JPH10323932A - 透明導電フィルム - Google Patents

透明導電フィルム

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JPH10323932A
JPH10323932A JP9150179A JP15017997A JPH10323932A JP H10323932 A JPH10323932 A JP H10323932A JP 9150179 A JP9150179 A JP 9150179A JP 15017997 A JP15017997 A JP 15017997A JP H10323932 A JPH10323932 A JP H10323932A
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正典 小林
Masanao Kudo
政尚 工藤
Yozo Yamada
陽三 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透光性を維持したまま電気伝導性を有し、特
に、長時間高温・高湿雰囲気に曝されても実用性のある
透光性と電気伝導性を保持できる、環境の変化に左右さ
れない安定な透明導電フィルムを提供すること。 【解決手段】 透明高分子フィルム上に、二層の透明金
属薄膜層(A)間にIn、Sn、Cd、Zn、Al、S
b、Ge、W又はMoの金属酸化物又は金属・金属酸化
物からなる透明導電薄膜層(B)又はSi、Zr、C
e、Mg、Ti又はAlの金属酸化物、金属窒化物又は
金属酸化窒化物からなる透明ガスバリア薄膜層(C)を
挟んでなる三層複合層と、透明ガスバリア薄膜層(C)
とを順次積層してなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた環境安定性
と電気伝導特性を備えた透明導電フィルム、それを用い
たプラズマディスプレイパネル(PDP)前面の電磁波
シールド材料及びプラズマディスプレイに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、透明導電フィルムはポリエチレン
テレフタレート(PET)フィルム等の透明高分子フィ
ルム上にインジウム・錫酸化物(ITO)等の透明導電
膜を積層したものが一般的である。ITOによる透明導
電膜においては、透明性と導電性は相反する要求特性で
あることが多く、表面抵抗率が10Ω/□以下であって
透明性が高い透明導電膜を得ることは因難であり、特に
成膜温度条件に制限のある高分子フィルム基材上に成膜
するのは困難である。
【0003】一方、PDP内部からはグロー放電に伴い
紫外線や赤外線を含めた電磁波が放出されており、周囲
の電子機器のノイズになったり、使用者の健康を害する
等の問題点が指摘されており、電磁波がPDP外部に漏
れないよう遮蔽しなければならない。PDP背面及び側
面は筺体に公知の電磁波シールド処理を施せばよいが、
パネル前面には透明なシールド材料を配置する必要があ
る。これまでもパソコン等のCRT用電磁波シールドフ
ィルターは各種発売されているが、PDP用ではより高
度な電磁波シールド性能が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】PDP前面の電磁波シ
ールド材料に用いる透明導電フィルムには透明性ととも
に優れた導電性(低電気抵抗率)が求められる。このよ
うな要求特性を満足し得る透明導電フィルムとしてA
u、Ag、Cu等の透明金属薄膜を積層した導電フィル
ムがある。たとえば膜厚が50Åから150ÅのAgの
スパッタリング膜をPETフィルム上に積層した透明導
電フィルムは、表面抵抗率は数Ω/□と低く、全光線透
過率も65%以上あり、低電気抵抗率と高光線透過率の
バランスがとれた高性能な透明導電フィルムとなる。し
かし、Ag、Cu等の透明金属薄膜は環境安定性が悪
く、特に高温高湿度下では酸化が進み、初期の性能が時
間の経過と共に維持できなくなり、Auの透明金属薄膜
は透過光が青緑色になり又高価であることから好ましく
ない。また、電気伝導性を優先した透明導電フィルムと
して従来からよく知られているAu、Ag、Cu等の透
明金属薄膜を透明高分子フィルム上に積層したものは、
一般に透明金属薄膜の膜厚の増加に従って電気伝導性は
良くなるが、光線透過率も極端に低下し、200Å以上
では反射率100%の金属光沢をもった膜となり不満足
なものである。
【0005】本発明は、上記従来の透明導電フィルムの
有する問題点を解決したものであって、透光性を維持し
たまま電気伝導性を有し、特に、長時間高温・高湿雰囲
気に曝されても実用性のある透光性と電気伝導性を保持
できる、という環境の変化に左右されない安定な透明導
電フィルムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の透明導電フィルムは、透明高分子フィルム
上に、二層の透明金属薄膜層(A)間にIn、Sn、C
d、Zn、Al、Sb、Ge、W又はMoから選ばれた
1種又は2種以上の金属酸化物又は金属・金属酸化物か
らなる透明導電薄膜層(B)又はSi、Zr、Ce、M
g、Ti又はAlから選ばれた1種又は2種以上の金属
酸化物、金属窒化物又は金属酸化窒化物からなる透明ガ
スバリア薄膜層(C)を挟んでなる三層複合層と、透明
ガスバリア薄膜層(C)とを順次積層してなることを特
徴とする。
【0007】ここで、透明導電フィルムでいう透明と
は、全光線透過率が65%以上のことを意味する。
【0008】上記の構成からなる透明導電フィルムは、
透明フィルムなみの透光性を維持しながら優れた電気伝
導性を有し、特に、長時間高温・高湿雰囲気に曝されて
も実用性のある透光性と電気伝導性を保持できるとい
う、環境変化による影響が少ない、安定な透明導電フィ
ルムである。
【0009】本発明の好適な実施態様としては、透明金
属薄膜層(A)がAgを主成分とする厚さ50Åから1
75Åの薄膜であることができる。
【0010】また、本発明の好適な実施態様としては、
透明ガスバリア薄膜層(C)の積層面積が透明金属薄膜
層(A)より小面積であることができる。
【0011】また、本発明の透明導電フィルムは、電磁
波シールド材料に好適に使用することができる。
【0012】この電磁波シールド材料は、PDP等から
放出される電磁波を遮断する場合に、長時間高温・高湿
雰囲気に曝されても実用性のある透光性と電気伝導性を
保持することができる電磁波シールド材料となる。
【0013】また、本発明の透明導電フィルムは、プラ
ズマディスプレイに好適に用いることができる。
【0014】このプラズマディスプレイは、PDPから
放出される電磁波を遮断するのに、長時間高温・高湿雰
囲気に曝されても実用性のある透光性と電気伝導性を保
持できるプラズマディスプレイとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の透明導電フィルム
の実施の形態を説明する。
【0016】具体的には、透明金属薄膜層(A)、透明
導電薄膜層(B)、透明ガスバリア薄膜層(C)、透明
高分子フィルム(D)の積層順序が、(C)/(A)/
(B)/(A)/(D)、(C)/(A)/(C)/
(A)/(D)、(C)/(A)/(B)/(A)/
(C)/(D)、(C)/(A)/(B)/(A)/
(C)/(D)、(C)/(A)/(B)/(A)/
(B)/(A)/(D)、(C)/(A)/(C)/
(A)/(C)/(A)/(C)/(D)のような構成
をとるのが典型的な積層構造であるがこれらに限定され
るものではない。
【0017】また、本発明の透明導電フィルムにおい
て、透明ガスバリア薄膜層(C)の積層面積が、透明金
属薄膜層(A)の積層面積より小面積であって、透明金
属薄膜層(A)と外部端子とが電気的導通可能な構成で
あるようにする、或いは、さらに、三層複合層における
二層の透明金属薄膜層(A)の間の透明ガスバリア薄膜
(C)の積層面積を上記(A)の面積に比べ小面積に
し、内外2層の(A)の電気的導通をはかる構造とする
ことができる。また、本発明の透明導電フィルムは電磁
波シールド材料に、またはプラズマディスプレイの構成
成分に使用することができる。
【0018】本発明においては、透明高分子フィルム上
に積層する透明金属薄膜層(A)は、透明で電気伝導性
のある金属薄膜層であれば限定はない。ここで、透明金
属薄膜層が透明であるとは、全光線透過率が65%以上
のことであり、好ましくは、Agを主成分とした、厚さ
50Åから175Åの薄膜である。
【0019】また、本発明において、透明導電薄膜層
(B)はIn、Sn、Cd、Zn、Al、Sb、Ge、
W、Moから選ばれる1種又は2種以上の金属酸化物又
は金属・金属酸化物による透明な導電薄膜である。ここ
で、透明導電薄膜層が透明であるとは、全光線透過率が
65%以上のことである。
【0020】また、本発明において、透明ガスバリア薄
膜層(C)はSi、Zr、Ce、Mg、Ti又はAlか
ら選ばれる1種又は2種以上の金属酸化物、金属窒化物
又は金属酸化窒化物による透明なガスバリア薄膜層であ
る。ここで、透明ガスバリア薄膜層が透明であるとは、
全光線透過率が65%以上のことである。
【0021】本発明において、三層複合層は透明導電薄
膜層(B)又はガスバリア薄膜層(C)を挟んで、
(A)/(B)/(A)又は(A)/(C)/(A)の
3層積層構造を含むものである。本発明においては、三
層複合層は上記基本構造を含んでおれば、(A)/
(B)/(A)/(B)/(A)、(A)/(C)/
(A)/(C)/(A)、(A)/(B)/(A)/
(C)/(A)のようにさらに付加した構造であっても
何ら差し支えないものである。
【0022】本発明においては、上記薄膜層の外側にS
i、Zr、Ce、Mg、Ti又はAlから選ばれた1種
又は2種以上の金属酸化物、金属窒化物又は金属酸化窒
化物によるガスバリア薄膜層(C)を1層以上積層して
いる。
【0023】以下、本発明の透明導電フィルムの実施の
形態を図面に基づいて説明する。
【0024】本発明における透明金属薄膜(A)は、可
視域の吸収が少なく、電気伝導性の高い金属あるいは合
金であれば良いが、特に光学特性と電気伝導性のバラン
スよりAgによる薄膜あるいはAgを主成分としたもの
が好ましい。また、他に含有させることができる金属と
しては、Au、Cu、Al、Ni、Cr、Ti、Si、
Sn、In等が好ましい。Ag単独では環境安定性が悪
い場合があるので、Ag−Au合金、Ag−Cu合金等
にすることにより膜密度が改善され、耐久性と導電率の
向上がみられることがある。ただし、光学特性の観点か
らAgの含有量は50%以上が好ましい。
【0025】透明金属薄膜の膜厚は50Å〜175Åの
範囲が好ましい。50Å未満では薄膜が不連続な島状構
造であり電気伝導性が低く、175Åを越えると可視光
の透過性がなくなる。しかしながら、金属の単層膜で、
ある程度の透光性を維持しつつ数Ω/□の表面抵抗率を
実現するのは困難である。そこで、2層に分割しそのあ
いだに異質の透明薄膜層を設け、周辺部で電気的導通を
とることで、合計膜厚が厚くなっても透光性を持たせた
まま、電気伝導性を向上することができる。上下2層の
透明金属薄膜の電気的導通の取り方は、たとえば、中間
層を成膜する際に周辺端部の一部又は全部に、あるいは
一部分を○あるいは□型にマスキングをかけて中間層成
膜後、2層目を成膜する前にマスキングを剥離すること
により与えることができる。
【0026】透明金属薄膜の成膜法としては、主にスパ
ッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等
のPVD法(物理蒸着法)が用いられるが、50Å〜1
75Åというかなり薄い膜を安定的に成膜するためには
高エネルギー粒子による成膜法が好ましく、特に合金の
薄膜形成の場合は、組成・膜厚の均一性の観点からスパ
ッタリング法が好ましい。
【0027】本発明の透明導電薄膜(B)とは、In、
Sn、Cd、Zn、Sb、Go、W、Mo又はAlから
選ばれた1種又は2種以上の金属酸化物あるいは金属・
金属酸化物による導電性薄膜であり、可視域の光線透過
率の高いものが好ましい。
【0028】透明導電薄膜の膜厚は、その電気伝導性の
発現より、50Å以上が好ましく、より好ましくは15
0Å以上である。
【0029】透明導電薄膜の成膜法としてはスパッタリ
ング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等のPV
D法(物理蒸着法)、CVD法(化学蒸着法)等の高真
空中での薄膜形成法がある。
【0030】本発明の透明ガスバリア薄膜(C)とは、
透明金属薄膜の電気伝導性及び透光性の低下の原因であ
る酸化を防ぐ目的のため、酸素、水蒸気等の気体透過性
の極めて低いものが好ましく、Si、Zr、Ce、M
g、Ti又はAgから選ばれる1種又は2種以上の金属
酸化物又は金属窒化物あるいは金属酸化窒化物の薄膜が
好ましい。
【0031】透明ガスバリア薄膜の膜厚は、そのガスバ
リア性の発現より100Å以上が好ましく、より好まし
くは150Å以上である。
【0032】透明ガスバリア薄膜の成膜法としては、ス
パッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法
等のPVD法(物理蒸着法)、CVD法(化学蒸着法)
等の高真空中での薄膜形成法がある。
【0033】透明導電薄膜層(B)及び透明ガスバリア
薄膜層(C)の膜厚は、必要に応じて選択光透過フィル
ターとなるように、透明金属薄膜層(A)との間で膜厚
の光学設計をしてもよい。
【0034】本発明において用いる透明高分子フィルム
は、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ
スルホン系樹脂等であり、たとえばポリエチレンテレフ
タレート、ポりエチレンナフタレート、ポリカーボネー
ト、ポリスチレン、非晶質環式ポリオレフィン、ポリエ
ーテルスルホン等のフィルムであるが、特性と価格のバ
ランスよりポリエチレンテレフタレート(PET)フィ
ルムが好ましく用いられる。
【0035】透明高分子フィルムの厚さは50〜300
μmが好ましく、より好ましくは100〜200μmで
ある。またこれらの透明高分子フィルム中にその透明高
分子フィルムの機械的特性及び光学特性を損なわない程
度の着色剤、紫外線吸収剤、安定剤、可塑剤、色素等を
含ませても何ら差し支えない。
【0036】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
また、実施例とともに比較例を記した。
【0037】次に、本明細書における特性値の測定法を
示す。
【0038】(1)表面抵抗率:三菱油化(株)製抵抗率
計(ロレスタ・AP)にて測定した。
【0039】(2)全光線透過率及びヘイズ:日本電色工
業(株)製ヘイズメーター(NDH−1000DP)に
て測定した。
【0040】(3)電磁波シールド効果 はアドバンテスト社製スペクトラムアナライザー「R3
361A」、及びシールドボックス「TR17301
A」を用い、電界、磁界についてそれぞれ測定した。測
定周波数は0〜1GHzで行った。
【0041】(実施例1)厚さ188ミクロンの2軸延
伸ポリエチレンテレフタレートフィルム基板に、第1層
として100ÅのAg透明金属薄膜をDCマグネトロン
スパッタリングにより積層した。次に第2層として20
0Åの酸化錫の透明薄電膜を高周波マグネトロンスパッ
タリングにより積層した。さらに第3層として100Å
のAg薄膜を第1層と同様に積層した。この積層体の表
面抵抗率は2Ω/□であった。次に周辺部全周にわたっ
て幅10mmのマスキングを施してから、第4層として
200ÅのAlSiNをAlSi合金をターゲットに使
い反応性DCマグネトロンスパッタリングにより積層し
た。得られた積層体の全光線透過率は70%、ヘイズは
2.0%であった。60℃、95%RHの恒温恒湿槽1
000時間放置した後の全光線透過率は70%、ヘイズ
値は2.0%であった。また、周辺部のマスキングをは
がし、銀ペーストを塗布しアース線を取り付け、電磁波
シールド特性を測定した結果、55dBであった。
【0042】(実施例2)厚さ188ミクロンの2軸延
伸ポリエチレンテレフタレートフィルム基板に、第1層
として100ÅのAg透明金属薄膜をDCマグネトロン
スパッタリングにより積層した。次に周辺部全周にわた
って幅10mmのマスキングを施してから、第2層とし
て200Åの酸化錫の透明導電膜を高周波マグネトロン
スパッタリングにより積層した。マスキングをはがし、
さらに第3層として100ÅのAg薄膜を第1層と同様
に積層した。この積層体の表面抵抗率は1Ω/□であっ
た。次に周辺部全周にわたって幅10mmのマスキング
を施してから、第4層として200ÅのSiAlONを
AlSi合金をターゲットに反応性DCマグネトロンス
パッタリングにより積層した。得られた積層体の全光線
透過率は70%、ヘイズは2.0%であった。60℃、
95%RHの恒温恒湿槽1000時間放置した後の全光
線透過率は70%、ヘイズ値は2.0%であった。ま
た、周辺部のマスキングをはがし、銀ペーストを塗布し
アース線を取り付け、電磁波シールド特性を測定した結
果、60dBであった。
【0043】(実施例3)厚さ188μの2軸延伸ポリ
エチレンテレフタレートフィルム基板に、第1層として
100ÅのAg透明金属薄膜をDCマグネトロンスパッ
タリングにより積層した。次に周辺部全周にわたって幅
10mmのマスキングを施してから、第2層として20
0ÅのSiO2の透明導電膜を高周波マグネトロンスパ
ッタリングにより積層した。マスキングを剥がし、第3
層として100ÅのAg薄膜を第1層と同様に積層し
た。この積層体の表面抵抗率は2Ω/□であった。次に
周辺部全周にわたって幅10mmのマスキングを施して
から、第4層として200ÅのSiO2を高周波マグネ
トロンスパッタリングにより積層した。得られた積層体
の全光線透過率は75%、ヘイズは2.0%であった。
60℃、95%RHの恒温恒湿槽1000時間放置した
後の全光線透過率は75%、ヘイズ値は2.0%であっ
た。また、周辺部のマスキングをはがし、銀ペーストを
塗布しアース線を取り付けた。電磁波シールド特性は5
0dBであった。
【0044】(実施例4)厚さ188μの2軸延伸ポリ
エチレンテレフタレートフィルム基板に、第1層として
200ÅのSiO2を高周波マグネトロンスパッタリン
グにより積層した。次に第2層として、100ÅのAg
金属薄膜をDCマグネトロンスパッタリングにより積層
した。次に周辺部全周にわたって幅10mmのマスキン
グを施してから、第3層として200ÅのSiO2の透
明導電膜を高周波マグネトロンスパッタリングにより積
層した。マスキングを剥がし、第4層として100Åの
Ag薄膜を第1層と同様に積層した。この積層体の表面
抵抗率は2Ω/□であった。次に周辺部全周にわたって
幅10mmのマスキングを施してから、第5層として2
00ÅのSiO2を高周波マグネトロンスパッタリング
により積層した。得られた積層体の全光線透過率は75
%、ヘイズは2.0%であった。60℃、95%RHの
恒温恒湿槽1000時間放置した後の全光線透過率は7
5%、ヘイズ値は2.0%であった。また、周辺部のマ
スキングをはがし、銀ペーストによりアース線を取り付
けた。電磁波シールド特性は5OdBであった。
【0045】(比較例1)厚さ188μの2軸延伸ポリ
エチレンテレフタレートフィルム基板に、100ÅのA
g金属薄膜をDCマグネトロンスパッタリングにより積
層した。得られた積層体の表面抵抗率は5Ω/□、全光
線透過率は80%、ヘイズは1.5%であった。またこ
の積層体を60℃、95%RHの恒温恒湿槽に1000
時間放置したのちの表面抵抗率は10Ω/□以上であ
り、全光線透過率は50%、ヘイズは10%であり、外
観的にも酸化によるAg膜の変色が見られた。
【0046】(比較例2)実施例1の第2層の酸化錫の
代わりに200ÅのSiO2を高周波マグネトロンスパ
ッタリングにより積層すること以外は実施例1と同様に
積層体を作製した。つまり、上下2層のAg層は、電気
的に絶縁状態である。最外層のSiO2積層前の表面抵
抗は5Ω/□であり、劣ったものであった。
【0047】(比較例3)実施例1の第4層を積層しな
いこと以外は実施例1と同様に積層した。この積層体の
表面抵抗率は1Ω/□であった。得られた積層体の全光
線透過率は75%、ヘイズは2.0%であった。60
℃、95%RHの恒温恒湿槽1000時間放置した後の
全光線透過率は55%、ヘイズ値は10%であり劣った
ものであった。
【0048】
【発明の効果】本発明の透明導電フィルムは、透明フィ
ルムなみの透光性を維持しながら優れた電気伝導性(低
電気抵抗率)を有し、特に、長時間高温・高湿雰囲気に
曝されても実用性のある透光性と電気伝導性を保持する
ことができる。
【0049】本発明の電磁波シールド材料は、PDP等
から放出される電磁波を遮断する場合に、長時間高温・
高湿雰囲気に曝されても実用性のある透光性と電気伝導
性を保持することができる。
【0050】本発明のプラズマディスプレイは、PDP
から放出される電磁波を遮断するのに、長時間高温・高
湿雰囲気に曝されても実用性のある透光性と電気伝導性
を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明導電フィルムの層構成の一例であ
る。
【図2】本発明の透明導電フィルムの層構成の他の例で
ある。
【図3】本発明の透明導電フィルムの層構成の別の例で
ある。
【図4】本発明の透明導電フィルムの層構成のさらに他
の例である。
【符号の説明】
A 透明金属薄膜層 B 透明導電薄膜層 C 透明ガスバリア薄膜層 D 透明高分子フィルム

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明高分子フィルム上に、二層の透明金
    属薄膜層(A)間にIn、Sn、Cd、Zn、Al、S
    b、Ge、W又はMoから選ばれた1種又は2種以上の
    金属酸化物又は金属・金属酸化物からなる透明導電薄膜
    層(B)又はSi、Zr、Ce、Mg、Ti又はAlか
    ら選ばれた1種又は2種以上の金属酸化物、金属窒化物
    又は金属酸化窒化物からなる透明ガスバリア薄膜層
    (C)を挟んでなる三層複合層と、透明ガスバリア薄膜
    層(C)とを順次積層してなることを特徴とする透明導
    電フィルム。
  2. 【請求項2】 透明金属薄膜層(A)がAgを主成分と
    する厚さ50Åから175Åの薄膜であることを特徴と
    する請求項1記載の透明導電フィルム。
  3. 【請求項3】 透明ガスバリア薄膜層(C)の積層面積
    が透明金属薄膜層(A)より小面積であることを特徴と
    する請求項1又は2記載の透明導電フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の透明導電フィ
    ルムを構成要素として有することを特徴とする電磁波シ
    ールド材料。
  5. 【請求項5】 請求項1、2又は3記載の透明導電フィ
    ルムを構成要素として有することを特徴とするプラズマ
    ディスプレイ。
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