JPH10311822A - 超音波探傷装置 - Google Patents

超音波探傷装置

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JPH10311822A
JPH10311822A JP9120970A JP12097097A JPH10311822A JP H10311822 A JPH10311822 A JP H10311822A JP 9120970 A JP9120970 A JP 9120970A JP 12097097 A JP12097097 A JP 12097097A JP H10311822 A JPH10311822 A JP H10311822A
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JP
Japan
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signal
ultrasonic
waveform
transducers
random
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JP9120970A
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English (en)
Inventor
Satoshi Nagai
敏 長井
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フェーズドアレイ法を用いた場合でも複数の超
音波ビームを高速に走査でき、開口合成法に基づく画像
化を行っても雑音を軽減して分解能を高める。 【解決手段】超音波探傷装置は、電気信号と超音波信号
とを相互に変換可能な複数の振動子a1…anを有し且
つその各振動子a1…anをアレイ状に配置した探触子
1と、この探触子1から被検査体に向けてランダムバー
スト波の電気信号に対応する超音波信号を各振動子a1
…an毎に発信させる超音波発信手段(発信波形発生回
路10、発信遅延回路11…11、発信器12…12)
と、この超音波信号の内の被検査体から探触子1に反射
してくる反射超音波信号に対応する電気信号を各振動子
a1…an毎に受信する超音波受信手段(受信器12…
12、受信遅延回路21…21、位相加算回路22、A
/D変換器23、演算処理器24)とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、超音波信号を用
いて材料内部の欠陥等の空洞や異物質等を検査する超音
波探傷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、構造部材中の欠陥等の検査法とし
ては、単一の超音波振動子を機械的に走査しながら超音
波信号の送受信を行い、材料内部の欠陥等から反射して
くる超音波信号を検出し、その伝播時間と振動子の位置
に基づいて欠陥の位置や大きさを判定する、いわゆるパ
ルスエコー法が知られている。
【0003】この方法は、比較的単純な原理で装置自体
も比較的簡便であるために構造部材の検査に多用されて
いるが、超音波反射波形を直接観測してその波形変化か
ら欠陥の評価を行うため、高精度な検査を行うためには
高度に熟練した検査員が必要であった。そこで、材料内
部を高精度に画像化して検査する探傷方法として、最近
では、フェーズドアレイ法や開口合成法等が脚光を浴び
ている。
【0004】フェーズドアレイ法は、振動子を多数配列
した探触子を使用し、各振動子から個別に発信される超
音波信号の波面が互いに干渉して新たな合成波面として
伝播していく原理に基づいて各振動子の発信タイミング
を僅かづつずらすように超音波送信を制御することによ
り、超音波信号の合成波面を偏向させたり集束させたり
するものである。また超音波受信の際には、各振動子で
個別に受信された反射超音波信号に対応する電気信号を
振動子毎に僅かづつずらすように位相加算することで発
信時と同様の超音波偏向と集束の効果を得る。
【0005】この方法によれば、探触子を移動すること
なく超音波ビームを高速に走査させたり、探触子を交換
することなく超音波ビームの偏向角度や集束深さ位置を
任意に変更できるため、リアルタイムに被検査体の断面
を画像化して高速かつ高精度な検査を実現できる。
【0006】開口合成法は、被検査体内部に積極的に広
げた超音波ビームを発受信して反射超音波信号を測定す
るが、このときの反射源の位置は振動子位置を中心とし
て反射超音波の伝播距離を半径とした円弧上に存在する
ことから、振動子位置を順次変えて反射超音波信号の測
定を行うことで特定の位置に前述の円弧の交点が集中
し、反射源の位置を特定するもので、実際には超音波振
動子位置情報とその位置の超音波波形信号を用い、電子
計算機上で演算処理して高分解能な画像化を行うもので
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来例のフェーズドアレイ法では、超音波ビームの偏向
角度や集束深さ位置を変えた複数の超音波ビームを切り
替えて探傷する場合、1度に発信可能な超音波ビームは
1つであるため、その超音波の繰り返し発信が可能な周
期の制約から超音波ビームの高速走査に限界があった。
【0008】開口合成法では、高分解能な画像か得られ
る反面、あえて広げた超音波ビームを発信させるために
超音波エネルギーの減衰が大きく、非常に弱い超音波反
射信号を検出しなければならず、雑音の影響を受けやす
いという問題があった。
【0009】この発明は、フェーズドアレイ法を用いた
場合でも複数の超音波ビームを高速に走査できると共
に、開口合成法に基づく画像化を行っても雑音を軽減し
て分解能を高めることを、目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明に係る超音波探傷装置は、電気信号と超音
波信号とを相互に変換可能な複数の振動子を有し且つそ
の各振動子をアレイ状に配置した探触子と、この探触子
から被検査体に向けてランダムバースト波の電気信号に
対応する超音波信号を上記複数の振動子毎に発信させる
超音波発信手段と、この超音波発信手段により発信され
る上記超音波信号の内の上記被検査体から上記探触子に
反射してくる反射超音波信号に対応する電気信号を上記
複数の振動子毎に受信する超音波受信手段とを備えてい
る。
【0011】好ましい超音波探傷装置として、振動子を
多数並設したアレイ型探触子を用いるフェーズドアレイ
方式の構成とし、超音波発信手段により、好ましくは波
形信号発生器が発生するランダム信号で変調させたバー
スト波形信号を用いて複数の振動子毎に所定時間遅延さ
せて励振させることにより、バースト波の超音波信号を
発信する。
【0012】また受信の際には、超音波受信手段によ
り、好ましくは各振動子毎に超音波反射信号を受信して
得られたバースト波形信号を所定時間遅延させて位相加
算し、パルス信号復調器に入力し、ここで超音波発信用
のランダム波形信号と相似な信号が入力されたときに信
号を出力させる。従って、S/N比の良好な超音波伝播
経路に応じたパルス波形信号を得ることができる。
【0013】この発明で好ましい態様として、前記超音
波発信手段は、前記探触子から被検査体に向けて複数の
互いに非相関のランダムバースト波の電気信号に対応す
る複数の超音波信号を前記複数の振動子毎に同時に発信
させる手段であり、前記超音波受信手段は、上記超音波
発信手段により発信される上記複数の超音波信号の内の
上記被検査体から上記探触子に反射してくる複数の反射
超音波信号に対応する電気信号を上記複数の振動子毎に
受信する手段である。
【0014】例えば、超音波発信手段は、M個の互いに
非相関のランダム信号で変調されたバースト波形を発生
させる手段と、この各バースト波形毎に位相遅延を掛け
る発信位相遅延手段と、位相遅延されたランダムバース
ト波形信号を振動子駆動用の波形信号として合成する混
合回路等の手段とをN個の振動子毎に備え、M個のラン
ダムバースト波形信号毎に異なる発信位相遅延制御を行
うことにより同時に複数の超音波ビームを発生させるも
のとする。
【0015】また超音波受信手段は、N個の振動子毎に
M個の受信位相遅延手段、その出力波形を位相加算する
手段、及びその出力波形をランダム信号で復調する手段
を備え、同時に発信した複数の超音波ビーム毎の伝播経
路に対応したM個のパルス波形を分離して検出するもの
とする。
【0016】この発明でより好ましい態様として、前記
超音波発信手段は、前記ランダムバースト波の電気信号
として、バースト波形信号をランダム波形信号で変調さ
せた電気信号を前記複数の振動子毎に予め設定された位
相遅延条件に基づくタイミングで当該複数の振動子に供
給する信号供給手段を備え、前記超音波受信手段は、上
記複数の振動子からの前記反射超音波信号に対応する電
気信号をその位相を上記位相遅延条件に基づいて互いに
揃えて加算し、その加算信号を上記ランダム波形信号で
復調させる信号復調手段を備える。
【0017】信号供給手段として好ましくは、ランダム
信号変調手段を備え、例えば正弦波形発生回路が発生さ
せた振動子の中心周波数と同一のパルス状正弦波形をゲ
ート回路を設けた遅延回路の入力タップに入力し、その
ゲート回路をランダム波形のon/off信号に対応さ
せて設定することにより、正弦波形をランダム信号でo
n/off変調させたバースト波形を遅延回路から出力
させる。
【0018】信号復調手段として好ましくは、パルス信
号復調手段を備え、例えば受信された信号を遅延回路に
入力し、その遅延回路の出力タップに設けたゲートをラ
ンダム波形のon/off信号に対応させて設定し、そ
のゲート出力を加算回路に入力することにより、ランダ
ム信号と相似な波形が入力されたときにのみ当該信号を
加算回路から出力させる。
【0019】ランダム信号変調手段の別の態様として、
正弦波形発生回路が発生させた振動子の中心周波数のパ
ルス状正弦波形を極性切替回路を設けた遅延回路の入力
タップに入力し、極性切替回路をランダム波形の符号に
対応させて設定することにより、正弦波形をランダム信
号の符号で変調されたバースト波形を遅延回路から出力
させる。
【0020】パルス信号復調手段の別の態様として、超
音波受信信号を遅延回路に入力し、その遅延回路の出力
タップに設けた極性切替回路をランダム波形の符号に対
応させて設定し、その各極性切替回路の出力を加算回路
に入力することにより、ランダム波形信号と相似な波形
が入力されたときにのみに当該信号を出力させる。
【0021】前記信号供給手段として好ましくは、前記
バースト波形信号として前記振動子の中心周波数と同一
の周波数成分を有する正弦波信号を生成する信号生成部
と、この信号生成部が生成した正弦波信号を前記ランダ
ム波形信号で変調させる信号変調部と、この信号変調部
による変調信号に対して上記複数の振動子毎に予め設定
された発信位相遅延条件で遅延を掛ける信号遅延部と、
この信号遅延部による遅延信号を用いて当該複数の振動
子を励振させる発信器とを備える。
【0022】前記信号供給手段として好ましくは、前記
位相遅延条件に基づいて予めパターン化されたランダム
バースト波に関するデータを記憶するメモリと、このメ
モリのデータを用いて前記複数の振動子を励振させる発
信器とを備える。
【0023】この場合に好ましい態様としては、N個の
振動子毎に所定の位相遅延させた複数のランダムバース
ト波形信号を加算合成した振動子駆動波形に関するデー
タを記憶する送信波形用の高速メモリと、D/A変換器
と、超音波発信の際にメモリのデータを読み出し、D/
A変換器により振動子駆動波形を出力させる手段とを備
える。この場合には、超音波発信用の位相遅延回路およ
びランダムバースト変調回路を不要にし、かつ複数の超
音波ビームを同時に発信できる。
【0024】また信号復調手段として好ましくは、N個
の振動子に1対1で対応させた高速A/D変換器と、受
信波形用メモリと、振動子で受信された複数の超音波ビ
ームによる受信波形を高速にA/D変換されメモリに記
憶し、その後、複数のランダムバースト波形毎に所定の
位相遅延量に基づいてメモリの読み出し開始位置を設定
し、N個の受信波形の記憶長さ分を順次読み出しつつ加
算を行い、ランダムバースト波形信号とで相互相関演算
処理を行う手段とを備える。この場合には、受信位相遅
延回路およびパルス信号復調回路を不要にし、かつ複数
の超音波ビーム発信に基づく伝播経路に対応したM個の
パルス波形信号を取得できる。
【0025】この発明で好ましくは、前記位相遅延条件
は、前記複数の超音波信号を互いに異なる深さ位置で集
束させるための条件とする。
【0026】この場合に好ましい側面として、超音波発
信手段により、複数のランダムバースト波形信号毎に集
束深さ位置を変えた発信位相遅延量を設定して合成させ
た波形信号を用いて各振動子を励振し、複数の集束超音
波ビームを同時に発信させる。
【0027】また反射超音波信号の受信の際には、超音
波受信手段により、ランダムバースト波形信号毎に集束
深さを変えた受信位相遅延量を設定し、各振動子からの
信号波形を位相加算し、ランダム波形信号に基づて復調
して複数の集束超音波ビームによるパルス波形を得る。
このパルス波形を各集束深さ領域で選択して合成した波
形信号を用いて画像化するため、超音波集束深さ位置の
設定を切り替えて探傷する必要がなく、操作性が大幅に
向上するようになる。
【0028】この発明で好ましくは、前記位相遅延条件
は、前記複数の超音波信号を互いに異なるビーム方向に
沿ってオーバラップさせながら発信させるための条件と
する。
【0029】この場合に好ましい側面として、超音波発
信手段により、複数のランダムバースト波形信号毎にビ
ーム方向を変えた発信位相遅延量を設定して互いに合成
させた波形信号を用いて各振動子を励振し、複数の方向
の超音波ビームを互いにオーバラップするように同時に
発信させる。
【0030】また反射超音波信号の受信の際には、超音
波受信手段により、ランダムバースト波形信号毎に位相
遅延量を設定せずに、各振動子からの信号波形をランダ
ム波形信号に基づいて復調することにより、複数の方向
の超音波伝播経路に対応するパルス波形の全てをメモリ
に格納する。この一連の動作を振動子位置を順次切り替
えながら実行し、受信パルス波形に対応する振動子位
置、発信超音波ビーム位置、得られた受信パルス波形の
伝播時間を用いた開口合成信号処理法に基づく画像処理
(演算処理および画像表示)を行う。その結果、発信超
音波エネルギーの減衰を軽減しかつ高分解能な画像を取
得できる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る超音波探傷
装置の具体的な実施形態を図面を参照して説明する。
【0032】(第1実施形態)図1に示す超音波探傷装
置はフェーズドアレイ法を適用したもので、電気信号と
超音波信号とを相互に変換可能な複数(n個)の超音波
振動子a1…anをアレイ状に並設したアレイ探触子1
と、この探触子1に接続される振動子選択用の切替回路
2と、この切替回路2を介して探触子1をその振動子a
1…an毎に選択可能に駆動させる、この発明の超音波
発信手段を成す送信部3と、各振動子a1…anの反射
超音波信号を切替回路2を介して選択可能に入力する、
この発明の超音波受信手段を成す受信部4と、この受信
部4の出力側に設けた表示器5と、このような切替回路
2、送信部3、受信部4、および表示器5に対する各種
の設定や動作等のタイミングを制御する電子計算機等の
タイミングコントローラ6とを備えている。
【0033】この内、送信部3は、超音波発信波形を生
成する信号発生器10を備え、この発生器10の出力側
に複数個(振動子数に対応した個数(n個))の発信遅
延用の発信遅延回路11…11、および振動子励振用の
パルス信号を生成する複数個の発信器(例えば電力増幅
器)12…12を順次接続させた構成となっている。
【0034】信号発生器10は、例えば発信波形の周波
数、振幅、および持続時間などを任意に設定可能な任意
信号発生器で構成され、ランダムバースト波形信号を生
成し、これを複数の発信遅延回路11…11に個別に出
力する。
【0035】発信遅延回路11…11の各々は、各振動
子a1…an毎に予め設定された位相遅延量に応じて信
号発生器10からの波形信号に遅延を掛け、これを対応
する発信器12に供給する。
【0036】発信器12…12の各々は、例えば電力増
幅器で構成され、発生器からの波形信号に応じた励振用
の駆動信号を生成し、これを切替回路2を介して対応す
る振動子a1…anに供給することにより、各振動子a
1…anを僅かづつ異なるタイミングで励振させ、そこ
からフェーズドアレイ法に基づく超音波ビームを合成、
発信させる。
【0037】受信部4は、各振動子a1…anの出力側
に切替回路2を介して複数個の受信器20…20、受信
遅延用の受信遅延回路21…21、その出力信号中の同
相の信号を強調する位相加算回路22、高速A/D変換
器23、および演算処理器24を順次接続させた構成と
なっている。
【0038】この内、受信器20…20の各々は、例え
ば信号増幅器で構成され、各振動子a1…anから切替
回路2を介して受信された微小な反射超音波信号に対応
する電気信号を予め設定された信号レベルとなる状態に
増幅し、この増幅信号を各受信遅延回路21…21に供
給する。この各遅延回路21…21からの遅延信号は位
相加算回路22で位相加算され、それがA/D変換器2
3を介してデジタル信号として演算処理器24に供給さ
れる。
【0039】演算処理器24は、例えばデジタル演算プ
ロセッサ(DSP)等で構成され、A/D変換器23か
らのデジタル信号波形と超音波発信波形との間で相互相
関関数を求める演算処理(後述)を行い、その相関出力
波形に基づいて超音波の伝播時間とその強度を求める。
そこで、この演算値に基づく画像が表示器5の画面上に
表示され、被検査体の探傷試験に供せられる。
【0040】次に、この実施形態の動作を図2に基づい
て説明する。
【0041】まず、超音波探傷装置の起動に際し、タイ
ミングコントローラ6の制御の元で信号発生器10にて
ランダムバースト波形となる状態の電気信号が生成され
る。この信号波形として、図2に示すように擬似ランダ
ム波形であるM系列信号波形M(t)で超音波振動子の
中心周波数と同一周波数の単一の正弦波信号を変調させ
たランダム信号波形X(t)を採用する。この理由は、
ホワイトノイズ等の平坦な周波数スペクトル特性をもつ
最適な波形を使用するよりも波形制御の容易性の観点を
重視したためである。
【0042】このようなランダム信号波形X(t)は、
各発信遅延回路11…11および発信器12…12を介
して図2に示すように発信信号波形X1(t)、X2
(t)、…、Xn(t)として、予め設定された発信タ
イミングで各振動子a1…anに供給される。そこで、
各振動子a1…anでランダムバースト波形の超音波信
号が励振され、その波面が同心円状に広がりながら互い
に干渉して合成されたフェーズドアレイ法に基づく波面
として被検査体に伝播していく。
【0043】次いで、超音波受信の際には、例えば図2
に示すように各振動子a1…anにてランダムバースト
波形の反射超音波信号に対応する受信信号波形Y1
(t)、Y2(t)、…、Yn(t)が互いに異なる時
刻で受信される。この各受信波形は、切替回路2を介し
て各受信遅延回路21…21にて送信時と同じ位相遅延
量で遅延を掛けられ、これらが位相加算回路22にて発
信時とは逆に受信時刻を揃えるように加算され、同位相
の信号成分のみを強調させた加算信号波形Y(t)とし
てA/D変換器23にてデジタル波形信号に変換され
る。
【0044】この加算信号波形Y(t)は、上述の発信
信号波形X1(t)…Xn(t)が反射源に応じて多数
重畳した情報を含む波形であるため、演算処理器24に
て発信信号波形X1(t)…Xn(t)との間の相互相
関関数、即ち
【数1】
【0045】の演算式に基づく相関出力のパルス信号
(演算信号)波形Rxy(τ)を求めることにより、超
音波の伝播距離及びその強度に関する情報が得られる。
【0046】このような一連の動作を切替回路2にて各
振動子a1…anを順次切り替えながら繰り返すことに
より、超音波ビームがその発信/受信位置を変えながら
高速に走査される。その結果、上述の如く得られたパル
ス波形Rxy(τ)に基づいて超音波画像が構築され、
表示器5の画面上に表示される。
【0047】従って、この実施形態によれば、ランダム
バースト波形を用いてフェーズドアレイ方式の超音波信
号を送受信させる構成としたため、超音波信号に電気的
な雑音が重畳するような環境下でも、発信波形であるラ
ンダム波形は自己の波形のみに相関性が強く、即ち雑音
信号との間の相関性が弱いものであるため、受信される
反射超音波信号が微弱であってもS/N比(signal-to-
noise ratio)の高いパルス信号波形を取得でき、画像
精度を大幅に高めることができる。
【0048】また、超音波発信波形はその超音波エネル
ギーが時間軸上に分散しているバースト波であるため、
従来のインパルス方式に比べて超音波振動子の駆動電圧
を低くし、超音波発信器を低電圧化できる利点もある。
【0049】また、発信/受信の各遅延回路に設定する
位相遅延量を適宜に制御すれば、超音波ビームをその偏
向角度を繰り返し変更しながら送受信させて画像化する
ことも可能である。
【0050】なお、応用例として、この実施形態に係る
超音波探傷装置を複数台用意し、これらと電子計算機と
の間を通信回線を介して接続し、超音波探傷装置のそれ
ぞれの信号発生器で設定すべきランダム波形信号として
互いに非相関の独立した波形信号を用いる複合システム
であってもよい。この場合には、複数の超音波探傷装置
を同時に並列運転させても互いに干渉せずにより広範囲
の検査領域を高速に探傷できるといった利点もある。
【0051】(第2実施形態)図3に示す超音波探傷装
置は、上記構成の内の送信部および受信部を一部変更
し、複数のランダムバースト波形の超音波信号を同時に
スキャンさせるものである。その他は上記構成と実質的
に同様である。
【0052】送信部3aは、互いに非相関で自己の波形
のみに相関性が強い独立したm種類(mは2以上)のラ
ンダムバースト波形を個別に発生するm個の信号発生器
(任意波形発生器)10m1…10mm、その出力側にm個
の発信遅延回路11m1…11mm、及びその各出力を1つ
に合成して発信器12に送る加算回路等の波形合成器1
3を備えている。
【0053】受信部4aは、n個の受信器20…20の
各出力側のそれぞれにm個の受信遅延回路21m1…21
mmを備え、その各出力をm種類のバースト波形毎に個別
に加算するm個の位相加算器22m1…22mm、A/D変
換器23m1…23mm、および演算処理器24m1…24mm
を順次接続させた構成となっている。
【0054】ここで、この実施形態の動作を図4に基づ
いて説明する。
【0055】まず、超音波探傷装置の起動に際し、図4
に示すように各信号発生器10m1…10mmにて互いに非
相関の独立したm種類のM系列信号Mm1(t)…Mm
m(t)で単一正弦波を変調させたm種類のランダム波
形信号Xm1(t)、Xm2(t)、…、Xmm(t)
が個別に生成される。
【0056】この各波形信号Xm1(t)…Xmm
(t)は、発信器12…12毎に設けたm個の発信遅延
回路11m1…11mmにて波形毎に予め設定された位相遅
延量で遅延が掛けられ、これらの各遅延波形が波形合成
器13にて加算合成される。そこで、この合成信号波形
X1(t)、X2(t)、…、Xn(t)に基づいて発
信器12…12が切替回路2を介して各振動子a1…a
nを駆動させることにより、m種類のランダムバースト
波の超音波信号がフェーズドアレイ法に基づいて同時に
発信される。
【0057】次いで、この反射超音波信号は、図4に示
すようにm種類のランダム波形信号が互いに重畳した受
信信号波形Y1(t)、Y2(t)、…、Yn(t)と
して各振動子a1…anで互いに異なった時刻に受信さ
れる。この各信号波形Y1(t)…Yn(t)は、切替
回路2を介して各受信器20…20毎にm個の受信遅延
回路21m1…21mmに供給され、ここで予め設定された
送信時と同様のm種類の位相遅延量に応じて、即ち発信
時とは逆に受信時刻を揃えるように位相が遅延制御さ
れ、この位相遅延制御毎に位相加算器22m1…22mm
供給される。
【0058】そこで、図4に示すように、位相加算器2
m1…22mmにて同位相の信号のみが強調された加算信
号波形Ym1(t)…Ymm(t)が得られる。この各
信号波形Ym1(t)…Ymm(t)は、上述の複数の
発信信号波形Xm1(t)…Xmm(t)が反射源に応
じて重畳したものであるため、これらを各A/D変換器
23m1…23mmにてデジタル信号に変換し、メモリに格
納した後に演算処理器24m1…24mmにて発信信号波形
Xm1(t)…Xmm(t)との間の相互相関関数を、
【数2】
【0059】の各式に基づいて演算すれば、m種類の超
音波ビームの伝播時間とその強度に対応する相関出力波
形、即ち受信パルス信号波形Rx1y2(τ)…R
xmym(τ)のそれぞれを分離して検出することができ
る。
【0060】このような一連の動作を切替回路2にて各
振動子a1…anを順次切り替えながら繰り返すことに
より、超音波ビームの発信/受信位置を変えて高速に走
査でき、複数の受信パルス波形が同時に得られるため、
これらの信号を用いることにより表示器5で高速かつ高
精度に画像化できる。
【0061】従って、この実施形態によれば、上記と同
様の効果に加え、従来の超音波探傷装置では殆ど不可能
とされていた複数の超音波ビームの同時発信/受信が可
能になるといった有利な利点がある。
【0062】(第3実施形態)この実施形態は、上記構
成の内の送信部および受信部をより具体化させたもので
ある。他の構成要素については上記と同様であるため、
その説明を省略する。
【0063】図5に示す送信部3bは、その発信波形発
生回路の具体例として、任意波数の正弦波を発信する発
信回路14と、その出力を複数のアナログスイッチ15
…15を介して受ける中間タップ付きの遅延回路16と
を備えた構成で、発信回路14からの正弦波を各アナロ
グスイッチ15…15を介して遅延回路16の遅延時間
の異なる各中間タップに分配して入力し、その内の遅延
時間の最も短く設定された中間タップから順にその入力
波形信号を出力する。
【0064】ここで、発信回路15の発信時間と遅延回
路16の中間タップ間の信号遅延時間とを同一に設定す
れば、アナログスイッチ15のオン/オフ状態を反映さ
せた波形信号が得られる。従って、アナログスイッチ1
5のオン/オフ状態を上記のM系列信号の符号に対応さ
せるように制御すれば、遅延回路16の出力に正弦波を
M系列信号の符号で変調したランダム波形信号が得られ
る。
【0065】図6に示す受信部4bは、上述の位相加算
回路、A/D変換器、および演算処理器に代わる構成と
して、受信信号波形を受ける中間タップ付きの遅延回路
25と、その遅延出力を複数のアナログスイッチ26…
26を介して受ける加算回路27とを備えている。
【0066】ここで、受信信号波形の先頭部が遅延回路
25の遅延時間の最も大きく設定された中間タップの出
力に現れる時刻では、その遅延時間よりも短い中間タッ
プからその受信信号波形の先頭部よりも時系列的に後の
信号が順番に既に出力済みであるため、加算回路27の
出力は受信波形を時間軸上に積分した信号となる。従っ
て、遅延回路25の中間タップに設けたアナログスイッ
チのオン/オフ状態を上記発信用のM系列信号の符号に
対応させるように制御すれば、受信信号波形から超音波
ビームの伝搬経路に沿ったパルス波形信号を復調でき
る。
【0067】従って、この実施形態によれば、ランダム
波形信号の変調手段およびパルス波形信号への復調手段
をアナログ回路で構成したため、上記効果に加え、超音
波のリアルタイム発受信が可能となる利点がある。ま
た、パルス波形信号への復調時に微少な信号から大きな
信号まで広いダイナミックレンジで処理できるため、デ
ジタル信号処理の場合のオーバーフローやアンダーフロ
ー等の影響を殆ど受けずにより高精度に計測できる利点
もある。
【0068】なお、その他として、図7及び図8に示す
構成であってもよい。
【0069】図7に示す送信部3cは、その発信波形発
生回路として、任意波数の正弦波を発信する発信回路1
4と、その出力を複数の双極型アナログスイッチ15a
…15aを介して受ける中間タップ付きの遅延回路16
とを備えている。双極型アナログスイッチ15aの2つ
の入力端子の一方と発信回路14との間には反転アンプ
17が接続され、この反転アンプ17の入力と出力のい
ずれか一方が双極型アナログスイッチ15aにより切替
可能に選択される。
【0070】そこで、発信回路14の発信時間と遅延回
路16の中間タップ間の信号遅延時間とを同一に設定
し、発信回路14からの波形信号の位相を反転アンプ1
7および双極型アナログスイッチ15aを用いて180
度変えることにより、双極型アナログスイッチ15aの
選択状態を反映させた波形信号が得られる。即ち、双極
型アナログスイッチ15aの選択状態を上記M系列信号
の符号に対応させるように制御すれば、上記と同様に正
弦波信号をM系列信号の符号で変調したランダム波形信
号を遅延回路16から出力できる。
【0071】図8に示す受信部4cは、中間タップ付き
遅延回路25と、その中間タップから遅延された信号を
複数の双極型アナログスイッチ26a…26aを介して
受ける2組の第1加算回路28a、28bと、その一方
の第1加算回路28aの出力を反転アンプ29を介して
受けると共に、他方の第1加算回路28bの出力を受け
る第2加算回路30とを備えている。
【0072】従って、遅延回路25の中間タップに設け
たアナログスイッチ26a…26aの選択状態を上述の
発信用M系列信号の符号に対応させるように制御すれ
ば、上記と同様にランダム波形信号をパルス波形信号に
復調できる。
【0073】(第4実施形態)図9に示す超音波探傷装
置は、上記装置の内の送信部及び受信部の回路構成の一
部をアナログ回路からデジタル回路に変更したものであ
る。その他の構成要素については上記と実質的に同様で
あるために、その説明を省略する。
【0074】送信部3dは、上記の発信波形回路および
発信遅延回路に代えて、予めM系列信号で変調したラン
ダム波形を所望の発信遅延時間分ずらした遅延波形パタ
ーンを格納する複数の発信波形メモリ40…40と、そ
の各メモリ40…40のランダム波形を読み出してアナ
ログ信号に変換し、これを各発信器12…12に供給す
る複数の高速D/A変換器41…41とを備えている。
【0075】各発信波形メモリ40…40内に格納すべ
きランダム波形パターンは、上記と同様の複数超音波ビ
ームの同時発信を可能とするため、m種類の位相遅延制
御条件毎にM系列信号で変調したランダム波形を遅延制
御条件毎にずらして合成させたものである。
【0076】受信部4dは、上記の受信遅延回路、位相
加算回路、A/D変換器に代えて、各振動子a1…an
の受信信号波形を切替回路2および各受信器20…20
を介して受ける複数の高速A/D変換器42…42と、
そのデジタル信号を受ける複数の受信波形用メモリ43
…43と、その出力側に演算処理器24を介して接続さ
れる画像メモリ44とを備えている。
【0077】この受信部4dによれば、各受信波形用メ
モリ43…43からm種類の位相遅延制御条件毎に予め
設定された所定の読み込み開始アドレスでn個の波形デ
ータを読み出して加算することにより、演算処理器24
にて上記と同様の複数の超音波伝播経路に沿ったパルス
信号波形データを演算し、画像メモリ44にて超音波信
号の発信/受信位置情報とその各位置での受信パルスの
波形データに基づいて表示器5上の画面に表示すべき超
音波画像を構築する。
【0078】従って、この実施形態によれば、上記と同
様のランダム波形の超音波信号を用いた場合の効果に加
え、超音波発信側に複数のランダム波形生成とその発信
位相遅延制御とを兼ね備えたデジタル回路構成(高速D
/A及びメモリ)を構築したため、発信遅延回路が不要
になるとともに発信器と1対1で対応させて備えること
ができ、超音波発信手段をより簡素化できる利点があ
る。
【0079】また、複数の受信タイミングが互いに異な
るランダム波形の重畳信号に関して、ランダム波形毎の
受信位相遅延加算制御とそのパルス信号復調とを兼ね備
えて行うデジタル回路構成を超音波受信側に構築したた
め、受信遅延回路および位相加算回路が不要となって超
音波受信手段をより簡素化できる利点もある。
【0080】また、この実施形態によれば、動作振動子
に1対1で対応させた発信波形メモリ及び受信波形メモ
リを備えたため、位相遅延制御毎および振動子毎に重み
付けが必要な超音波発信/受信に関する構成をより簡素
に構築でき、より高精度な超音波探傷を実施できる利点
もある。
【0081】なお、その他として以下の変形/応用例も
可能である。
【0082】1):発信/受信の各波形メモリに格納す
べき発信/受信遅延制御用の波形パターンとして、偏向
角度が互いに異なる複数の超音波ビーム用の波形パター
ンを使用すれば、発信遅延制御の切り替えを必要とせず
に複数の偏向角度をもつ超音波ビームの同時発受信が可
能となる。
【0083】2):発信/受信の各波形メモリに格納す
べき発信/受信遅延制御用の波形パターンとして、集束
深さ位置が互いに異なる複数の超音波ビーム用の波形パ
ターンを使用すれば、複数の集束深さ位置をもつ超音波
ビームの同時発受信が可能となる。この場合には、各集
束領域からの受信波形を選択、合成することにより、深
さ方向に軸集束させた高精度な超音波ビームと等価な信
号を得ることができる。また、集束深さ位置に応じて動
作振動子の個数を変えるように発信/受信波形パターン
の重み付け状態を制御すれば、画像精度をより一層高め
ることができる。例えば、集束深さが浅い位置の場合に
振動指数を小さくし、集束深さが深い場合に振動指数を
多くするように対応振動子毎の発信/受信波形パターン
の重み付けを調整すればよい。
【0084】(第5実施形態)図10に示す超音波探傷
装置は、上記第4実施形態と同様の装置構成の内の受信
部の一部をデジタル回路からアナログ回路に変更したも
のである。即ち、受信部4eは、各受信器20…20の
出力側にm個の受信遅延回路21m1…21mmおよび位相
加算回路22m1…22mmのほか、m種類のランダム波形
毎に位相制御条件が設定されたパルス信号復調回路45
m1…45mmを備え、同時発信された複数の超音波ビーム
毎の伝播経路に沿ったパルス信号波形を取得する。
【0085】この実施形態によれば、複数のランダム波
形生成とその発信位相遅延制御とを同時に兼ね備えたデ
ジタル回路構成(高速D/A変換器及びメモリ)で送信
部を構築したため、発信遅延回路を不要にして簡素化で
きると共に、受信部については複数の超音波信号をアナ
ログ信号のままで位相加算及びパルス復調を行う回路構
成としたため、デジタル信号処理の場合と比べてよりリ
アルタイムに画像化できる利点がある。
【0086】(第6実施形態)図11に示す超音波探傷
装置は、上記第4実施形態と同様の装置構成の内の受信
部の一部を変更したものである。即ち、受信部4fは、
各受信器20…20の出力側にA/D変換器42…42
および受信波形メモリ43…43のほか、その出力側に
第1演算処理器24a、バッファメモリ46、第2演算
処理器47、及び画像メモリ44を備えている。
【0087】第1演算処理器24aは、DSP等で構成
され、受信波形用メモリからの受信デジタル信号波形と
発信に用いた発信波形との間で上記と同様の相互相関演
算処理を行い、この演算結果に相当する相関出力波形、
即ち超音波伝播時間とその強度を反映したパルス信号波
形をバッファメモリ46に転送する。ここで、複数の超
音波ビーム同士が若干重なる状態の偏向角度に設定して
同時に超音波発受信を行い、得られた複数方向からの信
号波形を加算合成してバッファメモリ46に格納させ
る。
【0088】第2演算処理器47は、DSP等で構成さ
れ、バッファメモリ46内に格納されたパルス信号波形
のほか、その発信/受信位置や偏向角度等の情報を参照
して開口合成法に基づく演算処理を行う。
【0089】ここで、パルス信号波形は超音波伝播経路
に対応しているため、超音波発信からの遅れ時間を音速
で換算して伝播距離とすることができるので、超音波発
受信位置を中心として伝播距離を半径とした円弧上にそ
の反射源があるから、超音波発受信位置を変えて得た同
様の円弧は前述の円弧と交差するからこの交点を反射源
位置とすることができる。そこで、切替回路2により振
動子a1…anを順次切り替える上記と同様の一連の動
作を実行させれば、多数の超音波発受信位置での受信信
号波形全体の振幅情報が得られ、これに基づく超音波反
射源を反映した画像を画像メモリ44上で再構成させる
ことができる。
【0090】従って、この実施形態によれば、フェーズ
ドアレイ方式の超音波発受信の位相遅延制御と、複数の
ランダム波形信号による複数超音波ビームの同時発受信
とを同時に実施し、開口合成処理に基づく超音波画像化
手段も備えたため、超音波発信時には複数の超音波ビー
ムを若干重なる偏向角度で超音波ビームを同時に発信
し、その超音波エネルギー減衰を大幅に軽減して広い角
度範囲に超音波信号を照射できるといった利点がある。
【0091】この実施形態によれば、超音波受信時には
複数の超音波ビームの反射エコー信号のそれぞれを分離
して各伝播経路に応じたパルス信号波形が得られるた
め、超音波受信強度をより一層改善できる利点もある。
また複数の超音波ビーム毎のパルス信号波形を加算合成
してあるため、小さな超音波振動子の広い指向角と等価
な受信音場が得られ、開口合成処理による画像精度が向
上する利点もある。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、特に複数の超音波ビームを同時に発信し、その各ビ
ーム毎に反射超音波信号を分離して検出可能な構成を構
築したため、フェーズドアレイ法を用いた場合でも複数
の超音波ビームを高速に走査できると共に、開口合成法
に基づく画像化を行っても超音波ビームの広がりを比較
的狭く抑えて合成できるために超音波エネルギー減衰を
大幅に軽減し、画像のS/N比が各段に向上するように
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の超音波探傷装置の全体構成を示
すブロック構成図。
【図2】全体動作を説明する各部の信号波形の概略タイ
ミングチャート。
【図3】第2実施形態の超音波探傷装置の全体構成を示
す概略ブロック図。
【図4】全体動作を説明する各部の信号波形の概略タイ
ミングチャート。
【図5】第3実施形態の送信部の要部構成を示す概略ブ
ロック図。
【図6】第3実施形態の受信部の要部構成を示す概略ブ
ロック図。
【図7】他の送信部の要部構成を示す概略ブロック図。
【図8】他の受信部の要部構成を示す概略ブロック図。
【図9】第4実施形態の超音波探傷装置の全体構成を示
す概略ブロック図。
【図10】第5実施形態の超音波探傷装置の全体構成を
示す概略ブロック図。
【図11】第6実施形態の超音波探傷装置の全体構成を
示す概略ブロック図。
【符号の説明】
a1…an 超音波振動子 1 アレイ探触子 2 振動子切替回路 3、3a、3b、3c、3d 送信部 4、4a、4b、4c、4d、4e、4f 受信部 5 表示器 6 タイミングコントーラ 10、10m1…10mm 発信波形発生回路 11、11m1…11mm 発信遅延回路 12…12 発信器 13 発信波形合成回路 14 発信回路 15 アナログスイッチ 15a 双極型アナログスイッチ 16 遅延回路 17 反転アンプ 20…20 受信器 21、21m1…21mm 受信遅延回路 22、22m1…22mm 位相加算回路 23、23m1…23mm A/D変換器 24、24m1…24mm 演算処理器 24a 第1演算処理器 25 発信回路 26 アナログスイッチ 26a 双極型アナログスイッチ 28a、28b 第1加算回路 29 反転アンプ 30 第2加算回路 40 発信波形メモリ 41 D/A変換器 42 A/D変換器 43 受信波形メモリ 44 画像メモリ 45m1…45mm パルス信号復調回路 46 バッファメモリ 47 第2演算処理器

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気信号と超音波信号とを相互に変換可
    能な複数の振動子を有し且つその各振動子をアレイ状に
    配置した探触子と、この探触子から被検査体に向けてラ
    ンダムバースト波の電気信号に対応する超音波信号を上
    記複数の振動子毎に発信させる超音波発信手段と、この
    超音波発信手段により発信される上記超音波信号の内の
    上記被検査体から上記探触子に反射してくる反射超音波
    信号に対応する電気信号を上記複数の振動子毎に受信す
    る超音波受信手段とを備えたことを特徴とする超音波探
    傷装置。
  2. 【請求項2】 前記超音波発信手段は、前記探触子から
    被検査体に向けて複数の互いに非相関のランダムバース
    ト波の電気信号に対応する複数の超音波信号を前記複数
    の振動子毎に同時に発信させる手段であり、前記超音波
    受信手段は、上記超音波発信手段により発信される上記
    複数の超音波信号の内の上記被検査体から上記探触子に
    反射してくる複数の反射超音波信号に対応する電気信号
    を上記複数の振動子毎に受信する手段である請求項1記
    載の超音波探傷装置。
  3. 【請求項3】 前記超音波発信手段は、前記ランダムバ
    ースト波の電気信号として、バースト波形信号をランダ
    ム波形信号で変調させた電気信号を前記複数の振動子毎
    に予め設定された位相遅延条件に基づくタイミングで当
    該複数の振動子に供給する信号供給手段を備え、前記超
    音波受信手段は、上記複数の振動子からの前記反射超音
    波信号に対応する電気信号をその位相を上記位相遅延条
    件に基づいて互いに揃えて加算し、その加算信号を上記
    ランダム波形信号で復調させる信号復調手段を備えた請
    求項1又は2記載の超音波探傷装置。
  4. 【請求項4】 前記信号供給手段は、前記バースト波形
    信号として前記振動子の中心周波数と同一の周波数成分
    を有する正弦波信号を生成する信号生成部と、この信号
    生成部が生成した正弦波信号を前記ランダム波形信号で
    変調させる信号変調部と、この信号変調部による変調信
    号に対して上記複数の振動子毎に予め設定された発信位
    相遅延条件で遅延を掛ける信号遅延部と、この信号遅延
    部による遅延信号を用いて当該複数の振動子を励振させ
    る発信器とを備えた請求項3記載の超音波探傷装置。
  5. 【請求項5】 前記信号供給手段は、前記位相遅延条件
    に基づいて予めパターン化されたランダムバースト波に
    関するデータを記憶するメモリと、このメモリのデータ
    を用いて前記複数の振動子を励振させる発信器とを備え
    た請求項3記載の超音波探傷装置。
  6. 【請求項6】 前記位相遅延条件は、前記複数の超音波
    信号を互いに異なる深さ位置で集束させるための条件で
    ある請求項2記載の超音波探傷装置。
  7. 【請求項7】 前記位相遅延条件は、前記複数の超音波
    信号を互いに異なるビーム方向に沿ってオーバラップさ
    せながら発信させるための条件である請求項2記載の超
    音波探傷装置。
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