JPH10307629A - 減圧装置 - Google Patents

減圧装置

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JPH10307629A
JPH10307629A JP11349397A JP11349397A JPH10307629A JP H10307629 A JPH10307629 A JP H10307629A JP 11349397 A JP11349397 A JP 11349397A JP 11349397 A JP11349397 A JP 11349397A JP H10307629 A JPH10307629 A JP H10307629A
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Akito Okamoto
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高圧の供給側ガス圧を所定の出口側ガス圧に
減圧することができ、これにより、ガス系消火設備に適
用した場合に、ガス系消火設備の二次側機器の耐圧グレ
ードを上げずに不活性消火剤ガスの充填圧力を高めるこ
とができる減圧装置を提供すること。 【構成】 減圧装置を、両側の受圧面に供給側ガス圧P
0及び出口側ガス圧P2がそれぞれ所定の面積割合でかか
るように構成したガス流路21に配設した流路弁22
と、一方の受圧面に基準ガス圧P1が、他方の受圧面に
出口側ガス圧P2がかかるように構成したピストン26
と、流路弁22とピストン26を接続する連結棒27と
から構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消火剤ガス貯蔵容
器内にガス状態で貯蔵されている不活性消火剤ガスを消
火対象区画内に放出し、消火対象区画内の消火剤の濃度
を消炎濃度以上に維持することによって消火するように
したガス系消火設備等において、高圧の供給側ガス圧を
所定の出口側ガス圧に減圧するために用いられる減圧装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、消火対象区画内に消火剤を放出
し、消火対象区画内の消火剤の濃度を消炎濃度以上に維
持することによって消火するようにしたガス系消火設備
として、消火剤に二酸化炭素やハロンガス等の不活性ガ
スを使用するようにしたものが実用化されている。
【0003】ところで、消火剤として二酸化炭素やハロ
ンガス等の不活性ガスを使用する場合、これらの消火剤
を加圧液化して高圧ガス容器からなる消火剤ガス貯蔵容
器に充填された状態で消火設備内に保管しておき、火災
の際に、適宜の電気的手段又は空圧的手段を用いて、消
火剤ガス貯蔵容器の容器弁を開放することにより、二酸
化炭素やハロンガスを消火剤ガス貯蔵容器から配管を介
して噴射ヘッドまで送り、噴射ヘッドから消火対象区画
内に放出するようにしている。このとき、二酸化炭素や
ハロンガス等の不活性ガスは、噴射ヘッドまでは液体の
状態で送られ、噴射ヘッドから消火対象区画内に放出さ
れた瞬間に気化して気体の状態となり、消火対象区画内
に充満して火災を鎮圧する。
【0004】そして、これらの二酸化炭素やハロンガス
等の不活性ガスを使用するガス系消火設備は、急速に火
災を鎮圧できること、消火剤による消火対象区画内の汚
染がほとんどないこと、電気の絶縁性を損なわないこ
と、消火剤が隙間から浸透して構造が複雑な消火対象に
対しても強力な消火効果を発揮できること、消火剤の経
年変化がなく長期に亘って一定の消火能力を有すること
等の利点を有することから、石油関連施設、電気関連施
設のみならず、一般の施設にも広く使用されている。
【0005】ところが、近年になって、オゾン層の破壊
に関する問題が世界的な規模で提起され、ハロンガス等
のハロゲン化炭化水素成分を含有する消火剤について
は、1994年1月に生産中止となり、事実上使用する
ことができなくなった。これにより、アルゴン等の高価
な希ガスを使用する特殊な消火設備を除くと、現在、ガ
ス系消火設備において使用されている消火剤は、二酸化
炭素のみであるということができる。
【0006】一方、この二酸化炭素を消火剤として使用
する消火設備についても、以下の問題点があることが知
られている。 (1) 消火時の消火対象区画内の二酸化炭素の設計濃度
は、約35%であり、この濃度では、万一消火対象区画
内に人が存在していた場合、二酸化炭素の毒性(麻酔
性)により人命に係わる事態が発生するおそれがある。 (2) 二酸化炭素は、火災の際、噴射ヘッドまでは液体の
状態で送られ、噴射ヘッドから消火対象区画内に放出さ
れた瞬間に気化して気体の状態となるが、このとき、周
囲から気化熱を奪うため室内の空気の飽和蒸気圧が低下
し、空気中の水分が結露するとともに、静電気が発生す
る。これにより、室内は霧がかかった状態となり、人の
避難及び救出並びに消火作業の障害になるとともに、結
露及び静電気により電子機器の絶縁不良や故障が起こ
り、重大な二次災害が発生するおそれがある。 (3) 二酸化炭素は、密度が空気よりもはるかに大きいた
め、消火対象区画内に放出された二酸化炭素は、消火対
象区画内の下部に滞留し消火効果が低下するほか、消火
対象区画内の下部の開口部から外部へ散逸しやすい。 (4) 地球温暖化に関する問題が世界的な規模で提起され
ていることから、二酸化炭素もハロンガスと同様に、将
来的には使用が制限される可能性がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本件出願人
は、上記従来のガス系消火設備が有する多くの問題点を
解決するために、先に窒素ガスや窒素ガスに、オゾン層
を破壊しないパーフルオロアルカン(パーフルオロブタ
ン(C4F10))、ハイドロジェノフルオロアルカン
(トリフルオロメタン(CHF3)、へプタフルオロプ
ロパン(C3HF7)又はペンタフルオロエタン(C2H
F5))又はハイドロジェノフルオロハロゲノアルカン
(アイオドトリフルオロメタン(CF3I))(以下、
これらを総称して「フッ素系化合物」という。)の少な
くとも1種類を10容積%以下の割合で混合した混合ガ
ス(以下単に「混合ガス」という。)を消火剤として使
用する消火設備を提案した(特願平6ー312690号
及び特願平7ー77374号)。
【0008】しかしながら、ガス系消火設備の消火剤と
して窒素ガスや混合ガスを使用した場合も、以下の問題
点があることがわかった。 (1) ガス系消火設備の消火剤としての窒素ガスや混合ガ
スは、加圧してガス状態で貯蔵されたものを使用するた
め、加圧液化した状態で貯蔵されたものを使用する二酸
化炭素やハロンガスに比べて、同容積の消火対象区画の
消火に要する消火剤ガス貯蔵容器の数が数倍必要とな
り、消火剤ガス貯蔵容器の大きな設置スペースが必要と
なる。 (2) 設置する消火剤ガス貯蔵容器の数を低減するために
は、消火剤ガス貯蔵容器に充填する不活性消火剤ガスの
充填圧力を高める必要があるが、不活性消火剤ガスの充
填圧力を高めた場合、選択弁、主配管、枝管、噴射ヘッ
ド等の消火設備の二次側機器にも不活性消火剤ガスの高
いガス圧がかかることとなり、このため、これら二次側
機器の耐圧グレードを上げる必要があり、設備費が著し
く高くなり、また、既存の設備には、適用できない。
【0009】本発明は、消火剤として窒素ガスや混合ガ
ス等の消火剤ガス貯蔵容器内にガス状態で貯蔵される不
活性消火剤ガスを使用するガス系消火設備の有する問題
点に鑑み、高圧の供給側ガス圧を所定の出口側ガス圧に
減圧することができ、これにより、例えば、ガス系消火
設備に適用した場合に、ガス系消火設備の二次側機器の
耐圧グレードを上げずに不活性消火剤ガスの充填圧力を
高めることができる減圧装置を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の減圧装置は、受圧面に供給側ガス圧及び出
口側ガス圧がそれぞれ所定の面積割合でかかるように構
成したガス流路に配設した流路弁と、一方の受圧面に基
準ガス圧が、他方の受圧面に出口側ガス圧がかかるよう
に構成したピストンと、前記流路弁とピストンを接続す
る連結棒とからなることを特徴とする。
【0011】本発明の減圧装置は、ガス流路に配設した
流路弁の受圧面に供給側ガス圧及び出口側ガス圧がそれ
ぞれ所定の面積割合でかかるように構成することによ
り、高圧の供給側ガス圧を所定の出口側ガス圧に減圧す
る減圧装置を、コンパクトな構造により実現することが
でき、また、出口側ガス圧の値を基準ガス圧を変えるこ
とによって広い範囲で、かつ、高精度に調整することが
できる。このため、この減圧装置を、ガス系消火設備に
適用した場合には、消火設備の二次側機器の耐圧グレー
ドを上げることなく不活性消火剤ガスの充填圧力を高め
ることができるとともに、供給側ガス圧が低下した場合
でも、不活性消火剤ガスの放出量を一定に保つことがで
きる。また、流路弁とピストンを連結棒により接続する
ことにより、減圧装置の応答性能を向上することができ
るとともに、流路弁を閉鎖方向に付勢するばねとピスト
ンを付勢するばねを1個のばねで共用することができ、
減圧装置の構造を簡略化することができる。
【0012】この場合において、流路弁の両側の受圧面
に供給側ガス圧及び出口側ガス圧がそれぞれ所定の面積
割合でかかるように構成することができ、これにより、
ピストンを含む減圧装置の形状を小形化することができ
る。
【0013】また、流路弁の弁座の直径と、流路弁の出
口側ガス圧がかかる受圧面の直径とを、略等しく形成
し、これにより、出口側ガス圧の値を基準ガス圧の値に
略一致させることができ、出口側ガス圧の値の調整を容
易に行うことができる。
【0014】また、ガス流路のガス供給側をガス貯蔵容
器に直結するように構成し、これにより、減圧装置を容
器弁として用いることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の減圧装置の実施の
形態を図面に示すガス系消火設備に基づいて説明する。
【0016】図1に、本発明の減圧装置を用いたガス系
消火設備の一例を示す。本例は、3つの消火対象区画6
−1,6−2,6−3を有する場合のガス系消火設備を
示したものである。このガス系消火設備は、不活性消火
剤ガスとして、例えば、窒素ガスを使用し、これを加圧
して高圧ガス容器に充填した状態(35℃において、1
80kgf/cm2)で消火設備内に保管することにより、消
火剤ガス貯蔵容器1として利用する。本例のガス系消火
設備には、5本の消火剤ガス貯蔵容器1−1,1−2,
・・・1−5を備え、各容器1には、容器弁2を介して
連結管3を接続し、さらに連結管3を1本の集合管4に
接続し、この集合管4を各消火対象区画6−1,6−
2,6−3まで延設した主配管5−1,5−2,5−3
に接続する。主配管5−1,5−2,5−3には、選択
弁9−1,9−2,9−3を配設し、消火対象区画6−
1,6−2,6−3に選択的に不活性消火剤ガスを送る
ようにする。消火対象区画6−1,6−2,6−3まで
延設した主配管5−1,5−2,5−3を、消火対象区
画6−1,6−2,6−3内にそれぞれ配設した枝管8
−1,8−2,8−3に接続し、この枝管8−1,8−
2,8−3を消火対象区画6−1,6−2,6−3内の
適所に複数個配設した噴射ヘッド7−1,7−2,7−
3に接続する。
【0017】ところで、通常、各消火対象区画6−1,
6−2,6−3は、その容積が異なるため、当然、消火
するのに必要となる不活性消火剤ガスの量も異なる。こ
のため、主配管5−1,5−2,5−3の口径を各消火
対象区画6−1,6−2,6−3の容積に応じて異なら
せるほか、火災の際、消火対象となる消火対象区画6−
1,6−2,6−3に対応した本数の消火剤ガス貯蔵容
器1が開放されるようにガス系消火設備を構成する。
【0018】ここで、開放すべき消火剤ガス貯蔵容器1
の本数を、消火対象区画6−1が5本、消火対象区画6
−2が3本、消火対象区画6−3が1本に設定すること
とする。なお、図中、9−1,9−2,9−3は選択
弁、10−1,10−2,10−3は選択弁開放装置、
11−1,11−2,11−3は起動用ガス容器、12
−1,12−2,12−3は起動用ガス容器開放用のソ
レノイドである。また、図中、13−1,13−2,1
3−3は、選択弁9−1,9−2,9−3及び消火剤ガ
ス貯蔵容器1−1,1−2,・・・1−5の開放をコン
トロールする起動用ガス管路で、選択弁開放装置10−
1,10−2,10−3に接続され、その途中の適所に
不還弁14−1,14−2,14−3,14−A,14
−Bを配設する。なお、不還弁14−1,14−2,1
4−3,14−A,14−Bの通過可能方向は、図の矢
印の向きで表している。なお、これらの部材の末尾の数
字1,2,3は、消火対象区画の末尾の数字1,2,3
にそれぞれ対応している。
【0019】この場合において、容器弁2には、図2に
示す、高圧の供給側ガス圧P0を定圧ガス源からの基準
ガス圧P1によって規定される所定の出口側ガス圧P2に
減圧することができる本発明に係る減圧装置を用いる。
この減圧装置2は、両側の受圧面にガス流路21のガス
供給側21aから供給側ガス圧P0が、また、ガス流路
21のガス出口側21bから(図2において下方の受圧
面には出口側ガス供給流路21cを介して)出口側ガス
圧P2がそれぞれ所定の面積割合でかかるように構成し
たガス流路21に配設した流路弁22と、一方の受圧面
に定圧ガス源(本例の場合は、定圧ガス源として、窒素
ガスを充填(35℃において、110kgf/cm2)した起
動用ガス容器11−1,11−2,11−3を利用する
ようにしている。)から定圧ガス供給流路24を介して
基準ガス圧P1が、他方の受圧面にガス出口側21bか
ら出口側ガス供給流路21dを介して出口側ガス圧P2
がかかるように構成したピストン26と、ピストン26
の他方の受圧面に突設し、流路弁22と螺合することに
より、流路弁22とピストン26を接続する連結棒27
と、流路弁22の開放方向とは逆方向にピストン26を
付勢することによりガス流路21を閉鎖する方向に流路
弁22を付勢するばね28とからなる。また、減圧装置
2は、ガス流路21のガス供給側21aを構成するガス
供給側本体20aと、ガス貯蔵容器1に直結するように
し、ガス流路21のガス出口側21b、弁座23及びピ
ストン26を収容するシリンダ25を構成するガス出口
側本体20bと、定圧ガス供給流路24を構成する定圧
ガス供給流路側本体20cとからなり、これらを一体的
に組み立てて構成するようにしている。
【0020】この場合において、連結棒27は、流路弁
22とピストン26を接続するものであれば、流路弁2
2に突設するように構成したり、流路弁22及びピスト
ン26とは別体で構成することもできる。また、流路弁
22の開放方向とは逆方向にピストン26を付勢するば
ね28に代えて、直接ガス流路21を閉鎖する方向に流
路弁22を付勢するばねを配設することもできる。
【0021】次に、この減圧装置2の動作について説明
する。定圧ガス源としての起動用ガス容器11−1,1
1−2,11−3から定圧ガス供給流路24に基準ガス
圧P1(110kgf/cm2)の窒素ガスを供給することに
より、ピストン26をばね28の付勢力に抗して移動さ
せ、ピストン26の受圧面に突設した連結棒27により
流路弁22をばね28の付勢力に抗して操作し、ガス流
路21を開放させる。ガス流路21が開放されると、消
火剤ガス貯蔵容器1からガス流路21のガス出口側21
bに不活性消火剤ガスが流入するが、減圧装置2は、流
路弁22の両側の受圧面に、消火剤ガス貯蔵容器1内の
不活性消火剤ガスの供給側ガス圧P0(35℃におい
て、180kgf/cm2)及び出口側ガス圧P2が、また、
ピストン26の一方の受圧面に定圧ガス源からの基準ガ
ス圧P1(35℃において、110kgf/cm2)が、他方
の受圧面に出口側ガス圧P2が、それぞれ所定の面積割
合でかかるように構成されているため、下記の式
(1)、(2)に従って、流路弁22及びピストン26
は瞬時に平衡し、出口側ガス圧P2は、起動用ガス容器
11−1,11−2,11−3の基準ガス圧P1(11
0kgf/cm2)によって規定される所定の値に減圧され
る。
【0022】 (A2−C2)P0+(C2+B2)P2=B2・P1+A2・P2 ・・・(1) P2=(B2・P1−(A2−C2)P0)/(C2+B2−A2) ・・・(2) ここで、Aは弁座23の直径、Bはピストン26の直
径、Cは流路弁22の出口側ガス圧P2がかかる図2に
おいて下方の受圧面の直径である。
【0023】この場合において、流路弁22の弁座23
の直径Aと、流路弁22の出口側ガス圧P2がかかる受
圧面の直径Cとを、略等しく形成する(A≒C)ことに
より、出口側ガス圧P2の値を、起動用ガス容器11−
1,11−2,11−3の基準ガス圧P1(110kgf/
cm2)の値に略一致させる(P2≒P1)ことができ、出
口側ガス圧P2の値の調整を容易に行うことができるも
のとなる。
【0024】また、減圧装置2によって保持される出口
側ガス圧P2は、定圧ガス源、すなわち、起動用ガス容
器11−1,11−2,11−3の基準ガス圧P1自体
を調整したり、起動用ガス容器11−1,11−2,1
1−3に圧力調整器を配設し、この圧力調整器により基
準ガス圧P1を調整したり、流路弁22及びピストン2
6の形状を異ならせること等により変更することができ
るが、不活性ガス消火設備の設計上、出口側ガス圧P2
が基準ガス圧P1と略等しい値に保持されるように構成
することが望ましい。なお、この減圧装置2は、定圧ガ
ス源、すなわち、起動用ガス容器11−1,11−2,
11−3からの窒素ガスの供給を停止するとともに、定
圧ガス供給流路24内の窒素ガスを排出することによ
り、ガス流路21を閉鎖することができる機能を有する
ものであり、この機能を利用して、一旦開放した消火剤
ガス貯蔵容器を閉鎖するように構成することも可能であ
る。
【0025】そして、この減圧装置2は、消火剤ガス貯
蔵容器1内の不活性消火剤ガスの圧力、すなわち、供給
側ガス圧P0が、基準ガス圧P1以下に低下するまでは、
出口側ガス圧P2を基準ガス圧P1と略等しい値に保持す
る機能を有しているため、不活性消火剤ガスの放出によ
り消火剤ガス貯蔵容器内の不活性消火剤ガスの圧力が低
下した場合でも、出口側ガス圧P2を基準ガス圧P1と略
等しい値に維持することにより、不活性消火剤ガスの放
出量を一定に保つことができる。
【0026】次に、この減圧装置2を容器弁として用い
た上記のガス系消火設備の火災の際の動作について説明
する。いま、消火対象区画6−1に火災が発生したとす
れば、火災発見者がこの消火対象区画6−1に対応する
押釦(手動操作の場合)を操作すると、電気信号が起動
用ガス容器開放用のソレノイド12−1に送られ、ソレ
ノイド12−1が動作して起動用ガス容器11−1が開
放される。起動用ガス容器11−1が開放されることに
より放出された起動用ガスは、まず、選択弁開放装置1
0−1に導入されて選択弁9−1を開放してから、不還
弁14−1を経て起動用ガス管路13−1を通り、不還
弁14−A及び不還弁14−Bを通過してすべての容器
弁2に至って消火剤ガス貯蔵容器1を5本とも開放す
る。このとき、不還弁14−2及び不還弁14−3を通
過することができないため、選択弁9−2及び選択弁9
−3は開放されない。ところで、容器弁2には、高圧の
供給側ガス圧P0を定圧ガス源からの基準ガス圧P1によ
って規定される所定の出口側ガス圧P2に減圧すること
ができる減圧装置を用いているため、開放された5本の
消火剤ガス貯蔵容器1から基準ガス圧P1(110kgf/
cm2)以下に規制された不活性ガスが、容器弁2、連結
管3、集合管4、選択弁9−1、主配管5−1及び枝管
8−1を介して噴射ヘッド7−1まで送られ、噴射ヘッ
ド7−1から消火対象区画6−1内に放出される。
【0027】また、消火対象区画6−2に火災が発生し
たとすれば、火災発見者がこの消火対象区画6−2に対
応する押釦(手動操作の場合)を操作すると、電気信号
が起動用ガス容器開放用のソレノイド12−2に送ら
れ、ソレノイド12−2が動作して起動用ガス容器11
−2が開放される。起動用ガス容器11−2が開放され
ることにより放出された起動用ガスは、まず、選択弁開
放装置10−2に導入されて選択弁9−2を開放してか
ら、不還弁14−2を経て起動用ガス管路13−2を通
り、不還弁14−Bを通過して容器弁2に至って消火剤
ガス貯蔵容器1を3本だけ、すなわち、消火剤ガス貯蔵
容器1−3,1−4,1−5を開放する。このとき、不
還弁14−Aを通過することができないため、消火剤ガ
ス貯蔵容器1のうち2本、すなわち、消火剤ガス貯蔵容
器1−1,1−2は開放されない。また、不還弁14−
1及び不還弁14−3を通過することができないため、
選択弁9−1及び選択弁9−3は開放されない。ところ
で、容器弁2には、容器弁2には、高圧の供給側ガス圧
P0を定圧ガス源からの基準ガス圧P1によって規定され
る所定の出口側ガス圧P2に減圧することができる減圧
装置を用いているため、開放された3本の消火剤ガス貯
蔵容器1−3,1−4,1−5から基準ガス圧P1(1
10kgf/cm2)以下に規制された不活性ガスが、容器弁
2、連結管3、集合管4、選択弁9−2、主配管5−2
及び枝管8−2を介して噴射ヘッド7−2まで送られ、
噴射ヘッド7−2から消火対象区画6−2内に放出され
る。
【0028】また、消火対象区画6−3に火災が発生し
たとすれば、火災発見者がこの消火対象区画6−3に対
応する押釦(手動操作の場合)を操作すると、電気信号
が起動用ガス容器開放用のソレノイド12−3に送ら
れ、ソレノイド12−3が動作して起動用ガス容器11
−3が開放される。起動用ガス容器11−3が開放され
ることにより放出された起動用ガスは、まず、選択弁開
放装置10−3に導入されて選択弁9−3を開放してか
ら、不還弁14−3を経て起動用ガス管路13−3を通
り、容器弁2に至って消火剤ガス貯蔵容器1を1本だ
け、すなわち、消火剤ガス貯蔵容器1−5を開放する。
このとき、不還弁14−Bを通過することができない
(したがって、当然、不還弁14−Aも通過することが
できない)ため、消火剤ガス貯蔵容器1のうち4本、す
なわち、消火剤ガス貯蔵容器1−1,1−2,1−3,
1−4は開放されない。また、不還弁14−1及び不還
弁14−2を通過することができないため、選択弁9−
1及び選択弁9−2は開放されない。ところで、容器弁
2には、容器弁2には、高圧の供給側ガス圧P0を定圧
ガス源からの基準ガス圧P1によって規定される所定の
出口側ガス圧P2に減圧することができる減圧装置を用
いているため、開放された1本の消火剤ガス貯蔵容器1
−5から基準ガス圧P1(110kgf/cm2)以下に規制
された不活性ガスが、容器弁2、連結管3、集合管4、
選択弁9−3、主配管5−3及び枝管8−3を介して噴
射ヘッド7−3まで送られ、噴射ヘッド7−3から消火
対象区画6−3内に放出される。
【0029】以上、消火対象区画が3区画で、消火剤ガ
ス貯蔵容器1の本数が5本の場合を例にして説明した
が、消火対象区画の数及び消火剤ガス貯蔵容器1の本数
並びに開放される消火剤ガス貯蔵容器1の本数は、本実
施例(以下に示す例の場合も同様。)のものに限定され
るものではなく、必要に応じて任意に設定することがで
きる。
【0030】また、上記のガス系消火設備においては、
本発明に係る減圧装置を従来の容器弁に代えて用いるよ
うにしたが、これに限定されず、図3に示すように、上
記のガス系消火設備における消火剤ガス貯蔵容器1と選
択弁9−1,9−2,9−3とを接続する集合管4の適
所に、減圧装置18を配設するとともに、起動用ガス容
器11−1,11−2,11−3とは別に、定圧ガス源
として、窒素ガスを充填(35℃において、110Kgf
/cm2)した定圧ガス容器19を設けることもできる。
このように、集合管4に本発明に係る減圧装置18を設
けることにより、容器弁2に通常の容器弁を使用するこ
とができ、設備費を低廉にすることができる。なお、消
火剤ガス貯蔵容器1から減圧装置18に至るまでの容器
弁2、連結管3及び集合管4等の消火設備の一次側機器
には不活性消火剤ガスの高いガス圧がかかることとな
り、このため、これら一次側機器は、この高いガス圧に
耐えるように構成する必要があるが、集合管4等は、主
配管5−1,5−2,5−3に比べ管の内径が小さいた
め、耐圧が高く、このため、消火設備の一次側機器の耐
圧グレードを上げる必要がないため、設備費を低廉にす
ることができるとともに、既存の設備にもそのまま適用
することができる。
【0031】次に、図4に、図2に示した減圧装置2の
簡易型の減圧装置2Aを示す。この減圧装置2Aも、図
2に示した減圧装置2と同様、高圧の供給側ガス圧P0
を定圧ガス源からの基準ガス圧P1によって規定される
所定の出口側ガス圧P2に減圧することができるもので
あり、図2に示した減圧装置2と同様に使用することが
できる。
【0032】この減圧装置2Aは、両側の受圧面に、ガ
ス流路21のガス供給側21aから供給側ガス圧P0
が、また、ガス流路21のガス出口側21bから出口側
ガス圧P2がそれぞれ所定の面積割合でかかるように構
成したガス流路21に配設した流路弁22と、一方の受
圧面に定圧ガス源から定圧ガス供給流路24を介して基
準ガス圧P1が、他方の受圧面にガス出口側21bから
出口側ガス供給流路21dを介して出口側ガス圧P2が
かかるように構成したピストン26と、ピストン26の
他方の受圧面に突設し、流路弁22と螺合することによ
り、流路弁22とピストン26を接続する連結棒27
と、流路弁22の開放方向とは逆方向にピストン26を
付勢することによりガス流路21を閉鎖する方向に流路
弁22を付勢するばね28とからなる。また、減圧装置
2Aは、ガス貯蔵容器1に直結するようにし、ガス流路
21のガス出口側21b、弁座23及びピストン26を
収容するシリンダ25を構成するガス出口側本体20b
と、定圧ガス供給流路24を構成する定圧ガス供給流路
側本体20cとからなり、これらを一体的に組み立てて
構成するようにしている。
【0033】この場合において、連結棒27は、流路弁
22とピストン26を接続するものであれば、流路弁2
2に突設するように構成したり、流路弁22及びピスト
ン26とは別体で構成することもできる。
【0034】次に、この減圧装置2Aの動作について説
明する。定圧ガス源から定圧ガス供給流路24に基準ガ
ス圧P1(110kgf/cm2)の窒素ガスを供給すること
により、ピストン26をばね28の付勢力に抗して移動
させ、ピストン26の受圧面に突設した連結棒27によ
り流路弁22をばね28の付勢力に抗して操作し、ガス
流路21を開放させる。ガス流路21が開放されると、
消火剤ガス貯蔵容器1からガス流路21のガス出口側2
1bに不活性消火剤ガスが流入するが、減圧装置2A
は、流路弁22の両側の受圧面に、消火剤ガス貯蔵容器
1内の不活性消火剤ガスの供給側ガス圧P0(35℃に
おいて、180kgf/cm2)及び出口側ガス圧P2が、ま
た、ピストン26の一方の受圧面に定圧ガス源からの基
準ガス圧P1(35℃において、110kgf/cm2)が、
他方の受圧面に出口側ガス圧P2が、それぞれ所定の面
積割合でかかるように構成されているため、下記の式
(3)、(4)に従って、流路弁22及びピストン26
は瞬時に平衡し、出口側ガス圧P2は、基準ガス圧P1
(110kgf/cm2)によって規定される所定の値に減圧
される。
【0035】 A2・P0+B2・P2=B2・P1+A2・P2 ・・・(3) P2=(B2・P1−A2・P0)/(B2−A2) ・・・(4) ここで、Aは弁座23の直径、Bはピストン26の直径
である。
【0036】また、減圧装置2Aによって保持される出
口側ガス圧P2は、定圧ガス源の基準ガス圧P1自体を調
整したり、定圧ガス源に圧力調整器を配設し、この圧力
調整器により基準ガス圧P1を調整したり、流路弁22
及びピストン26の形状を異ならせること等により変更
することができる。なお、この減圧装置2Aは、定圧ガ
ス源からの窒素ガスの供給を停止するとともに、定圧ガ
ス供給流路24内の窒素ガスを排出することにより、ガ
ス流路21を閉鎖することができる機能を有するもので
あり、この機能を利用して、一旦開放した消火剤ガス貯
蔵容器を閉鎖するように構成することも可能である。
【0037】そして、この減圧装置2Aは、例えば、ピ
ストン26の直径Bを、弁座23の直径Aよりもはるか
に大きく形成することにより、消火剤ガス貯蔵容器内の
不活性消火剤ガスの圧力、すなわち、供給側ガス圧P0
が、基準ガス圧P1以下に低下するまでは、出口側ガス
圧P2を基準ガス圧P1と略等しい値に保持する機能を有
しているため、不活性消火剤ガスの放出により消火剤ガ
ス貯蔵容器内の不活性消火剤ガスの圧力が低下した場合
でも、出口側ガス圧P2を基準ガス圧P1と略等しい値に
維持することにより、不活性消火剤ガスの放出量を一定
に保つことができる。
【0038】以上、本発明の減圧装置2,2Aをガス系
消火設備に用いた例について説明したが、本発明の減圧
装置2,2Aは、ガス流路21に配設した流路弁22の
受圧面に供給側ガス圧P0及び出口側ガス圧P2がそれぞ
れ所定の面積割合でかかるように構成することにより、
減圧装置をコンパクトな構造とすることができ、また、
出口側ガス圧P2の値を基準ガス圧P1を変えることによ
って広い範囲で、かつ、高精度に調整することができる
(例えば、基準ガス圧P1を変えることによって、出口
側ガス圧P2を供給側ガス圧P0と比較して極めて小さい
値に保持することができる。)ため、その適用対象は、
上記のガス系消火設備に限定されず、例えば、原子力発
電所や半導体製造工場等の設備内に定圧で各種のガスを
供給する定圧ガス供給設備等の極めて広い範囲に適用す
ることができるものである。
【0039】
【発明の効果】本発明の減圧装置によれば、高圧の供給
側ガス圧を所定の出口側ガス圧に減圧する減圧装置を、
コンパクトな構造により実現することができ、また、出
口側ガス圧の値を基準ガス圧を変えることによって広い
範囲で、かつ、高精度に調整することができる。このた
め、この減圧装置を、ガス系消火設備に適用した場合に
は、ガス系消火設備の二次側機器の耐圧グレードを上げ
ることなく不活性消火剤ガスの充填圧力を高めることが
でき、消火剤ガス貯蔵容器の設置スペースを小さくする
ことができ、消火設備の二次側機器の耐圧グレードを上
げる必要がないことと相俟って、設備費を低廉にするこ
とができるとともに、消火設備の二次側機器の耐圧グレ
ードを上げる必要がないため、消火剤ガス貯蔵容器内に
ガス状態で貯蔵する不活性消火剤ガスを既存の設備にも
そのまま適用することができる。また、この減圧装置
は、消火剤ガス貯蔵容器内の不活性消火剤ガスの圧力、
すなわち、供給側ガス圧が、基準ガス圧以下に低下する
までは、出口側ガス圧を基準ガス圧と略等しい値に保持
する機能を有しているため、不活性消火剤ガスの放出に
より消火剤ガス貯蔵容器内の不活性消火剤ガスの圧力が
低下した場合でも、出口側ガス圧を基準ガス圧と略等し
い値に維持することにより、不活性消火剤ガスの放出量
を一定に保つことができることから、消火設備の容量を
有効に利用することができ、設備費を低廉にすることが
できる。さらに、流路弁とピストンを連結棒により接続
することにより、減圧装置の応答性能を向上することが
できるとともに、流路弁を閉鎖方向に付勢するばねとピ
ストンを付勢するばねを1個のばねで共用することがで
き、減圧装置の構造を簡略化することができる。
【0040】また、流路弁の両側の受圧面に供給側ガス
圧及び出口側ガス圧がそれぞれ所定の面積割合でかかる
ように構成することにより、ピストンを含む減圧装置の
形状を小形化することができる。
【0041】また、流路弁の弁座の直径と、流路弁の出
口側ガス圧がかかる受圧面の直径とを、略等しく形成す
ることにより、出口側ガス圧の値を基準ガス圧の値に略
一致させることができ、出口側ガス圧の値の調整を容易
に行うことができる。
【0042】また、減圧装置をガス流路のガス供給側を
ガス貯蔵容器に直結するように構成することにより、容
器弁として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス系消火設備の一例を示す図である。
【図2】本発明の減圧装置を示す全体断面図である。
【図3】ガス系消火設備の変形例を示す図である。
【図4】本発明の減圧装置の変形例を示す全体断面図で
ある。
【符号の説明】
1 消火剤ガス貯蔵容器 2 容器弁(減圧装置) 2A 容器弁(減圧装置) 21 ガス流路 22 流路弁 23 弁座 24 定圧ガス供給流路 25 シリンダ 26 ピストン 27 連結棒 28 ばね 6 消火対象区画 7 噴射ヘッド 18 減圧装置 P0 供給側ガス圧 P1 基準ガス圧 P2 出口側ガス圧

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受圧面に供給側ガス圧(P0)及び出口
    側ガス圧(P2)がそれぞれ所定の面積割合でかかるよ
    うに構成したガス流路(21)に配設した流路弁(2
    2)と、一方の受圧面に基準ガス圧(P1)が、他方の
    受圧面に出口側ガス圧(P2)がかかるように構成した
    ピストン(26)と、前記流路弁(22)とピストン
    (26)を接続する連結棒(27)とからなることを特
    徴とする減圧装置。
  2. 【請求項2】 流路弁(22)の両側の受圧面に供給側
    ガス圧(P0)及び出口側ガス圧(P2)がそれぞれ所定
    の面積割合でかかるように構成したことを特徴とする請
    求項1記載の減圧装置。
  3. 【請求項3】 流路弁(22)の弁座(23)の直径
    (A)と、流路弁(22)の出口側ガス圧(P2)がか
    かる受圧面の直径(C)とを、略等しく形成したことを
    特徴とする請求項2記載の減圧装置。
  4. 【請求項4】 ガス流路(21)のガス供給側(21
    a)をガス貯蔵容器(1)に直結するように構成したこ
    とを特徴とする請求項1、2又は3記載の減圧装置。
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