JP2005274143A - 多成分水溶液の分析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 厳格な温度管理及び温度制御を要することなく容易に正確な校正が行え、しかも、実測定時にはメンテナンス手間を要することなく、多成分の濃度値を高精度かつ効率的に測定できるようにする。
【解決手段】 分光分析装置の吸光度をゼロに調整するための校正作業時の標準試料として空気を用い、この空気の吸光度スペクトルから算出される校正係数を既知濃度の溶媒の校正係数に変換し記憶させておき、実測定作業時には記憶されている既知濃度の溶媒の校正係数を読み出して被検試料の各成分濃度値を求める。
【選択図】 図4
【解決手段】 分光分析装置の吸光度をゼロに調整するための校正作業時の標準試料として空気を用い、この空気の吸光度スペクトルから算出される校正係数を既知濃度の溶媒の校正係数に変換し記憶させておき、実測定作業時には記憶されている既知濃度の溶媒の校正係数を読み出して被検試料の各成分濃度値を求める。
【選択図】 図4
Description
本発明は、例えば半導体プロセス用薬剤などの多成分水溶液の各成分濃度を分光分析装置を用いて求める多成分水溶液の分析方法で、詳しくは、標準試料に所望の波長間で反復走査される光を透過させることにより得られる吸光度スペクトルから分光分析装置の吸光度をゼロに調整するための校正係数を算出する校正作業を行った後、前記分光分析装置に保持された未知濃度の多成分よりなる被検試料に前記光を透過させることにより得られる吸光度スペクトルと前記校正係数に基づいて、多変量解析における偏最小自乗回帰法によって前記被検試料の各成分濃度値を求める実測定作業を行う多成分水溶液の分析方法に関する。
この種の多成分水溶液の分析方法において、使用する分光分析装置の吸光度をゼロに調整するための校正方法としては、標準試料として空気を用い、この空気の吸光度スペクトルからゼロ調整用の校正係数を得る、いわゆる、空気バックグランド(以下、空気BGという)方式と、標準試料として純水など既知濃度の溶媒を用い、この溶媒の吸光度スペクトルからゼロ調整用の校正係数を得る、いわゆる、溶媒バックグランド(以下、溶媒BGという)方式とが知られている。
ところで、分析装置を測定現場に持ち込んで被検試料の各成分濃度値を求める実測定作業前に行う校正方法として、従来一般には、試料セルの洗浄、乾燥などのメンテナンスに多大な手数及び時間を要し、かつ、そのようなメンテナンス性の悪さによって測定作業効率自体が低下する空気BG方式でなく、被検試料のうち既知濃度の純水など溶媒を標準試料として用いる溶媒BG方式が採用されていた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のような溶媒BG方式の校正方法が採用されていた従来の多成分水溶液の分析方法では、標準試料として用いる溶媒の吸光度が溶媒温度によって大きく変動する温度依存性の大きいものであるために、その校正用の溶媒温度が測定対象である未知濃度の被検試料の温度と一致するように厳格に温度管理しなければならない。特に、分析装置のドリフト現象等に対応して校正のやり直し(補正)が必要となった場合にも溶媒温度を被検試料の温度と正確に一致するような高精度な温度制御が要求される。それは、仮に、校正用の溶媒温度が変動すると、吸光度の基準ベースが変化してしまい、校正スペクトル間に不整合が起こって正確な校正係数が得られなくなり、その結果、実測定時における測定精度が著しく低下することになるからである。
したがって、従来一般に採用されている溶媒BG方式の校正方法の場合は、厳格な温度管理及び高精度な温度制御のために、装置全体が大型化し、広い設置面積を必要とするだけでなく、構造的にも複雑で設備コストが嵩むという問題があった。
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的は、厳格な温度管理及び温度制御を要することなく容易に正確な校正が行え、しかも、実測定時にはメンテナンスに手間を要することなく、多成分の濃度値を高精度かつ効率的に測定することができる多成分水溶液の分析方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る多成分水溶液の分析方法は、標準試料に所望の波長間で反復走査される光を透過させることにより得られる吸光度スペクトルから分光分析装置の吸光度をゼロに調整するための校正係数を算出する校正作業を行った後、前記分光分析装置に保持された未知濃度の多成分よりなる被検試料に前記光を透過させることにより得られる吸光度スペクトルと前記校正作業で算出された校正係数とから多変量解析における偏最小自乗回帰法によって前記被検試料の各成分濃度値を求める実測定作業を行う多成分水溶液の分析方法であって、前記校正作業時の標準試料として空気を用い、この空気の吸光度スペクトルから算出される校正係数を既知濃度の溶媒の校正係数に変換し記憶させておき、前記実測定作業時には記憶されている既知濃度の溶媒の校正係数を読み出して前記被検試料の各成分濃度値を求めることを特徴としている。
ここで、前記校正作業時に空気の吸光度スペクトルから算出される校正係数は、吸光度に乗算される項と定数項とからなり、そのうち定数項のみを所定の値に変更することで、既知濃度の溶媒の校正係数に変換するものである(請求項2)。
また、本発明の請求項3に係る多成分水溶液の分析方法は、標準試料に所望の波長間で反復走査される光を透過させることにより得られる吸光度スペクトルから分光分析装置の吸光度をゼロに調整するための校正係数を算出する校正作業を行った後、前記分光分析装置に保持された未知濃度の多成分よりなる被検試料に前記光を透過させることにより得られる吸光度スペクトルと前記校正係数に基づいて、多変量解析における偏最小自乗回帰法によって前記被検試料の各成分濃度値を求める実測定作業を行う多成分水溶液の分析方法であって、前記校正作業時の標準試料として空気及び被検試料の中から選択された一つの特定溶液を用い、その選択された特定溶液の吸光度スペクトルと既知濃度の溶媒の吸光度スペクトルとの差分スペクトルを記憶しておき、前記実測定作業時には前記特定溶液の吸光度スペクトルを測定し、前記校正作業時に記憶されている前記差分スペクトルから実測定作業時に測定した特定溶液の吸光度スペクトルを差し引いた第2の差分スペクトルを求め、さらに、他の濃度の複数の溶液の吸光度スペクトルと既知濃度の溶媒吸光度スペクトルとの差分スペクトルから前記第2の差分スペクトルを差し引いた吸光度スペクトルより校正係数を求め、この校正係数に基づいて被検試料の各成分濃度値を求めることを特徴としている。
上記のような特徴を有する本発明の請求項1に係る方法の場合は、紫外・可視・近赤外線域で殆ど光を吸収しないためにその吸光度が温度に全く依存することのない空気を標準試料として用いて空気BG方式で校正作業を行うことにより、その標準試料の温度を被検試料の温度と正確に一致させるような厳格な温度管理が不要であるのみならず、装置ドリフト等に対応して校正を補正する時も標準試料の温度を被検試料の温度に一致させるような高精度な温度制御も不要で、装置全体の小型化、省スペース化、設備コストの低減化を図りつつ、所定の校正作業を容易かつ正確に行うことができる。しかも、分析装置を測定現場に持ち込んで被検試料の各成分濃度値を求める実測定作業時には、空気BG方式の校正作業時に空気の吸光度スペクトルから算出される校正係数を変換して記憶させている既知濃度の溶媒の校正係数を読み出し、その溶媒の校正係数と被検試料の吸光度スペクトルとから多変量解析における偏最小自乗回帰法によって被検試料の各成分濃度値を求めることにより、溶媒BG方式での測定を一切要することなく、所定の多成分の濃度値を高精度かつ効率的に測定することができるという効果を奏する。
また、本発明の請求項3に係る方法の場合は、校正作業時の標準試料として空気のほかに被検試料の中から選択された一つの特定溶液を用いて温度依存性のない空気BG方式で校正作業を行うことにより、厳格な温度管理及び校正補正時の高精度な温度制御を不要にして、装置全体の小型化、省スペース化、設備コストの低減化を図りつつ、所定の校正作業を容易かつ正確に行うことができる。しかも、分析装置を測定現場に持ち込んでの実測定作業時には、溶媒BG方式で一つの特定溶液の吸光度スペクトルを測定するだけで正確な校正係数を求め、この校正係数と被検試料の吸光度スペクトルとから多変量解析における偏最小自乗回帰法によって被検試料の各成分濃度値を求めることにより、請求項1の方法の場合よりも少し手間を要するものの、試料セルに順次導入される空気、溶媒、溶液の反射損失等の相違にかかわらず、所定の多成分の濃度値の測定精度を高めることができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る多成分水溶液の分析方法の実施に際して用いられる分光分析装置20の概略構成図であり、この分光分析装置20は、例えばハロゲンランプなどよりなる連続スペクトル光源1と、この光源1からの光を集束するための集光レンズ2と、前記光源1からの光を分光分析する分光分析部3と、この分光分析部3と前記集光レンズ2との間に配置される試料セル5とを備えており、前記試料セル5は、試料光測定位置と参照光測定位置との間に亘り移動自在に構成され、また、前記光を遮断する遮断部材6が光路中に進退自在に設けられている。
図1は本発明に係る多成分水溶液の分析方法の実施に際して用いられる分光分析装置20の概略構成図であり、この分光分析装置20は、例えばハロゲンランプなどよりなる連続スペクトル光源1と、この光源1からの光を集束するための集光レンズ2と、前記光源1からの光を分光分析する分光分析部3と、この分光分析部3と前記集光レンズ2との間に配置される試料セル5とを備えており、前記試料セル5は、試料光測定位置と参照光測定位置との間に亘り移動自在に構成され、また、前記光を遮断する遮断部材6が光路中に進退自在に設けられている。
前記分光分析部3は、入射スリット7と、凹面鏡からなるコリメート鏡8と、回折格子9と、凹面鏡からなるカメラ鏡10と、多チャンネル検出器4とを具備している。前記多チャンネル検出器4は、分光された各波長の光を検出するものであり、また、前記試料セル5は、試料液等が収納される収納部5aとその前後に設けられている透光性の窓5b,5cとを有し、この試料セル5の一部で前記遮断部材6を兼用するように構成されており、さらに、この試料セル5には、駆動手段11を介して該試料セル5を光源1からの光の光路に対して試料光測定位置と参照光測定位置との間に亘り移動させる動力伝達部5dが連設されている。
前記分光分析部3の多チャンネル検出器4には、該検出器4による光強度検出信号が増幅器12、ADコンバータ13を通して入力される演算手段(以下、CPUと称する)14が接続されている。このCPU14は、前記光強度検出信号を吸光度スペクトルに変換するとともに、その吸光度スペクトルと後述する校正係数に基づいて、多変量解析における偏最小自乗回帰法(PLSR)によって被検試料の多成分の濃度値を演算する演算部15と前記校正係数などを記憶するメモリ部16等を有しているとともに、前記演算部15で求められた多成分の濃度値を表示する表示部(以下、DISPと称する)17が接続されている。
次に、上記のように構成されている分光分析装置20を用いて多成分水溶液の多成分濃度値を測定する本発明の請求項1及び請求項2に対応する第1実施例の分析方法について説明する。
まず、分光分析装置20の製造メーカー等において該分析装置20の吸光度をゼロに調整する校正作業を行う。この時の標準試料として空気を用い、その空気を試料セル5の収納部5aに導入した状態で、光源1から所望の波長(例えば1400nm〜1850nm)間で反復走査される光を選択的に試料セル5に透過させることにより、その透過した測定光は入射スリット7から分光分析部3に入り、この分光分析部3内での平行光束、回折、反射作用を経て多チャンネル検出器4で光強度として検出された後、その検出信号が増幅器12、ADコンバータ13を通してCPU14に入力される。
まず、分光分析装置20の製造メーカー等において該分析装置20の吸光度をゼロに調整する校正作業を行う。この時の標準試料として空気を用い、その空気を試料セル5の収納部5aに導入した状態で、光源1から所望の波長(例えば1400nm〜1850nm)間で反復走査される光を選択的に試料セル5に透過させることにより、その透過した測定光は入射スリット7から分光分析部3に入り、この分光分析部3内での平行光束、回折、反射作用を経て多チャンネル検出器4で光強度として検出された後、その検出信号が増幅器12、ADコンバータ13を通してCPU14に入力される。
そして、このCPU14に入力された光強度検出信号は、図3のフローチャートに示すように、所定の演算式によって図2に示すような空気の吸光度スペクトル(校正スペクトル)に変換される(ステップS1)。この校正スペクトルから分光分析装置20の吸光度をゼロに調整する校正係数を算出し(ステップS2)、それに基づいて分光分析装置20の吸光度をゼロに調整する(ステップS3)とともに、その校正係数を測定対象の被検液における既知濃度の溶媒(純水)の校正係数に変換し(ステップS4)、その変換された溶媒の校正係数をCPU14のメモリ部16に記憶させる(ステップS5)。
以上の空気BG方式での校正作業(ゼロ調整)が完了した後は、分光分析装置20を測定現場に持ち込んで被検試料の各成分濃度値を求める実測定作業が行われるが、この実測定作業時には、図4のフローチャートに示すように、上記の校正作業時にメモリ部16に記憶されている既知濃度の溶媒の校正係数が読み出される(ステップS11)。この読み出された溶媒の校正係数に関して、分光分析装置20のドリフト等に対応して校正のやり直し(補正)が必要であるか否かを判定し(ステップS12)、補正の必要があると判定されたときは装置ドリフト等に起因して変化している前記溶媒の校正係数を補正する(ステップS13)。
この状態で、試料セル5の収納部5aに被検試料を導入したうえ、光源1から所望の波長(例えば1400nm〜1850nm)間で反復走査される光を選択的に試料セル5に透過させることにより、分光分析部3の多チャンネル検出器4による検出信号が増幅器12、ADコンバータ13を通してCPU14に入力されて被検試料の吸光度スペクトルが得られる(ステップS14)。この被検試料の吸光度スペクトルと前記メモリ部16から読み出された校正係数、または、装置ドリフト等に対応して補正された溶媒の校正係数との演算処理(ステップS15)によって被検試料の各成分の濃度値が求められる(ステップS16)。
上記したような第1実施例では、紫外・可視・近赤外線域で殆ど光を吸収しないためにその吸光度が温度に全く依存することのない空気を標準試料として用いて空気BG方式で校正作業を行うことにより、その標準試料の温度を被検試料の温度と正確に一致させるような厳格な温度管理が不要であるのみならず、装置ドリフト等に対応して校正を補正する時も標準試料の温度を被検試料の温度に一致させるような高精度な温度制御も不要であり、そのために、装置全体の小型化、省スペース化、設備コストの低減化が図れるものでありながら、所定の校正作業を容易かつ正確に行うことができる。また、分光分析装置20を測定現場に持ち込んで被検試料の各成分濃度値を求める実測定作業時には、空気BG方式の校正作業時に変換し記憶されている既知濃度の溶媒の校正係数を読み出して、それと被検試料の吸光度スペクトルとから多変量解析における偏最小自乗回帰法によって被検試料の各成分濃度値を求めることにより、溶媒BG方式での測定は一切要することなく、所定の多成分の濃度値を高精度かつ効率的に測定することができる。
この第1実施例のように、温度管理や温度制御を要さないことから校正の実行が容易な空気BG方式で取得した吸光度スペクトルから算出の校正係数を溶媒BG方式の校正係数に簡単に変換できる理由及びそのような変換を行っても測定精度には殆ど影響がでない理由について以下説明する。
空気BG方式での溶媒濃度及び第j溶質成分濃度の算出式は、下記の(1),(2)式で表される。一方、溶媒BG方式での溶媒濃度及び第j溶質成分濃度の算出式は、下記の(3),(4)式で表される。
空気BG方式での溶媒濃度及び第j溶質成分濃度の算出式は、下記の(1),(2)式で表される。一方、溶媒BG方式での溶媒濃度及び第j溶質成分濃度の算出式は、下記の(3),(4)式で表される。
上記の(1)〜(4)式からも理解されるように、溶媒BG方式での溶媒濃度や第j溶質成分濃度算出用の校正係数{Noi(i=1〜k),Nji(i=1〜k)}及び空気BG方式での溶媒濃度や第j溶質成分濃度算出用の校正係数{Moi(i=1〜k),Mji(i=1〜k)}は共に、吸光度スペクトル{Abs(i),Abs(i’)}に乗算される項(波長点数分あり)と定数項とからなり、それゆえに、両校正係数は、下記の(5)式で示すような関係式で結ぶことが可能である。
したがって、上記(1)〜(4)式のうち定数項のみを所定の値に変更することで、空気BG方式での溶媒濃度や第j溶質成分濃度算出用の校正係数を、溶媒BG方式での溶媒濃度や第j溶質成分濃度算出用の校正係数に変換して実測定を行っても、溶媒BG方式での校正係数を用いて実測定を行った場合とほぼ同等な濃度測定精度が得られることが理解されるであろう。
なお、上記第1実施例では、空気BG方式での溶液吸光度スペクトルAbs(i) から溶媒吸光度スペクトルAbs''(i)を差し引いたものが、溶媒BG方式での溶液吸光度スペクトルAbs'(i)と等しい、すなわち、
Abs(i) −Abs''(i)=Abs'(i) …(6)
と仮定したが、実際には、試料セル5に空気、溶媒、溶液が導入された場合、それぞれの反射損失の違い等から、上記(6)が成立せず、少し差が出て測定精度が低下する場合が考えられる。
Abs(i) −Abs''(i)=Abs'(i) …(6)
と仮定したが、実際には、試料セル5に空気、溶媒、溶液が導入された場合、それぞれの反射損失の違い等から、上記(6)が成立せず、少し差が出て測定精度が低下する場合が考えられる。
そこで、本発明の請求項3に対応する第2実施例の分析方法が考えられる。この第2実施例では、校正作業時の標準試料として空気の他に被検試料のうちの代表的な濃度の溶液の一つ、例えば特定薬液を選択して、空気BG方式での校正作業時に測定した図5に示すような特定薬液の吸光度スペクトルA(1個)から空気BG方式での既知濃度の溶媒、例えば水の吸光度スペクトルB(1個)を差し引いた差分スペクトルC(=A−B)を求めてこれをCPU14のメモリ部16に記憶させておく。
そして、分光分析装置20を測定現場に持ち込んで被検試料の各成分濃度値を求める実測定作業時には、溶媒BG方式で前記特定薬液の吸光度スペクトルA’を測定するとともに、この特定薬液の吸光度スペクトルA’を前記メモリ部16から読み出した前記の差分スペクトルC(=A−B)から差し引いた第2の差分スペクトルE(=A−B−A’)を求め、さらに、他の濃度の複数の溶液、例えば薬液の吸光度スペクトルA”と既知濃度の溶媒、例えば水の吸光度スペクトルBとの差分スペクトル(A”−B)から前記第2の差分スペクトルEを差し引いた吸光度スペクトル{(A”−B)−E}の多変量解析により溶媒BG方式での校正係数を求め、この校正係数に基づいて被検試料の各成分濃度値を求める。
このような第2実施例の場合は、上述した第1実施例の場合よりも少し手間を要するものの、試料セル5に順次導入される空気、溶媒、溶液の反射損失等の相違にかかわらず、所定の多成分の濃度値の測定精度を高めることができる。
なお、上記各実施例では、分光分析装置20として、試料セル5が試料光測定位置と参照光測定位置とに移動自在で、かつ、光遮断部材6が試料セル5と一体的に形成されて光路中に進退自在に構成されている単一光路形式のものを用いている。これによって、測定系光路と比較系光路とが別々に形成されている二光路形式のものに比べて、試料光量と参照光量との比や吸光度などへの悪影響がなくなり、測定の信頼性向上を図ることができるが、本発明では、二光路形式の分光分析装置を用いてもよい。
1 光源
3 分光分析部
5 試料セル
14 CPU
16 メモリ部
20 分光分析装置
A,A’,B,C,E 吸光度スペクトル
3 分光分析部
5 試料セル
14 CPU
16 メモリ部
20 分光分析装置
A,A’,B,C,E 吸光度スペクトル
Claims (3)
- 標準試料に所望の波長間で反復走査される光を透過させることにより得られる吸光度スペクトルから分光分析装置の吸光度をゼロに調整するための校正係数を算出する校正作業を行った後、前記分光分析装置に保持された未知濃度の多成分よりなる被検試料に前記光を透過させることにより得られる吸光度スペクトルと前記校正作業で算出された校正係数に基づいて、多変量解析における偏最小自乗回帰法によって前記被検試料の各成分濃度値を求める実測定作業を行う多成分水溶液の分析方法であって、
前記校正作業時の標準試料として空気を用い、この空気の吸光度スペクトルから算出される校正係数を既知濃度の溶媒の校正係数に変換し記憶させておき、前記実測定作業時にはその記憶されている既知濃度の溶媒の校正係数を読み出して前記被検試料の各成分濃度値を求めることを特徴とする多成分水溶液の分析方法。 - 前記校正作業時に空気の吸光度スペクトルから算出される校正係数は、吸光度に乗算される項と定数項とからなり、そのうち定数項のみを所定の値に変更することで、既知濃度の溶媒の校正係数に変換する請求項1に記載の多成分水溶液の分析方法。
- 標準試料に所望の波長間で反復走査される光を透過させることにより得られる吸光度スペクトルから分光分析装置の吸光度をゼロに調整するための校正係数を算出する校正作業を行った後、前記分光分析装置に保持された未知濃度の多成分よりなる被検試料に前記光を透過させることにより得られる吸光度スペクトルと前記校正係数に基づいて、多変量解析における偏最小自乗回帰法によって前記被検試料の各成分濃度値を求める実測定作業を行う多成分水溶液の分析方法であって、
前記校正作業時の標準試料として空気及び被検試料の中から選択された一つの特定溶液を用い、その選択された特定溶液の吸光度スペクトルと既知濃度の溶媒の吸光度スペクトルとの差分スペクトルを記憶しておき、前記実測定作業時には前記特定溶液の吸光度スペクトルを測定し、前記校正作業時に記憶されている前記差分スペクトルから実測定作業時に測定した特定溶液の吸光度スペクトルを差し引いた第2の差分スペクトルを求め、さらに、他の濃度の複数の溶液の吸光度スペクトルと既知濃度の溶媒吸光度スペクトルとの差分スペクトルから前記第2の差分スペクトルを差し引いた吸光度スペクトルより校正係数を求め、この校正係数に基づいて被検試料の各成分濃度値を求めることを特徴とする多成分水溶液の分析方法。
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