JPH10315416A - コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム

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JPH10315416A
JPH10315416A JP12957097A JP12957097A JPH10315416A JP H10315416 A JPH10315416 A JP H10315416A JP 12957097 A JP12957097 A JP 12957097A JP 12957097 A JP12957097 A JP 12957097A JP H10315416 A JPH10315416 A JP H10315416A
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film
capacitor
polyester
coating
thickness
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JP12957097A
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Yoshiki Sato
嘉記 佐藤
Yoshio Meguro
義男 目黒
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Diafoil Co Ltd
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Diafoil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸着金属層とのフィルムとの密着性および寸
法安定性に優れ、特にコンデンサの誘電体として用いた
ときに、高度な電気特性と耐湿熱特性を与えることがで
き、コンデンサの長期信頼性向上に寄与することができ
るフィルムを提供する。 【解決手段】 水溶性または水分散性樹脂からなる厚み
0.005〜0.5μmの塗布層をフィルムの少なくと
も片面に有する二軸配向ポリエステルフィルムであっ
て、熱機械試験機で測定したフィルムの幅方向の200
℃における寸法変化率が−1.0〜+4.0%の範囲で
あり、全厚みが1.0〜14μmであることを特徴とす
るコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンデンサ用金属
蒸着ポリエステルフィルムに関する。詳しくは、本発明
は、蒸着金属層とフィルムとの密着性に優れ、熱寸法安
定性に優れるフィルムであって、コンデンサ誘電体に使
用したときに高度な電気特性および耐湿熱性を付与する
ことのできる金属蒸着ポリエステルフィルムに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムは、優れた機械的
性質、耐熱性、電気的特性有することから、磁気テープ
用、包装用、製版用等の産業用資材として広く用いられ
ている。これらの用途の中でもコンデンサ用に関して
は、電気機器の小型化に伴い、小型化が可能なポリエス
テルフィルムから製造されたコンデンサの需要が急増し
ている。
【0003】特に近年は電子機器等の発達に伴い、かか
るコンデンサ用ポリエステルフィルムの高特性化が求め
られている。その高特性化の要求項目の一つとして、長
期耐湿熱安定性がある。すなわち、金属蒸着ポリエステ
ルフィルムは、基材フィルムと蒸着金属との接着性、特
に高温高湿環境下での接着性、いわゆる耐湿熱接着性が
悪いという欠点を有している。このためコンデンサを高
温高湿下に置くと、基材フィルムと蒸着金属との界面で
透湿し、コンデンサの静電容量が経時的に低下する等の
問題があり、長期安定性の点で、かかる耐湿熱特性改良
が求められている。
【0004】また、電気特性を悪化させる原因のひとつ
として、コンデンサ製造工程で加わる熱によるフィルム
の寸法変化が挙げられる。したがって、電気特性を高度
に満足させるため、優れた熱寸法安定性が要求される。
さらに、コンデンサの長期安定性を向上するためには、
使用温度付近での卓越した熱寸法安定性が必要とされ
る。
【0005】最近の各種電子機器の発達は顕著であり、
コンデンサに求められる長期信頼性、特に長期耐湿熱安
定性への要求は、さらに増大している。したがって、か
かる高信頼性を有するコンデンサの誘電体に用いられる
フィルムへの要求特性も一段と厳しいものとなってきて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、蒸着金属層
とのフィルムとの密着性および寸法安定性に優れ、特に
コンデンサの誘電体として用いたときに、高度な電気特
性と耐湿熱特性を与えることができ、コンデンサの長期
信頼性向上に寄与することができるフィルムを提供する
ことを解決課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意検討を行った結果、塗布層を有するポリエステ
ルフィルムの塗布層表面に金属蒸着層を有するフィルム
であって、高度な寸法安定性を有する場合に、特にコン
デンサ誘電体として用いた場合、優れた特性を有するこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、水溶性または
水分散性樹脂からなる厚み0.005〜0.5μmの塗
布層をフィルムの少なくとも片面に有する二軸配向ポリ
エステルフィルムであって、熱機械試験機で測定したフ
ィルムの幅方向の200℃における寸法変化率が−1.
0〜+4.0%の範囲であり、全厚みが1.0〜14μ
mであることを特徴とするコンデンサ用二軸配向ポリエ
ステルフィルムに存する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族
ジカルボン酸またはそのエステルとグリコールとを主た
る出発原料として得られるポリエステルであり、繰り返
し構造単位の80%以上がエチレンテレフタレート単位
またはエチレン−2,6−ナフタレート単位を有するポ
リエステルを指す。そして、上記の範囲を逸脱しない条
件下であれば、他の第三成分を含有していてもよい。
【0010】芳香族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン
酸以外に、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン
酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキ
シエトキシ安息香酸等)等を用いることができる。グリ
コール成分としては、エチレングリコール以外に、例え
ば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
タンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を用い
ることができる。
【0011】本発明のポリエステルフィルムは、フィル
ム製造時のキズの発生防止や、フィルムに滑り性を与え
て取扱い性を向上する目的で、ポリエステルに粒子を含
有させ、フィルム表面に適度な突起を形成させる。かか
る粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウ
ム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミ
ナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウ
ム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高
分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、およびポ
リエステル重合時に生成させる析出粒子を挙げることが
できる。
【0012】上記した粒子の中でも、ポリエステルとの
親和性が良好な、有機粒子および析出粒子、また、無機
粒子の中でも炭酸カルシウム粒子の中から少なくとも一
種を使用した場合、電気的特性が良好となり好ましい。
本発明のフィルムに含有させる粒子の平均粒径は、好ま
しくは0.005〜5.0μm、さらに好ましくは0.
01〜3.0μmの範囲である。平均粒径が5.0μm
を超えると、粗面化により絶縁性が低下したり、粒子が
フィルム表面から脱落して絶縁欠陥の原因となる等の問
題が生ずるようになる傾向がある。また、平均粒径が
0.005μm未満では、突起形成が不十分なためフィ
ルムの表面にキズが発生したり、フィルムの取扱い性が
低下してしまうことがある。
【0013】また、粒子含有量はポリエステルに対し、
通常0.01〜3.0重量%、好ましくは0.05〜
2.0重量%、さらに好ましくは0.1〜1.0重量%
である。粒子含有量が0.01重量%未満では、フィル
ム表面の突起が不足して滑り性が不十分となる傾向があ
る。一方、粒子含有量が3.0重量%を超えると、粒子
の脱落が起こりやすくなったり、粒子が凝集して粗大突
起を形成し、絶縁欠陥等の問題が生ずるようになること
がある。
【0014】フィルム中に、かかる粒子を2種類以上配
合してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合し
てもよい。いずれにしても、フィルムに含有する粒子全
体の平均粒径、および合計の含有量が上記した範囲を満
足することが好ましい。また、上記の突起形成剤以外の
添加剤として、必要に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤
滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色
剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤などを、コンデンサ特性
を悪化させない範囲内で含有していてもよい。
【0015】本発明のポリエステルフィルムは、最終的
に得られる特性が本発明の要件を満足する限り、塗布以
外の方法で得られた多層構造となっていても構わない。
多層構造の場合、その一部の層はポリエステル以外の樹
脂からなる層であってもよい。本発明のフィルムは、蒸
着金属との接着性を高めるため、少なくとも一方のフィ
ルム表面に水溶性または水分散性樹脂からなる塗布層を
設ける。
【0016】塗布層を構成する塗布剤の例として、ポリ
エステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系、ポリアク
リレート系、ポリカーボネート系、ポリアリレート系、
ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリビニル
ブチラール系、ポリビニルアルコール系、ポリウレタン
系などの樹脂およびこれらの樹脂の共重合体や混合体な
どを挙げることができる。これらの中で最も好ましい塗
布剤樹脂はポリウレタン系樹脂であり、ポリウレタン系
樹脂を用いた場合、極めて高度な接着性と長期耐湿熱安
定性を得ることができる。
【0017】以下、このポリウレタン系樹脂について詳
しく説明する。本発明の実施態様の一つであるポリウレ
タン系樹脂とは、ポリマー主鎖にウレタン結合を有する
高分子化合物を指し、ポリオール、ポリイソシアネー
ト、鎖延長剤、架橋剤等から構成される。ポリオールの
例としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキ
シプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレング
リコールのようなポリエーテル類、ポリエチレンアジペ
ート、ポリエチレンーブチレンアジペート、ポリカプロ
ラクトン等を含むポリエステル類、カーボネート結合を
有するポリカーボネート類、アクリル系ポリオール、ひ
まし油等がある。
【0018】ポリイソシアネートの例としては、トリレ
ンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。特に
本発明におけるポリウレタンは、耐熱性に優れる芳香族
ポリイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネート
から選択するか、両方を用いるのが好ましい。芳香族ポ
リイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートを
用いる場合、イソシアネート成分に占める、芳香族ポリ
イソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートまた
はその合計の割合が、好ましくは50モル%以上、さら
に好ましくは70モル%以上である。
【0019】鎖延長剤あるいは架橋剤の例としては、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレン
グリコール、トリメチロールプロパン、ヒドラジン、エ
チレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレン
テトラミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、
4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、水等が挙
げられる。
【0020】本発明における、ポリウレタン系樹脂の塗
布層に占める割合は、好ましくは50重量%以上、さら
に好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量
%以上である。ポリウレタン系樹脂の含有量が50重量
%未満では、本発明の効果が得られないことがある。本
発明の塗布剤として用いる樹脂は、安全衛生上、水を媒
体とする塗布剤であることが望ましいが、本発明の要旨
を越えない範囲内で、水溶性または水分散性樹脂の助剤
として有機溶剤を含有していてもよい。水を媒体とする
場合は、界面活性剤などによって強制分散化した塗布剤
であってもよいが、好ましくはポリエーテル類のような
親水性のノニオン成分や、四級アンモニウム塩のような
カチオン性基を有する自己分散型塗布剤であり、さらに
好ましくは、アニオン性基を有する水溶性または水分散
性の塗布剤である。
【0021】アニオン性基を有する水溶性または水分散
性の塗布剤とは、アニオン性基を有する化合物を共重合
やグラフトなどにより樹脂に結合させたものであり、ス
ルホン酸、カルボン酸、リン酸およびそれらの塩等から
適宜選択される。アニオン性基を有する水溶性または水
分散性の塗布剤のアニオン性基の量は、0.05〜10
重量%の範囲が好ましい。アニオン性基量が0.05重
量%未満では、樹脂の水溶性あるいは水分散性が劣るこ
とがあり、アニオン性基量が10重量%を超えると、塗
布後の下塗り層の耐水性が劣ったり、吸湿してフィルム
が相互に固着したり、耐湿熱接着性を低下させたりする
ことがある。
【0022】また、本発明における塗布液には、塗布層
の固着性(ブロッキング性)、耐水性、耐溶剤性、機械
的強度の改良のために架橋剤としてメチロール化あるい
はアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン
系、アクリルアミド系、ポリアミド系等の化合物、エポ
キシ系化合物、アジリジン化合物、ブロックポリイソシ
アネート、シランカップリング剤、チタンカップリング
剤、ジルコ−アルミネート系カップリング剤、過酸化
物、熱および光反応性のビニル化合物や感光性樹脂など
を含有してもよい。
【0023】また、固着性や滑り性改良のために、塗布
層中に無機系微粒子としてシリカ、シリカゾル、アルミ
ナ、アルミナゾル、ジルコニウムゾル、カオリン、タル
ク、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化チタン、
硫酸バリウム、カ−ボンブラック、硫化モリブデン、酸
化アンチモンゾルなどを、有機系微粒子としてポリスチ
レン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ
アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、
フッ素樹脂などを含有していてもよい。
【0024】さらに、必要に応じて消泡剤、塗布性改良
剤、増粘剤、帯電防止剤、有機系潤滑剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していて
もよい。本発明で用いる塗布液中のアルカリ金属含有量
は、塗布液の固形分中、好ましくは1000ppm以下
であり、さらに好ましくは500ppm以下、特に好ま
しくは200ppm以下である。塗布層中のアルカリ金
属含有量が多くなると、コンデンサの耐湿熱特性が悪く
なることがある。特にコンデンサに直流電圧を印加しつ
つ高温高湿下に置くとコンデンサの静電容量の低下が激
しくなる。したがって、必要に応じて脱イオン処理を施
すことで、所望の塗布液を得る場合もある。
【0025】上述の塗布液をポリエステルフィルムに塗
布する方法としては原崎勇次著、槙書店、1979年発
行、「コーティング方式」に示されるリバースロールコ
ーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドク
ターコーターあるいはこれら以外の塗布装置を用いるこ
とができる。塗布層は、フィルム製造工程内で設けても
よいし、フィルム製造後に塗布してもよい。特に塗布厚
みの均一性や、生産効率の点で、フィルム製造工程内で
塗布する方法が好ましい。
【0026】フィルム製造工程内で塗布する方法として
は、ポリエステル未延伸フィルムに塗布液を塗布し、逐
次あるいは、同時に二軸延伸する方法、一軸延伸された
ポリエステルフィルムに塗布し、さらに先の一軸延伸方
向と直角の方向に延伸する方法、あるいは二軸延伸ポリ
エステルフィルムに塗布し、さらに横および/または縦
方向に延伸する方法などがある。
【0027】塗布層の厚さは、0.005〜0.5μm
の範囲であり、好ましくは0.01〜0.3μmの範
囲、さらに好ましくは0.03〜0.1μmの範囲であ
る。塗布層の厚さは、コンデンサ小型化の要請からも薄
くすることが好ましい。特に塗布層厚みが0.5μmを
超えると電気的特性を悪化させるため好ましくない。一
方、塗布層の厚みが0.005μm未満の場合には、塗
布ムラや塗布ヌケが生じ好ましくない。
【0028】本発明においては、熱機械試験機にて測定
したフィルムの幅方向の200℃における寸法変化率
が、−1.0〜+4.0%である場合に、コンデンサの
長期耐湿熱特性、長期耐熱特性が高度に得られる。ただ
し、寸法変化率の負の値は収縮を示し、正の値は伸長を
示す。かかる寸法変化率が−1.0%より低い場合は、
コンデンサの誘電体として使用したとき、熱がかかると
幅方向に収縮し、メタリコンとの接触が不十分になり、
コンデンサの誘電損失特性等、電気特性が低下するよう
になるため好ましくない。かかる寸法変化率は、好まし
くは−0.5%以上、さらに好ましくは0%以上が望ま
しい。一方、寸法変化率が4.0%を越えるフィルムの
場合も、コンデンサの耐熱性が劣るようになり、高温で
の容量低下や誘電特性低下が起こりやすくなるため、信
頼性が低下する。寸法変化率は、好ましくは3.0%以
下、さらに好ましくは2.0%以下である。
【0029】本発明における熱機械試験機のように、フ
ィルムに張力をかけて寸法変化を測定した場合の寸法変
化は、コンデンサとした状態でのフィルムの挙動を反映
し、特定の条件を満たす場合に優れた信頼性が得られる
のである。本発明においては、上記した寸法変化率に加
え、フィルム幅方向の収縮応力が以下の式を満足する場
合、さらに高度な特性を得ることができる。
【0030】
【数1】S180 <120g/mm2 ………(1) Smax <500g/mm2 ………(2) (上記式中、S180 は、180℃におけるフィルムの単
位断面積あたりの収縮応力値、Smax は、180℃以上
フィルムの融点以下の温度範囲内での収縮応力値の最大
値を示す) S180 が120g/mm2 以上の場合は、フィルムの寸
法安定性が劣る傾向があり、コンデンサ誘電体とした時
に電気特性が悪化することがある。S180 は好ましくは
100g/mm2 未満、さらに好ましくは70g/mm
2 未満である。
【0031】また、収縮応力値は150℃以上、ポリエ
ステルの融点以下の温度範囲内で最大値(Smax )を有
するが、本発明においては、Smax が500g/mm2
未満の場合、寸法安定性が優れ、コンデンサ特性をさら
に高度に満足させることができる。Smax は、好ましく
は300g/mm2 未満、さらに好ましくは250g/
mm2 未満である。
【0032】本発明のフィルムの全厚みは、1.0〜1
4μmの範囲である。厚みが14μmを超える場合は、
フィルムを巻回してコンデンサとする際のフィルムの変
形が元々小さいため、本発明の効果が十分に発揮されな
いし、より高品質、小型のコンデンサを得ることができ
なくなる。厚みは、好ましくは12μm以下、さらに好
ましくは10μm以下である。一方、全厚みが1.0μ
m未満の場合は、塗布層の厚みが占める割合が相対的に
大きくなるため、電気的特性の改良効果が十分とならな
いため好ましくない。フィルム全厚みの下限は、好まし
くは2.0μm、さらに好ましくは3.0μmである。
【0033】また、フィルム表面の中心線平均粗さ(R
a)は好ましくは0.005〜0.5μmの範囲であ
り、さらに好ましくは0.01〜0.3μmの範囲であ
り、特に好ましくは0.02〜0.1μmの範囲であ
る。Raが0.005μm未満では、フィルムの滑り性
が不十分となり、コンデンサ製造等、フィルムの取り扱
い性が不十分になったり、蒸着層に傷が付きやすいとい
う問題が生ずることがある。一方、Raが0.5μmを
超えると、表面が粗れすぎてコンデンサとした時に耐電
圧特性や耐湿熱特性が悪化することがある。
【0034】次に、本発明のフィルムの製造法を具体的
に説明する。ポリエステル原料を、押出装置に供給し、
ポリエステルの融点以上の温度で溶融押出してスリット
状のダイから溶融シートとして押し出す。次に、溶融シ
ートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度
になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シ
ートを得る。
【0035】得られたシートを二軸方向に延伸してフィ
ルム化するが、その延伸および熱処理条件を適切な範囲
とすることにより本発明のフィルムの特徴である収縮特
性を達成させることができる。二軸延伸条件について具
体的に述べると、前記未延伸シートをまず第一軸方向に
その複屈折率(Δn)が0.06以上、好ましくは0.
08以上となるように延伸する。延伸温度範囲は70〜
150℃、延伸倍率は2.5〜6倍の範囲とし、温度と
倍率を適宜組み合わせることにより、所望の複屈折率と
なるようにする。延伸は一段階または二段階以上で行う
ことができる。次に第二軸方向、すなわち第一軸方向と
直交する方向に一軸配向フィルムを一旦ガラス転移点以
下に冷却するか、または冷却することなく、例えば80
〜150℃の温度範囲に予熱して、さらにほぼ同温度の
下で2.5〜5倍、好ましくは3.0〜4.5倍に延伸
を行い、二軸に配向したフィルムを得る。
【0036】なお、第一軸方向の延伸を2段階以上で行
うことが、良好な厚さ均一性を達成できるので好まし
い。また、横延伸した後、さらに長手方向に再延伸する
方法も可能であるが、いずれにしても長手方向の総合延
伸倍率を3.5倍以上とすることが好適である。かくし
て得られたフィルムを、1秒〜5分間、180℃〜24
0℃の温度範囲、好ましくは200℃〜240℃の温度
範囲で熱処理する。この際、熱処理工程内または熱処理
後に長手方向または横方向、あるいは両方向に再延伸を
行ってもよい。
【0037】本発明の要件である、フィルムの特定範囲
の寸法変化率とするために、フィルム製造時、熱処理工
程で縦方向または横方向、あるいは両方向に2〜20
%、好ましくは3〜15%の範囲で弛緩処理を行う方法
や、フィルムをオフラインで幅方向に張力をかけずに、
または幅方向に弛緩しながら熱処理する方法等が好まし
く採用される。
【0038】ただし、オフラインで熱処理する方法は、
工程が増えるためコスト的に不利である点、不純物が混
入しやすく耐電圧が低下することが多いこと、および薄
いフィルムの場合は張力を低くする必要があり、安定し
た処理が難しい等の問題点がある。一方、フィルム製造
時の熱処理温度を高くする方法を用いても寸法変化率を
小さくできるが、かかる方法を用いると、ポリエステル
フィルムの電気的特性、特に誘電損失特性が悪化するの
で、コンデンサ誘電体として用いた場合、好ましくな
い。具体的には、熱処理温度が245℃を超えると、フ
ィルム密度が高くなりすぎて、高度な電気的特性が得ら
れなくなることがある。一方、180℃未満ではフィル
ムの熱収縮率が大きくなって、コンデンサ製造時に熱を
受ける工程で寸法変化を起こし、コンデンサの生産性を
悪化させたり、耐電圧等のコンデンサ特性が低下する等
の問題が生ずる。
【0039】いずれにしても、本発明においてはフィル
ムを弛緩しつつ熱処理することにより特定の収縮応力特
性を達成する方法が好ましい。本発明の蒸着フィルム
は、電気的特性を悪化させないために、密度を好ましく
は1.4050g/cm3 以下、さらに好ましくは1.
4030g/cm3 以下、特に好ましくは1.4000
g/cm3 以下とする。かかる特性を満足するため、上
記した熱処理工程の温度を適宜選択する。密度が1.4
050g/cm3を超えると、誘電損失が大きくなるた
めコンデンサの特性が大きく低下する。
【0040】本発明の塗布層を設ける方法としては、特
に、ロール延伸法により第一軸方向に延伸された一軸延
伸ポリエステルフィルムに塗布液を塗布し、適当な乾燥
を施し、あるいは乾燥を施さず、一軸延伸フィルムを直
ちに第二軸方向に延伸し、熱処理を行う方法が好まし
い。本方法によるならば、延伸と同時に塗布層の乾燥が
可能になるとともに塗布層の厚さを延伸倍率に応じて薄
くすることができ、かつ厚さの均一性が良好となり、し
かもフィルムと塗布層との密着性も極めて強固とするこ
とができる。コスト的にも有利で、コンデンサ誘電体用
基材として好適なフィルムを安価に製造できる。 本発
明における塗布層は、ポリエステルフィルムの片面だけ
に設けてもよいが、両面に設けることが好ましい。ま
た、片面にのみ塗布した場合、その反対面には本発明に
おける塗布液以外の塗布層を必要に応じて形成し、本発
明のポリエステルフィルムに他の特性を付与することも
できる。
【0041】なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着
性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電
処理を施してもよい。処理効率やコスト、処理の簡便さ
からコロナ放電処理を行うことが特に好ましい。また、
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの塗布層の接着
性、塗布性などを改良するために、塗布層形成後に塗布
層に放電処理を施すこともできる。
【0042】本発明のフィルムを用いてコンデンサを製
造する際、金属蒸着により電極を形成する場合は、蒸着
する金属として、アルミニウム、パラジウム、亜鉛、ニ
ッケル、金、銀、銅、インジウム、錫、クロム、チタン
等が挙げられるが、特に好ましい金属はアルミニウムで
ある。なお、上記の金属には金属の酸化物も含まれる。
【0043】金属蒸着膜の厚さは1〜200nmの範囲
が好ましく、蒸着の方法は、一般的には真空蒸着法によ
るが、エレクトロプレーティング法、スパッタリング法
等の方法によってもよい。なお、金属蒸着層はポリエス
テルフィルムの片面または両面に設ける。また、金属蒸
着後に蒸着金属層の表面処理や他の樹脂による被覆処理
を行ってもよい。
【0044】このようにして得られた金属蒸着ポリエス
テルフィルムを2枚重ね合わせて巻回(両面金属蒸着ポ
リエステルフィルムと本発明におけるポリエステルフィ
ルムを含む他のフィルムとの巻回も含む)、または多数
枚積層してコンデンサ素子を作り、常法にしたがって、
例えば、熱プレス、テーピング、メタリコン、電圧処
理、両端面封止、リード線取り付けなどを行ってコンデ
ンサとすることができるが、もちろんこれらに限定され
るわけではない。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例中の評価方法は下記のとおりである。実施例および比
較例中、「部」とあるのは「重量部」を示す。 (1)粒子の平均粒径(μm) 島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP
3型)で測定した等価球形分布における積算体積分率5
0%の粒径を平均粒径とした。 (2)フィルム厚み(μm) フィルムを約100枚、10cm×10cmの正方形に
切り出し、その重量を測定する。その後枚数を数えて、
フィルムの密度とフィルム合計面積と重量とからフィル
ム厚みを算出する。
【0046】
【数2】 (3)熱機械試験機による寸法変化率 真空理工(株)社製の熱機械試験機(TMA)TM−7
000にて測定した。試料フィルムを幅5mmの短冊状
に切り出し、チャック間15mmとなるようにセットし
た。荷重を80g/mm2とし、昇温速度を5℃/分と
して室温から250℃まで寸法変化を測定した。得られ
たTMA曲線から、200℃における寸法変化率を読み
とった。なお、寸法変化率は、収縮を負の値、伸長を正
の値として表記した。 (4)収縮応力特性 試料フィルムを幅5mm、長さ70mmの短冊状に切り
出し、片端を微小荷重検出器に、もう片端を固定チャッ
クにセットした。フィルムがたるまないようにチャック
位置を調節し、張力が発生する直前で位置を固定し、初
期張力を0gとして測定を開始した。試料フィルムの周
囲の温度を5℃/分の速度で昇温し、発生する収縮応力
とフィルムのごく近傍の温度との関係を曲線で描き、フ
ィルムの初期断面積あたりの収縮応力を求めた。すなわ
ち、S180およびSmaxは、得られた曲線の180℃、お
よびピークでの収縮応力値として得られた。 (5)熱収縮率 (%) 無張力下で200℃雰囲気中3分間、オーブンを用いて
フィルムを熱処理し、その前後のサンプルの長さを測定
することにより次式にて計算した。
【0047】
【数3】 (6)中心線平均粗さ(Ra) (μm) (株)小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用
いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲
線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の
部分を抜きとり、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦
倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表した
とき、次式で与えられた値を〔μm〕で表した。中心線
平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を
求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心
線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は
2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08
mmとした。
【0048】
【数4】 (7)フィルムの密度(g/cm3 ) n−ヘプタンと四塩化炭素との混合液による密度勾配管
法により測定した。なお、測定温度は25℃で行った。 (8)電気的特性評価 耐電圧特性 JIS C−2319に準じて測定を行った。
【0049】すなわち、10kV直流耐電圧試験機を用
い、23℃、50%RHの雰囲気下にて、100V/秒
の昇圧速度で上昇させ、フィルムが破壊し短絡した時の
電圧を読み取った。 コンデンサ特性の変化 (コンデンサの製造)フィルムの長手方向にマージン部
を有するストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅8mm、
マージン部の幅1mmの繰り返し)ポリエステルフィル
ムを、左または右に幅0.5mmのマージン部を有する
4.5mm幅のテープ状にスリットした。得られた、左
マージンおよび右マージンの蒸着ポリエステルフィルム
各1枚づつを併せて巻回し、巻回体を得た。このとき、
幅方向に蒸着部分が、0.5mmづつはみ出すように2
枚のフィルムをずらして巻回した。この巻回体を温度1
40℃、圧力50kg/cm2 で5分間プレスした。プ
レス後の巻回体の両端面にメタリコンを溶射後リード線
を付し、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂による
含浸層、および粉末状エポキシ樹脂を加熱溶融すること
による最低厚さ0.5mmの外装を形成して、静電容量
0.1μFのフィルムコンデンサとした。 (耐湿熱性測定:静電容量変化)コンデンサの電極間に
60Vの直流電圧を印加しつつ、温度60℃、湿度95
%RHの雰囲気下に1000時間放置し、初期静電容量
を基準値とする静電容量変化率を求めた。すなわち、1
000時間後の静電容量から初期静電容量を差し引いた
値を、初期静電容量で除して百分率で表記し、容量変化
率とした。この値が高いほど耐湿熱性が良好であること
を示す。 (耐熱負荷特性:誘電損失および静電容量の変化)コン
デンサの電極間に150Vの直流電圧を印加しつつ、1
05℃の雰囲気下に2000時間処理し、初期の誘電損
失特性と処理後の誘電損失特性とを比較した。誘電損失
特性は、室温から160℃の温度範囲で、1kHzでの
測定を行って評価した。すなわち、誘電損失が急激に立
ち上がる温度および100℃〜160℃の範囲で示す誘
電損失の最大値にて、以下の基準で評価した。
【0050】 ランクA:処理後もほとんど特性変化しない ランクB:誘電損失が若干高くなる、或いは立ち上がり
温度が低くなる ランクC:誘電損失の変化が大きい、または数値のばら
つきが大きくなる また、初期の静電容量と処理後の静電容量とを測定し、
容量変化率を求めた。 交流耐電圧 上記で得られたコンデンサの電極間に1kHzの交流電
圧を印加し、絶縁破壊が起こるまでの時間tを測定し
た。印加電圧Vを変えて同じ測定を行い、Vとtとの関
係をプロットし、t=15時間の時の印加電圧を交流耐
電圧とした。かかる交流耐電圧の100℃での値と25
℃での値を比較して、以下の基準で評価した。
【0051】ランクA:100℃でも交流耐電圧の低下
は小さく、良好 ランクB:100℃で交流耐電圧やや低下するが、実用
上問題ない ランクC:100℃での交流耐電圧の低下が大きく、実
用上問題がある 実施例1 (塗布層用ポリウレタンの合成)テレフタル酸850
部、イソフタル酸450部、1,4−ブタンジオール4
50部、ネオペンチルグリコール450部を出発原料と
してポリエステルポリオールを得、これにアジピン酸3
20部、ジメチロールプロピオン酸270部を加え、カ
ルボキシル基含有ポリエステルポリオールを得た。この
ポリエステルポリオール1880部にトリレンジイソシ
アネート160部を加えて芳香族ポリエステルポリウレ
タン溶液を得た。得られた溶液をアンモニア水溶液中に
投入しながら溶剤を除去し、芳香族ポリエステルポリウ
レタン水分散体(A)を得た。
【0052】トリレンジイソシアネートの代わりに4,
4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを用い
る以外は上記と同様にして脂肪族ポリエステルポリウレ
タン水分散体(B)を得た。芳香族ポリエステルポリウ
レタン(A)と脂肪族ポリエステルポリウレタン(B)
との固形分重量比を48部/48部として混合し、エポ
キシ系架橋剤4部を加えて塗布用ポリウレタン水分散体
を得た。 (フィルム原料ポリエステルの製造)ジメチルテレフタ
レート100部、エチレングリコール60部および酢酸
カルシウム1水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温
するとともにメタノールを留去してエステル交換反応を
行い、反応開始から4時間を要して230℃まで昇温
し、実質的にエステル交換反応を終了した。
【0053】次いで、粒径1.2μmの合成炭酸カルシ
ウム1.0部をエチレングリコールスラリーとして添加
した。スラリー添加後、さらにリン酸0.06部、三酸
化アンチモン0.04部を加え、徐々に反応系を減圧と
し、温度を高めて重縮合反応を4時間行い、極限粘度
0.65のポリエステル(a)を得た。粒子を添加しな
いこと以外は同様にして、極限粘度0.67のポリエス
テル(b)を得た。また、粒子として平均粒径0.4μ
mの架橋高分子粒子を0.4部添加したこと以外は同様
にして、極限粘度0.66のポリエステル(c)を得
た。 (ポリエステルフィルムの製造)ポリエステル(a)と
ポリエステル(b)とポリエステル(c)とを30部/
20部/50部の割合で混合した原料を常法により乾燥
して押出機に供給し、290℃で溶融してシート状に押
出し、静電印加密着法を用いて冷却ロール上で急冷し、
無定形シートとした。得られたシートを、ロール延伸法
を用いて縦方向に84℃で2.9倍延伸した後、さらに
72℃で1.25倍延伸した。該一軸延伸フィルムに上
述の塗布用ポリウレタン水分散体をフィルムの両面に塗
布し、次いでフィルムをテンターに導いて、横方向に1
10℃で4.1倍延伸し、引き続き横方向に10%弛緩
しつつ230℃で主熱処理し、さらに同テンター内の2
00℃のゾーンで横方向に1%弛緩して、塗布層の厚さ
0.06μm、フィルムの厚さ5.0μmの二軸配向ポ
リエステルフィルムを得た。
【0054】フィルムの特性および当該フィルムから得
られたコンデンサの特性は下記表1および2に示すとお
りであり、耐電圧特性に優れ、静電容量の変化の少な
い、耐湿熱特性に優れる金属蒸着ポリエステルフィルム
コンデンサが得られた。 比較例1 実施例1において塗布液を塗布しないこと以外は実施例
1と同様にしてポリエステルフィルムを得、同条件で蒸
着フィルムを製造した。得られたフィルムを用いて製造
したコンデンサは、実施例1と比較して、耐湿熱特性に
劣っていた。
【0055】実施例2 実施例1において、製膜時、横延伸後に140℃で熱処
理を行い、別個のテンターに導いて横方向の弛緩率を8
%として235℃で主熱処理し、さらに200℃のゾー
ンで1%横方向に弛緩したこと以外は実施例1と同様に
してポリエステルフィルムを得た。
【0056】実施例3 塗布剤として共重合ポリエステル樹脂を以下のように製
造した。すなわち、テレフタル酸ジメチル30部、イソ
フタル酸ジメチル70部、セバシン酸ジメチル15部、
ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩6
部、エチレングリコール85部を出発原料とし、触媒と
して酢酸マンガン4水塩0.04部を加え、加熱昇温す
るとともにメタノールを留去してしてエステル交換反応
を行った。反応開始から3時間を要して230℃まで昇
温し、実質的にエステル交換反応を終了させた。次い
で、この反応物にリン酸0.01部を添加し、さらに三
酸化アンチモン0.04部を加えて重縮合反応を行い、
4時間後に極限粘度0.50の共重合ポリエステルを得
た。得られた共重合ポリエステル20部をテトラヒドロ
フラン80部に溶解させた液に、高速撹拌下で水180
部を加えた後、加温してテトラヒドロフランを揮散させ
て、共重合ポリエステル水分散体(d)を得た。得られ
た水分散体(d)と実施例1で製造したポリエステルポ
リウレタン分散体(a)とを混合して、固形分として共
重合ポリエステル/芳香族ポリエステルポリウレタンの
重量比が50部/40部となるように混合し、かつ架橋
剤としてトリエチレングリコールジグリシジルエーテル
を10部添加した塗布剤を用いたこと以外は実施例1と
同様にして塗布厚み0.05μm、フィルム厚み6μm
の二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0057】実施例4 実施例1において、ポリエステル中に含有する粒子を平
均粒径1.5μmの不定形シリカ粒子とし、フィルム中
での含有率を0.35重量%としたこと以外は実施例1
と同様にして、塗布厚み0.06μm、フィルム厚み
5.0μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0058】実施例5 実施例1において、フィルムの主熱処理温度を220℃
としたこと以外は実施例1と同様にして塗布厚み0.0
5μm、フィルム厚み6μmの二軸配向フィルムを得
た。 比較例2 実施例4において、主熱処理時に弛緩を行わず、200
℃のゾーンでの弛緩率を3%としたこと以外は実施例1
と同様にして、塗布厚み0.05μm、フィルム厚み6
μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた
フィルムは寸法変化率が本発明の要件を満足しておら
ず、得られたコンデンサの特性は不十分なものであっ
た。
【0059】実施例6 比較例2で得たフィルムを、幅方向には拘束せず、高温
の空気を上下から吹きつけてフィルムを走行させながら
熱処理を行う、いわゆる加熱浮上熱処理を行った。フィ
ルム走行時、長手方向にかかる張力を2kg/cm2
し、処理温度を200℃、処理時間を5秒間、熱処理後
フィルムを70℃以下に冷却してから巻き取った。得ら
れたフィルムを用い、実施例1と同条件で蒸着し、蒸着
フィルムを得た。得られた蒸着フィルムを用いて製造し
たコンデンサは特性は良好であったが、工程が多くなる
ためコスト的に不利であり、また不純物の混入が起こり
やすく、耐電圧特性がやや低下した。
【0060】実施例7 実施例1において、製膜時のフィルムの熱処理温度を2
42℃とし、該温度での弛緩処理を行わず、200℃の
ゾーンで4%の弛緩を行ったこと以外は実施例1と同様
にして塗布厚み0.04μm、フィルム厚み6μmの二
軸配向フィルムを得、同条件で蒸着フィルムを製造し
た。得られた蒸着フィルムは、誘電損失特性が劣るた
め、これを用いて製造したコンデンサは交流耐電圧にや
や劣るものであった。
【0061】比較例3 比較例1で得られたフィルムに、実施例1で用いた塗布
剤と同じ固形分組成の塗布液をオフラインで塗布し、8
0℃および引き続き200℃にて乾燥を行い、塗布厚み
0.7μmのポリエステルフィルムを得た。
【0062】比較例4 実施例1において、塗布液の固形分濃度および塗布条件
を変更して、乾燥後の塗布厚みが平均0.004μmと
なるようにフィルムを作成したが、塗布ヌケが多数発生
し、コンデンサ用として特性向上できるものではなかっ
た。 比較例5 実施例1において、フィルム厚みを0.8μmになるよ
うに製膜条件を調節して製造した。しかしながら、フィ
ルム厚みが薄すぎるため、塗布が均一にならず、フィル
ム破断が頻発して生産性が著しく悪化した。また、得ら
れたフィルムの電気特性、特に誘電損失が大きく、耐電
圧も低くなり、コンデンサ用として使用できるものでは
なかった。
【0063】以上、得られた結果をまとめて下記表1お
よび2に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【発明の効果】本発明の蒸着フィルムは、蒸着金属層と
のフィルムとの密着性に優れ、かつ寸法安定性に優れる
ため、特にコンデンサの誘電体として用いたときに、高
度な電気特性と耐湿熱特性および長期耐熱性を与え、コ
ンデンサの長期信頼性向上に寄与することができ、その
工業的価値は高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01B 3/42 H01B 3/42 E // C08L 67/00 C08L 67/00 C09D 175/04 C09D 175/04 B29K 67:00 B29L 9:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性または水分散性樹脂からなる厚み
    0.005〜0.5μmの塗布層をフィルムの少なくと
    も片面に有する二軸配向ポリエステルフィルムであっ
    て、熱機械試験機で測定したフィルムの幅方向の200
    ℃における寸法変化率が−1.0〜+4.0%の範囲で
    あり、全厚みが1.0〜14μmであることを特徴とす
    るコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 密度が1.4050g/cm3 以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ用二軸配
    向ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 塗布層を形成する樹脂の50重量%以上
    がポリウレタン系樹脂であることを特徴とする請求項1
    または2記載のコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィ
    ルム。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007529804A (ja) * 2004-03-16 2007-10-25 デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ 無線周波数応答タグに使用するためのポリマーフィルム基板

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007529804A (ja) * 2004-03-16 2007-10-25 デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ 無線周波数応答タグに使用するためのポリマーフィルム基板
JP4852034B2 (ja) * 2004-03-16 2012-01-11 デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ 無線周波数応答タグに使用するためのポリマーフィルム基板

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