は、6×10-6/℃及び310W/
mKまで減少することが実験により確認されている。従
って、この組合せでは、複合材料中の複合材料用強化材
1の含有容積率を30vol%〜50vol%程度にす
ることが望ましい。
【0036】(3)炭化シリコン繊維を素材とする複合材
料用強化材1とステンレス鋼とを組み合わせた複合材料
の場合には、複合材料中の複合材料用強化材1の含有容
積率を20vol%程度にすると、常温における熱伝導
率及び熱膨張率が、既に5×10-6/℃及び300W/
mKになることが実験により確認されている。従って、
この組合せでは、複合材料中の複合材料用強化材1の含
有容積率を20vol%程度に抑えておくことが望まし
い。
【0037】ところで、セラミックス用応力緩衝材とし
て使用するためには、弾性係数に関しても、ある程度の
条件が課されることが知られている。そこで、上記(1)
(2)の条件で作成した複合材料について、その弾性係数
を測定したところ、これらの複合材料の弾性係数は、セ
ラミックス用応力緩衝材として使用可能な範囲に納まっ
ていることが確認された。例えば、炭素繊維を素材とす
る複合材料用強化材1(50VOl%)と銅とを組み合わ
せた複合材料の常温における弾性係数は、12Gpaで
ある。
【0038】尚、当然のことではあるが、本実施の形態
に係る複合材料は、従来技術の欄で説明した複合材料よ
りも理想に近い結合界面を有しているため、より優れた
力学的特性を示す。例えば、炭化シリコン繊維を素材と
する複合材料用強化材1(20vol%)とステンレス鋼
とを組み合わせた複合材料の常温における引張強さは、
約800MPaである。
【0039】さて、サンプルとして準備した一方の半導
体装置は、図5に示すように、銅支持板30上に、シリ
コン単結晶のペレット10と窒化アルミニウムセラミッ
クス基板20と応力緩衝材40とを積層させたものであ
る。そして、ペレット10と窒化アルミニウムセラミッ
クス基板20との間は、Pb93.5Sn5Ag1.5系
はんだ材50(融点280℃)によって接合してある。ま
た、窒化アルミニウムセラミックス基板20と応力緩衝
材40との間、応力緩衝材40と銅支持板30との間
は、それぞれ、Sn63Pb系はんだ材60(融点18
3℃)によって接合してある。尚、ここでは、常温にお
ける熱膨張率及び熱伝導率が4×10-6/℃及び250
W/℃の窒化セラミックス絶縁基板を使用しているた
め、応力緩衝材40としては、常温における熱伝導率及
び熱膨張率が6×10-6/℃及び310W/mKの複合
材料、即ち、炭素繊維を素材とする複合強化材(50V
Ol%)と銅とを組み合わせた複合材料からなる板材(板
厚1mm)を選択している。
【0040】サンプルとして準備した他方の半導体装置
は、図6に示すように、銅支持板30上に、シリコン単
結晶のペレット10と応力緩衝材40aとアルミナセラ
ミックス基板20と応力緩衝材40bとを積層させたも
のである。そして、ペレット1と応力緩衝材40aとの
間、応力緩衝材40aとアルミナセラミックス基板20
上のメタライズとの間は、それぞれ、Pb93.5Sn
5Ag1.5系はんだ材50によって接合してある。ま
た、アルミナセラミックス基板20上のメタライズと応
力緩衝材40bとの間、応力緩衝材4bと銅支持板3と
の間は、それぞれ、Sn63Pb系はんだ材60によっ
て接合してある。尚、ここでは、常温における熱膨張率
及び熱伝導率が7×10-6/℃及び25W/℃のアルミ
ナセラミックス基板20を使用しているため、応力緩衝
材40a,40bとしては、常温における熱伝導率及び
熱膨張率が5×10-6/℃及び300W/mKの複合材
料、即ち、炭素繊維を素材とする複合強化材(60VO
l%)と銅とを組み合わせた複合材料からなる板材(板厚
1mm)を選択している。
【0041】そして、これら2種類の半導体装置を対象
として、10000回のパワーサイクル試験を実施し
た。その結果、何れの半導体装置においても熱抵抗の変
化が見られなかった。即ち、10000回程度のパワー
サイクル試験では、はんだ接合部50,60や応力緩衝
材40,40a,40bには熱応力に伴う亀裂が生じない
ことが判明した。
【0042】その一方で、従来技術の欄で説明した複合
材料からなる応力緩衝材を使用した半導体装置について
も同様なパワーサイクル試験を実施してみたところ、1
0000回目で既に熱抵抗の変化が見られなかった。即
ち、10000回のパワーサイクル試験によって、はん
だ接合部または応力緩衝材の何れかに熱応力に伴う亀裂
が発生したものと想定される。
【0043】以上の結果より、本実施の形態に係る複合
材料からなる応力緩衝材を使用した半導体装置は、従来
技術の欄で説明した複合材料からなる応力緩衝材を使用
した半導体装置よりも優れた熱耐久性を発揮することが
確認された。尚、セラミックスと金属との接合部を有し
ている他の部品等に、本実施の形態に係る複合材料から
なる応力緩衝材を使用した場合であっても、半導体装置
の場合と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0044】
【発明の効果】本発明に係る複合材料、即ち、マトリク
スと強化材との界面の接着結合性が強化された複合材料
によれば、これを素材として使用する部品等の力学的特
性の改善、特に高温雰囲気中において長期に渡って使用
される部品等の力学的特性の向上を図ることができる。
【0045】また、本発明に係る複合材料の製造方法に
よれば、こうした優れた力学的特性を有する複合材料を
工業的に容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る複合材料用強化材
の層状構造を説明するための概念図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る複合材料用強化材
及び複合材料の製造方法の流れを示したフローチャート
である。
【図3】図1の複合材料用強化材の化合物層の形成過程
を説明するための概念図である。
【図4】図1の複合材料用強化材にめっき処理を施した
ときの概念図である。
【図5】本発明の実施の一形態に係る複合体を応力緩衝
材として使用した半導体装置の部分断面図である。
【図6】本発明の実施の一形態に係る複合体を応力緩衝
材として使用した半導体装置の部分断面図である。
【符号の説明】
1…複合材料用強化材 2…複合材料用強化材の化合物層 3…クロム粉末層 4…めっき層 10…シリコン単結晶のペレット 20…セラミックス基板 30…銅支持板 40,40a,40b…応力緩衝材 50,60…はんだ接合部

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属と無機繊維とを接触させた状態で加熱
    して、前記金属と前記無機繊維との反応層を有する前記
    無機繊維を含有させた複合体を製造する複合体の製造方
    法であって、 前記金属と前記無機繊維との接触に先立ち、 クロム及びチタンの内の少なくとも一方の金属粉末を前
    記無機繊維の表面に付着させる第一ステップと、 前記金属粉末と共に前記無機繊維を加熱して、前記無機
    繊維の表面に当該無機繊維の成分元素と前記金属粉末の
    金属成分との化合物層を形成する第二ステップと、 前記無機繊維の表面から未反応の前記金属粉末を除去す
    る第三ステップとを有することを特徴とする複合体の製
    造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の複合体の製造方法であっ
    て、 前記第一ステップにおいて、 前記金属粉末を含む混合液中に前記無機繊維を浸漬し、
    前記無機繊維の表面に前記金属粉末を付着させることを
    特徴とする複合体の製造方法。
  3. 【請求項3】無機繊維を素材とする複合体の製造方法に
    おいて、 クロム及びチタンの内の少なくとも一方の金属粉末を前
    記無機繊維の表面に付着させる第一ステップと、 前記金属粉末と共に前記無機繊維を加熱して、前記無機
    繊維の表面に当該無機繊維の成分元素と前記金属粉末の
    金属成分との化合物層を形成する第二ステップと、 前記無機繊維の表面から未反応の前記金属粉末を除去す
    る第三ステップとを有することを特徴とする複合体の製
    造方法。
  4. 【請求項4】請求項3記載の複合体の製造方法であっ
    て、 前記第三ステップの終了後、 前記無機繊維の表面を前記金属のめっき層で被覆する第
    四ステップを有することを特徴とする複合体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】請求項3または4記載の複合体の製造方法
    であって、 前記第一ステップにおいて、 前記金属粉末を含む混合液中に前記無機繊維を浸漬し、
    前記無機繊維の表面に前記金属粉末を付着させることを
    特徴とする複合体の製造方法。
  6. 【請求項6】金属に無機繊維を分散させた複合体であっ
    て、 前記無機繊維の表面に、クロム及びチタンの内の少なく
    とも一方の金属元素と当該無機繊維の成分元素との化合
    物層を有することを特徴とする複合体。
  7. 【請求項7】請求項6記載の複合体であって、 前記無機繊維の表面をめっき層で被覆したことを特徴と
    する複合体。
  8. 【請求項8】請求項6または7記載の複合体であって、 前記無機繊維は、炭素繊維又は炭化珪素繊維の内の何れ
    かであることを特徴とする複合体。
  9. 【請求項9】無機質からなる繊維の表面に、クロム及び
    チタンの内の少なくとも一方の金属を密着させる工程、
    前記金属が密着した繊維を非酸化性雰囲気中で加熱し前
    記繊維の表面に前記金属との反応層を形成させる工程、
    及び、前記無機繊維の表面から未反応の前記金属を除去
    する工程を有することを特徴とする無機繊維の表面処理
    方法。
  10. 【請求項10】無機質からなる繊維の表面に、当該繊維
    とクロム及びチタンの内の少なくとも一方との反応層が
    形成されていることを特徴とする無機繊維。
  11. 【請求項11】請求項10において、前記反応層の上
    に、銅、ニッケル及びクロムの少なくとも1のめっき層
    が形成されていることを特徴とする無機繊維。
  12. 【請求項12】金属製の積層部品とセラミックス基板と
    を含む積層体を有する半導体装置であって、 前記金属製の積層部品と前記セラミックス基板との間
    に、請求項6記載の複合体からなる応力緩衝材が介在し
    ていることを特徴とする半導体装置。
  13. 【請求項13】金属製の部品とセラミックス製の部品と
    の間に、請求項6記載の複合体からなる応力緩衝材が介
    在し、前記金属製の部品と前記セラミックス製の部品と
    が接合していることを特徴とする接合体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007277691A (ja) * 2006-04-11 2007-10-25 Showa Denko Kk 炭素繊維強化アルミニウム複合材およびその製造方法
DE102007004531A1 (de) * 2007-01-24 2008-07-31 Eads Deutschland Gmbh Faserverbundwerkstoff mit metallischer Matrix und Verfahren zu seiner Herstellung
JP2009074134A (ja) * 2007-09-20 2009-04-09 Nippon Steel Corp 繊維強化金属の製造方法
JP2011508083A (ja) * 2007-12-28 2011-03-10 メシエ−ドウテイ・エス・アー 金属マトリクス複合材料からなるインサートで部品を作製する方法

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