JPH07148383A - 全自動洗濯機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 洗濯謙脱水槽に付備する脱水槽環を全体的に
強度の均衡したものとして、同槽の変形及び振動、騒音
を軽減して、スムーズな脱水運転が可能な全自動洗濯機
を提供する。 【構成】 補強リブ１０の形状（厚さ、取付高さ）を異
ならせ、また疎密に取付けて、複雑な構造で強度の高い
仕上剤投入部２と強度的に釣り合わせ、洗濯兼脱水槽の
脱水運転時の変形及び外槽との接触を減らし、また洗濯
容量を増大し、洗濯効率を向上させた全自動洗濯機とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は全自動洗濯機に関し、特
に洗濯兼脱水槽の開口端に設けられる振動抑制用の脱水
槽環の改良構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、実開昭５９−４００８９号公報に
示すように、全自動洗濯機においては、洗濯兼脱水槽の
開口端に液体を封入した脱水槽環を設けて、洗濯兼脱水
槽が高速回転する脱水時に、中の洗濯物の片寄り等によ
り洗濯兼脱水槽が大きく振動するのを抑制するように図
り、振動、騒音を軽減するようにしている。そして、そ
の内部には複数の補強リブを放射状に対称的に配設して
いる。

【０００３】また最近では、特公昭６３−１１０３７号
公報に示す如く、この脱水槽環に柔軟仕上剤などの投入
器を設け、該投入器内を互いに連通する複数の室に仕切
り、複数回行われる各すすぎの後の脱水工程時に、遠心
力により柔軟仕上剤が順次隣の室に移動して、最終回の
すすぎ時に洗濯槽内に投入するような機構を具備するよ
うにもしている。

【０００４】ここで、仕上剤投入器を設けた脱水槽環の
場合、仕上剤投入器内に形状、大きさの違う仕切り壁が
多数、縦横に形成されて複雑な構造となっている（特公
昭６３−１１０３７号公報の図３参照）。

【０００５】従って、この脱水槽環において、このよう
な複雑な構造となっている仕上剤投入器の箇所は強度的
に高い箇所となっているが、従来の脱水槽環において
は、その強度的差を考慮した補強リブの配設とはなって
いなかった。

【０００６】即ち、図８に示すように補強リブ１０をほ
ぼ等間隔に全体に亘って配設した構成の脱水槽環１であ
った。従って、脱水槽環１の強度は平均化せず仕上剤投
入部２と対向する反対箇所１ｃ当りは相対的に強度が弱
いものとなっている。

【０００７】なお、脱水槽環１は内部を中空部４とした
樹脂製物で、この中空部４内に水等、適宜な流動体を封
入している。また、同図において、５は仕上剤投入部２
に形成した仕上剤投入口であり、６は洗濯兼脱水槽内の
洗濯物を示す。

【０００８】更に、図９に上述の従来の脱水槽環１を備
えた合成樹脂製の洗濯兼脱水槽７を示す。同洗濯兼脱水
槽７は、図示しない外槽内に回転自在に配設されると共
に、槽７内の底部に洗濯時に回転するパルセータ（図示
せず）を有している。そして、洗濯兼脱水槽７は、脱水
時には回転駆動力が伝達されて高速回転し、遠心力作用
によって槽７内の洗濯物６の水分を槽周面７ｂに形成し
た無数の脱水小孔８より脱水させる。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の仕上剤
投入口付脱水槽環は、上述したように構造的に強弱の部
分が有るので、脱水時に洗濯兼脱水槽内の洗濯物が片寄
り、偏芯荷重が掛かると洗濯兼脱水槽は、図８に示すよ
うに強度の十分な仕上剤投入部２側に比して強度的に弱
い反対側部分１Ｃがより大きく変形することが生じる。

【００１０】すなわち、洗濯兼脱水槽７は、図８に点線
に示す円形状の正常状態に比べて、仕上剤投入部２と反
対側部分１Ｃが外へ撓み膨む実線に図示するように偏っ
た変形を起こす。なお、その変形の度合と矢印の長さで
表わして示している。このように変形が起きると、外槽
とより当り易くなり、振動、騒音を増大させるという問
題があった。

【００１１】また、長期の使用に伴い、繰り返しこのよ
うな部分に応力の集中を受けると、その箇所が折れ曲が
り、製品寿命を縮めたりするという問題があった。

【００１２】本発明は上述の問題に鑑み成されたもの
で、脱水槽環の内部に補強リブを仕上剤投入部の強度と
釣り合うよう配して、脱水槽環全体の強度が平均化する
ように改良して、洗濯兼脱水槽の変形を防ぎ、製品寿命
の向上及び外槽との当り現象を抑止して、振動、騒音の
発生を軽減し、また洗濯機能を高められることのできる
全自動洗濯機を提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明は、機枠内に弾性
的に吊り下げ支持した外槽と、この外槽内に回転自在に
配設された洗濯兼脱水槽と、前記洗濯兼脱水槽の上端開
口に設けられ、内部に液体が封入される樹脂製の脱水槽
環を備え、前記脱水槽環には所定箇所に仕上剤投入部が
設けられると共に、前記脱水槽環の内部には全周にわた
って複数の補強リブを一体形成した構造の全自動洗濯機
において、前記複数の補強リブは、前記仕上剤投入部の
強度に釣り合い、脱水槽環全体の強度が均衡するように
位置、形状等を替えて形成させたものである。

【００１４】

【作用】洗濯兼脱水槽の上端に具備する脱水槽環は、そ
の中の補強リブが脱水槽環全体の強度を均衡に保つよう
に配設している。よって、この脱水槽環によって脱水運
転時の偏芯荷重による洗濯兼脱水槽の変形を軽減し、又
変形により生じる洗濯兼脱水槽と外槽との接触をより減
少して、騒音、振動を無くし、スムーズに脱水運転をさ
せる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。なお、図８及び図９に示す従来装置と同一又は
同等の構成部については同一番号を付す。

【００１６】まず、全自動洗濯機１５の概略を図７にて
説明する。１６は機枠にして該機枠１６内に吊棒１８に
より外槽１９が吊下支持され、該外槽１９内には洗濯兼
脱水槽７が回転自在に配設されている。そして、洗濯兼
脱水槽７の開口端に液体を封入した脱水槽環１が設けら
れている。２２はモータで、その駆動力はＶベルト２３
により軸受け機構部２４に伝えられ、洗濯時にはパルセ
ータ２５が回転する。一方、洗濯工程の脱水時には、洗
濯兼脱水槽７自体が高速回転し、洗濯兼脱水槽７の周面
に設けている無数の脱水小孔８より中の洗濯物の水分を
吹き飛ばし脱水する。

【００１７】ここで、脱水槽環１に仕上剤投入部２を設
けた構成の本発明にかかる脱水槽環１を、図１、図３に
示す。

【００１８】同図に示すように、脱水槽環１の内部に放
射状に設けられる補強リブ１０は、強度の高い仕上剤投
入部２近辺では補強リブ１０間の間隔を広くして疎に配
し、そして、その間隔を仕上剤投入部２と対向する強度
的に最も弱い反対側部分１Ｃに行くほど狭くして、密に
配設している。

【００１９】更に、その疎密とする補強リブ１０の配設
に加えて、脱水槽環１の全体の強度を均衡化させるため
に、補強リブ１０自体の長さを、また厚みを、その設け
られている位置によって異ならせている。

【００２０】即ち、図３の補強リブ１０ａのように疎的
位置にあるものは薄く（ｄ１）て、且つ図６に示すよう
に下からの取付高さが低く（ｈ１）、逆に図３の補強リ
ブ１０ｃのように密的位置にあるものは、厚み（ｄ３）
があって、且つ図４に示すようにその取付高さも高く
（ｈ３）している。そして、上記両リブ１０ａ、１０ｃ
の中間的位置にある補強リブ１０ｂは、中間的厚さ（ｄ
２）で、その取付高さも図５に示すように中間的高さ
（ｈ２）に形成している。

【００２１】よって、厚みにおいては、補強リブ１０ｃ
（ｄ３）＞補強リブ１０ｂ（ｄ２）＞補強リブ１０ａ
（ｄ１）の関係となり、取付高さにおいては、補強リブ
１０ｃ（ｈ３）＞補強リブ１０ｂ（ｈ２）＞補強リブ１
０ａ（ｈ１）の関係となっている。

【００２２】このように、液体を封入した脱水槽環１の
内部に放射状に設ける補強リブ１０は、取付け位置及び
厚みや長さ等、形状を異ならせて配設することにより、
強度の高い仕上剤投入部２とも強度的にバランスして、
脱水槽環１全体の強度の均衡と、全体的に強度アップさ
せた脱水槽環１とすることができる。

【００２３】仕上剤投入部２は、図３に示すように仕切
壁１４により複数の室１５ａ、１５ｂ、１５ｃ、１５ｄ
に区割されている。ここで、仕上剤は洗濯を行う最初
に、例えば室１５ａに投入しておく。すすぎ−脱水を数
回繰り返すすすぎ工程時に、洗濯兼脱水槽７が脱水回転
する毎に遠心力作用で、例えば室１５ａ→１５ｂ→１５
ｃと移動し、最後のすすぎ時に室１５ｄから洗濯兼脱水
槽７の中に仕上剤が投入される。

【００２４】よって本発明構造の脱水槽環１によると、
脱水槽環全体が強度アップされたことにより、洗濯兼脱
水槽７の高速回転する脱水時に、従来のようにある一部
が突出するような偏った変形が起きない。

【００２５】このため、洗濯兼脱水槽７の外槽との接触
が避けられ、振動、騒音の発生を極力小さくでき、スム
ーズな脱水運転をすることができる。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は脱水槽環
全体の強度を均衡化するよう補強リブを配するという簡
単な対応で脱水運転時の偏芯荷重による洗濯兼脱水槽の
変形を軽減することができ、製品の寿命の向上と洗濯兼
脱水槽と外槽が接触し、振動、騒音が発生するという問
題を解消できる。

【００２７】また、洗濯兼脱水槽の変形が小さいことに
より、外槽との余分な隙間を設けることなく入最小限の
隙間で製品を作ることができ、洗濯兼脱水槽の径を大き
くし洗濯容量を増加させ、洗濯時間の短縮等、能率的洗
濯を可能とすると共に、洗濯兼脱水槽と外槽の間の無駄
水を最小限にすることも可能とし、経済的な全自動洗濯
機とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る脱水槽環の内部構造を示す平断面
図。

【図２】同脱水槽環を具備した洗濯兼脱水槽の構成正面
図。

【図３】脱水槽環の内部構成を更に詳細に説明する平断
面図。

【図４】図３における補強リブ１０ｃのある部分の脱水
槽環の側断面図。

【図５】図３における補強リブ１０ｂのある部分の脱水
槽環の側断面図。

【図６】図３における補強リブ１０ａのある部分の脱水
槽環の側断面図。

【図７】全自動洗濯機の内部構造を概略的に示す縦断面
図。

【図８】洗濯物の偏芯荷重で槽変形の起こることを説明
する従来の脱水槽環の平断面図。

【図９】同従来の脱水槽環を具備した洗濯兼脱水槽の構
成正面図。

【符号の説明】 １ 脱水槽環 ２ 仕上剤投入部 ６ 洗濯物 ７ 洗濯兼脱水槽 １０ 補強リブ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 機枠内に弾性的に吊り下げ支持した外槽
   と、この外槽内に回転自在に配設された洗濯兼脱水槽
   と、前記洗濯兼脱水槽の上端開口に設けられ、内部に液
   体が封入される樹脂製の脱水槽環を備え、前記脱水槽環
   には所定箇所に仕上剤投入部が設けられると共に、前記
   脱水槽環の内部には全周にわたって複数の補強リブを一
   体形成した構造の全自動洗濯機において、 前記複数の補強リブは、前記仕上剤投入部の強度に釣り
   合い、脱水槽環全体の強度が均衡するように位置、形状
   等を替えて形成させていることを特徴とする全自動洗濯
   機。