JPH10308238A - 高分子固体電解質二次電池及びその製造方法 - Google Patents
高分子固体電解質二次電池及びその製造方法Info
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- JPH10308238A JPH10308238A JP9115770A JP11577097A JPH10308238A JP H10308238 A JPH10308238 A JP H10308238A JP 9115770 A JP9115770 A JP 9115770A JP 11577097 A JP11577097 A JP 11577097A JP H10308238 A JPH10308238 A JP H10308238A
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Abstract
く、ゲルフィルムの強度が優れており、取り扱いが容易
で、生産性の高い高分子ゲル電解質電池、及びその製造
方法の提供。 【解決手段】 少なくとも、正極活物質を含む正極と、
リチウム含有金属又はリチウムイオンを吸蔵、放出する
負極活物質を含む負極と、高分子繊維質シ−トから作っ
た非水電解液を保持する高分子固体電解質とからなる固
体電解質二次電池。
Description
る高分子固体電解質あるいはゲル電解質を用いた充放電
サイクル特性に優れたリチウム二次電池並びに生産性の
優れた電池の製造方法に関する。
帯情報端末の普及により、充放電サイクル特性に優れ、
且つ安全性の高いリチウムイオン二次電池の開発が望ま
れている。これらを解決するために電解質として高分子
固体電解質あるいは高分子ゲル電解質を用いた電池開発
の検討がされている。
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体や酢酸ビニル−アクリ
ロニトリル共重合体などのビニル共重合体、電解質塩、
非プロトン性溶媒からなる高分子固体電解質を用いたリ
チウムイオン二次電池が開示されている。
分子固体電解質を用いた薄型固体電池を製造する方法と
して、高分子固体電解質層を重合性プレポリマー液を2
〜3層に積層して固体電解質層としたものを用いて電池
を組み立てる方法が開示されている。
における高分子固体電解質層の製造方法は工程が複雑で
あり、従ってそれを組み込んだ電池の製造工程も多段階
となり生産性の悪いものとならざるを得ない。
報では高分子ゲル電解質の製造方法においては、高分子
フィルムに電解質を含んだ溶媒(電解液)に浸漬して膨
潤させる方法が開示されているが、フィルムの場合電解
液は該フィルムの両面からしかフィルム中に拡散浸透し
得ず、フィルム形成高分子に対する電解液の膨潤平衡迄
の時間が長いものとなり連続工程で電池を製造する場合
の障害となる。
製造しそれを用いて固体電解質電池を組み立てる方法も
あるが、溶媒を含んだフィルム状ゲル電解質は強度が弱
く取り扱いに細心の注意が必要であり、また電池組立工
程でのゲル電解質よりの溶媒の蒸発を考えると環境対策
も必要である。
イクル特性に優れ、且つ安全性の高い電池として高分子
固体電解質二次電池に着目し、上記の従来技術の欠点を
克服した、取り扱いが容易で、生産性の高い高分子ゲル
電解質形成用シ−トを用いた電池及びその電池の製造方
法の開発を行う検討を行い本発明を完成した。
極活物質を含む正極と、リチウムを含むかリチウムイオ
ンを吸蔵、放出する物質を負極活物質とする負極と、非
水電解液を保持するポリマ−を含む高分子固体電解質と
からなる固体電解質二次電池において、前記高分子固体
電解質が、高分子重合体を主成分とする繊維状物からな
るシート状物に、少なくとも該高分子の溶媒もしくは膨
潤剤(液A)を含浸させて形成されたゲル状高分子電解
質であることを特徴とする高分子固体電解質二次電池を
第1の要旨とし、又、少なくとも、正極活物質を含む正
極と、リチウムを含むかリチウムイオンを吸蔵、放出す
る負極活物質を含む負極の間に非水電解液を保持するポ
リマ−を含む高分子固体電解質を主成分とする繊維状物
からなるシート状物を挿入した状態で、少なくとも該高
分子の溶媒もしくは膨潤剤(液A)を前記シート状物に
注入することを特徴とする高分子固体電解質二次電池の
製造方法を第2の要旨とする。
する。
高分子電解質について説明する。本発明で言う非水電解
液を保持しうる高分子より作った繊維状物より作られた
シート状物とは紙や不織布状のようなものであるが必ず
しもこれらに限定されるものではない。繊維状物は一般
に紡糸によって得られるため、高分子は繊維軸方向に配
向するため強度の高いものとなる。
たシート状物は、繊維同士の絡み合いも加わって機械的
強度に優れたものとなる。さらに必要ならば高分子重合
体よりなる繊維状物に、電池用各種セパレータなどに用
いられている微細なガラス繊維等や非水電解液非可溶性
の高分子から作られた補強繊維を加えても良い。
質はいわゆる電池用各種セパレータと以下に述べる点で
異なる。電池用セパレータは、正極と負極を隔離し電解
液をその内に含むもので機能としては、あくまでも正
極、負極の短絡を防止するものである。またセパレータ
の素材としてもガラス繊維やポリプロピレン繊維からな
る不織布状のものや微多孔質性フイルムが用いられる。
をその基体の内に液体として含有するのみであり、電解
液である溶媒はセパレータの素材を膨潤も溶解もせずセ
パレ−タの間隙に液体として存在する。すなわちセパレ
ータ内ではセパレータ基体と電解液は完全に固液分離し
て存在し、セパレーターの基体は電解液中のイオンの移
動に何ら寄与しない。
電解質では、後述するごとく高分子重合体よりなる繊維
状物は溶媒に溶解もしくは膨潤することにより、大部分
は高分子と溶媒が分子状態で混合し、流動性のないゲル
状物を形成し、機能としてイオン導電性を有するもので
ある。即ち、本発明でのゲルとは高分子重合体が架橋構
造の有無に関わらず、溶媒で溶解ないし膨潤し流動性を
なくした見かけ上、固体ないしは半固体状態を示すこと
を言う。従って従来のセパレータとはその構造において
本質的に異なるものである。また特開平7−24512
2号公報に記載のようにセパレータと半固体電解質(本
発明で言うゲル状電解質)の両者を目的に応じて使用す
る場合もある。
質では繊維状高分子は完全に溶媒に溶解していなくても
良い。含浸させる溶媒や膨潤剤の量によっては繊維の表
面部分のみが溶解ないしは膨潤して、繊維の中心部分は
溶解せずに繊維形態を保っている場合も含むものであ
る。目的によっては繊維形態を一部残しておいた方が強
度的に有利な場合が考えられるからである。
解質は、その機能から適度に薄いものが好ましい。薄す
ぎると、電極同士の短絡が起こり易くなるため、その厚
みには自ずから限界がある。本発明者らの検討では、繊
維状物の太さを細くすることにより、繊維シ−ト状物内
への非水電解液の浸透性が向上し、ゲル状シートの厚み
を5μ迄の薄さに低減することが可能である。また厚み
の上限は特に限定されないが、実用的に見て500μが
限度である。繊維を細く紡糸する技術は各種の従来技術
が適用される。例えば複合紡糸による海島繊維法、分割
繊維法等があり、これらの技術により0.1デニール以
下の繊維が得られる。
は、フラシュ紡糸や特願平8−78374号公報に開示
されているような噴射凝固法によって得られるパルプ状
物も好適に用いられる。これらのパルプ状物は直径が数
μ以下のフィブリルを多数有しており、このものより形
成されたシート状物は繊維同士の絡み合いが効果的で、
強度が高く、かつ、非水電解液の含浸性が良好であり、
特に薄くて緻密なゲル状シートを形成するのに適してい
る。
には、微細な繊維状物からなる紙状あるいは不織布状の
シート状物(プレカーサ・シート)を形成し、各種リチ
ウム塩、例えばLiClO4,LiBF4,LiPF6,等
の電解質を溶解した電解液を所定の量、プレカーサ・シ
ートに含浸させる。この場合、高分子重合体からなる繊
維状物に、予め電解質を含ませておくこともできる。即
ち繊維状物の賦形の段階で電解質を高分子に添加してお
く。この場合含浸液には電解質を添加する必要はなく、
該電解質の溶剤であり且つ該高分子の溶媒又は膨潤剤で
ある液体Aを用いることもできる。
るのは、繊維賦形が溶融紡糸等の溶剤を用いない特別な
場合を除いて複雑となるため液体Aに電解質塩を溶解さ
せて、プレカーサ・シートに含浸させる方が好ましい。
に形成したプレカーサ・シート状物に電解液を浸透させ
ると、繊維状物はその表面から溶媒で膨潤し、繊維同士
の絡み合い点で繊維同士が強固に接着し均一なゲル状シ
ートが得られる。この場合一部、高分子が溶解して繊維
表面から電解液に溶出しても、初期の溶媒量が少なけれ
ばゲル体内に吸蔵されてゲルの表面ににじみ出してくる
ことはほとんどない。一般に高分子の量と溶媒の量比は
80/20−5/95の範囲が目的に応じて選択される
が、特に本発明の高分子固体電解質は繊維状物を基体と
しているために溶媒の量を多く含有でき、且つ強度のあ
るものが得られるという特徴を有している。
カ−サシ−トを形成した場合には、繊維の表面積が大き
いため溶媒との接触が効果的で短時間にゲル状シートが
得られ電池組立工程的にも有利である。また高分子重合
体からなる繊維状物は、架橋構造をとっていても良く、
高分子の溶出を嫌う用途では架橋構造を取らすことによ
りこの不具合を防止できる。また溶媒ではなく膨潤剤を
用いることによってもこの不具合は回避できる。繊維状
物を構成する高分子は単一の高分子である必要はなく、
共重合やポリマーブレンドで得られたポリマ−でも良
い。ポリマーブレンドの場合は、ブレンドポリマ−の選
択や混合比によって電解質の溶媒に対してその溶解性、
膨潤度等を変えられるので適用範囲は広い。
適用可能である。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリ
アミド、芳香族ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエス
テル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリ(メタ)ア
クリレート、ポリアクリロニトリルなどがあげられる。
とくに芳香族ポリアミドやポリイミドは耐熱性が高いの
で電気自動車用の電池のように高容量で発熱が心配され
る用途には適している。例えば特開昭61−12912
号公報に開示されている芳香族ポリアミドはパルプ状で
あり、かつ電解質の溶媒であるスルホランに溶解するた
め好適に使用できる。
トリル系高分子(PAN系高分子と略す)はその側鎖に
CN基を有するため高い誘電率を示し、イオン導電率が
高い高分子固体電解質を形成する。本発明者らの検討で
はアクリロニトリルの含有量が50wt%以上であれ
ば、ニトリル基の効果が損なわれることがないことが明
らかになった。アクリロニトリルは各種の他のモノマー
との共重合が可能であり、例えば塩化ビニル、塩化ビニ
リデン、パ−フルオロメタクリレ−ト、酢酸ビニル、各
種(メタ)アクリレート、アクリルアミド、アクリル
酸、メタクリル酸との共重合体を用いることが出来る。
特に(メタ)アクリレートにおいて側鎖にエチレンオキ
シドや、プロピレンオキシド鎖を有するモノマーとの共
重合体は好ましい特性を示す。
共重合組成によっていろいろ存在する。一般に電池用の
電解質を溶解する溶媒は、とくにリチウム電池の場合は
非水系でなければならないが、それ以外に比誘電率が高
いこと、粘度が低いこと、化学的及び電気化学的に安定
で、長期間変質しないこと等多くの要件がある。このよ
うな要件に適合する溶媒を選択した結果、エチレンカ−
ボネ−ト(EC)、プロピレンカ−ボネ−ト(PC)、
ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1.3−ジメチ
ル−2−イミダゾリジノンがアクリロニトリル(AN)
ホモポリマー又はANを多く含む共重合体からなる固体
電解質の溶媒として好適であることが明らかとなった。
AN含量の比較的少ない共重合体では、アセトニトリル
やニトロメタンも溶剤ないしは膨潤剤として作用するの
で使用可能である。
特開平8−167415号公報に開示されているような
薄型形態のもの、また特開平8−102315号公報に
開示されているような円筒形態のもの、さらに長方形の
形態をした角形のもの等用途によりいろんな公知の形態
のものとすることができる。
基本構成は負極用集電体、負極活物質、高分子固体電解
質、正極活物質、正極用集電体から構成される。電池の
内部抵抗を小さくし、且つ充放電サイクル特性を優れた
ものとするためには上記5つの要素がその界面で密着す
ることが必要であり、電池組立工程では前記要件を満た
し且つこれらの要素を一体化した後外気に触れないよう
に完全に封口しなければならない。
を有するゲル電解質を採用することにより、上述の課題
を効果的に解決することが出来る。高分子ゲル電解質で
は溶剤を用いるためその製造工程で環境負荷を考慮する
事も必要である。従って溶剤の使用は電池組立工程の最
終段階で用いることが好ましい。本発明では前記のごと
く、高分子ゲル電解質を形成するために微細な繊維から
なるプレカーサ・シートを用いるため、このプレカーサ
・シートを正極活物質(あるいは正極集電体と活物質が
複合体化された正極)と負極活物質(あるいは負極集電
体と活物質が複合体化された負極)の間に挿入した状態
の複合体を形成し、電池の箱体に挿入後、箱体の開口部
を封口する直前に電解液をプレカーサ・シートの端面よ
り注入することで、更にプレカ−サシ−トへの溶剤の含
浸を減圧下、又は遠心力下に行うことが好ましい環境負
荷を低減できる。
も強度が高く、活物質との複合体を形成する場合、ロー
ル状に巻いたりするときの工程における破断の危険性が
少なくてすむ。このような単純なプロセスが可能なの
は、プレカーサ・シートが微細な繊維から構成されてい
るため、シート端面から電解液を注入しても毛細管現象
で電解液が均一にシートの全面に広がりゲルを形成する
ことが出来るためである。これはフィルム状のシートと
の大きな違いであり、紙あるいは不織布構造の特徴であ
る。このプロセスによるもう一つの大きな利点は活物質
と固体電解質の界面の密着性の改善である。
で溶解又は膨潤するとその厚みをいくらか増大させる。
従って、正極活物質、プレカーサ・シート、負極活物質
を機械的に固く密着させた後に電池箱体に挿入後電解液
又は液Aを注入すると、プレカーサ・シートがその厚み
を物理的に増すため高分子ゲルシートと両活物質はさら
に強固に密着し、電池の充放電サイクル特性が向上す
る。
溶液或いは液Aを含浸させる時、減圧若しくは遠心力を
加えた条件下でも行ってもよい。これらの条件下で行う
ことにより、シ−ト内に十分に液を含浸でき、又、微小
な気泡を混入させずにシ−トへの液の含浸操作を行うこ
とができる。
する負極としては、金属リチウム、リチウム合金、リチ
ウムを吸蔵放出可能な合金、酸化物、炭素材料が例示さ
れる。また正極の活物質は例えばマンガン、コバルト、
ニッケル、バナジウム、及びニオブから選ばれた少なく
とも一種の金属を含有する金属酸化物があげられる。正
極、負極の集電体としては金属で導電性の高い物であれ
ば特に制限されないが、例えばアルミニウム、銅、ステ
ンレス等が例示される。
説明する。
%、酢酸ビニルが10重量%よりなるポリアクリロニト
リル系共重合体をジメチルアセトアミドに溶解し、所定
の濃度の重合体溶液を調整した。撹拌翼を有する容器中
にジメチルアセトアミド水溶液を満たし、撹拌翼を高速
回転することにより容器中にせん断流を生じせしめ、本
高分子重合体溶液をジメチルアセトアミド/水系溶液に
滴下し、せん断流下で凝固せしめパルプ状のポリアクリ
ロニトリル系共重合体を得た。このパルプ状共重合体を
容器より回収し、さらに洗浄・乾燥を施した。
共重合体を所定の方法で水に分散し、この分散液の濾水
度の測定をカナディアンフリーネステスターを用いてJ
ISP−8207に準拠して行った。標準温度20℃、
標準濃度0.3%への補正を行った値は340mlであ
った。
合体を所定の方法で水に分散し、傾斜単網型抄紙機を用
いてシート状物を作製した。シート状物の厚みは分散液
の濃度と抄紙速度を制御することによりコントロールし
た。この抄紙シートを所定の手法により裁断し、幅10
cmの連続シートを得た。このシートの坪量は32g/
m2、シートの平均厚みは120μmであった。このシ
ートの引っ張り強さの試験をJIS P−8113に準
拠して行った。15mm幅の試験片の引っ張り強さは
0.69kgf、列断長は1.44kmであった。
て直径2mmのガラス棒に巻き取り、直径15mmのロ
ール状物とした。このロール状物をFEP熱収縮チュー
ブ(直径17mm)に挿入し、工業用ドライヤーを用い
て加熱しチューブを収縮させて、円筒型電池のモデルセ
ルを作製した。
し、真空ポンプを用いて15分間減圧脱気を行った後、
端面より支持電解質として1MのLiPF6を含むプロ
ピレンカーボネート溶液を滴下し、モデルセル中のアク
リロニトリル系共重合体シートへの含浸操作を行った。
し、熱収縮チューブをカットしてロール状物を取り出し
た。ロール状物を巻き解きシート中への溶媒の含浸状態
を観察した。目視観察ではシート全体が電解液により濡
れており、未含浸部分は認められなかった。さらにこの
シートの一部を切り取り光学顕微鏡下での観察を行っ
た。200倍から500倍の倍率で観察したところ、シ
ートを構成するパルプ状物の間に電解液が侵入している
状態が観察され、微小な気泡等はほとんど認められなか
った。
セルの両端部を密閉し、80℃で12時間保持し熱処理
を施した。モデルセルを分解したところ、このシートは
電解液により膨潤/溶解しておりアルミ箔と接着してい
た。アルミ箔を剥がしシートを観察したところ、このシ
ートは半透明状態であり、厚み方向に圧縮性を有してお
り、かつ圧縮による溶剤の浸み出しなどは観察されなか
った。熱処理前後の含浸シートを偏光顕微鏡を用いてク
ロスニコル下で観察したところ、熱処理前はパルプ状重
合体に基づく異方性構造が観察されたが、熱処理後はこ
の異方性構造は観察されなかった。
体とポリフッ化ビニリデン系重合体を1対1の割合でジ
メチルアセトアミドに溶解し、所定の濃度の重合体溶液
を調整した。この高分子溶液を特願平8−78374号
公報に開示されている噴射凝固法の手法に準じて、直径
が0.2mmφの溶液吐出口、直径が2mmφ、長さが
1.5mmの円筒状の混合セル部、水蒸気流路がスリッ
ト状で開度を250μmに調整し、溶液流路の中心線と
スリット中心線のなす角度が60度になるように製作し
たノズルを用いて、該高分子溶液の供給量を18ml/
min、水蒸気の供給圧を1.5kg/cm2として、
温度30℃の水中へ噴出しパルプ状の高分子集合体を得
た。
家庭用ミキサーで10分間叩解処理を行った。この叩解
処理後の分散液を一部取り出し、乾燥後走査型電子顕微
鏡を用いて形態観察を行ったところ、直径0.2μm程
度のフィブリル状繊維が観察された。
ートマシンを用いて実施例1に準じて抄紙を行った。こ
の分散液の濾水度は180mlであった。
トマシンを用いてJIS P−8209法に準じて抄紙
を行った。このシートの坪量は24g/m2、シートの
平均厚みは105μmであった。このシートの引っ張り
強さの試験をJIS P−8113に準拠して行った。
15mm幅の試験片の引っ張り強さは0.37kgf、
列断長は1.03kmであった。
リンジの先端を挟み熱シールして袋状にし、本ポリアク
リロニトリル/ポリフッ化ビニリデン系パルプ状高分子
シートを厚さ25μmのアルミ箔の間に挟んだ複合シー
トを挿入した。減圧式ヒートシール装置にこの袋をセッ
トし、3分間減圧した後他端のシリンジより支持電解質
として1MのLiPF6を含むプロピレンカーボネート
溶液を注入し、袋中のアクリロニトリル/ポリフッ化ビ
ニリデン系パルプ状高分子シートへの含浸操作を行っ
た。含浸操作後フィルムのヒートシールを行い、薄型電
池のモデルセルを作製した。
シート中への溶媒の含浸状態を目視により観察したとこ
ろ、シート全体が注入した電解液により濡れており、未
含浸部分は認められなかった。さらにこのシートの一部
を切り取り光学顕微鏡下での観察を行った。100倍か
ら500倍の倍率で観察したところ、シートを構成する
パルプ状物の間に電解液が侵入している状態が観察さ
れ、微小な気泡等はほとんど認められなかった。
セルを、80℃で12時間保持し熱処理を施した。熱処
理後封止セル内に気泡等の発生は認められなかった。次
にこのモデルセルを分解したところ、シートは電解液に
より膨潤/溶解しておりアルミ箔と接着していた。アル
ミ箔を剥がしシートを観察したところ、このシートは半
透明状態であり、厚み方向に圧縮性を有しており、かつ
圧縮による溶剤の浸み出しなどは観察されなかった。熱
処理前後の含浸シートを偏光顕微鏡を用いてクロスニコ
ル下で観察したところ、熱処理前はパルプ状重合体に基
づく異方性構造が観察されたが、熱処理後はこの異方性
構造は観察されなかった。
リアクリロニトリル系重合体とポリフッ化ビニリデン系
重合体の1対1の割合からなるパルプ状高分子を作製し
た。このパルプ状高分子と極細ポリアクリロニトリル系
繊維(三菱レイヨン製ボンネルM.V.P. D12
2)を1/2(wt/wt)の割合で配合し、定法に準
じて湿式抄紙法によりシート状物を作製した。
モデルセルを作製し、電解液の注入/封止操作を行い更
に熱処理を施したところ、このシートは電解液により膨
潤/溶解しアルミ箔と接着していたが、偏光顕微鏡によ
りクロスニコル下での観察を行ったところ、熱処理後も
一部極細ポリアクリロニトリル系繊維のものと思われる
構造が観察された。
分子固体電解質二次電池の断面図を図1に示す。図1は
薄型シート状電池の構造を示すものである。図1に基づ
いて本発明高分子固体電解質二次電池の構造とその製造
方法を説明する。
電材である。この上にリチウムイオンのインターカレー
ション型カーボン微粒子にN−メチル−2−ピロリドン
を溶媒としたポリフッ化ビニリデン溶液を加えペースト
状にしたものを塗布/乾燥させて、負極集電材表面に負
極活物質層2が形成されたものを調整した。負極活物質
としてはリチウム金属やリチウムの合金を用いても良
い。この場合はバインダーとしてのポリフッ化ビニリデ
ンを必要とせず、金属や合金の板をそのまま電極として
用いることもできる。
極集電材である。この上に正極活物質としてLiCoO
2とカーボンブラックを95/5の割合で混合しN−メ
チル−2−ピロリドンを溶媒としたポリフッ化ビニリデ
ン溶液を加えペースト状にしたものを塗布/乾燥させ
て、正極集電材表面に正極活物質層4が形成されたもの
を調整した。なお正極活物質としてはLiCoO2に替
えて、例えばLiNiO2、LiMn2O4などを用い
ても良い。
よりなるシートに、電解液を含浸させ熱処理などの後処
理を施すことによりゲル化させた高分子固体電解質であ
る。パルプ状高分子よりなるシートは実施例1と同等の
手法で、ポリアクリロニトリル系重合体からなるパルプ
状高分子を作製し、更にこのパルプ状高分子を叩解処理
し湿式抄紙を行いシート状物を作製した。これに実施例
1、2及び3に示した手法に準じ電解液を含浸させるこ
とにより高分子固体電解質を形成せしめる。パルプ状高
分子としてはポリアクリロニトリル系重合体に替えて、
ポリアクリロニトリル系重合体と他のポリマーのブレン
ド物、例えばポリフッ化ビニリデンやポリアミド、芳香
族ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカ
ーボネート、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレートポ
リアクリロニトリルなどがあげられる。またパルプ状物
に繊維状高分子を適宜加えたものからなるシート状物も
同様に用いることが出来る。
及び正極とパルプ状高分子シートを熱融着フィルム6の
間に順に積層する。実施例2と同様の手法により、フィ
ルム内の空気を減圧脱気しながら他方より電解液を注入
する。所定量の電解液を注入後セルを封止する。この際
不活性ガス雰囲気中で吸湿を避けながら操作することが
好ましい。次にこの封止セルに所定の熱処理を施し、繊
維状、パルプ状の高分子への電解液の拡散を促進し膨潤
/溶解させてゲル状高分子電解質を形成せしめる。この
ようにして薄型シート状高分子固体電解質二次電池を組
み立てた。
欠陥点や厚み斑がなく、電解液の蒸気が製造工程で発生
することがない取り扱い性の容易なゲル状高分子固体電
解質二次電池を提供することが出来る。
ト状の二次電池としたが、本発明の適用はこれにかぎら
れるものではないことは勿論であって、例えばコイン
形、円筒形、角形等の高分子固体電解質二次電池にも適
用できる。更に実施例1のごとく巻回することにより、
スパイラル構造の高分子固体電解質電池と成すことも可
能である。
厚み斑がなく、電解液の蒸気が製造工程で発生すること
がない取り扱い性の容易な高分子固体電解質二次電池を
提供することが出来る。さらにスパイラル構造の電池の
製造方法では、セパレーターの替わりに本プレカーサー
・シート状物を用いることにより従来の組立プロセスを
用いて、高分子固体電解質二次電池を製造することが出
来、その工業的意味は大きい。
二次電池の構造を示す断面図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 少なくとも、正極活物質を含む正極と、
リチウムを含むかリチウムイオンを吸蔵、放出する負極
活物質を含む負極と、非水電解液を保持する高分子を含
む高分子固体電解質とからなる固体電解質二次電池にお
いて、前記高分子固体電解質が、高分子重合体を主成分
とする繊維状物からなるシート状物に、少なくとも該高
分子の溶媒もしくは膨潤剤(液A)を含浸させて形成さ
れたゲル状高分子電解質であることを特徴とする高分子
固体電解質二次電池。 - 【請求項2】 液Aが少なくとも支持電解質塩を含んで
いる請求項1記載の高分子固体電解質二次電池。 - 【請求項3】 高分子重合体からなる繊維状物がパルプ
形状の繊維状物である請求項1又は2記載の高分子固体
電解質二次電池。 - 【請求項4】 高分子重合体がアクリロニトリルを50
wt%以上含む重合体を主たる成分とする請求項1〜3
のいずれか1項に記載の高分子固体電解質二次電池。 - 【請求項5】 少なくとも、正極活物質を含む正極と、
リチウムを含むかリチウムイオンを吸蔵、放出する負極
活物質を含む負極の間に非水電解液を保持する高分子を
含む高分子固体電解質を主成分とする繊維状物からなる
シート状物を挿入した状態で、少なくとも該高分子の溶
媒もしくは膨潤剤(液A)を前記シート状物に注入する
ことを特徴とする高分子固体電解質二次電池の製造方
法。 - 【請求項6】 液Aが少なくとも支持電解質塩を含んで
いる請求項5記載の高分子固体電解質二次電池の製造方
法。 - 【請求項7】 高分子重合体からなる繊維状物がパルプ
形状の繊維状物である請求項5又は6記載の高分子固体
電解質二次電池の製造方法。 - 【請求項8】 高分子重合体がアクリロニトリルを50
wt%以上含む重合体を主たる成分とする請求項5〜7
のいずれか1項に記載の高分子固体電解質二次電池の製
造方法。 - 【請求項9】 高分子重合体を主成分とする繊維状物か
らなるシ−ト状物への溶媒若しくは膨潤剤(液A)の挿
入を減圧下、若しくは遠心力下に行う請求項5〜7のい
ずれか1項に記載の高分子固体電解質二次電池の製法。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9115770A JPH10308238A (ja) | 1997-05-06 | 1997-05-06 | 高分子固体電解質二次電池及びその製造方法 |
KR1019980015931A KR100527322B1 (ko) | 1997-05-06 | 1998-05-04 | 폴리머겔전해질형성용시트,이를사용한폴리머겔전해질및그의제법 |
TW087106898A TW394804B (en) | 1997-05-06 | 1998-05-05 | Sheet for forming polymer gel electrolyte, polymer gel electrolyte using thereof and preparation thereof |
CA002236779A CA2236779A1 (en) | 1997-05-06 | 1998-05-05 | A sheet for forming a polymer gelled electrolyte a polymer gelled electrolyte using it, and a method for manufacture thereof |
US09/072,982 US6114068A (en) | 1997-05-06 | 1998-05-06 | Sheet for forming a polymer gelled electrolyte, a polymer gelled electrolyte using it, and a method for manufacture thereof |
EP98108248A EP0877432A3 (en) | 1997-05-06 | 1998-05-06 | A fibrous sheet for forming a polymer gelled electrolyte, a polymer gelled electrolyte using it, and a method for manufacture thereof |
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JP9115770A JPH10308238A (ja) | 1997-05-06 | 1997-05-06 | 高分子固体電解質二次電池及びその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH10308238A true JPH10308238A (ja) | 1998-11-17 |
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JP9115770A Pending JPH10308238A (ja) | 1997-05-06 | 1997-05-06 | 高分子固体電解質二次電池及びその製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JPH10308238A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
1997
- 1997-05-06 JP JP9115770A patent/JPH10308238A/ja active Pending
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