JP5031381B2 - 減圧装置及びこの減圧装置を用いたガス系消火設備 - Google Patents
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Description
(1)消火時の消火対象区画内の二酸化炭素の設計濃度は、約35%であり、この濃度では、万一消火対象区画内に人が存在していた場合、二酸化炭素の毒性(麻酔性)により人命に係わる事態が発生するおそれがある。
(2)二酸化炭素は、火災の際、噴射ヘッドまでは液体の状態で送られ、噴射ヘッドから消火対象区画内に放出された瞬間に気化して気体の状態となるが、このとき、周囲から気化熱を奪うため室内の空気の飽和蒸気圧が低下し、空気中の水分が結露するとともに、静電気が発生する。これにより、室内は霧がかかった状態となり、人の避難及び救出並びに消火作業の障害になるとともに、結露及び静電気により電子機器の絶縁不良や故障が起こり、重大な二次災害が発生するおそれがある。
(3)二酸化炭素は、密度が空気よりもはるかに大きいため、消火対象区画内に放出された二酸化炭素は、消火対象区画内の下部に滞留し消火効果が低下するほか、消火対象区画内の下部の開口部から外部へ散逸しやすい。
(4)地球温暖化に関する問題が世界的な規模で提起されていることから、二酸化炭素もハロンガスと同様に、将来的には使用が制限される可能性がある。
(1)ガス系消火設備の消火剤としての窒素ガスや混合ガスは、加圧してガス状態で貯蔵されたものを使用するため、加圧液化した状態で貯蔵されたものを使用する二酸化炭素やハロンガスに比べて、同容積の消火対象区画の消火に要する消火剤ガス貯蔵容器の数が数倍必要となり、消火剤ガス貯蔵容器の大きな設置スペースが必要となる。
(2)設置する消火剤ガス貯蔵容器の数を低減するためには、消火剤ガス貯蔵容器に充填する不活性消火剤ガスの充填圧力を高める必要があるが、不活性消火剤ガスの充填圧力を高めた場合、選択弁、主配管、枝管、噴射ヘッド等の消火設備の二次側機器にも不活性消火剤ガスの高いガス圧がかかることとなり、このため、これら二次側機器の耐圧グレードを上げる必要があり、設備費が著しく高くなり、また、既存の設備には、適用できない。
本例は、3つの消火対象区画6−1、6−2、6−3を有する場合のガス系消火設備を示したものである。
このガス系消火設備は、不活性消火剤ガスとして、例えば、窒素ガスを使用し、これを加圧して高圧ガス容器に充填した状態(特に限定されるものではないが、例えば、35℃において、30MPa)で消火設備内に保管することにより、消火剤ガス貯蔵容器1として利用する。本例のガス系消火設備には、5本の消火剤ガス貯蔵容器1−1、1−2、・・・1−5を備え、各容器1には、容器弁2を介して連結管3を接続し、さらに連結管3を1本の集合管4に接続し、この集合管4を各消火対象区画6−1、6−2、6−3まで延設した主配管5−1、5−2、5−3に接続する。主配管5−1、5−2、5−3には、選択弁9−1、9−2、9−3を配設し、消火対象区画6−1、6−2、6−3に選択的に不活性消火剤ガスを送るようにする。消火対象区画6−1、6−2、6−3まで延設した主配管5−1、5−2、5−3を、消火対象区画6−1、6−2、6−3内にそれぞれ配設した枝管8−1、8−2、8−3に接続し、この枝管8−1、8−2、8−3を消火対象区画6−1、6−2、6−3内の適所に複数個配設した噴射ヘッド7−1、7−2、7−3に接続する。
そして、この減圧装置は、ガス流路21に配設した流路弁22が供給側ガス圧P0の影響を受けず、出口側ガス圧P2を安定的に維持できるとともに、構造が簡単で、部品点数が少なく低コストで製作することができる。
ここで、「有天筒状」、「外天面」及び「内天面」の用語は、この減圧装置が、通常、図2に示す状態で使用されることが多いため、便宜的に用いたものであり、当該用語によって、この減圧装置の設置方向が限定されるものではなく、例えば、図2に示す状態と逆方向や横向きで使用することを排除するものでない。
そして、流路弁22は、周壁22aの内面が、ガス供給口21aの上下両側に配設したOリング24a、24bと摺接することより、流路弁22が閉鎖状態のとき(図2(a)参照)、ガス供給口21aを密閉するようにするとともに、常時、流路弁22の開口側と内天面22dの内側空間とを遮断するようにする。
また、流路弁22は、天部22bを貫通して内天面22dの内側空間内に突入した定圧ガス源から基準ガス圧P1を導入するための定圧ガス供給管25に沿って摺動するようにする。
さらに、定圧ガス供給管25は、流路弁22の天部22bの貫通孔に配設したOリング24cと摺接することより、内天面22dの内側空間が外部と遮断されるようにする。
これにより、ガス流路21に配設した流路弁22が受ける供給側ガス圧P0の影響を相殺し、供給側ガス圧P0の影響を少なくすることができる。
これにより、供給側ガス圧P0の変動に応じたガス流量の調節、特に、ガス流量が少ない供給側ガス圧P0が高圧の場合のガス流量の調節を正確に行うことができ、供給側ガス圧P0の変動の影響を少なくすることができる。
なお、ガス供給口21aの形状は、上記の形状に限定されず、円形、長円形、矩形等の任意の形状に形成することもできる。
具体的には、出口側ガス圧P2がかかる面積を相殺した上で、流路弁22の内天面22dの面積をA1、定圧ガス供給管25の面積をA2とすると、以下の式(1)が成立し、供給側ガス圧P0の大きさ(変動)に関わらず、出口側ガス圧P2が、基準ガス圧P1と一致するようにしている。
P2×(A1−A2)=P1×(A1−A2) ・・・(1)
これにより、出口側ガス圧の制御を簡易に行うことができる。
定圧ガス源としての起動用ガス容器11−1、11−2、11−3から、定圧ガス供給管25を介して、内天面22dの内側空間内に基準ガス圧P1の窒素ガスを供給することにより、流路弁22をばね23の付勢力に抗して図2(a)から図2(b)に示すように上方に移動させ、ガス供給口21aを開口させる。
ガス供給口21aが開口されると、消火剤ガス貯蔵容器1からガス流路21のガス出口側21bに不活性消火剤ガスが流入するが、これに合わせて、流路弁22の外天面22cにも出口側ガス圧P2がかかるようになる。
このため、上記の式(1)に従って、流路弁22は、瞬時に平衡し、本例の場合、出口側ガス圧P2は、起動用ガス容器11−1、11−2、11−3の基準ガス圧P1と等しい値に保持される。
なお、減圧装置からなる容器弁2は、定圧ガス源、すなわち、起動用ガス容器11−1、11−2、11−3からの窒素ガスの供給を停止するとともに、定圧ガス供給管25内の窒素ガスを排出することにより、ガス供給口21aを閉鎖することができる機能を有するものであり、この機能を利用して、一旦開放した消火剤ガス貯蔵容器を閉鎖するように構成することも可能である。
いま、消火対象区画6−1に火災が発生したとすれば、火災発見者がこの消火対象区画6−1に対応する押釦(手動操作の場合)を操作すると、電気信号が起動用ガス容器開放用のソレノイド12−1に送られ、ソレノイド12−1が動作して起動用ガス容器11−1が開放される。起動用ガス容器11−1が開放されることにより放出された起動用ガスは、まず、選択弁開放装置10−1に導入されて選択弁9−1を開放してから、不還弁14−1を経て起動用ガス管路13−1を通り、不還弁14−A及び不還弁14−Bを通過して全ての容器弁2に至って消火剤ガス貯蔵容器1を5本とも開放する。このとき、不還弁14−2及び不還弁14−3を通過することができないため、選択弁9−2及び選択弁9−3は開放されない。ところで、容器弁2には、高圧の供給側ガス圧P0を定圧ガス源からの基準ガス圧P1によって規定される所定の出口側ガス圧P2に減圧することができる減圧装置を用いているため、開放された5本の消火剤ガス貯蔵容器1から基準ガス圧P1に規制された不活性ガスが、容器弁2、連結管3、集合管4、選択弁9−1、主配管5−1及び枝管8−1を介して噴射ヘッド7−1まで送られ、噴射ヘッド7−1から消火対象区画6−1内に放出される。
なお、減圧装置18を設けた場合には、容器弁2には通常の容器弁を使用するようにする。
また、容器弁2に適用する減圧装置の場合は、特に限定されるものではないが、例えば、ガス流路21の口径(内径)を8mm程度に形成するようにするが、減圧装置18の場合は、必要に応じて、例えば、100〜200mm程度の大径のものを用いることもできる。
そして、消火剤ガス貯蔵容器1から減圧装置18に至るまでの容器弁2、連結管3及び集合管4等の消火設備の一次側機器には、不活性消火剤ガスの高いガス圧がかかるため、これら一次側機器は、この高いガス圧に耐えるように構成する必要があるが、集合管4等は、主配管5−1,5−2,5−3に比べ管の内径が小さいため、耐圧が高く、このため、消火設備の一次側機器の耐圧グレードを上げる必要がないことが多く、設備費を低廉にすることができるとともに、既存の設備にもそのまま適用することができる。
そして、この減圧装置は、ガス流路21に配設した流路弁22が供給側ガス圧P0の影響を受けず、出口側ガス圧P2を安定的に維持できるとともに、構造が簡単で、部品点数が少なく低コストで製作することができる。
なお、本参考例の減圧装置のその他の構成及び作用は、図2〜図3の減圧装置と同様である。
2 容器弁(減圧装置)
21 ガス流路
21a ガス供給口
21b ガス出口側
22 流路弁
22a 周壁
22b 天部
22c 外天面
22d 内天面
22e 径大鍔部
22f 外側端面
22g 内側端面
23 ばね
24a Oリング
24b Oリング
24c Oリング
25 定圧ガス供給管
6 消火対象区画
7 噴射ヘッド
18 減圧装置
P0 供給側ガス圧
P1 基準ガス圧
P2 出口側ガス圧
Claims (6)
- ガス流路に配設した流路弁に対して、流路弁の摺動方向と直交する方向に供給側ガス圧(P0)がかかるようにするとともに、流路弁の摺動方向に出口側ガス圧(P2)及び基準ガス圧(P1)がそれぞれ所定の面積割合でかかるように構成した減圧装置において、ガス流路を形成した柱状部材に配設した流路弁を有天筒状の弁体で構成し、該弁体の内周壁をガス供給口の開口面と平行に柱状部材に沿ってOリングを介して摺動させることによって流路弁の端縁側でガス供給口を開閉するようにするとともに、弁体の外天面にガス供給口から放出された出口側ガス圧(P2)が、弁体の内天面に流路弁の天部を貫通して内天面の内側空間内に突入し、弁体がOリングを介して摺動するようにした定圧ガス供給管から導入した基準ガス圧(P1)が、それぞれかかるように構成したことを特徴とする減圧装置。
- 流路弁を構成する弁体の内周壁にかかる供給側ガス圧(P0)の圧力が、供給側ガス圧(P0)の圧力同士で相殺されるようにガス供給口を回転対称に形成したことを特徴とする請求項1記載の減圧装置。
- 出口側ガス圧(P2)がかかる面積と基準ガス圧(P1)がかかる面積とを、出口側ガス圧(P2)が、基準ガス圧(P1)と一致するように設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の減圧装置。
- ガス供給口を、弁体によるガス供給口の開放側の開口寸法が拡大するように形成してなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の減圧装置。
- ガス供給口を、長円形に形成してなることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の減圧装置。
- 消火剤ガス貯蔵容器内にガス状態で貯蔵されている不活性消火剤ガスを消火対象区画内に放出し、消火対象区画内の消火剤の濃度を消炎濃度以上に維持することによって消火するようにしたガス系消火設備において、請求項1、2、3、4又は5記載の減圧装置を、高圧の供給側ガス圧を所定の出口側ガス圧に減圧するために用いたことを特徴とするガス系消火設備。
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