JPH10318953A - 交流加熱による熱拡散率の測定方法およびこれに用いる測定サンプルの構造 - Google Patents

交流加熱による熱拡散率の測定方法およびこれに用いる測定サンプルの構造

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JPH10318953A
JPH10318953A JP12362397A JP12362397A JPH10318953A JP H10318953 A JPH10318953 A JP H10318953A JP 12362397 A JP12362397 A JP 12362397A JP 12362397 A JP12362397 A JP 12362397A JP H10318953 A JPH10318953 A JP H10318953A
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thin film
conductor
insulator
measurement sample
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JP12362397A
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Ryosuke Yamanaka
良亮 山中
Masafumi Satomura
雅史 里村
Ichiro Yamazaki
一郎 山嵜
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性を有する薄膜材料の厚み方向の熱拡散
率を測定する。 【解決手段】 測定サンプル6は、導電性を有する薄膜
材料1とは異なる導電体2上に絶縁物3、薄膜材料1が
順に積層され、導電体2の表面中央に絶縁物3の存在し
ない接続領域7が形成された構造とする。接続領域7を
介して薄膜材料1と導電体2とが電気的に接続され熱電
対を成し、測定サンプル6を種々の周波数で交流加熱を
行い、薄膜材料1と導電体2間にそれぞれの熱電能の差
により発生した電位差による信号と、交流加熱周波数の
信号との位相差により、薄膜材料1の厚み方向の熱拡散
率を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性薄膜材料の
厚み方向の熱拡散率の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜材料の熱拡散率の測定方法として
は、大きく分けて定常法と非定常法がある。非定常法に
よる熱拡散率の測定方法の特徴は、試料内に熱的非平衡
状態を強制的に作り、その緩和に伴って起こる試料の温
度変化を測定することによって熱拡散率を求めるもので
あり、定常法に比べて測定時間が大幅に短いなどの利点
がある。
【0003】従来の薄膜材料の厚み方向の熱拡散率の測
定方法の代表的なものが、特開平3−156351号公
報に示されている。図7に示すように、被測定試料板7
1は、大きさが15mm×15mm×98μmの難導電
性物質のサファイア板であり、この両面に交流熱源72
として500Åの膜厚の金薄膜、抵抗式温度計73とし
て800Åの膜厚の金薄膜をスパッタにより作成する。
この試料板71は加熱冷却用セルに設置され、交流熱源
72に交流電流発生器74から交流電流を流すことによ
りジュール熱を発生させ、被測定試料板71を交流加熱
する。一方、抵抗式温度計73にも直流電源75により
一定の直流電流を流し、その抵抗値の温度依存性によっ
て変化する電圧をロックイン増幅器77で増幅し、温度
変化の交流成分である交流温度波を測定する。また、同
期整流回路であるロックイン増幅器77に交流電流発生
器74からの参照交流波の信号を入力することにより、
この参照交流波と交流温度波との位相差を測定する。こ
の位相差は次式で表される。
【0004】Δθ=√(ω/2α)・d+β ここで、αは熱拡散率、dは被測定試料板の膜厚、Δθ
は被測定試料板71の熱拡散率による位相差であり、ω
は交流温度波の角周波数であり、βは装置定数である。
【0005】したがって、交流熱源の周波数を変化させ
てそれぞれ位相差を測定し、上記の式を用いて被測定試
料板71の熱拡散率を求めることができる。
【0006】また、特開平6−273361号公報にお
ける測定方法は、基本的に上記の方法と同様であるが、
図8に示すように薄膜試料80の両面に、交流加熱用金
属膜抵抗81と、温度センサ用金属膜抵抗82を蒸着
し、それぞれの金属膜の薄膜試料80とは反対側に一方
が薄膜試料80と同一材料からなる媒質83,84を密
着させている。そして、交流加熱用金属膜抵抗81にオ
ッシレータ85、パワー増幅器86からなる交流電源か
ら交流電力を流して薄膜試料80を加熱し、温度センサ
用金属膜抵抗82の交流温度信号をロックイン増幅器8
7に入力して、パソコン88によりロックイン増幅器8
7からの種々の周波数の交流温度信号と交流電力との位
相差の特性曲線を求め、その勾配から熱拡散率を算出す
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のような薄膜材料
の熱拡散率の測定方法では、薄膜材料上に交流加熱用ヒ
ータあるいは温度測定用センサとして金属膜を直接形成
している。このため、導電性を有する薄膜材料に対して
金属膜を形成しても、交流加熱用ヒータあるいは温度測
定用センサとしての機能を果たさず、この方法を適用す
ることができない。また、導電性を有する薄膜材料上に
交流加熱用ヒータあるいは温度測定用センサを設置する
ため、それぞれ薄膜材料との間に絶縁物等を挿入した場
合、上記の薄膜材料の熱拡散率の測定方法における算出
式等は使用できないものとなる。
【0008】そこで、本発明は、上記に鑑み、導電性を
有する薄膜材料に対して交流加熱により熱拡散率を測定
することができる測定方法を提供することを目的とす
る。また、この測定方法に適した測定サンプルの構造を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手
段は、導電性を有する薄膜材料をこれとは異なる導電体
上に積層して測定サンプルを形成し、前記薄膜材料と導
電体とによって熱電対を成し、前記測定サンプルを種々
の周波数で交流加熱を行い、前記薄膜材料と導電体間に
それぞれの熱電能(ゼーベック係数)の差により発生し
た電位差による信号と、前記交流加熱周波数の信号との
位相差により、前記薄膜材料の厚み方向の熱拡散率を算
出するものである。すなわち、薄膜材料と異種導電体に
より作成した熱電対の測定サンプルが出力する電位差の
応答曲線を利用した交流加熱による熱拡散率の測定方法
である。
【0010】ここで、薄膜材料がサンプル面積に対して
非常に薄く、薄膜材料が無限平板であると考えると、薄
膜材料の厚み方向に次式の1次元の熱拡散方程式が成立
する。
【0011】
【数1】
【0012】この測定サンプルに対して、例えば光源か
ら光を薄膜材料の導電体とは接していない表面側に断続
的に照射する交流加熱Qeiωtを行ったとき、境界条件
は、
【0013】
【数2】
【0014】となる。ただし、wは薄膜材料の膜厚、α
は薄膜材料の熱拡散率,λは熱伝導率、kは波数(熱拡
散長の逆数:k=√(ω/2α))であり、添え字のs
は導電体に対するものを表している。
【0015】以上の条件より、測定サンプル中の薄膜材
料と導電体との接合面での温度は次式で表される。
【0016】
【数3】
【0017】このとき、薄膜材料の膜厚wが波数kの逆
数より大きい場合(w>1/k)、例えば薄膜材料の膜
厚が適当に大きいか、あるいは周波数が高ければ、
(3)式は次式のように表すことができる。
【0018】
【数4】
【0019】(4)式より、交流加熱Qeiωtとの位相
差は次式となる。
【0020】Δθ=kw+π/4 =√(πf/α)・w+π/4 =√(π/α)・w・√f+π/4 …(5) (5)式よりわかるように、位相差は√fの1次関数式
で表される。また、薄膜材料と導電体との接合面で発生
する電位差は(3)式で表される温度式に追従した形で
変動する。したがって、この電位差と交流加熱との位相
差が周波数の関数になることから、周波数をパラメータ
として位相差を測定することにより、波数kが求まり、
縦軸に位相差、横軸に√fをとりプロットすれば、直線
が得られ、この直線の傾きから薄膜材料の熱拡散率を算
出することができる。
【0021】そして、この測定に用いられる測定サンプ
ルは、導電体上に、絶縁体、前記導電体とは異なる導電
性薄膜材料が順に積層され、前記導電体の表面中央に前
記絶縁体の存在しない接続領域が形成され、この接続領
域を介して前記薄膜材料と導電体とが電気的に接続され
たものである。このような構造にすることにより、周囲
からの熱の出入り等の外乱の影響を受けにくくなり、出
力される電位差が精度のよいものとなる。
【0022】ここで、より精度の高い熱拡散率の測定を
行うために、絶縁体が、CVD、蒸着、スパッタリン
グ、レーザーアブレーションのうちのいずれか1つの方
法、あるいは導電体の表面酸化により形成される。ま
た、絶縁体を薄膜材料の熱拡散率と同等の熱拡散率を有
する材料とする。さらに、電位差信号を取り出すための
リード線が薄膜材料および導電体にそれぞれ接続され、
各接続位置は接続領域に対応する位置とされ、電流が1
次元的に流れるようにする。
【0023】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)図1に本発明の交流加熱による熱拡散
率の測定方法に用いる測定サンプルの断面図、図2にこ
の測定方法に用いる測定装置の概略構成図を示す。
【0024】図中、1は被測定物である導電性を有する
薄膜材料、2は薄膜材料1とは異種の材料からなる導電
体、3は絶縁物(絶縁体)、4,5はリード線を示し、
測定サンプル6は、導電体2上に絶縁物3、薄膜材料1
が順に積層され、導電体2の表面中央に絶縁物3の存在
しない接続領域7が形成され、この接続領域7を介して
薄膜材料1と導電体2とが電気的に接続された構造とな
っている。そして、測定装置は、光源10、チョッパ1
1を駆動するためのモータ12、チョッパ11の通過を
検出するフォトセンサ13、ロックインアンプ14、デ
ータ処理用のパソコン15、測定チャンバ16からな
る。測定サンプル6が交流加熱を行う光に対して垂直で
あることと、測定サンプル6周辺に輻射や自然対流等の
熱的要因が存在しなければ問題はないものとし、測定装
置のその他の部材については、ここでの記載は省略す
る。
【0025】まず、測定サンプル6の形状および作成方
法について説明を行う。測定サンプル6の形状について
は、薄膜材料1の膜厚の均一性が保たれるものであれば
特に問題はない。一般の蒸着あるいはPCVD、スパッ
タリング、レーザーアブレーション等による成膜方法に
より薄膜材料1を形成する場合、上記のように薄膜の均
一性を考慮して15mm角程度のサンプル面積が妥当で
ある。
【0026】そして、この面積を有する導電体2上に絶
縁物3を形成する。この場合、導電体2と絶縁物3の間
に微少な空気層等が形成されることが考えられるが、こ
のような空気層が存在すると実質的に測定サンプルが4
層構造もしくは絶縁物3と薄膜材料1との間も考えると
5層構造のようになり、上記(3)式が成立しなくな
る。このため、測定サンプル6を作成する場合、導電体
2上に蒸着あるいはPCVD、スパッタリング、レーザ
ーアブレーション等による成膜方法により絶縁物3を形
成すれば、空気層ができず、測定サンプル6を1次元熱
拡散モデルで作成することができ、精度の良い測定を行
うことができる。
【0027】これらの成膜手法により絶縁物3を形成す
る際、導電体2のほぼ中央の一部分には絶縁物3の成膜
を行わず、この部分を接続領域7とし、ここで薄膜材料
1と導電体2とを接触させるようにする。そのため、マ
スクにより1mm角の領域をマスキングし、絶縁物3を
成膜させる。この絶縁物3を形成した後、同様の成膜方
法により薄膜材料1を形成する。これによって、薄膜材
料1は絶縁物3の上に積層されるが、中央の接続領域7
において薄膜材料1と導電体2との接合面が存在し、両
者は電気的に接続されて熱電対が形成される。
【0028】なお、薄膜材料1としては、Bi、Bi2
Te3、Sb等があり、導電体2としては、導電性のあ
る材料であれば何でもよいが、半導体分野等で絶縁物と
してSiO2の形成技術が確立されているSiが最も適
している。
【0029】上記の方法により測定サンプル6を作成し
た後、この熱電対の電位差を取り出してロックインアン
プ14に信号を出力するリード線4,5を設置する。こ
こで設置位置について、測定サンプル6において、薄膜
材料1の膜厚が測定サンプル6の面積に対して非常に薄
く、薄膜材料1が無限平板と考えられるため、薄膜材料
1の厚み方向に1次元の熱拡散方程式が成立する。ま
た、より1次元性を保つため薄膜材料1のほぼ中央の一
部分において導電体2に接触させて熱電対を作成してい
るので、最も熱拡散の1次元性を保てる位置は、測定サ
ンプル6の中央部、つまり薄膜材料1と導電体2の接合
面の中心ということになる。以上のことは理論的にも明
らかなことであるため、リード線4,5の設置位置とし
ては、接合面の中心を通る垂直線上の位置が最適位置で
あることがいえる。したがって、薄膜材料1と導電体2
との電気的接触位置と同じ位置関係でリード線4,5を
設置することにより、1次元的に電流が流れるようにな
り、より一層1次元熱拡散モデルに近づけることができ
る。
【0030】リード線4,5としては、直径20μmの
金線を使用し、接続方法としては銀ペースト等により接
着するものとする。ここで、金線を使用したのは、金の
熱電能(ゼーベック係数)が非常に小さいためである。
また、リード線5と薄膜材料1およびリード線4と導電
体2とがそれぞれ接触することになり、複数の接触部が
存在するが、薄膜材料1と導電体2のそれぞれが同じ物
質と接触することになるため、リード線4,5との接触
によって生じる電位差は打ち消され、薄膜材料1と導電
体2の接合面により発生する電位差の測定に関してリー
ド線4,5の影響は生じない。
【0031】また、測定サンプル6とリード線4,5の
接触において、あらかじめリード線4,5の設置位置に
金、白金、銀等の金属膜スポット17を作成しておくこ
とにより、リード線4,5の接触状態は均一となり、各
測定サンプル6に対しての設置位置の誤差が非常に小さ
くなり、安定した測定が行える。ただし、金属膜スポッ
ト17の膜厚については、できるだけ薄く、面積も小さ
い方が測定精度は向上する。
【0032】このように、ほぼ中央の一部分で薄膜材料
1と導電体2との接合面を形成した測定サンプル6を使
用することにより、接触部分の面積を限りなく小さくす
ることが可能となり、測定サンプル6の端部等からの熱
による外乱等の影響が非常に小さくなり、精度の高い薄
膜材料1の熱拡散率の測定が可能となる。
【0033】次に、交流加熱による熱拡散率の測定方法
について説明を行う。上記のように作成した測定サンプ
ル6を測定チャンバ16内に設置する。このとき、交流
加熱を行うための光に対して測定サンプル6は垂直にな
るように、図示しない治具によって固定する。この測定
チャンバ16内部は測定サンプル6周辺からの自然対流
や輻射等の熱的外乱が考えられるため、測定チャンバ1
6は真空チャンバとし、内壁を黒色とすることが望まし
い。
【0034】測定サンプル6を測定チャンバ16内に設
置後、測定チャンバ16内の真空引きを行い、真空状態
とする。その後、光源10とモータ12に通電して、交
流加熱を行う。光源10についてはハロゲンランプを使
用するが、この他にN2レーザ、アルゴンレーザ、YA
Gレーザ等を使用してもよい。これらの場合、チョッパ
11等によりカットしなくても、パルスジェネレータ
(図示していない)により断続光を発生させることがで
きる。本発明では、各出力の絶対値を必要とするもので
はなく、光源10からの交流加熱と測定サンプル6の電
位差との位相差のみにより熱拡散率を算出するものであ
るため、光の強度については問題としない。
【0035】光源10より発せられた光は測定サンプル
6に達する前にチョッパ11により定期的にカットさ
れ、断続光となる。ここで、交流加熱の周波数が決定さ
れるが、これはモータ12とチョッパ11の形状により
決定される。この相互関係については、フォトセンサ1
3により検出される周波数と一致していれば問題はない
ため、ここでの詳細な相互関係については省略する。
【0036】断続光を作成するにあたって、上記のもの
以外に電気的固体シャッタを使用しても同様な断続光が
得られる。電気的固体シャッタについて、最も一般的な
ものとして液晶があげられる。すなわち、モータ12と
チョッパ11の代わりに液晶とその駆動制御回路を設
け、液晶に通電することにより光を遮るようにすれば、
光をチョップすることになり、断続光を形成することが
できる。
【0037】周波数については、w>1/kの条件下で
測定サンプル6の接合面の温度に関する(4)式を誘導
し、(5)式で表される位相差より熱拡散率を算出する
ため、w>1/kの条件を満たさなければならない。し
かし、薄膜材料1の膜厚を変更できない場合は、周波数
の変更により条件を満たす必要がある。このような場合
の条件式は、 √f>(√(π/α)・w)-1 となる。
【0038】上記の条件を満たした光が測定サンプル6
に照射される。この光により測定サンプル6に交流加熱
が行われ、薄膜材料1および導電体2のそれぞれの熱電
能により電位差が発生する。ここで発生した交流的電位
差の信号をリード線4,5を介してロックインアンプ1
4に供給する。これと同時にフォトセンサ13により検
出された交流加熱の周波数の信号をロックインアンプ1
4に供給し、測定サンプル6より発生した交流的電位差
と交流加熱の周波数との位相差を検出して、パソコン1
5に取り込む。その後、モータ12の回転数を変更して
交流加熱の周波数を変更し、同様の測定を行う。パソコ
ン15に入力された測定データは、周波数の平方根に対
する位相差の傾きが薄膜材料1の熱拡散率となっている
ため、パソコン15においてこれらのデータに基づいて
演算を行い、薄膜材料1の熱拡散率を算出する。
【0039】(第2実施形態)本実施形態では、第1実
施形態で示した測定装置を使用し、測定サンプル6の絶
縁物3に薄膜材料1の熱拡散率と同等の熱拡散率を有す
る材料を使用したものである。その他の構成は上記第1
実施形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0040】すなわち、測定サンプル6の形状は図1に
示すものと同様であるが、測定サンプル6の面積と薄膜
材料1の膜厚の関係において、薄膜材料1が測定サンプ
ル6の面積に対して非常に薄く、薄膜材料1を無限平板
と考え、薄膜材料1の厚み方向に1次元の熱拡散方程式
が成立するものとしているため、薄膜材料1と絶縁物3
との接触部分Aにおける熱拡散の変化がこの方法での測
定誤差を引き起こす要因となる場合がある。
【0041】そこで、薄膜材料1の熱拡散率とほぼ同等
な熱拡散率を有する物質を絶縁物3として使用すること
により、上記したような接触部分Aでの1次元の熱拡散
に対する微妙な影響を大幅に削減することができる。
【0042】測定サンプル6の形状として、面積につい
ては第1実施形態に示したものとする。ここで、絶縁物
3の熱拡散率と膜厚の関係が重要となる。図3は薄膜材
料1に対する絶縁物3の膜厚の比率と熱拡散率誤差との
関係を示し、薄膜材料1の熱拡散率からの絶縁物3の熱
拡散率の誤差をパラメータとして示している。熱拡散率
誤差とは、絶縁物3を挟まず導電体2と接触している部
分の薄膜材料1の熱拡散率からの絶縁物3を挟んでいる
部分の熱拡散率のずれのことである。ただし、図3で
は、薄膜材料1にBi(熱拡散率6.46mm2/s)
を使用したものである。この図3に示すような関係を利
用することにより、例えば薄膜材料1の熱拡散率と10
%の熱拡散率のずれを持つ絶縁物3を使用しても、絶縁
物3の膜厚を薄膜材料1の膜厚の1/10にすることに
より、接触部分Aの熱拡散率誤差を1%程度に納めるこ
とができ、非常に精度の高い熱拡散率の測定を行うこと
ができる。
【0043】また、薄膜材料1の熱拡散率が全く予想で
きない場合等については、第1実施形態で示した測定装
置で測定を行った後、絶縁物3を選定して本実施形態の
測定サンプル6を作成し、測定を行えば問題なく熱拡散
率の測定を行うことができる。
【0044】(第3実施形態)本実施形態では、導電体
2にシリコンウエハを使用し、このシリコンウエハの表
面酸化により作成したSiO2層を絶縁物3として使用
したものである。シリコンウエハの厚みは特に問題では
ないが、600μmの厚みを有するものとし、その他の
構成については上記第1実施形態と同じである。
【0045】一般にシリコンウエハの表面酸化方法に
は、ドライ酸化とウエット酸化があり、ドライ酸化は高
温に保持された石英炉芯管内に高純度の酸素を導入して
行われ、ウエット酸化は酸素ガスと水素ガスを同時に石
英炉芯管内に導入し、燃焼によって生じる水蒸気を用い
る方法が一般的である。図4は酸化炉を示したものであ
る。ここで、20は酸化ガス注入口、21は電気ヒー
タ、22は均熱管、23はボート、24はシリコンウエ
ハ、25は炉芯管である。シリコンウエハの表面熱酸化
過程については周知であるため詳細な説明は省略する。
【0046】上記のドライ酸化方法では、図5に示すよ
うに酸化時間によってシリコンウエハの熱表面酸化膜の
制御を行うことができる。図5からもわかるように、数
十Åの表面酸化膜の形成が可能となる。このように導電
体2としてシリコンウエハを使用し、その表面酸化によ
り絶縁物3を形成することにより、一般の蒸着あるいは
PCVD、スパッタリング、レーザーアブレーション等
の成膜方法を使用するより比較的容易に非常に均一な膜
厚の絶縁物3を薄く形成することができる。
【0047】図6は、薄膜材料1にBi、導電体2にシ
リコンウエハ、絶縁物3にSiO2を使用して測定サン
プル6を作成した場合の接触部AにおけるBiの膜厚に
対するSiO2の膜厚の比率と熱拡散率誤差との関係を
示したものである。この図より、例えばBiの膜厚を1
0μmとした場合、熱拡散率誤差を5%以下にするため
にはSiO2膜厚は3.6μm程度、また熱拡散率誤差
を1%以下にするためにはSiO2膜厚は0.5μm程
度にすれば、非常に精度の高い熱拡散率の測定が可能と
なる。
【0048】このように、薄膜材料1の熱拡散率が10
mm2/s以下のような非常に熱拡散率の悪い物質の測
定において、導電体2にシリコンウエハを使用して絶縁
物3にSiO2(熱拡散率5.25mm2/s)を形成す
ることにより、非常に精度の高い熱拡散率の測定が可能
となり、また導電体2と絶縁物3との間では異物が全く
混入しない完全な接触が得られ、導電体2と絶縁物3の
接触状態が非常によいものとなり、測定誤差等も低減で
きる。
【0049】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多く
の修正および変更を加え得ることは勿論である。例え
ば、交流加熱として、光を照射する代わりに薄膜材料上
に金属膜を形成してジュール熱により加熱してもよく、
また薄膜材料側から加熱するだけでなく、導電体側から
加熱してもよい。薄膜材料が透光性の場合には光が透過
してしまい発熱しないおそれがあり、この場合に有用で
ある。
【0050】
【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明に
よると、導電性を有する薄膜材料とこれとは異種の導電
体を接触させ熱電対を形成した測定サンプルを用い、交
流加熱により発生する電位差を利用することにより、い
ままで測定が不可能であった導電性を有する薄膜材料の
厚み方向の熱拡散率の測定が可能となる。特に、薄膜材
料の熱電能(ゼーベック係数)の絶対値が高いものほど
得られる起電力が高くなり、精度の良い熱拡散率の測定
を行うことができる。
【0051】そして、測定サンプルとして、薄膜材料と
導電体との間に絶縁物を挿入し、中央部を除いて薄膜材
料と導電体を電気的に絶縁することにより、薄膜材料と
導電体が接触する領域では測定サンプルの端部等からの
熱の出入りによる外乱の影響を非常に受けにくく、良好
な熱拡散の特性が得られ、そこから出力される電位差は
非常に精度の良いものとなる。
【0052】また、絶縁物の形成において、一般的な成
膜技術によって作成することにより、導電体と絶縁物間
または薄膜材料と絶縁物間に空気層等の異物の混入がな
くなり、測定サンプルを理想的な1次元熱拡散モデルで
作成することができ、精度の高い熱拡散率の測定が可能
となる。また、導電体の表面酸化により絶縁物を形成し
ても、同様に異物が全く混入しない完全な接触が得ら
れ、精度の高い熱拡散率の測定が可能となる。さらに、
絶縁物に薄膜材料の熱拡散率と同等の熱拡散率を有する
物質を使用することにより、より1次元の熱拡散モデル
に近づけることができ、より精度の高い熱拡散率の測定
が可能となる。
【0053】また、導電体にシリコンウエハを使用し、
特に表面酸化によってSiO2の絶縁物を形成すること
により、酸化処理の条件が確立しているため絶縁物膜厚
の制御が行いやすく、絶縁物と導電体との接触状態も非
常に良く、より精度の高い熱拡散率の測定が可能とな
る。また、絶縁物形成用の物質を別途必要としないた
め、材料面において安価となる。
【0054】また、電位差信号を取り出すためのリード
線の薄膜材料および導電体に対する接続位置が薄膜材料
と導電体との接続領域に対応する位置とされているの
で、電流が1次元的に流れるようになり、より一層1次
元熱拡散モデルに近づけることができ、非常に精度の高
い熱拡散率の測定が実現できる。しかも、リード線を金
属膜を介して接続することにより、各リード線の測定サ
ンプルに対しての接続位置のずれが小さくなり、安定し
た熱拡散率の測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の交流加熱による熱拡散率の測定方法に
用いる測定サンプルの断面図
【図2】同じく測定装置の概略構成図
【図3】薄膜材料の膜厚と絶縁物の膜厚の比率に対する
熱拡散率誤差を示す図
【図4】シリコンウエハ酸化炉の構成図
【図5】ドライ酸化の酸化時間と酸化膜厚の関係を示す
【図6】薄膜材料にBi、導電体にシリコンウエハ、絶
縁物にSiO2を用いた測定サンプルにおける薄膜材料
の膜厚と絶縁物の膜厚の比率に対する熱拡散率誤差を示
す図
【図7】従来の熱拡散率の測定方法に用いる装置のブロ
ック図
【図8】従来の熱拡散率の測定方法に用いる他の装置の
ブロック図
【符号の説明】
1 薄膜材料 2 導電体 3 絶縁物 4,5 リード線 6 測定サンプル 7 接続領域 10 光源 11 チョッパ 12 モータ 13 フォトセンサ 14 ロックインアンプ 15 パソコン 16 測定チャンバ 17 金属膜スポット

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性を有する薄膜材料をこれとは異な
    る導電体上に積層して測定サンプルを形成し、前記薄膜
    材料と導電体とによって熱電対を成し、前記測定サンプ
    ルを種々の周波数で交流加熱を行い、前記薄膜材料と導
    電体間にそれぞれの熱電能の差により発生した電位差に
    よる信号と、前記交流加熱周波数の信号との位相差によ
    り、前記薄膜材料の厚み方向の熱拡散率を算出すること
    を特徴とする交流加熱による熱拡散率の測定方法。
  2. 【請求項2】 光源から光を薄膜材料の導電体とは接し
    ていない表面側に断続的に照射することにより加熱を行
    うことを特徴とする請求項1記載の交流加熱による熱拡
    散率の測定方法。
  3. 【請求項3】 導電体上に、絶縁体、前記導電体とは異
    なる導電性薄膜材料が順に積層され、前記導電体の表面
    中央に前記絶縁体の存在しない接続領域が形成され、こ
    の接続領域を介して前記薄膜材料と導電体とが電気的に
    接続されたことを特徴とする測定サンプルの構造。
  4. 【請求項4】 絶縁体がCVD、蒸着、スパッタリン
    グ、レーザーアブレーションのうちのいずれか1つの方
    法により形成されたことを特徴とする請求項3記載の測
    定サンプルの構造。
  5. 【請求項5】 絶縁体が導電体の表面酸化により形成さ
    れたことを特徴とする請求項3記載の測定サンプルの構
    造。
  6. 【請求項6】 絶縁体が薄膜材料の熱拡散率と同等の熱
    拡散率を有する材料からなることを特徴とする請求項
    3、4または5記載の測定サンプルの構造。
  7. 【請求項7】 導電体にシリコンウエハが用いられたこ
    とを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の測
    定サンプルの構造。
  8. 【請求項8】 電位差信号を取り出すためのリード線が
    薄膜材料および導電体にそれぞれ接続され、各接続位置
    は接続領域に対応する位置とされ、電流が1次元的に流
    れるようにされたことを特徴とする請求項3ないし7の
    いずれかに記載の測定サンプルの構造。
  9. 【請求項9】 リード線が金属膜を介して接続されたこ
    とを特徴とする請求項8記載の測定サンプルの構造。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003044509A1 (fr) * 2001-11-19 2003-05-30 The Circle For The Promotion Of Science And Engineering Methode et systeme d'analyse thermique
JP2008122242A (ja) * 2006-11-13 2008-05-29 Jfe Techno Research Corp プレスネッキングの検出方法および検出装置
JP2009300086A (ja) * 2008-06-10 2009-12-24 Ulvac-Riko Inc 熱物性測定方法
CN104155166A (zh) * 2014-08-29 2014-11-19 山西太钢不锈钢股份有限公司 一种高导热率金属材料压缩的试样制备及其测定方法
JP2018025560A (ja) * 2017-09-20 2018-02-15 国立大学法人名古屋大学 熱拡散率測定装置

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