JPH10316461A - コンクリート又はモルタル用劣化防止剤、及びコンクリート又はモルタルの劣化防止方法 - Google Patents
コンクリート又はモルタル用劣化防止剤、及びコンクリート又はモルタルの劣化防止方法Info
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- JPH10316461A JPH10316461A JP9121903A JP12190397A JPH10316461A JP H10316461 A JPH10316461 A JP H10316461A JP 9121903 A JP9121903 A JP 9121903A JP 12190397 A JP12190397 A JP 12190397A JP H10316461 A JPH10316461 A JP H10316461A
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- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
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- C04B24/12—Nitrogen containing compounds organic derivatives of hydrazine
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- C04B2103/60—Agents for protection against chemical, physical or biological attack
- C04B2103/67—Biocides
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- Chemical & Material Sciences (AREA)
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- Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 硫黄酸化細菌の作用で生成する硫酸による下
水道施設等のコンクリート構造物の劣化を防止するコン
クリート又はモルタル用劣化防止剤、及びそれを用いた
コンクリート又はモルタルの劣化防止方法を提供する。 【解決手段】 中心金属原子が、リチウム、ナトリウ
ム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウ
ム、モリブデン、タングステン、銀、カドミウム、水
銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、及
びゲルマニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種
である金属フタロシアニンもしくはその誘導体を有効成
分とする劣化防止剤をコンクリート又はモルタルに含有
させ、硫黄酸化細菌を防菌及び/又は殺菌することによ
り、コンクリート又はモルタルの劣化を防止する方法で
ある。この方法により、水質を汚染することなく、効果
的に且つ長時間に渡ってコンクリート又はモルタルの劣
化を防止することができ、特に、下水道施設等における
コンクリート構造物の劣化防止に有効である。
水道施設等のコンクリート構造物の劣化を防止するコン
クリート又はモルタル用劣化防止剤、及びそれを用いた
コンクリート又はモルタルの劣化防止方法を提供する。 【解決手段】 中心金属原子が、リチウム、ナトリウ
ム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウ
ム、モリブデン、タングステン、銀、カドミウム、水
銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、及
びゲルマニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種
である金属フタロシアニンもしくはその誘導体を有効成
分とする劣化防止剤をコンクリート又はモルタルに含有
させ、硫黄酸化細菌を防菌及び/又は殺菌することによ
り、コンクリート又はモルタルの劣化を防止する方法で
ある。この方法により、水質を汚染することなく、効果
的に且つ長時間に渡ってコンクリート又はモルタルの劣
化を防止することができ、特に、下水道施設等における
コンクリート構造物の劣化防止に有効である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硫黄酸化細菌を防
菌及び/又は殺菌することを特徴とするコンクリート又
はモルタル用劣化防止剤、並びにそれを用いたコンクリ
ート又はモルタルの劣化防止方法に関する。更に詳しく
は、下水道施設等のコンクリート構造物又はモルタル構
造物に好適に用いられるコンクリート又はモルタル用劣
化防止剤及びコンクリート又はモルタルの劣化防止方法
に関する。
菌及び/又は殺菌することを特徴とするコンクリート又
はモルタル用劣化防止剤、並びにそれを用いたコンクリ
ート又はモルタルの劣化防止方法に関する。更に詳しく
は、下水道施設等のコンクリート構造物又はモルタル構
造物に好適に用いられるコンクリート又はモルタル用劣
化防止剤及びコンクリート又はモルタルの劣化防止方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、わが国の下水道施設等において、
コンクリート構造物の劣化の事例が数多く報告されてい
る。しかも、これらの劣化はわが国に限られたものでは
なく、アメリカ合衆国、エジプト、南アフリカ共和国、
オーストラリアなどでも報告されている。下水道施設等
の建設には多額の費用を要しているので、これらの施設
を長期に渡って効果的に機能させるには、コンクリート
の劣化を防止するための適切な処置を講ずることが重要
である。
コンクリート構造物の劣化の事例が数多く報告されてい
る。しかも、これらの劣化はわが国に限られたものでは
なく、アメリカ合衆国、エジプト、南アフリカ共和国、
オーストラリアなどでも報告されている。下水道施設等
の建設には多額の費用を要しているので、これらの施設
を長期に渡って効果的に機能させるには、コンクリート
の劣化を防止するための適切な処置を講ずることが重要
である。
【0003】コンクリートの劣化サイクルには、2種類
の微生物、すなわち、硫酸塩還元細菌及びチオバチルス
(Thiobacillus)属等の硫黄酸化細菌が関与しているこ
とが知られている。これらの微生物によるコンクリート
の劣化過程では、まず、下水中に存在する硫酸塩(通
常、下水における硫酸塩濃度は20〜40mg/Lの範
囲である)が、嫌気的条件下で硫酸塩還元細菌により還
元され、硫化水素が発生する。次いで、この硫化水素が
コンクリート壁面に付着した水に吸着され、好気的条件
下で硫黄酸化細菌により酸化されて、硫酸が生成する。
コンクリートに含まれたカルシウムは、生成した硫酸に
よって硫酸カルシウム(石膏)に変化し、これによりコ
ンクリートが脆くなる(劣化する)。
の微生物、すなわち、硫酸塩還元細菌及びチオバチルス
(Thiobacillus)属等の硫黄酸化細菌が関与しているこ
とが知られている。これらの微生物によるコンクリート
の劣化過程では、まず、下水中に存在する硫酸塩(通
常、下水における硫酸塩濃度は20〜40mg/Lの範
囲である)が、嫌気的条件下で硫酸塩還元細菌により還
元され、硫化水素が発生する。次いで、この硫化水素が
コンクリート壁面に付着した水に吸着され、好気的条件
下で硫黄酸化細菌により酸化されて、硫酸が生成する。
コンクリートに含まれたカルシウムは、生成した硫酸に
よって硫酸カルシウム(石膏)に変化し、これによりコ
ンクリートが脆くなる(劣化する)。
【0004】上記の2種類の微生物のうち、硫黄酸化細
菌がコンクリート劣化の主な原因であると考えられてお
り、硫黄酸化細菌による硫化水素から硫酸への変化を防
止するための種々の防止方法が提案されている。その一
つとして、硫黄酸化細菌の基質である硫化水素の濃度を
低減させる方法が示されている。例えば、下水に空気や
酸素を注入して、コンクリート壁面上の水に吸着される
前に硫化水素を揮散・酸化させると同時に、嫌気性菌で
ある硫酸塩還元細菌の働きを抑制して硫化水素の発生を
低減する方法が知られている。このうち、下水に空気を
注入する空気注入法は比較的簡単な方法であるが、硫化
水素の気−液平衡を乱して空気中に硫化水素をより多く
放散させる可能性がある。また、下水に酸素を注入する
酸素注入法はより効果的に硫化水素を酸化できるが、コ
スト高になるデメリットがある。これとは別に、下水に
塩素や過酸化水素、過マンガン酸カリウム、又は鉄、亜
鉛、鉛、銅等の金属塩を大量に添加して、下水中の硫化
水素を捕捉する方法が知られている。また、特開平7−
70561号公報には、水に易溶性のキノン誘導体を下
水中に添加して硫化水素を酸化すると同時に、硫酸塩還
元細菌の作用も抑制してコンクリートの劣化を防ぐ方法
が示されている。しかし、これらの方法は下水中に添加
した物質が流去されるため効果的ではなく、経済性にも
問題がある。
菌がコンクリート劣化の主な原因であると考えられてお
り、硫黄酸化細菌による硫化水素から硫酸への変化を防
止するための種々の防止方法が提案されている。その一
つとして、硫黄酸化細菌の基質である硫化水素の濃度を
低減させる方法が示されている。例えば、下水に空気や
酸素を注入して、コンクリート壁面上の水に吸着される
前に硫化水素を揮散・酸化させると同時に、嫌気性菌で
ある硫酸塩還元細菌の働きを抑制して硫化水素の発生を
低減する方法が知られている。このうち、下水に空気を
注入する空気注入法は比較的簡単な方法であるが、硫化
水素の気−液平衡を乱して空気中に硫化水素をより多く
放散させる可能性がある。また、下水に酸素を注入する
酸素注入法はより効果的に硫化水素を酸化できるが、コ
スト高になるデメリットがある。これとは別に、下水に
塩素や過酸化水素、過マンガン酸カリウム、又は鉄、亜
鉛、鉛、銅等の金属塩を大量に添加して、下水中の硫化
水素を捕捉する方法が知られている。また、特開平7−
70561号公報には、水に易溶性のキノン誘導体を下
水中に添加して硫化水素を酸化すると同時に、硫酸塩還
元細菌の作用も抑制してコンクリートの劣化を防ぐ方法
が示されている。しかし、これらの方法は下水中に添加
した物質が流去されるため効果的ではなく、経済性にも
問題がある。
【0005】更に、有機化合物である抗菌剤をコンクリ
ートに混入することで硫黄酸化細菌を死滅させ、コンク
リートの劣化を防ぐ方法が知られている。しかし、これ
らの抗菌剤はコンクリートにピンホールや亀裂を生じさ
せ、コンクリートの耐久性を低下させる可能性がある。
また、強力な抗菌作用を持つNa−PCP(ペンタクロ
ロフェノールナトリウム)の使用は禁止されているのが
現状である。
ートに混入することで硫黄酸化細菌を死滅させ、コンク
リートの劣化を防ぐ方法が知られている。しかし、これ
らの抗菌剤はコンクリートにピンホールや亀裂を生じさ
せ、コンクリートの耐久性を低下させる可能性がある。
また、強力な抗菌作用を持つNa−PCP(ペンタクロ
ロフェノールナトリウム)の使用は禁止されているのが
現状である。
【0006】また、硫黄酸化細菌の生育は種々の金属イ
オンで阻害されることが知られており、水に難溶性で且
つ硫酸に可溶性である銅、ニッケル、スズ、鉛等の金
属、又はこれらの金属の酸化物をコンクリートに含有さ
せコンクリートの劣化を防ぐ方法が、特開平4−149
053号公報に示されている。この方法では、前記金属
及び/又は金属酸化物から、硫黄酸化細菌が発生された
硫酸によって金属イオンが溶出し、これにより硫黄酸化
細菌が防菌及び/又は殺菌される。しかし、この方法
は、硫酸に対する溶解性が高い金属及び/又は金属酸化
物を使用するため、長期に渡ってコンクリートの劣化を
防止するには、金属等の使用量が多くなる等の欠点を有
している。また、下水中にニッケル、スズ、鉛等の重金
属イオンが溶出するため、これらによる水質汚染の可能
性がある。
オンで阻害されることが知られており、水に難溶性で且
つ硫酸に可溶性である銅、ニッケル、スズ、鉛等の金
属、又はこれらの金属の酸化物をコンクリートに含有さ
せコンクリートの劣化を防ぐ方法が、特開平4−149
053号公報に示されている。この方法では、前記金属
及び/又は金属酸化物から、硫黄酸化細菌が発生された
硫酸によって金属イオンが溶出し、これにより硫黄酸化
細菌が防菌及び/又は殺菌される。しかし、この方法
は、硫酸に対する溶解性が高い金属及び/又は金属酸化
物を使用するため、長期に渡ってコンクリートの劣化を
防止するには、金属等の使用量が多くなる等の欠点を有
している。また、下水中にニッケル、スズ、鉛等の重金
属イオンが溶出するため、これらによる水質汚染の可能
性がある。
【0007】更に、特開平6−16460号公報及び特
開平6−16461号公報には、ニケロセン及びニッケ
ルジメチルグリオキシムといった金属錯体をコンクリー
トに含有させて劣化を防ぐ方法が示されている。しか
し、これらの金属錯体は発ガン性を有しており、安全性
の面で問題がある。
開平6−16461号公報には、ニケロセン及びニッケ
ルジメチルグリオキシムといった金属錯体をコンクリー
トに含有させて劣化を防ぐ方法が示されている。しか
し、これらの金属錯体は発ガン性を有しており、安全性
の面で問題がある。
【0008】硫酸に対して耐性のある材料を使用する方
法も、コンクリートの劣化防止方法としていくつか提案
されている。例えば、特開昭63−16072号公報や
特開平2−265708号公報には、エポキシ樹脂やポ
リエステル樹脂等のライニングによりコンクリートを保
護する方法が、また、特開平1−55493号公報に
は、ガラス材のライニングによりコンクリートを保護す
る方法が示されている。しかし、これらの方法は施工費
が高く、ピンホールを通してライニングの剥離が生じる
ため寿命が短いといった欠点を有している。したがっ
て、劣化防止効果を維持するためには定期的な再塗装が
必要であり、その度に長期間に渡り下水道施設等の運転
を停止せざるを得ない。
法も、コンクリートの劣化防止方法としていくつか提案
されている。例えば、特開昭63−16072号公報や
特開平2−265708号公報には、エポキシ樹脂やポ
リエステル樹脂等のライニングによりコンクリートを保
護する方法が、また、特開平1−55493号公報に
は、ガラス材のライニングによりコンクリートを保護す
る方法が示されている。しかし、これらの方法は施工費
が高く、ピンホールを通してライニングの剥離が生じる
ため寿命が短いといった欠点を有している。したがっ
て、劣化防止効果を維持するためには定期的な再塗装が
必要であり、その度に長期間に渡り下水道施設等の運転
を停止せざるを得ない。
【0009】硫酸塩の含有率高いスラグセメント等を用
いて、耐酸性、耐硫酸塩性に優れたコンクリートを得る
方法も知られているが、このスラグセメントは強度に乏
しく、また、得られたコンクリートも硫酸による劣化を
完全には防止できない。
いて、耐酸性、耐硫酸塩性に優れたコンクリートを得る
方法も知られているが、このスラグセメントは強度に乏
しく、また、得られたコンクリートも硫酸による劣化を
完全には防止できない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、効果的に且
つ長期間に渡ってコンクリート又はモルタルの劣化を防
止することができるコンクリート又はモルタル用劣化防
止剤、及びそれを用いたコンクリート又はモルタルの劣
化防止方法の提供を目的とする。
つ長期間に渡ってコンクリート又はモルタルの劣化を防
止することができるコンクリート又はモルタル用劣化防
止剤、及びそれを用いたコンクリート又はモルタルの劣
化防止方法の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、中心金属
原子が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウ
ム、カルシウム、ジルコニウム、モリブデン、タングス
テン、銀、カドミウム、水銀、アルミニウム、ガリウ
ム、インジウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群
より選ばれた少なくとも1種である金属フタロシアニン
もしくはその誘導体を有効成分とすることを特徴とする
コンクリート又はモルタル用劣化防止剤を提供する。
原子が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウ
ム、カルシウム、ジルコニウム、モリブデン、タングス
テン、銀、カドミウム、水銀、アルミニウム、ガリウ
ム、インジウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群
より選ばれた少なくとも1種である金属フタロシアニン
もしくはその誘導体を有効成分とすることを特徴とする
コンクリート又はモルタル用劣化防止剤を提供する。
【0012】更に本発明は、コンクリート又はモルタル
に上記の劣化防止剤を含有させることを特徴とするコン
クリート又はモルタルの劣化防止方法を提供する。
に上記の劣化防止剤を含有させることを特徴とするコン
クリート又はモルタルの劣化防止方法を提供する。
【0013】本発明の劣化防止剤をコンクリート又はモ
ルタルに用いれば、下水中などに存在して繁殖する硫黄
酸化細菌を防菌及び/又は殺菌することにより、コンク
リート劣化のサイクルを切断することができ、これによ
り効果的且つ長期間に渡ってコンクリートなどの劣化を
防止することができる。
ルタルに用いれば、下水中などに存在して繁殖する硫黄
酸化細菌を防菌及び/又は殺菌することにより、コンク
リート劣化のサイクルを切断することができ、これによ
り効果的且つ長期間に渡ってコンクリートなどの劣化を
防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において、中心金属原子
が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、
カルシウム、ジルコニウム、モリブデン、タングステ
ン、銀、カドミウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、
インジウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群より
選ばれた少なくとも1種である金属フタロシアニンと
は、置換基を有していないフタロシアニン骨格に上記の
金属原子が配位した化合物であり、その誘導体とは、上
記金属フタロシアニン分子中のベンゼン環に水素原子以
外の置換原子又は置換基を有する化合物である。本発明
では、水に溶解しない金属フタロシアニンもしくはその
誘導体を用いることが望ましい。
が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、
カルシウム、ジルコニウム、モリブデン、タングステ
ン、銀、カドミウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、
インジウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群より
選ばれた少なくとも1種である金属フタロシアニンと
は、置換基を有していないフタロシアニン骨格に上記の
金属原子が配位した化合物であり、その誘導体とは、上
記金属フタロシアニン分子中のベンゼン環に水素原子以
外の置換原子又は置換基を有する化合物である。本発明
では、水に溶解しない金属フタロシアニンもしくはその
誘導体を用いることが望ましい。
【0015】上記金属フタロシアニン誘導体の水素原子
以外の置換原子又は置換基の具体例として、以下のもの
を挙げることができる。すなわち、フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチ
ル基、ステアリル基、トリクロロメチル基、トリフロロ
メチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1,
3−シクロヘキサジエニル基、2−シクロペンテン−1
−イル基、2,4−シクロペンタジエン−1−イリデニ
ル基等の置換もしくは未置換のアルキル基、メトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、se
c−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキ
シ基、ヘキシルオキシ基、ステアリルオキシ基、トリフ
ロロメトキシ基等の置換もしくは未置換のアルコキシ
基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブ
チルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチル
チオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチ
オ基、オクチルチオ基等の置換もしくは未置換のチオア
ルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボニル基、カル
ボキシル基、エステル基、水酸基、スルホン酸基、ビニ
ル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミ
ノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチ
ルアミノ基等のアルキル基置換アミノ基、ジフェニルア
ミノ基、ジトリルアミノ基等の炭素環式芳香族アミノ
基、ビス(アセトオキシメチル)アミノ基、ビス(アセ
トオキシエチル)アミノ基、ビス(アセトオキシプロピ
ル)アミノ基、ビス(アセトオキシブチル)アミノ基、
ジベンジルアミノ基等のモノまたはジ置換アミノ基、フ
ェノキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基、3−
フルオロフェノキシ基等の置換もしくは未置換のアリー
ルオキシ基、フェニルチオ基、3−フルオロフェニルチ
オ基等の置換もしくは未置換のアリールチオ基、フェニ
ル基、ビフェニル基、トリフェニル基、テトラフェニル
基、3−ニトロフェニル基、4−メチルチオフェニル
基、3,5−ジシアノフェニル基、o−、m−、及びp
−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニ
ル基、メシチル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナ
フチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチ
レニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリ
ル基、アントラキノニル基、3−メチルアントリル基、
フェナントリル基、トリフェニレン基、ピレニル基、ク
リセニル基、2−エチル−1−クリセニル基、ピセニル
基、ペリレニル基、6−クロロペリレニル基、ペンタフ
ェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレン基、ヘキ
サフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネ
ニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプ
タセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等の置換
もしくは未置換の芳香族環基等である。
以外の置換原子又は置換基の具体例として、以下のもの
を挙げることができる。すなわち、フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチ
ル基、ステアリル基、トリクロロメチル基、トリフロロ
メチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1,
3−シクロヘキサジエニル基、2−シクロペンテン−1
−イル基、2,4−シクロペンタジエン−1−イリデニ
ル基等の置換もしくは未置換のアルキル基、メトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、se
c−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキ
シ基、ヘキシルオキシ基、ステアリルオキシ基、トリフ
ロロメトキシ基等の置換もしくは未置換のアルコキシ
基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブ
チルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチル
チオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチ
オ基、オクチルチオ基等の置換もしくは未置換のチオア
ルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボニル基、カル
ボキシル基、エステル基、水酸基、スルホン酸基、ビニ
ル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミ
ノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチ
ルアミノ基等のアルキル基置換アミノ基、ジフェニルア
ミノ基、ジトリルアミノ基等の炭素環式芳香族アミノ
基、ビス(アセトオキシメチル)アミノ基、ビス(アセ
トオキシエチル)アミノ基、ビス(アセトオキシプロピ
ル)アミノ基、ビス(アセトオキシブチル)アミノ基、
ジベンジルアミノ基等のモノまたはジ置換アミノ基、フ
ェノキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基、3−
フルオロフェノキシ基等の置換もしくは未置換のアリー
ルオキシ基、フェニルチオ基、3−フルオロフェニルチ
オ基等の置換もしくは未置換のアリールチオ基、フェニ
ル基、ビフェニル基、トリフェニル基、テトラフェニル
基、3−ニトロフェニル基、4−メチルチオフェニル
基、3,5−ジシアノフェニル基、o−、m−、及びp
−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニ
ル基、メシチル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナ
フチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチ
レニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリ
ル基、アントラキノニル基、3−メチルアントリル基、
フェナントリル基、トリフェニレン基、ピレニル基、ク
リセニル基、2−エチル−1−クリセニル基、ピセニル
基、ペリレニル基、6−クロロペリレニル基、ペンタフ
ェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレン基、ヘキ
サフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネ
ニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプ
タセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等の置換
もしくは未置換の芳香族環基等である。
【0016】本発明において、中心金属原子が、マグネ
シウム、カルシウム、ジルコニウム、モリブデン、タン
グステン、銀、カドミウム、水銀である金属フタロシア
ニン、及びこれらの金属フタロシアニン分子中のベンゼ
ン環の1〜8個の水素原子がハロゲン原子、炭素数1〜
6のアルキル基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、スルホ
ン酸基で置換された誘導体であることがより望ましい。
これらの金属フタロシアニンもしくはその誘導体は、単
独で用いても、2種類以上を併用して用いてもよい。
シウム、カルシウム、ジルコニウム、モリブデン、タン
グステン、銀、カドミウム、水銀である金属フタロシア
ニン、及びこれらの金属フタロシアニン分子中のベンゼ
ン環の1〜8個の水素原子がハロゲン原子、炭素数1〜
6のアルキル基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、スルホ
ン酸基で置換された誘導体であることがより望ましい。
これらの金属フタロシアニンもしくはその誘導体は、単
独で用いても、2種類以上を併用して用いてもよい。
【0017】本発明において、金属フタロシアニンもし
くはその誘導体は、コンクリート又はモルタルと容易に
且つ均一に混合できるように、微粉末状であることが望
ましい。また、金属フタロシアニンもしくはその誘導体
の微粉末の平均粒子径は0.001μm〜1mmである
ことが好ましく、0.01μm〜0.1mmであること
がより好ましい。
くはその誘導体は、コンクリート又はモルタルと容易に
且つ均一に混合できるように、微粉末状であることが望
ましい。また、金属フタロシアニンもしくはその誘導体
の微粉末の平均粒子径は0.001μm〜1mmである
ことが好ましく、0.01μm〜0.1mmであること
がより好ましい。
【0018】本発明のコンクリート又はモルタル用劣化
防止剤は、金属フタロシアニンもしくはその誘導体の他
に、公知のコンクリート又はモルタル用混和剤を含むこ
とができる。このような混和剤としては、例えば、流動
性等のワーカビリティーを向上させるために用いられる
AE剤・減水剤、高性能AE減水剤、材料分離防止のた
めに用いられる増粘剤等を挙げることができる。AE剤
・減水剤、高性能AE減水剤としては、ナフタリン系、
ポリカルボン酸系、メラミン系、アミノスルホン酸系等
の高分子が挙げられ、また、増粘剤としては、デンプ
ン、グアーガム、メチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、キサンタンガム、カードラン等の多糖類及
びその誘導体や、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸
ナトリウム、ポリビニルアルコール等の合成高分子が挙
げられる。本発明のコンクリート又はモルタル用劣化防
止剤が、上記の混和剤を含む場合には、金属フタロシア
ニンもしくはその誘導体の混和剤への添加量は、混和剤
のコンクリート又はモルタルへの添加量にもよるが、混
和剤100重量部に対して5〜500重量部であること
が好ましく、10〜100重量部であることがより好ま
しい。
防止剤は、金属フタロシアニンもしくはその誘導体の他
に、公知のコンクリート又はモルタル用混和剤を含むこ
とができる。このような混和剤としては、例えば、流動
性等のワーカビリティーを向上させるために用いられる
AE剤・減水剤、高性能AE減水剤、材料分離防止のた
めに用いられる増粘剤等を挙げることができる。AE剤
・減水剤、高性能AE減水剤としては、ナフタリン系、
ポリカルボン酸系、メラミン系、アミノスルホン酸系等
の高分子が挙げられ、また、増粘剤としては、デンプ
ン、グアーガム、メチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、キサンタンガム、カードラン等の多糖類及
びその誘導体や、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸
ナトリウム、ポリビニルアルコール等の合成高分子が挙
げられる。本発明のコンクリート又はモルタル用劣化防
止剤が、上記の混和剤を含む場合には、金属フタロシア
ニンもしくはその誘導体の混和剤への添加量は、混和剤
のコンクリート又はモルタルへの添加量にもよるが、混
和剤100重量部に対して5〜500重量部であること
が好ましく、10〜100重量部であることがより好ま
しい。
【0019】本発明のコンクリート又はモルタル用劣化
防止剤が上記混和剤を含む場合には、金属フタロシアニ
ンもしくはその誘導体は混和剤に分散されていることが
望ましい。金属フタロシアニンもしくはその誘導体を混
和剤に分散させるには、公知の種々な粉砕機又は分散機
を用いることができる。具体的には、せん断応力により
分散させる3本ロールミル、2本ロールミル、ガラスビ
ーズやジルコニアビーズ、メノー球などのメディアとの
衝突による衝撃力により分散させるボールミル、アトラ
イター、サンドミル、コボールミル、バスケットミル、
振動ミル、ペイントコンディショナー、また、せん断応
力、キャビテーション、衝突力、ポテンシャルコアなど
を発生させるような回転羽根により分散させるディスパ
ーサー、ホモジナイザー、クレアミックス(R)などの
装置を用いることができる。さらに、ニーダー、エクス
トルーダー、ジェットミル、超音波分散機等も使用可能
である。
防止剤が上記混和剤を含む場合には、金属フタロシアニ
ンもしくはその誘導体は混和剤に分散されていることが
望ましい。金属フタロシアニンもしくはその誘導体を混
和剤に分散させるには、公知の種々な粉砕機又は分散機
を用いることができる。具体的には、せん断応力により
分散させる3本ロールミル、2本ロールミル、ガラスビ
ーズやジルコニアビーズ、メノー球などのメディアとの
衝突による衝撃力により分散させるボールミル、アトラ
イター、サンドミル、コボールミル、バスケットミル、
振動ミル、ペイントコンディショナー、また、せん断応
力、キャビテーション、衝突力、ポテンシャルコアなど
を発生させるような回転羽根により分散させるディスパ
ーサー、ホモジナイザー、クレアミックス(R)などの
装置を用いることができる。さらに、ニーダー、エクス
トルーダー、ジェットミル、超音波分散機等も使用可能
である。
【0020】本発明のコンクリート又はモルタル用劣化
防止剤では、コンクリート又はモルタル中のセメント成
分100重量部に対して、金属フタロシアニンもしくは
その誘導体の添加量が0.001〜30重量部であるこ
とが好ましく、0.01〜5重量部であることがより好
ましい。金属フタロシアニンもしくはその誘導体の添加
量が0.001重量部未満の場合は、硫黄酸化細菌に対
する防菌及び/又は殺菌効果を長時間持続させることが
困難である。一方、30重量部を越えると、硫黄酸化細
菌に対する防菌及び/又は殺菌効果のさらなる向上は期
待できず、コスト高になり好ましくない。さらに、コン
クリート又はモルタルの強度も著しく低下する。
防止剤では、コンクリート又はモルタル中のセメント成
分100重量部に対して、金属フタロシアニンもしくは
その誘導体の添加量が0.001〜30重量部であるこ
とが好ましく、0.01〜5重量部であることがより好
ましい。金属フタロシアニンもしくはその誘導体の添加
量が0.001重量部未満の場合は、硫黄酸化細菌に対
する防菌及び/又は殺菌効果を長時間持続させることが
困難である。一方、30重量部を越えると、硫黄酸化細
菌に対する防菌及び/又は殺菌効果のさらなる向上は期
待できず、コスト高になり好ましくない。さらに、コン
クリート又はモルタルの強度も著しく低下する。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により詳細
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0022】(実施例1〜26)セメント100重量
部、砂200重量部、及び水50重量部からなるコンク
リート組成物に、平均粒子径1.0μmの表1に示した
金属フタロシアニンもしくはその誘導体をそれぞれ2.
5重量部添加し、コンクリートミキサーを用いて充分練
り混ぜた。これを型枠に入れて成形後、28日間(湿気
箱中24時間、水中27日間)養生を行い、コンクリー
ト供試体を得た。
部、砂200重量部、及び水50重量部からなるコンク
リート組成物に、平均粒子径1.0μmの表1に示した
金属フタロシアニンもしくはその誘導体をそれぞれ2.
5重量部添加し、コンクリートミキサーを用いて充分練
り混ぜた。これを型枠に入れて成形後、28日間(湿気
箱中24時間、水中27日間)養生を行い、コンクリー
ト供試体を得た。
【0023】(実施例27〜52)セメント120重量
部、及び水80重量部からなるモルタル組成物に、平均
粒子径1.0μmの表1に示した金属フタロシアニンも
しくはその誘導体をそれぞれ3.0重量部添加し、モル
タルミキサーを用いて充分練り混ぜた。これを型枠に入
れて成形後、28日間(湿気箱中24時間、水中27日
間)養生を行い、モルタル供試体を得た。
部、及び水80重量部からなるモルタル組成物に、平均
粒子径1.0μmの表1に示した金属フタロシアニンも
しくはその誘導体をそれぞれ3.0重量部添加し、モル
タルミキサーを用いて充分練り混ぜた。これを型枠に入
れて成形後、28日間(湿気箱中24時間、水中27日
間)養生を行い、モルタル供試体を得た。
【0024】(実施例53〜60)メラミン系の高分子
を主成分とするコンクリート用混和剤(減水剤)100
重量部に、平均粒子系1.0μmの表1に示した金属フ
タロシアニンをそれぞれ50重量部を添加し、振動ミル
を用いて分散させた。セメント100重量部、砂200
重量部、上記の金属フタロシアニンを分散させた混和剤
3重量部、及び水40重量部を混合し、コンクリートミ
キサーを用いて充分練り混ぜた。これを型枠に入れて成
形後、28日間(湿気箱中24時間、水中27日間)養
生を行い、コンクリート供試体を得た。
を主成分とするコンクリート用混和剤(減水剤)100
重量部に、平均粒子系1.0μmの表1に示した金属フ
タロシアニンをそれぞれ50重量部を添加し、振動ミル
を用いて分散させた。セメント100重量部、砂200
重量部、上記の金属フタロシアニンを分散させた混和剤
3重量部、及び水40重量部を混合し、コンクリートミ
キサーを用いて充分練り混ぜた。これを型枠に入れて成
形後、28日間(湿気箱中24時間、水中27日間)養
生を行い、コンクリート供試体を得た。
【0025】 表1 ────────────────────────────────── 実施例 フタロシアニン化合物 ────────────────────────────────── 1,27 Li2 Pc 2,28 Na2 Pc 3,29 K2 Pc 4,30,53 MgPc 5,31,54 CaPc 6,32,55 ZrPc 7,33,56 MoPc 8,34,57 WPc 9,35,58 Ag2 Pc 10,36,59 CdPc 11,37,60 HgPc 12,38 AlPc 13,39 GaPc 14,40 InPc 15,41 SiPc 16,42 GePc 17,43 MoPc−Cl4 18,44 MoPc−(t−Bu)4 19,45 MoPc−(CN)4 20,46 MoPc−(NO2 )4 21,47 MoPc−(CN)8 22,48 WPc−Cl4 23,49 WPc−(t−Bu)4 24,50 WPc−(CN)4 25,51 WPc−(NO2 )4 26,52 WPc−(CN)8 ────────────────────────────────── ※Li2 Pc、Na2 Pc、K2 Pc、MgPc、Ca
Pc、ZrPc、MoPc、WPc、Ag2 Pc、Cd
Pc、HgPc、AlPc、GaPc、InPc、Si
Pc、及びGePcは、それぞれ、中心金属原子がリチ
ウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、銀、カ
ドミウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウ
ム、ケイ素、及びゲルマニウムである金属フタロシアニ
ンを表す。また、Cl、t−Bu、CN、及び NO2
はそれぞれ置換原子もしくは置換基が塩素原子、ter
t−ブチル基、シアノ基、及びニトロ基であることを表
す。
Pc、ZrPc、MoPc、WPc、Ag2 Pc、Cd
Pc、HgPc、AlPc、GaPc、InPc、Si
Pc、及びGePcは、それぞれ、中心金属原子がリチ
ウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、銀、カ
ドミウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウ
ム、ケイ素、及びゲルマニウムである金属フタロシアニ
ンを表す。また、Cl、t−Bu、CN、及び NO2
はそれぞれ置換原子もしくは置換基が塩素原子、ter
t−ブチル基、シアノ基、及びニトロ基であることを表
す。
【0026】(比較例1)金属フタロシアニンもしくは
その誘導体を添加しない以外は、実施例1と同様な操作
を行ってコンクリート供試体を得た。
その誘導体を添加しない以外は、実施例1と同様な操作
を行ってコンクリート供試体を得た。
【0027】(比較例2)金属フタロシアニンもしくは
その誘導体の代わりに有機窒素硫黄系抗菌剤(東京ファ
インケミカル社製「ファインサンドA−3」)を添加し
た以外は、実施例1と同様な操作を行ってコンクリート
供試体を得た。
その誘導体の代わりに有機窒素硫黄系抗菌剤(東京ファ
インケミカル社製「ファインサンドA−3」)を添加し
た以外は、実施例1と同様な操作を行ってコンクリート
供試体を得た。
【0028】(比較例3)金属フタロシアニンもしくは
その誘導体を添加しない以外は、実施例25と同様な操
作を行ってモルタル供試体を得た。
その誘導体を添加しない以外は、実施例25と同様な操
作を行ってモルタル供試体を得た。
【0029】(比較例4)金属フタロシアニンもしくは
その誘導体の代わりに有機窒素硫黄系抗菌剤(東京ファ
インケミカル社製「ファインサンドA−3」)を添加し
た以外は、実施例25と同様な操作を行ってモルタル供
試体を得た。
その誘導体の代わりに有機窒素硫黄系抗菌剤(東京ファ
インケミカル社製「ファインサンドA−3」)を添加し
た以外は、実施例25と同様な操作を行ってモルタル供
試体を得た。
【0030】実施例及び比較例で得られた供試体を、下
水処理場の汚泥施設の壁内に曝し、9ヶ月間汚泥に暴露
して硫黄酸化細菌の付着状況及び供試体の石膏化状況
を、以下のようにして評価した。結果を表2に示した。
水処理場の汚泥施設の壁内に曝し、9ヶ月間汚泥に暴露
して硫黄酸化細菌の付着状況及び供試体の石膏化状況
を、以下のようにして評価した。結果を表2に示した。
【0031】(硫黄酸化細菌の付着状況)供試体の表面
を、歯磨き用のブラシを用いて、滅菌した水道水(オー
トクレーブで20分間滅菌)50mlで洗浄し、その洗
浄液を超音波破砕した後、希釈した。これを、酵母エキ
スを添加しゲランガムで固化させた固体ONM培地(今
井・和民・片桐、“硫黄細菌の生化学的研究(第2報)
菌の生育条件について”、醗酵工学、42巻、762
頁、1964年)を用いて、培養温度30℃で11日間
培養し、生じたコロニーを計数した。この値から、洗浄
液1ml当たりの硫黄酸化細菌の数(cell/ml)
を求め、以下に示す評価基準から硫黄酸化細菌の付着状
況を評価した。
を、歯磨き用のブラシを用いて、滅菌した水道水(オー
トクレーブで20分間滅菌)50mlで洗浄し、その洗
浄液を超音波破砕した後、希釈した。これを、酵母エキ
スを添加しゲランガムで固化させた固体ONM培地(今
井・和民・片桐、“硫黄細菌の生化学的研究(第2報)
菌の生育条件について”、醗酵工学、42巻、762
頁、1964年)を用いて、培養温度30℃で11日間
培養し、生じたコロニーを計数した。この値から、洗浄
液1ml当たりの硫黄酸化細菌の数(cell/ml)
を求め、以下に示す評価基準から硫黄酸化細菌の付着状
況を評価した。
【0032】(石膏化状況)供試体の表面を10gサン
プリングし、X線回折装置を用いて硫酸カルシウムの量
を測定した。この値から、供試体表面のカルシウムのう
ち硫酸による腐食生成物である硫酸カルシウムに変化し
た割合(%)を求め、以下に示す評価基準から供試体の
石膏化状況を評価した。
プリングし、X線回折装置を用いて硫酸カルシウムの量
を測定した。この値から、供試体表面のカルシウムのう
ち硫酸による腐食生成物である硫酸カルシウムに変化し
た割合(%)を求め、以下に示す評価基準から供試体の
石膏化状況を評価した。
【0033】 硫黄酸化細菌の付着状況の評価基準 評価 1:106 cell/ml以上 評価 2:104 〜106 cell/ml 評価 3:102 〜104 cell/ml 評価 4:102 cell/ml未満 評価 5:付着は全く認められず
【0034】 供試体の石膏化状況の評価基準 評価 1:80%以上 評価 2:50〜80% 評価 3:30〜50% 評価 4:1〜30% 評価 5:石膏化は全く認められず
【0035】 表2 ────────────────────────────────── 実施例及び比較例 硫黄酸化細菌の付着状況 石膏化状況 ────────────────────────────────── 実施例1 評価 4 評価 4 実施例2 評価 4 評価 4 実施例3 評価 4 評価 4 実施例4 評価 4 評価 5 実施例5 評価 4 評価 5 実施例6 評価 4 評価 5 実施例7 評価 5 評価 5 実施例8 評価 5 評価 5 実施例9 評価 4 評価 5 実施例10 評価 4 評価 5 実施例11 評価 4 評価 5 実施例12 評価 4 評価 4 実施例13 評価 4 評価 4 実施例14 評価 4 評価 4 実施例15 評価 4 評価 4 実施例16 評価 4 評価 4 実施例17 評価 5 評価 5 実施例18 評価 5 評価 5 実施例19 評価 5 評価 5 実施例20 評価 5 評価 5 実施例21 評価 5 評価 5 実施例22 評価 5 評価 5 実施例23 評価 5 評価 5 実施例24 評価 5 評価 5 実施例25 評価 5 評価 5 実施例26 評価 5 評価 5 実施例27 評価 4 評価 4 実施例28 評価 4 評価 4 実施例29 評価 4 評価 4 実施例30 評価 4 評価 5 実施例31 評価 4 評価 5 実施例32 評価 4 評価 5 実施例33 評価 5 評価 5 実施例34 評価 5 評価 5 実施例35 評価 4 評価 5 実施例36 評価 4 評価 5 実施例37 評価 4 評価 5 実施例38 評価 4 評価 4 実施例39 評価 4 評価 4 実施例40 評価 4 評価 4 実施例41 評価 4 評価 4 実施例42 評価 4 評価 4 実施例43 評価 5 評価 5 実施例44 評価 5 評価 5 実施例45 評価 5 評価 5 実施例46 評価 5 評価 5 実施例47 評価 5 評価 5 実施例48 評価 5 評価 5 実施例49 評価 5 評価 5 実施例50 評価 5 評価 5 実施例51 評価 5 評価 5 実施例52 評価 5 評価 5 実施例53 評価 4 評価 5 実施例54 評価 4 評価 5 実施例55 評価 4 評価 5 実施例56 評価 5 評価 5 実施例57 評価 5 評価 5 実施例58 評価 4 評価 5 実施例59 評価 4 評価 5 実施例60 評価 4 評価 5 比較例1 評価 1 評価 1 比較例2 評価 1 評価 1 比較例3 評価 1 評価 1 比較例4 評価 1 評価 2 ──────────────────────────────────
【0036】本発明の金属フタロシアニンもしくはその
誘導体を含有する供試体では、硫黄酸化細菌の付着状
況、石膏化状況とも評価4〜5であったが、金属フタロ
シアニンもしくはその誘導体を含有しない供試体、及び
金属フタロシアニンもしくはその誘導体の代わりに有機
窒素硫黄系抗菌剤を含有する供試体では、硫黄酸化細菌
の付着が著しく、表面は石膏化して劣化が進んでいた。
このことから、本発明の金属フタロシアニンもしくはそ
の誘導体は、コンクリート又はモルタルの劣化防止に有
効であることが認められた。
誘導体を含有する供試体では、硫黄酸化細菌の付着状
況、石膏化状況とも評価4〜5であったが、金属フタロ
シアニンもしくはその誘導体を含有しない供試体、及び
金属フタロシアニンもしくはその誘導体の代わりに有機
窒素硫黄系抗菌剤を含有する供試体では、硫黄酸化細菌
の付着が著しく、表面は石膏化して劣化が進んでいた。
このことから、本発明の金属フタロシアニンもしくはそ
の誘導体は、コンクリート又はモルタルの劣化防止に有
効であることが認められた。
【0037】
【発明の効果】下水や土壌中に存在し、且つコンクリー
ト又はモルタルの劣化の原因となる硫黄酸化細菌の体内
には、スルフィドオキシダーゼ、サルファジオキシダー
ゼ等の硫黄の酸化還元に関与するいくつかの酵素が存在
し、これらの相互作用で硫酸が生成する(小泉,“イオ
ウ酸化細菌の生理生態と生物工学”,用水と廃水,31
巻,307頁,1989年)。また、硫黄酸化細菌は、
硫黄粒子等の固体物質を基質にすることができるという
生態学的な特徴を有している。このため、コンクリート
又はモルタルに含有された金属フタロシアニンもしくは
その誘導体も、硫黄酸化細菌の菌体内に容易に取り込ま
れる。硫黄酸化細菌の菌体内に取り込めれた金属フタロ
シアニンもしくはその誘導体は、硫黄酸化細菌の菌体内
の酵素反応を阻害することによって、硫黄酸化細菌を防
菌及び/又は殺菌することができる。また、本発明の劣
化防止剤は、前述の金属及び/又は金属酸化物を含む劣
化防止剤と異なり、成分を硫酸中に溶出させるものでは
ないので、少量の金属フタロシアニンもしくはその誘導
体で、コンクリート又はモルタルの劣化防止効果を長期
間に渡って維持することができ、溶出した金属イオンに
より水質を汚染することもない。さらに、金属フタロシ
アニンもしくはその誘導体は、前述の金属又は金属酸化
物に比べて、コンクリート又はモルタル用混和剤に含ま
れる高分子成分中に容易に分散するため、混和剤中で金
属フタロシアニンもしくはその誘導体が凝集・沈澱する
ことなく、金属フタロシアニンもしくはその誘導体が均
一に分散したコンクリート又はモルタルを調製すること
が可能である。したがって、本発明のコンクリート又は
モルタル用劣化防止剤、及びコンクリート又はモルタル
の劣化防止方法は、水質を汚染することなく、少量でコ
ンクリート又はモルタルの劣化を長期に渡って防止する
ことができるので、コンクリート又はモルタルが使用さ
れる下水道施設の構造物等、広い用途に利用される。
ト又はモルタルの劣化の原因となる硫黄酸化細菌の体内
には、スルフィドオキシダーゼ、サルファジオキシダー
ゼ等の硫黄の酸化還元に関与するいくつかの酵素が存在
し、これらの相互作用で硫酸が生成する(小泉,“イオ
ウ酸化細菌の生理生態と生物工学”,用水と廃水,31
巻,307頁,1989年)。また、硫黄酸化細菌は、
硫黄粒子等の固体物質を基質にすることができるという
生態学的な特徴を有している。このため、コンクリート
又はモルタルに含有された金属フタロシアニンもしくは
その誘導体も、硫黄酸化細菌の菌体内に容易に取り込ま
れる。硫黄酸化細菌の菌体内に取り込めれた金属フタロ
シアニンもしくはその誘導体は、硫黄酸化細菌の菌体内
の酵素反応を阻害することによって、硫黄酸化細菌を防
菌及び/又は殺菌することができる。また、本発明の劣
化防止剤は、前述の金属及び/又は金属酸化物を含む劣
化防止剤と異なり、成分を硫酸中に溶出させるものでは
ないので、少量の金属フタロシアニンもしくはその誘導
体で、コンクリート又はモルタルの劣化防止効果を長期
間に渡って維持することができ、溶出した金属イオンに
より水質を汚染することもない。さらに、金属フタロシ
アニンもしくはその誘導体は、前述の金属又は金属酸化
物に比べて、コンクリート又はモルタル用混和剤に含ま
れる高分子成分中に容易に分散するため、混和剤中で金
属フタロシアニンもしくはその誘導体が凝集・沈澱する
ことなく、金属フタロシアニンもしくはその誘導体が均
一に分散したコンクリート又はモルタルを調製すること
が可能である。したがって、本発明のコンクリート又は
モルタル用劣化防止剤、及びコンクリート又はモルタル
の劣化防止方法は、水質を汚染することなく、少量でコ
ンクリート又はモルタルの劣化を長期に渡って防止する
ことができるので、コンクリート又はモルタルが使用さ
れる下水道施設の構造物等、広い用途に利用される。
Claims (2)
- 【請求項1】 中心金属原子が、リチウム、ナトリウ
ム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウ
ム、モリブデン、タングステン、銀、カドミウム、水
銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、及
びゲルマニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種
である金属フタロシアニンもしくはその誘導体を有効成
分とすることを特徴とするコンクリート又はモルタル用
劣化防止剤。 - 【請求項2】 コンクリート又はモルタルに請求項1記
載の劣化防止剤を含有させることを特徴とするコンクリ
ート又はモルタルの劣化防止方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9121903A JPH10316461A (ja) | 1997-05-13 | 1997-05-13 | コンクリート又はモルタル用劣化防止剤、及びコンクリート又はモルタルの劣化防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9121903A JPH10316461A (ja) | 1997-05-13 | 1997-05-13 | コンクリート又はモルタル用劣化防止剤、及びコンクリート又はモルタルの劣化防止方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10316461A true JPH10316461A (ja) | 1998-12-02 |
Family
ID=14822770
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9121903A Pending JPH10316461A (ja) | 1997-05-13 | 1997-05-13 | コンクリート又はモルタル用劣化防止剤、及びコンクリート又はモルタルの劣化防止方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10316461A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6159281A (en) * | 1996-02-13 | 2000-12-12 | Toyo Ink Manufacturing Co., Ltd. | Deterioration preventive for concrete or mortar and method for preventing deterioration of concrete or mortar |
WO2023026954A1 (ja) * | 2021-08-26 | 2023-03-02 | Dic株式会社 | 抗菌作用、あるいは、抗ウイルス作用を有するフタロシアニン顔料 |
-
1997
- 1997-05-13 JP JP9121903A patent/JPH10316461A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6159281A (en) * | 1996-02-13 | 2000-12-12 | Toyo Ink Manufacturing Co., Ltd. | Deterioration preventive for concrete or mortar and method for preventing deterioration of concrete or mortar |
WO2023026954A1 (ja) * | 2021-08-26 | 2023-03-02 | Dic株式会社 | 抗菌作用、あるいは、抗ウイルス作用を有するフタロシアニン顔料 |
JPWO2023026954A1 (ja) * | 2021-08-26 | 2023-03-02 |
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