JP2010218187A - 製造条件調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トレードオフの関係にある製造因子があっても目標とする製造品質へ近づけるように設定条件を割り出す製造条件調整装置を提供する。
【解決手段】複数の品質検査データとこれら複数の品質検査データの重みをそれぞれ設定する重み係数データとの内積(両値の積和)を品質指標データとして採用する。この品質指標データが大きく(または小さく)なれば、トレードオフ関係にある品質検査データは全て好ましいデータになるように重みにより調整されているため、この品質検査についての潜在変数を用いるPLS回帰式を解析すればトレードオフ関係を排除して製造条件を決定することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、製品製造工程に対して最適な製造条件となるように調整を行う製造条件調整装置に関する。
製品製造工程は、通常は複数の工程からなる。そして、近年ではそれぞれの工程で製造装置への設定値、材料投入量、製造途中の品質検査値などの製造因子データを得て、これら製造因子データを統計的解析手法を用いて解析して最終的な製造製品の品質についての影響を追跡し、製造品質の向上に努めている。そして、製造因子データが物理法則や製造上の制約などに起因して製造因子間で相関を持って変動すると多重共線性により単純な重回帰分析を品質推定モデル作成に適用できなくなるが、これを回避するために主成分分析やPLS(部分的最小二乗法)という多変量統計解析手法を用いることで対処可能となっている。
このような従来技術の具体例として、例えば、特許文献1(特開2007−242809号公報、発明の名称「半導体製造装置の制御方法」)、特許文献2(特開2005−242818号公報、発明の名称「品質影響要因解析方法」)、特許文献3(特開2006−318263号公報、発明の名称「情報分析システム」)、特許文献4(特開2005−33228号公報、発明の名称「プラズマ処理装置」)に記載の発明が知られている。
特許文献1に記載の従来技術の半導体製造装置の制御システムは、ウェーハの品質管理データであるQC値データ群およびEESパラメータ群に基づいてPLS(部分的最小自乗法)回帰を用いてQC値データの品質予測式を作成し、半導体製造装置により最後に処理されたロットの次に新たに処理された第1のロット内のウェーハに対応する第1のEESパラメータを予測式に入力してこの第1のロット内のウェーハの第1のQC値データを予測し、この予測された第1のQC値データに基づいて半導体製造装置にこのウェーハの処理を命令する、というものである。
特許文献2の従来技術は、製品の製造における種々の条件を示す互いに相関があるN種類の条件データを、互いに無相関なN>PであるP種類の成分へ変換し、P種類の成分の夫々の品質への影響を示すP個の影響指標を多変量解析により計算し、P個の影響指標を、N種類の条件データの夫々の品質への影響を示すN個の影響データへ変換し、この解析結果を利用して品質の予測および制御を行う、というものである。
特許文献3の従来技術は、半導体デバイスの製造工程に関して、各工程で用いられる処理装置に関する履歴情報を多値情報の説明変数とし、また、歩留まりの値を目的変数とし、目的変数である歩留まりが、予め定められた基準値よりも低下した場合、履歴情報が2値情報のマトリクスに変換され、解析部によって目的変数に対する影響度がPLS(部分的最小自乗法)などを用いて算出される。そして、算出結果である影響度の内容が、説明変数に対応付けられて表示される、というものである。
特許文献4の従来技術は、真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマ処理装置の処理中のプロセス量をセンサによりモニタし、センサからのモニタ出力および予め設定した加工結果の予測式をもとにして加工結果を推定し、さらにこの推定結果をもとに加工結果が目標値となるように処理条件の補正量を計算する最適レシピを計算し、この最適レシピ計算モデルが生成したレシピを基にしてプラズマ処理装置を制御する、というものである。
特開2007−242809号公報(図1) 特開2005−242818号公報(図3) 特開2006−318263号公報(図7) 特開2005−33228号公報(図2)
上記したような統計的解析手法を用いて品質推定あるいは品質改善を試みる従来技術では、以下のような問題があった。
(1)従来手法は品質検査値の改善を行う場合であって品質検査値が複数あるとき、ある製造因子を調整することによりある品質検査値では目標へ近づくが他の品質検査値では目標から遠ざかるというトレードオフが存在することがある。このような場合に製造者の意図する品質の優先順位を考慮した、適切な製造因子の探索が困難であった。
(2)従来技術ではトレードオフの存在を考慮していないため、品質推定モデルを作成してシミュレーションにより改善を試みる場合でも、トレードオフの存在により品質を改善するための製造因子の調整には多くの試行錯誤を要し、目標を達する製造因子が直ちに明確にはならなかった。
(3)従来技術ではトレードオフの存在を考慮していないため、製造因子の改善候補が自動計算によって得られたとしても、その結果としての製造品質が製造者に受け入れ難い場合や実現不可能の場合が生じやすかった。
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、トレードオフの関係にある製造因子があっても目標とする製造品質へ近づけるように設定条件を割り出す製造条件調整装置を提供することにある。
本発明の請求項1に係る製造条件調整装置は、
データ処理部と、
複数の工程を経て製品を製造する製品製造工程のぞれぞれの工程毎の設定条件値や計測値を表す製造因子データと、完成された製品についての品質を表す複数の品質検査データと、が登録される製造情報データベースが構築されており、前記データ処理部によりデータの読み書きが行なわれる記憶部と、
前記データ処理部へ入力がなされる入力部と、
前記データ処理部から出力がなされる出力部と、
を有し、製造因子データおよび品質検査データに基づいて解析し、この品質検査データを目標に近づけるような新たな製造条件を提示する製造条件調整装置であって、
このデータ処理部は、
前記入力部から入力された過去の実績に係る複数の製造因子データおよび複数の品質検査データを製造情報データベースに登録する製造情報収集手段と、
複数の製造因子データを用いて製造因子データ行列Xを生成する製造因子データ行列生成手段と、
複数の品質検査データとこれら複数の品質検査データの重みをそれぞれ設定する重み係数データとの内積(両値の積和)を品質指標データとし、複数の品質指標データにより品質指標データ行列Φを生成する品質指標データ行列生成手段と、
説明変数行列をX、目的変数行列をΦ、および、潜在変数行列をTとし、X=TP+E、Φ=TQ+FとするPLS(Partial Least Square:部分的最小二乗法)回帰式に対して、製造因子データ行列Xおよび品質指標データ行列Φを各々XおよびΦとみなして、ローディングベクトルデータ行列Pおよび回帰係数データ行列Qを算出する条件設定用PLS演算手段と、
回帰係数データ行列Qから潜在変数行列Tの中で品質指標と相関が高い潜在変数を判定し、この判定された潜在変数についてのローディングベクトルデータ行列Pに応じて製造因子の調整内容を決定する製造条件決定手段と、
決定された製造因子の調整内容を出力部を通じて提示する製造条件提示手段と、
を備えることを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る製造条件調整装置は、
データ処理部と、
複数の工程を経て製品を製造する製品製造工程のぞれぞれの工程毎の設定条件値や計測値を表す製造因子データと、完成された製品についての品質を表す複数の品質検査データと、が登録される製造情報データベースが構築されており、前記データ処理部によりデータの読み書きが行なわれる記憶部と、
前記データ処理部へ入力がなされる入力部と、
前記データ処理部から出力がなされる出力部と、
を有し、製造因子データおよび品質検査データに基づいて解析し、この品質検査データを目標に近づけるような新たな製造条件を提示する製造条件調整装置であって、
このデータ処理部は、
前記入力部から入力された過去の実績に係る複数の製造因子データおよび複数の品質検査データを製造情報データベースに登録する製造情報収集手段と、
複数の製造因子データを用いて製造因子データ行列Xを生成する製造因子データ行列生成手段と、
複数の品質検査データとこれら複数の品質検査データの重みをそれぞれ設定する重み係数データとの内積(両値の積和)を品質指標データとし、複数の品質指標データにより品質指標データ行列Φを生成する品質指標データ行列生成手段と、
説明変数行列をX、目的変数行列をΦ、および、潜在変数行列をTとし、X=TP+E、Φ=TQ+FとするPLS回帰式に対して、製造因子データ行列Xおよび品質指標データ行列Φを各々XおよびΦとみなして、ローディングベクトルデータ行列Pおよび回帰係数データ行列Qを算出する条件設定用PLS演算手段と、
回帰係数データ行列Qから潜在変数行列の中で品質指標と相関が高い潜在変数を判定し、この判定された潜在変数についてのローディングベクトルデータ行列Pに応じて製造因子の増減を決定し、また、製造因子の平均値と製造因子の標準偏差とに基づいて製造因子の設定量を決定し、決定された製造因子の増減と設定量とにより製造因子を決定する製造条件決定手段と、
決定された製造因子を出力部を通じて提示する製造条件提示手段と、
を備えることを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る製造条件調整装置は、
データ処理部と、
複数の工程を経て製品を製造する製品製造工程のぞれぞれの工程毎の設定条件値や計測値を表す製造因子データと、完成された製品についての品質を表す複数の品質検査データと、が登録される製造情報データベースが構築されており、前記データ処理部によりデータの読み書きが行なわれる記憶部と、
前記データ処理部へ入力がなされる入力部と、
前記データ処理部から出力がなされる出力部と、
を有し、製造因子データおよび品質検査データに基づいて解析し、この品質検査データを目標に近づけるような新たな製造条件を提示する製造条件調整装置であって、
このデータ処理部は、
前記入力部から入力された過去の実績に係る複数の製造因子データおよび複数の品質検査データを製造情報データベースに登録する製造情報収集手段と、
複数の製造因子データを用いて製造因子データ行列Xを生成する製造因子データ行列生成手段と、
複数の品質検査データを用いて品質検査データ行列Yを生成する品質検査データ行列生成手段と、
説明変数行列をX、目的変数行列をY、および、潜在変数行列をUとし、X=UR+E、Y=US+FとするPLS回帰式に対して、製造因子データ行列Xおよび品質検査データ行列Yを各々XおよびΦとみなして、ローディングベクトルデータ行列Rおよび回帰係数データ行列Sを算出するとともに予測モデルを決定する予測モデル生成手段と、
複数の品質検査データとこれら複数の品質検査データの重みをそれぞれ設定する重み係数データとの内積(両値の積和)を品質指標データとし、複数の品質指標データにより品質指標データ行列Φを生成する品質指標データ行列生成手段と、
説明変数行列をX、目的変数行列をΦ、および、潜在変数行列をTとし、X=TP+E、Φ=TQ+FとするPLS回帰式に対して、製造因子データ行列Xおよび品質指標データ行列Φを各々XおよびΦとみなして、ローディングベクトルデータ行列Pおよび回帰係数データ行列Qを算出する条件設定用PLS演算手段と、
回帰係数データ行列Qから潜在変数行列の中で品質指標と相関が高い潜在変数を判定し、この判定された潜在変数についてのローディングベクトルデータ行列Pに応じて製造因子の増減を決定し、また、製造因子の平均値と製造因子の標準偏差とに基づいて製造因子の設定量を決定し、決定された製造因子の増減と設定量とにより製造因子を決定する製造条件決定手段と、
製造条件決定手段で決定された製造因子を表す製造因子データを用いて、予測モデルのローディングベクトルデータ行列Rおよび回帰係数データ行列Sに基づき品質検査データを予測・生成し、製造品質を予測する品質推定手段と、
製造品質が所定目標に到達するまで品質指標データ行列生成手段、条件設定用PLS演算手段、製造条件決定手段および品質推定手段を繰り返すように判定する判定手段と、
製造品質が所定目標に到達して決定された製造因子を出力部を通じて提示する製造条件提示手段と、
を備えることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に係る製造条件調整装置は、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の製造条件調整装置において、
前記重み係数データは、複数の品質検査データ間のトレードオフを考慮し、複数の品質検査データの望ましい増減を設定する重みづけを表すデータであることを特徴とする。
また、本発明の請求項5に係る製造条件調整装置は、
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の製造条件調整装置において、
前記製造情報データベースに登録される前記製造因子データおよび前記品質検査データは、それぞれ予め平均および標準偏差を用いて統計的に正規化されたデータであることを特徴とする。
また、本発明の請求項6に係る製造条件調整装置は、
請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の製造条件調整装置において、
前記出力部は、複数の工程n用加工装置の全てに設置されてデータ処理部と通信するようになされており、複数の工程n用加工装置のそれぞれにデータ処理部から送信された製造因子データを設定し、
複数の工程n用加工装置は、それぞれ調整された製造条件で製造することを特徴とする。
また、本発明の請求項7に係る製造条件調整装置は、
請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の製造条件調整装置において、
前記入力部は、複数の工程n用加工装置の全てに設置されてデータ処理部と通信するようになされており、計測や設定により製造因子データおよび品質検査データを取得してデータ処理部へ送信し、
前記データ処理部は、収集した前記製造因子データおよび前記品質検査データを製造物毎に記録管理する製造情報データベースに入力し、
前記出力部は、複数の工程n用加工装置の全てに設置されてデータ処理部と通信するようになされており、複数の工程n用加工装置のそれぞれにデータ処理部から送信された製造因子データを設定し、
複数の工程n用加工装置は、それぞれ調整された製造条件で製造することを特徴とする。
本発明によれば、トレードオフの関係にある製造因子があっても目標とする製造品質へ近づけるように設定条件を割り出す製造条件調整装置を提供することができる。
本発明を実施するための形態の製造条件調整装置の構成図である。 製品製造工程の説明図である。 製造情報データベースの構造図である。 品質指標データにおける品質検査データと重み係数データとの関係を説明する説明図である。 潜在変数に対する品質指標およびローディングベクトルの関係を説明する説明図である。 製造因子の変化方向の表示例を説明する説明図である。 トレードオフを有する品質検査データの関係を説明する説明図である。 製造製品の具体例の説明図である。 具体例の製造製品の製造因子データと品質検査データとの関係を説明する説明図である。 具体例の製造製品の製品製造工程の説明図である。 製造因子の設定値の表示例を説明する説明図である。 他の形態の製造条件調整装置の構成図である。 他の形態の製造条件調整装置の構成図である。 他の形態の製造条件調整装置の構成図である。
続いて、本発明を実施するための形態について図を参照しつつ以下に説明する。まず、製造条件調整装置100の全体構造について図1を参照しつつ説明する。製造条件調整装置100は、図1に示すように、データ管理用コンピュータ1、入力部2、出力部3を少なくとも備えている。本形態の製造条件調整装置100は、例えば、一台のコンピュータを想定している。
データ管理用コンピュータ1は、さらにデータ処理部10、記憶部20を備えている。データ処理部10は、MPUやCPUであり、後述するような各手段として機能する。記憶部20は、例えばハードディスク等の大容量記装置であり、後述するような複数のデータベースが構築されている。なお、データ処理部10と記憶部20との間、データ処理部10と入力部2との間、データ処理部10と出力部3との間には通常はメモリが介在して読み書きがなされるが当然にメモリを介して読み書きが行われるものとしてメモリについては省略しつつ以下の説明を進める。
入力部2は、例えばキーボード、ファイル送信可能なUSBメモリなどであり、入力部2から入力されたデータがデータ処理部10にて処理される。
出力部3は、ディスプレイ装置などであり、データ処理部10から出力されたデータにより画面表示がなされる。
製造条件調整装置100は、所定の製品を製造するための製品製造工程についての製造条件を決定するものである。この製品製造工程について説明する。この製品製造工程は、図2に示すように、複数の工程1、工程2、工程3、・・・、工程eを順次経て、完成品が製造される。完成品は最終検査がなされて製造を終了する。製造後に完成品の検品を行い、目標に達していたならば合格となる。
例えば工程1ではある設定条件データに基づいて工程1を行う。この工程1で計測データが得られる。これら設定条件データと計測データとの中から選択して一の製造因子データxを決定する。同様に工程2、工程3、・・・、工程eでも設定条件データと計測データとの中から選択して一の製造因子データx、x、・・・、xを決定する。例えば、各工程後の製品の重さ、各工程における処理温度、各工程における処理時間というようなデータである。上記では、以下の説明を簡単にするため、各工程における製造因子データを1つ選択する構成とした。しかし、各工程における製造因子データを1つに限定する必要はなく、各工程における全ての設定条件データおよび計測データを製造因子データとしても良い。さらに、各工程における全ての設定条件データおよび計測データから、任意のデータを複数選択して複数の製造因子データを用いても良い。
最終検査では、製造品質を決定する複数の品質検査データy、y、・・・、yを取得する。例えば、製品の厚さ、製品の電気抵抗値、出力値のリニアリティというようなデータである。
続いて、製造条件調整装置100の実際の運用について図を参照しつつ説明する。図1で示すように、製造条件調整装置100のデータ処理部10は、製造情報収集手段101、製造因子データ行列生成手段102、品質指標データ行列生成手段103、条件設定用PLS演算手段104、製造条件決定手段105、製造条件提示手段106を備える。以下順に説明する。
まず、データ処理部10は、入力部2から入力された過去の実績に係る複数の製造因子データおよび複数の品質検査データを製造情報データベース21に登録する製造情報収集手段101として機能する。
また、図示しないが、入力部2に各工程の装置および最終検査装置を接続し、製造情報収集手段101は、現在製造している製品の製造因子データおよび品質検査データを入力部2から受け取り、製造情報データベース21に登録することもできる。
例えばシステムの管理者が、予め必要となる製造情報データベース21を設計し、製造情報データベース21に対して入力部2からデータベースの構造や初期データを登録しておくものとする。初期データの入力方法は、専用画面を通じての入力でもよいし、CSV(Comma Separated Value)形式によるファイル入力でもよい。
そして、これら製造因子データや品質検査データは、図1で示すように、記憶部20の製造情報データベース21に蓄積される。製造情報データベース21のテーブル構造は、例えば、図3で示すように構成される。図3ではある製造製品について製造製品番号、ロット数、製造日、複数の製造因子データ、複数の品質検査データが記録される。このように製造情報データベース21では、ある製品が製造されたときの製造因子データおよび最終品質についての品質検査データとを連関させて登録しており、直ちにアクセス可能な状態へ整理されている。
製造製品番号がnのときは第n回目の製造であることを表し、また、ロット数がAのときは製造でA個(例えば1000個)製造したということを示す。製造製品番号が1のときは製造因子データx(1)、x(1)、x(1)、・・・、x(1)と表記される。また、品質検査データは、y(1)、y(1)、y(1)、・・・、y(1)と表記される。括弧の数字は製造製品番号を表す、つまり同じ製造で得られたデータであることを表す。そして製造製品番号Nまでのデータが蓄積されている。図示しないがこのようなテーブルが製品別に複数蓄積されている。製造情報データベース21に登録されているデータはこのようなものである。
続いて、データ処理部10は、複数の製造因子データを用いて製造因子データ行列Xを生成する製造因子データ行列生成手段102として機能する。まず、製造情報データベース21から製造因子データを読み出す。製造因子データは、図3に示すように、
製造製品番号1の製造因子データx(1)、x(1)、x(1)、・・・、x(1)、
製造製品番号2の製造因子データx(2)、x(2)、x(2)、・・・、x(2)、
製造製品番号3の製造因子データx(3)、x(3)、x(3)、・・・、x(3)、
、・・・・、
製造製品番号Nの製造因子データx(N)、x(N)、x(N)、・・・、x(N)
である。
これら製造因子データは過去の製造時に得られた数値である。
そして、データ処理部10は、読み出した製造因子データから製造因子データ行列を生成する。製造因子データ行列Xは次式のようになる。
Figure 2010218187
製造因子データ行列XはN行e列の行列となる。なお、1の工程で複数の製造因子データを選択した場合に、製造因子データ行列Xは、行数がN行であって、列数がe列より多い行列となる。
ここに一行で同じ製造時における各工程の製造因子データを表している。また、一列で同じ工程における製造別の製造因子データを表している。実際は具体的な数値として表されることとなる。データ処理部10は、この製造因子データ行列Xを解析情報データベース22に登録する。
続いて、データ処理部10は、複数の品質検査データとこれら複数の品質検査データの重みをそれぞれ設定する重み係数データとの内積(両値の積和)を品質指標データとし、複数の品質指標データにより品質指標データ行列Φを生成する品質指標データ行列生成手段103として機能する。まず、製造情報データベース21から品質検査データを読み出す。
品質検査データは、図3に示すように、
製造製品番号1の品質検査データy(1)、y(1)、y(1)、・・・、y(1)、
製造製品番号2の品質検査データy(2)、y(2)、y(2)、・・・、y(2)、
製造製品番号3の品質検査データy(3)、y(3)、y(3)、・・・、y(3)、
、・・・・、
製造製品番号Nの品質検査データy(N)、y(N)、y(N)、・・・、y(N)
である。
これら品質検査データは過去の製造時に得られた数値である。
続いて品質検査データから品質指標データを生成する。品質指標データは、図4(b)でも示すが、数2のようになる。ここに、記号E(y)は品質検査データyの平均値、記号σ(y)は品質検査データyの標準偏差を表す。
Figure 2010218187
ここに図4(a)で示すように、νは重み係数データである。品質検査データyの値を大きくしたい場合には重み係数νを+1とする。品質検査データyの値を小さくしたい場合には重み係数νを−1とする。このように重み付けすると品質検査データが好ましい方向で値が変化する(例えば上記の例では品質検査データyの値が大きくなり、また、品質検査データyの値が小さくなる)といずれも品質指標データφを大きくすることとなり、品質指標データφを大きくするように製造条件を調整すれば良いこととなる。つまり、品質検査データの重み付けによりトレードオフ関係にある品質検査データがあっても、単に品質指標データを大きくする方向で製造条件を調整すればよくなり、トレードオフ関係を充たしつつ製造条件の調整が可能となる。
なお、重み係数データνは、例えばシステム管理者が入力部2から入力し、記憶部20の図1に図示しない記憶領域に記憶しておくことができる。
なお、上記数2は品質検査データy〜yが何れも正規化されていない場合を想定しており、yについてはy(1)〜y(N)の平均データE(y)と標準偏差データσ(y)とを用いて正規化し、以下他のy〜yも同様に正規化される。そして、
(1)〜y(1)について品質指標データφ(1)、
(2)〜y(2)について品質指標データφ(2)、
(3)〜y(3)について品質指標データφ(3)、
・・・、
(N)〜y(N)について品質指標データφ(N)、
を取得する。このように予め平均と標準偏差に基づき統計的に正規化される。これにより、作成する線形モデルがオフセットを持たず、部分的最小二乗法が適切に利用可能となる。
なお、予め製造因子データxや品質検査データyが正規化されている場合には、図4(c)に示すような式とし、−1から1の値をとる重み係数データνとの積和を新しい品質指標データφとしてもよい。
そして、これらデータを正規化しないで図4(b)の式を採用するか、データを正規化して図4(c)の式を採用するか、のどちらを採用するかについては、本形態のみならず後述する他の形態においても共に適用可能であるが、本形態では、図4(b)や数2の式を採用するものとして以下説明する。
続いて生成した品質指標データから品質指標データ行列Φを生成する。品質指標データ行列Φは次式のようになる。
Figure 2010218187
品質指標データ行列ΦはN行1列の行列となる。データ処理部10は、この品質指標データ行列Φを解析情報データベース22に登録する。
続いて、データ処理部10は、説明変数行列をX、目的変数行列をΦ、および、潜在変数行列をTとし、X=TP+E、Φ=TQ+FとするPLS(Partial Least Square:部分的最小二乗法)回帰式に対して、製造因子データ行列Xおよび品質指標データ行列Φを各々XおよびΦとみなして、ローディングベクトルデータ行列Pおよび回帰係数データ行列Qを算出する条件設定用PLS演算手段104として機能する。
まず、潜在変数の個数をMとし、潜在変数行列Tを用いて変換されるPLS回帰式のうち各係数行列であるローディングベクトルデータ行列P、回帰係数データ行列Qおよび重み係数データ行列Wを、製造因子データ行列Xおよび品質指標データ行列Φを用いてPLS法により算出する。この場合、データ処理部10は、計算途中で出られたデータを順次解析情報データベース22に登録する。
まず、PLS回帰式は以下のようになる。
Figure 2010218187
ここで、行列XはN行e列の行列である。行列ΦはN行1列の行列である。行列TはN行M列の行列である。行列Pはe行M列の行列である。行列PはM行e列の行列である。行列QはM行1列の行列である。行列Wはe行M列である。
続いてPLSモデルのうち各係数行列であるローディングベクトルデータ行列P、回帰係数データ行列Qおよび重み係数データ行列Wを、製造因子データ行列Xおよび品質指標データ行列Φを用いて算出する。
この係数の算出では、品質指標と潜在変数との相関関係の強弱を表す係数を算出するものである。まず、m=1として係数を算出する。PLS回帰式を数4の形式で定義するとPLS回帰式は数5のようになり、算出式は数6のようになる。
Figure 2010218187
Figure 2010218187
行列Xに製造因子データ行列Xを代入し、また、Φに品質指標データ行列Φを代入することで、係数行列w,t,p,q,X,Φが数6のように算出される。各行列の算出はこのように行われる。
続いてm=2として係数を算出する。PLS回帰式を数7の形式とすると算出式は数8および数9のようになる。
Figure 2010218187
定数行列w,t,p,qは既に求められている。この場合、2番目の成分w,t,p,qは数8および数9で求められる。
Figure 2010218187
Figure 2010218187
以下同様にしてmの値を変更してPLS回帰式の生成を行っていく。m=aの場合はPLS回帰式は数10のように表され、算出式は数11のように表される。
Figure 2010218187
Figure 2010218187
そして、m=MとなったときにPLS演算を終了し、PLS回帰式を確定する。係数行列である行列w,・・・,行列w、行列p ,・・・,行列p 、行列q,・・・,行列qに基づいて製造因子データ行列Xおよび品質指標データ行列ΦによるPLS回帰式を生成する。m=Mにおける予測モデルは数12となる。
Figure 2010218187
データ処理部10は、このようにしてローディングベクトルデータ行列Pおよび回帰係数データ行列Qを解析情報データベース22に登録する。
続いてデータ処理部10は、回帰係数データ行列Qから潜在変数行列の中で相関が高い潜在変数を判定し、この潜在変数についてのローディングベクトルデータ行列Pに応じて製造因子の増減を決定する製造条件決定手段105として機能する。
例えば、図5(a),(b)のようなデータを用いて決定する。なお、この図は変化方向候補の表示例でもある。この例ではPLS回帰式の作成により、多くの潜在変数から7つの潜在変数が抽出されたものを示している。仮に品質指標と潜在変数との間で相関係数0.55以上が高い相関を示す潜在変数を選択するものとすると、図5(a)では、品質指標と正の相関の高い潜在変数として1番と2番とが0.55以上の高い相関を示している。そのうち2つの潜在変数の相関係数は、この2つの潜在変数に関する7つの製造因子の重みであり、品質指標を上昇させるための製造因子の変化方向候補が分かる。例えば、図5(a)の第1の潜在変数を採用する場合、図5(b)で示すように、製造因子3,4,5はローディングベクトルが+であるため製造因子3,4,5を増やし、製造因子1,6,7はローディングベクトルが−であるため製造因子1,6,7を減らす方向に製造条件を変化させればよい。
データ処理部10は、決定された製造因子を出力部3を通じて提示する製造条件提示手段106として提示する。例えば、図5(a),(b)の表をそのまま提示すれば、オペレータ自らが解析して品質改善条件を決定することとなる。
このように品質を改善するための製造因子の変化方向の候補を1つ以上製造担当者へ提示すると、提示されたローディングベクトルに基づき、必要に応じて候補の中から受け入れやすい候補を選択し、製造工程の製造条件を設定し、工程へ反映させることにより、製品の最終品質を改善することができる。
また、オペレータにわかりやすくするため、品質改善する変化方向の候補の提示を図6で示すように表示しても良い。図5(b)に潜在変数2を採用したものとすると、製造条件への重みを表すローディングベクトル[0.5,−0.5,・・・,0]、ローディングベクトルの正負を示す変化方向の候補[大きく,小さく,・・・,そのまま]の項目からなる表として表示される。
さらには製造因子の変化方向の候補のみとしても良い。例えば、「製造因子:X、推奨変化方向:大きく」というものがXからXまで表示されるというものである。
そして提示された条件により再度製造を行う。そして、改善された製造時のデータを収集する。そのデータに基づいて同様の製造条件探索を行って製造条件を更に改善させることで、製造品質が向上していく。具体的には品質検査データy,y,・・・,yを何れも+方向か−方向か何れかの理想とする方向に高めるというものである。
以上本形態について説明した。このような製造条件調整装置100によれば、特に、複数の品質間にトレードオフがある場合においても、それらの品質にとって望ましい方向を考慮した上で、その方向と相関の高い潜在変数のローディングベクトルがPLS(部分的最小二乗法)回帰式により抽出されるため、品質間のトレードオフを考慮した品質推定が可能となる。
これは、図7(a)に示すようなデータがあった場合に、図7(b)で示すように、一度品質モデルを作成した後に品質を改善するための製造因子の変化方向の候補を求める従来手法では、モデル化の際に品質を改善する可能性のあるサンプルが無視される危険があるが、本発明では、図7(c)で示すように、全てのサンプルを用いて品質改善方向を抽出するため、品質改善に重要なサンプルが無視される危険がない。そのため、見落としなく、品質改善する変化方向が探索できる。
このような製造条件調整装置100によれば、品質の高める変化方向への重み付けがされた品質指標として定義された目的変数に対し、部分的最小二乗法により、目的変数と正の相関関係が高い潜在変数が1つ以上抽出され、抽出された潜在変数における説明変数への重みが製造因子の変化方向の候補として出力部3により提示される。これにより、品質を望ましい方向へ変化させるために適切な製造因子の変化方向が直ちに明確に得られる。さらに、説明変数が複数であるとき、部分的最小二乗法により抽出される成分は複数であるため、実現可能かつ製造者に受け入れやすい製造因子の変化方向を複数の候補の中から選択可能である。
続いて、本形態を具体的な製造方法に適用した例を示す。図8で示すように、5種類の材料を積層して製品を製造する工程において、各材料1〜5を順次積層した際の重さが製造因子データとして計測されており、最終工程では、製品の厚みと電気抵抗が品質検査データとして計測されている。
材料毎に比重や電気抵抗が異なるため、最終製品の品質は製造工程の材料積層量に依存する。そして、図9で示すように、材料の重さが増すほど、厚みが厚くなり、また、電気抵抗が増える傾向にある。このような製品製造方法は、図10で示すような製造工程である。この場合図9からも明らかなように、品質である厚みと電気抵抗には相関性があり、厚みが厚いほど電気抵抗が高くなる傾向にある。これは厚みを薄く、かつ電気抵抗を高くする場合にはトレードオフの関係(両方はなりたたない関係)が成立する。このような場合でも厚みをできるだけ薄くしつつ電気抵抗をできるだけ高くするような製造条件を探索することができるようになる。すなわち、厚みと電気抵抗をそれぞれ同時に望ましい方向へ調整するために、先に説明した手法を適用し、厚みを薄く、かつ電気抵抗を高くする場合に評価指標を高めるような製造因子を割り出すようにして、望ましい方向で品質改善を図る製造条件に調整することができる。
続いて他の形態について説明する。先に説明した形態では、製造因子を大きくする、小さくするというような指示であり、実際にどの程度まで大きくするか、小さくするかについては判らないという問題があった。この場合製造条件の探索と実際の製造を繰り返し行うこととなるため、できれば一回で飛躍的に品質向上を図るようにしたいという要請もある。そこで、本形態では製造因子を具体的な値まで割り出すように改良した形態である。なお、この形態は図1の製造条件決定手段105の改良に係るものであり、製造情報収集手段101、製造因子データ行列生成手段102、品質指標データ行列生成手段103、条件設定用PLS演算手段104までは上記と同様に機能するものであり、重複する説明を省略し、製造条件決定手段105から説明を開始する。
データ処理部10は、回帰係数データ行列Qから潜在変数行列Tの中で相関が高い潜在変数を判定し、この潜在変数についてのローディングベクトルデータ行列Pに応じて製造因子の増減を決定し、また、製造因子の平均データと製造因子の標準偏差データとに基づいて製造因子の変化量の目安である設定量を決定し、決定された製造因子の増減と変化量の目安である設定量とにより製造因子の設定候補データを決定する製造条件決定手段105として機能する。
製造因子の増減の決定については、例えば、先ほど図5(a),(b)を用いて説明した手法により決定する。この例ではPLS回帰式の作成により、多くの潜在変数から7つの潜在変数が抽出されたものを示している。仮に品質指標と潜在変数との間で相関係数0.55以上が高い相関を示す潜在変数を選択するものとすると、図5(a)では、品質指標と正の相関の高い潜在変数が1番と2番とが0.55以上の高い相関を示している。そのうち2つの潜在変数の相関係数は、この2つの潜在変数に関する7つの製造因子の重みであり、品質指標を上昇させるための製造因子の変化方向の候補が分かる。例えば、図5(a)の第1の潜在変数を採用する場合では、図5(b)で示すように、製造因子3,4,5はローディングベクトルが+であるため製造因子3,4,5を増やし、製造因子1,6,7はローディングベクトルが−であるため製造因子1,6,7を減らす方向に製造条件を変化させればよい。
続いて製造因子の標準偏差データとローディングベクトルデータに基づいて製造因子の変化量の目安Δxを決定し、製造因子の平均データと決定された製造因子の増減と製造因子の変化量の目安Δxとにより製造因子の設定候補データxを決定する。設定候補データxはそのまま製造因子データとして扱われる。製造因子の設定候補データxは次式に示すようになる。
Figure 2010218187
図11にも示すが、判別された説明変数の品質改善の変化方向の候補を表すローディングベクトルデータpに基づき、調整係数αを入力部2によって調整可能な正の係数として入力し、製造因子xの設定候補データxを、説明変数の平均データE(x)+ローディングベクトルデータp×説明変数の標準偏差データσ(x)×調整係数αとして決定する。αは適当な正の係数であるように設定される。なお、調整係数αは予め設定登録するものとし、入力をしないようにしてもよい。
続いて、データ処理部10は、決定された製造因子を出力部3を通じて提示する製造条件提示手段106として提示する。例えば、図11の表をそのまま提示すれば、オペレータ自らが解析して品質改善条件を決定することとなる。特に製造因子の設定候補データx が表示されるため、オペレータに理解しやすい。設定候補データx をそのまま製造因子データとして用いる。
そして提示された条件により再度製造を行う。そして、改善された製造時のデータを収集する。そのデータに基づいて同様の製造条件探索を行って製造条件を更に改善させることで、製造品質が向上していく。具体的には品質検査データy,y,・・・,yを何れも+方向か−方向か何れかの理想とする方向に高めるというものである。
以上本形態について説明した。このような製造条件最適化装置100によれば、先に図1〜図10を用いて説明した効果に加え、以下の効果が見込める。品質改善のための製造因子データxとして設定候補データxを自動的に算出するため、特に多数の製造因子がある場合には製造条件の設定が容易となる。さらに、係数αを調整することにより、変化の方向の大きさを調整することができ、急激な変化を避けたい場合や、より大幅な改善を行いたい場合などに対応できる。
続いて、他の形態の製造条件調整装置100’について図を参照しつつ説明する。この形態では、PLS回帰式以外にPLS予測モデルを生成し、製造条件の調整と、調整された製造条件による予測モデルによる検証と、を交互に行って最適な製造条件を割り出し、この最適な製造条件にて実際の製造工程で検証して、製造条件割り出しまでの時間短縮・コスト低減を図るものである。この製造条件調整装置100’は、図12で示すようにデータ管理用コンピュータ1、入力部2、出力部3を備える。これらはデータ処理部10が異なった処理を行う以外は、先に説明した構成と同様であり、同じ符号を付すとともに重複する説明を省略する。
続いて、製造条件調整装置100’の実際の運用について図を参照しつつ説明する。図12で示すように、製造条件調整装置100のデータ処理部10は、製造情報収集手段101、製造因子データ行列生成手段102、品質検査データ行列生成手段107、予測モデル生成手段108、品質指標データ行列生成手段103、条件設定用PLS演算手段104、製造条件決定手段105、品質推定手段109、判定手段110、製造条件提示手段106を備える。以下順に説明する。
まず、データ処理部10は、入力部2から入力された複数の製造因子データおよび複数の品質検査データを製造情報データベース21に登録する製造情報収集手段101として機能する。これら製造因子データや品質検査データは、図12で示すように、記憶部20の製造情報データベース21に蓄積される。製造情報データベース21のテーブル構造は、例えば、先に図3を用いて説明した構成と同様に構成される。
続いて、データ処理部10は、複数の製造因子データを用いて製造因子データ行列を生成する製造因子データ行列生成手段102として機能する。まず、製造情報データベース21から製造因子データを読み出す。
そして、データ処理部10は、読み出した製造因子データから製造因子データ行列を生成する。製造因子データ行列Xは先の数1のようになる。データ処理部10は、この製造因子データ行列Xを解析情報データベース22に登録する。
続いて、データ処理部10は、複数の品質検査データを用いて品質検査データ行列を生成する品質検査データ行列生成手段107として機能する。まず、製造情報データベース21から品質検査データを読み出す。
品質検査データは、図3に示すように、
製造製品番号1の品質検査データy(1)、y(1)、y(1)、・・・、y(1)、
製造製品番号2の品質検査データy(2)、y(2)、y(2)、・・・、y(2)、
製造製品番号3の品質検査データy(3)、y(3)、y(3)、・・・、y(3)、
、・・・・、
製造製品番号Nの品質検査データy(N)、y(N)、y(N)、・・・、y(N)
である。
これら品質検査データは過去の製造時に得られた数値である。
続いて品質検査データから品質検査行列データYを生成する。品質検査行列データYは、次式のようになる。
Figure 2010218187
品質検査データ行列YはN行d列の行列となる。データ処理部10は、この品質検査データ行列Yを解析情報データベース22に登録する。
続いて、データ処理部10は、説明変数行列をX、目的変数行列をY、および、潜在変数行列をUとし、X=UR+E、Y=US+FとするPLS回帰式に対して、製造因子データ行列Xおよび品質検査データ行列Yを各々XおよびYとみなして、ローディングベクトルデータ行列Rおよび回帰係数データ行列Sを算出するとともに予測モデルを決定する予測モデル生成手段108として機能する。
まず、潜在変数の個数をMとし、潜在変数行列Uを用いて変換されるPLSモデルのうち各係数行列であるローディングベクトルデータ行列R、回帰係数データ行列Sおよび重み係数データ行列Zを、製造因子データ行列Xおよび品質指標データ行列Yを用いてPLS法により算出する学習手段として機能する。この場合、データ処理部10は、計算途中で出られたデータを順次解析情報データベース22に登録する。
まず、PLSモデルは以下のようになる。
Figure 2010218187
ここで、行列XはN行e列の行列である。YはN行d列の行列である。行列UはN行M列の行列である。行列Rはe行M列の行列である。行列RはM行e列の行列である。行列SはM行d列の行列である。行列Zはe行M列である。
続いてPLSモデルのうち各係数行列であるローディングベクトルデータ行列R、回帰係数データ行列Sおよび重み係数データ行列Zを、製造因子データ行列Xおよび品質検査データ行列Yを用いて算出する。
この係数の算出では、品質検査値と潜在変数との相関関係の強弱を表す係数を算出するものである。まず、m=1として係数を算出する。PLSモデルを数16の形式で定義すると算出式は数17のようになる。
Figure 2010218187
Figure 2010218187
行列Xに製造因子データ行列Xを代入し、また、Yに品質検査データ行列Yを代入することで、係数行列z,u,r,s,X,Yが算出される。数17において、σ はX の最大固有値であり、zは対応する固有ベクトルである。最大固有値と対応する固有ベクトルを求める問題はべき乗法により容易に求められる。各行列の算出はこのように行われる。
以下先の説明と同様にmの値を増やしていき、m=MとなったときにPLS演算を終了し、予測モデルを確定する。係数行列である行列z,・・・,行列z、行列r ,・・・,行列r 、行列s ,・・・,行列s に基づいて製造因子データ行列Xおよび品質検査データ行列YによるPLSモデルを生成する。m=Mにおける予測モデルは数18となる。
Figure 2010218187
データ処理部10は、このようにしてローディングベクトルデータ行列R、回帰係数データ行列Sおよび重み係数データ行列Zを順次解析情報データベース22に登録する。このようにして予測モデルが構築されることとなる。
続いてデータ処理部10は、複数の品質検査データとこれら複数の品質検査データの重みをそれぞれ設定する重み係数データとの内積(両値の積和)を品質指標データとし、複数の品質指標データにより品質指標データ行列を生成する品質指標データ行列生成手段103として機能する。まず、品質指標データを生成する。品質指標データは、図4(b)でも示したが、数2のようになる。
続いて生成した品質指標データから品質指標データ行列を生成する。品質指標データ行列Φは数3のようになる。データ処理部10は、この品質指標データ行列Φを解析情報データベース22に登録する。
続いて、データ処理部10は、説明変数行列をX、目的変数行列をΦ、および、潜在変数行列をTとし、X=TP+E、Φ=TQ+FとするPLS(Partial Least Square:部分的最小二乗法)回帰式に対して、製造因子データ行列Xおよび品質指標データ行列Φを各々XおよびΦとみなして、ローディングベクトルデータ行列Pおよび回帰係数データ行列Qを算出する条件設定用PLS演算手段104として機能する。
先の説明と同様に処理していき、m=MとなったときにPLS演算を終了し、予測回帰式を確定する。係数行列である行列w,・・・,行列w、行列p ,・・・,行列p 、行列q,・・・,行列qに基づいて製造因子データ行列Xおよび品質指標データ行列ΦによるPLSモデルを生成する。m=MにおけるPLS回帰式は数12のような式となる。
データ処理部10は、ローディングベクトルデータ行列Pおよび回帰係数データ行列Qを順次解析情報データベース22に登録する。
続いてデータ処理部10は、回帰係数データ行列Qから潜在変数行列Tの中で相関が高い潜在変数を判定し、この潜在変数についてのローディングベクトルデータ行列Pに応じて製造因子の増減を決定し、また、製造因子の平均データと製造因子の標準偏差データとに基づいて製造因子の変化量の目安である設定量を決定し、決定された製造因子の増減と変化量の目安である設定量とにより製造因子の設定候補データを決定する製造条件決定手段105として機能する。
製造因子の増減を決定については、例えば、先ほど図5(a),(b)を用いて説明した手法により決定する。この例ではPLS回帰式の作成により、多くの潜在変数から7つの潜在変数が抽出されたものを示している。仮に品質指標と潜在変数との間で相関係数0.55以上が高い相関を示す潜在変数を選択するものとすると、図5(a)では、品質指標と正の相関の高い潜在変数が1番と2番とが0.55以上の高い相関を示している。そのうち2つの潜在変数の相関係数は、この2つの潜在変数に関する7つの製造因子の重みであり、品質指標を上昇させるための製造因子の変化方向の候補が分かる。例えば、図5(a)の第1の潜在変数を採用する場合、図5(b)で示すように、製造因子3,4,5はローディングベクトルが+であるため製造因子3,4,5を増やし、製造因子1,6,7はローディングベクトルが−であるため製造因子6,7を減らす方向に製造条件を変化させればよい。
続いて製造因子の標準偏差データとローディングベクトルデータに基づいて製造因子の変化量の目安Δxを決定し、製造因子の平均データと決定された製造因子の増減と製造因子の変化量の目安Δxとにより製造因子の設定候補データxを決定する。
図11にも示すが、判別された説明変数の品質改善の変化方向の候補を表すローディングベクトルデータpに基づき、調整係数αを入力部2によって調整可能な正の係数として入力し、製造因子xの設定候補データxを、説明変数の平均データE(x)+ローディングベクトルデータp×説明変数の標準偏差データσ(x)×調整係数αとして決定する。αは適当な正の係数であるように設定される。なお、調整係数αは予め設定登録するものとし、入力をしないようにしてもよい。最終的に変化候補値により決定された新しい製造因子を製造因子データXとする
続いて、データ処理部10は、製造条件決定手段105で決定された製造条件である製造因子データXに基づき、PLS予測モデルを用いて予測した品質検査データYを生成し、品質検査データYから製造品質を予測する品質推定手段109として機能する。予測対象の製造因子データX、予測対象の品質検査データYはそれぞれ次式のようになる。
Figure 2010218187
Figure 2010218187
予測モデル生成手段108によって作成した数18で表されるPLS予測モデルの重み係数データ行列Zを数21で表す。
Figure 2010218187
同様に、ローディングベクトルデータ行列Rを数22で表す。
Figure 2010218187
上記PLS予測モデルに基づき、予測対象データの製造因子データXから予測対象データの潜在変数を計算すると数23のようになる。
Figure 2010218187
さらに、PLS予測モデルの回帰係数データ行列を数24で表す。
Figure 2010218187
数23の予測対象データの潜在変数と数24の回帰係数データ行列によれば、予測対象データの品質検査データYの計算式は数25のようになる。
Figure 2010218187
データ処理部10は、製造品質が所定目標に到達するまで品質指標データ行列生成手段103、条件設定用PLS演算手段104、製造条件決定手段105および品質推定手段109を繰り返すように判定する判定手段110として機能する。
求められた製造因子データXと品質検査データYとを例えばX(1)、Y(1)と入れ換えて新たな製造因子データXや品質検査データYを生成してから、品質指標データ行列生成手段103、条件設定用PLS演算手段104、製造条件決定手段105、品質推定手段109を繰り返し行い、品質指標の改善が収束したときや所定目標に到達したときや所定回数の繰り返しを終えたときの製造因子データで製造条件を確定し、製造条件提示手段106へ移行する。
続いて、データ処理部10は、決定された製造因子を出力部3を通じて提示する製造条件提示手段106として提示する。例えば、図11の表をそのまま提示すれば、後は製造因子の設定候補データを最適な品質改善条件として決定することとなる。特に製造因子の設定候補値x が表示されるため、オペレータに理解しやすい。また、図示しないが各製造因子の設定候補データのみを単に製造因子データとして表示するようにしても良い。
そして提示された条件により製造を行う。そして、改善された製造時のデータを収集する。そのデータに基づいて同様の製造条件探索を行って製造条件を更に改善させることができ、製造品質が向上していく。具体的には品質検査データy,y,・・・,yを何れも+方向か−方向か何れかの理想とする方向に高めるというものである。
以上本形態について説明した。このような製造条件最適化装置100’によれば、品質改善用のPLS回帰式とは別に、品質検査値を目的変数としたPLS予測モデルが作成される。これにより、製造因子から重み付けする前の品質検査値を推定することが可能であり、製造因子を変化させた場合の品質が、多目的変数モデルで予測されるため実際に製造工程に変更を反映させる前に影響をアセスメントできる。さらに、予測された品質から、トレードオフを考慮し、品質検査値への重みνを修正し、再度説明変数の変化方向の候補を計算し直すことができる。これにより、製造因子を変化させた結果を予め予測検討することができ、検討結果からより望ましい品質結果となるよう品質計測値の変化方向を適宜修正可能であるため、品質間のトレードオフが存在する場合においても適切な製造因子の変化方向の探索が可能となる。さらに、製造因子の変化方向の候補自体の大きさなどを修正したい場合においても、その影響を多目的変数モデルで予め検討可能である。
続いて他の形態の製造条件調整装置100”について説明する。図13で示すように、本形態では、データ管理用コンピュータ1に対して工程1用加工装置4、工程2用加工装置5、・・・、工程e用加工装置n、が通信可能となるように接続されており、ディスプレイに加えて設けられた他のスイッチや自動調節部等の出力部が設定手段として機能する構成である。データ管理用コンピュータ1は先に説明した何れかの形態のデータ管理用コンピュータ1であるが、製造因子の設定候補データを算出するような図12を用いて説明した形態のデータ管理用コンピュータ1の採用が好ましい。これら工程1用加工装置4、工程2用加工装置5、・・・、工程e用加工装置nは、図2の製造工程の各工程で用いられる工程1、工程2、・・・、工程eに対応する。最適な製造条件を割り出した後に出力部が設定手段として機能して各加工装置が最適な製造条件に変更されるようにした。このようにすることで更なる自動化が可能である。
続いて他の形態の製造条件調整装置100”について説明する。図14で示すように、本形態では、データ管理用コンピュータ1に対して工程1用加工装置4、工程2用加工装置5、・・・、工程e用加工装置n、が通信可能となるように接続されており、設定装置やセンサやメータ等であって製造因子データおよび品質検査データを扱う入力部が計測手段として機能し、かつ、ディスプレイに加えて設けられた他のスイッチや自動調節部等の出力部が設定手段として機能する構成である。データ管理用コンピュータ1は先に説明した何れかの形態のデータ管理用コンピュータ1であるが、製造因子の設定候補データを算出するような図12を用いて説明した形態のデータ管理用コンピュータ1の採用が好ましい。データ処理部10は、入力部2から入力された複数の製造因子データおよび複数の品質検査データを過去の実績に係るデータとして製造情報データベース21に登録する製造情報収集手段として機能する。これら工程1用加工装置4、工程2用加工装置5、・・・、工程e用加工装置nは、図2の製造工程の各工程で用いられる工程1、工程2、・・・、工程eに対応する。入力部が計測手段として機能して製造因子データや品質検査データを取得し、データ処理部10が最適な製造条件を割り出した後に出力部が設定手段として機能して各加工装置が最適な製造条件に変更されるようにした。このようにすることで更なる自動化が可能である。
以上、本発明の製造条件調整装置100,100,100”について説明した。本発明によれば、複数の工程からなる製造工程において、各工程での途中検査値から最終品質検査値を予測できるため、製造上の不良品をいち早く特定できる。また、複数の品質検査値間のトレードオフを考慮して、品質指標の修正と製造因子の改善(変化方向の候補の提示や製造因子の設定候補データの提示など)を繰り返し実施することができ、製造者にとって実現しやすい製造条件の改善を容易に見出すことができる。さらに、PLS(部分的最小2乗法)を用いることにより、複数の製造因子間に多重共線性がある場合においても安定的にモデル化が行え、分析によって得られたパラメータの信頼性が高くなる。
この場合、設備、材料、加工方法等の変更など、短期的な工程上の変化があった場合には、PLS回帰式の当てはまりが低下することがあるため、工程変化後の取得データを用いて再度PLS回帰式を算出するとよい。また、設備の経年劣化など、長期的な工程上の変化に対しては、直近のデータを用いて作成したモデルと過去のモデルを比較するなどして、傾向の差を監視しておくとよい。さらに、取得データ数、特異な外れ値、非線形依存性、分布の偏り等を監視し、また、使用するデータの平均や標準偏差を予め求めておき、PLSの適用が適切に行えるデータが得られているかどうか事前に判断し、必要に応じてデータの再取得や選別を行うことが望ましい。さらに、製造因子を変化させた後の製造データを監視し、所望の効果が得られたかどうか確認しておくことが望ましい。
本発明の製造条件調整装置は、特に複数の製造工程を経る製品製造全般に適用することができる。
100,100’,100”:製造条件調整装置
1:データ管理用コンピュータ
10:データ処理部
20:記憶部
2:入力部
3:出力部
4:工程1用加工装置
5:工程2用加工装置
n:工程e用加工装置

Claims (7)

  1. データ処理部と、
    複数の工程を経て製品を製造する製品製造工程のぞれぞれの工程毎の設定条件値や計測値を表す製造因子データと、完成された製品についての品質を表す複数の品質検査データと、が登録される製造情報データベースが構築されており、前記データ処理部によりデータの読み書きが行なわれる記憶部と、
    前記データ処理部へ入力がなされる入力部と、
    前記データ処理部から出力がなされる出力部と、
    を有し、製造因子データおよび品質検査データに基づいて解析し、この品質検査データを目標に近づけるような新たな製造条件を提示する製造条件調整装置であって、
    このデータ処理部は、
    前記入力部から入力された過去の実績に係る複数の製造因子データおよび複数の品質検査データを製造情報データベースに登録する製造情報収集手段と、
    複数の製造因子データを用いて製造因子データ行列Xを生成する製造因子データ行列生成手段と、
    複数の品質検査データとこれら複数の品質検査データの重みをそれぞれ設定する重み係数データとの内積(両値の積和)を品質指標データとし、複数の品質指標データにより品質指標データ行列Φを生成する品質指標データ行列生成手段と、
    説明変数行列をX、目的変数行列をΦ、および、潜在変数行列をTとし、X=TP+E、Φ=TQ+FとするPLS(Partial Least Square:部分的最小二乗法)回帰式に対して、製造因子データ行列Xおよび品質指標データ行列Φを各々XおよびΦとみなして、ローディングベクトルデータ行列Pおよび回帰係数データ行列Qを算出する条件設定用PLS演算手段と、
    回帰係数データ行列Qから潜在変数行列Tの中で品質指標と相関が高い潜在変数を判定し、この判定された潜在変数についてのローディングベクトルデータ行列Pに応じて製造因子の調整内容を決定する製造条件決定手段と、
    決定された製造因子の調整内容を出力部を通じて提示する製造条件提示手段と、
    を備えることを特徴とする製造条件調整装置。
  2. データ処理部と、
    複数の工程を経て製品を製造する製品製造工程のぞれぞれの工程毎の設定条件値や計測値を表す製造因子データと、完成された製品についての品質を表す複数の品質検査データと、が登録される製造情報データベースが構築されており、前記データ処理部によりデータの読み書きが行なわれる記憶部と、
    前記データ処理部へ入力がなされる入力部と、
    前記データ処理部から出力がなされる出力部と、
    を有し、製造因子データおよび品質検査データに基づいて解析し、この品質検査データを目標に近づけるような新たな製造条件を提示する製造条件調整装置であって、
    このデータ処理部は、
    前記入力部から入力された過去の実績に係る複数の製造因子データおよび複数の品質検査データを製造情報データベースに登録する製造情報収集手段と、
    複数の製造因子データを用いて製造因子データ行列Xを生成する製造因子データ行列生成手段と、
    複数の品質検査データとこれら複数の品質検査データの重みをそれぞれ設定する重み係数データとの内積(両値の積和)を品質指標データとし、複数の品質指標データにより品質指標データ行列Φを生成する品質指標データ行列生成手段と、
    説明変数行列をX、目的変数行列をΦ、および、潜在変数行列をTとし、X=TP+E、Φ=TQ+FとするPLS回帰式に対して、製造因子データ行列Xおよび品質指標データ行列Φを各々XおよびΦとみなして、ローディングベクトルデータ行列Pおよび回帰係数データ行列Qを算出する条件設定用PLS演算手段と、
    回帰係数データ行列Qから潜在変数行列の中で品質指標と相関が高い潜在変数を判定し、この判定された潜在変数についてのローディングベクトルデータ行列Pに応じて製造因子の増減を決定し、また、製造因子の平均値と製造因子の標準偏差とに基づいて製造因子の設定量を決定し、決定された製造因子の増減と設定量とにより製造因子を決定する製造条件決定手段と、
    決定された製造因子を出力部を通じて提示する製造条件提示手段と、
    を備えることを特徴とする製造条件調整装置。
  3. データ処理部と、
    複数の工程を経て製品を製造する製品製造工程のぞれぞれの工程毎の設定条件値や計測値を表す製造因子データと、完成された製品についての品質を表す複数の品質検査データと、が登録される製造情報データベースが構築されており、前記データ処理部によりデータの読み書きが行なわれる記憶部と、
    前記データ処理部へ入力がなされる入力部と、
    前記データ処理部から出力がなされる出力部と、
    を有し、製造因子データおよび品質検査データに基づいて解析し、この品質検査データを目標に近づけるような新たな製造条件を提示する製造条件調整装置であって、
    このデータ処理部は、
    前記入力部から入力された過去の実績に係る複数の製造因子データおよび複数の品質検査データを製造情報データベースに登録する製造情報収集手段と、
    複数の製造因子データを用いて製造因子データ行列Xを生成する製造因子データ行列生成手段と、
    複数の品質検査データを用いて品質検査データ行列Yを生成する品質検査データ行列生成手段と、
    説明変数行列をX、目的変数行列をY、および、潜在変数行列をUとし、X=UR+E、Y=US+FとするPLS回帰式に対して、製造因子データ行列Xおよび品質検査データ行列Yを各々XおよびYとみなして、ローディングベクトルデータ行列Rおよび回帰係数データ行列Sを算出するとともに予測モデルを決定する予測モデル生成手段と、
    複数の品質検査データとこれら複数の品質検査データの重みをそれぞれ設定する重み係数データとの内積(両値の積和)を品質指標データとし、複数の品質指標データにより品質指標データ行列Φを生成する品質指標データ行列生成手段と、
    説明変数行列をX、目的変数行列をΦ、および、潜在変数行列をTとし、X=TP+E、Φ=TQ+FとするPLS回帰式に対して、製造因子データ行列Xおよび品質指標データ行列Φを各々XおよびΦとみなして、ローディングベクトルデータ行列Pおよび回帰係数データ行列Qを算出する条件設定用PLS演算手段と、
    回帰係数データ行列Qから潜在変数行列の中で品質指標と相関が高い潜在変数を判定し、この判定された潜在変数についてのローディングベクトルデータ行列Pに応じて製造因子の増減を決定し、また、製造因子の平均値と製造因子の標準偏差とに基づいて製造因子の設定量を決定し、決定された製造因子の増減と設定量とにより製造因子を決定する製造条件決定手段と、
    製造条件決定手段で決定された製造因子を表す製造因子データを用いて、予測モデルのローディングベクトルデータ行列Rおよび回帰係数データ行列Sに基づき品質検査データを予測・生成し、品質検査データから製造品質を予測する品質推定手段と、
    製造品質が所定目標に到達するまで品質指標データ行列生成手段、条件設定用PLS演算手段、製造条件決定手段および品質推定手段を繰り返すように判定する判定手段と、
    製造品質が所定目標に到達して決定された製造因子を出力部を通じて提示する製造条件提示手段と、
    を備えることを特徴とする製造条件調整装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の製造条件調整装置において、
    前記重み係数データは、複数の品質検査データ間のトレードオフを考慮し、複数の品質検査データの望ましい増減を設定する重みづけを表すデータであることを特徴とする製造条件調整装置。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の製造条件調整装置において、
    前記製造情報データベースに登録される前記製造因子データおよび前記品質検査データは、それぞれ予め平均および標準偏差を用いて統計的に正規化されたデータであることを特徴とする製造条件調整装置。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の製造条件調整装置において、
    前記出力部は、複数の工程n用加工装置の全てに設置されてデータ処理部と通信するようになされており、複数の工程n用加工装置のそれぞれにデータ処理部から送信された製造因子データを設定し、
    複数の工程n用加工装置は、それぞれ調整された製造条件で製造することを特徴とする製造条件調整装置。
  7. 請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の製造条件調整装置において、
    前記入力部は、複数の工程n用加工装置の全てに設置されてデータ処理部と通信するようになされており、計測や設定により製造因子データおよび品質検査データを取得してデータ処理部へ送信し、
    前記データ処理部は、収集した前記製造因子データおよび前記品質検査データを製造物毎に記録管理する製造情報データベースに入力し、
    前記出力部は、複数の工程n用加工装置の全てに設置されてデータ処理部と通信するようになされており、複数の工程n用加工装置のそれぞれにデータ処理部から送信された製造因子データを設定し、
    複数の工程n用加工装置は、それぞれ調整された製造条件で製造することを特徴とする製造条件調整装置。
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