JPH1030982A - 多成分水溶液の分析方法 - Google Patents
多成分水溶液の分析方法Info
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Abstract
なく目的成分の濃度値を高精度に求めることのできる分
析方法を提供する。 【解決手段】 校正段階にて、少なくとも温度が異なる
既知濃度のC個の成分よりなる標準液の成分組成比を変
えて所望波長間における近赤外スペクトルをN個測定
し、各スペクトルのP個の吸光度値からなるN行P列の
吸光度スペクトルデータ行列を得、偏最小自乗法によ
り、P行F列の重み行列と、N行F列のローディング行
列と、N行F列の潜在変数行列とを求める一方、前記N
行P列の吸光度スペクトルデータ行列と対応するN行C
列の濃度行列と前記潜在変数行列とを回帰計算すること
によりC列F行の中間的な回帰係数行列Qを求め、その
回帰係数行列Qと前記重み行列及びローディング行列と
を偏最小自乗回帰法により重回帰分析型に変換し、P行
C列の回帰係数行列Bを得る。
Description
方法に係り、詳しくは近赤外スペクトルから多成分の濃
度値を求めるための分析方法の技術分野に属する。
を求める分析システムでは、各成分固有の吸光波長にお
ける吸光度を測定し、その値を、例えば図5(A),
(B)に示すように、予め標準試料で得た既知の検量線
と対応させて、その濃度を求めていた。
なる未知濃度の多成分水溶液を、標準試料の校正時の液
温と一致させるために、例えば、図6に示すように、薬
液槽16内の多成分水溶液(x℃)を恒温バス(25
℃)13を介してフローセル10中に導入するようにし
ていた。なお、図13中、符号1は光源、18は分光器
(近赤外分光・検出手段)である。
は、他成分の妨害要素が混在していると、その干渉影響
により測定精度が著しく低下するという難点があった。
とりわけ、近赤外域では水溶液の吸収帯が互いに重なる
場合が多いため、他成分の妨害要素を取り除くことは難
しく、また、検量線の作成作業もかなり煩瑣なものとな
っていた。
は、恒温バス13によって冷却した薬液をそのまま薬液
槽16に戻すとプロセス条件を逸脱してしまうことがあ
った。また、恒温バス13とその温調手段17が嵩高く
て装置が大型化し、広い設置面積を必要とする上に、装
置が複雑化してコスト高にもなっていた。
人は特開平8−29332号にて、校正時のデータ分析
方法として主成分分析法を採用した多成分水溶液の分析
方法をすでに提案している。
分水溶液の分析方法による場合、計算が複雑になるとい
う難点があった。つまり、主成分分析法では、説明変数
(スペクトルデータ)間の相関のみに注目して主成分を
抽出し、目的成分(濃度値)との相関は考慮していず、
また、固有値の大きな主成分が目的特性と高い相関を持
つとは限らないこと等から、回帰分析時に最適な回帰モ
デルを構成するためには、主成分の選択(どの成分を優
先させるかということ)等のための複雑な計算が必要と
されていた。つまり、どの主成分がノイズであるかを判
断しにくいため、情報とノイズの分析等をおこなわなけ
ればならなかった。
試料(多成分水溶液)の温度を調整することなく、ま
た、主成分の選択等のための複雑な計算なしで、目的成
分の濃度値を高精度に求めることのできる分析方法を提
供することを目的としている。
決するための手段を以下のように構成している。すなわ
ち、所望の波長間を反復走査させた単色光を標準液及び
被検液に透過させてその吸光値を検出し、その検出値に
基づいて、多変量解析における偏最小自乗回帰法によ
り、多成分水溶液中の各成分の濃度値を求める多成分水
溶液の分析方法にあって、校正段階にて、少なくとも温
度が異なる、既知濃度のC個の成分よりなる標準液の成
分組成比を変えて前記波長間における近赤外スペクトル
をN個測定し、各スペクトルのP個の吸光度値からなる
N行P列の吸光度スペクトルデータ行列を得、偏最小自
乗法により、P行F列の重み行列と、N行F列のローデ
ィング行列と、N行F列の潜在変数行列とよりなる中間
出力行列を求める一方、前記N行P列の吸光度スペクト
ルデータ行列と対応するN行C列の濃度行列と前記潜在
変数行列とを回帰計算することにより濃度行列と潜在変
数行列との間のC行F列の中間的な回帰係数行列Qを求
め、その回帰係数行列Qと前記重み行列及びローディン
グ行列とを偏最小自乗回帰法により重回帰分析型に変換
し、P行C列の回帰係数行列Bを得、推定段階にて、未
知濃度のC個の成分よりなる被検液の前記所望の波長間
における近赤外スペクトルのP個の吸光度値を求め、そ
の未知濃度吸光度群と前記回帰係数行列Bとから、行列
演算により、前記C個の成分の濃度値を求めることを特
徴としている。
成分比を変えたC個の成分の標準液の近赤外スペクトル
を測定し、偏最小自乗回帰法により、温度情報を伴った
成分情報を含む回帰係数行列Bを求めているので、試料
温度の調整は不要となり、かつ、目的成分(濃度値)と
の相関が考慮されていることから、校正段階での主成分
抽出のための面倒な計算が不要となる。
析方法の好ましい実施形態につき詳細に説明する。図3
は分析装置の構成図で、同図中、符号1は光源、2はレ
ンズ、3は入射スリット、4は第1凹球面鏡、5は回動
操作される回析格子、6は第2凹球面鏡、7は出射スリ
ット、8は回動操作される平面鏡、9は固定平面鏡、1
0はフローセル、12は補償板、13は組み合わせレン
ズ、15は検出器で、これらで近赤外分光・検出手段1
00を構成し、フローセル10中に取り入れた標準液、
被検液と補償板12とに、所望の波長間(900nm〜
1850nm)を反復走査させた単色光を選択的に透過
させ、検出器15でその光強度を検出し、その検出信号
が増幅器20、AD変換器25を介して演算手段(CP
U)30に入力され、吸光度に変換され、多変量解析に
おける偏最小自乗回帰法(PLSR)により、被検液の
多成分の濃度値が求められ、DISP45に表示され
る。なお、回析格子5と平面鏡8はインターフェイス3
5を介して演算手段30からの指令によって回動操作さ
れる。また、フローセル10に導入される標準液は校正
段階でのみ用いられ、被検液は推定段階で導入測定され
る。
回帰法による多成分分析法とは、説明変数(スぺクトル
データ)と目的変数(濃度値)との相関を考慮して総合
特性値(主成分に相当)を抽出し、検量に利用できる情
報量を多く得て主成分分析より高い相関係数を求め、主
成分の選択等のための複雑な計算を不要として測定精度
の向上を図ることができるものである。
自乗回帰法についての説明図で、まず、それぞれ温度、
濃度(いずれも既知)の異なるC個の成分よりなる標準
液を成分組成比を変えてフローセル10中に順次導入し
N個の吸光度を測定し、各スペクトルのP個の吸光度値
からなるN行P列の吸光度スペクトルデータ行列X(N
×P)を得る。
ル変化は図4に示され、同図から、特に高温域では、温
度の違いが、吸光度値に大きく影響することが判る。従
って、上述の吸光度スペクトルデータ行列X(N×P)
には、特に、温度を変えたスペルトルデータを含ませて
おくことが、精度向上のための重要な要件となる。
X(N×P)から偏最小自乗法(PLS)により、重み
行列W(P×F)、ローディング行列P(N×F)及び
潜在変数行列T(N×F)の中間出力行列を求める。
(N×P)と対応するN行C列の濃度行列Yと前記潜在
変数行列T(N×F)とを回帰計算することによりC行
F列の中間的な回帰係数行列Qを求め、その回帰係数行
列Qと前記重み行列W(P×F)及びローディング行列
P(N×F)とを偏最小自乗回帰法により重回帰分析型
に変換し、P行C列の回帰係数行列Bを得、これをCP
U30のメモリ部32に記憶させておく。
の回帰係数行列B(P×C)を求めるための演算は別途
用意した演算手段でおこない、分析装置のCPU30に
は、演算結果として得られた回帰係数行列B(P×C)
を記憶させておくようにする。
個の成分よりなる被検液の前記所望の波長間(900n
m〜1850nm)における近赤外スペクトルのP個の
吸光度値を求め、その未知濃度吸光群と前記回帰係数行
列B(P×C)とから、行列演算によって、前記C個の
成分の濃度値(濃度群)を求めることができる。
は、前述のように温度情報を伴った成分情報を回帰係数
行列に含ませているので、試料温度の調整が不要とな
る。また、目的成分(濃度値)との相関を考慮して総合
特性値(主成分に相当)が抽出されるため、検量に利用
できる情報量が増え、主成分分析法よりも高い相関係数
が得られる。そして、第1成分から順に濃度値との相関
の高い成分が抽出されるので、回帰分析時(回帰係数を
求める過程)に最適な回帰モデルを構成することがで
き、主成分分析法における主成分の選択等のための複雑
な計算が不要となり、かつより信頼性の高い分析値を得
ることができる。また、情報とノイズの分離が可能であ
ることから、近赤外分光法への適用が非常に有効であ
る。そして、適用波長範囲が900nm〜1850nm
に拡がるので、主成分分析法よりも分析装置構成上の自
由度が向上する。
溶液の分析方法によれば、偏最小自乗回帰法により、説
明変数(スペクトルデータ)と目的変数(濃度値)との
相関を考慮して総合特性値(主成分に相当)が抽出され
るため、検量に利用できる情報量が増えるので、主成分
分析法より高い相関係数が得られる。
分が抽出されるので、回帰分析時に、最適な回帰モデル
を構成するために、主成分分析法における場合のように
成分の選択などの複雑な計算が不要となる。
赤外分光法への適用は非常に有効である。また、適用波
長範囲が900nm〜1850nmまで拡大されるた
め、装置構成上の自由度が向上する。
階での演算方法の説明図である。
ラフである。
検量線のグラフである。
成図である。
ローディング行列,T…潜在変数行列,B,Q…回帰係
数行列。
Claims (1)
- 【請求項1】 所望の波長間を反復走査させた単色光を
標準液及び被検液に透過させてその吸光値を検出し、そ
の検出値に基づいて、多変量解析における偏最小自乗回
帰法により、多成分水溶液中の各成分の濃度値を求める
多成分水溶液の分析方法であって、校正段階にて、少な
くとも温度が異なる既知濃度のC個の成分よりなる標準
液の成分組成比を変えて前記波長間における近赤外スペ
クトルをN個測定し、各スペクトルのP個の吸光度値か
らなるN行P列の吸光度スペクトルデータ行列を得、偏
最小自乗法により、P行F列の重み行列と、N行F列の
ローディング行列と、N行F列の潜在変数行列とよりな
る中間出力行列を求める一方、前記N行P列の吸光度ス
ペクトルデータ行列と対応するN行C列の濃度行列と前
記潜在変数行列とを回帰計算することにより濃度行列と
潜在変数行列との間のC行F列の中間的な回帰係数行列
Qを求め、その回帰係数行列Qと前記重み行列及びロー
ディング行列とを偏最小自乗回帰法により重回帰分析型
に変換し、P行C列の回帰係数行列Bを得、推定段階に
て、未知濃度のC個の成分よりなる被検液の前記所望の
波長間における近赤外スペクトルのP個の吸光度値を求
め、その未知濃度吸光度群と前記回帰係数行列Bとか
ら、行列演算により、前記C個の成分の濃度値を求める
ことを特徴とする多成分水溶液の分析方法。
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