JPH10311411A - 車両用変速機の変速制御装置 - Google Patents

車両用変速機の変速制御装置

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JPH10311411A
JPH10311411A JP12039297A JP12039297A JPH10311411A JP H10311411 A JPH10311411 A JP H10311411A JP 12039297 A JP12039297 A JP 12039297A JP 12039297 A JP12039297 A JP 12039297A JP H10311411 A JPH10311411 A JP H10311411A
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JP
Japan
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transmission
turning
vehicle
speed
input
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JP12039297A
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English (en)
Inventor
Kenji Kinokami
憲嗣 紀ノ上
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Daikin Industries Ltd
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Daikin Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】旋回時における車両の操縦性や走行安定性の低
下を防止し得るようにし、併せて、燃料消費量や排出ガ
ス量の低減を図る。 【解決手段】機械式トランスミッション(MT)が入力
軸と出力軸との間に介装され、静液圧式トランスミッシ
ョン(HST)が並設された無段変速機(HMT)によ
り、エンジンからの入力回転を無段階に変速して駆動輪
側へ出力するように構成する。ステアリング舵角(θs
)に基づいて車両が旋回状態にあると判定されたとき
(S1)、コントローラにより、転舵操作に伴う走行抵
抗の増加量(ΔT)に対応して駆動トルク量が増大され
るよう(S2,3)HMT(2)の変速比(R)を小値
側の目標変速比(R*)に変更し(S4,8)、かつ、
変速比の変更に伴う走行速度の低下を阻止するようエン
ジン回転数(Nen)を大値側の目標エンジン回転数(N
en*)に変更する(S5,8)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用車、バス、ト
ラック等の走行車両に搭載される車両用変速機の変速制
御装置に関し、特に、上記走行車両の旋回時の失速を防
止するための制御に係る。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の変速制御装置とし
て、車両の旋回中には変速機の変速比を一定値に保つよ
うにしたものが知られている(例えば、特開昭63−1
49451号公報参照)。このものでは、車両が直進状
態にあるときには、車速とスロットル弁の開度とに基づ
き予め設定された変速特性に従って変速クラッチの作動
制御を行うことにより、自動変速機を低速側の1stポ
ジション及び高速側の2ndポジションの内の何れか一
方に切換えるようにしている。一方、車両が旋回状態に
あるときには、運転手の心理的要因に起因するアクセル
踏込み量の変動が生じ易いと考えられるため、このアク
セル踏込み量の変動に対応して上記変速クラッチの作動
が行われることを防止するようにし、これにより、車両
の挙動の不安定化を防止している。すなわち、車両が旋
回状態にあるときには、上記変速クラッチの作動が禁止
されて上記自動変速機の変速ポジションが上記1st及
び2ndポジションの内の何れか一方に維持される(シ
フトホールド)ようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両が走行
中に路面から受ける走行抵抗はステアリングの転舵操作
量の増大に応じて増加するものであるため、一般に、車
両の旋回時には走行抵抗の増加によって走行速度が低下
するようになる。特に、比較的低速で走行している車両
が急旋回する場合には、路面抵抗の急増によりエンジン
の回転数が急激に低下して車両が失速することが考えら
れ、場合によってはエンジンストール(エンスト)を招
くおそれもある。そして、上記従来の車両用変速機の変
速制御装置においても上記走行抵抗の増加に対応する制
御がなされていないため車両の失速やエンストを防止し
得ず、このため、操縦性や走行安定性の低下を招く結果
となる。
【0004】また、旋回時に車両の走行速度が低下すれ
ば運転者は旋回終了後に車両を再加速させるためにアク
セルの踏み込み操作を行うことが多く、このため、旋回
の度に不要なアクセル操作が繰り返される結果、燃料消
費量や排出ガス量を徒に増大させることになってしまう
という不都合もある。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、旋回時におけ
る車両の操縦性や走行安定性の向上を図り、併せて、燃
料消費量や排出ガス量の増大化を防止することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、エンジン(1)から入力さ
れる入力回転を変速して駆動輪(11,11)側へ出力
する変速比可変の変速機(2)を対象にして、この変速
機(2)が所定の変速比(R)で変速作動されるよう上
記変速機(2)の作動を制御する車両用変速機の変速制
御装置を前提とする。このものにおいて、車両の旋回走
行時における上記駆動輪(11,11,)側への出力を
制御する旋回時制御手段(34)を備え、この旋回時制
御手段(34)として、ステアリングの転舵操作に伴い
上記車両が路面から受ける走行抵抗の増加に応じて上記
駆動輪(11,11)側への出力トルク量が増大するよ
う上記変速機(2)の変速比(R)を小値側に変更させ
る変速比制御部(34a)を備える構成とするものであ
る。
【0007】上記の構成の場合、運転者がステアリング
を転舵操作して車両が直進状態から旋回状態に移行した
とき、その転舵操作に伴う走行抵抗の増加に応じて変速
比制御部(34a)により変速機(2)の変速比(R)
が小値側に変更されるようになる。そして、この変速比
(R)の小値側への変更により駆動輪(11,11)に
伝達される駆動トルク量(出力トルク量)が増大される
ため、上記走行抵抗の増加によりエンジン(1)に加わ
る負荷が増大しても、この負荷の増大によるエンジン回
転数(Nen)の急激な低下を防止して車両の失速やエン
ジンストールを防止し得るようになり、これにより、車
両の操縦性や走行安定性の向上が図られる。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、運転者による転舵操作量(θs )を検出す
る転舵操作量検出手段(12)を備え、旋回時制御手段
(34)として、転舵操作に伴う走行抵抗の増加量(Δ
T)を、上記転舵操作量検出手段(12)により検出さ
れた検出転舵操作量(θs )に基づき推定演算する走行
抵抗演算手段(33)を備える構成とするものである。
【0009】上記の構成の場合、請求項1記載の発明に
おける旋回時制御手段(34)による制御の内容が特定
される。すなわち、運転者がステアリングを転舵操作し
て車両が直進状態から旋回状態に移行したとき、その転
舵操作量(θs )が転舵操作量検出手段(12)により
検出され、この検出転舵操作量(θs )に基づき、走行
抵抗の増加量(ΔT)が走行抵抗演算手段(33)によ
り推定演算される。そして、この走行抵抗演算手段(3
3)による推定演算結果に基づいて変速比制御部(34
a)により変速機(2)の変速比(R)が小値側に変更
されることにより、駆動輪(11,11)に伝達される
駆動トルク量が走行抵抗の増加量(ΔT)に対応して確
実に増大されるようになり、これにより、上記請求項1
記載の発明による作用が確実に得られる。
【0010】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発
明における旋回時制御手段(34)を、転舵操作量検出
手段(12)により検出された検出転舵操作量(θs )
が旋回状態の判定のためのしきい値(β)と比べて大値
であるとき制御を実行する構成とするものである。
【0011】上記の構成の場合、請求項2記載の発明に
おける旋回時制御手段(34)の制御開始時期が特定さ
れる。すなわち、上記旋回時制御手段(34)は、運転
者の転舵操作量(θs )に基づいて車両が旋回状態にあ
ると判定されたとき直ちに制御を実行するようになって
おり、この転舵操作の直後は車両の走行速度が慣性力に
よって維持されているため、予め駆動輪(11,11)
に伝達される駆動トルクを増大させることが可能にな
り、これにより、車両の失速やエンジンスストールを確
実に防止することが可能になる。
【0012】請求項4記載の発明は、請求項1、請求項
2又は請求項3記載の発明において、旋回時制御手段
(34)を、変速比制御部(34a)による変速比
(R)の変更制御に併せて車両の走行速度を維持するよ
う入力回転数(Nen)を大値側に変更させる入力回転数
制御部(34b)を備える構成とするものである。
【0013】上記の構成の場合、請求項1、請求項2又
は請求項3記載の発明による作用に加えて、運転者がス
テアリングを転舵操作して車両が直進状態から旋回状態
に移行したときには、変速比制御部(34a)による変
速比(R)の変更により駆動輪(11,11)に伝達さ
れる駆動トルク量が走行抵抗の増加量(ΔT)に対応し
て増大されるとともに、その変速比(R)の小値側への
変更に対応して入力回転数制御部(34b)により入力
回転数(Nen)が大値側に変更されることによって、車
両の走行速度が維持されるようになる。そして、旋回時
における車両の走行速度が旋回前と同一に維持される結
果、旋回の度毎の不要なアクセル操作を防止することが
可能になり、これにより、燃料消費量及び排出ガス量の
増大化を防止することが可能になる。
【0014】なお、変速比(R)を小値側へ変更させつ
つ車両の走行速度を維持するためには、エンジンの回転
数を、現在のエンジン回転数(Nen)に対し変速比
(R)の変化率の逆数を乗算した値を目標値(Nen*)
として制御すればよい。
【0015】請求項5記載の発明は、請求項4記載の発
明における旋回時制御手段(34)を、エンジン(1)
の回転数(Nen) が予め設定された許容最高回転数
(α)以下になるよう入力回転数制御部(34b)によ
る制御を制限する制限制御部(35)を備える構成とす
るものである。
【0016】上記の構成の場合、請求項4記載の発明に
よる作用に加えて、入力回転数制御部(34b)による
制御に起因してエンジン(1)の回転数(Nen)が予め
設定された許容最高回転数(α)を超えてしまうことが
防止され、これにより、エンジン(1)の過回転による
損傷等の不測の不具合の発生を防止することが可能にな
る。これは、特に上記エンジンがディーゼルエンジンで
ある場合に好適な制御である。
【0017】請求項6記載の発明は、請求項4記載の発
明において、運転者のブレーキ操作を検出するブレーキ
操作検出手段(14)を備え、旋回時制御手段(34)
は、上記ブレーキ操作検出手段(14)により上記運転
者のブレーキ操作が検出されたとき入力回転数制御部
(34b)による制御を禁止する禁止制御部(36)を
備える構成とするものである。
【0018】上記の構成の場合、請求項4記載の発明に
よる作用に加えて、ブレーキ操作検出手段(14)によ
り運転者のブレーキ操作が検出された場合には、入力回
転数制御部(34b)による制御が禁止制御部(36)
によって禁止されるようになるため、運転者のブレーキ
操作に従って車両を減速可能な状態にさせることが可能
になる。なお、運転者のブレーキ操作の検出のために
は、例えば、オン・オフセンサによりブレーキペダルの
操作の有無を直接検出するようにすればよい。
【0019】請求項7記載の発明は、請求項1記載の発
明における変速機(2)を、エンジン(1)側に接続さ
れた入力軸(21)と、駆動輪(11,11)側に接続
された出力軸(22)と、上記入力軸(21)と出力軸
(22)との間に介装され少なくとも一のクラッチ機構
(44,45,46)を備えた機械式トランスミッショ
ン(4)と、入力側の液圧ポンプ(51)及び出力側の
液圧モータ(52)の一方もしくは双方が斜板角度の増
減変更により容量可変に構成され上記液圧ポンプ(5
1)が上記入力軸(21)に接続され上記液圧モータ
(52)が上記機械式トランスミッション(4)を介し
て上記出力軸(22)に接続された静液圧式トランスミ
ッション(5)とを備えた無段変速機とするものであ
る。そして、変速比制御部(34a)を、上記機械式ト
ランスミッション(4)のクラッチ機構(44,45,
46)の作動制御を行うとともに上記液圧ポンプ(5
1)又は液圧モータ(52)の斜板角度の増減変更制御
を行うことにより、上記無段変速機の変速比(R)を無
段階に変更させる構成とするものである。
【0020】上記の構成の場合、請求項1記載の発明に
おける変速機(2)の具体的な構成が特定される。すな
わち、上記変速機(2)は、入力軸(21)に入力され
た入力回転が機械式トランスミッション(4)及び静液
圧式トランスミッション(5)のそれぞれにおいて変速
された後に合成されて出力軸(22)から出力されるよ
うに構成された無段変速機であり、上記変速比制御部
(34a)の制御によって、上記機械式トランスミッシ
ョン(4)のクラッチ機構(44,45,46)の接続
状態が断続切換えられるとともに、上記静液圧式トラン
スミッションにおける液圧ポンプ(51)又は液圧モー
タ(52)の斜板角度が増減変更されることにより、変
速比(R)が無段階に変更されるようになっている。こ
のため、上記変速比制御部(34a)の制御により、上
記変速機(2)変速比(R)を走行抵抗の増大に対応し
た的確な値に変更させ、この結果、出力軸(22)の回
転力を変速比(R)に反比例して的確に変更させること
が可能になる。従って、本発明の変速制御装置は上記の
ような無段変速機に適用することが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0022】図1は、本発明の実施形態に係る車両用変
速機の変速制御装置をトラック等の車両に適用した例を
示し、1はディーゼルエンジン等のエンジン、2はこの
エンジン(1)から入力される入力回転を無段階に変速
して左右の駆動輪(11,11)側に伝達する無段変速
機としてのハイドロメカニカルトランスミッション(Hy
dro Mechanical Transmission :以下、「HMT」とい
う)、3は上記エンジン(1)及びHMT(2)を制御
するコントローラである。また、12はステアリングの
舵角を検出する転舵操作量検出手段としての舵角セン
サ、13は運転者のアクセル踏込み量を検出するアクセ
ル操作量センサであり、さらに、14は運転者のブレー
キ操作の有無を検出するブレーキ操作検出手段としての
ブレーキオンオフセンサ、15はエンジン(1)の回転
数を検出するエンジン回転数センサである。
【0023】上記HMT(2)は、図2に詳細を示すよ
うに、エンジン(1)に接続されてこのエンジン(1)
からの回転入力を受ける入力軸(21)と、駆動輪(1
1,11)側に接続された出力軸(22)と、上記入力
軸(21)と出力軸(22)との間に介装された機械式
トランスミッションとしてのMT(4)と、このMT
(4)に対し並列に配設され、入力側が上記入力軸(2
1)に接続され、出力側がMT(4)を介して上記出力
軸(22)に接続された静液圧式トランスミッションと
してのHST(5)とを備えており、上記MT(4)
は、第1及び第2の2つの遊星歯車機構(41,42)
及びこの各遊星歯車機構(41,42)の作動条件を切
換えるための第1〜第3の3つのクラッチ機構(44,
45,46)等を備えており、また、上記HST(5)
は、可変斜板(51b)を有する液圧ポンプ(51)及
び固定斜板を有する液圧モータ(52)が閉回路(5
3)により接続された構成とされている。
【0024】(MTの構成)上記MT(4)は、第1遊
星歯車機構(41)と、第2遊星歯車機構(42)と、
中間軸(43)と、第1〜第3のクラッチ機構(44,
45,46)とを備えたものである。以下、上記各機構
(41,42,44,45,46)について詳細に説明
する。
【0025】上記第1遊星歯車機構(41)は、第1太
陽歯車(41a)と、この第1太陽歯車(41a)と噛
み合う第1遊星歯車(41b)と、この第1遊星歯車
(41b)と噛み合う第1内歯歯車(41c)と、上記
第1遊星歯車(41b)を保持する第1キャリア(41
d)とを備えている。また、上記第2遊星歯車機構(4
2)は、上記中間軸(43)に形成された第2太陽歯車
(42a)と、この第2太陽歯車(42a)と噛み合う
第2遊星歯車(42b)と、この第2遊星歯車(42
b)と噛み合う第2内歯歯車(42c)と、上記第2遊
星歯車(42b)を保持する第2キャリア(42d)と
を備えている。
【0026】そして、上記第1太陽歯車(41a)は、
出力軸(22)に対し相対回転可能に外挿された環状の
接続軸(41e)を介して歯車(41f)と一体的に形
成されており、この歯車(41f)と後述の歯車(5
6)とを介して上記液圧モータ(52)のモータ軸(5
2a)と接続されている。また、上記第1キャリア(4
1d)は管状部材(47)に取り付けられており、この
管状部材(47)の内周面には上記第2内歯歯車(42
c)が形成され、これにより、第1キャリア(41d)
と第2内歯歯車(42c)とが互いに同期して回転する
ようになっている。さらに、上記第1内歯歯車(41
c)は鍔状部材(41g)の外周側に形成され、この鍔
状部材(41g)には上記第2キャリア(42d)が取
り付けられている。この鍔状部材(41g)は上記出力
軸(22)に一体的に取り付けられており、これによ
り、上記第2キャリア(42d)は上記第1内歯歯車
(41c)と同期して回転し、かつ、上記第1内歯歯車
(41c)及び第2遊星歯車(42b)が出力軸(2
2)と結合されるようになっている。
【0027】上記第1クラッチ機構(44)は、複数の
クラッチプレート(44a,44a,…)と、この各ク
ラッチプレート(44a)を間に挟む複数のプレッシャ
プレート(44b,44b,…)とを備えている。各プ
レッシャプレート(44b)は、本HMT(2)が搭載
される車体側の非回転部(19)に相対回転を阻止した
状態で固定されており、これにより、上記第1クラッチ
機構(44)はこれを接続状態にすることによりブレー
キ力を付与するようになっている。上記各クラッチプレ
ート(44a)は上記管上部材(47)の周囲に取り付
けられており、これにより、第1クラッチ機構(44)
は、第1キャリア(41d)と第2内歯歯車(42c)
とを上記非回転部(19)に対し断続切換可能に連結す
るようになっている。
【0028】上記第2クラッチ機構(45)は、中間軸
(43)の周囲に取り付けられた複数のクラッチプレー
ト(45a,45a,…)と、筒状部材(48)の内周
面に取り付けられた複数のプレッシャプレート(45
b,45b,…)とを備えている。上記筒状部材(4
8)は歯車(49)を介して入力軸(21)と連結され
ており、これにより、上記第2クラッチ機構(45)は
第2太陽歯車(42a)を上記入力軸(21)に対し断
続切換可能に連結するようになっている。また、上記第
3クラッチ機構(46)は、上記管状部材(47)の周
囲に取り付けられた複数のクラッチプレート(46a,
46a,…)と、上記筒状部材(48)の内周面に設け
られたプレッシャプレート(46b,46b,…)とを
備えたものであり、これにより、上記第1キャリア(4
1d)と第2内歯歯車(42c)とを上記入力軸(2
1)に対し断続切換可能に連結するようになっている。
【0029】そして、このような構造において、上記第
1及び第2の両遊星歯車機構(41,42)の各要素の
歯車比(増速比)が以下の関係を有するように設定され
ており、これにより、後述の第1〜第3モードの3つの
運転モードの切換前後で実質的に連続した伝達比を与え
るようになっている。すなわち、図3の遊星速度線図に
示すように、第1太陽歯車(41a)と第1内歯歯車
(41c)との間の歯車比をYとし、第2太陽歯車(4
2a)と第2内歯歯車(42c)との間の歯車比をXと
した場合に、Y=X+1の関係が成立するように設定さ
れている。このように設定されていれば、第1及び第2
の両運転モード間の切換前後で、第2太陽歯車(42
a)の回転数は第2クラッチ機構(45)により係合さ
れる入力軸(21)の回転数(図3では1800rp
m)と一致し、第2及び第3の両運転モード間の切換前
後で、第3クラッチ機構(46)で係合される入力軸
(21)の回転数と一致することになる。なお、上記遊
星速度線図は、横軸に上記第1及び第2の両遊星歯車機
構(41,42)の各要素の歯車比を示し、また、縦軸
にそれらの各要素のそれぞれの回転数を示したものであ
る。
【0030】(HSTの構成)一方、上記HST(5)
は、互いに略同じ構成の一対の油圧ユニット(51,5
2)が一対の連通管(53a,53b)により互いに接
続されて閉回路(53)を構成しており、エンジン
(1)からの回転力が入力される入力側の油圧ユニット
(51)を液圧ポンプと呼び、変速後の回転力が出力さ
れる出力側の油圧ユニット(52)を液圧モータと呼ぶ
ものである。
【0031】上記液圧ポンプ(51)は、スプラインを
介してポンプ軸(51a)と一体に回転するシリンダブ
ロックと、このシリンダブロック内にポンプ軸(51
a)を中心とする円周上位置に列状に収容された複数の
往復動ピストンと、これらのピストンの往復動の行程を
変更調整する可変斜板(51b)とを備えた可変斜板式
ピストンポンプであり、上記ポンプ軸(51a)に連結
された歯車(54)が入力軸(21)の歯車(49)に
噛み合わされ、これにより、上記ポンプ軸(51a)に
エンジン(1)からの回転力が入力されるようになって
いる。また、上記可変斜板(51b)はその斜板角度が
零になる中立位置を挟んで斜板角度が最大(例えば、1
7度)になる正転側及び逆転側の両方の最大傾斜位置の
間で傾動可能に構成され、コントローラ(3)からの作
動信号を受けて作動する斜板角度変更調整機構(55)
により傾動されて斜板角度が増減変更調整されるように
なっている。そして、上記ポンプ軸(51a)が上記エ
ンジン(1)からの入力によって回転駆動されることに
より、上記の各ピストンが上記シリンダブロックと共に
上記ポンプ軸(51a)の回りに回転されるとともに、
上記可変斜板(51b)の傾斜角度に略比例する行程を
往復動され、これにより、上記液圧ポンプ(51)から
上記斜板角度に応じた流量の作動油が吐出されて、一対
の連通管(53a,53b)の内の何れか一側(高圧
側)(53a又は53b)を流通して液圧モータ(5
2)に供給されるようになっている。
【0032】上記液圧モータ(52)は、スプラインを
介してモータ軸(52a)と一体に回転するシリンダブ
ロックと、このシリンダブロック内にモータ軸(52
a)を中心とする円周上位置に列状に収容された複数の
往復動ピストンと、これらのピストンの往復動の行程を
調整するよう所定の傾斜角度に固定された固定斜板とを
備えた斜板式ピストンモータであり、上記各ピストン
が、上記液圧ポンプ(51)から吐出されて高圧側の連
通管(53a又は53b)を介して供給される作動油を
受けて上記固定斜板を押すことにより、上記シリンダブ
ロックが上記作動油の供給流量に応じた回転数で回転さ
れ、この回転が上記モータ軸(52a)に出力されるよ
うに構成されている。そして、このモータ軸(52a)
に連結された歯車(56)が、第1太陽歯車(41a)
と一体の接続軸(41e)に結合された歯車(41f)
と噛み合わされ、これにより、上記モータ軸(52a)
からの出力回転が第1太陽歯車(41a)に伝達される
ようになっている。また、上記液圧ポンプ(51)から
供給された作動油は一対の連通管(53a,53b)の
内の低圧側(53b又は53a)を流通して液圧ポンプ
(51)に還流されて閉回路(53)内を循還するよう
になっており、この作動油の循還する向きが、上記液圧
ポンプ(51)の可変斜板(51b)の傾動方向の正逆
切換に応じて正逆反対向きに切換えられることにより、
上記液圧モータ(52)の回転方向が正逆両方向に切換
えられるようになっている。すなわち、上記液圧ポンプ
(51)の可変斜板(51b)が正方向に傾斜している
場合には、上記液圧モータ(52)のモータ軸(52
a)は入力回転と同一の向きに回転(正回転)する一
方、反対に上記液圧ポンプ(51)の可変斜板(51
b)が逆方向に傾斜している場合には、上記液圧モータ
(52)のモータ軸(52a)は入力回転と逆向きに回
転(逆回転)するようになり、その回転数は上記液圧ポ
ンプ(51)の斜板角度及びエンジン(1)回転数に応
じて増減変更されるようになる。
【0033】(MT及びHSTの運転)上記MT(4)
及びHST(5)は、コントローラ(3)の作動制御に
より、HMT(2)の変速比に応じて第1〜第3モード
の3つの運転モードに分けて、すなわち、発進から低変
速比域(低速域)の第1モードと、中変速比域(中速
域)の第2モードと、高変速比域(高速域)の第3モー
ドの3つの運転モードに分けて作動されるように構成さ
れている。
【0034】ここで、上記第1〜第3モードの3つの運
転モードにおけるHMT変速比の変化の様子を図4に基
づいて具体的に説明する。なお、この図4は、エンジン
(1)からある入力回転数(図例では1800rpm)
が入力される場合について、液圧ポンプ(51)の可変
斜板(51b)の斜板角度とHMT変速比との関係と、
入力軸(21)及び出力軸(22)の回転数とHMT変
速比との関係を関連付けて示したものである。
【0035】上記第1モードでは、MT(4)の第1ク
ラッチ機構(44)のみが接続状態にされ第2及び第3
クラッチ機構(45,46)が遮断状態にされることに
より、入力軸(21)からの回転入力はHST(5)側
にのみ伝達されるようになり、出力軸(22)はHST
(5)からの伝達力のみによって回転されることにな
る。そして、この第1モードにおける前進側の変速範囲
では、HST(5)の液圧ポンプ(51)の可変斜板
(51b)が斜板角度0度の中立位置から逆転側
{(−)の側}における斜板角度17度の最大傾斜位置
まで(−)方向に徐々に回転されるようになっており、
この斜板角度の変更に応じて液圧モータ(52)の出力
回転数が無段階に変更されることにより、上記出力軸
(22)の出力回転数が前進側に無段階に増大されるよ
うになっている。
【0036】また、上記第2モードでは、第2クラッチ
機構(45)のみが接続状態にされ、これにより、入力
軸(21)からの回転入力はHST(5)及び中間軸
(43)の双方に伝達され、出力軸(22)は第2遊星
歯車(42b)機構を介した中間軸(43)からの伝達
力と、第1遊星歯車機構(41)を介したHST(5)
からの伝達力との合成によって回転される。すなわち、
この第2モードにおける変速範囲では、HST(5)の
液圧ポンプ(51)の可変斜板(51b)が、逆転側
{(−)の側}における斜板角度17度の最大傾斜位置
から正転側{(+)の側}における斜板角度17度の最
大傾斜位置まで(+)方向に徐々に傾動されるようにな
っており、この斜板角度の(+)方向への増大に応じて
液圧モータ(52)の出力回転数が無段階に変更される
ことにより、第1遊星歯車機構(41)を介した上記H
ST(5)からの回転と中間軸(43)から伝達される
入力軸(21)の回転とを合成した、第1内歯歯車(4
1c)及び第2キャリア(42d)の回転が無段階に増
大されて、これにより、上記出力軸(22)の出力回転
数が前進側に無段階に増大されるようになっている。
【0037】さらに、上記第3モードでは、第3クラッ
チ機構(46)のみが接続状態にされ、これにより、入
力軸(21)からの回転入力はHST(5)及び管状部
材(47)の双方に伝達される。そして、上記第2モー
ドと同様、液圧ポンプ(51)の斜板角度の漸減による
液圧モータ(52)の出力回転数の変更に伴い、HST
(5)から第1遊星歯車機構(41)を介して伝達され
る回転と上記管状部材(47)から伝達される回転との
合成によって、上記出力軸(22)の出力回転数が前進
側に無段階に増大されるようになっている。そして、上
記第1〜第3の各運転モードの切換前後で、第1〜第3
の各クラッチ機構(44,45,46)の断続切換の際
に係合及び離合される両クラッチ機構のクラッチプレー
ト(44a,45a,46a)とプレッシャプレート
(44b,45b,46b)とがそれぞれ同じ回転数で
同調して切換前後で連続した変速比で回転伝達されるこ
とにより、HMT(2)の変速比は上記第1〜第3モー
ドの全部の変速範囲において無段階かつ連続的にに変更
されるようになっている。
【0038】なお、上記第1モードにおける前進側の変
速範囲は、図3の遊星速度線図における矢印M1 の範囲
に、上記第2モードの変速範囲は同図の矢印M2 の範囲
に、また、上記第3モードの変速範囲は同図の矢印M3
の範囲に、それぞれ対応している。
【0039】(コントローラの構成)上記コントローラ
(3)は、舵角センサ(12)、アクセル操作量センサ
(13)、ブレーキオンオフセンサ(14)、及び、エ
ンジン回転数センサ(15)から入力される入力信号に
基づき、エンジン(1)の運転状態及びHMT(2)の
変速比を制御するように構成されている。具体的には、
上記コントローラ(3)は、基本制御部(31)と旋回
時制御部(34)とを備えており、この旋回時制御部
(34)は、変速比制御部(34a)と入力回転数制御
部(34b)とを基本部分として備えるほか、旋回判定
部(32)と、走行抵抗演算手段としての走行抵抗演算
部(33)と、制限制御部(35)と、禁止制御部(3
6)とを備えている。
【0040】上記基本制御部(31)は、運転者による
アクセル踏み操作に応じて、MT(4)の第1〜第3の
クラッチ機構(44,45,46)の接続状態を切換え
るとともに、斜板角度変更調整機構(55)の作動制御
によりHST(5)の液圧ポンプ(51)の斜板角度を
変更させるように構成されており、これにより、上記H
MT(2)の変速比を無段階に変更させて車両の走行制
御を行うように構成されている。
【0041】また、上記旋回判定部(32)は、舵角セ
ンサ(12)により検出されたステアリング舵角が、旋
回状態の判定のために予め設定されたしきい値としての
設定舵角(β)よりも大値であるとき車両が旋回状態に
あると判定し、この判定結果を変速比制御部(34a)
及び入力回転数制御部(34b)に入力するように構成
されており、さらに、上記走行抵抗演算部(33)は、
上記舵角センサ(12)により検出されたステアリング
舵角に基づき転舵操作に伴う車両の走行抵抗の増加量を
推定演算し、この演算結果を上記変速比制御部(34
a)及び入力回転数制御部(34b)に入力するように
構成されている。
【0042】そして、上記変速比制御部(34a)は、
上記旋回判定部(32)により車両が旋回状態にあると
判定されたとき、駆動輪(11,11)側に伝達される
駆動トルク量が上記走行抵抗演算部(33)により演算
された走行抵抗の増加に対応して増大するようHMT
(2)の変速比を小値側に変更させるものである。ま
た、上記入力回転数制御部(34b)は、エンジン
(1)に付設されたガバナ(1a)の作動制御により、
上記変速比制御部(34a)によるHMT(2)の変速
比の小値側への変更を補完して車両の走行速度を維持す
るよう入力軸(21)に入力するエンジン回転数を大値
側に変更させるものである。さらに、上記制限制御部
(35)は、エンジン(1)の回転数が予め設定された
許容最高回転数以下になるよう、旋回時制御部(34)
の制御を制限するものであり、上記禁止制御部(36)
は、ブレーキオンオフセンサ(14)により運転者のブ
レーキ操作が検出されたときに上記旋回時制御部(3
4)の制御を禁止するものである。
【0043】以下に、車両の旋回時における上記旋回時
制御部(34)による制御について、図5に示すフロー
チャートに基づいて具体的に説明する。
【0044】同図のステップS1では、舵角センサ(1
2)により検出されたステアリング舵角(θs )を車両
が旋回状態にあることを検出するために予め設定された
設定舵角(β)と比較し、ステアリング舵角(θs )が
設定舵角(β)以下であればステアリングの転舵操作量
が僅かであり車両は旋回状態にないと判定してリターン
する。一方、上記ステップS1でステアリング舵角(θ
s )が設定舵角(β)よりも大値であればステアリング
が十分に転舵操作されており車両が旋回状態にあると判
定してステップS2に進む。ステップS2では、ステア
リング舵角の増加に応じて増加する車両の走行抵抗の増
加量が予め設定された「舵角変化−走行抵抗変化マッ
プ」から、上記舵角センサ(12)により検出されたス
テアリング舵角(θs )の変化量(Δθs )に対応する
走行抵抗の増加量(ΔT)を読み取り、ステップS3に
進む。なお、上記「舵角変化−走行抵抗変化マップ」
は、車両のステアリング舵角(θs )の変化量(Δθs
)に対応する走行抵抗の増加量(ΔT)を、種々試験
した結果として設定したもので、図5の例では、横軸に
示すステアリング舵角(θs )の変化量(Δθs )の増
大に応じて、縦軸に示す走行抵抗の増加量(ΔT)が2
次曲線的に増大するようになっている。
【0045】ステップS3では、上記ステップS2で読
み取った走行抵抗の増加量(ΔT)に基づきこの増加量
(ΔT)に対応する駆動トルクの増加割合(ΔT/現在
の駆動トルク)を演算し、この演算結果に基づいて、現
在の駆動トルク量と目標トルク量との比(目標トルク
比;RT*)を演算してステップS4に進む。続くステ
ップS4において、駆動トルク量を上記目標トルク量ま
で増大させるようなHMT(2)の変速比(目標変速
比;R*)を演算する。すなわち、ステップ4において
は、エンジン(1)の出力トルクが一定である場合のH
MT(2)の変速比と駆動トルク量との関係が予め設定
された「変速比−駆動トルクマップ」を用いて、まず、
現在のHMT(2)の変速比(R)に対応する駆動トル
ク量を読み取りこの値を「1」とする。そして、この
「1」に対し「RT*」となる駆動トルク量を読み取っ
てこの読みった駆動トルク量に対応する変速比を上記目
標変速比(R*)として読み取るようにする。
【0046】続いて、ステップS5では、HMT(2)
の変速比を上記目標変速比(R*)に変更したときに駆
動輪(11,11)側に出力される出力回転数が一定に
保たれるよう現在のエンジン回転数から増大された目標
エンジン回転数(Nen*)を演算する。すなわち、エン
ジン回転数センサ(15)により検出された現在のエン
ジン回転数(Nen)に対し、上記目標変速比(R*)を
現在の変速比(R)により除算した値を乗算して目標エ
ンジン回転数(Nen*)を演算する。続くステップS6
では、上記目標エンジン回転数(Nen*)を予め設定さ
れたエンジンの許容最高回転数(α)と比較し、目標エ
ンジン回転数(Nen*)が許容最高回転数(α)よりも
大値であればエンジン(1)の過回転による損傷などを
回避するために制御を中止してリターンする一方、目標
エンジン回転数(Nen*)が許容最高回転数(α)以下
であればステップS7に進む。このステップS7ではブ
レーキオンオフセンサ(14)からの入力信号に基づい
て運転者のブレーキ踏み操作の有無を判定する。すなわ
ち、上記入力信号がオンであって運転者によるブレーキ
踏み操作が行われている場合には、そのブレーキ踏み操
作に応じて車両を減速させるために制御を中止してリタ
ーンする一方、上記入力信号がオフであって運転者によ
るブレーキ踏み操作が行われていない場合には、ステッ
プS8に進む。
【0047】そして、ステップS8において、MT
(4)の第1〜第3の各クラッチ機構(44,45,4
6)の作動制御及びHST(5)の液圧ポンプ(51)
の斜板制御を行うことにより、HMT(2)の変速比を
目標変速比(R*)に変更させると同時に、ガバナ(1
a)の作動制御によりエンジン(1)の回転数を目標エ
ンジン回転数(Nen*)に変更させることにより、車両
の走行速度を維持しつつ駆動輪(11,11)の駆動ト
ルクを増大させるようにし、その後、リターンする。
【0048】なお、上記のフローチャートにおいて、ス
テップS1が旋回判定部(32)に、ステップS2が走
行抵抗演算部(33)にそれぞれ対応しており、また、
ステップS6が制限制御部(35)に、ステップS7が
禁止制御部(36)にそれぞれ対応している。さらに、
ステップS4及びS8が変速比制御部(34a)に、ス
テップS5及びS8が入力回転数制御部(34b)にそ
れぞれ対応している。
【0049】次に、上記実施形態に係る変速制御装置の
作用・効果を説明する。
【0050】上記実施形態によれば、運転者がステアリ
ングを転舵操作して車両が直進状態から旋回状態に移行
したとき、舵角センサ(12)により検出されたステア
リング舵角(θs )に基づいて旋回判定部(32)によ
り車両が旋回状態にあることが判定される(S1)。そ
して、この判定結果を受けた変速比制御部(34a)に
より、駆動輪(11,11)に伝達される駆動トルク量
がステアリングの転舵操作に伴う走行抵抗の増加に応じ
て増大するよう(S2,S3)、HMT(2)の変速比
が小値側に変更される(S4,S8)。このため、転舵
操作に伴い車両の走行抵抗が増加してエンジン(1)に
加わる負荷が増大しても、この負荷の増大によるエンジ
ン回転数の急激な低下を防止して車両の失速やエンジン
ストールを防止することができ、これにより、車両の操
縦性や走行安定性の向上が図られる。しかも、上記HM
T(2)が、その変速比(R)が無段階に変更可能な無
段変速機であるため、上記変速比制御部(34a)によ
る変速比(R)の変更制御を走行抵抗の増大に応じて的
確に実行することができ、これにより、出力軸(22)
の回転力を走行抵抗の増大に対応して的確に変更させ得
るようになる。
【0051】また、上記HMT(2)の変速比の小値側
への変更とともに、この変速比の変更に伴う駆動輪(1
1,11)の回転数の低下を阻止するよう(S5)、入
力回転数制御部(34b)によりエンジン(1)の回転
数が大値側に変更される(S5,S8)ため、車両の走
行速度を維持するようにすることができる。この際、上
記エンジン(1)及びHMT(2)の制御を、運転者の
ステアリング転舵操作に対応して直ちに開始するように
しているため、車両の走行速度が慣性力により維持され
ている間に予め上記駆動輪(11,11)の駆動トルク
を増大させるようにすることができ、これにより、車両
の走行速度を確実に維持することができる。そして、旋
回時の車両の走行速度が旋回前と同一に維持されること
により旋回の度毎の不要なアクセル操作が防止され、こ
れにより、燃料消費量及び排出ガス量の増大化を防止す
ることができる。
【0052】さらに、入力回転数制御部(34b)の制
御によってエンジン(1)の回転数が許容最高回転数
(α)を超えることになる場合には、その入力回転数制
御部(34b)及び変速比制御部(34a)による制御
を中止する(S6)ようにしているため、過回転に起因
するエンジン(1)の損傷等の不測の不具合の発生を防
止することができる。加えて、ブレーキオンオフセンサ
(14)により運転者のブレーキ踏み操作が検出された
ときには、上記変速比制御部(34a)及び入力回転数
制御部(34b)による制御を中止する(S7)ように
しているため、その変速比制御部(34a)及び入力回
転数制御部(34b)の制御に伴う車両の減速への悪影
響を回避して車両を運転者のブレーキ操作に従って減速
させるようにすることができる。
【0053】<他の実施形態>なお、本発明は上記実施
形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態
を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、
変速機としてHMT(2)を用いるようにしているが、
これに限らず、例えば、トルクコンバータを有する自動
変速機やVベルト式無段変速機等を用いてもよく、さら
に、多段式歯車変速機の変速操作を油圧制御により行う
ようにしたいわゆるパワーシフト等を用いることも可能
である。
【0054】上記実施形態では、車両が旋回状態にある
とき、HMT(2)の変速比を変速比制御部(34a)
により小値側に変更し、かつ、エンジン(1)の回転数
を入力回転数制御部(34b)により大値側に変更させ
るようにしているが、これに限らず、例えばHMT
(2)の変速比を小値側に変更するだけにしてもよく、
この場合には変速比の変更に伴って車両の走行速度が低
下するものの、エンジン負荷トルクの減少及びこれに伴
うエンジン出力回転数の増大によって車両の失速やエン
ジンストールは防止することができる。
【0055】上記実施形態では、入力回転数制御部(3
4b)の制御によってエンジン回転数が予め設定された
許容最高回転数(α)を超えることになる場合には、そ
の入力回転数制御部(34b)及び変速比制御部(34
a)による制御を中止する(S6)ようにしているが、
これに限らず、上記入力回転数制御部(34b)の制御
のみを中止するようにしてもよく、また、上記入力回転
数制御部(34b)の制御量を制限するようにしてもよ
い。
【0056】上記実施形態では、ドライバのブレーキ操
作が検出されたときには、変速比制御部(34a)及び
入力回転数制御部(34b)による制御を中止する(S
6)ようにしているが、これに限らず、上記入力回転数
制御部(34b)による制御のみを中止するようにして
もよい。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明における車両用変速機の変速制御装置によれば、車両
が旋回状態にあるとき変速機(2)の変速比(R)を小
値側に変更させて駆動トルク量を増大させるようにする
ことができるため、転舵操作に伴い車両の走行抵抗が増
加してもこの車両の失速やエンジンストールを防止する
ことができ、これにより、車両の操縦性や走行安定性の
向上が図られる。
【0058】請求項2記載の発明によれば、上記請求項
1記載の発明における旋回時制御手段(34)の制御内
容が特定され、駆動輪(11,11)に伝達される駆動
トルク量を走行抵抗の増加量(ΔT)に対応して確実に
増大させるようにすることができる。
【0059】請求項3記載の発明によれば、上記請求項
2記載の発明による効果に加えて、車両の走行速度が慣
性力によって維持されている間に予め駆動輪(11,1
1)に伝達される駆動トルクを増大させるようにするこ
とができる。
【0060】請求項4記載の発明によれば、請求項1、
請求項2又は請求項3記載の発明による効果に加えて、
旋回時に車両の走行速度を旋回前と同一に維持するよう
にして旋回の度毎の不要なアクセル操作を防止すること
ができ、これにより、燃料消費量及び排出ガス量の増大
化を防止することができるる。
【0061】請求項5記載の発明によれば、上記請求項
4記載の発明による効果に加えて、入力回転数制御部
(34b)による制御に起因するエンジン(1)の損傷
等を防止することができる。
【0062】請求項6記載の発明によれば、上記請求項
4記載の発明による効果に加えて、入力回転数制御部
(34b)の制御に伴う車両の減速への悪影響を回避す
ることができ、これにより、車両を運転者のブレーキ操
作に従って減速させるようにすることができる。
【0063】請求項7記載の発明によれば、上記請求項
1記載の発明における変速機(2)の構成が具体的に特
定され、この変速機(2)の変速比の的確な変更によ
り、出力軸(22)の回転力を走行抵抗の増大に対応し
て的確に変更させ得るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る変速制御装置を示す概
略構成図である。
【図2】無段変速機の構成を示す全体模式図である。
【図3】無段変速機のMTにおける第1,第2遊星歯車
機構の遊星速度線図である。
【図4】無段変速機における液圧ポンプの可変斜板の斜
板角度とHMT変速比との関係と、入力軸及び出力軸の
回転数とHMT変速比との関係を関連付けて示す説明図
である。
【図5】旋回時制御部による旋回時の制御を示すフロー
チャートである。
【符号の説明】
1 エンジン 2 HMT(無段変速機) 4 MT(機械式トランスミッション) 5 HST(静液圧式トランシュミッショ
ン) 11,11 駆動輪 12 舵角センサ(転舵操作量検出手段) 14 ブレーキオンオフセンサ(ブレーキ操
作検出手段) 21 HMTの入力軸 22 HMTの出力軸 33 走行抵抗演算部(走行抵抗演算手段) 34 旋回時制御部(旋回時制御手段) 34a 変速比制御部 34b 入力回転数制御部 35 制限制御部 36 禁止制御部 44,45,46 クラッチ機構 51 液圧ポンプ 52 液圧モータ Nen エンジン回転数(入力回転数) R HMTの変速比 ΔT 走行抵抗の増加量 α エンジンの許容最高回転数 β 設定舵角(しきい値) θs ステアリング舵角(検出転舵操作量)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン(1)から入力される入力回転
    を変速して駆動輪(11,11)側へ出力する変速比可
    変の変速機(2)を対象にして、この変速機(2)が所
    定の変速比(R)で変速作動されるよう上記変速機
    (2)の作動を制御する車両用変速機の変速制御装置に
    おいて、 車両の旋回走行時における上記駆動輪(11,11,)
    側への出力を制御する旋回時制御手段(34)を備えて
    おり、 上記旋回時制御手段(34)は、ステアリングの転舵操
    作に伴い上記車両が路面から受ける走行抵抗の増加に応
    じて、上記駆動輪(11,11)側への出力トルク量が
    増大するよう上記変速機(2)の変速比(R)を小値側
    に変更させる変速比制御部(34a)を備えていること
    を特徴とする車両用変速機の変速制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 運転者による転舵操作量(θs )を検出する転舵操作量
    検出手段(12)を備え、 旋回時制御手段(34)は、転舵操作に伴う走行抵抗の
    増加量(ΔT)を、上記転舵操作量検出手段(12)に
    より検出された検出転舵操作量(θs )に基づき推定演
    算する走行抵抗演算手段(33)を備えていることを特
    徴とする車両用変速機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 旋回時制御手段(34)は、転舵操作量検出手段(1
    2)により検出された検出転舵操作量(θs )が旋回状
    態の判定のためのしきい値(β)と比べて大値であると
    き制御を実行するように構成されていることを特徴とす
    る車両用変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1、請求項2又は請求項3におい
    て、 旋回時制御手段(34)は、変速比制御部(34a)に
    よる変速比(R)の変更制御に併せて、車両の走行速度
    を維持するよう入力回転数(Nen)を大値側に変更制御
    する入力回転数制御部(34b)を備えていることを特
    徴とする車両用変速機の変速制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項4において、 旋回時制御手段(34)は、エンジン(1)の回転数
    (Nen)が予め設定された許容最高回転数(α)以下に
    なるよう入力回転数制御部(34a)による制御を制限
    する制限制御部(35)を備えていることを特徴とする
    車両用変速機の変速制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項4において、 運転者のブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段
    (14)を備え、 旋回時制御手段(34)は、上記ブレーキ操作検出手段
    (14)により上記運転者のブレーキ操作が検出された
    とき、入力回転数制御部(34a)による制御を禁止す
    る禁止制御部(36)を備えていることを特徴とする車
    両用変速機の変速制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項1において、 変速機(2)は、エンジン(1)側に接続された入力軸
    (21)と、駆動輪(11,11)側に接続された出力
    軸(22)と、上記入力軸(21)と出力軸(22)と
    の間に介装され少なくとも一のクラッチ機構(44,4
    5,46)を備えた機械式トランスミッション(4)
    と、入力側の液圧ポンプ(51)及び出力側の液圧モー
    タ(52)の一方もしくは双方が斜板角度の増減変更に
    より容量可変に構成され、上記液圧ポンプ(51)が上
    記入力軸(21)に接続され上記液圧モータ(52)が
    上記機械式トランスミッション(4)を介して上記出力
    軸(22)に接続された静液圧式トランスミッション
    (5)とを備えた無段変速機であり、 変速比制御部(34a)は、上記機械式トランスミッシ
    ョン(4)のクラッチ機構(44,45,46)の作動
    制御を行うとともに、上記液圧ポンプ(51)又は液圧
    モータ(52)の斜板角度の増減変更制御を行うことに
    より、上記無段変速機の変速比(R)を無段階に変更さ
    せるように構成されていることを特徴とする車両用変速
    機の変速制御装置。
JP12039297A 1997-05-12 1997-05-12 車両用変速機の変速制御装置 Withdrawn JPH10311411A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7469874B2 (en) 2003-05-13 2008-12-30 Seiko Epson Corporation Tube valve, a tube valve apparatus and a head cleaning apparatus
CN100458159C (zh) * 2004-02-25 2009-02-04 株式会社小松制作所 液压转向方式的作业车辆
JP2015044452A (ja) * 2013-08-27 2015-03-12 トヨタ自動車株式会社 運転支援装置

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