JPH1034851A - コンデンサ用ポリエステルフィルム - Google Patents

コンデンサ用ポリエステルフィルム

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JPH1034851A
JPH1034851A JP8194954A JP19495496A JPH1034851A JP H1034851 A JPH1034851 A JP H1034851A JP 8194954 A JP8194954 A JP 8194954A JP 19495496 A JP19495496 A JP 19495496A JP H1034851 A JPH1034851 A JP H1034851A
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coating
capacitor
polyester
weight
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JP8194954A
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Yoshiki Sato
嘉記 佐藤
Yoshio Meguro
義男 目黒
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Diafoil Co Ltd
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Diafoil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材フィルムと蒸着金属との間の接着性を改
良することにより、耐電圧、耐湿熱特性を向上し、かつ
優れたコンデンサ製造時の作業性を実現したコンデンサ
誘電体用二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
に、水溶性または水分散性樹脂を主な塗布剤成分とする
塗布液であって、塗布液中の全固形分に対して0.1〜
5重量%のオキサゾリン環成分を含有する塗布液を塗布
して得られる、乾燥厚み0.005〜0.5μmの塗布
層を有することを特徴とするコンデンサ誘電体用二軸配
向ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンデンサ誘電体
用ポリエステルフィルムに関する。詳しくは、本発明
は、基材フィルムと蒸着金属との間の接着性を改良する
ことにより、耐電圧、耐湿熱特性を向上し、かつ優れた
コンデンサ製造時の作業性を実現したコンデンサ誘電体
用二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートに代表され
るポリエステルフィルムは、優れた機械的性質、耐熱
性、電気的性質を有することから、コンデンサの基材フ
ィルムとして多用されている。しかしながら、近年の各
種電子機器等の発達に伴い、ポリエステルフィルムの高
特性化が図られている。その高特性化の要求項目の一つ
として、長期耐湿熱安定性の要求がある。すなわち、金
属蒸着ポリエステルフィルムは、基材フィルムと蒸着金
属との接着性、特に、高温高湿環境下での接着性、いわ
ゆる耐湿熱接着性が悪いという欠点を有している。この
ためコンデンサを高温高湿下に置くと、基材フィルムと
蒸着金属との界面で透湿し、コンデンサの静電容量が経
時的に低下する等の問題があり、長期安定性の点で、か
かる耐湿熱特性改良が求められている。
【0003】特開昭60−115214号公報には、塩
化ビニリデン塗布層を有するフィルムコンデンサが、ま
た、特開昭60−115214号公報には、メラミンお
よび/または尿素樹脂を必須成分として配合した塗布層
を有するフィルムコンデンサが、それぞれ、耐湿熱性に
優れるコンデンサとして開示されている。しかしなが
ら、上記の公報に記載された樹脂組成物を用いても、湿
熱環境下では必ずしも十分にコンデンサの性能が保持さ
れない。
【0004】また、コンデンサ製造時に、塗布工程等、
フィルムが溶剤と接触する工程や、巻回、プレスまたは
積層等機械的に力を受ける工程で前記塗布層がダメージ
を受け、電気特性が低下する問題が発生することがあ
る。すなわち、塗布層が機械的に強度が不足したり、脆
かったり、あるいは耐溶剤性が劣る場合は、優れたコン
デンサ特性が得られなくなってしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】最近の各種電子機器の
発達は顕著であり、コンデンサに求められる高度な電気
特性とその長期信頼性、特にコンデンサ性能の長期耐湿
熱安定性への要求は、さらに増大し、それに伴い誘電体
として用いるフィルムの特性向上への要求も増大してい
る。
【0006】本発明は、それらの要求に応えるべく、基
材フィルムと蒸着金属との間の接着性を改良することに
より、耐電圧、耐湿熱特性を向上し、かつ優れたコンデ
ンサ製造時の作業性を実現したコンデンサ誘電体用二軸
配向ポリエステルフィルムを提供することを課題とする
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意検討した結果、特定の成分を含有する塗布層
を有するポリエステルフィルムによれば、上記課題が容
易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィル
ムの少なくとも片面に、水溶性または水分散性樹脂を主
な塗布剤成分とする塗布液であって、塗布液中の全固形
分に対して0.1〜5重量%のオキサゾリン環成分を含
有する塗布液を塗布して得られる、乾燥厚み0.005
〜0.5μmの塗布層を有することを特徴とするコンデ
ンサ誘電体用二軸配向ポリエステルフィルムに存する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸
成分とアルキレングリコール成分とからなるポリエステ
ルを指し、好ましくはその構成単位の80モル%以上が
エチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレ
ート、その構成単位の80モル%以上がエチレンナフタ
レートであるポリエチレンナフタレート、あるいは、そ
の構成単位の80モル%が1,4−シクロヘキサンジメ
チレンテレフタレートであるポリ−1,4−シクロヘキ
サンジメチレンテレフタレートである。また、上記の構
成成分以外の成分を含有する共重合体であってもよく、
かかる成分として、例えば、ジエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエ
チレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、
1,4ーブタンジオールなどのジオール成分、イソフタ
ル酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸成分、オ
キシ安息香酸およびそのエステル形成性誘導体などのオ
キシモノカルボン酸などを挙げることができる。また、
2種以上のポリエステルを混合したものでもよい。
【0009】本発明のポリエステルフィルムは、フィル
ムの滑り性を改善して取扱い作業性を向上するために、
表面に突起を形成させることが好ましく、そのためにフ
ィルム中に粒子を含有させることが好ましい。かかる粒
子の例として、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シ
リカ、酸化チタン、アルミナ、カオリン、タルク、ゼオ
ライト、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチ
ウム等の無機粒子、シュウ酸カルシウム、架橋高分子粒
子等の有機粒子、および触媒等として含有する金属成分
を析出させた、いわゆる析出粒子が挙げられる。かかる
粒子を、後述するコンデンサの特性を悪化させない範囲
内で含有させる。そのために、粒子の平均粒径は0.0
01〜5μm、さらには0.01〜3μm、特には0.
1〜2μmの範囲が望ましく、フィルム中の粒子含有量
は0.01〜5重量%、さらには0.05〜2重量%、
特には0.1〜1重量%の範囲が望ましい。平均粒径が
0.001μm未満であったり、粒子含有量が0.01
%未満の場合は、フィルムの取扱い性向上の効果が不十
分となる傾向がある。一方、平均粒径が5μmを超えた
り、粒子添加量が5重量%を超える場合は耐電圧特性等
の電気的特性が低下するためことがある。
【0010】また、上記の突起形成剤以外の添加剤とし
て、必要に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋
剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤、光線遮
断剤、紫外線吸収剤などを、コンデンサ特性を悪化させ
ない範囲内で含有していてもよい。本発明のフィルムに
おける塗布層は、固形分が水溶性または水分散性樹脂を
主体とし、かつ特定量のオキサゾリン環成分を含有する
塗布液を塗布することにより得られる。塗布層を構成す
る樹脂としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリ
スチレン系、ポリアクリレート系、ポリカーボネート
系、ポリアリレート系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビ
ニリデン系、ポリビニルブチラール系、ポリビニルアル
コール系、ポリウレタン系などの樹脂およびこれらの樹
脂の共重合体や混合体などを挙げることができる。これ
らの中で最も好ましい塗布剤樹脂はポリウレタン系樹脂
であり、ポリウレタン系樹脂を用いた場合、極めて高度
な接着性と長期耐湿熱安定性を得ることができる。以
下、このポリウレタン系樹脂について詳しく説明する。
【0011】本発明の実施態様の一つであるポリウレタ
ン系樹脂とは、ポリマー主鎖にウレタン結合を有する高
分子化合物を指し、ポリオール、ポリイソシアネート、
鎖延長剤、架橋剤等から構成される。ポリオールの例と
しては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプ
ロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオー
ル、ポリオキシテトラメチレングリコールのようなポリ
エーテル類、ポリエチレンアジペート、ポリエチレン−
ブチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリ
ヘキシレンアジペート、ポリカプロラクトンのようなポ
リエステル類、アクリル系ポリオール、ひまし油などが
挙げられる。
【0012】ポリイソシアネートの例としては、トリレ
ンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5
−ナフタレンジイソシアネートのような芳香族系ジイソ
シアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、4,
4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソ
ホロンジイソシアネートのような脂肪族系ジイソシアネ
ートなどが挙げられる。
【0013】鎖延長剤あるいは架橋剤の例としては、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオ
ール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリ
メチロールプロパン、グリセリン、ヒドラジン、エチレ
ンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4’−ジアミ
ノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキ
シルメタン、水などが挙げられる。
【0014】本発明の塗布層は、上述したイソシアネー
ト成分が芳香族である、芳香族ポリウレタンを含有する
ことが好ましく、同様にイソシアネート成分が脂肪族で
ある脂肪族ポリウレタンを同時に含有することがさらに
好ましい。芳香族ポリウレタンの塗布層中に占める割合
は、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20
〜90重量%、最も好ましくは30〜80重量%の範囲
である。芳香族ポリウレタンの含有量が少ないと所望の
コンデンサ特性が得られないことがある。脂肪族ポリウ
レタンの塗布層中に占める割合は、通常90重量%以
下、好ましくは10〜80重量%、最も好ましくは20
〜70重量%の範囲である。脂肪族ポリウレタンを含有
させることにより、塗布層の耐加水分解性が改良され、
コンデンサの耐湿熱性が向上する。
【0015】また、ポリウレタンの合成時に、芳香族イ
ソシアネートと脂肪族イソシアネートとを併用すること
もできる。すなわち、1分子内に芳香族イソシアネート
と脂肪族イソシアネートの2種類以上のポリイソシアネ
ートを有するポリウレタンも好ましく用いられ得る。本
発明のポリウレタン系塗布剤は、水を媒体とする塗布剤
であるが、本発明の要旨を越えない範囲で、助剤として
有機溶剤を含有していてもよい。水を媒体とするため
に、界面活性剤等によって強制分散化した塗布剤であっ
てもよいが、好ましくはポリエーテル類のような親水性
のノニオン成分や、4級アンモニウム塩のようなカチオ
ン性基を有する自己分散型塗布剤であり、さらに好まし
くはアニオン性基を有する水溶性または水分散性の塗布
剤である。アニオン性基を有する水溶性または水分散性
の塗布剤とは、アニオン性基を有する化合物を共重合や
グラフトなどにより樹脂に結合させたものであり、スル
ホン酸、カルボン酸、リン酸およびそれらの塩等から適
宜選択される。
【0016】樹脂に水溶性を付与するためには、一般的
にはアニオン性基の対イオンはアルカリ金属とするのが
良いが、本発明においてはコンデンサの耐湿熱性を高度
に満足させるため、対イオンとしてアンモニウムイオン
を含むアミン系オニウムイオンから選択するのが好まし
い。アニオン性基を有する水溶性または水分散性の樹脂
のアニオン性基の量は、0.05〜8重量%の範囲が好
ましい。アニオン性基量が0.05重量%未満では、ポ
リエステル系樹脂の水溶性あるいは水分散性が劣ること
があり、アニオン性基量が8重量%を超えると、塗布層
の耐水性が劣ったり、吸湿してフィルムが相互に固着し
たり、耐湿熱接着性を低下させたりすることがある。
【0017】本発明においては、塗布液中にオキサゾリ
ン環成分を含有することを特徴の一つとするものであ
る。そのために塗布液に配合するオキサゾリン化合物
は、架橋剤として作用するオキサゾリン環を構造式中に
含むものを指すが、塗布層を構成する成分との親和性、
造膜性、反応性、基材フィルムや金属蒸着層との接着性
等の点からポリマーの側鎖としてオキサゾリン環を有す
るものが好ましい。かかるポリマーとしては、アクリル
系ポリマーが反応性等の点で特に好ましい。オキサゾリ
ン化合物の分子量は特に限定されないが、通常1000
〜100000の範囲であり、オキサゾリン化合物中の
オキサゾリン環成分の含有量は通常1〜30重量%であ
る。また、オキサゾリン化合物は、水溶性または水分散
性であることが好ましい。
【0018】本発明においては、塗布液中の全固形分に
対するオキサゾリン環成分の含有量を0.1〜5重量%
とする必要がある。オキサゾリン環成分の含有量が0.
1重量%未満では、塗布層の強度や耐溶剤性を向上する
効果が不足する。一方、オキサゾリン環成分の含有量が
5重量%を超えると、塗布層が脆くなって、コンデンサ
製造工程や使用中に塗布層に亀裂が入り、電気的特性が
悪化する等の問題が発生することがあるため好ましくな
い。オキサゾリン環成分の含有量は、好ましくは0.2
〜3重量%、さらに好ましくは0.5〜2重量%の範囲
である。
【0019】本発明のフィルムの塗布層の厚さは、0.
005〜0.5μmの範囲、好ましくは0.01〜0.
2μmの範囲である。塗布層の厚さは、コンデンサ小型
化の要請からも薄くするのが好ましい。また、厚みが
0.5μmを超えると電気的特性、特に誘電損失特性が
悪化することがあるため好ましくない。一方、塗布層の
厚さが0.005μm未満の場合には、均一な塗布層が
得がたいために、製品に塗布むらが生じやすく不適当で
ある。
【0020】本発明で用いられる塗布液には、必要に応
じ塗布層の固着性(ブロッキング性)、耐水性、耐溶剤
性、機械的強度のさらなる改良のために、オキサゾリン
化合物以外の架橋剤としてイソシアネート系化合物、エ
ポキシ系化合物、アミン系化合物、アジリジン化合物、
シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ
−アルミネート系カップリング剤、過酸化物、熱および
光反応性のビニル化合物や感光性樹脂などの一種以上を
併用してもよい。
【0021】また、固着性や滑り性改良のため、塗布液
中に無機系微粒子としてシリカ、シリカゾル、アルミ
ナ、アルミナゾル、ジルコニウムゾル、カオリン、タル
ク、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化チタン、
硫酸バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸
化アンチモンゾルなどを、有機系微粒子としてポリスチ
レン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ
アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、
フッ素樹脂などを含有していてもよい。
【0022】さらに、必要に応じて消泡剤、塗布性改良
剤、増粘剤、帯電防止剤、有機系潤滑剤、有機系高分子
粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料
などを塗布液中に含有していてもよい。上述した塗布液
をポリエステルフィルムに塗布する方法としては原崎勇
次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」
に示されるリバースロールコーターグラビアコーター、
ロッドコーター、エアドクターコーターあるいはこれら
以外の塗布装置を用いて、二軸延伸ポリエステルフィル
ム製造工程外で塗布液を塗布する方法、さらに好ましく
は、フィルム製造工程内で塗布する方法が挙げられる。
フィルム製造工程内で塗布する方法としては、ポリエス
テル未延伸フィルムに塗布液を塗布し、逐次あるいは、
同時に二軸延伸する方法、一軸延伸されたポリエステル
フィルムに塗布し、さらに先の一軸延伸方向と直角の方
向に延伸する方法、あるいは二軸延伸ポリエステルフィ
ルムに塗布し、さらに横および/または縦方向に延伸す
る方法などがある。
【0023】また、上記のように形成された塗布層表面
の中心線平均粗さ(Ra)は好ましくは0.005〜
0.5μmの範囲であり、さらに好ましくは0.01〜
0.3μmの範囲であり、特に好ましくは0.02〜
0.1μmの範囲である。Raが0.005μm未満で
はフィルムの滑り性が不十分となることがある。一方、
Raが0.5μmを超えると表面が粗れすぎて、コンデ
ンサの耐電圧特性や耐湿熱特性が悪化することがある。
【0024】上記したように、フィルムに塗布層を設け
ることにより耐湿熱特性を向上できるが、かかるフィル
ムの収縮特性が特定範囲内である場合、長期耐湿熱安定
性がさらに高度に達成される。すなわち、フィルムの長
手方向の収縮率が以下の式を満足する場合、さらに優れ
た特性を得ることができる。
【0025】
【数1】 −1.0%<S150 <+2.0% ………(1) −1.0%<S180 <+2.5% ………(2) (上記式中、S150 およびS180 は、それぞれ150
℃、180℃におけるフィルムの収縮率を示す。なお、
正の値はフィルムが収縮することを、また負の値はフィ
ルムが伸長することを意味する)
【0026】フィルムの長手方向の収縮率が上記した範
囲より大きい場合は、フィルムの寸法安定性が劣る傾向
があり、コンデンサとしたときの端面電極との接触不良
が起こりやすくなり、電気特性が悪化する傾向がある。
一方、収縮率が負の値を示し、上記した範囲よりも伸長
を示す場合も、コンデンサの電気特性が悪化する傾向が
ある。かかる原因は必ずしも明らかではないが、蒸着時
に受ける熱でフィルムがダメージを受けないようにクー
リングキャンとフィルムとを接触させて走行させるが、
このときフィルムが伸長する特性を有すると、フィルム
とクーリングキャンとの密着が不十分となり、たるみや
シワが発生したりする。これが電気特性悪化の原因にな
ると考えられる。
【0027】上記した特性を高度に満足させるため、S
150 を−0.5〜+1.5%の範囲、S180 を−0.5
〜+2.0%の範囲とすることがさらに好ましい。上述
のフィルムの収縮特性に加え、フィルムの長手方向のヤ
ング率が4.5GPa以上、さらには5.0GPa以上
である場合、さらに高度な耐湿熱性が得られる。すなわ
ち、フィルムに金属蒸着を行う工程では、フィルムを巻
出し、一定の張力をかけて走行させながら蒸着する。し
たがって、かかる張力に対して十分な強度すなわちヤン
グ率を持っていなければ、フィルムは張力に耐えられ
ず、しかも蒸着による熱により大きなダメージを受ける
ことになる。本発明者らの知るところによれば、かかる
ダメージを受けた場合、上記した収縮特性と同様に蒸着
フィルムの均一性が低下する傾向があるため、コンデン
サ製造時の歩留まりが低下したり、得られたコンデンサ
の電気的特性や耐湿熱性が低下してしまう恐れがある。
フィルムの長手方向のヤング率が上記の範囲にあるなら
ば、かかる電気特性や耐湿熱性がさらに高度に満足され
るのである。
【0028】本発明のフィルムの全厚み1.0〜15μ
mであることが好ましい。フィルムの全厚みが1.0μ
m未満では、塗布層の占める割合が高くなるため、コン
デンサの電気的特性が低下することがある。フィルムの
全厚みが15μmを超えると、コンデンサの小型化に支
障を来すようになる。次に、本発明のフィルムの製造法
を具体的に説明する。
【0029】ポリエステル原料を、押出装置に供給し、
ポリエステルの融点以上の温度で溶融押出してスリット
状のダイから溶融シートとして押し出す。次に、溶融シ
ートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度
になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シ
ートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるた
め、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが
好ましく、本発明においては静電印加密着法および/ま
たは液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0030】かくして得られたシートを二軸方向に延伸
してフィルム化するが、その延伸および熱処理条件を適
切な範囲とすることにより、前述の収縮特性を達成させ
ることができる。二軸延伸条件について具体的に述べる
と、前記未延伸シートをまず第一軸方向にその複屈折率
(Δn)が通常0.06以上、好ましくは0.08以上
となるように延伸する。延伸温度範囲は通常70〜15
0℃、延伸倍率は通常2.5〜6倍の範囲とし、温度と
倍率を適宜組み合わせることにより、所望の複屈折率と
なるようにする。延伸は一段階または二段階以上で行う
ことができる。次に第二軸方向、すなわち第一軸方向と
直交する方向に一軸配向フィルムを一旦ガラス転移点以
下に冷却するか、または冷却することなく、例えば80
〜150℃の温度範囲に予熱して、さらにほぼ同温度の
下で通常2.5〜5倍、好ましくは3.0〜4.5倍に
延伸を行い、二軸に配向したフィルムを得る。
【0031】なお、第一軸方向の延伸を2段階以上で行
うことは、良好な厚さ均一性を達成できるので好まし
い。また、横延伸した後、さらに長手方向に再延伸する
方法も可能であるが、いずれにしても長手方向の総合延
伸倍率を3.5倍以上とすることが好適である。かくし
て得られたフィルムを通常、1秒〜5分間、180℃〜
240℃の温度範囲、好ましくは200℃〜240℃の
温度範囲で熱処理する。この際、熱処理工程内または熱
処理後に長手方向または横方向、あるいは両方向に再延
伸を行ってもよい。
【0032】上述した特定範囲の収縮特性を得るため
に、フィルム製造時、熱処理工程で長手方向または横方
向、あるいは両方向に3〜30%、好ましくは5〜20
%の範囲で弛緩処理を行う方法や、フィルムをオフライ
ンで低張力下熱弛緩処理する方法等が好ましく用いられ
る。フィルム製造時の熱処理温度を高くする方法を用い
ても収縮特性は改善されるが、かかる方法を用いると、
ポリエステルフィルムの電気的特性、特に誘電損失特性
が悪化する傾向がある。具体的には熱処理温度が240
℃を超えるとフィルム密度が高くなりすぎて、高度な電
気的特性が得られなくなる傾向がある。一方、熱処理温
度が180℃未満ではフィルムの熱収縮率が大きくなっ
て、コンデンサ製造時に熱を受ける工程で寸法変化を起
こし、コンデンサの生産性を悪化させたり、耐電圧等の
コンデンサ特性が低下する等の問題が生ずる場合があ
る。いずれにしても、本発明においてはフィルムを弛緩
しつつ熱処理することにより、前述の特定の収縮特性を
達成することが好ましい。
【0033】フィルムの電気的特性を悪化させないため
に、本発明においては、フィルム密度を1.3990g
/cm3 未満、さらには1.3980g/cm3 未満と
することが望ましく、かかる特性を満足するため、上記
した熱処理工程の温度を適宜選択する。本発明の塗布層
を設ける方法としては、特に、ロール延伸法により第一
軸方向に延伸された一軸延伸ポリエステルフィルムに塗
布液を塗布し、適当な乾燥を施し、あるいは乾燥を施さ
ず一軸延伸フィルムを直ちに第二軸方向に延伸し、熱処
理を行う方法が好ましい。
【0034】本方法によるならば、延伸と同時に塗布層
の乾燥が可能になるとともに塗布層の厚さを延伸倍率に
応じて薄くすることができ、かつ厚さの均一性が良好と
なり、しかもフィルムと塗布層との密着性も極めて強固
とすることができる。コスト的にも有利で、コンデンサ
誘電体用基材として好適なフィルムを安価に製造でき
る。 本発明における塗布層は、ポリエステルフィルム
の片面だけに設けてもよいが、両面に設けることが好ま
しい。また、片面にのみ塗布した場合、その反対面には
本発明における塗布液以外の塗布層を必要に応じて形成
し、本発明のポリエステルフィルムに他の特性を付与す
ることもできる。
【0035】なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着
性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電
処理を施してもよい。処理効率やコスト、処理の簡便さ
からコロナ放電処理を行うことが特に好ましい。また、
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの塗布層の接着
性、塗布性などを改良するために、塗布層形成後に塗布
層に放電処理を施すこともできる。
【0036】本発明のフィルムを用いてコンデンサを製
造する際、金属蒸着により電極を形成する場合は、蒸着
する金属として、アルミニウム、パラジウム、亜鉛、ニ
ッケル、金、銀、銅、インジウム、錫、クロム、チタン
等が挙げられるが、特に好ましい金属はアルミニウムで
ある。なお、上記の金属には金属の酸化物も含まれる。
【0037】金属蒸着膜の厚さは10〜2000Åの範
囲が好ましく、蒸着の方法は、一般的には真空蒸着法に
よるが、エレクトロプレ−ティング法、スパッタリング
法等の方法によってもよい。なお、金属蒸着層はポリエ
ステルフィルムの両面に設けてもよい。また、金属蒸着
後に蒸着金属層の表面処理や他の樹脂による被覆処理を
行ってもよい。
【0038】このようにして得られた金属蒸着ポリエス
テルフィルムを2枚重ね合わせて巻回(両面金属蒸着ポ
リエステルフィルムと本発明におけるポリエステルフィ
ルムを含む他のフィルムとの巻回も含む)、または多数
枚積層してコンデンサ素子を作り、常法にしたがって、
例えば、熱プレス、テ−ピング、メタリコン、電圧処
理、両端面封止、リード線取り付けなどを行ってコンデ
ンサとすることができるが、もちろんこれらに限定され
るわけではない。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例中の評価方法は下記のとおりである。実施例および比
較例中、「部」とあるのは「重量部」を示す。 (1)ポリマーの極限粘度 [η] (dl/g) ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100mlに溶解し、30
℃で測定した。 (2)粒子の平均粒径(μm) 島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP
3型)で測定した等価球形分布における積算体積分率5
0%の粒径を平均粒径とした。 (3)フィルム厚み(μm) フィルムを約100枚、10cm×10cmの正方形に
切り出し、その重量を測定した。その後、枚数を数え
て、フィルムの密度とフィルム合計面積と重量とからフ
ィルム厚みを算出した。
【0040】
【数2】
【0041】(4)収縮率 幅30mm、長さ50cmに切り出したフィルムを、所
定温度に設定したオーブン中で、無張力下3分間熱処理
した。熱処理前と熱処理後のフィルムの寸法から、15
0℃および180℃の収縮率(%)を算出した。
【0042】
【数3】
【0043】(5)中心線平均粗さ(Ra) (μm) (株)小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用
いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲
線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の
部分を抜きとり、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦
倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表した
とき、次式で与えられた値を〔μm〕で表した。中心線
平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を
求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心
線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は
2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08
mmとした。
【0044】
【数4】
【0045】(6)フィルムの密度(g/cm3 ) n−ヘプタンと四塩化炭素との混合液による密度勾配管
法により測定した。なお、測定温度は25℃で行った。
【0046】(7)ヤング率(GPa) (株)インテスコ製 引張試験機インテスコモデル20
01型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節さ
れた室内において測定した。すなわち、長さ300m
m、幅25mmの試料フィルムを、10%/分の歪み速
度で引張り、引張応力−歪み曲線の初めの直線部分を用
いて次の式によって計算した。
【数5】E=Δσ/Δε (上記式中、Eは引張弾性率、Δσは直線上の2点間の
元の平均断面積による応力差、Δεは同じ2点間のひず
み差である) なお、平均断面積を求める際のフィルムの厚みは前記
(3)項で算出した値を用いた。
【0047】(8)水滴接触角(゜) 温度23℃、湿度50%RH雰囲気下での試料フィルム
と蒸留水との接触角を接触角計(協和界面科学(株)社
製、CA−DT−A型)を用いて測定した。接触角は、
左右2点、試料数3点で計6点測定し、平均値を求め接
触角とした。なお、水滴の直径は2mmとし、滴下後1
分後の数値を読み取った。
【0048】(9)塗布層の耐溶剤性 後述するコンデンサ製造における、アルミニウム蒸着フ
ィルムの表面に、硬化剤として用いる液状のビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂を0.5μmの厚みで塗布した。
塗布、乾燥後のフィルムを100℃で無張力下30分間
処理し、フィルム表面の形状変化を顕微鏡で観察した。
塗布層が侵されたことによる表面形状変化の状況から、
以下のように評価した。 ランクA:表面形状変化はほとんど見られない ランクB:面積として10%以下の部分が形状変化した ランクC:面積として10%を超える部分が形状変化し
【0049】(10)塗布層の耐熱性 後述するコンデンサ製造における、アルミニウム蒸着フ
ィルムを、無張力下、所定温度のオーブン中で10分間
熱処理した。熱処理後のフィルム表面を顕微鏡で観察
し、塗布層表面の形状変化を観察した。
【0050】ランクA:120℃で熱処理しても表面形
状変化はほとんど見られない ランクB:120℃の熱処理で、表面にクラックが入っ
たり、細かい凹凸が発生する ランクC:100℃以下の熱処理で、表面にクラックが
入ったり、細かい凹凸が発生する
【0051】(11)電気的特性評価 (i)耐電圧特性 JIS C−2319に準じて測定を行った。すなわ
ち、10kV直流耐電圧試験機を用い、23℃、50%
RHの雰囲気下にて、100V/秒の昇圧速度で上昇さ
せ、フィルムが破壊し短絡した時の電圧を読み取った。
【0052】(ii)静電容量の変化 (コンデンサの製造)以下のようにしてコンデンサを製
造して評価した。すなわち、フィルム表面に、抵抗加熱
型金属蒸着装置を用い、真空室の圧力を10-4Torr
以下としてアルミニウムを450Åの厚みに蒸着した。
その際、ポリエステルフィルムの長手方向にマージン部
を有するストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅8mm、
マージン部の幅1mmの繰り返し)。得られた蒸着ポリ
エステルフィルムは、左または右に幅0.5mmのマー
ジン部を有する4.5mm幅のテープ状にスリットし
た。得られた、左マージンおよび右マージンの蒸着ポリ
エステルフィルム各1枚づつを併せて巻回し、巻回体を
得た。このとき、幅方向に蒸着部分が、0.5mmづつ
はみ出すように2枚のフィルムをずらして巻回した。こ
の巻回体を温度140℃、圧力50kg/cm2 、で5
分間プレスした。プレス後の巻回体の両端面にメタリコ
ンを溶射後リード線を付した後、液状のビスフェノール
A型エポキシ樹脂による含浸層、および粉末状エポキシ
樹脂を加熱溶融することにより、最低厚さ0.5mmの
外装を形成して、静電容量0.1μFのフィルムコンデ
ンサとした。
【0053】(静電容量変化の測定)得られたコンデン
サの電極間に60V/μmの直流電圧を印加しつつ温度
60℃、湿度95%RHの雰囲気下に1000時間放置
し、初期静電容量を基準値とする静電容量変化率を求め
た。すなわち、1000時間後の静電容量から初期静電
容量を差し引いた値を、初期静電容量で除して百分率で
表記した。
【0054】(iii)交流耐電圧 上記で得られたコンデンサの電極間に1kHzの交流電
圧を印加し、絶縁破壊が起こるまでの時間tを測定し
た。印加電圧Vを変えて同じ測定を行い、Vとtとの関
係をプロットし、t=15時間の時の印加電圧を交流耐
電圧とした。かかる交流耐電圧の100℃での値と25
℃での値を比較して、以下の基準で評価した。 ランクA:100℃でも交流耐電圧の低下は小さく、良
好 ランクB:100℃で交流耐電圧やや低下するが、実用
上問題ない ランクC:100℃での交流耐電圧の低下が大きく、実
用上問題がある
【0055】実施例1 (塗布層用ポリウレタンの合成)テレフタル酸665
部、イソフタル酸635部、1,4−ブタンジオール4
60部、ネオペンチルグリコール470部を出発原料と
してポリエステルポリオールを得、これにアジピン酸3
20部、ジメチロールプロピオン酸270部を加え、カ
ルボキシル基含有ポリエステルポリオールを得た。この
ポリエステルポリオール1900部にトリレンジイソシ
アネート160部を加えて芳香族ポリエステルポリウレ
タン溶液を得た。得られた溶液をアンモニア水溶液中に
投入しながら溶剤を除去し、芳香族ポリエステルポリウ
レタン水分散体(A)を得た。
【0056】(フィルム原料ポリエステルの製造)ジメ
チルテレフタレート100部、エチレングリコール60
部および酢酸カルシウム1水塩0.09部を反応器にと
り、加熱昇温するとともにメタノールを留去してエステ
ル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230
℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。
次いで、粒径1.2μmのシリカ粒子0.3部をエチレ
ングリコールスラリーとして添加した。スラリー添加
後、さらにリン酸0.06部、三酸化アンチモン0.0
4部を加え、徐々に反応系を減圧とし、温度を高めて重
縮合反応を4時間行い、極限粘度0.66のポリエステ
ル(a)を得た。
【0057】(ポリエステルフィルムの製造)ポリエス
テル(a)を常法により乾燥して押出機に供給し、29
0℃で溶融してシート状に押出し、静電印加密着法を用
いて冷却ロール上で急冷し、無定形シートとした。得ら
れたシートを、ロール延伸法を用いて縦方向に80℃で
3.8倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。次いで一軸
延伸フィルムに上述の共重合ポリウレタン水分散体に、
オキサゾリン化合物として日本触媒(株)製エポクロス
K2020Eを塗布成分固形分濃度として10重量%添
加した塗布液をフィルムの両面に塗布し、次いでフィル
ムをテンターに導いて、横方向に110℃で4.1倍延
伸し、横方向に8%弛緩しながら230℃で熱処理を行
い、塗布層の厚さ0.05μm、フィルムの厚さ5.0
μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。なお、こ
の場合の塗布液中固形分に対するオキサゾリン環成分含
有量は1.2重量%であった。フィルムを用いて得られ
た金属蒸着フィルムコンデンサは、下記表1に示すとお
り、耐電圧特性に優れ、静電容量の変化の少ない、耐湿
熱特性に優れる金属蒸着ポリエステルフィルムコンデン
サであった。
【0058】比較例1 実施例1において塗布液を塗布しないこと以外は実施例
1と同様にして厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィ
ルムを得た。得られたフィルムを用いて製造したコンデ
ンサは、実施例1と比較して、耐湿熱特性に劣ってい
た。
【0059】実施例2 実施例1の塗布剤用ポリエステルポリウレタン製造で用
いたトリレンジイソシアネートの代わりに4,4’−ジ
シクロヘキシルメタンジイソシアネートを用いる以外は
実施例1と同様にして脂肪族ポリエステルポリウレタン
水分散体(B)を得た。実施例1における塗布剤を芳香
族ポリエステルポリウレタン(A)と脂肪族ポリエステ
ルポリウレタン(B)との重量比を固形分として55部
/45部とし、かつオキサゾリン化合物として日本触媒
(株)製エポクロスK2030Eを全固形分に対して5
重量%添加した塗布液を用いて塗布処理を施したことお
よび製膜時、熱処理工程での弛緩率を10%としたこと
以外は実施例1と同様にして厚さ5.1μmの二軸配向
ポリエステルフィルムを得た。この場合の塗布液中固形
分に対するオキサゾリン環成分含有量は0.62重量%
であった。
【0060】実施例3 塗布剤として共重合ポリエステル樹脂を以下のように製
造した。すなわち、テレフタル酸ジメチル30部、イソ
フタル酸ジメチル70部、セバシン酸ジメチル15部、
ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩6
部、エチレングリコール80部を出発原料とし、触媒と
して酢酸マンガン4水塩0.04部を加え、加熱昇温す
るとともにメタノールを留去してしてエステル交換反応
を行った。反応開始から3時間を要して230℃まで昇
温し、実質的にエステル交換反応を終了させた。次い
で、この反応物にリン酸0.01部を添加し、さらに三
酸化アンチモン0.04部を加えて重縮合反応を行い、
4時間後に極限粘度0.50の共重合ポリエステルを得
た。得られた共重合ポリエステル20部をテトラヒドロ
フラン80部に溶解させた液に、高速撹拌下で水180
部を加えた後、加温してテトラヒドロフランを揮散させ
て、共重合ポリエステル水分散体(C)を得た。得られ
た水分散体(C)と実施例1で製造したポリエステルポ
リウレタン分散体(A)とを混合して、固形分として共
重合ポリエステル/芳香族ポリエステルポリウレタンの
重量比が30部/70部となるように混合し、かつオキ
サゾリン化合物として日本触媒(株)製エポクロスRS
500を全固形分に対して2.5重量%添加した塗布液
を用いて塗布処理を施したこと以外は実施例2と同様に
して塗布厚み0.05μm、フィルム厚み5.1μmの
二軸配向フィルムを得た。この場合の塗布液中固形分に
対するオキサゾリン環成分含有量は0.62重量%であ
った。
【0061】実施例4 実施例2において、フィルムの熱処理温度を210℃と
し、熱処理時の弛緩処理を行わなかったこと以外は実施
例1と同様にして塗布厚み0.04μm、フィルム厚み
5.1μmの二軸配向フィルムを得た。 比較例2 実施例1において、オキサゾリン化合物の塗布液中全固
形分に対する含有量を0.3重量%としたこと以外は実
施例1と同様にして、塗布厚み0.04μm、フィルム
厚み5.0μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得
た。この場合の塗布液中固形分に対するオキサゾリン環
成分含有量は0.037重量%であった。得られたフィ
ルムを用いて製造したコンデンサは、耐湿熱性、交流耐
電圧にやや劣るものであった。
【0062】比較例3 実施例2においてオキサゾリン化合物を全固形分に対し
て45重量%含有させたこと以外は実施例2と同様にし
て、塗布層厚み0.05μm、フィルム厚み5.1μm
の二軸配向フィルムを得た。この場合の塗布液中固形分
に対するオキサゾリン環成分の含有量は5.6重量%で
あった。得られたフィルムを用いて製造したコンデンサ
は、耐湿熱性、交流耐電圧にやや劣るものであった。
【0063】比較例4 実施例1におけるオキサゾリン化合物の代わりに、架橋
剤としてトリエチレングリコールジグリシジルエーテル
を、全固形分に対して10重量%含有する塗布液を用い
たこと以外は実施例1と同様にして塗布厚み0.05μ
m、フィルム厚み5.0μmの二軸配向フィルムを得
た。
【0064】実施例5 実施例1において、製膜時のフィルムの熱処理温度を2
42℃とし、熱処理時に弛緩処理を行わず、後段の徐冷
却ゾーンで4%の弛緩を行ったこと以外は実施例1と同
様にして塗布厚み0.04μm、フィルム厚み5.0μ
mの二軸配向フィルムを得た。
【0065】実施例6 実施例3で得られた共重合ポリエステル水分散体(C)
に、オキサゾリン化合物としてエポクロスK2020E
を全固形分に対し10重量%添加したこと以外は実施例
3と同様にして、塗布厚み0.05μm、フィルム厚み
5.1μmの二軸配向フィルムを得た。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【発明の効果】本発明のフィルムは、電極金属層との密
着性に優れ、かつ耐熱性、耐溶剤性に優れるため、金属
蒸着フィルムコンデンサの誘電体として用いたときに、
高度な電気特性と耐湿熱特性を与え、コンデンサの長期
信頼性向上に寄与することができ、その工業的価値は高
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01G 4/18 H01G 4/24 321C // B29L 7:00 9:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に、水溶性または水分散性樹脂を主な塗布剤成分とする
    塗布液であって、塗布液中の全固形分に対して0.1〜
    5重量%のオキサゾリン環成分を含有する塗布液を塗布
    して得られる、乾燥厚み0.005〜0.5μmの塗布
    層を有することを特徴とするコンデンサ誘電体用二軸配
    向ポリエステルフィルム。
JP8194954A 1996-07-24 1996-07-24 コンデンサ用ポリエステルフィルム Pending JPH1034851A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20220128756A (ko) * 2021-03-15 2022-09-22 도레이첨단소재 주식회사 광학용 폴리에스테르 필름 및 이를 포함하는 적층필름

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KR20220128756A (ko) * 2021-03-15 2022-09-22 도레이첨단소재 주식회사 광학용 폴리에스테르 필름 및 이를 포함하는 적층필름

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