JPH10328478A - 洗濯機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗濯兼脱水槽底部に補強リブによる脱水時の
騒音を低減し、間欠脱水による脱水時間の延長を短縮す
る。 【解決手段】 本発明は、洗濯兼脱水槽５底部に形成さ
れた補強のためのリブ１８を被覆材１９にて覆うことに
より、直接洗濯水に接触しないよう構成し、洗濯兼脱水
槽５の底部外面と底部内面との間に洗濯兼脱水槽の底面
を補強するリブ１８を内包する略ドーナツ形状の空間を
配設したものであり、洗濯兼脱水槽と水受け槽との間の
隙間を低減すると共に、脱水時において補強リブ１８に
より生ずる騒音を低減し、脱水時間を短縮するものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は洗濯兼脱水槽を内包
した水受け槽を外枠内に弾性的に支持した脱水兼用洗濯
機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来この種の脱水兼用洗濯機は図４およ
び図５に示すように構成していた。以下その構成につい
て説明する。

【０００３】図４に示すように、水受け槽１は、吊り棒
２により防振装置３を介して外枠４の角隅より垂下支持
されており、内部に洗濯兼脱水槽５を回転自在に設けて
いる。洗濯兼脱水槽５は、中央底部に衣類攪拌用のパル
セ−タ６を設け、側面に水抜き用の多数の小穴７を設け
ている。水受け槽１の底部に排水弁８を設け、排水ホ−
ス９を介して外枠４の外部に連通している。

【０００４】水受け槽１の底部には駆動部品等の取り付
け板１０を取りつけ、この取り付け板１０に、軸受け箱
１１、モ−タ１２などを配設し、軸受け箱１１とモ−タ
１２との間をベルト１３で連結している。軸受け箱１１
は洗濯時にはパルセ−タ６を回転駆動し、脱水時には洗
濯兼脱水槽５を回転駆動するようにモ−タ１２の駆動力
を伝達する機構を有している。

【０００５】洗濯兼脱水槽５の上部にはバランサ−１４
を設けており、下部には補強板１５を設けている。

【０００６】上記構成において動作を説明する。まず洗
濯工程においてパルセ−タ６が左右に回転し、洗濯兼脱
水槽５内の衣類１６を攪拌しながら洗濯を行う。洗濯工
程終了後、次の排水工程では、パルセ−タ６の回転を止
め、排水弁８を開放し、水受け槽１内の洗濯液を排水す
る。次の脱水工程では排水弁８を開放した状態で洗濯兼
脱水槽５を回転駆動し、衣類１６の内部に残留した洗濯
液を回転による遠心力によって、水抜き用の小穴７から
洗濯兼脱水槽５の外部に押し出している。

【０００７】この脱水工程において洗濯兼脱水槽５は高
速に回転し、さらに衣類１６は水を含んで非常に重い状
態にある。この状態で衣類１６の片寄りの発生等が生じ
た場合は時に洗濯兼脱水槽５の底面には非常に強い強度
が必要であり、その外周底面には補強用リブ１７を多く
設けていた（図５参照）。

【０００８】また、洗濯兼脱水槽５の回転による遠心力
で絞り出された洗剤液は、洗濯兼脱水槽５の回転のため
に前記補強用リブ１７に攪拌されるために泡が生ずる。
この泡が洗濯兼脱水槽５と水受け槽１との間に充満し、
洗濯兼脱水槽５の脱水回転が抑制されてしまっていた。

【０００９】このような課題に対して、従来から対策と
して、脱水工程の初期に洗濯兼脱水槽５の回転を一時的
に低速にする動作を数回くり返すという制御により、高
速回転時に衣類１６から絞られた洗剤液が泡立つ前に水
受け槽１から排水していた。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】最近、この種の洗濯機
の使用者からの要望として、節水と時間短縮が強く求め
られるようになってきた。

【００１１】節水対応としては、洗濯兼脱水槽５と水受
け槽１の隙間を少なくする方法が考えられるが、洗濯兼
脱水槽５の底面強度の必要性から補強リブ１７を高くす
る必要があり、補強リブどうしの隙間のスペ−スが水の
無駄な空間として課題であった。

【００１２】次に、時間短縮の対応として、補強リブ１
７の攪拌作用なくすことによって、脱水工程時の一時的
な低速回転の必要性をなくし、脱水時間の短縮を行うこ
とが課題であった。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、洗濯兼脱水槽底部に形成された補強のための
リブを被覆材にて覆うことにより、直接洗濯水に接触し
ないよう構成し、洗濯兼脱水槽の底部外面と底部内面と
の間に洗濯兼脱水槽の底面を補強する第１のリブを内包
する略ドーナツ形状の空間を配設したものであり、洗濯
兼脱水槽と水受け槽との間の隙間を低減すると共に、脱
水時において補強リブにより生ずる騒音を低減し、脱水
時間を短縮するものである。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明の請求項１に記載の発明
は、内部に収容した洗濯物を洗濯かつ脱水する洗濯兼脱
水槽の底部に略放射状に第１のリブを形成しするととも
にこの第１のリブを覆うように被覆材で一体成形構造体
を形成し、洗濯兼脱水槽の底部外面と底部内面との間に
洗濯兼脱水槽の底面を補強する第１のリブを内包する略
ドーナツ形状の空間を配設するものであって、洗濯兼脱
水槽の底部外面がリブ等の凸部がなくなり、水受け槽の
底部に沿った形状で形成されることにより、容易に洗濯
兼脱水槽と水受け槽の隙間を少なくできる。

【００１５】また、強度を増すことにより第１のリブ自
体の高さを抑えると共に第１のリブどおしの隙間をなく
すことができ、節水を実現させることができる。

【００１６】さらに、第１のリブを覆うように外面を被
覆するため、第１のリブによる洗濯兼脱水槽と水受け槽
との間の洗濯水を攪拌がなくなり、脱水時の泡の発生を
防ぐための一時的な低速回転をなくすことができ、時間
短縮を実現させることができる。

【００１７】また、洗濯兼脱水槽の底部内面と、底部外
面を略ドーナツ形状の箱状に構成することによって、他
部品を追加することなく、断面２次モ−メントをアップ
させ回転時の強度を確保することができる。

【００１８】本発明の請求項２に記載の発明は、請求項
１記載の発明に加え、一体成形構造体を底部外面の周に
沿って中心軸側に複数形成し、この第１のリブおよびこ
の第１のリブを覆うように形成した被覆材の一体成形構
造体の間に保持部材取り付け用のボス部およびこれと連
なる第２のリブを複数箇所に渡って一体形成したもので
あり、補強板との取りつけ用ボスなどの部分的に特別な
強度が必要な場合においても十分に対応できる構成とな
っている。

【００１９】

【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しながら説明する。なお、従来例と同じ構成のものは同
一符号を付して図面および説明を省略する。

【００２０】（実施例１）以下本発明の第１の実施例に
ついて説明を行う。

【００２１】図１に示すように、内部に収容した洗濯物
を洗濯かつ脱水する洗濯兼脱水槽５であって、有底筒状
の少なくとも底部外面が第１のリブ１８およびこの第１
のリブ１８を覆うように形成した被覆材１９の一体成形
構造体を備えたものであり、洗濯兼脱水槽５の底部外面
を、水受け槽１の底部に沿った形状で形成する。この構
成により、洗濯兼脱水槽５の底部外面と底部内面との間
には洗濯兼脱水槽５の底面を補強するリブ１８を内包す
る円筒状の空間が形成されることとなる。リブ１８がこ
のように円筒状内部に取り込まれ、洗濯水と接触するこ
とがなくなる。

【００２２】また、洗濯兼脱水槽５の底部に円筒状の空
間を設け、その空間に複数のリブ１８を形成させるた
め、洗濯兼脱水槽５の底面の強度が増し、リブ１８の高
さを従来に比べ格段に低くすることができる。リブ１８
の高さが低くなることで前記円筒形状の空間の高さは、
強度を確保するため、従来のリブの高さを確保する必要
がなくなる。

【００２３】このように洗濯兼脱水槽５の底面外方を被
覆材１９で多い底面外面とする事で、容易に洗濯兼脱水
槽５底面外面と水受け槽１の隙間を少なくでき、第１の
リブどおしの無駄な隙間２０をなくすことができる。こ
れにより、従来洗濯兼脱水槽５と水受け槽１との隙間に
存在していた洗濯水の量が激減し、節水を実現させるこ
とができる。

【００２４】さらに、第１のリブ１８を覆うように外面
を被覆材１９で被覆するため、第１のリブ１８が洗濯水
と接触することがなくなり、これによりこの第１のリブ
１８による洗濯兼脱水槽５の隙間にある洗濯水の撹拌動
作がなくなるため、第１のリブ１８の攪拌による泡の発
生をなくすことができる。このような泡の発生がなくな
るため、脱水時の一時的な低速回転を行う必要がなくな
り、時間短縮を実現させることができる。

【００２５】また、洗濯兼脱水槽５の底部内面と、底部
外面との間に円筒形状の空間を設けると共に第１のリブ
１８を形成するため、他の別部品を追加することなく断
面２次モ−メントをアップさせ回転時の強度を確保する
ことができる。

【００２６】また、上記構成を実現させる成型プロセス
の例として図２に示す方法がある。図２（ａ）は成型の
第１工程として樹脂を射出した状態を示しており、イン
ジェクション成型におけるキャビ２１と、コア２２のほ
かに、本体コア２３、リブコア２４を有している。

【００２７】ここで、リブコア２４の先端部２５は、本
体コア２３より突出した状態となっている。

【００２８】次に図２（ｂ）は成型の第２工程であり，
樹脂の射出後にガスを注入した状態を示す。リブコア２
４の先端部２５が突出した部分は、隙間が狭いためにガ
スを注入しても中空部が形成されない状態となる。

【００２９】次に図２（ｃ）は成型の第３工程であり、
ガスを注入しながらリブコア２４をその先端２５を本体
コアと同一面になるまで移動する。図２（ｃ）に示すよ
うにリブコア２４の部分のみ樹脂が流れ込み、内部に第
１のリブ１８が形成される。

【００３０】そして図２（ｄ）は成型の第４工程であ
り、ガスを注入しながら本体コア２３とリブコア２４を
同時に移動させ、その移動量を調節することで洗濯兼脱
水槽５の底面の厚みを自由に設定でき、第１のリブ１８
を覆うように外面を被覆する成型が可能となる。

【００３１】（実施例２）本発明の第２の実施例につい
て以下説明を行う。

【００３２】図３は、本発明の第２の実施例である洗濯
機の洗濯兼脱水槽の底部を下方からみた図である。図３
（ａ）は、洗濯兼脱水槽を下方からみた平面図であり、
図３（ｂ）は、図３（ａ）のＡＯＡ断面図である。この
ように、第２の実施例である内部に収容した洗濯物を洗
濯かつ脱水する洗濯兼脱水槽５は、有底筒状の少なくと
も一部の底部外面が第１のリブ１８およびこの第１のリ
ブを覆うように形成した被覆材１９の一体成形構造体を
底部外面の周に沿って中心軸側に複数備えている。さら
に底部外面には、第１のリブ１８およびこの第１のリブ
を覆うように形成した被覆材１９の一体成形構造体間を
保持部材取り付け用のボス部２６およびこれと連なる第
２のリブ２７を複数箇所に渡って一体形成させる。

【００３３】前記第１の実施例で述べた成型の第４工程
（図２（ｄ）参照）において、第１のリブ１８は引き伸
ばされるため、第１のリブ１８の厚みや形状を特定する
ことは困難であり、場合によっては部分的に肉薄部分が
発生してしまう可能性がある。特に洗濯兼脱水槽５底部
に設けた補強板１５とを締めつけるボス２６と、その周
辺の強度は非常に重要であり確実な形状と肉厚を保証す
る必要がある。

【００３４】したがって図３に示すように部分的に強度
の必要なボス２６と、その周辺の第２のリブ２７につい
ては通常のインジェクション成型によって構成すること
により、必要な部分に確実な強度が保証することができ
る構成とした。

【００３５】

【発明の効果】以上のように、本発明の請求項１に記載
の発明は、内部に収容した洗濯物を洗濯かつ脱水する洗
濯兼脱水槽の底部に略放射状に第１のリブを形成しする
とともにこの第１のリブを覆うように被覆材で一体成形
構造体を形成し、洗濯兼脱水槽の底部外面と底部内面と
の間に洗濯兼脱水槽の底面を補強する第１のリブを内包
する略ドーナツ形状の空間を配設するものであって、洗
濯兼脱水槽の底部外面がリブ等の凸部がなくなり、水受
け槽の底部に沿った形状で形成されることにより、容易
に洗濯兼脱水槽と水受け槽の隙間を少なくできる。

【００３６】また、強度を増すことにより第１のリブ自
体の高さを抑えると共に第１のリブどおしの隙間をなく
すことができ、節水を実現させることができる。

【００３７】さらに、第１のリブを覆うように外面を被
覆するため、第１のリブによる洗濯兼脱水槽と水受け槽
との間の洗濯水を攪拌がなくなり、脱水時の泡の発生を
防ぐための一時的な低速回転をなくすことができ、時間
短縮を実現させることができる。

【００３８】また、洗濯兼脱水槽の底部内面と、底部外
面を略ドーナツ形状の箱状に構成することによって、他
部品を追加することなく、断面２次モ−メントをアップ
させ回転時の強度を確保することができる。

【００３９】本発明の請求項２に記載の発明は、請求項
１記載の発明に加え、一体成形構造体を底部外面の周に
沿って中心軸側に複数形成し、この第１のリブおよびこ
の第１のリブを覆うように形成した被覆材の一体成形構
造体の間に保持部材取り付け用のボス部およびこれと連
なる第２のリブを複数箇所に渡って一体形成したもので
あり、補強板との取りつけ用ボスなどの部分的に特別な
強度が必要な場合においても十分に対応できる構成とな
っている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例である洗濯機の底部を示
す図

【図２】同洗濯機の洗濯兼脱水槽の成型工程図

【図３】本発明の第２の実施例である洗濯機の底部を示
す図

【図４】従来の洗濯機の構成図

【図５】従来の洗濯機の洗濯兼脱水槽を底から見た図

【符号の説明】

５ 洗濯兼脱水槽 １８ 第１のリブ １９ 被覆材 ２７ 第２のリブ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に衣類を収容し衣類を撹拌により洗
   濯しかつ脱水する洗濯兼脱水槽と、この洗濯兼脱水槽を
   内包する水受け槽と、水受け槽を吊り棒により防振装置
   を介して角隅より垂下支持する外枠を備え、前記洗濯兼
   脱水槽は、底部に略放射状に第１のリブを形成しすると
   ともにこの第１のリブを覆うように被覆材で一体成形構
   造体を形成し、洗濯兼脱水槽の底部外面と底部内面との
   間に洗濯兼脱水槽の底面を補強する第１のリブを内包す
   る略ドーナツ形状の空間を配設した洗濯機。
2. 【請求項２】 一体成形構造体を底部外面の周に沿って
   中心軸側に複数形成し、この第１のリブおよびこの第１
   のリブを覆うように形成した被覆材の一体成形構造体の
   間に保持部材取り付け用のボス部およびこれと連なる第
   ２のリブを複数箇所に渡って一体形成した請求項１記載
   の洗濯機。