JPH10319059A - 信号処理方法、信号処理装置およびドップラソナー - Google Patents

信号処理方法、信号処理装置およびドップラソナー

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JPH10319059A
JPH10319059A JP12359497A JP12359497A JPH10319059A JP H10319059 A JPH10319059 A JP H10319059A JP 12359497 A JP12359497 A JP 12359497A JP 12359497 A JP12359497 A JP 12359497A JP H10319059 A JPH10319059 A JP H10319059A
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signal
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spectrum
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Hironori Suzaki
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Furuno Electric Co Ltd
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  • Measurement Of Velocity Or Position Using Acoustic Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】効率的な計算で超低速の速度分解能を得ること
ができる信号処理方法、信号処理装置を提供する。 【解決手段】30kHz付近に周波数スペクトルが展開
している信号を24kHzでアンダーサンプリングする
ことにより、前記周波数スペクトルは6kHz付近に展
開する。この周波数スペクトルの中心周波数をDC=0
Hzに周波数シフトする場合、中心周波数とサンプリン
グ周波数との比が1/4であるため、サンプリングデー
タに順次1,−j,−1,jを乗ずるのみでこれを行う
ことができる。さらに、この定数をFIRフィルタの係
数に埋め込んでおき、サンプリングデータが4n(nは
正の整数)だけ進む毎にFIRフィルタの演算を行って
データを出力することにより、周波数シフト、FIRフ
ィルタ処理および4nのデシメーションを一括して処理
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、信号の周波数な
どを解析する際の処理を効率化した信号処理方法、信号
処理装置、および、対象物との距離に応じた速度測定が
可能なドップラソナーに関する。
【0002】
【従来の技術】船舶における速度測定にはドップラソナ
ーが広く用いられており、船舶の種類に応じてドップラ
ソナーの測定レンジも種々に設定される。海底に沈んだ
状態で故障している潜水艦の乗組員を救助するための潜
水艦救難艇(DSRV)にもドップラソナーが搭載され
ている。DSRVは、沈没潜水艦に自走で接近して救助
ハッチにドッキングし、この救助ハッチを介して潜水艦
の乗組員を救助する。沈没潜水艦の救助ハッチに安全・
確実にドッキングするためには、超低速の速度制御が要
求され、ドップラソナーにも高い速度分解能が要求され
る。
【0003】従来より一般的なドップラソナーは、超音
波パルスビームを送信し、その反射波のドップラシフト
により対象物との相対速度を計測するものである。近年
のドップラソナーは、ディジタル処理によってドップラ
シフト周波数を割り出すものが多く、ディジタル処理方
式のものはDFT(離散フーリエ解析、実際の計算は、
高速フーリエ解析(FFT))によって、ドップラシフ
トの周波数スペクトルを求め、そのピーク位置に基づい
てドップラ周波数を検出する。
【0004】このようなパルス方式の場合、対象物との
距離が長い場合には、反射波の到達時間遅れが大きいた
め長いパルスビームを出力することができるが、対象物
と接近した状態では到達時間遅れが少ないため、長いパ
ルスビームを出力すると、出力パルスと反射波とが重な
り合ってしまい、正確な速度計測をすることができな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、DSRVの場
合、対象物である沈没潜水艦に接近するほど低速に制御
され、ドップラソナーも高い速度分解能が要求されるに
もかかわらず、短いパルスしか送信できないため速度分
解能が低下するという問題点があった。たとえば、対象
物との距離が1mの場合、反射波の到達遅れ時間が約
1.3msであるため、サンプリング周波数が50kH
zでもFFT点数は32点しかとることができず、周波
数分解能は1.56kHzで検出速度分解能は約15k
notとなり、超低速で接近する艦艇の速度を到底検出
することができない。
【0006】そこで、送受波器を2つ設け、一方の送受
波器で連続波を送信し、他方の送受波器で連続した反射
波を受信することによって、長い信号から多くのサンプ
ル点をとって、速度分解能を向上することが考えられ
る。しかし、単純に長い信号から長いサンプル点をとっ
てFFT演算しようとすると極めて長時間の演算が必要
になり、短時間の速度データの更新ができなくなるた
め、速度制御が不安定になるという問題点があった。
【0007】また、ドップラソナーはパルス信号の反射
波遅延時間に基づいて対象物との距離を測定している
が、連続波ではこの距離測定ができないという問題点も
あった。
【0008】この発明は、効率的な計算で超低速の速度
分解能を得ることができる信号処理方法、信号処理装
置、および、距離に応じて適切な速度測定ができるドッ
プラソナーを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この出願の請求項1の発
明は、所定の基準周波数付近に周波数スペクトルを有す
る信号を入力し、該信号を、前記基準周波数をサンプリ
ング周波数の4分の1または4分の3の周波数にシフト
するサンプリング周波数でサンプリングし、該サンプリ
ングされたデータ列に対して、複素単位乗数データ列を
乗算することによって該サンプリングデータ列の周波数
スペクトルをシフトすることを特徴とする。
【0010】ここで、複素単位乗数データ列は、複素平
面における単位円と実軸・虚軸との交点座標値を反時計
回りまたは時計回りに順次並べた数列であり、+1→−
j→−1→+j→の繰り返し、−j→−1→+j→+1
→の繰り返し、−1→+j→+1→−j→の繰り返し、
+j→+1→−j→−1→の繰り返し、または、+1→
+j→−1→−j→の繰り返し、+j→−1→−j→+
1→の繰り返し、−1→−j→+1→+j→の繰り返
し、−j→+1→+j→−1→の繰り返しのいずれかか
らなる。
【0011】この出願の請求項2の発明は、サンプリン
グされたデータ列に対して、所定の窓関数列に対して所
定の離散複素指数関数列を乗算した関数列を順次を乗算
することにより、サンプリングデータ列の切り出しおよ
び該サンプリングデータ列の周波数スペクトルのシフト
を同時に行うことを特徴とする。
【0012】この出願の請求項3の発明は、所定の基準
周波数付近に周波数スペクトルを有する信号を入力し、
該信号を、前記基準周波数をサンプリング周波数の4分
の1または4分の3の周波数にシフトするサンプリング
周波数でサンプリングし、所定の窓関数の各重み係数値
に複素単位乗数データ列を順次乗算したものを、前記サ
ンプリングされたデータ列に対して乗算することによ
り、サンプリングデータ列の切り出しおよび該サンプリ
ングデータ列の周波数スペクトルのシフトを同時に行う
ことを特徴とする。
【0013】この出願の請求項4の発明は、前記乗算
は、前記乗数データが+1のとき、対応するサンプリン
グデータの値をそのまま実数部、0を虚数部とする値を
解とする処理、前記乗数データが−1のとき、対応する
サンプリングデータの符号を反転した値を実数部、0を
虚数部とした値を解とする処理、前記乗数データが+j
のとき、対応するサンプリングデータの値をそのまま虚
数部、0を実数部とした値を解とする処理、および、前
記乗数データが−jのとき、対応するサンプリングデー
タの符号を反転した値を虚数部、0を実数部とした値を
解とする処理、からなることを特徴とする。
【0014】この出願の請求項5の発明は、前記周波数
スペクトルをシフトされたサンプリングデータ列のう
ち、+1または−1が乗算されたデータのみから実数部
を抽出して実数部の演算を行い、+jまたは−jが乗算
されたデータのみから虚数部を抽出して虚数部の演算を
行うことを特徴とする。
【0015】この出願の請求項6の発明は、所定の基準
周波数付近に周波数スペクトルを有する信号を入力し、
該信号を、前記基準周波数をサンプリング周波数の4分
の1または4分の3の周波数にシフトするサンプリング
周波数でサンプリングし、該サンプリングされたデータ
の帯域を制限するFIRフィルタの各タップのフィルタ
係数を、複素単位乗数データ列を順次乗ずることによっ
て変更しておき、前記FIRフィルタに対して順次入力
される前記サンプリングデータが、4の倍数に設定され
ているデシメーションレートだけ進む毎に、該FIRフ
ィルタの各タップ出力に対して前記変更されたフィルタ
係数を乗算してフィルタ出力データを出力することによ
り、周波数スペクトルのシフト、周波数帯域の制限およ
びデシメーションを一括して処理することを特徴とす
る。
【0016】この出願の請求項7の発明は、所定の周波
数帯に周波数スペクトルを有する信号を入力し、前記周
波数スペクトルの周波数帯よりも低く、且つ、前記周波
数スペクトルの周波数帯域幅よりも高い周波数でサンプ
リングし、該サンプリングによって生じた折り返し写像
のスペクトルのうち、0ヘルツ付近に生じた折り返し写
像を用いて離散フーリエ解析を行うことを特徴とする。
【0017】この出願の請求項8の発明は、所定の周波
数帯に周波数スペクトルを有する離散時間信号を入力
し、前記周波数スペクトルの周波数帯よりも低く、且
つ、前記周波数スペクトルの周波数帯域幅よりも高いサ
ンプリング周波数となるようにデシメーションし、該デ
シメーションによって生じた折り返し写像のスペクトル
のうち、0ヘルツ付近に生じた折り返し写像を用いて離
散フーリエ解析を行うことを特徴とする。
【0018】この出願の請求項9の発明は、連続信号を
入力して所定のサンプリング周波数でディジタル信号に
変換し、該ディジタル信号を離散フーリエ解析すること
によってスペクトルを得る信号処理方法において、前記
ディジタル信号を所定のデシメーションレートで間引き
したのち前記離散フーリエ解析を行い、処理開始から、
時間が経過するにつれて、前記デシメーションレートを
徐々に大きくしてゆくことにより、処理データ量を増加
させることなく前記スペクトルの周波数分解能を高くし
てゆくことを特徴とする。
【0019】この出願の請求項10の発明は、連続信号
を入力して所定のサンプリング周波数でディジタル信号
に変換し、該ディジタル信号を離散フーリエ解析するこ
とによってスペクトルを得る信号処理方法において、前
記ディジタル信号を所定のデシメーションレートで間引
きしたのち前記離散フーリエ解析を行い、処理開始か
ら、時間が経過するにつれて、前記デシメーションレー
トを徐々に大きくしてゆくことにより、処理データ量を
増加させることなく前記スペクトルの周波数分解能を高
くしてゆくことを特徴とする。
【0020】この出願の請求項11の発明は、連続信号
を入力して所定のサンプリング周波数でディジタル信号
に変換し、該ディジタル信号を離散フーリエ解析するこ
とによってスペクトルを得る信号処理方法において、前
記ディジタル信号を所定のデシメーションレートで間引
きして所定の処理データ点数を抽出したのち前記離散フ
ーリエ解析を行い、処理開始から、時間が経過するにつ
れて、前記デシメーションレートまたは前記処理データ
点数を徐々に大きくしてゆくことにより、前記スペクト
ルの周波数分解能を高くしてゆくことを特徴とする。
【0021】この出願の請求項12の発明は、所定の基
準周波数付近に周波数スペクトルを有する信号を入力
し、前記基準周波数をサンプリング周波数の4分の1ま
たは4分の3の周波数にシフトするサンプリング周波数
でサンプリングするサンプリング手段と、該サンプリン
グされたデータ列に対して、複素単位乗数データ列を乗
算する周波数スペクトルシフト手段と、を備えたことを
特徴とする。
【0022】この出願の請求項13の発明は、所定の窓
関数列に対して所定の離散複素指数関数列を乗算した乗
数関数列を記憶する記憶手段と、サンプリングされたデ
ータ列を入力して前記乗数関数列を乗算することによ
り、サンプリングデータ列の切り出しおよび該サンプリ
ングデータ列の周波数スペクトルのシフトを同時に行う
データ切出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0023】この出願の請求項14の発明は、所定の基
準周波数付近に周波数スペクトルを有する信号を入力
し、前記基準周波数をサンプリング周波数の4分の1ま
たは4分の3の周波数にシフトするサンプリング周波数
でサンプリングするサンプリング手段と、所定の窓関数
の各重み係数値に複素単位乗数データ列を順次乗算した
ものを、前記サンプリングされたデータ列に対して乗算
するデータ切出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0024】この出願の請求項15の発明は、前記周波
数スペクトルシフト手段は、前記乗数データが+1のと
き、対応するサンプリングデータの値をそのまま実数
部、0を虚数部とする値を解とし、前記乗数データが−
1のとき、対応するサンプリングデータの符号を反転し
た値を実数部、0を虚数部とした値を解とし、前記乗数
データが+jのとき、対応するサンプリングデータの値
をそのまま虚数部、0を実数部とした値を解とし、前記
乗数データが−jのとき、対応するサンプリングデータ
の符号を反転した値を虚数部、0を実数部とした値を解
とする手段であることを特徴とする。
【0025】この出願の請求項16の発明は、所定の基
準周波数付近に周波数スペクトルを有する信号を入力
し、前記基準周波数をサンプリング周波数の4分の1ま
たは4分の3の周波数にシフトするサンプリング周波数
でサンプリングするサンプリング手段と、該サンプリン
グされたデータの帯域を制限するFIRフィルタであっ
て、各タップのフィルタ係数が、複素単位乗数データ列
を順次乗ずることによって変更されており、順次入力さ
れる前記サンプリングデータが、4の倍数に設定されて
いるデシメーションレートだけ進む毎に、該FIRフィ
ルタの各タップ出力に対して前記変更されたフィルタ係
数を乗算してフィルタ出力データを出力するフィルタ手
段と、を備えたことを特徴とする。
【0026】この出願の請求項17の発明は、所定の周
波数帯に周波数スペクトルを有する信号を入力し、前記
周波数スペクトルの周波数帯よりも低く、且つ、前記周
波数スペクトルの周波数帯域幅よりも高い周波数でサン
プリングするサンプリング手段と、該サンプリングによ
って生じた折り返し写像のスペクトルのうち、0ヘルツ
付近に生じた折り返し写像を用いて離散フーリエ解析を
行うフーリエ解析手段と、を備えたことを特徴とする。
【0027】この出願の請求項18の発明は、所定の周
波数帯に周波数スペクトルを有する離散時間信号を入力
し、前記周波数スペクトルの周波数帯よりも低く、且
つ、前記周波数スペクトルの周波数帯域幅よりも高いサ
ンプリング周波数となるようにデシメーションするデシ
メーション手段と、該デシメーションによって生じた折
り返し写像のスペクトルのうち、0ヘルツ付近に生じた
折り返し写像を用いて離散フーリエ解析を行うフーリエ
解析手段と、を備えたことを特徴とする。
【0028】この出願の請求項19の発明は、連続信号
を入力して所定のサンプリング周波数でディジタル信号
に変換し、該ディジタル信号を離散フーリエ解析するこ
とによってスペクトルを得る信号処理装置において、前
記ディジタル信号を前記離散フーリエ解析の前に所定の
デシメーションレートで間引きするデシメーション手段
と、処理開始から、時間が経過するにつれて、前記デシ
メーションレートを徐々に大きくしてゆくデシメーショ
ンレート変更手段と、を備えたことを特徴とする。
【0029】この出願の請求項20の発明は、連続信号
を入力して所定のサンプリング周波数でディジタル信号
に変換し、該ディジタル信号を離散フーリエ解析するこ
とによってスペクトルを得る信号処理装置において、前
記ディジタル信号を前記離散フーリエ解析の前に所定の
デシメーションレートで間引きして所定の処理データ点
数を抽出するデシメーション手段と、処理開始から、時
間が経過するにつれて、前記デシメーションレートまた
は処理データ点数を徐々に大きくしてゆく分解能変更手
段と、を備えたことを特徴とする。
【0030】この出願の請求項21の発明は、送信した
超音波信号の反射波により対象物との距離を測定する距
離測定手段と、送信した超音波信号の反射波により対象
物との速度を測定する速度測定手段と、を備えたドップ
ラソナーにおいて、前記速度測定手段は、パルス信号を
送受信することによって対象物との速度を測定するパル
スドップラ速度測定手段、および、連続波信号を送受信
することによって対象物との速度を測定する連続波ドッ
プラ速度測定手段からなり、前記距離測定手段が測定し
た対象物との距離が、第1のしきい値よりも接近したと
き前記パルスドップラ速度測定手段から連続波ドップラ
速度測定手段に切り換え、第2のしきい値よりも遠ざか
ったとき前記連続波ドップラ速度測定手段からパルスド
ップラ速度測定手段に切り換える切換手段を備えたこと
を特徴とする。
【0031】この出願の請求項22の発明は、請求項2
1の発明において、前記連続波ドップラ速度測定手段
が、一定時間毎に前記連続波信号の送受信を中断し、パ
ルス信号を送信して前記対象物との距離を測定する連続
波モード距離測定手段と、該連続波モード距離測定手段
が測定した距離が前記第2のしきい値よりも小さいと
き、再度連続波信号の送受信を再開し、前記中断前に受
信した反射波のデータおよび再開後に受信した反射波の
データを連結して前記対象物との速度を測定する連続波
モード再開手段と、を含むことを特徴とする。
【0032】この出願の請求項23の発明は、請求項2
1の発明において、連続波ドップラ速度測定手段が、一
定時間毎に前記連続波信号の送信を中断し、パルス信号
を送信して前記対象物との距離を測定する連続波モード
距離測定手段と、該連続波モード距離測定手段が測定し
た距離が前記第2のしきい値よりも小さいとき、再度連
続波信号の送信を再開し、前記中断前に受信した信号の
データ、中断中に受信した信号のデータおよび再開後に
受信した信号のデータを用いて前記対象物との速度を測
定する連続波モード再開手段と、を含むことを特徴とす
る。
【0033】この出願の請求項24の発明は、請求項2
1の発明において、連続波ドップラ速度測定手段が、前
記反射波のサンプリングデータを所定のデシメーション
レートで間引きしたのち離散フーリエ解析を行い、その
スペクトルからドップラシフト周波数を求めて速度を測
定する手段であり、前記連続波信号の反射波の受信を開
始してから時間が経過するにしたがって、前記デシメー
ションレートを大きくしてゆくデシメーションレート変
更手段を備えたことを特徴とする。
【0034】この出願の請求項25の発明は、請求項2
1の発明において、連続波ドップラ速度測定手段が、前
記反射波のサンプリングデータを所定のデシメーション
レートで間引きして所定の処理データ点数を抽出したの
ち離散フーリエ解析を行い、そのスペクトルからドップ
ラシフト周波数を求めて速度を測定する手段であり、前
記連続波信号の反射波の受信を開始してから時間が経過
するにしたがって、処理開始から、時間が経過するにつ
れて、前記デシメーションレートまたは処理データ点数
を徐々に大きくしてゆく分解能変更手段を備えたことを
特徴とする。
【0035】この発明において、入力信号の周波数スペ
クトルは、注目領域の中心周波数である基準周波数付近
に展開している。図1(A)は、この入力信号の周波数
スペクトルの例を示す図である。この入力信号をサンプ
リング周波数fsでサンプリングするが、このサンプリ
ング周波数fsを、図1(B)示すように、サンプリン
グ後の中心周波数fcがfs/4または3fs/4とな
るような周波数に設定する。このサンプリングには、た
とえば、いわゆるアンダーサンプリングの手法を用いる
ことができる。
【0036】このようにサンプリングすると、図1
(C)に示すように、中心周波数がfcにバイアスされ
ており、中心周波数を挟んで正負の範囲に周波数スペク
トルが展開していてもその帯域幅がfc以下であれば、
スペクトル同士がエリアシングで重なり合うことがな
い。また、このとき0Hz付近に生じる写像は1次写像
とは限らず、2次写像などの多次写像である可能性があ
るが、中心周波数fcが事前に分かっているため、何次
写像がどの付近に生じるかを予測することができ、最も
利用しやすい0Hz付近の写像を用いることができる。
なお、この技術はアンダーサンプリングのみならず、後
述のデシメーションにおいても同様に適用することがで
きる。
【0037】このように、サンプリング周波数fsでサ
ンプリングされ、中心周波数fcの離散時間データ列と
なった信号は、
【0038】
【数1】
【0039】の指数関数列を乗算することによって中心
周波数fcが0(DC)になるように周波数スペクトル
をシフトすることができる。すなわち、データ数列x
(n)のDFT変換から求まる周波数スペクトルが、
【0040】
【数2】
【0041】で求められるのに対し、データ数列x
(n)に離散複素指数関数c(n)を乗算した周波数ス
ペクトルXshift(k)が、
【0042】
【数3】
【0043】となることから周波数スペクトルX(k)
が周波数軸に沿ってシフトされていることが分かる。す
なわち、
【0044】
【数4】
【0045】によってスペクトルの注目領域の中心周波
数fcを周波数ゼロとするように、スペクトル全体を周
波数軸に沿ってシフトすることができる。
【0046】また、前記c(n)の指数部(−jΩ
c n)のnを、自然数Mを加算することによって(n+
M)に置き換えた場合、すなわち,離散複素指数関数を
M個シフトしてデータ数列に乗算した場合でも、
【0047】
【数5】
【0048】で明らかなように、周波数パワースペクト
ルはこのずれに影響されることなく同様にシフトされ
る。
【0049】そして、上述したようにサンプリング周波
数fsと注目領域の中心周波数fcが、fc=fs/4
またはfc=3fs/4となるような関係にサンプリン
グしていることにより、 Ωc =2π(fc/fs)=π/2 または、 Ωc =2π(fc/fs)=3π/2 となり、前記離散複素指数関数c(n)は、
【0050】
【数6】
【0051】となる。ここで、Ωc =π/2の場合を考
えると、任意の整数値nに対して、
【0052】
【数7】
【0053】となり、+1,−j,−1,+jの4種類
の値のみを取ることが分かる。
【0054】したがって、周波数スペクトルをシフトす
るために実際にx(n)とc(n)とを乗算する必要は
なく、単にデータ数列x(n)を4個周期に、c(n)
のnの値から簡単に割り出される+1,−j,−1,+
jを乗算した場合に合わせて正負符号制御および実数虚
数制御をするだけでよい。すなわち、c(n)がマイナ
ス符号の場合には符号反転計算のみを行い、c(n)が
実数の場合はx(n)の値を全て実数部として処理し、
c(n)が虚数の場合はx(n)の値を全て虚数部とし
て処理すればよい。なお、Ωc =3π/2の場合には、
Ωc =π/2の場合と逆回りになり、+1,+j,−
1,−jとなる。なお、+1→−j→−1→+jまたは
+1→+j→−1→−jの繰り返しの先頭は+1,+
j,−1,−jのうち任意のものでよい。
【0055】このように、fc=fs/2またはfc=
3fs/2となるようなサンプリング周波数fsでサン
プリングすることにより、サンプリングデータのサンプ
リング番号に基づいて符号制御および実数,虚数に割り
振るのみの処理で周波数スペクトルのシフトを行うこと
ができ、上記指数関数を実際に乗算して演算する必要が
なくなるため、処理を大幅に簡略化することができる。
【0056】そして、この処理により周波数シフトされ
たサンプリングデータ列は、実数部のみのデータと虚数
部のみのデータが交互に現れるため、後段のフィルタ演
算などの演算においては、実数部の演算・虚数部の演算
ともに通常の演算の1/2の演算量ですませることがで
きる。すなわち、実数部の演算は、+1または−1が乗
算されたサンプリングデータの実数部について行い、虚
数部の演算は、+jまたは−jが乗算されたサンプリン
グデータの虚数部について行えばよく、図10や図13
に示すように処理データ長の半分のデータ長の演算処理
部でこれを実現できる。
【0057】また、上記のように中心周波数を0にシフ
トしたことにより、サンプリングデータの間引き(デシ
メーション)によって、図1(D)に示すように、0H
z(DC)を中心とした周波数スペクトルの引き延ばし
が可能になる。サンプリングデータを間引きすることに
より、長時間のサンプリングデータを少ないサンプル点
(データ点数)で取り扱うことができる。
【0058】さらに、この発明では、デシメーションレ
ートとして4n(n:正の整数)を用い、このデシメー
ションによって発生する折り返しスペクトルの重なり合
い(エリアシング)を防止するためのローパスフィルタ
であるFIRフィルタのフィルタ係数に対して上記周波
数シフトのための乗数である+1、−j、−1、+jま
たは+1、+j、−1、−jを予め乗算している。デシ
メーションレートが4nであるから、入力されるサンプ
リングデータ列が4n進む毎にフィルタ演算が行われ、
4個の周期で繰り返す+1、−j、−1、+jまたは+
1、+j、−1、−jの乗数と同期し、同じサンプリン
グデータには常に同じ乗数が乗算されることになるた
め、FIRフィルタに入力するまえにサンプリングデー
タにこの乗数を乗算しておかなくても、フィルタ演算に
おいて同時に上記周波数スペクトルのシフトを行うこと
ができる。さらに、上述したように乗数として+1、−
j、−1、+jまたは+1、+j、−1、−jを用いた
ことにより、サンプリングデータの実数部または虚数の
一方が必ず0となるため、0となるタップ(係数演算)
を省略することでフィルタ長を約1/2にすることがで
きる。
【0059】これにより、周波数シフト、FIRフィル
タ処理、およびデシメーションレート4nのデシメーシ
ョン処理を一括して実行することができるとともに、フ
ィルタ長を1/2にする(フィルタ演算量を1/2にす
る)ことができ、処理を大幅に簡略化することができ
る。
【0060】一方、有限長のサンプリングデータを切り
出す場合、その周波数スペクトルを保存するためハニン
グ窓などの窓関数を乗じてデータの切り出しを行うこと
がよく行われるが、この窓関数の各関数列に対して周波
数スペクトルをシフトするための離散指数関数列c
(n)を予め乗算しておき、これをサンプリングされた
データ列x(n)に乗ずることにより、窓関数によるサ
ンプリングデータの切り出しと周波数スペクトルのシフ
トを同時に行うことができる。
【0061】さらに、この場合においても、図15に示
すように上記周波数スペクトルのシフトと同様にサンプ
リング周波数fsと注目領域の中心周波数fcが、fc
=fs/2またはfc=3fs/2となるような関係で
サンプリングすることにより、窓関数列に対して+1,
−j,−1,+jまたは+1,+j,−1,−jの乗数
データ列を乗算したものをデータ列に乗算するのみで、
簡略にサンプリングデータの切り出しと周波数スペクト
ルのシフトを同時に行うことができる。
【0062】
【発明の実施の形態】図2はこの発明の実施形態である
ドップラソナーの概略構成図、図3は同ドップラソナー
の受信部のブロック図である。このドップラソナーは、
沈没潜水艦を救助する潜水艦救難艇(DSRV)に装着
されるものであり、200ms毎に速度データを更新出
力する。DSRVは、救助ハッチにドッキングする際
は、沈没潜水艦に超低速で接近し、0.01ノットの精
度で速度制御する必要がある。このため、このドップラ
ソナーは0.01ノットの検出精度を有する。また、D
SRVは救助を迅速に行うため、母船と沈没潜水艦との
往復行程はある程度の高速で潜水・浮上する。このた
め、ドップラソナーも6ノット程度までの速度検出レン
ジを有している。
【0063】ドップラソナーは、上記検出精度および検
出レンジを確保するため、沈没潜水艦とある程度以上の
距離(20m〜25m以上)が離れているときはパルス
信号を用いて速度計測を行い、沈没潜水艦と上記距離以
下に接近したときは連続波信号を送信して反射波信号を
長時間継続的に受信し、この長時間の信号を用いて速度
計測を行う。上記パルス信号を用いて速度計測を行うモ
ードをパルスドップラモードといい、連続波信号を用い
て速度計測を行うモードを連続波ドップラモードとい
う。
【0064】図3において、ドップラソナーは送信部
1,受信部2および制御部3からなっている。送信部1
は3方向に超音波ビームを送信する3つの送波器1aお
よびこれら3つの送波器に対して高周波信号を印加する
駆動回路などからなっている。駆動回路の動作は前記制
御部3が制御する。
【0065】連続モードで動作する場合、前記送波器1
aは継続的に超音波ビームを送信しているため、これを
受波器として併用することができない。このため、受信
部2は送波器1aとは別に、3個の受波器2aを備えて
いる。各受波器2aは、前記3個の送波器1aにそれぞ
れ対応しており、対応する送波器と同じ方向に向けて設
置されている。送波器1aが送信した超音波ビームは、
沈没潜水艦などの対象物で反射して受波器2aに戻って
くる。この反射波信号は、このドップラソナーを搭載し
たDSRVと対象物との相対速度によるドップラ効果に
より周波数が遷移(ドップラシフト)する。このドップ
ラシフト周波数を測定することにより、DSRVと対象
物との相対速度を検出することができる。
【0066】また、パルスビームを送信した場合には、
送信したのちその反射波を受信するまでの時間差を測定
することができるため、この時間差に基づいてDSRV
と対象物との距離を測定することができる。
【0067】前記受信部2は、3個の受波器2aのそれ
ぞれについて、図3に示す受信回路を備えている。ただ
し、A/D変換器15およびDSP16と3系統で共有
している。各送波器1a・受波器2aの組は、それぞれ
3次元的に独立した方向に向けられているため、受信し
た反射波信号のドップラシフト周波数を測定し、このド
ップラシフト周波数から割り出された速度成分をベクト
ル合成することによってDSRVの前後,左右,上下方
向の速度ベクトルを算出することができる。
【0068】なお、このドップラソナーが送信する超音
波信号は400kHzであり、水中の音波の伝搬速度は
1500m/秒であるため、超音波ビーム角を補正する
と1ノット(=0.5144m/秒)に対応するドップ
ラ周波数は、約100ヘルツである。
【0069】図3の受信回路において、受波器10は対
象物で反射した超音波信号を受信して電気信号に変換す
る。この反射波信号は、送信周波数とほぼ同じ約400
kHzであるが、図4(A)に示すように、DSRVの
移動速度に応じて0Hz〜±1kHz程度のドップラシ
フトを受けている。この反射波信号は、高周波アンプ1
1に入力される。高周波アンプ11はこの信号を後段の
回路で処理可能なレベルまで増幅してミキサ12に入力
する。ミキサ12には430kHzの変調信号が入力さ
れており、この変調信号を前記反射波信号と混合する。
この混合により、30kHz付近および830kHz付
近に前記ドップラシフト周波数の写像スペクトルを生じ
る。バンドパスフィルタ13は30kHz付近に生じた
下側うなりであるスペクトルのみを取り出してアンプ1
4に入力する。これにより400kHzのドップラシフ
ト周波数信号が30kHzの中間周波にダウンコンバー
トされたことになる(図4(B)参照)。このダウンコ
ンバートされたドップラシフト周波数信号は、下側うな
り信号であるため受波器2aが受信したときの周波数ス
ペクトルに対して周波数の高低が反転しているが、この
反転は後段のDSP16における処理で再度反転させる
か、または、反転しているものとして逆向きに処理する
ことにより解消することができる。DSP16における
反転処理は、上述の+1、−j、−1、+jまたはこれ
を反転した+1、+j、−1、−jのどちらで周波数ス
ペクトルのシフトを行うかを選択することで行うことが
できる。
【0070】アンプ14はこの中間周波に変換されたド
ップラシフト周波数信号を適当なレベルまで増幅したの
ちA/D変換器15に入力する。A/D変換器15は、
この信号を24kHzのサンプリング周波数でサンプリ
ング(アンダーサンプリング)することによってディジ
タルデータに変換する。30kHzの信号を24kHz
でアンダーサンプリングすることにより、30kHz±
6kHzの周波数領域がサンプリングされ、この周波数
領域のスペクトルが0(DC)〜12kHzおよび12
kHz〜24kHzに現れる。したがって、中間周波に
おいて30kHz付近に生じていたドップラシフト周波
数のスペクトルは、図4(C)に示すように、6kHz
付近および18kHz付近に現れる。このようにドップ
ラシフト周波数信号が、6kHzまたは18kHzバイ
アスされたままサンプリングされることにより、ドップ
ラシフトが送信周波数の下側に生じた場合でも実数値と
してサンプリングすることができ、虚数側のA/D変換
系統を設ける必要がなくなる。ここで、6kHz付近に
現れるドップラシフト周波数のスペクトルは受信波信号
に対してスペクトルが反転しており、18kHz付近に
現れるドップラシフト周波数のスペクトルは受信波信号
のスペクトルと同相である。
【0071】なお、このように30kHzの信号を24
kHzでサンプリングすることにより、高い周波数の情
報が失われるが、上述したようにDSRVの最大移動速
度は6ノット程度であり、これによって生じるドップラ
シフトの周波数はDSRVの動揺による広がりを考慮し
ても1kHz程度であるため、上記±6kHzの周波数
領域がサンプリングされることで十分DSRVの移動速
度のレンジをカバーすることができる。
【0072】上記アンダーサンプリングによって、ディ
ジタル変換されたドップラシフト周波数信号はDSP1
6に入力される。DSP16は、入力されたディジタル
信号からドップラシフト周波数を算出し、そのドップラ
シフトを生じた超音波ビーム方向の速度成分を算出す
る。そして、前記3つの受波器2aの方向の速度成分を
ベクトル合成することによって、速度ベクトルを算出す
る。
【0073】DSP16は、最高精度の処理時において
は、約1秒の時間幅のサンプリングデータを用いてFF
Tを行い、約1Hzの周波数分解能すなわち0.01ノ
ットの速度分解能を得ているが、24kHzのサンプリ
ング周波数で、そのまま1秒のサンプル点をとった場合
には24×1024点=24576点という膨大なサン
プル点でFFT演算する必要があり、演算量が膨大とな
って前記200ms毎のデータ更新期間内に処理するこ
とが困難になる。また、データ処理用のメモリを多く確
保することが必要になり、大規模なDSPを使用する必
要がある。一方、0.01ノットの速度分解能が必要な
状態とは、対象物に対して極めて接近し速度を十分に落
とした状態であるため、ドップラシフト周波数も十分低
いと考えられる。このため、サンプリング周波数24k
Hzに対応する12kHzの検出可能最大周波数を確保
する必要は全く必要なく、最大でも上記1kHz程度の
検出可能最大周波数を有していれば、ドップラ周波数を
検出可能である。したがって、このドップラソナーで
は、サンプリングデータを間引き(デシメーション)し
てFFT処理をすることにより、検出可能最大周波数が
低下するものの、少ないデータ数で演算量を増加させる
ことなく周波数分解能を向上させている。
【0074】ここで、このDSP16におけるドップラ
シフト周波数の算出方法の概略を、図5,図6のフロー
チャートおよび図7〜図9を参照して説明する。なお、
前記制御部3は、パルス信号の反射波を受信するまでの
時間差により対象物(沈没潜水艦)までの距離を算出す
る機能を有している。図5,図6の処理は200ms毎
に繰り返し実行される速度算出処理動作を示している。
この動作がスタートすると、まずs2で現在の動作モー
ドを判断する。この動作モードは、パルスドップラモー
ド(PWD),連続波ドップラモード(CWD)および
距離測定モード(Temp.PWD)の3つであり、そ
のいずれかが前記制御部(メインCPU)3から指示さ
れる。制御部3は、図7に示す方式でパルスドップラモ
ードと連続波ドップラモードを切り換える。すなわち、
DSRVと対象物との距離が20m以下に接近したとき
パルスドップラモードから連続波ドップラモードに切り
換え、両者の距離が25m以上に離れたとき連続波ドッ
プラモードからパルスドップラモードに切り換える。こ
のように、パルスドップラモードと連続波ドップラモー
ドは、距離を基準にヒステリシスをもって切り換えられ
る。
【0075】ここで、距離が接近したとき連続波ドップ
ラモードに切り換えるのは、距離が接近していると送信
信号を受信するまでの時間差が短いためパルスドップラ
モードでは長いパルスを送信することができず、FFT
点数を多くとれないため速度分解能が低下するためであ
り、距離が離れているときパルスドップラモードに切り
換えるのは、送受信の時間差が長いため長いパルスを送
信でき、FFT点数を多くとり速度分解能を確保できる
とともに、パルス送受信の時間差に基づいて並行して距
離測定ができるためである。また、連続波ドップラモー
ドでは超音波信号の送受信を並行して行うことから、送
信信号の受信側への回り込みが問題となるが、距離が離
れた対象物で反射した反射波信号は信号レベルが小さく
上記回り込みによってカバーされるおそれがあるため、
対象物との距離が離れた状態では連続波ドップラモード
を用いることが困難であるためである。
【0076】上記のように、連続波ドップラモードで
は、制御部3が距離測定をすることができないため、連
続波ドップラモードが数十秒間継続するとパルスドップ
ラモードの一種である距離測定モードに切り換えて距離
を測定する。なお、このモード切換指示はこのDSP1
6のみならず送信部1にも与えられ、送信部1は、この
指示に基づいて送波器1aから送信する超音波信号をパ
ルス信号または連続波信号に切り換える。
【0077】対象物との距離が上記20m〜25m以上
離れている場合には、制御部3からパルスドップラモー
ドが指示される。この場合s3〜s10の処理を実行す
る。このパルスドップラモードの処理動作は従来より一
般的なドップラソナーの動作とほぼ同じである。s3で
は速度計測をするための前処理を実行する。前処理とし
ては、A/D変換器15から入力されるサンプリングデ
ータのレベルに基づいて反射波信号がどこに存在するか
を検索し、FFT用のデータとしてそのパルス幅に応じ
た32〜1024点のデータを切り出す処理や後述の連
続波ドップラモードで使用される処理サイクル数カウン
タcycle#を1にリセットする動作などが含まれ
る。上記切り出されたサンプリングデータを高速フーリ
エ解析(FFT)して周波数スペクトルに展開し(s
4)、この周波数スペクトルのピークを検索することに
よって、ドップラシフト周波数を割り出す(s5)。こ
ののち過去に割り出されたドップラシフト周波数との平
均化などの後処理を行って(s6)、今回の処理サイク
ルにおけるドップラシフト周波数を確定する。そして、
このドップラシフト周波数が適正な範囲の値であるかを
s7で判断する。すなわち、このDSRVは最大6ノッ
ト程度の速度でしか移動しないものであるため、ドップ
ラシフト周波数は船体の動揺などによるマージンを考慮
したとしても±1kHz程度である。したがって、±1
kHzをしきい値とし、割り出されたドップラシフト周
波数がこのしきい値を超える場合は計測が正常に行われ
ていないとしてエラー信号を出力する(s10)。割り
出されたドップラシフト周波数が正常な範囲の値であれ
ば、上述した3系統の速度成分をベクトル合成すること
によってこのDSRVの速度ベクトルを算出し(s
8)、これを他の航行制御装置に対して出力する(s
9)。
【0078】一方、s2において、制御部3から指示さ
れた動作モードが連続波ドップラモードである場合に
は、s12以下の動作に進む。s12ではこの連続波ド
ップラモードの連続処理サイクル数をカウントする処理
サイクル数カウンタcycle#の内容をチェックす
る。cycle#=1、すなわち、今回が連続波ドップ
ラモードに切り換わった最初の処理である場合にはs1
2からs13に進む。s13では、現在蓄積されている
データ数に基づいてデシメーションするか否かを判断す
る。すなわち、連続波ドップラモードへの切り換えは、
制御部3がこのDSP16および送信部1に指示するも
のであり(実際には制御部3が共有メモリにモード指示
を書き込み、送信部1およびDSP16はそれを参照し
にゆくことで指示を受け取る)、200ms毎に実行さ
れるこの処理においてどの程度のデータが蓄積されてい
るかはA/D変換されたサンプリングデータのメモリア
ドレス用のカウンタ値を参照することによってどこから
が連続波ドップラモードであるかが判断される。一般的
に連続波ドップラモードへの直後にFFTに使用可能な
サンプリングデータ数は図8に示すように増加する。こ
こで、切換直後一定時間(100ms程度)のデータは
無効なデータとしてオミットするようにしている。連続
波ドップラモードに切り換えられた第1回目の処理にお
いては、デシメーションするほどのデータが蓄積されて
いない場合が多いため、このような場合にはs13から
s14に進んで蓄積されているデータのうち最新の10
24点を切り出し、このデータをそのまま用いてFFT
を行う(s19)。一方、1回目の処理が行われると
き、既に2048を超える有効なサンプリングデータが
蓄積されている場合には、デシメーションレート=4
(4個のデータ毎に1つのデータを用いて3個のデータ
間引くこと、以下同じ)、FFT点数=512と決定す
る(s15)。そしてこの処理に必要な2048個のデ
ータ列を切り出してデモジュレーションにより周波数ス
ペクトルをシフトする(s16)。このデモジュレーシ
ョンは、上述したように、切り出されたサンプリングデ
ータに離散複素指数関数列を乗算することによって行わ
れる。
【0079】この処理で周波数シフトされたサンプリン
グデータ列に対してローパスフィルタ処理を実行する
(s17)。これは、こののちデシメーションによって
実質的にサンプリング周波数を低下させるため、高い周
波数帯域にスペクトルがあるとエリアシングによりスペ
クトルが乱れることを防止するためである。そして、こ
の周波数シフトされたデータ列からデシメーションレー
トのデータ数毎にFFT点数のサンプリングデータを抽
出し(s18)、このデータを用いてFFTを実行する
(s19)。
【0080】FFTによりサンプル数の周波数分解能で
周波数スペクトルに分解したのち、そのピークを検索す
る(s20)。検出されたピーク周波数が上記しきい値
(1kHz)を超える不適当なものであるかを判断し
(s21)、不適当な値であればエラー信号を出力する
(s26)。適当な範囲の値であれば過去の測定値の影
響を残すために、平均化やIIRフィルタリングなどの
処理を行って(s22)、計測精度を安定化させる。た
とえば、パルスドップラモードから連続波ドップラモー
ドに移行したとき、両モードで割り出されたピーク周波
数にギャップが存在した場合などに、他の航行制御装置
の制御が不安定になるのを防止するためこの処理が行わ
れる。図9に示すcycle#≦6までの移行期には、
パルスドップラモード時に検出されたピーク周波数の影
響を残して出力する速度ベクトルを安定化する。このた
めにIIRフィルタを用いる場合には、例えば、 y(n)=(1−α)x(n)+αy(n−1) の特性のものを用いればよい。ここで、y(0)を連続
波ドップラモードに移行する直前のパルスドップラモー
ドでのドップラシフト周波数、x(n)を連続波ドップ
ラモードでのドップラシフト周波数とする。このフィル
タ関数H(z)は、 H(z)= (1−α) / (1−αz-1) で表される。連続波ドップラモードに移行した直後の、
cycle#=1〜6までの約1秒間の処理サイクルに
おいてパルスドップラモードにおける測定値の影響を残
すため、計数αは0.5〜0.7の範囲で選択する。α
=0.5のときcylce#=6のときのy(0)の影
響は1.56%、α=0.6のとき5.00パーセン
ト、α=0.7のとき約11.76%となる。また、逆
に連続波ドップラモードからパルスドップラモードに移
行する場合にも同様の処理を行えばよいが、αの設定値
は上記の範囲に限定されるものではなく、他の値の範囲
をとりうる可能性がある。
【0081】なお、ここではパルスドップラモードの測
定値を最後の1個のみIIRフィルタ処理にかけている
が、どの距離の測定時においても複数回の測定値を平均
化して出力される速度データを安定化するようにしても
よい。
【0082】上記平均化・フィルタリング処理ののち3
組の送波器1a,受波器2aによる3系統の計測結果を
ベクトル合成して速度ベクトルを算出する(s23)。
算出された速度ベクトルを他の航行制御装置に対して出
力する(s24)。以上の処理ののち処理サイクル数カ
ウンタcycle#に1を加算して(s25)、リター
ンする。
【0083】DSRVが対象物に接近した状態である
と、制御部3から継続的に連続波ドップラモードが指示
され、s2→s12以下の処理が繰り返し実行される。
cycle#=2の処理サイクルにおいては、s2→s
12→s28→s29に進む。図8,図9に示すよう
に、連続波ドップラモードに移行したのち処理サイクル
を繰り返すと、蓄積される連続波のサンプリングデータ
数も増加するため、cylc#の値に応じてFFTに使
用するサンプリングデータ点数を切り換える。図8に示
すようにcycle#=2のタイミングにおいては72
00程度のデータ点数が使用可能になっているため、デ
シメーションレートを4に設定し、FFT点数を102
4に設定する(s29)。これにより、4096サンプ
ルの時間幅すなわち約170msの時間幅のデータに基
づいて速度を割り出すことができ、約5.86Hzの周
波数分解能を得ることができる。これに基づいて速度ベ
クトルを算出すれば、約0.06ノットの速度分解能を
得ることができる。s29におけるデシメーションレー
トおよびFFT点数の設定ののちs16に進む。
【0084】また、cycle#=3の処理サイクルに
おいては、s2→s12→s28→s30→s31に進
む。図8に示すようにcycle#=3においては約1
2000の有効データが蓄積記憶されているため、デシ
メーションレート=8、FFT点数1024に設定する
(s31)。これにより、8192サンプルの時間幅す
なわち約340msの時間幅のデータに基づいて速度を
割り出すことができ、約2.93Hzの周波数分解能を
得ることができる。これに基づいて速度ベクトルを算出
すれば、約0.03ノットの速度分解能を得ることがで
きる。s31におけるデシメーションレートおよびFF
T点数の設定ののちs16に進む。
【0085】さらに、cycle#=4の処理サイクル
においては、s2→s12→s28→s30→s32に
進む。s32では前の処理サイクルの測定結果に基づい
て今回のピーク周波数を推定する。このピーク周波数の
推定はDSRVが200msの短時間に急激に加速・減
速できないこともに基づき、前回測定された速度から加
速・減速できる範囲のドップラシフト周波数が全てこの
350Hz内に含まれるかで判断される。この推定のの
ちs33からs34に進み、この推定されたピーク周波
数が350Hz以下であるか否かを判断し、ピーク周波
数が350Hz以下であると推定される場合にはs35
に進み、ピーク周波数が350Hzを超えると判断され
た場合にはs36に進む。s35では、フィルタのカッ
トオフ周波数を350Hzに設定するとともにデシメー
ションレート=16、FFT点数1024に設定してs
16に進む。上記フィルタのカットオフ周波数はs17
のフィルタリング処理において適用される。デシメーシ
ョンレートを16に設定すると24kHzでサンプリン
グされたデータが実質的に1.5kHzのサンプリング
周波数に低下するためエリアシングを防止する必要から
このようなカットオフ周波数に設定する。デシメーショ
ンレート=16、FFT点数1024に設定することに
より16384サンプルの時間幅すなわち約670ms
の時間幅のデータに基づいて速度を割り出すことがで
き、約1.46Hzの周波数分解能を得ることができ
る。これに基づいて速度ベクトルを算出すれば、約0.
015ノットの速度分解能を得ることができる。
【0086】一方、s34で今回のピーク周波数が35
0Hzを超える、すなわち、DSRVが3.5ノットを
超える速度で移動していると判断された場合にはs36
に進んで、フィルタのカットオフ周波数を800Hzに
設定するとともにデシメーションレート=12、FFT
点数1024に設定してs16に進む。上記フィルタの
カットオフ周波数はs17のフィルタリング処理におい
て適用される。デシメーションレートを12に設定する
と24kHzでサンプリングされたデータが実質的に2
kHzのサンプリング周波数に低下するためエリアシン
グを防止するためにこのようなカットオフ周波数に設定
する。デシメーションレート=12、FFT点数102
4に設定することにより12288サンプルの時間幅す
なわち約500msの時間幅のデータに基づいて速度を
割り出すことができ、約2Hzの周波数分解能を得るこ
とができる。これに基づいて速度ベクトルを算出すれ
ば、約0.02ノットの速度分解能を得ることができ
る。
【0087】また、cycle#=5の処理サイクルに
おいては、上記cycle#=4のときと同様にs2→
s12→s28→s30→s32に進み、前の処理サイ
クルの測定結果に基づいて今回のピーク周波数を推定す
る。そしてs33→s37→s38に進み、この推定さ
れたピーク周波数が350Hz以下であるか否かを判断
する。ピーク周波数が350Hz以下であると推定され
る場合にはs39に進み、ピーク周波数が350Hzを
超えると判断された場合には前記cycle#=4のと
きと同様にs36に進む。s39では、フィルタのカッ
トオフ周波数を350Hzに設定するとともにデシメー
ションレート=20、FFT点数1024に設定してs
16に進む。デシメーションレート=20、FFT点数
1024に設定することにより20480サンプルの時
間幅すなわち約850msの時間幅のデータに基づいて
速度を割り出すことができ、約1.2Hzの周波数分解
能を得ることができる。これに基づいて速度ベクトルを
算出すれば、約0.012ノットの速度分解能を得るこ
とができる。
【0088】そして、図8および図9に示すようにピー
ク周波数が350Hz以下であれば、cycle#=6
以後の処理サイクルにおいては、24000点以上のサ
ンプリングデータ点数を使用することができるため、最
高分解能でピーク周波数を割り出す。まず、上記cyc
le#=4のときと同様にs2→s12→s28→s3
0→s32に進み、前回の処理サイクルの測定結果に基
づいて今回のピーク周波数を推定する。そしてs33→
s37→s40に進み、この推定されたピーク周波数が
350Hz以下であるか否かを判断する。ピーク周波数
が350Hz以下であると推定される場合にはs41に
進み、ピーク周波数が350Hzを超えると判断された
場合にはs42に進む。s41では、フィルタのカット
オフ周波数を350Hzに設定するとともにデシメーシ
ョンレート=24、FFT点数1024に設定したのち
s43に進む。デシメーションレート=24、FFT点
数1024に設定することにより24576サンプルの
時間幅すなわち約1秒の時間幅のデータに基づいて速度
を割り出すことができ、約1Hzの周波数分解能を得る
ことができる。これに基づいて速度ベクトルを算出すれ
ば、目標である約0.01ノットの速度分解能を得るこ
とができる。
【0089】一方、s34で今回のピーク周波数が35
0Hzを超える、すなわち、DSRVが3.5ノットを
超える速度で移動していると判断された場合にはs42
に進んで、フィルタのカットオフ周波数を800Hzに
設定するとともにデシメーションレート=12、FFT
点数1024に設定したのちs43に進む。デシメーシ
ョンレート=12、FFT点数1024に設定すること
により12288サンプルの時間幅すなわち約500m
sの時間幅のデータに基づいて速度を割り出すことがで
き、約2Hzの周波数分解能を得ることができる。これ
に基づいて速度ベクトルを算出すれば、約0.02ノッ
トの速度分解能を得ることができる。
【0090】なお、処理サイクルを繰り返すことによっ
てcycle#の値が限りなく増加することを防止する
ためs41,s42においてcycle#の値を6に固
定している。
【0091】s43では、現在トラッキングモードであ
るかを判断する。トラッキングモードとは、これまで測
定されたスペクトル形状からドップラシフト周波数信号
の帯域幅が狭い範囲に限定されており、且つ、継続的に
測定値が安定しており、今回も測定値に殆ど変化がない
と考えられる場合のモードである。このような場合に
は、デモジュレーションを省略して直接デシメーション
を行うことができる。たとえば、24kHzのサンプリ
ングデータをデシメーションレート24でデシメーショ
ンすると実質的に1kHzのサンプリングデータとな
り、6kHz付近に展開しているドップラシフト周波数
のスペクトルは、各所に折り返し写像スペクトル(エイ
リアス)を生じる。しかし、ドップラシフト周波数のス
ペクトルが狭い帯域幅に限定されており、他のスペクト
ルがない場合には、これらのエイリアスが重なることは
なく、いずれかのエイリアスをデシメーションされた周
波数スペクトルとして取り扱ってFFTをすることが可
能になる。24kHzのサンプリングデータをデシメー
ションレート24または12でデシメーションした場
合、0Hz(DC)を中心周波数とするエイリアスも生
じるため、これを処理用の周波数スペクトルとして用い
ることにより、通常処理と同様のFFTが可能になる。
【0092】s43で、現在トラッキングモードである
と判断された場合にはs44に進み、周波数スペクトル
の帯域幅が十分に狭く限定されているかを判断する。帯
域幅が十分に狭く限定されていると判断された場合に
は、そそのままs18に進む。周波数スペクトルの帯域
幅がデシメーションによって重なり合う程度に広い場合
には、ピーク周波数を求めるために不要な周波数帯域を
カットするためバンドパスフィルタの処理を行ったのち
(s45)、s18に進む。s43でトラッキングモー
ドでない場合と判断された場合には、s16に進み、通
常どおりの処理を実行する。
【0093】また、連続波ドップラモードの継続中に2
0秒に1回の頻度で、制御部3から距離測定モードが指
示される。この場合、DSP16は何の処理も行わずに
そのままリターンする。このモードにおいて、送信部1
は連続波ドップラモードの継続中に連続超音波信号の送
信を一瞬停止して短時間のパルスを送信し、制御部3が
反射波の時間遅れに基づいて対象物との距離を測定す
る。この距離測定処理は前記制御部3が実行するため、
このDSP16は処理を行う必要がなく、また、このと
き連続波ドップラモードの速度測定もできないため、こ
の間DSP16はフリーズする。この距離測定モードに
よって測定された距離が図7のモード切換しきい値より
も短い場合には連続波ドップラモードに復帰し、距離が
範囲外であれば通常のパルスドップラモードに切り換え
る。
【0094】連続波ドップラモードに復帰したとき、連
続波ドップラモードを再開した時点から、新たにcyc
le#=1から処理サイクルを再開するようにしてもよ
く、バッファ内にストアされている以前のA/D変換デ
ータと再開後に収集されたデータとを連続したデータと
見なして測定を行うようにしてもよい。この場合には、
中断していた時間を考慮して中断前のデータと再開後の
データを滑らかに接続する。接続の方法としては、補間
関数を用いて補間する方法、前後のデータから自己相関
に基づいて接続する方法などがある。
【0095】さらに、パルス波による距離測定モード時
においてもカウンタをフリーズすることなくデータ収集
を継続するようにしてもよく、また、カウンタをフリー
ズさせずにメモリのアドレスをカウントアップしながら
0などのブランクデータを書き込むようにしてもよい。
この場合でも、パルス波の距離測定モードの間のデータ
は所定の方法で補間すればよく、また、若干精度がラフ
ちなるものの補間することなく中断区間のあるデータを
そのまま測定に用いてもよい。また、大型船に用いられ
るドップラソナーの場合には、パルスモード時に収集し
たデータでドップラシフト(速度)を求めることもでき
る。
【0096】以上のような動作により、対象物と距離が
離れている場合には、パルス信号を用いて速度計測を行
い、対象物との距離が近い場合には、連続波信号を用い
て速度測定を行うことにより、必要な速度分解能を確保
しつつ、パルス信号のみを用いた場合の問題点である近
距離における速度分解能の低下を解決するとともに、連
続波のみを用いた場合に同時に速度と距離を測定するこ
とができないなどの問題点を解決した。
【0097】ここで、上記フローチャートでは、DSP
16は、デモジュレーション、フィルタリング、デシメ
ーションを順次行ってFFT用のデータを準備するよう
になっているが、実際には、上記手順を順次行うのでは
なく、デモジュレーション・フィルタリング・デシメー
ションを一気に行う簡略化された演算処理によってこれ
を行い、さらに、過去の処理済データを利用することに
よってより処理時間を短縮している。以下、この簡略化
された演算処理方式について説明する。
【0098】サンプリング周波数fsによってA/D変
換されたデータ数列x(n)から得られる周波数スペク
トルの注目領域(スペクトルが展開している周波数帯)
を拡大するためにデシメーション処理を行う。
【0099】このデシメーション処理を可能にするため
に前記注目領域の中心周波数(6kHz)をゼロ周波数
(DC)にシフトする。すなわち、周波数軸に対してス
ペクトルを並行移動する。この操作は、上述したよう
に、前記サンプリングデータ数列x(n)の各データに
対して離散複数指数関数列c(n)を乗算することによ
って行う。
【0100】サンプリング周波数24kHzでサンプリ
ングされ、中心周波数6kHzの離散時間データ列とな
った信号に対して、〔数8〕の指数関数列を乗算するこ
とによって中心周波数6kHzが0(DC)になるよう
に周波数スペクトルをシフトする。この離散複素指数関
数列は、複素単位乗数データ列(+1、−j、−1、+
jまたは+1、+j、−1、−jの任意の値から開始す
る数列)の4種類の値のみを取るから、実際の処理では
乗算を行う必要がなく、c(n)がマイナス符号の場合
には符号反転計算のみを行い、c(n)が実数の場合は
x(n)の値を全て実数部とし、c(n)が虚数の場合
はx(n)の値を全て虚数部とするのみである。
【0101】図10は、A/Dデータバッファx(n)
から複素数バッファX(n)への転記方式を説明する図
である。A/Dデータバッファx(n)は、アンダーサ
ンプリングされたサンプリングデータ(A/Dデータ)
列を記憶するバッファであり、複素数バッファX(n)
は、中心周波数=0に周波数スペクトルシフトされた虚
数部を含むサンプリングデータ列を記憶するバッファで
ある。
【0102】この図において、x(0)はそのままX
(0)の実数部に転記され、X(0)の虚数部には0が
書き込まれている。x(1)は正負の符号を反転された
のちX(1)の虚数部に転記され、X(1)の実数部に
は0が書き込まれている。x(2)は正負の符号を反転
されたのちX(2)の実数部に転記され、X(2)の虚
数部には0が書き込まれている。x(3)はそのままX
(3)の虚数部に転記され、X(3)の実数部には0が
書き込まれている。このように、離散複素指数関数の演
算結果を複素単位乗数データ列(+1、−j、−1、+
jまたは+1、+j、−1、−jの任意の値から開始す
る数列)の値にしたがって順次符号反転および転記を繰
り返すのみでこの周波数シフトを行うことができ、指数
関数を実際に乗算して演算する必要がなくなり、処理を
大幅に簡略化することができる。
【0103】さらに、前記複素数バッファX(n)の実
数部Real(n)、Imaginary(n)のうち
一方は必ず0であるため、上記規則に基づいて0になる
側が分かっていれば0を記憶するバッファを省略してバ
ッファの記憶領域を実質的に半分にすることができる。
【0104】このように処理が簡略化されたとはいえ、
連続波ドップラシモード時にFFT処理のたびにデシメ
ーション前のA/D変換データ全点数Nの周波数スペク
トルシフト計算を行うことは、そのデータ点数が多いこ
とから処理に時間が掛かる。たとえば、FFT点数10
24、デシメーションレート24とするとNは少なくと
も24576となる。また、連続波ドップラモード時に
は、速度計測処理が200ms毎に実行されるのに対
し、この処理に約1秒間のサンプリングデータ列を用い
るため、図11(A)に示すように、この1秒間のサン
プリングデータ列のうち800ms分は過去の速度計測
処理において用いたものとオーバーラップしている。そ
こで、このように過去において既に周波数スペクトルシ
フトされたオーバーラップデータについてはそのままそ
のデータを用い、新たに収集されたデータに対しての
み、上記周波数シフト処理を実行して処理時間を短縮す
る。ここで、前回の周波数スペクトルシフト処理に用い
た離散複素指数関数c(n)の最後の引数nと今回の処
理に用いる離散複素指数関数c(n)の先頭の引数nと
が連続するようにすれば周波数スペクトルシフトされた
データ列X(n)の位相スペクトルも連続するが、nを
無制限に大きくすることができないため、サーキュラバ
ッファ構造のメモリに記憶する。このときFFTに用い
るデータ列間で位相のシフトが発生するが、このドップ
ラソナーにおけるFFT処理は周波数のパワースペクト
ルのピークに基づいてドップラシフト周波数を求めるた
めのものであり、nが途中でリセットされても〔数3〕
から明らかなようにパワースペクトルは保存されている
ため以後の処理に支障はない。
【0105】また、スペクトル帯域を限定するためのフ
ィルタ(s17の処理)としてFIRフィルタが一般的
に用いられるが、サンプリングデータx(n)の全てに
FIRフィルタリング処理をしても、そのうちデシメー
ションレートDのデシメーションによって選択される1
/Dのデータしか使用されないため無駄である(なお、
この説明におけるx(n)は、上記周波数シフトされた
X(n)を表すものとする。)。このため、各データ毎
にフィルタリング処理をせず、デシメーションによって
破棄されるデータをスキップし、D番目のデータ毎にフ
ィルタ処理をするようにする。この破棄されるデータを
スキップするFIRフィルタ処理をブロック図で示すと
図12のようになる。この図において左端の入力端から
1データずつ連続して入力されるサンプリングデータx
(n)のうち、デシメーションによって選択されたデー
タx(Dn)が入力されたときのみ、FIRフィルタが
機能し、各タップの演算部はフィルタ係数を乗算したデ
ータを出力する。これらのデータを加算すればフィルタ
リングされたx(Dn)のデータを得ることができる。
デシメーションによって破棄されるデータが入力端から
入力された場合には上段の遅延回路(シフトレジスタ)
のみ機能し、各タップの演算部の動作を休止させていれ
ばよい。これによって、フィルタリングとデシメーショ
ンを同時に行うことができる。
【0106】ここで、FIRフィルタは、x(n)の実
数部および虚数部に対応して2系統が必要であるが、x
(n)の各項はそれぞれ実数部または虚数部のみ有意な
値をもち他方は0である(図10参照)。したがって、
Dが2の倍数であればFIRフィルタから値を出力する
ときに、有意な実数部と有意な虚数部が与えられるフィ
ルタ係数、および、0である実数部と0である虚数部が
与えられるフィルタ係数は決まっている。したがって、
Dを2の倍数になるように設定すれば、必ず0が与えら
れるフィルタ係数およびその演算処理を省略することが
できる。
【0107】さらに、上述したように周波数シフトは、
入力されたサンプリングデータを実数部または虚数部に
転記するとともにその符号を制御する処理であり、4デ
ータ毎に、(+1,−j,−1,+j)または(+1、
+j、−1、−j)の処理を繰り返し行うものである。
そこで、この実数部または虚数部として取り出す処理お
よび正負符号をフィルタ係数として内蔵することによ
り、周波数シフト、フィルタリング、デシメーションを
同時に処理することができる。
【0108】図13に周波数シフト、フィルタリング、
デシメーションの一括処理であるFFT前処理プロセス
のブロック図を示す。この図は、フィルタ長が奇数であ
り、且つ、(L+1)/2が偶数の場合を示している。
この処理の条件としてデシメーションレートDが周波数
シフト処理の繰り返しステップである4の倍数であるこ
とが要求される。デシメーションによってD個に1個の
割合で選択されるデータx(Dn)が入力されたとき、
このx(Dn)からフィルタ長だけ逆上ったデータx
(Dn−(L−1))までのデータに対して、フィルタ
係数h(0),h(1),−h(2),−h(3),…
…,−h(L−1)を乗算し、x(Dn)・h(0)+
x(Dn−2)・(−h(2))+……+x(Dn(L
−1))・(−h(L−1))をフィルタ出力の実数部
として出力する。且つ、x(Dn−1)・h(1)+x
(Dn−3)・(−h(3))+……+x(Dn(L−
1))・h(L−1)をフィルタ出力の虚数部として出
力する。これにより、周波数シフトおよびフィルタリン
グを同時に行うことができる。そして、A/Dデータが
Dだけ進み、次の選択データx(D(n+1))が入力
されたとき同様の処理を行う。このD毎の処理によりデ
シメーションが実行される。このように、A/Dデータ
を1データずつ進め、デシメーションにより選択される
データが入力されたとき、フィルタリングおよび周波数
シフトを一気に行うようにしたことにより、処理が簡略
化されるとともに、無駄な演算処理を全く行うことがな
いため、演算所要時間を大きく短縮することができる。
【0109】なお、上述したようにこの例では、フィル
タ長が奇数であり、且つ、(L+1)/2が偶数の場合
を示しているが、(L+1)/2が奇数の場合でも、ま
た、フィルタ長が偶数でL/2が奇数・偶数の場合でも
同様に処理することが可能である。
【0110】なお、図3に示した受信部はアナログ部で
一旦中間周波にダウンコンバートしたのちA/D変換す
る構成になっているが、図14に示すように受波器が受
信した信号をそのままA/D変換するようにしてもよ
い。この場合にはサンプルホールド回路を内蔵した広帯
域高速A/D変換器を用いることにこれを実現すること
ができる。この場合でも、サンプリング周波数を適当に
選択することにより、実数系統のみでA/D変換でき、
且つ、DSP内における周波数スペクトルシフト演算を
簡略化することができる。
【0111】なお、この実施形態はドップラソナーにつ
いてしたが、この発明は、ドップラソナーのみならず、
信号を周波数スペクトルに展開し、そのピークを求める
処理であればどのような分野にも適用することができ
る。
【0112】
【発明の効果】この発明によれば、ディジタル処理にお
ける周波数のシフトを符号制御および実数部,虚数部へ
の振り分けの簡略な処理で行うことができるため、周波
数スペクトルを有する信号の処理を簡略化することがで
きる。
【0113】また、この発明によれば、周波数スペクト
ルのシフト、周波数帯域の制限、デシメーション、また
は、窓関数によるサンプリングデータの切り出しを一括
した処理で行うことができるため、周波数スペクトルを
有する信号の処理工程を簡略化することができる。特
に、請求項6および請求項16の発明によれば、ディジ
タル化された周波数スペクトルのシフト、周波数帯域の
制限、および、デシメーションを一括してFIRフィル
タにおける処理で行うことができるため、信号処理を極
めて簡略化することができる。また、請求項2、請求項
3、請求項13および請求項14の発明によれば、窓関
数によるデータの切り出しと周波数スペクトルのシフト
を同時に行うことができる。
【0114】また、請求項6〜請求項8および請求項1
7〜請求項18の発明によれば、中心周波数がバイアス
されている離散時間信号を、この中心周波数を0ヘルツ
にシフトすることなく、そのままサンプリングまたはデ
シメーションしてFFTすることができるため、周波数
シフト処理を省略することができ、処理の簡略化、処理
時間の短縮を実現することができる。
【0115】また、請求項19および請求項20の発明
によれば、信号処理を開始したのち徐々にデシメーショ
ンレートを大きくしてゆくか又は処理データ点数を多く
してゆくようにしたことにより、そのとき利用できる最
大限のデータを用いて最大精度の信号処理を行うことが
できる。
【0116】また、請求項21〜請求項25の発明によ
れば、距離に応じてパルスドップラモードと連続波ドッ
プラモードを自動的に切り換えることができるため、速
度分解能の高い連続波ドップラモードと、並行して距離
測定ができるパルスドップラモードの両方の長所を活か
した併用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明における信号処理方式を説明する図で
ある。
【図2】この発明の実施形態であるドップラソナーの概
略構成図である。
【図3】同ドップラソナーの受信部の構成を示す図であ
る。
【図4】同ドップラソナーにおける反射波信号の処理方
式を説明する図である。
【図5】同ドップラソナーのDSPの動作を示すフロー
チャートである。
【図6】同ドップラソナーのDSPの動作を示すフロー
チャートである。
【図7】同ドップラソナーにおけるパルスドップラモー
ドと連続波ドップラモードの切換方式を説明する図であ
る。
【図8】連続波ドップラモードに切り換わった直後に利
用できるデータ点数を説明する図である。
【図9】連続波ドップラモードに切り換わった直後の処
理サイクルにおけるデシメーションレート,FFT点数
の設定値を示す図である。
【図10】前記DSPにおける周波数シフト処理を示す
ブロック図である。
【図11】前記DSPにおけるサンプリングデータのオ
ーバーラップ状態を示す図である。
【図12】前記DSPにおいて周波数シフト、FIRフ
ィルタ、デシメーションを同時に行うFFT前処理を示
すブロック図である。
【図13】同FFT前処理における入力信号に対する処
理方式を説明するブロック図である。
【図14】前記ドップラソナーの受信部の他の構成例を
示す図である。
【図15】窓関数の乗算と周波数シフト処理を同時に行
う場合の処理ブロックを示す図である。
【符号の説明】
1…送信部、2…受信部、3…制御部、2a…受波器、
15…A/D変換器、16…DSP
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01S 15/60 G01S 7/52 J

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の基準周波数付近に周波数スペクト
    ルを有する信号を入力し、 該信号を、前記基準周波数をサンプリング周波数の4分
    の1または4分の3の周波数にシフトするサンプリング
    周波数でサンプリングし、 該サンプリングされたデータ列に対して、+1、−j、
    −1、+jの数列の任意の値から開始する繰り返しまた
    は+1、+j、−1、−jの数列の任意の値から開始す
    る繰り返しからなる乗数データ列(以下「複素単位乗数
    データ列」という。)を乗算することによって該サンプ
    リングデータ列の周波数スペクトルをシフトすることを
    特徴とする信号処理方法。
  2. 【請求項2】 サンプリングされたデータ列に対して、
    所定の窓関数列に対して所定の離散複素指数関数列を乗
    算した関数列を順次を乗算することにより、サンプリン
    グデータ列の切り出しおよび該サンプリングデータ列の
    周波数スペクトルのシフトを同時に行うことを特徴とす
    る信号処理方法。
  3. 【請求項3】 所定の基準周波数付近に周波数スペクト
    ルを有する信号を入力し、 該信号を、前記基準周波数をサンプリング周波数の4分
    の1または4分の3の周波数にシフトするサンプリング
    周波数でサンプリングし、 所定の窓関数の各重み係数値に順次複素単位乗数データ
    列を乗算したものを、前記サンプリングされたデータ列
    に対して乗算することにより、サンプリングデータ列の
    切り出しおよび該サンプリングデータ列の周波数スペク
    トルのシフトを同時に行うことを特徴とする信号処理方
    法。
  4. 【請求項4】 前記乗算は、前記乗数データが+1のと
    き、対応するサンプリングデータの値をそのまま実数
    部、0を虚数部とする値を解とする処理、 前記乗数データが−1のとき、対応するサンプリングデ
    ータの符号を反転した値を実数部、0を虚数部とした値
    を解とする処理、 前記乗数データが+jのとき、対応するサンプリングデ
    ータの値をそのまま虚数部、0を実数部とした値を解と
    する処理、および、 前記乗数データが−jのとき、対応するサンプリングデ
    ータの符号を反転した値を虚数部、0を実数部とした値
    を解とする処理、からなることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項3に記載の信号処理方法。
  5. 【請求項5】 前記周波数スペクトルをシフトされたサ
    ンプリングデータ列のうち、+1または−1が乗算され
    たデータのみから実数部を抽出して実数部の演算を行
    い、+jまたは−jが乗算されたデータのみから虚数部
    を抽出して虚数部の演算を行うことを特徴とする請求項
    1または請求項3に記載の信号処理方法。
  6. 【請求項6】 所定の基準周波数付近に周波数スペクト
    ルを有する信号を入力し、 該信号を、前記基準周波数をサンプリング周波数の4分
    の1または4分の3の周波数にシフトするサンプリング
    周波数でサンプリングし、 該サンプリングされたデータの帯域を制限するFIRフ
    ィルタの各タップのフィルタ係数を、複素単位乗数デー
    タ列を順次乗ずることによって変更しておき、 前記FIRフィルタに対して順次入力される前記サンプ
    リングデータが、4の倍数に設定されているデシメーシ
    ョンレートだけ進む毎に、該FIRフィルタの各タップ
    出力に対して前記変更されたフィルタ係数を乗算してフ
    ィルタ出力データを出力することにより、 周波数スペクトルのシフト、周波数帯域の制限およびデ
    シメーションを一括して処理することを特徴とする信号
    処理方法。
  7. 【請求項7】 所定の周波数帯に周波数スペクトルを有
    する信号を入力し、 前記周波数スペクトルの周波数帯よりも低く、且つ、前
    記周波数スペクトルの周波数帯域幅よりも高い周波数で
    サンプリングし、 該サンプリングによって生じた折り返し写像のスペクト
    ルのうち、0ヘルツ付近に生じた折り返し写像を用いて
    離散フーリエ解析を行うことを特徴とする信号処理方
    法。
  8. 【請求項8】 所定の周波数帯に周波数スペクトルを有
    する離散時間信号を入力し、 前記周波数スペクトルの周波数帯よりも低く、且つ、前
    記周波数スペクトルの周波数帯域幅よりも高いサンプリ
    ング周波数となるようにデシメーションし、 該デシメーションによって生じた折り返し写像のスペク
    トルのうち、0ヘルツ付近に生じた折り返し写像を用い
    て離散フーリエ解析を行うことを特徴とする信号処理方
    法。
  9. 【請求項9】 連続信号を入力して所定のサンプリング
    周波数でディジタル信号に変換し、該ディジタル信号を
    離散フーリエ解析することによってスペクトルを得る信
    号処理方法において、 前記ディジタル信号を所定のデシメーションレートで間
    引きしたのち前記離散フーリエ解析を行い、 処理開始から、時間が経過するにつれて、前記デシメー
    ションレートを徐々に大きくしてゆくことにより、処理
    データ量を増加させることなく前記スペクトルの周波数
    分解能を高くしてゆくことを特徴とする信号処理方法。
  10. 【請求項10】 連続信号を入力して所定のサンプリン
    グ周波数でディジタル信号に変換し、該ディジタル信号
    を離散フーリエ解析することによってスペクトルを得る
    信号処理方法において、 前記ディジタル信号を所定のデシメーションレートで間
    引きしたのち前記離散フーリエ解析を行い、 処理開始から、時間が経過するにつれて、前記デシメー
    ションレートを徐々に大きくしてゆくことにより、処理
    データ量を増加させることなく前記スペクトルの周波数
    分解能を高くしてゆくことを特徴とする信号処理方法。
  11. 【請求項11】 連続信号を入力して所定のサンプリン
    グ周波数でディジタル信号に変換し、該ディジタル信号
    を離散フーリエ解析することによってスペクトルを得る
    信号処理方法において、 前記ディジタル信号を所定のデシメーションレートで間
    引きして所定の処理データ点数を抽出したのち前記離散
    フーリエ解析を行い、 処理開始から、時間が経過するにつれて、前記デシメー
    ションレートまたは前記処理データ点数を徐々に大きく
    してゆくことにより、前記スペクトルの周波数分解能を
    高くしてゆくことを特徴とする信号処理方法。
  12. 【請求項12】 所定の基準周波数付近に周波数スペク
    トルを有する信号を入力し、前記基準周波数をサンプリ
    ング周波数の4分の1または4分の3の周波数にシフト
    するサンプリング周波数でサンプリングするサンプリン
    グ手段と、 該サンプリングされたデータ列に対して、複素単位乗数
    データ列を乗算する周波数スペクトルシフト手段と、 を備えたことを特徴とする信号処理装置。
  13. 【請求項13】 所定の窓関数列に対して所定の離散複
    素指数関数列を乗算した乗数関数列を記憶する記憶手段
    と、 サンプリングされたデータ列を入力して前記乗数関数列
    を乗算することにより、サンプリングデータ列の切り出
    しおよび該サンプリングデータ列の周波数スペクトルの
    シフトを同時に行うデータ切出手段と、 を備えたことを特徴とする信号処理装置。
  14. 【請求項14】 所定の基準周波数付近に周波数スペク
    トルを有する信号を入力し、前記基準周波数をサンプリ
    ング周波数の4分の1または4分の3の周波数にシフト
    するサンプリング周波数でサンプリングするサンプリン
    グ手段と、 所定の窓関数の各重み係数値に複素単位乗数データ列を
    順次乗算したものを、前記サンプリングされたデータ列
    に対して乗算するデータ切出手段と、 を備えたことを特徴とする信号処理装置。
  15. 【請求項15】 前記周波数スペクトルシフト手段は、
    前記乗数データが+1のとき、対応するサンプリングデ
    ータの値をそのまま実数部、0を虚数部とする値を解と
    し、 前記乗数データが−1のとき、対応するサンプリングデ
    ータの符号を反転した値を実数部、0を虚数部とした値
    を解とし、 前記乗数データが+jのとき、対応するサンプリングデ
    ータの値をそのまま虚数部、0を実数部とした値を解と
    し、 前記乗数データが−jのとき、対応するサンプリングデ
    ータの符号を反転した値を虚数部、0を実数部とした値
    を解とする手段である請求項12または請求項14に記
    載の信号処理装置。
  16. 【請求項16】 所定の基準周波数付近に周波数スペク
    トルを有する信号を入力し、前記基準周波数をサンプリ
    ング周波数の4分の1または4分の3の周波数にシフト
    するサンプリング周波数でサンプリングするサンプリン
    グ手段と、 該サンプリングされたデータの帯域を制限するFIRフ
    ィルタであって、各タップのフィルタ係数が、複素単位
    乗数データ列を順次乗ずることによって変更されてお
    り、順次入力される前記サンプリングデータが、4の倍
    数に設定されているデシメーションレートだけ進む毎
    に、該FIRフィルタの各タップ出力に対して前記変更
    されたフィルタ係数を乗算してフィルタ出力データを出
    力するフィルタ手段と、 を備えたことを特徴とする信号処理装置。
  17. 【請求項17】 所定の周波数帯に周波数スペクトルを
    有する信号を入力し、前記周波数スペクトルの周波数帯
    よりも低く、且つ、前記周波数スペクトルの周波数帯域
    幅よりも高い周波数でサンプリングするサンプリング手
    段と、 該サンプリングによって生じた折り返し写像のスペクト
    ルのうち、0ヘルツ付近に生じた折り返し写像を用いて
    離散フーリエ解析を行うフーリエ解析手段と、 を備えたことを特徴とする信号処理装置。
  18. 【請求項18】 所定の周波数帯に周波数スペクトルを
    有する離散時間信号を入力し、前記周波数スペクトルの
    周波数帯よりも低く、且つ、前記周波数スペクトルの周
    波数帯域幅よりも高いサンプリング周波数となるように
    デシメーションするデシメーション手段と、 該デシメーションによって生じた折り返し写像のスペク
    トルのうち、0ヘルツ付近に生じた折り返し写像を用い
    て離散フーリエ解析を行うフーリエ解析手段と、 を備えたことを特徴とする信号処理装置。
  19. 【請求項19】 連続信号を入力して所定のサンプリン
    グ周波数でディジタル信号に変換し、該ディジタル信号
    を離散フーリエ解析することによってスペクトルを得る
    信号処理装置において、 前記ディジタル信号を前記離散フーリエ解析の前に所定
    のデシメーションレートで間引きするデシメーション手
    段と、 処理開始から、時間が経過するにつれて、前記デシメー
    ションレートを徐々に大きくしてゆくデシメーションレ
    ート変更手段と、 を備えたことを特徴とする信号処理装置。
  20. 【請求項20】 連続信号を入力して所定のサンプリン
    グ周波数でディジタル信号に変換し、該ディジタル信号
    を離散フーリエ解析することによってスペクトルを得る
    信号処理装置において、 前記ディジタル信号を前記離散フーリエ解析の前に所定
    のデシメーションレートで間引きして所定の処理データ
    点数を抽出するデシメーション手段と、 処理開始から、時間が経過するにつれて、前記デシメー
    ションレートまたは処理データ点数を徐々に大きくして
    ゆく分解能変更手段と、 を備えたことを特徴とする信号処理装置。
  21. 【請求項21】 送信した超音波信号の反射波により対
    象物との距離を測定する距離測定手段と、送信した超音
    波信号の反射波により対象物との速度を測定する速度測
    定手段と、を備えたドップラソナーにおいて、 前記速度測定手段は、パルス信号を送受信することによ
    って対象物との速度を測定するパルスドップラ速度測定
    手段、および、連続波信号を送受信することによって対
    象物との速度を測定する連続波ドップラ速度測定手段か
    らなり、 前記距離測定手段が測定した対象物との距離が、第1の
    しきい値よりも接近したとき前記パルスドップラ速度測
    定手段から連続波ドップラ速度測定手段に切り換え、第
    2のしきい値よりも遠ざかったとき前記連続波ドップラ
    速度測定手段からパルスドップラ速度測定手段に切り換
    える切換手段を備えたことを特徴とするドップラソナ
    ー。
  22. 【請求項22】 前記連続波ドップラ速度測定手段は、 一定時間毎に前記連続波信号の送受信を中断し、パルス
    信号を送信して前記対象物との距離を測定する連続波モ
    ード距離測定手段と、 該連続波モード距離測定手段が測定した距離が前記第2
    のしきい値よりも小さいとき、再度連続波信号の送受信
    を再開し、前記中断前に受信した反射波のデータおよび
    再開後に受信した反射波のデータを連結して前記対象物
    との速度を測定する連続波モード再開手段と、 を含む請求項21に記載のドップラソナー。
  23. 【請求項23】 前記連続波ドップラ速度測定手段は、 一定時間毎に前記連続波信号の送信を中断し、パルス信
    号を送信して前記対象物との距離を測定する連続波モー
    ド距離測定手段と、 該連続波モード距離測定手段が測定した距離が前記第2
    のしきい値よりも小さいとき、再度連続波信号の送信を
    再開し、前記中断前に受信した信号のデータ、中断中に
    受信した信号のデータおよび再開後に受信した信号のデ
    ータを用いて前記対象物との速度を測定する連続波モー
    ド再開手段と、 を含む請求項21に記載のドップラソナー。
  24. 【請求項24】 前記連続波ドップラ速度測定手段は、 前記反射波のサンプリングデータを所定のデシメーショ
    ンレートで間引きしたのち離散フーリエ解析を行い、そ
    のスペクトルからドップラシフト周波数を求めて速度を
    測定する手段であり、 前記連続波信号の反射波の受信を開始してから時間が経
    過するにしたがって、前記デシメーションレートを大き
    くしてゆくデシメーションレート変更手段を備えたこと
    を特徴とする請求項21に記載のドップラソナー。
  25. 【請求項25】 前記連続波ドップラ速度測定手段は、 前記反射波のサンプリングデータを所定のデシメーショ
    ンレートで間引きして所定の処理データ点数を抽出した
    のち離散フーリエ解析を行い、そのスペクトルからドッ
    プラシフト周波数を求めて速度を測定する手段であり、 前記連続波信号の反射波の受信を開始してから時間が経
    過するにしたがって、 処理開始から、時間が経過するにつれて、前記デシメー
    ションレートまたは処理データ点数を徐々に大きくして
    ゆく分解能変更手段を備えたことを特徴とする請求項2
    1に記載のドップラソナー。
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